1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月五日(水曜日)
午前十一時五十六分開議
出席委員
委員長 田中不破三君
理事 田中伊三次君 理事 藤枝 泉介君
理事 淵上房太郎君 理事 平川 篤雄君
理事 井上 良二君
今村 忠助君 小澤佐重喜君
塩田賀四郎君 西村 久之君
本間 俊一君 三宅 正一君
井之口政雄君
出席政府委員
内閣官房副長官 菅野 義丸君
人事院事務官
(事務総局給與
局長) 瀧本 忠男君
大蔵事務官
(主計局給與課
長) 岸本 晉君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
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三月三日
委員平川篤雄君辞任につき、その補欠として中
村又一君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
委員中村又一君及び井之口政雄君辞任につき、
その補欠として平川篤雄君及び木村榮君が議長
の指名で委員に選任された。
同月五日
委員木村榮君辞任につき、その補欠として井之
口政雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
平川篤雄君が理事に補欠当選した。
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三月三日
全建設省労働組合九州総支部執行委員の減給処
分に関する請願(前田榮之助君紹介)(第一一
四九号)
長尾町の地域給指定に関する請願(玉置實君紹
介)(第一一五四号)
大宮市の地域給引上げに関する請願(川島金次
君紹介)(第一一五五号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
理事の互選
一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/0
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001・田中不破三
○田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。
まず理事の補欠選任についてお諮りいたします。一昨三日理事であられた平川篤雄君が委員を辞任せられましたので、理事一名が欠員になつております。この際理事一名の補欠選任を行いたいと思いますが、これは先例によりまして選挙の手続を省略し、委員長において御指名いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/1
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002・田中不破三
○田中委員長 御異議なしと認めます。それでは平川篤雄君が再び委員になられたので、平川篤雄君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/2
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003・田中不破三
○田中委員長 ただいまより一般職の職員の給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四一号を議題として質疑を継続いたします。藤枝泉介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/3
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004・藤枝泉介
○藤枝委員 同僚の各位から非常に詳細に御質問がありましたので、大体盡きておると思います。重複するかもわかりませんけれども、一応とりまとめの意味でなおお聞きいたしたいと思います。
最初に今回の地域区分の改訂に基き、それに関連いたしまして官署指定の問題があると思います。給與法第十三条第四項によりますと、特別の事情のある場合に官署を指定してよいということになつております。今回三百六十四市町村について変動がありました。従つてこれに伴い官署指定の問題が出て来るのではないかと思いますが、その点人事院としてはどのようにお考えになつておりますか、まずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/4
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005・瀧本忠男
○瀧本政府委員 今回人事院は地域区分の改正につきまして意見の申出をしたわけであります。今回新たに一級地となりあるいは格上げされました地域の付近に官署というようなものがありまする場合には当然問題になろうかと思います。もちろん官署指定ということは、非常に必要があるというふうに感じておる次第であります。しかしながら、官署指定にはおのずから限度がありまして、これを抜け道に使うというようなことは、おそらくむずかしいのではなかろうかと考えております。人事院といたしましては、官署指定をいたしまする際に、一応の基準といたしまして、ある地域給のついておりまする地域から二キロ以内にある官署につきまして、しかも勤務いたしておりまする職員の大部分が、そういう高い地域給の支給されます地域から通勤しておる場合に、これを官署指定しなければならないというふうに考えております。北海道のような非常に広汎な地域におきましては二キロというような基準は、必ずしも立てがたいと思いますのでで、これは事情に応じましてある程度広げる必要があると考えております。いずれにいたしましても、現在各省庁に照会を発しまして、そういう官署指定の必要のある官署の調査をいたしておりますので、この調査結果に基きまして、官署指定を行いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/5
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006・藤枝泉介
○藤枝委員 ただいまの御答弁で大体わかつたのでありますが、私も今給與局長が言われたように、この地域区分を法律の別表で規定しておりますにもかかわらず、官署指定というようなことで抜け道にされることはいけないではないかと思います。従いまして、この官署指定は十分慎重におやり願いたいと、希望いたす次第でございます。ただ今のお話の中にもあつたのでありますが、二キロというような形式的な基準だけでおやりになることは、実情にそぐわないこともあるのではないか、その辺のところは十分実情に即して指定していただきたいと思いまするけれども、官署指定が地域区分に漏れたものの拔け道に使われるようなことは、私どもといたしましても、せつかくこの地域区分を法律事項といたした趣旨に反しますわけでございますので、その点は十分慎重に願いたいと思います。
ところで、今人事院の方からお話がありましたように、今回の地域区分の改訂に伴いまして、官署指定という問題が起つて参ると思います。いまだ具体的にどれだけの地域、どれだけの官署について、またそれに要する金額がどれだけということはおわかりにならぬと思いますが、当然三百六十四市町村につきまして地域区分が改訂されたのでありまするから、それに伴う官署指定の問題が起つて参ると思うのであります。これに対しまして大蔵省側といたしまして、その財源の処置について、いかようにお考えでありますか、この点を大蔵省側から御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/6
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007・岸本晉
○岸本政府委員 官署指定の問題は、ただいま人事院から説明のありました通り、今回の勤務地手当の支給地域に関連して、それの跡始末と申しますか、技術的にやはりある程度やらなければならない制度だろうと思つております。従いまして、勧告がどの程度の規模、範囲で出て参りますか、まだ私どもはよく承知いたしておらないのでありますが、少くともそうした技術的にどうしても補正しなければならぬという問題でございますので、この点につきまして財源措置をどうするかということは、その勧告が出てみなければわからないのでありますが、さしあたり、予算実行上でき得る限り考慮して参りたい、かように考えております。現在法律案で提案されております勤務地区分の改訂に要します費用は、大体七億円と申し上げておるのであります。これも一応の推測でございまして、今回の整理によりまして、人員の地域的な分布であるとか、あるいは平均給、こうしたものがこれから移動して参るだろうと予想しておるのでありまして、必ずしも七億円程度そのままいるかどうかということも疑問でございます。いずれにいたしましても、こうした両方取合せて考えてみまして、予算実行上できるだけ考慮して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/7
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008・藤枝泉介
○藤枝委員 まだ具体的な数字が出て来ないので、お答えはしにくいと思うのでありますが、しかし当然、今回の地域区分の改訂に伴つて問題が起つて参ると思います。妥当な、また理論的に当然考えて来なければならぬところの官署指定については、大蔵省といたしましても十分財源の点を御考慮願いたいと考える次第でございます。
なお、これに関連いたしまして、きようは自治庁あるいは地方財政委員会の方々がお見えになつておりませんので、官房副長官なり給與課長からお答え願うのは、あるいは筋が違うかとも思うのでありますが、一応のお考えだけ伺つておきまして、あらためてその方面の当局にお伺いいたしたいと思いますが、今申しましたように、官署指定ということは当然起つて参る。そういたしますと、国家機関が指定されますると、おそらく県あるいは市町村においても、その地域にある公署というか、地方の機関につきまして、官署指定に準じた手段をやるのではないか、また当然それはやらざるを得なくなると思うのでございますが、この地方の自治体が、官署指定と申しますか、公署指定と申しますか、その地方機関を指定するために必要な財源について、国としてどのようなお考えを持たれるか。平衡交付金の中に、そういつたものを算定の基準として考えるかどうか、この点をあなたにお答えができましたら、一応国としての考え方だけでも、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/8
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009・菅野義丸
○菅野政府委員 今回の人事院の意見によりまして、地域区分が改訂になりまして、その結果これに準ずるであろうところの地方公務員の地域給が、どのくらいかかるかと申しますと、増加が約七億程度でございまして、ちようど国家公務員と大体同じような額になるのでございます。この七億につきましては、二十七年度の平衡交付金一千二百五十億円で、十分まかなつてあまりある程度になつておると考えております。従いまして、官署指定も従来と同様のものでございましたならば、平衡交付金の中に財源は十分あるのでありますから、財源の点について、地方公務員の地域給を制限するというようなことは、まずないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/9
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010・藤枝泉介
○藤枝委員 原則論はわかるのでございますが、もう一度念のためにお伺いいたします。もちろん国の官署指定の仕方いかんにもよると思うのでありますが、これが非常に少いものであるかどうか。まだ人事院の方でははつきりわかつていないようでありますが、今のお答えによりますと、従来程度の官署指定の方式から出て来るならば、来年度の平衡交付金の一千二百五十億の中で、大体地方の公共団体が官署指定に準じた方途をとつても、まかなえるじやなかろうかという御意見と承つてよろしゆうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/10
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011・菅野義丸
○菅野政府委員 仰せの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/11
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012・藤枝泉介
○藤枝委員 それから、これは岸本さんの方でおわかりかどうか、もしおわかりになりましたら、お知らせ願いたいのでありますが、国鉄と専売公社が、もしも今回のこの法案に準じまして、地域区分をかえるようなことがありといたしますならば、それに要する費用をどの程度にお見込みになつておりますか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/12
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013・岸本晉
○岸本政府委員 国鉄につきましては、御承知の通り現在の勤務地手当制度は、全然公務員と異なつておりまして、公務員の五%に当る地域は、現在国鉄においては勤務地手当を支給されていないわけであります。従いましてその制度を前提といたしまして、今日の勤務地手当の勧告にならつて調整を加えたならば、どうなるであろうという数字を計算いたしますと、大体二億五千万円程度ということになります。それから専売につきましては、ほとんど国家公務員の場合と同様であります。やはり公務員の場合と同様に級地が上るという計算で参りますと、大体二千四百万円程度という数字になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/13
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014・藤枝泉介
○藤枝委員 大体官署指定の問題につきましては以上にいたしますが、これは同僚の委員の方々から、いろいろとお尋ねがあつたのでありますが、もう一度念のために人事院にお伺いしておきます。今回地域区分についての意見の申入れをされ、目下法律案として私ども審議しておるのでありますが、なおこのバランスと申しますか、さらに新たに指定をしてほしい、あるいは級地を引上げてほしいというような問題が、全国的に非常に起つておるようであります。また今後といえども、いろいろな経済上の変化その他によりまして、おそらく地域区分を考え直して行かなければならぬという問題があろうと思いますが、人事院といたしましては、こういう形の地域区分の是正という問題について、どのような考え方を持つておられますか、今後の方針をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/14
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015・瀧本忠男
○瀧本政府委員 地域給の現在の形というものは、これはもちろん各地におきます公務員の実質賃金をひとしくしようということがねらいでありまして、その目的のために非常に大きな役割を果しておるというふうに考えるのです。しかしながら一方におきまして、現在のようなやり方をやつておりますために、人事交流等にある程度の支障があるであろうというようなことも、これまた副作用として出て参つておる点でございます。従いまして、今回の地域給の追加勧告におきましても、そういう点を十分考慮いたしまして、たとえば一級地というようなものを非常に多くするというような方途が講ぜられておるわけであります。しかし将来にわたりましては、やはりこの問題はもう少し根本的に考えてみる必要があるのではないかというふうに思いまして、現在研究を進めておる次第であります。もちろん法律の命ずるところによりまして、地域給の研究ということは絶えず人事院はやることになつておりますので、そういう研究を続けておるわけでありますが、次期給與ベース引上げの勧告をいたしますような機会におきましては、もう少し抜本的にこの問題を考えてみたいというふうに考えまして、目下研究を継続いたしておる次第であります。なお現在のアンバランス等につきましても、十二分に研究いたしまして、いかなる事態になりましても、人事院として研究ができていないというようなことではいけませんから、そういう面の研究ももちろん今後続行して行くつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/15
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016・藤枝泉介
○藤枝委員 問題は二つになると思うのでありますが、あとの方にお答えになつたアンバランスの問題その他につきましては、これはもちろん常時調査をされまして、非常に不合理な点がありましたならば、たとい少数の市町村であろうとも、これは意見の申出をさるべきだと私も考えます。この点の御研究は常時進めていただくべきものだと思うのであります。
第一の根本的な問題は、もちろん今お話のありましたように、実質的に給與そのものの実額を引下げるようなことはできないと思うのでありまして、おそらくベース改訂その他のときでなければ、抜本的な考え方はできないと思いますが、将来そういう給與改訂というような問題にからんで、地域給の問題は、ほんとうに真剣に取組んでいただきたいというふうに考えるのであります。淺井総裁がいつも言われるように、まさに地域給そのものについては非常にささやかな問題でありますが、これが全国的にこんなに問題になりましたのは、結局今の地域給の考え方そのものに相当疑問があるからではないかと思うのであります。そういう意味で、ベース改訂等の機会には、ほんとうに拔本的な問題を考えていただきたいというふうに考えております。そこで一応、われわれの研究を進める一つとして伺つておきたいのでありますが、たとえば今五段階にわかれておるものを、全然なくするというような考え方もありましようし、またその一部、二階級だけはなくしてしまうというような考え方もありますが、たとえば今の五段階を三段階にしてしまうというようなことを考えますと、現在の平均給與で考えまして、一体どれくらいの金額が必要か、すなわち五階級を三階級にしながら、しかも、実質的な賃金が減らない程度の措置をするといたしまして、どの程度の金額が必要か、その点の御研究がありましたら、ひとつお漏し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/16
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017・瀧本忠男
○瀧本政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、将来に向いまして、地域給の拔本的な考え方といたしまして、実際やり得るであろうという方途は、たとえば現在の五段階を四段階にする、あるいは三段階あるいは二段階にするというようなことであろうかと考えるわけであります。われわれが現在推算いたしておりますところによりますと、現在の非支給地を全部一級地にしてしまうというようにいたしますと、一般職の国家公務員だけで、大約十億円程度年間いるのではないかというように考えております。また現在の非支給地並びに一級地を全部二級地にいたしてしまうということにいたしますれば、年間約三十億円必要であろうというように考えております。またこれは少し行き過ぎかもしれませんが、非支給地、一級地並びに二級地を全部三級地にするといたしますれば、これは大約六十億円必要であろうというふうに推算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/17
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018・藤枝泉介
○藤枝委員 この点はなお将来の問題でありますから、一応人事院としても十分適当な案を常時、お考えを願いたいと思います。それと先ほど申しましたように、目立つたアンバランスの問題につきましては、これはひとつたとい町村が少くても、適当な時期に意見の申出をさるべきだということを希望しておきます。
最後に、この地域給その他をからめまして、例の給與準則の作業がずいぶんお進みのようでありますが、たとえば僻陬地手当の問題、寒冷地手当、石炭手当、勤務地手当、いろいろ手当がありますし、現在の経済情勢あるいは国家財政上、こうしたものをつけておかざるを得ないと思うのでありますが、これら全体を給與準則におきましては、もう少し整理さるべきではないかというように考えるのであります。その点のお考えをひとつお漏らしいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/18
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019・瀧本忠男
○瀧本政府委員 給與準則におきまして、こういうものをどういうふうにやつて行くかというお話でございますが、今後給與準則によらざるいかなる給與も支給できないということに相なりますので、これは当然給與準則の中に入れて行かなければらぬものであろうというふうに考えるのであります。方向といたしましては、現在の地域給とそれから僻地手当、寒冷地手当、石炭手当というものは一つの方向に向うべきものだ、言いかえれば将来にわたりまして、こういうものを統合するということも、一応問題になろうかと思うのであります。しかしながら、僻地手当のごときは、むしろ勤務地手当と違いまして、ただ実質賃金を同じくするという役割だけではなしに、社会生活から隔離されております、そういつた精神的な苦痛に報いるという面がございますので、そういう面を強く考えますならば、必ずしもこれを統合するということは、形の上では單一化されるようでございますけれども、物の本筋にいささか遠ざかるきらいがなかろうかというふうに思います。現在僻地手当につきましては、政令三二三号、いわゆる特殊勤務地手当の政令というのがございます。この政令三二三号は、考え方といたしまして、法律事項であつて、なかなか人事院の一存でかえがたいものであるということで、現在来ておるわけであります。これに僻地手当の基準がございまして、それに該当いたします地域が全部指定してあるかと申しますと、そうではない。現在はおおむね九百箇所くらいしか指定しておりません。われわれは近く約六百箇所くらいにつきまして、僻地の指定をいたしたいということで、目下研究を進めております。しかしこの基準は、従来の低い基準でございまして、すなわち五段階になつておりまして、一番高い地域が月額七百五十円、一番低いところは百五十円であります。もつともこの七百五十円を支給されております、一番高い地域は、ごく少数でございます。おおむね僻地手当の率は非常に低いのであります。将来の問題といたしましては、これをあるべき姿に基準をかえて行くという必要があろう、また必要であるならば僻地手当の考え方を相当広げて考える必要があるのではないかということを考えまして目下二途にわけて研究を進めております。つまり現在の基準のもとにおきまして、入つておらないものをまず入れるということと、その次におきましては、僻地の基準なり、そういうものが現在のままでいいかどうかという点につきまして研究を進めて行く。また寒冷地、石炭手当につきましても、形式上は、これはたとえば勤務地手当と統合し得るということがあろうかと思いますが、やはり性格といたしまして、暖地と寒地との生活事情の違い、これは勤務手当より別なものであるというふうに一応考えられますので、そういう面からやはりこれはこれなりに、一応体系を立てて行くべきであるというふうに考えております。従いまして将来の方向といたしましては、こういうものをなるべく統合いたしたいということではございますが、今にわかに形式的な統合をいたそうとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/19
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020・井上良二
○井上(良)委員 この際ちよつと変なことを聞くようですが、公務員に支給されております俸給諸手当の支払いの中から、たとえば一般的に差引かれるおもなる項目といいますか、たとえば共済掛金であるとか、あるいはその他のいろいろ公に当然引かれるものがあるわけでありますが、そういうおもなるものは何でございますか、それを一応知らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/20
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021・瀧本忠男
○瀧本政府委員 これは税金と共済組合の掛金と、それから恩給の保険料的なものでございますが、国庫納金、そういうものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/21
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022・井上良二
○井上(良)委員 これは一体全体の中から、いろいろ給與額によつて違いましようけれども、どの程度のパーセンテージになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/22
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023・岸本晉
○岸本政府委員 税金につきましては、所得税法の規定の適用によつて、当然はじき出されて来るわけなのでございますが、俸給月額の百分の二、つまり二%でございます。それから共済組合掛金につきましては、これは短期と長期とございまして、医療給付の面と年金給付の面と二つ共済でやつておりますが、それぞれ掛金が別でございまして、医療給付の面では最高千分の三十八、三・八%、低いところは二・八%もございます。これは各組合によつて違います。長期掛金の方は、おおむね千分の四十、但しこの長期掛金を出すものは、恩給の国庫納金を納めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/23
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024・井上良二
○井上(良)委員 労働組合の会費はどうなつておりますか。それは元から引いておりませんのか、給與袋から差引かれてないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/24
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025・岸本晉
○岸本政府委員 俸給から直接差引くものは、一応法律または人事院規則によらなければ差引できないということになつております。労働組合の納金につきましては、法律上は当然差引けるという規定はございませんので、現在俸給袋の表面上は差引いてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/25
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026・井上良二
○井上(良)委員 私聞いておりますのは、こういう公の当然差引かれる税金を別にしまして、実際の手取りというものが幾らになるか、その実際の手取りを対象にして勤労所得税なんかをかけるべきであつて、実は勤労所得税は俸給額に対しての掛金になつておりますから、その面をもう少しめんどうを見てやらぬと、俸給手当等いろいろ考えて対策を講じ、処置を講じましても、掛金の方でまた引かれておる、こういうことになつて、その上で実際手取りははるかに減つて来る、こういう事実がございますので、その点を今伺つたようなわけでありまして、私は労働組合の掛金その他につきましても、これは大体労働組合法によつて組合をつくつております今日、当然俸給から差引かれているじやないかと、こういうふうに私ども見まして、やはりそういう公のものが一体どのくらいになつておるかということを、もう少しお調べになつて、それらを対象にして所得税をどうするかという問題を一応検討されておかなければ、給與全体の上からやはり問題が一つ残つて来やせぬか、この問題は別に私どもは法律案として出しまして、当然この公租は別として、公課に対しましては、税金を対象外にすべしという意見で私ども持ち出したいと考えるのであります。そうしなければ実際の手取りで生活をして行きますから、給與額だけはあつても、実際うちへ持つて帰るものははるかに減るというこになつたのではたいへんでございますから、その減る分に対して税金をかけているのですから、実際の手取りに対して税金をかけて行くということに改めなければなりません。こういう点について給與局の方では、どういうふうにお考えになつておりますか、実際うちへ持つて帰る分に対して税金をかけるのが当然じやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/26
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027・瀧本忠男
○瀧本政府委員 今の御質問の趣旨は、むしろ税法の問題になろうかと思うのであります。従いましてこれはまた大蔵省のその方面にわれわれの希望を申し述べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/27
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028・田中不破三
○田中委員長 ほかに御質疑はありませんか。井之口委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/28
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029・井之口政雄
○井之口委員 ちよつと人事院にお尋ねいたしますが、去る二月の二十九日に建設省で五名の不当な奇々怪々な馘首をやつている事実がある。これは組合の執行委員長の阿久芽君と書記長の長瀬君と青年婦人部長の木森君と九州の青年婦人部長の野口君と中央執行委員の松岡君、こういう方々を不当に馘首している。それを形は行政整理という名目でやつておりますけれども、しかしながらすでに去年の十一月二十五日に参議院の内閣委員会で建設省の小林文書課長からは、今度は首切らぬ、希望退職者だけ大体終つて、なま首は切らないというふうな証言もあつたし、なお十一月の二十五日には、この阿久芽君や長瀬君は営繕部に働いている人でありますが、営繕部はもとよりのこと馘首すべきではなくして人員も足らぬくらいでというふうな証言もあつたくらいです。しかるに今度この人たちに対して不当な馘首が行われている。これはどうも納得しがたい。組合運動をやつている人たちが、その組合運動のゆえに馘首されるということになれば、実際現実において組合は翼賛会と同じになつてしまう。決してそこにおけるところの官公吏の諸君の生活を守る組合でなくなつてしまうことは明らかであります。名月はなるほど組合運動をやつているから、これを馘首するというふうになつておりませんけれども、実質上結果として現われて来るこうした馘首は、明らかに公務員の権利を剥奪したところのやり方である、こういうものに対して人事院は、十分に身分を保障する義務があると思うのですが、これを取調べておられますか、これに対してどういう方針を持つておいでになるかということを聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/29
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030・瀧本忠男
○瀧本政府委員 今のお話でございますが、はなはだ遺憾と存ずるのでありますが、私その方の問題をよく存じておりませんので、何とも申し上げかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/30
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031・井之口政雄
○井之口委員 それでは今度人事院総裁でもひとつ出て来てもらつて、この問題は十分に答弁していただきとうございます。なお長瀬君に対しては、東北の局長が、職場において決して長瀬君は業務の関係が不良な人ではないというような証言もしているようであります。その点もよくお調べになつて、りつぱな公務員として業務を遂行している人が、組合の運動に携わつたからというので、首にされてしまうというようなことがあつては、全公務員の利益は守れないのであります。その辺よく調べて、そして今度総裁が来て御返事をしていただくように、ちやんとお取次ぎ願いとうございます。きようはこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/31
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032・田中不破三
○田中委員長 ほかに御質疑ありませんか。——別に御質疑はないようでありますから、本日はこの程度にとどめまして、次会は明後七日午後一時から開会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304548X00619520305/32
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