1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年二月十八日(月曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長 川村善八郎君
理事 田口長治郎君 理事 永田 節君
理事 林 好次君 石原 圓吉君
川端 佳夫君 鈴木 善幸君
田渕 光一君 冨永格五郎君
二階堂 進君 原 健三郎君
松田 鐵藏君 木村 榮君
出席政府委員
水産庁長官 鹽見友之助君
委員外の出席者
農 林 技 官
(水産庁漁政部
漁業調整第二課
長) 高橋清三郎君
專 門 員 徳久 三種君
二月十五日
委員林百郎君辞任につき、その補欠として木村
榮君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
真珠養殖事業法案(石原圓吉君外十四名提出、
第十二回国会衆法第八号)
水産金融に関する件
漁業取締に関する件
公海漁業に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/0
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001・川村善八郎
○川村委員長 これより水産委員会を開きます。
真珠養殖事業法案を議題といたします。本案は御承知のように第十二回国会において審査を終了するに至らず、継続審議となつたものであります。今国会においては、去る十二月十日本委員会に付託となりましたが、その提案理由の説明はすでに前国会において聴取いたしましたのと同様でありますので、これを省略して審議を進めたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/1
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002・川村善八郎
○川村委員長 この際御報告いたします。田口長治郎君より本案に対する修正案が提出されております。これは諸君のお手元に配付いたしてあります。ただいまより本修正案について提出者の趣旨弁明を願います。田口君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/2
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003・田口長治郎
○田口委員 ただいま議題となりました真珠養殖事業法案に対する修正案の趣旨弁明をいたします。
御存じのように、本法は昨年の十一月二十六日、第十二回国会において提案され、水産委員会において審査を進めて参つたものでありますが、種々検討いたした結果、お手元に配付いたしてあります修正案の通り次の諸点について修正をいたしたいと存ずる次第であります。
第一は、第二條の修正でありまして、真珠養殖事業者に加工業者を含めることにつきまして、原案におきましてはその範囲が必ずしも明確でないので、ここにいう加工は通線連までの、すなわち真珠養殖と不可分の関係にある一次加工であつて、金属類を附加して製品とする加工は含んでいないということを明確にしようとするのであります。
第二に、第六條の真珠母県の増産のために養殖業者に対する助成について、この助成は漁業協同組合あるいは同連合会の自営する場合に、その組合なり連合会にのみ行うことにしたのであります。また原案においては、真珠貝の種苗の生産、稚貝あるいは成貝の育成のすべてをやつている場合にのみ助成ができ、これが個々についてやつておる場合には助成ができないのではないかという疑義があつたので、この点を改めました。
第三に、第八條の修正は、真珠の検査及びその様式について省令を定める場合には、農林大臣が輸出をつかさどつている通商産業大臣に協議することにした点であります。
第四に、第十一條の立入検査の規定の修正であつて、立入検査は計画の実施その他すべての場合やるのではなくて、資金のあつせんを受けあるいは母貝増産の助成を受けた業者あるいは漁業協同組合に対し、その成果を確めるためにのみやるよう上ぼつたのであります。
第五点は、第十五條の罰則について段階を設け、計画の提出をせずまたは虚偽の計画を提出した者は一万円以下の罰金だけにし一助言または勧告に応じて真珠養殖事業を営む者または助成を受けた漁業協同組合または同連合会で、その成果を確めるための報告をしなかつたり虚偽の報告をしたりした場合には六箇月以下の懲役または五万円以下の罰金ということにしたことであります。
その他、第十六條の両罰規定を整備し、これらの修正による條文の整理をいたしたのであります、
以上修正案の趣旨を弁明いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/3
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004・川村善八郎
○川村委員長 これより原案並びに修正案を一括議題とし質疑を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/4
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005・永田節
○永田委員 真珠養殖事業法案の原案並びに修正案についてこれより質疑が行われるのでありますが、いきなり修正案を出されて、両方を比較検討し頭に入れて、ただちにこれから質疑をすることは、われわれのような普通の頭ではなかなか困難である。従つてこの原案と修正案とをしばらく研究してみたいと思います。そこで来週あたりの委員会において質疑をされるようおとりはからいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/5
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006・川村善八郎
○川村委員長 ただいま永田委員より原案並びに修正案はただちに質疑をするには準備が整つていないから、来週あたりに十分質疑をした方がいいのではないかというような御意見がありますが、いかがでございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/6
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007・川村善八郎
○川村委員長 多数の委員より異議なしとのことでありますので、そのようにとりはからうようにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/7
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008・石原圓吉
○石原(圓)委員 最近に保安庁と警察予備隊が合併されて一つの組織になるということを聞いておりまするが、その場合における海上の漁業関係の取締りその他全般的な問題に対して、水産庁においては、現在のところどのような構想を持ち、またその改組される保安隊との関係はどういうことになる見通しでありましようか、伺いたい。
それからもう一つは、行政機構の改革を今やつておるわけであります。これに対する水産庁の機構、その改革の過程等に対しても、本日御説明があればけつこうでありますが、本日でなければ、最も近い委員会においてその内容の説明を要望するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/8
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009・鹽見友之助
○鹽見政府委員 海上保安庁関係の方の機構の改革と、それに伴つて海上における水産関係の取締り、または日本漁船のある意味の保護というような点で変更があるかというお尋ねでございますけれども、それについてはまだ連絡を受けておりませんので、今のところお答えできる段階になつておりません。しかし今のところは一応たいした変更は見ないのじやないかと考えております。
それから水産庁の機構が今度の行政機構の改革に伴つてどういうふうに変更するかという点でございますが、これについても大臣には意見は申し上げてあります。水産関係はマッカーサー・ラインも撤廃され、公海漁業への進出これからますます活発に行われなければならないような状態であるから、むしろ強化を必要とするぐらいではないかという意見は申し上げてありまして、大臣も、その通りというふうな腹組みでおられるようですが、まだ具体的には進んでおらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/9
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010・石原圓吉
○石原(圓)委員 海上保安隊についてでありますが現在の機構では漁業の取締り等には徹底しない。そのために最近東支那海における拿捕等は著しく激化して参つたことは御承知の通りであります。今後海上保安庁と警察予備隊が合併されて保安隊となる場合には、一層軍事的な使命が濃厚になることは争えない事実であると思うのであります。そのために漁業上の取締り、保護等の問題が閑却されて来るのではないかと非常に不安にたえないことでありまして、その場合に、水産庁の庁内における海上保護、取締り等の機構が強化されるか、保安隊においてその問題が十分取上けられるか、いずれにせよ両方の力をまたなければならぬと思うのであります。この際十分の関心を持つて、機を逸しないようにしてもらいたいということを強く要望するものであります。
それからもう一つの行政機構の問題であります。新聞で見れば、農林大臣の管轄内における林野庁を建設省に持つて行くという案が台頭しておるという時期であります。一方われわれは、水産庁を水産省にして一層強化しなければならぬという時代であります。しかも水産庁、林野庁はともに農林大臣の管轄下にあるのであります。その同じ管轄下にあるところの林野庁にとかくの世評があるのでありますし、またそういうようなことで、各省間の争奪のような形に巻き込まれたならばたいへんであると思うのであります。われわれの希望は、早くわれわれ委員会側でもよく内容の説明を受けて、あるいは公開でなければいけないこともあり、秘密会を要することもあるでしようけれども、この際非常に大事な時期だと思うので、重ねて意見を申し述べる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/10
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011・木村榮
○木村(榮)委員 この前私からお願いしておきました工場廃水被害関係の調査、それからアメリカ軍の演習被害の状況の調査等について、漁政部長の話では、昭和二十五年度において大体三億円ぐらいの被害があるが、それを昭和二十六年度の終戰処理費から補償してもらうように大蔵省に交渉中であるということであつた。その後報告がございませんが、三億円の被害状況を詳細に出していただきたいということをお願いしておるわけであります。大分時間が経過しておりますので、そのことをお願いしておきます。
もう一点は今話が進められています日韓漁業協定の問題につきましては、これは朝鮮動乱の関係と見合つて、非常に重大な問題だと思うのです。もし朝鮮動乱が継続されるような中で、日韓漁業協定が新たにできたとしても、日本の漁民にとつては安心して操業できないような状態が来ると私は思う。従つてこの朝鮮動乱を解決することと、今話が進められておる日韓漁業協定とは関係が非常に深いと思う。そういつた関係で愼重にやつていただく必要上、祕密会でもけつこうですから、交渉の顛末を、でき得る限り委員会へ御報告願つて参考としていただきたい。かようにお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/11
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012・高橋清三郎
○高橋説明員 工場廃水の資料の問題でありますが、昭和二十一年度から昭和二十四年度までの資料は前に差上げてある通りであります。昭和二十五年、六年度の、ただいま御要望のありました点につきましては、目下急遽調査を進めております。まだちよつと時日がかかると思います。と申しますのは、御案内の通り、全国的に相当被害が発生しておりますから、どうしても相当広汎な調査をしなければならぬ関係上、もうしばらく御猶予を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/12
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013・川村善八郎
○川村委員長 この際皆さんにお諮り申しますが、真珠養殖事業法案の原案並びに修正案の審議は月曜日の委員会において行いたいと考えますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/13
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014・川村善八郎
○川村委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/14
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015・林好次
○林(好)委員 長官に伺いたいと思います。日米加漁業協定によつて、御承知の通り本年から北洋漁業に出漁できるのでありますが、今日までの農林省、あるいは水産庁の考え方は、新聞では承知いたしておりますが、本日長官がおいでになつておりますので、これを伺いたいと思うのであります。まず北洋漁業のかに工船の問題は、一組ぐらい出される方針であるか、あるいはそれ以上出される方針であるか。あるいはその許可の方針につきましては、どういう方面に許可をされる御方針であるか、さらにまた鮭鱒の独航船の問題につきましても、大体どれぐらいの隻数を本年出漁させる御方針であるか、それからどういうような許可方針をおとりになるかということを、一応お伺いいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/15
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016・鹽見友之助
○鹽見政府委員 日米加協定に基く北洋出漁の問題でありますが、これはかににつきましては、アメリカの領海近くに参るという関係もあり、それから鮭鱒につきましては、西経百七十五度というようなことが、当委員会においても非常に関心を持たれて交渉されたことで、むしろ私どもよりもよく御存じだと思いますけれども、米国側が百八十度とか、あるいは東経百七十五度とかいうのを、こちらの主張を入れてもらつて西経百七十五度まで持つて行つた。その境界については、そこのさけが東に行くか、西に行くかという調査もあわせてやるという形で、暫定線としてきめられておるという関係もございますし、それらの関係で、操業区域というものは相当国際的に注意をしなければならぬという面、それからもう一つの問題はかにはやはり底棲性の生物であつて、濫獲の危険が過去においても十分あつた。鮭鱒につきましても、これは遡河性の魚類として、やはり濫獲については最も注意を払わなければならない魚種でもありますので、これらを勘案しまして、かににつきましては昭和五年から十箇年間ばかり操業した実績がございますが、第一年目が一反当り七尾余り、二年、三年は五尾余り、四年目になりますと三尾台に落ちて、七年、八年は二尾前後という減産の状況でありまして、これは二年目、三年目に二船隊を出したため濫獲になつたということは、資料的に専門家から見れば、はつきりしている。こういうふうに見られますので、大体鮭鱒につきしては、われわれの方といたしましては、一船隊、箱数の方も適当なところで六万箱前後というところじやないかと思います。これは相当技術的検討を要すると思いますけれども、そこいらあたりで制限をして行く必要があるんじやないか、こう考えております。
それから鮭鱒につきましては、操業海面の関係から申しまして、過去において調査をやつた経験はないわけではないが、そう大した資料はありません。ある程度過去において試験操業をやつたところの資料等を勘案して考えますと、漁場としてみれば、まず安定した漁場とは言えない。あの漁場をおもにものにできるかどうかという点について試験段階にある。特に西経百七十五度という線は暫定線でございますから、さけの移動回遊の状態につきましては、調査を伴つてやらなければならぬというふうな関係がございますので、そういう関係からして、まず漁撈を行うところの船は五十ぱい以内がかたく見て適当なところじやないか、こういうふうな考え方をいたしております。そのいずれもはつきりと船隊行動をとつて、操業海面を厳重に守るということと、それから調査においても十分相協力し合つて、日米加協定の線に沿つて十分な成果を上げられるようにすること等を考えて行かなければならない。こういうふうな観点から、われわれの方では今とにかく、かにについても、鮭鱒についても、全国の関係漁業者が一体になつて、むしろ試験調査というような点にかなりの重点を置きながら進出するという必要があるんじやないかと考えておりまして、民間の方に対しては、一本になつて出漁するようにということを慫慂しておる最中でございます。なかなか時間がかかつておりまするけれども、順次そういう国際関係に対する配慮資源に対する十分な保護というふうなものが、業者の間にもかなり浸透して参りました。順次そういうふうな空気で一本になつてやろうという考え方が強まりつつあるんじやないか、こう考えておりますけれども、今のところ政府としては、それを強制するというふうなことは言つておりません、とにかく業界において自主的に話合つて、一本になつて、できるだけ早く意見をまとめて来るようにということを慫慂しておるような状態であります。
なお鮭鱒につきましては、沿岸の漁撈を行うところの船の方は、これもまた北海道のほか、東北、北陸の各県に経験者がおるわけでございます。それらの人々がやはり一つの団体を形成して、各府県に散らばつている関係からして、今まで母船の経験のある大きな業者の方と一本になつて、内部で協議し合つて、船の隻数はどのくらいで、母船としては何トンぐらいのものが適当か、これもやはり半試験的な意味を持ちますので、あるいは三千トン級と千トン級でどちらの方が成績がよいか、あるいは生産されたものも一部は、やはりますのようなものは冷凍してカン詰に持つて行つた方が、内地の市価を売りくずさないし、また外貨の獲得という点でも大いに国民経済に貢献しますから、そういうやり方をやるとか、そういうふうな、ある程度企業的な面において、できるだけ関係業界の創意を生かして進めて行くことが、いかに試験とはいえ、これは一つの企業でございますから、いいのではないかということで、そういうような点についても関係業界の方で話合つて、意見をまとめて持つて来るようにということで、慫慂しておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/16
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017・林好次
○林(好)委員 大体わかりましたけれども、要するに、かにと鮭鱒と一本にして許可する御方針でありますか。かにと鮭鱒を切り離して許可をする御方針でありますか。これを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/17
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018・鹽見友之助
○鹽見政府委員 その点については意見はいろいろあつたわけでございす。かににつきましては、かなり母船が中心であつて、操業の形態は、母船の指揮系統下において川崎船その他を利用しまして、企業するという形態で、母船に非常に重点が置かれる。それから鮭鱒につきましては、とる方は独航船にかなり重点が置かれて、独航船の重みというものは母船に対して相当な比重を占めるという関係もありまするので、企業の形体からいうと、これは別々に企業して十分やつて行けるものでもあるし、その方が能率がいいということは考えられるわけであります。
それからもう一つは、かにの方は過去の実績等から見ますると、初年度は黒が出得る可能性はあると考えられます。鮭鱒の方は、先ほども申し上げましたような状態で、そう安定した漁場ではないし、これはあるいは赤を出すかもわからないという可能性があるわけでございます。これがやはり一つの企業として行われる場合には、鮭鱒の方で赤が出るということになりますると、独航船等においては、場合によると危険を冒して、操業区域その他の法を破つて、いい所へ出て行かないとも言えない。こういうふうな危険性も感ぜられるわけであります。やはり鮭鱒の方はかなり試験的な意味が多いわけでありますから、かにの方で黒が出得るものならば、それを鮭鱒の方へ幾分でも——鮭鱒の方が今後開発するための試験的な操業という性質が重いものでありますから、まわせるようにすれば、北洋の開発としてはともども並行しながら進め得るのではないか、こういうふうな問題もあります。そういう意味から、かにと鮭鱒とは一本にして行くというふうな考え方もあるわけでございますけれども、これはそういうような形をとらないで、別の形であつても、かにの方のある程度の黒字を鮭鱒の方の、試験的な、調査的な方へまわせるような形が考えられるならば、必ずしも一本の企業体にならなくともいいのではないかと、今は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/18
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019・松田鐵藏
○松田委員 ただいま林君の質問に対して長官から御答弁になつており、また前の委員会で永田君からの質問に対して御答弁になつており、当初私も質問したときにおいて、長官からも御答弁になつておつて、大体水産庁の行き方というものに対しては、われわれは了承して、おまかせをしておつたのでありまするが、時期がだんだん逼迫すると同時に、いろいろな情報が入つておるのでありましてこれらについて私どもも水産庁当局に対する協力をする意味において、寄り寄り懇談をしておりますが、いまだ表面に立つてこの問題をわれわれが論議したことはないのであります。幸いにしてきよう石原委員より、本日議員連盟によつてこの問題を論議してみようじやないかという通知を受けまして、午後になつてから衆参両院の議員が集まり、この問題を、水産庁に対する協力をする意味合いにおいて論議してみようということになつておるのであります。大体きようどこまでも水産庁に対する協力の意味のわれわれ議員連盟の意見をまとめたいという考え方でありますから、そう御了承を願いますと同時に、委員長においてしかるべく明日北洋漁業問題に対する委員会を開いていただきたい、かように私はお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/19
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020・川村善八郎
○川村委員長 松田君の発言中、委員長に対する御要望がありますので、この委員会が済みましてからよく会議をして、できるだけ松田君の御要望におこたえ申し上げたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/20
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021・永田節
○永田委員 私は水産庁にちよつとお伺いしたいのですが、昨年来魚価維持対策という目的のもとに見返り資金高度利用というふうなことから端を発しまして、陸上施設の冷凍、冷蔵に対して農林の特融が行われて参つておりますが、この問題について全国的に考えてみますと、たまたまその専業主体として県漁連で行う場合があるのであります。單協に出資を求めまして県漁連が中心になつて、所要の地に冷凍、冷蔵の施設を行う、言いかえれば県漁連の資本を単協に求めるというふうなことからたまたま紛糾を来して、われわれ水産常任委員としても、しばしばこの問題について、水産権力の地方分権という趣旨からいいましても、さらにまた單協の育成という面から行きましても、最も公正妥当に指導して参つたのであります。これにつきましても、水産庁もわれわれの趣旨と同様方針で今日まで参られたことと思うのでございます。ところがここに一つの問題があるのであります。すなわち鹿兒島県でございますが、鹿児島県は鹿兒島市に日冷とかあるいは中川というふうな既存の冷凍、冷蔵施設がございます。そこの製氷の率というものも、すでにかなり過剰の生産に移行しつつあると承つておるのでありますが、たまたまかような趣旨からして、県漁連に農林の特別融資の金が使われるということを奇貨といたしまして、各單協に呼びかけて出資をさしておる、こういいう実例がある。この単協おのおの災害によりまして、資本的にたいへん行き詰まつておる。しかるに今回の漁業権証券の資金化という面から、この資金化になるべき見返りの漁業権証券をそのまま出資として吸収しておる。吸収された方では、災害で財政的に困難な状態に、さらに行き詰まりを来して混乱に陷つておるという例があるのでありますが、これに対して、すでに水産庁では融資を決定したらしいというふうな情報をわれわれは受取つておるのでありますが、もし融資が決定しておるとしたならば、私がただいま御質問申し上げた内容について、後日数字をもつてお答え願いたいと思いますし、融資が決定しておらないならば、一応私が申し上げたことに基きまして、水産庁は大いに善処していただきたいと思うのであります。これに対して長官の御答弁を簡単に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/21
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022・松田鐵藏
○松田委員 関連して……。ただいま永田委員から、鹿児島漁連に対する特融についての御発言がありましたが、私それに対して補足的な意味で質問をしたいと思うのであります。
ただいま永田委員のおつしやるように、あそこには既設の業者があり、その業者が大体において需要を満しておる、こういうような水産庁に対する陳情と私どもに対する陳情があるのでありまして、その陳情のリストをよく調査いたしまして、飽和状態にならないようにして行かなければ、既存の企業がもし破綻するようなことがあつたならば、小さくても日本経済の破綻になる憂いがあるというので、われわれも愼重にこれを調査したのであります。そしてこの調査の結果、水産庁も役人を派遣してその調査に乗り出したのでありますが、せいぜい十トンぐらいのことであつたならば製氷をやつてもいいのじやないかという意見が水産庁の調査の結果現われて来たのであります。ところがたまたまキテイ台風の襲うところとなつて、当初は単協もこれに賛同したのでありましたが、その後單協としては、そこに出資をしてまでやる能力がない、まことに困つたものだという反対の意見が、有力な協同組合から相差たので、われわれにまた陳情が参つたのでありまして、もし連合会でやるのであつたならば、われわれは自分の協同組合でもつてやりたい、その場合においてはもつと出資をしてやりたい、要するに單協の育成強化が成立つて初めて漁業協同組合連合会の経済が成立つものである。しかして連合会は企業団体ではないんだ、どこまでも指導団体でなければならないのに、單協がやろうと考えておるものを、利益をとるために連合会がやるということはまことに困るのである。自分らの冷蔵庫もこわれているので、これを幾分修理すると同時に製氷をやれば、その單協の育成強化ということは非常によく成立つものである。しかも一番氷を使うのは自分らの漁港である。こういう意味から、あそこへやつてもらつては困るという反対の意見が出たのであります。その点に対してわれわれは、連合会でやることが是か、軍協がやることが是か、また單協においても別な出資をすることはでき得ない。しかし将来あらゆることに対して権力をもつて、もし言うことを聞かなかつたならば、君らの軍協に対する育成強化を暗に阻害するという言を使つて、当初の決議を尊重しろと強要した、こういうようなことであつて、実際において困つたものでないかということであつたのでありまして、この問題は二、三回委員会でも論議されて、水産庁においては十分調査をして、委員会に対して報告をした後でなければやらないという意思表示をされておつたのであります。ところが地元からいよいよ連合会が決定したのであるから、これでは自分らの方にも影響があるし、また自分ら單協自体も出資を強要されて払わなければならないのであつて、こんなことでは困るという陳情が頻繁としてやつて来ているのであります。大体水産庁の長官は新任でありまして、その内容はよくおわかりにならぬ。また協同組合課長も新しくかわつておるのでわからないのでありますが、前の次長なり松任谷部長なりはよくこのことを認識されておつたのでありまして、たまたまこういう問題でいままたわれわれの方に陳情が頻繁に参つているので、実に困つているような次第なんでありまして、でき得るならばこしらえてやりたいし、単協にもよく話を聞かして、調整をしてやりたいと考えているものではありますけれども、水産庁はそういう調査をされていたのか、またわれわれの委員会にそういう発言があつたのに対して、その後において何らお話もなかつたのであります。われわれはこんな小さな問題をとやかくするものではありませんが、先日論議されたまき網の問題なんかも、結局は地方問題がからまるものであつて、あらゆる水産庁の行政に対して、われわれができ得るだけ協力して行こうという態勢から、法案はきまつたからといつてかつてにやつては困る、一応話していただきたいということで、すべての点が円滑に今日まで来ているような次第であります。こういうようなことで、円滑にすべてのものを運ぶ上においての段階としてこの問題が論議されておつたのであります。こういう点を長官においては十分御留意になつて、そうして水産庁として話合いのつく場合においてはつけてやるべきであり、またわれわれ委員会がこういう問題に対して、どのような方法でもわれわれが利用——と言えば語弊があるかもしれませんけれども、協力をすることによつて円滑になるのであれば、どんなことでも惜まないと考えているものであります。また一例を考えれば、越佐海峡の問題しかりであります。かような点からいつて、どこまでも水産行政に対してあらゆる協力を惜むものではないという観点から、こういう問題を調整して、話合いの上よく理解のできる方法を講じて行きたいというのがわれわれの意思であるのでありまして、ただいまの永田委員のおつしやることも同様なのであります。ただそのときはこうするのだ、こういうように協議してよく調べるのだといつて、抜打的に一方的にやられると、あとから問題が出て来るというようなことを私は非常に心配するものでありまして、この点に対して水産庁はどうお考えになつておるか。もし決定されたのならば、單協の意見をもう一度お聞き合せになつて、その間補償なら補償になつて、調整をする方法を考えていただかなければならないのじやないかという考え方を持つておるものであります。長官の御答弁をお願いしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/22
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023・鹽見友之助
○鹽見政府委員 ただいまの問題は具体的な問題で、私まだ詳細によく聞いておりませんので、よく取調べました上で御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/23
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024・二階堂進
○二階堂委員 ただいま鹿児島の県漁連の製氷の問題が松田議員から御発言がありましたが、私地元であります関係から、一言意見を申し述べてみたいと思います。
この問題は非常に地方的な問題でありまして、大きく取上げらるべき問題ではないかとも考えられるのでありますけれども、しかしながら漁業改革に伴つて單協育成、あるいは今後の漁業育成等の観点から、大きな国家の長期資金が、この育成のために使われるということになつて、昨年も相当な金が冷凍、冷蔵の設備に使われたわけであります。なお二十七年度におきましても、多額の金がこの方面に使用されるということになるわけでありますが、私どもはこの貴重なる莫大なる国家の金が、漁業協同組合の育成、あるいは水産の振興に、ほんとうにりつぱなる目的のために使われるということを念願しておるのであります。かような観点から、これらの金の使途が以上述べましたような目的のために、正しく使われるということを考えて鹿兒島の問題を考えるとき、私地元の議員といたしまして、この金が県漁連のために、あるいは鹿兒島県水産開発のために、正しく使われるということを念願するものでありますけれども、先ほど松田議員からもいろいろ話がありました通り、地元かれいろいろな陳情が参つておるのであります。県漁連といたしましては、地元の單協が一致してこの製氷設備をつくりたいという陳情が参つておりますが、なおそれに並行しまして單協の方でも、必ずしもこの県漁連の考え方に賛意をするものではない、こういう意見も陳情も参つておるのであります。一方県漁連の意見を聞くと、一致してこれらの設備をつくつてもらいたいという意見があるように聞えますけれども、また一方におきましては、氷の需給関係等も必ずしも不足していないのである。あるいはまた過ぐるルース台風において非常な災害を受けた單協の強化こそ目下の急務ではないか。この弱つた單協に出資をさせて、県漁連の方から出資を命令といいますか、強制的にやらせてつくり上げるということについては、有力なる單協の方からも反対の意見が出て来ておるのであります。なおまた既設の会社の方からも参つておりますが、こういうような陳情が来ておりますので、私ども委員会におきましても、單に鹿児島のみならず、北海道やその他の県漁連がやつておるようなこうした設備を二、三回問題に取上げて、いろいろ議論を重ねておつたのでありますが、最近鹿児島の県漁連の融資の問題も決定したかのごとくに私どもは承つておるのであります。委員会におきまして今まで申し上げましたように、いろいろ問題にしておりましたので、水産庁当局といたされましても、十分地元の実態を調査されて、そうして、もしかりに県漁連がこれを取上げて製氷設備をやつたとした場合に、はたして将来これが経営が十分に成り立つて行くか、あるいは鹿兒島の水産開発のためにほんとうに貴重な金が生きて行くかということも、十分なる見通しをつけて、融資決定をなされたものであるかどうか、私どもはかように生きて行くを念願しておるものの、もし県漁連が多額の金を単協からも出資させ、また長期の貴重な金を使つてでき上つた製氷の事業が、万一成り立たない場合においては、その負担というものを零細な鹿児島の漁民が負うことは明らかであります。かようなことになつては、私どもはほんとうの金の使途の目的から考えて、結果において逆な効果を生むのではないかということをおそれるのであります。こういうような実態を十分に調査されて、見通しをつけた上で融資の決定をさるべきが当然ではないかと思うのでありますが、二十七年度におきましても、相当な金が各地方に流れて行きますので、こういう点を十分調査をされて、今後の融資の決定をしていただきたい。
なおまた松田委員からも申入れがありました通りに、水産庁当局とされまして、鹿児島の実態を十分調査されて、これなら間違いがないという確信を持つて融資されたかどうかということの報告を、一応後日承りたいと考えるのであります。もしかりにそういう確信がないということでございましたならば、一応私どもの方からも実態の調査をいたしてみたいと考えておりますし、なおさらに水産庁の方からも、もう一度実態の調査をされまして、ほんもうに確信をつけた融資の御決定を願いたい、かようにお願い申し上げるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/24
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025・川端佳夫
○川端委員 明日も委員会が開かれるかもわかりませんが、北洋漁業の問題が当面の重要問題でありますから、私は二、三問題を控えておりまするが、この機会に一つだけ地元の問題を、正式にこの委員会を通じて水産庁長官に申し上げて、御考慮を願いたいと思います。それは高知県と愛媛県との県境を中心にいたしまする宿毛湾におきまする入会の紛争であります。これは期間を区切りましての契約が繰返されまして、昭和二十五年から二十七年末までの契約が正式にあるにもかかわらず、両県間におきましては、漁業法の制定を境にいたしまして、この契約の効力があるかないかというような、実に平凡な話で感情的な対立をいたしているのであります。そこに介在いたしまして、保安庁が愛媛県の出漁の連中を盛んに取締りまして、一方的に検挙を進められている実情でありまして、宿毛湾の漁場におきましては、非常な紛争をいたしているのでありまするが、これは日一日と熾烈化いたしておりまする現状から、私はこの委員会を通じまして、正式に水産庁長官にこの件の調査を願いたい。かつ所管の水産庁から保安庁に、われわれはこの取締りが一方的に偏していると断定せざるを得ないので、この点のお確かめを願いたいと思います。これは答弁はいりませんが、さつそく保安庁に向つて、この実情をお確かめ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/25
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026・川村善八郎
○川村委員長 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304562X01119520218/26
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