1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年二月五日(火曜日)
午後一時三十五分開議
出席委員
委員長 佐藤 重遠君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
理事 佐久間 徹君 理事 内藤 友明君
淺香 忠雄君 大上 司君
川野 芳滿君 島村 一郎君
苫米地英俊君 三宅 則義君
宮幡 靖君 宮腰 喜助君
深澤 義守君
出席政府委員
大蔵政務次官 西村 直己君
大蔵事務官
(銀行局長) 河野 通一君
委員外の出席者
国民金融公庫総
裁 櫛田 光男君
專 門 員 椎木 文也君
專 門 員 黒田 久太君
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本日の会議に付した事件
国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二三号)
開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源
に充てるための一般会計からする繰入金に関す
る法律案(内閣提出第二七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
昨四日、本委員会に付託に相なりました開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたしまして、まず政府当局より提案趣旨の説明を聽取いたします。西村大蔵政務次官。
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開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案
開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律
1 政府は、開拓者資金融通法(昭和二十二年法律第六号)第一條の規定により貸し付ける貸付金の財源に充てるため、昭和二十七年度において一般会計から、十五億三千百二十一万円を限り、開拓者資金融通特別会計に繰り入れることができる。
2 政府は、前項の規定による繰入金については、後日開拓者資金融通特別会計から、その繰入金に相当する金額に達するまでの金額を、予算の定めるところにより、一般会計に繰り入れなければならない。
附 則
この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/1
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002・西村直己
○西村(直)政府委員 ただいま議題となりました開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
開拓者資金融通法による農地の開拓者に対する資金の貸付に関する歳入歳出につきましては、開拓者資金融通特別会計を設けまして、これを経理いたしておりますが、同特別会計法におきましては、この開拓者に対する貸付金の財源は、同会計の負担において発行する公債または借入金によつて調達することになづでおります。しかしながら、このような公債または借入金によりますことは、健全財政の見地から妥当でないものと考えられますので、昭和二十四年度以降におきましては、引続き一般会計からの繰入金をもつてその財源に充てて参つておるのでございます。昭和二十七年度におきましては、十五億三千百二十一万円の開拓者資金の貸付を予定いたしておりますので、これに相当する金額を一般会計からこの会計に繰入れまして、貸付金の財源に充てることとするために、この法律案を提出した次第でありまして
一方ごの金額は明年度予算に計上されておるのでございます。
なおこの繰入金は、将来貸付金がこの会計に償還されました際に、その繰入額に相当する金額に達するまで、予算の定めるところによりましで、この会計から一般会計へ繰りもどすことといたしております。
以上がこの法律案の提出の理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/2
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003・佐藤重遠
○佐藤委員長 本法案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/3
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004・佐藤重遠
○佐藤委員長 次に、前会におきまして提案趣旨の説明を聴取いたしました国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。
本案に対する質疑に入ります前に、まず先般来新聞等にも掲載されました国民金融公庫の不始末事件について、同公庫総裁より釈明のため発言を求められでおりますので、この際これを許します。国民金融公庫総勢櫛田光男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/4
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005・櫛田光男
○櫛田説明員 私国民金融公庫の櫛田でございます。昨年五月公庫の内部におきまして、私の部下が不始末をいたしましたので、この機会にお許しを得まして、皆様におわびを申し上げたいと存ずる次第であります。
私ども国民金融公庫を預かつております者といたしまして、かねてからかがることのないように気をつけて参つたのでありますが、遂に数名の者が不幸にしてお客様から金品の贈與を受けておりまして、それが遂に司直の手を煩わすようなことに相なりました一公庫の性格の上から申しましても、またその使命にかんがみましても、まことに申訳ない次第でございまして、その動機なり事情なりがいかようでありましても、またその金額も大した金額ではないのでありますけれども、たとい一銭一厘でありましても、お客様方からかくのごときものをいただくようなことは、どんなことがありましても許し得ないことでありまして何とおわびを申し上げてよろしいか、監督の不行届きその他の点につきまして、ここにくれぐれもおわびを申し上げる次第であります。私ども今後はこれを機会といたしまして、あるいは人事の刷新において、あるいは業務のより厳正公正なる運営において、万遺憾なきを期したいと思いまして人事もある程度刷新いたし、また部内の監察といいますか、そういう点につきましても遺憾なきを期したく、昨年末以来いろいろ手を講じて参つたのでありますが、どうぞこれらのところをとくとおくみとりくださいまして、御了承くださいますようお願い申し上げる次第であります。
なおお客様方からかように金品をいただきましたその貸付自体につきましては、いずれも回收成績が良好なものばかりでありまして、滞りとか、そういうことになつておりません。不良貸付と認むべきものが一つもないのが、まあ何と申しますか、せめてものことだと存じております。何と申し上げてもおわびのしようもないほど不始末をしでかしましたことを、重ねておわび申し上げまして、御了承をお願いいたしたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/5
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006・奧村又十郎
○奧村委員 近来いろいろな金融機関において、この種の事件が頻発しておりまして、われわれは商工中央金庫においても、非常に乱脈をきわめているというようなことを、新聞報道で承つているので、国民金融公庫においては、ただいま総裁の言われるように、その性格と使命からして、かようなことがあつたのでは、これほど遺憾なことはないと思つておつたところ、実は新聞記事を見て、われわれも非常に遺憾に存じたのであります。しかしただいまの総裁の心からの反省と真心をくみとつて、われわれも了とするのでありますけれども、もう一歩進めて、今後かようなことのないようにぜひしていただかなければならぬが、それについては、なぜさような事件が起つたかという根底をよほどここで突きとめてまずその根源をなくして行かなければならぬ、こういうような考えから、二、三お尋ねをいたしたいと思うのでございます。
まずあらゆる金融機関に、その貸出しめ決定をさせるために、今日いろいろな誘惑の手が延びているということは、われわれも承知しおります。普通の市中銀行などでは、金品の贈與などは、これは普通のことのように取扱われている。ただ国民金融公庫の性格と使命からして特に遺憾と思うのであるが、この国民金融公庫にもそういう誘惑の手がいかに多く延びているかということは、われわれも相当想像している。これに対して今日まで国民金融公庫は、この間の事件までは何の失敗もなかつたということは、まことにわれわれも強く思つておつたのであるが、そこでこの事件の起つた原因としてどういう誘惑があるか。また誘惑に対して今後これを拒み得るだけの、公庫として職員に対する処置が行われているか。われわれ大蔵委員会として特に前国会以来——前国会どころではない。前々国会あるいは一昨年度以来、何とか公庫の職員の待遇身分を、もう少し向上したいということを念願しておつたのであるが、われわれの力足らずしてまだこれは実現しておらぬ。従つてこの職員の待遇があまりに低過ぎるがために、つい誘惑にかかりやすい。ここが原因ではなかろうかと思うのでありますが、これに対しての処置をお考えにならずして、おそらく総裁としても、今後かようなことは絶対にないということは断言できないだろう。それでこの事件についてもう一歩進んでどういう原因であつたか、またこれに対して今後絶対にそういうことがないとするについては、どういうような処置を行つた上においてそういう確信が持てるか、その点をひとつお話願いたい。われわれもまたできるならば、ひとつそういう根因をなくする、ために努力したい、こういう意味からお尋ねいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/6
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007・櫛田光男
○櫛田説明員 まことに御同情にあふれたお言葉を拝聴いたして、ありがたくまた恐縮千万に存じております。やはり金融という仕事をいたしておりますると、ことに昨今のような金詰まりの情勢でありますると、お客様方の中には、あるいはいかなる手段を講じても、何とかして金を借りたいという人がおるようであります。いろいろな意味で金品を持つて来るようなことになつたのだろうと思います。私どもといたしましては、かかることがお客様方の方にありましても、絶対にこれをお断りすればけつこうなのであります。ただいまおつしやいました給與の点でありますが、この点につきましては、かねてから皆様方からも、たいへん御同情のあるいろいろな御処置をいただいておりまして、常に感激いたしておるのであります。何分にもまだ国家公務員と同じ待遇にありまする関係上、いろいろな意味で他の金融機関等と比較いたしますと、きわめて低い給與に甘んじておりますことは事実であります。また仕事の量からいいましても、毎日、毎月お客様方がふえる一方でありますので、非常な劇務に全体が携わつておることも事実でありますが、ただ給與が悪いからと申しますことは、本件に関する限りは、私からは何とも申し上げにくいことでありまして要するに当該職員のモラルの問題と申しますか、心構えの問題と申しますか、そういう点に帰すべき点が多いと存じます。私どもといたしましては、もちろん給與なり待遇なりの面におきまして、職場全体がもつと伸びのびとできるようなことになりますれば、これに越したことはないのでありまして、かねがねから望んでおることではございますが、今度の件につきましては、要するに職員の一部において、何と申しますか、事柄になれてあるいはたがのゆるんだところがあつたのではないか。従つて今後においては、やはりそういつた面において、もつともつとお互いに戒め合い励まし合うと申しますか、結局職員全体がこれを機会に一つの心になつて、二度とこういうことを起すまい——先程申し落したのでありますが、昨年の暮れ以来、職員全体の中にこの綱紀問題に対する運動を起しておるのでありまして、お互いに戒め合つて二度とかかることを起すまい、また国民金融公庫としての信用を、何とかして回復してこれを高めて行きたいと、これに全力を盡そうということを誓い合つておる次第でありましたが、私といたしましては、できる限りの手段を講じまして、二度とかかる不祥事を起さないように、お互いに戒め合い励まし合つて、この尊い仕事をやらしていただきたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/7
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008・奧村又十郎
○奧村委員 それでは、公庫の予算も、出ておりますが、職員の方が規定の勤務の時間を非常に超過して勤務しておられる。そういうことをよく承るのでありますが、最近の勤務の状況と、その超過した勤務に対しては、特に超勤手当その他の方法が十分に講じられておるか。公務員としての待遇は今のところやむを得ないとしても、せめて超勤手当あるいは出張した場合の旅費、こういうものについては予算に縛られて不十分になつていないかどうか。その点をひとつお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/8
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009・櫛田光男
○櫛田説明員 勤務の状況は、昨年は年末でもありましたし、非常に過重とでも申しますか、大体調査に担当いたします連中は、家にまで持ち帰りまして調書を書くというようなことでありました。大体十二時近くまで仕事をしておるのが、平日のように続いたかと存じます。超過勤務手当、旅費につきましては、いずれも公務員といたしましてそれぞれ基準がございます。その基準に従いまして予算の範囲内においてこれを支拂つております。現在までのところは超勤にいたしましても、残りました方々の職員に対しましては全部これを拂つております。ただこの調子で行きますと、年度末に若干不足するかとも存じますが、それについては予備費が若干ございますので、主計局の方と相談いたしまして、何とかして都合がつかないかということで、御相談をいたしておるのでございます。今までのところは起動手当は、規定の公務員として受くべきものは拂つております。また旅費も規定によるものでありまして、金額は少いのであります。私の感じでは、規定の旅費ではあるいは実費弁償のところまでも行かないのではないかと思いますが、その程度で拂つておるような状態でございます。その程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/9
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010・奧村又十郎
○奧村委員 もう一つお尋ねしたいのは、東京都内における貸付は、業務部一本でやつておられるように承知しておりますが、小口の貸付、厖大な仕事量をあのわずか一つの業務部でやつて行く。そこに無理があるのではないか。支所で言うならば、十以上の支所を一つの業務部でやつておる。従つて業務部長などの責任者の目が届かぬことになりはしないか。こういう仕事の上からの無理と、それからまた借りる方の側からいえば、一々新同時まで行かなければならぬ。これは都内として非常に不便であつて、せめて都内に五つくらいはほしいというのはずいぶん前からの要望であるが、あまりに一つにまとめ過ぎて仕事に無理がかかつて来る、こういう点に今回の事件の原因がありはしないか、こう思うのですが、それに対するお考えなり、また今後の対策を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/10
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011・櫛田光男
○櫛田説明員 東京におきまする申込みなり貸付の状況は、全国の大体二割五分、三割近くを占めておるような状況でございます。おつしやる通り、ただいまのところ新川時にある業務部一本でもつて、貸出しをやつておりますということ自体が、たいへんにかさみまして無理でありますことは、御指摘の通りであります。従来からもできるだけ早く支所を東京都内に別に設けたいと、計画はいたしておりましたのですが、何分にもまだ支所の設置を見ません県が、全国に七つも残つておるような状況でございます。そういつたような県の方をまず先につくりましてと思いまして、延びのびになつて参つたようなことで、今回のいろいろなことも、そういつたところにも一つの原因があるかもしれません。たいへんに恐縮に存じております。来年度二十七年度におきましては、今のところ東京都内に二つの支所を置くという予定をもつて、全体において十箇所になります。各今までありませんでした県、それから東京に新しく支所を二つ、合計いたしまして十箇所の支所設置の予定を立てております。一応予算の方もそういうぐあいに組んでありますような次第でございます。できる限り早く、せめて一つだけでも新年度早々できますように、今せつかくその場所とか土地であるとかあるいは建物とかいうものを、懸命に探しておるような状態であります。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/11
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012・佐藤重遠
○佐藤委員長 佐久間君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/12
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013・佐久間徹
○佐久間委員 奥村君から質問がございましたが、私は別の観点からひとつお尋ね申し上げたいと思うのであります。
この国民金融公庫の発足は、国民大衆の生活の再建、あるいは経済の復興に寄與しようという、国家のあたたかい気持で発足しておることは、申すまでもないことでございまするが、それだけにその責任が非常に重い。相手方というものは、一般金融機関から融資を受けることのできないような零細なものを、対象としておるわけであります。従いまして、この扱いについては、相当考えて行くべきであると思うのでありますが、私の関知しておる限りにおきましては、実は非常にその当時遺憾な点があつたように考えておるのであります。これを分析して考えてみたいと思つて、御質問するわけでございまするけれども、かつて私はある業者から、実は申込みをしたのであるけれども、ちよつと簡單な調査があつただけで拒否された。そこでどこが悪いかひとつ指示をしていただいて、早くそれを改善して、やがて貸付を受けるような段階に行きたいと思うので、公庫へ参りまして質問いたしましたところが、そういうことは教えるわけには行かぬと、けんもほろろのあいさつであつた。それでどうしていいかわからない。そこでひとつ聞いてもらえないだろうかということでございまして、私はなるほどそれは公庫として、この点が悪いから早く改善をしたらどうかというくらいのことは、言つてしかるべきではないかというように考えたものですから、私が参るということもどうかと思うので、実は私の秘書をさし向けたわけであります。ところがそのときの係の人の話では、大臣が来ようが代議士が来ようが、秘密に属する事項を言うわけには参らぬと、非常に強硬に断つた。そこで秘書は帰つて来て、実はこれこれこういう話でございます、こういうので、私も実は憤慨したわけでありまして、それから私が出て行きまして、自分が参つたのだが、その内容を一部でも改善すべきところを指摘してもらいたいということを申したようなわけでありますが、そのときに私は考えた。これは相当そういつたような方面の政治的圧迫が、そういうような考えを係に起さしめるようにしたのではないかというような気持が、多分に私はしたのですが、そういうことが今まであるかどうか。この点をひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/13
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014・櫛田光男
○櫛田説明員 私どもの公庫の貸出しにつきまして、何か政治的圧迫というようなことがあるかどうかというお話でございますが、これは公庫法の本旨にのつとりまして、私ども円滑に業務を営んで参りますことを念といたしておりますもので、さようなことはございませんと、責任をもつて申し上げ得ると存じます。なおただいま御指摘になりました事実につきましては、まことに相済みませんでしたとおわび申し上げるよりほかございません。かねがね申し上げておりますように、私どもの仕事のやり方といたしましては、結局国から大事な資金をお預かりいたしまして、これをよいお客様にお使い願うことが念願でございます。従いまして私どもの貸付の仕事は、お客さんと私どもの共同事業だという観念でやつております。従いましてお断りいたしたような場合におきましても、どういうところが悪いのであるから、こういう点を二、三箇月あるいは半年の間にお直しくださきるならば、また御相談に応ずることができるはずですということを、よく御納得の行くように御説明申し上げるようにということを、かねがねから申しておつたわけでございますが、その趣旨が徹底いたしませんで、おしかりを受けるような事態がありましたことは、ここでおわび申し上げ、今後かかることのないように、ますます気をつけて職員を指導して行きたいと思います。ごかんべんを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/14
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015・佐久間徹
○佐久間委員 総裁としては非常に謙虚な気持でお答えいただいて、私もお気持に対しては十分御同情申し上げる次第であります。そこで私はその問題を扱うにつきまして、同僚諸君に、どうも公庫のあり方について——私は初めて行つたわけでありますし、一ぺんしか会つておりませんから、よく事情はわかりませんけれども、自分の観察から見て、これははなはだおもしろくないということを漏らしたのでありますが、なおもう一つ、私はいまだに非常に不愉快に思つていることがあります。それはちようど私が参つたときに、会計検査院が検査に来ておつた。私が名刺を出したところが、受付では、きようはだれにも会わないということを言つておる。どういうわけだと言つたところが、会計検査院の検査だ。会計検査院が来れば、店はあけているけれどもだれにも会わないと言う。そういうことになると、それは検査が営業を妨害することになるじやないか。そんな会計検査院があつてたまるかという考えも起きたわけであります。いやしくも店をあけている以上は、営業を行つて行くのが先である、こういうわけで、検査に対してそれほどおびえなければならぬということであるならば、そこに何かあるのじやないかというような気持を抱かせるわけでありまして、非常にその点は遺憾であつた、こう私は考えておつたのでありますが、それで私は同僚諸君とそういう話をしておつた。どうも公庫のあり方について、あの扱いは満足にわれわれが考えておるような方向には行つていないのじやないかということを話して、まだ二週間もたたないうちに、新聞にあの問題が出て来た。ですから茶のみ話にわれわれが言つたわけです。どうだ、二週間も前にぼくはもうあのことを予期した。あの態度ではうまく行かないというようなことを言つて、鼻高々に話したことでございましたが、多少そういう点にも、こういう問題が起る原因が胚胎しておつたのじやないか。思うに相手方は、まつたく金融機関にさえも相手にされないような零細な人たちで、知識もあるいは乏しい人たちかもしれない。そういう人たちが相手でありますから、政府がせつかく温情をもつてこの生活、なりわいというものを明るい方面に導こうとする気持、これをよく公庫は考えてこういう人たちの取扱いについては、今までのような、官のあり方のようた気持で臨んではいけないので、常に親切と、サービスと言つては語弊があるかもしれませんけれども、あたたかい気持でこれに接して行つてこそ、初めて一体となつて日本の再建に寄與して行くことができると思う。政治の面においては、こういうことをわれわれは明るくしようと思つて、これを発足させておるわけなんですが、今度これを受入れる方も、率直にこの気持を受入れていただきたい。その仲介をする公庫としては、両者の気持をよく考えてやるべきじやないかと思うのであります。総裁は非常に御苦労なさつており、大勢の中には悪い者も出て参りましよう。それについて肝胆を砕いておることは、よくわれわれにもわかつております。でございますから、総裁に対してどうこうということをわれわれは言うのではなくして、今後のあり方について、よくその点を考えながら、ひとつ指導していただくことができればいいと思うのでありますが、この点御了承を得ておきたいと思うのであります。
次にお尋ねしたいのは地方に今度支所——支所というのですか、それをお出しになりましたが、これが非常に物議の種になつておるということを、ひとつお考えおき願いたい。なぜというと、たとえばある都市に出した。人がおらない。それだけの設備ができておらない。店は開いたけれども人が足らない。従つてその都市だけしかその恩典に浴することができないような状態、他の都市からこれに申し込んでも、それに対してはどうすることもできない、そのままほつておく、こういうような今の状態にあるのであります。これはあなたの責任ではないかもしれない。むしろ予算の面その他で非常にこまかく押えられておるために、十分手足を伸ばすことができないためだろうと、私は考えておりますけれども、これでは一部の人だけしか、その恩典に浴することができないような状態でありますので、他の方面に不平が徐々に高まりつつあるということを考えたときに、せつかくやつたのがかえつてあだになるということも考えられるのであります。早くこれを改善いたしまして、万人に及ぼす方法を御考慮願いますことができまいか。それに対して何か支障があると思いますならば、この際率直に申していただくならば、われわれはできるだけの協力を惜しむものではないのであります。その点をこの際陳述せられてはどうか、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/15
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016・櫛田光男
○櫛田説明員 ただいまたいへんありがたい御注意でありました。支所の活動の点でございますが、法律上東京、福岡、北海道を除きましては、各府県に一つずつしか支所を置くことができない。それで各府県に一つずつ逐次置いて行つたわけでありますが、ただいまお話のございました予算の関係もございますし、また人員をふやすと申しましても、にわかに適材を求めることも困難でございます。だんだんと養成して行かなければなりません点もございまして、全体的にきわめて手不足であることは遺憾ながら事実でございます。のみならず最近も統計をとつてみたのでありますが、ただいま全国に一千人の職員がございます。二十四年の六月にスタートいたしましたときは五百六十人でございました。四百四十名の増員があつたのでありますが、その当時と現在とでは、今度は仕事の量の方面、申込みの関係から見てみますると、一人当り平均件数がふえているような状況でありまして、増員よりは申込みの方がふえておるという状況、仕事がやはり総体的にだんだんと重くなつて来ておる、こういう状況になりまして、何とかしてこの人手の点において、早く充実の点を講じなければ、十分にお客様方の需要に応ずることができない、御期待に沿えない状況になつておることを心配いたしております。ただこれは予算関係その他がありますので、逐次増強して参るといたしまして、当面のこういつた支所所在地以外の需要に対しましては、まず第一には代理所の活用ということが考えられるわけであります。現在相互銀行、信用金庫あるいは信用組合あるいは若干の銀行代理所は、全国で四百五十ほどございます。この方に御活躍を願いたいと存じまして、資金の割当につきましても大体新規資金は、従来は二割見当を代理所方面が扱つておりましたが、それを逐次ふやしまして、現在では三分の一見当、三割五分見当は代理所の方にお願いするというところまで、こぎ着けることができました。あと一つは数箇所の支所で実行いたしておることでございますが、出張貸付と申しまして、ある市なり町なりにおきまして、申込みが十なり二十なり集まりました際に、その支所から一週に一回ないし二回目をきめまして、係員が出まして御相談に応ずるという出張貸付を、最近数箇所の支所が実行いたしておりますが、これはお客様の御期待に沿うものと考えております。この点も十分研究いたしまして、広く拡げてみたいと考えている次第であります。大体こんなぐあいにいたしまして、基本は人手をもう少しふやすことが必要じやないか。これもせつかく計画を立てておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/16
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017・佐藤重遠
○佐藤委員長 深澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/17
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018・深澤義守
○深澤委員 国民金融公庫の不祥事件に対しましては、総裁も非常に責任を痛感されおるので、われわれもそれを了とするものでありますが、先ほども奥村君から言われたように、この国民金融公庫の運営という問題については、特に既存の金融機関に恵まれない下層の業者、あるいは営業者の金融をつかさどる関係上、非常に複雑多岐であるとは考えますが、しかしわれわれも全国各地でいろいろ巷間公庫の運営ついての意見を聞いているのであります。たまたま、この不祥事件が表面化して参つたのでありますが、しかしその原因というものはやはり一応突きとめて、どういうところにその原因があるかということを、明確にする必要があると思うのであります。総裁も先ほどの釈明の中で、その原因はいかんともあれ、というようなことを言われておつたわけでありますが、そういう事件が起つて来た原因というものには、無理からぬ事情があるやに私は受取つたのであります。総裁としてはこの問題の起つた根本原因はどこにあるのかということを、おそらく糾明されておると思うのでありますが、その点はいかように考えておられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/18
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019・櫛田光男
○櫛田説明員 お尋ねの原因の点であります。先ほども申し上げたのでありますが、あるいは給與の点といい、あるいは非常に肉体的に劇務であるとか、いろいろな点もあろうと思いますが、やはり私どもの立場といたしましては、職員の中にやはり事柄になれて来て、少したががゆるんで来たというようなところがあるのではないかと存ぜられまして、おわびを申し上げているような次第でございます。これをどうしても引締める。みなそろつて心を新たにして、ほんとうに公庫の使命に徹して御奉公しようじやないか。そういう決意を昨年末以来いたしまして、やつているような次第でございます。何と申しましても私はもう一度ふんどしをしめ直す、たがをびしやつとしめ直す、これが絶対の急務であると思つてやつている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/19
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020・深澤義守
○深澤委員 私がかつて四国に大蔵委員会の調査で参りましたときに、四国の公庫の職員諸君が切実な訴えをしておつたのであります。まつたく既存の金融機関の人々といろいろな折衝やおつき合いがあるのだが、自分たちはとてもできない。そうしてなお業務の上におきましても、出張調査をするというようなことも、実は旅費関係、予算関係に制約されてできないということを、痛切に訴えておつたのであります。どうもこういう他の金融機関の状態は、他の産業に比べて給與が非常にいいのであります。ところが国家公務員法によつて制約されている公庫の職員というものには、おのずから、その限度がありまして、その職務遂行というものが非常に十分に行かないような事情があるのではないか。そういうところにこうした事件発生の原因があるのではないかというぐあいに考えるのです。従つてこういう金融機関というものに対する給與問題、あるいは調査のための旅費の支給というような問題は、何か特別の方法を考えなくちやならぬというぐあいにわれわれは考えるのですが、監督機関である銀行局長あたりは、この問題をどういうぐあいにお考えになつておるか。この点をひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/20
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021・河野通一
○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。国民金融公庫の職員の給與の問題でありますが、この点につきましては、国民金融公庫の性格なりあるいは使命という点から見まして、一般の市中の金融機関と同じようなレベルに給與を持つて行くということの必要はないと私は思いますが、少くとも金融機関であります以上は、国家公務員と同じような待遇をして行くということは、必ずしも適当でないというように私は考えております。この問題につきましては、昨年来たびたび実は論議もされて参つておりますし、当委員会におかれましても、たびたびこの問題をお取上げいただいたのでありますが、いろいろな関係で実はいまだに実現するには至つておらないわけであります。今般国民金融公庫法の改正を御提案申し上げるにあたりましても、この問題を一応検討いたしたのでありますが、この問題を解決いたしまするには、いろいろな関係からまだ機が熟しておりませんので、今般も実はこの問題を取上げることを差控えまして、お手元に差上げてありますような、ごく簡單な改正法案として御提案申し上げた次第であります。今後情勢の推移を見ながら、国民金融公庫の職員の待遇の改善につきましては、できるだけ善処して参りたい、かように考える次第であります。なお先ほど来問題になつております旅費でありますとか、あるいは超過勤務手当というか、時間外の勤務に対する手当等に対しましては、規定の許します範囲内において必要なものについては十分に措置をして参るように、予算上あるいは行政上の善処をいたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/21
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022・深澤義守
○深澤委員 総裁にお伺いしたいのでありますが、代理所の問題であります。大体この代理所に取扱わせる資金量を、全体の二〇形くらいにするということで、非常に代理業務というものを重大に考えておるようでありますが、私の知つている範囲内においては、信用金庫、昔の信用組合、それから相互銀行、無蓋会社等がこの代理業務をやつているのでありますが、この資金が金庫の資金として、こういう制度が国家の方針としてあるのだということを、一般国民に知らせることはやつてないのであります。むしろ自分の業務の発展と運営のために、これを十分に役立てておるという傾向が強いのであります。こういうことでは、私は国民金融公庫の使命は十分に果されないと考えるのであります。従つて代理業務というものについて、もう少し考えられなければならない段階に来ているのではないかと考えるのでありますが、この代理業務の運営問題については、総裁はどういう御所見を持つておられるか。この点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/22
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023・櫛田光男
○櫛田説明員 全体といたしましては、支所の数といい、人手の数といい少いのでありますから、この小品金融に相当の経験を持つておる信用金庫、相互銀行を代理所といたしまして活用するほかはないというように考えておりますが、ただ、ただいま御指摘の通りに、信用金庫なり相互銀行なりの中には、私どもの仕事の趣旨等につきまして、まだ十分に御理解の行かないところがあるかも存じませんので、結局は代理所に対しまして、私どもの仕事の中身なりやり方なり趣旨なりをよく徹底していただきまして、私どもの仕事に御協力をお願いしなければならぬと存じております。今後とも代理所につきましては常時行き来いたしまして、大体毎月一回は報告をいただいておるようなわけでありますが、こちらの方からも出向きまして、また向うからも来ていただいて、仕事のやり方につきましてその趣旨がよく徹底いたしますように、よく話合いを今後とも続けて行こう、十分それが遂げられるようにやつて行こう、こういうぐあいに考えて今やつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/23
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024・深澤義守
○深澤委員 代理業務をやつているのか、いないのか、国民金融公庫の存在があるのかないのか、さつぱりわからないという事情が実はあるのであります。それはもちろん宣伝したために需要量があまり多くなつても、供給量が少いという関係上困ることはありましようが、しかし一応国民金融公庫の業務をやつているということを、その市民なり県民に対して知らせるくらいの義務はいると思う。私は山梨ですが、山梨の甲府でも三つの店が代理業務をやつております。ところが今まで市民や県民は、そんな仕事を信用金庫や相互銀行が引受けてやつているのか、いないのか、さつぱり知らないというのが実情であります。従つて十分需要量に応ずることはできないにしても、国民金融公庫の業務をやつているのであるということを一般に知らせ、そうして可能な範囲内においては、この国民金融公庫の金が利用できるのだということを知らせる必要があると思う。そういう対外的な宣伝、周知徹底の方はほとんどやつていないように、われわれは考えているわけですが、そういう点はやはり知らせる必要がある。そうして多くの需要者が要求いたしましても、十分に借りられないにいたしましても、やはり国民監視の中でこの運営をやつて行くことが必要であると私は考えております。ところが信用金庫なり相互銀行なりは、自分の業務の発展と拡張のためにこれを利用しておる。従つて従来の金庫なり相互銀行なりと結びついた者のみが、これを利用して行くという傾向が私は強いと思うが、これは国民金融公庫の趣旨に沿うものではない。従つて代理所を通じ、あるいは支所を通じて、国民に広く国民金融公庫の存在を知らせ、その中で代理業務なり支所の運営なりをやつて行くという方が、むしろ公正を期し得られるのではないか。現在の代理業務の中には、相当非難しなくてはならぬ運営の方法があるということを考えるわけであります。従つて一般に周知徹底させるという対外的な宣伝——もちろんあまり多く来ては困るのでありますが、とにかくやつておるのだという、存在を知らせるくらいの宣伝をやらせる必要があると思うのですが、そういう点についてはどういうぐあいの考えを持つておるか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/24
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025・櫛田光男
○櫛田説明員 先ほども申し上げましたように、代理所の中にまだ趣旨が徹底いたしませんことがございますことを、非常に私どもおそれております。できるだけ私どももこれを徹底するように努めたいと存じます。また代理所には全部公庫の代理店である、代理所であるという看板をかけること、それから窓口にもそういつた標識をすること、こういうことになつておりますが、それだけではその代理所に来られるお客さんのみしか知らないようなことになりましようから、ただいまお話のありました通り、どういう代理所がうちの仕事をやつているということを、広くお知らせするような方法を、御注意もありましたので考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/25
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026・佐藤重遠
○佐藤委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして散会いたします。次会は公報をもつて御通知申し上げます。
午後二時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X00719520205/26
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