1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月三十一日(土曜日)
午前十一時四十三分開議
出席委員
委員長 佐藤 重遠君
理事 小山 長規君 理事 佐久間 徹君
理事 三宅 則義君 理事 内藤 友明君
大上 司君 川野 芳滿君
島村 一郎君 高間 松吉君
苫米地英俊君 宮原幸三郎君
武藤 嘉一君 高田 富之君
出席政府委員
外国為替管理委
員会委員 大久保太三郎君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 佐藤 一郎君
大蔵事務官
(理財局長) 石田 正君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局管理課
長) 横山 正臣君
通商産業事務官
(通商振興局経
理部長) 石井由太郎君
専 門 員 椎木 文也君
専 門 員 黒田 久太君
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五月三十一日
委員奧村又十郎君辞任につき、その補欠として
川野芳滿君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一九八号)
外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律
案(内閣提出第二〇三号)
接收貴金属等の数量等の報告に関する法律案(
内閣提出第二三一号)
貴金属管理法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二九号)(参議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
貴金属管理法の一部を改正する法律案、緊要物資輸入基金特別会計法の一部を改正する法律案、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、及び接收貴金属等の数量等の報告に関する法律案の四法案を一括議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。三宅則義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/1
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002・三宅則義
○三宅(則)委員 貴金属管理法の一部を改正する法律案につきまして、貴金属は日本におきましても、講和が発効いたしました関係上、相当これを保有し得られるものと思いますが、在来のことを聞きますと、日本銀行にありましたものは接收されておりました関係上、日本に引渡しに相なると思つておりますが、最近正式にどのくらい引渡しになつておりますか。そのことについて、もしわかりましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/2
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003・石田正
○石田政府委員 これはお手元に配付いたしておきましたところの資料にもございますように、金が約百二トン、それから金、銀及び白金の合金といたしまして二十六トン、それから銀が二千三百六十五トン、白金が純一トン、それからダイヤモンドが十六万一千カラツト、こういうふうに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/3
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004・三宅則義
○三宅(則)委員 将来それに対しまして日本は管理するわけでありますが、民間からも、一応こういうものにつきましてはこれを買い入れるような用意がございましようか、承りたいと思います。民間に所有いたしておりまする貴金属等がありました場合におきましては、相当数量買い入れる用意がありましようか、それとも今後の発展上どういうふうにいたしますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/4
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005・石田正
○石田政府委員 この銀とそれから白金、それから金と、この三つが今政府といたしまして強制買上げと申しますか、そういう制度をとつているわけでございますが、銀につきましては需要供給の関係から申しまして逼迫いたしておりません。従いましてこれは統制からはずしたいと思つております。それから白金は非常に産額が微々たるものでございまして、従いまして統制の必要もないかと思いまするので、強制買上げはやめようと思つているわけでありますが、金につきましてはこれはまた別でございますので、依然統制を続けて参りたい、かように思つている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/5
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006・三宅則義
○三宅(則)委員 金に対しまして、いわゆる産金の奨励ということにつきましては、従来もあつたと思いまするが、今後はどういうふうな方針でもつて金の産出を増加せしめるような御用意がありますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/6
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007・石田正
○石田政府委員 金の産出助成につきましては、これは従来からいろいろ手を打つて来ておるのでありますが、今後におきましても同様な手を打つて行きたいと思つております。それからなお今度法案を提出いたしましたのは、従来は一オンス三十五ドルを基礎といたしたところの価格でなければならない、ということにしておつたのでございまするが、これを家庭用のストツクに充てますものと、それから産業用のものとわけまして、そうして産業用のものにつきましては、別の価格を出しまして——ということは少し高い値段にいたしましてやつて参りたい、こういうのがこの法案提出の理由でございまして、その結果といたしまして、従来よりも産金業者には少し歩合がよくなるというふうなことに相なろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/7
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008・三宅則義
○三宅(則)委員 これに関連いたしまして、接收貴金属の数量の報告の件でありますが、これはこの前から問題があつたことでありまして、それにつきまして、この正確な数量ということにつきましての報告は、多少食い違つておるということを聞いたわけです。これについて御報告があつたと思いまするが、一応もう一ぺん御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/8
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009・石田正
○石田政府委員 お話の点は新聞その他にいろいろと報道がありまして、その点についての御疑惑ではないかと思うのでございますが、二回ばかり間違つた報道が出まして、第一回は、日本銀行は百四十五トンくらいの金を持つておるのに対して、それだけの金が今度はないではないかというのでございますが、そこで四十五トンなくなつておるというような報道が出ました。これはしかし日本銀行が帳簿上持つておりますのは百四十五トンでありまするが、実際持つておりましたのは四十五トン少かつたものでありまして、その間の事情を知らないためにそういう誤報があつたかと思います。それから先ほど申しました百二トンという金の数字、これと、それからして他方政府及び日本銀行が持つておつたところの数量といたしまして、百八トンというような数字が出ましたのと照し合せまして、六トンばかりなくなつたのじやないかという報道があつたのでございますが、これは先ほど申し述べました通りに、二十六トンという中に金の合金があるのでございまして、その金の合金というものを故意に落して報道したということでございまして、あの報道自体といたしましては、間違つた考え方に基いているものと考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/9
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010・三宅則義
○三宅(則)委員 接收された貴金属でございますからして、当時の状況等を勘案いたしますと、日本の方では何らこれに対して発言権はなかつた、こういうようなわけでありますから、多少その辺に相違があると思います。しかし今度講和が発効になりました以上は、そうしたようなことは明細に両方の国で洗いまして、それの疑惑を解くという方針に出ていただきたいと思いますが、これについてどういうふうになつておりますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/10
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011・石田正
○石田政府委員 今回出しました法案は国内的な措置といたしまして、その点を国内の側におきまして明確にいたして行きたい、こういう法案でございます。それから対外関係につきましては、これは別段に法案を要せぬわけでありまして、われわれは今後努力いたしたい、かように思つている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/11
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012・三宅則義
○三宅(則)委員 これらに関連していることでありますが、私は深く研究したわけではありませんが、やはり為替ということとこれも関係があると思います。金の授受ということによつて将来の為替相場というものが限定されるかと思います。日本も将来は金をもつて売買の取引の対象とすることは、貨幣経済上当然だと思いますが、これについての政府の御方針を簡單に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/12
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013・石田正
○石田政府委員 お話の趣旨は、日本で金本位制を復活したらどうかということであろうと思います。金本位制を復活するということは望ましいことではあろうと思いますが、今の実情をもつてただちにそこまで飛躍すると申しますか、あるいは現実の問題とするのにはまだ遠い、かように考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/13
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014・三宅則義
○三宅(則)委員 将来のことを申しまして恐縮でありますが、日本といたしましても外国その他を勘案いたしまして——私の調査したところでは大体アメリカに相当たくさんな金が集まつておる、こういうことを聞いておりますが、今後の貿易の発展等によりまして、金の授受というものが将来起るべきものであろうかどうか。たとえば為替決済等によりまして、アメリカを中心にこれを預金しておいて決済するようになりましようか。あるいは現物を日本にも授受できるようになりましようか。その辺について将来の御構想をこの際承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/14
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015・石田正
○石田政府委員 お話の趣旨は、日本がアメリカから金をだんだん輸入して来ることがあるかどうか、というお尋ねだと思うのでございますが、大体各国は御承知の通りに、今までのところドルが不足いたしておりまして、むしろ金を持ち出しておつて、それでドルをかせいで国際收支を何とかやつておるというような実情でございます。日本は幸いにして最近まで外貨收支は割合いに好調に推移いたしております。そこで金を買つて持つて来るというふうなことは、場合によつては考えられるのではないか。しかしながら国際收支の見通しが今後どうなるかということは、これは非常にむずかしい問題でございまして、今必ず持つて来るとか、そういうふうなことを断言することは早計ではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/15
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016・三宅則義
○三宅(則)委員 これはちよつと遠まわしかも存じませんが、われわれといたしましては、相当これは船舶というものにつきまして——政府の方でも重点的に船舶につきましては金融をすると聞いております。この前参考人を呼びました際にも、船舶については十分金融面を勘案してもらいたいというお話でありましたが、やはり従来は船舶のいわゆる国際收支外の收入、こういうことによつて、結局これは運賃ですが、相当日本も外貨を獲得しておつたことになるわけです。これについて政府の方といたしましても通産省と関係を持ち、外貨獲得には相当船舶というものについての関連性が彫ると思いますが、参考までにもしわかりましたならば承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/16
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017・石田正
○石田政府委員 戰前におきましては、船舶收入というものは、貿易外收入の大宗をなしたのでございます。終戦直後におきまして、日本の船舶が非常にみじめなものになつた。これは常識でございます。その再建のためにはできるだけ努力をしなければならぬことは、言うまでもないことでございますわれわれといたしましても、運輸省その他と連繋いたしまして、できるだけ早い機会におきまして、この再編成を完成いたしたいものと念願いたしまして、協力いたしておる実情でございます。一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/17
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018・三宅則義
○三宅(則)委員 それではもう一点だけ承りたいと存じます。さきへもどりまして貴金属管理法でございますが、加工業者たとえば金びようぶをつくるとか、あるいは金を細工する、こういうものにつきましては日本の美術を振興せしめる上におきましても、相当これは奨励すべきものであると思いますが、これについての何か特別の措置を講ずるような御用意がありましようか。何かの参考になることを承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/18
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019・石田正
○石田政府委員 金の産額が非常に多い場合におきましては、御趣旨のようなことが思う通り行えますが、何と申しましても、今までのところでは六トンぐらいしか年に金がとれないという状況でございまして、従つてその方面に特段の措置を講ずるというところまではなかなか行きかねると思います。ただしかしながら工芸美術の保存と申しますか、あるいは昔からの美術を保存すると申しますか、そういう方面につきましては、われわれといたしましても配慮をいたしておるのでございます。そういう割当も現にいたしておる、今後も続けて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/19
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020・三宅則義
○三宅(則)委員 今のお話に関連いたしましてもう一言追加させていただきます。この加工することにつきましては、工芸美術品といたしまして将来ともこれは参考になると思つておるわけでございますから、また時代の進運にも非常に関係があることと思いますが、日本といたしましては手は器用である、こういうことは私が言うまでもないことでありますからして、今後ぜひそういうような美術品等につきましては、ある程度政府も助力せられまして、相当そういうような精巧なる美術品等は、世界に向つて輸出というと失礼でありますが、ある程度まで権威を保つようにする御努力を願いたいと思いますが、この点について御構想を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/20
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021・石田正
○石田政府委員 先ほど答弁いたしましたところに足らないところもあろうかと思うのでございますが、一般に国内におけるところの消費と申しますか、そういう方面のことを申し上げたのでありますが、輸出面につきましても特段の配慮を現在加えております。大体私の記憶では、輸出用というのが割当の中の非常に大きな部分を占めております。これは歯科用に次ぐ大きな部分を占めておるのでございます。輸出用につきましては、特段の配慮をすでにいたしておるということが言えるのでございます。今後もそれを続けて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/21
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022・三宅則義
○三宅(則)委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつております四法案中、貴金属管理法の一部を敏正する法律案につきましては、質疑も大体盡されたと思われますので、この際質疑を打切られんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/22
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023・佐藤重遠
○佐藤委員長 ただいまの三宅君の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/23
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024・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議ないようですから、ただいまの動議のごとく貴金属管理法の一部を改正する法律案につきましては、質疑を打切ることといたします。
次会は来る六月三日午前十時から開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304629X08119520531/24
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