1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月二十五日(金曜日)
午後三時二十九分開議
出席委員
大蔵委員会
委員長 佐藤 重遠君
理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君
島村 一郎君 清水 逸平君
苫米地英俊君 宮幡 靖君
高田 富之君
地方行政委員会
理事 大泉 寛三君 理事 床次 徳二君
鈴木 幹雄君 大矢 省三君
岡 良一君
出席政府委員
大蔵政務次官 西村 直己君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 佐藤 一郎君
厚生事務官
(医務局次長) 高田 浩運君
厚生技官
(医務局長) 阿部 敏雄君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 岩動 道行君
厚生事務官
(医務局管理課
長) 尾崎 重毅君
厚生技官
(医務局国立病
院課長) 小澤 瀧君
大蔵委員会専門
員 椎木 文也君
大蔵委員会専門
員 黒田 久太君
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本日の会議に付した事件
国立病院特別会計所属の資産の譲渡等に関する
特別措置法案(内閣提出第一六三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/0
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001・佐藤重遠
○佐藤委員長 これより大蔵委員会、地方行政委員会連合審査会を開会いたします。
本日議題といたします案件は、国立病院特別会計所属の資産の讓渡等に関する特別措置法案であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/1
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002・佐藤重遠
○佐藤委員長 本案に関する政府当局の提案趣旨の説明は、大蔵委員会におきましてはすでにこれを聽取いたしておりまするし、また地方行政委員会の方々には本日印刷物を配付いたしておりますので、これを省略し、ただちに質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/2
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003・佐藤重遠
○佐藤委員長 御異議ないようでありまするから、これからただちに質疑に入ることにいたします。質疑は通告順によつてこれを許可いたします。宮幡靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/3
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004・宮幡靖
○宮幡委員 私の質問はきわめて事務的なことでございまして、本来ならば大蔵委員会單独の時期におきまして、お尋ねをいたしたいと思つたのでございますが、何分にも大蔵委員会にはまだ法案が多数ございます。特に厚生省の方々にわずかな質問で出席を願いますこともどうかと考えまして、はなはだ地方行政委員会の方々には恐縮でありますが、きわめて短かい時間所要の質疑をさせていただきたいと思うのであります。お尋ねいたしたいことは、国立病院の移讓のことにつきまして、国会として正常な状態として調べ得ますものは、予算を通じての関係でありまして、特別会計の予算の中には、国立病院の地方移讓に伴い必要な経費三億五千三百三十一万七千円というのが計上されております。これはもちろん退職手当等も含まれておるかのように見受けられるのでありますが、続いて国立病院の経営に必要なる経費として要求しておる額が、四十四億二千五百八十五万五千円、それで職員の数は一万六千八百八十五人が延人員であつて、うち九箇月が八千二百八十人、うち三箇月が百二十人、こういう数字を表示されておるのであります。そして国立病院は九十九箇所であつて、入院のベッド数は二方六千ベッド、一日外来者が平均二万六千人ある、こういうようなことが予算の面を通じてうかがわれるところであります。この予算につきましてまずお伺いいたしたいのでありますが、一体国立病院の地方に移讓せられようといたします病院の数並びにベッド数、委讓後におきまして一日平均の外来者の診療見込み等につきまして、お話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/4
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005・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お答えいたします。御承知のように国立病院は現在九十九施設ございます。そしてそのうち二十四施設はこれは大体国の方に残しまして、残りのうちから約三千ベッドは国立療養所の方に転換をする。それでこれは約十五箇所になると見当をつけております。従いましてそういたしますと、六十箇所というものを地方の方に移讓をする、さように考えておる次第でございます。それからベッドの数でございますが、総体といたしまして先ほどお話もありましたように、二方六千ベツドありますうちの移讓分、すなわち六十施設のベッドといたしましては、約一万二千ベッドを見積つております。それから外来につきましては、これはちよつとはつきりいたさないのであります。と申しますのは、先ほど申し上げました国立療養所の転換につきまして、どの施設を国立療養所に転換をし、どの施設を地方に移管するかという具体的な施設の決定につきましては、これは県当局等の意向等も徴しなければならないと考えておりますし、従つてその決定をいまだしておりませんので、具体的にははつきり申し上げかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/5
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006・宮幡靖
○宮幡委員 概要はわかつたのでありますが、二十七年度予算の所要経費を御要求なさるときには、ただいままだ確定しておらぬという事項につきましてのお話合いをしたようなことはございませんか。なお平均外来者は二万六千人だとなつておつて、それを基本とした予算が組まれておる以上、これに関しまして、いまだ具体的な案がないということになりますと、実情はそうかもしれません。それをとがめるものではありませんが、その内容がもう少しはつきりせられておるはずだと思うのです。と申しますのは、あとでちよつとお伺いいたしたいのでありますが、しからばこの六十箇所の国立病院を移讓したいというけれども、受入れる方の側はみな承諾をせられておるのであるかどうか。もし移讓を希望しない等の事態が起つた場合には、厚生省としてどう考えられるか。こういう問題にも関連があるのでありますから、予算を編成して経費を計上なさつておる以上、もう少し具体的なお話が聞けるじやないか、こう私は期待しておるのであります。まずおさしつかえの面がありましたら、どういう言いまわしでもいいのでありますが、予算編成当時の経費の要求をなさつた根拠を示していただきたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/6
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007・高田浩運
○高田(浩)政府委員 予算につきましては、概算といたしまして組んでおりますが、法律によつて御承知の通りに、この法律はたとえば今申し上げました六十施設を、法律によつて強制的にそのまま移管をするということではなくして、地方等との話合いによりまして、話合いの整つた分から移讓をするということでございますので、従いまして九箇月分の予算を組んでおりますけれども、その辺の移讓の模様によりましては、この予算では不足を生ずるという事態が、あるいは起らぬとも限らないと思うのでございます。その辺の問題は別といたしまして、こういつた予算を編成いたしますについて、いろいろ事務的に検討いたした点はありますけれども、これはいずれも單なるいわゆる概算でございまして、先ほども申し上げましたように、どこの施設を国立療養所に転換をするという具体的な決定については、いまだしていない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/7
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008・宮幡靖
○宮幡委員 予算が概算であることも、これはよく了解いたしますけれども、今日の段階になりましては、各方面から移讓を希望する者は、公式ではないでありましようが、申込みもあるでありましよう。また讓られては困るというような意見もあるであろう、こう思うのでありますが、これは見込みですから、速記録へ載つたからといつて、間違つておつたといつて、あとで追究するようなやぼなことはいたしません。現在におきまして六十箇所移讓しようとするものが、確定的に現在でどのくらい移讓が成立をして、できない部分がどれくらいあるか。時期も十二箇月と限りません。従つて予算の過不足もあるでありましよう。このこともわかつていることであります。大体の見込みとして、六十箇所のうち移讓が達成できようとするのは、現在の状況においてどの程度であるか。このことについてはお見込みがなくちやならぬと思うのでありますが、お話ができないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/8
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009・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お話はごもつともだと思いますが、実はこの移讓をいたしますについて、すなわち移讓のことについて相手方と協議をいたしますにつきましては、結局移讓の條件等が最も重要な要素になるわけでございます。この條件につきましては、今御審議を願つております法律によつて初めて具体的に決定されるわけでありまして、それ以前においては、いわゆる固有財産法による一般の建て方で行くよりほかしかたがないのであります。そういう具体的な條件と申しますが、その辺のところがこの国会において御審議をいただいて御決定をいただかなければ、具体的にこういう條件で一つお願いしたいと思いますが、いかがでございましようかという具体的な交渉に入ることは、いささか尚早だと考えておりまして、その点は私たちの方としましても、見当をつけたいとは思いながらも、今日まで国会の御審議中ありまするで、実際地方とそういう交渉はいたしこいないわけであります。ただお話のように、いろいろ新聞にも出ておりますし、それから知事等が見えました場合に、実は国立病院を府県でもらいたいのだというような、そういうふうな偶発的な気持の表現と申しますか、その辺のところは多少あるにはありますが、もちろんこれも私の方としては別に、それではとつてください、どうしてくださいという程度の話までつつ込めないような、そういう状況でございますので、ただ聞き流しておるというような状況でございます。従いまして、御質問に的確にお答えできないのははなはだ残念でございますが、そういう趣旨であることを御承知いただきたいと思います。ただ具体的に申し上げますと、たとえば秋田県でありますとか、あるいは徳島県でありますとか、この辺は前々から国立病院をひとつ県の方へもらいたいというような話が、この移管の前も起つておつたことでもございますし、この辺は確実に申し上げられると思います。その他につきましては、今申し上げましたような事情で、具体的に申し上げかねることを、非常に残念に思つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/9
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010・宮幡靖
○宮幡委員 慎重なお考えでけつこうだと思います。しかしながらこの法律案が通らなければ折衝をしないのだということも、あまりにこれは表向きな話過ぎるだろうと私は思うのであります。実際はもう少し予備工作というものがあつてしかるべきだ。あつたことが悪いというのではありません。しからば六十箇所が全部移讓できるお見込みは、今のところあるかどうか。現に管理者は厚生省でありましようから、あるいは国有財産としての管理者は大蔵省でありましようから、この管理者は——地方的な管理者は別個でありますが、さしあたり国立病院の院長とかいう方から、ぜひ国に残りたいというような積極的な申入れ——移讓する分についての買い方との交渉は、一応慎重にやるべきだと思いますが、しかしあなた方の部下の院長から、これはぜひ残してもらいたいのだ、具体的にいえば、伊東の国立病院を残してもらいたいということをわれわれに話すのに、上長である皆さんに話さぬことはないと思うのであります。こういうことを勘案して参りますと、六十箇所が全部移讓できるかできないか、どれを選択するかということは、大体目安のつくはずだと思います。従いましてそういう目安のないものについて、幾らになるかわからぬというものにつきまして、その移讓の方法を議決しなければならぬということも、かなり法律審議の上においてはきゆうくつであります。この点はいわゆる予想でありまして、狂つたからといつて、決してこれをとがめ立てすべきものではないのであります。おおよそにおいて六十箇所の病院の移讓はできるんだ、あるいはこういう予算を組んであるが、これは残ささなくちやならないというものが一つふえて来て、五十九か五十八になつた、こういうような具体的な説明が私はほしいのであります。これは御承知の通り言葉が悪いかもしれませんが、国立病院の中には、ある思想の温床があるのであります。そういう意味から言つて、その待遇の問題もまた、これは四十四億くらいの退職手当も計上され、恩給の通算ということもあるのでありますから、至れり盡せりといいましても、どこに不平を立てられるかわからない。私どもが心配するよりも、当面の皆さんの方が当然御心配なさつているはずであります。そこでもし六十と思つたけれども、五十しかできないのだというようなお話があるならば、それを了承いたしまして、われわれはこの法律案につきまして適当な決定を與えたいこういう気持でお尋ねしておるのでありますから、あまりかたくならないで、儀式ばつたお返事でなくて、あるいは速記録へ残つて悪ければ、委員長にお話し願つて、速記をとめてでもけつこうでありますから、実情をひとつお話を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/10
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011・阿部敏雄
○阿部政府委員 今次長から申し上げました通りに、各府県に対しまして直接とつてくれないかどうかということは、私どもの判定から時期の尚早と考えまして、実は遠慮しておるわけであります。がしかし、直接部下である院長に対しましては、大体の大蔵省との折衝が済みましてから、各院長をブロツクに集めまして、そうしてこういう事情であるということをよく話しました。それからさらに慎重を期しまして、その各ブロツクの話が済んでから、院長が全部集まりまして、もう一度説明してくれということで説明いたしまして、院長会議としては、一応地方へ行くことを了承ししておるのでございます。ただ今例におあげになりましたように、伊東の病院におきましては、院長あるいはその地元からしきりに残してほしいということを言うておりますけれども、しかし院長といたしましては、院長協議会の移讓に関することを了承するという線に同調しておるのであります。
ただ私どもが聞いておりますのによりますと、その後二、三の院長がいろいろ地方議会等に働きかけまして、自分たちは反対なんだというようなことを、これは部下に責められて立場が板ばさみになつたためか存じませんが、そんなようなことを申しておるのでありますけれども、一応公式には院長会議として了承しておるのであります。それから現在までの状況につきまして、あるいはその同じ県によりましても、職員組合が盛んに活動いたしておりますので、県会としては移讓反対だ、国立病院に残してくれというような意見の出ておるところもあります。それからそこの知事が、自分は実はこういういい條件ならばもらいたいのだ、しかし自分がもらうということ発表されると、いろいろなことで困るから、しばらく猶予してほしい、そしておもむろに検討して、結局自分の方で受けたいのだということを言うておる県もございます。それから知事で来られまして話しますと、自分たちはそういう條件を知らなかつたから、一応反対という意向を表明しておつたけれども、しかしそういう條件ならば、自分の方としてももらつていいというようなことを言つておられるところもございます。今御質問のようにはつきりと個々の問題について申し上げられないのは、非常に申訳ありませんけれども、この点で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/11
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012・宮幡靖
○宮幡委員 大体方向がはつきりして来まして、けつこうであります。
そこでもう一つ伺います。この物件処理につきましては、この法律で買い方と売り方の関係では、必ずしもこれで満足するかどうかわかりませんけれども、常識的に考えて妥当な処置と思うのであります。しかし人の面におきましては、これをかりに民営病院と仮定いたしますと、国立病院にはむだな、いわゆる冗員とも称すべき人員を包容しておつたはずであります。こう言うと、私はしろうとのくせに何を言うかとおしかりがあるかもしれませんが、もしこれを民営の病院あるいは公営というようなことにいたしますと、国立病院のような多くの人員を擁しなくとも、もつと患者にいい気持で治療を受けてもらう療養が願えるのじやないかという節が、たくさんあるわけであります。そこでつけてやります人員が、九箇月で八千二百八十人というのでありますから、これはやめる分はどうなりますか。その内容は私にはこの予算書だけでは判断ができないけれども、とにかく六十箇所には適当な人員がついて行く。そして恩給年限の通算等も起るわけであります。そういう場合に、受入れ側の方の予定人員、所要といたします人員まで厚生省の方で整理——と言うと言葉が悪いが、希望者の中から、適当と認める経費から割出された人員まで、移管前において厚生省が整理して、お渡しするというようなお気持があるのですか、ないのですか。この点を一つ伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/12
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013・高田浩運
○高田(浩)政府委員 病院に勤務いたします職員の身分につきましては、私どもとして非常に気にかけておる問題の一つでございます。申し上げるまでもなく、病院は施設も大事でございますけれども、りつぱな人と適当な人数の職員がそこによく働いてもらうということが、最も重要な要素の一つと考えております。そういう点から申し上げまして、第一に人数の問題でございます。これはいろいろな見方があり得るかと思いますが、私どもの方で現在の国立病院と、現在のある県立の病院、そういつたものとの、人間の資格を医師、看護婦、事務員等にわけまして、比較をいたしましたのがございますが、それによりますと、大体同じような状況になつておる。ものによつてはむしろ県立の方が多いものがある。これはもし御必要ならば、資料としてあとで差上げてもいいかと思いますが、そういうふうになつておるわけでございます。なお医師の数でありますとか、あるいは看護婦の数でありますとか、そういつたものにつきましては、医療法という法律に基きます命令によりまして、患者との比率において大体人数がきめられておりますので、これはそう動かすわけには参らぬと思います。そういつたようなわけで、私どもの気持といたしましては、職員はそのまま移管先に引継いでいただく、さようなことを一つの眼目といたしまして交渉を進めたい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/13
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014・宮幡靖
○宮幡委員 当事者といたしましては、ごもつともなお話だと私は思います。かりに移讓を受けようとするものから、旧職員なり医員なり、全部一応国の方で処理して、こちらの方では物件だけ讓り受けて、医者と申しますか、診療担当者及び事務職員等は一切こちらで新規に選んで入れるが、それでどうだというような話合いが、もしかりにあつたといたしましたら、どういう態度で御折衝なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/14
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015・高田浩運
○高田(浩)政府委員 私どもの單なる感じでは、さような相手方というものは、まずまずないじやないかと思いますが、もしさようないわば非常に割切つたような話がありました場合には、なかなか交渉の成立ということはむずかしいのじやないか、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/15
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016・宮幡靖
○宮幡委員 これでお終いにいたしますが、今までの話で、大体の概要はわかつたようでありますが、けつこうでありました。けれども計数の資料だけはあとでよろしゆうございますから、大蔵委員会の方へ、地方行政委員会の方も必要がありましたら、御配付をいただきまして、資料によつて比較してみたいと思います。
最後に、佐藤法規課長にお伺いいたしますが、どうも今までのお話の模様から行きまして、六十箇所の公立病院の移讓ということは、困難な事情の方が割合多いのであります。どうも十二月までに片づくというようなことはむずかしいだろう。そういたしますと、さしあたつて経理の問題なら繰越しもききますが、人件費の問題が他の府県から起つて来る。もし予算不足というような事態が起つたといたしましたら、大蔵当局としてはどういう御処理をなさいますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/16
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017・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 お答え申し上げます。今厚生省の方からお話がございましたように、できるだけ当初の計画通りやつて行く、こういう気持でおられるようでございますからして、私どもも一応それに信頼をいたしておりますが、しかしながら御質問にございましたように、万一ということがもちろんないわけではないと思います。そういう場合には、予備費でもつてなおまかなえないというような事態になりますれば、これをそのままほうつておくということはできない相談でございますから、大蔵省といたしましても適当な措置をとるように考えたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/17
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018・宮幡靖
○宮幡委員 それでは伺いますが、今この特別会計の予備費は幾らあるのですか。今私予算書を持つていませんからわかりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/18
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019・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 六千万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/19
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020・宮幡靖
○宮幡委員 わかりました。それでは私はこれで質問をやめます。地方行政委員会の方には、たいへんお先へ失礼いたしました。お許しを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/20
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021・佐藤重遠
○佐藤委員長 地方行政委員大矢省三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/21
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022・大矢省三
○大矢委員 先ほどの、現在予定しておるところの地方に移讓する病院の数、相手というものは非常にはつきりしないのでありますから、これ以上お尋ねしてもどうかと思いますが、病院の国に存続しましてそのまま経営するものと、地方に移讓するものとの区別をしたその基礎、それをひとつ……。どういう目的でこういうふうにされたのか。また経営の内容なんかについて、一応お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/22
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023・高田浩運
○高田(浩)政府委員 国の方に残ると考えました施設を選定しました考え方と申しますと、第一には国としてはメデイカル・センターと申しますか、病院の——病院と申しますか。数府県にまたがるそういつたメデイカル・センターの役割を果すべきもの、たとえば北の方で申しますと札幌でありますとか、あるいは仙台でありますとか、あるいは弘前でありますとか、そういつたような考え方に基くものであります。それから次の何としまして、特殊の疾病に対する治療を内容としておるもの、たとえば相模原の国立病院であるとか、あるいは別府の病院でありますとか、そういつた——前者は整形外科に関するものでありますし、後者はいわゆる温泉治療に関するもの、そういつたように、大体二つのものさしをもちまして振りわけた次第でございます。
なおこれは蛇足になりますけれども、この問題が出ますと、いつもいい病院だけとつて、悪い病院を押しつけるのじやないか、そういうようなお話が間々耳に入るのでありますが、今申し上げました理由に基きますものでございまして、決していい病院だけ国の方に残して、悪い病院だけ地方の方にやるんだ、そういうような考えでは毛頭ないことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/23
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024・大矢省三
○大矢委員 それからこれは医療の根本方針になりますが、こうした公立病院が地方に移讓されるということは、国の社会保障制度の一環として、従来の方針と異なつた傾向になるわけであります。
それからいま一つは地方財政のことですが、地方行政委員会でしばしば問題になつておるところの地方財政、地方公共団体の非常な窮迫であります。これに対してこういうふうなものがさらにまた地方に移讓されるということになりますと、勢いこれは、もちろん地方公共団体は営利本位ではないのでありますが、経営上やむを得ずそういう結果に陥りやすいのでありまして、その社会保障制度の一環がくずれるということと、それから国がやる場合と地方でやる場合と、特に地方の財政の窮迫しておるときに、かえつて目的たる治療に反するような結果になるということをおそれるのでありますが、そのおそれなしと考えておりますかどうか。この点が非常に重要な根本的な方針であると思いますから、この点率直な御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/24
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025・高田浩運
○高田(浩)政府委員 第一の社会保障との関連は、これはもちろんお話のように重要な問題でありますが、社会保障制度との関係において、日本の病院を一体どういう体系において整備をして行くかということは、重要な問題でありまして、この点につきましては、前々からあるいは医療制度審議会、あるいは社会保障制度審議会、あるいは医療機関整備審議会等におきまして、朝野の有識者によつて、いろいろ論議せられたところでございますが、大体その辺の一貫して一致いたしておりますところは、大体病院というものは府県が、いわゆる経営の中核体となつて行くことが妥当である、そして国は、先ほども申し上げましたように、特殊の目的を持つた、そういう一部の病院をやつて行く、その他のいわゆる公の病院というものは、大体地方、特に府県が中心でやつて行くことが一番妥当である、そういうような考え方に一致しておるといつても、さしつかえないような結果になつておる次第でございます。そういう趣旨から申しまして、今度の移讓というのは、その本来あるべき姿に持つて行こうという一つの考え方に基く処置と、われわれは考えておる次第でございます。お話のように地方財政との関係につきましては、これも世上非常に心配されておるところでございますけれども、そういう点もありまして、今度の法律にありますように、施設の引受等につきましては、いわば前例のないと言つてもさしつかえないような、地方側、讓り受け側に有利な條件において、この処置をするということになつておる次第であります。それから経営上相当費用の負担を来しはしないかという点も、あるいは御心配かと思いますが、この点につきましては、個々の病院によつてかなり違う点もございますけれども、全体といたしてみますと、二十七年度からは、予算といたしましては、大体特別の経費を除きまして、普通の経常費的なものについては、收支相つぐなうような見込みになつておる次第であります。その他経営上の問題等につきましては、医療法の規定等によりまして、十分指導監督に意を用いまして、遺憾のないようにいたして行きたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/25
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026・大矢省三
○大矢委員 国立病院は、かつての陸海軍の病院であつたのであります。今の説明によりまと、いろいろな理由を付せられておりましたが、新聞によりますと、近く保安隊と申しますか、警察予備隊といいますか、約三十万にまで増強するということを報ぜられておりますが、現に七万五千が、今国会において十一万に予備隊が増強されておりまするし、そういうことになりまして、かつての陸海軍の病院だつたこのものが、また近き将来に国に強制買上げをやられるおそれはないか。なしとはしないのですが、これの見通しはどうか。そういうことは絶対にないか。それから今残置の予定の病院というものが、大体われわれちよつと見まして、今のような理由もありましようけれども、そういうふうにかつて予備隊の分布状況から見まして、これがかわるのじやないか。そうすると、せつかくそういう特殊な事情で残しておいたものが、かつての陸海軍の病院のように使用されるということになりますと、結局今残した理由が消滅されることになるので、そういうおそれなしとしないということ。いま一つ、それから今の理由を承つておりますと、特別な事情のためにそういう場所を残したというふうなことを言つておりましたが、戰時中に強制買上げをされた結核療養所のごときは、依然としてまだ地方に非密な強い要求があり、希望があるにかかわらず、返されていない。これはほかにもあると思いますが、大阪の例を申しますと貝塚、それから刀根山、これは大阪市が尨大な金をかけてせつかく建設した。それを返すという約束のもとに売り渡した。厚生省にいろいろ折衝いたしまと、返すには返すが、時価でなくちやいかぬ。それなら、これを見ますと、非常な何というか、英断といいますか、地方自治体に向つては考慮を拂われておる。そういう半強制的に取上げた地方の療養所なんかを、この際もつと優先的に、これより先に希望がありますならば、こういうふうな條件で返還すべきじやないか、こういうことを考えておりまするが、今申した通りに、これがかつての陸海軍の病院であつたから、また予備隊その他の保安隊にこれを買い上げられる、また買いもどすようなことはないか。また残つたものはそれに使われるおそれはないかということと、今申しましたかつて買い上げたものを、この條件でまた元へ返す意思があるかどうかという、この二点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/26
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027・高田浩運
○高田(浩)政府委員 今の御質問にお答えいたします前に、先ほどの御質問に対するお答えが、ちよつと失礼いたしましたので申し上げようと思いますが、今度の移讓に伴いまして、なお各施設とも何がしかの整備を要する点もありますが、そういう点も考えまして、予算にありますように、総額にして六億四千万円を讓り受け側に補助金の形で出して、それによつて整備をしていただくという心づもりにしております。それからこのごろ府県市町村とも、すなわち地方公共団体側といたしましては、公の病院をつくりたいという御希望が非常に熾烈でございまして、二十七年度におきまして、都道府県市町村あわせまして、病院を建てたいから、ひとつその起債を心配してもらいたいといつて、私どもに申出のありました分だけでも、約九十億近くに上つておる次第であります。もちろんこれだけの起債を認可をし、消化をさして行くことはできないのでありますが、そういうような非常に多額の金を使つて、病院を経営して行きたいという地方側の熱意があるということも、この際申し上げておきたいと思います。
それからただいま御質問のありました予備隊との関連でございますが、この予備隊の病院に振り向けるとかあるいは振り向けないということは、この際われわれとしては考えていない次第でございます。これは予備隊の方のいろいろのお考えもあるようでございますし、むしろ現在の国立病院とは別個につくりたいという御希望も、非常にあるようでございます。その辺のところはまだ具体的に承つていないわけでございますが、いずれにいたしましても、現在国立病院として経営をいたしておりますのは、入院外来とも相当地方の方々に親しまれ、そうして一般国民の医療に従事しておるのでありまして、これをやめてしまつて、いわゆる予備隊の病院といたしますということになりますと、それだけ一般の病人というものは締出しを食うという結果になることも考えられますし、その辺のところもこの問頭に関しては慎重に考えなくちやならぬものだと、私たちは考えておる次第であります。
それから結核療養所についてのお話でございますが、刀根山の病院等についての従来のいきさつ等につきましては、お話のように非常にデリケートな問題があることを、私たちも承知いたしておりますが、結核療養所につきましては結核対策の推進という見地からして、この際としましてはやはり国がやつて行くことが適当である、そういうような考え方のもとにおきまして、結核につきましては病院とは別箇に、国立としてそのまま持続をして行く、かような考えでおりますことを、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/27
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028・大矢省三
○大矢委員 今の六億六千万円の補助金、これはもう毎年補助金を出すのですか。今年に限つてですか。それから昨年の予算によりますと、一般会計からの繰入れが約九億八千万円ですか、それから積立金の繰入れが約二億円、約十二億円が全部移讓されるわけじやない。残るのですから、全部補助金に出すわけに参りませんが、国においてはこういう移讓によつて一般会計その他の積立金からの繰入金が浮ぶ、剰余になつて来るわけです。これらの補助金がどうなつて来るかということが一つと、それから地方公債によつてこれを拂い下げるということが説明書にも書いてありますが、一体地方公債をどのくらい許すということを、大蔵省その他係と交渉したのですか。折衝した経過について、またどのくらいのところまで許されたかという、具体的な数字を示していただけるならば、この際お聞きしておきたいと思います。
それからいま一つは、この機会にお尋ねしますが、この職員の引継ぎによつての身分保障——先ほどの質問にもちよつとありましたように、地方に移讓した場合に、古くからおる人は恩給率もあるいはまた本俸としても高いのでありますから、これを機会にひとつ整理して、新しく雇い入れるという方法をとることも想像されるのでありますが、恩給の高い者をそのまま受ければ非常に地方の負担が多くなる。それから整理すればいわゆる職員が移讓によつて非常に犠牲になる。いずれの場合にもそういうことが起り得るのでありますから、それにつきまして何らかの身分保障あるいはまた引継がれるべき恩給についても、政府は地方団体に何らかの形でこれを将来補助するということに、何か具体的な話があろうと思いますから、それについてお聞きしたい。と申しますのは、かつて自治体警察ができたときに、その自治体に引継がれた警察官がやめられても、地方では恩給がなかなか出ない。というのは、どういうふうに負担するかという国と地方自治体との率がきまつていない。その後に退職を希望して特別な費用を出すということについても、いろいろ関係でなかなかできない。一方国警の方は恩給あるいは一時退職金なんかもすぐ拂いましたが、自治体警察なんかになるとなかなかそれがうまく行かないで、相当期間そのままにされて非常に迷惑をしたことも、私どもは知つておるのであります。これはどのくらいの職員が移讓されるかまだはつきりしませんけれども、相当数に上ると思いますが、その身分あるいは地方自治体にそういうような條件を引継いだときの影響、これらに対する国家の対策といいますか、保障といいますか、そういうことについて具体的に伺えたら、ぜひ聞いておきたいと思いますから、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/28
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029・高田浩運
○高田(浩)政府委員 先ほど申し上げた六億四千万円は、移讓に際して補助をするわけでありますから、従つて今年限りであります。なお念のためつけ加えて申し上げておきますが、六億四千万円という金額は、過去における国立病院の整備に使いました予算等から比べますと、相当多額な金額ということになつておることも、お含みおきいただきたいと思います。
次に繰入れでございますが、昨年につきましてはお話の通りでございますが、二十七年度におきましては、約五億七千万円繰入れということになつております。この繰入れの大部分は、整備費とか退職手当とかそういつたたぐいのものでございまして、経常的な病院の経営には関係のない繰入れになつておる次第でございます。従いましてこの点は移讓自体とは、実はあまり関係がないとも言えるかと思います。それから地方側が病院を讓り受けるにつきまして、大部分は起債によるだろうと思いますが、この場合の起債の措置につきましては、地方財政当局ないし大蔵省とも十分連絡をとりまして、地方側としてお困りになることがないように措置するように、用意をいたしておる次第でございます。
次に主として職員の恩給の問題でございますが、法律の附則の最後の條文にありますように、現在勤務いたしております者が、讓り受け先に従前通り継続をして勤務する場合におきましては、恩給期間を継続する、すなわち地方側の恩給ということでなしに、国家公務員と同じように、恩給法に基いて恩給をもらうということになるわけでございますから、従つて御心配のようなことはないのじやないかと思います。ただ移讓されてからそのあと新たにその職員となつた者につきましては、当然地方庁側が自己の責任において恩給等の措置をし、従つてその財政上の措置もするということになることは免れないかと思いますが、現在の職員につきましては、今申し上げましたように恩給法によつて措置されるわけでございますから、それは御心配ないのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/29
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030・大矢省三
○大矢委員 今申しました恩給ですが、これは長年勤続しておつた人は本俸が高いから、恩給法に基いてやりますと相当な額になります。それで引継がれた後は、恩給制度によりますと、これは地方自治体が負担しなければならぬのでありますから、そこで出発して新しく雇用をやるという場合と、そういうふうな非常に高給な長年勤続者を、今度新しく新規の人にかえるということはあり得ることです。もちろん恩給法によつてやりまするが、そういう場合に何らかの條件をつけてしないと、かわる方の人の身分というものははなはだ不安定なものになると思います。それで恩給については、そういうふうな個人についてのいろいろな條件が、違いはしないかということを考えるのであります。
いま一つは、移讓によつて国の財政が、今まで一般から繰入れておつたものがなくなるから、相当に余剰を生じて来る。そうして今まで地方のこういう病院に対しては相当の補助金がありますが、それは従来とかわりないものかどうか。やはりそういうふうに、移讓することによつて国の予算に余剰を生じて来る場合には、これに何らかの特別の考慮が拂われなければならぬと思う。と申しまするのは、大体われわれが想像して、いい成績のところはそのままにして、あまり成績の上らないところだけを移讓するというように、その分布状態から見て見受けられるのであります。そこでそういうことで、もう痛切に地方では経営上に心配があり、ひいてはそれが患者に直接影響が来ることでありますから、こういう移讓によつて国の負担の余剰が生じた場合に、これを振り当てる意思があるかということを、この機会にあわせてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/30
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031・高田浩運
○高田(浩)政府委員 第一の恩給の問題につきましては、私の言葉が足らなかつために、あるいはおわかりにくかつたかと思いますが、私が申し上げましたのは、現在おります職員につきましては恩給期間を継続し、恩給法に基いて恩給をやるわけである。従つて地方側としては別に負担がふえないから、御心配はいりませんということを申し上げたのであります。すなわち恩給をもらうべき人間がもらう恩給というものは、国の財政からもらうわけでございまして、行つてからあとの分を地方側からもらうという趣旨ではないわけでございますから、その点御了承いただきたいと思います。
それから第二の、現在公の医療機関に対します国の補助といたしましては、予算にもありますように、二十七年度においては五千万円、これは主として新設等の際に交付する補助金でございますが、そういつた予算が計上されておるわけであります。
それから今後の国立病院の経営に関しまする国の負担でございますが、先ほども申し上げましたように、二十七年度においては、なお五億七千万円ばかりの一般会計からの繰入れをいたしておるのでございます。このうちの大部分は、退職手当でありますとか、あるいは整備費等でございます。普通のいわゆる医療をやつて、患者から收入をとつて、そうして薬品を購入をし、あるいは職員に対する俸給を拂うという意味の、いわゆる通常の経常費につきましては、大体とんとんに行くというふうな考え方に基いておるものでございます。この点は今後の経済情勢等もありますので、一概に将来を予測するわけには参りませんけれども、大体病院の経営というものが一応おちついて参りました今日といたしましては、この態勢にそう大きな変化というものはないのじやないか、かように考えておりますので、特別に移讓に伴いまして、国の財政負担が非常に軽減するということは、これは物の言い方にもよりますけれども、そう簡單に言えないのじやないかと思つております。従いましてそういつた関係で、移讓に伴いまして施設の整備費として、約六億四千万円の金を交付することにはなつておりますが、今後の病院の経営等に対します補助金等につきましては、現在のところは考えておりませんけれども、なおよく御趣旨の点もくみまして、考えて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/31
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032・大矢省三
○大矢委員 私だけ独占しても何ですから、これで打切りますが、この説明書によりますると、主として公共団体に移讓されるということになつております。財団法人の場合にも、調査の結果そういう公共性を持つたものでありまするならば、こういうものを拂われる意思があるかないか。公共団体に限るというのか。これは今後にもいろいろあり得ると思いますから、大蔵省かどちらからでもけつこうでありますが、この機会に伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/32
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033・高田浩運
○高田(浩)政府委員 今お話の移讓先の問題でございますが、先ほど来申し上げておりますように、今度の移讓措置というのは病院の体系を整備する、公の医療機関の体系を整備するということが、いわば一大眼目でございますので、その移讓先につきましてはこれは特に慎重を期さなければならないと思つております。そういう趣旨からいたしまして、私どもとしましては、できればひとつ県にお願いをいたしたい。県を中心に考えて行く。その次はいわゆるその他の地方公共団体を考えておる次第でございます。そういつた向きにどうしてもとれない場合において、なお公的医療機関というものに移讓することも、一応は考えておる次第でございますが、この公的医療機関と申しますのは、医療法の三十一條に規定がございますが、それによりますと、「都道府県、市町村その他厚生大臣の定める者の開設する病院又は診療所をいう。」ということになつておりまして、厚生大臣の定める者と申しますのは、いわばそういつた地方公共団体、都道府県等に準ずるような、いわゆる公の性格の非常に強い病院に関して、そういつたものを指定することになつておりまして、現在指定されておりますのは、日赤でありますとか済生会でありますとか、あるいは国民健康保険の組合でありますとか、そういつたたぐいのものでございまして、いわゆる一般の財団法人なりあるいは社団法人というものまで、含ませる意味ではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/33
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034・佐藤重遠
○佐藤委員長 次は岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/34
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035・岡良一
○岡(良)委員 先ほど来いろいろお答えもありましたので、ごく簡單にお尋ねしたいと思います。今度のこの地方移讓は、私どもから見ると非常に突如としてなされる印象を受けるのであります。そこで、厚生当局の方の地方移讓についてのいろいろな理由は、これまでもしばしば承つておりまするが、なお他に、大蔵省としても何らか財政的な理由等もあつて、この挙に出られたのであるかどうか、その点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/35
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036・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 大蔵省といたしましては、特に財政的な理由からという考えは毛頭持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/36
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037・岡良一
○岡(良)委員 それでは、先ほど高田次長のお話では、残置するものはメデイカル・センターというような役割を持たす、そうして府県に移讓を予定されておる病院は、原則として府県営たらしめたいという考え方でありますが、一体府県に移讓されるものを含め、また残置されるものとともに、それで計画的な、体系ある公共医療機関の体系というものができると思つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/37
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038・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お話のように公的医療機関の体系を整備することが、今度の措置の眼目でありまして、もともといわゆる医療体系の整備という見地から、従来の病院の所在でありますとか、あるいは具体的な施設でありますとか、そういうものをいわば白紙に返して、その上に、これこれは国のこういう自的のために、これこれは府県のこういう目的のためというふうに、新規にいわば白地に字を書くような心づもりでやりますと、これは理想的な案があるいはでき上るかと思いますけれども、そういうことは今日の情勢といたしまして、特に財政の情勢といたしまして、これはできがたいことでございます。いわば次善の措置といたしまして、現在国立病院になつておりますものについて、先ほど申し上げました趣旨から、その地域等を、あるいは現在果しております機能等を十分考慮して、選定をいたしたものでございます。そういう意味からいたしますと、先ほど申し上げましたような、いわゆる宙に描いた理想的な考え方からすれば、あるいは食い足りないところは、これは絶対ないとは言えないと思いますけれども、現状としてはそうすることが妥当ではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/38
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039・岡良一
○岡(良)委員 実は私がお尋ねいたしましたのは、別に国が公的医療機関の経営主体になるとか、府県がなるべきであるとか、いずれが是であるとか非であるとかいうことではないのですが、現在国立病院が占める位置、立地條件などから見て、公的医療機関の名に値しないものも多々あることは御承知の通りでありまして、それが府県に移讓されるという御方針ということを承りますと、何か国がブロツクのセンターを持ち、他は府県が経営主体となるような、そういう次の段階の体系になるのだ、そういうふうになり得るのだというようなお考えに聞こえるので、お尋ねしたのですが、そういう意味ではなく、單に公的医療機関を整備して行く段階として、一応今度の措置をとつた、御答弁はこういうように理解していいのでございますね。
それでは次の点を承りたいのですが、そういうふうに、何しろ九十九箇所のうち、二十四箇所を存置して、十五箇所は別途転換、あるいは六十箇所は地方移讓というような、かなり思い切つた国立医療機関の整備ですが、これは医療機関整備審議会の議に付されましたか、そして何らかの具体的答申を得て、それを十分な参考として御決定になつたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/39
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040・阿部敏雄
○阿部政府委員 医療制度審議会に、この移讓案を付したかどうかというお尋ねでございますが、医療制度審議会は個々のものを移讓するというような問題をかけるのではございませんで、ただ最初申し上げましたように、地方の医療は地方の公共団体の経営する公的医療機関を中心として行う、そして国の持つ病院は、その地方公共団体の経営する公的医療機関の親病院となるようなもの、あるいは特殊の使命を持つた病院を国において経営する、そういう方針は、これは医療審議会にかけております。しかし個々の病院を移讓してどうするというような問題は、審議会にはかけておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/40
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041・岡良一
○岡(良)委員 あまり具体的にどこの病院ということではなくても、やはり医療機関整備審議会というものがあつて、特に当面の問題として、公的な医療機関あるいは国営の医療機関についての体系づけと申しましようか、経営主体の序列等を計画的に実施するという点については、やはりあるところまでは具体的な地域等をも示した研究を、やはりなさるべきだと思う。しかしそれはそれといたしまして、国立病院の特別会計には、これまで一般会計から大体二割五分近くのものが繰入れになつておつたわけですが、これはやはり今後とも国立病院の経営としてこのままで行きまするときに、必要なものと私どもは考えますが、この点については医務局の方はどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/41
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042・高田浩運
○高田(浩)政府委員 一般会計からの繰入れにつきましては、二十六年度までは大体お話のように二割五分前後、二十七年度におきましては一割一分見当となつております。これはその年その年の国立病院特別会計の收支の見込みによつて違つて来るわけでございますが、收支の関係から必要であれば、もちろんこれは一般会計から繰入れなければならぬ。必要がないということになれば、繰入れる必要はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/42
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043・岡良一
○岡(良)委員 問題はそこなんですが、これまでは二割五分ばかりを一般会計から繰入れておられた。ところが今度は五億七千万円しか繰入れておらない。それで先ほど高田次長のお話だと、六億四千万円のいわゆる持参金ということになる。結局合せて二割五分ほどになる。だから六億四千万というのは、われわれの納得できる積算の基礎が何らなくて、一応残されたものに対して五億七千万円出そう、そして二割五分の六億四千万は移讓される方へ持参金として差上げよう、こういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/43
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044・阿部敏雄
○阿部政府委員 そういうふうな計算で出したわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/44
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045・岡良一
○岡(良)委員 それではこれは岩動さんにお尋ねをしたいのですが、岩動さんはこういう方面の数字は十分御検討の上、やつておられると思うのです。六億四千万という積算の基礎はどういう点において納得をし、大蔵省の方としては予算書において決定されたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/45
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046・岩動道行
○岩動説明員 六億四千万の整備費の補助の積算の問題でありますが、これは一応移讓を予定された病院につきまして、現在の施設、建物につきまして、それぞれどの程度にこれを補修し、あるいは改造して行くならば、今後地方に移讓された後において、十分にその機能を発揮して、さらに收支の状況もよくし得るかというような点を個々に検討いたした結果、それを積算いたしましたのが六億四千万になつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/46
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047・岡良一
○岡(良)委員 さらにお尋ねいたしますが、先ほども大矢君からの御質問にもあつた点でございますが、二十七年度の府県立病院に対する補助金は五千万しかない。そこで府県の方でも病院経営上それを相当待望しておつただけに、非常に困つておるというのが実情なんです。そこで本年度国立病院に関しては五億七千万円に減らしてしまつて、六億四千万円は一応持参金として渡そう。そこで来年度から国立病院が地方移讓になつた場合に、この移讓になつた病院の経営、あるいは内容の整備、その他いろいろな点において、やはり相当なものを国としても補助を必要とするのじやないかと思うのです。というのは、これまでは十一億四千万円というもの、一応五割五分見当というものが、国立病院の維持の上に一般会計から繰入れになつておる。そこで今度はこれが五億七千万円ということで、二十四箇所が存置になる。六十箇所が地方移讓になる。そこで今年度の予算要求額では五千万円しかない。しかし持参金を六億四千万円やろうというのであるが、来年度、再来年度は一体どうしていただけるのかという点ですが、大蔵省の方で何かその点についてお考えがあつたらお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/47
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048・岩動道行
○岩動説明員 二十七年度の予算で、公的医療機関の補助が五千万円ということになつております。これは二十六年度においても同額であつたわけであります。この予算を入れました趣旨は、主として地方公的医療機関が新しく建てられるとか、あるいは増床いたしますとか、そういつたような、むしろ積極的な面にこれを使用して行く。病院の補修であるとか、あるいは改築であるとか、そういつたことよりも、むしろベツドを増加して、そして全国的に医療機関の整備をはかつて行く、こういうような趣旨でこれを計上いたしたわけであります。従いまして、二十七年度の六億四千万円の補助とはまつたく性質を異にいたしておるわけであります。今後地方がそのような新しい病院をつくつたり何かして参ります場合に、これをどうするかということは、大体本年度と同様な方針で進んで行くということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/48
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049・岡良一
○岡(良)委員 それでは重ねて承ります。これは医務局の方にお尋ねをしたいのですが、今度移讓をすることに予定された病院の施設内容の整備等のために、六億四千万円の補助金をお出しになるというが、一体これで六十箇所の移讓を予定されておる病院の内容の整備というものが、十分にできるおつもりでありますか。おそらく各国立病院の方でも、こういうふうに整備をしたいという予算の要求が、相当にあると思いますが、それが総額一体幾らになつておるのか。そしてそれに対して六億四千万円はどういうパーセンテージか。これもあわせてひとつ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/49
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050・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お話のように、現在あります国立病院は、建物等も非常に古いものがかなり多いのでございます。従つて設備等も相当老朽しているものも多々あるのでございます。その意味において、たとえば今古くからありまする木造の建物を、鉄筋に建てかえるというような希望の向きは、多々あるのでございます。たとえば鉄筋に建て直すとか、中をすつかりやりかえるとか、できればそうありたいのでありますけれども、そういたしますと、これはとてもたいへんな金額になるわけでございます。しかしそういうような地元なりあるいは病院側の、一個の考え方と申しますか、希望とかそういつたことだけでなしに、さしあたりもう少し、ここをこうしたら非常に病院としてはやりいいというような、いわゆるさしあたつて病院としてりつぱにやつて行くことについての整備については、この六億四千万円というのは十分でないと思いますが、相当それには寄與し得るものと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/50
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051・岡良一
○岡(良)委員 そうすると、ただいまの大蔵省の御答弁と厚生省の御答弁では、私ども納得ができない矛盾が出て来たわけです。これは御存じのように、旧陸海軍の病院が国立病院になつた。ところが御存じのように、これらの病院の中には耐用年数が五年、七年というような病院がたくさんあるわけです。だから新しく、これを地方に移讓されて、受取つた県といたしましては、これをさらにベツドを増設するとかいうような積極的なことでなかなか、それを維持するだけにも相当な財政需要が予想されるわけです。ところが岩動さんの御答弁では、これを増強するということならば、国としてはできるだけの援助をしたいという御返事であります。そこでそうなると、府県としては移讓されて病院を受取つてみたが、これを維持する上において、さしあたつての六億四千万円ではあるが、なかなかこれでは維持ができないという事情が起つて来るかと思いますが、この点については、医務局の方では、これはやれるのだというはつきりした見通しが立つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/51
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052・高田浩運
○高田(浩)政府委員 さしあたつては、やれると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/52
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053・岡良一
○岡(良)委員 さしあつたつてはやれるというのでは困るので、もらつてしまえばまた返すというわけに行かないのですから、やはり相当はつきりしためどがないと、こういうふうにやるということは非常に無責任だと思います。それはそれといたしまして、かりに国立病院がこれまで三年間、特別会計として大体二五%ばかりの一般会計からの繰入れがあつた。それが打切られるということになると、さしあたつての六億四千万円でありますが、それにいたしましても、五億なり六億というものはやはり府県の出費になつて行く。そこで現在の府県の財政は、大矢君も指摘しましたように、相当窮乏を告げておることは、財政当局も御存じの通りであります。そういう点が結局しわ寄せとして、あるいは職員の定数の減になり、あるいは、今健康保険並の料金をとつているのが、慣行料金並になり、あるいは日進月歩の医学にふさわしくないような施設内容がそのまま残るというような、いろいろなことで、かえつて府県住民の医療の徹底なり普及なり、保健の向上というふうなこととは、逆なコースに行きはしないかという点が懸念されるわけであります。こういう点については、厚生省の方としても、いや絶対にそういうことはないのだという、何かわれわれの納得のできる理由があつたらお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/53
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054・高田浩運
○高田(浩)政府委員 地方側といたしましては、地方財政の都合がいろいろあることは、十分われわれとしても承知いたしております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、一方場所その他はいろいろ違いはあると思いますけれども、総体として見ますと、府県ないし市町村等におきまして、病院をつくりたい、それについて起債をひとつ心配してくれといつて、私どもの方に申出がありました分だけでも、二十六年度において四十億以上、二十七年度におきましては九十億近くの額に上つております。もちろんこれは具体的な場所あるいは県等のニユアンスはいろいろあるにいたしましても、全体としてそういつた地方公共団項が、病院をひとつつくつて大いにやつて行きたいという熱意の現われであると、とつていいのではないかと考えております。そういうように地方の熱意のあるときでもございますし、この移讓されました病院の経営につきましては、十分管理上もあるいは財政的にいつても、熱意を持つてやつていただくことを、われわれとしては期待し希望もいたしておるわけであります。なお将来の運営方針でありますとか、そういつたことにつきましては、移讓の場合において、十分移讓先の方と打合せを遂げて、なるほどこれなら移讓をしても大丈夫だというような見込みを十分つけて移讓をする、そういうふうに慎重な態度をもつて臨みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/54
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055・岡良一
○岡(良)委員 ただいまの高田さんのお考えは、私はちよつとずれていると思うのです。というのは、府県が自分で病院を経営したい、県の総合病院を建てたいというのは、現在ある国立病院ではあまり心配だとか、あまりに利用率が低いというところから、そうしたいというところもあると思います。現にそういう県もあります。それから現在国立病院もあるが、とてもこれでは医療機関として手薄だ、といつて国立病院をふやすというわけにも行くまいから、何とか起債でもお許しを願つて建てたい、こういう事情もあるのでありまして、府県がこれをしたいといつておるからやればそれでいいのだというわけには、なかなか実際問題として行かないと思うのです。それはそれといたしまして、最後に希望として申し上げておきたいのですが、そういうようなわけで、先ほど来いろいろお尋ねをいたし、お答えを承つて、どうも府県に移讓された病院のその後が私は心配になるんです。大蔵省の方ではベッドでも増床すると、何かそういう新規な積極的なものでもやらなければ、補助金は出さない方針だと言われる。府県では一応六億四千万円の持参金はもらつたが、それも当座のものであるということになる。現実に地方財政は非常に窮乏しておるということになりますと、これはその国立病院が府県へ移讓になつて、府県営の地方病院の看板に非常にはずかしいような経営内容になるということになつては、これはたいへんだと思うんです。そういうわけですから、いくら問答を重ねてもしかたがありませんが、特に大蔵省の方では、そういう病院が府県に引渡される、従つて府県がこれを経営する上においても、おそらく近い将来においていろいろ難点が起こるかと思いますか、むしろそうなりましても何も医療機関は国営でなければならぬというように、われわれが考えているわけでもないので、府県は府県並に、やはりそのセンターとして機能を果し得るように、大蔵省の方でもひとつがんばつていただきたい。特にこれは、岩動さんにこういうことを言うのは釈迦に説法なんですが、ぜひこういうことをお願いしたいと思います。以上で私の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/55
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056・佐藤重遠
○佐藤委員長 床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/56
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057・床次徳二
○床次委員 あとから参りましたので、ちよつと重複するところがあるかもしれませんが、お許しをいただきまして、簡單に御質問いたしたいと思います。ただいま岡委員からもお話がありましたように、今度の国立医療機関というものを公共団体にまかすということにつきましては、将来においてやはり公共団体の経営の病院に対しまして、国の方において相当補助を出すという考え方の裏づけがほしいと思うのです。すなわち過去において特別会計等におきましても、毎年々々ある程度の赤字を出しておつたことは明らかでありまして、今後におきましても赤字を出すことが明らかだ。かかるものを地方団体に移しました以上は、地方団体といたしましてはそれだけ負担を要するのであります。地方の熱意によりまして、赤字を冒してでもこれを讓り受けたいというのはわかるのでありますが、反面から見ますと、これは国が体系整備におきまして医療機関を地方団体に渡しておる。従いまして国家といたしまして、かかる医療体系を整備する上から見まして、財政上の責任も負うべきではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/57
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058・岡良一
○岡委員 その他からお話がありましたことによつて明らかと思いますが、この点ひとつ特別な考慮をなさる考えがないかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/58
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059・阿部敏雄
○阿部政府委員 ただいま移讓をした国立病院は、赤字を前提としての御議論のようでございますけれども、私どもは移讓した国立病院は、赤字を出さないという大体の見通しを持つております。運営よろしきを得れば、赤字を出さないでやつて行けるのではないかという見通しを持つております。従いまして現在のところその経常費の赤字につきましては、補助を與えるというような計画は持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/59
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060・床次徳二
○床次委員 第二に伺いたいのは評価の問題であります。相当ここには評価を実情に合うように考えてあるようでありますが、多くの国立病院の中には、公共団体から無償のような形で、国に移管されたものも含んでいるんじやないかと思います。そういうものの評価については、やはり特別な考慮をいたされるのかどうか。あるいは現在とつておられるところの方針によりましては、かつて国に讓渡した公共団体が、損をするというような現象にはならないのかということを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/60
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061・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 私からお答えいたしますが、大蔵省の方では、今の該当の病院の中に寄付の場合がありますかどうかということは、的確にはわかりませんが、たしか別途御審議願つたと思いますが、国有財産の特別措置法というものがありまして、それに基きまして地方公共団体に対して、国有財産を拂い下げます場合において、過去においてその公共団体から寄付を受けたという場合においては、無償でこれを讓り渡す道を開くようにいたしております。但したしかそれが寄付の後に三十年とか、年限がございますけれども、大体それでまかなえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/61
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062・床次徳二
○床次委員 次に伺いたいのは職員の待遇の問題でありまして、先ほど恩給法その他につきましては規定を準用いたして、遺憾のないようにしておられるようでありますが、今回の移讓によりまして、ある程度までの職員の整理があるのではないかということを、関係者において危惧をいたしておると思うのです。かかるおそれがあるかどうか。あるいは整理を要する場合に、相当の処置を講ぜられるかどうか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/62
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063・高田浩運
○高田(浩)政府委員 先ども申し上げたのでありますが、職員につきましては、そのまま移管先に引継いでいただく、そういうような方針のもとに、交渉を進めて参りたいと思つておるのであります。従いまして移讓を機会に行政整理をするという考えは、私どもとしましては持つていない次第であります。ただ特別な事由によりまして、どうしても地方側には行きたくない、国の方に残りたいのだという趣旨もあつて、この際職をしりぞく者もないとはいえないのでございますので、そういう場合における退職手当につきましては、現在の退職手当の法律によりますると、いわゆる定員の改廃等に伴う際の二十五日分という計算に基く退職手当を、支給いたすようになつておる次第でございます。これは行政整理とは違いますけれども、今日行政整理等の場合においては、相当多額の退職手当を支給しております事情もありますので、その辺のところもにらみ合せて、できればもう少し有利な條件で、退職手当を支給していただくように、ただいま交渉中でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/63
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064・床次徳二
○床次委員 最後にひとつお願いしたいのでありますが、先ほど大矢委員からもお話がありましたが、この讓渡を受けまするために、対価を地方債証券をもつて支拂うことになつております。起債のわくの問題につきましては、これは特別な関係でありますので、特に厚生省におかれましてもこれは盡力をしていただきたい。特に地方におきましては、最近かなり金融財政的に困つておりますので、この問題につきましては遺憾のたいように、ひとつ処置を願いたい。なお経営全般にわたりまして、先ほど阿部政府委員からもお話がありましたが、赤字を出さないのが建前だということになつておりまするが、経営のついかんによりましては、かなり條件の悪いものも少くないのじやないか。国だからこれで行けるのでありますが、府県でありますと、あるいは赤字が出るのじやないかと思います。こういう場合におきましては、さらに特別の交付金等において見るということは、はなはだ好ましくない現象であるのでありまして、やはり医療施設として見ました場合、厚生省におきましても特別な考慮をしていただくように、お願いをしておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/64
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065・佐藤重遠
○佐藤委員長 ほかに質疑の通告もございませんから、この辺で大蔵委員会と地方行政委員会との連合審査会を、終了することといたします。
これにて散会いたします。
午後四時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304669X00119520425/65
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