1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月二日(水曜日)
午前十一時二十六分開議
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出席委員
委員長 金光 義邦君
理事 大泉 寛三君 理事 野村專太郎君
理事 床次 徳二君 理事 門司 亮君
有田 二郎君 川本 末治君
前尾繁三郎君 吉田吉太郎君
藤田 義光君 大矢 省三君
立花 敏男君 大石ヨシエ君
出席国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
総理府事務官
(地方財政委員
会事務局長) 荻田 保君
総理府事務官
(地方財政委員
会事務局財務部
長) 武岡 憲一君
総理府事務官
(地方自治庁次
長) 鈴木 俊一君
総理府事務官
(地方自治庁財
政課長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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四月二日
委員池見茂隆君及び上林與市郎君辞任につき、
その補欠として中山マサ君及び八百板正君が議
長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会要求に関する件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七四号)
地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二二号)
地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二三号)
町村職員恩給組合法案(内閣提出第九二号)(
予)
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001・金光義邦
○金光委員長 これより会議を開きます。
昨日に引続き、地方税法の一部を改正する法律案、地方財政法の一部を改正する法律案、及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、町村職員恩給組合法案の四案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑を許します。大泉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/1
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002・大泉寛三
○大泉委員 ちよつと大臣に簡単にお尋ね申し上げますが、今回の政府の地方財政法の改正案に対しては、きわめて妥当な考え方であると思うのでありますが、ただねらいは政府の自治体に出される金を、自治体の住民に対してねらいを定めておられることは非常にけつこうなことだが、はたしてこの自治体の住民が政府の意のあるところを全幅的に受入れられるかどうか、要は結局自治体を運営しておるところの理事者あるいは議会等においては、よくわかるかもしれないけれども、一般の住民には、どうも政府の意のあるところがわからぬじやないか、結果において理事者の意のように経費が使われて、そうして残つたところは、住民がどうも何も知らずに責任を負わなければならないというような結果になりはしないか、結局新しい事業や、また政治的な要望にこたえて、理事者がのつぴきならないような状態に追い込まれる結果になりはしないか、私はこう心配するのであります。これだけの政府の平衡交付金の中から、住民の希望した通りに使われるけれども、何といつても理事者なり、議会なりがこれを運営して行く。結局どうもそこに責任を負わせられた跡始末が、何らかの方法で是認をされるというような結果になつて、しまいにはまた政府に泣き込む、こういう結果になりはしないか、私はこう心配するのであります。あくまでもやはり住民の代表者としての議会なり理事者なりが、よくその住民の腹とぴつたりして行けば、お互いに自分たちの責任において、これは遂行されるのでありますけれども、とかくどうもその点は政府の見るような結果が私は生れないのじやないか、こう思うのです。政府の見通しについて一言大臣に所見を伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/2
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003・岡野清豪
○岡野国務大臣 御説しごくごもつともでございまして、また現在の地方自治の実情をよく御存じの大泉さんでございますから、私の考えておりますことと同感でございまして、ただいま非常に高度の自治制度がしかれておるようになつておりますけれども、住民のこの自治制度に対する理解というものがまだ足りないのじやないかという感じがしております。そこで自治庁におきましては、この新自治法を施行いたしまして以来、自治確立運動という運動を起しまして、あらゆる市町村の理事者並びに政治家、すなわち議員とかなんとかいうようなお人に呼びかけて、自治の確立をする啓蒙運動をしておつたのであります。今のお説のように、住民が理事者並びに議員あたりのしていることに理解がない。理解がないということは、結局昔風に理事者並びに議会、今議会が最高権威者でありますので、その独裁的な政治になつて行きはせぬかという心配があるからであります。ですから昨年の秋から始めまして、一般の住民に自治の啓蒙運動をする、こういうことにしております。これは関係筋のおさしずもあつたように伺つておりますが、そのことが動機になりまして、今では住民に今の自治制度をよくのみ込ませるというふうに啓蒙しつつあるわけでありまして、われわれといたしましては、できるだけりつぱな自治制度にして行くために、各種の法案を出しております。それを理事者並びに議員にはもちろんよく理解してもらわなければなりませんが、やはり住民の意思を尊重するということが一番大事だと思います。しかしながら住民は案外のんきであるから、これでは自治はほんとうに完成しないと思いますので、啓蒙運動を住民の方に向けて進めております。こういうふうにしてできるだけ趣旨に沿うようにして行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/3
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004・大泉寛三
○大泉委員 武岡さんもいらつしやいますから、地方財政委員会の方のお考えも承りたいと思うのであります。地方住民の考え方も知識も、あるいは財産程度もみな一律一体なら、国から受ける利益というものと自分の自治体から受ける利益というものは、みんな同じになりましようけれども、住民それ自体貧富の隔たりが非常にある。また事業上においても税の負担というものはみんな違つておる、こういうように種々雑多な内容を持つておるので、国及び自分の自治体から受ける利益というものはきわめて隔たつておる、あるいはまた矛盾しておるようなこともあり得ると私は思うのであります。こういう際に住民を啓蒙し、その理解を求めるといつても、なかなか困難じやないかと思いますから、やはりこれはある一定の限度を定め、これ以上の事業に対しては、住民の負担においてやらなければならない、ただ全体の住民の負担を大まかにきめてやつたのでは、結果においてどうも足らないものが出て来ます。やはり一定の基準がないと、しまいにはのつぴきならない結果になるのじやないかと思うのです。この点について地方財政委員会の方のお考えはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/4
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005・武岡憲一
○武岡政府委員 お尋ねの御趣旨は、自治団体は今の民主主義の原則によりまして、多数の意思を反映して行政なりまたそれに伴う財政の運営をやるというのが、今の憲法上の建前になつておるのでありますが、その場合つまり少数者の意見というものが無視されることになるのではないか、こういう御趣意だと思うのであります。これは地方財政委員会といたしまして、財政上の問題で申しますならば、その団体が行いまする行政の裏づけとなる財政負担におきまして、希望しない少数の者が税の負担なりその他を負わされるというような事態が起ることは、今の民主主義の原則からいつてどうであろうか、こういうことかと思うのであります。まことにごもつともなお尋ねかと思います。地方行政並びに財政の運営におきまして、やはり民主主義の原則に立つて、多数の意思を尊重して参らなければなりませんが、住民全体がまつたく一人の反対者もないというような意思を、その団体の意思として決定するということは、なかなか困難な場合も多かろうと思うのであります。これは今の原則から申しまするならばやむを得ないのではないか、ただ財政上の負担ということから申しますならば、もちろんこれは個人々々の財政状態というものも十分考慮いたしまして、たとえば税収等におきましても非常に困難があるものについては、減税あるいは免税ということも考えなければなりますまい。災害等によりまして負担力がないというようなものにつきましては、その負担を軽減せしめるというような措置も決定されて行かなければならないのではないか、そういうふうなことが考えられるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/5
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006・大泉寛三
○大泉委員 自治体が何か事業をやらんとするときには、とにかく自治体の意思あるいは自治体の責任においてやられるのだから、多数の意見を尊重してやられることはけつこうだが、何といつても実際の問題としては、税の負担をするのは少数の者が多く負担をして、どつちかというと多く負担しない、あまり裕福でない者が多い。結局財政負担ばかり多くなつてしまつて、収入の方と非常に不均衡な結果がますます生じて来るというようなことがあり得ると私は思う。そういう場合に、結局足りないところのしりぬぐいは、やはり地方の財政の総元締めである地方財政委員会としては財源を見つけて、これに対する課税の問題が出て来るのであります。いわゆる負担をしない人が大勢で、負担をする人がきわめて少数で、これに一つの限られた税率で行く。私はどうもここに無理が生じやしないか。つまりこの自治体の内部のいわゆる予算編成上において、きわめて少数の住民の意思ばかり尊重してのつぴきならない結果になりはしないか、こう思うのです。一たび与えられた利益なり特権なりというものは、またもどすなんということはとうていできない。であるからよほど慎重に考えなければならない。政府で野放しにこういう自治体の意思を尊重して、自治体の力において何でも処理運営するということはけつこうだけれども、しかしそれでどうにもならないのではどうも得にならないことになる。こうしたことも考えに置いてやらなければならないと考えるのでありますが、そうした心配はしていませんか。そういうことはないと信ぜられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/6
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007・武岡憲一
○武岡政府委員 団体によりましてはその団体を構成している住民の負担力との関係から、必ずしもその団体が行政をやつて行くのに必要なだけの財源を得られない、財政的に非常にきゆうくつである、こういう団体があり得るわけであります。そういうものについてただその団体の全体の、多数の意思と申しますか、団体自身の意思として非常に高い税率をきめたというような非常に無理な財政運営をやつている団体と、それからまた一方におきまして比較的裕福と申しましようか、豊富な財源を持つている団体とがあるわけでありまして、それらの場合にそういう団体間における財政上の調整を国として考える必要はないか、こういう御趣旨でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/7
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008・大泉寛三
○大泉委員 いや、団体と団体の場合じやない。自治体の中のいわゆる貧富の差において非常に負担過重で困るような結果が生じやしないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/8
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009・武岡憲一
○武岡政府委員 均衡の問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/9
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010・大泉寛三
○大泉委員 自治体と住民の担税力との間に、一つの摩擦が生じやしないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/10
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011・武岡憲一
○武岡政府委員 そういう御指摘のように非常に担税力と申しますか、税金だけにも限りますまいが、財政上の負担の関係で非常に困難をしている団体について、国の方で何らかの措置を講ずる必要があるのではないか、こういうことであろうと思いますが、それにつきましては、もちろん今の平衡交付金制度は、御承知のようにそういう意味での財源の補給と申しまするか、財政の調整という機能を持つているわけでありまして、特別交付金の交付につきましても、そういうような財政上の事態というものも、十分考慮に入れるつもりでおります。あるいはまた起債の承認等につきましても御指摘のような点は十分考慮に入れまして、起債の許可認可をやつて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/11
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012・有田二郎
○有田(二)委員 岡野国務大臣にお尋ねしたいのですが、本日の朝日新聞に大阪市をモデル特別市として考える案があるというようなことが出ておりましたが、一体どういうお考えでこういうことをお話になつたのか、御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/12
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013・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。あの新聞に出ておりましたことは、私が長々いろいろ雑談をしております間の一こまが抜書きされたということの結果でございます。しかし特別市の問題は、今市側と府県側と、片方は早く特別市になりたい、府県側は特別市になることは反対だということで、実はあつれきが起きているわけであります。そこでわれわれといたしましては十分慎重に考えなければならぬ。しかし考えるといたしましても、結局特別市は自治法に出ている一つの制度でございますから、当然実現すべきものだろうと考えます。しかしながらただいまの段階においては、まだ政府といたしましては、十分なる準備ができておりませんので、その方向におきましてはまだ何らの確定意見を持つておりません。しかしながらいろいろ質問を受けた点におきまして、五大市を一時にやるかあるいはその間の特殊のものを先にやるかというような断片的な質問に対しましては、これは考え方としては五大市というものが、今特別市になり得る條件を備えているのであるから一癖にすることが自治法上は妥当であろう、しかしながら今急に、なれない特別市というものを実現させるということには、あるいは危険があるかもしれぬという心配もないではない、その場合には一応大阪というような五大市の中でも特に特別の地位を持つているところの市を先にやつてみて、そうしてその結果いかんによつて、あとの方に行くということも一つの考え方である、こういうようなことを私は申したわけであります。いずれにいたしましても特別市を実現させるにつきましては、その特別市が存在するところの府県における行政、財政のあり方に相当なる調節をつけなければ、これは実現しないことは事実でございます、その点におきまして政府といたしましては慎重に研究を続けております。でございますから五大市をするということにつきましても、やはり府県側との調整を十分にとつた上でなければいけない。またこれをする点におきまして五大市を一時に全部やつてしまうか、またある一つ二つの特殊のものだけを特別市にして行くかということになれば、あるいは一番大きな大阪市というものを第一番に特別市にしてみたらどうか。こういうようないろいろ長い話がありましたその一部分が、新聞に出たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/13
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014・有田二郎
○有田(二)委員 地方税法の問題で一言お尋ねしたいのでありますが、よくこのごろ青色申告の問題で、国税と地方税との間で対立がある。すなわち国税の方で青色申告を認めて指導するものが、地方税は青色を認めないというようなあり方で、各地でいろいろなトラブルを起しているのであります。自体私は地方税の問題にしろ、やはり自治庁において地方税法に基いて一定の指導がなされなければならぬと思うのでありますが、自治庁において各県の地方税に対してどういうような御指導をなさつておられるか、ひとつ承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/14
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015・岡野清豪
○岡野国務大臣 地方財政委員会の事務当局から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/15
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016・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 国税とか府県税あるいは市町村税の各種の課税標準につきまして、それぞれ独立の課税標準をとるということは、地方自治という建前から申しますと望ましいわけでございますけれども、その自主性を強調いたしますあまり、それぞれまつたく国なり府県市町村が独自の課税標準をとりまして、みずから調査をいたし課税をするということは、事実経済的にも時間的にもまた課税に当ります徴税職員の点から考えましても、実際には合致しないわけであります。そこでできるだけ国がとりましたたとえば、所得税の課税所得金額でございますとか、あるいは法人税額でございますとかいうようなものを基礎にいたしまして、地方の税金をかけて参るということが実際上の便宜に合うわけでございます。そういう意味で事業税につきましても、できるだけ国の法人税の課税のもとになりました金額を基礎にいたしますし、市町村民税の個人の所得割につきましても、所得税の課税総所得金額あるいは税額をとりますし、また法人税割に関しましては法人税額をそのままとるわけでございますから、そういうふうにできるだけ無用な労力と時間を避けまして、また納税者側も煩雑な調査をこうむるというようなことがないようにいたしたい、かように考えておるわけであります。地方税法全体についての根本的な改正は、なお今後に期さなければなりませんが、逐次そういうような煩雑なことは避けて参りたい。青色申告の点に関しましても、やはり国税の関係で認められておりますものは、これをできるだけ尊重いたすわけでございますが、何か個々の具体的な場合につきましては、それぞれの各府県の課税当局におきまして、若干の独自の判断があるのではないかと思うわけであります。
〔委員長退席、大泉委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/16
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017・有田二郎
○有田(二)委員 自治庁に対してお尋ねしたいのは、実は国税については、国税庁で一つの税法の運営の方策を検討して、各局を通じ、各局の部を通じて、税務署の各課を経て、納税者の方に、徴税にしましても、あるいは税決定にしましても、その運営の方法について、一つの指導方針が与えられて末端までやつて来ておる。それでもなお末端の若い税務吏員の行き過ぎが非常に多いので、本院の大蔵委員会なんかでもこれを取上げられて、国税庁に対しては相当やかましく注意をして是正して参りつつあるのでありますが、私は本委員会においては、自治庁がどういう程度に各県の地方税について御指導になつておられるか。共通したいろいろな点がある、特に地方税の税務吏員は非常に経験が浅いという点もありまするし、私は大阪選出でありますが、大阪の例をあげてみましても、おまわりさん上りが多い。巡査部長とか巡査をしておつたのが年をとつて地方税の税務吏員になつておる、そうして昔のおまわりさん式なやり方で頭からしかり上げてやるというような、非常な行き過ぎが地方税には多いのであります。また徴税技術非常にまずい。特に税法は税務吏員に大幅に権限を与えておりますけれど、この運営については相当注意してやらなければならぬ。ある県の例をあげますと、県の名前はここでは御遠慮申し上げますが、ある県に私が遊説に参りましたときに、県会議員がその地方の税務吏員をごちそうして、そうしておとめを抱かしておるというような事実もあつたのであります。そうして税金を安くするというような事態もあつたのでありまして、地方税の運営については、でき得る限り自治庁において共通した指導が行われなければならぬ。よほど真剣にやらなければ、いろいろこれから税法をおかえになりましようが、税法をかえただけで事足りるものでない。どうしても運営の上において、十分自治庁において検討して、国税庁とも十分な打合せをして、そうして納税者に迷惑のかからないようにしなければならないと私は考えておりますが、自治庁としては各府県の税務関係の人の指導をどういうふうにやつておられるか、また将来どういうふうにやろうとしておられるか、この点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/17
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018・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 お尋ねの地方団体の徴税職員の教養とか能力、その他の問頭でございますが、先般のシヤウプ勧告による税制の大改革によりまして、地方団体の課税上の地位というものは、非常に重要になつて参つて来たわけでございます。ことに市町村の固定資産税等につきましては、従来あまりに進んだ研究もなされていなかつたわけでございますので、相当新たなる研修等が必要であるわけであります。府県につきましては、もしも附加価値税が実施されるということになりますと、これはまつたく新しい問題でございますので、非常に大きな訓練、研修が必要であつたわけでありますが、今日諸般の事情からこれが実施をいたさない、さらに一年延期するということになりましたので、従来からずつとやつて参りました事業税を引続いてかけることになつておるわけであります。入場税、遊興飲食税も前からの税金でございますので、府県の徴税職員につきましては、一応問題としては従来からありますものを扱つておるわけでありますが、しかし何と申しましても、ただいま二、三御指摘がございましたが、多くの徴税職員でございますのと、やはり相当徴税の職員を新たに補充したというような関係から、訓練の行き届かないようなものも若干あろうかと思います。これにつきましては地方財政委員会が当面の指導の責任者として指導をしておるわけでございますが、地方財政委員会におきましては、新地方税法の施行にあたりまして、地方自治庁と共同の通知を出しまして、相当詳細に実際の運営方針を示達いたしておりますし、さらに具体的に課税に当つております各地方団体の職員につきましては、税務関係の講習を時々開催いたしまして、新しい制度の趣旨の普及徹底ということに努力いたしております。さらに各府県におきましても、それぞれ独自に講習をいたしておりますが、さらに今後とも時日をかけて徹底をして参らなければならぬと考えておるわけであります。御趣旨の点は十分考慮いたしまして、今後ともなお指導を徹底して参るようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/18
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019・有田二郎
○有田(二)委員 もう一点だけ……。地方税の問題は非常に大きな問題でありますが、この指導方法をそういう漠たる答弁でなくて、実際に即して、こういうような方法で将来とも指導するというはつきりした方針をおきめにならないと、いろいろ末端において税法一ぱいに運営してもかまわないという考え方で、いろいろトラブルが起つておるのであります。ぜひとも自治庁において、あるいは委員会において、いろいろ協議されて、実際に全国のそういう人たちを集めて、年何回か指導し、あるいは共通した問題について国税庁と話合いをして、住民に迷惑のかからないような方向に行かなければ私はいかんと思う。これは大阪の例ですが、名刺を二枚持つておる。自宅の名刺とそれから官名の入つた名刺と二枚持つておる。金になりそうだと思うようなやつには自宅の名刺を渡す。自宅の名刺をもらつて、自宅へお金でも持つて行つて安くしてもらうという例があるのです。ですからそういうような地方の税法運営において、共通したいろいろなトラブルなり、いろいろなウイーク・ポイントなりをひとつ十分御検討願つて、各地方との間において十分な指導と、行くべき方向を御決定願いたいと同時に、国税庁との連絡も常に万遺漏のない方向に進んでもらつて、地方の方々に対して迷惑のかからないように、万全を期せられたいと思うのですが、これに対する御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/19
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020・荻田保
○荻田政府委員 まことにごもつともな御意見でございまして、われわれとしましても御意見の趣旨に沿いまして、実行して行きたいと思います。何分にもたびたび地方税に関しまする制度がかわりましたので、今までの指導等あるいは十分でなかつたと思いますが、今後とももつぱら指導の方に重点を置きまして、一般に問題が起らないようにやつて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/20
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021・床次徳二
○床次委員 ひとつ岡野大臣に伺いたいと思います。この地方財政法の趣旨を貫徹して参るという趣旨において、今後地方の財源を御配慮願うことはまことにけつこうだと思います。それについて一言お伺いしたいと思うのですが、義務教育の問題がいろいろ問題になつて、昨日本実は伺つたのでありまするが、この地方財政法の趣旨が徹底して行われるようになりますると、町村におきましても、義務教育費に対して必要な予算は、大体必要なだけ使うということになるのじやないか、こういうことを期待しておられるのだと思うのです。そういうことを予想いたしますると、地方財政法の中におきまして、義務教育費をある程度まで確保するという手段ができるのじやないかと思うのですが、この点に対して大臣のお見込みを伺いたい。地方財政法ができても地方におきまして、かつてに義務教育費を削減して、ほかへまわしてしまうというようなことがあるかどうか、そういうおそれがないように、地方財政法が実はできているのじやないかと思うのですが、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/21
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022・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。あの條項を一つ入れましたことは、義務教育費の国庫負担というものがたいへん問題になつております。これを本非常に参酌いたしまして入れたわけでございまして、あるいは逆に私がいつも主張しておりますところの、平衡交付金というものは地方の自主的立場において、自由かつてに使つてよろしいのである、こういうような根本主義に、幾らかひびが入るのじやないかというおしかりをこうむるようなおそれまで考えておつたのでございますけれども、しかしながら国家といたしまして、やはり一般国民のふところから納税してもらつたその金を中央から出すのでございますから、結局これは国民のふところから出たものが、国民のふところに返るという性質の平衡交付金でございますから、もし国家が必要とあつて、こういうような国家事務を地方にしてもらわなければならぬ、こういうようなことがありますれば、やはりその事務の内容本法律できめて、そうしてこれだけは地方の公共団体の方で、ぜひ国家としてはやつてもらつた方が国家のためになるという、こういうような事務に対しては、たとい平衡交付金の根本趣旨はありましても、一応地方に義務づける方がいいのじやないか、そうすれば国家が地方公共団体にお願いしまして、やつていただくところの仕事が十分確保できる、こういうことをねらつてあの條項を入れたわけでございます。従つて、お説の通りに、この地方財政法を御通過くださいまして、同時に各省が法律によつて、事務の内容を制定するということになれば、義務教育費国庫負担法がねらつておるような目的が、達成せられるものとわれわれは確信しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/22
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023・床次徳二
○床次委員 次にお伺いしたいのですが、この地方財政の問題において特に重要なのは、財源と交付金と起債ということになるのでございますが、今日交付金と税制におきましては、一応体系はつとておるのでありまするが、起債に対しましてまつたく野放しである、というよりも、国の財政方針によりまして非常に制約を受けている、地方財政から申しますると、もつと起債額をふやしてもらいたいというのが、むしろ要望であると思うのでありまするが、現実におきましてはこれが著しく狭められておるというのが大きな欠陥だと思う。従つて地方財政の立場から申しますると、地方起債をある程度まで確保するという考え方が必要なのじやないか。地方財政法におきまして、起債を認めまする場合が規定せられておるのでありまするが、およそどれくらいの額、たとえて申しますならば歳出総額に対しまして、一割くらいの公債発行を地方に対しては認めるというような基準がありますると、地方財政上非常に便利である。また国といたしましてもそれによつて方針が立ち得るのですが、これに対する御意見はいががですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/23
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024・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。お説の通りに、地方財政は税法、国庫負担金、また平衡交付金と、この三種のほかに、起債をもつて充てております。起債の点におきましては、これは実のところ正直に申し上げますれば、今年度あたりは千七百六十八億くらいな起債の申請額があつたのでございます。しかしながら国家財政の立場、また一般の財政金融政策の上から、インフレーシヨンをおそれるのあまり、起債というものも野放しにこれを許可してはおもしろくない、こういう点から過去二、三年来、地方に対する起債を制圧して来たわけでございます。でございますから、ただいまのところ地方が千七百六十八億の起債の申請をしておりますにかかわらず、明年度は六百五十億の起債のわくをもらつておるわけでございます。しかし私ども地方財政を担当いたしておりますところの立場から申しますれば、一般の金融財政政策もさることながら、地方が非常に困つておるという実情は、これを見のがすわけに参りませんので、先般本申し上げました通りに、六百五十億は一応預金部資金によつて従来の通りに引受けるということにいたしますが、しかし地方公共団体のうちには、市場資金を利用し得るところの信用を持つておるところのものも、相当あるのでございますから、預金部資金には六百五十億依存するけれども、ある程度やはり経済の安定が来、インフレのおそれがあまりなくなり、また同時に市場においてもそういう投資ができ得るというような情勢になつて来たものと私は考えますから、公募公債を許して行つたらどうか、こう考えておる次第でございます。ただいまのところ私はその公募公債をどのくらいなところまで許していいか、これもまだ各方面との折衝もございまして、確定した意見は持つておりませんが、五十億あるいは百億くらいはこれに追加してもいいのじやないか、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/24
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025・床次徳二
○床次委員 大体わかりましたが、地方財政から申しますると、大体どれくらいのわくがもらえるのかということを、毎年一応基準があることの方が非常に運営上いいのじやないか。ただいまの大臣のお話のように、預金部資金以外に一般公募にまつということはまことにけつこうなんで、ぜひとも十分所要額に応ずるだけの起債のわくがほしいのでありまするが、しかし大体地方の財政といたしましてはこれくらいのわくがあつたならばというのが、過去の実績から見まして出ておるのじやないか、その実績を参酌いたしまして、あるいは地方財政法等におきまして、起債の一応の基準と申しますか、それ以上に対しましては特別な許可を要するというような規定があつた方がよろしいかと思いますが、大体御賛成のように本見受けますが、さように考えてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/25
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026・荻田保
○荻田政府委員 ちよつと失礼でございますが、わくとおつしやいますが、地方団体全体についてのわくでございますか、個々の地方団体の起債のわくでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/26
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027・床次徳二
○床次委員 総額につきましては、これは個々の団体の財政計画を立てるための直接の参考になりませんので、やはり個々の団体に対して過去の実績から見て、大体の数字も出て来るのじやないかと思うのですが、そういうわくを基準としてこしらえることはいかが、かということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/27
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028・荻田保
○荻田政府委員 個々の団体につきましては、これはシヤウプ勧告にもあつたと思いまするが、償還能力のことを考えまして、どの程度までは起債の総額がその団体にとつて可能であるかというような意味のわくは、これは将来起債の許可ということがはずれました場合に、個々の地方団体がかつてにできるような場合も、やはり法律をもつてある程度つくらなければならぬ。現実にどういう起債を起すかという問題につきましては、これはむしろ個々の事業について考えたらいいのじやないか。たとえば学校でございましたら、四十年もたつて老朽になつた、こういうようなものは全然ほかのことは考えずにこれは起債が可能だ、だれが見ても四十年もたつて倒れかけたような学校を放つておくことはできない、しかもそれは起債によらなければ、一村に一校しかない学校を、五十年に一回、四十年に一回建てかえるというのに一般財源ではまかなえないから、そういうものにつきましては、当然起債を認めてさしつかえない。あるいは公共事業につきましては、その負担に対して何割程度のものは起債で当然認められるのだというように、個々の事業についてある程度の目安がついて、それぞれの団体が財政計画、その当該年度の予算を編成する場合に古見当がつく、そういうようにすれば地方が財政上の自主性を確立する上において役立つのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/28
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029・床次徳二
○床次委員 ただいま御答弁がございましたが、そうすれば、地方財政の立場から見まして、償還能力を見ますると、大体幾らということは言えるのではないか。当局では大体持つておられるのではないか。但しさらに詳しく個個の事業別に検討しましても、大体結果的に総括いたしますと、同じ数字になるのではないかと思いますが、シヤウプ勧告にもありますし、当局としてはどれぐらいのことをわくとして考えておられるか。研究されたものがありますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/29
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030・荻田保
○荻田政府委員 まだ具体的には考えておりませんが、あの勧告にもありましたように、起債の利子総額が当該団体の税収入の一〇%とか、二〇%とか、それぐらいまででしたら、可能なことじやないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/30
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031・床次徳二
○床次委員 次に平衡交付金についてお伺いしたいと思いますが、平衡交付金につきましては、過去の実績に基いて今度改正法が提案されておりまして、大分よくなりつつあると思うのでありまするが、これを実施いたしました結果にかんがみまして、相当各地方からも不平が出ておる、これは御参酌になつたことと思うのでございますが、なお残つておるものがあると思います。二、三それに対して私意見を申し上げたいのでありますが、第一の問題につきましては、災害に対する考え方が、たとえば十三條の測定単位の補正の中に加味されてよいのではないか。寒冷度、積雪度というもの、これが考えられておりますが、これに対応すべきものとして、災害というものの相当の計数を当然考慮してよろしいのではないか。漠然たる特別交付金という制度によるものよりも、常習的にこれを加味すべき状態に入れていいのではないかと思います。これは過去の災害復旧の実情から言いますると、必要とする災害復旧が行われていないために、やはり地方に相当影響を及ぼしているのであります。いわゆる潜在しておりまするところの災害、復旧工事のされていないところの災害が残るために、地方に非常な財政的の痛手を与えているものでありまして、こういうものを測定するものがない。やはりこの中に一つの災害率というものを加えたらどうかという点が第一であります。
第二の問題といたしまして、これに類するものでありますが、寒冷地におきましては雪というものが大いに考えられておりまするが、降雨量というものが道路その他の被害におきまして、ずいぶん影響が大きいのであります。それで災害度を考慮するか、あるいは降雨量というものを見まするならば、これがやはり測定度として非常に有利なと申しますか、実際に近いのではないかというふうに私どもは考えるのであります。降雨量というものを測定単位に入れて考えますならば、やはり災害率というものはあるいは別個に考えてもいいかと思いますが、そういう一つの補正が必要であろうと思います。
それから第三点といたしまして考えられるのは、今日の交付金におきましては、いわゆる級地の考え方はよく取入れられてあるのでありまするが、地方におけるいわゆる僻地の問題が全然無視されております。離島を持つておりますところ、あるいは山村等におきまして、非常に交通不便のものが交付金におきましては考慮されていないという欠点があるのであります。従つてこれに僻地の段階をもう少し加える必要があるではないか。一番困りますのはいわゆる県庁まで出て参ります旅費が影響いたしておるのであります。また一般の生活費におきましても、僻地の点におきましては級地の点において、いわゆる給地の関係とむしろ逆にかなり加味しなければならないと思うのでありますが、これが今日の交付金法におきましては十分現われていないと思いますが、これに対する御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/31
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032・荻田保
○荻田政府委員 お述べになりました三点ともにわれわれは平衡交付金の上におきまして十分考慮すべき事情だと思つておるのでありますが、しかし概括して申し上げまして、すべてまだ正確にこれを算定し得るというような基準を認めませんので、すべて特別交付金の問題として今まで処置して来ておるのであります。一つずつ申し上げますと、災害につきましては一般分におきましては、いわゆるこの災害関係の経費のうちで大きなもの、災害復旧というようなものは、これはもう個々の地方団体だけの力では解決し得るものではなく、むしろ災害の国庫補助の問題で、これはもうほかの補助金と違いまして、その規模に応じて負担率がかわるというような財政調整的な作用も、一応加味しておるわけであります。その上でもやはり地方団体の負担が残りますので、それにつきましては一般交付金で処置しておるのであります。その他の問題につきましては、これはやはり年度途中で起るというようなことからしまして、大体特別交付金をもつて処置するよりしかたがないと思いますが、ただお述べになりましたところが、あるいはそういう個々の問題ではなくて、災害の多いようなところを一般的に割増ししてくれ、こういうようなお考えじやないかとも思うのでありまするから、そういうことにつきましては後の降雨量というような問題と関連して、何か方法があればよいと思いまするが、今のところちよつといい方法本見つからないわけでございます。こういう降雨量の問題につきましては、今申し述べましたように、なかなか的確な資料もつかめず、あるいはそれがはたして財政需要とどういうふうに計数的に関係があるかというようなことについての確信を持てませんので、特別交付金で処置しておる次第であります。
それから級地の問題に関しまして僻陣地の問題がございましたが、これは人事院で出ております僻陬地手当等の問題は、やはり特別交付金をもつて処置しておりますが、一般的に申しまして、お述べになりましたような、この人口が少くて——僻地とは結局人口の密度の少いところとなると思いますが、これはまあ一般交付金の補正の問題として取上げております。それからまた離島等のお話もございましたが、これも特別交付金の問題としまして、離島ということを一つの條件にして考えております。いずれにいたしましても全部確かに交付金制度について考慮すべき要素であると思います。しかしまだはつきりした基礎を得ない間は特別交付金をももまして、将来それについて確信のある方法がございましたら、普通交付金の問題としても処置できるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/32
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033・床次徳二
○床次委員 ただいまのお答えなんですが、実は各地方で調べました結果によりますると、現在までの行き方におきましては、相当不公平が出ておる、もうこれは府県別に調べれば、たいがい実情はわかつて来ておるのではないかと思います。特に僻地の問題につきましては、かなり明瞭に出て来る。換言いたしますならば、級地によつて、級地が高ければ高いほど、実は交付金をよけいにもらつて楽をしておる、特に教育費等についてこれを見ますると、級地の高い都会地におきましては、非常に有利である。いわゆる僻地におきましては、これは極端に悪くなつているというのが実情であります。これは単に人口密度だけでは補正し切れないのが今の実情であります。従つて特別交付金でやるわけでありますが、特別交付金では、地方では実際安定が得られないのではないか、これをできるだけ普通交付金の中に織り込むということに考慮すべき段階に来ているのではないか、過去の経験から見まして、もうぼつぼつお入れになつた方がいいのではないかという意味で、こういうことを申し上げたわけでありまして、さらにこれを一段と研究していただきまして、私の持つております資料、私の地元の県におきましては、これは明瞭に今日までの交付いたしました実績が実は逆に作用しておる。補正がし切れない。特別交付金におきまして、とにかく漠然と補正されているという状態で、ややその点は不合理だと思います。これは適当なときに改正していただくなり、あるいは改正の案を出したいと思いますが、さらにひとつ御研究置き願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/33
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034・荻田保
○荻田政府委員 御趣旨の点よく了承いたしましたので、研究いたしたいと思いますが、ただ特別交付金でも不安定だという点でございますが、これは初めのうちでありましたので、はつきりしたことはございませんでしたが、やはり特別交付金につきましてもつかみかねるというような意味でなく、むしろこういう事情というものはこれだけで出るのだということを、はつきり規則通りにうたつておきまして、地方団体が安心できるようにいたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/34
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035・門司亮
○門司委員 それではちよつと二、三点お聞きしておきたいと思いますが、それの第一に聞いておきたいと思いますことは、この前資料を要求いたしましたが、その資料の中の遊興飲食税の税収見込額に対する課税標準並びに課税額の問題でございます。この与えられた表を見ますると、大体千三百五十九億という数字が出ております。一体千三百五十億という数字は正しいのかどうかということに、私非常に大きな疑問を持つておるのですが、この点はいかなる角度からこれをお調べになつたかということです。これは昭和二十四年の調査によりましても、しかもこれは政府の調査でありませんで、業者が持つて参りました自主的のものによりましても、一千五百九十億という売上高が書かれておつたはずです。これは二十五年の税制改革のときに、われわれはこの税制を定めまするときの基礎の数字にしておつたのでありますが、二十四年ないし二十五年の税制改革のときですら、約一千六百億の売上げがあつたというのに、二十七年度において千三百五十九億という数字はわれわれ受取れぬのです。一体これはどこからお出しになつたのか、その点をひとつはつきりしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/35
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036・荻田保
○荻田政府委員 この見積りにつきましては、いわゆる理論的に考えまして、これだけとり得るというような見地と、もう一つは、現実の地方の徴税がどうなつているかというこの理論と、両者組み合せていろいろな数字をつくつております。従いましてそこにいろいろ議論の点があると思いまするが、もしこの遊興飲食税の見積り自体につきまして、必要でございましたら、後刻これを計算いたしました府県税課長を呼びまして、詳細御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/36
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037・門司亮
○門司委員 今の局長の答弁ははなはだ私承服しがたいのであります。それはなぜかといいますと、大体千三百五十九億という数字を出して、しかもこれはとれる何が違う、こういうお話でありますが、これは非常に奇怪でありまして、もし局長がそういうお考えであり、当局がそういうお考えだとするならば、なぜこの徴税額の課税標準の見込額に五五%の捕捉率を見ておるかということであります。今の局長の答弁が正しいとするならば、捕捉額は一〇〇%の捕捉額を見るべきだ。要するに課税されると思われる額だというお考えであるならば、当然これは一〇〇%の捕捉をしなければならぬ。ところがここには五五%しか捕捉してない。そういたしますと、この額は課税される額でなくて、実際の売上高でなければ、私はそういう議論のつじつまが合わぬと思う。売上高はこれだけあるが、しかし捕捉は五五%しかできないというのならば、これは話がわかります。しかしここに捕捉を五五%にしておいて、そうして売上高が大体課税される見込額であろうということになると、結局これは四分の一しか税金をかけないという議論が出て来はせぬか。これと同じような種類でありますたとえば入場税の場合は、一〇〇%捕捉しておるじやありませんか。しかも徴税率を九七%、九八%に見ておる。同じ税金でありながら入場税の方は一〇〇%捕捉して、徴税率を九八%と見ておる、あるいは九九%と見ておりまして、遊興飲食税の方は、徴税の基準になつておりまする額を非常に安く見積つておいて、そうして捕捉を五五%にして、徴税率も下つておる。同じように県で徴収いたします税金が、一方は一〇〇%とつて、その上に徴税も九九%徴収するということをはつきり数字に現わし、一方には捕捉を五五%しかしない。しかも徴税率はそれをさらに下つておるということであります。こういう非常に不公平なとり方、いわゆる徴税率は、ここに書いております通り八五%しか徴収しておらない。私は一体どういうことでこういうものが出されるかというのです。この捕捉を五五%にしたという根拠を、ひとつはつきりしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/37
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038・荻田保
○荻田政府委員 先ほど申し上げましたように、現実がどう動いておるかということが最も重要で、確たる財政計画を立てるのにはそれが最も重要だと思います。そういう意味におきまして、現在各地方団体が行つておりまするところの現実の状況を見まして、それから算定しております。従いましていきなり五五%という数字が出ると、非常に奇怪に思われるのはごもつともだと思いますが、これは現実の姿でございますので、いずれその理想的な徴税に将来は向つて行きたいと思いますが、とにかく現在の見通しとしては、この程度に見込むよりいたし方がないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/38
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039・門司亮
○門司委員 そういうふうに考えて参りますと、この税法自身が何かわからぬということになる。一体こんな法律をこしらえて、そして税金をとつておいて、片一方には先ほど申し上げましたように九八%、九九%の徴税をして、しかも課税は一〇〇%課税しておる。片一方は五五%しか捕捉しない。そうして八五%の徴税ということになつて来ますと、納税をいたしまする者の立場から言うと、非常に大きな問題が起つて来ると思う。この税金はいずれも業者の納めまする税金ではございません。遊興飲食税も入場税も、これはともに、一方は観覧者が納め、一方はそれを飲食する者が納める税金でありますから、業者はただ単なる納税義務者にすぎない。納税義務者の扱いまするものは、私はどうしても同じような率でなければならぬはずだと考えておる。もし遊興飲食税を業者が一〇〇%とつておるとするならば、四五%は業者がねこばばしているということを言つても過言でありますまい。こういうことを、国の税率をきめておりまする場合に、一体資料として出されるのはどうかと思うのです。これが本人の納めております収益税のような形なら別でありますが、これは収益税ではございません。御存じのように流通税の一種であることは間違いありません。流通税のとり方がこういうあいまいのとり方になつておるので、結局税金がなかなか納めにくい。もし現状が徴税しにくいというなら、今度の税制改革のときになぜ税法の改正をしておかないのか。この点もう一つお聞きしておきたい。
それからもう一つ大臣につつ込んで聞いておきたいことは、こういう形になつておりますものをごく好意的に私どもが考えますと、課税されております額が消費の額とにらみ合せて非常に苛酷である。法律できめたが、実際は非常にとりにくい、もう少し税率が下ればあるいは税金が納めよい、とりよいのではないかというようなお考えがあつて、そうして新聞その他によりますと、遊興飲食税を下げたいという御意向のようにも思われますが、そういう御意向で一体税制改革をなさる御意思があるかどうか、あわせてお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/39
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040・荻田保
○荻田政府委員 まつたくお述べになります通りでございます。なかなか遊興飲食税の徴税については現実問題として、種々の問題を起しておるわけであります。従つてこれをはつきりとこのような表にいたしますと、こういう数字が現われて来るのでありまして、これは制度の面及び実施の面におきまして、こういうことのないようにわれわれ今後努めて行きたいという考えを持つておるのでありますが、現実の状況から見ますと、そのような数字が出るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/40
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041・岡野清豪
○岡野国務大臣 私この前からたびたび申し上げておりますように、入場税、遊興飲食税というものは実際率が高いと考えております。でございますから将来やはり十割というような課税というものは当然下げなければならぬし、遊興飲食税にいたしましても、捕捉を確実にして、そうして同時に税率は普通の税率と同じようにして行きたいと考えております。ただいま仰せのように、売上高千三百五十九億が多いとか少いとかいうことは、私実はよく存じませんでしたが、しかしただいままでの情勢から行きますと、このくらいの程度しか遊興飲食税は徴税技術上とれない、こういう実情になつておりますから、それならもう少し税率を下げて、ほんとうの税金がかかるようにして行きたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/41
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042・門司亮
○門司委員 これは大体固定資産税についてもやはりそういう形を実は示しております。一々ここで数字を申し上げて抗議は申しませんが、固定資産税についても大体物価値上りと二十五年の算定の基礎にいたしましたときの数字とは、かなり大きな食い違いがあるようであります。いずれも逆算された数字でしようが、ほんとうに逆算すればこういう数字が出ないのであつて、これは正しい数字ではなかつたと思います。これはできるだけ当局は正しい数字による正しい税法に直してもらいたいということを強く要望しておきます。
その次に聞いておきたいと思いますことは、同じ地方税法の中の四百三條、四百十四條でありますが、この中に説明がありましたように「地方財政委員会」と書いてありまする上に、「道府県知事」という文字を挿入することに改正案ではなつております。ここで一つ聞いておきたいと思いますることは、今伝えられておりますように、行政改革の面から地財委がなくなるという前提のもとに、こういう「道府県知事」という字をお入れになつたのかどうか、この点をひとつお答え願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/42
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043・荻田保
○荻田政府委員 これは地方財政委員会がどうなる、こうなるという問題とは全然関係がございません。率直に申し上げましてこの前の改正のとき実は落したなうな次第でございます。つまり大規模の固定資産の配分を、初めの案では地方財政委員会だけがやるとなつておりましたが、その後改正のときに、一県内のものにつきましては知事が行えるようにした。その際にここの條文の改正を落しましたので、この際入れたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/43
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044・門司亮
○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますることは、これもまだ資料が全部そろつておりませんからはつきり申し上げることが困難かと思いますが、税以外の寄付金その他で地方の財政がまかなわれておりますのは、大体教育費において二十七年度は八十億くらいであろう。それから警察消防費が十八億くらい、こういうことに大体なつております。そのほかに国庫からもらつたものに対して返還するものは大体六億内外、約七億になりまするか、そのくらいの数字が出ておるのであります。地方財政を考えて参りまするときに、この教育財政に対するPTAその他の寄付金が八十億と書いてありまするが、この実際の数字も実は怪しいのでありまして、昭和二十四年度ですら御承知のように百三十三億という数字が出ておるのでありまして、この数字が昭和二十七年には八十億に減ろうとは私ども考えられない。しかしいずれにいたしましても大体こういう統計が出ておるのであります。こういう非常に多い寄付金の行為——綜合いたして参りますると、出された資料だけでも百億を越えるのでありますが、こういうものについて、もう少し地方財政に対する中央との税の開きを考えられたらどうか。それからもう一つ税の改正を行われる御意思があるかということ。寄付金その他を禁ずるということを、いくら地方財政法できめましても、現状が百億以上のものがなければ日本の教育ができないということになりますと、実際は会費とかなんとかいうことで、必ず住民の負担になることは間違いありません。それがなければ運営はできません。従つてまず当局にお聞きしておきたいと思いますことは、このPTAから正式に寄付されると考えられておりまする、いわゆる市町村が受入れ、あるいは道府県が受入れる公式の八十億、さらに消防警察費の十八億というようなものは、一体地方の純然たる財政であるというようにみなしておられるかどうかということであります。この点をひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/44
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045・荻田保
○荻田政府委員 ここにお出ししております数字は、元来公費で処理すべきもの、それにかわる寄付金という意味で出したのでございまして、もちろんこのほかにPTA自体でまかなつてしかるべきものもあるわけでありまするけれども、それはこの数字には入つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/45
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046・門司亮
○門司委員 大体わかつて来ましたが、そうすると今度の財政計画の、財政収入額六千八百六億という数字と、支出の七千六億という数字の中には、これらの数字が入つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/46
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047・荻田保
○荻田政府委員 この寄付金の中には、正式に公費に寄付金として受入れるものと、しからずして団体自体で公費にかわつて処置するものと二つあるわけでありますが、その前者におきましては一応財政計画の中に入つております。これは過去にも入つておりましたのでその数字を引延ばして入つております。団体自体で処置されるものは財政計画の外になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/47
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048・門司亮
○門司委員 今のお答えが問題になる焦点でありまして、何らかの名目で正式に寄付したものは、一つの財政の中に入れることは私は当然だと思いますが、それ以外に、PTAにいたしましても、あるいは警察保安協力会等にいたしましても、各警察署ごとに使われているものがある。同時にこれがある市町村におきましては、その財政に完全に受入れられて、完全に配分され、公平に使われているところもあると思いますが、ある市町村におきましてはこういうことをなさらないで、そして警察なら警察の独自の立場で、これだけのものを何らかの費用に使つているということがありがちだと思います。従つてこれは私から言わせますならば、公式に受入れたものだけが正しい数字でありませんで、先ほどから申し上げておりますような数字は、当然この財政の中に繰入れるべきものであるというように考えるのであります。
その次にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、例の国庫からの補助金に対しまする返還金であります。これが六億七千万円、約七億ばかり出ておりますが、一体この数字は地方の財政がこれだけ苦しいからこういう数字が出て来ているのであつて、従つてこの返還されておりまする数字も、やはり財政の中に包含することが正しいのじやないか。国から補助金を出しております場合にそれを受入れることができないために返したという数字は、当然国の施策の一環として地方の財政的な措置をしなければならないだろうと考えるのでありまして、これらの費用もやはり私は入れるべきでないかと考えております。ことにこの費用のうちで地方の財政で一番遺憾に考えておりますのは、六億七千九百万円ばかりの返還金の中で、四億二千万円というものは住宅資金を返しておるのであります。これは非常に住宅の足りませんときに、国の施策でどれだけ住宅資金を国が出すといいましても、地方の財政がないことのために、四億以上の金が住宅資金の中から返されているということになると、いつまでたつても住宅が建たないと思います。従つてこういうものについても、当然これは財政の中に見て計算すべきである。
それからもう一つは、この前の委員会でも問題になつて参りましたが、地方公共団体が補助金あるいは負担金を受入れておりましても、財政の窮乏のために事業繰延べという形で、帳簿の上では赤字になつておらない。しかし実際上はこれは赤字であるというのがたくさんあると思います。この数字がいまだに明確になつておりませんが、一体この数字をどれくらいに見積られているか。同時にこの数字は当然地方財政の中に繰入れて、地方公共団体の当然負担すべき費用であると考えますが、こういうものは財政計画の中に入つているかどうか。もし入つているとすればこの数字がどのくらいになつているか。その数字をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/48
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049・荻田保
○荻田政府委員 第一点の公共事業費を返還した問題でありすが、これはこの前から申し上げておりますように、一ぺんにきめるのではなくして、たびたびそれぞれ主務省と当該地方団体との間におきまして、これだけ出すが受入れるかどうかという交渉があつてきまるのでありまして、一応最終と申しますより、相当終りの段階におきましてきまりました額のうち、返したものを書いてあるのであります。従いましておそらくこの金は、さらにまたほかの財政の持ち得る団体に補助金として交付され、そこで事業が行われておるものだと思つております。従いまして全体におきましてはこれは余つたことにはなつていないのであります。しかしおつしやいましたように、仕事そのものはその団体にさした方がいいのだ、しかし財政が苦しいから受けられない、こういうことはまことに遺憾なことだとわれわれも考えております。やはり仕事を第一順位的にやらなければならないところに、必ず処置できるようにするということが、われわれとして努むべきことだと思います。その意味におきまして、先ほどからお話になつております。地方債等の問題が少し額が小さいじやないか。ことに公営住宅等につきましてはその感じがしておるのであります。
それから第二の、この受入れた金を繰越したという問題でございます。これは財源がなかつたから繰越したという問題もございますが、大きな工事でありますので、やはり工事自体が来年度に延びたというようなものもあるのであります。財政計画の面におきましては、こういうのは大体これまで毎年あるものでありますから、つまり財政計画の表がある年度において少しずれたというような観点から、それぞれ歳入歳出が組まれておりまするから、この繰越しになつた分も計画自体の中には入つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/49
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050・大泉寛三
○大泉委員長代理 ちよつと門司さんひとつ今度は午後からまたやりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/50
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051・大矢省三
○大矢委員 ちよつと関連して……。この解釈ですが、地方財政法の改正に寄付金の禁止の問題がある。それは「寄付金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」ということが書いてある。数日前の国警の寄付についても、強制はしておらぬ、これは自発的だ、割当てるんじやないのだということで、一体こういう法律をこしらえても、その点で自由に従来通りできるならば、一体何のためにこういう規定を設けるのか。これは私はよほど厳重にしておかぬと、割当ではない、自発的だと言つて、しかもこの自治体警察、消防はのけて、国警だけで二億数千万円に本寄付金が及んでおる。これが教育その他で厖大な寄付金を集めている。とる方もとられる方もいやだがいたし方がない。やはり学校、警察、消防となると半強制的にさせられる。そこでもしこういう規定を置くのなら、それと同時に、この解釈の問題と、これらを禁止した場合の赤字をどう補填するかという裏づけが、はたして考えられておるかどうか。制限外の相当な課税をやつておる。ミシンなんか税をとらぬでもいいと思うが、相当とつておる。これは結局地方の自治体の経費が足りないから、こういうことをしていて理事者がやらなければならない。とられる方も迷惑だ。従つてこういうことを禁止するなら、これにかわるべき財政の処置がとつてあるか。この文句なんか「割り当てて」ということが使つてある。割当でなければいいか、それから強制的でなければいいのかということになると、現にあなたたちの前で国警の長官があれは当然だと言つておる。こういう不見識なことはないと思うから、これの解釈と、それからこれを実施した後におけるところの赤字に対してカバーするどういう具体策があるか。この二点を私は次の質問のときに重複しては迷惑だと思いますから、この機会にお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/51
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052・岡野清豪
○岡野国務大臣 私が申し上げるよりも、事務当局が申し上げる方がむしろ詳しいのですが、これは根本原則といたしましては、お説のように、今まで国家がいろいろな施策をいたしますと、寄付金なんかをむやみやたらにとつて、そうして地方公共団体が困る立場におりますので、地方財政を堅実にして行く意味において、そういうような強制的な割当の寄付はさせない。そういう地方財政の健全性を確保するためにつくつた法律でございます。しかしながら御承知の通りに世の中にはいろいろ事情もございましようから…。と申しますことは、実はその地方公共団体の方で、ある国の施設をその村とか町へしてもらいたいという希望も、ときにはあるのでございます。そういう場合には自発的にぜひこちらに来てもらいたい。そのためには、土地も寄付しよう、建物寄付しようというようなことを申し出るところもあるのでございます。これは社会の実情でございますから、社会の実情を阻止するわけに参りませんから、自発的に出す寄付金は法律の上にはうたわない。しかしながら今後強制的に出させられては、地方財政はたまつたものではない、こういう建前からこういう規定をしたわけでございます。しかし国警がああいうふうに寄付をさせるのだと言つておるから、今回何らこの法律をつくつても有効じやないじやないかというお説も、これも一応ごもつともでございますが、しかし一応地方財政法にこれだけ書いておきますれば、地方団体としても割当られたり、強制されたりするようなことからまぬがれ得て、地方財政を堅持することができる、こういうような一つのねらいもありまして入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/52
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053・大泉寛三
○大泉委員長代理 昼食のため、暫時休憩いたします。
午後二時から再開いたします。
午後零時四十五分休憩
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午後三時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/53
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054・大泉寛三
○大泉委員長代理 休憩前に引続いて再開いたします。
地方税法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を一括議題といたしまして質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/54
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055・大矢省三
○大矢委員 午前中の私の質問に対して答弁がなかつたのですが、こういう規定をつくつて寄付を禁止した場合の地方財政の赤字に対しては、どういうかわり財源をもつて充てるか、ただ規定だけをつくつたのでは地方財政に至つて困窮すると思いますが、その点のお考えをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/55
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056・荻田保
○荻田政府委員 特に寄付禁止に伴うかわり財源というようなものを、地方財政計画の中には立てておりませんけれども、物件費の値上りあるいは単独事業の増加というような経費をある程度見込んでおりますので、それに振りかえることが可能だと、われわれも考えております。そういう意味におきまして、寄付をやめた場合の財源が、財政計画の上に見てあるというふうに考えおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/56
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057・大矢省三
○大矢委員 この資料をもらつたんですが、教育関係に対する寄付、それから警察、特に国警ですが、地方自治体並びに消防はまだもらつておりませんが、これらを合せますると相当な金額に上る。そこでもしこれを禁止した場合に、どの程度寄付が減ずるのか、もつと言いかえますると、自発的に出した寄付が幾ら幾らあつて、個人、団体という区別をしておりますが、これらは一体どの程度に金が減るのか。この法律が通過した後において、いわゆるこの団体の割当とか割当でない自発的なものという区別をした場合に、これらの費用が一体どのくらい減ずるのか、その辺の見込みをひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/57
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058・奥野誠亮
○奥野政府委員 大矢さんの御質問はたいへんむずかしい問題でして、調査いたしましても、これは自発的に寄付せられたものである、これは割当てられたものであるというふうな区分がつけがたいわけであります。ただいま地方財政法に挿入しようといたしておりまする規定の趣旨も、従来からは当然そうあつたはずなんでありまして、閣議決定におきましても、しばしば寄付金を求めるようなことをしてはたらないというふうなことを繰返しておりまして、地方団体にもその都度連絡いたして参つたのでありますけれども、なかなかそういう本旨が達成されがたかつたわけであります。その原因はどこにあるかと申しますと、やはり午前の会合にも大矢さんが指摘されましたように、国なり地方団体なりの予算の編成の際に、すでに無理があるのじやないだろうかどうだろうかという問題であります。もう一つは、国民の側に官からいろいろと話を持つて来られた場合には、言いたいこともよう言わないというような点、言いかえれば民主化がまだ十分行き渡つていないというような点が問題であります。あるいはまた多少ボス的な存在が従来からあつて、特に進んで迎合的な態度をとろうとした人たちもあつただろうと思います。こういうような面を一々考えて参りますると、予算の面におきましては、国家予算において十分御審議をいただいたであろうと思いますけれども、地方財政計画の面においては、ただいま荻田局長からお話されましたように、漸次改善の方向に向つているわけであります。反面にまた国民の側につきましては、法律で明示することによりまして、漸次そういうような注意を喚起して行きたいというような考え方でございますので、こういう法律をつくつたから、ただちにわれわれが期待するような姿になるんだというふうに期待することは困難でありますけれど、漸次そのような方向に促進されて来るであろうということは、十分期待されるというふうに考えているわけでありますが、遺憾ながらこれを数字にわけて申し上げることは困難であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/58
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059・大矢省三
○大矢委員 もちろんこれはなかなか的確な数字というものはわかりにくいかもしれません。大体このくらいは減るであろうとか、この法律の趣旨を徹底しさえすれば、現在の寄付金がどの程度に負担が軽くなるであろうというのか、いやまつたくそれを知りつつ行つたので、この程度より減らぬというのか、今申しましたように、地方財政の予算の編成の上にも大きな影響がある。もしこういう今度の法律を厳重に守ろうとしますると、従来の寄付金をよすことが可能であるかどうかということ、これはただちに問題になります。それから漸次これをやつて行つてそうなるであろうと言いますが、やはり法律をこしらえるからには、そのできた法律というものの権威のために、これこれはいかぬ。もしそういつたものがあつた場合には、それを停止なりあるいは返還するという程度の熱意がなければいけない。どうもその点は自治庁は監督するでもない、せぬでもないというルーズな——あるいは実際の地方自治体の意思というものを尊重すると、かくあるべきが妥当かもしれませんが、前にもほかの議員から質問がありましたから私は繰返しませんが、この法定外の課税でもずいぶん方々でいろいろなものをやつておる。これだと法律をつくつたその権威というものは何にもなくなるのではないか。この点も私ども正確な数字はわからぬかもしれませんが、この規定を実行すれば、今の現に資料をもらつた寄付の中からどのくらい減るのか、あるいはこれは大体自発的だからして、この程度しか減らぬと思われるのか、これは相当額に上ると思いますから、この正確な数字はわかるはずがないですから、その見込みでも、大体このくらいはやむを得ぬだろう、これは半分くらいになるだろう、そのくらいの見通しがなくて、この法律をつくつても何にもならぬです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/59
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060・荻田保
○荻田政府委員 まことにごもつともな御質問だと思いまするが、まあ非常にむずかしいことでございまして、この寄付金のありますことは事実でございますが、そのうち先ほど申しましたように自主的なものと、強制的なものとの区別がございますし、それからまたその中にもまつたく公費で当然支弁すべきものもございますれば、あるいはむしろそれは寄付金があるがゆえに、そういう仕事をしてもいいというような性質のものもございます。従いまして、この法律が成立施行になりました場合に、はたしてどれだけの金額が減るかということは、非常にむずかしいのでございまして、これは一方におきまして、この法律によりまして寄付金をやめるということによつて、寄付金はとらないんだということが、地方団体側はもちろん、住民にも徹底すれば、それによつて従来寄付金があるがゆえに仕事をしておつたというような性質もあるのでありますから、そういうようなものは相関的な関係をもちまして減少して行くだろうという考えを持つておるわけなのであります。従いまして、今明確にどれだけということはちよつと申し上げられぬのでありますが、おいおいその効果が現われるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/60
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061・大矢省三
○大矢委員 次にこの教育費並びに校舎建設、すなわち六・三制の問題になるのですが、他の議員からも聞かれたと思います。特に戦災都市、私は大阪の例を引きたいと思いますが、大阪は二十二年に約十九万であつたのが、二十六年度には三十二万に児童が増加しておる。これは疎開先から帰つて来たということもありまするし、それから府の特殊学校に校舎を借入れておつたのが、返済しなければならぬという結果から来たのであります。これは全体の数でありますけれども、特にこの中央部の増加率というものは非常な大きなものです。一・六倍くらいになつているようでありまするが、大阪府のごときはまつたくこの校舎の建築に困つておるのであります。それでその補助金と申しまするか、地方債にわくがあり、さらに補助金にも限度があつて、何か聞くところによりますと、この二十四年度の児童数を押えて、それに対する一人当り幾らの補助ということになつているそうでありまして、そうなりますると、その後における増加率というものは、これはちよつとも認められておらぬ。このために地方からずいぶん陳情もあるいは請願も来ますが、これはただに大阪だけではないと思います。特に戦災都市が同様な苦痛をなめておると思いまするから、何か地方財政委員会なり、あるいは自治庁においてそういう特殊な事情にある六・三制の校舎増築の問題について、大蔵省並びに文部省いずれからか話があつたか、こちらから積極的に話をしたような事実があるのかないのか、この問題は非常に地方で教育の癌になつておりますから、この機会に経過をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/61
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062・荻田保
○荻田政府委員 義務教育の学校すら完備していないということは、非常に地方財政、あるいは広く国政全般におもしろくないことだと思います。われわれといたしましても、種々の地方財政の問題を考えます場合に、何としても義務教育ということは優先的に考えておるわけであります。そこで具体的には、今おつしやいますように、この問題につきましては補助金と起債の問題だと思います。補助金につきましては、戦災の復興あるいは災害の復旧というようなことにつきまして、一部の補助金がありますほかは、六・三制の新しい中学校の建築につきまして、ただいまおつしやいましたような〇・七坪というものを標準にして、国から補助金が二分の一出るという建前ができておるわけであります。ところがこの〇・七坪ということ自体が非常に無理がありますし、とうていそれでは満足な義務教育ができない。いわんや先ほどおつしやいました点、私ははつきり存じませんが、たしか三年ぐらい前に、坪数をはじき出して、それによつて必要な数を、三年間ですか四年間ですか、大体二十七年度までに完成するというような、年度割的な考えで補助金を出しておりますので、その後における児童数の変化というようなことも、大いに考えなければならぬ問題だろうと思うのでございます。そういう問題につきましては、われわれとしましては、地方財政計画を立てる場合に、常に大蔵省の方に話しておる次第でございます。それから次の起債の問題につきましては、起債をあてなければならない費目が多いのでございますけれども、でき得る限りこの義務教育関係の施設には優先するというような趣旨におきまして、たとえば公共事業費の起債の中でも、六・三制の建築費の部分だけは、特別扱いをいたします。またいわゆる単独事業、補助金のない事業、老朽校舎の復旧というような面につきましても、いわゆる単独起債の中の相当大きな部分を、これに特別のわくをきめて持つて行く。二十七年度あたりもまだ決定しておりませんけれども、なるべくその方に持つて行きたいというふうに努力して、従つて反面におきましては、他の事業にはなかなか起債がまわらないというようなことになるかもしれませんが、とにかく義務教育は完成させたいという趣旨で、われわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/62
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063・大矢省三
○大矢委員 いま一つ、政府は地方の事務簡素化について熱心にやられておるようでありますが、先日衆議院を通過した住民登録法施行法も、相当な費用がかかるのではないかと私は思います。これに対して一体実際に金を幾らやる計画か、それで全体でどのくらいかかるのか。それからこれも、われわれたえず二重監督行政の結果だと思いますが、いわゆる外国人登録法によつて、約七十万に近い外人登録があります。特に大阪は一府で五万人くらいの朝鮮の人がおりますが、こういう人の再登録その他いろいろな手続上の煩瑣な仕事があつて、また地方長官の許可を得て、それによつて初めて出すというような、いろいろな手続があるのですが、これも三百人くらいの村と同一な手続をしなければならない。しかも厖大な数に上つておるということであるが、これらの費用も、一体政府が見るつもりなのかどうか。事業ばかりやらせて、そしてその費用は見ないというなら、もしこれは法律的に強制することができない場合には、もう耐えられないからやれませんといつた場合に、一体どうなるのか。従つて法律を通す場合には、事務が煩雑になるけれども、ひとつやつてくれということで、費用の裏づけがなしに法律だけは通して、そして実際に実行が困難というようなことになると、これはたいへんなことになるが、一体費用が幾らかかつて、幾らやるつもりであるか。外国人登録などは、その一例をあげたのですが、そういう仕事が次から次にふえて来る。ことに正確に一つの国政を行おうとすると——特に政府は統計局というものをこしらえたのですが、これは当然のことで、われわれもそれがなければならないと思います。確実なデーターなしに、政治は行われないのですが、これら統計調査一切が、次から次にあらゆる機関からばらばらに出ている。こういうことはまつたく地方なんか困り抜いておる。こういつた費用も、はたして政府は相当見るのかどうか。見なんだ場合に、拒否していいのかどうかということを、ひとつこの機会に、自治庁はそういうことをよく知つておられると思いますから、それに対する対策とか方針を、この機会に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/63
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064・奥野誠亮
○奥野政府委員 大矢さんのまことに御見識の深い御意見を拝聴いたしましたが、ただ財政的な面につきましてだけお答えいたしたいと思います。住民登録に要します経費は、臨時的な経費と経常的な経費にわけて考えなければならないと思います。臨時的な経費につきましては、住民登録法の制定当時から、全額国費でまかなうというふうに話ができておるわけであります。その結果国家予算にも計上されているわけでありますけれども、住民登録票の作成、あるいは附票の作成、これらのものは現物を国でつくりまして、市町村に交付するということになつております。また最初に登録いたしますときには、調査員を使わなければならないわけでありますけれども、調査員の手当につきましても、国費で持つことになつておりまして、それらの経費も予算に計上されておるわけであります。経常的な経費につきましては、反面世帯台帳の作成が不要になるとか、あるいは寄留法が廃止されるから、そちらの方でも経費がいらなくなつて来る。そういうふうないろいろな関係から、むしろ負担は減つて来るのではないだろうか、こういうふうな考え方も一部あるわけであります。そこで昭和二十七年度の地方財政計画をつくります際には、住民登録法がかりにしかれても、地方団体の負担は増額しないという建前をとつて参つて来ております。しかしながら平衡交付金の基準財政需要額をきめます際には、戸籍事務費を住民登録費に改めまして、住民登録の関係だけで十四億三千二百万円程度のものが、必要ではないだろうかというふうな考え方をとつておるわけであります。しかし反面寄留関係の仕事がなくなつて参りますので、戸籍事務費十二億八千万円程度のものが九億五百万円程度になるだろう。従つて純増としては十億四、五千万円ではなかろうかというふうな考え方を持つておるわけであります。しかし地方財源全体としましては、別途に、先ほど申し上げましたように、世帯台帳等で経費も浮いて来る面がありますので、地方の負担額自体には増減はないだろうというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/64
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065・門司亮
○門司委員 当局にちよつと聞いておきたいと思いますことは、直接地方財政に関する法律案として、この委員会にかけられておるものではありませんが、今大蔵委員会にかかつております国有財産特別措置法案、この内容は地方の公共団体に非常に大きな関係を持つ内容でありますので、委員長にお願いいたしますことは、ひとつ大蔵委員会と連合審査の委員会の申請をしていただきたい、こう考えておるのであります。これを委員長にあとでお諮りを願いたいと思います。当局に聞いておきたいと思いますことは、この法律によりますと、国の持つております国有財産のすべてとは書いてはありませんが、ここに書いてありますのは、学校であるとかあるいは病院であるとかいうようなものを、大体払い下げるように書いてあります。医療施設及び保健所というもの、それから社会福祉事業法の二條に規定してある社会福祉事業の用に供する施設、あるいは学校教育法の一條、九十八條に規定する学校の施設、それから社会教育法に規定してあります公民館あるいは図書館、博物館、それから職業安定法に定めてあります公共職業指導所の設置、それから住民に貸与いたしております住宅の施設、こういうものをたくさんずつと書いてあります。そうしてこれが全部、あるものは時価の五割で払い下げる、あるものは時価の三割で払い下げるというふうにずつと書いてありますが、住宅などは大した影響はないかと思いますが、いずれにいたしましても、地方公共団体では財政的に非常に大きな影響を持つ一つの法案でありますので、これについて自治庁の、あるいは地方財政委員会の意見としては、どういう御意見をお持ちになつているか。それから同時にこれらの移譲されたものが参りますと、勢い支出を伴つて参りまするが、これは自治庁としては起債その他でこれが許されるものであるか、あるいは現金でなければ買えないことになつているのか、これをひとつ自治庁の御意見を先にお伺いしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/65
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066・荻田保
○荻田政府委員 この点はむしろこの法律によりまして改善になるのでありまして、従来の国有財産法では時価払下げということが原則になつております関係上、地方公共団体が公用に使う場合でも、そういう原則が適用になつて来る。それでこの法律によりまして、そこにあげられておりますようなものにつきましては、特に時価より安くなるということになりますので、われわれとしましては適当な改正だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/66
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067・門司亮
○門司委員 どうも安くなるから適当だというお話でありますが、その内容をずつと調べてみますと、大体国がもくろんでおります払下げをしようとする病院は、赤字の病院だけのようであります。赤字の病院を背負い込んでは、ただもらつても経費がよけいかかつて困ります。それから同時にこれは地方的には実際の問題として、軍の施設でありましたものなどは、非常に片寄つた施設でありまして、国が経営しておれば何とか形はできますけれども、それが地方の公共団体に移譲されて参りますと、非常に片寄つたところに病院があつて、利用率がずつと減つて来るような関係上、従つて経営ができなくなつて参りますれば、やはりそれだけ——せつかく国でやつておりますときにはある程度の医療の効果を発揮しておりましても、地方の団体がこれを讓り受けては困るかうなことがたくさんあると思います。従つてこういう面についてただ単に安く払い下げられるからいいということでは、私はこの問題は済まされないと思います。自治庁の方ではどういうふうにこれをお考えになつているか。もう少し詳しくお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/67
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068・荻田保
○荻田政府委員 国立病院の地方移管につきましては、ただいまおつしやいましたような趣旨におきまして、その移譲に問題があつたわけでありますが、初め相当強制的な移管ということも、厚生省の方で考えておつたようでありまするが、そういう見地からしまして、これはまつたく自由意思による移管、つまり納得したものだけ引取るというふうに根本の建前をかえたわけであります。従いまして赤字が出て非常に困るというようなところはもちろん引受けませんし、かりにそれでもやはり公的な施設としてやつて行こうというところでしたら引受けるわけです。それからまたその移管いたします病院そのものにつきましても、相当の経費を国費として出しまして、移管するまでには設備も整備する。そうして収支償うようにして渡す、そういう経費も国費に見込んでおるようでありますので、必ずしもこれによりまして地方に財政的な負担を多く押しつけるというようなことはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/68
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069・門司亮
○門司委員 ちよつと私さつきの質問の中で答弁が落ちておりますので、もう一度お尋ねいたしますが、なるほど経費につきましては六億と少しばかりの金を見ておるようであります。そうしてそれで整備をするといつておるようでありますが、私がさつき聞いておりますのは、国有財産を払い下げる場合に、起債がこれに対して許されるかどうか、特別な起債を自治庁はお考えになつているかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/69
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070・荻田保
○荻田政府委員 一般的に国有財産を払い下げるということにつきまして、特別の起債を許すわけではございません。ただたとえば学校の払下げを頼むという場合には、それは学校建築の起債として、その団体で学校が必要ならばその起債を認めるわけでございます。
それから国立病院の今回の移管につきましては、これは年賦償還という杉で返す一種の起債、地方債として払下げが受けられる、そういう措置を講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/70
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071・大泉寛三
○大泉委員長代理 ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/71
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072・大泉寛三
○大泉委員長代理 速記を始めて下さい。
この際お諮りいたします。先ほど門司委員から、ただいま大蔵委員会において審議中の国有財産特別措置法案に対して、大蔵委員会と連合審査会を開催いたしたいとの発言がありましたので、本法案について連合審査の開会を申し入れたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/72
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073・大泉寛三
○大泉委員長代理 それではさよう決定いたします。
明日は午前十時から開会いたします。本日はこれをもつて散会いたします。
午後三時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02419520402/73
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