1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月三日(木曜日)
午前十一時三十七分開議
出席委員
委員長 金光 義邦君
理事 大泉 寛三君 理事 河原伊三郎君
理事 野村專太郎君 理事 床次 徳二君
理事 門司 亮君
有田 二郎君 押谷 富三君
川本 末治君 橘 直治君
辻 寛一君 前尾繁三郎君
三浦寅之助君 吉田吉太郎君
藤田 義光君 大矢 省三君
立花 敏男君 大石ヨシエ君
出席国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
総理府事務官
(地方財政委員
会事務局長) 荻田 保君
地方自治政務次
官 藤野 繁雄君
総理府事務官
(地方自治庁次
長) 鈴木 俊一君
総理府事務官
(地方自治庁財
政課長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
專 門 員 有松 昇君
專 門 員 長橋 茂男君
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四月二日
町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例
に関する法律案(河原伊三郎君外五名提出、衆
法第二六号)
同日
公職選挙法の一部改正に関する請願(鈴木善幸
君紹介)(第一八三七号)
純舞踊の入場税減免に関する請願(野村專太郎
君紹介)(第一八八三号)
国有鉄道の信濃川発電所に対する施設税課税に
関する請願(猪俣浩三君紹介)(第一八九六
号)
大阪の特別市制実施に関する請願外一件(有田
二郎君外二名紹介)(第一八九七号)
同外一件(押谷富三君外三名紹介)(第一八九
八号)
同外一件(押谷富三君紹介)(第一九二〇号)
特別区の組織及び運営に関する請願(鈴木仙八
君外二名紹介)(第一九二一号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
地方議会議員の国会議員選挙立候補禁止解除に
関する陳情書(
第一一一五号)
地方議会の議員定数縮減及びその権能縮小反対
に関する陳情書
(第一一一六号)
特別市制実施反対に関する陳情書
(第一一
一七号)
大阪市の特別市制実施促進に関する陳情書外一
件
(第一一一八号)
特別市制反対に関する陳情書外二件
(第一一
一九号)
同
(第一一二〇号)
警視庁の国警編入反対に関する陳情書
(第一一二一号)
地方財政確保及び義務教育費全額国庫負担に関
する陳情書
(第一一二二号)
日刊紙以外の新聞雑誌の選挙報道制限に関する
陳情書(第一一二三
号)
宿泊料に対する遊興飲食税減免に関する陳情書
(第一一二四号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七四号)
地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二二号)
地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/0
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001・金光義邦
○金光委員長 これより会議を開きます。
地方税法の一部を改正する法律案、地方財政法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題として、きのうに引続き質疑を続行いたします。質疑を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/1
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002・立花敏男
○立花委員 平衡交付金法の問題で質問しておきたいのでありますが、平衡交付金法によりますと、平衡交付金の建前は、大臣の説明書にもありますように、地方行政を行う場合に要する財源を完全に保障することとあるのでありますが、これがやはり完全に行われていない。地方行政費の完全保障という建前であるべき地方財政平衡交付金が、その役割を果していないということに問題があるのだろうと思うのでありますが、平衡交付金法を改正するのであれば、その点を改正するのが私一番主眼じやないか。従来平衡交付金法が制定、施行されましてから数年になりますが、その間にいずれの年度におきましても、やはり平衡交付金が非常に過少で、国の予算の関係上地方の必要とするものが與えられていない。
〔委員長退席、河原委員長代理着席〕
従つてこの地方の財源を完全に保障するということが果されていないということが問題であり、しかもそれはもう生々しい事実なんですから、この弊害を除去することが、平衡交付金法の改正の主眼でなければならないと思うのでありますが、今回の改正案はこの点にあまり触れられていないと思うのであります。その点をどういうようにお考えになつておるか。平衡交付金法の根本生命である地方財源の完全保障ということは、従来の通りそれが行われなくてもいいのだというお考えなのかどうか、これをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/2
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003・荻田保
○荻田政府委員 おつしやいますように、平衡交付金を通じまして、地方財源を完全に保障するということが、平衡交付金法の生命だと思います。それを達するのに現行制度でいいか悪いかということにつきましても、われわれ十分研究したのでありまするが、少くともその方向に向つて一歩を進めるために、たとえば単位費用を法定して、基準財政需要というようなものの測定がはつきり法律に出て来る、それに一歩近づけて行きたいという趣旨で改正を加えたのでありまして、決して総額確保の問題について、なおざりにしておるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/3
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004・立花敏男
○立花委員 そういたしますと、今回のこの改正、標準單位の問題だとか、あるいは單価の問題であるとか、こういう改正が具体的には平衡交付金の増額になつて、地方財政を完全に保障するという役割が果せる、少くともその一助になるというわけでおやりになつたと思うのですが、地方財政委員会で考えておられるこの單価あるいはこの單位で計算いたしまして、これをたとえば二十六年度にあてはめました場合、あるいは二十七年度の予算をそういう形で編成いたしました場合に、二十六年度の千二百億あるいは二十七年度の千二百五十億、これがどれくらいに増額されるのか、これを承りたい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/4
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005・荻田保
○荻田政府委員 地方財政全体といたしましては、地方税あるいは地方債あるいはその他の收入も、地方財政平衡交付金と同じく財源でございます。そういうものを総合判断いたしまして、二十七年度の財政需要にマツチするようにしたわけでございます。平衡交付金だけについて申し上げますれば、御承知のように基準財政需要は平衡交付金総額の百分の九十二、それから地方税の百分の七十、これだけをもちまして基準財政需要に充てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/5
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006・立花敏男
○立花委員 ちよつとあいまいでわかりませんが、二十七年度は現行の単価と単位で計算されて、千二百五十億という金が出て来ておると思う。それを今提案されておりますこの改正案によつて計算すれば幾らになるか、こういうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/6
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007・荻田保
○荻田政府委員 基準財政需要について申し上げますれば、まず府県分は二十六年度の総額が千四百七十四億余でありまするが、これが千六百八十一億余になりまして、二百億程度の増加になります。市町村分につきましては、二十六年度が千百八十四億でありまするが、これが千三百六十三億になりまして、百七十八億の増加になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/7
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008・立花敏男
○立花委員 いや、お答えの何が違うのではないか。私二十六年度と二十七年度を比較してその増額を示していただきたいと言つておるのではありませんで、たとえば単位のとり方あるいは単価の計算の仕方がこれで変更されている。そうすればそれによつて現行法では千二百億になるものが、改正された単位のとり方あるいは単価によると、どれだけそれが増額されるのかということをお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/8
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009・荻田保
○荻田政府委員 そういう御質問でございましたら、先ほどの御答弁でいいんだと思いますが、地方財政はあくまで税と平衡交付金とによりまして基準財政需要を計算しておるのでありまするから、その基準財政需要の増額が今申しました通りで、それにマツチする平衡交付金としましては、千二百億が千二百五十億になればよろしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/9
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010・立花敏男
○立花委員 そうではないと思うのです。現実の姿は千二百五十億では足りないから、千三百億を地方財政委員会は要求されたはずです。去年も政府が出しましたよりも、多額の平衡交付金を要求されたはずです。それが減額されまして千二百億あるいは千二百五十億になつておりますので、ほんとうの平衡交付金はもつと多くなければいけないというのが現実の姿なんです。そういう意味におきまして先ほど申し上げましたように、地方行政の費用を完全に保障するという役割を果すべき平衡交付金の役割が果されていなかつた、端的にいいますと、絶対額が必要額を満たしていなかつた、絶対額が非常に過少にあつたということなんです。だからその絶対額をふやすことが問題なんで、そういう点について今度の改正は十分考慮が拂われておるかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/10
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011・荻田保
○荻田政府委員 地方財政委員会の当初要求しました千三百億の平衡交付金額が、千二百五十億に減つたという問題につきましては、この委員会におきまして、ことにあなた方の方の御質問に対して、たびたびお答えしておるのであります。地方財源は何も平衡交付金だけではなくて、地方税と合せての地方財源であります。当初千三百億の平衡交付金を要求しましたときは、附加価値税を実施するという前提のもとに計算したのでありますが、その後附加価値税をやめて事業税になりましたので、平衡交付金の五十億の差額は、その税の増収によりまして、完全に充足されることになつたわけでありますから、地方財源総体としては、千二百五十億に平衡交付金がなりましても、少しも欠陷はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/11
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012・立花敏男
○立花委員 それはまつたく詭弁でありまして、そのことは前にも話しましたから繰返して申しませんが、とにかく千三百億の要求を出しておきながら、総理大臣の一本の書簡でそれを五十億も引下げるということは、常識的には考えられないことであります。これは幾ら強弁されましても、私ども納得ができません。それは前年度を見ましてもその例がありますので、平衡交付金が十全の役割を果して来たということは、地方の自治体自身がよく知つております。平衡交付金がほんとうにその使命を果しまして、大臣の説明書にあります地方行政を行う場合に要する財源を完全に保障すること、それが地方財政平衡交付金の使命であるとするならば、その点がやはり抜けておつた。従つて今度の平衡交付金法の改正によりまして、平衡交付金がその本来の使命に帰りまして、決して地方の予算に左右されることなく、地方の財源を完全に保障するという建前のものにすることが、改正の根本趣旨でなければならないと思うのです。その点がちつとも触れられていない。地方財源を保障するのは、地方税と平衡交付金と関連して保障するのだから、平衡交付金は少くても一地方税でよけいとればいいのだというようなお答えは非常に不可解であります。地方税には限度がある。地方の赤字を克服するためにはどうしても平衡交付金でまかなわなければならない、そういう意味で平衡交付金が地方の財源を完全に保障するものであるということがうたわれておると思うのです。あなたの言われることに従うと、平衡交付金には地方の財源を完全に保障する役割はないのだ、ほかのものと合せて完全に保障すればいいのだということになりましてこれでは平衡交付金本来の使命は、非常に影の薄いものになつてしまう。だからこそ私たちはよけいにそれを問題にするわけです。平衡交付金どんどん減らされて行くと、逆に地方税がどんどんふやされて行く、地方税と平衡交付金と関連して地方財源を満たせばいいという建前に立ちますと、平衡交付金が国の予算関係上どんどん減らされた場合、その穴埋めは当然地方税に転嫁して来る。でありますから、この改正の根本趣旨といたしまして、地方財政委員会としてはどういう基本方針でやられるのか、すなわち地方財政平衡交付金本来の使命である財源を、完全に保障するという建前でやられるのか、あるいはこれは地方税と合してやればいいので、平衡交付金としては、決して財源を完全に保障するというようなことはやらなくてもいいのだ、それは国の都合で減らされても地方税で穴埋めをして行けばいいのだという考え方でやられるのか、その点を聞いておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/12
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013・荻田保
○荻田政府委員 この点につきましては、たびたび御説明申し上げておりますように、単に総理大臣の一片の手紙でもつて五十億を減らしておるのじやなく、あとからすぐ地方税法の改正案という具体的の裏づけをしておるのであります。また常識的にわからぬとおつしやいますが、これだけ御説明すれば、常識でもおわかりになると思うのでありますが、かりにちよつと表をごらんになりましても、歳入歳出が合つておることはおわかりになると思います。根本におきましては、大臣の提案理由の説明にもございましたように、地方財源としては、地方の財政の自主性を尊重する限りにおきましては、できる限り地方税で財源が與えれるのがいいのでありまして、平衡交付金の五十億が減つて、地方税が五十億ふえたということは、少しもその意味におきましては、地方の財政にとつてマイナスにならないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/13
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014・立花敏男
○立花委員 荻田君の考え方は大分違うのじやないかと思う。この大臣の説明要旨の最初のところを見ますと、「地方財政平衡交付金制度は、」とあります。地方財政平衡交付金制度は、「地方行政を行う場合に要する財源を完全に保障することによつて、」とある。「地方における行政の地方住民に」云々、こうありますので、地方財政平衡交付金制度は、地方の行政を行う場合に要する財源を完全に保障する役割を持つておるわけです。これは大臣の説明要旨の最初にありますので、これが今まで完全に果されていない。地方財政平衡交付金制度が財源を完全に保障していない。現実に二十六年度においては莫大な赤字を出しておる、保障していない。だから平衡交付金制度を改正するということがあれば、従来の赤字を克服し、地方の財政を完全に保障する態勢が整えられなければいけない、こういうことを私言つておるので、その点でどういう考慮が拂われておるのか。しかもこの財源を完全に保障することができなかつた大きな原因の一つは、平衡交付金の絶対額が非常に少かつた。これは臨時国会におきましては、衆議院、参議院満場一致で、平衡交付金の増額を要求いたしまして、地方自治体の要請に応じて、衆参両院で満場一致で決議案を採択いたしまして、政府に実現を要望し、あるいは関係方面にもこの増額を要求したことによつても、私は明らかだと思うのです。地方財政平衡交付金の絶対額が少かつたということは、国会が満場一致で認めておるのです。あなたたちもそれを支持されたと思う。そういうことが実現されなかつた、そこに現在の地方の財政の困難、あるいは赤字というものが発生しておるのは明らかなんであります。それをどういうふうに今度の平衡交付金法の改正によつて改めて行くか、そういう事態が再び起らないようにするかということが、改正の主眼でなければいけない。それがちつとも具体的に現われていないで、その点をお聞きしますと、税法とあわせて財源を保障すればいいので、平衡交付金制度は、それだけでは完全に保障するものにはなつていないと言われるのですが、平衡交付金制度そのものが、財源を完全に保障する役割を持つということは、ここにはつきり書いてある。しかもそれを従来果していなかつたということは明白なんです。これは決して私どもだけの意見でもありませんし、個人の意見でもありません。全国会が一致して、平衡交付金はぜひ増額しろという決議を行つておるのです。だからこの決議を今度の平衡交付金の改正においては、十分盛り込まれなければいけない。それがどの点に現われておるのか、それをひとつ明白にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/14
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015・荻田保
○荻田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、地方財政は、地方財政平衡交付金だけで保障されるのではなくて、地方税あるいはその他の歳入によつて保障されて最終的に地方財政平衡交付金で保障されておるわけであります。二十六年度におきましては、確かに地方財政平衡交付金が少かつた。国会でもその旨の御決議があつた、これは承知しております。しかし、それはあくまで現在の地方税法をいじらないで、平衡交付金にその財源を求めたためであります。それが、先ほどから申しておりますように、二十七年度におきましては、地方税法も改正してそうして地方財政平衡交付金の額とあわせて地方財源を総体的に保障しようというのが、われわれの考えでございます。これが地方財政平衡交付金法の改正法律案にどう盛られているかということにつきましては、先ほど冒頭に申し述べましたように、常に問題になります地方財政需要の算定方法なり、あるいは地方基準財政収入の算定方針なりをはつきりする意味におきまして、なるべく法定化して行きたい。その第一の現われとして、単位費用をまず法定したい、こういう趣旨でもつて法案を改正しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/15
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016・立花敏男
○立花委員 端的に話をしないとわからないようですから端的に話しますが、前の国会では、平衡交付金が足らない、ふやせということを決議したはずなんです。それが絶対額が少いということを証明しておると思うのです。だから今度の改正では、絶対額がふえるように、従来の計算よりも、今度の新しい改正案の計算で行けば、絶対額がふえるように改正されておると言われるのであれば、どこがどういうふうに改正されておるのか。しかももつと具体的に申しまして、二十六年度の平衡交付金の計算を現行法でやるよりも、改正案でやつた方がどれだけふえるのか、端的な形でひとつ答弁を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/16
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017・荻田保
○荻田政府委員 端的に申しますれば、あなたの御意見は、われわれは賛成できないのであります。地方財源は、平衡交付金だけの絶対額をふやすことによつては、これは解決されないのであります。地方税を含めて、全体の財源としてわれわれは考えております。その意味におきまして、基準財政需要を今度かえましたことによりまして、物価騰貴とかあるいは俸給の増加というようなものは、みな見込まれておりまするから、その意味におきまして、地方財政は改善されたことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/17
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018・立花敏男
○立花委員 私の意見に対する答弁を求めておるのではありませんので、具体的に二十六年度の平衡交付金を、現行法の単価あるいは単位基準のとり方で計算をやるよりも、新しいやり方で計算した方がどれだけ具体的にふえるのかということを聞いているのです。
それからあなたはたびたび地方財政平衡交付金だけで、完全に地方の財政を保障するものじやない、そんなことはわかり切つたことです。起債もあるし、国庫支出金もあるし、あるいは税金もあるのです。そんなことはわかり切つたことなんだが、平衡交付金の本来の使命はそういうものを含めまして、平衡交付金で完全に財源を保障するということにあると思うのです。だからこそ、この大臣の説明要旨の最初にこういうことが書いてある。もう一度読みますが、地方財政平衡交付金制度は、地方行政を行う場合に要する財源を完全に保障すること、こうあるのです。ではあなたはこの言葉はどういうように理解しておるか、税金でも足りない、あるいは他の国庫支出金でも足りない、こういう場合にその足りないところを平衡交付金で補つて行く、そうして完全に地方の財源を保障するという建前でなければいけない。ところが去年は——何回も言うが、非常な大きな赤字が出ておる。しかもそれが平衡交付金を増額して、その完全な保障をすることが必要であるという決定をやつておるのだから、あなたが何と強弁しようとも、平衡交付金が少くて赤字が出たのだということになるので、そうすれば平衡交付金法を改正する場合には、平衡交付金の絶対額がふえるように、平衡交付金の出し方というものを改めまして、そういう平衡交付金の減少が起らないようにしなければいけないということが、根本でなければいけないと思います。だからそういう点でどういうふうな具体的な考慮が拂われておるかということなんですが、何回聞いてもこれは具体的な答弁がないところを見ると、結局これは技術的な机上の改正なんで、従来現実に地方が要望し、国会が要請しております平衡交付金の増額という問題を、解決するための改正ではないというふうに、私ども判断せざるを得ないと思うのです。もう少し真剣に、国会が問題とし、地方自治体が問題としておるところの、平衡交付金の増額に役立つような改正を私はやつていただきたいと思うのです。それから今度は、平衡交付金法の改正で重大なのは、この国が地方にまかします仕事、やらします仕事に一定の企画を設けまして、それをやらない場合は、やるように勧告し、その勧告に従わなかつた場合は、国が平衡交付金の一部あるいは全部を返還せしめるというふうな非常におそろしい規定が入つておるのですが、これはどういう意味でお入れになつたのか、これは他方の自治にとりましても、重大な問題であるし、平衡交付金の性格としても、非常に問題であるし、最近やかましくなつております自治権の侵害の問題としても、私ども重大な関心を拂わざるを得ないと思うんですが、この一定規模の行政について中央が勧告をし、勧告に従わなかつた場合は、平衡交付金を取上げるという、こういう規定をおつくりになつた根本の考え方を、ひとつ大臣から御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/18
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019・荻田保
○荻田政府委員 前者の問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、平衡交付金法によりましては、平衡交付金の額だけをいきなり算定するような規定はないのでありまして、基準財政需要と基準財政収入と比較してその差額を補填するのであります。従いましてこれを増額々々と言われますけれども、それは基準財政需要を増加する、それが地方財政に役立つ、それに伴つて基準財政収入の方さえふえますれば、かりに平衡交付金の絶対額は減りましても、地方財政としてはプラスにこそなれ、マイナスにはならない。
それからあとの問題につきましては、大臣の御説明にもありますように、地方団体が行います行政の中に、どうしても国家的に水準を維持しなければならない性質のものがある。しかもそれについてははつきりと法律をもつて、国として要請しているものを基準を示しておる。しかるにもかかわらず、その地方団体がその基準を維持することを怠つたという場合について、例外的な、そのような勧告なりあるいは返還なりをするのでありまして、これは自治といいましても、そこにやはり国家全体の調和を保つという、一つの限界があると思います。その限界を果すためにこれだけの法文を新たに追加することが適当と考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/19
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020・立花敏男
○立花委員 あまり大きなことを言わない方がいいと思うんです。地方の財政需要と財政収入との差額を、全部この財政平衡交付金でまかなつて行くんだ、また現在やつたんだということはあまり言わない方がいい、そうだつたら赤字が出るはずがない。だからこそさつきからたびたび言つておりますように、それでは少いから平衡交付金をふやせということが言われておりますので、完全にまかなつていないことは明白なんです。しかも大臣がこの委員会でもたびたび言明されますように、やろうと思つたけれども、やれなかつたんだ。地方の要求は私も支持するんだ。しかし国家財政の都合上、これは出せなかつたんだということを、明白に言つておられるんです。だから基準財政収入と基準財政需要との差額を全部補つて来たんだということは、絶対に言えないはずなんだ。そういうことが行われておるのであれば、地方の行政を完全に財政的に保障したということは言えるのですが、そういうことが行われていないから問題になつているので、そういう建前は建前だが、事実は行われていなかつた、だからどういうふうにしたら、基準財政收入と財政需要との差額を完全に補償するところの、名実ともにりつぱな財政平衡交付金になるかという観点から、私はこの改正が行われなければいけないということは言つている。ところがあなたは今までりつぱに役割を果して来たというのだから、それはこういうお座なりの改正案になるのはあたりまえだと思う、現実の認識が違つている。あなたはりつばに平衡交付金の役割を果して来た、十全の役を果して来た、行政を完全にまかなつて来たという建前をとつておる。ところが私たち、地方の自治体あるいは国会全体がそういう感じを持つていない。そういう現実でないということを理解しておる。だから平衡交付金をふやせという決議をしている。それをあなたはもうふやす必要はない、それだから、今までの平衡交付金で十全にやつて来たということを言つているから、こういうお座なりな改正案しか私は出て来ないと思う。
次の問題に移りますが、今の勧告の問題です。これは大臣も次官もおられるのだから、重大な問題なんで、事務担当者に答弁させないで、大臣の責任ある答弁を得たいと思うのですが、現在自治法の改正においてもあるいはその他の、最近提案されております地方関係の法案の中で、やはり勧告という問題が、非常に大きな問題になつて来ておる。たとえば市町村の合併の問題に関しまして、区域の変更に関しまして、知事が市町村に対して勧告権を持つような案が出て来ている。あるいは平衡交付金法の改正で、やはり一定規模の行政を中央が地方に勧告することが規定されておる。こういうふうに、上から下への勧告、国から市町村に対して、あるいは知事から市町村に対しての勧告という形が、非常にたくさんこのごろ目立つて現われて来ておる。この問題を一般的に大臣はどういうようにお考えになつているか、これは自治権の侵害になるとお考えにならないかどうか、それをひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/20
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021・岡野清豪
○岡野国務大臣 自治権の侵害にならないという確信を持つて、つくつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/21
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022・立花敏男
○立花委員 自治権の侵害にならないとおつしやられますが、単なる信念ではなしに、具体的に現行の制度のもとにおいてあるいは地方の財政の現実の状態において、こういう形が一定の規模の行政を地方に押しつけ、それを勧告し、それに従わなかつた場合は、平衡交付金を取上げるというような形が、地方の自治を現実に侵害しないかどうか、この点をひとつ具体的に、単なる信念ではなしに、具体的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/22
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023・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。そこに出しておりますところの勧告権のよつて来るところのゆえんはどこにあるかということを、よくその法案をお読みになるならばおわかりになると思うのであります。御承知の通りこれは国と地方とでは、純然たる地方の事務と、また純然たる国家的事務と、またあるいは半分は地方の事務であり、また半分は国家的事務である、こういうように、いろいろの種類の行政が地方自治体において行われるのでありまして、そこで今回挿入いたしましたところの法文におきましては、国が国家の仕事として地方自治体にしてもらいたい、こういうことを要請する。その要請は決してこれをただわれわれが単純に地方に押し付けるわけではありません。国民の代表機関であるところの国会、すなわち国家の最高機関たる国会において、国がこういうような仕事を地方自治体にしてもらうということを、法律で定めるのでありまして、何等地方の自治権の侵害になりません。法律で定まつた仕事を地方自治体がやるために、金を地方自治体に対して割つて與える。もしそれをやつてくれなかつたときには返してもらうのは当然です。これも法律の根拠においてやることですから、何ら自治権の侵害になつておらぬ、これだけお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/23
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024・立花敏男
○立花委員 法律できめるから、自治権の侵害にならないというのは、これは形式論になりますので、法律で自治権の侵害は幾らでもできるわけであります。自治権の侵害をしない法律が通過しない、あるいは存在しないとは決して言えませんので、現にあなたたちがお出しになろうとしておる地方自治法の改正は、東京の区長の任命制が規定されておりまして、自治権の侵害になるということは、もうすでに東京都の自由党ですら騒いでおるので、この自治権の侵害になるような法案が通過しない。法律であるから、これは自治権の侵害にならないというような形式論は、これは決して何らの役にも立ちません。現にあなたたちが地方の自治権の侵害になるような自治法の改正案を提出しようとしておる。従つて問題はもつと実質的なところになければならないと思うのですが、国が一定の規格の行政を地方に勧告し、それに従わなかつた場合は金を取上げるというような強制的なやり方は、国が十全に地方の村政を保障し、完全に平衡交付金で地方の必要な財源を満たすということが、ほんとうに現実に行われて、初めてこういうことが言えるのですが、それが何ら保障されていないのに、一定の規模の仕事を地方へ押しつける形だけが、ここで非常に強調されておる。現実にこの間地方に事務を押しつけました住民登録法、これなんかも仕事だけ押しつけまして金は出さない。あるいはこの間から私ども聞いております今度の予備隊の募集の事務にいたしましても、町村当り千円そこそこの金しか出さないで、何十万に達する募集を全国的にやらそうとしておる。こういうことで一定の規格の仕事を押しつけまして、しかもそれを勧告権を持たして強制いたしまして財政的にも一旦與えた交付金を取上げるというようなひどいことをやつておきながら、財源は保障しない。こうなつて参りますと、地方の自治がここから侵害されて参り、乱れて参るのは当然なんです。そういう具体的な問題をどういうふうにお考えになつておるか。しかも現実にあなたの言われるような、国から與えた仕事に財源が保障されていないということは、明白な事実となつて現われている。住民登録、あるいは予備隊の募集、あるいは行政協定関係のいろいろな予想される事務の増大、あるいはもつとさかのぼりますと、消防法の改正のときも、あるいは水防団の設置のときも、決して財源措置が伴つていない。そういう事務をどんどん地方に押しつけながら財源措置はいたさないで、しかも一定の規模の行政をやるように強制するということは、これは非常に専断的である。いわばフアツシヨ的なやり方であるといわざるを得ないと思います。その一番端的な地方の反発が、東京の区長の任命制となつて現われております。そういう点で何ら反省される色がないのは不可解だと思うのでありますが、この問題だけではなしに、さいぜんから言つております今度の国会に出されております地方関係の法案で、中央が地方に大きな勧告権あるいは指示権、指導権を持つという形をどういうふうにお考えになつておるのか。あなたはそういう全般的な形が、一般的に申しまして地方自治の上に現われておるというふうに認識なさらないのか。もつと端的に言いますと、地方自治が逆コースをとつているというようにお考えにならないのか。これはあなたが今後おやりになる施策、あるいはお出しになる法案の基本的な問題になりますので、お尋ねしておきたいのですが、あなたは現在の地方自治が逆コースをとりつつある、そのおそれがあるということを、ちつとも認識なさらないのかどうか、これを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/24
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025・岡野清豪
○岡野国務大臣 立花さんに申し上げますが、日本は法治国でございます。これをまず第一段に御記憶を願いたい。先ほどから地方に仕事を押しつける押しつけると、政府が専断で何かものを言いつけておるように言いますが、これは大きな間違いであります。われわれは立案はいたします。しかしそれが国家的な義務になるのには法律によらなければならぬ。法律によつて地方に與えた仕事が、何で政府が押しつけたことになりますか。法律というものは国会できめるものであります。国会は国民の代表であります。そうして最高機関であります。最高機関がつくつた法律で地方に仕事をさせるのは、政府がやつておるのではなくして、国家の最高機関が地方の市町村団体に仕事をさせておるのです。それを押つけておるというのはどういうことですか、私にはわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/25
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026・立花敏男
○立花委員 そういうつまらぬことで議論をしたくないのですが、そういう認識しかお持ちにならない大臣だから結局こういうことしかおやりにならないし、あらゆる今回の地方関係の法案で勧告権を持たしたり、指示権を持たしたり、地方自治を侵害したりするようなことを平気でおやりになる。あとの質問がつかえておりますので言いませんが、まつたく驚き入つたお考え方で、単に形式的に国会で決定したのだから、地方の自治は侵害しないのだ、そういう甘い考えでは、それはごまかしにすぎないのだろうと思いますが、現在の地方自治の困難、地方財政の困難はより一層増大するばかりで、ちつとも救済されないということを、最後に断言いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/26
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027・大矢省三
○大矢委員 この地方財政法の一部改正の中で三十四條は、ほかの人が聞かれたかもしれませんが、左の各号の一に掲げる経費については、当分の間国がその経費の全部または一部を負担する。この当分の間というのは、一体どのくらいの期間に考えられておりますか。特にこの第二に学校の戦災復旧に要する経費というのが新たに加えられておりますから、この点でこの当分の間という解釈をどのくらいに見ておられるか、その点を聞いておきたい。
〔河原委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/27
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028・荻田保
○荻田政府委員 大体戦災による学校の損壊が復旧されるまでの期間を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/28
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029・大矢省三
○大矢委員 その次に国と地方公共団体の負担すべき割合は、法律または政令によつて定めなければならぬとありますが、この割合というのは、どういうふうに考えられておるか。それから法律または政令とあるが、法律を出すつもりが、政令で行うつもりか。これは重要でありますから、いずれをやるか、または、できれば本国会中に出すのか、あるいは時期がわかつておりますならば、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/29
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030・荻田保
○荻田政府委員 この附則の二項にございますように、この規定につきましては、二十八年三月三十一日までの間は、従来の例による。それから以降におきましては、新しい法律または政令で定めることになるわけでありますが、なるべくなら法律でもつてこういうことははつきりきめるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/30
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031・大矢省三
○大矢委員 私もそれはあとから聞こうと思つたのですが、二十八年三月三十一日までの間は従前通りとする。だから、もしこれをしない場合には、政令で定められていない場合にはというのだから、すぐでも定めることはできる。それをこういうふうにうたつておきながら、あとでまた二十八年三月三十一日までの間は、従前通りとするというのだから、それでは来年の三月三十一日までは割合も従前通りであつて、政令、法律も出さない、こういうふうに解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/31
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032・荻田保
○荻田政府委員 すでに二十七年度分につきましては、予算ができておりますので、その予算で定めるところによつて国の負担があつたと考えます。従いましてその点につきましては、大体従来とかわりございませんので、義務教育年限、いわゆる六・三制につきましては二分の一、戦災復旧も額は少いのでありますが、建前は二分の一、引揚者の援護に要する経費は大体全額国費という建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/32
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033・大矢省三
○大矢委員 私、聞き漏らしたのですが、学校の戦災復旧は全額ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/33
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034・荻田保
○荻田政府委員 大体二分の一という建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/34
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035・大矢省三
○大矢委員 それでは六・三制の校舎の建設費と大体同じことですか。二分の一ということなら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/35
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036・荻田保
○荻田政府委員 二分の一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/36
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037・大矢省三
○大矢委員 それではけつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/37
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038・金光義邦
○金光委員長 それでは午後二時まで休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後三時十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/38
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039・金光義邦
○金光委員長 これより再開いたします。
まず地方財政法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対する質疑はございませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/39
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040・金光義邦
○金光委員長 なければ本案に対する質疑はこれをもつて終了いたしました。これより討論に入ります。討論を許します。床次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/40
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041・床次徳二
○床次委員 ただいま上程になつておりまするところの地方財政法の一部を改正する法律案について、趣旨におきましては私賛成の意を表するものであります。しかしながら特にこの際お願いいたしておきたいことは、本法が趣旨通り実行せられます前提といたしましては、やはり地方財政の充実ということを十分に確保していただかないといけないと思うのであります。特に今後検討いたさなければならぬ問題といたしまして義務教育費の問題がありまするが、これが世上においてやかましいということは、地方の財源が乏しいというところに、大きな原因があるのでありまして、この点に関しましては、ひとつ特に当局におきましても、財源の確保方に対して、格段の留意を拂つていただきたいと思うのであります。今後地方税法、その他平衡交付金法等の問題と関連はいたしておりまするが、十分に政府が財源措置を考慮するということに対して強い要望をいたしまして本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/41
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042・金光義邦
○金光委員長 立花君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/42
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043・立花敏男
○立花委員 共産党はこれに反対なんです。と申しますのは、内容から申しましても、この法案はまつたく空文になつておると言わざるを得ないと思うのです。こまかく申し上げますと、最初に規定しております寄付の禁止、従来とも地方自治体に対しましてあるいは地方住民に対しまして、国家あるいは中央からの寄付が非常に財政的負担をかけておるということは、明白な事実だろうと思うのですが、これを政府の方でも認識されまして、今回の改正に、地方より中央への寄付行為の禁止ということをやつておるわけなんですが、たまたま前々回この委員会におきまして従来問題になつておりました地方自治体の警察への寄付、この問題に関しまして、委員より国警長官に対しまして、その具体的な数字をあげろという要求をいたしましたところ、文書でこれを報告しておりますが、その額が数億に達しております。しかもこの席上におきまして、国警長官が、今後たとえば国警の地方警察の庁舎などの建築費などにおきましても、地方から要請があり、また地方がその費用を負担するという場合には、これを地方の寄付にまつこともやめる考えはないというふうなことをはつきり申しておりますし、同席されておりました岡野国務大臣が、やはりその意見を肯定されまして、今回の寄付行為の禁止を出しておきながら、従来最も大きな弊害を與えております、国家警察の地方住民あるいは地方自治体に対する寄付の存続を認められておる。これは明らかに、私が最初に申し上げました、この改正法案が空文であるということを、如実に私どもの眼前でお示しになつた。提案者みずからがそれと反対なことを言つておる。国警長官に何ら反駁することなしに、それをそのまま認めようとしておる。しかもこの費用は単なる一時的な、あるいは偶発的な国家地方警察の費用ではなしに、庁舎の建設費というようなものまで、地方の負担にしようということを認めておる。これでは何のためにこの寄付行為を禁止するという改正案をお出しになつたのか、私どもは了解に苦しみますし、いわばこれはむしろ欺瞞的な、見せかけ的なものであるというふうに断ぜざるを得ないと思うのであります。
それから今回の財政法の改正で、一般的には地方の行政に関する地方の財政的負担を認め、同時にある特定のものに限つては、その財源措置を国が一部または全部をやるということを認めておりますが、それらのものに対する国が全部または一部を負担するというこの規定が、実際問題としてやはりこれも空文になつておる。これを私指摘しておきたいと思うのです。四つばかり特定のものに対して、国が負担するものを認めておりますが、まず災害復旧の費用を国が負担することも認めておるわけです。ところが、これも従来におきまして非常に不足である。もう千数百億の災害の累積が地方に残されておる。それに対する何ら具体的な措置がない。特に最近北海道に起りました災害の復旧費に対しましても、これは道の公表ですから、事実はもつと大きいだろうと思うのですが、道は百五十億の災害だといつておる。それに対して中央から約八十億ばかりの財源措置をする。その残りの七十億はまつたくほつたらかしで、地方の負担にゆだねられる。しかもこれを北海道の税金として災害復旧をやろうということが議に上つておる。この問題をこの委員会で地方財政委員会関係の方に質問いたしますと、そういう場合もやむを得ないだろうというようなことを言つております。特に国が災害の問題に関しては特例を設けまして、全部または一部を負担するという改正をなさろうとしておりますが、これも結局は地方の負担に転嫁されて行く。現実に起つております北海道のような重大な災害に対しましても、十分な措置をとつていない。それが道民の税金として徴収されることに対しても同意を與えようとしておる。こういうことでは、こういう特例もおそらく空文になるであろうといわざるを得ないと思うのです。それからさいぜん申しました警察の費用等の問題もそうでございますし、特にここに特例として認めておりますところの公共事業の費用、これも国が一部または全部を負担する特定の場合としてあげてある改正の要点ですが、この公共事業の費用に対しましても、すでに石川県では道路税を県税としてとるということが、県議会において決定されておる。道路のような公共事業の基本的なものに対する税金を、県税でとるというようなことを、地方財政委員会が承認しようとしておる。地方財政委員会の奥野君の言によりますと、地方議会が決定したものはそのまま認めるのが当然であろう、それが民主主義であろうという態度で、公共事業費の基礎的な部分の地方税への転嫁というようなことを認めているのですが、こうなりますと、この改正の條文も明らかに空文であるといわざるを得ないと思うのです。そのように非常にたくさんの具体的事実をもつて、ここにあげられております改正の各要綱を反駁し得るわけですが、そのうちでも特に最近の行政協定と結んで注目すべき問題は、警察予備隊に関する費用あるいは海上保安庁に関する費用が、やはり地方公共団体が負担すべき経費の財政需要額の算入という項で新しくつけ加えられておりますが、警察予備隊に要する経費に関しましても、国はやはり十分に保障する意思がないということを、委員会の質疑によつて明白にいたしましたそれはいわゆる警察予備隊の募集の問題です。警察予備隊令の改正が一部行われておりまして、本日の本会議でも問題になるでしようが、この募集に関して国が見積つている予算が、一町村当りわずか一千円そこそこ、こういうことで、数万あるいは数十万に達する募集の事務を強制的に市町村長に押しつける、しかもこれに関しては、従来の地方自治の精神を蹂躪いたしまして、総理大臣が市町村長を指揮監督する、あるいは知事が市町村長を指揮監督する、こういう重大な地方自治法の蹂躙をやり、あるいは憲法違反のような規定さえやりながら、しかもその経費は一市町村当りわずか一千円そこそこというに至りましては、驚くべきことなので、こういう費用がどんどん今度の改正案に盛り込まれているということは、実に地方にとつては財政上の大きな脅威だと思うのです。しかもこの問題と並んで、海上保安庁に要する経費も加えられておりますが、同じような形で地方の負担になつて来ることは明白だと思います。こういうふうに、ほとんどすべての規定が現実の形では空文化されておる。そのうちで逆に第九條におきましてこう規定してあるわけです。「地方公共団体又は地方公共団体の機関の事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する。」とあります。これは非常に重要な規定でございまして、今後この地方の機関の事務は全額これを地方自治体が負担しなければいけない明白な法文上の義務がこれによつて生じて来るわけですが、最近の情勢を見ますと、中央から地方への委任事務が非常にふえております。またそれと関連いたしまして地方での事務の膨脹が必至であるという状態です。たとえば最近におきまして住民登録法の施行法を決定しておりますが、これなども何ら財源措置なしに、重大な大きな事務を地方に與えておる。こういうふうに今後どんどん仕地方にふえて参ります。ところがこのふえて参る仕事に関連いたしましての公共団体の機関の事務は、これは全額地方の負担になるという規定でございまして、こうなりますと、地方では現在でも赤字で苦しんでおりますのに、一方的に上から押しつけられて参ります機関の事務の全額を、地方が負担しなければいけないということになりまして、まことにこれは地方財政を破綻せしめることになるだろうと思うのです。今度の地方財政法のねらいは実はこの九條にあるのではないか。どんどんこれから仕事を押しつけて行く。そのための機関の事務の経費は、これは全部地方で負担しろということが、今度の地方財政法のねらいじやないか。真のねらいはここにあるのではないか。こう思うわけです。
私どものこの法案自体に対する反対はこの程度ですが、私どもがこの法案に反対いたしますもう一つの理由は、ただいま本委員会には地方税法、地方財政平衡交付金法等の、この法案と密接不可分のものが同時に審議されているわけです。それをこの法案だけを抜き出しまして採決に付しますことは、非常に片手落ちである。特に税法などに関しましては、何ら詳細な審議を行つていない。その際にこれだけを引出しまして審議するということは、私どもは反対です。しかも平衡交付金法とこの地方財政法とは非常に大きな関連がありまして、たとえば今の問題で申し上げますと、平衡交付金法によりますと、一定の規格の仕事を中央から地方に與える。しかもこの仕事の遂行については、総理大臣がやはり地方に対して勧告権を持つている。もしその勧告に従わなかつた場合には、一旦交付いたしました地方財政平衡交付金を全部あるいは一部返還させることができる、こういう重大な規定をしているわけであります。だから平衡交付金法の改正によりまして一定の規格の仕事を中央から地方に押しつける、それは強制的な勧告権を持つて押しつけて来る。しかもその機関の事務の全額が、この地方財政法によつて地方の負担になるというふうになつておりまして、二つの法案は非常に密接不可分だと思うのです。こういうような場合に、これだけを引出して審議することは、まつたく無意味だと思います。同様な関係で同時に私どもが審議しておりますところの地方税法とも大きな関係がある。こういうふうに仕事が一方的に押しつけられて、それが全部地方の負担になつて来る。その平衡交付金の金額は総体的にこれは減少して参る、こうなるとどうしても地方税法でそれをまかなわなければならなくなりますので、地方税法による、従来よりも増しての地方民の収奪が、当然現われて来ることになるのはこれはやむを得ないと思うのであります。事実今提案されております地方税法の一部を改正する法律案には、従来税金をとつておりませんでした六十歳以上の、しかも年収十万円以下の老人に対しまして、新しく税金をとるというような、まつたく非人間的な増税を規定しております。こういうことはやはりこの地方財政法との関係において、あるいは平衡交付金法との関係において出て参つております。私どもはどうも政府の地方財政に対する考え方には納得できない。そういう意味におきまして、私どもは形式的に見ましても、それらのものと切り離してこの財政法だけを審議することに反対であり、内容的に申しましてもそういうふうな地方自治を蹂躪し、中央のフアツシヨ的な統制を強化し、そういたしましたあかつきにおいて行政協定より、あるいは再軍備政策より出発いたしまするところの、いろいろな事務を強制的に押しつけて、その財政の負担を地方の住民の増税に転嫁して行くということを意味しておりまするこの法案には、共産党といたしましては、絶対に反対せざるを得ないわけであります。来年度の地方税が額におきまして四百十四億の増税になつているということは、地方財政委員会がお出しになつた資料で明白であります。そういう再軍備のための大増税を押しつけるための一環であるこの地方財政法の改正には、共産党としては反対であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/43
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044・金光義邦
○金光委員長 河原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/44
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045・河原伊三郎
○河原委員 ただいま上程中の地方財政法の一部を改正する法律案は、まことに適切なるものと認めますので、自由党を代表して賛意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/45
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046・金光義邦
○金光委員長 ほかに討論の通告はありませんので、これで討論は終局いたしました。
これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/46
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047・金光義邦
○金光委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。
この際お諮りいたしますが、本案に関する衆議院規則第八十六條による報告書作成の件につきましては、委員長に御一任を願いまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/47
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048・金光義邦
○金光委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
この際暫時休憩いたします。
午後三時三十七分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X02519520403/48
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