1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十四日(水曜日)
午前十一時三十九分開議
出席委員
委員長 金光 義邦君
理事 野村專太郎君 理事 吉田吉太郎君
理事 床次 徳二君 理事 門司 亮君
今村長太郎君 大泉 寛三君
川本 末治君 佐藤 親弘君
前尾繁三郎君 龍野喜一郎君
大矢 省三君 立花 敏男君
八百板 正君 大石ヨシエ君
出席国務大臣
法 務 総 裁 木村篤太郎君
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
国家地方警察本
部長官 斎藤 昇君
国家消防庁長官 新井 茂司君
総理府事務官
(地方自治庁次
長) 鈴木 俊一君
総理府事務官
(地方自治庁公
務員課長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
国家地方警察本
部警視長
(総務部長) 柴田 達夫君
国家消防庁事務
官
(管理局総務課
長) 横山 和夫君
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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五月十三日
集団示威運動等の秩序保持に関する法律案(内
閣提出第二三六号)
同日
大阪の特別市制反対に関する請願(原田雪松君
紹介)(第二六二五号)
オペラの入場税減免に関する請願(野村專太郎
君紹介)(第二六四〇号)
学校建築費及び公営住宅建築費起債認可等に関
する請願(川崎秀二君紹介)(第二六五七号)
市庁舎建築費起債認可に関する請願(川崎秀二
君紹介)(第二六五八号)
地方税法中電気ガス税の非課税範囲縮小に関す
る請願(川崎秀二君紹介)(第二六五九号)
地方税法の一部改正に関する請願(川崎秀二君
紹介)(第二六六〇号)
五大市の区選挙管理委員会廃止反対に関する請
願(門司亮君紹介)(第二六六一号)
特別市制反対に関する請願外六件(早稻田柳右
エ門君紹介)(第二六六二号)
特別市制反対に関する請願(田中啓一君外一名
紹介)(第二六七七号)
道路交通取締法の一部改正に関する請願(門司
亮君紹介)(第二六七八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
公述人の選定に関する件
地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一二三号)
地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一四二号)
消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一八六号)
警察法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
一九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/0
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001・金光義邦
○金光委員長 開会いたします。
この際、公述人選定の件についてお諮りいたします。すなわち来る十九日午前十時より地方自治法の一部を改正する法律案について、公聴会を開催することになつておりますので、その公述人を一部選定いたしたいと思いますが、その公述人は次の方々にいたしたいと思います。馬場幸子君、市政調査会常務理事田辺定義君、評論家山浦貫一君、東京都職員労働組合副委員長原島照房君、東京大学教授杉村章三郎君、立教大学教授藤田武夫君、蝋山政道君、日本自治団体労働組合総連合副委員長泰平国男君、東京都副知事春彦一君、東京都議会議長菊池民一君、新宿区区議会議長原田要一君、大田区長代田朝義君、以上の方々を公述人に選定するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/1
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002・金光義邦
○金光委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/2
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003・金光義邦
○金光委員長 警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず政府より提案理由の説明を聴取いたします。木村法務総裁。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/3
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004・木村篤太郎
○木村国務大臣 今回提案いたしました警察法の一部を改正する法律案の提案の理由並びに法案の内容につきまして申し上げます。
御承知のごとく、現行警察法のもとにおきましては、国家地方警察は、内閣総理大臣の所轄のもとにある国家公安委員会の行政管理及び都道府県知事の所轄のもとにある都道府県公安委員会の運営管理にまかせられ、また、自治体警察は、もつばら当該公安委員会の管理に服するものとされ、政府と警察との関係は、国家非常事態の際に、全警察が例外的に内閣総理大臣の指揮のもとに置かれることとなつているのであります。
国内治安については、政府がその最終の責任者でありますことは、いまさら申し上げるまでもありません。従つて、この際、警察行政に関する内閣の責任を明らかにすることは、治安の確保の上に特に重要と考えましたので、今回、次のような改正を行うことといたしました。すなわち第一に、国家地方警察本部長官は、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いてこれを任免することといたしました。
第二に、特別区の警察は、その特殊性にかんがみ、特に政府と緊密な関係を保持せしめる必要があると考えますので、その警察長は、内閣総理大臣が、特別区公安委員会の意見を聞いて、これを任免し、また、特別区の警察に要する経費の一部は予算の範囲内において、国が負担することができるごとといたしました。
第三に、内閣総理大臣は、特に必要があると認めるときは、国家公安委員会の意見を聞いて、都道府県公安委員会または市町村公安委員会に対し、公安維持上必要な事項について、指示することができることとし、この場合における内閣総理大臣の指示に関する事務を、国家地方警察本部をして処理せしめることといたしました。
最後に附則として、この法律施行の際国家地方警察本部長官または特別区警察の長の職にある者は、改正の相当規定により、それぞれその職に任命されたものとみなすことといたしました。
以上が、この法律案の提案の理由並びにその内容の概要であります。何とぞ御審議のほどをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/4
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005・金光義邦
○金光委員長 次に消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府より提案理由の説明を聴取いたします。木村法務総裁。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/5
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006・木村篤太郎
○木村国務大臣 ただいま上程になりました消防組織法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
今次の行政機構改革の一環といたしまして、国家消防庁についてその名称を変更しますとともに、内部組織を簡素化する等の必要から、国家消防庁の設置法である消防組織法の一部を改正する必要があり、政府といたしまして検討の結果成案を得ましたので、ここに提案いたした次第であります。
改正のおもな点を申し述べますと、次の三点に要約いたされます。
第一に、国家消防庁は、総理府の外局であります国家公安委員会のもとに置かれるものでありまして、国家行政組織法上の外局ではありません。従いまして庁という名称を用いることは適当でありませんので、これを国家消防本部に改め、その長である長官を本部長に改めようとするものであります。
第二に、内部組織を簡素化するため、監理局を廃止いたしますとともに、消防研究所を国家消防本部に付置することであります。
第三に、以上の改正に伴つて関係法律中の字句の整備をはかることであります。
なお、この法律が成立しました場合、国家消防庁の職員である者は、別に辞令を発せられませんときは、同一の勤務条件をもつて、国家消防本部の職員といたすこととしております。
以上が本改正法案の主要な内容でありますが、行政機構改革の趣旨を了とせられまして格別の御審議を与えられ、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/6
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007・金光義邦
○金光委員長 本案に対しましては、次会より質疑をいたすことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/7
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008・金光義邦
○金光委員長 地方公務員法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。質疑を許します。床次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/8
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009・床次徳二
○床次委員 市の方におきましては従来人事委員会を置くことになつておつたのですが、今度第七条の三項の改正におきましては、十五万以下の市に対しましては公平委員会を置くことになつておるのであります。すでに置いた市がたしか一市あるという説明であつたのでありますが、すでに置いているものをしいてこれを廃して公平委員会とする必要はないのじやないか、特にこれを規定をもつて改正しなければならぬという強い理由があるかどうか伺いたいのであります。現在通りで置きましても大したことはないのじやないか、むしろ地方自治という立場から言えば、適切な運営を行わしておいて、しばらく様子を見てもいいのではないかと思いますが、今すぐこの法規を改正する理由はどこにあるか伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/9
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010・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねの点は一応ごもつともと思うのでございますが、今回の地方公務員法の改正の趣旨が、大臣の提案理由の説明でも申し上げましたように、地方行政の機構を簡素化しようという内閣の一貫した考え方から出ておるのでございまして、この人事委員会の設置の状況を見て参りますと、先ごろも申しましたように、市には全部設置できる建前にはまつておりますけれども、現在設置いたしておりますのは、人口十五万未満のところにおきましては延岡一市であるのであります。なお東京都の三鷹が設置をいたしておつたのでございますが、これは設置後の運営の状況がうまく行かなかつたように聞いておりますが、本年の四月一日から廃止になつたような状況でございます。従いましてこの行政簡素化の趣旨を人事委員会を設置する本来の建前をそこなわないで、どの程度で調整をいたしまして制度化するかという観点からいたしました場合に、一応人口十五万という線を切つた次第でございます。地方自治の上から行けば、置いておるところはそのまま置かしておいてもいいではないかというお尋ねの趣旨は、一応ごもつともでございますが、そのような考え方からいたしまして、政府といたしましては一応このような提案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/10
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011・床次徳二
○床次委員 たつた一つしかないから廃止してもいいじやないかというような理由のようでありますが、元来公務員法自体、特に人事委員会の活動というものについては、まだ未完成であるということも御説明にあつたのであります。今後各都市も相当これは研究を要するのじやないか、仕事自体としてまだ研究の余地が残つておつたと思うのであります。従つてかかる市が一箇所ぐらいやつておりましても、これが特に行政簡素化の上に大した影響はなかろう、むしろそういう特別な市はせいぜい研究されて、将来の参考にして、しかる後に結論を出してもおそくはないのじやないか、特に簡素化と申しましても、経費においても大した差はないのではないかと思うのでありまするが、人事委員会の活動ぶりそのものの内容につきましては、大体調査が終つているかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/11
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012・佐久間彊
○佐久間政府委員 人事委員会の活動ぶりにつきましては、私どもの方で随時調査もいたしておるのであります。ただ今問題になつております延岡市の状況につきましては、それほど詳細なことはまだ調査はいたしておらないのでありますが、そのほかの府県五大市の人事委員会とは定期的に打合会もいたしておりまして、いろいろ情報の交換をしたり、あるいはまた私どもの方から、国の方の公務員制度の状況等も連絡いたしまして、種々研究いたしておりますので、その間の状況はよくわかつておるのであります。ただ市の方に置かれました人事委員会におきましても、随時連絡いたしておりますが、大体その後の運営の状況が五大市以外の市におきましては人事委員会という特別な専門的な機関を置いてやりますことが、やや荷が勝ち過ぎておるというようなふうに私ども伺つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/12
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013・床次徳二
○床次委員 次に四十五条の新しい第二項でありますが、これには公務上の災害の認定その他の災害に対して異議のあります場合には、都道府県の人事委員会に対して、審査請求することを認めてあるのでありますが、五大都市のごときものに対しましては、特にこれを都道府県の人事委員会に審査請求しなくてもよろしいのではないか。かかるものはやはり五大都市の人事委員会に一任しておいてよいのではないかと思いますが、これをまた特に都道府県に移したということはどういうわけであるか、むしろ将来の自治体の発展から見ますならば、五大市のごときものはできるだけ二重行政を廃止するという意味からいつても、五大都市にまかしておいてよいのではないかと考えられますが、この点提案の理由を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/13
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014・佐久間彊
○佐久間政府委員 公務災害補償の異議の審査でございますが、これにつきましては五大市の人事委員会にも権限を持たせて一向さしつかえないのではないか、むしろその方が能率的ではないかという趣旨のお尋ねでございますが、私どももそのような御意見も十分理由のあることだと思つております。ただ今回の改正案で都道府県の人事委員会に統一的にやらせるようにした趣旨は、元々この公務災害補償に関する規定は、労働基準法の規定を、大体においてそのまま適用をいたしておりまして、ただこの審査の点につきましては、公務員の特殊性にかんがみまして、地方公務員法で特殊な規定を設けておるわけでありまして、その労働基準法におきましては、この審査のための機関は労働者災害補償審査委員会でございますが、これが都道府県労働基準局ごとに置くことに定められておりまして、都道府県單位に置かれておるのであります。その趣旨はこのような審査が、都道府県内で個々の地方団体がばらばらな基準でなされないで、統一的な基準で審査が処理されるということが望ましいという考え方に、出ておるのではないかと思うのであります。地方公務員法の場合におきましても、現在の労働基準法にあります労働者災害補償審査委員会の建前に大体準じて規定をいたすことが適当であろうと考えまして、かような提案をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/14
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015・床次徳二
○床次委員 なお地方公務員について停年制を考えることについて意見があるのでありまするが、この点政府としては、いかように考えておられますか伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/15
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016・佐久間彊
○佐久間政府委員 停年制につきましては、私どもも各方面の御意見を伺つておりますと、地方公務員法におきまして停年制を実施し得るような規定を設けた方がいいではないかという御意見も相当多いのでございます。ただ私どもの方といたしましては現在の地方公務員法の建前がキャリアー・サービスと申しますか、生涯公務に従事して行くのだという考え方で、一応いろいろな制度ができておるのでございます。この公務員法に規定をいたしております制度が全面的に動き出しまして、たとえば退職年金制度等につきましても、さらに老後心配のないような改革が、将来行われるようになりました時期におきましては、停年制も地方公共団体によつては、自主的に実施し得るというような建前に、その根拠を地方公務員法の中に規定をいたしておくということも、あるいは必要になるんではなかろうかというふうに存じておりますが、現在の段階におきましては定員法の規定を地方公務員法に挿入することが、まだ確信を得るに至りませんでしたので、今回は提案をいたさなかつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/16
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017・床次徳二
○床次委員 それから最初に質問いたしました十五万以下の市の人事委員会でありますが、これは当該市町村が延岡だけのようでありますが、延岡市自身としてはどういう希望を持つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/17
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018・佐久間彊
○佐久間政府委員 延岡市につきましては、まだ十分な意向を調査いたしておりませんが、私どもの間接に聞いておりますところでは、これを積極的に存置させた方がいいという意向と、それからこれを存置させる必要はないんじやないか、公平委員会で十分間に合うんじやないかという意向と、両方内部でもあるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/18
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019・金光義邦
○金光委員長 ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/19
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020・立花敏男
○立花委員 この案で見ますと大体十五万未満の市、あるいはそれ以下の町村というようなものは公平委員会とか、そういう救済機関がほとんどなくなつてしまつて、都道府県の人事委員会に大体委託するという形が出て来るわけなんですが、この委託では十分な審査ができないんじやないか。委託という言葉に表われておりますように、これはあくまでも委託なんで、人事に関するような非常に複雑な微妙な問題が、よその設置した機関に委託して、はたして公平を期することができるかどうか。これは私根本的な問題だと思うのです。事柄は物品の委託販売とかいうものと違いまして、人事関係、首切り関係の複雑微妙な問題だ、こういうものを他の団体がこしらえました機関に委託して解決できるというようにお考えになつているのかどうか。少しお考え方がおかしいじやないかと思うのですが、この点をひとつ承りたい。地理的に申しましても、やはり非常に遠隔の地にあるでしようし、あるいは人的に申しましても何らふだんは関係もない人たちですし、こういう問題の解決には、そういう形では十分ではないと思うのですが、その点をひとつはつきり承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/20
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021・佐久間彊
○佐久間政府委員 お尋ねの点は私どももよくわかつているのでございます。従いまして私どもといたしましても、できれば公平委員会が各町村に全部單独に設けられるということが、きわめて望ましいと考えているのであります。ただ現在までの状況を見てみますと、これは本年の一月三十一日現在の調べでございますが、全国で未設置の、公平委員会を置くことになつておりますが、まだ設置されておりませんところが三百三十町村ばかりあるのでございます。なぜ設置をしてないかということをいろいろ調査をしてみますと、どうも小さな町村で公平委員としての適任者が得られないというようなことでありますとか、あるいはいつ事件があるかわからないのに、わざわざそういう機構を單独につくつておくというほどの必要が感じられない、むだだというような事情のものが多いようであるのであります。従いまして私どもといたしましては、各町村がそれぞれ單独の公平委員会を持ちますことが望ましいのではありますけれども、そうかと申しまして單独で置くようにということを法律で強制しておりましても、ただいま申しましたような状況で、なかなか設置されないということになりますと、何かもつと合理的な便法を考えてやつて、そうしてその町村の職員の利益の保護に遺憾のないようにする必要があるのではないか、こういうふうに考えまして、すでに地方公務員法には一番最初の現行法におきまして、共同設置の方式が認められておつたのでありますが、さらにこの都道府県の人事委員会に委託をして、処理できるという道を開いたのであります。従いましてこの改正の趣旨は、先ほど御疑問のございましたように、当該町村の職員の利益の保護のために、かえつて不十分な措置になるというようなことはございませんで、現在なかなか適切な措置が講ぜられていないような地方団体に対しまして、そういうような措置が講じやすい道を開いてやつたのだ、そのようなところに改正の趣旨があるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/21
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022・立花敏男
○立花委員 しかし結果からいたしますと、ないよりもある方が悪いような結果になるじやないか。非常に事情がよくわかつて公正な判定ができる機関があれば、それに越したことはないのですが、それがないからといつて、非常に適当でない裁定をやるおそれのあるところへ持つて行くような道をとることは、これはかえつて親切のようで結果としては悪いじやないか。しかも現在の地方自治体の状態から見ますと、おそらくこういうものは置かなくなるようなことが当然予想されます。ほとんど全部が府県の人事委員会に季託するというような道が出て来るのじやないかと思いますが、そうすればやむを得ず府県の官僚的な人事委員会に、自分たちの問題を持ち込まなければならない。そこみすみす公平ではないと知りながら、裁定が出て来るというような結果になるんじやないかと思う。それから現在の実情からそういうことが出たのだと言われましたが、適任者がないから府県の人事委員会に委託するんだということはやはり納得できませんので、適任者を見つけるような形を考えるべきじやないか。あなた便法と言われましたが、まつたく便法だと思うのです。府県がつくつておるからそこへ委託すればいいんだというような形で人事を考えるのではなしに、適任者がないとすれば、どうしたら適任者が得られるかということを、民主的に解決するという道を開くべきじやないか。適任者がないからあり合せのもので間に合わすというのでは、公正を欠くのではないかと思うのです。その点で他に方法をお考えになつていないのかどうか、こういう間に合せで済まそうとされておるのかどうか、これをひとつ承りたい。
それからもう一つは、小さい自治体ではいつ事件が起るかわからないから、公平委員会あるいは人事委員会というようなものはなくした方がいいんだということを、理由の一つとしてあげられましたが、御承知のように公平委員会あるいは人事委員会、特に人事委員会のようなものは事件があるのを待つているものではないと思う。決して裁判所のような役割を果すだけのものではありませんので、やはり日常ふだんにおいて職員の給与の問題とか労働条件の問題とか、あるいは不当な扱いに対する問題を四六時中調査あるいは研究しておかなければならない、そういうことが一つの大きな任務になるものだと思います。いつ事件があるかわからないから、こんなものはいらないというのでは、あまりに公平委員会あるいは人事委員会の性格を機械的にお考えになつているのではないかと思う。特に現在地方公務員に対する非常にひどい労働条件があり、非常に不当な取扱いが行われておることは明らかなことです。たとえば学校の先生の健康状態から見ましても、最近結核患者が非常にふえておる。この間の義務教育費国庫負担法の説明の中にもありましたが、地方公務員の健康が非常に冒されておるということは、やはり彼らの労働条件あるいは給与条件が非常に劣悪だということを示しておると思うのです。こういう状態のもとにおいては、公平委員会あるいは人事委員会の仕事は、事件が起らないから仕事がないというものではないと思う。そういう点をどういうふうにお考えになつているか。この二つを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/22
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023・佐久間彊
○佐久間政府委員 前の方のお尋ねでございますが、小さな町村で適任者がなかなか得られないから、公平委員会を置かないという事情があるならば、むしろ適任者を得られるような方途を講ずべきじやないか、こういう御趣旨だつたと思いますが、その点も今度の改正案で考えておりまして、それは兼職禁止の緩和の第九条第九項の規定でございます。今まで非常に厳格な兼職禁止の規定がございまして、それが一つには小さな村等におきましては、適当な人間が選択できないという事情でもあつたように思いましたので、公平事務の公正な執行を阻害しない範囲で、兼職禁止を緩和することにいたしたのであります。これらの規定によりまして第一条のお尋ねの点については、政府としても考えておるということを申し上げたいと思います。
それから二番目のいつ事件があるかわからないから公平委員会を置く必要はないのだということは、これは公平委員会を置かない町村がこういうことを申しておるのでありまして、政府としてそういう考えで公平委員会を置かなくてもいいのだというような指導はいたしておるわけではありません。政府といたしましてはお尋ねの通りかりに事件が起りませんでも、絶えず当該地方公共団体の地方公務員の勤務条件につきまして関心を持つておることは、必要なことだと考えております。できればなるべく公平委員会を設置するように、こちらとしては指導はいたしておるつもりでありますが、ただいかにもそれが無理なことをしいるような事情がありますところには、このような道を開いて公務員の利益の保護に遺憾がないようにいたしたい、こういう考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/23
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024・立花敏男
○立花委員 結局、問題は無理か無理でないかというところへおちついて来るようですが、無理か無理でないかは、どういう基準でおきめになるのか。あなたの答弁によりますと、町村にも必要だ、それから事件がなくてもやはり置いておかなければならないのだと言つておられる。そうであればそれがまず第一なんで、無理か無理でないかは何を基準にしてお考えになつておるのかわからない。多分財政のことをさしておられると思うのですが、それならば財政的に無理でないような措置を政府が講ぜられればいいので、政府の方でも必要だと思つておられるものを置かないようにするこの改正の仕方は、明らかに間違いではないか。無理でないようになぜできないのか、必要であれば、その無理は克服しなければいけない、必要なものは置くのが原則なんで、必要なものであるから無理を克服して行くのだというのならわかるのですが、必要なんだがやはり置かないようにするのだというのでは、これは改正ではなくして改悪だと思うのですが、その点をひとつ明白にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/24
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025・佐久間彊
○佐久間政府委員 先ほど申し上げましたように、地方公務員法施行以来約一年になるのでありますが、全国を通じましてまだ三百町村余りが、公平委員会を置いてない実情であります。どういうところで何を基準に無理か無理でないかを判定するかということになると、むずかしい問題だと思いますが、そういうような実際の調査の結果からいたしまして、小さな町村におきましては、かりに今度の改正のように若干兼職禁止の緩和をいたしたといたしましても、やはり村の中で公平委員として適当な人を得ることがむずかしいという事情の残る町村も、相当あるんではなかろうかと考えられるのであります。なおこの公平委員会という一つの機関を置くことによりまする財政的な負担等につきましては、別に財政措置を講ずればいいんじやないかというお話であります。これはまあ考えられることかと思いますが、一方政府といたしましては中央地方を通じまして、行政をある程度簡素化して参りたいという考え方からいたしますと、やはりこういうような道を開いておいて、設置することの困難な事情のある町村におきましては、こういうような方法をとらせてやるという措置をすることが、この際といたしましては適当であろうという考え方をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/25
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026・立花敏男
○立花委員 結局簡素化におちついて来たわけですが、そうなりますと、政府の言つている簡素化は非常におかしな簡素化なんで、必要なものさえも簡素化する、これは簡素化じやありませんので、こういう簡素化には国民はこぞつて反対すると思う。あなたが最初から説明されておられますように、政府はなるべく置きたいのだ、町村にもどうしても必要なんだということを言つておられながら、そういうものをすら簡素化するというのであれば、これは決して簡素化の名に値しないで、これはある意図を持つた行政の切捨てなんで、こういうことでは国民は納得しないと思う。しかもこの問題は明らかに新しい公務員の人権を擁護する重大な機関なんで、こういうものを簡素化の名において切り捨てて行く、政府が必要と認めておるこういう基本的な新しい制度まで切り捨てて行くということは、どうも納得できないのですが、その点をどうお考えになつておるか、これを承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/26
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027・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 だんだんとお話でございますが、公平委員会を各町村に設けますることは、公務員の利益保護あるいは人事行政の公正を期するというような見地から必要であると思いまするが、適任者を得られないあるいは近辺の市町村に非常にりつぱな人がそろつて、また運営の非常によく行つている公平委員会があるというような場合に、その公平委員会の事務を都道府県の人事委員会に委託するということを認めてもいいのではないか、これは小学校とか中学校は必ず市町村にも置く建前でありまするけれども、そういう重要な教育事務につきましても、これを他の市町村に委託する。こういう教育事務の委託という制度は、早くから定められておるところであるわけでありまして、また今回別途提案をいたしておりまする地方自治法の改正案におきましても、この事務委託の制度を一般的に考えておるのであります。これは簡素化という見地から、あくまでも当該町村が自主的に都道府県の人事委員会に委託することがいいかどうかということをきめて、委託した方がいいという場合には委託できるという道を開いたにすぎないのであります。建前はあくまでも公平委員会は各町村に置く、こういう建前をとつているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/27
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028・立花敏男
○立花委員 きのうも平衡交付金の説明の際に、警官は一人二十万円いるのだということを言つておりましたが、またその割で計算をいたしまして平衡交付金を出しておるのだということを言つておりましたが、どの町村にも警官はおります。ところが公平委員会等は置かなくてもいいのだ、県へ委託すればよいのだということを言つておるので、まつたくこれはおかしいのですが、建前は町村に置くのだが道だけ開くのだとおつしやられますが、今の状態ではこういう法律が出ますと、ほとんど町村は置かなくなるということは、これは見え透いておると思うのです。置かなくてもいいものを、置かなくても済まされるものを置くばかはありませんので、特に政府が金を出さないので非常に苦しい財政状態なんだから、別に置かなくてもいいものならば置く必要はない、そういうことになりまして、建前が置くことになつておりましても、実際上はこの法律のために、ほとんどが県の人事委員会に委託するという形が出て来るのは当然だと思うのであります。そういう現実の問題としてどうお考えになつておりますか。しかもさいぜんから、あなたが来られない前から課長と話していたのですが、こういう人事問題のような微妙な問題を、ほかの団体がつくつておる機関に委託して解決してもらうというようなことは、これは人事問題の公正な解決は期せられない。さつきから言つておりますように、実際問題としてほとんどすべての自治体が、やはり県の人事委員会に委託するというような形、すなわち町村の人事問題が非常に妥当でない機関で処理されるというような形が出て来る、そういう法案をなぜお出しになるか、もつと適当な方法が私はあるのじやないかと思うのですが、こういう便宜的な間に合せ的な法案をなぜお出しになるのか。一応公務員の立場から申しますが、地方公務員の人事問題については、より一層慎重に扱わなければならぬと思うのです。さつきから言つておりますが、健康状態の問題から見ましても、給与問題から見ましても、労働条件の問題から見ましても、非常にさんたんたる状態にありますので、こういう問題は特に慎重に扱わなければいけない場合、ほかの団体がつくつております機関に委託するというような便宜的な方法をなぜおとりになるのか、これをひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/28
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029・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 事務委託というのはあくまでも一つの便法であります。また共同設置ということもこれと同じ意味の便法でございまして、本来は公平委員会を各地方公共団体は置く、こういう建前のもとに、財政上あるいはその他の理由によつて置くことをみずから適当でないと考えた地方団体だけが、共同設置なり事務委託という方式がとれるように、その道を開いてあるにすぎないのでありまして、何らこれを強制するわけではないのであります。またたとえば私企業の関係の従業員、労働者につきましては、御承知のごとく地方労働委員会が各府県に一つあるわけでございます。そういうようなことを考えてみましても、都道府県の人事委員会に委託をいたしました場合に、その人事事務が公正に処理できないという心配はない、かように考えられるのであります。要は地方公務員の利益なり、公正なる人事取扱いが各地方団体において保障せられる、こういうことでありまして、そういう大目的から考えまして、このような委託制度をとりましても何ら心配がない、かように政府は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/29
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030・立花敏男
○立花委員 鈴木君は地方の財政的な困難というものをあまり見ていられないのじやないかと思うのです。地方では職員の給与も払えないという状態が出ておりますし、大水が出て橋が落ちたが、橋がかけられないという状態が出ておりますし、特に学校の問題なんかでは、子供が寒くても学校が建てられないというような状態も、もう一般化しておりますような状態なんで、こういうところで置かなくてもいいものを私は置くはずがないと思うのです。だから建前だ建前だとおつしやられますが、実際上はこれは決して置かれない。そうして府県のそういう人事委員会にまかされて来るということになりまして、これは結局地方公務員の生活を、より一層困窮に導いて行くだろうと思うのでありますが、現在の町村に財政的な裏づけをして、必要なものは置くという処置が講ぜられないものかどうか。課長の説明によりますと、財政的には考えられるということをさいぜん言われたのですが、これは大した金額ではないと思うのです。この給与表を見ましても、地方の公平委員会の給与等は非常に少い額なんで、こういうものを政府が補助いたしましても、私は決して全国的に大した額に上らないと思うのですが、こういうことを企図されたことがあるかどうか、これを承りたい。
もう一つは適任者がないということの問題にも関連して参りますが、県に委託するほどであれば、数箇町村が集まつて共同設置の方法も開かれておるのだから、これはやはり民主的に数箇町村のものが、人事委員会あるいは公平委員会を公選してつくり上げて行くというようなことも、私は不可能ではないと思うのです。もちろんこの場合に、この間お出しになりました町村職員組合のような天くだり的なものでも困るのですが、ほんとうに政府が地方公務員の生活の問題等を民主的に解決なさろうとするのであれば、数箇町村が集まりまして、ほんとうに下から民主的に公選の形で、公平委員会あるいは人事委員会を選び出すということも考えられると思うのですが、そういう方法については、どういうふうにお考えになつておるか、この財政的な問題とこういう民主的な組織の問題、この二つを承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/30
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031・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 財政的には平衡交付金の財政需要の中にはその他行政費といたしまして、公平委員会の設置に要する費用は当然に見込まれるわけでございますし、これを委託いたした場合あるいは共同設置いたしました場合におきましても、一定の基準によつて公平委員会を置く場合と同様な財政需要というものが含まれるわけであります。
また公平委員会の委員の選任について、公選の方法が民主的ではないかというお話のようでありますが、これも民主的な方法ではあろうと思いますけれども、他の多くの委員会におきましては、議長が議会の同意を得て選任する、こういう普遍化いたしました方式があるわけでありまして、その方式に従うことが決して民主的でないことはない、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/31
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032・立花敏男
○立花委員 地方には労働委員会等もありまして、労働委員会の公選制が、やはり労働委員会の公正性を非常に保障しておると思うのですが、そういう形が公平委員会あるいは人事委員会でもとれないことはないと私は思うのです。ああいう形が万全とは申しませんが、少くともああいう形はとり得ると私は思う。ところが他の者によつて任命されました他の団体の機関に、自分たちの問題を委託して解決してもらうということは、どうもこれは納得できない。せつかくそういうような民主的な方法をおとりになる意思があるのであれば、やはりはつきりと今言つたように、一つの町村で困難であれば数箇町村集まつて、数箇町村の民主的な選出による機関をおつくりになり、そこへ解決をゆだねるというふうにした方が、はるかに民主的であり、妥当なやり方なのです。まつたく便宜的に他の団体がつくつたものに委託するということは、こういう問題を解決するには、まつたく私はふさわしくないと思いますが、そういうことをなぜおやりにならないのか、どうも理由が非常に薄弱だと思います。
それから人事委員会、公平委員会に対する平衡交付金の補助が出ておるとおつしやつておられますが、そういうことをお聞きしておるのではありませんで、もう少しはつきりした財政的な裏づけ、もつと端的な言葉で言いますと、もつと多くの金が出せるような形でやつたらどうか、私多分にこの法案が出ました根拠は、財政的に町村に大きな負担になるということが主だと思いますし、町村が委員会を置かないのも、財政的な困難が一番大きな原因だと思いますので、財政的な困難を平衡交付金だけでなしに、特別な方法で解決なさる用意があるのかないのか、これを承りたいと思います。これはやはり根本的には財政の問題が、非常に重要な問題であります。適任者が得られないという問題は派生的な問題なので、適任者は得ようと思えばあると思いますし、今言いましたような公選にすれば、いくらでも人はあるわけで、そう飛び抜けて学問識見があるというような人は決して必要ではありませんので、ほんとうに民主的に地方公務員の意見を聞いて、私心なく問題の処理に当るという心があればいいのでありまして、特別な人を求めることはないと私は思います。だからそういう意味で公選制にされて、そうして政府が十分財源を見てやるというのであれば、町村が自分たちの人事委員会、自分たちの公平委員会を持つことができると私は思うのです。そうすれば政府の意向とも合致して来ると思うのです。課長の説明によりますと、ぜひ置きたいのだ、置くのが建前なのだということを言つておられますので、そういう方法をとれば私は問題は解決されると思いますが、出されました法案はまつたく逆なので、はなはだ困るのですが、そういう問題の根本的な解決方法をおとりになる意思がないのかどうか、これを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/32
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033・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 若干見解を異にいたすようでありますが、とにかく私どもといたしましては、事務の委託を何ら強制するつもりはないのでありまして、委託するかしないかは、委託をしようとする団体が、あくまでも自主的に決定できるわけでありますから、何らそのような心配はないと思うのであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/33
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034・野村專太郎
○野村委員長代理 この際地方公務員法の一部を改正する法律案に対する審査を一応この程度にいたしておきまして、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましてはすでに昨日討論を終局いたしておりますので、これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/34
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035・野村專太郎
○野村委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。
この際自由党及び改進党の各委員より共同で附帯決議を付する動議が提出されておりますので、これより本動議の趣旨弁明を求めます。床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/35
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036・床次徳二
○床次委員 本案に対しまして討論いたします際におきましても申し上げたのでありますが、平衡交付金の運用そのものに対しましては、なお多く政府の努力にまたなければならないところが少くないのであります。ことに本年度よりは地方財源の確保を行いまして、今日まで地方を圧迫しておりましたいわゆる赤字の解決をいたしたいという政府の意図もあるのでありまして、この点に関しましては十分な御努力を願いたいと思うのでありまするが、特にこの趣旨において附帯決議を行いまして遺憾なきを期したいと思うのであります。
なお第二の問題といたしまして、平衡交付金法の中においても述べられておりましたが、今後必要とする地方の経費に対しまして、その必要額を確保するために、政府の希望するところの施設内容の基準に関しまする法律、または政令を定めることを要するのでありますが、特に問題となつております義務教育費の確保のためには、当該法律をすみやかに提案することが必要と認められますので、この点につきましても委員会としての希望を申し述べたいと思うのであります。
なお第三といたしまして、今日実施せられておりますところの交付金の中の特別交付金制度が残りましたことは適当であるのでありますが、なおその配分に関しましては、いまだ不十分な点が少くないのであります。未確定なものがあるのでありまして、はたしてその配分が合理的であるかどうかにつきましては、研究を要するのでありますが、でき得る限りこれを客観的基準によりまして配付し得るよう、今後の努力を要する次第であります。従つて次のごとき案文において、附帯決議を行わんとするものであります。朗読いたしますので、御賛成いただきたいと思います。
地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に関する付帯決議案
1 政府は平衡交付金の総額決定の基礎たる基準財政需要額及び標準財政收入額の算定にあたつては充分経済の推移と地方の実情に即して之を行い以つて所要交付金額を確保し、将来再び地方財政に不当な圧迫を与え又は欠陥を生ずるが如きことなきを期すること
2 政府は速かに義務教育実施のため所要とする施設内容の基準を規定する法律を提出し以つて義務教育費の確保に資すること
3 特別交付金の算定配分については可及的客観的基準により之を決定するが如く努力すること
右決議する
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/36
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037・野村專太郎
○野村委員長代理 ただいまの動議について、御異議がなければこれより採決をいたします。
ただいまの動議に対して賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/37
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038・野村專太郎
○野村委員長代理 起立多数。よつて動議の通り附帯決議を付することに決しました。
ただいまの附帯決議に対しまして、字句の整理につきましては、委員長に御一任を願いたいと思います。この点御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/38
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039・野村專太郎
○野村委員長代理 この際小委員の補欠選挙を行いたいと思います。すなわち消防に関する小委員でありました佐藤親弘君、床次徳二君、門司亮君、立花敏男君、八百板正君、大石ヨシエ君が、それぞれ委員を一度辞任されておりましたので、小委員がそれぞれ欠員になつております。この際投票の手続を省略いたしまして、委員長より指名するに御異議がございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/39
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040・野村專太郎
○野村委員長代理 御異議がないようでございますので、
佐藤 親弘君 床次 徳二君
門司 亮君 立花 敏男君
八百 板正君 大石ヨシエ君をそれぞれ消防に関する小委員に指名いたします。
先ほど採択されましたただいまの案に対しましては、衆議院規則第八十六条により、報告書作成の件は、委員長に一任することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/40
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041・野村專太郎
○野村委員長代理 それではさようにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/41
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042・野村專太郎
○野村委員長代理 この際地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、さらに質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/42
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043・門司亮
○門司委員 この法案の提案理由の趣旨が非常に貧弱であつて、これが地方行政の簡素化の趣旨にのつとつてということになつておりますけれども、大体地方の行政の簡素化を目的とした本法案の改正とは、私は思われないのでありまして、ただこういう委員会を置くことができるのをやめて、そして都道府県の人事委員会、公平委員会に事務を委託することができるというだけの問題でありまして、
〔野村委員長代理退席、委員長着席〕
これだけが事務の簡素化だということになるのでありますが、そうなつて参りますると、実際の運営が町村が県の人事委員会に委嘱して、そうして公平委員会の事務をとつてもらうということになりますと、これは少しおかしくはないかと思うのです。中央集権的の行政が今日非常に議論されておりまするときに、当然地方の職員の身分その他に関係するものを、県庁にこれを委託し、そうして県庁にこれをさしずしてもらうということは、私は行政の簡素化に名をかりた中央集権的の行き方が強いのじやないかと思うのですが、こういう意見が出て参りましたについて、町村長会、あるいは町村議会等から、何かこういう改正をしてもらいたいというような要望があつたかどうかというようなことを、一応聞かしておいていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/43
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044・佐久間彊
○佐久間政府委員 町村会、あるいは町村長会の方からこれにつきまして、反対も賛成の意見も聞いておりません。ただこの法案が出ます際に、地方自治委員会議の議を経ておるわけでありますが、そこには町村会、町村長会の代表も出ておりますが、これにつきましての反対等の御意見はございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/44
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045・門司亮
○門司委員 そういたしますと、これは自治庁の独自の案であるというように私は解釈してさしつかえないと思いますが、少くとも地方のこうした職員の身分並びに権限に関係をいたしまする法案でありまして、この関係する地方の職員は、かなり大きな問題として取上げられなければならない。ただ單に人事委員会あるいは公平委員会というものだけの仕事を見て参りますると、私は割合に少いのに、こういう事務的の一つの企画を設けて来ておるということは、むしろこれを簡素化するためになくした方がいいという案であるかとも考えまするが、事働いておりまする公務員の身分に関係する問題でありますので、やはりこういう問題は中央に集権して、そうして県が一切のお世話をするという態度は私はよくないと思う。これが自治庁の独自の案と私ども解釈して参りますると、やはり官僚の中央集権的な物の考え方から、こういうものが出て来ておるのではないか。さらに今日の地方財政が非常に逼迫しておりますのに、あるいはこういう問題でその地方財政を十分手当をしないで、そうしてただちにこれを事務の簡素化ということに名をかりてやられるということは、これは中央集権的の行政が地方にまで伸びて来ておるというような感じが私はするのであります。従つてお聞きしておきたいと思いますことは、これは公平委員会の事務を委嘱しなければ、一体地方にどれだけの経費と、従来どれだけの不便があつたかということについて、もしおわかりでしたら、ひとつこの際お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/45
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046・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 公平委員会の事務を都道府県人事委員会に委嘱するという一つの便法を認め、そういう道を開こうというのがこの改正案でございますが、このような行き方は、現在の地方公務員法におきましても、たとえば試験でありますが、これを国の機関に委託して試験をやる、あるいは他の地方団体の人事委員会に委託して試験をやる、こういう制度が、現に地方公務員法十八条にあるわけでございます。またさらに進みましては、委託した場合においては、なおこれは地方団体自体の試験でございますけれども、国の試験に合格した者をもつて、そのままその地方団体の試験に合格した者と見る、こういうような制度、あるいは他の地方団体の試験に合格した者をもつて、自分の団体の試験に合格した者と見るというような制度があるのであります。これはやはり一つの便法でございまするが、やはり考え方としましては、こういうような人事の取扱いということは、できるだけ公正に行われることが望ましい。従つてそういう設備の完備いたしておりまする国なり、他の地方団体機関に委託して、試験をやらせるという制度があるわけであります。この公平事務の委託につきましても、やはり根本の考え方は同様でございまして、一面事務の簡素化という点もあるわけでございまするが、これを委託いたしますることによつて、公平事務がより公平に行われるという面もあると考えられるのであります。しかしながらこれは公平事務の委託という、そういう便法をあくまでも認めたというにすぎないのでありまして、こういうような委託の方式をとるかとらないかは、委託をしようとする地方団体が自主的に決定できるわけでございまして、従つてその意味では地方団体の自主性を害することはない、自主性を害しない限度において簡素化の方式を考えた。こういうふうに考えておるのであります。この結果しからばどの程度経費が節減できるかというお尋ねでございますけれども、これはこういう任意の一つの方法を開いたわけでございまして、はたしてこの結果としてどの程度委託の方式がとられますか、これは予断を許しませんので、これだけの数字が出るということは、遺憾ながらこの席では申し上げかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/46
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047・門司亮
○門司委員 そうした提案の理由だといたしますると、何もここに都道府県の人事委員会に公平事務を委託することができるということにしないで、これは他の地方公共団体に委託することができると書いた方が、私は普遍的ではないかと思います。そう申し上げますのは、何も五大都市を含めました県だけが大きいものではございませんで、やはり隣りに市もありまするし、どうしてもこの十五万以上の市には人事委員会あるいは公平委員会というものが設置されることになつておりますので、私は何もこれを都道府県に持つて行かなくてもよかつたのではないかと考えますが、ここに私は悪く言えば相当に官僚式のものの考え方が出て来ているのだ。もう少しあなた方の説明のようにすれば、他の地方公共団体に委嘱してやることができるというふうな条文に直しておいた方が、民主的ではないかと思いますが、当局はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/47
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048・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 門司さんのお話の点はごもつともの点があるのでございますが、さつきもちよつと申し上げたのでございますが、私企業の労働者につきましては、御承知のごとく、都道府県單位に一つの地方労働委員会があつて、そこで一切の争議の調停、あつせんあるいは仲裁ということをやる、こういう建前になつているのは御承知の通りでございますが、そういうような一つの例もございまするので、この都道府県の人事委員会というものがございまする以上は、やはり他の団体の委員会よりは内容その他充実いたしておるであろう——一般的あるいは比較的に申しまするならばそういうことが言えると思いまするので、それでそういうような都道府県の人事委員会に委託する。こういう案を考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/48
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049・門司亮
○門司委員 今のお話でありますが、なるほど県には労働委員会を持つております。それでこれをやつておりますが、しかしこれとは実は非常に趣を異にしておるわけでありまして、地方の私企業でありますものは、やはり試験制の採用で全部の規格を同じように取扱つているわけではございませんし、ただ労働者の身分に関することを取扱つておりますが、その中にはやはり争議その他のいろいろな問題が労働委員会で協議されておりまして、單に身分だけではないと私は思います。しかもそれにつきましてはやはりそれぞれの団体が推薦の形で、これを構成しておりまして、比較的公平に全部選出されておる委員の諸君で構成されておる。ところがこの県の人事委員会というものは、必ずしもその地方の公共団体の推薦も受けておらなければ、あるいはこれに何ら関与をしておらない。ただ県庁にあるものについて、それに委嘱して行くということになつて参りますると、
まつたくこれは、何べんも申し上げるようでありますが、官僚の中央集権であり、委員会に一つの権力を与えることであつて、あまりいいことではないと私は思います。もし当局がそこにあまり固執せられないとするならば、これをもう少しわくを広げて、そうして、他の公平委員会あるいは少くとも人事委員会を持つておるところには、これは委託してやれるようにすることの方が効果的であり、より実際的である。こう私は考えております。もう一つの理由といたしましては、県庁に一切まかせるということはいいと思いますが、たとえば隣接の町村あるいは隣接の公共団体というものは、割合に事情もよくわかつておりますし、同時に立地条件等も同じものがあると私は考えます。こういう場合裁定をいたします場合においても、やはり県庁に一つ置くよりも、むしろこれを自由にその地方公共団体の裁量にまかせておいた方が、私は効果的だと考えておりまするが、その点についてこれを修正しても一体当局は同意される御意思があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/49
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050・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 門司さんの仰せになりますことも、よく実は了解できるところでございますが、神戸委員会の勧告にもございますように、都道府県は市町村の機能の補完的と申しますか、補充的と申しますか、市町村の機能で及ばないところを補う、そういうような一つの機能を都道府県の性格として持たせるべきである、こういう一つの勧告があるわけであります。この町村の公平事務を都道府県の人事委員会に委託するというのは、そういう一つの考え方から出発しておるわけでございまして、十分に自主的な、財政的能力のありまする市町村の公平事務を委託させる場合は、もちろんないわけでございまするが、それの域に達しませんような町村において、しかも自主的に判断をして、適当なる公平委員会ができない、こういうようなところでは、都道府県の補完的な機能に訴えて、その委員会に公平事務を委託する。こういう便法を認めようというのが、この法案の趣旨であるのであります。他の地方公共団体の委員会に委託することは、どうかということでございますが、それも一つの案だとは存じまするが、何ゆえ都道府県に限定いたしたかと申しますならば、これは先ほど来申し上げましたような理由によることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/50
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051・門司亮
○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、この人事委員会の今日までの性格でありまするが、たとえば一つの例を申し上げますると、京都における例の越年闘争か何かのときの争議の状態、あれなんかはまつたく人事委員会がありながら、人事委員会としての十分な機能が果せられたかどうか。これはもう各都市にそういうことが見られるのであります。県庁においてもやはりそういう事態が見られるのであります。当局はこの人事委員会の制度というものが、まつたく完全なものであるというふうにお考えになつておられるかどうか。さらに人事委員会自体について検討されたことがおありかどうかということ、この点をもう一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/51
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052・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 人事委員会の性格、職能、組織等につきまして、現状のままでいいかどうかという点は、まだ私どもどの点が具体的にどう悪いという結論を持つておりませんが、お話のごとく、この運用その他につきまして、問題が全然ないわけではないと私どもは考えておるわけであります。地方公務員制度自体に関しましても、地方制度調査会におきましても、さらに検討いたしまする余地があります問題につきましては、十分検討を加えていただきたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/52
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053・門司亮
○門司委員 私もう少しつつ込んで聞いておきますが、たとえば一つの公共団体に起りました賃上げ闘争等の問題が起つて来る。あるいは待遇改善の問題が起つて来るという場合に、その土地にありまする人事委員会が、比較的能力がないというと語弊がありましようが、今まではなれないせいもあつたと思いますけれども、大体影をひそめておつて、そうして直接地方公務員との取引あるいは交渉というものは市の首脳部と大体行われて来ておつて、そうして人事委員会というものは、單なる意見を聴取する程度のものに終りがちである。ちようど国の人事委員会が勧告しても、一向政府が聞かないでおるというような形がだんだん出て来ておるのではないかと考えられるのでありますが、これはもう少しこの制度を完全に生かして行こうとすれば、やはりこれの勧告権というものが、かなり強い力を持つようにして行かないと、ちようど国にありまする人事委員会と同じような形になりはしないかという、危険とまでは言わなくても、危惧の念が実際の問題としてはあるのでありますが、これらの点についても今のお話では別にこう考えていないというふうなお話でありまするが、具体的にそういうものが出て参るのでありますから、そういうものについて権限のある程度の拡張というと語弊がありますが、現実性をこれに持たして行くというようなお考えはこの際ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/53
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054・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 人事委員会が設置されましてから、まだ非常に歳月が短かいわけでありまして、地方公務員法の定めておりまする人事委員会の機能自体が、まだ完全に全面的に動き出して来ていないわけであります。そういうようなこともございまして、各人事委員会の活動は、まだ御指摘のごとく十分ではない点があるように、私どもも見受けておるのであります。法律上の人事委員会の権限、たとえば地労委のような一種の争議の調停、仲裁といつたようなそういうことを正面に出しました権限を認めるかどうか、あるいはお話のごとく給与等についての勧告権を現在ありますのを、さらに強めるかどうかということは、一つの問題であろうと思いますけれども、さしあたつて現在規定されておりまする地方公務員法に基く人事委員会の権能について、十分に機能を発揮するようにすることが、まず第一段として必要ではないかいうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/54
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055・門司亮
○門司委員 問題になりますのは先ほどから申し上げておりまするように、これらの問題を解決して行くにいたしましても、どうしても他の人事委員会いわゆる都道府県の人事委員会に、これは委嘱しておつて、そうして事務を遂行さして行くということは、これは私はきわめて不合理な問題ではないかと考えるのであります。従つて先ほどから申し上げておりますように、むしろこれは委嘱することができるならば、地方団体のどこにでも委嘱しておいた方が便利だと思うし、それからさらに根本的に考えて参りますと、委嘱される範囲というものを、やはり私はおのずからこれに限定する必要があるんじやないか。何でもかんでも一切の人事委員会あるいは公平委員会の権限というものを、都道府県の人事委員会にまかせてしまうということは、私は実情に沿わないものが実際上の問題として出て来るのではないかというふうに考えるのであります。従つてこれは事務の簡素化という名前で全然廃止して、そうして他に委嘱しておるということについては、そういうほんとうの事務上の問題が起つて参りました場合に、支障を来すおそれがありはしないかと考えるのでありますが、この点についてこういうことでは一切のものが支障なくやれるというように、当局はお考えになつておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/55
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056・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 公平委員会の機能は、勤務条件の措置に関する要求の審査、判定と不利益処分の審査、判定、こういう二点でございますが、この二つの事務につきましては、これは他の能力を十分備えておりまする府県の人事委員会に委託して処理させるということによつて、利益保護において欠くることはないというふうに、私ども考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/56
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057・門司亮
○門司委員 さらに私もう一言聞いておきたいと思いますことは、都道府県の人事委員会に委託することができるということにつきましては、私は先ほど他の公共団体に委任するようにしたらどうかということを申し上げましたが、たとえば今度きめております人口十五万以上の市で、人事委員会を置くようになつておりますが、この人事委員会を少くとも常設いたしておりまするいわゆる十五万以上の市には「事務局を置かないで事務職員を置くことができる。」と書いてある。しかし事務局を置くと置かないにかかわらず、人事委員会を設置することができると、今当局がお考えになつているような都市におきましては、十分それらの問題を処理し得る力を持つているということを当局はお認めになつていると考える。そういたしますならば、これらのものにも都道府県と同じようなあるいは権限といいますか取扱いをしても、さらにさしつかえないじやないかというように考えるのでありますが、これについての御意見をもう一点伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/57
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058・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 公平事務の委託をいたします機関を、都道府県の人事委員会に限定をしないで、他の大きな都市等の十分能力を備えた人事委員会に委託をするということも認めていいではないかという御趣旨のようでございますが、それらの点につきましては、そのような考え方もたしか一案であると思うのでありますが、政府案といたしましては、先ほど来申し上げましたような趣旨に従つて、立案をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/58
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059・八百板正
○八百板委員 これは地方公務員というよりは、地方自治全体に関係する問題であると思うのでございますが、大臣が見えておりますので、この際明らかにしておいてもらいたいと存ずるのであります。青森県において日本社会党所属の県会議員米内山義一郎君が県会において除名されておるのであります。この理由といたしまして、米内山義一郎君は県議会において、議会を侮辱するような発言をしたという理由にあるようでございまするが、聞くところによりますると、その発言の内容は御承知のように、あすこは畜産県でございますので、畜産関係の人が大分県会議員の中に多いらしいのでございますので、そういう人を前にいたしまして米内山君は、私はあなた方のように馬喰の代表でない、土建屋の代表でないというようなことを言つたそうでありますが、これは議会を侮辱するものであるとして懲罰に付したのであります。その結果米内山君は、一応その発言を取消すということでもつて、話をきめたそうでございまするが、その取消しの際も発言にあたつて、今度は、さきには土建屋と言つた言葉を土方という言葉を使つたというので、それでは謹慎の情を認めるどころか、かえつてさらに侮辱を加えたものである、こういうような理由をもつて、とうとう米内山義一郎君は除名にされてしまつたわけであります。このことにつきまして米内山議員は、青森地方裁判所に対し訴訟を提起いたしまして係争中でございまするが、青森地方裁判所はとりあえず米内山君の申請に基きまして県会の除名処分は不当である、こういう理由に基きまして、裁判所は県会の除名処分の効力を停止するという決定をいたしたのであります。これに対しまして昨日、聞くところによりますると閣議はこの問題を取上げまして、この裁判所の決定に対して首相の異議をもつて、何と申しますかこれにこたえるというような態度を決定されたように承つているのでありますが、この問題をきつかけといたしまして、新聞紙上伝うるところによりますと、法務府の見解と自治庁方面の見解との相違があつて、閣議において相当問題になつたというようにも伝えられているのでありますが、これは今後の地方自治の運営の上にも、非常に大きな問題でありまするし、ただいま問題になつていることでありまするので、この際大臣よりこの間の事情を明らかにしていただきたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/59
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060・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。青森県におきましては御説の通りに米内山議員が議会を侮辱したとか何とかの理由で、除名処分を受けたわけでございます。それに対しまして地方裁判所がその除名処分の執行停止を命じたわけでございます。そこで青森県の県会から自治庁に対してこういうような訴えが出て、これは議会の秩序保持のために議会がきめたところの除名を、裁判所が執行停止するということに対しては、今後議会の運営をして行くのにはなはだ不都合であるから、ひとつこれは総理大臣の異議によつて執行停止だけは一応とめてもらいたい、こういうような申請があつたのであります。そこで自治庁といたしましては、いろいろ研究の結果、県議会というものは地方自治の根幹をなすものである。同時にその議会が円満にまた秩序正しく行われるということは、地方自治の本旨に沿うものでございます。それであればこそ、自治法におきましても、議会内において秩序を乱すというような場合があつた場合には、四つの罰則を設けまして、戒告とか、陳謝とか、出席停止とか、一番ひどいのは除名ということになつております。それでわれわれといたしまして考えますことは、地方の議会というものは、これはただいまも申し上げましたように、自治の一番根幹をなす大事な機関でございます。そうして大事な機関の秩序を保つことが、また地方自治の本旨に沿うわけでございますから、秩序を保たせなければならない。その意味におきまして、合法的に議会が決定しましたところの決議に対しまして、裁判所がその内容に対して、本訴を受付けて、そうしてそれがいいか悪いか、それを取消すべきものであるとか、無効であるとかいうような判断を、裁判所が判決をもつていたしますことに対しては、われわれは何らの異存もございませんし、またそうであることが、日本の今日の法制上の建前であります。しかしながら、議会の秩序維持に対して執行停止をして、そうして極端に申しますれば、議会の秩序維持の決定があつてもなくてもいいということになりますと、すなわち死文化するということになりますと、今後の自治の運営に非常に悪影響を及ぼすものでございますから、国の最高行政責任者たる総理大臣の異議を申し立てる法的の根拠もございますので、内閣総理大臣の異議によつて、あの執行停止を一応やめてもらいたい、こういうようなことに昨日決定したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/60
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061・八百板正
○八百板委員 総理大臣の異議の申立てによつて、裁判所の決定がさらに効力を失うという規定は、もちろん法律によつて定められた手続でありまするから、これを行使することに手続上の違法はないだろうと思うのでありますが、いうまでもなく、法律というものは固定的なものでございまして、これを実情に合つたように運営するというところに、初めて行政官の生きた人間がこれを担当することの意義があるだろうと思うのであります。ただいま大臣のお話によりますと、地方自治の根幹である議会の決議を尊重せられなければならないというような御趣旨、それが民主主義の基礎であるというような御意見でありますが、それはまことにその通りでございます。しかしながら、その地方自治体において行われました処分というものが、正当であるか不当であるかというようなことについて、ある程度の判断を下して、こういう傾向は地方自治法を運営する上に助長すべき傾向であるか、それともためなければならない傾向であるかというようなことについて、十分の判断を下して、その上で首相の異議を申し立てるべきか、それとも申し立てざるべきであるかというようなことを決定するのが、当然の生きた行政官の職分だろうと私は思うのであります。それを機械的に、条文にあるからといつて、首相が異議の申立てをして、そうして事実上裁判の決定を無効にするというような行為をやる、しかもその行為は、いうまでもなく單なる出席停止というような軽い処分ではなくて、基本的な議員の権利を除名によつて抹殺するというような行為でありまするから、裁判所が決定をもつて、その効力が行き過ぎであるという、そういう仮の決定をした場合においては、一応三権分立の今日の日本の制度のもとにおいては、その司法官のとつたところの態度を尊重するという態度が、行政官として穏当な態度ではないかというように私は思うのでありますが、そういう点について、政府所管の大臣であります岡野さんは、どういう見解をもつてこの事に当られましたか、この際はつきりお答えいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/61
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062・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。行政官としての態度といたしまして、これが可であるか否であるかということに対しては、これはやはり政治上の問題でございまして、判断がいろいろまちまちでございましよう。お説のようなお考えも一応のお説でございましよう。しかし、われわれといたしましては、その原因がいかにあるかということに対して、適法であるか違法であるか、もしくはそうすべきものであるとか、ないとかいう判断は、一に司法権に委任しておるわけであります。ただわれわれといたしまして考えなければならないことは、もし懲罰をするということ、すなわち議会の秩序を保つということができなくなりはせぬかという心配がありました場合には、総理大臣としてこれに対して適当な処置をすべきものだと考えております。と申しますことは、本訴はむろん受付けられて、ただいま仰せのごとく、言葉が少々悪かつたくらいのことで、除名とはひどいじやないかという御議論もあります。これも一応ごもつともでありますから、これがやはり裁判所が受付けた理由だろうと思いますが、しかしながら、今日の現状といたしまして、日本の裁判は一年や二年でこれが決定をするものではございません。そこで議員の任期と申しますのは、あのお方がいつまで議員の任期があるかはよく存じておりませんが、少くとも昨年改選されたとすれば、あと三年残つております。しかしながら、除名処分をされて、議会から議席を失われる、これはお気の毒なことでございますが、しかしこれに対して裁判係属中は、あの執行停止によつてその除名の効果が上らない。そうしておるうちに三年たつてしまつて、結局、その後に勝たれるか負けられるかは存じませんが、もし負けられて、やはり議会の決定の通りに除名処分が確定したということになつたころ、そのときに効果が発するというようなことになりますと、除名処分をされるべき筋合の人が、やはりあの一つの執行停止というところの処分によつてずつと議会に出て来られる。これでは、議会の懲罰権というものが、まつたく無視されてしまう。こういうような意味におきまして、私は議会がすなわち三分の二の出席、四分の三の多数をもつて決議されたことは、これは合法的と認めます。それに何ら異論もありませんし、調べたところによれば、りつぱに成立しているようでありますから、除名処分は除名処分として一応生かしておいて、あとは判決にまつてその議会と個人との間のことは決定するということにおちつけた方が、今の政治情勢並びに自治確立の上において必要ではないか、こう考えて、われわれは発動したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/62
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063・八百板正
○八百板委員 最終制決があるまでに、仮の一応決定をする必要があるという裁判所の判断のもとに、裁判所の執行停止の処分はせられたものだと思うのであります。そういうことになりますと、それに対立して、行政官がまたその効力を停止するという行為をされたことになるわけでありますが、一体そういうふうな最終判決が待たれる場合において、仮の一応決定をするという司法官のとつた処置と、行政官のとつた処置と、どつちを尊重するというのが三権分立の運営の建前であるかという問題になるだろうと思うのであります。そういう意味において、私はやはり最終判決に至るまで——いつになるかわからぬが、最終判決に至るまでの間に、きまらないうちに実質的な除名をしてしまうということは、苛酷だという裁判所の判断の結果、つまり除名効力の停止という処分をされたものであると考えるのであります。従つて、当然にそういう裁判所の司法権の処置というものは尊重せられるということが、三権分立の建前であり、また同時に地方自治の運営を間違いなくやつて行く、これをコントロールする一つの作用だろうと私は思うのであります。もしこういうようなことが行政官の異議によつて、裁判所の決定いかんにかかわらず、どんどんされて行くということになりますならば、勢いのおもむくところ地方議会におけるいわゆる多数派横暴の勢いを助長することになつて、多数派はどんな失言でもこれを取上げて、どんどん除名して行くことができるということになりますならば、おつしやるように、これは地方自治体のいわば秩序を維持するための自治作用ではなくて、むしろ有権者の意思を多数党の横暴によつて抹殺して行くという、自殺作用を現にやつておるものだと思うのでありまして、そういうような傾向を助長するような異議の申立てを総理大臣がやるということに、私は賛成しかねる点があるわけなんです。先ほど申し上げましたように、たとい法律の上にきめられておつたといたしましても、その法律の固定的なものを、運用を通じて救済して行くというところに、初めて生きた行政官の任務があるのでありまして、そういう角度から助言せられることこそが、地方自治を担当しておられますところの大臣、あなたの任務であろうと私は思うのでありまして、こういう見解について、どういうふうにお考えになつておられますか、もう一度お尋ねいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/63
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064・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは八百板さんと私の見解の相違だろうと思います。あなたは人権を尊重し、同時に司法権というものを非常重く見ておられる、われわれも司法権を軽く見るわけじやございませんが、地方自治を担当しておりますところの岡野といたしましては、地方の自治が最もよく確立されて行くことが望ましいのであります。そういたしますと、地方自治の機関といたしまして、地方議会というものは、国の国会に匹敵するもので、一番大事な機関でございます。その機関が、一人でやつているんじやない、たくさんの人が集まつてやつているのでありますから、やはり議会内において秩序が保たれなければならないということは、一番大事なことであります。その秩序を維持せんがためにこそ自治法におきましても懲罰というような条項も入つております。またそれを受けて議会内においても秩序維持の規則をきめて、そうして合法的にちやんとその秩序を維持するべく決定をしておる次第でございます。そういたしますれば、いくら懲罰をしましても、もし司法権の介入によりまして、それが司法権の一つの執行停止命令によつて阻止されるということになりますれば、私は地方議会というものの秩序が維持できない、すなわち地方議会の存在というものに非常に危険であると感ずる、こういうような地方自治を尊重するという建前から、私はこの点において合法的に総理大臣の異議申立てをさせた次第でございます。これは一つ例を申し上げます、こういうことがございました。除名でございますから、あるいは御本人の任期中に判決がちやんと確定して、原因が悪かつたから議会の方が敗けて、そうして御本人が除名でなかつたということになるかもしれぬと思います。しかしながらもう一つこういう例があります。先般兵庫県に十日間の出席停止というような懲罰に付した事件があります。そのときに裁判所が執行停止をやつたのです。そういたしますと十日間というものはいろいろな手続をしている間にすぐ済んでしまう、そういたしますといくら議会内において懲罰いたしましても、裁判所であの執行停止の行政処分によりまして、これを押えて行くということになれば、今後はその執行停止という制限そのものによつて、そこに秩序を維持するところの懲罰規定というものは死文化してしまう、こういう状態でございます。それからまたあちらこちらの議会におきましても、やはりそういうことが起きて来はせぬかという心配もありますので、われわれといたしましては、裁判に不服があるわけじやない、裁判は十分していただきたい、また判決を待つて、そうしてりつぱに議員の資格を尊重され、また維持し、保持して行かれるということには不服はありません。懲罰動議が出て、懲罰に付して、同時にそれがりつぱに合法的に議会内において決定したことを、裁判の判決を待たずに執行停止をして、その結果としてはその懲罰の効果というものが、無意味に帰するというようなことは、私は制度としてもおもしろくないと思つておりますし、今回の事件としても、はなはだ好ましからざることだと思います。また多数横暴というような御説が出ましたが、これは少数党の方面から仰せられれば、多数の人が数によつて決定して、いつも横暴横暴という華をわれわれ聞きますけれども、しかしただいまの日本の政治というものは数の政治でございます。議会内の運営は数によつて決定いたすのでございますから、数というものを無視することは絶対に私はできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/64
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065・八百板正
○八百板委員 数というものが無視できないということはそれは常識である、判断力のある人たちの集まつた数の大勢が尊重せられるのであつて、單なるそのときの感情や何かに走つて、多数の力を濫用したというような場合には、そういうようなものは適用にならないことと私は考えるのでありますが、そういう問題はしばらく別といたしまして、ともかく青森県の場合においては、一応その発言を自分も考えてその要求に応じて取消しをしたのでありますから、取消しの際の言葉ぶりか何か知りませんが、とにかく気に入らなかつたというので、これを除名しておるのでありますから、その間速記録などをごらんになりましてもわかりますように、地方議会のいわゆる秩序を維持するための行為としては行き過ぎがあつたということは、これはだれが見てもはつきりすることだろうと思うのであります。裁判所がそういうふうな事情を審査いたしまして、執行停止の処置をされたということも、おそらくその辺の事情についての判断の結果であることは、常識上うなずけるところであります。そういうふうに考えて参りますと、そういうふうな行為そのものに不当なものがあるのでありますし、あるいは不当でないかと疑われるものがある場合においては、形式的に首相の異議をもつて地方議会議員の資格を失効させるというような行き方は、地方の行政を円滑にやつて行く方法として適当でないのではないか、こういうふうな考え方を私は持つておるのでありまして、そういう点について見解が相違するとおつしやられれば、それまででございますが、私はそういう際の処置として、総理の処置は決して穏当なものではなかつたというふうに考えたいのであります。なお兵庫県の例があげられておりますけれども、兵庫県の実情は私は詳しく聞いておりませんが、兵庫県の場合はとにかく十日間の出席停止という程度のものでありますから、問題もおのずから違うだろうと思うのでありますが、青森県の場合においては、議員そのものの除名というふうなもつと大きな問題でありますだけに、私はそういう点について、もつと慎重なる考慮が払われてよかつたのじやないかということを痛切に感ずる次第であります。こういうふうな点について今後地方自治の運営の上に考慮し、そういう点を救済する法の改正の点等も考慮していただきたいと思うのでありますが、そういう点について大臣の所見を伺つておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/65
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066・岡野清豪
○岡野国務大臣 この点につきましては、今後裁判所の介入ということに対して考慮し、同時にそれに対するいろいろの法の改正ということも考えておる次第であります。ただ一言つけ加えておきたいと思いますことは、自治庁といたしましては、この除名処分そのものが一体よかつたか悪かつたかということは、これは先ほども申し上げましたように、裁判所の公正なる判決にまかす、これには何ら異論ございません。ただしかしこの除名処分ができたところの手続、すなわち県会がとりましたところの手続につきましては、これはしごく合法的である。それであるからその合法的な点について、われわれは内容についていいとか悪いとかいうことを、さしでがましく言及することはないと思います。もしお説のように、大した問題でもないことを除名したではないかということになりますと、それを自治庁に判断しろというようなおぼしめしであるかないか存じませんが、私はそういうふうにとれるようにも存じますから、一応弁解するのでございますが、議会のただいまの制度としまして、数によつて決定したこと、これをもし多数横暴だと仰せられれば、そういう言葉も出ぬとは限りませんが、少くとも数によつて決定すべきことが議会の運営の方法でございます。これは常識でございます。合法的であります。法律に書いてある通りであります。でありますからもし、その場合に四分の三の多数で決定したのだけれども、あの人の言つたことはそう大したことでないのだと自治庁で判断して、そうしてこうせいああせいということになりますと、これはいわゆる独裁主義に陥るわけです。と申しますことは、七割の賛成があり三割の反対がある。しかしながらその三割の人の言うことがほんとうだから、一番いいことだからこれが通るということになれば、もうこれは数で律する政治ではなくなつてしまつて、昔のヒトラーとかムソリーニのように、一人もしくは数人の人の判断によつて、独裁によつて決することになりますから、それは私のとらざるところです。やはり地方自治というものはあくまでも法律によつて運営され、その法律によつて運営されている地方制度は、議会によつて運営されている。議会というものは何でやられるかといえば、やはり議会の運営規則によつてやられる。それが合法的であると思います。そうしてそれが数によつて決定されて、こういうような結論になつた以上は、私は議会の秩序を保つ上においても、四分の三の多数をもつて除名された者は、一応除名せらるべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/66
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067・八百板正
○八百板委員 自治体の秩序を維持するための議会の決定ではなくて、むしろそういうことによつて自治体の秩序が破壊せられる、こういう前提に立つておるのでありまして、そういう点で大分見解の相違があるようでありますから、またいずれあらためて次の機会にでも問題を取上げていただくことにいたしまして、質問はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/67
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068・立花敏男
○立花委員 一つだけ関連して聞いておきたい。岡野さんの答弁を聞いておりますと、議会が多数できめたことは、いかなることでも裁判所の執行停止ができない。数の政治なのだから一旦数できまつた以上はどんなことがきまつても、これはその決定の効力を停止することができないとおつしやられているように聞えるのですが、そうなりますと、裁判所の執行停止の権限は、議会で決定いたしたものには全部当てはめないという方針なのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/68
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069・岡野清豪
○岡野国務大臣 お答え申し上げます。一つだけ拾い上げてそうして言われると困るのです。これは懲罰の問題であります。同時に数と申しますけれども、数は合法的に多数であつた。同時にいろいろそれまでに至る手続は全部合法的であつた、こう私は認めてやつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/69
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070・立花敏男
○立花委員 合法、非合法の問題は今問題になつておりません。あなたの言われるのは、数できまつたからそれを阻止されては困るということが根本的な理由なのです。懲罰であろうと何であろうと、数できめたものをひつくり返されては、議会の秩序が保てないとおつしやるのですが、一般的にそう言われますとこれは大問題だと思うのです。懲罰問題だけに限定されるのか。ほかの問題は裁判所の異議申立てが出たら、これはお認めになるのか、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/70
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071・岡野清豪
○岡野国務大臣 ただいま問題になつておりますのは懲罰の問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/71
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072・立花敏男
○立花委員 今問題になつているだけのことを聞いておりません。あなたの答弁は一般的な答弁をなさつておられる。数できまつたのだから、その秩序をこわされては困るというような一般的な答弁を言つておる。懲罰問題だけをお取上げになればこれは具体的な問題なので、内容まで入らなければいけないと思うのです。あなたの答弁自体が、これは数できまつたのだから、裁判所が干渉されては困る、秩序が保てないと言つておられるので、これは一般的な考え方として言つておられるのか、あるいは今度の場合だけが、どうしても裁判所の言うことが聞けないとおつしやつておられるのか、それをひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/72
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073・岡野清豪
○岡野国務大臣 あなたはとり方が実にひねくれてとつている。ただいま申一し上げておることを全部お聞きになれ一ば十分おわかりのことです。一体数々とおつしやり、多数横暴という言葉が出たが、とにかく議会内の懲罰規則によつて手続をとり、同時にそれが多数であつた。ですから多数の者が議会の一規則を十分尊重して、議会が合法的に「やつたという例に、多数ということを言つたのであります。どうもあなたがそういうようにとるならば、あなたと一議論ができなくなるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/73
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074・立花敏男
○立花委員 それはあなたの方がおかしいので、何をきめる場合でも——懲罰の場合は懲罰の規則によつてやるでしようし、その他の問題でも議事規則によつてみんなきめるので、規則に従つてきめないものはありません。多数できめたんだからというのがあなたの一理由です。それで私どもは、地方の議会は形式的なルールにさえ従つておれば、何をきめても、裁判所の異議申立、執行停止はできないということになりますので、これは重大問題だと思つてあなたに意見を求めたのです。結局これは非常にあいまいな答弁しか得られないのですが、これ以上進めても押問答になりますからやめておきますが、もう一つ聞いておきたいのは、秩序という問題です。あなたは数で決定しさえすれば、それで秩序が保てるのだと言つておられますが、私これはモツブ政治だと思う。ただ数だけできめるのは衆愚政治なので、モツブ政治なので、これは決して正しい民主主義ではないと思う。正しい民主主義、正しい秩序は理念がはつきりしておらなければなりません。何が正しいかということがはつきりいたしておりませんと、これは決して新しい正しい民主主義じやない。従つて正しいことがやられたかどうかの内容がありませんと、いくら形式的に数が多数でありましても、これは決して秩序は保てないと思う。秩序には内容があるはずで、正しいことか正しくないかがはつきりいたしませんと、この秩序というものは無意味である。それこそいわゆる多数の横暴である。現在自由党がやつているようなのは、多分にそういうきらいがあるのですが、とにかく数だけで内容を見ないで、数できめたんだから秩序が正しい、裁判所所がそういうものに干渉されては困るというのですが、それは私は困ると思う。形式的に数できめることだけが正しいのではありません。裁判所が法律に従つて執行停止をやることは、秩序を保つことになります。議会のやることだけが秩序を保ち、裁判所のやることは秩序の破壊だということには私はならぬと思う。そういう点で秩序という問題は、内容が問題である。だから非常に間違つた秩序と、ほんとうの意味の正しい秩序があるのだということをお認めになるかどうか。間違つた考え方で国民を誤り、地方の住民を誤るような内容を持つた秩序、これは破壊されなければならない秩序なので、ほんとうに住民の言論を確保し、地方の自治を促進する、という内容を持つた秩序こそ、ほんとうに守られなければならない秩序なので、それが裁判所が執行停止をした根本的な新しい秩序だと思う。青森の議会が守ろうといたしており、またあなたが強調されようとする秩序は地方自治破壊の秩序なので、裁判所の出した線こそ、地方自治拡張の秩序だと思うのです。そういう意味で秩序ということをどうお考えになつておるか、ひとつお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/74
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075・岡野清豪
○岡野国務大臣 押問答になりましてまことに恐縮ですが、私の考えといたしましては、議会内の秩序を保つために、とにかくいろいろ議会規則ができております。その議会規則の中に懲罰規則もできております。そして懲罰しなければとにかくその議会がぐあいが悪い、円満な審議ができないという意味において、除名処分をしたのです。そのやつた手続は全部合法的であつた。われわれはその通りに地方議会の意思を尊重してやろう、こういうことであります。あとはもういくら言つたつて方向が違うのですから、押問答になりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/75
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076・金光義邦
○金光委員長 ほかに御質疑はありませんか——なければ地方公務員法の一部を改正する法律案につきましては、一応質疑を終了いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04419520514/76
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