1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十九日(木曜日)
午後一時五十八分開議
出席委員
委員長代理理事 高木吉之助君
理事 多武良哲三君 理事 山手 滿男君
阿左美廣治君 江田斗米吉君
神田 博君 小金 義照君
土倉 宗明君 永井 要造君
南 好雄君 高橋清治郎君
中村 寅太君 加藤 鐐造君
横田甚太郎君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
通商産業事務官
(通商局長) 牛場 信彦君
委員外の出席者
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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五月二十九日
中華人民共和国、ソ同盟及び東欧諸国との自由
な貿易打開に関する決議案(井之口政雄君外二
十二名提出、決議第二五号)
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本日の会議に付した事件
輸出取引法案(内閣提出第二三九号)
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001・高木吉之助
○高本委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。本日はまず輸出取引法案を議題といたしまして、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/1
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002・山手滿男
○山手委員 私はきようは各條文についてお尋ねしておきたいと思います。まず通産省の方にお尋ねをしたいと思うのでありますが、第二條の第四号におきまして、「公正な商慣習にもとる輸出取引であつて、政令で定めるもの」というふうに、非常に漠然と規定をしてございますが、これについて特にどういうふうな政令をお出しになるつもりか、まず最初にお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/2
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003・牛場信彦
○牛場政府委員 第二條第四号にどういうものを定めるかということでありますが、これはただいまのところ、さしあたり実例がちよつと思いつかないのでありますが、将来の問題といたしましては、たとえば非常な不当廉売、いわゆるダンピングでありますが、こういうふうなものが起りましたときには、このうちに入ると思います。またリベート、これにつきましても最近いろいろうわさがございまするので、さらによく実情を調べました上で、そういうことがありましたら、やはりこれに入れて行きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/3
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004・山手滿男
○山手委員 最近アメリカから輸入しておりまする大豆などについて、国際的な大きな紛議が起きようといたしておるようでありますが、日本とアメリカの商社との間の契約によつて輸入をされた大豆が、契約で定めてありまする要件と著しく異なつたものを実際には送つて参つておる、そのために輸入業者はたいへんな損失をこうむつておるという事実があるのでありますが、アメリカの方におきましてもそういうものを取締る法律が私はあるのではないかと考えております。もしこれを日本側がこういうことをやりまするというと、今度はこの法律にすぐひつかかるわけでございますが、ああいう事例は日本側がアメリカに対してどういう手段がとれるものか、あるいは通産省はどういうふうにおやりになる御意思であるかその点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/4
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005・牛場信彦
○牛場政府委員 大豆の輸入につきましては、現在業者間の私的な取引でやつておりますので、クレームが起りましたときは、まず業者間においてこれを解決するように努力するということになりますが、大豆の輸入につきましては、契約の條件が、たとえば検査を揚地でやることになつておるか、積地でやることになつておるか、そういう点も調べまして、われわれといたしましてもぜひ満足な解決が得られるように努力いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/5
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006・山手滿男
○山手委員 今後はそうしますと、こういうような、不注意ということでもないのでありますが、途中の輸送間のいろいろな問題、あるいはちよつとしたできごとで、そういうふうな事態が起きた場合、これは日本側がやつた場合は、当事者間では損害賠償をとられて、さらにこの法律によつて日本の業者は懲役二年というふうな体刑を受けて、非常な打撃を受けるというような事態になるのでありますが、そういうことになるというと、アメリカなんかの法律と、日本側の実際にこの法律を適用した場合の結果と、相当不均衡な事態が出て来はしないか。こういうことが考えられるのでありますが、業者の立場というものを考えてやる心要があろうと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/6
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007・牛場信彦
○牛場政府委員 ただいまのような事例は、おそらく第二條第三号の「輸出契約において定める要件を著しく欠く貨物の輸出」というような場合だと思いますが、ここに書いてありますように、著しく欠く場合にのみこれにひつかかるわけであります。普通の——と申しますか、故意に基かない、過失による契約條件の違反でありますとか、その他程度の軽いものは、ここまでは行かないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/7
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008・山手滿男
○山手委員 次に第十一條でありますが、第十一條の第二号の「共通の利益を増進するための施設」云々ということが書いてあるのでありますが、これは戰前の貿易組合法では、これがさらに具体的に明らかに書かれてあつたように私は考えておりますが、実際にはどういうことまで輸出組合に認めようとされるのか。すなわち取扱い商品の委託輸出とか、保管とか、包装等の共同施設のみならず、海外市場の共同調査とか、あるいは共同による資金の運営とかいうような、広く戰前の貿易組合法で認められておつた程度のものは、全部認めようという腹でありますかどうか、この規定が貿易組合法の規定と比較して、比較的簡単に省略して書いてあるのでありますが、御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/8
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009・牛場信彦
○牛場政府委員 この第十一條第一項第二号は、これは戦前の貿易組合法に比べますれば、やや狭い感じのものでございまして、ただいまも申されましたように、たとえば海外市場の共同調査でありますとか、あるいは包装などを共同にやるとか、ないしは昨日ちよつと問題になつたように、検査の問題など、こういうことはこれでできることになるわけでありますが、共同販売ということになりますと、これはこの組合が営利を目的としないということになつておりますので、営利を目的とした共同販売はできないわけでございますし、また営利を目的としない共同販売につきましては、これは現在のところでは、まだ事業者団体法の規制を受けておりまして、現在国会で改正法が審議中と思いますが、これが通りますればできることになりますが、現在のところではまだできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/9
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010・山手滿男
○山手委員 その辺のところ、もう少し早く、どの程度まで認めるのかを後ほどはつきりさしておいていただきたいと思います。
それから第二十條の独占禁止法との関係でありますが、第二十條の規定によりますと、輸出組合の業務、すなわち今申し上げました第十一條の第一項及び第二項のうち、その第二項のみは独占禁止法及び事業者団体法の適用の範囲外に第二十條でされておるのであります。すなわちその仕向地の産業の保護とか、あるいは利益を非常に害する場合とか、あるいは価格の変動の著しい場合でありますとか、あるいは買手独占が行われておるようなところに対する第五條の場合のほかは、第十一條第一号のいわゆる不公正なる輸出取引の防止については、独占禁正法の規定が排除されることがないように第二十條でなつておるのでありまするが、これは私は今の局長の解釈のような、第二号あたりで戦前の貿易組合法よりか狭く解釈されておるというようなことにでもなりますれば、ひつかかりが起きて来る。やはり第十一條第二項のみをはずしておくのでなしに、第一項も独占禁止法を排除するような規定にしておかなければ不自然、不合理ができて来ると思いますが、いかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/10
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011・牛場信彦
○牛場政府委員 この点につきましては、法案の立案にあたりまして、公正取引委員会の方ともきわめて慎重に相談いたしたのでございますが、結局この第十一條第一項第一号「輸出業者の不公正な輸出取引の防止」これの目的のためにするところの共同行為というものをはつきり書かなくとも、これは当然独占禁止法などには触れないのであるというような解釈が確立され得るということでございましたので、法文上には明らかに除外ということは書かなかつたわけであります。しかしこれは当然はずれるという解釈でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/11
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012・山手滿男
○山手委員 そういたしますと、こういうふうに解釈をしてよろしいのかどうか。第十一條の第一項のような事例の違反については、輸出組合は当然に制裁能力があつて、拘束することができるということで、そういう協定に違反をするようなものは当然に除名をするとか、あるいは過怠金を徴収するとか、そういうふうな強制力を行使することが当然にできる。こういうふうに解釈をしてよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/12
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013・牛場信彦
○牛場政府委員 この第十一條の第一項の行為でございますが、これはもちろん合理的な範囲にとどまるべきものでございまして、その範囲の程度いかんにつきましては、通産大臣、公正取引委員会等におきまして基準の決定その他の際あるいは組合の設立認可その他の際に認定するわけでございます。合現的な範囲内において行ところのそういう基準などに対しまして、違反した場合におきましては組合の定款によりまして、そういう処分ができるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/13
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014・山手滿男
○山手委員 この点公取の委員長さんからも御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/14
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015・横田正俊
○横田(正)政府委員 ただいま通産局長からお答え申し上げました点につきまして、もう少し補足して申し上げたいと思いますが、ただいまの十一條の一号もそうでございますが、二号につきましても、結局この二つの行為につきましては、第二項の場合と違いまして、これに基きますいろいろな行為が当然に独占禁止法や事業者団体法の適用除外になるわけではないのでございまして、ただこれにわざわざ適用除外を認めませんでした理由は、特に適用除外をいたしませんでも、今お示しになりましたような関係の事柄は、事業者団体法や独占禁止法に触れることなく、適法に行われると大体考えられましたので、特にこの二つにつきましては適用除外を法律で規定することをしなかつたのでございます。もう少し具体的に申し上げますと、ただいまお示しの、たとえば不公正な輸出取引の防止、これに違反しまして、ある業者がけしからぬことをした、これに対して一定の制裁を加える、そのこと自体は必ずしも事業者団体法あるいは独占禁止法の問題にはなりませんが、ただその制裁の程度につきまして、あまり苛酷な制裁を加える、わずかな違反をしました場合に、ほとんど業者としては忍びがたいような苛酷な制裁を加えるということになりますと、たとえば事業者団体法第五條の第八号の機能の制限ということになりまして、輸出組合の行為としては少し行き過ぎなことになる、すなわちその場合は法律上問擬せられることになるというような関係であろうかと思います。大体第二号につきましても、今申しましたような関係で、ある程度の事柄はもちろん適法にできますが、度を越した場合にやはり法律上問題があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/15
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016・山手滿男
○山手委員 まあそこあたりのところが非常に問題になるおそれがあると思いますので、これは後ほどさらによく一度お伺いしてみたいと思いますが、この第十一條にあります「不公正な輸出取引の防止」ということなのでありますが、この「不公正な」ということは、これはどういう法の根拠に基きまして不公正であるということを決定すべきかということが私は将来問題になる場合があろうと考えるのであります。と申しますのは、わが国の国内法だけでなしに、国際協定なんかでわが国が加入をしておらないものがある、あるいは必ずしもわが国の商習慣とは一致しないものがあるのじやないかと思うのでありまして、そういうふうなものをどういうふうに不公正な基準に取上げて行くか、あるいはそういうふうなものも全部含めて、わが国が参加をしておるもの以外のものも当然に不公正であるという判断を下すものさしにするものであるかどうか、そのあたりのところがやはり明らかになつておらないように思うのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/16
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017・牛場信彦
○牛場政府委員 この第十一條第一項第一号にいいます「不公正な輸出取引」と申しますのは、この法案におきましては、この第二條の定義において書いておる通りのものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/17
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018・山手滿男
○山手委員 そうしますと、この第二條に書いてある「国際取引における公正な商慣習」というふうなものは、どうやつてきめるのですか、何を基準にしてきめるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/18
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019・牛場信彦
○牛場政府委員 この「国際取引における公正な商慣習」が何であるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、リベートでありますとか、ないしはダンピングということがこれに反するということになるわけでありますが、なお個々に問題が起りましたときには、輸出取引審議会などに諮りまして、日本の業者に非常に不当な損害ないし不利をこうむらせないように運用して行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/19
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020・山手滿男
○山手委員 これは将来とも相当問題になることがあろうと私は思います。というのは、今日大豆の問題にいたしましても、あるいは紙の問題にしても、いろいろな問題がすでに占領下においても起つておる実情でありますし、各国と貿易をやつておるうちにいろいろな問題が起きると思うのでありますが、やはりこれは大きく見て行くという建前で、私は第十一條の第一項は、輸出組合は当然守らなければならぬことであるから、この輸出組合がそういう方面についても協定をしてもよろしい、この点については当然に独禁法の規定を排除して行くんだという建前で臨んでおられるのであろう、こういうふうに考えておるのでありますが、この尺度についてはいろいろ疑義がある。これはぜひこの際公取の委員長さんの方からも明らかにしておいていただきたいと同時に、そういうことになると輸出組合の方でいろいろ不公正な取引を防止するために、例の販路協定をやるとか何とかというふうな問題が起きるかもわからない、そういうことはどうなつて行くか、公取の方から御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/20
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021・横田正俊
○横田(正)政府委員 ただいまの販路協定の問題でございますが、これは実は十一條の二項の規定を設ます際、これは協定の方も同じような関係になつていると思いますが、一応問題になりましたが、販路協定までを認める必要はないのではないかということで、この協定に関しましては特に規定をいたしませんで、従つて販路協定は独占禁止法あるいは事業者団体法の適用除外にならない、こういうことになるかと存じます。なお一般的に申しまして先ほど私ども申しましたのは、少し言葉が足りませんでございましたが、御承知のように事業者団体法に関しましては、ただいま政府から国会に提案しております改正法によりまして、相当の範囲において緩和がはかられておりますので、現行法のもとにおきますよりは、よほど輸出組合なりあるいは事業者の活動範囲が広まつて来ておると考えます。具体的の問題につきましては、結局は独禁法なり事業者団体法の、特に第五條の一号から八号までに書いてございます規定の解釈問題となるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/21
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022・山手滿男
○山手委員 そこで私はお尋ねをしておきたいと思うのですが、通商局の方と公取の方と両方で御説明を願いたいと思うのでありますが、今問題になつておるところの、独立後効力を発生しております例の行政協定の問題とからんで来るのでありますが、この行政協定のとりきめによりますと、第八軍、朝鮮とか沖縄方面にいろいろ作戦をしておりまする部隊、海軍部隊、そういうものがいろいろ日本から物資を調達しておりまするが、直接調達をやつて、日本の機関を使つての間接調達はこれを認めないということに話がおちついたようであります。従つてこういう物資の調達のやり方をやるために、いろいろ過剰利得の返還問題とか、いろいろな問題がすでに占領下の時代からも起きておつて、日本の業者は非常に困つておる。実際の入札をする場合におきましてもずいぶんたたかれて、普通の業界では手が出ないような大量なものを入札をするために、日本の国内の市場価格以下の入札に押えて、たたいてたたいてたたきまくつて、向うが実際には仕事をさせ、物資を調達をしておる、こういう実情であります。ところがこれは実際は朝鮮部隊あるいは沖縄部隊——日本の領土外のところの部隊が調達をしておるのでありまするし、しかも日本の法規でなしに、向うの法規に従つた調達をしておるのでありまするから、私は当然これは輸出だろうと思います。輸出でございまするから、そういう物資の調達に応じているのは、これは輸出取引法の規定に従つて業者、輸出組合は協定をして、日本の国内価格以下のところにまで買手独占が行われておる。そういう地帶に対しては対処して行き得ると私は考えておりますが、公取の委員長さんからまず御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/22
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023・横田正俊
○横田(正)政府委員 ただいまの問題についてお答えいたしますが、そういう取引が本法に申しまする輸出になるかどうかは、実は私自身といたしましてはあまり自信のある御答弁を申し上げることはできないのでございますが、一応ならないのではないかというふうに申し上げられるのではないかと思いますが、この点は後に通産省の方からもつと明確なるお答えがあることと思います。なお輸出になるといたしましても、結局第五條の第三号のいわゆる「仕向地の輸入取引における競争が実質的に制限されている」ことになるかどうかという点も多少問題があるのではないかと思います。
なお多少余談になるのでございますが、そういう沖縄等への輸出でなく、御承知のように先般まで、講和前には内地におきまして軍に日本が納めますものにつきまして、われわれが見ましてはなはだ不当と思われますような調達方法をやりまして、業者の側では対抗上やむを得ず一種の共同戰線を張るというようなことが相当ございまして、私たちの方にもそれが違反ではないかということで司令部あたりから問題をつきつけられたようなこともございまして、その処理には非常に苦労をいたしました。まずこの点につきましては、相手の態度のはなはだ不当なものにつきましては、形式的にこれを見ますと、明らかに違反になるというような場合に響きても、われわれの一つの処理といたしまして、事件として表向きに取上げずに適当な処理をいたして参つて来ております。この際にそれをつけ加えて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/23
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024・牛場信彦
○牛場政府委員 特需につきましては、これはずつと前から日本の国内法上輸出として取扱つて来ておりません。ことに今度の行政協定以後は支拂いも全部円貨になるまして、ますます輸出としての性質を帶びて来なくなつておりますので、現状におきましては、この法律はそれには適用はできないというふうに考えております。ただお話のように、日本一の業者にとつて非常に不利な状況があることは事実と認められますので、主として行政協定の例の合同委員会あたりを活用いたしまして、日本の事情に沿つたような買付をしてもらうようにアメリカ側に今話をしておるところでございますが、将来の問題といたしまして、もしどうしても輸出扱いたした方が便利だということになりますれば、これはまたそういうふうに考えを直して行く余地は十分にあると思います。なお朝鮮とか沖縄とか現地におきまして入札を行いまして、ドルで支拂えるというような場合には、もちろんこれは輸出として取扱うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/24
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025・山手滿男
○山手委員 今の局長の御答弁は私はどうかと思うのです。輸出ということになると、日本の通貨で携われておるものは全然輸出じやないという規定になるのかどうか。その点もおかしいと思いますが、実際問題としては、これ、からそういう特需の関係というものが非常に日本の経済界の大きなウエイトになつておるわけでありまして、それを簡単に従来こうであつた、占領下でこうであつたから、あるいは円貨で決済をするのだからというふうなことだけで、輸出じやないとかなんとか言い切るということは、私は軽率であろうと思います。実際問題としては、この契約の内容なり、あるいは物資の調達のやり方を見ておりますと、全部向うの法律を適用するというふうな行き方でありますし、輸出の形式を実際はとつておると認められるものがたくさんあるのでありますから、私はその点について簡單に今のように片づけてもらうことは迷惑であろうと思います。
それから第十二條でございますが、十二條の組合員たる資格でありますが、輸出業者というのが私は不明確になつておるように思うのでありますが、この輸出業者というのは、どういうところの者を輸出業者というふうにお考えになつておるのか、少し御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/25
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026・牛場信彦
○牛場政府委員 輸出業者ということになりますと、第一には輸出を業とする者という、これはもちろんのことでありますが、それ以外に、たとえば実績のない者はどうかということであります。これもこれから輸出を始めたいという意思を持つており、かつその能力を持つておるということでありますが、これは輸出業者として取扱つて行きたいというふうに考えております。戦前の貿易面におきましても、大体において輸出の意思と能力を持つておるものというふうに解釈しておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/26
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027・山手滿男
○山手委員 この際、私はいろいろの問題が起きますので、公取の委員長さんにお伺いしておきたいと思うのであります。事業者団体法においては、今そういう改正の議が起きておるのでありますが、独禁法について、少しこれを修正をして行くか、手心を加えて行くような処置をおとりになる考えはないのかどうか。この法案とも関係がありますので、この際明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/27
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028・横田正俊
○横田(正)政府委員 独禁法の改正につきましては、すでに御承知と存じますが、事業者団体法の改正と並びまして政府におきましても、最近、すなわちリツジウエイ声明後非常に慎重に検討いたしまして、政令諮問委員会にこれをはかり、その答申に基きまして二つの法律に関しまして改正要綱をつくり、それを司令部に提出したのでございます。この独占禁止法の部分の改正の重要点は、御承知のように第四條上第六條のいわゆる国内及び国際関係の協定について、それが特に必要のある場合は、公正取融委員会の認可というような條件のもとに適用を除外する、これを適法と認めるという線を出しましたことと、それからあとは株式の保有や役員の兼任等につきまして、現行法よりも緩和をはかるというようなことが主体になつておつたのでございます。ところがこの政府の案に対しまして、当時の司令部におきましては、特にこの四條と六條の協定をある範囲において適法化しようという線に対しましては、非常に強い反対を申して参りまして、しかもこれは出先の司令部とかあるいはその担当のESSの考え方ではなく、まつたくアメリカの国務省方面、アメリカ政府の方針であるというようなことがわかりましたために、政府におきましてもこの四條、六條の
一番重要な改正点につきましては断念をいたしまして、その他の部分についての改正案を法案にいたしまして、これを司令部に提出をいたしましたところが、その案に対しましても、たしか昨年の十一月ごろだつたと思いますが、全面的にこれは認めがたいという非常にきつい意見が述べられまして、政府におきましてはそういうような関係からいたしまして、講和発効前はとうてい困難であるというふうに考えまして、遂に独占禁止法に関しましては案を出さずにしまつたわけでございます。のみならず当時の司令部としましては、なお手続規定その他において、現行の独禁法よりもなおこれを強化するようなことを考えているふうもございましたので、かたがた時期にあらずということでやめてしまつたわけでございます。公正取引委員会といたしましても、独占禁止法はすでに成立後ある時期にかなり大幅な改正をいたしまして、大体非常な不都合はない線になつておりますが、なおまだいわゆる形式的な予防規定と申しますか、そういう面におきまして若干行き過ぎの面があるように思われましたので、われわれとしましても独自の改正案を実は考えておつたのでございますが、今のような関係でどうも非常にその実現が困難であるというようなことで、これもそのままになつておるわけでございます。
そこでこの機会に、私どもの独禁法の問題につきまして考えておることを申し述べさしていただきますが、そういうような関係で、ごくある部分について形式的な規定に関しましてある修正をいたしますことは、これは今後特にアメリカ方面で、独禁法の改正については相当神経を使つておるようでございますが、ある範囲の改正はできると思うのでございますが、先ほど申し上げました四條、六條に、原則的に一般的な形で穴を明けるということは非常にむずかしいように思われますので、たとえば今回提案になりましたこの輸出取引法であるとか、そういうような特殊の問題につきましているくな一定の制限、制約のもとに、独占禁止法の、たとえば協定を違反とする規定の適用を除外をするとか、そういうような行き方で、いろいろな向き向きによつて、日本の国情に合いましたような修正を加えて行くのが、今後のこの独占禁止法の改正問題としては割合に通りもよく、またわれわれといたしましても、独占禁止法のいわゆる自由公正な競争の原則というものを維持しながら、しかもこれを日本の国情に合しつつ運用して行くという面において、そういう行き方がいいのではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/28
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029・山手滿男
○山手委員 私は、独占禁止法自体が日本の今日の特殊な国情にはぴつたり来ないために、いろいろ困つたような事例が多々起きつつあるように思つております。今日の貿易界の実情というものは、英本国や英連邦の方の輸入制限というふうなもので縛られて、苦しめられておつたというような事態を通り越してしまいまして、最近は軍備擴充の繰延べその他による列国の輸出力の増大によつて、安価なものが、しかも大量に日本の輸出市場——日本から従来輸出されておつたものの多くの品々において重大なる競争相手として立ち向つておるのでありまして、このまま放置しておくならば、私は重大な事想が起きるように思うのであります。そのために業者自体についても少しでも——いろいろ国際的に重大な非難をされるようなことは困るでありましようけれども、実際の運用の面においては手心が加え得るような独禁法なり事業者団体法なりの修正を、さらに今後真剣に取上げてやつていただきたい、こういうふうな気がするのであります。
それからもう一つ忘れましたが、通産省の方にお伺いをしておきたいと思うのでありますけれども、この輸出組合はどの程度の種類をお認めになるつもりでありますか。具体的にはどういう業種とどういう業種を認めるということが、はつきりもうプランができておると思うのでありますが、お手数でもここで明示をしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/29
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030・牛場信彦
○牛場政府委員 輸出組合につきましては、なるべくこれを大別して、少数にしてもらいたいという意見が業界の方から非常に強く出ておりますので、目下通産省内部におきまして、各局とも相談いたしまして、また民間の意見も聞きまして、何か案をつくりたいと思つて努力しておるところでございますが、まだ成案を得ておりません。これは輸出協議会等を十分活用してきめて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/30
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031・山手滿男
○山手委員 今の種類を少数にしてくれという希望が非常に強いという話でありましたが、私どもの聞いておるところでは、送に相当自分の方も考慮をして、独立の組合を認めてほしいというふうな声が、各業界から起つておるように思つております。これは今の局長のお話と全然逆なのでありますが、たとえて言えば、陶磁器なら陶磁器自体は、独立をして戰前も組合を持つておつたのだから、今後も輸出組合を、雑貨と雑居するのでなしに認めてほしいという話があるし、漁網の組合も、漁網だけで組合をつくつているのだから、これは認めてほしいというような声、こまかくいえばメリヤスもくつ下もということで、際限もないようなことになるのですが、そこまでは行けぬだろうと思いますが、相当大きな業界は單独に輸出組合をつくつてもらい得るもの、こういうふうな考えで動いておるようであります。これはちよつと今の局長の御答弁と食い違つておりますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/31
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032・牛場信彦
○牛場政府委員 少し端的に申し過ぎたのでありますが、もちろん陶磁器その他の業界に非常そういう声のあることも承知いたしておりますが、業界全体といたしましては不況の際でもありすし、たくさん組合ができましても、それに対してはいずれ経済的負担がかかつて来るということでございまして、なるべく合理的な範囲にとどめてもらいたいという希望もあるようでございます。戰前のように二百近い組合ができるということになりますと、相当の負担になりまして、とてもたまらぬからという話もございます。しかし各業界の持つておる特殊性というものは十分役所といたしましても尊重いたしますが、業界自体においても何かうまい解決方法を見つけて行かれると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/32
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033・高木吉之助
○高本委員長代理 本日はこの程度にいたし、明日午前十時より運輸委員会との連合審査会、午後一時より本委員会を開会いたします。
本日はこれで散会にいたします。
午前二時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X04319520529/33
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