1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十二日(木曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 中村 純一君
理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君
理事 山手 滿男君 理事 今澄 勇君
阿左美廣治君 今泉 貞雄君
江田斗米吉君 小川 平二君
土倉 宗明君 淵上房太郎君
南 好雄君 河野 金昇君
高橋清治郎君 加藤 鐐造君
横田甚太郎君
出席政府委員
通商産業事務官
(通商繊維局
長) 記内 角一君
通商産業事務官
(中小企業庁振
興部長) 松尾 金藏君
委員外の出席者
日本ゴム工業会
常任理事 山本米太郎君
全国繊維労働組
合同盟地方繊維 下田 喜造君
部会書記長
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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六月十一日
自転車競技法等の一部を改正する法律案(境野
清雄君外五十七名提出、参法第一二号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
特定中小企業の安定に関する臨時措置法案(南
好雄君外二十二名提出、衆法第六一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/0
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001・多武良哲三
○多武良委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。
本日は特定中小企業の安定に関すサ臨時措置法案を議題といたし、参考人より意見を聴取いたします。本日御出席の参考人は、日本ゴム工業会常任理事山本米太郎君、全国繊維労働組合同盟地方繊維部会書記長下田喜造君の一名であります。
この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず、本委員会のためにわざわざ御出席くださいましたことを委員会を代表いたし、委員長より厚く御礼出し上げます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場より忌憚な大御意見を承ることができれば幸いにおずる次第であります。
それではこれより参考人各位の御書見の御陳述を願うことにいたしますが、御発言の際には委員長の許可を但てから御発言くださるようお願いい作します。なお御発言の冒頭には御中名、御職業をお述べいただくようお願いいたします。
それではまず山本米太郎君より御瞥見の御陳述を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/1
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002・山本米太郎
○山本参考人 ただいま委員長の指名によりまして、一言意見を述べさしていただきたいと思います。私は先ほど御紹介がありましたように、日本ゴム工業会常任理事をやつております。大業は高砂ゴム工業株式会社の専務取締役をしております。お尋ねの趣旨は、全般的に及んでおりますものか、あるいは特定の事項かということがはつやりいたしておりませんが、一応ゴム工業家としての意見を申し上げまして、御参考に供したいと存じます。
御承知の通り、ゴム工業は昨年の朝鮮ブームによりまして、一時は非常に活況を呈しておつたのでありますが、その際には、将来の輸入が停止するのではないかというようなことから、これは政府の縛懸もあつたので、われわれゴム工業家としては、備蓄のゴムを高い値段をかまわず、とにかく買わなければいかぬというので、大いに買つたのであります。その後、朝鮮の聞賭が休戦会談というようなことになりまして、ゴムが暴落したので、非常な痛手を受けたのであります。しかもその後の業界が急激に悪くなつたので、この痛手と、それから急激に悪くなつたために、業績は逐次低下いたしまして、いずれも赤字を出した。こういう二重の負担であります。このゴム原料の値下りの状況は、大体昨年の二月が頂上で、一トンが六十何方円したのでありますが、現在は二十何万円に下つております。そういうような関係から、痛手を何とかして切り拔けたいというので、各メーカーは製品コストを下げる一つの目的から、依然として相当の数量の生産をしておつた。しかも一方有効需要の方は、だんだん減る一方でありまして、なおさらに前途が存いというので、需要家の買気が一層萎縮して参りました。こういう関係で、本年に入りましても依然不況が続いて参りまして、結局生産過剰で、物に百あまり値がないというようなことで、製品の値段はますます下りますために、各所に倒産をする工場が相当数用たのでありまして、たとえば例を自加重のタイヤ工業にとつて言いますと、一番多いときには二百六十工場もありましたものが、現在では操業しておるのが、わずかに七十数社にすぎない状況でございまして、これがために、通産省におかれましても、このままほつておいたのでは、どういう悲惨な結果が来るかもしれない。何とか手を打たなければならないというようなお考えもありまして、われわれ業者自体といたしましても、生産と需要とをマツチさせるために、いろいろなことをもろんでみたのでございますが、何分にも、事業者団体法があり、あるいは独禁法がありいたしまして、強力な手が打てない。こういうことで非常にあういでおつたのでございますが、幸い通産省が、三月十日に操短勧告というものを出されまして、各工場が大体どのくらいつくれば有効需要にマツチし、しかも採算がとれて行くというような数量を想定されまして、それぞれ各企業に向つて、お前の方は三月は幾ら、四月は幾らつくれというふうに、指示があつたのであります。その通産省の指示通りにつくれば、業界の立て直りには相当効果があつたのでありますが、御承知の通り、ゴム工業は、大企業はきめて少く、ほとんどが中小企業でありますので、なかなか言われた通りに実施しない。また一方実施し得ない事情もあるのであります。すなわち、すでに自分が発行した手形を落すためには、相当のものをつくつて行かなければ、金繰りがつかないという場面があるのであります。そういうようなことで、どうしても通産省が予定されましたような数量にとどまらなくて、さらに多くの生産ができて行く。従つて需給のバランスがますます悪くなるという傾向であるのでありまして、これはどうしても何らか法的根拠を持つたもので、適正量の生産をするようにして行かなければならないと思つておつたのであります。今日御諮問にあずかります特定中小企業の安定に関する臨時措置法案は、私どもは非常に機宜を得た法案であると、こういうふうに考えられるのでありまして、業者全体の意見としてのまとまつたものは、まだございませんが、先月開かれました日本ゴム工業会の理事会におきましては、この法案は、何とかひとつやつていただきたいというような意見が多数でありました。自転車タイヤとか、ホースとか、ベルトとかいうように、各業種別の団体がございまして、その業種別の団体の意見はまだまとまつていませんが、大勢は、これをぜひやつていただきたいというふうに傾いております。ことに神戸、大阪方面では、特にこれを強力要望いたしております。大阪組合のごときは、組合の決議書を工業会の本部によこしまして、ぜひこれを法律化するようにしていただきたいという歎願書まで参つておるような状況であります。
なおこの法案につきましては、特に私どもが新聞で拝見いたしますと、新規事業への融資の條項が削除され、つなぎ資金の利子の国庫補給が削除されたという二つの問題を聞いておりますが、今申し上げました通り、需給のバランスが合わないので引合わないのであります。値が下ると品う状況にあるのに、一方組合員が全部かりに自粛といたしまして、需給のバランスが合うように生産を減少させたといたしました場合には、また新規業者が、これはどうやら採算に合うのだからというて続々と新規業者がふえるのでは、この法案の目的はとうてい達し得られないのでありますから、この新規業者への融資という問題は、この法案を実施するにつきまして、最も重要な事項ではないかと思います。
それからもう一つは、いわゆる生産制限をやる場合に、従来の手形発行その他の支払いについては、やはりつなぎ資金というものがいるのでありまして、このつなぎ資金がなければ、実際にやりたいと思つてもやり得ないというようなことになるのであります。このつなぎ資金の利子補給の問題は、われわれゴム工業界といたしまして概算いたしましても、一箇月に約五十億円の生産高を現在上げておりますが、この五十億円の生産を二割減らすといたしますと、十億円のものが減少するのでありまして、この十億円の収入の減少を従来の手形発行から考えてみますと、約三箇月分、三十億の資金を新たに必要とするのでありまして、かりにこれを年五分といたしましても一億五千万円、一箇月にいたしまして約四千万円の利子を補給していただけば事足りるのでありまして、その借入金というものは、個々の企業が銀行と交渉するなり、その他の方法でまかなうといたしましても、この利子の負担がまた業者の相当な負担になる、こういうふうに考えられますので、この二つはぜひひとつ復活をするようにお願いいたしたいと存じます。
その他は、現在ここに原案かできております通りで大体意見はございません。一応それだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/2
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003・多武良哲三
○多武良委員長代理 次は下田喜造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/3
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004・下田喜造
○下田参考人 全繊同盟地方繊維部会の下田喜造であります。
地方繊維部会と申し上げますのは、本法案の指定業種にかかわりますところの綿織物、絹織物、人絹織物、スフ織物、紙幅等の織物中小企業の労働組合が団体をつくつておるのでありまして、本法案に対しましては、私どもまことに重要な意義を感じておるわけであります。
そこで今回参考人として召喚されたことにつきましては、われわれといたしましてたいへん幸いに存ずる次第でありますが、何分急なことでございましたので資料等も十分持ち合せておりません。その点意見の開陳について若干疎漏を来すかと存じますが、御了承を願いたいと思うのであります。
そこで本法案に対する私どもの意見といたしましては、先ほどゴム工業会からの御意見の開陳もありました通り、本法案のねらわれたところの趣旨というものについては、われわれ全面的にこれを了承し、喜ぶものでございますけれども、この法案の裏づけになりますところの金融的な措置を、いかに政府当局をして講せしむることができるかということを考えて参りますと、まことに不安なものを持たざるを得ないのであります。そこで私どもとしては、せひ本法案に対しては金融的な措置を講じてもらいたいということがまず第一点でございます。次に第二点といたしましては、そもそも中小企業の安定化をはかるに際しましては、糸価の安定と生産過剰の調整とにまたなければならないと思うのでありますが、生産過剰の調整をはかり、糸価の安定をはかる以前に、いわゆる需給の調整をはからなければなりません。しかしながら需給の調整をはかることは、必然的に現在の輸出量ないしは自国消費等の問題を勘案いたしました場合において、その業種産業の伸張の度合いというものは、これは当然概念的に把握できるかと存ずるのであります。しかしながら戦後の経済情勢は、政府当局の自由経済的な色彩が非常に激度に発展し、中小企業におきましては、本法案に指定されてあります通りの業種において、いわゆる中小企業がほうはいとして省き起り、そこには日本の産業施設の復興に対して一大寄与をしたことは間違いございませんけれども、それがあまりにも無制限に拡大をしているということは見のがせない事実ではないかと存ずるのであります。そこで私どもといたしましては、前々からたとえば絹、人絹織物にいたしましても、あるいは綿織物にいたしましても、零細企業の技術の遅れたところの工場がどんどんと拡張されておる、しかもその資本力たるや微々たるものである、このような経営が続々と生れて来た場合には、日本の円滑な生産関係というものをまつたく混乱に陷れるのではないかと危惧いたしておつたのでありますが、御承知の通り絹、人絹におきましても、あるいは綿織物にいたしましても、現在の経営事情はまつたく危機に瀕し、破産の現状にあるのであります。従いましてこのような中小企業の不安定を除去いたしますに際しましては、本法案の第二十七條に規定してありますところの、いわゆる生産設備の制限に対する問題をまず第一番に取上げるべきではないかと存ずるのであります。本法案におきましては、生産数量、出荷数量等もありますけれども、しかしながらそれ以前の調整はとにもかくにも生産設備に関する制限であろうかと存ずるのであります。現在の中小企業の織機工場の例を引きますと、戦前の織機台数と戦後の織機台数は、なるほど総数におきましては、戦前の状態には復元いたしておりません。しかしながら急激に増加いたしました織機台数は微々たるもので、ほとんどが戦前の織機をいもだに使つている。若干たとえばN式の織機を、上機を下機にかえたという程度のものでありまして、技術はきわめて劣悪でございます。従いまして資本力の弱化と加えて、技術の劣悪等によつて大企業の資本力に対抗でき得ないのが、中小企業の運命と申しましようか、現状でございます。従いましてこのような事態に立ち至つている中小企業に対しましては、無制限に生産設備の拡大をはかるのではなくして、それは政府当局の指示に従つて、命令に従つて生産設備の制限を加え、今後起つて来るところの中小企業の設備に対しましても、これが制限を加えるような処置をまず第一番に加えてもらう。そのことによつて、中小企業の非難されておりますところの技術の低下と資本力の弱小、その中小企業の安定をはかる結果と相なるかと存ずるのであります。従いまして銀行当局にいたしましてもあるいは政府当局にいたしましても、中小企業に対します安定策が金融的にも講ぜられ、あるいは糸価の安定策の諸事項を講ずるような結果にも相なろうかと存ずるのであります。従いまして今の中小企業のままで、このまま無制限に拡大して行くような形におけるところの金融処置も、あるいは政府当局の諾政策におきましても、中小企業には計画的な、ある一定の統制を持した中小企業の安定化をはかることは困難かと存ずるのであります。従いまして私どもといたしましては、とにもかくにもまず本法案の中において、生産設備の制限に関する問題を重要点として取上げていただきたいことを希望するわけであります。
なお次に、私どもは現在の中小企業の現状を考えました場合においては、中小企業の経営と労働との関係を考えてみますと大資本のそれとは異なりまして、中小企業の労働組合ないし労働者は、ただ単に階級闘争のイデオロギーをもつて労働関係をやろうとしても、これはまつたく無知にひとしい、自滅にひとしい結果に相なると存じております。従いまして中小企業におきましては、労使相ともどもに経営の振興に努力いたさなければならない、かように存ずるのであります。しかしてそのような考え方から行きますと、経営の伸張もあるいは経常の衰退も、相ともぐに労使がこれを味わわなければならない関係にございます。しかしながらそのような関係の場合に、ただ單に政府の現法案によりますような操短、あるいは生産設備、あるいは出荷数量等の省令ないし勧告が下りました場合には、経営者をして労働者の解雇條件をつくらしめるような結果に相なろうかと存ずるのであります。従来経営者の中におきましても、労働者の意向をよく勘案いたしまして、悪く言いますと実に封建的な、あるいは家族的なと申しますか、そういう関係におけるところの労使の均衡が破れて、勢い政府の勧告なりあるいは省令なりに基くところの操短ないし出荷数量の制限によつて、解雇の必然的な結果が現われて来ようかと存ずるのであります。そういたしますと私ども労働者の生活が危機にひんし、私ども労働者のみがこの犠牲の結果を負うようなことになりますので、この点は第一点に申し上げました通り、金融的な処置がないところの、そうした勧告なり省令は、必ずや労働者の生活を危機にひんせしめる結果になるかと存ずるのであります。従いまして私どもは現在の国家経済の建前からいつて、労働者の生活の全面を補えと言うことは口で言えても、それが現実に政府当局をして実現せしめるようなことはきわめて困難であるとは思いますけれども、しかし経営の不振の中においても、ともどもに労働者も経営の相成り立つような結果を招来せしめようとするならば、現在の人絹織物のごとく自転車経営をまつたく停止せしめるような省令なり勧告というものではなくて、金融的な処置を講じて経営が最小限度に持続できる建前をとるようにしていただかなくては、これが労働者の生活にとつてまことに重大な影響を及ぼす結果に相なろうと存じますので、この点はくれぐれも本法案の当初の趣旨に基きますところの制定を御実現願いたいと存ずるのであります。
以上若干本法案に対する私どもの根本的な考え方を申し上げまして、意見の開陳を終りたいと思います。各委員さんの方からのそれぞれの御質問なりによりまして、私ども具体的に各條項に対しまする意見を申し上げたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/4
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005・多武良哲三
○多武良委員長代理 以上をもちまして参考人よりの御意見の御陳述は終了いたしました。
公述人に対し質疑の通告がありますから、この際これを許します。山手滿男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/5
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006・山手滿男
○山手委員 今いろいろお話を承つたのでありますが、まず第一にゴムの山本さんにお伺いをいたしたいと思います。先ほど、二百工場ばかりあつたのが七十五工場ぐらいに現在減つているというお話でありますが、このことは、ゴム工業の大部分が家内工業のようなかつこうで操業しているということを意味しておるのであろりと思うのでありまして、非常に実情の深刻なことがうかがわれます。ところで自動車のタイヤ、チューブというふうな比較的大規模のゴム会社によつて経営されておる品種につきまして、この法案が通つた場合に、大規模なブリヂストン・タイヤとか横浜護護というようなものと中小企業者の立場というものとは、特にタイヤの輸出ということにからんで、何か意見の相違があるのではないか。今お話によれば、必ずしもまだ全部の意見が一致しておるのではないというふうな発言がちよつとありましたが、その辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/6
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007・山本米太郎
○山本参考人 今お尋ねになりました自動車タイヤは、各メーカーが全部大企業でありまして、これは中小企業の対象にならないと思いますので、かりにゴム工業を指定していただく場合には、自動車タイヤ、チューブのメーカーは除いていただく、こういうふうに考えております。
それから輸出の問題でございますが、これはかりにこの法案ができまして、調整組合をつくるにいたしましても、輸出に関係いたしましては全部フリーにいたしまして、いわゆる普通の生産割当の数量のわく外に置くということで解決がつくように考えられます。
それからもう一つは、工場が減りましたことを申し上げましたのは、單に自転車のタイヤ、チューブの工場だけを対象にして見た場合を申し上げましたので、実際のゴム工場の現在の全国の設備を調べてみますると、大体一年に十二万トンのゴムを消化し得る能力を持つております。これでは戦前にいたしましても、ようやく六万トンの輸入をしたというのがわずかに一年間しかなかつたので、いずれも六万トン以下の輸入で間に合つておつた。しかもこれが敗戦の結果、領土がかくのごとく狭まり、輸出もできないのに、設備が十二万トンのものを持つておるということでありますので、これはどうしても休止をしておる工場が現在は半分以上ございますが、これの復活を防ぐという意味で、先ほど申し上げましたように、新規開業の制限をしていただきたいという点が、そこにあるのであります。今設備を休んでおるが、少し採算がよくなると、すぐ仕事にかかれるという状態にあるのでありますから、これをどうしても巌に押えて行く何かの手段をしないと、ゴム工業界の安定はとうてい見ることができない、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/7
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008・山手滿男
○山手委員 それでは提案者にちよつとお伺いしておきたいのですが、自動車のタイヤ、チューブ、そのほかは別表の五のゴム製品製造業というものから除いてもらいたいという今の御意見でありますが、これはどういうふうにするつもりでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/8
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009・南好雄
○南委員 お答えいたします。それらは大体山手さんの御質問にありました通り、自動車のタイヤ、チューブを除く予定になつております。従つてそれは政令で、すなわちこの法案の第二條のこういう問題に現実的に当てはまらぬという部門がありますので、そういう点から見ますと、今参考人から言われた通り、自動車のタイヤ、チューブは除かなければならぬと思つております。そこで別表第五には、ゴム製品製造業で政令で定めるもの」ということで政令で一曲のものを除く予定にしてこの法案ができたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/9
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010・山手滿男
○山手委員 これは大企業でほとんど全部やつているために、——自動車のタイヤ、チューブでも中小企業でやつているものが相当あることは私は知つております。そうするとそういうものは大部分は大企業で占めているから除くということになると、綿織物のごときものでもそのほかいろいろ除くものができて来るかどうか。その点について提案者の方から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/10
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011・南好雄
○南委員 綿織物関係は、あなたが御存じの通りです。専業、桑業二つありまして、兼業者、いわゆる紡績業者があわせて織機をやつているというのは、機台数にいたしますると、非常に少いのでありますが、生産実績から申しますと、全生産量の約四割に近いものを確かに出しているはずであります。そういう状況を勘案いたしましても、なおこの法案の二條の各事態に十分当てはまつて参りますので、あるいは自動車のタイヤ、チューブとはちよつと趣が違うと思います。自動車のタイヤ、チューブにつきましては、今参考人から言われたように、大部分が大企業であります。山手さんの御指摘になつたものはあるいは修理業などにはあるかもしれませんが、単につくつているといういわゆる中小企業の概念に当てはまる業態はたしか私はなかつたように思つております。ほとんど大部分がこの法案の大企業のように聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/11
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012・山手滿男
○山手委員 問題のポイントは、やはり私は輸出産業の振興という点から議論をしてみなければいかぬと思うのであります。繊維局からこの点御答弁いただきたいのでありますが、日本の綿織物のようなものは、海外ではいわゆる商標で通つている。商標でこの製品が通つておつて、インドならインドへ輸出するということになつて、大量のものを受注生産——チヨツプ生産をしている。そういう場合に、引受けて、短期間のうちに製造して輸出するごとになつておるのを、この特定中小企業安定法で設備の制限、生産制限というものをやられることになると、これは輸出の面から見ると、いろいろ問題が起きて来るであろうと思うのでありますが、繊維局長の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/12
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013・記内角一
○記内政府委員 ただいまの御意見は、この法案ができると、即時に、たとえば紡績の織機の統制というものが一律に扱われる、一律の制限を受けるというふうなことを前提にしておられるようでありますが、この法案ができましたあかつきには、どういう運用になつて参りますか、またおそらく紡績会社はこの調整組合に加入することはないだろうと思いますけれども、入つた場合におきましては、調整組合の調整規程によつて寅縛されることになるわけであります。その際におきましても、どういうような調整規程が出て参るかということは、これからの問題でございまして、今のところ何とも申し上げかねることを一応お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/13
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014・山手滿男
○山手委員 今の繊維局長の御答弁は、これは議員提出だから、おれらの方では今のところは何も知らぬという下心での御答弁だろうと思うのでありますが、やはりこれは実際に所管をしておられる当局としては、立法者がだれであろうが、これは法律になると、筋としてはやはりそこまで行くのでありますから、繊維局としてはこういうふうに考えるのだ、そういう場合にはやはりこういう事態が起きるであろうということは、見解として表明しておいていただく必要があるように考えます。しかしこの点は水かけ論になりますから、私はその程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/14
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015・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 大体参考人の方からお話がありましたので、あまりお尋ねすることもございませんが、下田さんにお伺いをしたいことがあります。従来中小企業が非常な不況に陷つた場合に、やむを得ざる措置として生産制限をやつたことがあろうと思います。そういう場合には一番犠牲とならなければならないものは、その従業員である労働者だろうと思いますが、労働者の首切りということが相当起つております。その点先ほどあなたが非常に心配してお述べになつたと思いますが、そういう場合に、その首切りが起るということと、もう一つは賃金の不拙い、遅拂いというようなことが相当起つておると思いますがこういう法律が出ますと、それが合理化される危険があるというようなことを先ほどお述べになりました。そこで労働組合としては、その場合この法律の上にどういうような規定を設けたらば、そういう点が救われるかという点についての御意見を承りたいと思います。首切りが起つた場合にも、失業手当の期間が非常に短かいので、かりに首切られた者が復職するとしても、失業手当を支給する期間を越えるような場合が相当あろうと思います。そういうような問題を救うためには、どういう規定がこの法案に必要であるとお考えになりますか。もしお考えがありましたら承りたい。
〔多武良委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/15
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016・下田喜造
○下田参考人 まず中小企業の危機ということを概念的に申し上げますが、中小企業というのは、本法案では三百人以下と指定してあるのでありますが、三百人以下という従業員数のみをもつて、中小企業ということを指定できるかどうかという問題も、検討してみなければならぬと思うのです。私ども考えますのに、先ほど申し遅れたのでありますが、中小企業を規定する場合に、二百九十九人までを中小企業庁の管轄するところの中小企業である、かような官僚的な従業員数のみをもつてする中小企業の規定は、まことにもつて奇々怪々だと存ずるのであります。この点はただ單に従業員数だけでなく、その工場の資本力等も勘案して、中小企業の規定をすべきではないか、このように考えるわけであります。そうしないならば、中小企業が戦時中における統制に基きますところの企業合併の内容と何らかわらない。形の上におきましては、人数はなるほど多いのでありますが、経営の状態はまつたくばらばらに思い思いに行われておる、こういうような企業の経営があちこちに起つて参りますと、これまた本法案の趣旨を曲げる結果になるかと存ずるのであります。従いましてこのような点においても、まず御勘案を願いたいと存ずるのであります。それから御質問によりますところの、労働者の首切りが行われるおそれがあるのではないかということでございますが、この点に関しましては、先ほど申し上げましたように、私ども一番心配しておるのであります。従いまして本法案の目的におきましては、「適切な需給調整措置を講ずることができるようにし、」ということでございますが、需給調整の適切な措置だけでは、十分な中小企業の安定をはかるわけには参らないかと存ずるのであります。先ほど申し上げましたように、需給調整の措置を講ずるためには、どうしても需給調整の措置を講ずるような事態が到来いたしますと、絹、人絹織物の例を引いてみましてもわかりますように、生産の制限をやれば企業が破壊する、先ほどゴムニ業会の方が申されましたように、すでに発行した手形が不渡りになつてしまう、企業が破産してしまう、こういう事態になりますので、この点はどうしても金融的な裏づけがなければ、この生産数量のあるいは出荷数量の制限はでき得ないかと存ずるのであります。従いまして金融的な処置を講ずることが本法案の裏づけとなり、これが第一條の目的のところに追加されなければならないと思うのであります。このようなことから、御質問の趣旨の通り、中小企業の労働者がその経営の中で救われる結果に相なろうかと存ずるのであります。さらに私付言したいのは、中小企業がこのように出荷数量や生産の制限をやる場合におきましては、企業はすでに自主的な操短やあるいは自主的な合理化をはかれるだけ最大限度にはかつているような状態が多々見られます。そういたしますと、最近の綿織物のように、特別休暇をするとか、あるいは労働時間の短縮をはかるとかいうふうにして、通常の円滑な生産の状態とは異なつて、労働者の賃金は必然的に低下をいたしておるような現状であります。この場合に、金融的な裏づけがなくて、一万的に省令なり勧告なりが行われました場合に、必然的に解雇になつて参りますと、たとえば解雇やむを得ないといたしましても、従来その省令なり勧告が出ます以前におきましては、すでに賃金が減つておる。減つておる場合に解雇されましたときには——現在の失業保険では、過去三箇月間の平均賃金の六〇%ということになります。ところがすでに過去三箇月間の平均賃金は従来の平均賃金よりも下まわつておるような現状でありますので、その六〇%ということになりますと、これまた下まわるということになつて、失業保険法の趣旨さえも十分に果し得ないという結果になろうかと存ずるのであります。従いましてこの点は、先ほど申しましたように、労使の関係がきわめて円満に行つております中小企業におきましては、労働者の條件を無視しないとするならば、金融的な処置も講じなければ相ならぬかと存ずるのであります。従いまして第一條の目的に御追加を願いましたならば、ただいまの点は若干緩和されるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/16
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017・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 中小企業の生産制限の場合に起つて来る労働者の首切りあるいは賃金の不拂い等の問題について今御意見がありましたが、その点で下田さんはいわゆるつなぎ資金というような資金面において考慮すると言われましたが、先ほど山本さんもつなぎ資金のことを述べられました。その点はこの法律では触れておりませんが、山本さんにお伺いしたいことは、あなた方の関係産業の場合に、中小企業がそうした生産の制限をすれば、やはり労働者の賃金が拂えない事態が起つて来ると思います。そういう場合のつなぎ資金というものをどういうふうにしておやりになりますか。どうしても労働者の賃金が拂えないという事態は当然起つて参りますし、現在のような自己資金の、いわゆる資金蓄積の少い時代においては、結局つなぎ資金というものは他から供給を受けなければならぬと思いますが、そういう点について労働者の首切りをしないで生産制限の措置が講じ得るかどうかという点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/17
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018・山本米太郎
○山本参考人 今お尋ねになりましたつなぎ資金の問題は、これはいろいろ各企業体によつて違うと思うのでありますが、とりあえずこういう法律によつて強力な施策をやるということになりますと、一応その業界がおいおいと安定をして行くことは考えられる。また安定するべくやるのでありますから、これを銀行の方によく反映させまして、将来こういうふうになるのだということが確実に見通しがつき得れば、金融業者といたしましても従来のような危惧の念を抱かないで金融に応じてくれるのではないか、こういう考えを持つております。あるいは調整組合をつくりまして、調整組合で全体の金融を見て行くという方法も考えられないことはないと思いますが、とにかく現在では銀行方面といたしましてもこういう状態ではますますじり貧になつて行くので、安心して金が出せないという現状にあるのでありますから、将来が安定するという安定感を与えさえすれば、ある程度の一それもえらい大した額ではない。その工場にとつて生産を縮めて行く二割なり三割なりの分に対するつなぎ資金を得ればいいのでありまして、各企業体で従来と違つて、比較的銀行と交渉がしやすくなるという点がねらいだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/18
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019・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 審議会の問題ですが、審議会は中央にだけ置くように法案では規定されておりますが、この生産調節をやるのも地方々々によつてやはりいろいろ事情が違つて来ると思いますが、そういう場合に、地方において、審議会というものが必要ではないかと思います。その点について山本さんにも下田さんにもお伺いしたいのですが、地方審議会というものは必要であると思いますか。またそれがどの程度に必要であるか、この点をお伺いしたい。それから下田さんは、審議会にはやはり従業員側を代表して労働組合の代表を入れてもらいたいというようなことをおつしやつたと思いますが、そういう点、やはり地方の審議会においてもそういうことが必要であるとお考えになりますかどうか、その点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/19
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020・下田喜造
○下田参考人 業種によつて審議会の地方の必要性という問題は生れて来ようかと思うのであります。たとえば人絹織物、絹織物の場合のように、福井、富山、石川という日本でほとんどの生産を行つておる地方が一地区に集中しておるような場合においては、この業種に関しての審議会をこの地方に持つ必要があるのではないかと考えます。なお綿織物やあるいはスフ織物に対しましては、大体関西方面にその主力がございますので、この調査あるいは監督等の事態から考えましても、関西方面にそれらの業種の審議会を一応設置するということは、便法として考えればよろしいのではないか、私どもかように考えるのであります。なお本審議会に対しまして、三十一條におきましては業者と消費者と金融機関並びに学識経験者ということで審議会の構成をなしておるようでありますが、先ほど申し上げましたように、中小企業それ自体はただ企業者のみによつて成立するということでなくて、企業者が全権限を持つて、企業者の考えでもつてすべてをなして行くというような大企業の経営のそれとは異なりまして、中小企業は労使が相ともどもにその事業の運営をはからなければならぬということになつておるのが現状でございます。たとえば山本さんの方のゴム関係につきましても、私どもの地繊部会へ加入をしておる工場がございますが、先だつてのゴム工業の危機に対しては、他の工場は年々賃金の値上げをはかつておるというような事態におきましても、賃金は最小限度に切下げを無理にやるという中から危機を乗り越えて、ようやく昨年の夏に労使相ともどもに協議の結果賃金を値上げすることができた、その間二年半に及んで賃金の値上げもやらなかつた、むしろその間に切下げをあえて断行した、こういうような経営もあるのであります。従いましてその経営の中においては、かた苦しい生産協議会というような、そういう大企業のそれのような形ではございませんけれども、労使が相ともどもに協議して工場の再建に努力するというような形が出て参つております。従いまして、そういう性格からいたしましても、本安定審議会に対しましては、ぜひとも労働組合の代表がそれに加わるように法案の御修正を願いたい、かように存ずるのであります。ただ労働者のそういう関係だけではなくて、私ども労働組合の立場と、客観的な社会並びに経済の見方と、あるいは業者側の見方とは若干相違点もあろうかと思いますので、そのような相違点を調整する意味においても、この法案の経済の安定をはかり、ひいては社会の安定をはかるという建前からいたしますならば、本安定審議会に労働者の代表の加わることの御修正を願いたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/20
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021・山本米太郎
○山本参考人 ゴム工業といたしましては、地方の審議会は必要ないということを考えております。ということはこれにありますように、これは政令でもつヒ業種が定められるのでありまして、たとえばホース・メーカー、あるいはベルト・メーカーというふうに指定されるのでありますから、各業種でもつてみなそれぞれ諮問なり答申のつくような機関がございますから、地方にはそういうものはいらない、こういうふうに考えます。
それからついでに申し上げておきたいのは、今この審議会に労働者の代表を入れろというお話がございましたが、これは一応ごもつともなように考えられるのでありますが、私どもといたしましては、この労使の問題と、この業界の安定策というものとは一応切り離して考えていただきたい。むろん現在のような社会情勢におきまして、雇用者が労務者をむちやくちやに首切るということはできないのでありまして、かりにこれが生産制限に入るといたしましても、やはり各企業体そのものが自分の方の労務者とよく話をして、円満に解決をして行くということが本来の姿ではないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/21
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022・南好雄
○南委員 下田さんに提案者の一人としてぜひ御意見を伺つて確かめておきたいことは、先ほどあなたは加藤委員の御質問に対して、地方的産業の場合には、地方にも審議会を置く必要があるという御意見であつたように私承つたのであります。ところがこの地方的産業で、しかもこういうように需給調整のために全国にいろいろな措置がいるということは、つまり地方の産業といえどもそれが個々の問題になつて参ります場合には、全国的な需給調整が必要になつて来る、個々の需給調整がすなわち全国的な需給調整になる、そういたしますると、中央の審議会にその地方の学識経験者なり、その産業に明るい人を入れればよいのであつて、形式的に地方にも審議会を置くということはいかにも大げさ過ぎるし、かえつて屋上屋を架するような気がするのでありますが、その点に対するあなたのはつきりした御見解を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/22
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023・下田喜造
○下田参考人 まずその点に触れます前に、調整組合の性格の問題について御意見を申し上げたいと思うのでありますが、本法案に基きます調整組合の性格は、加入脱退は自由であるということになつておるのであります。この点は独禁法の第二十四條に触れるので、本法案そのものが触れる趣旨も多分にございますから、そういう点も多小勘案されて、加入脱退の自由をうたわなければ認可することができない。それでこのようにうたわれたのかと存じますけれども、元来中小企業は協同組合法ができましても、協同組合それ自体は任意組織でございますので、中小企業の業者がこれに積極的に入る、そして協同組合それ自体を積極的に運営する、こういうことは今までの実例を見ましてもなかなかできておりません。そういうところでいろいろ協議いたしました事項についても、たとえば自粛操短をやろうというようなことをきめましても、それが実現には相ならぬ、しかも勧告等が行われても非常に困難ではないか、こういうようなことでございます。そこで本法案の二十七條の二項には、いわゆる省令をもつて、ないしその省令を聞かなければ罰則を適用するということまできめておるのでありますから、そういうことでありますならば、あえて加入脱退の自由を認める條項は本法案には必要ないのではないかと考えるのであります。さらに調整組合の事業の点に至りましては、この中で現在の協同組合が持つておりますところの欠点を補うためにこの事業がうたわれておると思うのであります。
〔委員長退席、高木委員長代理着席〕
さらに十五條に定めるところの事業だけではなくて、生産過程において、いわゆる原料資材が大企業によつて占められている中小企業は、たとえば繊維産業においては二次製品ないし三次製品を取扱つておる。こういうことになりますと、商社と一次製品の大企業とのいずれかによる加工経営をやらなければならぬ、下請加工による経営をやらなければならぬ。こういうことになつて参りますと、販売業者や一般卸商社ないしは一次製品をつくつております、たとえて申し上げますと人絹会社とかあるいは紡績会社等との調整が必要になるのではないか。これは独禁法に触れて参りますけれども、私どもは独禁法を早急に一部改正をする必要があるのではないかと思いますが、本法案では独禁法の適用除外まできめているのでありますから、その中に何らかの方法によつて一次製品の生産会社やあるいは商社との若干の打合せができる程度のものは、この事業の中に加える必要があるのではないかと考えるのであります。そういたしますと私どもは、この安定審議会が中央に設置さ血ておる場合には、緊急な事態が起つた場合とか、それが現実に現われる寸前、そのような場合でないと、なかなかこの運営がはかどらないのではないか、それよりもむしろこの中小企業安定審議会の下部組織と申しますか、そういうような機構が地方にあつて、そして地方の業者の意向がすぐに反映できるというような態勢のもとに地方に安定審議会を設けることが、これらの運営がはかどる結果には相ならぬかと、このように考えておりますので、先ほど地方に一応置く必要があると申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/23
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024・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 提案者にお尋ねしますが、提案者は、地方に安定審議会を設けるということは、非常に煩瑛になつて、屋上屋を架する結果になるとおつしやつた。それぞれ業界に通じた者を多数入れればいいじやないかというお話でしたが、私はそれでもいいと思う。しかし、ことに中小企業の場合は、非常に複雑で、同じ中小企業の範購に属するものでも、比較的大企業と小企業とあります。たとえばゴム製造業のような業態は、大体一律で比較的大企業が多いのじやないかと思うのでありますが、繊維類とか、陶磁器などになりますと、比較的大企業と、中小企業とは立場が違つて来る、そういう場合に、業界を代表して一人入れておけばいいという考えでは、この安定審議会の使命を果せないと思う。その場合に、同じ業界からでも、それぞれ複雑な事情に応じて、立場の違う者を入れておかねばならぬじやないかと思いますが、それには三十名では足らぬじやないか。この三十一條の三項にいろいろな選定の基準が出ておりますが、こういうふうにいろいろな立場を代表して出して行くことになりますと、三十名は、非常に多いように見えますけれどもこれでも足らぬじやないかと思うが、その点は提案者はどういうふうに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/24
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025・南好雄
○南委員 お答えいたします。安定審議会の構成につきましては、たとえば消費者代表のごときは、どの業種についても比較的共通のものだろうと思う。問題は、單一業種の関連産業あるいはその單一業種の代表者と部会をつくつて、消費者代表並びに労務者代表というようなものをもつて組織するというふうに参つた方が、この審議会の目的を達するのじやないか、そういうふうに考えております。そう考えて参りますならば、三十名の人間をもつてするならば、今指定されておる業種程度では十分ではなかろうか、こう思つて三十名にしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/25
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026・高木吉之助
○高木委員長代理 他に御質疑はありませんか。1なければ、本日はこの程度にいたし、次会は明日午前十時より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後雰時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304793X05219520612/26
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