1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十六日(金曜日)
午後一時五十四分開議
出席委員
委員長 田中 重彌君
理事 關内 正一君 理事 高塩 三郎君
理事 橋本登美三郎君 理事 長谷川四郎君
理事 松井 政吉君
石原 登君 井手 光治君
庄司 一郎君 辻 寛一君
福永 一臣君 椎熊 三郎君
畠山 重勇君 石川金次郎君
田島 ひで君 稻村 順三君
出席国務大臣
電気通信大臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
電気通信政務次
官 平井 太郎君
電気通信監 山下知二郎君
電気通信事務官
(業務局長) 田邊 正君
電気通信事務官
(経理局長) 横田 信夫君
委員外の出席者
電気通信事務次
官 靱 勉君
電気通信事務官
(大臣官房人事
部長) 山岸 重孝君
電気通信事務官
(業務局国際通
信部長) 花岡 薫君
專 門 員 吉田 弘苗君
專 門 員 中村 寅市君
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本日の会議に付した事件
日本電信電話公社法案(内閣提出第二一二号)
日本電信電話公社法施行法案(内閣提出第二一
三号)
国際電信電話株式会社法案(内閣提出第二一四
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/0
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001・田中重彌
○田中委員長 これより開会いたします。
この際御報告を申し上げます。さきに公聴会の公述人の選定につきましては、委員長に一任されておりましたか、このほど公述人のうち、一般からあらかじめ申し出る者を除き、委員会より公述人として出席を依頼いたします方々を決定いたしましたので、その氏名を申し上げます。運輸調査局調査役、法政大学講師占部都美君、元内閣書記官長、元法制局長、元逓信次官、元国際電気通信社社長大橋八郎君、時事通信社代表取締役社長長谷川才次君、東京商工会議所副会頭清水康雄君、全電通中央執行委員長久保等君、国鉄労働組合企画統制部長横山利秋君、以上であります。なお以上のほか、一般より応募される方々の選定は、明十七日正午申出の締切り後、委員長において人選いたした上、決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/1
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002・田中重彌
○田中委員長 日本電信電話公社法条、日本電信電話公社法施行法案及び国際電信電話株式会社法案を一括議題とし、質疑を続けます。橋本登美三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/2
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003・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大臣が来ておりませんから、きのうに引続いて、とりあえずこまかい問題についてひとつお尋ねいたします。
日本電信電話公社法施行法案第一條第三項にへ経営委員会の委員に任命された者の任期は、同法第十三條第一項の規定にかかわらず、内閣が定めるところにより、それぞれ二年、三年及び四年とするとなつております。これは国会の承認を求める事項ですが、これが七月一日施行となつておりますので、任期が参つてかわる場合において、常に国会の閉会中になるわけであります。せつかく国会の承認を得るという非常に民主的な立法であるにかかわらず、実際上は事後において承諾を求めるという結果になりますので、この点特別の規定を加えて、常に通常国会の開会中に任期が終了して、あらためて同意を求めるというふうに直される方がよいのではないかと思いますが、その点について伺います。
〔委員長退席、高塩委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/3
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004・靱勉
○靱説明員 お答え申し上げます。七月一日ということになりますと、今御指摘のようなことに相なるわけでございますが、経営委員の任期は四年ということになつております。当初二年、三年、四年ということになるわけでございますが、ともかく四年間特別に辞職しない限り継続してなるということを考え、憲法上通常国会の期間等を考えてみますと、七月一日から就任するとすれば、二月くらい前に国会の承認を得て準備しておくことにすれば、必ず通常国会において承認を得られるようになるものと考えまして、このままの規定で行きたいと考えている次第でりります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/4
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005・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 まだ大臣が見えませんが、国際電信電話会社法案について質疑を続行します。最初にお聞きしたのは、この国際電信電話会社法を提出するに至つた経過ですが、大体電信旧話事業全体が一本建となつて公社に移行するという建前でわれわれも聞いておつたし、世間においてもそう考えておつた。それが三月の中旬ごろにおて初めて新聞紙上に電信電話会社が上れるということが現われた。国会の方ではもちろん一本とか二本とかいうとは言いませんけれども、前々国会おいて電信電話事業の能率化をはかために公共企業体に移すべしという議はなされておるのであります。また昨年内閣につくられた復興審議会おきましても、電信電話の事業を急にかつ円滑に復興あるいは運営するためには、現在の国営形態では無理がある、従つて公共企業体に移すべしというような答案が出されております。その答案が出される過程において、国内の電信電話と国際の電信電話をわける方がいいのではないか、それは仕事の性質の上から見ても、技術の面から見ても、この仕事はわける方が妥当である、こういう意見が出て、大体了承されたのでありましたが、とりあえずこの際は一本建として答申をしようということに決定をして、一本建の答申が生れたのであります。政府が三月中旬に電信電話会社というものを構想の中に入れて、今回法律案として出て参つたのであります。そこでわれわれが心配するのは、こういうように突然電信電話会社が表面に出て来たということが、国際関係の電信電話の事業は十億以上の黒字になつているということからして、政府あるいは自由党が何らか利権かせぎのためにこういう会社案をつくつたのではないか、こういう悪質なデマが世間においていわれておるのであります。これは政府においても迷惑であるし、自由党もはなはだ迷惑であります。従つてこの点について政府が電信電話会社を設立することが妥当であるという根本的な考え方及び経過を御説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/5
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006・靱勉
○靱説明員 ただいまの質問に対しましては、当初わが国の電気通信事業を一体とする公社案というものが、電信電話復興審議会等においても答申されましたし、衆議院におきましても公共企業体移行の決議が行われたことはまつたくお示しの通りでありますが、もともと国際通査信と国内通信の問題、あるいは国内通信についても電信電話の問題というものは、常に問題の対象になつておつたと私どもは考えておるのであります。ことにわが国の電話事業における需要供給の著しいアンバランスにおいて、国営形態の最も非能率的な形は、電話にその例が見られるということまで酷評された過去も持つているような次第なのであります。そこで長年やつて参りました経営形態を変革する場合におきましては、この点はあらゆる面から検討されたのでありまして、あるいは全体を民営に持つて行くというような観念、あるいは市外電話回線、電信等は一つの形態、市内電話は国内を数ブロックにわけて経営させる、あるいは国際通信は別個の形態でやるというようなこともいろいろ検討されたわけでありますが、何と申しましても電気通信の有機的一体性についてはこれを確保いたしたいという考えで、国内は電信電話一体にして経営される。しかしながら地方のブロックにおいて相当経営上の能率を上げるための自主性を持たせるということは考えてもいいけれども、形態としては一体的でなければならぬということが、まず全体的な結論であつた次第であります。そこで国際通信につきましては、すでに大正年間から設備の提供は民間企業において行われていたのであります。しかもその後国際通信の重要性と政府の財政資金等の関係からいたしまして、單に無線通信だけでなく、東京から中仙道を通り、四国を通つて朝鮮から満州に至るような長距離の有線ケーブルまで、国際通信に設立手続させた。これは主として資金上の問題がありますと同時に、長距離ケーブルの保守の統一性と申しますか、そういう点から見ましてやはり一つの企業形態がいいという観点も加わりまして、内地と当時の朝鮮との連絡は一つの形態でやる、これは政府の機関としてはそういう形態はとれないわけでありますので、会社形態によりまして初めてそういうことが実行されたという沿革も持つておるのであります。運営はもちろん当時一体的になされておつたのでありますが、この設備提供自体につきましてはなかなか問題があるのでありまして、どの程度料金を支払いするか、単なる原価計算に一定の利息をつけただけの設備提供というものは、なかなか企業的には企業心を刺激しない点もあるわけでありまして、民営形態にする場合においてやはり資金の獲得と、経営形態として企業性の発揮できる、企業的に関心のあるものでなければいけないので、ただ資金を民間に求めるということだけでもできないのであります。当時国際電気通信会社に払いましたのは、設備提供ですが、その通信施設を利用する程度によつて料金が払われるというところにあんばいがなされたような形になつております。そこで国内の電信電話は一体的に経営して行かなければならぬという一つの大きな命題のもとに、なおこの国際通信との分離が可能であるかどうかという問題になつて参りますと、過去におきまして設備提供の分離の問題は、諸外国等においてかなり国内と国際は分離しておる。これは大臣の御説明もありましたので、重ねて御説明申す必要はないと思いますが、何と申しましてももし国際通信が分離して非常に有機的一体性を阻害して、ほんとうに通信事業としてのサービスに支障があるかどうかという点が最後的には検討されるわけでありますが、国際通信と国内通信の分離は、必ずしも絶対的に困難ではないという結論を持つておる次第であります。しかしそれだけで分離するということではないのでありまして、さらに事業の特質がら考えてみまして、わが国におきましては国内通信はもちろん独占で進んでおるわけでありますし、またそういう必然的独占性を持つておる。国際通信につきましては、国としては独占的でありましても、国際間におきましてはあくまで競争というものは存在することは、何人もお認めになつておる点でございます。すなわち世界のどこからどこの地点へ打つ電報でも、日本を全部通過してもさしつかえないのでありまして、中継という点において非常に激烈なる競争があるのであります。現に世界で戰後において最も通信の優位を占めているアメリカにおきましても、国際通信は三つ、四つの競争会社のもとに、しかも国際的にさらに各国のそれぞれの機関と猛烈な競争をいたしておるという状況でありまして、国際通信は明らかに国際的な競争があるわけであります。これはある意味においては国の国際間における通信権の大きな問題であると同時に、事業としてかなり商業的な分子を含んだ事業であることは否定できないかと存じます。そこで国際通信の国際間における競争に打ち勝つて行くためには、もちろんサービスの改善ということも必要でございますし、また通信回路をできるだけ多く獲得して行くことのために、政府機関より民間の形へ持つて参つた方が、非常に円滑に行くという事実も過去に存在いたしております。通信権となりますと、何と申しましても国家主権との関係の問題もありまして、政府の形でもつて他の外国との間に通信路を設定する場合におきまして、民営よりかなりそこにきゆうくつさと申しますか、そういう点は過去において事実として現われておつたのであります。さらにまた最近の国際会議において電波の獲得の問題について、国際通信の電波長については今後五箇年間の実績によつて決定するというようなとりきめがなされたのでありまして、これに対しては現在わが国の対外通信はようやくその量においては戦前をはるかにしのいで参つたのでありますが、回路の数においては電信においてまだ六割程度というような状況になつております。今後国際間にますくわが国の直通の国際回路を持つ必要があるのでありまして、これによつて初めて電波長も獲得できるという状態があるわけであります。そういうような意味合いにおいて、日本の国際通信がかつて設備提供を受けたときには、政府資金が少かつたため、しかもそのときも電波の獲得というものはきわめて激烈であつたのでありますが、それに充足して、現在ではもうこれで足れりという状況になつていないのでありまして、今後五箇年間においてさらにわが国の国際通信の発展を期さなければならぬという要請が非常に強いという点が、やはり一つの理由としてあげられるかと思います。しかも国内の通信の状況を見てみますれば、決して戦後において十分な資金が獲得できていない。また過去においても電話の事業費において十分資金獲得を得たことはないのでありまして、公社移行によりましてその点さらに他の分野に資金の獲得を求めますが、わが国の電話の施設をほんとうに国民の満足の行くような状態に整備して行くためには、非常に巨額の資金を要するのであります。従いましてできるだけ民間の資金も獲得して行かなければならぬという状況下におきまして、ただいま申したようないろいろな原因、性質から見まして、国際通信を民間の資金にゆだねて行くということもまた国内電気通信の発達のためにマイナスであるというふうに考えなかつた次第であります。また一方におきまして国際通信は非常に現在利益がある、こういうものを民間へ払い下げて行くことは非常な問題ではないかというような御意見もあるやに聞いておりますが、この点につきましてはいろいろとさらに、国際通信会社の資本の構成がどの程度になるか、また公社からどの程度の設備と申しますか、国内の通信線路等を借用するか、料金の分収をいかにするかという問題によつて、非常にもうかる会社であるというふうな考え方は、相当訂正されなければならぬかと存じております。しかし一方におきまして利用者の面からいたしますと、何と申しましても国内の電報料金より国際の電報料金の方が高い。貿易業者等におきましては、経費の非常に大きな部面を占めておる。すなわち国際通信で収入を得たものは、国際通信のサービス改善に充てらるべきものである。あるいはまた料金の値下げに充てらるべきものであつて、これを国内の他の赤字等の補填に用いられることは迷惑であるというような意見も出ておりますし、すでに国際通信のサービス改善あるいは企業体の分離につきましてはそういう利用者面から強い要望も出ていることは事実なのであります。もちろん公社におきまして国内、国際を一体的に経営しまして、国際通信への要望を充足するということは不可能なことではないのでありますけれども、現実の問題としまして、一つの体系のもとにおいてやられます場合に、国際、国内がバランスをとりつつ経営されて行くことが大体過去の事実でありますし、国際通信のみに多くの重点を置くということは、一つの経営形態としましてなかなか困難な問題もあるのであります。理論的にはもちろんできるのでありますけれども、そういうような点が事実として現われて行くことは否定できないのであります。そこで国際通信の民営化の問題につきましては、そういうような諸般の事情から参りまして、私どもは表面に現われて参りましたのはきわめて唐突のごとく考えられますが、経営形態を論議される場合に常にこの問題はあつたのでありまして、不自然に、唐突に現われたものでは絶対にないというふうに考えておる次第であります。非常に説明がまずいのでありますが、一応御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/6
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007・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 次官の説明中、大体了承する点も多いのでありますが、私はこの国内通信を国際通信をわけて経営するということについては、これは仕事の性質上から見ても、かつまた技術の点から見ても、対外関係から見てもこれは妥当であるという、この見解は一致しております。特に世間の一部でいうように、国際関係でもうけておる金をどうするのだ、今までは国内通信はこれによつてカバーされておるじやないか、従つてそういうような余裕のあるものを会社にするというがごときははなはだけしからぬという議論は、これは確かに愚論であると思います。現在なるほど国際通信はもうかつてはおりましようが、それは設備の上においても相当犠牲を払つておるだろうと思うのです。その問題はあとに論議するといたしましても、私はもう少しこの会社にするという理由というものを徹底してもらいたいのですが、大体において一応それを了承いたすといたしまして、関係してお聞きしたいことは、イギリスにおいて初めは国営であつたものが一九四一年に民営に移つて、一九四七年にまた国営に移つておるようでありますが、この事情について、どういうわけでイギリスの国際通信が国営から民営に移り、また国営に移つたか、この関係をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/7
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008・花岡薫
○花岡説明員 お答えいたします。英国の海外通信事業が民営から国有に移されましたのは一九四七年の初めであります。しかしこの問題は戰争勃発と同時に同じような議論がありました。一九四一年ごろすでに新しい事態に対して、もつと強力な国家態勢をつくり上げたらどうかというような議論が強くなりまして、一九四四年、一九四五年にわたりまして、英国並びに自治領政府がしばしば会合しまして、国営あるいはもつと公益性の強い企業形態に持つて行くことについて協議いたしております。従いまして労働党が総選挙の結果勝利を得ましたその前に、やはり同様の問題が議論されておつたのであります。たまたま総選挙が迫りまして、一九四五年の七月に労働党の勝利が決定されたのでありまして、その同じ月にかねての懸案を実行した、こういう意味におきまして労働党が国策としてやつたというふうに伝わつております。従いまして英国の通信事業の民有から国営化は、アメリカの今次戦争によるいろいろな通信圏の拡大などから受ける影響、その他株式組織による通信の戰時態勢への即応が適切でないという点が問題になりました結果、やはり国営ということになつたのであります。この国営というのは向うの言葉でパブリツク・リレーシヨン、パブリツク・コーポレーシヨンということになつておりますので、英本国その他海外領土、植民地、自治領、それぞれの場所に応じまして企業形態が異なつております。本国では完全な国有、国営の形をとつておりますが、たとえば濠州におきましては公共企業体であると称せられるコミツシヨンになつております。カナダにおきましてもやはりコミッシヨン、インド、パキスタンなどにおきましてはそれぞれ独立されました政府が官営としてやつております。マライ、香港、その他のコロニーにおきましては元のケーブル・アンド・ワイヤレスという民営会社の名前になつておりますが、その株式は、ここに情報がつまびらかでございませんので断言できませんが、ほとんど全部国有になつているのではないかと推定されております。なおまたケーブル・アンド・ワイヤレスの傘下にある昔からの海底線会社などは、やはりその名前をそのまま使いまして、企業活動の上で昔のイースターンとかいうような会社の名前を使つておりますが、ただいま申しました通り国家管理の度合いははるかに強くなつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/8
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009・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 イギリスの民営から国営になつた事情は、今のお話によりますと、第一には政府の政策の変更、その理由としてはアメリカあたりの民間会社の構成に対して、民間会社ではこれが防衛に困難であるために国家事業としてこれを防衛する、こういうことと、もう一つは、戦時態勢に移る場合において困難が感ぜられた、こういう理由のようであります。そこで日本の場合の国際電信電話会社ですが、戦時の場合においてはともかくとして—これは今のところ憲法は戦争を考えておりませんから別にいたしまして、いわゆる外国資本の国際電信電話事業のそういう構成に対して、日本の場合はイギリスの例と比較して、はたして安心してこれを会社にまかせ得るような根拠を持つておられるかどうか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/9
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010・靱勉
○靱説明員 お答えいたします。ただいま御審議をお願いいたしております法律案におきましては、すでに御説明申し上げたように、外国資本がこの会社を支配することのできないような規定を設けております。しかしただいまの御質問は、実際的にそれではできるのかという問題かと思いますが、わが国の海外通信は在来から主として無線を中心としてやつておつたのであります。ことに大戦争によりましていわゆる昔の外地あるいは大陸等につながつておりましたる海底線が、ほとんど寸断されておるというような現状に相なつておるわけであります。その後無線技術の非常な発達によりまして、一つの回路で四チャンネルもとられるというような状態が無線にも現われて参り、わが国としましては大体におきまして諸外国との国際通信は、無線によつて十分やつて行けるという考えであります。その場合におきまして、ただいま英国の例を引かれましたが、これはもう御承知のように世界で最も早く海底電線を中心として、世界の通信圏をほとんど掌握し先という過去の歴史を持つておるのであります。これを一体的に経営して行く、すなわち無線の発達によりまして海底線の維持が非常に困難になつたという点は、会社企業におきましても大きな問題であつたかとも思われるのであります。しかしながらわが国における事情といたしましては、ただいま申したように無線を中心として参りますので、またわが国の通信工事も非常に発達しているという点におきまして、私どもとしては十分諸外国に対抗して、国際通信の発展が期せられるものと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/10
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011・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 基本的な問題について大体お聞きしたのて、これて私の質疑を続行する上における参考になつたのですが、そこで政府のお考えは、この法案全体を通じて準民営の考え方で来ておる、こう解釈してよろしいと思うのです。そこでこの法案全体の構想といいますか、思想的根拠は民営である、こういう考え方でこの法案が出されたと私は解釈いたします。そうしますと、この法律案を全部目を通してみまして、今政府が言われているような準民営の建前でこの法律をつくつたのかどうか、非常に疑問の点が多い。私は、ここで結論を申すとはなはだこつけいになりますが、結論としてはこの事業を二つにわけると同時に、民営で行くべきであるということについて賛成の意見を持つておるのです。政府も大体今の御答弁によると、国際電信電話事業の能率化及び発展というような点から考えて、民営を可とするという原則に立つてこの法律案をつくつたように解釈される。ところがこの法律案に現われたところを見ると、どうも公共企業体と民営とのあいのこじやないかと思うのです。しかしこの法律案の基本となるのは株式の問題だからして、その株式の点からいえば明らかに民営である。つまり政府が何十パーセントはこれを持つという覚悟はしておらないのですから、一応政府の財産を会社に売り渡すための措置として、とりあえず現在の関係所有財産を払い下げることが一挙にできません関係上、これを株式に直す、こういう建前でありますから、一応これは政府出資云々とか何とか書いてありますけれども、政府の説明によると、できるだけ早くこれは売り払つて、政府は特に会社に対して出資をする必要はない、こういう考えであるようにわれわれは聞いている。従つて会社の根本である出資もしくは株式という点から言えば、この法案の基礎は、次官が説明されたように民営の形態を持つて行くという前提に立つておると思うのであります。これは根本観念においては私も同感である。ところがこの法案全体をながめると、そういうような純民営で行くべきものとしてつくつたにかかわらず、至るところに官庁の干渉規定が多過ぎる。これでは民営なのか公共企業体なのかわからないということになります。たとえば第四條第二項では、新株を発行する場合には郵政大臣の認可が必要である。また第十條では、社債の発行の場合においてもその認可が必要である。第十一條では、取締役の選任あるいは定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散、こういうものまでも郵政大臣の認可を全部必要とする。あるいは事業計画の決定、変更も郵政大臣の認可が必要である。こういうぐあいに民営事業でありながら、郵政大臣の経営権に対する干渉が強過ぎはしないか。なぜこういう法律案ができたか。これは私の推測ですが、お答えを願いたいのです。従来政府のやつておつた伝統的な政策と、政府財産を払い下げるというような考え方から、何か政府において特別な権利を保有しなければどうもかつこうが悪いという気持から、せつかく民営という考えを持ちながらも、いろいろな制限、監督あるいは干渉権というものを残したのではなかろうか。もし会社の中心である株式に対して政府が五〇%以上の株を持つ、あるいは全額出資ということで、それ自体が政府の財産であり、政府のものであるという考え方に立つならば、こういうような干渉権があつてよろしいと思う。ところが政府の説明によれば、国際電信電話事業というものは、国際的な競争がはげしいのであつて、なおこれが能率をはかる上においては、公共企業体もしくは政府の事業としてやるよりは、民間でやる方が非常によろしいということである。こういう見解に立つておる案であるとするならばへこれらの問題についても開放するのが当然ではないか。この法律案全体を見ると、その株式については民間資本に全部を依存しながら、今度は監督面においてはあたかも公共企業体のような監督権を持つておる。これでは国際電信電話会社というものが、民営機関なのやら公共機関なのやらわからない結果になつて来はしないか。その点に関する大臣の御説明をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/11
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012・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 先ほど来国際電信電話会社の基本的構想の問題についての御質疑が行われておるのでありますが、次官からもるる申し上げましたので一応は御了承だと思います。ただいまのお尋ねは基本的な問題であります。これはひとり国際電信電話会社という問題ばかりでなく、昨日も御質疑がありました電信電話会社の場合においても、同様な議論があるわけであります。会社をつくる、あるいは公社をつくりますれば、その経営主体に全責任を負わすという考え方がまず一応考えられる。でありまするが、御指摘になりましたようにこの会社が担当しま目す事業自体は、公益を増進する事業であります。この意味において国家活動と特別な関連があるわけであります。そこで政府自身が特別な監督指導行政の権利を打立てて参るわけであります。ただいま郵政大臣が各種の認可事項を持つておると言われますのは、国家的要請に基く監督指導の行政上の責任であります。会社経営上の問題でありますならば、御指摘のように株主権を行使して、株主権によつて会社の経営をして行くということに相なるのでありますが、この会社直接の経営の面は、事業担当者の責任においてこれをやつて行く。しかしながらやります事業自身が特殊な使命を持つものでありますために、国自身はこれを民間資本なり民間経営者の自由にまかすわけに行かない。当然国家要請の面から、国が認可あるいは許可する事項である。これらのものを定めておるわけであります。私どもはかような意味におきまして、郵政大臣の権限を行使して参るという考え方でおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/12
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013・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大臣の説明ではどうも納得が行かぬのです。公益上の必要だからとおつしやるのですが、公益上’の必要であれば公共企業体であるということになるのですが、この点あるいは大臣の言葉のあやだろうと思いますので、その点は問題にならないのでありますけれども、今大臣の御説明では、公益上必要であるから監督官庁の権限が必要なのだ、こういうお話ですが、これは少し見解が違います。逆にもつと別の問題から触れて行きますが、この法律の上から見ても、次官の説明の上から見ても、この国際電信電話事業というものが必ずしも独占でなくてよろしい。この法律自体も必ずしも独占であることをはつきりしておりません。また事実この国際電信電話事業というものは、広い意味では国民の福祉を増進することでありますが、いわゆる公益事業とは性格が違つておる。この電話の内容が、たとえば商売の電話であつたり外交の電話であつたりしましようが、これらは政府が他の理由をもつて取締ることができない性格を持つておるのでありますから、私はこれは大体において商売であると見てよろしいと思うのです。その点はともあれ、少くとも政府が民営で行くということは、公益事業というもののその意味が非常に薄いという意味で、広義の公益事業でありますが、狭義の公益事業じやない。こういう見解に立つて、民営というものも論ぜられたのだろうと思います。従つてこの会社に対して、あくまで政府が国際電信電話というものの能率化及び今後の経営についての成長をこいねがうものであるならば、積極的に開放するという建前でなくちやならぬ、先ほど株を持つておらないから、もし政府がこれに対して積極的な権利を行使するというならば株式を持つのだとおつしやつておるが、結局取締役の選任、これは株式の持つ大きな権利であります。
〔高塩委員長代理退席、委員長着席〕
ところが取締役の選任権は、もちろん積極的に候補者を決定する権利はありませんが、選ばれた候補者に対して許可をするかしないかという権限は郵政大臣が持つておられる。従いまして内部にわたつて干渉するというわけではありませんが、取締役選任を政府がするということが、結局その会社に対してコントロールをすることになると思います。これは株主総会の場合においてそういうものが決定せられると同様であります。そういう意味からいつて、少くとも一般の会社とは違いますから、ある程度の権限は必要だと思いますけれども、これほど綿密な厳格な監督権を持つことは、かえつて事業の性質を妨げはしないかという意味で、政府としては一応原案には出ているけれども、もつど運営の本旨に徹底して、できるだけこれを民間の事業として育成して行くという考えがないかどうかを最後に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/13
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014・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 先ほど橋本委員から、公益事業ならば公社が当然だろうということを言われましたが、先日もいろいろ議論したのでありますけれども、これは国営の議論も成り立つでありましようし、公社の議論も成り立つでありましようし、また会社の議論も成り立つと思うのであります。公益事業だから会社ではいけないとか、あるいは国営でなければならないとかいう限定的なものではないように私は考えるのであります。ただ問題は、その経営者にまかすといたしましても、民間の会社のような資本家と申しますか、株主権行使による経営者だけの責任において処理する事業と、その事業の性格上から国がこれに干渉する事業と当然あつてしかるべきものであります。国が政治をいたしております限り、そういうものはあると思います。ただその相手の会社によりまして、国が關與する範囲の広狭はそれぞれあると思います。他の関係で申しますれば、銀行に対して国が關與している場合におきましては、その銀行の性格によりましてそれぞれみな程度が違つているわけであります。この国際電信電話会社の場合におきましても、この理論のもとにおいて私どもは行政監督の権能を持つわけであります。ですからこの会社をつくつたのだから、株主権行使で自由にやれると言われても、これは事業の性格上許されないことであります。公社の場合にも、私どもが申しましたように国が關與することはできるだけ縮小いたしたいという気持は持つておるのであります。従いましていろいろの御批判はいただくのでありまして、今回の会社法案に規定されている郵政大臣の権限は、少しこまかくタッチし過ぎるのじやないかというような御批判かと存ずるのでありますが、立案した私どもといたしましては、少くともこの程度の行政権はぜひとも持ちたいという考え方で、ただいま御審議を願つているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/14
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015・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 大臣の気持はよくわかるのですが、たとえばここで一つの例をとつて申し上げますと、第十五條の「郵政大臣は、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」その二項として「郵政大臣は、この法律を施行するため必要な限度において、会社からその業務に関する報告を徴することができる。」とある。これは行政上といいましても、いわゆる官庁行政上の監督とは大分意味が違うと思うのです。従つてある意味においてはこれはその事業に対する監督権であつて、もつと政治的な意味からいえば、この会社があるいは政治的な作用を受けないか、あるいは他の影響を受けないかという問題でなくして、明らかにこれは会社の事業自体の業務に関する報告ということになつているが、政府が出資しておらないのに報告する必要がはたしてあるかどうか。政府が五〇%とかあるいは全額出資という会社ならば、そういう点まで考える必要があるけれども、株式は一つも持つておらない、ただこの法律でつくつた特殊法人であるということだけで、はたしてそこまで政府が監督権を持つということが、業務の運営を全からしめることであろうか、こういうことが考えられるのであります。これはほかにもたくさんあります。たとえば先ほど申し上げたように、社債を発行する場合においても認可を受けなければならぬということで、非常に制限が多過ぎはしないか、繰返しになりますがこういう点が考えられるのであります。なおあまり時間がありませんので、ごまかい点を二、三お聞きしたいと思います。たとえば第四條でいうところの「会社の株式は、記名式とし、政府、地方公共団体、日本国民又は日本国法人であつて社員、株主若しくは業・務を執行する役員の半数以上、資本若しくは出資の半額以上若しくは議決権の過半数が外国人若しくは外国法人に属さないものに限り、所有することができる。」この條文の解釈ですが、この場合の外国人というのは、一人の外国人が過半数を持つていけないと解釈するのか、あるいは複数の外国人を意味しているのか。これは法律をつくつた人の御解釈を願いたいと思います。なおこれに関連して、特に役員に対しては外国人がなれないという規定はないのでありますが、全体から見て外国人は役員になれないと解釈してよろしいのかどうか、この二点についてお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/15
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016・靱勉
○靱説明員 先ほど全体的に非常に干渉が強いという御意見でありますが、在来の特殊会社におきましては、かつての国際電気通信会社においても、民間資金を利用すると同時に、政府におきましても財政的な援助を與えるという形におきまして、株の半分程度を持つ、しかもその株は利益が少くて配当が低い場合、あと配株にするという規定を設ける、あるいは国際電気通信会社において設備提供でありますので、社債の募集についても商法の例外を設けるということで保護をいたしますと同時に、その半面やはり社債の発行限度を増すということになれば、資本金の構成につきましても、新株をやたらに発行されることも困るという点から、一応認可事項になる。また利益金の処分等につきましても、やはり政府株に関する関係から考えて行かなければならぬわけでありますが、今回の会社においては、社債あるいは土地収用等におきまして若干の保護は與えておりますけれども、大体は制限している。これは橋本委員の御指摘の通り、国が今まで持つていた資産をおろしまして民間経営とする、ことに民間の資金に全面的にたよつて行こうという形になつておりますが、国際通信のサービスの改善ということは、やはり国としても一つの責任を持たなければならぬのではないかという観点から、利益金の処分についても、あるいは事業計画につきましても、そういう規定が設けられております。それから監督の問題で、この監督命令というものは、たとえばある地点との間に回線を設定しなければならぬというような監督はできないのでありまして、この会社の行つている業務についての監督だけであります。この監督命令はそう広いものではありません。従つてそれによつて伴う損失の補償の規定もない点は、在来の特殊会社等とかわつている点で、非常に縛つたという御意見もありますが、そういう点はできるだけ最小限度の国家的規律のもとに、この会社の民営の長所において、できるだけ先ほど申したような目的を達そうという考えのもとに立案された次第であります。なお参考までに申しますと、アメリカでは昔から民営の形態をとつております。料金の値上げとか、あるいは外国と新たに回路を設定するというものは、やはりFCCの認可事項ということになつておるのでありまして、国際通信について民営の長所を発揮するとともに、国の外国との通信線路としての性格から、ある程度の技術が必要であるというふうに私ども考えた次第であります。
最後にただいまの外国人の問題でございますが、第四條に書いてありますのは、要するに政府、地方公共団体、これは日本のものであることははつきりしております。日本国民も外国人でないことははつきりしておるわけであります「日本国法人であつて」と書いてありますように、外国法人は絶対にいかぬという形でございます。日本国法人であつても、その法人の内容というものがここに書いてあるような場合においてはいけないということで、何と申しますか、過半数の数の問題はよく私了解できないのてございますか、法人の点においていろいろな場合が考えられますから、すべての場合、要するに日本国法人を絶対に支配できるようなものであつてはいかぬ、こういう形のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/16
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017・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 私の聞いておるのは、過半数というのはこういう意味です。たとえばABCという外国人が別々に株を持つて過半数を占める場合があるだろうと思うのです。そういうようなことは、ABCとわかれておればさしつかえないのか。それともABCとわかれた三人の外国人が合わせて過半数を占めてはいけない、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/17
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018・靱勉
○靱説明員 それはもちろん合せていかぬという意味合いと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/18
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019・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 それから簡単に労働問題関係をお尋ねいたしますが、この会社によれば、当然公共企業体労働法には関係なくなると思いますが、しかし電信電話事業、ことに国際関係でありますから、国内事情によつてストライキが行われて、そうしてそこでできないということになつてはたいへんな問題になりますが、こういうような場合に処してどういう方法を考えておられるか、あるいはまた公共企業体労働法のように、ストライキのできないような方法を考えておられるかどうか、この点についてのお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/19
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020・山岸重孝
○山岸説明員 ただいまの労働関係の問題についてお答えいたします。この国際電信電話会社は会社でございますし、一般の労働法規の適用を受けることになると思います。それでただ公益事業として、電力、ガス、私鉄という、今まで一般に行われております労働関係のやり方によつてなされて行くものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/20
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021・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 今の説明によりますと、要するにこれに対してはストライキをやる権利は、この労働組合ができればある程度できることになると解釈してよろしい、その通りでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/21
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022・山岸重孝
○山岸説明員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/22
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023・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 この会社の性格から言えば、公共企業体労働法に加えることはできませんから、組合員にストライキをやる権利が、基本権利として残されておることは明らかであります。ただそういうような状態で、はたして今後の国際関係の運営の上において困難がないかどうか、こういう点について将来の見通しといいますか、御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/23
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024・山岸重孝
○山岸説明員 ただいまお話がございましたように、スト権も労働組合は持ち得ることになるのでありますが、この会社の持つ重要なる使命から、そういうことが起きますと、国家的な見地から非常に困る場合もあり得ると存じますが、これは結局各従業員あるいは労働組合の自覚と、この会社の経営者の努力によつて、そういうトラブルの起きないようにやつて行く以外にないのではないか、この法律の解釈ではそう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/24
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025・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 時間もありませんので大ざつぱな質問をいたしましたが、根本的問題について私としてはなお政府の答弁に十分に了承てきない点もあるのでありますけれども、あらためて次の機会にこまかい点について御質問いたしますので、これをもつて私の質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/25
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026・長谷川四郎
○長谷川委員 関連して一つ伺いますが、この国際電信電話会社というものが設立されまして、今後ごの種の会社の設立を希望をするものがあり、また申請等が提出された場合、適格と認められる点があるならば、幾つもの会社を許可する御意見でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/26
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027・靱勉
○靱説明員 お答えいたします。昨日この点ちよつと御説明申し上げておいたのでございますが、日本電信電話公社は国際通信業務を営めるように相なつております。しかしながら他の機関が行い得るかどうかにつきましては、電信法を改正しまして、有線関係につきましては公社及び国際電信電話会社だけが公衆通信が行えるようにかえております。それから電波法におきまして、公衆通信業務に使うところの無線局の免許というものは国でなければしないと書いてありましたのを、日本電信電話公社または国際電信電話株式会社はというふうにかえました。従いまして公社及び国際電信電話会社は、公衆通信業務として国際業務を営むことができますが、他の機関はできないということになりますので、申請があつても、法律を改正しない限りは公衆通信業務として国際業務を行うことができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/27
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028・石原登
○石原(登)委員 私は本日はこの法案の内容ではなくて、基本的な問題を一、二点だけお尋ねいたしたいと思います。電気通信省を解体いたしまして公社をつくる以上は、その公社をつくることによつて今日比較的おそい電報が早く着いたり、あるいは電話の申込みをしても、一年たつても二年たつてもなかなかできない電話が早くできる、こういうような事態が出ないと、せつかく公社をつくつても何にもならぬと思います。そこでこの公社をつくることについての提案の理由の説明を拝聴いたしますと、これまで国営の事業であつたために資金を人手するのに非常に困つた。あるいは財政的にもあるいは人事管理の上にも非常に困つた。だからこれを公社にしたらそういう面が困らないのだというような大臣の説明のように伺つたのであります。そこで、大体ではありますがこの法案を読んでみますと、私どもはそういうような目新しいものを見ることができない。しかもこの法案の内容をさらによく検討してみますと、これは今の電気通信省であつてもちつともさしつかえない。今の電気通信省でもこれはできる、こういうことにしかならないと私は考えております。そこで私は具体的に聞きたいのでありますが、大体今電気通信省が国営であるために、どういうような制約を受けているのか。今後これを公社にしたために、その制約はどういうふうにはずされて、電話や電信が今後円滑に運営されるようになるのか。これは概略でけつこうですからまずその点を承りたい。それでないと、ただ單に電気通信省を廃して公社に持つて行つただけでは、これは意味がないのでありますから、持つて行つてどうなるのだという点を明らかにしていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/28
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029・横田信夫
○横田政府委員 ただいまの点につきましてお答えいたします。お話のごとく公社になりましてわれわれの目的とするところは、やはり経済的に、能率的にお客さんにいいサービスを提供して行くというところに、根本の目的があることはもとよりのことであります。その公社の設立の理由といたしましては、経済的な、能率的な経営管理ができるように、それがお客さんによい影響を及ぼすようにということになつておるわけでありますが、今お話にありました資金の点につきまして、今後どうなるかということでございます。この公社法案の中に資金といたしましては、政府の資金のほかに、民間の資金も拡張資金として借り入れ得る態勢がとられております。しかしながらあとこの態勢が実力としてどの程度まで運用できるかということになると思うわけであります。わが国の現在の民間の蓄積資本の情勢からいたしますならば、建設資金の大部分を民間の方にたよつて行くということは、ただちには非常にむずかしいことだろうと思うのでありますが、しかしこれは全然望みがないわけではないのでありまして、たとえて申しますならば、今のお話の電話がなかなかつかない、こういう問題があるわけでありますが、電話がなかなかつかないという根本原因の中には、われわれの従業員、また経営管理者の足らざる点も多々あることも私たち率直に認め得るわけでありますが、しかし同時にそれだけでなくして、この事業のやり方がいわゆる行政的なやり方をいたしておるというために、機動的な運営ができないという点が、非常に大きな障害になつておるわけであります。そういうように平素の運営の上においても、人事等のやり方の上においても、いろいろな支障があるだけではなくして、今の電話がなかなかつかないという根本的の大きな原因は、実は東京、大阪その他の都市におきましても、地方におきましても、電話局の局内の施設——電話というものは御承知のように局内の交換局からお客さんのところに至るまでも二條の線がいるわけでありますが、その基礎の線に設備が足りない、あるいは交換局の中の設備が足りない。これでは新たに交換局をつくつて行くということでないと、お客さんの要望に応じられないというのが根本的の原因であります。そういう意味におきまして拡張資金の問題が非常に大きな問題であります。その点で今申しましたように政府資金のほかに、民間資金にもよたり得るということが、幾分これにプラスになり得るということは確かに言えるわけであります。なお平素の運営におきましては、財政会計制度のもとにおいていろいろな制約が非常に多いということと、それから人事管理の面におきましても、従業員の勤労意欲を十分に発揮せしめるためには、今の一般の公務員、いわゆる行政監督庁としての公務員と同じ範疇では、いろいろむずかしいことが多いという点が多々あるわけでありまして、こういう点を具体的に改良いたして行くことが公社の目的であり、お客さんによいサービスをして行くということがこの公社の目的であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/29
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030・石原登
○石原(登)委員 私の質問に対して財政の面、人事管理の面から答弁があつたのでありますが、公社が株式会社でない以上は、結局株を募集することはできませんから、要するに民間から資金を得ようとすれば、社債を発行するよりほかに手はないわけであります。そういうことは今度電気通信省で国債を発行して行けば、それで十分用は足りるわけであります。必ずしもこれをわざわざ公社に移さなくとも、けつこう電通省でこれはやつて行ける。もう一つ人事管理の問題については、これはもちろん現業官庁でありますから、一般公務員とはよほどその趣きを異にしておるということは私も了承いたします。人事管理の面からの理由はよくわかる。しかしこれとても今も特別職とかなんとか、公務員の中にもいろいろな制度が認められておりますが、これは電気通信省の従業員のみではなく、同じ立場に立つているところの郵政省の従業員の立場もありますので、これは同様の立場において考慮する余地が十分あると思います。でありますからただいま言われたような理由だけで、これをわざわざ公社に切りかえるということについては、私は納得が行きかねます。
次いで申し上げますことは、第一には公社にしてりつぱになつて、国民が恩恵を受けることになつております。第二点はそういうような事業が円滑にうまく行くかどうかという問題であります。今では政府が全体的に責任を持ちまして、しかし十二分の審議を経て事業の運営がなされ、国会の監督を受けているわけでありますが、今後は経営委員会という五人の人の会議によつて行われるような仕組みになつておるようであります。しかもこの経営委員会のメンバーを見てみますと、いろいろな制約がありまして、結論的に申しますと、どうもしろうとの集団の経営委員会というふうに私には受取れるのであります。しかも経営委員会の権限というところを読んでみますと、重要な事項を決定する機関である。この委員会が重要な事項を決定する機関だということになりますと、最高の責任者はだれか、そして国民に対してどういう形において責をとろうとするのであるか、この点に私は非常に危惧の念を持つのでございます。そこでお尋ねいたしたいのでありますが、この経営委員会はわずか五人でありまして、この五人の人が会議するようになつているのでありますけれども、こういう人こそ今言つたように考えてみた場合、非常に危険がある。しかも経営委員会を通じて公社を監督するところの郵政大臣の権限というものはいろいろ認められておりますけれども、その実質的な衝に当る監督の仕事は、それはいずれの役所でもそうでありますが、決して郵政大臣が一から十まで見るわけではありません。結局そのスタッフがいろいろなことを監督、指導するわけであります。郵政省の設置法の改正案を見ますと、わずかに二人の監理官が郵政大臣官房の中におつて、数十万を擁しておるところの事業の監督、指導をして行こうということは、私はまことに驚き入つたところの考え方だと思う。わずか二人の監理官がどのようなスタツフを持つのかわかりませんが、少くとも大臣官房に置くという程度の機構であるならば、二十数万の従業員のいるこの公社をどういうふうにして監督、指導をするのか、いくら最高の能力を発揮してもできないと思う。私はこの点について危惧の念を持ちます。大体どういうような程度の監督をしようとするのでありますか、この点を郵政大臣から承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/30
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031・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 いろいろ基本的な問題についての御意見で、それぞれごもつともな点もあると思います。ただいまのなぜ公社にするかという問題についてでありますが、これは昨日来いろいろ申し上げておりますが、公社にするか、国でやるか、会社にするかという基本的ないろいろな議論があると思います。しかし特に公社という形を選びましたゆえんのものは、国が経営いたしまして、特に不便だと考えますものがまず二点あります。その一つは予算的な面において非常な拘束を受ける、やはり事業遂行上予算として相当の幅をもらわなければうまく運営がやつて行けない。国の機関である限り国の予算というものは相当きゆうくつな思いをするわけであります。この点についての拘束をはずしたいということが一つのねらいであります。そういう場合に、しからばそれを公社にするか、会社にするかという問題になるのでありますが、事業の性格から考えましてこの場合公社が最も適当なりという判断を下したのであります。第二点の人事管理の問題でありますが、実は組合活動だけの問題でもございません。たとえば公務員としてのいろいろな資格の規定を設けるとかいうことが、事業官庁としてはたして適当なりやいなやということもあるのであります。さように考えますと、在来の管理機構によつて事業を遂行するということには、相当の疑問が存するのであります。私どもは特に国の経営でなしに、公社に移行するという場合に考えましたのは、管理制度についての一つのくふうを事業官庁として必要とする。それはただ單に組合活動だけの問題ではないと考えて参つたわけであります。これらの二点が主たる理由で公社ができ上つたわけであります。しかしながらその場合国が監督するという範囲につきましては、できるだけ基本の線にしたいというのが一つのねらいであります。ただいま監理官は二名で、全国にわたる厖大な機構の管理監督がどうしてできるかというお話でありますが、私どもが監理官を運用して参ります場合には、基本的な問題についての指導監督に携わつて行く。しかし業務総体といたしましては、大部分これを経営主体の創意くふうにまかして行きます。その場合におきましては、民間の会社でありますれば株主総会等がありまして、各界各層の識見を十分取入れる方法がありますけれども、公社としては経営者だけでやつて行く。そうするとそこに独善という批判を受けることになるのではないか。この種の事業のごとく、経済、政治各般に大きな影響力を持つ事業としては、各方面の良識を集めて、事業経営の基本的方針を決定するのがよろしいのではないか。そこでただいま言われるような経営委員会の組織をつくつたわけであります。ただ経営委員会の組織をつくります場合に、五人では少いとか、あるいは七人がいいとか九人がいいとか、あるいはもつと少くて三名でいいとか、いろいろな議論があるわけでありますが、私ども部外の方の批判を十分受けるといたしますれば、必ずしも数が多いばかりが目的を達するわけのものとも考えないのでありまして、要は五名の経営委員の方にいたしましても、これがそれぞれの分野において十分識見を持たれる方々を人選いたしますれば、まず不都合はないのではないかというように考えて、一応五名ということにいたしたわけであります。これに対しまして経営主体が独善的な経営に陷らないくふうを一つしておるわけであります。それらの方の責任において事業の遂行を行い、同時に国として基本線はどうしても堅持して参らなければならないのであります。その意味において必要な監理官制度を設けておるわけであります。従つて非常に少数の人でけつこうじやないか。もちろんこの種の特殊機関に対する監督の方式としては、いろいろあると思います。国有鉄道の場合においては、相当厖大な管理機構を持つております。あるいは専売公社の場合におきましては、非常に簡単なものを持つております。また日本銀行にしても、非常に簡単な管理機構である。そういうような点をいろいろ勘案いたしましてまず監理官でやつてみる。またこの監理官を通じまして基本線を十分握つて参りまして、間違いないようにして参りたい。しかしその基本的な考えはただいま申したように、できるだけ経営主体の責任において事業の遂行をしてもらう。但しその場合においては独善にならないように、各界各層の方の御高見を大いに取入れた経営方針を立て、国はできるだけ監督機構を簡素なものにして行く。その大筋だけをつかんで、この事業の運営の円滑を期し、同時に公益の増進をねらつて参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/31
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032・石原登
○石原(登)委員 予算の制約が事業の遂行に非常に影響しておるということは私もよくわかります。ですからその面に関する限り異論はないのであります。ところがただ予算の弾力性という点で、第四十條で見ますと、これは非常に抽象的なものであつて、どういうぐあいに弾力性を持つのか、全然はつきりいたしません。ただ予算の流用の面については、国会で認められた予算の範囲によつて、郵政大臣の許可を得て流用するという規定があることは確かであります。そういたしますとこの予算の流用ということは、事業の進展に非常に貢献するとともに、一方的にはそれは非常な危険が伴うことは、大臣もお認めになるだろうと思う。その点を監督されるのがあなたの立場なのです。ところがたつた二人の監理官が監督しようというわけなのであります。私も全体にわたつて監督するものでないことはよくわかります。私は電通公社を全面的に信頼しないというのではないのでありますけれども、概して国家の金というものは非常に無責任に使用され、今日私どもがいろいろな立場において力を入れておるにもかかわらず、非常に危険である。これが公社になると、一段とその危険が生じて来るのではないかということを非常におそれるわけでございます。しかもこの法案の説明を聞きますと、これは決して民間事業では行けないのだ、民間事業では困難だという御説明のように拝聴いたしました。これは民間事業に移行して行く上の段階としてのお考えであるならば、私は一応了承することもできるのでありますが、民間事業では絶対にできないということでありますと、大事な国家資金を、極端にいうと手放しでお預けしなければならぬということになるがゆえに、私は非常に危惧の念を持つわけでございます。いずれこの問題については、後日詳細に質問いたしたいと思います。今日の私の質問はこの程度で打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/32
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033・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 答弁を要求してはおられないと思いますが、重大なポイントでありますので、考え方を一応申し上げてみたいと思います。予算的拘束を受けると申しますのは、予算総額でもちろん拘束を受けますが、それよりもただいま石原さんも御理解なさつていらつしやるように、事業遂行といたしましては、事業予算としては相当の弾力性がなければ困る、いわゆる国家予算としては弾力性を欠くのだ、この点が事業遂行上の大きな欠陷になるわけであります。その観点に立つて今回この公社法案を見て、これで十分なりやということになりますと、この考え方ではなお不足部分は多分にあるということを私どもも承知しておるのであります。ただ御承知のように公社形態というものは、今まで鉄道の公社もありますし、専売の公社もあります。また公社法を実施いたしまして先例になりますこれらの公社も、実施後まだ数年であります。その間にいろいろ苦い経験も積みまして、くふう改善の調査等もいろいろ進めておるわけであります。まだはつきりした結論が出ておらない現状でありますので、今日これを公社にする場合において、一応現存しております鉄道公社なり専売公社が、その基本的な先例になつたことはやむを得なかつた次第であります。この意味において、ただいま御指摘になりましたような点で、皆さん方から御批判をいただく次第だと私どもも考えるのであります。この点は実施の後において、さらに公社としての事業遂行の完璧を期して行くように、ぜひともくふうを重ねて参りたいと思うのであります。ただ今回この公社案をつくりますのに、あるいはこの公社案は会社経営、民営に移行する一段階として考えているのではないか、こういうような御疑問が存するのではないかと思いますが、私どもは今日公社案を提出しておりまして、完全な公社をぜひともつくりたいというのが私どもの真の念願であります。ただ先例がありまして、ある程度の拘束を受けてその先例によつている。従いまして幸いにして皆様方の御審議を経て、この公社案が法律化されましたあかつきにおいては、実施を見てさらにそれを完全なものに改正補正をして参りたいと考えておるのであります。一応つけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/33
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034・石原登
○石原(登)委員 なお一点だけ聞いておきますが、大体この公社の性格は、今後もうけるつもりでおやりになるのか、あるいは国民の社会公共福祉に沿う趣旨でおやりになるのか、これをまず承つておきたいと思います。言いかえれば、これは国がたいへんな資金を投下する事業だ。その事業を公社によつて運営してもらうわけですが、普通の民間企業であるならばたいへんな利益を収めて、これを国家に配当してしかるべき建前のものであります。ところがそうしない建前でありますから、公社は利益の中からさらにどんどんそういうような施設を改善して行かれるだけの勇気と信念を持つておられるか、そういう施設改善というものは国家の助成によつて行かなければできないという考え方であるか、もしそういうことをしようとするならば、電信電話の料金を上げなければいけないという立場によつてお考えになつておるのか、その点だけを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/34
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035・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 公社をつくる場合におきましては、事業の性格から見まして、どこまでも国民の公益増進を第一の念願にいたしておるわけであります。しかし事業として採算がとれないようなわけには参らないのであります。ことに国が直接経営するものから公社に移しますゆえんの基本的な問題は、本来の公益増進を念願いたしつつ、同時に独立採算の立場においてこれを処理して行こうということであります。従いまして今まで国が経営いたしておりますために、先ほども申したような事業遂行上の不便もありますが、同時に非常な利益も受けているわけであります。一例をとつて申しますれば、公課の問題のごときは非常に大きな問題であります。今日公社になりまして国の直接経営からはずれますならば、その公社もやはり民間会社とある程度均衡のとれた公課というような問題が、必ず起きて参るのであります。しかしこの電信電話公社に関しましては、私ども考えますのに、事業は国の資産で遂行しますが、今日独立採算を念願はしておりますけれども、なおくふうをこらさないとりつぱな独立採算はとれない状況であります。ことに先ほども冒頭にお尋ねがありましたように、国内の電話の普及状況とか、あるいは電信の実際の運営状況等を考えますと、もつともつと整備を必要とする時期であります。この考え方から国自身が持つている施設を公社に提供して、ただちにそれの適当な報酬を考えるというような状態には、ただいまのところではならないのであります。まず第一は、どこまでも国内の電信電話を整備して、もつと公益を増進して、利用大衆が満足されるような方向に持つて行かなければならない。その前に経営者といたしましてできるだけ冗費を省いて、建設方面にそれらの資金が振向けられ、そして独立採算を立てて、しかる上で国家設備に対する支払い等を考えて行かざるを得ないのではないかと思います。でありますから公社をつくる以上、非常に割切つた考え方を申しますならば、国のこれだけの施設が出る、そうするとそれが相当に評価されて、国に対しても利益を還元すべきだという議論が成り立つのでありますが、ただいまはそういう状況にはなつておらない。それは一つの理想的な形態だ、かように実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/35
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036・石原登
○石原(登)委員 私が申し上げているのは、公社になつたらすぐに利益金を国庫に振込めという意味を言つておるのでは全然ないのであります。現にアメリカでは電信電話株式会社でやつている。そして相当の利益を上げて公共の福祉に寄與している。その資本に対しては十分の配当をしている。ひとり日本の電信電話事業に限つてそういう事態ができないということは、どう考えても絶対にりくつがつきません。私が申し上げているのは、この公社案を立案された方々が、そういう心構えでやつておられるかどうかということなのであります。これだけの国家資金を投じたが、ただ單に公共の福祉に名をかり、もうからないからという気持で漫然と行われたのでは、たとい公社になつても電信電話事業は決して円満な発達はできないのであります。私はその間の決意のほどをこの立案に当られた方々にぜひともお願いしておきたい、こういう趣旨であります。公社になつたらあしたからでも利益を国に振込んでもらいたいという趣旨では決してありませんから、その点は誤解のないようにお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/36
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037・田中重彌
○田中委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。明日午後一時から開会
いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02319520516/37
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