1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十六日(月曜日)
午後二時二十五分開議
出席委員
委員長代理 理事 高塩 三郎君
理事 關内 正一君 理事 橋本登美三郎君
理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君
井手 光治君 岡西 明貞君
加藤隆太郎君 庄司 一郎君
福永 一臣君 石川金次郎君
田島 ひで君 稻村 順三君
出席政府委員
電気通信監 山下知二郎君
電気通信事務官
(大臣官房人事
部長) 山岸 重孝君
電気通信事務官
(業務局長) 田邊 正君
電気通信事務官
(業務局国際通
信部長) 花岡 薫君
電気通信事務官
(経理局長) 横田 信夫君
電気通信技官
(施設局長) 中尾 徹夫君
委員外の出席者
電気通信事務次
官 靱 勉君
專 門 員 吉田 弘苗君
專 門 員 中村 寅市君
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五月二十六日
委員石原登君及び椎熊三郎君辞任につき、その
補欠として小西寅松君及び三木武夫君が議長の
指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
日本電信電話公社法案(内閣提出第二一二号)
日本電信電話公社法施行法案(内閣提出第二一
三号)
国際電信電話株式会社法案(内閣提出第二一四
号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/0
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001・高塩三郎
○高塩委員長代理 これより電気通信委員会を開会いたします。
日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案及び国際電信電話株式会社法案を一括議題とし、質疑を続けます。田島ひで君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/1
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002・田島ひで
○田島(ひ)委員 私はもう少し基本的な問題についてお伺いいたしたいのですが、きようは大臣がおいでになつておりませんから、この前の継続の点については次会に残しまして、二、三お尋ねいたします。
この前予算委員会の分科会で林委員から質問が出ておりましたが、電通関係に入つております見返り資金の問題について少しお尋ねしたいと思います。大体二十四年度には借入金で百二十億、二十五年度には自己資本というので百二十億、これが入つております。予算委員会の分科会における政府の答弁では、たしかこれは自己資本の方だろうと思いますが、もらつたのだというお答えがあつたわけでありますけれども、今回公社に移行するについて、この見返り資金の問題はどういうふうになりますか、少し詳細に御返答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/2
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003・横田信夫
○横田(信)政府委員 今お尋ねの点についてお答えいたします。二十四年度の百二十億の見返り資金につきましては、特別会計の方に直接これをいただくということになつております。それから二十五年度の今のお話は、当初これは見返り資金からという話がありましたが、あとで切りかえになりまして、百二十億は資金運用部資金の方から借り入れることになり、資金運用部資金からの借入金として特別会計に残つております。そこで今の見返り資金からの特別会計への繰入れは全体で百二十億だけであります。これは特別会計のものからそのまま公社に引継がれまして、今度は政府の出資金の中に入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/3
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004・田島ひで
○田島(ひ)委員 私まだよく御返答がわからないのですが、二十四年度の借入金は、これはずつと利子をつけて返済していらつしやるのですね。そうして二十五年度のが自己資本の分に入つておりますから、これが今おつしやつたようなことになつているのですか。今全体として百二十億だというようなお答えでありましたが、二十四年度と二十五年度との関係はどうなつているのか、その点が今の御答弁でははつきりしないような気がいたします。二十四年度は借入金で、そこへ初め入つていた。二十五年度は自己資本として、これはこの間の予算委員会の分科会で杯委員の質問に対する政府の答弁でも、大体もらえるものだというようなお答えだつたものですから、それははたしてそうなのかどうか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/4
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005・横田信夫
○横田(信)政府委員 百二十億の見返り資金は、特別会計の方へもらつたことになつております。それは公社ができますと、政府の出資金の中に入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/5
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006・田島ひで
○田島(ひ)委員 百二十億とおつしやるのは、私は二十四年度の分と二十五年度の分とを詳しく別個にして御説明いただきたいと思いますが、それがはつきりしておりません。二十五年度の分はもらつたものかもしれませんが、そうでありますとまたお伺いしたいのです。二十四年度に入つた分はどうなつておるのか、どれくらい返済されて現在残つているのか。どうなつておるのかという点と、大体どこにこれが使用されているのかということを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/6
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007・横田信夫
○横田(信)政府委員 この年度につき序して、今のあとの年度の分は、見返り賞金からという予定のものが、資金運用部資金の方の借入れに変更されたわけであります。これは借入金としてそれはそのまま残る。それから百二十億の最初の分は、資金運用部資金でなしに、そのままの形において見返り資金として特別会計がもらつたことになる。これは政府の出資金として残つて行く、こういうことに相なるわけであります。それでその資金は一体どこへ使われたかということになりますと、この資金は全部諸所の建設の中に一体的に使われているわけであります。電話局あるいは市外線そのほかの建資金として一体的に使われているわけであります。)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/7
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008・田島ひで
○田島(ひ)委員 私はまたそのお答えがわからないのです。二十四年度分は特別会計としてもらつているとおつしやる。二十五年度の分は資金運用部資金べ振りかえる。そうすると、二十四年度分をもらつているとおつしやるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/8
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009・横田信夫
○横田(信)政府委員 今の年度を私の方が間違いまして、相済みませんでした。二十五年度の分は、見返り資金を特別会計の方でもらつていることになります二十四年度の方は資金運用部貧金の方に振りかわりまして借入金として残つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/9
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010・田島ひで
○田島(ひ)委員 そういたしますと二十五年度の分は、たしか見返り資金が最初問題になりましたときに、大蔵大臣は大体もらえるだろうというお話でありました。日本としては大体一千億程度、私ここに新聞の記事を持つて来ておりませんけれども、一千億程度はこれを返済するということになつておつたと記憶しております。それは見返り資金が入つておりますいろいろなところから——私詳しく覚えておりませんけれども、やはり利益金から返済されたもの、返つて来たものを返すというふうに出ていたと思うのです。そういたしますと、電通関係に入りました見返り資金は、やはり何らかの形で返済しなければならない結果になるかどうか。結局そういうことになるだろうと思いますが、そういう関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/10
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011・靱勉
○靱説明員 二十四年度の分は、結局電気通信事業特別会計との関係におきましては、初め見返り資金でございましたが、それを政府の方で借りかえと申しますか、とりかえまして、資金運用部資金にとりかえておりますので、特別会計としては、二十四年度については現在見返り資金から何ら借りてないということに相なります。それから二十五年度の繰入れたものは、当時の説明でその後かわつてないのでございまして、私どもそれを返すというような考えもございませんし、大蔵省として、当時いわゆるグラントとして出したものにつきましては、もうそのままもらえる予定だということに御説明してあるのであつて、特に特別会計といたしましては、これは繰入れた形になつて資本に入つている。公社になりますとそのまま政府の出資ということになつて出て参つておりますので、直接的には見返り資金と関係がない。グラントにした見返り資金を、はたして日本政府として返すのか返さないのかという問題については、私どもただいままで承知しているところでは、返さないでいいのだというふうに了解しているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/11
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012・田島ひで
○田島(ひ)委員 多少わかつてまいりました。二十五年度の分はこれははつきりともらつたものと解して、返さなくてもよろしい。それから二十四年度の分は、これはどういう関係になるかしれませんけれども、日本経済新聞に出ておりましたところでは、大体一千億程度は見返り資金を返済する、その返済の方法としては、たしか見返り資金を運用の中から元本と利子をこれに充てるというふうに出ておつたと思います。そういたしますと、大蔵省として予金部資金の中からやはりそれは返されると見て、今後公社に移行いたしましても、公社としては何ら関係を持たないという結果に理解してよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/12
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013・靱勉
○靱説明員 さように解釈されてけつこうかと思います。そこでなおつけ加えて御講明いたしますと、電気通信事業特別会計におろしました見返り資金というものを、資金運用部資金、当時の予金部資金にかえておりますので、財務当局としましては、その見返り資金のわくを他に利子のついたもので貸しておるかと思いますが、それはもちろん政府としては返つて来る形になつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/13
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014・田島ひで
○田島(ひ)委員 大体見返り資金の問願は、私の質問した程度のことはわかりました。またお伺いしたい点があるかもしれませんが、それは次に譲ります。
次に資産評価の点を少しお伺いしたいと思うのであります。これは電通関係の固定資産について、帳簿価額と現在の時価との大体の御説明があつたと思いますが、その時価は二千七百億というような見積りであつたと思います。その時価に対しまして、実際の資産はやはり水ぶくれがしておるかおらないか。この資産評価に対してどのような方法をおとりになるか、その点の御説明を少し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/14
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015・横田信夫
○横田(信)政府委員 現在電気通信事業特別会計に所属いたしておる固定資産の再評価を、今後どういうふうにするかというお話でございます。これは施行法の中に、昭和二十九年末までに評価を完成いたしたいということにいたしておりますが、御承知の通り非常にたくさんありますので、この評価をやるにつきましては今の帳簿価額と、それからたなおろしも相当事実上やらなければいかぬ。場合によりまして今の保守等の関係上非常にいたんでおるものもありますので、いろいろたなおろしの問題でやつてみるという現実の問題があるかと思いますが、大体の原則は、御承知の資産再評価法のあの原則にのつとつてやつて行くことに相なろうかと思います。まず実行の過程におきましては、たなおろしをできるだけやる。全体の方針は資産再評価法でやります。資産再評価法は御承知のように、例のいろいろな事業についての減価償却を精細に見て行くという関係上、あの再評価法というものが出たわけであります。再評価法の原則は、大体指数法というものを前提に置いております。指数法と申しますのは、大体日銀の卸売物価指数を前提といたしまして、一定の率をつくる。その率があの資産再評価法によつて、何年度のこういうものについてはどういう計数を用いるかという公式が大体できております。大体そういう式に相なろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/15
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016・田島ひで
○田島(ひ)委員 それで私がお伺いしたいのは、その帳簿価額と現実の価額との間に、戰災で実質上食違つたものがある、あるいは戦後建設面が行われましたけれども—一これは不正ばかりを言うわけではありませんが、いろいろな点で実質的にはそれに伴うだけの現物がないという点で、実際の価額は再評価額より非常に水ぶくれしておるのではないかという点がお話の中にあつたわけなんですけれども、そういう点の関係を少しお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/16
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017・横田信夫
○横田(信)政府委員 資産再評価の問額は、今お話のごとくたなおろしした場合に種々の問題があると思いますが、大体の帳簿に種々の問題があると思いますが、大体の帳簿価額を前提にいたしまして、この帳簿価額というのは、減価償却におきましては、各機械あるいは線路についてそれぞれの償却年数を一定いたしておるのでありますが、お尋ねのどれもこれも水ぶくれがあるのではないかという点につきましては、一概にはそう申せないと思います。大体一番の問題は、戰争中にいわゆる保守があまりできていなかつたという点と、普通の償却年数で行くと、償却年数だけ持たないくらいにいたんでおるものがあるというようなことが、特別のものについては起るかもしれませんが、今の帳簿の固定資産につきましては、大体帳簿価額を前提にいたしまして、さしたる間違いはないのじやないか。ただたなおろしをいたしました特別のものについて、特に問題があります場合は、再取得価額法というようなものを具体的に適用して評価する、こういう場合が起り得るかと思います。再取得価額法と申しますのは、現実の資産について、もう一度これをつくろうとした場合にどのくらいかかるか。それが現在の設備のいたみからして、どのくらいいたんでおるだろうか。そうすると今後どのくらいの手数を持つものとして、それを評価して行くか。これは具体的な設備で行くよりほかありませんが、現実としては、今の資産再評価法の方針により、ただ特別のものについては再取得価額法というような方法をあわせ考えて行く場合も起り得るだろう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/17
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018・田島ひで
○田島(ひ)委員 再評価の減価償却はどのくらいに見積つておられますか。それからもう一つ、現在保守に対する補充取替、その点とりかえるとすればどのくらいの費用を要するか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/18
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019・横田信夫
○横田(信)政府委員 先般御承認を得ました本年度の特別会計の予算におきまして、減価償却費を百三十五億と見ております。この基礎になつておるものは、先ほどお話のありました約二千七百億のものが根拠になつておりまして、これは概算評価を前提にいたしました減価償却をただいまいたしておる、こういう建前になつております。それから補充取替というお話がありましたが、実は昭和九年に特別会計が成立した当時から戦争後に至りますまでは、減価償却という制度をとりませんで、補充取替という制度をとつておつたわけであります。この補充取替という思想は、ものをとりかえて行けば全部が新しくなるのだという意味においての、減価償却にかわるべき制度であります。ところがこの減価償却という制度を、今の概算再評価でとります以上は、そのほかに補充取替は別に見ないということで、現在は減価償却一本で参つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/19
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020・田島ひで
○田島(ひ)委員 今の御説明の中にありました百三十五億というのは、本年度の減価償却費ですね。そうしますと本年度の減価償却費は、大体工事の拡張なんかにずつと使われるというような傾向がありませんか。これは工事拡張建設費が非常に不足だという点からも来ておりますけれども、そういう方にずつと使われて行くような危険性が現実にないかどうかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/20
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021・横田信夫
○横田(信)政府委員 御承知のように減価償却積立金と称しますものは、複式簿記において、そういう資産を落さずに、そのかわり間接法でこれを計上いたして行くという趣旨になつておりますが、減価償却積立金というものを使わずに金で持つておくかどうかということは、経営の方針といたしまして、必ずしも金を使わぬという必要はないのでありまして、それを建設資金に充てて行くということもでき得るわけであります。しかし減価償却積立金の大体の使途といたしましては、今の設備の取替に重点を置いて計画を立てて行く方が、建設計画といたしましても堅実であるということは、お話のごとく言えると思いますので、減価償却積立金の使途といたしましては、取替工事の方に優先的にやる、また改良建設方面にも充てて行く、こういうようになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/21
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022・田島ひで
○田島(ひ)委員 これは私もよくわかりませんで、しろうとですからお伺いするのですが、今の御説明から、大体今度の固定資産の再評価につきまして、全体としてどのくらい減価償却の費用にまわされるか。公社に移行しますについて、二十九年度末までに固定資産の再評価が大体なされるのですが、それに対しまする減価償却、今まで非常に保守が不十分であつたために、実質上には機械やなんかがいたんでいるので、そういうものに対する取替費が非常にかかる。そういたしますと、どのくらいそつちの方に減価償却費が使われるのかどうか。公社移行に対するその関係の資産評価について、もう少し詳しい御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/22
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023・横田信夫
○横田(信)政府委員 減価償却積立金の使途につきまして今後どうなるかというお話でありますが、私本日本年度予算の細目を持つて参りませんでしたので、はつきりした数字は申し上げかねます。この次に間違いのない数字を申し上げたいと思います。結局借入金と特別会計の持つております減価償却積立金というようなものをもつて、建設改良あるいは取替というものに充当してよろしいわけでありますので、それは年度々々によりまして金額は相当かわつて来ると思います。ただその場合にできるだけ補充取替の方に減価償却積立金を優先的にまわすという精神は今後とも持つて行きたい、こう考えておるわけです。計数の点は、来年度以降についてどうなるということは正確には申し上げかねますが、大体取替補充はこの二、三年来相当力を入れて参りましたので、取替補充費というものが非常にふえて行くことになるのではなかろうかと存ぜられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/23
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024・田島ひで
○田島(ひ)委員 公社に移行します一つの大きな原因として、資金の獲得ということが問題になつておりましたけれども、資金の獲得が、実際民間資金が非常に困難だとすると、民間資本は入つて来ない、外資もあまり入つて来ない、予算総額の中での事業内容といいますか、事業のやりくりが国営だと制限される。その制限が幾らか解けるる。公社のみの資金関係において、予算関係の大きな制約がなくなるということが問題になつて来ると思います。そういたしますと、予算総額としてはやはり縛られている、その中で建設予算などが非常にきゆうくつになつて来る。また補充取替にいたしましても、結局は新しい資金が入るのが困難だとすれば、予算総額の中でのやりくりになるのじやないか、そういう点は公社になれば自由になるかもしれないが、結果においては——私はこの前のときもちよつとお伺いをいたしましたが、電力九分割の結果は電燈料の必然的な値上げとなりましたし、結局予算の総額で縛られていて、その中でやりくりするとなれば、新しい資金が入つて来る見込みがなければ、公社になつてもやはり料金の値上げによつてやりくりする。そうでなければ、予算総額の中で労働者に対する圧迫、労働強化というようなことでやりくりして行く以外に、公社になつてもさしあたり道がないのではないか。そういう点で、公社になつても結局は国民の負担で、料金の値上げでやりくりするよりほか道がないと考えますが、その点の見通しについての御返答をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/24
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025・横田信夫
○横田(信)政府委員 お尋ねの件についてお答えいたします。建設資金のわく全体が廣がるかどうかという問題につきましては、先般来たびたびお話がありましたように、この公社案で今の民間資金の借入れの道が開ける、外資導入の道が開ける、しかしそれが活発に動くのには相当ひまがかかるだろう、民間の借入れ資金については、部分的に相当あると思いますが、そういう意味でこの公社ができてすぐ民間資金なり、外資導入ができるかということは、問題にならぬことかと思います。部分的にあるだろうという程度であります。そういたしますと今お話の点は、その範囲内で経営能率を上げて行く方法は、どういうことが具体的にあるのかというお話のように伺つたわけでありますが、これはいわゆる予算制度の運営の問題におきまして、ただいまの官庁予算制度におきましては、どうも形式的になり過ぎていることが非常に多い。それから中央集権的になり過ぎている。形式的に予算に合つて行けば、経営上それがよいか悪いかという点はあまりシヴイアでない。ところがわれわれの事業におきましては、たとえば予算のどちらの款項目が相互流用できないというような問題でなしに、全体として建設の能力炉上つておるかどうかというところが一番問題だろうと思います。そういう意味におきまして形式的なあるいは中央集権的に流れやすい今の官庁予算から、ただいま御審議を願つております公社予算という形式をとりますならば、これは相当能率的な金の使い方ができるだろう、この能率的と申しますのは、給与を下げてという意味ではありません。これは別途給与総額の中で、いわゆる高能率、高賃金ということになります。建設方面も同様でありますが、そういう点の二、三の例を申し上げますならば、たとえば今改良工事をやりますが、改良工事あるいは特別保守工事というものは、事実において、これは従来の施設を維持して行く部面と、同時に改良になる部面と両方あるのであります。これを正確に申しますと、改良になるべき部分は資産計上をいたし、その保守に充つべき部分はこれを損益に落して行つて、企業としての健全化をはかつて行くことが必要なわけでありますが、同じ工事においてそれの混淆しておる場合が非常にある。それを今のように形式的に行きますと、どうもうまく行かない。建設勘定と損益勘定のわくでそうした流用ができないということでは、これを正確にやるとすれば、相互の間に非常に入り乱れが多くて、全体としてはいいけれども、どうも片方の款項目に縛られて、正確な経理ができないということがあるわけであります。なお建設工事の問題について、いわゆる年度独立の原則というものが、こういう継続的な企業につきましては相当問題でありまして、年度独立の原則にこだわつて年度末に相当集約的に仕事をして行こうということになりますと、ある程度不経済な仕事になつて行く。寒い地方において年度末に仕事を相当集約してやらなければならぬということになると、相当不経済になりますが、そういう場合はこれをむしろやめて、春になつて集約的にやつて行くというような意味において、年度独立の原則の制約を、お手元の御審議願つているものについては、原則として取り拂つているという点において、運営を経済的にやつて行く基礎ができるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/25
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026・田島ひで
○田島(ひ)委員 政府の御説明では、そういう考ないろいろの制約があるということでありますけれども、私は今の国営自身のやり方がいいと言つているのではありません。いろいろ、な欠陷があるでありましよう。だから今日のように電話の通じないところもあるでありましよう。しかしそれが公社になつたからといつて、すぐ解決するというお答えにはならないと思うのです。というのは、やはり予算のわくで縛られれば、いろいろな点で多少のやりくりはできましても、それは予算の中のやりくりであつて、一般国民としての電話がよくつくか、電報がよく配達されるかという問題にならないと思うのです。しかしやりくりがうまくできるという点だけで、その予算総額のわくの中でやつていれば、どこにそれが使われるかという問題は出て来るかもしれませんけれども、はたしてそれでもつて今の電話がよく通じるようになるかという問題は解決しないのではないかと思います。その点では結局公社に移行しましても、資金の問題が解決されないという点をお伺いしているのです。たとえば労働者に対する労働強化にならないというような御説明がありますけれども、高能率といつても、労働者の給与の面でも、給与総額でやはり縛られているので、りくつは何であろうと労働強化以外にはないと思うのです。そうなりますと、一般国民にもつと電話を引こうということになれば、料金の値上げとなる。資金が豊富にならない限りはできないことですから、多少のやりくりはできましても、料金の値上げは必然である。これは料金の値上げにはならないという御答弁でありましたけれども、結果的には料金の値上げになるのではないか、そうしてやはり労働者に対する職階制の労働強化がぐつと強く強われて来るのではないかと、私どもはそういうふうに見ておりますが、その点について五十三條の予算の流用の点につきましても、予算の流用という点では今の国営のわくに縛られないという点で、多少融通がつくかもしれません。そういたしますと一体どこへ行くかというと、やはり大きなところに流れて行くのではないか。それは一般の電話をほしいという国民に対する問題よりも、たとえばこれに企業性が加わつて参りますれば、なおさら優先的に大きな企業、それから警察の方に優先する、あるいは米軍へのサービス関係が優先的になされるというように、予算の流用の面では便宜があるかもしれませんが、やはり今一番望んでおる国民の電話が引けるか引けないかという点では、一層大きな制限が出て来るのではないか、こういうふうに考えますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/26
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027・横田信夫
○横田(信)政府委員 今の建設勘定の、同じ資金の運用方法につきまして、現在の官庁予算形式よりも、公社予算の、お手元で御審議願つて「おる制度に移行いたしますれば、同じ金の使い方において、幾分効率的な使用が可能であろうと思います。これは先ほど申し上げましたようなことでありますが、なおその効果的な運用ということが、今のお話では一部の者の利益になつて、国民全体の利益にならないのじやないかというお話でありますが、実は今お話の交換局等の建設、あるいは加入者の元線の建設、あるいは市外線の建設、こういうことに相なります場合に、加入者との関係がどうなるかということでありますが、お話のごとく加入者の架設につきましては、基礎交換設備や加入者の元線がないとつかないのであります。その交換局の設備なり、あるいは元線として加入者線を引込む端になります端子画までの線路を拡充して行くということが今後の問題でありますが、その拡充をされて余裕ができた場合に、これをお客さんの需要に対してどう応じて行くかという問題であります。これは今も施行しておりますように、もちろんここにある一定の基準というものが——需要と供給一が非常にマッチしていない現在におきましては、その需要の中で社会的にあるいは経済的に重要なものの順位が先になる。これは当然だと思います。その基準におきまして、たとえば重要産業等はやはり優先順位になつている、お医者さんも優先順位になつている、こういうことの必要は当然あるわけであります。その場合に住宅用の電話というものは、お話のごとく順位は下になつておりますが、この住宅用電話につきましては、なお今後といたしまして、要するに利用度が非常に少い電話であります。しかしこの利用度の少い電話も利用度に応じながら、やはりできるだけ設備を活用しながらついて行くということは喜ばしいことでありますが、利用関の少い電話につきましては、できるだけ共同加入をお勧めする。共同加入になると、平素の料金もお安くなるわけでありまして、やはりこれは電話の利用度に応じて、非常に利用度の少いお方の方はできるだけ共同加入で解決する、こういうことに相なろうかと存じております。この点につきましては、公社になりましたから基準が一部の者にまわるということは考えられないことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/27
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028・田島ひで
○田島(ひ)委員 私は住宅電話を云々しておるわけでもございませんけれども、電話にしても、実際ほしいところの小さい商会か企業家にはなかなかなか入らないで、大きな独占的な企業家にはどんどん入つて行く、そういう点が現在でも行われております。予算の流用の点が自由になつて参りますと、一属そういう点が強化されて行くのではないか。これはあとで大臣がおいでになつてから伺いたいのですが、行政協方に関連しまして、いろいろそちらのても、国営のわくの中では多少でもそれに対する抵抗といいますか、わくがあるために、抵抗線といいますか、何かあるかもしれませんけれども、これが公社になりますと、予算の流用というような点から、何といいましても米軍へのサービスなどへ自由に持つて行かれる。そういう点の流用の面が出て来るのではないかと思います。続いて警察電話とか、あるいは先とど申しましたように大資本、大きな企業の方に優先的に持つて行かれるということになりますと、一層のこと小さい商人とか企業家には困難になつて来る。そういう点に対して、いろいろ料金の値上げとかあるいは施設の負担とかいう点で、大きくかわつて来るかもしれませんが、そういうような負担がかかりますれば、やはりできないということになるのじやないでしようか。そうしますと、そういう点で電話が引けるというのならば、あるいはまた国営においてもやはりできる。結局予算の流用ということは、そういう意味から解しますと、国民に奉仕するのではなくて、やはりそういうような特殊関係のところに自由に持つて行くわくをとつたというようにも解されますけれども、そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/28
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029・横田信夫
○横田(信)政府委員 駐留軍関係の設備につきましては、駐留軍関係の独立電話局をつくるというような関係につきまして、その設備資金は、この一般財政資金あるいは積立金から充当されるわけではなくて、別の行政協定の方から資金が出て来るわけでありまして、これが公社になつて流用性あるいは弾力性ができたから、向うの方に多く移行するのではないかという疑いは、これは杞憂でありまして、この点は現在と全然かわらない、そのように御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/29
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030・田島ひで
○田島(ひ)委員 もちろん、私はその点は知つております。米軍関係への費用はそちらの方の費用から出ることはわかつておりますすれども、やはりいろいろな市外線なんかを敷かれますときに、全然切り離して米軍が使用するわけではありません。そういう長距離のケーブルなどは、やはり優先的にそういうところに行く。私は最近、本年度の設備計画をちよつと新聞で見ましたが、たとえば横須賀と東京というようなところに多くケーブルが敷かれる。それから米軍基地のある周辺にそういうものが多く持つて行かれる。現在でもそういう点は現われております。政府の方の言い分としてはいろいろ言い分がありましようが、今度公社になりますと、いろいろな点からそういうところになお一層自由に持つて行く可能性ができるのじやないか、そういう点を私はお伺いしておるのであります。別に米軍べの通信の費用が、全都こつちから出されるということを言つておるわけではありません。そういうようなところにこそ問題があるのじやないか。現在すでにいろいろな形でそつちのサービスの方に多く持つて行かれておる、私はそういう点を聞いております。これはもつと具場体的に今後実際上に現われて参りますればわかつて来ることでしようが、現在私はここに資料を持つて来ておりませんが、市外ケーブルなどは相当基地周辺に専有されておる。それからなお警察電話とかあるいは予備隊電話などの方にも相当多く行つておる。そういう点でもやはり予算の流用が自由になるということでありますれば、そういう方に優先的に行くのではないかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/30
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031・横田信夫
○横田(信)政府委員 今の曲尋ねの点につきましては、この予算の流用性、弾力性に基いて、そういうことが特殊的にできて来るということは毛頭ございません。そういう問題については、これはまた全体の世界情勢、国家情勢、これに基く問題でありまして、公社移行、といな、あるいは制度の変更といな、これには全然関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/31
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032・田島ひで
○田島(ひ)委員 政府の方で関係がないと言つても、事実の上で出て来るならばしかたがない。私はこの点は念を押して聞きたくありませんけれども、もう一点だけお伺いしまして、あとは次回に讓りたいと思いますが、たとえば最近行政協定のいろいろな駐留軍の資材の調達の問題が新聞にも出ております。この面から見ても、これは今の問題と直接関係はないかもしれませんが、電通関係の資材についても、今後非常に制限されて来るという問題が出て来ると思う。政府は公社になれば予算の弾力性とか流用とか、いろいろな点でよくなると言つておられますが、米軍関係の施設に要する資材の調達という面からも、非常に大きな制約が出て来るのではないかと思うのです。たとえば電通関係で利用されますところの非鉄金属の面などが、非常に大きく制約されて来るのではないかと思うのです。特に今までは占領費でまかなわれておりましたが、今説明によると今度は大きく米軍の駐留費の中から出て参ります。そういう点の調達方法もやはり問題になつて来ると思います。この点もお伺いしたい点ですが、新聞で見ますと、資材などにつきましては米軍自身が調達するということであります。そうなつて参りますと、特に電通関係の資材も、優先的に米軍の方に使われて参ります。そうすると公社にすればいろいろな点でうまくなると政府の方では言つておられますが、資材面一つ見ても非常に制約されて来る。他の産業ではこれが非常に大きく問題になつて来ております。日本政府を通じない直接の資材の調達ということになれば、これは日本経済全体の問題とも関連して、日本経済の総合計画、需給計画、そういうものが根本から破壊されて来る。最近の新聞で見ますと、そういうことで両者の間に裁判ざたも出て参つております。電通関係もやはりこれから除外されているとは思われない。そうしますとこの資材関係一つ見ましても、公社にしたらうまく行くというようなことはおよそ考えられない。結局米軍が厖大な駐留軍費用の中から、日本政府を通さないで直接調達するということになれば、通信関係に必要とする資材も優先的にそちらの方に持つて行かれる。そうすると通信関係の総合計画は、年度計画にしても根本から破壊されて来て、幾ら電話をうまく動かすように、公社にすれば予算に流用性がある、弾力性があると申しましても、やはりその面一つ考えましても、非常に大きく制約されて来る。そういう点について政府としては見通しを持つておられるのか。資材の面一つでも、国営であつたために制約されて参つた以上に、大きく制約されるということをお考えになつておられるのかどうか。この点を私はあらためて大臣からの御返答も聞きたいと思いますが、事務当局の方でおわかりでしたら、見通しについての御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/32
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033・山下知二郎
○山下(知)政府委員 お答え申し上げます。今は資材の問題でございますが、前に通信上のことをお尋ねでございましたから、それに触れてお答え申し上げておきたいと思います。今のお話を伺つておりますと、何か向うの施設区域近辺に盛んに通信ルートを延ばしておる、私の聞き違いかもしれませんけれども、そういうような印象のお言葉があつたように思いますが、われわれの建設地に関する限りそういう問題は特別何も起つておりません。私どもの今連日打合せております点から見ましても、今まで提供しておりますサービスの量は、減るともふえないだろう、これは大ざつぱでございますが、そういう見当でおります。ことに前々から皆さんに御心配をいただいております市外線の專用の件なども、われわれの方からある程度の專用をやめてもらわないと困るのだという申入れをしておりますし、先方もそれに対する対策を講じておるやに私は見受けております。従いまして、もちろんある程度の提供をいたしておるのでございますから、しないよりもしただけ一般公衆の通信に割込んでおるわけでありますけれども、現在以上に大きく割込まれるおそれはない、かように見ております。
それから次に資材の点でございますが、在来は電気通信に関する資材の提供は、電気通信関係の資材だけは大部分われわれの方に要求しておりましたが、これはわれわれの方では手ばかり込み、問題としても煩瑣な面がありますから、先方も電気通信事業者にこれをやつてもらうか、あるいは直接やるかということについて考えておるようでございます。しかし在来先方の工事しましたのは、ごく大ざつぱな見当でございますけれども、大体十三億から五、六億程度のものではないか、その中の大体六〇%、七〇%ぐらいのものが資材かと思うのです。これはわれわれの方で工事して提供したものでございます。今後基地をつくつて行くについて、なるほどある程度の資材を日本から買い取るでありましよう。これが今度われわれの方に非常に影響を来して来るわけでございます。今度の田島さんのお話は、物資の点でのお尋ねでございますが、私どもの方では物資及び価格並びに数量の点について、今までメーカーと巌重なる交渉をして買つておりますのに、急ぐからといつて高い値でもつて物の調達をされますと、われわれの方の計画にも支障を来さざるを得ない、こういう点については業者に利害関係があるのだから、できるだけ緊密な連絡を持つて調達をしてもらいたいという申入れもいたしておりますし、また先方もやはり電気通信省、将来の公社の意向を聞かなければうまく調達ができない、特別なものたから、その点では相当緊密にやりたいという希望を漏らしております。なおまた国際情勢においてはいかようになるかは存じませんが、希少金属物資の使用につきましても私ども重大なる関心があるわけでございます。従いましてそういう面についても、われわれ自身の事業遂行上支障のない範囲において、先方の要望も満たしてあげなければならぬ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/33
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034・田島ひで
○田島(ひ)委員 私は今物資の面からだけお尋ねいたしましたが、今政府の方からいろいろ御説明がありましたからお伺いします。これはこの前の行政協定に関する特例法のときに、いろいろ政府にお伺いしまして全然お答えを得られなかつたのですが、今何もそれをお伺いしたわけではありませんけれども、政府の御答弁では相かわらずまだわからないようで、大体今よりは悪くならないだろうというようなお答えですが、最近の朝日新聞で見ますと、大体駐留軍使用の施設というものはわかつておる。そういたしますと電通関係の施設がどこに使われるかということも大体おわかりだろうと思います。そういう新聞の報道だけでは電通関係の方はあまりはつきりわかりませんけれども、今まで接収されたものでも、今のところ早急には返還されて来ない。そればかりではなくて、五月十八日の朝日新聞には、基地周辺には小規模ではあるけれども、やはり電通関係の各施設がつくられるということが出来ておるのです。そういう点からいいましても、今まで接収されておつたものがはたしてどれだけ返還されるのかということはおわかりになつておるはずだと思いますので、そういう点も伺いたい。また新しく接収されるというところもありますし、新聞にも小規模ではあるけれども至るところに、基地周辺にそういう電通関係の施設が特別につくられるといこうとも出ております。そうするとやはり新しく建設工事なども相当されると見なければなりません。こういう点はきようはお伺いするつもりはございませんでしたが、今の政府の答弁を聞いておりますと、やはりそういう点もはつきりお伺いしておかないと納得できない点があります。そういう点について、政府の答弁のように、今までよりは悪くならないだろうというような簡単なことでは、どうしても納得できないのです。それに対する見通しを伺いたいのです。それらのものが価格、特に数量の面から制約されて参りますと、これは電通関係では大した心配はないと言われますが、これも新聞で見ますと多くの軍調達に関して経済界で問題になつておるわけです。これは日本経済新聞なんかにも相当に出ております。そのために業者間では裁判ざたまでやつておる、それがために日本の総合経済計画、需給計画も、ほとんど混乱状態になつておるまで新聞に出ておりますから、ひとり電通だけがその関係から離れて別に心配はないというわけには行かないだろうと思います。
私がなぜこういう基本的なことを申しますかというと、政府は公社になればよくなるということを非常に納得の行かない形で説明されております。いろいろな点から考えて、それが公社になればよくなるということは考えられない。もちろん国営がよいとは言つておりません。今の国営のやり方の中にもいろいろ不備な点がありますが、公社になればよいと言われますけれども、基本的な形でよくなるという点はさつぱり見受けられないのです。たとえば資金の面でも、国内的には資本の蓄積が困難になつて、ほとんど民間から資金を得る方法は今のところ見通しがない、外資に、おいても見通しがないのです。それから資材についても、こういうふうに米軍関係が行政協定の特例法により優先的に権利、権力、権能をもつてやはりとるというような関係からいたしますれば、單に政府の方で便宜をはかるという考えではなくて、優先的にいやおうなしにそれらの方に持つて行かれる。しかも政府の機関を通じてでなくて、直接に資材の調達をするということになると、限られた日本の資材というものは、価格の面でも高くなりましようし、数量の面でも制限されることは当然です。そういう点からいいましても、かような漠然とした希望條件で公社にすることでは、電興事業の今後の運営がよくなるとは思われないので、この点をお伺いしておるのです。その答えはきようでなくてもよろしいのですが、行政協定関係に関する施設面、これらの点について従来の接収されておる施設がどれだけ返るか、今後新しくどれだけ接收収されるか、新しい施設はどれほどあるのか、そういうようなものに対する資材、資金関係の見通しもお立てにならなければ、これから重大な講和後の機構改革をなさろうというのに、そういう漠然とした観念でなさるならば、われわれは納得するわけには行かないのであります。そういうような点もやはり十分に科学的に検討した上で見通しを立てて、その上でこの法案が出されなければならぬと思います。そういう基本的なものを私に問題にしておるのです。はたして公社にするのがよいか悪いかということは、先日からも他の委員から意見が述べられ、法律上の問題としても非常にずさんでまつたくなつていない法律案だということをついておられましたが、もつと基本的にそれを考えていただきたい。国営は悪い公社にすればよいというような漠然としたことでは納得が行きませんからその点に対する納得の行くような御返答を願いたいと思います。行政協定に関係する電通事業に対するいろいろな制約と申しますか、そういうような点ももつと納得の行くような御説明をいただきたいと思います。それはきようおできにならなければ次会でもよろしゆうございますが、今になつてもまだそんな漠然とした御返答下あろうはずがないと思いますので、その点についてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/34
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035・山下知二郎
○山下(知)政府委員 この前にも大分田島さんから、わからないはずはないといつていろいろ御追究を受けましたが、何も私隠しているわけでも何でもないのであります。今お尋ねのことはわれわれは早くきめたい思うのでありますが、向うの方もなかなか通信をどうするかといつたような面において打合せが多いのでありまして、たとえばおほりばたの司令部が市ケ谷に来る、その市ヶ谷へ移るということは、新聞あたりではすぐに移るという話になつております。そこでその内容についわれわれの方に関係のあることならば、できるだけ早く聞きたいと思つて、そういう方面にいろいろ申入れをしているのでございますが、建設工事それ自身、われわれの方でやるのかやらないのかというようなことがまだはつきりしていないのであります。これは私の方だけもつて何かきめて、この方針でやるのだと言い切れるならばいいのでございますが、相手のあることでございますから、今になつてそんなことを言つているといつておしかりを受けましても、事実を率直に申し上げているわけでございますから、この点はわかれば決して隠しません。また隠すべきではないと思います。わからないから今は見当で申し上げているにとどまるわけでございます。この点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/35
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036・田島ひで
○田島(ひ)委員 それではなおさら大臣にお伺いいたしたいのですけれども、通信事業は御承知のように戦争中は軍用に非常に大きく使われました。そういたしますと、吉田政府は再軍備しないといつておりますけれども、予備隊あたりがうんと大きくなりますれば、日本が再軍備をやろうとやるまいと、米軍に関連した活動に大きく使われて行くのです。国鉄と通信とは軍用によつて大きく制約されるということは、今までの経験が教えているところであり、だれも異論はなかろうと思いますが、そういう見通しもはつきりしないのに、そういうところで制約されるというはつきりした科学的な根拠について、そういう個々の資料も御調査にならないのですか。そういうところで今後また大きく制約されるということはわかり切つているのに、その見通しもないのに、これを企業体に移そうとなさる冒険を私は疑うわけであります。これを今急いで企業体にしなければならない理由はない。国営は悪いから、企業体ならよくなるだろという漠然たる法案の説明だけでは私は納得できない。抽象的な希望條件でもつて、これだけ大きな国家財政を企業体に持つて行く、民営に持つて行くというような大きな機構改革をなさろうというところに、非常な冒険的な政府の意図があると思う。これは単なる冒険ではなくて、その背後には何か大きな問題があるのではないかと疑わざるを得ないのであります。この点は私は山下政府委員から御答弁をいただくつもりはありません。大臣からお答えをいただきたいと思います。なおその点についても次会に私は御答弁をいただきたいと思います。
きようのところはこの程度で質問を打切りまして、石川委員の方へお譲りいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/36
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037・高塩三郎
○高塩委員長代理 石川金次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/37
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038・石川金次郎
○石川委員 私は国際電信電話株式会社についてお伺いいたしますが、私のお伺いいたします点は、條文の字句とか、この條文に含まれてある字句の意義とかいうものが主となりまして、ごく小さな点になるのでございます。大きな政治的質問は私には適しないかもしれませんから、小さいところをお聞きいたします。
まず設立会社、以下会社と申し上げますのは、国際電信電話株式会社を会社と申し上げます。会社の設立までの手続についてお伺いしたいのでありますが、本法の附則の一によりますと、施行期日が「昭和二十八年三月三十一日後であつてはならない。」と書いてありますが、この会社は一体いつ設立せられるというお見込みなのであるか、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/38
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039・靱勉
○靱説明員 会社設立につきましては、まず第一にこの法律の施行の問題、それから現物出資に対する評価等、いろいろな手続がございますので、相当時日を要するものと考えておりますが、大体におきまして目標としましてはおそくも十二月ぐらいまでには設立して、業務ができるようにしたいというような目標を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/39
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040・石川金次郎
○石川委員 本法が施行になりますと、この法律によりまして設立委員を任命せられるだろうと思いますが、設立委員の数、その資格、どういう人が任命されて行くのか、それから予定せられる人があるならばどういう人か、予定せられてあるのか。その方針はどうなのかその法律上の責任はどうなるのか。たとえば商法には発起人の責任規定がありますが、本法には設立委員の責任の規定がございません。これらは一体どうなつて行くのかをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/40
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041・花岡薫
○花岡政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。設立委員の任命せられます範囲は、これは現在はつきりした方針が立てられてございませんので、たとえば非常に類似しております元の日本無線電信株式会社、ああいう会社の設立の場合に非常に近いものがあろうと思います。従いまして民間を代表する有力な方面、すなわちこの会社で申しますと、重要な通信の利用者、金融界、財界方面の有力者、それから一般に新聞、通信、その他会社設立関係に造詣の深いと思われるような方面、それからさらに政府の関係庁の職員が大体任命去れる必要があろうかと存じております。その政府関係機関は、前の例で申し上げますと、逓信省、大蔵省、法制局が任命せられております。さような範囲でございまして、その数は、こういう民営化、民主化された経営というような趣旨からいたしまして、あまり限定的でなく、相当の範囲から相当の数の者が任命せられるのではないか、かように存じております。もちろん設立委員は、その設立準備が職責でありまして、その選出された会社なりその所属する官庁なりを直接代表するものではなかろうと思います。その性質につきましては、ただいま非常に的確なポイントをさしてお尋ねになりましたが、発起人の法律上の性格は非常にむずかしい問題であろうと思います。もちろんその職責は会社の設立事務でありまして、もとより無責任であることを許されません。しかしただいま申しましたような選任の経緯から申しまして、そこに重大な過失なり不正行為があるという場合に、本人の責任、あるいはひいてはその所属の政府の責任であるというような一般の法律上の責任をとるかどうかと思いますので、実は私どもは、設立委員の法律上の的確な定義と申しますか、その性質につきましては、必ずしもこれが正しい理論であるというようなはつきりした意見は持つておりませんまたいろいろな他の例にきましても、その性質につきましてはあまり深くつつ込んだ解釈が聞かれないのでございまして、ただいま申したような責任につきましては、商法上の発起人と非常に類似しておりますが、全然同一かとお尋ねになりますと、ただいま申しましたように、一般の法律上の責任の問題が出て来るのではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/41
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042・石川金次郎
○石川委員 本法案には、軸成立委員の責任規定が一箇條も見えておりませんが、これでよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/42
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043・花岡薫
○花岡政府委員 この設立委員の責任につきましては、原則的には商法の規定の趣旨が入つて行くものと存じております。従いましてその商法によりますと、個人々々の責任ということになりますが、その点、今申しました通り必ずしもその場合によりまして明確でないと思われます。この設立委員の性格が、たとえば公務員であるとかいうようなことになりますれば、ある程度またはつきりいたすことかとも思いますけれども、公務員であるかないかという点につきまして、もちろん御疑問をお持ちのことと思いますが、この点につきましてもあまり深く追究しないで、一般の例も、やはりこの法律上の責任につきましては、大体慣例による立法に従つておりまして、必ずしも正面からはつきりと規定したものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/43
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044・石川金次郎
○石川委員 商法の規定が適用されるだろうと思うという御趣旨に伺いましたが、商法の株式会社設立発起人の規定を準用したいという御趣旨で立案なさつたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/44
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045・花岡薫
○花岡政府委員 原則的にはさように申し上げてさしつかえないと思いますが、評価の段階とか、定款作成に対する証明といつたような点については、明確に除外しております。この法律に書いてあります点はその通りでございますが、そうでない点は原則的には商法の趣旨に従うべきものと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/45
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046・石川金次郎
○石川委員 そういう御趣旨でこしらえたというならば、そう承つておきますけれども、あとで御修正にならなければならぬようなことが出て来はしませんか。御研究なさつてからお伺いしてもよいのでありますが、たとえば商法に、創立総会が済んでも株式の引受人がなかつた場合は、設立発起人が引受けるというような規定はなかつたでしようか。そういうことは全部この設立委員の責任として持たせるという御趣旨じやないだろうと思う。ただ設立委員を選んで、会社ができ上るまで、これが手続を運ばしめるのだという、本法によつて初めてできた一つの機関ではございませんか、そういう解釈じやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/46
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047・花岡薫
○花岡政府委員 今一つの場合をあげて御質問でありますが、この株式の引受けの問題につきましては、ほかにもいろいろ公平にやるとか、御指摘のように引受人が不足する場合、あるいは逆に超過の場合もございましよう。この点につきましては設立準備段階の問題でありまして、私の申し上げるのは設立委員の考えと違つて来るかもしれませんが、たとえば日本無線電信株式会社の場合におきましては、政府の官吏である設立委員は株の引受けをいたしておりません。さような了解になつております。その他の設立委員は、数はちよつと今記憶しておりませんが、千株あるいは千五百株というものを一応平等に引受けるというような了解が成立しておつたのであります。従つてこの場合は同じような一種の行き方も考えられると思います。またこの引受人の欠除というようなことは、非常に愼重に対策を講ずべき問題でありまして、広く通信機関を持つておりますので、会社設立の趣旨は新聞その他の刊行物、地方の通信機関等を通じて宣伝して、株主の募集に当る、こういうことが必要であろうと思いますが前回の例によりますと、金融界が非常に逼迫いたしておりまして、民間資金の集まる見込みが危ぶまれたのでありますが、設立委員大勢の努力によりまして、実際におきましては応募成績が、たしか十一倍一に達したということでございます。この会社の場合は、収支見込みにつきましては、非常に仮定の多い問題でありますので数字は困難な問題でございますけれども、一応本数億の利益金を場合によては予想される。の内容におきまして、もし企業企画が堅実でございますれば、これは一応吸引力のあるものと考えられるのでございます。従いまして今お尋ねの点も、実は何とか克服できる問題ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/47
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048・石川金次郎
○石川委員 見込みはそう思います。だれも引受手なき株式の会社を設立する人はないので、皆引受けの株が満株あるだろうということを予定して設立を引受けるのであります。しかしない場合が万一あつたと仮定しまして、法的処置を講ずる必要がないか。なくて欠陷なしとするか。そうでなかつたら商法の株式の発起人と同一に規定するのか。商法準用は必要でなかつたのか。設立委員というのは、会社の発起人と同一の法的立場をとるものだという趣旨でこしらえられておるということならばそれでもよろしいが、どちらであるかということであります。私の質問が、こういう場合はどうなるかと裏を聞くようで、率直にとらないで疑つてばかりいるのだとおつしやいますけれども、そうではなく、あらを出さないように考えて行くべきじやないかと私は思うのです。その点についてもう一度お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/48
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049・花岡薫
○花岡政府委員 ただいまの御趣旨は、私どもまつたくその通りと思います。商法の引受けの義務に関する規定が、趣旨としては適用されるものと思いますけれども、ただその点について明確にしなかつた点まで責めておいでになるようでございますが、この会社の設立の場合の事業の幅が、現在の国際通信用の施設をほとんどそのまま移して仕事をスタートさせるわけでありますので、運転資金等について若干現金の必要があります。従つて相当の幅の事業でありますけれども、資金を必要とする額は、設立に際してはそう大きな金ではないということも、実は立法の際に考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/49
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050・石川金次郎
○石川委員 もう一回聞いておきたいのですが、設立委員は報酬はあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/50
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051・花岡薫
○花岡政府委員 設立委員の身分、報酬につきまして、明確を欠く点は先刻申し上げた通りであります。公務員としての報酬の規定はございません従いまして設立委員に与える報酬をどうするか。こういう問題は設立委員にその決定がゆだねらるべきであろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/51
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052・石川金次郎
○石川委員 わかりました。その設立委員がみずから決定するという方法は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/52
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053・花岡薫
○花岡政府委員 これは報酬と申しまするよりは、やはり私は実費的な費用の弁償であろうと思います。はつきりした報酬となりますと、これは会社を興す趣旨からいつていかがかと思われまするが、実費的補償につきまして、ただいま申し上げたようなことを決定いたすべきではなかろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/53
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054・石川金次郎
○石川委員 それではその費用の出どころはどこですか。支払いの主体について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/54
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055・花岡薫
○花岡政府委員 その点も法律には明確に書いてございませんが、設立委員は、大体の法律上の性格は、私は一つの民法上の組合のようなものだと思います。従いまして組合としての資金調達等の道がある。国家の費用その他はつきりした捻出の道はございませんが、そういう発起を目的として契約関係で集まつた一つの性格と見まして、設立費用は、やはり設立委員が適当に考慮しなければならない問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/55
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056・石川金次郎
○石川委員 これは次官にひとつ御答弁を願いたいのですが、定款の予定ができましたら、定款を見せていただきたい。本年十二月末までに設立しようとするならば、大体において腹案があるだろうと思います。この定款を出していただくと、今のように答弁にお苦しみにならぬでも、設立書なり定款に記載してあるのだから心配するな、こうおつしやつていただければけつこうです。定款を見せていた、だきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/56
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057・靱勉
○靱説明員 まだ定款はできておりません。ただいまの費用の問題でございますが、普通の場合におきましては、定款に設立費用というものを書きまして、定款は郵政大臣の認可を受ける、そういう形になろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/57
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058・石川金次郎
○石川委員 定款に御記裁になるならば、その額をお聞きしたい。幾らぐらいの金をもつてこの会社をつくろうとするのですか。まだおわかりになつておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/58
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059・靱勉
○靱説明員 その詳細については、まだ定まつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/59
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060・石川金次郎
○石川委員 それでは詳細にお調べにならないとするならば、それは設立委員にまかせるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/60
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061・靱勉
○靱説明員 郵政大臣が設立委員を任命しまして、会社設立の事務を処理するということに法律上きまつております。それらの点につきましては、郵政大臣のところにおきまして、いろいろ基準的な問題をきめる。そうして設立委員と相談し、さらに定款として正式になつて参りますれば、最終的にきまつて来る。こういう形で主として設立委員に命じて事務を処理させる、こういうことでございますので、郵政大臣としては、その会社の設立に対しまして相当の責任を持つておる、こういうことに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/61
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062・石川金次郎
○石川委員 その点はそういうことにお伺いしておきます。
それで次にお伺いしたいことは、日本電信電話公社から現物出資をやるという規定があります。この現物出資について聞きたいのでありますが、現物出資すべき範囲は、まずどういう範囲のものか。「国際電信電信株式会社への出資の範囲」という表をいただきましたが、その範囲でありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/62
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063・靱勉
○靱説明員 結局それを言葉で申し上げますると、国際通信に使つておりまする無線の施設を中心としてのことになるわけでございますが、お手元に差上げてあります資料は、それが中心になるということでございまして、それに限定されておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/63
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064・石川金次郎
○石川委員 それで電通省といたしましては自分がまず出資をする。これは財産なのでありますから、はつきりしておかなければならないと思う。ことに公社ができ上つて財産が移る。そうして公社から財産が会社に移つて参ります場合は、現物出資と譲渡という二つの言葉を使つている。出資の範囲は公社にも重大な関係があるだろうと思う。公社をつくつて参りますのに、どれだけの財産をとられるのか、施設を国際の方にとられるかということは、公社をやる人はちやんと腹をきめておかなければならないと思う。公社の設立は眼前に迫つております。だから財産はおそらくできていると思いますが、詳細な表をいただくことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/64
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065・靱勉
○靱説明員 この両法案の趣旨といたしましては、公社は公衆電信電話業務を独占的に経営して行くという形であります。国際通信会社は、国際電信電話を公社よりも原則としてやる。こういう目的のためにこの電信電話会社ができている。しかしながら現在の国際通信の施設の現状及び運用の現状から見ますと、国際電信電話というものをすべてこれにまかせることが必ずしも安当でないという面もあるのであります。国際電信電話と申しますのは、要するに外国との通信あるいは外国船舶との通信ということになるのでありまして、現在は一体的に電気通信省で施設、経営いたしておりますが、たとえば海岸局におきましては外国の船とも交信いたしますし、内国の船とも交信するというふうに、施設が共用されている面もあります。それからわが国の現在の平和条約下の状況におきましては、海底ケーブルによる通信はほとんど杜絶いたしておりますが、これは要するに平和条約によりまして、折半しそれぞれ所有がきまるということに相なつておりまして、これも動いていなくても、国際通信のための施設であつたことは明らかであります。これらをこの会社設立の際にいかに解決して行くかという問題は、一つの方針によつてきめらるべきものだろうと思います。従いまして現在動いている国際電信電話の施設を中心として考えて決定されて行くということは、当然の原則でありますが、この附則におきましても、どういうものを譲渡し、出資するかという範囲につきましては、公社も国際通信業務ができるような形になつておりますので、これは両者相談しまして、最後的に決定がつかない場合には、郵政大臣の決定にまかせる。結論的に申しますれば、現在やつている主たる国際通信は、全部この会社にやらせる。しかしながらただいま申したように、施設を共用しでいるもの、あるいは有線等特殊なものにつきましては、これを公社に残しておくかどうかということは、大体におきましてはそういう方針でおりますが、最終決定はまだ決定していないという状況でござまして、現物出資をする施設の詳細につきましては、これは並行しまして現在準備を進めている、こういう形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/65
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066・石川金次郎
○石川委員 お伺いいたしますと、資料としていただきました「国際電信電話株式会社への出資の範囲」は、法の附則第六項の「郵政大臣の決定があつとき」という、その決定の範囲にこの表がなるのではないのでありますか。会社と公社との妥協がつかなかつ場合には、郵政大臣はこの範囲で決して行くことができるということにはならないのでありますか。この資料はただ漠然と大体こんなものだろうという意味での御提供なのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/66
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067・横田信夫
○横田(信)政府委員 これは非常に相済まなかつたと思います。これは(案)としていただきたいと思います。一応こういうものが主たる対象になるだろうというので、この問題の中心を出したわけでございます。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/67
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068・石川金次郎
○石川委員 公社は七月一日に発足の御予定のように承ります。そうすれば、大体違わないですね。この施設、財産を公社から会社に譲渡もしくは現物出資するのだということを明らかにしていただきたいと思います。これは公社をあとで経営する人にとつて非常に大事だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/68
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069・横田信夫
○横田(信)政府委員 ただいま次官から御答弁いたしましたように、ここに送受信所としてあげておりますのは七送受信所でありますが、これはまず間違いなく出資あるいは譲渡になるべきものだろうと考えられるのであります。そのあとの方は、ここに概算と書いてありますが、運用局の諸設備であります。と申しますのは、東京、大阪の国際電報局の中にあるいろいろな設備、それから東京、大阪の国際電話局の中にある設備、東京の放送無線電報局の中にある設備、これを概算いたしたものであります。これもまず間違いないだろう。しかしこの価額が二億円になるかどうかは、具体的に当つて評価しないとわからないので、概算といたしたわけであります。未完成工事もそういう意味で概算といたしたわけでありますが、ここに上つているものはまず間違いなかろうと考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/69
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070・石川金次郎
○石川委員 間違いがなければいいのですが、そのままにしておく部分がどれだけあると予想されておりますか。さらに「譲渡する」という言葉を使つておりますが、譲渡する分はどれだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/70
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071・靱勉
○靱説明員 もちろん最終的にきめているわけではございませんし、最終的にはこの法律によつてきまつて来るわけでございますが、今政府の大体の考えといたしましては、譲渡されるものは大体動産的のものといいますか、付属器具等については、譲渡という問題が起つて来るのじやないかと思います。それからここにあるのは大体無線設備及びそれを運用するに直接関係のあるものでございますが、なお送受信所との連絡ケーブルがまつたく専用のものである場合には、これを会社の財産にするか、あるいは公社が持つておりまして、専用として提供して専用料をとるかというような問題もありますが、私どもといたしましてまず業務を中心に考えて見まして、どういう業務は会社にやらすのが至当であるかというような見当は大体ついております。具体的に申しますれば、無線による外国との通信は全部国際電信電話会社にやらせる。海底線につきましては、ただいまのところは国際電信電話会社に出資しない。それから沖縄との通信などは公社においてやつて行く、海岸局はやはり公社においてやつて行くという、ほとんど漏れてないような調整と申しますか、案は一応私どもで作成いたしておるのであります。ただそれの財産のこまかい検討は、まだ全部表に出して、こらんに入れるという準備はなつていない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/71
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072・石川金次郎
○石川委員 一応ちやんと腹案があり、公社ができても会社ができても、いつでも準備が整うておるというならば、それを信用しておきます。
今度は附則第九項の読み方をお伺いしたいと思います。「公社が会社に対する出資の目的とし、又は会社に対し譲渡する財産の価格を記載しようとするときは、電気通信設備評価審議会の決定を受けなければならない。」とあるのでありますが、公社から出資もしくは譲渡を受けるものの価格の記載は、会社の定款には任意にするという意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/72
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073・花岡薫
○花岡政府委員 現物出資の種類、その評価額、それに対する割当の株式というようなものは、定款に記載すべき事項と考えております。記載する場合にここに特則を設けまして、評価額については特に愼重にやりますために審議会を設け、大体の骨格基準をここで審議しまして、その決定を得た上でその額を定款に記載するという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/73
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074・石川金次郎
○石川委員 そうするとこの価格は定款にはつきりと記載するという意味でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/74
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075・花岡薫
○花岡政府委員 そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/75
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076・石川金次郎
○石川委員 そう聞いて安心いたしました。しかしそうすると「譲渡する財産の価格を記載しようとするときは」ということではなくて、「記載するときは」とはつきりお書きになつたらどうですか。どういうわけで「記載しようとするときは」というように、任意記載でいい、記載しなくても済むような文句を書いたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/76
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077・花岡薫
○花岡政府委員 ただいまの表現の問題につきましては、これは立法の技術でありまして、その方の専門家の法制局の意見に従つたわけであります。趣旨といたしましては、記載すべきものであるから、それを記載しなければならないが、記載する前にはまずこういうことをしろということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/77
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078・石川金次郎
○石川委員 そこで現物出資、財産譲渡の場合、国会の同意を必要としないとなされた理由をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/78
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079・田邊正
○田邊(正)政府委員 会社設立の際に限り、国会の議決を必要としないというようにした理由でありますが、公社法の六十八條におきましては、重要な財産を処分するときは国会の同意を経なければならぬというふうに書いてございまして、重要な財産を処分する場合は、公社としてむしろ異例とする場合であるかのように考えられるのであります。従つてそういう際には、重要な財産でありますので、国会の議決を経るのでありますが、この会社の設立の際におきましては、公社が会社に出資または譲渡をいたします財産の範囲は、国際電気通信業務の用に現に供されている財産という趣旨でありまして、従つてこの範囲はおのずから定まつて参るという意味から、特に国会の議決を経なくてもよろしいというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/79
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080・石川金次郎
○石川委員 今の御説明の理由で、六十八條の適用を除外したのだというように伺つたのであります。そうすると次にお伺いいたしますが、六十八條の適用を除外するのならば、はつきりとこれが行くのだ、必要なんだということをお書きになつておらなければならなかつたと思うのです。一体範囲を明らかにいたしましても、価格はどのような価格で行くということが、まだ問題になつて来なければならない。会社を設立する方から一言えば、できる限り資本の確保をして行くために安いものがほしい。しかし国から言えば、この会社を立てる当否は別といたしまして、売る方から言えばできるだけ高く売つて行きたいのが人情なんです。われわれは設備がどのくらい行くかということと同時に国家の財産であつたものを公社に讓つた、それが幾らの価格に踏まれて行くかといふことをまず第一番に見たいのでありますから、これをどうして国会の承認がいらないと言つたのか。行く範囲の点は御説明でわかりましたが、価格が国会の承認を得ないというのは、審議会でこれをきめるのだから大丈夫だという趣旨で、国会の承認を求めないのですか。どうして国会の承認を求めないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/80
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081・靱勉
○靱説明員 本法によつて、評価は評価審議会でやる、しかもその評価審議会の委員はこういう方をもつて充てる、さらに評価の原則としては時価並びに収益率を参酌すると書いてありまして、具体的にはそれによつてはつきりと数字がきまつて来るわけであります。それまでに現在の政府だけの案でもつて、これを幾らにするといつて出すということはどうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/81
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082・石川金次郎
○石川委員 しかしどうして価格がきまつて来るかということは、あとで問題にいたしますけれども、時価に収益率と言つておりますが、時価と収益率とを参考とした価格というのは何の価格ですか。どういう価格が出て来ますか。今ここで出資の範囲をきめられた価格が、この表によりますと百七十六億、すなわち御説明の通り七箇所の送受信所を売つたものを、収益率と時価とで割出してみたら幾らになつて来ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/82
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083・靱勉
○靱説明員 その点につきましてはいろいろ計算方法がございますが、それは横田政府委員から御講明いたさせたいと思います。
〔高塩委員長代理退席、關内委員長代理署席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/83
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084・横田信夫
○横田(信)政府委員 この評価の問題は、一番大事な問題だろうと思います。この評価につきましては公平な三者も入れまして、当然この審議会で慎重にやられることと思うのでございますが、この評価方法につきましては、御承知のようにいろいろな方があるわけであります。現在代表的な方法とされておりますものはいわゆる指数法と称するもの、それから資産再評価法によるもの、この二つがあるわけであります。今仰せの数字は、実は一億七千六百万円でありまして、あとは円以下であります。帳簿価額を前提にしてこれを再評価する場合に、指数法でもつて再評価する方法、それから先ほど申しました資産再評価法による方法、もう一つは再取得価格法という大体代表的な三つの方法があると思います。指数法と再評価法とは、原理は実は同じなんです。指数法は日銀指数をそのまま使う方法であります。それから再評価法は、それを原理といたしまして、一応あの法律をつくるときに、ほかにいろいろ要素を入れまして特にああいう率をつくつた。原則は大体物価指数を入れたのであります。もう一つの再取得価格法というのは、その設備を具体的に一つ一つ当つて、それを今新しいメーカーがつくるとすればどのくらいかかる。それを当つてから今の使用年数を見まして、今後この設備は何年間持つものと認定する。これを具体的にやらなければならぬ。そういう意味でこの三つの方法がありますがこの三者はある程度兼ね合せて行く必要が具体的にはあるのではなかろうかと考えるのであります。これが帳簿価額だけで行くのは、そう完全ではなかろうと考えるわけであります。実は再取得価格によつて資産を具体的に一つ一つ当つてみる。新メーカーがつくるときにはどのくらいかかるか、これは実はできておりません。この帳簿価額を前提にいたしまして、指数法と資産再評価法の両方によつてこれを概算しますと、指数法によつてこの帳簿価額をそのまま算定いたしますと約十七億三千万円、それから資産再評価法の方法によつて見ますと十七億九千万円であります。あまり違わないのでありますが、そのほかに六億が加わつて来る。これも概算でありますが、具体的に当ればあとの未完成工事と局内設備と作業資産です。ところがこれは帳簿価額が前提でありますので、その資産を具体的に当つた場合、その資産自身が、あるものは持ちがよくて、減価償却して来たけれどもそれは実は財産として償却が非常に堅実過ぎているというのもあると思いますし、堅実でないというものもあると思います。そういう意味で、同じ事業会社の中にいる間はまだいいとしましても、これが譲渡されるときは、再取得価格法による一つ一つのたなおろしということも相当必要だと思います。これがどうなるかは、実はできておりません。それから今お尋ねの収益率を参酌するという問題になりますと、こういう意味の一部の営業の譲渡と申しますか、事業の一部の譲渡の幅になりますので、その収益を参酌してどういうふうにするか。これもまたいろいろの方法があるのですが、その代表的な方法は、一つは牧益還元法、もう一つは年数法、この二つが大体代表的なもののように考えられております。しかしこれも、勧業銀行あたりの権威者に聞いてみてもいろいろな考え方があるのでありまして、ことにこつちの法は非常にむずかしい。これをどの方法をとつてどうするかということが、評価審議会の一番大きな任務だろうと思います。この法はまだ正確にはできておりません。大体収益の方のものは、まず今の評価を済ませてからでないとこれができないのです。その評価を済ませまして、その設備を見て、その設備に対して一応通常と考えられる利潤率はどのくらいか、たとえば今の事業における利潤率を一割三分とすれば、その一割三分と、現在の設備で収益の上つているものとの差額をある時期で還元する。その還元率は、今の通常利潤率を一三%と見ますならば、それを大体五%増しくらいした率でこれを還元して行く。これが大体今までの慣習のようであります。しかしこの辺が今後の評価審議会の一番大きな問題ではないかと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/84
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085・石川金次郎
○石川委員 そこで私は計算はまつたく無知識ですから、まつたくのしろうとの国民としてお尋ねしますが、公聴会における公述人から聞きましても、国際電信電話関係は三十億からの余分の金が出た。それはお示しになつた表によつても、十三億かの金が出ておる。そうすると収入支出差引いたのが、事業から上つた一応の利益と見える。ところが元の資産の方は十七億六千万であります。これが三十億ないし十三億出て来るということになると、収益価額に算出するという場合に、よほど高く見て来るのは当然だろうというふうにみなが思うのですが、これはどうなるのですか。たとえば今かりに三十億という収益があつたとしたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/85
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086・横田信夫
○横田(信)政府委員 今申しましたのは、このうちの上に上つている送受信所設備であります。それに概算しております大体六億を加えまして、二十三億三千万円ないし二十三億九千万円の時価ということに一応相なるわけであります。今申しましたのは、お手元にあります表のうちの送受信所設備、これが一億七千六百万円の帳簿価額、それを再評価いたしました指数法で行つた場合と資産再評価法で行つた場合とを言いましたので、その下に概算一億、二億、二億と書いてありますが、これを加えまして二十三億三千万円ないし二十三億九千万円ということに相なるわけであります。そのほかに、今の収益還元で行くか、あるいは年数法で行くか、いわゆる利潤率を参酌したものでどのくらいのもので行くか、こういう問題がなお残るわけです。あるいは二十三億三千万円ないし二十三億九千万円も今の再販得価格法で行くと、これがどういう変化を受けるだろうか、これは個々の設備を当りまして、その個々の設備を新たに特に注文してつくつたらどのくらいになるかということをやると、あるいはこの計数参が相当動くかもわからぬということは考えられると思います。今のお話のこの会社の決算でいいますと、お手元に差上げましたように十三億六千万円、そういう利益が上つておる、この問題がどうなるか。今の利益率を参酌いたしましても、これ收益還元で行くなり年数法で行くと、これはどういうものになるか。これがここへ加算されて来るわけです。その加算される場合に、まずこちらの設備の方の再評価が済んで、設備の方からの通常利益としての、たとえば一三%なら一二%というものを参酌いたしますと、これが正常利益になる。それから今の十三億幾らから税金として税率が約六〇%くらいかかります。その税率は一応除くわけです。そこで純益は十三億の四〇%くらいになる。それと今の通常の利益との差額、これをある率で還元する。その還元率を使うのが、今の一般慣習では、普通の一二%をもし通常利潤と見れば、それの五割増しくらいしたものでこれを還元する。すなわち割るようになるのが通常の今慣習になつて場おるということを、私勧銀の方から聞きましたが、大体それが今の評価額に加算されて来る、こういうことに相なろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/86
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087・石川金次郎
○石川委員 価額の点は、私もまだ算定の方法がわかりませんから、あとで機会があつたらお伺いしたいが、この点は三十億、五十億ということは、公聴会でもうわさもそうなつておる。十三億もうけておるのに、その評価が二十三億しかない。これはひどいといわれることは、与党の諸君も心外だと言つておられたが、世間では疑うのでありますから、ここの価額の算定は明らかにしてもらいたい。これあるがゆえに、なぜ国会にかけないか、かけべきでないか、こう思つたのでありますが次に進んで参ります。
電気通信設備評価審議会、これは二十五項できまつておるようでありますが、これは行政機関ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/87
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088・靱勉
○靱説明員 普通の法律によつて、設置法その他特別の法でつくられる審議会、委員会で、やはり行政機関の一つであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/88
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089・石川金次郎
○石川委員 それであれば、行政庁、行政機関としての審議会の決定に対し、裁判ができますね。これは明らかにできると思うがどうでしよう。たとえば価額のきめ方が不当だという裁判ができると思うが、どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/89
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090・花岡薫
○花岡政府委員 定款に記載いたします現物出資範囲並びにそれに対する許価額、これに対しましては、定款を検査する商法上の規定は排除いたしております。しかし設立後やはり検査員を裁判所に申請しまして、その検査を受けて、妥当でないというような決定によりまして、変更の措置を講ずるということは、一応商法の規定は除外いたしておりませんので、そういう場合はあり得ると思います。ただいまの、ほかの訴訟手続によりまして変更ということは、利害関係人その他の法律関係がそこに出て参りますので、結局商法上の利害関係人の訴えによる、あるいは今の検査員とかいうような場合になつて来るのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/90
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091・石川金次郎
○石川委員 会社の場合においての救済は商法で行くとして、私のお聞きしておりますのは、国際電信電話株式会社の財産の評価審議会の決定に対して、行政訴訟ができるか、こういうことです。行政庁だというから、行政庁の価額決定に不当な処分ありとして訴訟を出すことができるわけです。価額の査定をうまくやつてくれない、これでは国民が損だ、これではいかぬというので、行政訴訟ができて行くか、これを予定せられたかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/91
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092・花岡薫
○花岡政府委員 ただいま御指摘の行政関係の訴訟の道は、私は開かれておると思います。ただやはり利害関係人というようなことになりますので、ただいま申し上げましたように、商法の方に行くのじやないかと一応考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/92
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093・石川金次郎
○石川委員 それで非常に安心しました。行政訴訟を起してもいい。これは当然のことですから、何もお驚きになる必要はない。そうすると、この場合だれが原告になつたらいいでしよう。この点をお考えになりましたか。そこまでは考える必要はありませんでしたか。これはわれわれが考える必要はないじやないか、出す方で考えればいいというのなら、それでもよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/93
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094・花岡薫
○花岡政府委員 利害関係人としての公社が一応その場合は考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/94
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095・石川金次郎
○石川委員 はつきりいたしました。次にもう一つ聞いておきますが、会社が設立せられた場合、駐留軍の便益提供義務というものを直接負つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/95
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096・花岡薫
○花岡政府委員 会社が直接駐留軍の将兵に対する義務は負つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/96
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097・石川金次郎
○石川委員 そこで国家が便益提供の義務を負つておる場合、この国際電信電話株式会社を利用することはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/97
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098・花岡薫
○花岡政府委員 駐留軍は、軍といたしましても、それから個人々々の将兵といたしましても、この会社のサービスを利用する場合はございます。また現に会社ではありませんが、現状におきましてまつたく同一の関係がありまして、ある設備を小部分専用する、あるいは回線を専用する、あるいは個々の通話あるいは電報の形によりまして、通信を利用する場合がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/98
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099・石川金次郎
○石川委員 特別サービスの義務は負つてない、こう思つてよろしゆうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/99
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100・花岡薫
○花岡政府委員 義務を負う場合は、普通の日本人、日本の官庁のその他と同じでありまして、契約によつて利用させる、その範囲で義務を負うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/100
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101・石川金次郎
○石川委員 国が駐留軍に対して義務を負うので、会社自体は直接負うべきでない、これは御説明の通りだと思います。国が負うておる場合に、国がその負うておる義務を果すために、この会社に何か命令しようとしなければならない場合は命令をやつて行けますか。これは次官から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/101
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102・靱勉
○靱説明員 これは十五條にありますように、郵政大臣は会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができるだけでありまして、一般的に特別な負担等は命令できないと私ども解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/102
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103・石川金次郎
○石川委員 わかりました。その次に今度は十一項についてお伺いしたい。十一項は残余株の募集についての規定でありますが、この募集の方式はどうか。株式の額面が決定すれば、額面株式の募集とその割当の決定はどうするか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/103
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104・花岡薫
○花岡政府委員 設立の準備につきまして先刻いろいろお尋ねがございましたが、今のお尋ねの問題は株式の募集の方式、額面あるいは発行価格、それから割当の問題であります。これは法律にはしいて規定する必要もあるまいというふうに考えております。従いましてこの募集の方式、額面発行価格その他の点につきましては、一切設立準備委員の決定する問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/104
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105・石川金次郎
○石川委員 そこに不公平が生じた場合の監督権は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/105
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106・花岡薫
○花岡政府委員 ただいまお尋ねの公平なる割当の問題については、一応重要な事項として考えられるわけでございます。これは前例その他によりまして——もちろん法律に書けば公平にやれということを書く事柄だろうと思いますが、そういう例もございませんし、当然の問題であつて、先刻申し上げました旧日本無線の場合におきましても、やはり同じような考えによりまして、申込み数の比率等公平な方法を採用するのが例になつておりますので、しいて規定の必要もあるまいと考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/106
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107・石川金次郎
○石川委員 そこはどうも私と考えが違う。例があつて過去がこうだつたから必要がないということだろうと思いますが、そういうときに防禦の方法を考えておかなくてもいいかということが私の聞きたいところなのであります。一体この割当一切は設立委員にまかせるわけですね。法文上当然そうなつて参ります。そのときに公平なる割当をしなかつたということは、これは設立委員が職務怠慢であつたということになると思いますが、そのときの責任はどうなつて行きますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/107
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108・花岡薫
○花岡政府委員 株の割当につきまして、私今ここに六法全書を持つておりませんから、具体的にはつきり記憶いたしておりませんが、これはあとでやはり異議の申立ての余地があるように規定ができておると思います。従いまして後に救済方法がありますし、事前におきましては、設立委員は公務員とはさつき申しませんでしたけれども、やはり政府の任命したところの公務を執行するものであるから、その監督の方法はあるものと私は存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/108
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109・石川金次郎
○石川委員 それで設立委員の性格もだんだんわかつて参りました。設立委員は結局公務員としての責任を負うのである、権利が侵害せられた場合には、国家賠償の責任を負うという御趣旨でしようね。こういうのが間違いないのではないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/109
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110・花岡薫
○花岡政府委員 そういう御解釈が成立すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/110
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111・石川金次郎
○石川委員 それでは二十項についてお聞きします。「公社は、会社の成立後遅滞なく、第三項の規定による出資に対し割り当てられた株式を政府に讓渡しなければならない。」とありますが、この讓渡しなければならない。」という理由はどこから来るのですか。お聞きいたしますと、公社は法人として独立の人格を備えるのだ、財産支配の権限、さらに義権も持つておるものが讓渡しなければならぬということは、これはどういうりくつから来るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/111
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112・靱勉
○靱説明員 これは政府の一つの方針といいますか、公社に株を持たして置かないということで、特にこの出資じた株は政府に譲渡しなければならぬということを定めた規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/112
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113・石川金次郎
○石川委員 讓渡は有償ですか、無償ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/113
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114・靱勉
○靱説明員 もちろんこういう規定でございますれば有償でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/114
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115・石川金次郎
○石川委員 ところで有償だとして今度は二十二項を見ますと、「政府は、第二十項の規定に上り譲り受けた株式の対価を、当該株式の処分に応じて公社に支払うことができる。」、これはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/115
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116・靱勉
○靱説明員 これはあるいは会社設立準備のときに御説明してあつたかと思いますが、結局有償讓渡ならばただちにその対価を公社はもらうのが本則でありますが、政府は一般会計からそういうものをすぐ出すというわけには行かぬ、そういうことで、売れたときにその借金を公社に対して返して行くことができるという規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/116
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117・石川金次郎
○石川委員 そうすると売れました価額の全部はこれを公社に返してやるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/117
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118・靱勉
○靱説明員 売れました価額と申しますより、この当時たとえば額面五十円としまして、それで有償讓渡したということになりますが、その場合政府はそれを六十円で売つたという場合にどうするかという問題がありますが、この規定におきましては、一応五十円はそのまま公社に返さなければならぬ、返したあとで、売つたときに払えるという規定でございまして、あと六十円で売れた場合にどうするかということは、また別途の定め合いになるかと思います。一応政府と公社の間におきましては五十円の債権債務がある。それを返せばよいということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/118
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119・石川金次郎
○石川委員 別途の方法というのはどうなつて来ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/119
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120・横田信夫
○横田(信)政府委員 お答えいたします。譲渡につきましては今次官から御説明いたしましたように、ただちに払うべきであるけれども、すぐには払えないわけで、その対価を支払うのを遅らせてよろしい、こうあるわけでありますが、政府としては売れた価額で公社に支払うという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/120
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121・石川金次郎
○石川委員 その通り相違ございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/121
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122・横田信夫
○横田(信)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/122
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123・石川金次郎
○石川委員 この法案をおつくりになつて、憲法の二十九条、ここまできくのははなはだ変でありますが、財産権を侵してはならないと書いてありますが、これはちつとも関連ありませんでしたか。憲法と、政府に強制讓渡をするという関係はこれでさしつかえないのだ、公共の福祉という見地からこれでさしつかえないとおつしやるのならけつこうですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/123
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124・靱勉
○靱説明員 お答え申し上げます。この規定は私ども財産権を侵していると考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/124
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125・石川金次郎
○石川委員 これ一点だけできようはやめます。二十一項に「有価証券市場の状況を考慮し、」という字を入れてある。これはどういうことなのですか。景気のいいときにできるだけ高く売つて、公社に金をつぎ込むという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/125
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126・靱勉
○靱説明員 これは率直に申しますれば、そういうことであまり安く売られてはいかぬ、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/126
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127・石川金次郎
○石川委員 これは特売はやりませんね。市場売却でやりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/127
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128・横田信夫
○横田(信)政府委員 これは上場株になりますので、市場を通じて売り買いされるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/128
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129・石川金次郎
○石川委員 この二十三項の意義を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/129
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130・花岡薫
○花岡説明員 無線局の免許人の地位は、現行電波法によりましては非常に狭い範四でだけ承継が認められております。この場合のごときは該当いたしませんので、特別規定をここに設けたわけであります。この免許人の地位は、出資の場合と、それから会社設立のときの讓渡の財産が無線局である、その無線局に対して当然承継するということにうたつただけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/130
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131・石川金次郎
○石川委員 きようはこれで打切りますが、またあとの委員会で続けて質問することをお許し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/131
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132・關内正一
○關内委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次回は明後二十八日午前十時より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X02919520526/132
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