1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月二十八日(金曜日)
午前十一時四分開議
出席委員
委員長 八木 一郎君
理事 青木 正君 理事 大内 一郎君
江花 靜君 木村 公平君
田中 啓一君 田中 萬逸君
平澤 長吉君 本多 市郎君
平川 篤雄君 鈴木 義男君
松岡 駒吉君 今野 武雄君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 村上 義一君
国 務 大 臣 大橋 武夫君
出席政府委員
警察予備隊本部
装備局長 中村 卓君
警察予備隊本部
経理局長 窪谷 直光君
海上保安庁長官 柳澤 米吉君
委員外の出席者
警察予備隊本部
長官官房文書課
長 麻生 茂君
專 門 員 龜卦川 浩君
專 門 員 小關 紹夫君
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三月二十七日
委員苫米地義三君辞任につき、その補欠として
平川篤雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
小平忠君が委員を辞任した。
三月二十八日
委員門司亮君辞任につき、その補欠として鈴木
義男君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇〇号)
警察予備隊令の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第一二四号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/0
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001・八木一郎
○八木委員長 これより会議を開きます。
本日は海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出第百号、警察予備隊令の一部を改正する等の法律案内閣提出第百二十四号を議題といたします。
まず海上保安庁法の一部を改正する法律案について昨日に引続きまして質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。今野武雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/1
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002・今野武雄
○今野委員 本日は海上保安庁法の一部を改正する法律案のほかに、警察予備隊令の一部を改正する等の法律案というものが出ておるわけでありますが、これなどをちよつと見るというと、まあはつきりした人員増加をするという技術的な点だけにとどめて、根本的な点はあとに譲るような印象を受けるわけです。そしてなお新聞紙上などで伝えるところによれば、閣議等においても、海上保安庁にそれから警察予備隊、この両者をどういうふうに取扱うかということについては、まだ論議の最中であるというふうに伝えられ、特に本日出席しておられる村上さんも、その中においていろいろ意見を出しておられるということなんですが、この根本の問題がきまらないと、たとえば海上保安庁の場合に、海上警備隊というものがあつて、かくかくの目的のためにかくかくの機構、こういうことになつておりまするが、そういう目的そのものについて、あるいはこの機構全体について、警察予備隊も含めて、いわゆる保安機構全体について、少しも明示されないで、この審議を行うということは非常に困難なことに属するわけであります。そこで村上さんからひとつその点について、全体の保安機構というものについてどういうことになつているのか、また政府できまつていることがあればどういうふうにきまつたのか、あるいはきまらないで意見の段階に属するものがあれば、そういうものをお聞かせ願つて、そうしてその上で、そういうことにかかわりなくこれができるという見通しがつけば、この法案についてもつと詳しく質問したいと思いますから、その点ひとつお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/2
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003・村上義一
○村上国務大臣 この本法の改正法律案につきまして、御審議を願つておる次第で、今海上の警備隊を編成するということは、海上保安庁が四年前にできました当時から、実はその使命を果す上において、希望を持つておつたのであります。ようやく今回この警備隊を設置するということに相なりまして、海上保安庁法の改正法律案を御審議を願うということに相なりましたわけでまあ前回の委員会の際にもその趣旨によつていろいろお聞取りを願つたような次第であります。今お話の陸上の警察予備隊とこれを一本にして総理府にある機関を設けるということは新聞紙上にも出ております。おそらくそれを御指摘になつておるのだと思うのであります。この分につきましてはまだ確定をいたしておりません。大体の筋といたしましては、今海上保安庁においてやつておりまする航海安全業務、そうして航海安全業務は内容をさらに申しますると、海事検査の仕事であるとか、船舶及び船員についての問題、それから水路部の仕事、燈台部の仕事、こういうものは運輸省の海運行政上絶対に必要であることは申し上げるまでもありません。いま一つの警備救難の業務でありますが、この中で救難の業務につきましても全面的にこれを総理府に移すということはおそらく至難だと思うのであります。今申します海難救済の仕事にしましても、非常に大げさな海難がそこに発生したというような場合に対処して救難事業に従事するということは、これは必ずしも運輸省に保留しておかなければならぬということも言いにくいかと思うのであります。さらに警備の仕事、これは大体において移そうとすれば移し得るのじやないかというふうに考えております。すなわち密貿易の取締りの問題でありますとか、あるいは密入国の取締り、あるいは密漁の取締り、あるいは海賊行為に対しての処置であるとか、そういつた海上の安寧の予防鎭圧、捜査といつたような仕事は、移そうとすれば移し得るものだと考えております。大体の構想を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/3
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004・今野武雄
○今野委員 ただいま村上さんがお認めになつた通り、それは政府の意見としては、閣議においてまだ決定してない部分を含んでおる、特に海上警備隊の部分についてはそうであります。これは法案の内容を見ましても、海上警備隊の場合には、軍隊と同じような、何か現在警察予備隊にあるような階級といつたようなものが特別にあり、それからこの生活も昔の海兵団を思わせるような生活を要求し、一般公務員とは画然とした区別をして、むしろ軍隊に近い、軍隊と言つて少しもさしつかえないようなことをやつている。わずかに職員の意に反する処分に対して公正審査会というようなものがあるけれども、これはもうそういう生活環境に入れられての上であれば大した意味もなさない。ふういうことから見ますと、明らかに海上保安庁本来の目的から少しはずれた、そうして今ここで論議になつておる、そういう軍隊的な部分を含んでおる。最近よくいわれているいわゆる自衛戰力、そういう面に属することがここに出ているということを考えざるを得ないわけです。そうして昨日もお話があつたように、フリゲート艦千五百トンくらいのものを十隻とか、巡視艇五十隻とか、こういうようなものを貸與を請うというのですが、アメリカは、日本の問題を論ずるときには、いつでも極東戦略の一部として論じておる。こういう貸與をするにも、極東戦略の一部として論じておることは、これは天下公知の事実であります。特に今第七艦隊は日本防衛艦隊というような建前になつておる。そうして行政協定によつても日本の自衛戦力というものを急速につくることが要請され、しかもそういうものがアメリカの軍隊の指揮下に動くということもその裏面に含まれておる。そういうような点から考えますと、明らかに当然海上保安庁の今までの建前の継続にすぎないという形で範囲を越えるものを出しておる。いわゆる氷山の一角どころか、もう少し多くの部分を出して来ておる。そういうふうにしか考えられないわけで、私としてはもしここで審議をするのならば、その根本になる保安機構全体の問題を十分お伺いして、そうして細部のことをその上から検討したい、こういうふうに思うわけですが、もう少しはつきりと出していただきたいと思うのです。もしそちらで出しにくいようなら、こちらでもいろいろなことがありますから個別的に聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/4
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005・八木一郎
○八木委員長 今野君、議題となつた内容に入つてください。仮定の前提をついているとどうも逸脱して行くように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/5
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006・村上義一
○村上国務大臣 ただいま、今回海上保安庁法を改正して警備隊を設置したいという立法の趣旨につきましてこれは軍隊だというような御意見を伺いますが、これは全然軍隊ではないのでありまして、海上警備隊の任務は、海上における人命もしくは財産の保護、治安の維持のため緊急の必要がある場合に行動することを定めておるのであります。そういう目的で設置せんとするものでありまして、現在の海上保安庁の設置目的また所掌事務の範囲を何ら逸脱しておるものでないのであります。現在の海上保安庁の設置目的の範囲に限定されておるのであります。軍隊として行動するあるいは軍事目的のために行動するというようなことは、全然目的外であるのであります。ただここに緊急の必要がある場合という文字についてあるいは御疑問をお持ちになるのじやないかと思うのでありますが、これは先日も申し述べましたことく、たとえばある海域に大きな海難が起つて、多数の船舶が遭難しておる、ただちに相当の編隊をもつて救助におもむかなければならぬというような場合も予想しておりますし、また先般の十勝沖の震災の場合のような、高潮によりまして多数の船舶の沈没や流失が生じた、これらの救助を行わなければならぬ場合も想定いたしておるのであります。また日本の近海に合法的に出漁しておる漁船が海賊などに襲われまして不法に攻撃をされておるというような場合に、その保護に出動するというようなことも考えておるのであります。また大規模な不法入国であるとか、密貿易の船団が領海に入つたようなときに、これを海上において捕捉して取締るというようなために出動する場合等を予想しておるのであります。あくまで海上における人命、財産の保護または治安の維持のためにほつておけないような事態が発生しておる場合に、ただちにこれを鎮圧して平静に帰せしめる、海上の秩序を回復するという必要がある場合に出動するために設けんとするものであるのであります。軍隊とかいうものは、第一にその目的において他国の武力による侵略に対して、国の主権の発動として武力をもつて対抗し、攻撃をし、あるいは防禦をするという性質のものであるのであります。また一方からいいますれば、軍隊はその装備なり編成の程度か、外国の攻撃力を想定して、これを前提として整備されるべきものであると信ずるのであります。しかるに今設けんとする海上警備隊は、第一にその目的において、前刻来申し上げるように全然異なつておるのであります。一に海上における人命もしくは財産の保護、治安の維持のために、ただ緊急の必要ある場合に限つて出動するという性質のものであるのであります。また第二にその装備というものは、決して外国の攻撃力を想定して、それを前提として整備するというものでは全然ないのであります。ただ海上における国内治安のある程度の紊乱を想定しまして、これに基いて、その限度内において整備をするという程度のものであるのであります。この点御了承を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/6
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007・今野武雄
○今野委員 それでは逐次に質問いたします。本日の日本タイムスによりますと、吉田首相は再びダレス氏にあつて、二月二十四日付で書簡を出しております。そして太平洋軍事同盟ですか、こういうようなものを早急につくるというようなことを要請しておる。今国務省顧問をやめられたダレス氏に、二月二十四日付でそういう要請の手紙を出しておる、こういうように書いてあります。これは吉田首相に聞かなければわからぬと思いますが、政府として、村上さんとしては、そういうような他国と、つまり日本それから台湾、フィリピン、それから朝鮮、それらとの軍事的な共同行動をとりきめるための相談が進んでいるというこれらの新聞の報道に対して、一体どういうふうにお考えになつておるか。そういうような事実はないと考えられるか、あるいはあると考えられるか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/7
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008・村上義一
○村上国務大臣 ただいま御指摘の往復文書と申しますか、それにつきましては全然私は承知しておりませんが、少くともこの問題と今お示しになつておる事柄とは全然関係がないということは断言できるのであります。先般も申し述べましたことく、海上警備隊というものは東京警視庁における予備隊、また大阪警視庁における機動隊とまつたく同じ性質のものであるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/8
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009・今野武雄
○今野委員 大臣は先ほどからでき上つた作文を一生懸命読んでおられるので、その点は私としてはかかわらないで質問を進めます。
次にもう一つ伺いたいのは、日本政府としてアメリカに対し、海空軍を最小限度引続き十年間駐留することを要請したというふうに私ども聞き及んでおるのでありますが、はたしてそれは事実であるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/9
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010・村上義一
○村上国務大臣 そういうことは全然承知いたしておりません、また政府におきましても、再々繰返し申し述べております通り、日本の経済力が許さないために、今日の客観情勢に対処して国の平和を保ちたいということから日米安全協定ができ上つたということは明瞭であります。今言つたような事柄は、その点にかんがみましても全然ないものだと信じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/10
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011・今野武雄
○今野委員 次に、先ほどもちよつと長い質問で言つたのでありますが、アメリカの海軍から海上警備隊その他に対して、行動について命令があつた場合に、それに応じなければならないかどうか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/11
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012・村上義一
○村上国務大臣 海上警備隊は日本の海上警備隊でありまして、特に近く日本の主権が回復せられ、独立国となつた以上は、あくまで日本の自力によつて、日本の独立意思によつて行動すべきものと思います。他国の命令を受けるような性質のものじやないと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/12
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013・今野武雄
○今野委員 海上警備隊の場合はそうかもしれませんが、今までは占領下であるためにそうであつたのかもしれないけれども、いわゆる商船管理委員会——今は米船運航株式会社になりましたが、ここでは引揚げるために借りたりバテイ船などが、仁川上陸作戦以来——その前からでもずつとそうですが、朝鮮作戦以来米軍の輸送、あるいは米軍のために働く日本人の輸送、軍需品の輸送、そういうことにどしどし使われておつたわけです。そして船に乗ると、お前たちは軍属である、軍の規制を受けるのだというようなことでやられておつたわけです。上陸すると向うではカフェーでも、何でも、米軍用のところにだけ入るというかつこうで、ほんとうに軍隊と同じ規制を受けている。
そうして船員なんかは働かされておつた。このことは多数の船員によつて訴えられて来て、確固たる事実となつているわけであります。そういうような事柄が現に今まであつたわけです。ただいま村上さんのお話ですと、結局そういうことは今後はなくなる、こういうふうに理解してよろしいのですか。海上警備隊の場合はもちろん、あるいは一般船舶の場合、そういうことはなくなる、こういうふうに伺つてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/13
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014・村上義一
○村上国務大臣 今日まででも命令によつて動く、あるいは軍属——どういう意味でありますか存じませんが、軍属というような待遇を受けておるということは全然ないのでありまして、いわんや今後におきましてはそういうことは全然ないはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/14
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015・今野武雄
○今野委員 ただいまのことは、これは議論の問題じやなくて事実問題で、必要とあれば私は証人を呼んで来てここではつきりとさせることができるわけです。(「でたらめを言つている。そんなばかげたことがあるもんじやない」と呼ぶ者あり)今大臣はそういうことはあり得ないと言つておりますが、一昨年の朝鮮上陸作戦の後にも、私は、朝鮮上陸作戦に日本の労働者をつれて行つたと言つたら、保利労働大臣は、これは共産党一流のデマであるとあの本会議で言つた。(「デマだよ」と呼ぶ者あり)ところが私が現に行つた人間を三人労働委員会に連れて行つて、これはどうだと言つたら、これはしかたがない、それは事実でしよう、だけどもそのことは日本の労働省としては何ら関知しないことである、自分の方では責任は持てないことである、こう言つて答弁を翻しておる。こういうようにして政府は実にずうずうしいので、われわれがいろいろな事実をつかんでこうであると言うと、それはそうじやないと事実を否定する。これは非常にはなはだしい国会無視というか国会軽視というか、議員に対して、そういうような事実であるものを事実でないと否定するがごときは愼んでもらいたい。現在船員の問題でも、大臣があくまで事実でないと言うなら、私は証人を連れて来て、ここでもつて証言をとつて、どちらが事実であるかということを、最後まで争わなければならないと思うのであります。もう一ぺんその点を確かめたいのですが、はたしてそういうような軍の命令によつて、軍属と回しような待遇——待遇というか取扱いを受けておつた船員が多数におつたということを否定されるかどうか、もう一ぺん伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/15
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016・村上義一
○村上国務大臣 ただいまお示しのような命令は、運輸省は全然受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/16
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017・今野武雄
○今野委員 私は運輸省がそういう命令を受けていたということを言つているのではない。日本の商船管理委員会のアメリカからチャーターした船を、再び総司令部の方あるいは国連軍ですか、そちらの方に貸興して、船員はそのまま軍隊輸送、軍需品の輸送あるいは軍で使う軍夫の輸送、そういうものに当つておつた事実があるわけであります。そうしてそういう船員たちは、今言つたように軍属的な待遇を受けていた、取扱いを受けていた、こういう事実がやはりあるわけであります。その事実を私は申しておるのです。その事実を否定するかどうか、こういうことを言つているので、運輸省が命令を受けたか受けないか、こういうことを言つているのではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/17
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018・村上義一
○村上国務大臣 そういう事実があつたかないかは、私承知しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/18
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019・今野武雄
○今野委員 それならそれと初めから言えばいいので、まつたくそういう事実はありませんと言うから問題になる。まるでデマを私が言つているかのように言うから問題になるのです。そういう事実は、私の認めるところでは確かにある。必要とあれば、証人を喚問して調べていただけばわかることです。
それからそういうような事実を大臣は御存じない。そうすると今度私が伺いたいのは、今までの海上保安隊といいますか、これがやはり米軍の要請、または命令によつて動くということは一体なかつたかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/19
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020・村上義一
○村上国務大臣 海上保安庁としましては、これは運輸省の一部でありまして、従来そういうことはありませんでした。今後も命令に従つて動くというようなことは全然ないと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/20
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021・今野武雄
○今野委員 命令または要請と言つたのですが、要請によつて動いた事実はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/21
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022・村上義一
○村上国務大臣 もちろん占領治下でありますので、自由意思によつて協力をするということは考え得るところでありますけれども、今日までにそういうことは私の知つておる範囲においてはないと信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/22
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023・今野武雄
○今野委員 そうすると大臣は、今後は占領下でなくなるのだから、決して警備隊は——あるいは将来、近いうちにどういうふうに名前がかわるかわからぬが、そういうものは米軍特に米国海軍などの命令、要請、そういうものによりまして動くことはない、そういうものの指揮下に入るというようなことは決してない、こういうように今確言して、あとで言葉を翻すようなことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/23
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024・村上義一
○村上国務大臣 海上保安庁は、先刻来申し述べますごとく、まつたく海上の人命、財産の保護、治安の維持に当るものであります。こういう海上保安庁の仕事として動いている限り、そういう問題は起る余地がないと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/24
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025・今野武雄
○今野委員 それでよくわかつたのです。つまり海上保安庁として動いている限りはそういうことはない。そこでさつきの一番先の問題が出るわけで、つまり海上保安庁としてそれではいつまで動いているかという問題です。はたしていつまでこの警備隊が海上保安庁の一部として動いているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/25
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026・村上義一
○村上国務大臣 それは今後の問題でありますから、今私は何とも申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/26
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027・今野武雄
○今野委員 そこが問題なんで、つまり今閣議でこの海上警備隊の問題、これを警察予備隊と一緒にするかしないか、いずれにせよ、どういうようにしようかといつて、さんざんもんでいる最中なんです。しかもそのもんでいる趣旨は、一緒にしようということの趣旨は、結局警察予備隊と同じようなある意味の自衛戦力といいますか、戦力という名前を使わないにせよ、そういうような性質のもの分離するといつても、これは結局は一緒にするしないというのは、技術的な問題にすぎない。そうすると大体警察予備隊と同じような方向だということは、もうはつきり出ているわけです。技術上の問題でもんでいるにすぎないのです。そうなれば早晩これは現在の海上保安庁の本来の仕事からは脱するようなものに移るということは、もう火を見るより明らかな状態になつている。そうすれば先ほどからの大臣の答弁というものは、ほんとうに風前のともし火というか、ごくわずかの間のことを言つているにすぎないのであつて、五月か、六月になるか知らぬが、それ以後のことについては、何ら保障できないということなので、従つて今までの答弁は何ら権威のない答弁である、われわれにとつては役に立たない答弁であるとしか考えられない。そこで私は政府としてはつきりしてもらいたい。この警察予備隊と海上警備隊、これを合せたあるいは分離するかもしれないが、要するに特別保安隊というか何というか知らぬけれども、一種の戦力でありますか、そういうものに対する政府の見解をここでもつてはつきり示してもらいたい。機構のこまかい点については、閣内にも異論があるようですから、ここで言えないかもしれませんが、その大筋だけを一応示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/27
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028・村上義一
○村上国務大臣 将来について今お話がありましたが、将来今お示しのような警察予備隊とこの警備隊とを合併して、何らかの機構を他に設けるというような必要がありと政府が考えたときには、いずれにしましても行政機構の組織法によつて、国会の御審議を願うことになるはずであります。ただいま御審議を願つておりますのは、運輸省の外局である海上保安庁法の改正法律案について御審議を願つておる次第であります。私としましては、繰返して申し述べますが、先刻来お聞きを願いました以上に、今ここで断定的な予想的なことは、申し上げることを遠慮いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/28
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029・今野武雄
○今野委員 今のような御答弁では、子供でも満足しないと思います。いわんや国民の代表として出て来ておる議員を侮辱するもはなはだしい答弁だと思う。そんなことで政府は国民を勝着して、そうして再軍備をやり遂げようというようなことであるならば、これはまさに国民の敵だと言わなければなりません。そういうような言いのがれをここで聞くためにわれわれはわざわざこの国会に選ばれて来ているわけではない。その点私は委員長にお願いするのですが、村上さんがお答えができないと言うのですから、お答えのできる人を招かなければ、警備隊の性質については、ここに書いてあることは、ほんの二、三箇月のこと、あるいは長くても半年くらいのことにすぎない。それをここでもつて承認して、そして事実上戦力の基礎になる駆逐艦にも比すべき軍艦や、あるいはその他の巡視艇を借り入れるとかいうようなことを承認してしまうというわけにいかないわけです。その点おはからいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/29
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030・八木一郎
○八木委員長 今野君に申し上げます。先ほども申し上げましたように、議題となつておる議案の御審査をお願いいたし、議題を逸脱した面は、その案が議題となつたときに御発言を願うように御進行願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/30
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031・今野武雄
○今野委員 私はそのことに対して従うわけにいかないように思われるのです。なぜかというと、議題となつたと言われますが、この議題と重大な関連があることに対してわれわれは質問する権利を持つている。そういう権利を委員長はお認めにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/31
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032・八木一郎
○八木委員長 関連質問を私はいけないとは申しておりません。なるべく関連質問を局限せられて、議題となつたところに集中した質疑を継続されんことを希望しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/32
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033・木村公平
○木村(公)委員 議事進行——これはまことに重大なことでありまして、先ほど来今野君の質疑を拝聴いたしておりますと、これはことごとく共産党の中央委員会の指令であります。しこうして中央委員会の指令は、すなわちモスクワの指令であります。これは今野君の意思ではなくして、單にモスクワの手先になつて、あらゆる面を軍備にわざとくつつけて、そうして国民を瞞着せんとする意図であることは明らかであるのでありまして、さような愚劣な手に委員長が乗られて、そうしてみだりに発言を許容されるということは、国会の権威のためによろしくないのであります。従つて委員長は、今後もあることでありましようが、今野君だけではない、共産党の議員諸君の発言に対しましては十分御検討あつて、いやしくも議題から逸脱したようなことはもちろんのこと、ある一種の目的をもつて宣伝用になされるような質疑に対しては、断固として拒否されなければならないと私は思いますので、議事進行のためにも、この点は特にひとつ委員長におかせられてはつきりと御留意ありたいと思うのであります。一言申し上げて、今後の指針にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/33
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034・八木一郎
○八木委員長 ただいまの議事進行に関する木村君の御意思は尊重して議事を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/34
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035・今野武雄
○今野委員 ただいま木村委員が、共産党に対する非常にデマ的な、宣伝的な発言を、議事進行の名においてなされたのであります。この点は、そういう名において議員の当然持つべき権利を制限しようとするようなことは、国会の権威を汚すものである。これは国民が審判すべきものである。近いうちにまた選挙もあるということですから、そのときに国民が当然審判すべきものである。われわれはその国民の審判権を侵して、そうしてここでもつてわれわれが国民から当然委託されておる権利を放棄しようなどとは考えませんし、委員長もまた賢明でありましようから、そういう点についてはそういう措置は講じないと思いますが、何とぞ私の質問の趣旨をくまれまして、これは国家にとつても重大な問題でありますから、ぜひとも先ほどの警備隊の問題について十分な回答が得られるような措置を講じていただきたい。聞くところによれば、本日大橋国務大臣も出席なさるそうでありますから、そのときにやはり十分お伺いして、なおわからなければ、ほかの方にも出ていただいて、そしてこの問題を明らかにしたいと思いますが、そういうおとりはからいを願えますでしようか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/35
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036・八木一郎
○八木委員長 申し上げます。十分に御審議を願いたく、本日は村上大臣を十時半定刻より御出席願いまして開会を待つておりましたが、今野委員のお出かけの三十分を待つて開会したのも、誠意ある委員長のとりはからいだと思います。村上大臣のおられる時間は、十二時までとお約束申しておりますから、何とぞ質疑を継続されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/36
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037・今野武雄
○今野委員 委員長は私の直接のことにはお答えになりませんでしたが、しかし私一身上のことについてありましたから、一言弁明いたしますが、今日都合があつて少し定刻に遅れたのでありますが、私としては今までずつと精勤して来た。諸君の出席をここでもつて三十分でも一時間でも待つという態度でずつとやつて来たのであります。本日はやむを得ず三十分遅れたのです。その点はひとつ御了承願いたいと思うのであります。そして先ほどのことはぜひひとついれていただきたい。私の村上さんに対するさつきの点については、もうそれ以上お答えが得られないということがわかりましたから、今委員長の要求の通り、さらに別な点について質疑を継続いたしたいと思います。
もう一つお伺いしたい点は、呉、佐世保、横須賀、多賀城、高座、沼津、鈴鹿、津、舞鶴、川棚等に旧海軍工廠がありますが、その旧海軍工廠は、現在でも一部はそうでありますが、今後米軍の管理、使用に属するということになつておるようでありますが、このことはしかとそういうように承知してよろしいでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/37
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038・村上義一
○村上国務大臣 今のお尋ねでありまするが、運輸省の所管でない——と申し上げては相済みませんけれども、確答を申し上げかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/38
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039・今野武雄
○今野委員 ただいま所管でないということで、政府としては御存じかと思つてお尋ねしたのですが、そのお尋ねした意味は、やはり海上警備隊に今後は相当の艦艇が入る。こういうものの装備をかえるとか、あるいは修理をするとかいうことについては、一体どういうような施設を予定しておられるか、その点をお伺いしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/39
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040・村上義一
○村上国務大臣 船の修理につきましては、今日までもそうでありましたごとく、今後も一般の民間造船所に依頼して、必要な修理、装備をして行くつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/40
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041・今野武雄
○今野委員 現在米軍の管理使用に属している旧海軍工廠、そういうものは装備については無関係である、こういうように受取つてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/41
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042・村上義一
○村上国務大臣 まつたく無関係に考えております。ただ海上警備隊は、三つか四つの編隊で平素待期するということに相なります。その基地と申しますか、これにつきましては私どももいろいろ考慮したのであります。一般の商港をデイスターブしたくないという考え、それから新たにそういう基地を建設するということのために生ずる経費を避けたいという考えで、今までの旧軍港の一部にそういう場所を得たい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/42
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043・今野武雄
○今野委員 そうすると、具体的に言うと、その基地というのはどことどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/43
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044・柳澤米吉
○柳澤(米)政府委員 現在におきましては、先ほど大臣から申し上げました通り、われわれの今後持ちます基地というものは、商港あるいは漁港というものをあまりじやましないということを建前にしております。同時に、新しいものをつくりますときには相当経費がかかりますので、この経費はなるべく節約したいということで、できれば接岸ができ、しかもある程度施設が整つておるところといつて探して行きますと、結局旧軍港に近いというようなところにおちつくのではないかと思います。これらの地点に関しまして、現在におきましては、大体横須賀あたりは使えるのではないかというふうに考えております。それからその他の地方におきましては、地方の自治団体におきまして、ここはわれわれが将来商港として使いたい、あるいは漁港として使いたいというふうにいろいろ要求がある。従いましてそれらとかみ合せまして現在研究中でございまして、早急にきめたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/44
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045・今野武雄
○今野委員 横須賀のほかに佐世保、舞鶴、大湊等いろいろありますが、そういうところはきまつてないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/45
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046・柳澤米吉
○柳澤(米)政府委員 現在まだきまつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/46
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047・今野武雄
○今野委員 私、実は選挙区が横須賀なんで、特に今横須賀と言われたので非常に重大だと思つておるのですが、横須賀その他の軍港では旧軍港市転換法というものが国会で成立し、住民投票によつて成立したわけです。それでこれは平和的な都市にするということで、その精神に従つていろいろの施設をして来た。そういうつもりで転換工場を盛んにし、また市民のための運動場をつくるとか、こういうことに金をかけてやつて来た。ところが最近になつてにわかにそこを再び米軍に接収される、海上保安庁の関係はどこになるかわかりませんが、とにかくそういうようなことになりまして、非常に大きなシヨックを與えて、これは商工会議所も、市会も、市全体をあげてこれに対する反対運動をやつておる始末なんです。しかも横須賀は御存じの通りアメリカの極東艦隊、今じや日本防衛艦隊というかもしれませんが、これの最大の基地である。そういうところに一緒におるということになりますと、これはいやがおうでも、横須賀市内ではもうささいなことまでがアメリカの海軍当局の干渉というものが入る。一つのキャバレー、ホテルを設けたりするのさえも、そういうところの意向というものが直接に出て来る。そういうところに海上保安庁があつて、そしてしかもそのアメリカの海軍の指揮指令あるいは強い要請というものに影響されないで行動できるかどうかということに対しては、多大の疑問があるわけであります。そういう点について、先ほどの大臣の答弁なんかは、なかなか実行しがたいものだというふうに実感を持つて考えることができるわけですが、その点はいかがなものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/47
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048・柳澤米吉
○柳澤(米)政府委員 われわれは横須賀におきましても、現在すでに出先機関として使つております区域だけを使つて行くのであります。なお他の地区におきましても同様でございますが、地元の地方公共団体と打合せしまして、そういういろいろの要望に対して、じやまをしないようにということでやつておるわけであります。なお今御指摘の、米海軍その他と近いからいろいろむずかしいじやないかというお話でありますが、われわれといたしましては、出先機関その他がそういうことでデイスタープされることは、今までもなかつたし、独立後におきましてはそういうことはほとんど予想できないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/48
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049・今野武雄
○今野委員 それではさらにその基地についてお伺いしいのですが、今度艦艇が六十隻ふえる。それで場合によればさらにさらにふえる見通しがあるわけです。これはもうアメリカの国会その他でもつて盛んに放送されているところでありまして、そういうのが奇妙に現実になつて現われて来るのが最近の情勢なんです。日本の国民が知らないうちに、アメリカの方で先に問題になつて、それからこつちが知る。そういうことになりますと、やはりこの艦艇などもさらにふえる見込みがある。そうすると、そういう基地というものも現在の程度で云々といいますけれども、さらに拡大されて来るおそれが十分あるわけですが、そういう点については、その用意をし、接収の準備などもしているのではないかと思うのですが、その点をもしわかつていたら知らせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/49
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050・柳澤米吉
○柳澤(米)政府委員 現在におきましては、お話のようなことは一切承つておりません。なおそれに対して準備というようなこともしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/50
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051・今野武雄
○今野委員 それでは次に、これは警備隊それ自身ではありませんけれども、それと関連がある問題として、ちようど村上さんがおられますから、お答え願いたいと思うのですが、先ほど質問に出ました米船運航株式会社、これの運営の最高責任は日本の会社の役員が握るという形式にはなつておりますが、事実上は極東軍輸送司令部でやる。それでそのいろいろな仕事は、会社の方でいろいろお伺いしたり何かすると、一々向うからの指令で動く、こういうことになつておりますが、この米船運航株式会社なるものを、今後もアメリカが運営の実権を握る、こういう形で今まで通りやつて行かれるつもりかどうか、その点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/51
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052・村上義一
○村上国務大臣 ただいまの御質疑の内容を明確に把握できないのでありますが、商船管理委員会のお話だと拝察するのであります。これは今までそういうものがありまして、先刻も申しました通り、占領治下でありまするがゆえに、要望があればこれに順応して動いたということもあつたかもしれないと思いますが、これはもう御承知の通り解消せられることに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/52
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053・八木一郎
○八木委員長 今野君に申し上げます。大橋国務大臣の説明聴取の時間と継ぎ合せになつておりますが、他に通告はないのでありますので、重要な御質疑があれば、一問だけにして打切つていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/53
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054・今野武雄
○今野委員 今の点をもうちよつと—
—村上さんのただいまの御答弁でこれからはよくなるというお話ですが、ところがアメリカ海軍省はこれに対して三億六千万円の運轄資金を出しております。それはアメリカの上陸用舟艇が三十八隻も旧商船管理委員会のもとに就航しているし、それから船員はアメリカまがいの制服をつけて階級章をつける、こういうようなことになるようでありまして、それで現在この船員たちは年とつた者は首にして、三十才以下のいわゆる戦える者で固める、つまり上陸撤退作業、そういうものに不向きの者はやめてしまう。これは現にアメリカに用船されている関係もありますが、アメリカの海軍旗をつけてやる。こういうような状態になつているようでありますが、この上陸作戦のためのこれは会社である。こういうふうに見ざるを得ない状態なんです。はたして先ほどのようなふうになるかどうか。事実は逆行しているのですが、その点はどんなものでしようか。そういう事実は今言つたことと逆行していないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/54
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055・村上義一
○村上国務大臣 今お話のような状態には全然ならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/55
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056・八木一郎
○八木委員長 これにて海上保安庁設置法の一部を改正する法律案についての質疑は終りました。本法案についての討論採決は後日に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/56
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057・八木一郎
○八木委員長 次に警察予備隊令の一部を改正する等の法律案について提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/57
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058・大橋武夫
○大橋国務大臣 ただいま議題になりました警察予備隊令の一部を改正する等の法律案の提案の理由及び内容について概略を御説明申し上げます。
御承知のように警察予備隊令は、昭和二十五年八月に、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定されたのであります。
平和条約の効力が発生し、わが国が独立した後において、治安の問題はいよいよ重大を加えることが予想されますので、政府としてはこの際警察予備隊の機構をさらに整備して引続きこれを存続させる必要があると認め、この法律案を提出した次第であります。
次にこの法律案の内容について大要を御説明申し上げます。
まず第一条でありますが、これは現行警察予備隊令の改正でありまして、その第一は、定員の増加であります。警察予備隊は、現在、警察官七万五千人、警察官以外の職員百人をもつて構成しておるのでありますが、独立後のわが国の治安情勢に対処するため、この際警察官三万五千人及び警察官以外の職員九百七十六人を増員しようとするものであります。この警察官以外の職員の増員は、後述の警察予備隊本部の増員及び警察予備隊建設部の要員に充てるため等のものであります。
次は本部機構の改正でありまして、本部に工務局を新設するとともに、警察予備隊建設部を付置し上うとするものであります。警察予備隊の建設業務、行政財産の管理等は、相当厖大なものでありますので、これに対処してこれら業務の円滑を期するため、この際本部に工務局を新設し、また建設工事の実施等に当らせるため建設部を付置することにいたしたいと存ずるのであります。
次は、警察官の募集事務の処理についてであります。警察官の募集にあたり、その趣旨の徹底をはかり、募集事務の円滑を期するために今回その事務の一部を都道府県知事及び市町村長に委任することができるものとして、このために必要な規定を設けますとともに、また国家地方警察及び自治体警察に対しましても募集事務の一部についてその協力を求めることとしたのであります。しこうしてこれによりまして都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに自治体警察の行う協力に要する経費は、国庫で負担することといたしております。
第二条は、警察予備隊令を当分の間、法律としての効力を存続せしめんとするものであります。なお、この法律は、日本国との平和条約の最初の効力発生の日から施行することといたしております。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/58
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059・八木一郎
○八木委員長 これにて提案理由の説明を終りました。質疑は通告順に順次これを許しますが、国務大臣の都合により今ただちに質疑を行いたいとの申出がありますから、今野君これを許します。今野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/59
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060・今野武雄
○今野委員 質疑はまた後に継続してお伺いしたいこともできると思いますけれども、まず全体のことについてお伺いしたいのです。この警察予備隊令というものを改正するのに、一つの法律でやらなければならない、これはあたりまえのことでございましようが、しかしずいぶん奇妙な感じがするわけであります。世上ではまた内閣の提案予定の法律案の中に警察予備隊法あるいは今度名前がどうかわるかわからぬけれども、こういう法律案の提案が予定されているように聞き及んでいるわけであります。その法律案でもつておそらく、ここにも書いてある平和条約最初の効力発生の日からこういうふうにしなければならない根本の理由というものが明らかにされて、目標が明らかにされて、その上での機構改革ではないか、人数の増加ではないか、こういうふうに考えられるわけでありますが、そう考えてよろしいわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/60
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061・大橋武夫
○大橋国務大臣 この警察予備隊令はポツダム政令でありまして、ポツダム政令全体につきましては、御承知の通り平和条約発効の日より六箇月間法律としての効力を一応存続するということに規定がいたしてございます。従いまして警察予備隊令も一応その法律が施行せられまするならば、当然六箇月間は法律として効力を有するわけであります。しかしながらこの警察予備隊令につきましては、すでに他の機会において申し上げたこともありまする通り、一応一昨年八月発足の当時におきまして隊員を募集いたしまする際、二箇年の期間をおおむね約束して採用をいたしているというような経緯もございまして、また爾来今日に至りまするまで隊務の運営にあたりましていろいろな新しい欠点もございます。この結果実質的に警察予備隊令の内容を変更することが、予備隊の目的を達しまする上からいつて適当であると考えられる箇所もございます。これらの点につきましては、その箇所を補充いたしまするとともに、期間の切りかえの際に、警察予備隊という名前もその実体に必ずしも適切でないと認められますので、名称も多少変更するというようなことを研究をいたしておるわけでございます。従いましてこれらの研究も近く完了を見ると思いまするので、それらの内容を持ちました法律を提案いたしたいと思います。もちろんこの法律は今年の十月以降において効力を生ずることを目標として、提案をいたしたいと考えておるのでございます。しかしながら他面におきまして、二十七年度の予算におきましては、三万五千人の増員を御審議願い、すでに昨日この予算案も参議院を通過いたしたというような状況でございまするので、政府といたしましては、この三万五千の増員だけは、急速に法律案として提案をする必要があると存じたのであります。すなわちこれは予算を伴う法律案でございまするから、予算案が成立する以前において国会に提案することが適当であるということが一つの理由でございます。それからまたこの予算を執行いたしまするためには、十月以前において相当の準備等のため新しい仕事もございまするし、また採用事務等もやらなければならない、そういうような関係からいたしまして、特に増員並びに増員に伴う諸般の手続等に関する部分だけを切り離して急ぎ提案をいたした、こういう理由でございます。これが本案を提案するに至りました理由並びに経緯でございまして、また後に提案を予定いたしておりまする警察予備隊令の全般的改正との関係を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/61
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062・今野武雄
○今野委員 非常に明快によくわかつたのであります。しかし予算というものでもつて定員がふやせることになつたということは、これはフリーハンドでもつて、何に使つてもいいということで出した予算ではないと思うのです。また予算は、もし使う目的が消滅した際には使わないということもあり得るし、その他いろいろなことが必ずしも予算を使わなければならないということにも当らぬと思う。それで予算の使う目的というのはやはり十月以降の建前をもう少し明確にした——何という名前になるかわからぬ、警察予備隊じやない保安隊になるか何か知りませんが、つまりそういうものをつくるための予算として出ていると思うのです。そうするとこれはそれの準備である、そういうふうに率直に考えられるわけですが、ひとつどうでしようか、そういうふうに考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/62
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063・大橋武夫
○大橋国務大臣 それはちよつと、私どもの予算に対する解釈と多少の食い違いがあるように存じます。と申しますのは、政府といたしましては、十月になりまするまでは、現在の形において警察予備隊を続けて参る。そうして現在の形において続けるにいたしましても、一応増員ということは当然予定しなければならない、こう考えておるわけでございます。ですから増員の問題と、警察予備隊を十月以降保安隊等適当な名称に変更するかどうかという問題は、全然別個の問題でありまして、予算といたしましては、一応来年一ぱいこれが増員された形において継続するという前提においてでき上つておる、こういうふうに解釈いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/63
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064・今野武雄
○今野委員 これは別個な、独立のものとしてやるというお話なんですが、そうすると、十月に切りかえる際は、さらにこれより増員する可能性もまたあると考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/64
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065・大橋武夫
○大橋国務大臣 ただいまの予算といたしましては、二十七年度中は十一万人ということが前提となつて予算が組まれております。ただ現在の予算は、予算の問題と保安隊への切りかえという問題は一応別個でございまして、切りかえようが切りかえまいが、とにかく警察予備隊の実体が二十七年度中増員された形で継続するということを前提として予算ができておるので、切りかえないかと、いうことは、これは法律の問題でありまして、予算は、必ずしも切りかえなければその予算は十月一日以降は使えないというふうには私ども考えておりません。もし切りかえなければ、現在の形で当然十月一日以降も使えるものである、そうしてまたこの法案は、講和条約発効後におきましても、当分の間現在の警察予備隊令を法律として存続させる、こういうものでございますから、ただいま予算について私の申し上げました解釈の裏づけとなる法案がこの法案である、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/65
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066・今野武雄
○今野委員 大分法律の建前の論議になつたわけでありますが、さらに進めましてお伺いしたいと思います。それは、アメリカでは、どうも十一万では不足だ、十八万人必要だ、そういう要求が出ておるということを新聞紙上にも見ておりますし、その前にもいろいろとそういうことを聞き及んでおるのでありますが、こういうようなことは、今度は、十八万じやなくて、二十万必要だといつて来るかもしれない、いろいろとそういう論議が出て来るわけでありますが、本年中は、追加予算などをとつてさらに増員するというふうな措置は決してしない、こういうことを確定的に考えてよろしいかどうかその点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/66
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067・大橋武夫
○大橋国務大臣 すでに安全保障条約におきまして、日本が漸増的に自己の防衛についてみずから責任を負うような態勢をとるということを米国政府が期待しておる旨が明らかにされておりまするので、もちろん米国として、日本の自衛力の漸増ということについては多大の関心を持つておりまするばかりでなく、これを期待いたしておることは事実であろうと思います。しかしながら十八万であるとか二十万であるとか、そうした具体的な目標を示して、これをすみやかに準備するようにというような要請を受けた事実はございません。従いまして政府といたしましては、十一万の増員ということも、すでに現在の予備隊にとりましては相当大きな仕事でございまして、これについては多大の努力を要することである、こう存じておりまするので、それ以上の増員につきましては、現在計画を全然持つておらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/67
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068・今野武雄
○今野委員 さらにそういう点についてお伺いしたいと思いますが、時間がなくなるといけませんので、もう一つだけ別なことをお伺いいたしたいのです。それは先ほど海上保安庁の一部改正、こういうことを論議しておつた際に逢着した疑問なのであります。それは警備隊というものが、こういう建前でできるというふうになつている。しかしながら世上伝えるところによればこれは予備隊が性格をかえると一緒に、そういうものも性格をかえるというふうに言われている。そのこまかい点については、いろいろと論議が閣内でも行われているそうでありますが、そうなると、この予備隊令にしても、海上警備隊の問題にしても、これは何か非常に一時的なものである。この予備隊令などは、一番長く考えて六箇月、実際的には政府のおつもりとしては十月まで、これは明瞭なんです。しかし警備隊の場合はそのことが明瞭でないけれども、しかしいずれそのころには建前がかわるだろう、少くとも現在の海上保安庁とは建前がかわつたところのものになるだろうということは、ほぼ予想されているところであります。そうすると、こういうような政府のいわゆる別な治安機構といいますか、われわれの考えるところでは、事実上再軍備であるというように考えますが、この問題に対して、もう少し全貌を示していただかないと、これはやつばり事実上の準備になるのですから、どうも十分審議ができない。あとは新聞や何かで博えられるところをもとにして、これを考えて行くよりしかたがない。こういうところへ追い込まれるわけですが、この点について大橋さんは、いわゆる、日本の自衛力についてどういうふうな見解を持つておられるか、その機構についてどういうふうな見解を持つておられるか、その点をひとつお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/68
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069・大橋武夫
○大橋国務大臣 今野君の御質問は、海上警備隊が十月ころには性格をかえる、また警察予備隊も十月には性格をかえる、こういうことを前提にしての御質問のようでございますが、政府といたしましては、警察予備隊の性格を十月にかえるという考えは毛頭持つておりません。ただ名称を適当な名称に改めますることと、警察予備隊本来の目的から考えまして、現在の法規において不十分であると認められる事項を補充いたしたい、こういうことでございまして、これはすなわち現在の警察予備隊の性格をさらに明確ならしめるために措置するということを考えているだけでございます。海上警備隊につきましても、現在の海上保安庁法の改正に盛られてありまするところの海上警備隊が、そのままの形でずつと続いて行くというふうに、私は了解をいたしておる次第でございます。ただここに一つ問題がありまするのは、この警察予備隊と、海上保安庁に属せしめられることになつておりまする海上警備隊の所管官庁として、新しい機構を考えておるということでございましてこれは所管の役所が違うということだけであつて、警察予備隊なり、また所管がえをされるところの海上警備隊というものの本質、性格をこうも変更するものではない、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/69
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070・八木一郎
○八木委員長 本日はこれにて散会いたし、次会は明日午前十時半より開会いたし、文部省設置法の一部を改正する法律案、公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律案、特別調達庁設置法の一部を改正する法律案、法務府設置法の一部を改正する法律案、及び海上保安庁法の一部を改正する法律案の五法案を一括採決し、警察予備隊令の一部を改正する等の法律案について質疑を続行いたします。これにて散会いたします。
午後零時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01119520328/70
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