1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月九日(金曜日)
午後二時七分開議
出席委員
委員長 八木 一郎君
理事 江花 靜君 理事 青木 正君
飯塚 定輔君 鈴木 明良君
田中 啓一君 橋本 龍伍君
本多 市郎君 松本 善壽君
山口喜久一郎君 山口六郎次君
松岡 駒吉君 高田 富之君
出席国務大臣
国 務 大 臣 吉武 惠市君
国 務 大 臣 野田 卯一君
国 務 大 臣 岡野 清豪君
出席政府委員
内閣官房副長官 剱木 亨弘君
文部政務次官 今村 忠助君
警察予備隊本部
次長 江口見登留君
委員外の出席者
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
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四月二十六日
委員松本善壽君辞任につき、その補欠として田
中彰治君が議長の指名で委員に選任された。
同月三十日
委員鈴木義男君辞任につき、その補欠として水
谷長三郎君が議長の指名で委員に選任された。
五月六日
委員田中彰治君及び水谷長三郎君辞任につき、
その補欠として松本善壽君及び鈴木義男君が議
長の指名で委員に選任された。
同月九日
委員井上知治君及び今野武雄君辞任につき、そ
の補欠として飯塚定輔君及び高田富之君が議長
の指名で委員に選任された。
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五月七日
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八七号)
法制局設置法案(内閣提出第一八九号)
同月八日
行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一九一号)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九二号)
同月九日
自治庁設置法案(内閣提出第一九三号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九五号)
同月一日
恩給の不均衡調整に関する請願(圖司安正君外
七名紹介)(第二四三一号)
同(水谷昇君紹介)(第二四四一号)
同外一件(坪内八郎君紹介)(第二四六一号)
同(藤枝泉介君紹介)(第二四六八号)
同(江崎真澄君紹介)(第二四六九号)
軍人恩給復活に関する請願外一件(小金義照君
紹介)(第二四三二号)
同外一件(大村清一君紹介)(第二四三三号)
同(佐久間徹君紹介)(第二四三四号)
同外二件(岡良一君紹介)(第二四三五号)
同(池見茂隆君紹介)(第二四三六号)
同外二件(小玉治行君紹介)(第二四三七号)
同(高木章君紹介)(第二四六五号)
同(永井英修君紹介)(第二四六六号)
同外三件(小金義照君紹介)(第二四六七号)
同外一件(坂田英一君紹介)(第二四九九号)
同外二件(永井要造君紹介)(第二五〇九号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第二五一一号)
同外七件(宇野秀次郎君紹介)(第二五一二号)
同外一件(青柳一郎君紹介)(第二五一三号)
同(大西弘君紹介)(第二五一四号)
元軍人老齢者の恩給復活に関する請願(吉武惠市君紹
介)(第二五〇〇号)
同外二件(宇野秀次郎君紹介)(第二五一〇号)
同月七日
恩給の不均衡調整に関する請願(山崎岩男君紹
介)(第二五二五号)
同(松野頼三君紹介)(第二五二六号)
同外一件(栗山長次郎君紹介)(第二六〇五号)
軍人恩給復活に関する請願(田中角榮君紹介)
(第二五二七号)
同(西村直己君紹介)(第二五二八号)
同(庄司一郎君紹介)(第二五二九号)
同(水谷長三郎君紹介)(第二六〇六号)
同(今澄勇君紹介)(第二六〇七号)
同(栗山長次郎君紹介)(第二六〇九号)
同(永井英修君紹介)(第二六二〇号)
元軍人老齢者の恩給復活に関する請願(坂口主
税君紹介)(第二六〇八号)
の審査を本委員会に付託された。
四月二十八日
平和憲法擁護等に関する陳情書
(第一五〇一号)
同
(第一五〇二号)
軍人恩給復活に関する陳情書外一件
(第
一五〇三号)
同(第一五〇四
号)
同外一件
(第一五〇五号)
同
(第一五〇六号)
同外五十九件
(第一五〇七号)
老齢者の軍人恩給復活に関する陳情書
(第一五〇八号)
五月七日
軍人恩給復活に関する陳情書外二十八件
(第二六〇七号)
同
(第一六〇八
号)
同
(第一六〇九号)
同外二件
(第一六
一〇号)
同
(第一六二号)
同
(第一六一二号)
同
(第一六一二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八七号)
法制局設置法案(内閣提出第一八九号)
行政管理庁設置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一九一号)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九二号)
自治庁設置法案(内閣提出第一九三号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九五号)
行政機構改革に関する件
警察予備隊に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/0
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001・八木一郎
○八木委員長 これより会議を開きます。
審査の必要上、今次の行政機構改革の方針並びに概要について、野田国務大臣より総括的な責任ある説明を求めます。国務大臣野田卯一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/1
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002・野田卯一
○野田国務大臣 わが国の行政機構は、戦争中及び戦後を通じ、驚くべきほど複雑厖大化したのでありますが、これを整理合理化し、わが国現在の国力にふさわしい簡素かつ能率的なものとすることは、現内閣成立以来その基本政策の一つとして鋭意、努力して来たところであります。前国会において、政府は官庁職員の大幅縮減を提案し、約十万に及ぶ定員の削減が行われたのでありますが、右に引続き、今国会には、行政機構の簡素化を提案することといたしました。
今回の機構改革は、さきに政府の諮問に応じて提出されました行政制度審議会の答申、及び政令改正諮問のための委員会の答申、並びに公私各種の意見を参考としつつ、政府において愼重研究を重ねた結果立案されたものでありまして、單に機構の簡素化をはかるのみでなく、各行政機関における責任体制を明確ならしめ、行政機構をして全体としてまとまりのある活動をなさしめる等の点に留意し、かつまた平和條約発効後の新事態に即応せしめることをも考慮に入れているのであります。この見地から、機構改革の立案にあたつては、次の諸点をその主要な基準といたしたのであります。
第一に、各種行政委員会は、審判的機能を主とするものを除き、これを廃止し、その事務は関係各省に分属せしめることであります。
第二に、総理府は別とし、各省の外局たる庁は、審判的機能を主とするものの外、原則としてこれを廃止し、各省の内局または附属機関とすることであります。
第三に、各府省の官房及び局中に置かれる部の制度を廃止することであります。
第四に、総理府は、内閣の首長として行政各部を指揮監督する総理大臣の補佐機関たるにふさわしい内容のものとし、現存の各種行政事務は、できるだけこれを各省に分属せしめることであります。
第五に、行政監察制度を整備強化することであります。
第六に、治安関係の機構を整備することであります。
第七に、電気通信事業は、企業経営の原則にのつとり、これを公共企業体とすることであります。
第八に、以上のほか各府省の内部機構及び地方出先機関を、できるだけ簡素化することであります。
以上の諸基準に基いて立案された各府省別の機構改革案は、それぞれ各府省庁等の設置法改正案として国会に提出されますが、これを総括して申し上げますと、現在府省の数は、経済安定本部を含めて十四でありますが、新機構においてはこれが十二となります。またいわゆる行政委員会の数は、現在二十三あるものが十四となり、外局たる庁は、現在の二十三が十一となります。各府省を通じて、局の数は現在の九十二が十八を減じて七十四となり、部の数においては現在百二十九あるものが、大幅に減少して四十五となります。すなわち、府省の数では約一割五分、委員会及び庁の数では約五割、局及び部の数でも同じく約五割に近い縮減であります。
次に、改革の内容について主要なものを申し上げますと、委員会で廃止されるものは、統計、全国選挙管理、公益事業、地方財政、外国為替管理、電波監理、中央更生保護、証券取引、公認会計士管理及び外資の十委員会であり、また庁で廃止されるのは、入国管理庁、国税庁、引揚援護庁、食糧庁、林野庁、資源庁、中小企業庁、海上保安庁、航空庁、経済調査庁等であり、印刷庁、造幣庁及び工業技術庁は附属機関となります。従来内閣法による機関として国家行政組織法の適用外に置かれていた人事院は、総理府の外局たる国家人事委員会となり、また警察予備隊と海上保安庁とを統合した組織として新たに総理府に保安庁が設置されます。経済安定本部は廃止され、別に総理府に経済審議庁が設置されますが、これは主として重要経済問題について調査企画をする機関であります。法務府は各省と同じく法務省となり、法務総裁は法務大臣となり、また現在の三長官制を廃止して、事務次官を置くこととなります。なお法務府の法制意見各局は、これを内閣に移して法制局とし、名実ともに内閣の法律顧問的役割を果させることといたしました。電気通信省は公共企業体となりますが、国際電気通信部門は分離して、別に政府出資の特殊会社となります。
冒頭に申し述べました通り、人員の整理についてはすでに前国会において相当数の縮減を行つておりますので、今回の機構改革に伴つてさらに第二次の人員縮減を行う考えはないのでありますが、調達庁、経済調査庁、経済安定本部のように事務が廃止または減少されるところにおきましては、相当数の人員減が必要となります。その他石油統制の解除に伴うもの等を加算いたしますと、約三千五百の人員縮減が行われることとなります。これらの要退職者に対する措置といたしましては、多数人員の整理を必要とする官庁については明年三月末まで、その他の官庁については本年十二月末まで、それぞれ定員外の制度を設けて、整理の円滑化をはかりますとともに、本年十二月までに退職する者に対しては、前回の行政整理の場合と同様、八割増の退職手当を支給することといたしております。
今回の改革は行政機構の全般にわたつて行われますため、現行の各府省庁の設置法等の改正を要するもの十八件、新たに設置法の制定を要するもの十一件、関係法令の整理のための立法四件、その他国家行政組織法、定員法及び退職手当に関する法律の改正を必要といたしますので、合計三十六の法律案が国会に提案されることとなつております。これらの法律案は、いずれも本年七月一日から施行される予定でありますが、機構改正の実施に伴い、すでに成立施行されております本年度予算との調整の問題が起ります。この点につきましては、行政機関相互間において事務の移動の行われるものについては、予算総則の定める移用の手続により、また、新設の官庁または純増になる事務については、予備費の使用によりまかなうこととなります。廃官廃庁等による予算の節約額については、目下大蔵省当局において計算中でありますので、その結果をまつて御報言いたしたいと存じます。なお、新設日本電信電話公社の予算については、今年度を限り、すでに成立した電気通信特別会計予算によることとし、この限度においては同公社を行政機関として取扱う措置をとることといたしております。
以上が、今回政府で決定しました行政機構改革案の大要でありますが、複雑厖大化した現行機構を簡素合理化するためには、ぜひともなし遂げねばならない措置であります。機構改革の具体的構想については、さきに申し上げましたごとく、各方面にいろいろの案があり、政府におきましても、各種の案につき愼重に検討いたしました結果、現実の事態に照して最も妥当と考えられる案を決定いたしたのであります。何とぞ政府の意とするところを御了察の上、関係各法律案につき、十分の御審議あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/2
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003・八木一郎
○八木委員長 これにて野田大臣の説明は終了いたしました。
次に行政管理庁設置法の一部を改正する法律案、内閣提出第一九一号について提案理由の説明を聽扱いたします。野田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/3
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004・野田卯一
○野田国務大臣 ただいま議題となりました行政管理庁設置法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
今般政府においては現行の行政機構を整備簡素化する方針を決定したのでありますが、その一環として、統計委員会及び経済調査庁を廃止し、前者についてはその所掌事務の全部を、後者についてはその一部をそれそぞれ行政管理庁に総合するとともに、行政監察機能を整備強化し、もつて能率的かつ合理的な行政運営の確立をはかることといたしましたので、これがために、現行の行政管理庁設置法に所要の改正を加える必要があります。これが、この法律案を提出する理由でありますが、以下この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。
第一に、今次の行政機構改革の方針として、各種行政委員会は審判的機能を主とするものを除き、他は廃止することになつております。が、この方針に従いまして、現在総理府の外局として置かれている統計委員会はこれを廃止することとし、同委員会が統計法に基いて所掌する統計及び統計制度の基本的事項の企画、統計調査の審査、基準の設定及び総合調整等の事務と権限の全部は、これを行政管理庁に統合してその所掌事務及び権限とし、これをつかさどる内部部局として、従来の管理部及び監察部のほかに新たに統計基準部を加えることといたしました。
なお右に伴い、統計法に基く指定統計の指定及び指定統計調査の承認並びに統計報告調整法に基く統計報告の徴集の承認及び中止等に関する統計委員会の権限は、行政管理庁長官の権限となるのでありますが、統計技術上の便宜を考慮いたしまして、長官は政令で定めるところにより、これらの権限を統計基準部長に委任して行使させることができることといたしております。
第二に、経済統制の撤廃に伴い従来、主として経済法令違反行為の調査を行つていた経済調査庁を廃止することといたしましたが、その所掌事務のうち、行政機関及び各公共企業体の監査または調査に関する部分のみを、行政管理庁に吸牧統合することとし、新たに行政管理庁の所掌事務及び権限として、各行政機関の業務運営の監察に関連する限りにおいて、公共企業体の業務と国の委任または補助にかかる業務との実施状況を、関係各行政機関と協力して、調査することができることといたしました。
また、これらの観察ないし調査に関する事項の処理に当る内部部局は監察部とし、さらにこの事務を分掌させるため行政管理庁の地方支分部局として全国八箇所に地方監察局を設置し、各局に内部部局として二部を置くことにいたしました。この他に監察上必要がある場合には、行政管理庁長官は、公私の団体その他の関係者の協力を得て所要の資料の提出を求めることができるようにいたしました。
第三に、行政管理庁に新たに行政審議会及び統計審議会の二つの附属機関を置くことといたしました。行政審議会は、行政制度及び行政運営に関する重要事項と監察の結果に基く重要な勧告事項を調査審議する諮問機関であつて、この委員は長官の委嘱に基いて、各行政機関の業務運営の実施状況を監察することができることといたしました。なおこれに伴い、現在行政管理庁に置かれている監察委員は廃止することといたしました。
統計審議会は、統計調査の審査、基準の設定及び総合調整並びに統計報告の調整に関する重要事項について調査審議し、及びこれらの事項に関して長官に建議する機関であります。
第四に、経済調査庁法を廃止するとともに、同法の規定により、七月一日以前に経済調査官等が行つた証明、証拠の提出等、の行為は、同法廃止後もなお効力を持つものとし、また、現に府県段階の機関として設置されている地方経済調査局は、残務処理のため、昭和二十八年三月三十一日までの間、新設地方監察局に付置することができるものとし、それ以前でもその残務処理が終了すれば、政令で定めるところにより廃止する措置をとることにいたしました。
以上が本改正法案の目的及び主要な内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/4
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005・八木一郎
○八木委員長 次に総理府設置法の一部を改正する法律案、内閣提出第一九五号について、提案理由の説明を聽取いたします。劔木官房副長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/5
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006・剱木亨弘
○剱木政府委員 ただいま議題となりました総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を説明いたします。
御承知のごとく、現在総理府には、十の行政委員会と五つの庁が外局として設置されており。総理府の所掌する行政事務の範囲は、非常に広く、かつ多岐にわたつておりますが、総理府を内閣の首長としての総理大臣を長とする機関たるにふさわしいものとするため、各外局の行政事務は、できるだけこれを各省に分属せしめるとともに、新たに国家公務員に関する事務、経済施策の総合調整に関する事務等を加えることとし、かつこれらの事務を遂行する機構についても、現在の複雑厖大な機構を極力整理簡素化し、事務処理の能率化をはかる必要がありますので、今回この法律案を提出することといたしたのであります。
次に改正の要旨を申し上げますと、まず第一に内部部局につきましては、大臣官房賞勤部及び統計局の人口部、経済部及び製表部を廃し新たに特別な職として賞働監及び統計局次長二人を置くことといたしました。
第二に現存の外局につきましては、公益事業委員会、外国為替管理委員会及び電波監理委員会は、これを廃止してそれらの事務をそれぞれ通商産業省、大蔵省及び郵政省に分属せしめ、首都建設委員会は建設省の外局へ移管し、統計委員会は、これを廃止してその事務を行政管理庁に統合し、全国選挙管理委員会、地方財政委員会及び地方自治庁を統合して自治庁とすることといたしました。
第三に、人事院及び経済安定本部の廃止に伴い、新たに外局として、国家人事委員会及び経済審議庁を、また附属機関として新たに電源開発調整審議会及び資源調査会を設置するとともに、保安機構の整備をはかるため、新たに保安庁を設け、これに伴つて警察予備隊を総理府の機関から保安庁の所属に移管することといたしました。
以上、本法律案の提案理由及び要旨を説明申し上げたのでありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いする次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/6
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007・八木一郎
○八木委員長 次に自治庁設置法案、内閣提出第一九三号について、提案理由の説明を聽取いたします。岡野国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/7
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008・岡野清豪
○岡野国務大臣 自治庁設置法案につきまして、その提案の理由及び主要なる事項の概略を御説明申し上げます。
政府はさきに、講和條約発効後の新情勢に対応するため、戦前戦後を通じ複雑厖大化した行政機構の簡素化を決定し、その一環として地方自治庁、地方財政委員会及び全国選挙管理委員会を統合し、新たに自治庁を設けることといたしたのであります。
政府はこれまで国政民主化の基盤である地方自治の拡充強化と公職選挙の普及徹底については、特に意を用いて来たのであります。現在、これらに関する事務は、地方自治庁、地方財政委員会及び全国選挙管理委員会においてそれぞれ所掌せられているのでありますが、これらの事務は相互に密接な関連を持ち統一的に処理することが適当でありますので、ここに政府は、以上の三機関を統合することとし、自治庁設置法案を提案いたしました次第であります。
次に本法案の内容についてその概要を御説明申し上げます。まず自治庁の任務でありますが、自治庁は、民主政治の基盤をなす地方自治及び公職選挙等に関する各種の制度の企画立案並びにその運営の指導に当るとともに、国と地方公共団体相互間の連絡協調をはかり、もつて地方自治の本旨の実現と民主政治の確立に資することを任務とする行政機関であります。
次に自治庁の所掌事務でありますが自治庁は、現在地方自治庁及び地方財政委員会の所掌する事務と現在全国選挙管理委員会の所掌する事務のうち、参議院全国選出議員の選挙の管理に関する事務を除いた事務をあわせて処理いたすこととしております。
次に自治庁の組織でありますが、この点につきましては自治庁の所掌事務を遂行するにあたつて、地方公共団体の意向を十分に反映せしめ、事務処理にあたつて公正的確を期し、もつて民主的なかつ、能率的な行政を確保することを期したのでもります。すなわち自治庁は、国務大臣をもつて長官といたしますとともに、地方公共団体の長及び議会の議長の各全国的連合組織の代表者並びに学識経験者を参與とし、自治庁の庁務全般にわたつて意見を聞くこととしたのであります。また別に地方公共団体の長及び議会の議長の各全国的連合組織より共同推薦した者より任命された委員三人並びに学識経験者のうちから任命された委員二人をもつて組織する地方財政審議会を置くことにしたのであります。
地方財政審議会については、まず第一に自治庁長官が、地方財政平衡交付金の配分等、地方財政に関する事務を処理するにあたつて、あらかじめその議に付し、その意見を尊重しなければならないこととし、第二に地方財政平衡交付金の総額の見積りに関して自治庁長官に、国、都道府県及び市町村相互の間における財政及びこれに影響を及ぼす諸関係の調整について、自治庁長官及び関係機関に対して、意見を申し出ることができることとしたのであります。
自治庁の内部部局といたしましては長官官房のほか、行政、選挙、財政及び税務の四部を置くことといたしました。
なお参議院全国選出議員の選挙の管理事務につきましては、公職選挙法に所要の改正を加えまして、新たに中央選挙管理委員を設けましてこれに行わせることとし、またこれに最高裁判所裁判官の国民審査の管理事務をもあわせ行わせることとし、これを自治庁の附属機関として置くことにいたしております。
このほか附属機関として地方自治法の定めるところによりまして、自治紛争調停委員を置くことにいたしております。
最後に本法は今次の行政機構改革実施の期日と歩調を合せ、本年七月一日からこれを施行することとしているのであります。
以上自治庁設置法案の提案の理由及びその内容の概略を御説明申し上げた次第であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに議決あらんことを切望いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/8
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009・八木一郎
○八木委員長 次に厚生省設置法の一部を改正する法律案、内閣提出第一九二号について、提案理由の説明を聴取いたします。吉武国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/9
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010・吉武恵市
○吉武国務大臣 ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明申し上げます。
今回の改正は、政府の行政機構改革に関する方針に基きまして、厚生省の機構の簡素化をはかろうとするものでありまして、改正の要点を申し上げますと、その第一は、引揚擾護庁を廃止し、厚生省の内部部局として引揚援護局を置くこととしたことであります。その第二は、厚生省の内部部局である統計調査部、国立公園部及び環境衛生部を廃止することとしたこと、その第三は、厚生省の地方支分部局である駐在防疫官事務所を廃止し引揚援護庁の地方支分部局である引揚援護局、復員連絡局及び地方復員部をそれぞれ厚生省の地方支分部局としたことであります。第四に、特別な職としてこれまで設けられていた医務局次長を廃止し、大臣官房に統計調査監及び国立公園監を、引揚援護局に次長二人を置くことといたしました。なお、このほか必要な字句の修正等条文の整理を行つております。以上がこの法案を提出する理由の大要であります。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/10
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011・八木一郎
○八木委員長 次に、文部省設置法の一部を改正する法律案、内閣提出一八七号につきまして提案理由の説明を聴取いたします。今村文部政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/11
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012・今村忠助
○今村政府委員 ただいま上程になり、ました文部省設置法の一部を改正する法律案についてその大要を御説明申し上げます。
今回の改正案による文部省機構改革は、二つの趣旨に基いております。第一は行政簡素化の趣旨にのつとり文部省の内部組織を簡素化したことであります。第二は従来の機構のうち不合理不便な点を改め、自主独立後の新事態に即するよう所要の調整を加えたことであります。
第一の文部省の内部組織を簡素化する趣旨によるものとして、まず政府の部制廃止の一般方針にのつとつて管理局の教育施設部を廃止いたしました。今後は教育施設部の事務は管理局において処理することといたします。また大臣官房の事務をその本来の事務である人事、総務、会計に関するものに限定し、他の事務はすべてそれぞれ関連ある局の所掌に属せしめました。内部組織の簡素化としては、以上でありまして今回は局の廃止を行わなかつたのでありますが、これは文部省は昭和二十四年の行政改革の際二局を整理しました関係上、これらの点については終了したものと認められたからであります。よつて新機構では一部を減じて一官房五局となつているわけであります。
次に第二の従来の不合理不便な点を改めたことでありますが、これを改めるにあたつての方針は、行政の一元化ということであります。旧機構では、指導行政と管理行政とを分離する方針がとられていました。従来の経験によれば、これはよい面もありますが、一面において不合理不便な点を生じ、また責任の所在が明らかでないという遺憾なこともありました。そこで今般はもつぱら事務の運営が最も合理的にかつ能率的に行われるようにという見地から改革を試みたのであります。この点からの改革としておもなものとしては、まず教科書行政に関するものがあります。従来教科書の内容に関する事務は初等中等教育局で、教科書の刊行に関する事務は調査普及局で、教科書の検定に関する事務は管理局で扱うというように、教科書に関する事務が三局にまたがつていて種々不便を感じていたので、このたびは初等中等教育局でこれらの事務を一体的に処理することといたしました。また大学の設置認可に関する事務は、従來管理局の所掌とされ、内容面を取扱つている大学学術局が管理局に対して所要の勧告をするという形をとつていたのでありますが、この点についても二重行政のきらいがありますので、このたび大学の設置認可に関する事務はすべて大学学術局において行うことといたしました。大よそ以上のような方針で各局の所掌事務について調整を加えたのでありますが、各局についてやや詳しく御説明申し上げますと、次の通りであります。
第一に、大臣官房についてでありますが、さきにも触れましたように、大臣官房を簡素化するため、官房の事務を人事、総務、会計に関するものに限定し、渉外関係及び国際文化に関する事務並びに宗教法人等宗教に関する事務は調査局に、共済組合に関する事務は管理局に移すことといたしました。
第二は、初等中等教育局についてでありますが、この点についてもさきに触れましたように、事務の運営の合理的かつ能率的に行われることをねらいといたしまして、従来調査普及局において行われておりました地方教育行政に関する諸制度、特に教育委員会制度の企画、指導等の事務をこの局で行うことといたしました。もとより地方教育行政に関する事務は、單に初等中等教育のみならず、社会教育等にも関連を持つのでありますが、特に関係事項が多いので、これを初等中等教育局の所掌としたわけであります。また教科書に関する事務を一元的にこの局の所掌としたことは先に申し述べた通りであります。その他の点については、現行とほぼ同様であります。
第三は、大学学術局についてであります、大学設置認可に関する権限を管理局から大学学術局に移したことは先に申した通りであります。
その他についてはほぼ現行通りであります。なお国立大学、国立研究所等に関する事務についての所属を明記する等、所要の修正を加えたほか、学術行政に関する規定を整備して、学術行政事務の増大に備えることといたしました。
第四に社会教育局についてであります。著作権に関する事務を管理局から移したほか、ほぼ現状通りであります。なお視聴覚教育、国際的または全国的規模において行われる運動競技については、社会教育局が窓口となるように考慮いたしました。
第五に調査局についてでありますが、従来の調査普及局という名称を調査局に改めることといたしました。これは普及という意味でこの局の所掌とされていた刊行に関する事務を初等中等教育局に移したことから、また調査統計とともに文教政策の企画立案をこの局の所掌としたところからも来ております。すなわち調査局は、確実で客観的な調査統計を行うとともに、これに基いて基本的な文教政策を企画立案するものとし、あわせてその成果の評価を行うものとしたのであります。調査局は従つて調査企画局とも称すべき性格を持つているわけであります。これと同時に調査局を準官房的な局として、国際的事務の連絡調整、広報に関する事務等を所掌せしめました。なお宗教に関する事務は、宗教に関する調査または情報資料の収集等の関係から、この局に属せしめるのが比較的妥当であると考えたわけであります。
第六に管理局につきましては、さきにも触れたように、教育施設部を廃止して、この部の所掌事務を管理局に統合するとともに、従来官房において行われ、文部省共済組合及び公立学校共済組合に関する事務、並びに内部部局以外の文部省職員及び地方公務員等教育関係職員の衛生、医療その他福利厚生に関する援助と助言の事務をつかさどることとし、また私立学校の行政に関する事務及び学校法人等の助成に関する事務をこの局で処理するものといたしました。また前に申し上げた通り、大学設置認可に関する事務、著作権に関する事務、教科書の検定に関する事務は、それぞれ大学学術局、社会教育局、初等中等教育局に移すことといたしました。結局、管理局は、物資の面及び金の面を主としてつかさどる局としての性格を持つこととなつたのであります。
最後に、現行法上疑義を生じやすい規定とか重複する規定とかを整備いたしました。たとえば、現行の設置法においては文部省の任務として掲げられている事項、及び文部省の権限として掲げられている事項の区別が内容的にも不分明であり、また形式上も不統一で、解釈上しばしば誤解を招くおそれがありますので、他の国家行政機関との関係においての文部省の任務及び責任の範囲を、第四条において明らかにするとともに、第五条において、文部省の権限として掲げられている事項を整備して規定いたしたのであります。その他各局の共通事務の規定を設けたり、各種規定を簡潔にわかりやすくすることに努めたのであります。
以上が本法案の要旨であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/12
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013・八木一郎
○八木委員長 これにて提案理由の説明を終りました。質疑は次会に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/13
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014・八木一郎
○八木委員長 本日は警察予備隊に関する件を議題といたしまして、質疑を行うことにいたします。質疑の通告がありますからこれを許します。江花靜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/14
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015・江花靜
○江花委員 警察予備隊の隊員の現在の保健の状態及びこれに対する人事あるいは施設の点について簡単に御質問を申し上げたいと思います。申すまでもありませんが、責任のある御答弁を簡潔にお願いいたします。
第一に現在の七万五千人おりまする予備隊の保健—健康といいますか、病院の状態を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/15
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016・江口見登留
○江口政府委員 予備隊の隊員の健康状態について御理解ある御質問をいただいたのでありますが、一昨年早々に七万五千の隊員を収容いたしました当座は、衛生管理の問題におきましてもはなはだ良好な成績ではなかつたのであります。しかしその後大体各キャンプにおきまする医療施設も整つて参りましたし、隊員に対する健康管理も十分行われるようになりまして、今日におきましては比較的良好な衛生状態を出現しておるというふうに考えております。一般の罹病率にいたしましても、現在のところは大体千人について二十七人くらいの割合になつております。この割合はその他の方面、鉄道あるいは通信関係におきます罹病率などに比べましても、はるかに少いのでありまして、この点から申しましても、現在におきまする健康状態は良好である、こう申し上げることができると存じます。病院の施設と申しますか、ただいま申しましたように、医療の点におきましては各キャンプに医務室を設定いたしておりまして、それには現在のところ医官を少くとも一名程度は配当できるようになつでおります。それ以上の長期を要する入院患者等につきましては、予備隊自身におきましてりつぱな病院を持ちたいとは考えておりますが、いろいろの事情で理想的な病院をまだ建設するに至つておりません。従いまして付近の国立病院その他の病院を特約いたしまして、そこへできるだけ収容していただく、しかもその場合に他の一般患者の圧迫とならないような、適当な方法を講じてベッドをさいでいただくというようなお話合いをつけていただいて、大体収容してもらつておるようなわけでございます。将来の予備隊自体の病院計画といたしましては、全国に二百ベッドないし八百ベッドの病院を八、九箇所持ちたいものだと考えております。現在そういう病院らしい病院といたしましては、九州の針尾にキャンプに隣接しまして百ベッド程度の小病院を持つております。それから福山の施設を利用いたしまして、そこに三百程度の病床を持つように計画いたしております。もちろんそれだけでは足りませんので、そのほか地区的に見ましても、東京付近あるいは北海道付近にも持ちたいと思つておりますが、病院を新設いたしますということにつきましては、相当多額の経費を要しますし、その面におきまする財政当局との折衝もありますし、さらにはまた東京などにつきましては、接収されております病院で返つて来るものがありはしないかというようなことも、いろいろ考え合せまして、ただいま申し上げました計画をできるだけすみやかに実現させたいものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/16
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017・江花靜
○江花委員 何も意地悪い質問ではありませんので、私の方でなるべく簡單に、率直に申し上げます。この千人のうち二十七人程度の率で罹病者がある、この処置は、今承りますと、キャンプでも相当やつておるようでありますが、そうすると大部分は委託療養というようなことになつているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/17
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018・江口見登留
○江口政府委員 長期の病人につきましては、ただいま申しましたように、付近の国立病院なり一般市内の病院等に委託いたしまして、療養させておる次第でございます。国立病院等につきましては、もちろん診療費につきまして十分な契約を結びまして、こちらから病院にお支払いをするというふうにして収容させていただいておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/18
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019・江花靜
○江花委員 予備隊というものの性格から、病人あるいはけが人はその予備隊自体の人員、施設をもつて行うべきものだと考えておりますが、当局はどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/19
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020・江口見登留
○江口政府委員 先ほど申し上げましたように、予備隊自体として病院を運営し、またその病院に教育あるいは学校の施設等を付置いたしまして、衛生関係の部隊の教養をやりたいとかように考えておりますが、これにはどうしても多額の経費を要します関係もございまして、いまだに遺憾ながら御質問のような程度にまで徹底するに至つておりません。相かわらずわれわれ今後とも努力を続けて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/20
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021・江花靜
○江花委員 先ほどの御説明によると、八、九箇所にキャンプ病院を設けて、病人あるいはけが人に村して治療をしたりする、こういう方針のように承りましたが、何か伝えるところによりますと、東京に非常に厖大な病院計画を考えておつて、地方のキャンプ病院の設置、運営等について非常に消極的だ、こういう見方も一部にあるようでございます。もちろん中央に大病院を設けることもけつこうでありますが、とりあえず地方のキャンプ病院を増強していただきたい。今地方では自宅療養をしておるような者もありますが、これでは病人に対する看護とか、いろいろな手当の点で不十分であります。そういうものもなるべく予備隊の施設内でやる、こういうことにした方がいいと思いますが、これに対してどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/21
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022・江口見登留
○江口政府委員 各キャンプに相当のベッドを備えるということも、もちろん必要でございますので、そういう計画も逐次実現いたして行きたいと考えておりますが小さなキャンプですと七、八百人くらいしかいないところもございますので、先ほど申しましたように、まず地区的に全国に八、九箇所程度の病院を設けまして、そこへまとめて収容するという方策を立てたいと考えております。もちろん理想としては東京に中央病院と申しますようなものも設けたいと考えてはおりますが、これにつきましてはまだ計画が具体化しておりません、東京に一箇所そういう病院をつくるよりも、ただいまの御質問のように、やはり地方の方を先にすべきではないかというような意見もございますので、先ほど申しましたように、二百ないし八百ベッドの病院をつくりたいと目下財政当局とも折衝しておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/22
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023・江花靜
○江花委員 時間もたちますので簡單に申し上げます。先ほど申しました通り、東京に中央病院をつくられることも非常にけつこうなことでありますけれども、予備隊のようなところは特に現地の方でとりあえずの治療をやり、ことに結核患者のごときも地方にいい施設ができない事情があるとすれば、とりあえず地方でやつておく、こうしなければならぬと考えるわけであります。私の知つている範囲では委託療養といいますが、そんなものに使われる金が一箇月一千万円以上もあるように承知いたしております。これらの金をそういう十分監督も行き届かない委託療養などに使うよりは、病院を早く施設されたい。また一億数千万円の金があれば地方の病院が相当建つわけでありますから早くやつていただきたい、こういうふうに考えております。なおこれに対する医官の問題でありますが、現在私の知つておるところでは、定員の四分の一か三分の一ぐらいしか職員が充実していないように聞いておりますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/23
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024・江口見登留
○江口政府委員 病院計画につきましていろいろ御理解ある御質問をいただいたのであります。われわれとしましては、お話にもありますように幾つか地区別に地方で応急の患者を収容し得るような病院を持ちたいと考えておりますが、先ほど申しました通り財政の問題ないしはただいまお話に出ました医官の募集状況が非常に悪いのでございます。これには予備隊におきまする給與が低いとか、あるいは将来の昇任の見込みについての判断とか、いろいろな理由がございまして、われわれは非常に医官がほしいと思つておりますのに、なかなかりつぱな医官を得ることが困難でございます。医官の定員としては三百十一名ほしいのでございますが、ただいまのところ百二十名程度しか充足できておらない始末でございます。従いまして病院を建てますにしても、医官の充足ができなければ、建物ばかりできても運営が行き届かないということになりますので、学校卒業者の者に呼びかけるとかいろいろな方法を講じて、極力医官を集めたい、目下真剣に努力しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/24
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025・江花靜
○江花委員 医官が集まらないという理由は、俸給が少いという点もあるかと思います。また病院設備のないようなところへは、手ぶらで入つておつてもしようがないから入らぬという人もある。これは率直に申し上げて恐縮でありますが、当局としてはそこまでお答えにならなくてもいいのですが私どもの心配しておりますことは、これはどこでもそうですが、学閥といいますか、派閥といいますか、医者ほどそれの強いものはない。これにはまたこれでいいところもあるのでありますが、たとえば京都大学出身の医官がその長なり何なりにすわりますと、そのほかの大学出身者は引こうともしないし、また行こうともしないという傾向が非常に強い。これではいけませんので、研究室でもあればそれはけつこうですが、いやしくも将来いろいろ重要な使命を持つておる予備隊の医官の人事が大学の学閥とか派閥とかによつて行われるようでは、これは絶対によくないことであります。日本の敗戦の原因を調べてみても、学閥というようなことが相当大きな原因になつておるという解釈もあるのでありますから、こういう点よく注意していただいて、もしそういう人を広く包容できないような人がありましたならば、そういう人は中心部からかえていただきまして、広く人を集める人にしてもらいたい。本名衛生官は私の郷里の人でありまして、台北時代には私も親しくいろいろお世話になつた人であります。その意味で決して本名衛生官が悪いとかどうとかいう意味ではありませんから、その点は誤解のないように願いたいのですがただ聞くところによるとそういう点があるようですから、何か人事についてさわりがあるならば長官にもよくあなたからお話願つて断固として粛正して、あの人ならばどの大学出身者でもよく集まるというように、人事に関する限りは責任をもつてやつていただきたい。その他福山病院をつくるかどうかの問題、函館の病院をつくるかどうかの問題、東京病院の敷地の問題、あるいは久里浜の問題、そういう問題についても私若干調べたものはありますが、今日はせつかくおいでになつた江口次長に汗をかいていただくのが本旨でありません。どうか私の申し上げた真の意味を賢明なる江口次長はおくみとりくださいまして、そうして予備隊の革新といいますか、改革を勇敢に断行していただきたいと考えておるのであります。まだ私の申し上げたいことはたくさんありますが、これをもつて私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/25
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026・八木一郎
○八木委員長 本日はこれにて散会いたします。
次会は明日午前十時半より開会いたします。
午後三時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X01719520509/26
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