1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十三日(火曜日)
午前十一時十四分開議
出席委員
委員長 八木 一郎君
理事 青木 正君 理事 船田 享二君
井上 知治君 木村 公平君
鈴木 明良君 田中 啓一君
橋本 龍伍君 平澤 長吉君
本多 市郎君 松本 善壽君
山口六郎次君 前田榮之助君
木村 榮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 野田 卯一君
国 務 大 臣 大橋 武夫君
委員外の出席者
專 門 員 龜卦川 浩君
專 門 員 小關 紹夫君
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五月十三日
委員飯塚定輔君、松岡駒吉君及び高田富之君辞
任につき、その補欠として井上知治君、前田榮
之助君及び木村榮君が議長の指名で委員に選任
された。
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五月十二日
海上公安局法案(内閣提出第二三七号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
平和憲法擁護等に関する陳情書
(第一
七〇一号)
軍人恩給復活に関する陳情書
(第一七〇三号)
同
(第一七〇四号)
同
(第一七〇五号)
同外十九件
(第一七〇六号)
老齢者の軍人恩給復活に関する陳情書外一件
(第一七〇七号)
同(第
一七〇八号)
同(第
一七〇九号)
軍人恩給復活及び遺族援護に関する陳情書
(第一七一〇号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一九一号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九五号)
国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二〇〇号)
海上公安局法案(内閣提出第二三七号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/0
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001・八木一郎
○八木委員長 これより会議を開きます。
本日は公報をもつてお知らせしておきました行政機構改革に関する諸法案を議題といたし、まず海上公安局法案について政府より提案理由の説明を求めます。大橋国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/1
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002・大橋武夫
○大橋国務大臣 ただいま提案されました海上公安局法案につきまして、御説明申し上げます。
わが国は、四面環海の国でありますから、海上におきまして人命及び財産の安全を保護いたし、また法令の違反の防止その他治安を確保いたしますことの必要でありますことは、申し上げるまでもないところでございます。かかる目的を達成いたしまするために、保安庁に海上公安局が設置されますることは、さきに保安庁法案につきまして説明のありました通りでございます。海上公安局法案は、海上公安局の所掌事務並びに海上公安官の権限等につきまして規定いたすことを目的とするものであります。
海上公安局は、海上におきまする法令違反の防止、海難、天災事変などの際の人命及び財産の保護、海上におきまする犯罪捜査、犯人逮捕等の事務をつかさどる機関であります。
海上公安局の長は、保安庁長官の任命にかかり、その指揮監督を受けることになりまするが、海上公安局の職員の任免等の人事に関する事項は、海上公安局の長が行うことになつております。
海上公安局には、職員の訓練機関として海上公安大学校、海上公安学校、海上公安訓練所を置き、また、海上公安局の長の諮問に応じて海上公安に関する重要事項の調査審議に当るための海上公安審議会を置くことといたしました。
地方機関といたしましては、地方海上公安局、地方海上公安部、港長事務所その他の事務所を置くことといたしました。
また海上公安局の事務を途行いたしまするための職員といたしまして海上公安官及び海上公安官補を置き、その階級について定めることといたしました。
海上公安官は、船舶への立入検査、船内にある犯罪容疑者に対する質問、犯罪捜査のためやむを得ない場合におきまする停船、船舶の回航等の命令などの権限を有することといたしました。
また、海上公安官及び海上公安官補は、司法警察職員といたしまするほか、職務に必要な武器を所持し得ることといたしました。
なお海上公安局の艦船は、職務遂行のために最小限度必要な武器を装備することができることとして、犯罪容疑船に対する停船信号等のためやむを得ない場合に使用できることといたしました。
最後に、海上公安局の職員を単位といたしまする国家公務員共済組合を総理府に設けることといたしたのであります。
以上申し述べましたところが海上公安局法案の提案理由の概要でありまするが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決せられんことを御願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/2
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003・八木一郎
○八木委員長 これにて提案理由の説明は終りました。
次に、本日の議題となつております諸法案について野田国務大臣に質疑を行うことになつておりますが、質疑は通告順にこれを許します。本多市郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/3
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004・本多市郎
○本多委員 御質問を申し上げたいと思います。今回提案になりました行政機構改革に関する諸法案につきまして、先般来それぞれ主管大臣の御説明を聞き、また法律案を閲読いたしまして、その内容を承知したのでありますが、個々の法律案につきましては後に質疑応答がなされることと思いますので、私はもつぱら今回の機構改革全般に関する総括的な質問をこの際いたしたいと思います。
野田行政管理庁長官の説明によりますと、今回の機構改革案は、ひとり機構の簡素化に重きを置いたばかりではなく、各行政機関における責任態勢を明らかにし、行政機構が全体としてまとまりのある活動をなし得るようにすることに特別のくふうが費され、かつまた平和條約発効後の新事態に処して遺憾のないように考慮が拂われていると申すことであります。まことに当を得た方針と申さなければならぬと思います。世間には往々、機構改革といえば、單に府や省の数を滅らせぱもつて事足りるがごとく見る向きもあるやに思われるのでありますが、この種の考え方からすれば、今回の改革案は必ずしもさような表面上のはなばなしさはないのであります。しかしながらよく研究いたしますと、行政機構の適否の判断というものは、決してそういう単純な基準によつてこれをなすべきでありません。各行政機関がそれぞれ固有の機能を十分に発揮することによつて、国政全般が公正かつ能率的に運営されることがその眼目でありまして、これはあらためて申し上げるまでもないことでございます。今回の改革案は府、省の数においては一割五分を減じておるにすぎませんが、他の外局である委員会及び庁並びに局及び部の数はともに約五割を減じているのであります。すなわち今回の改革は、簡素化の点からいたしましても実質的には相当の大規模の整理縮小ということができると思うのでありまして、これはいわば名を捨てて実をとるものと申すべきであります。由来機構改革は難事中の難事でありまして、今回容易ならぬ各種の障害を排して改革案を作成提出けられました政府当局の労苦に対しては、私は深く敬意を表するものであります。しかしながら翻つて考えますと、中に二、三の疑問も生じて来るのでありまして、これより順を追うてお尋ねいたしたいと思います。
まず第一にお尋ねいたしたいのは機構の縮小と事務の整理との関係であります。すなわち、機構を縮小するためにはその前提として不要不急の事務を整理することが先決問題だと考えられるのでありますが、今回の改革におきましては事務の整理ということはどういうことになつておるのでありましようか。仄聞するところでは、法令整理本部というものを設けてこれを行つて行こうと承つておりますが、その具体的な御説明を煩わしたいと思います。
その次にお尋ねいたしたいのは、予算編成を担当する部局の問題であります。今回の改革案におきましては、柱に総合調整の機能を整備することに力を注いだということでありまして、事実それぞれの設置法案を見ましても、その趣旨の存するところは十分伺わるのであります。ただその根幹であり中枢であるはずの予算編成の仕事を担当する部局については、今回の改革安では何ら手が触れられておりません。これは私どもの考えからすれば画龍点睛を欠くものと申さなければならないのでありますが、この点に対する政府の御所見はいかがでありましようか。すなわち、予算編成の仕事を依然として大蔵省に存置せしめんとすることはいかなる理由によるものでありますか。また、今回は現状維持としたとしても、近い将来においてあらためてうの点に再検討を加える御意思はないのでありましようか。その辺のことについてこの際伺つておきたいと存じます。
その次には行政管理機能に関する問題であります。今回の改革案において行政管理庁の機構は大幅に拡充がなされているようであります。特に監察部は、新たに地方支分部局を設けて飛躍的な拡大を見ようとしておりますが、政府は、今回の行政管理に対していかなる構想を有せられるのでありましようか。従来批判の対象となつておりました監察行政の重複の問題がこの改革によつて解消し、監察が効果的、能率的に行われるようになる見通しを持つておられるのでありましようか、それらの点について御答弁を得たいと思います。
その次にお尋ねいたしたいのは各省所掌事務の共管関係についてであります。従来機構改革に際して常に大きな問題となつておりましたのは、たとえば治山治水行政や観光行政等のごとく各省間に共管関係のある事務の所管を統合する問題でありましたが、今回の改革案におきましてはこれらの問題はどういうことになつておるのでありましようか。
次に官房及び局中の部の廃止の効果の点について、お尋ねいたしたいと存ずるのであります。官房及び局中の部を廃止することは、機構簡素化の趣旨に出たものと思われますが、部を廃止するもののうちには、新たに次長または監が置かれることになつているものが少くないようであります。これは所属職員、所要経費ないしは事務運営の上に、実際上いかなる簡素化が期待せられるのでありましようか、具体的な御説明を煩わしたいと思います。
また次にほ行政運営に関する基準法規についてお尋ねいたしたいと思うのであります。機構の改革はいかに徹底的に行つたといたしましても、運営の改善を伴わなければとうてい十分効果を期待しがたいことは、今さら申すまでもないところであります。しかるに従来この点については、遺憾ながら格別改善が加えられなかつたのみならず、調査研究すらほとんどされなかつたと申してよい状態にあつたと存じます。これまでややもすれば行政が不能率の標準なるがごとく見られて参りましたことは、これは行政の本質上おのずからしかたなかつた点も否定しがたいのでありまして他面にはやはり産業界におけると同様な合理化に関する科学的調査研究が足りなかつたことも、大きな原因をなしているのであります。もとより行政は生きものでありますから、千編一律に法律をもつて規律するがごときは、必ずしも当を得ない場合も少くないことも申すまでもありません。しかしながら能率的な行政を行わんがためには、できるだけこれを科学化し、あるいは処理様式をいわゆる定型化し、あとう限り一定の基準に従つて行うようにすることが大切でありまして、かくすることによつて、無用の浪費を省くこともできると思うものであります。そしてそのためには、行政運営の基準となるべき事項について、ある程度の立法措置を講ずることも必要ではないかと考えられるのでありますが、以上の諸点について、政府の御所見を承りたいと存じます。
最後に、機構改革ないし運営改善に関する今後の方針について、お尋ねいたしたいと思います。およそ行政機構は一度改革を断行すればそれでよいという性質のものではないと思うのであります。国民生活の実際に即した生きた行政を実現するためには、絶えず行政機構の実態を調査し、常時改善することが必要であると思います。われわれ国民と最も密接な関係にある国会としても、独自の見地から調査研究の機能を発揮すべきことは、憲法の建前からいたしましても、まことに当然の責務と考えております。今回の改革案を拝見いたしますと、将来あらためて調査研究を必要とすべき重要問題も必ずしも少くないようりに思われるのでありますが、それらの問題について政府はいかなる見解と方針をお持ちでありましようか、この際承つておきたいと存じます。
以上質問の要旨のみを簡単に申し上げたのでございますが、政府より、どうか十分理解のできる明快なる御答弁をお願いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/4
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005・野田卯一
○野田国務大臣 ただいまの本多委員の御質問に対しまして、お答えをいたします。まず第一点の、事務整理と行政機構の改革との関連の問題でありますが、事務整理をいたしまして、それに伴つて行政機構を改革するという行き方も、確かに私は必要であると考えているのであります。しかしながら現在の実際の状況におきましては、事務整理は、すなわちその事務の基礎をなしております法令の整理を必要とするのでありまして、法令の整理につきましては、各般の点から慎重に研究を要するというような関係もございますので、政府といたしましては、法令整理本部というものを最近設けまして、そこにおきまして法令の整理を十分検討して、それに基きまして事務の整理をし、続いて機構改革に応じて人員の整理に及びたい、こういう構想を持つて、目下着々準備を進め、すでに五月十日におきましては、その第一回の会合を催しまして、具体的に乗り出しておる次第であります。今後会を重ねまして、十分な検討を遂げたい、こういうふうに考えておるのであります。しかしながら法令の整備、法令の整理ということをまたなくても、現在の機構におきましては、能率的でない点、またむだと思われる点もありますので、そういうものを排除し、また戦後いわば乱雑にたくさんの機構が設けられたのであります。それを十分現在の国情並びに将来の日本のあるべき姿に適応させる。こういう意味合いの機構の改革も必要と考えまして、今回の提案をいたした次第でございます。第二点の、予算に関するいわゆる予算庁とか、あるいは予算局というようなものを、総理府あるいは内閣等に設ける問題につきましては、しばしばお説を拝聴しておるのでありますが、この問題はきわめて重要な行政機構の根幹に触れる大問題でありまして、これを決定するには、各般の点から十分な検討を必要とすると考えられるのであります。外国の例を見ましても、イギリスのタイプあり、アメリカのタイプあり、いろいろのやり方をいたしておるのでありまして、このやり方いかんによりましては、行政運営の上に甚大なる影響を来すものと認められますので、この点は十分今後研究いたしたい。今回の行政機構改革の一環には取上げませんでしたが、これは引続きましてただちにこれの検討に入りたい、こういうふうな考えを政府としては持つておる次第であります。
第三の点といたしましては、行政管理機能の問題でありますが、行政管理庁は今回の行政機構の改革に伴いまして、内容を相当拡充強化されることになりまして、特に行政監察の面は大々的に強化されることに相なつたのであります。現在の行政監察の仕事は多岐にわかれておりまして、各方面から監察をいたすというわけで、監察を受ける側から申しますと、私の現に知つておる例を申し上げましても、建設省のある出先におきましては、ごく短期間に七つの方面から監察を受けて、従業員はその応接にいとまなしというような実例もあつたのでありまして、これは單に建設省ばかりでなく、各方面において同様な声を聞くのであります。今回の行政監察制度の整備に伴いまして、従来どちらかと申しますと、その担当の省庁においてそれぞれほとんど独立して、あるいは関係なく行われておりましたこの監察機構というものを、なるべく有機的に連繋のあるものにして、そうして内容を深める、監察自体の質と申しますか、きわめて適切な監察をするということに努めると同時に、監察を受けるものがやたらに頻繁なる監察を受けまして、事務に支障を生ずるようなことをなからしめたいという考えをもつて進む方針であります。
第四点の共管関係の問題につきましては、お示しにありましたように、治山治水の問題、あるいは観光の問題、あるいは水道の問題、その他いろいろな方面に共管の問題があるのでありまして、この共管の問題の適切なる解決が、行政機能の改善ということにたいへん役立つということは、十分承知をいたしておるのでありますが、共管事項の処理というものは、各省の権限と非常に深い関係を持つておりますために、これを処置するためには十分検討を遂げる必要があるということで、これも今回の行政機構改革にはあまり織り込んでおりませんが、これに引続いて至急検討を遂げ、成案を得て具体化をして参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
第五点の官房または局中の部を廃止するという問題につきましては、これは現在の国家行政組織法におきましても、官房、局中の部を認めないことになつておりますが、御承知のように、これは暫定的に認められまして、今日に至つておる次第であります。一応は昭和二十五年度に廃止さるべきものだつたと思いますが、それが延び延びになつて今日に参りました。と申しますのは、やはり昭和二十四年度に行われました第一回の行政機構改革に次ぐ第二次の行政機構改革が考えられておりましたので、その際にこれを処理するという意味合いをもちまして、今まで延ばされて来たのでありますので、今回の改革にこれを織り込みまして、断行いたしたいというふうに考えております。次長あるいは監というようなものを設けまして事を行えば、部を廃した意味がないじやないかというような観察もできるのでありますが、部の廃止の数は全体で五十四に対しまして、次長等を設けますのが十五というふうに、非常に減つて来ておるのでありまして、この次長という制度は、部長と同じような意味合いには用いないのでありまして、次長はあくまで官房長なりあるいは局長の補佐機関として、その仕事を補佐するという役目をいたさせたいというふうに考えております。また次長制度自体につきましても、いわゆる補佐的な場合によつては中二階的な立場に立つものでありますから、今後課の制度を充実いたしまして、課を今までよりも大つぶなしつかりした課といたしまして、局長、課長という制度でもつて仕事を運びたい。従つて次長の必要をだんだんなくする方向に持つて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。監につきましては、次長と同じような性格を持つておるのでありますが、その仕事の性質上、特定の事務を受持つて局長を補佐する、こういう意味で新たに設けられたのでありまして、この制度につきましても、これが部局を設けるというような意味は部局にかわるべきものという観念ではないのでありまして、あくまでも特殊な専門的事項に関連をいたしまして、局長なり官房長、次官等を助ける、こういう趣旨に出ておるというわけでありまして、この点十分御了承願いたいと存じます。
第六点の行政運営に関連しての問題でありますが、これにつきまして、運営の基準となるべきものについて、法律をもつていろいろ定める必要が承るのではなかろうかというような御質問でございましたが、私も御趣旨にはまつたく同感でありまして、行政運営の改善ということは、今日きわあて緊要なる仕事でありまして、政府においても全然研究しておらないというわけではなく、各方面におきまして、それぞれ研究いたしております。またその制度の一つの現われとして、行政部門から公共企業体というようなものを分離させて、そして公共企業体は公共企業体にふさわしい、いろいろな仕事のしぶりをするというふうな方向に持つて行つておるというような実例もあるのでありますが、行政管理庁におきましても、この点について研究も進められておりますが、ただ今までのところは、それを一般の行政事務に具体的に有効に実施をするという面に至つておらないことは遺憾であります。今後この点につきまして、科学的なる研究を進めまして、お示しにありましたような、標準化であるとか、あるいは定型化とか、あるいはフアイル・システムの活用等、いろいろな点に改善を加えて、行政能率を高めると同時に、一般大衆が、これがために非常に便利になるというような、行政のしぶりに持つて行きたいというふうに考えている次第であります。
次に第七点といたしましては、行政機構の改革あるいは人員の整理、その他行政全般に対する改善につきましては、常時これを顧慮いたしまして、注意を拂つて、絶えざる努力をする必要があるのではないかというような御趣旨の御質問につきましては、まつたく同感でありまして、行政整理というふうに、何年かに一度大きな整理をするということを待たず、毎年々々の予算編成等の機会に、各省の行政機構のあり方であるとか、あるいはその機能の実際の状況というものをつまびらかにいたしまして、必要なものは認めて行くけれども、不要になつたもの、あるいはもうすでにその機能を果したというものについては、これをふるい落して行くという事柄を、勇敢に実地に即してやる必要があるというふうに考えておるのでありまして、こういう機能を果すために、一面におきましては、国会のいろいろの御活動を、われわれは大いに期待するのであります。政府の部内におきましても、今回の行政機構改革に関連いたしまして、行政審議会というものを設けることにいたしました。行政審議会におきましては、行政制度及び行政運営に関する各種の重要事項を絶えず審議いたしまして、それを実地に移して行く。法律を要するものは法律を出し、あるいはただちに実行できますものは実行に移して行くというふうな方向に進んで参りたい、こういうふうに考えている次第でありまして、この点につきましては、国会の活動と十分緊密な連絡をとつて、遺憾なきを期したい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/5
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006・八木一郎
○八木委員長 次に通告順に質疑を許します。前田榮之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/6
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007・前田榮之助
○前田(榮)委員 行政機構改革によります全般的な御質問を申し上げる次第でありますが、野田国務大臣は、行政機構に対する所管大臣であると同時に、建設大臣を勤められておるわけでありますが、現在各省設置法を提案されておる個々の問題につきましては、この法律案審議に伴うて、御質疑を申し上げることにいたしますが、今本多委員からの御質疑もあつたわけでありますが、日本の行政機構の改革の重大な点は、行政の簡素化が前提とならないと、幾ら形式だけをかえたつて、実質は伴つて来ないのでありまして、藤代の内閣において、行政機構の改革という呼び声は、従来たびたびあげられておりましたけれども、また多少の所革をやられましたけれども、数年な二ずして日本の行政は、だんだん複雑化いたしておるこの実質から考えますと、行政機構の改革は、行政の簡素化が前提とならなければならぬと思うのであります。特に日本の行政面においての悪い点は、たとえば一つの書類定理にいたしましても、判こを二十も三十も押さなければ、その処理ができたいようなことになり、従つて事件そのものについても、ほんとうの責任はだれであるかというようなことが、十分責任感を持つて行政事務処理が行われておらない点にあるのであります。こういう点について、現内閣においては、徹底的にメスを入れる考えがあるのかどうか。今野田大臣の御説明に上りますと、共管の問題や、いろいろな問題を次から次へ研究してやると、こういうようなことでありますが、すでに吉田内閣成立いたして三年有半たつておるのでありまして、これが今日まだ研究中々々々というようなことでは、まことに心もとないのでありまして、その点もう少し自信のある、ただ單に研究中ということでなしに、もう少し具体的な方針をお示し願いたいと思うのであります。ことに今御質問にもありましたように、予算編成権が大蔵省にあるために、各省の予算編成につき幸しても、きわめて不徹底なようなことに終る場合が多い点は、すでに十分御理解になつておる点だと思うのであります。こういうようなことが断行されないで、ただ形式だけを、いわゆる部局その他を置きかえたようなことでは、根本の改革にならないのでありまして、その点どうしても内閣直属の予算局というようなものでやるべきものではないかと思うのであります。先般野田大臣の、議会から議員が予算に伴う法律案等を出すことは云々というようなことが問題になつたようでありますが、こういうこと等は、やはり予算局というものがあつて、予算は大蔵省の事務的なことをやるべきものと、計画的なものをやるべきものとの分類の点が明確になつておらない、こういう点にあると思うのであります。従つて今私が御質問を申し上げたいのは、野田大臣はだんだんそういうようにする考えのように御説明になりましたが、いつごろに、こういうようにするというような構想のもとに、その前提としてこういうものをやるのだ、こういうようなことをもう少し具体的に御説明を願えれば幸いだと思うのであります。
それから第二点といたしましてお尋ねを申し上げたいのは、建設省の問題でありますが、これは議員の中にも、ことに建設委員会等では特にたびたび問題にされておるのでありまして、いわゆる日本の行政を簡素化し、進んではこれを明確な分類をもつて行うという点から、国土に関するものを一省に集めて、あるいは農林省その他と共管になつておる国土の荒廃、あるいは総合開発、こういうような、さしあたり日本として重要な、やらなければならぬ点を重点的に行うという点からいたしましても、仮称でありますが国土省というようなものにしなければならぬという声は、従来たびたび各党間においても取上げられた問題でありますが、これが今回取上げられておらないのはいかなる理由であるか。またそういうものをおやりになるお考えがあるかどうか。こういう点をお尋ね申し上げる次第でございます。
その次に、やはりこれは建設省関係になりますが、技監制度を廃止されておるのでありますが、どうも日本の行政は、従来いわゆる科学技術というものが軽視されておる点があると思うのであります。ことに建設省関係の仕事については、科学技術というものが重要視されないで、はたして建設行政の飛躍的な発展というものが期し得られるかどうかということになりますと、私は日本の行政ばかりではない、あらゆる点において科学技術というものが一大発展を来さなければならぬと思つておるのであります。技監があるからないからということは、これは別な問題にもなるのでありますが、技監制度の廃止ということは、ややともすると、この技術面の問題が軽視されておるのではないかと私は心配をするものであります。そういう点において、従来建設省でも岩澤君が技術家出身の次官になつたときにも、これは将来技術出、の者をやつたがよかろうというような方針が大体考えられて岩澤君を起用されたと私は考えておつたのであります。しかしながらただ一代でこの技術屋出身の事務次官が終りまして、依然として法科出身の者がすべて行政の最高の支配的な立場をとつておる、こういうことは日本の科学技術を軽視する一面だと思うのであります。そういう点において野田建設大臣はいかなるお考えをお持ちになつておるか、この点をお聞かせを願いたいと思うのであります。この点は同時に司法その他の関係へもいろいろな関係があると思うのであります。
次にお尋ねを申し上げたいのは、行政機構の改革について共管関係の問題でありますが、この共管関係についても、非常に困難な点やいろ、文な各方面の事情があるために、第二次的に、研究中として延ばされた点は、現代の行政についての不徹底をそのまま放置しておるような感じがいたしまして、本多委員も申されましたが、こういう各省に共管があつて、なわ張り争いをいたしておるというようなことが、予算執行やその他の点について非常な障害になつておることは御承知の通りでありまして、これを今なお研究中などというようなことは、もうこの段階になりますと、いかにも、こういうものについて痛いところへはさわらずに、おざなりにまあまあ主義でその場のがれで、ただ近くあるだろうと思われる選挙に、国民を一種のごまかし的な態度で臨むように思われるきらいがあると思うのであります。そういう点は、こういうときにこそ、吉田内閣は絶対多数であり、強力な内閣だから、おれらでなければやれぬ問題だと、ここでひとつ思い切つてこういうことをやられてこそ、吉田内閣の値打があるのじやないかと思うのであります、ひ弱い内閣ではこういうことはおそらくやれないことになると思う。これはすでに研究しなければならぬ段階ではないのでありまして、幾たびも今までに問題になり、それぞれ御研究になつて、方向というものは理想的にはこの点だ、こういうことはわかり切つた話で、ただ各省でかつてな熱を吐いておるために、それを押えるというのもどうか、またいろいろながたくはできるだけ避けたいというような一種のまあまあ主義が災いをいたしておる。こういう点はこの際研究の必要のない問題だと私は思うのでありまして、この共管の問題、各省なわ張り争いをする点をここではつきりさしておきたいと思うのでありますが、今回提案されておる法律案につきましては、この点が今もつて明確にされておらない点は、いわゆる仏をつくつて眼を入れない、今本多委員から言われた通りだと思うのであります。これができないのは、行改機構改革のいわゆる根本に触れないでおるからでありまして、これを研究中とはいかなる点でそうおつしやるのか、私はどうも理解に苦しむのでありますが、もう少し実際にできなかつたほんとうの腹をここで打明けて、どの点にいわゆる険路があるのか、険路があるならば、その降路を突き進むのにはどうしたらいいか、こういうことをわれわれは考えなければならないのでありまして、もつと具体的に明確にひとつその隘路をお示し願いたいと思うのであります。
以上の点を御質問申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/7
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008・野田卯一
○野田国務大臣 前田委員のただいまの御質問にきわめてごもつともな点が多いのでありますが、第一に現在の官庁の決裁文書を見ますと、判がやたらにべたべたついてあつて、判の数は多いけれども一体だれがそのほんとうの責任者であるかわからないということは、われわれも痛感しておるのでありまして、できるだけ判の数を少くする、責任の体系をはつきりさせるということが、今回の行政機構改革の一つの眼目と相なつているのであります。先ほど本多委員もお示しになりましたが、委員会、外局というようなものを五割減にし、また部局の数を五割減にしたというようなことも、判をべたべた押すということをセーブするためには非常に役立つと考えております。また責任関係をはつきりするという点につきましても、今回の機構改革は十分意を用いた次第であります。とかしながら、これでもう申分ないというわけでございませんので、今後この点につきましては引続き改善を進めて行きたい、こういうふうに考えておる次第でございます。ましては引続き改善を進めて行きたい、こういうふうに考えている次第でございます。
それから、その次の予算庁ないし予算局の問題でありますが、この問題につきましては、先ほど申しましたように、行政機構の根幹に触れる大きな問題でありまして、アメリカの制度、イギリスの制度、フランスの制度、ドイツの制度、いろいろかわつております。その国情に従つてそれぞれありまして、アメリカの予算局、バジェット・ビューローそのものを日本に持つて来た場合に、それがうまく動くかどうかということにつきましては、これを取省く各種の條件があるのでありまして、その條件が日本の條件と一致しているものもあれば、非常に違うものもたくさんあるというわけで、大体現在の日本の制度は、イギリスの制度を模倣しているといつていいかと思いますが、それと十分かみ合せて検討いたしたいというので、これも今回の機構改革の際において問題になりましたが、事重大であり、また影響するところが多いので、すみやかに慎重にこれを研究するということになつて、一応この次の機構改革に考えようということになつた次第であります。
それから建設省を国土省にしてはいかがかという問題につきましては、さきに設けました行政制度審議会におきしましても、あるいはまた政令諮問委員会におきましても、両者の答申におきまして国土省の建設が提案されているのでありますが、種々検討いたしました結果、まだ今日これを実行するにはいろいろと問題がありまして、なお考究を要すると認められますので、見送ることになつた次第でございます。
その次の建設省の技監制度の廃止の問題につきましては、技術を軽視するのではなかろうかというような御疑問があつたようでありますが、決してそういう考えは持つておらないのでありまして技監制度は一種のダブル・ヘッダーど申しますか、次官に並んで技監があるというような制度で、これと同じような制度が他の省にもあるのでありますが、今回の改革におきましては、責任関係の明確化、あるいはその他のいろいろな機構の簡素化という点におきまして、これを廃止することにいたしました。しかしながら技監制度の持つておりました長所と申しますか、いい点は十分これを残したいというわけで、いろいろと考究いたしました結果、今回の設置法の改正案にも盛り込んであるのでありますが、最高技術会議というものを附属機関として設けることにいたしたのであります。従来の技監制度は、技監一人でありまして、それが技術方面の最高責任者になるのでありますが、実情を申しますと、技術と申しましても、建設省で取扱つております技術は、あるいは道路の技術あり、あるいは河川の技術あり、あるいは建築あり、あるいはまたその他の土木ありというようにいろいろありまして、一人の人でもつて、あらゆる方面に精通するということは、きわあて困難でありまして、道路の専門家は河川がわかりにくいというような非常な非難があつたり、あるいはいろいろといたすことを私は耳にいたしておつたのでありまして、何とかこの制度をさらによりよくしたい、技術を尊重してりつぱな建設行政をなす上において何とかくふうはないかということを考えてみた結果、ただいま申し上げましたように最高技術会議というものを設けまして、現在建設省の持つております最高のブレーンというものをここに集約いたしまして、重要な技術問題をここへ付議をして、ここで愼重言議して方針を決定して行くという方向に進むことにいたしたのであります。私は建設大臣になりましてから、最高技術者の集合した会議というものは、まだあまり経験をしておらないのでありますが、今後は建設省の持つております場合におきまして、部外の人を入れることになるかと思いますが、最高のブレーンを十分に、活用いたしまして、技監制度を廃止したけれども建設行政はよりよくなつたというような結果を生じたいという覚悟をもつて臨んで、おる次第であります。
第四点の共管の問題でありますが、共管事項の整理ということは、私はまつたく同感でありまして、なるべくこれを、整理したいというふうに考えて、今までも努力して参つておるのでありますが、共管という問題につきましては、一つ一つの問題にぶつかつてみますと、それ相当なりくつがあるのでありまして、むげに全部をだめだ、全部けしからぬというふうにも言い切れぬ点があるのでありまして、私は参議院議員といたしまして、政務調査会等においていろいろ研究いたしたこともあるのでありますが、たとえば水道の問題であるとか、あるいは海岸堤防の問題であるとか、こういうような具体的な問題につきましても、たとえば海岸堤防を建設省で全部所管するか、あるいは農林省等を加えるかということになりますと、全国の海岸堤防の七割というものはその背後地が農地である。でありますから、農地を守る海岸堤防であるから農林省がそれに対して発言権を持ちたい、こういう希望ももつともだと思うのでありますが、一面におきましては、この海岸堤防というものは、国道と陸地と海との境目にあるという点で、海岸堤防を一元的に建設省でもつて所管して行きたい、こういう希望ももつともだと思われるのでありまして、この関係をどう調節するかということにつきましては、具体的にいろいろなケースがありますので、それを十分勘案いたしまして、この箇所に対してはこういうふうにする、この海岸堤防についてはこうするというようなことをやはり十分しさいに検討して具体的な百妥当性を持つた解決案をつくりませんと、さらにまたあとで紛議をかもすことになりますので、その間にやはりかなりの時間を費さなければならぬと思います。水道の問題につきましても同様でありまして、水道法を、つくろうと思つてもう一年以上いろいろと論議をいたしておるのでありますが、衛生面から申しまして厚生省では十分な発言権を持ちたい、これもごもつともだと思うのでありますが、今日におけるわが国の水道は、御承知の通り建設時代でありまして、都市建設の重大な一環をなしておるということで、都市建設を受持つ建設省で十分見て行きたいという希望ももつともな理由でありまして、この両者の間の調整をいかにとつて行くかというような大きな問題につきまして、目下自由党の政務調査会が中心になりまして、いろいろ調整をはかつておる、こういうような実情になつております。これは私の触れましたごく一、二の例を申し上げたのでありますが、しかしながら、事柄の進行状況によつて、共管事項のウエートが、二つの省の間におきましてフイフテイーフイフテイー、五分々々時勢の進行に律しまして割合がかわつて来ると思うのであります。そこで、たとえば二分八分というようなことになりますと、あるいは七分三分でもいいのですが、そうなつてくれば、八分あるいは七分を受持つ役所に専管させて、それが他の二分、三分に関係を持リ役所と緊密な連繋をとつてやつて行ということに切りかえて行つたらよりしい、こういう方針をもちまして進たい、かように考えております。なお、これに関連する、役人の人々の心構えを徹底的にかえて行く必要があるのじやないか、こういうふうに考えておるのでありまして、少しでも自分に権限があるとすれば、それを百パーセント振りまわそうというような気持を持つておりますと、この問題はいつまでたつても円滑に参りませんので、やはり主たる関係を持つたところの意見を尊重する。また主たる部分を占める役所が自分の専管になりましても、関係各庁の意見を十分に聞き入れてやつて行くというような心構えがなくてはならぬ。この方につきましても、われわは努力をいたさなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/8
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009・八木一郎
○八木委員長 簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/9
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010・前田榮之助
○前田(榮)委員 今お答えになつた問題についてはいろいろ意見もありますが、意見等は別の機会に述べることといたしましてもう一つお尋ね申し上げておきたいのは、各省のこういう機構とは別に、いろいろ各省関係もありますし、また内閣直属のものもありますが、いろんな諮問機関的な審議会がたくさんあるのであります。これの整理については自由党の方でもいろいろ御研究になり、御意見も出ておるようでありますが、この審議会というようなものをいかに整理なさろうとお考えになりますか。
それからもう一点。今回出ております行政機構の一部改正に伴う人員の整理はどういう状態にするか、現在の人員がどのくらい減せる考えなのか、この二点をお尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/10
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011・野田卯一
○野田国務大臣 ただいま御質問の審議会等の整理の問題につきましては、今回の行政機構改革ではあまり触れなかつたのであります。この審議会、あるいは調査会その他各種の附属機関が多数ございますが、この多数に上る附属機関の整理は、この次の段階の行政機構改革においてぜひともやりたいという方針を政府といたしましては決定いたしております。
それから第二点の人員整理の問題でありますが、今回の行政機構の改革は、この前、ここに御出席の橋本君がやられました行政整理、人員整理と一体をなすべきものでありまして、従つて今回の整理は、人員整理を主たる目的とはしておらないのでありますが、ただ問題の調達庁であるとかあるいは経済調査庁のごとき、役所の持つております仕事がなくなるものにつきましては、この機構改革の際に相当人員の縮減が生じて来ることは当然のことだと考えております。従つて、実際減ります人員は、約三千五百名程度に相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/11
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012・八木一郎
○八木委員長 木村榮君。ちよつと申し上げます。時間は経過しております。が、簡単であるとのことでありますから、この際お許しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/12
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013・木村榮
○木村(榮)委員 五、六点伺いたいのです。いわゆる講和條約によつて独立国家になつたという建前から、今度の行政機構改革ということをお考えになつたと考えますが、そういう点では、今まで占領下のいろいろな要請に基いてできましたものがたくさんあるので、こういつたものはどのように再編成される御方針であるか、この点を最初に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/13
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014・野田卯一
○野田国務大臣 占領下の特殊事情に基きましてできました行政機構につきましては、その仕事の終了する、あるいは縮小に伴いまして、それに応じた行政機構の改革をいたして行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/14
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015・木村榮
○木村(榮)委員 そうしますと、今度の行政機構の改革は、日米安全保障條約並びにこれに伴う行政協定といつたものを完全に、政府は責任を持つて実施するという建前から考えられたと解釈してさしつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/15
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016・野田卯一
○野田国務大臣 その問題を主として考えたとは申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/16
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017・木村榮
○木村(榮)委員 そうしますと、たとえば国家行政組織法にいたしましても、行政機関職員定員法にいたしましても、私は当時内閣委員をやつておりましたが、御承知のように先方の厳重な要請に基いてやつたということは、これは何人も認めておるわけです。そこで今度の行政機構の改革では、当然この行政組織の根本である行政組織法とか定員法といつたようなものを根本的に改革いたしませんと、ほんとうの行政機構改革の基礎ができないと考えますが、この点に対して御方針はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/17
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018・野田卯一
○野田国務大臣 現状におきましては、今回提案をいたしました行政機構改革の程度をもつて適当だと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/18
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019・木村榮
○木村(榮)委員 非常に最近問題になつておりまして、野田さんと大橋さんと意見が対立しているといつたようなことも私たち新聞紙などで伝え聞いておりますが、政府が盛んに強調されますいわゆる治安対策並びに防衛組織といつたようなものについては、このたびの行政機構改革ではどのような関連性においてこれをおやりになるお考えであるか、この点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/19
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020・野田卯一
○野田国務大臣 本件につきまして六は、また別な機会に大橋国務大臣からも御説明があると思いますが、警察予備隊と海上保安庁とを統合した保安庁の設置という問題に関連して来るかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/20
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021・木村榮
○木村(榮)委員 そうしますと、そういつた問題を私たちが総合的に理解いたしますためには、現在の総理府といつたようなものを相当強化されて、いろいろな関係で各省にわかれていましたものを相当総理府の方に外局とかあるいはまたその他の名目において統合されるといつたふうなことが、今度の改革の根本的方針となつておるわけではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/21
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022・野田卯一
○野田国務大臣 いろいろなものを総理府に持ち込むという方針ではございません。むしろ総理府にいろいろなものを持ち込むということは避けたい。できるだけ各庁に関係の深いものは各庁でやつてもらう。しかし総理府にふさわしい、あるいは総理府でやらなければ他の各庁にくつつけることがむずかしいというものは総理府でやるというような考え方で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/22
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023・木村榮
○木村(榮)委員 これはまたあとで安本の改正法律案が出ますからそのときにお尋ねしますが、大ざつぱな点で、たとえば現在政府では最近法律案となつた電源開発の問題その他いわゆる国策的な政策といいますか、あるいはいろいろな施策といいますか、こういつたふうなものが相当問題になつておるわけなんですが、こういつたものを総合的に取扱うためには、何か特殊な行政組織をお考えになつていますか、その点を承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/23
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024・野田卯一
○野田国務大臣 ただいま問題になつております電源開発を促進するための電源開発株式会社の機関は、現在でも通産省にあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/24
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025・木村榮
○木村(榮)委員 そこで盛んに政府は独立後の経済の自立と申しましようか、とにかく日本が独立したのだから、経済的にも根本的な政策を立てて、そうして世界の各国と伍して決してひけをとらないといつたふうな方向へ日本経済を持つて行くように御協調願つておるわけでありますが、そういつた中におきまして、経済的な機構といつたふうなものは従来あつた安定本部、あるいはまたその他の関係省をどのような方向にこれを一体化して行く方針でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/25
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026・野田卯一
○野田国務大臣 今後の方向といたしましては、各省がそれぞれ自分の所管の行政につきまして、十分内外の情勢を研究しまして、活発な動きをする方向に持つて行きたい、こういうふうに考えておるのでありまして、しかしながら各省間におきまして、各省間の所管に属する事柄でありましても、お互いに相当関連を持つておるのでありますが、その関連事項につきまして、各省間で話合いがつかないというな場合には、今度できます経済審議庁におきましてその解決のあつせんに乗り出すというような構想を持つております。なお各省のいずれにも関係があるけれども、どこの主管である、どこにおもに関係したというようなことがはつきり言えないような仕事もあるかと思いますが、そういう問題につきましては、経済審議庁において積極的に企画立案に当る、というような構想を持つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/26
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027・木村榮
○木村(榮)委員 さつき本多委員の御質問のときに大臣が答弁になつた中に、行政審議会といつたふうなものをこさえて不断にいろいろな点を計画立案するといつたふうな御答弁がたしかあつたと思いますが、その行政審議会といつたふうなものは、今御答弁なさつたようなことをやるような機構と解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/27
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028・野田卯一
○野田国務大臣 行政審議会は、行政制度あるいは行政運営に関する重要な事項を調査審議しよう、そういう考えでありまして、ただいま御質問になりましたのは今後の自由独立になつた日本が世界的に大発展をするために、いろいろな仕事をしなければならないのじやないか、そういういろいろのことを行政審議会ではやるかという質問に対しましては、そうでないとむしろ申し上げ得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/28
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029・木村榮
○木村(榮)委員 そうしますと、行政審議会というものは今御答弁なさつたように解釈してさしつかえございませんか、さつき私がお尋ねしたようなことに対しては、総理府の方にそういつた総合的な機関ができまして、各省がそこで大体いろいろな問題を出し合つて、そうして全般的にバランスをとつて摩擦の起らないような方向で将来の行政を運営するのだというふうな御構想と解釈してよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/29
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030・野田卯一
○野田国務大臣 たとえて申しますと、食糧政策という問題があると思います。食糧政策は今後は農林省が中心になつてやつて行くべきものだと思います。貿易政策というものがありますれば、これは通商産業省が中心になつてやつて行くべき問題だと考えております。しかしながら貿易政策にいたしましても、あるいは食糧政策にいたしましても、他の省にも関係じたことが数多いと思いますが、そういう問題につきましては、農林省から各省によく連絡してやるという方向に持つて行きたいと考えております。なお経済問題の重要な問題につきましては、経済審議会が経済審議庁の附属機関として設けられましてそこにも諮問をいたしまして、調査審議をさせ得る機構になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/30
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031・木村榮
○木村(榮)委員 さつき前田委員の御質問に対しての御答弁を伺いましたが、各省に昔からあるようななわ張り的な摩擦といいますか、いろいろな関係が複雑なんですが、そういつたものをうまく処理できますような機構、こういつたものを何かの方法で今度の行政機構改革の場合には御構想があるのかないのか、この点をもしおありでしたら承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/31
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032・野田卯一
○野田国務大臣 各省のいわゆる権限争いというようなことに相なりますと、それを取上げましてさばくのは、行政管理庁の所管に属するかと思います。なお重要な経済の基本政策に関して、各省に争いがあつたというような場合におきましては、その仲裁役に乗り出すのは経済審議庁がこれに当るというような構想を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/32
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033・木村榮
○木村(榮)委員 もう大体これでやめますが、こまかい点は私もきよう久し振りに内閣委員にかわつたばかりでありまして、よくわかりませんが、大体今度の行政機構改革というものの根本的なねらいは、行政協定を完全に実行するという建前から、占領制度のいわば継続といいますと、そうじやないと多分御答弁なさるから、継続とまでは言いませんが、新たな事態に処しての行政機構を改革しなければならぬ條件が生れたので、そのために行政機構を改革するのだ、こういうふうに解釈してさしつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/33
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034・野田卯一
○野田国務大臣 行政協定とはそう大きな関係はないと申し上げた方が適切だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/34
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035・八木一郎
○八木委員長 これにて質疑の通告者は全部終りました。
本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時半より開会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304889X02019520513/35
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