1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年三月二十六日(水曜日)
午前十一時四十九分開議
出席委員
委員長 松浦 東介君
理事 河野 謙三君 理事 平野 三郎君
理事 小林 運美君 理事 井上 良二君
小淵 光平君 川西 清君
坂本 實君 千賀 康治君
原田 雪松君 大森 玉木君
吉川 久衛君 坂口 主税君
高倉 定助君 石井 繁丸君
竹村奈良一君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局長) 河野 一之君
林野庁長官 横川 信夫君
委員外の出席者
農 林 技 官
(農地局災害復
旧課長) 堀 直治君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
—————————————
三月二十五日
委員中馬辰猪君辞任につき、その補欠として大
上司君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十六日
委員大上司君辞任につき、その補欠として中馬
辰猪君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
三月二十五日
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇八号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定
措置に関する法律の一部を改正する法律案(坂
本實君外二十五名提出、衆法第八号)
森林法等の一部を改正する法律家(平野三郎君
外二十三名提出、衆法第一五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/0
-
001・松浦東介
○松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。
この際念のためにお知らせいたします。昨三月二十五日内閣提出農業災害補償法の一部を改正する法律案が本委員会に付託になりました。右御承知おき願います。
森林法等の一部を改正する法律案を議題といたし、審査に入ります。
なおこの際各位のお手元にお配りいたしてありますところの森林法等の一部を改正する法律案のゲラ刷りに印刷の誤りがあるそうでありまして、その部分について提出者より訂正をいたしたい旨の申出がありますから、これを許します。提出者平野三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/1
-
002・平野三郎
○平野委員 たいへん恐縮でございまするが、お配りいたしました法案のうちで、正誤表によりまして訂正する箇所がございまするので、御了承を願いたいと存じます。
それは第一条の中の『第百十八条の見出中「民法」を「民法及び商法」に改め、同条中「(理事の代表権等)」の下に「並びに商法第二百六十一条ノ二(取締役会社間の訴の代表)」を加え、「同法」を「民法」に改める。』この三行は印刷の間違いで入つたのでありまするが、ないのがほんとうでございまするので、これを削除するように訂正をいたしまするから、御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/2
-
003・松浦東介
○松浦委員長 本案に対し質疑なり御意見のある方は発言を許します。竹村奈良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/3
-
004・竹村奈良一
○竹村委員 林野庁長官にこの際お伺いしておきたいのであります。それは大体国有林野の問題でありますが、国有林がいろいろの形において全国各地至るところで払下げの要求があり、またこれに対する払下げ等がなされておるようでありますが、この払下げの方針について、どういう形で払下げをするのかという点を、この際明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/4
-
005・横川信夫
○横川政府委員 昨年成立いたしました国有林野整備臨時措置法に基きましで、払下げの準備をただいま進めておるのであります。まだ実際に払下げをいたしました事例はございません。その方針は、国有林野の経営上必要としない小団地、離れておりまする小団地、あるいは流域の関係で、小団地とほとんど同じような扱いのできる所、それはあの法律を御審議願います際に詳しく御説明申し上げたのでありますが、山というものは流域が違いますために地籍の上では続いておりますけれども、全然別な扱いをしなければならぬというような所があります。それから従来普通委託林として部落の者に委託をさせておりましたような所を払下げることにいたしておりまするし、払下げを受けまするものの優先順位を定めておりまするが、これは第一位に市町村でございます。次いで都道府県、第三位にその他のものということにいたしまして、今の法律は三年間のものでございますので、ただいま各地からの御要求に基きまして調査を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/5
-
006・竹村奈良一
○竹村委員 それでは伺つておきたいのですが、たとえば部落に委託されておるいわゆる委託林というようなものは、大体払下げの対象になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/6
-
007・横川信夫
○横川政府委員 さようなふうにしてとり進めておりまするが、実際上希望を申出ておられる方は委託林の場合は非常に少うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/7
-
008・竹村奈良一
○竹村委員 そこで大体部落委託林というものが市町村に払下げられる。その場合にあなたの方の指導といいますか、大体の方針は、市町村に払下げたならば、今後は市町村林にして共有にするのか、あるいはまた個人別にわけるかというような点については、市町村に一任されるわけでありますか。それともあなたの方であるいは個人別に分割するというような場合が起つたときに、何か特定な方針を持つておられるかどうか、その点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/8
-
009・横川信夫
○横川政府委員 森林として経営を続けて参ります場合には、できるだけ森林を荒廃しないような方針をあらかじめ御相談を申し上げまして、その上で払下げをするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/9
-
010・竹村奈良一
○竹村委員 この問題は大蔵省の管財局といいますか、元の関連において大蔵省からいろいろ管財局等を通じて、現地に対して払下げに対するところの問題の指示を与えているというようなことはございませんか。またそういうようなことは大蔵省が独自でやるものでしようか、またあなたの方と相談の上でやつておられるのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/10
-
011・横川信夫
○横川政府委員 国有林野の払下げにつきましては、大蔵省とは全然関係がございません。従つて大蔵省から何ら指示のあるはずはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/11
-
012・竹村奈良一
○竹村委員 実はこれは群馬県の、地名はちよつとここに記録を持つていないので、わかりませんが、何でも国有の払下げをめぐつて相当厖大な山林をその市町村に払下げる運動が行われているわけですが、そのわけ方についてすでに管財局等が指示したと称して、従来はそごの部落に国有林を委託されておつたのでございますが、その管理権を持つているものが個人的に分割されるのだというようなことを吹聴している向きがあるわけであります。そのことにつきましては、おそらく現地からあなたの方へ陳情に行つていると思うのですが、こういうようなことは現実に行われているわけですか。このような場合にはどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/12
-
013・横川信夫
○横川政府委員 いろいろ地上の立木などがたくさんあります所は利権的にいろいろな関係がありまして、デマが飛んだり、またためにする方がありまして、そのために何か利益を受けたりしていることもあり、いろいろな潔で策謀しております事例は、私も伺つておりますが、大面積の国有林を特に国有林野として経営して参ります必要のありますものを払下げをするということは、あの法律には出しておらないのでありますが、さような事例がございますならば、現地り営林署長を通じて、あやまちのないように研究して指導させたいと考えております。場所がどこでありますか、はつきりいたしますれば、間違いのないように指導するように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/13
-
014・竹村奈良一
○竹村委員 それではもう一つ伺つておきたいのであります。たとえばずつと昔の社寺有地の山林でございますが、これが一応国の方に返された。そうして国のものが今度は寺に管理を委託している。その払下げをめぐつて、もちろんこれは確固たる証拠はないのでありますけれども、いろいろな新聞紙上や、その他の面におきまして、この払下げをめぐりいろいろ問題になつておるわけであります。たとえば高野山の寺有林、こういうようなものも大きく問題になつたわけでありますが、こういうような山林に対しては、どういうような処置をとろうと考えておられるか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/14
-
015・横川信夫
○横川政府委員 御承知の、社寺保管林は無償で譲与するという法律がありまして社謹の尊厳維持上必百要なもの、あるいは災害防止上必要な地域は、すでに無償で譲与を終りまして、その後は普通の民有林といたしまして、都道府県知事の監督を受けることになるのでありますが、ただいま具体的事例をお示しになりました高野山等では、相当りつばな木があり、またルース台風で倒れた木などがありまして、その処分をめぐりまして、高野山関係の僧侶の、一、二の者が私腹を肥やしておつたというような事例がありまして、大分問題になつておつたようなことがあるようでございますが、高野山自体としては何ら不正なことはなかつたということが、調査の結果はつきりいたしておるのであります。何分りつばな山でありますので無償で譲与をいたしました目的に反するような山の取扱いはさせないように、一部保安林にもいたしておりますし、また大阪営林局あるいは高野営林署、また和歌山県等でも十分注意して指導をするように、私の方からも連絡をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/15
-
016・竹村奈良一
○竹村委員 そこで私の伺いたいことは、寺に無償で譲与する、このことは、少くとも今あなたがおつしやつたように、寺あるいは神社が尊厳を維持するという建前における処分は認められておりますけれども、しかしその寺の収益をはかるがごとき広大な面積を、しかも国有財産を無償で払い下げることは、今日の憲法下において、従来の法律上からいつてもできないことになつておる。また無償で払い下げる山林が非常に厖大な数字に上つておる。はたしてそれが尊厳を維持するためだけの払下げであるかどうか、これはそうではない。少くとも寺の財政的援助になるがごとき広大な払下げが行われておるというところに私は国民の疑惑の目があるのではないかと思うのですが、大体全国でこういう社寺有に払い下げられた町歩は一体どれだけございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/16
-
017・横川信夫
○横川政府委員 ただいまその数字を持ち合せておりませんので、取調べまして後刻お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/17
-
018・竹村奈良一
○竹村委員 全国的な数字は後刻でけつこうでございますが、たとえば具体的に、高野山には何町歩払下げになりましたか、それをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/18
-
019・横川信夫
○横川政府委員 たしか五百町歩に少し欠けておつたかと記憶いたしております。詳しい数字はまた後刻申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/19
-
020・竹村奈良一
○竹村委員 五百町歩といいますと、われわれは膨大な数字だと思うのです。従つて高野山は、五百町歩以内かもしれませんが、それだけ払い下げなければ寺の尊厳が維持できないというような観点に立たれておるのでございますか、その点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/20
-
021・横川信夫
○横川政府委員 高野山の問題は社寺保管林処分審査会におきましても、審査の回を重ねること十数回、社寺側では、あの区域の面積が約三千町歩ばかりありますが、その半分なければ尊厳の維持が保てないというような意見であつたのであります。また反対に、管理をいたしております営林局署側では、三百町歩ほどあればよろしいのではないかということで、実地調査も数回いたしております。それから十五名で構成いたしておりました審査委員の方々にも再度御調査を願い、十分念を入れまして調査をいたしました結果が、ただいま申し上げました五百町歩でありまして、社寺側から申しますれば、こんなことではとても尊厳が維持できないという主張を続けておつたようでありまするし、また管理者側の方から申しますると、そんなに必要はないというような主張が依然としてあつたのであります。お互いに不満足な状態で、やむを得ず満足したというような事情でありまして、一応あの問題はおちついておると私は考えておるのであります。先ほど申し上げましたように、たまたま風倒木などを材料にいたしまして、不正を働いた僧侶がありましたので、また問題になりかかつておるようでありますけれども、これも取調べの結果、お寺には直接関係がないということ、がはつきりいたしましたので、早晩あの問題はすつかり静まるものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/21
-
022・竹村奈良一
○竹村委員 こういう社寺有の払下げに関しましては、御説明になつたよう払下げの審査委員会というもので一応審査されたと思いますが、少し伺つておきたいのは、この委員の構成は、出身別はどういう形になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/22
-
023・横川信夫
○横川政府委員 私が会長をいたしておりまして、委員は、寺側の代表が醍醐寺の管長であります。神社側の代表は香取神宮の宮司、それ以外の方は学識経験者でありまして、比較的公正な御意見を吐かれる方ばかりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/23
-
024・竹村奈良一
○竹村委員 この問題につきましては、後日またお伺いする機会もあると思いますので、保留しておきます。
もう一つ伺つておきたいことは、たとえば部落に保管されております委託林の問題であります。国有林のこういう委託林に対しましては、たとえば木材の下刈りは当然部落の者が入会権を持つておる。しかし、今度払い下げられた場合に、入会権を持つておる人たちの入会権というものが、市町村に引継かれるような措置を話せられるのか。あるいはもし町村が個人に買却するということになるとすれば、入会権を持つておる方たちの権利は一体どうなるのか。そういう点についての配慮はいたしておられますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/24
-
025・平野三郎
○平野委員 委託林は国有林野法によつて委託林と簡易委託林と二つの制度があるわけでありますが、今のお話の入会権の問題は、今度の払下げの場合は全然別であつて、国有林野整備臨時措置法によつて、市町村に払い下げた場合においては、一切は市町村に移るわけです。市町村が部落の入会権を認めるとか、認めないとかいうことは、市町村の自由意思によるわけであります。市町村がその森林を管理するについては、この森林法の規定によつて管理をして行くということで、市町村に所有が移れば、当然一切の権利は国から市町村に移る、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/25
-
026・松浦東介
○松浦委員長 小林運美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/26
-
027・小林運美
○小林(運)委員 私は林野庁長官に、簡単な問題でございますが、ちよつとお伺いしてみたいと思います。
今回提出になりました森林法を制定しました趣旨は、森林の培養、保存を目的とするのであります。これは直接的なことを特にうたつておりますが、間接的に国の森林資源を大切にするというような方面から考えまして、特に木材は建築資材にたくさん使われるのでありますが、この木材を節約するという意味から、最近鉄筋コンクリートその他の建物に火山灰を使う仕事が非常に盛んになつて参りました。特にブロック建築等が付随いたしまして非常な好成績を収めておるのでありますが、この火山灰地は、大体国有林の地域が多いのであります。この火山灰を採掘するにあたりまして、何ら国有林を害するようなことがないということがはつきりわかつていながら、この採掘をめぐりまして営林署長の考えで非常に支障を来しておる実例があるのでありまして、これは長官も実例を御存じのことと思います。こういう問題につきましては、もしその森林の状態を非常にかえるとか、あるいは砂防上非常によくないとかいうことがあれば、これを採掘するにあたつて場所をかえるというようなことは当然だと思いますが、そういうことがほとんどないということが地元でもわかり、またこれを確認するために、先般林野庁から係官まで派遣しまして、そういつた支障がないことがわかつていながら、どうしても地方の営林署長がそれを固執しておるというような実例があるのです。こういうような問題について、林野庁長官はどんなお考えを持つておられるか、特に実際問題といたしまして長野県の浅間山麓におきましてこういう問題が起りまして、解決がつかないという状態にある。こういう問題について林野庁長官はどんなお考えでございますか、御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/27
-
028・横川信夫
○横川政府委員 ただいまの御質問は、浅間山麓の軽石採掘上のことで、私も何回か伺つておることであります。あの採掘いたしておりました所を禁止いたしましたのは、実は国立公園の特別指定地域でございまして、土石もとれないというような建前になつておつたのでありますが、初めは簡単に、きわめて少量採掘するという考えでこちらは許可をいたしておつたのであります。先ほどお話のように、木材利用の合理化、節約ということが非常に進んで参りまして、割合に大量に採掘をいたすようになりました。そのために大いに地形を変化するというような状態にまでなつたために、道ばたを避けまして、やや奥の方に適地を選定いたしまして許可をするという措置をいたしたのであります。たしか四十四林班のろ小班という所であつたと思いますが、その所でありますれば、国立公園の方の関係も支障がありませんし、また道路からそうひどく離れてもおりませんので、採掘者の方の採算の点から申しましても非常に好都合でありますので、その点を決定いたしまして、その後そのように進んでおるとばかり考えておつたのでありますけれども、お話のようにまだ解決しないといたしますれば、至急に手配をいたしまして、前に指示したことを実行いたすようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/28
-
029・小林運美
○小林(運)委員 林野庁長官は、この採掘に対する考え方としては全面的に肯定されているようでありますが、事実は林野庁長官のお考えとまつたく異なつたような状態になつております。現地に行つてみればわかりますが、こういうような森林を荒すとかいうような問題、また国立公園になつていて山の形がかわつてしまうとかいうような問題じやないのです。こういうような物を運び出すのに使う大切な外貨を、もつて買うガソリン等も、なるべく節約するというのが国家的な見地からいつて当然だろうと思う。それを営林署長の独断で特に山の奥の方までわざわざとりに行かなくてもよいと私は思う。こういうようなことを官庁的に処理することは、国家的な損失を来すというふうに考えます。ですからこの実情を十分見まして、長官の考えるような大きな国費の節約ということも考えて、国立公園の山形がかわるようなことなら別でありますが、あんな砂をいくらとつても山の形がかわるようなことは実際にはないから、なるべく近い所からとられるように、特に長官に指導していただくことをお願いいたしまして、私は一応質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/29
-
030・松浦東介
○松浦委員長 井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/30
-
031・井上良二
○井上(良)委員 提案理由の中における改正の要点について、もつと具体的に詳しい説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/31
-
032・平野三郎
○平野委員 この法案をよくお読みくださいますればおわかりと思いますが、せつかくのお尋ねでございますので、簡単に改正の要点を申し上げます。
まず第一には、御承知のごとく先般の森林法の改正によりまして、伐採については許可制度をしくことになつたわけでありますが、これが年一回ということになつておりますために、非常にきゆうくつになるのであります。その後の施行状況を見ますと、申請が遅れておりまして、技術的に間に合わないというような点が多々ありますので、今回はそこに多少の弾力性を与えて、再申請をする機会を与える、こういうふうにいたしたのであります。
それからまたその伐採の許可申請に基きまして、農林大臣並びに都道府県知事が、それぞれ国及び都道府県の森林区の実施計画を決定してこれを発表するわけでございますが、これはやはりだんだん手続が遅れるというような関係で、実情に即して、これをさらに一箇月期間を延長するというようにやつたわけでございます。
それからまた現行森林法によりまして、緊急の場合においては、当然許可がなくしても、これを切ることができるのが常識でありますが、従来は都道府県知事の許可を要するということになつておりましたのを、その必要がないというふうに改正をいたしたわけであります。
それからこれはごく小さなことでありますが、国有林野の付近において火入れをするような場合においては、営林局長の許可を要するということになつておりましたのを、署長で足りるというふうにしました点。
それから保安林につきましては、幾分その施業制限を強化する必要があるのじやないか。すなわち従来保安林は伐採その他について都道府県知事の許可を要するわけだつたのであります。立木に対して損傷をするということは自由だつたわけでありますが、これはやはり許可を要するというように、国の保安林の施業制限の強化をはかつたわけであります。
それから森林組合の火災国営保険、これにつきましては、先般火災保険に関するところの法案の御審議をお願いいたしたわけでありますが、これはそれの裏打ちといたしまして、いわゆる森林組合並びにその連合会が森林火災国営保険に関する業務を取扱うことができるというふうにいたしたわけであります。
それから森林組合につきまして、定例検査を行うことができるという制度を設けたわけであります。これは御承知の通り、農協並びに漁業協同組合等が先般そういう制度になりましたので、当然森林組合にも行うようにすべきである、こういうふうにいたしたわけであります。それから農林大臣並びに都道府県知事が、この森林法によりまして、処分をいたした場合において、不服がある場合においては、従来は土地調整委員会の諮問によつて農林大臣及び都道府県知事が裁定を下すというふうになつておりましたが、これは取扱いが不公平であるという見地から、土地調整委員会自体がその裁定を行うというふうにいたしたわけであります。
きわめて事務的にしてかつ簡単なる改正でございまするから、御了承のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/32
-
033・井上良二
○井上(良)委員 この新しい改正によると、結局は立木の伐採がきわめて簡単にできるようになつておるということが一つは言えるわけですね。その簡単にできるということから、その裏づけになる植林その他の総合計画といいますか、そういうものが、これの裏づけとして計画されておりますか。この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/33
-
034・平野三郎
○平野委員 簡単にできるということは、解釈によりますが、従来の法よりも幾分緩和したという程度でありまして、御承知のごとく、日本の森林資源の枯渇の現状にかんがみまして、やはり幼齢林の伐採はこれを抑止することが必要であるという見地のもとに、この法案をつくつたわけでありまするから、幾分簡単にはしたと申すものの、本質的には束縛をいたすわけであつて、当然それにつきましては井上委員のお説の通り、これに関するところの森林の総合施策の裏打ちが必要であるわけであります。その第一としては、要するに、幼齢林の伐採を禁止するかわりに、まずそれを担保とするところの金融の措置を講ずる必要があるということで、御承知のごとく、伐採調整資金を本年度の農林漁業資金融通法の一部に入れて、これを保護しておるわけであります。この予算も本年度二十二億計上いたしておるわけでございますし、そのほかこういうふうに森林の施業の制限をいたしますならば、奥地林の開発が必要であるということから、奥地林道につきまして国の予算も相当計上いたしておりますし、さらにまた農林漁業資金融通法の中で奥地林道に対する融資のわくを非常に拡張いたしておる。その他造林全般に関しましても相当の予算を計上する。同時にまた金融の措置をも講じておるわけでありまして二十五年度から見ますると、森林法の制定に基きまして、飛躍的にこれらの予算が拡充をいたしておるわけであります。もちろんわれわれとしては、まだ不十分とは思つておりまするが、しかしながら森林法についての裏打ちとしては、相当にこれらの総合施策は強化をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/34
-
035・井上良二
○井上(良)委員 そういう裏打ちのいろいろな対策を立てられてやられるということについては、当然のことでございますが、一昨年あたりから戦時以来の過伐、濫伐による荒廃林野の復旧について、政府としてもまた国会としても非常に関心を深め、国をあげてこれが復旧の緊急なることを唱えまして、相当額の経費がそれぞれ計上され、また金融の措置もそれぞれとられておることは御承知の通りであります。
この際伺つておきたいのは、それらの実施に伴いまして、荒廃林野の復旧の植林、造林等について、最近これだけ植林されたという具体的な数字がございますか。その点およそでよろしゆうございますが、いずれあとで詳しい資料をいただけば、けつこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/35
-
036・横川信夫
○横川政府委員 詳しい数字はただいま持つておりませんが、従来造林を要する地域は百四十万町歩と言うておつたのでありますが、この二、三年の間に非常に植林が進みまして、ただいまでは約百十万町歩ほどに減少いたしております。これを五箇年程度で全部解消いたしたいと考えておるのでありますが、予算の都合でなかなか予定通りには参りませんが、でき得まするだけたくさん植林をいたしたい考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/36
-
037・井上良二
○井上(良)委員 次に国有林野の払下げの問題ですが、払下げの条件としまして、非常にこまかい条件がたくさん政府の方で用意されて、実際農業経営上ぜひ払い下げてもらいたいという申請をいたしましても、なかなかどうして払下げは非常に困難だ。当該市町村並びに農民なんかが、この政府から出されておりまする払下げの条件を見てみますと、どれ一つ払い下げられるものはないというきわめて厳重な条件である。しかし実際いろいろな理由から一部払下げをしてもらわなければ、農業経営が成り立たぬという地帯が至るところにあるわけであります。私ども今まで営林署なり営林局なりの方にいろいろ実情を陳情いたしましても、何か自分のなわ張りがもぎとられるようなことから、容易に民間側の意見を妥当な立場で聞いてやるということがあり得ないのです。これは管理責任者としては当然なことかもわかりませんが、同時にまたそれを百パーセント活用するという国家的立場も一応考えられて、妥当な申請であるかどうかというようなことを、一営林署長やまたその上におります営林局の係官の裁定だけにこれをまかさずに、たとえば農業委員会とかいろいろ地方的にそれぞれの民主的な機関がございますから、一応それらの審議にまつて、そうして妥当な要求であり、また政府の主張が妥当であるかどうかというような扱い方をして行く方が、両者とも納得する結論が出はせぬか。こう私は考えますが、そういうぐあいなお取扱いというものは実際困難でありましようか。その点について一応伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/37
-
038・平野三郎
○平野委員 今、井上委員のお尋ねの農業経営上森林を必要とするというお話については、少し混同しておられるようであると同時に、この際私からひとつ名案をお教え申し上げたいと思います。それは今の国有林の払下げ、すなわち、国有林野整備臨時措置法に基くものは、国が国有林を管理する上において適当でないというものを払下げするわけでありますから、従つてこれは農業経営とは全然関係ない問題でございます。そこで農業経営として国有林を利用するということについては、別に国有林野法の中に共用林野に関する制度がございます。これはこの前の国会において、本委員会も通過をして御審議を願つたものの中に、新たに国有林野について特に農業経営上必要と認めるものについては、その森林を利用する必要を認める住民と国とが共同でその森林を管理する、こういう制度ができたわけで、この制度を利用していただけば農業経営上国有林を非常に活用することができるわけでありますが、まだこの趣旨が徹底していない。井上さんあような権威者でも御存じないわけでありますから、(「ノーノー」)どうしても共用林野に関するところの制度を十分に徹底して、そうしてこの制度を活用していただくことが最も必要であるわけでありますし、国有林を農業経営に直接使うことについては、すでに開拓地として国有林を大量に農地局に所管を移管いたしまして、開拓は進めている。むしろその度が過ぎて今逆に農地法案を御審議願うということにまでなつているのであつて、相当国有林は農業経営のために資しているわけでありますが、今御指摘の通りに、やはりまだ十分趣旨が徹底しておらない。あるいはまた確かに国有林当場局が林業経営ということにのみこだわつて、幾分農業に対するところの理解が薄いということは、私も十分認めているわけで、その点はまことに同感でございます。しかしそういう制度があるわけでございますから、これを大いに活用して行くようにお互いに努力をいたしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/38
-
039・横川信夫
○横川政府委員 お話の中にもございましたが、現地の管理経営に当つております者の話といたしましては、やはり少しも離したくないという気持があるのは当然であります。それがごく忠実な公務員だと考えているのでありますが、それらの地元との摩擦につきましては、林野庁でいろいろ調整いたしまして、もう少し高い立場から国土の最も合理的な利用方法を考えて行かなければならぬ、そういうふうにいたす考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/39
-
040・松浦東介
○松浦委員長 本案に対する質疑または御意見は次会にまわすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/40
-
041・松浦東介
○松浦委員長 次に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関一する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑なり、御意見のある方は、発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/41
-
042・平野三郎
○平野委員 河野主計局長にお尋ねをいたしたいと思います。それは今度のこの農林関係の災害の補助率の特別措置に関する法案をめぐつて、この際大蔵御当局の日本の農業に対するところの根本理念をひとつ伺つておきたいと思うのであります。どうも農業というものは一つの個人の営業であつて、従つてこれに対して国が特別の保護を与えるということは、どうしても行き過ぎであるという気分が何としても抜け切れないように思うのでありますが、これは特に占領下に入つた関係から、いろいろアメリカの農業の考え方轄に強く出て来ている。特にドツジ・ラインが強化されましてから、現に昭和二十四年度から日本の団体営の土地改良に関するところの補助制度が打切りになつたり、あるいは林業関係といたしましても、造林の撫育に対する補助が打切りになるとか、全面的に日本の農業というものをやはり個人経営であるというふうに見る傾向が強くなつて来ているのでありますが、始終司令部と折衝される大蔵当局としては、やはりそういうふうな気分が事く濃厚になつて来ているように思うのであります。しかしこれは申すまでもなく、日本の農業というものはまつたくアメリカと違つた極端な零細農であると同時にことに国が農産物の価格を抑制して、そうして農民に強制的に産物を供出せしめるというような制度をとつている関係もあり、また食糧の増産ということは国家的に見てもう緊急最大の問題であるわけでありますから、どうしても国が特別の助成をしなければ日本の農業が成立たないばかりでなく、遂には日本の国を破滅に陥れることになるわけであります。従つてわが国が独立国となる日も旬日に迫つているというような時でありますから、今までは大蔵当局とせられても、心ならずも司令部の方針に従うというような傾向があつたでありましようが、いよいよ独立国になれば、今までの観念は一切払拭をして、真に新しい見地からほんとうに本道にもどつて、日本の農業に対するところの理解ある態度をおとりになると私は確信をいたしまするが、その点についてどういうお考えであるか、またそういう理解をお持ち願えるものであるかどうか、この際お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/42
-
043・河野一之
○河野(一)政府委員 農業問題はなかなかむずかしい問題でございます。日本の農業の特殊性というものは御指摘の通りでございまして、それあるがゆえに、従来農業に対してはずいぶんの金をさいて来ているわけであります。個人企業というふうなお話がございま差が、われわれとしては決してそういうふうには考えておりませんので、中小企業もそうでありますが、大分違つた形態でこれを考えなければならぬ。ことに災害が非常に多いという特殊事情、また土地が狭小で農地が不足しているといつたようなところに、農業というものがその上に乗つかつているというような事情は、仰せをいただくまでもなく、いろいろわれわれとして考えさせられるところがあるのであります。ただ、であるからといつて、それならばそういつた農業に対してどんな補助金でもやるかという問題になりますと、これは財政自体の問題でありまするとともに、また他の事業との権衡というようなこともある程度は考えて行か農ならぬ。われわれの考え方といたしましては、個人に出す補助金というよりは、共同的な色彩を持つたものに、少くとも国民の税金でまかなわれるものは、そういうようなことで国で出すのが第一義ではないかというふうに考えます。その他の問題につきましては、あるいは農産物の価格政策とかいうような面で考えて行くのが、少くとも財政としては筋ではないかというふうに考えておるわけであります。もちろん占領下でありましたために、いろいろな点において御趣意に沿い得なかつた点もあるかとも存じますが、今後の新しい日本といたしまして、御趣旨のような点は十分に体して、財政をやつて行きたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/43
-
044・松浦東介
○松浦委員長 千賀康治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/44
-
045・千賀康治
○千賀委員 この法案を審議するにあたりまして、私は一つの疑いが起つて来るのでございますが、町村が単位になつて、その災害を戸数で割つたものが幾らく、こういうことになつて、それが五万円、八万円、十万円、いろいろな線があつてそれで論争されておるのでございます。ところで、その町村も一つの単位ではあろうけれども、町村の区域の広さ、狭さというものは一向論議されておりません。そこで町村の広さというものはずつと昔は非常に狭かつた。それが歴代の政府の指導によつてだんだん大きくなつた傾向のところもあれば、一向それには無関心で小さいままでおるところもあります。一郡の中、あるいは一県の中が幾つにも仕切られておるということから、これが非常にまちまちくになつております。これがまちまちでありますから、農地局から出ておりまする統計が、災害というものは局部的でございますから、町村に非常に大きな深刻な災害が起きておるにもかかわらず、その町村の人口で、その災害を割つたときには、その計数が一万になるとか二万になるというようなことで、この恩典に浴することができないものが出て来る。ところがさほど災害が顕著なものでなくても、小さい町村で、その局部に当つたものはこれにはまつて来る、一こういうことでございますが、はまる県とはまらない県との……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/45
-
046・松浦東介
○松浦委員長 千賀さんにちよつと御注意申し上げますが、主計局長は大分お急ぎのようでありますから、主計局長に対する御質問は重点的に簡潔にお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/46
-
047・千賀康治
○千賀委員 一緒にやつて行きますから、ちよつとごしんぼう願いますはまる県とはまらない県との境というものが妙なことになりまして、はつきり申せば私どもははまらない県の選出のものでありますが、全国的に言えばそういう方々もたくさんある。かような場合に非常に批判が起つて参るので、私といたしましては、少しでもこの計数が小さくなるということが、今私が申し上げたような矛盾が少しでもいやされる道に近づいて行くということになるのであります。その点につきまして主計局長の御答弁をまず得たいと思いますが、今論議されているような十万円、八万円、五万円というような線がいずれにいたしましても、まだわれわれには非常にこれは大に過ぎる、もつとこれを小さくさせたいという立場の者で、またその線で質問をするのでございますが、われわれは今まで論議された最小五万円の線ということでもまだ足りないのでありますけれども、せめて問題になつております五万円の線を、これを百尺竿頭一歩を進めて、すべてその線でおちつけたいという感じは持つておりますが、大蔵省はどうお考えになりますか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/47
-
048・河野一之
○河野(一)政府委員 小規模のものまで補助するか、あるいは補助率を高めるかという問題でありますが、いろいろな権衡の問題もございまして、現在たしか河川港湾等の災害の場合には十五万円ということになつております。農地の特殊性にかんがみまして、一番小規模のものまで行けばいいのでありますが、財政その他の面から考えまして、そういつた検討をいたしまして、大体十万円程度のところで区切るのが、現在の段階においては妥当なのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/48
-
049・千賀康治
○千賀委員 これが三万円とか、四万円とか、あるいは二万円か知りませんが、そういうふうに計数が下つて来れば、この統計の中にも愛知県とか、まだ残つた県がたくさん入つて来るのです。そこでその原因がただ昔の小さい町村であつたのがだんだん合併して来たという、そのチャンスだけでこれが入つたり、落ちたりするということはそこに非常に不合理があるのです。それならば何万キロかの中で人口がどれだけあるとか、あるいは県全体で割つてみてどういうことになるとかいう基準になれば、これはどういう数字が出てもいいのですが、現在の町村の成立というものが、先ほど申し上げましたように、一つのチヤンスー合併したか、上なかつたかということだけでこれに落ちて来るものができるくらいでありますから、これは計数は今のような立場でやれば、小さくなければ行かぬということですが、あなたは相当大きなところでとめたいという御意思らしいのであります。それでは困ると思いますが、幾ら言つておつても押し問答でありますから、適当なチャンスにまた私の明確な意見を表示することとして、質問はこれだけにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/49
-
050・坂本實
○坂本(實)委員 ただいまの千賀委員の御質問でありますが、問題になりました点は、高率補助を適用する基準をどこに置くかということだと思うのでありますが、今お話のありました市町村の大小ということよりも、つまり市町村を一単位にいたしまして、その中で起つた被害の総額を農家戸数で割りましたものの平均を五万円、八万円ないし十万円というふうに押えて行こうということであるのであります。この点はひとつ御了解を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/50
-
051・井上良二
○井上(良)委員 ちよつとこの際河野さんに承つておきたいのですが、大蔵省では災害復旧事業における農家の負担能力の限界について、どういう見込みをお持ちになつていらつしやいますか。それがきまらぬことには、補助金を何ぼ出してよいかということはわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/51
-
052・河野一之
○河野(一)政府委員 ちよつとむずかしい問題で実は私も困るのですけれども、農業の補助率の問題でありますが一般的にいつて産業関係で補助があるのは大体農業だけであります。中小企業とか、そういつた商工業方面には、一般には補助金は実はないのであります。衛生とか公共団体に対するものは別でありますが、そういつた意味で補助を出すこと自体におきまして、農業の負担力というものを考えておるわけでありますが、それにつきまして今までわれわれ誓えて奏したのは、公共的な施設についてまず出して行く。それは災害の場合は大体三分の二程度というわけであります。ただそれは公共的な施設である場合でありますから、一般の個人的のにおいのするものは、それより幾分下げて行く、こういうふうな考え方で実は参つておるわけであります。農業関係は大体五割の補助というのが普通でありますが、特に個人の資産を増成するというようなものは一割程度下げる、それから災害の場合は少し上げる、こういうようなことで大体考えて参つておるわけであります。具体的に負担率をどう見てということになりますと、私たちも即答申し上げ得るほど研究しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/52
-
053・井上良二
○井上(良)委員 ぜひひとつお考え願いたいのは、高率補助の法案を審議する上において、その農家の負担能力の限界が非常に重要になつて来ると思う。われわれは最近の農地改革後における農家の経営の実態から、今のお話のような六割補助であるとか、あるいは五割補助とか、その残余を当該地区が負担をしなければならぬという限界が、負担にたえないところに来ておるのではないか、まして災害を受ける地帯が平坦部よりも山間部に多いというところから、非常に問題が大きくなつて来ておるわけであります。そういう点で特にお考えを願いたい。
これから今あなたの御説明で、事業補助としては農業だけにしておつて、都市の中小企業等には補助していない、こういうことでありますが、しかし都市の中小企業の安全をはかるというか、こういう点から、たとえば道路であるとか、あるいは水道であるとか、あるいは下水であるとか、防潮堤であるとか、そういうものが莫大な国庫補助で完成されて、そこが商売の繁華街として一ぱいになるような施設が、どんどん国の負担においてやられておるわけです。一方農村の面においては、それらの補助に比べますと、具体的にこの補助率は、あなたはよけいやつておるように言うけれども、やつておらないのであります。それらの全体から比べると少いのであります。それと同時に農村があれだけの大きな人口を、あの破れ世帯でかかえておる。もし農村が疲弊困値すれば、人身売買は激烈になつて参りましようし、都会へどんどん失業群として出て参る、そうなると、結局国の経費において失業対策を講じなければならぬ、間接的に国の経費はその面でふえて行きますから、やはり農村に対する災害の復旧等については、特に高率補助をある程度国全体の立場からお考え願えるようにしていただかなければならぬのじやないか、それで大蔵省のお考えになつております高率補助の規準というのは、一体何ぼにしようというお考えですか、それを聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/53
-
054・河野一之
○河野(一)政府委員 補助率は法案に書いてある通りでありますが、五万円にするか、八万円にするか、あるいは十万円にするか、そこのところが非常にかわつて来るわけでありまして、これを五万円ということにいたしますと、二十数億にも上りますので、財政ともにらみ合せまして御相談をいたして政令を書くときにいろいろ御相談を申し上げてみたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/54
-
055・松浦東介
○松浦委員長 本案に対する質疑または御意見は次会にまわすことにしまして、本日の委員会はこの程度にとどめ、明日は午前十時半より開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X01819520326/55
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。