1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年四月二日(水曜日)
午前十一時五十一分開議
出席委員
委員長 松浦 東介君
理事 河野 謙三君 理事 平野 三郎君
理事 小林 運美君 理事 井上 良二君
宇野秀次郎君 小笠原八十美君
越智 茂君 小淵 光平君
川西 清君 坂田 英一君
坂本 實君 千賀 康治君
吉川 久衛君 坂口 主税君
高倉 定助君 石井 繁丸君
竹村奈良一君 足鹿 覺君
出席政府委員
農林政務次官 野原 正勝君
農林事務官
(農政局長) 小倉 武一君
委員外の出席者
議 員 藥師神岩太郎君
農 林 技 官
(農地局建設部
災害復旧課長) 堀 直治君
專 門 員 難波 理平君
專 門 員 岩隈 博君
專 門 員 藤井 信君
―――――――――――――
三月二十八日
農業災害補償法臨時特例法案(内閣提出第一三
七号)
飼料需給調整法案(井上良二君外九十六名提出、
衆法第二〇号)
同月三十一日
主要農作物種子法案(坂田英一君外二十三名提
出、衆法第二三号)
米穀の政府買入価格の特例に関する法律案(松
浦東介君外二十三名提出、衆法第二五号)
同月二十八日
部落農業団体の活動促進並びに国庫補助に関す
る請願外六件(船田享二君紹介)(第一七五三
号)
同外四件(今井耕君紹介)(第一七九二号)
澱粉工業救済に関する請願(青木孝義君外二名
紹介)(第一七八八号)
同(山口六郎次君紹介)(第一七八九号)
同(清水逸平君外一名紹介)(第一七九〇号)
同(佐瀬昌三君紹介)(第一七九一号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十九日
蚕糸行政機構独立存置に関する陳情書
(第
一〇八一号)
同
(第一〇八二号)
同
(第一〇八三号)
同(第
一〇八四号)
林野行政機構改革に関する陳情書
(第一〇八五号)
同外四件
(第一〇八六号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
急傾斜地帶農業振興臨時措置法案(坂本實君外
四十六名提出、衆法第二一号)
主要農作物種子法案(坂田英一君外二十三名提
出、衆法第二三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/0
-
001・松浦東介
○松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/1
-
002・小林運美
○小林(運)委員 この際私は議事進行について委員長の見解を求めたいと思うのであります。最近本委員会におきましては、重要な法案がたくさん出ておりまして、また議員提案の法律案も相当出ておりますが、先般もあつたことでありますが、われわれ各党の委員がそろわないうちに議決してしまうというようなことがしばしばありまして、かようなことは本委員会の運営上非常に遺憾なことと思いますので、委員長は今後こういうことをやつて行かれるかどうか。われわれ委員として非常に不満足でありますが、その点を十分お考えの上ではつきり言明を願いたい。
それからもう一つは、委員会の開催についてでありますが、與党の方でもいろいろ問題はあると思います。またわれわれも各党において各案件について党内で話合いをしなければいかぬことも相当ある。これは與党、野党を問わず同じことだと思う。しかしそういうような場合には、一応われわれに諮つて了解を求めてやるのが委員会の運営上いいとわれわれは考えておるけれども、そういう点が非常にルーズになつておる。こういう点、委員長はどんなふうにお考えになるか。一応委員長の見解をただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/2
-
003・松浦東介
○松浦委員長 小林君の御質問に対して私の気持を申し上げます。むろん本委員会は最初に私がお約束申し上げましたように、民主的なかつ円満な委員会の運営をいたしたいと思いまして、私といたしましては日夜最善の努力をいたしておるつもりでございます。また各派を代表いたしますところの理事会というのを尊重いたしまして、随時理事会を開きまして、その運営の御相談をいたしておるつもりでございますが、至らざる点につきましては今後十分気をつけて善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/3
-
004・小林運美
○小林(運)委員 あなたの今おつしやつたことはいいんですけれども、それが実行されない。たとえば委員長就任早々われわれと約束したことは、委員会は大体水、木、金の三日を原則としてやりたい、この原則は原則として認めます。それ以外に理事会も正式に開かずに、かつてに予定以外の日に開いてしまうというようなことがあつた。そういうような点も実行をしておらない。あなたがそうおつしやつても実行しなければ何にもならない、その点も十分ひとつ気をつけてもらいたい。理事会もなるべく正式に開いてもらいたい。かつてに二、三の人が急に理事会をやる。いろいろ都合があつて出られない、やはり時間をきめて公報にしるしたのをもつて正式な理事会とわれわれは考える。しかしわれわれがここにみな出席しておるときには、随時開いてもかまわない。出席してないときとか、あるいはおしまいにちよつとやつて、それをもつて理事会だというようなことは、これはりくつを言えば理事会になるかもしれないけれども、それは議事の運営上非常によろしくないと思う。こういう点を委員長は十分考慮してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/4
-
005・松浦東介
○松浦委員長 ただいまの小林君の御意見でございますが、私も重々その点については気をつけておるつもりでございますから、特に各党を代表なさる理事諸君におかれましては、ひとつ十分その点私を補佐する意味において、事前に御注意なり何なりを承りたいと思います。
まず主要農作物種子法案を議題といたし、審査に入ります。まず本案の趣旨について提出者の説明を求めます。坂田英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/5
-
006・坂田英一
○坂田(英)委員 主要農作物種子法案について、提案理由の説明を申し上げます。
米麦等主要食糧の増産をはかり、国内においてその自給率を高めますことが、わが国の自立の基礎條件であることは申し上げるまでもないところであります。従いまして施策の重点が米麦の増産に集中されていることは当然でありますが、米麦の増産のためには、優良な種子を確保し、これを普及するということが根本的な方法であると存ずるのであります。しかしながら米麦の種子につきましては、需要者が極度に現金支出をきらう農家であり、しかも自家採種ができますので、優良な種子の導入が増産の要締であることを知りながらも、自発的にこれを行つていないというのが実情であります。一方優良な種子を生産するためには、特別の技術と管理が必要とされ、その生産費が一般の米麦と比較しておのずから高くなるにもかかわらず、その収量は一般米麦に比して低位にありますので、その種子は高価なものとなり、かくては農家の需要の減退するのは自然の理であり、従いまして、優良な種子の栽培、普及はとうてい望み得ないのであります。ここに国または地方公共団体がその生産と普及について特別の指導ないし助成を行う必要が生じて来るのであります。
歴代の政府においても、このことの重要性にかんがみ、つとにこれら種子の生産及び普及事業のための助成と指導をいたして参つたのでありますが、その施策は必ずしも一貫性を持たず、さしたる効果を上げ得なかつたのであります。
御承知のごとく優良な種子を確保するには、単なる種子の現品検査をもつてしてはとうてい実効を期しがたいのでありまして、圃場において栽培中の農作物につき出穂、穂ぞろい、成熟状況等について審査を行い、優良な種子としての適否をあらかじめ判定する制度を確立し、農民が安んじてこれら圃場において生産された種子を導入し得るような態勢をととのえることが肝要であります。これと同時に、圃場経営者に対しては勧告、助言及び指導を行い、当該圃場産の種子用米穀の供出免除の措置を考慮し、あわせて財政的援助を行つて初めて優良な種子の生産確保並びにこれが普及の効果を期し得るのであります。かかる優良な種子の生産、普及に関する国、都道府県の指導助成の基本方針を確立し、これが制度の恒久化をはかるために今回ここに本法律案を提出したのであります。これが本法律案を提出した理由であります。
以下法律案の主要な内容について概略御説明申し上げたいと存じます。まず第一は、生産普及の対象となつている種子は、稻、大麦、裸麦及び小麦の種子であるということであります。さきに申し上げました通り、米麦はわが国農業の基本的作物であり、国民食糧の根幹であり、その優良な種子の生産確保並びにこれが普及はきわめて大切なものであるにもかかわらず、蔬菜類のごとく他花受精するものを自家採取すれば、発芽直後より著しい異型退化の現象を呈するのでありますが、稻麦等については、いわゆる自花受精いたしますため、自家採種が行われ、優良な種子の生産及び普及が最も行われがたいものであります。さりとて稻麦等も毎年自家採種すれば、遺伝因子の分離、一部自然交雑等によつて、種子は品質、生産力ともに低下して参りますので、過去の試験成績によつてみても、最小限度一年おきに專門的に採種した優良な種子と更新をする必要があるのであります。従つて本法律案に、いわゆる種子とは米麦の種子をいうのであります。
第二に、優良な種子の生産を確保いたしますために、都道府県は、種子の生産圃場を、指定種子生産圃場として指定し、指定を受けた者に圃場審査を受けることを義務づける一方、国はその経営に要する経費の一部を補助し、その生産費を補償することによつて、一般農民が等量の米麦でもつて、優良な種子と交換し得る道を開き、もつて優良な種子の普及をはかろうとするものであります。なお、指定種子生産圃場において生産された米麦については、別途食糧管理法に基く供出の免除を行う方針であります。
第三に、ただいま申し上げましたように、指定種子生産圃場については、都道府県の圃場審査を受けるべきことを、その経営者に義務づけたことであります。優良な種子であるかどうかの判定は、もみについてだけ検査を行つても十分にこれを確認することは困難であり、かつまた農産物検査法による検査は、種子としての合格、不合格を判定することを目的としたものでないのでありまして、どうしても立毛について公的機関が別個に審査して、将来種子として適格であるかどうかを認定するとともに、優良な種子の生産のために、必要な指導を加えることが肝要なのであります。これが圃場審査を義務づけたゆえんでありまして、圃場審査に合格いたしましたものに対しては、圃場審査証明書を交付いたすことになつておりますので、その圃場において生産された種子は、一応優良な種子として、農民が安んじてこれを使用し得ることと相なるのであります。
しかして、これら指定種子生産圃場において使用すべき種子を供給するために、いわゆる都道府県において原種圃を経営することとし、これらの府県に対して国が所要経費の一部を補助すべきものとし、優良な種子の供給をはかることといたしたのであります。
第四に、優良な種子の生産を確保し、さらにこれら種子の使用を農家に普及させるために、都道府県、市町村、種子の生産者等に対して必要な勧告、助言及び指導を行うべき義務を課し、これに要する経費の一部を国が補助し得ることとしたのであります。
以上のような措置を恒久的に制度化することによつて、米麦の優良品種の確保をはかり、食糧増産という国家的要請に答えんとするのが、本法案の骨子でありますので、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御賛同を得られますよう切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/6
-
007・松浦東介
○松浦委員長 本法案に対する質疑は、次会よりこれを行うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/7
-
008・松浦東介
○松浦委員長 引続きこれより急傾斜地帶農業振興臨時措置法案を議題といたします。御質疑なり御意見のある方は、発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/8
-
009・竹村奈良一
○竹村委員 まず私は、提案者にお伺いいたしたいのでございます。この措置法の第二條でございますが、第二條で、急傾斜地帶を定めるのに、政令に委任しておるわけでありますが、そこで「政令で定める基準以上」こう法文の中にあるが、この急傾斜地帶を定める基準は一体どういうところに置こうとするのか。單に政令に一切を委任してしまつて、その点を明らかにされておかないと困ると思いますので、一体その基準というものは、どういうところをもつて基準とするのか、その定める基準の基礎をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/9
-
010・坂本實
○坂本(實)委員 いわゆる急傾斜地帯というものの基準でありますが、この第二條にも明らかにいたしておりますように、土地の傾斜度と土壌の浸蝕度というものを一応基準に置くのでありまして、土地の傾斜度につきましては、いろいろ御意見もあろうかと思いまするが、提案者といたしまして一応予定いたしておりますものは、おおよそ二十度くらいのものを予定いたしております。さらにまた土壌の浸蝕度ということでありますが、これはいろいろの観点から技術的に研究される問題であろうと思いますが、地質の関係とか、あるいはまた地勢の関係とか、あるいはまた台風の頻度というようなものを一応基準に置くべきものであろう、こう考えております。これらの点につきましては、いろいろ技術的にこれは検討しなければならぬ問題が残つておると思います。さらにまた、この傾斜度なりあるいは土壌の浸蝕度の、これらの特殊な地帶は、つまりその後段におきまして、これらの地帶におきます農業労働力というものは、非常に過重なものになつておるということであり、かつまたそれが集団的に存在する地帶である、こういうことであります。従つてこの集団的な広さをどれくらいに見るかということにつきましても、いろいろ見解があろうかと思うのでありますが、ただいま申し上げまするような点で、ひとつこれは政令で、いろいろ技術的にもまた実際的にも研究いたしましてそうしてきめて行く、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/10
-
011・竹村奈良一
○竹村委員 大体急傾斜地帯を二十度の傾斜地帶ということを基準として定める、この点は明らかになつたのでありますが、そこで伺つておきたいのは、大体二十度の急傾斜地帶ということになりますと、全国において相当厖大な数になると思うのであります。これは大体全国の耕地の何パーセントにあたるものであるか。たとえばこれに対するところの法律が制定せられますと、もちろん予算的な措置が伴わなければならないことになりますので、その点を明らかにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/11
-
012・坂本實
○坂本(實)委員 お答えをいたします。農林省におきましてもいろいろ調査をいたしておりますので、事務当局から一応お答えをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/12
-
013・堀直治
○堀説明員 この法律に、ちようど適用するようなはつきりした調査というものは、これからまだやらなければなりませんので、正確な数字はただいままだ申し上げる段階に入つておりませんけれども、傾斜が大体十五度以上の耕地及び二十度程度以上の耕地について調べました結果によりますと、十五度以上の畑地の傾斜につきましては、全国で約四十九万九千町歩あるわけでございます。この畑地の平均は一八・五%に相当いたしております。このうち二十度以上に相当すると思われますものは、全国で、畑で十三万三千百二十町歩でございまして、これは六・一%に相当いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/13
-
014・竹村奈良一
○竹村委員 そういたしますと、傾斜地というものの基準を十五度以上にするのと二十度以上にするのとは、これに浴する畑地の開きというものが相当大きいと考えます。十五度以上にするのと二十度以上にするのとは、三分の一以下になると思いますが、二十度以上にしたならば、全国でこの法律の恩恵を受ける者は非常に少くなると思うのでありますが、政令において十五度以上に改めるような考えがあるかどうか、これを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/14
-
015・坂本實
○坂本(實)委員 提案者といたしましては、特に急傾斜地帶と法案の名称もいたしたいのでありまして、今お話がありましたように、十五度以上をとりますれば、相当広い範囲のものがこの法の適用を受けるということになろうかと思いますが、そこらの限界の決定はきわめて問題であろうと思うのでありますが、国会等におきまする御意思等もあろうかと思いますので、これらの点は十分御意見のありまするところは尊重して、それぞれ農林当局の方にも指示いたしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/15
-
016・竹村奈良一
○竹村委員 引続きまして第十條についてお伺いいたしたいと思います。この第十條では、「農業振興計画は、左に掲げる事項を含むものとする。」こういうことになつておるのであります。そこで私の伺つておきたいのは、その一の「農地の保全及び改良に関する事項」これといわゆる農業委員会との関係は一体どうなるのか。それからもう一つ、その三の「農業技術の改良及び農業経営の合理化に関する事項」というのが入つておるのですが、これは改良普及所なんかとの関係は一体どうなるのか。それからもう一つ、四では、「農畜産物の加工、販売その他処理についての共同施設に関する事項」これは町村の協同組合等との関係は一体どうなるのか。こういう点は農林省からでも、提案者からでもけつこうでございますが、こういう関係についてひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/16
-
017・堀直治
○堀説明員 ただいまの農業振興計画については、急傾斜地におきまして一番問題となりますのは、農地の保全及び改良であります。保全の方法その他については、前から相当問題になつておりましたが、この法律によりますと、おのおのの地区について、その地区で最も適当な方法を計画いたしまして、それを内容といたすということでございます。次の第二項の農業用道路につきましては、急傾斜地には道路がないために、非常に農業経営上の支障を起す場合が多く見受けられるのでありましてこれの計画を立てるということでございます。いずれもこれは土地改良法にも関係があることでございまして、場合によりましては、土地改良法に準拠してやつ行くということになります。ものによりましては、農業委員会その他においても、そういうような計画がはかられていることもございますので、その間の運用は、つまり農業委員会を通す通さんということは、その地区々々によつてかわつて来る問題であろうと思つております。第三、第四の問題につきましては、いずれもその地方々々の特徴がありますので、改良局あるいは出先の改良実験所ですか、今の農業試験場というようなところと相談もし、あるいは府県におきます改良普及員の忠告を入れてやつて行くということになります。農畜産物の加工につきましても、当然これも同じようにそれぞれの指導機関、国あるいは府県あるいはまた町村の指導機関の指導によつて、計画を立てて行くということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/17
-
018・竹村奈良一
○竹村委員 その点はわかるのでございますが、私の聞きたいのは、つまりこの法律によりますと、急傾斜地帶農業振興対策審議会の議決を経て、そして町村あるいは府県がこれを行うということになつておるのでございますが、この対策審議会できまつて、町村がこれを行うという場合に、先ほど申しました農地の保全及び改良に関する事項が、農業委員会と権限の関係等においてどうなるのか。あるいはまた三の農業技術の改良及び農業経営の合理化に関する事項、これも市町村あるいは審議会に権限がまかされておるのでございますが、これにはいわゆる農業の改良普及所というものを県がやつておるが、こういう関係において、一体摩擦その他のことが起らないのかどうか。あるいは四の、農畜産物の加工、販売その他処理についての共同施設に関する事項という、広汎な事項があるのでございますが、これは御承知のように、市町村におけるいわゆる協同組合がこの事項をやつておるのであります。従つて、この事項をやつているのに、また市町村が対策審議会を設けてこれらをやろうとした場合に、こういう相互関係におけるところの調節あるいは摩擦、そういうものが起らないかどうか。その点は一体どうするかということを聞いておるわけでありまして、その点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/18
-
019・坂本實
○坂本(實)委員 第四條の二項におきまして、市町村長は、農業振興計画を定めるには、あらかじめ公聴会を開いて、関係人の意見を取入れまして、これを決定して行く、こういうふうになつております。従つて摩擦は起らないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/19
-
020・竹村奈良一
○竹村委員 その場合に、大体こういう審議会ができましても、たとえばここで定められている事項は、結局協同組合なら協同組合がやるとか、あるいはその他の農地の保全及び改良に関する事項は、農業委員会が担当するとかいうことにきまりましたならば、それでいいということになるのでありますか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/20
-
021・坂本實
○坂本(實)委員 施行は、今の御意見の通りでいいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/21
-
022・竹村奈良一
○竹村委員 それではもし公聴会において、そういうところにまかせない、少くとも町村が独自にやるというようなことになつた場合は、一体どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/22
-
023・堀直治
○堀説明員 この法案におきましては、農業振興計画を立てることはきめてありますが、それの実施に関しましては、それぞれの機関にまかせてやるようになつておりまして、公聽会その他で、ただいまお話のように市町村がやるということになれば、それは市町村が当然やらなければならぬと思いますけれども、それもおのおのの義を通じて実施するということになるので、その点の摩擦はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/23
-
024・竹村奈良一
○竹村委員 私はその点はつきりしておきたいのでございます。もちろん摩擦は起らないと思いますが、起つた場合において、市町村がこれを独自に行うということになりますならば、起らないといつても、現実にやつておる団体、たとえば農産物の加工、販売その他の処理についての共同施設を協同組合が持つておるといたしますならば、摩擦は起らないでありましようけれども、やはり問題が起つて来ると思うのです。そういう調節をはつきりどつかで指示する必要があるのではないか、こういうように思われます。その必要はないと考えられるならばそれでもいいわけでありますが、しかしやはり問題は残るということだけは考えて実施しなければならぬと思うのです。
もう一つ聞いておきたいことは、一体これに対する本年度を通じての予算というものはどれくらい持つておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/24
-
025・堀直治
○堀説明員 この急傾斜地帶の予算案でありますが、二十七年度において決定されております予算は、土壌保全対策費といたしまして千九百五十七万三千円でございます。そのほかに農道の開設、改良費といたしましては、ただいま大蔵当局と折衝中でございますので、まだ決定にはなつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/25
-
026・竹村奈良一
○竹村委員 そういたしますと、予算面から見ますと、これは単独立法として出されておりますけれども、いわゆる土壌の改善を行うというので、一般的に食糧増産費の中に入つているものを、一応こういう単独立法をこしらえてそこへまわすということになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/26
-
027・坂本實
○坂本(實)委員 ただいま説明員から説明申し上げました通り、土地改良事業費の一部にこれが入つておるのでありますが、これでは非常に不十分である。従つて単独立法をつくりまして、さらに予算もより多く確保いたしたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/27
-
028・竹村奈良一
○竹村委員 それで当然この法律をつくらなくても、結局土地改良費に土壌の問題としてもうすでに千九百五十七万ですか、それが含まれておりまして金が行く、こうなつておるわけです。ところが今の説明で行きますと、それはそれとして、今度とにかく新しく予算を獲得するためにとおつしやるのでありますが、それでは今度追加予算等を組むことを予定しておられるのでございましようか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/28
-
029・坂本實
○坂本(實)委員 この立法が通過いたしまするならば、なるべく早い機会に予算の要求をいたしたいと考えております。もちろん補正予算等の際にはただちに取上げてもらうように促進いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/29
-
030・松浦東介
○松浦委員長 足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/30
-
031・足鹿覺
○足鹿委員 お伺いいたしたいことは、第二條の「過重な労働を必要とする」といういわゆる法の定義についてであります。過重な労働というようなきわめて抽象的な漠然とした言葉が使つてありますが、これはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/31
-
032・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 「過重な労働」とお説のようにきわめて抽象的に表現されてはありますが、今の竹村君からの御質疑にもありましたが、傾斜度を幾らにするかということは大体提案者側では二十度以上という考えを持つておりまして、そして高いところは標高四百メートルくらいになるのであります。それで收穫物、肥料、農耕資材などの運搬は、牛馬も車も全然使えないのでありますから、全部人の肩によつて運搬されておるのでありまして、普通の人ではステツキ一本持つて上りおりしてもなかなかできないところを、しかも荷物を持つてやつておるのでありますから、必然的に過重労働になることは免れないのであります。これがこの急傾斜地帶における一番大きな問題になつております。また一方においては、平坦地と比べて何ら科学的な施設がないのでありますから、数倍の労力を要して、いわゆる労働生産性というものが平地に比べて非常に低いのであります。低い上に今言う道路はないし、運搬機具はないし、この過重労働が免れぬのがこの急傾斜地帶の特異性であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/32
-
033・足鹿覺
○足鹿委員 薬師神さんの御説明で大体わかつたわけでありますが、そうしますと過重な労働というものの判定は、牛馬車その他農機具は用いられないので、人力をもつて肥料の運搬あるいは收獲物の運搬その他生産に必要ないろいろな仕事をする場合を大体漠然とさすわけで、ほかには何もないわけですね。その辺が、今後の指定を行つて行く場合には、必ずこういう抽象的な言葉では問題が起きると思うので、はつきりしておいていただかないと困ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/33
-
034・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 お説の通りに非常に抽象的ではありますが、この過重な労働ということは傾斜度によつて非常に違うわけでありまして、十五度くらいの傾斜面と五十度以上に上る所とではたいへんに違うわけであります。この過重労働の度合いというものも傾斜度によつて判定しなければならないし、また農道とか索道とかいうものの設備ができて来れば、そういう過重労働は解消し得るわけでありまして、はなはだ抽象的のようではありますけれども、これをはつきりした言葉で表現することは私は不適当ではないかと思うのであります。大体二條の過重労働という問題と、もう一つは、つまり非常に労力を要して労働生産性の低いという問題を改良しようとするのがこの法律の主目的と私たちは考えているわけであります。そういうように御了解を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/34
-
035・足鹿覺
○足鹿委員 大分はつきりして来たのですが、たとえばこの過重な労働を特に軽減して行くために農道を施設するという一例がありました。私も愛媛県のあの急な段々畑の実情はよく知つておりますが、あのように農道だけをもつてしてはとうてい解決のつかないような地帶が全国にたくさんあります。そこら辺になりますと、判定上非常にむずかしい問題が私は出て来ると思うのです。農道をつけても人間が上りおりするのに便利になるだけであつて、生産物や肥料やその他のものを自由に運搬するには至らない場合もあります。従つてこれは千種万様であり、非常に漠然とした言葉を使つておいでになる。これをはつきり規定することは困難でありましようが、この解釈についてはきわめて弾力性のある解釈をおとりにならないと、これは地域指定の問題あるいは地帶指定の問題でいろいろな問題が発生すると私は思うから御質問申し上げておるわけであります。この点については、これを一律のものでもつて條件づけて行くというような御意思はありませんでしようね、その点もはつきり伺つておけば幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/35
-
036・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 ちよつと今の足鹿委員の御質疑の一律云々ということをもう一度おつしやつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/36
-
037・足鹿覺
○足鹿委員 これは提案者はいろいろとよくのみ込んでおいでになるでしようが、しかしこれを行政官が執行して行きます場合には、いろいろな過重な労働等については一体どうお考えですか。またさらにこの定義の具体的條件とかいろいろなもの考えられると思うのです。
〔委員長退席、平野委員長代理着席〕
そうしたときに、ある諸條件をこれにくつつけて、それに欠くるものは該当しないというようなことが往々にしてあるのです。そういうことがなければ、いわゆる弾力性のある解釈として、今あなたがおつしやつたように、荷馬車あるいは牛馬車その他で運搬ができないような所というような解釈で、いわゆる事務当局の間においてもある程度話合いがついておれば、私はそれでよろしいと思います。これは執行していろいろな問題が起つて来るとややこしくなつて来る、そういうことを言つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/37
-
038・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 今の足鹿委員の御説私ももとより同感なのであります。何しろ今の農道の問題にしても、これまでの農道の問題が取上げられておりますが、これはほとんど平坦地に限られておると言つてもよいくらいな状態であります。これまでの農地改良は、用水にしろ排水にしろため池にしろ、ほとんど平坦地の施設であるのであります。この急傾斜地帯の住民というものは、ほとんど宿命的なものとしてこれまであきらめを持つておつたのでありますが、たまたま戦時中から食糧の供出問題あるいは税金の過重問題が伴つて来て、これではやりきれないという住民の認識が忽然と起つて参りまして、これは二十四年私が農林委員会におります当時に、委員会へも委員派遣を懇請いたしまするし、なお農林当局も実地についてこれを調査いたしまするし、学界からも調査に出て来るし、GHQの方からも調査をされまして、今日では一般の認識というものが非常に強くなりまして、こういう法案を提出する運びになつたのでありまして、まる三年を要しておるわけであります。それで先ほど申し上げましたように、法案の内容としては、過重な労働を必要とするということは非常に抽象的な問題でありまして、私たちも同感なのであります。これにかわるべき表現の方法があればと思つて、いろいろこちらも考えてみたわけでありますし、また法制当局ともいろいろ相談したのでありますが、なかなか適当な文句がみつからないので、こういう抽象的な文字を使つておりますけれども、実際問題としては、何ゆえに過重かという問題の尺度というものは、この傾斜度によつて非常に差異があるわけであります。今言つた農道の問題で私たちが一例として考えておることは、平坦部における農道とは違つて、標高の高い所などは環状的に、鉢巻式に一つの農道をつくつて、それから簡易な索道をつくつて、そこへ収獲物を寄せてそれから下におろす、こういうようなことも考えられておるわけであります。標高の高い所、四百メートル近い所までリヤカーをひつぱれるくらいの農道をつくることは容易な問題ではありませんから、また急傾斜地帶にそういうものを全面的にやるといつたところで、予算が伴うわけではないのでありますから、その特異性を見て、そういう標高の高い所は、下から荷物を運ぶというよりはむしろ環状的な農道をつくつて、そこへ収穫物をできるだけ寄せて、そして簡易な索道でおろす、こういうことも一面において考えられておるわけであります。これは場所によりますれば、むろん農道をつけて馬車なりあるいは六八、三輪車なりを使用し得る所もあるのでありますが、これも予算とにらみ合せなければならぬのでありまして、いろいろ特殊な施設をやりたい所はありますけれども、今申し上げたような点においてはなはだ足らぬと思いますが、御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/38
-
039・足鹿覺
○足鹿委員 いろいろむずかしい問題のようでありますし、実際急傾斜地帶の農民は非常な苦労をしておりますから、よくわかるのでありますが、地帯なり地区を指定する際にこれが物議をかもさないで、こういう法律をつくる以上は、できる限り広く解釈をして行くべき性質のものである。あまりこれらにいろいろな條件をくつつけて適用の範囲を狭めることのないように、よく今後の施行上において留意を煩わしたいというのが私の真意であります。
それから第二に伺いますが、「過重な労働を必要とする農地」農地という言葉で表現してありますが、先刻の課長のお話によりますと、十五度ないし二十度の畑地が四十九万九千町歩あるというお話でありましたが、この農地は畑地のみをさすのですか。段々畑はその程度の差こそありますが、山村に行きますと水田の場合はこれに該当する地帶は相当私はあるのではないかと思うのです。先刻の説明員のお話で、畑地の例をお引きになりましたので若干疑問がありますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/39
-
040・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 この問題は畑地に限定しているわけではないのでありますが、この法案の中心になります一つの問題として、エロージヨンの問題があるのであります。結局表土の流亡の問題でありますが、これは畑地においては傾斜度の強いほどエロージヨンの現象が起つて来るのでありますけれども、たんぼにおいてはこの問題がないのでありまして、また大体水田であります所は、こういう田畑式のものがたくさんありますが、ある所ではある程度までは牛馬耕が伴い得るものが大部分を占めておると思うのであります。それでこれを除外しておるわけではないのでありますが、面積からいつても畑の方がはるかに広く、またそういう関係で中心の問題でありますエロージヨンの問題については、畑地とか違つた関係がありますので、その点は別にここに区別をしているわけではないのであります。御了承願いたいと思います。別に畑地にたんぼを除いているわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/40
-
041・足鹿覺
○足鹿委員 了承しました。農地は畑のみに限定しないというはつきりした御答弁でありますから、これ以上申し上げません。
次に「農地が集団的に存在する地帶」という言葉を使つておりますが、集団する地帶というのは、その範囲はどういうものでありますか。これは積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法で地帯を指定しおります際にもしばしば問題が起きているのであります。そして法三條においては地区という言葉が使つてある。地帶と地区というものの範囲、その解釈はどういうふうに考えられておるのでありますか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/41
-
042・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 集団的に存在する地帯ということも、またきわめて抽象的な表現でありまして、つかみどころがないようでありますが、これは提案者の側においても意見のわかれる点がまだあるのであります。たとえば面積を基準としてこれを取上げる場合においても、集団しておるのが十町歩を單位とするか、あるいは二十町歩を単位とするか、五十町歩を単位とするかという問題が具体的には起つて来ると思うのであります。急傾斜地帶の分布状態は、九州にも一部分ありますし、瀬戸内海が最も典型的なものであり、四国四県、兵庫県、和歌山、静岡、神奈川という方面が非常に多いのでありますが、私たちの考えからすると、これは私の考えでありますが、単位十町歩とか二十町歩とか集団的に単位を面積できめるということが妥当であるかあるいはその村なり郡なりあるいは県なりの全耕地に対する急傾斜のパーセンテージによつてこれをきめるべきか。たとえば具体的に言えば、全耕地が一万町歩あれば、その五〇%以上の急傾斜地帶であるということ、あるいは全耕地の五〇%しか急傾斜地帶がない所とか、これは單に反別できめるというわけには行かない。金をわけるなら一反歩でものはることはできると思いますが、施設を加えるということになると予算が伴わなければならぬのでありますから、どこに重点を置くか、どこに基準を置くかという問題は、結局今の全耕地に対する急傾斜の比率の問題が一番の中心とならなければならないのではないか。農民の立場を考えるときには、私はそういう気持もするのでありますが、それらは農林省が実際に計画を立てる場合において、十分検討さるれるようにいたしたいと思うのでありまして、この法案の中にはそのはつきりした線を出しておりませんけれども、そういう考え方が成り立つわけだと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/42
-
043・足鹿覺
○足鹿委員 考え方としてはそういう考え方はわかりますが、現実に二條と三條に、地帶という言葉と地区という言葉、あるいは地区の一部または全部というような言葉が出て来ておるのです。従つて藥師神さんはそういうお考えであるかもしれませんが、やはり行政を執行して行く事務当局については、おそらく何らかの御意見があろうと思つておるのですが、この執行については大体農林省のどの部局が担当するのですか。こういう問題はここで軽率な審議をしておきますと、先で必ずつかえて来るから、その点は明らかにしておかなければならないと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/43
-
044・野原正勝
○野原政府委員 この扱い方につきましては農地局に扱わせるつもりであります。農地局の中ではいろいろわかれておりますけれども、仕事は開墾建設の関係が多いだろうと思います。なおその他いろいろ関係のある課全部が内部で仕事の分担を一応きめたいと思いますが、まだ具体的な問題はきまつておりません。今後法案が成立しました場合は、それに対応した態勢を十分整えて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/44
-
045・足鹿覺
○足鹿委員 先刻の資料では畑地四十九万九千町歩、二十度以上十三万三千百二十町歩というお話でありますが、該当水田はほかにどの程度ありますか。それと今お話になつた資料の出所を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/45
-
046・堀直治
○堀説明員 水田につきましては、大体十度以上と目されるものが二十八万四千八百十六町歩、これのパーセンテージは、水田に対しまして九・二%に相当いたしております。それから二十度以上と目されるものは、水田におきまして一万三千六百八十一町歩でございまして、〇・五%に相当いたしております。これが資料の出所は、昭和十七年一月一日現在で、前の帝国農会が調査をいたしました数字に準拠いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/46
-
047・足鹿覺
○足鹿委員 政府の責任ある資料とは言いかねるわけですな。帝国農会が調べたものでおやりになつておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/47
-
048・堀直治
○堀説明員 その通りであります。先ほど申し上げたように、正確な調査は今のところまだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/48
-
049・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと今まで御質問申し上げた点で、こういう重要な法案が提案者と行政執行部の間に十分な御連絡がないような印象を私どもは受けて、非常に遺憾に思うのですが、その点については十分御連絡になつておりますか。これは農地関係で御担当になるようであります。そういたしますならば、これは大きな農地行政の一つだろうと思うのです。この法案自体に対してとやかく言つておるのでありませんが、この執行については非常に大きな問題だろうと思うのですが、農地局長もおいでになつておらないし、資料は古い帝国農会、いわば今から十年前ですか、かびのはえたような資料でおやりになつておる。私どもは実に意外千万、聞いて驚いたわけですが、その点は実際自信があるのですか。何か非常にたよりないような感じを受けるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/49
-
050・堀直治
○堀説明員 ただいまたいへん古い資料でお叱りを受けておるのでありますが、目下農地局におきましても土壌保全関係あるいはその他のことで土地改良地区の面積を調べてはおります。ただ調べておりますけれども、全国一様な條件のもとで調べた数字がまだまとまつておらないものでございますから、やむを得ず古い資料の数字を申し上げたわけであります。しかしこの古い資料も、その後戦時、戦後を通じまして、多少農地の改廃もありまして、幾らか相違する点はあるようでありますけれども、大体の傾向といたしまして御説明申し上げるのには十分だという考え方で、今数字を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/50
-
051・足鹿覺
○足鹿委員 地帶というものの概念と、地区というものの概念とは、面積では区切らないというお話がさつきありましたが、大体どういうふうに違うのですか、その点はもう少し明らかにされた方がいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/51
-
052・堀直治
○堀説明員 地帶と申しますのは先ほど薬師神先生からお話がありましたように、大体急傾斜地を非常に多く含む、たとえばパーセンテージでいえば三十パーセント以上とか五十パーセント以上ということになりますが、そういつたふうに多く含むという考え方のところを地帶と申しまして、その中で一つ一つの区域を限りまして仕事を進めて行くという考え方から、その地帶に含まれた区域については農林大臣が指定する、こういうふうになつておるわけで、ございまして、一地区々々々について指定するというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/52
-
053・足鹿覺
○足鹿委員 そういたしますと、地帶というものは農林大臣が指定しますが、大体県単位でありますか。さような農地が集団的に存在しておる場合は、府県の行政区画等にこだわらないで、農林大臣は指定して行くのでありますか。この点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/53
-
054・堀直治
○堀説明員 農林大臣が指定いたします場合には、府県の全部であるか、あるいは府県のうち、單位は大体郡になると思いますが、郡までを単位として、何郡をその地帶とするというふうに区域を指定して行きたいと思つております。それから県におきまして実際に計画を立てます場合には、市町村及びその市町村の一部について指定するというふうになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/54
-
055・足鹿覺
○足鹿委員 これ以上は少しくどくなるようでありますから、私はまだいろいろ疑義がありますが、第二條の質問はこれでやめます。
第三條から第九條まで、第十二條から第十五條までは積寒法に準拠しているというようにいつてあります。すなわち振興計画の問題であるとか、その他指定に至る善後措置といいますか、そういつたようなことが言つてあるようでありますが、特に目立つて積寒法と違いますのは、このような地方住民が非常に恩恵を受けるか受けないかというような判定をして行くまた推進をして行く審議会に、積寒法の場合には衆参両院の国会議員が委員の中に加わつております。これはわれわれが当初もらつた資料には載つておつた。ところが今度本提案になつたものには、はつきりとこれが削除してある。その削除された理由はどういうわけでありますか。積寒法に準拠して行かれるならば、積寒法の適用面積は広い。これはそれよりも狭いというふうなことではなしに、法案そのものの持つ重要な意義からいつて、何ゆえに国会議員を削除しなければならなかつたか。その経緯なりお考えをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/55
-
056・坂本實
○坂本(實)委員 お答えを申し上げます。国会議員は国権の最高機関であるという立場からいたしまして、このような審議会に、その席を連ねますことは、むしろやめて、そうしてその審議会等においてできたものをさらに国政全般の立場から見るべきが妥当ではないかというような意見からいたしましてこの法案の中では削除いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/56
-
057・足鹿覺
○足鹿委員 多分さようにおつしやるだろうと思つておりました。そうしますと積寒法には国会議員のあることは、これは矛盾ではなくして、今後は新しいこういう考え方でお取扱いになつて行くという政府のお考えでありますか。坂本さんのお考えもわかることはわかるのですが、一方におきましては、国会議員がはつきり載つておる審議会もたくさんあります。必ずしも国権の最高機関であるがゆえに除かなければならぬということは、これは表向きの理由としては通りましうよが、しかし実際上においてかような法案を推進し、また予算的措置を確保して行くというような面については、また別個の点から意義もあろうと思います。またほんとうに地方住民の意思が国会議員を通じて、いわゆる官吏やその他いろいろな人たちの口を通じては言えないようなことが、議員としての立場からさらに述べられる場合もあります。長所もありましようし、短所もありましよう。私はさような坂本さんの一般論では納得の行かぬ点があるのですが、農林省もさようなお考え方でありますか。この点をひとつ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/57
-
058・井上良二
○井上(良)委員 関連してついでに聞いておきたいのです。もし国会議員をかくのごとき審議会に参加させて弊害が生ずるというようなことが、たとえば積寒法の場合、現実にありましたか。現実に積寒法の施行にあたつて、国会議員が審議会に列席することによつていろいろな弊害が生じておるというような具体的な事実があつて、この委員会には参加させない方がいい、こういうことになりましたか。そこらの点を明らかにしてもらいたい。
それから六号から八号まで、これらはいずれも当該の地区及び地帯を設定し、またはその農業振興計画に重大な権限を持つておられる方々をこれらの委員にしておるということであります。もし市町村会議長あるいは市町村長、都道府県会議長、こういうものが急傾斜地の地帶のものから選ばれた場合、これこそ弊害が生ずるのであります。これこそ問題を起すのであります。これは全然そういう地帶に関係のない公平な第三者の議長なり市町村長なりを選ぶというならば別でありますけれども、どうしても事態をよく把握し、事態をよく審議する必要から、当該地帶の市町村長、議長を選ばれる危険が非常に多いのであります。これらの者こそこの審議会から除くべきであります。それをどういうわけでかくのごとき者を入れたかということを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/58
-
059・平野三郎
○平野委員長代理 ちよつと申し上げますが、この審議会に国会議員が入るか入らぬかという問題が今足鹿君から政府にお尋ねがありましたが、これは国会みずからきめるべきことであつて、政府に関係がないことですから、提案者からお答え申し上げるのが妥当だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/59
-
060・坂本實
○坂本(實)委員 積寒法に規定いたしております審議会に国会議員が参加しておりますが、この法律では、これを削除いたしました。積寒法の場合に国会議員が入つておつて、何か欠点があつたというような意味ではございません。この法律はこの法律という立場において案は規定をいたしたのであります。
それから関係市町村長あるいは県会議長等を入れることは、あまりにも関連が多いので、やめたらいいじやないかという御意見でありますが、これは農林大臣が任命をするということになつておりますけれども、十分御意見のところは尊重いたしまして、さようなことがないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/60
-
061・足鹿覺
○足鹿委員 最後にもう一点お伺いしておきたいと思います。第十條に関連してですが、非常に大げさな表現がしておるのです。いわゆる土地生産の基礎條件を整備して行くということが、流れておる根本なのですが、表現してありますことは非常に大きくなつている。そしてそれを達成して行くために急傾斜地帯の農業振興計画をつくらせるということをこの法案は規定しております。これは積寒法も同様でありますが、どうも積寒法の例から考えてみますと、振興計画というようなものは当局で非常に軽く扱われている。町村が懸命の努力を拂い、現地において一生懸命つくつた振興計画というようなものが、若干のフアクターとして取扱われるにすぎない。事実私どもはこの点非常に遺憾に思つている。これは予算の関係とかいろいろやむを得ない点があろうと思いますが、この法案にもまたまた農業振興計画というものをつくることを規定しておりますけれども、振興計画の樹立の仕方、その内容のおもなる点、またこれをどの程度ほんとうに取上げて行かれる考えでありますか、これは積寒法の場合から私はしみじみ感じておりますので、特にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/61
-
062・坂本實
○坂本(實)委員 農業振興計画を樹立いたします際に、いろいろ厖大な資料を作成するために時間がかかり、あるいはまた費用を要するというようなことについては、いろいろ過去の実例があるのであります。私どもといたしましては、もちろん予算の関係等もありますので、今ここに農業計画の内容として四項を列記しておるのでありますが、順次第一次にはこれをやる、第二次にはこれをやる、第三次にはこうするというふうに段階を設けてやることが一番妥当ではないかと考えております。たとえば第一項における農地の保全及び改良に関する事項、あるいはまた第二項の農業用道路の整備その他過重労働の軽減に関する事項というような問題をまず取上げ、それからさらに三項、四項の問題に行くというように、総合的に何もかも取上げるというような計画の立て方をすることをやめて、重点的に計画を実施してやつた方がいいのではないかと考えております。そしてなるべくむだのないようにいたしたいと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/62
-
063・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、積寒法の場合は五箇年の臨時法でやりましたが、この場合期限はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/63
-
064・坂本實
○坂本(實)委員 ただいまの期限の問題でありますが、これはさきに特殊土壌地帯の法案が出まして、それにならつてこれを五箇年といたしました。従つて実はこれは正誤表を出したのでありますが、五箇年ということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/64
-
065・足鹿覺
○足鹿委員 そうしますと、大体積寒法は五箇年で、これは去年から発効しておりますが、積寒法の適用地帶とこの法の適用地帯が一緒になる場合もあると思うのです。そういう場合、両者の適用を受けたその地方の住民は、農業生産力の向上なり生産の基礎條件の整備には非常に優位な立場に立つというふうに解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/65
-
066・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 十分そういうふうにダブル所ができて来ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/66
-
067・足鹿覺
○足鹿委員 それについては別にどちらを優位にするということはなく、両方の法律による恩恵は十分に享受し得るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/67
-
068・藥師神岩太郎
○藥師神岩太郎君 その通りと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/68
-
069・井上良二
○井上(良)委員 私提案者ですが、かんじんなところを相談を受けておりませんので……。大体本案には全体的に賛成でありますが、この予算的処置がはつきりしない。つまり第六條の第三項に「政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、第一項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。」こうなつておりますが、そうするとこの法律がかりに国会を通過しましても、ことしの事業は予算的処置の裏づけがないことになりますか。この点はどうなんですか。事務当局に聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/69
-
070・野原正勝
○野原政府委員 一応法文の上ではそうなつておりますが、予算の許す範囲内において予算化することなのでありますから、この法案が成立しましたあかつきにおいては、できるだけ早い機会において極力この予算化の実現に努力したい。また二十八年度予算にはこの法案の趣旨を強く要求いたしまして予算化をはかりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/70
-
071・井上良二
○井上(良)委員 そうするとさいぜん課長が、一千九百七十万円という土地改良費がこれに流れ込んで来るという答弁をしていたように思うが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/71
-
072・野原正勝
○野原政府委員 その千九百何ぼの金は当然予算に組んであるものでありますから、そのままこの仕事の分に充当されて行くというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/72
-
073・井上良二
○井上(良)委員 その点が大事なんですが、さしあたりこの法案が通りますと、土地改良等に組んである土壌改良のための一千九百七十万円約二千万円は、この急傾斜地帶の農業計画に基く改良事業にまわされる金ですか。そこをはつきりしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/73
-
074・野原正勝
○野原政府委員 二十七年度予算に見てありますのは、急傾斜地対策の計画に基く以前に、すでにこうした土壌浸蝕等に対する対策として見ているわけであります。たまたまそれが急傾斜地対策の予算として使用されるということでありまして、その計画を立てた上でこれが配分されるという筋のものではなくて、すでに一千九百万円程度の金はちやんと使う準備ができて、それぞれ予算の配分が近く決定する運びになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/74
-
075・井上良二
○井上(良)委員 そうするとこの法案とは関係ない予算である、こういうことが言えないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/75
-
076・野原正勝
○野原政府委員 非常に密接な関係は持つておりますが、この法案によつてできたものではない。法案の方が遅れておりますので、一応この予算は法律に関係なしにできたものであります。しかし関係はあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/76
-
077・井上良二
○井上(良)委員 もう一度伺いますが、政府が予算に計上してあります約二千万円の土壌改良等の経費は、畑地等の土壌改良を主としてやりたいというところでこの予算が組んであつて、たまたまこの法律ができるので、そうするとこの法律に適用される部分の中に入る、こう解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/77
-
078・野原正勝
○野原政府委員 御見解の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/78
-
079・井上良二
○井上(良)委員 そうするとここで問題が起つて来るのです。問題というのは、政府は別途積寒法による公共事業経費として確かに四十五億くらいを新年度の予算に見積つておられると思う。私ははつきり数字は覚えておりませんが。そうしますと畑地方面の土壌改良その他に、この法律が通つて政府は一体どのくらい予算を必要とする見解をお持ちになつておりますか。そろばんをはじいたことがありますか。一応伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/79
-
080・野原正勝
○野原政府委員 積寒法の予算の関係は土地改良におきまして四十億円、営農改善において五億円を予定しているのでありますが、その中には当然一部が今回御提案になりました、急傾斜地の関係の地帶に土地改良等の費用として振り向けられる予算もある程度含まつていると私は考えておりますけれども、それがどのくらい入つているかというふうな具体的なことは、今はつきりいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/80
-
081・井上良二
○井上(良)委員 私の聞いておりますのは、この法律が両院を通過いたしましていよいよ実施に入るという場合、政府としては急傾斜地帶の農業振興に必要とする予算的処置はどのくらいであるか、たとえば五箇年計画でもつてやらなければなりませんが、その場合第一年度の予算は補助金としてこれこれ、金融としてはこれこれというものが全体の—先に申します十五度ないしは二十度の傾斜地帶の改良のためにこれこれのものを必要とする。こういう予算的な大体の見当をつけておかなければ、この必要な経費を予算に計上するという意味がなくなつて来るのであります。だからおよそどのくらい初年度で必要とし、全体でどのくらい見込んでいるかということです。それを伺いたい。
それから今、政務次官は、積寒法による経費が一部この法律の方に振り向けられるであろうということを言われておりますが、それはちよつとおかしいと思うのです。というのは、積寒法は積寒法に基く必要な事業計画を立てまして、それに基いて予算を要求しているのでありますから、この法律は全然問題にならぬ。そこでかりに畑地その他等についての必要な計画がございますれば、その分の何ぼ何ぼは寒冷地帶の方のこれこれの急傾斜地帶の改良事業に使うということが明らかにされませんと、実際農民の方は大きな期待を見ておりますから、予算的裏づけのない法律を通してぬか喜びさせておつたのでは、われわれの任務を果されませんから、予算的裏づけはこうなつておつて、初年度はこうなつている。さしあたり今年組んだ予算の中からもこれこれはこの方に使えるであろう。さらに本年の補正予算にはこうする。二十八年度にはこうなつて行くということを明らかにせられて、われわれは当該の関係農民に法の趣旨を徹底させる必要があります。その場合どうしても予算的裏づけというものが具体的に必要になつて来ますから、その点をひとつよくわかるように御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/81
-
082・野原正勝
○野原政府委員 この法案が通過しましたあかつきにおいては、もちろんそれに伴う予算的措置が事前に考慮されなければならぬわけでありますが、この法律がまだ二十七年度の予算編成期において準備されていなかつた。今回初めて出たわけでありまして従つて二十七年度の当初予算には、この問題は初めから考えておらなかつたわけであります。ただたまたま先ほども申しましたように、積寒法にいたしましても、あるいはまた一般の土地改良事業におきましても、政府は全国的にできるだけ多く土地改良事業をやろう、あるいはまた積寒地帶に対しても、小規模の事業等をできるだけやるということで進めておりますので、この急傾斜地の地域等が決定いたしますと、おそらくその中にはある程度ダブつたものもあるであろうということは想像されるわけです。どの程度ダブつておるかということは、まだ地域の指定もなければはつきり地区がわかつていない今日において、ただちにどれだけあるかということをおつしやられましても、はつきりしたことは申し上げられない。多分ある程度のものは、すでに予算的に考えられておるものもあるはずであるというふうに、概念的に考えられるわけであります。その程度の御答弁でひとつ御満足をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/82
-
083・平野三郎
○平野委員長代理 本日は午後一時からこの部屋で通産、建設、経済連合審査会もありますので、次会は公報をもつてお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02119520402/83
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。