1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月十八日(金曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 松浦 東介君
理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君
理事 平野 三郎君 理事 小林 運美君
理事 井上 良二君
宇野秀次郎君 小笠原八十美君
越智 茂君 川西 清君
坂田 英一君 坂本 實君
千賀 康治君 幡谷仙次郎君
原田 雪松君 吉川 久衛君
竹村奈良一君
出席国務大臣
農 林 大 臣 廣川 弘禪君
出席政府委員
農林政務次官 野原 正勝君
農林事務官
(農政局長) 小倉 武一君
食糧庁長官 東畑 四郎君
委員外の出席者
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信君
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本日の会議に付した事件
主要農作物種子法案(坂田英一君外二十三名提
出、衆法第二三号)
米穀の政府買入価格の特例に関する法律案(松
浦東介君外二十三名提出、衆法第二五号)
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇八号)
農業災害補償法臨時特例法案(内閣提出第一三
七号)
農業共済基金法案(内閣提出第一五五号)
食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一六九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/0
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001・松浦東介
○松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。
まず米穀の政府買入価格の特例に関する法律案を議題といたします。本案の趣旨について提出者の説明を求めます。坂田英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/1
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002・坂田英一
○坂田(英)委員 ただいま議題と相なりました松浦東介外二十三名提出米穀の政府買入価格の特例に関する法律案に関しまして、提案の理由を御説明いたします。
米穀の政府買入れ価格は、食糧管理法第三條第二項の規定に基きまして、政令の定めるところにより、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して定めることと相なつておりますことは御承知の通りであります。
しかしながら、この規定に基く政府の買入れ価格は、諸般の事情により、通常供出の始まる時期から相当遅れて決定される実情にありまするので、その価格の決定あるまでの間における供出分に対しましては、一応政府の定めました仮の額を、食管特別会計から農業協同組合等を通じて供出者に支拂い、しかして後に買入れ価格が正式に決定いたされますると、この決定された価格が仮の支拂額より高い場合においては、その差額は供出の当時にさかのぼつて供出者に追加拂いされる仕組みに相なつておりまするが、この追加支拂額に対しましては、特別に利息に相当する額を加算して支拂う等の措置は、何らとられていないわけであります。ここにおいて今日までのこのような行政上の欠陥を是正し、適正な基準に従い、この点に関する救済を行う必要を認めましたので、政府は、買入れ価格と仮の価格との差額に対し、一般利息相当額を加算して支拂うべきことを法律上明らかにし、農家経済の収支の改善に資する目的をもちまして、ここに本法律案を提出した次第であります。
なお、この法律の適用を受ける米穀は、二十七年産米よりといたしております。
慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/2
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003・松浦東介
○松浦委員長 次に食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案の趣旨について政府の説明を求めます。廣川農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/3
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004・廣川弘禪
○廣川国務大臣 食糧管理法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
今回の改正は、麦につきましてこれまでの供出配給制度を廃止するとともに、統制廃止後の麦類の需給調整を行うため、新たな観点より、麦類の政府買入れ及び売渡しに関する制度を設けます点を骨子といたしまして、このほか若干の改正を加えることを目的としております。申すまでもなく、わが国の食糧事情は終戦以来逐年著しい改善を見るに至り、食糧の不足から来る国民食生活の不安定や、これに基因してインフレを促進するといつた事態は次第に解消して参りましたが、主食のうちなかんずく麦類については、都市家計において価格は安定するに至りますとともに、配給面におきましても、相当数量の配給辞退が見られ、需給価格とも顕著に安定を見るに至つた次第であります。しこうして今後の麦類の需給事情につきましても、これまでと同様に万全の措置を講じますならば、国内生産の維持と相まつて輸入食糧も十分確保し得ると存ぜられますので、何らの不安なく推移し得るものと見込まれる次第あります。従いまして政府としては、以上申し上げました事情から判断いたしまして、麦につきましては、もはや、供出配給制度を続ける必要はきわめて薄くなり、統制を廃止いたしましても、社会経済に不安を與えるおそれはないのみならず、かえつて大方の物資について自由市場の回復した今日、すみまかに統制の不便から解放して、農家にはその生産した麦の自由な販売を、消費者には麦の消費についての質と量の自由な選択を認める利便を與えることが適切と考える次第であります。
しかしながら麦は統制を廃止いたすとしましても、その製品は主要食糧でありますから、国民生活の安定をはかるためには、政府の間接的な需給調節の措置を講じ、安定した麦価の水準を維持することが望ましいのであります。従いまして政府は、輸入食糧について政府がすべてこれを買い入れるほか、消費者価格の安定のため、内外麦の価格水準の調整上必要な限り、輸入補給金を財政支出する措置を講ずることといたしますとともに、内麦につきましては、麦の供出配給制度の廃止後におきましても、政府は一面国内生産の増強をはかるとともに、他面消費者家計の安定をはかる趣旨をもちまして、麦類の需給及び価格の調整をはかるための政府の買入れ及び売渡しに関する新たな方式について必要な規定を設けることとしたのであります。
その大綱について御説明申し上げますと、まず政府は麦作経営の安定をはかる趣旨にかんがみて、農家に販路と最低価格を保証することとし、生産者または生産者の委託を受けた者からの売渡しの申込みに応じて、これに買い応ずることといたしたのであります。その場合の買入れ価格は農業。パリテイ指数に基いて算定される価格を基準とし、麦の生産事情及び米価その他の経済事情を参酌して定めることといたしたのであります。
次に、政府が買い入れた麦の売渡しにつきましては、需給の調整と市価の安定をはかるよう毎月所要量を売り渡すことといたしまして、その売渡しの方法は一般競争入札によるほか、流通の円滑、価格安定等をはかるため必要があると認めますときは指名競争入札または随意契約によることといたしております。
政府の売渡し価格については、消費者の家計費に対し、麦価が実質的負担増加とならないよう十分考慮して定めることといたしています。輸入麦につきましては、国内産麦と同一の価格水準で売り渡すため、輸入補給金を付することといたしております。
なお以上の改正のほか、現在わが国は戦前と食糧の需給構造が署しく変りましたため、麦食による食生活の改善をはかることが必要と存じますので、学童等に供するものについては、当分の間、通常の政府売渡し価格より低く別に農林大臣が定めて政府所有麦類を売り渡し得る道を開くことといたしております。以上申し述べました点が麦の統制廃止に伴う主なる規定の改正点であります。
このほか、食糧管理法中若干の改正をいたした点につきまして御説明申し上げますと、第一にいも類、雑穀については昨年度から管理の対象からはずれておりますため、法文上いも類、雑穀に関する規定を削除いたし、第二に食糧配給公団に関しましては昨年四月一日解散し、近くその清算事務も完了いたしますので、同公団に関する規定を削除いたしましたほか、字句の修正、條文の整備等なお若干の改正を行うことといたしております。
以上が食糧管理法の一部を改正する法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/4
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005・松浦東介
○松浦委員長 ただいまの両案に対する質疑は次会よりこれを行うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/5
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006・松浦東介
○松浦委員長 次に主要農作物種子法案を議題といたします。
質疑または意見のある方は発言を許します。発言の通告がございますから、順次これを許します。井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/6
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007・井上良二
○井上(良)委員 この法案で一つ伺つておきたい点は、政府が各地方に農業試験場を設けていろいろな試験をやつておりますが、この政府が指導監督しております。農業試験場における種子の試験研究の機関とこれとの関係はどうなるか、これは全然それとは別個におやりになりますか、その点を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/7
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008・小倉武一
○小倉政府委員 お尋ねの点でございますが、農林省が直轄いたしております試験場においては、主として育種をやつているわけであります。もちろん県の試験場におきましても、地域的に農林省の試験場で足らない部分は県の試験でやつている部分もございますが、原則といたしましては育種の段階は農林省の試験場でやり、新しい品種ができますと、次に県の試験場でそれをいろいろ調べまして、そしてよければ原種ということで県の試験場で原種をつくり、県の試験場でできた原種が採種組合に流れまして、採種をして農家に配る、こういう段階になつているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/8
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009・井上良二
○井上(良)委員 国で新品種を発見する。そしてその発見された新品種を県段階の試験機関に流して、そこで採取した新品種の種子を農家へ流す、こういうやり方をやられているような御説明でございますが、その機関の規模をもつと擴充しますならば十分その目的が達せられるのと違うのでございますか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/9
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010・小倉武一
○小倉政府委員 育種と原種の点につきましては、現在の施設を特に擴大するということは必ずしも必要でないのじやないかと思うのであります。それよりもできました原種が実際に種子として使われるように、町村なり、あるいは町村の団体なり農家なりにそれが行つて採種圃でもつて増殖され、農家に配られる、その一番末端に私は一番重要な問題があるのじやないかと考えております。今回の法案も原種圃の助成を含んでおりますが、それよりもむしろ末端の採種事業におきます優良種子の確保並びにその配付ということに実は重点を置いているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/10
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011・井上良二
○井上(良)委員 そうすると原種圃を市町村に委託して、市町村から当該農村の適当な農家を選定して、それで原種を栽培させることになりますか。そのやり方は実際はどういうやり方でやられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/11
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012・小倉武一
○小倉政府委員 名称の問題でございますが、町村の段階でやるのは実は種子というふうに考えておるわけであります。そうして県の段階でやるのはその種子のもとといふ意味において原種、国の段階でやるのはそのもとのもとという意味で原々種という言葉を使つておりますが、この種子の問題につきましては、この栽培者は、町村が直営でやる場合もありますし、協同組合等でやつておるのもございます。なお採種業者として主として採種のための栽培をやつておる業者もおられるのであります。そういう方々を含めまして、今回の法案では指定種子生産者というようなことでもつてそれに助成ないし指導をするという建前にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/12
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013・井上良二
○井上(良)委員 そうするとその具体的な圃場設置計画といいますか、そういうものはどういうことになつておりますか。それを稲と麦とにわけてひとつ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/13
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014・小倉武一
○小倉政府委員 計画といたしましては、そのやり方でございますが、大体町村が中心になりまして一応種子の需給計画をつくる。そこで自分の村でできる部分はよろしゆうございますが、できない部分もございますので、それを県庁でもつて総合調整いたしまして、県としての需給計画ができるわけでございます。それを農林省と相談いたしまして、農林省の予算といつたような面も参照いたしまして、大体そういうことが背景になりまして、どの種子生産圃場をこの法案の圃場の対象とするかということをきめて参るのであります。大体手続はさような方法でやつたらばというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/14
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015・井上良二
○井上(良)委員 そういたしますと全部でどのくらいの計画をされておりますか。たとえば全国の各町村一斉ということはありますまいが、重要な地域にそれぞれ国から助成する圃場の設置面積というものはどういうことになつておりますか。それからそれに対して具体的にどういう補助金を出そうというでのすか、それをひとつ説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/15
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016・小倉武一
○小倉政府委員 これは計画といたしましては原種圃と採種圃でございますが、原種圃は稲につきましては百五十八町歩、麦につきましては二百十四町歩、それに照応するものとして採種圃が稲が一万二千町歩、麦が一万町歩となつております。この数字の基礎は稲、麦の全面積の六割を隔年に更新するという計画でございます。それに伴う補助金は、指導費なども入れまして二十七年度予算において二億六千八百万円になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/16
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017・井上良二
○井上(良)委員 そうすると稲で百五十八町歩、麦で二百十四町歩とすると、一町当りどれくらいの補助をもらうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/17
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018・小倉武一
○小倉政府委員 今お尋ねの点は主として県の試験場で経営します分でございまして、これが反当三千円。それから稲は一万二千町歩、麦は一万町歩と申しました反別につきましては、稲については反当千円、麦は反当七百円という助成になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/18
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019・井上良二
○井上(良)委員 これを実際扱う人はだれですか。たとえば農業委員会がそういうことのめんどうを見ることになりますか、それとも農業改良局の仕事としてやらせますか。どつちが責任を持つてこの仕事をおやりになりますか。これを指導育成して行く実際の責任の所在というものはどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/19
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020・小倉武一
○小倉政府委員 農林省の段階で申しますと、補助助成するという方は農政局になつております。それに伴いまして実際実施をいたしますのは、県の試験場の部分は、これが原種圃をいたすわけでございます。それから採種圃になりますと、末端の農家なり組合なり団体なりということになりまして、その指導は、実際上は主として普及員がやつているわけであります。原種圃は試験場でやれるわけでございますから、県の試験場の技術官が担当するということになつております。県によりましては、農政局の農産関係に当る仕事と、改良事業と一緒にやつておる県もだんだんふえて参つておりますので、その点のちぐはぐも、だんだんと解消して行くのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/20
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021・井上良二
○井上(良)委員 これによつて実際的な効果が現われますのは—実際的に二年後なら二年後、どれだけ増産になるという具体的な経済効果をお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/21
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022・小倉武一
○小倉政府委員 これは種のことだけでございますから、ただちに経済効果というものはどうかとも思いますが、一応古いデータでございますが試験成績等もございますので、これを相当程度割引きまして、反当七升くらいの増産効果を見込んでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/22
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023・竹村奈良一
○竹村委員 私一、二点だけ伺つておきたいのです。たとえばこの六條には、「都道府県は、市町村、農業者の組織する団体又は指定種子生産者に対し、主要農作物の優良な種子の生産及び普及のために必要な勧告、助言及び指導を行わなければならない。」このようにこの法律では、行わなければならないと、はつきり国や市町村その他の団体に義務づけることになつているのです。それで今、井上氏の質問に答えられて、いろいろ補助のこと言われておるのでありますが、そこで問題は、国がこういう法律で団体に義務づけ、規定づけ、責任を負わす以上は、それに対する一切の費用は全部国家が負担しなければならないと私は思う。そうでないと、国が行う事業に規定づけ、義務づけておいて、それに要する費用は助成だけで行う、補助だけにしようという考え方自体が、結局今日の府県の自治体と国との関係から考えて、私は非常に矛盾すると思うのでありますが、この点は全額国庫で負担するのか、あるいは補助で行くのか、それをひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/23
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024・坂田英一
○坂田(英)委員 これは私どもとしては、でき得る限り国の経費で持つて行くということを希望するわけでありますので、そういう見地からいたしまして、この指導、助言あるいは勧告等につきましては、でき得る限りの補助金を出すように今やつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/24
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025・竹村奈良一
○竹村委員 あまり申しませんが、しかし補助金で行うというのでは、この第六條を少し考えなければならないのではないかと思う。というのは、補助金で行おうとするならば、こういうように必ず行わなければならぬと規定づけておくことが、少し矛盾するのではないか。もしこれを県が、必ず行わなければならないけれどもできないという状態になつたときに、また市町村がそういう状態になつたときに、一体これはどうなるのですか。たとえば圃場を設置した市町村が、この法律で義務づけられておる義務を費用の関係でできない。そうすると、当然国がこれを補助しなければならぬ。その点は、これをはつきりして置かぬと今後問題になる。これはやはり今日の自治体との関係においてあらゆる面がそうなんですが、国が市町村その他に義務づけておいて、そしてその必要とする費用を補助にとどめておくという考え方、このことが市町村の財政を非常に破綻に追いやつておるところの現実だと思うのであります。この点はできるだけ補助をしたいというだけではなしに、全額補助をするという建前で、当然国が責任を持つてその費用を負担する、こういう建前をとられるように、提案者において特にお考えを願いたいと思うのであります。
もう一つは、これは提案者に聞くわけじやないのですが、農林省の方に伺つておきたい。第四條のところに、「都道府県は、指定種子生産者から前項の請求があつたときは、当該技術吏員に、ほ場審査をさせなければならない。」こういうことになつておりますが、当該技術吏員とは一体だれがやるのか。先ほど井上君の質問に対する答弁によりますと、大体試験場であるとかあるいは技術普及員とか言つておられるのですが、県でやる試験場はだれであるのか、それから国でやる原種の問題との関連で、技術員は一体だれであるのか。たとえば協同組合なんかに置いておる、あるいは市町村に置いている技術員でいいのか、あるいは国が普及所とか何とか言つておるその普及所の技術員でやられるのか、あるいは試験場の技術員にやらせるのか、その点をはつきりと承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/25
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026・小倉武一
○小倉政府委員 当該技吏員と申しますのは、当該府県の技術吏員という意味でございまして、文字だけではいかなる技術員でも入るようにとれますけれども、私どもが考えておりますのは試験場の技術官、特に專門技術員、さらに末端におきましてはいわゆる普及員というものを考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/26
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027・竹村奈良一
○竹村委員 それからもう一つは、この意味から考えますと、大体圃場を設置して、そうしてそこでまきつけその他肥培管理から一切をこれによつて検査をして、適切かどうかということをきめようとされておるのだと思いますが、そういたしますと私は、この圃場を設置する場合におきましては、少くとも水利その他種々なる條件が整わなければ—それにいろいろな相違がありますならば、この法律から考えまして、目的とされるところが完成されないのではないかと思う。たとえば水利の便利の悪い所、あるいはまたその土地その他その他の條件、こういうものの設定される場合における規定というものは、どういう基準でやられるのか。この点が私は非常に問題だと思う。そうでなければ、現在でも試験場がやつておりますように、だれかに委託してそこに種子田というものをこしらえて、大体成育して来たものの中でその種子が発育するかどうかを検査して各地に配付しておる、それで私は事足りると思う。しかしこの法律では、まきつけから管理から一切やらなければその効果があがらないということがねらいだと思うのでありますが、そうなりますと、この圃場の設定ということについては、最も慎重にあらゆる條件、たとえばここでこしらえた種子が少し遠く離れた地域で、はたして適合するかどうかということが非常に大きな問題である。それは水利とか土壌の関係でいろいろ違つて来ると思う。それまでも含めて圃場を設置されようと考えておられると思いますが、この点の基準をどこに置かれておるのか。これが大きな問題だと思う。この法律がつくられるのに趣旨としては反対しないのですが、日本のこういういろいろな地理的條件の違う所において、まきつけからそれをやつて行こうというようになりますと、技術的な問題としては、大いなる困難性が伴うものだと私は思うのでありますが、この点農林省として十分な確信があおりになるかどうか、これをひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/27
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028・小倉武一
○小倉政府委員 この種子生産の圃場につきましての選定は、もちろん当事者の意向もございますが、お話のような点もございますので、当事者の意向と、種子の計画を立てる県あるいは市町村の意図とが合致するところで行われるということでございます。そこで基準でございますが、これはお話のように、土壌の性質とか、気候、水利といつたような点につきましても、なるべく種子生産に適した地帯が選ばれなければなりませんので、そういう一応の基準は、私どもの方で県庁に指示するようにいたしております。特にこの法律にはありませんけれども、大豆のようなものになりますと、お話の点が非常に重要な問題になります。しかし、それが技術的に必ずしも十分まだ鮮明されておりません点もございますので、そう厳密な基準といつたものはございませんが、今のお話の趣旨のような点は十分考えて実施をいたして行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/28
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029・松浦東介
○松浦委員長 他に御発言はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/29
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030・松浦東介
○松浦委員長 なければ、これにて質疑は終局いたしました。
引続きこれより討論に入るわけでありますが、別に討論の通告がございませんので、この際討論を省略して、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/30
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031・松浦東介
○松浦委員長 御異議なしと認めます。よつて、これより主要農作物種子法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/31
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032・松浦東介
○松浦委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお、お諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六條の規定による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/32
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033・松浦東介
○松浦委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/33
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034・松浦東介
○松浦委員長 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案、農業災害補償法臨時特例法案及び農業共済基金法案の三案を一括議題といたし、昨日に引続き審査を進めます。質疑を許します。井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/34
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035・井上良二
○井上(良)委員 昨日に続いて質疑をいたしたいと思います。昨日、私は主として損害評価の適正化について質問をいたしましたが、私どもが損害評価の適正化をやかましく言いますのは、末端において実際損害評価が広い範囲に行われて、実際被害を相当甚大に受けております農家が救済される道が非常に少い。そこで、できるだけ集中的に被害農家を救済するという建前から、私どもできるだけ実情を的確に把握するために、国庫から多額の補助助成がされております関係から、この点が特に明確にされなければならぬということを申して参つたのであります。たとえて言いますと、昨年水稲の損害通知書は、当初九十三億円に及んだそうでありますが、その後の打合会では、これが七十四億円に減つております。約十九億円も過大評価の損害報告がされておるのであります。そうして実際の打合せの結論が七十四億円になつておる。この数字から見ましても、共済組合の各機関でいかに手心を加えておるかということがこれでわかると思います。そこで損害通知書というものから、実際の損害評価書となつて被害が確定するまで、まつたく書類審査の上で大半がきめられておるというところから、こういうことになつておりやせぬかと思いますが、こういう点を根本的に改めるようにしませんと、実際上は非常に過大な損害評価がされるのじやないかと考えますので、この点については、さらに政府としても十分対策を考えてもらいたいと考えるのであります。
次に伺いたいのは、現在の一筆單位の損害の評価でさえ実数に合わぬ評価がされておるということは明確でございます。それを今度試験的と政府は言うておりますけれども、現行の制度にはいろいろな欠陷があるというところから、一つは被害農家の立場を考え、一つはこの制度の運用の妙を得ようとして、農家單位に切りかえることにした。そうなりますと、損害評価をいたします上に技術上一層無理が生じて来やせぬか、こう考えますが、現在の一筆単位よりも、農家單位の方が実際は効果的になる、いろいろな面でその方がいいという、その点についての説明をもう少しお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/35
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036・小倉武一
○小倉政府委員 損害評価の点から申しますと、一筆單位の場合と、農家單位の場合とを比べまして、さほど違いはないのではないかというふうに思うのであります。もつとも一筆單位の場合は、一筆ごとにいろいろ調査をしなければならぬといつたようなことがございますが、農家單位の場合におきましては、減收のものを調査する場合に、集団地がございますれば、それは比較的簡略にやれるといつた点もあろうかと思いますが、評価技術自体については、さほど違いが出て来ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/36
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037・井上良二
○井上(良)委員 この一筆單位制度から農家單位にいたします場合のことを想像いたしますと、御存じの通り、被害というものは大体地域別に起つて来るのであります。農家の経営というものは、どつちかといいますと耕作面積が集中しておるというか、そういう実情から考えまして、保險金の支拂いの面から考えましても、現行三割を二割の平均に落しておりますが、この二割に補償制度を押えたというのはどういうところから来ておるのですか。農家の保險金受取りが、そうしてある方が農家の利益になるという建前から二割に押えておりますか、それとも国の保險金支拂いが、それによつて少しでも楽になるという建前で、別な言葉で言うと、共済組合経営の赤字が少しでも軽くなる、経営の面から二割で押えた方が共済組合の赤字が少くなる、そういう面から来ておるのか、それとも農家の損害を少しでもカバーしてやりたいという点から、従来の三割を二割に引下げておるのですか、どういう見地からこの二割という数字は出て来たのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/37
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038・小倉武一
○小倉政府委員 損害が二割以上のときということにいたしましたのは、一つは損害の評価自体の誤差が一体どの程度であろうかという点、もう一つは道徳的な損害といつたものをある程度防止しなければならないといつたような点からいたしまして、どういたしましても一割から二割といつたような最低の限度を置く必要がある。そこで一割か二割、あるいは三割のどこに置くかということになりますと、これは掛金の負担ということに相関連して参ります。そこで若干の事例につきまして、私どもが調査いたしましたところによりますと、もしこの二割を一割ということにいたしますと、補償の限度が非常に上つて来るわけです。現在の一筆單位よりも補償の限度が非常に上つて参りまして、掛金の負担が非常に多くなるということでございますので、差当りは安全なところを見まして二割という線でもつて実験をいたして参りたい、かように考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/38
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039・井上良二
○井上(良)委員 そうしますと、そういう道徳的な考慮が拂はれておるというが、保險制度の上で、道義上考えるというか、道徳上考えるという言葉を私は初めて伺つたのですが、まことに農民の苦しい立場を考えられておる当局としては、この保險制度の建前上当然であろうと考えますが、しかしそれは理論的にはどうも割切れないものが残るであろうと思います。なお共済金額を八〇%に押えております根拠は、どこにありますか、どういうわけで八〇%に押えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/39
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040・小倉武一
○小倉政府委員 この点は、今の何割程度以上の損害につきまして、石当りの金額のどの程度を補償するかということと、相関連いたしまして、私が先ほど申し上げました補償の限界、すなわち損害が二割以上ということでもちまして、石当り価格の八割以上ということでやります場合には、一筆單位の場合と比較して補償の限度は一体どうなるであろうか、従つて掛金の負担が一体どういうふうになるであろうかという点と、もう一つは、価格はたとえば八割といたしましても、補償の限度はかりに一割といたしました場合に、一体どうなるであろうかといつたような点を考慮いたしまして、一応八割というふうに押えたのであります。そこでその八割がいいのか九割がいいのかという点になりますと、八割をとつたという理論上の根拠は必ずしもないのでございますが、掛金の負担といつたような点を考えまして、さような措置にいたしたのであります。かたがた現在の一筆單位は御承知の通り反当収量の約半分ということにいたしてございますので、このたびの二割の減收以上につきまして、石当り八割ということにいたしますと、六四%になりますので、この一四%だけは少くとも共済金額、すなわち補償の限度がある程度増加する。実験段階ではこの程度でやつてみるのがよいのではないかというふうに考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/40
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041・井上良二
○井上(良)委員 今政府は、損害補償についての対象は主として收獲物の量的損害に対象を置いている。先般たしかアメリカの農務省のウイリアム・H・ロウ氏から共済制度に対して政府に勧告があつた。その勧告によると、政府は收獲物の量的損害のみならず、質の低下による農家の損失をも補償すべしという勧告がされている。つまり收獲物の品質の低下による損害に対しても補償してやれという勧告がされているのです。あなたはさいぜん道義的、道徳上の見地から、また共済保險制度の設立の意義から、被害を受けた農家を救済すると言われたが、道義上の同情心を持つているあなたといたしましては、当然量的な損害のみではなく、質的な農家の損害に対しても補償するの道を別途に講ずる必要があろうと考えますが、この点について何かお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/41
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042・小倉武一
○小倉政府委員 品質の点につきましてのお話は事実その通りでございまして、その点につきましては保険ということを突き詰めて考えれば、品質の低下ということによる損害も当然補償すべきものであるということは言えると思います。ただ今の段階といたしましては先ほども申し上げた通り、量的な減收自体もなかなか厳密には評価することが困難であるという実情もございますので、今のところまだ品質の点につきましての補償ということについての準備が実は進んでおらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/42
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043・井上良二
○井上(良)委員 政府は毎年供米の割当をいたしまして買い上げます場合に、御存じのように一等米から等外米まで買い上げておる。そこで五等米まで買い上げるという実情から、相当悪いものが收獲されておる実情をよく御存じであります。この実情から考えて品質の低下しましたものを、どうして一体救済するかという道は、私は案外簡単にできはせぬか、こう考えますから、新しい制度の建直しにあたつて、この質の低下による農家の損害に対して、どう損失を補償するかという新しい道を、ぜひこの際検討してもらいたいと思います。
その次に、これは他の人からもう質問があつたかもしれませんが、共済金の支拂いの問題でございます。共済金の支拂いが非常に遅れております。ほんとうはただちに保險金がもらいたいのですけども、支拂い基金の不足が原因をいたしまして、非常に支拂いが遅れておる。支拂い基金が不足をして遅れておるということが常によく言われておりますけれども、これは各系統の段階におきましては、金が入つて来てもただちに拂おうとしないというような弊害が至るところに起つておるのです。この支拂い遅延は、支拂い基金が支拂われないために遅れておる。ところがいろいろな方法を講じて支拂いを開始することになつているのに、農民に金が入つていないという地域が至るところに発生しておるのです。こういうことについて、一体政府はどういう監督をされておりますか。また政府では、たとえば昨年度の被害についての保険金はいつ手当をして支拂つたということを、各県の共済組合連合会やまた単位の共済組合に対して、支拂い通知書を出したということを通達いたしますか。そんなことは通達しないのですか。どういうことになつておりますか。その点を一応御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/43
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044・小倉武一
○小倉政府委員 共済金の支拂いの遅延ということにつきましては、二通り原因があろうと思うのであります。これはお言葉の中にも含まれていたかと思うのでありますが、一つは従来特別会計には基金制度がございませんでしたし、連合会の段階にも基金制度がございませんでしたので、無理な操作をしなければ金が抑えないということがしばしばあつたのであります。幸いにいたしまして、先般特別会計基金制度ができましたし、またこのたび基金法案が御賛成願えれば、基金という制度ができまして、共済保険金の支拂いの遅滞は、これほどまでのことはなくなるだろうと存じております。もう一つは、そういう事態になれて、実際金が来ておるけれども、組合に黙つておつて、実際農家には行かないということがございますが、これもいろいろ原因があろうかと思います。無理からぬ事情も実はあるのではないかと思うのであります。その一つは、多くの協同組合と共済組合は事務所が一緒であり、事務が兼任されておる。また組合も共通であるというような関係から、共済金が来ても、協同組合に対する債務の引当てにするとか、あるいは農家が知らぬうちに貯金になつておるというようなことが実はあるのではないかというように思います。なお御指摘のようないかがわしいこともありはしないかということを実は心配をいたしておりますが、そういう点につきましては、今後なお連合会ないし組合の監査指導ということを充実して参りたいと思つておりますし、そのための予算的な措置も二十七年度には講じております。さらに連合会ないし組合に対しましては、共済金は的確に組合に支拂うように、農業手形といつたようなことの関係におきまして、共済金を協同組合に渡すという場合にも、その関係の書類を必ず御本人に渡すようにといつたような指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/44
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045・井上良二
○井上(良)委員 農家が共済金を受取つたときに、受取証というものを共済組合はもらうに違いないのですが、その受取証と、共済組合と連合会との会計面の帳簿関係ですね、こういうものがどうもあなたの方で厳重な監督がされていないということが言われておるのです。現に、名前をあげるのはぐあいが悪いのですけれども、私どもの耳に入つておるところでも、数県にわたり警察が調べておる事実がある。また先般ちよつと申し上げました共済組合の会計検査に関して、その報告書の中にも、一年間に会計検査を受けた組合は全組合のわずかに一割にすぎない、しかも検査はわずかに三、四時間の短時間で行われた例があつて、組合の監督はまつたくなつてないということが強く指摘されておりますし、また組合の会計帳簿を検査するのに、わずかに二時間か三時間で全部が検査されるということは、大よそ人間の常識では考えられぬことです。いかにだらしのない検査をやつているかということがよその国の人から指摘されておりますが、一体これの監督は、どういうやり方で、どういう人を使つておやりになつておりますか、それをひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/45
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046・小倉武一
○小倉政府委員 共済組合の監督でございますが、連合会ないし共済組合といつたような段階についての監督が十分でなかつたという点は、御指摘のような点が実はあるのであります。協同組合制度と違いまして、従前の必ずしも人間の数が多くなかつたというような関係が現在まで続いておるのでございますが、それではいけないという点は私どもまつたく同感でございまして、幸い本年度は若干の人員増員もできまして、今後は相当程度やれるのではないか、またそのための法律の一部改正をお願いいたしまして、異常な疑いがあるからということだけではなく、的確な検査が行われておるかどうかという観点からも監査のできる建前に、一部改正法の中で改正をいたしたいと存じております。何しろこの共済組合関係の職員は、従来府県庁では平均二人しかいなかつたのであります。それも平衡交付金の中に入つたものとしての補助でございまして、県によつて人員の数もまちまちでございますが、非常に不足な人員でございますので、この二人でもつてやることはとうてい望み得ませんが、幸いにして二十七年度は平均五人増員ができたので、これらの人たちを大いに督励いたしまして、今後は監査という面についても十分配慮して行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/46
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047・井上良二
○井上(良)委員 そうすると今までの検査はまつたくできなかつたということでありますか、できなかつたのに、そういう不確実な資料に基いて国庫がこれに多額の助成あるいは補助を出されておるのですね。そういうことがもし事実ではそれはもつてのほかですよ。私ども今調べたところによると、政府の共済団体への助成、中堅職員養成教育費、各種補助金を合せまして、共済関係の事務諸費は、二十七年度予算でもつて六百億出ておるのです。六百億の共済制度の諸経費のうちに農家の受取ります分はわずかにその四割にすぎない。そうすると二百八十億を農家が受取つて、あとはほとんど事務系一統の諸経費としてこれが使われておるわけです。そんな厖大な金が、会計内容の監査も十分せず、調査もせず、この三年間まつたくほほかむりして来て、赤字だからということでどんどん金をつぎ込まれた日にはたまつたものじやないのです。現実にほとんど監査はされていない。ただ下の方から金が足らぬから出してくれ、補助金をくれと言うから出しておるのですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/47
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048・小倉武一
○小倉政府委員 従来監査がなかつた一と申し上げたのではなくして、十分な監査をいたしますには、はなはだ微力な人員であつたということを申し上げたのです。なおそれから共済関係の事務費でございますが、御指摘の数字は私どもはちよつと了解いたしかねるのであります。これは数字のことにわたりますから、こちらの数字を御配付してもよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/48
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049・井上良二
○井上(良)委員 そうすると、この際伺いますが、共済組合関係の二十七年一度予算に現われております特別会計、同時に政府からいろいろ助成、補助その他関係の経費は何ぼ出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/49
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050・小倉武一
○小倉政府委員 お手元に配付いたしております「農業共済保険実施に必要な経費」というのが本年度の予算でございまして、かたがた昨年度の予算と対比してございます。数字は今年度の予算が百六億七千百万円でございます。そのうち国庫が掛金の約半分程度負担する関係といたしまして、共済金の国庫負担が六十億九千万円でございます。それから特別会計の不足金補填に充てるものが七億一千万円。それからただいまの事務費の問題でございますが、共済団体に対する事務費の補助が十八億九千万円でございます。そのほか特別会計に家畜の関係の基金を設けるというのが三億ございます。大きなものはその次に基金関係におきます政府出資が十五億でございます。大体概略を申し上げますと以上のようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/50
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051・井上良二
○井上(良)委員 この問題は農業共済制度の運営の上に非常に重大な問題を投げかけておりますので、私は政府の確信ある意見をただしたいと思いますが、私の方が今出しました数字の上にも多少違うという政府からの話もあります。政府の説明しておる数字だけでは私どもが納得できぬ点もありますから、私の質問は本日はこの程度にして次会に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/51
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052・松浦東介
○松浦委員長 この問題はきわめて重要でございますし、また発言の通告もまだかなり多いようでございますから、一通り審議が済みました後に、全委員懇談会というような機会を持ちたいと思つております。
ただいまの三案に対する残余の質疑は次会に続行することにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
午前十一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02519520418/52
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