1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月二十三日(水曜日)
午前十一時十八分開議
出席委員
委員長 松浦 東介君
理事 遠藤 三郎君 理事 河野 謙三君
理事 平野 三郎君 理事 小林 運美君
理事 井上 良二君
宇野秀次郎君 小笠原八十美君
越智 茂君 小淵 光平君
坂田 英一君 坂本 實君
千賀 康治君 中馬 辰猪君
幡谷仙次郎君 原田 雪松君
高倉 定助君 石井 繁丸君
竹村奈良一君
出席国務大臣
農 林 大 臣 廣川 弘禪君
出席政府委員
農林政務次官 野原 正勝君
農林事務官
(大臣官房長) 渡部 伍良君
農林事務官
(農政局長) 小倉 武一君
食糧庁長官 東畑 四郎君
委員外の出席者
農林事務官 早野 正夫君
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 岩隈 博君
専 門 員 藤井 信者
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四月十九日
畜犬競技法案(原田雪松君外四十五名提出、衆
法第三二号)
同月二十一日
十勝沖地震による農林業災害の復旧資金の融通
に関する特別措置法案(宇野秀次郎君外三十八
名提出、衆法第三三号)
同月二十二日
蚕糸局廃止反対に関する請願(安部俊吾君紹
介)(第二二五六号)
山元村地内の国有林野拂下げに関する請願(松
浦東介君紹介)(第二二五七号)
柏倉門伝村地内の国有林野拂下げに関する請願
(松浦東介君紹介)(第二二五八号)
武田開拓地の電気導入促進並びに国庫補助に関
する請願(山口武秀君紹介)(第二二五九号)
飼料需給調整法制定反対に関する請願(江崎真
澄君紹介)(第二二九八号)
前橋営林局存置に関する請願(藤枝泉介君紹
介)(第二二九九号)
昭和村外五箇村の土地改良事業促進に関する請
願(深澤義守君紹介)(第二三一六号)
優良家畜導入資金の融資に関する請願(高橋等
君紹介)(第二三一七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
米国の政府買入価格の特例に関する法律案(松
浦東介君外三十三名提出、衆法第二五号)
十勝沖地震による農林業災害の復旧資金の融通
に関する特別措置法案(宇野秀次郎君外三十八
名提出、衆法第三三号)
食糧管理法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一六九号)
肥料に関する小委員長より中間報告聴取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/0
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001・松浦東介
○松浦委員長 これより農林委員会を開会いたします。
まず米穀の政府買入価格の特例に関する法律案を議題といたし、審査を進めます。本案に対し質疑または御意見のある方は発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/1
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002・竹村奈良一
○竹村委員 私は食糧長官にお尋ねいたしたいと思います。この法律によりますと、これを実施するのは今度の年からになつておるのでありますが、大体従来まで戰争後ずつとこういうことが続けられて来て、毎年仮拂いを実権して、価格が決定して本拂いに移るまでの期間は、年々一体どれだけの期間があつたのでございましようか。たとえば年代別に、昭和二十一年は何箇月くらいの期間があつたというような点がわかつておりましたならば、この際詳細に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/2
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003・東畑四郎
○東畑政府委員 ただいま実はその資料を持つておりませんが、従来は九月末現在でパリテイ指数を出しまして、その後関係方面との折衝に時間がかかりましたために、約一箇月ないし二箇月延びておつたのであります。しかし昨年は特にいろいろな事情がありまして非常に日数が遅れました。いずれその資料は本日ないし明日中に出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/3
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004・竹村奈良一
○竹村委員 たとえばそういうような問題につきましては、従来この価格の問題についての、その間の利子の支拂いというようなことは規定されていなかつたと思いますけれども、しかしその他の場合については、たとえば税金が過拂いになつておりまして、過拂いの分がはつきりしておつた場合に、これを返還する場合には幾らかの利子を付しておつたと思います。ところがこのことが従来そのままになつておつたということ自体が私はふしぎでならない。また新しくこの法律を出さなければ利子を支拂わないということ自体が、私はおかしいと思うのでありますが、政府のいろいろな支拂いの関係等から見て、そういうものを適用して支拂うことができなかつたのかどうか、その問題につきましては、たとえば大蔵委員会なんかで政府の説明を聞いておりますと、そういうような場合はおのおの利子を支拂つておるのでございますが、ひとり米麦のみについてはそういうことがなされなかつた、そういうのは、そういうようないろいろな法律を善用してそれを支拂うことができなかつたかどうか、その点を伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/4
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005・東畑四郎
○東畑政府委員 政府といたしましては、政府債務支拂いの法律がございます。しかし米価問題は、従来米価が決定したときから政府に支拂いの債務がある、実はこういう解釈を貫いております。従いまして従来暫定価格と言つておりますが、暫定価格をとりました場合に、パリテイが正式に確定し、米価審議会の諮問を経まして、関係方面の了解を得て政府が決定したときに、初めて本価格の債務が確定する、こういう実は解釈を貫いておりますために、いわゆる債務の支拂い遅延の利息をつけるりくつがつかない、こういうので一貫をしておつたわけであります。いろいろな事情で政府の米価決定が遅れましたこと自体については、農家にも支拂い遅延の利息に相当する額を拂つた方がよろしいという御議論がございまして、ここに法案が出された次第であります。政府といたしましても、これで初めて一般貸付利率を勘案して定める率を下らない率により算出した金額を支拂う根拠法ができた。こういう解釈を実はとつておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/5
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006・竹村奈良一
○竹村委員 それからこの際もう一つ聞いておきたいのでありますが、たとえば先般米の消費者価格の引上げ等が行われました場合に、その拂下げを受けたものがいわゆる消費者価格の引上げによつて利益を得た。これについては、たとえば大阪におきますところの食糧事務所等におきましても、相当この問題が、この消費者価格の引上げ前におけるところの価格と、引上げ後におけるところの販売によるところの利潤の増大等をめぐつて、いろいろおもしろからざる問題が起つておるということが新聞紙等にも伝えられ、これが検察庁の問題にもなつておるということを聞いておるのでありますが、こういういわゆる消費者価格が引上げられた際におきまして、その前に拂下げられたものとのいわゆる中間利潤の増大等に対して、これが政府にどういう形で回収され、どういうふうに処理されておるのか。この問題については巻間いろいろ伝えられておりますので、この際ひとつ明らかにしておいてもらいたいと思いますが、これについてどれだけ政府に納付させるような措置をとられておるか。その点を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/6
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007・東畑四郎
○東畑政府委員 竹村さんのただいまの御質問は、米のランニング・ストツクを持つておる卸、小売商が、途中唇米価が値上りしました場合に、その差額をどうするかという問題だと思います。従来の物統令に基きまして、差益金の全額でございますが、大体差益金の八割程度は政府に納入するという根拠法が実はあつたのでございますが、物統令が廃止されました後は、実は政府としましてそういうものを納入させる権限がないのであります。従いましてだんだん物価が安定して来ました場合に、途中で若干値上げがありました場合には、法律的根拠としては、そういう制度が実はございませんが、しかし事実上は何分にも米を統制いたしております問題でありますので、われわれといたしましては、金を徴収するという点は、マージン等が、われわれのコスト計算において当然値の上るべきものも、値上げをその点だけは若干遅らす。値上げをさせないようにして、消極的に吸収をはかる以外に政府としては手はないのであります。そういう形でマージン等を織り込みます場合に、過去におけるそういうものについての調整を考える方法しか政府の権限としてはやり得る措置が今のところありませんので、そういう形で実施いたしつつある次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/7
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008・竹村奈良一
○竹村委員 そういう法的根拠がないといたしますと、それではたとえば、そういうことにつけ込んで大阪等におきましては、大阪の食糧事務所だと思いますが、その前に、消費者価格の値上げを目標にして、そうして政府米を卸に厖大な数量旧価格で拂い下げをしておつたという問題が、一応問題になつておつたわけでありますが、その点についての詳細な点はどうでございますか。ひとつ知つておる範囲でお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/8
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009・東畑四郎
○東畑政府委員 私案は大阪のことはよく存じておらないのでありますが、全国的な問題としては、政府としてはどこの卸に幾らのランニング・ストツクがあるということは全部報告をとつております。大阪も一切わかつております。それから特に食糧事務所が故意に普通価格で拂い下げておつたという事実については、私は存じませんが、大阪の卸、小売についてはどれだけのランニング・ストツクがあつたという報告は受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/9
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010・竹村奈良一
○竹村委員 それでは問題は、そういう具体的な点がわかつていなければ、後日別な機会にこの問題を質問いたしますが、他にもつ一つ聞いておきたいことは、先ほど法律的の根拠がないから、いわゆるランニング・ストツクがある場合においては、元の価格で消費者に売るような措置をとつておる、こういうことでございますが、不幸にしてこの点について全国いろいろのところからの調査によりますと、値上げいたしましたならば、少くともランニング・ストツクがあるからそれだけは旧価格で売るという措置をとつておるところは、私の調査ではわからないのであります。具体的にいわゆるどこの地区においては値上げしてからどれだけ遅らして、旧価格で売られたという調査があれば、これをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/10
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011・東畑四郎
○東畑政府委員 そういうことを申し上げた事実はございませんので、値上げした場合に相当差額がある。その差額をいかにして吸収するかという納入させる根拠法がございませんので、その後においてマージン等がコスト計算で相当値上りする理論的数字が出ました場合に、それを値上げしないで吸収するという形をとる。もちろんマージン以外に値上げをしたために差額が出たのでございます。普通価格で売つているということではございません。値上げをした結果としての差益金をいかに吸収するかということは、その後におけるマージンの値上りを押えるという形で吸収しておる、こういうことを申しておる次第であります。各地区とも値上げをしておることは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/11
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012・竹村奈良一
○竹村委員 もう一つ聞いておきたいのは、もしこの法律が通過いたします。と、この法律のできる前の、たとえば昭和二十年度からこつちのずつと前の遅れておる分については、利子は補給されないのでありますか、たとえばランニング・ストツクによつて値上げしておる関係上、中間者が莫大な利潤を得ている場合、何かの形で吸収して、そうしてそれを生産者に利子補給の形で、この法律に準じて前の分にもさかのぼつて支拂うというような方法は立てられないものかどうか、そういう考え方は持つておらないかどうか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/12
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013・東畑四郎
○東畑政府委員 一般の物価の値上りの差益金の徴収の問題は、全体の物価政策の関連でございまして、個々の物資としてよりは国全体の政策の問題でありまして、私の権限はないであります。非常なインフレ時代にはそういう制度があつたのでありますが、漸次物価が安定して参りますと同時に、そういう制度を一応物統令からなくしたのであります。ただいまのところ、全体の方向と歩調を合せてきめるべき問題でありまして、米だけについてそういう制度を設けることは今のところ考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/13
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014・竹村奈良一
○竹村委員 ところでこの法律によりますと、二十七年度からは利子補給をする、つまり暫定価格と決定米価との間の支拂いの遅れた分に対して利子を補給する。従つて価格の問題ではないと思うのであります。従来たとえば二十六年度の場合に、二、三箇月ほんとうの価格の決定が遅れておる。暫定価格で拂つた分とほんとの価格で拂つた分の間に、三箇月も四箇月もずれがある。これに対してさかのぼつて利子を補給する考えはないのかどうか、これを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/14
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015・坂田英一
○坂田(英)委員 お答えします。この法律を特に出さないとどうしてもそういう処置をとることができない点については、先ほど政府委員からお答えを申し上げた通りでありまして、さような意味合いから、二十七年度から特別の処置をとつてこの価格の点を全うして行こう、こういう趣旨であります。さかのぼつてやる意思はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/15
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016・松浦東介
○松浦委員長 他に御発言はありませんか。——なければこれをもつて質疑は終局いたしました。
引続きこれより討論に入るわけでありますが、別段討論の要求もないようでありますから、この際討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/16
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017・松浦東介
○松浦委員長 御異議なしと認めます。
これより米穀の政府買入価格の特例に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
(総員起立)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/17
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018・松浦東介
○松浦委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六條の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませにか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/18
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019・松浦東介
○松浦委員長 御異議なしと認めましてさようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/19
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020・松浦東介
○松浦委員長 次に宇野秀次郎君外三十八名提出、十勝沖地震による農林業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案を議題といたし、審査に入ります。本案の趣旨について提出者の説明を求めます。宇野秀次郎君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/20
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021・宇野秀次郎
○宇野委員 ただいま議題となりました十勝沖地震による農林業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案提出の理由を御説明申し上げます。
この法案は、十勝沖地震による農舎、畜舎、サイロ、炭がままたは政令で定める農林業共同施設の災害復旧資金の融資を円滑にすることを目的としたものでありまして、農林中央金庫等の融資機関が農林業者に対し復旧資金の融資をするときは、その融資につき政府は損失補償及び利子補給の契約を結ぶことができるようにいたしたものであります。すなわち、復旧資金の総額の限度を二億円とし、これについて政府は、融資機関のした融資ごとに年四分の利子補給を行い、かつ、三割以内の損失補償を行おうとするものでありまして、二十七年度予算においてこれに要する予算措置を早急に講ずるよう関係方面と折衝いたしている次第であります。
かくのごとき特別の措置によりまして、十勝沖地震による甚大な被害の復旧を促進し、農林業者の経営の維持安定をはかりたき所存であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/21
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022・松浦東介
○松浦委員長 本案に関する質疑または御意見のある方はこの際発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/22
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023・竹村奈良一
○竹村委員 これは二億円ということに限定されておるのでございますが、これに限るというふうに考えておられますか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/23
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024・宇野秀次郎
○宇野委員 今回の十勝沖地震の被害は相当甚大であつたのでありまして、それも農林業における損失そのものが相当な額に達しております。しかしこれらの総額の融資を受けるというようなことは、これは一面においては農家の負担を重くすることでもあります。二億円という額が適当であるかどうかという御質疑でありますが、ただいまのところ、農業生産に早急に資金を充てて復旧をせしむる最小限度としては、大体この二億円をもつて満足しなければならぬのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/24
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025・竹村奈良一
○竹村委員 そういたしますと、提案者の説明によりますと、この二億円というのは、大体農業生産のうちの緊急を要するものに対する暫定的なものとしてはこれくらいだ、従つてこれの恒久的な復旧をやるということに対してこれでは不足だというように私は受取るわけでございます。従つてもし不足になる場合においては、諸般の事情を考慮して、また別にそれ以上に融資の額を増加しなければならぬ、こういうように考えておられますのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/25
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026・宇野秀次郎
○宇野委員 この災害につきましては、こういつた融資の面と、先般衆議院を通過いたしております災害補償の法案がありましたが、ああいつた面で国家の補助を受ける面もあるのでありす。融資という点では、ただいまのところでは、大体二億円をもつて一応の復旧ができると認めるところでありますが、しかしこれもものによりましてはこれでは少いということも言えるのであります。私ども必ずしもこれで満足をしておるということではないのであります。たとえて言いますと、この農舎の問題、あるいは畜舎の問題等は、これは損害額が相当大きい。おそらくこの融資は損害額の一割程度じやないかと考えております。農舎は道庁の調べでは三億八千万円というふうに見ておるわけであります。ところが今回の融資のわくの二億円の中で、大体四千五百万円程度まで見られるというふうにいたしております。そのほかサイロとかあるいは炭がま等は、これで相当復旧が見込めるのであります。問題は農舎と畜舎といつたような問題が、必ずしも農民の全般的の満足する額ではないということで、これは私どもも認めるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/26
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027・竹村奈良一
○竹村委員 私今資料をいただいただけで、資料に出ているかどうかわからないのですが、たとえばこの事業別でサイロとか畜舎とかあるいはその他の農道とか森林等とかいういろいろの点に対して二億円では損害の割にして少いのだが、わくは大体きめておると言われるわけですから、そこでサイロにはどのくらい、あるいは畜舎にはどのくらいというようにきめておられるか、その二億円の内訳をひとつお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/27
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028・宇野秀次郎
○宇野委員 お手元に資料が行つておるかと思います。それから今の竹村委員の御質問になりました農道あるいは耕地組合の施設といつたような公共事業費関係は、これには対象になつておりません。これは別途救済の道があるわけでございまして、これはむしろ農業協同組合の共同施設であるとか、共同物であるとか、あるいは農家、林業家のそれぞれの個人の損失に対する融資であるのであります。お手元にあると思いますが、内訳を大体こんなことで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/28
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029・松浦東介
○松浦委員長 他に御発言はありませんか。井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/29
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030・井上良二
○井上(良)委員 ちよつとこの点非常に伺つておきたいのは、十勝沖地震による農林業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案ですが、この地震だけにどういうわけでこういう特別法案を出さなければならぬのですか。今までの地震その他の災害に対しては一向さしつかえないというのですか。これが一つと、それからこの融資の対象になつた調査というのは、これはどこが調べたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/30
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031・宇野秀次郎
○宇野委員 今まで地震はずいぶんありましたが、こういつた特有な、要するに損失補償並びに利子補給という手立てはなかつたわけであります。しかし、これは井上委員にもさだめし御同感いただけると思いますが、昨年のルース台風の災害に対しまして、漁船、漁網、漁業方面の莫大な損失があつたことは御承知の通り、それに対してこういつたような損失補償並びに利子補給という法律ができたことも御承知の通りで、こういつた漁業方面にはすでに例があつたわけです。それで今回の地震に対しまして、いち早く漁業方面ではやはりあれと同じような法律ができましたことも御承知の通りです。ただ農業だけが私どもから言わしむればまま子扱いされているのじやないかという感じがあつたのであります。おそらく皆さんも御同感だろうと思います。おそらく社会党内閣の当時にも地震があつたと思いますが、なぜやらなかつたかと申し上げたいと思うのでありまして、今日われわれは、おそらく皆様方もひとしく望むところの、こういつた方面の開かれたことをお喜びいただいてよいのじやないかと思います。
資料の基礎は大体において現地の道庁の資料におもによつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/31
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032・井上良二
○井上(良)委員 そうするとこれは直接政府の方で行つて調べたわけではないのですね。(「社会党の知事が調べた」と呼ぶ者あり)これはどこが調べたかということは問題にならぬ。問題は、復興の金を融資した者に対して利子補給するというのですから、その対象がはたして正確なりやいなやということが問題です。そのことを單に県側からあるいは道庁側から提出した資料だけを根拠にして利子補給するということは、はなはだ不確実です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/32
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033・宇野秀次郎
○宇野委員 道庁の資料を基礎にいたしたことは事実であります。しかし道庁の資料に——社会党の知事でございますが、知事の提出した資料に全部よつておるというのではなく、農林省におきましてもそれぞれそれを検討し、また人を派してただしておるのでありますから、基礎は道庁の資料によつておる点が名いのでありますが、結局農林省の案であるのであるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/33
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034・井上良二
○井上(良)委員 農林省はだれが行つたのですか。何人行つて調べたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/34
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035・早野正夫
○早野説明員 農林省は林野関係から——人数ははつきり覚えておりませんけれども、調査団が派遣されております。それから次官が責任者として飛行機で行つて、向うで調査されました、それから政務次官がいうつしやいまして、そのほかに農政あるいは官房の方面からもそれぞれ出ております。その総合結果を数回にわたりまして農林省でもつて査定いたしまして、現地からは副知事その他二十数名の方が数回にわたつて来ておられます。現に今もおられますけれども、それらの方と連絡をとつてこの査定をつくりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/35
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036・野原正勝
○野原政府委員 十勝沖の災害が非常に激甚をきわめておるということで、農林省としましては、とりあえず山添事務次官を北海道に派遣をいたしまして、現地につきまして十分実情を調査さしたのであります。なおその後関係の部局からそれぞれ人を派遣いたしまして、道庁から報告になりましたその報告が適当であるか、現地の実情はどうであるかという点を、十分に現地で詳査をさしたのであります。その報告によりますると、雪消え等によつてその後判明する実情は、道庁の報告あるいはまた岩手県、青森県等の報告よりもむしろ激甚であるというふうなことに相なつております。私も急遽三陸方面の岩手、青森を視察して参りましたが、その際もつぶさに災害の実情に接しまして、その結果は県の報告がきわめてまじめな報告であつて、これは信憑するに足るものであるということを、私は確認して参りました。なお当時相当雪が降つておりましたので、地震と雪の被害合せてこれは見なければならぬのでありますが、雪のために十分現地の実情が調査できないというような実情でありました。雪消えを待つてはつきりしたら、当時の報告を修正したりなお的確な調査の数字を知りたいということで、大体今日におきましては各方面とも資料が出そろいましたので、これならばよかろうという程度まで調査は進んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/36
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037・井上良二
○井上(良)委員 そうしますと、この資料を確実として、これに三億円を限度として政府が融資機関をして融資させる。そこで年四分の利子補給と三割以内の損失補償を行うというのがこの法案の中心でありますが、これに要する国庫で負担する経費はどのくらいですか。そうしてそれは予算的にはどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/37
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038・渡部伍良
○渡部政府委員 二億円を融資の対象としまして、二十七年度では大体四分の利子補給が二百八十万円余りになります。平年度は四百万円ということになります。この財源は一応大蔵省と話がついておりますので、予備金で出しますか、あるいはこの次の補正予算を計上する機会がありますれば、そのときにやる、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/38
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039・井上良二
○井上(良)委員 そうするとこれは二十七年度予算には出ていないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/39
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040・渡部伍良
○渡部政府委員 現在はまだ計上されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/40
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041・井上良二
○井上(良)委員 そうすると、この提案理由説明書を直してもらわなければいけませんな。そこで問題は補正予算です。予算はもう通過しておりますから、従つて、二十七年度予算の予備金において予算的措置を講ずるというなら話は別だが、予算ということになて来ると、予算は成立しておるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/41
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042・渡部伍良
○渡部政府委員 大体今法律が成立しますれば、早くても利子の支拂い期限が来るのは相当あとになりますから、もし補正予算で間に合わなければ予備金でやりますし、とにかく支障のないようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/42
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043・松浦東介
○松浦委員長 他に御発言はございませんか。——なければこれにて質疑は終局いたしました。
引続きこれより討論に入るわけでありますが、別に討論の通告もないようでありますから、この際討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/43
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044・松浦東介
○松浦委員長 御異議なしと認めます。これより十勝沖地震による農林業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/44
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045・松浦東介
○松浦委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六條の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/45
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046・松浦東介
○松浦委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/46
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047・松浦東介
○松浦委員長 この際肥料に関する小委員長より、昨日の小委員会の経過の報告をいたしたいとの申出があります。これを許します。河野謙三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/47
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048・河野謙三
○河野(謙)委員 昨日の肥料小委員会の経過をこの際御報告さしていただきます。
昨日の肥料小委員会の議題としては、肥料の輸出の問題並びにかねて本委員会が取上げました燐礦石のキヤンセル問題、この二を議題として小委員会を開いたのであります。
まず肥料の輸出の問題につきましては、政府はかねての本委員会の輸出に対する要望にこたえまして、政府がかねて決定いたしました輸出のわくのうち、残余の硫安輸出四万トンにつきましては、国内の肥料の最盛期である五月の月を避けまして、六月、七月にこれを行うということに政府の了解を得ておつたのであります。
〔委員長退席、遠藤委員長代理着席〕
しかしこの問題は政府と仕向け先である朝鮮との間におきましては、五月、六月にこれを行うということにつきまつておるのでありますけれども、内面的の政府と本委員会との打合せによりまして、ただいま申し上げましたように、これを一箇月遅らせて、六月、七月に輸出をするというようになつておつたのでありますが、最近の肥料事情は、御承知のように生産がきわめて順調であり、また一面価格の安定——価格の安定と申すよりは、むしろ下落の一途をたどつておるというようなことから、農民の肥料に対する手当が非常に遅れておりますので、肥料がほとんど出ない。その結果、ストツクが非常にふえた、政府の説明によりますと、硫安にして、二十四、万万トン、過燐酸にしてこれまた二十四、五万トン、すなわち一箇月半以上のストツクが現在製造会社の倉庫もしくは製造会社の指定する営業倉庫に積まれておる。こういうことで、この際かねて六月、七月の輸出を一箇月繰上げて、政府が当初決定いたしました五月、六月にこれを認めてもらいたい、こういう要望についての論議を昨日いろいろやつたのでありますが、結論といたしまして、われわれは政府の説明によりまして、六月の輸出を五月に繰上げることによりまして、これが輸出のわくをふやすにあらずして、既定の残余の輸出の範囲内において出すということであるならば、必ずしもこれを繰上げることによつて、肥料の内地の市価が上るというようなことはあり得ないというような結論に到達いたしましたので、一応これを了承することに大多数の委員の御意見がまとまつたのであります。ただその際に小林委員からストツクはたまつたであろうが、これを五月に出さないことによつて、より以上ストツクに対する重圧が加わるので、その際には一層下落の道をたどるであろう。従つてこの際どこまでも製造会社のストツクを増させる。そうして市場価格をもつとこれによつて下げさせるという方途を既定方針通りやるべきである、こういうことで強い御意見がありましたが、結論といたしましては、政府の説明なり委員の大多数の御意見が、五月に繰上げることによつても、内地の市価がそれによつて影響するところは考えられないということで、これを認めることに大体意見がまとまつたのであります。
以上、昨日の肥料小委員会における輸出問題に対する経過を御報告申し上げます。
なお燐鉱石のキヤンセル問題につきましては、これはこの機会に私から申し上げておきますが、この問題は一昨年の秋の問題でありまして、急激に船賃が上りましたために、アメリカと日本の間にできておりました安い契約品が、船賃が上つたことによりまして外国商社並びに内地の輸入商社、この間におきまして値段が違つたことによつて輸入ができないことになつた、こういうことでこの問題がいまだに片づいていないのであります。ところが最近は逆に船賃が下りまして、今の国内の契約品は高いものを持つておつて、高いものを押しつけられておる、こういう形であります。こういう関係からいたしまして、高いものが安くなつたときは、日本の国内としては契約を履行しておる。安いものを買つておつたが高くなつた場合には渡してくれない、こういうことはいけないじやないか、こういうことであります。キヤンセル問題におきまして、南洋においてこれを扱う二つの商社がありまして、一つの商社は完全に犠牲を甘んじて受けて契約を履行した、一方の商社がこれをあえてしないということで、今まで未解決になつております。これは結局安い契約の燐鉱石を契約通りとることは、内地の肥料市価のそれだけ安いものが肥料として販売できるという結果になりますので、これは單に対商社の問題ではなくて、内地の農民に與える影響も大きいので、この問題についてかねて通産省に質問をしたのでありますが、これに対する回答がきわめてふまじめと申しますか、われわれの聞かんとするところに対する回答がありませんので、この問題を重ねてあらためての機会に小委員会を開いてこの問題を究明することにしております。
以上大体輸出問題並びに燐鉱石のキヤンセル問題についての経過並びに内容を御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/48
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049・遠藤三郎
○遠藤委員長代理 ただいまの小委員長の報告につきまして何か御意見または質疑があれば発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/49
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050・小林運美
○小林(運)委員 ただいま小委員長からの御報告がありましたが、それに関連して私は二、三申し上げたいと思うのです。河野小委員長の御報告の中に、私から決定したことについて相当意見があつたというようなお話ですが、私の意見を全部盡しておらないように考えますので、この際私は私の意見を申し上げたい。
先般農林委員会におきまして、肥料の輸出に対して価格を上げないようにするためにこういう輸出を押えて行く。国内で肥料が余つた場合には、農林省と通産省がよく相談して輸出する。本委員会もこれに対して肥料の需給等もよく考えてやつて行こう、こういう申合せで一応各月の輸出予定を相談をしておつたのでありますが、今回肥料業者の方から、肥料は余つておるから繰上げて輸出したい、こういう申出があつたそうです。ところが現在肥料の値段がどんどん下つておるというけれども、これは見方によるけれども、一体どこを基準として考えるかということです。これは非常に大きな問題なんです。ただうんと上つたときから見れば下つているが、われわれは現在の肥料の値段はまだ高過ぎると思つておる。もうここまで行つたからそれが肥料のほんとうの値段だと考えるのではない。一体肥料の統制をやめたというのは、需給のバランスによつて値段がきまつて行く。これは自由党の諸君が非常に望んでおられるいわゆる自由経済のいいところなんです。こういういい現象が出て来た際に、値段が下つたから輸出をするというのでは、これでは何にもならない。われわれ農林委員会はなるべく安い肥料を農民に供給してやるということを望んでおる。ところが今申しましたように、肥料の値段が相当につり上つておる。これを需給状況で生産が上つて肥料がたくさん出て来た場合に、それが値段が下つて来ることを防止する、肥料業者から言えばそういうことが言われるでしようが、われわれは農民の立場において下がることは当然だと思う。肥料が増産されて物が多くなつて来て下ればあたりまえなんです。これをつり上げる必要は私は絶対にないと思う。今回の繰上げ輸出というものは肥料のつり上げ政策なんです。こういうものに私は賛成できないということを強調したのであります。強調したけれども皆さんはそう考えないと言う、考えないと言うけれども、私が今申し上げましたような理由から行つて、現在の肥料の値段は高過ぎるのだから、これが需給状況によつて肥料の値段が下ることは当然であつて、これを下げるように努力するのがあたりまえだと思う。しかもこの肥料の値段が現在よりもつと下つたとして、一体肥料業者はどうか。先般肥料業者の意見を聞きますと、肥料は割合にもうからぬという。もうからぬとは言いながら、会社はみんな二割も配当している。ほかの鉄鋼とかそういうものはもつと配当をしているからもつともうけたい。業者はもうけるのはあたりまえかもしれないけれども、今会社が二割の配当をして、まだもうけたいというようなことは、一体農民にそれが納得できるかどうか。農民は一体どのくらいもうけている。農村から出る農産物というものは決して二割も三割ももうかるなんということはない。農村は赤字の上に赤字なんです。その農村で一番大切な肥料が高くて困る、農家の現金支出はみんな肥料にとられている。この肥料が需給関係から行つて値段が下つたのを、われわれ農林委員会がつり上げ政策をやるなんて、とんでもないという私の意見だつた。これを私は再確認していただきたい。そうして本委員会としては、こういう繰上げ輸出というようなことをさせないようにしてもらいたいというのが私の意見なんです。そういう次第でございますからひとつよくお考えを願いたい。この肥料の輸出については農林省と通産省との話合いでやつて行こうということになつておる。私のこの意見に対して一体農林省はどういうふうに考えるか。幸い政務次官も御列席のようですから、政務次官のこれに対する御意見を私は一応承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/50
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051・河野謙三
○河野(謙)委員 この際、報告が少し簡略に過ぎましたので、誤解があると思いますから、先ほどの報告を補足いたします。
ただいまの小林さんの御発言は、そのままの御発言が昨日あつたことをあわせて御報告いたします。同時にこの輸出の問題はメーカーからの要望でなかつたことであります。通産、安本、農林三省会議の結果かくかくに輸出することに決定した。つきましてはこれは単なる行政事務でありますけれども、従来の経過にかんがみまして、一応農林委員会に報告する義務があるから御報告申し上げます。こういう報告を受けたのであります。しかしこれは報告を受けました以上は、私といたしまして、従来の肥料の小委員会の諸君に、これまた政府の報告を取次ぐ必要がありますので、きのう小委員会を開いたのでありまして、これはメーカーの要望であるとか、それは役所とメーカーの間はどうであるか知りません。本委員会といたしましては、三省の会議の結果決定いたしました事項につきましての報告を受けたということでありますから、この点を御了承いただきます。
もう一つつけ加えますのは、先ほど言葉が足りませんでしたが、輸出のわくをふやしたのではないのであります。残余の四万トンの輸出のわくはどこまでも政府の要望がどうであろうと、本委員会としてはこの四万トンの輸出のわくをふやすことはできないということははつきりときのうも政府に意思表示をしているのであります。ただその四万トンの輸出のわくの範囲において、これを五月に行うか、六月に行うかという問題でありまして、この点につきましては、小林委員と他の委員との意見の食い違いは、小林委員は、同じわくの範囲においても五月に輸出することによつてこれは市価に非常に悪影響を及ぼす、これが高材料になる、こういう御認識でありますが、他の委員は、輸出のわくの範囲内においてやることであるならば、五月に出しても、六月に出しても市価に及ぼす影響は同じであるということで、この意見の食い違いがあつたのであります。
なおこの機会にまた御質問があるといけませんから報告を詳細にいたしますが、五月に出す場合に、ただ一つ懸念されますのは、五月に出すことによつて、数量的には問題はありませんけれども、輸送の関係で内需と輸出の問題で工場に向つて注文が殺到するということになりますと、輸送関係で行き詰まる、一時的に輸送関係を中心にして、国内の肥料事情が混乱するということを懸念しないわけではないのです。政府はそういう懸念はしていないと言われますけれども、われわれはそういう懸念がありますので、これにつきましては十分の手当をして、今非常に輸送能力が余つているときでありますから、ただちに国内の各府県に向けて肥料工場のストツクを各府県に分散する手当をまず第一にやるべきであるということ、第二には、この輸出の工場はどこにするかという問題でありますが、北海道を初め、東北方面の五月になれば大体肥料の手当の終るその地区の肥料工場からこれを輸出すべきであるということが、第二に政府に向つて委員会として強く要望してある点であります。そういうことによりまして、五月かりに輸出をいたしましても、輸送の問題または内地の施肥の時期と輸出の問題とが混合しないように、これを避けることによつて委員会の多数の声が、もつとはつきり申しますと、小林委員以外の全員の意見は、そういうことによつて、これは政府の要望通りさしつがえないということになつたのです。
それからこの事務そのものについての論議があつたことをこの際あわせて御報告します。これは先ほど申し上げましたように、政府の行政事務の範囲であります。従いまして通産大臣の要求によつて農林大臣が承認を與えた場合には、輸出貿易管理令によつてこれを行うという規定に基いてやつておることでありまして、これについて大綱はすでに本委員会は了承を與えておるのでありますが、その範囲内のことは單なる行政事務であるということにして、それを議会としてあまり深く論議することは云々という御意見もありました。これにつきまして小林委員は、そういうことをやるのが議員であるわれわれの権限であり、われわれの責務であるという御議論がありましたこともあわせてこの機会に御報告申し上げておきます。
なお各委員の御質問によりまして、私の報告に足らぬ点があれば重ねて補足説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/51
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052・野原正勝
○野原政府委員 先ほどの小林委員からの御質問の点でありますが、朝鮮向けの肥料輸出問題に関しましては、すでにあの当時通産、安本、農林三省間に一応の意見の一致を見まして、国内の肥料価格が安定してこれ以上ることのないということを絶対條件とし、また国内における春肥の需給事情等に混乱を来さないように、率直に言うならば、国内で肥料が足りない場合、あるいは値段の上つた場合には、それに対してはあらためて輸出計画を検討しなければならぬけれども、そういう点が十分に順調に行くならば、この際肥料の輸出はやむを得ないものということで、農林当局としましても安本、通産と十分話合いまして輸出に同意したわけであります。ただ当時問題になりましたのは、朝鮮向けの肥料をはたして五月と六月に出すことがいいかどうか、もし五月に出すようだと、ちようど春肥の最需要期にぶつかる。そうなると国内の肥料価格が著しく上りはしないか、あるいはまた需給に非常な障害を與えることになりはしないかという点を実はおそれまして、農林省としましては、国内のそうした万一の場合をおもんばかりまして五月、六月に出すということに対しましては、もう少し慎重に考えたい。われわれとしてはむしろ一箇月これを繰下げて六月、七月に出すようにしなければならぬじやないかということで、あらかじめ全体のわくの承認はいいが、輸出の時期、数量等については、農林省の意見を十分尊重してもらわなければならぬということを申し入れてあつたわけであります。ところが最近の肥料事情は、すでに御承知の通り、われわれが予想しましたより以上に実は効果がありまして、増産にもなつておりますし、また肥料価格も予想以上に安くなつており、著しく安定をしておるということで、あたかも五月の輸出の問題がまた起つて参りまして、いろいろ相談したわけでありますが、当時五月の輸出というものについては、国内事情等を勘案して、われわれが考えているように価格の問題、需給の問題等が円滑に行かなかつた場合には六月に繰下げるという強い主張を持つておつたのであります。今日におきましての国内の肥料事情等から見ると、その問題について農林当局があくまでもこれを反対するという理由が実は薄くなつて参りました。従つてこの際は幸いに肥料も増産になつておる、国内における需給事情等も相当のストツクがある、価格等も安定をし、むしろ予想以上に安くなつておる。もちろん先ほど小林委員の言うように、肥料の価格ができるだけ安く、またメーカーの利潤求等は、肥料という特殊な大きな産業部門においては、これは許しがたいのでありますが、そういう事情から見ましても、メーカーも非常に熱心に増産に努めたというような点、価格も自粛しておるというような点から見れば、この際五月の最初予定しておつた時期に輸出に同意するということに対しまして、あくまでもこれを反対する理由がなくなりましたので、農林省としましては、この際五月に予定の通りの輸出をするということになつたのでありまして、これを六月、七月に出すということは、むしろ安本、通産の考えではなくて農林省が考えておつた考え方である、その点の反対すべき理由が今日ないというような点を考えまして、五月に輸出を承認するということになつたのであります。一応の経過を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/52
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053・小林運美
○小林(運)委員 先ほどの河野小委員長の御報告の前段の、これは肥料業者から小委員長が言われてやつたのじやないという点は了解いたしますが、しかしこの問題は、われわれが常識的に考えてもわかるように、やはり肥料業者の要望だろうと私たちは考えておりました。当日も肥料業者がその席におりましていろいろ御意見があつたようです。しかしそういうことを私は今云々するのではないのですが、とにかく今の政務次官の御答弁によりますと、これを繰上げ輸出することが農林省としては当然だ、反対する理由がないというような御答弁については、われわれは非常に不満足なのであります。これは通産省や安本が——安本はどうか知りませんが、とにかく通産省が肥料業者の立場に立つてそういうことを言うのかもしれないけれども、少くとも農林省は、もつと肥料の価格を安くして農民に與えることが農林省の立場なんです。先ほど私も触れたように、現在の肥料の値段が適正の値段であるかどうかという認識の問題なんです。今の政務次官のお話では、現在の肥料はあれでいいのだというように私には聞える。これはもつてのほかである。肥料は高過ぎるのです。この認識をもう少し改めてもらわなければいかぬと思う。だから需給のバランスによつて肥料の値段が下る、これは当然のことであつて、もつと下つていいと思う。しかもさつき私が申しましたように、肥料業者はもうけている。農民はもうけるどころではない、肥料を購入するために相当の借金をしておる。ところが現在肥料があまり売れないというのは、もつと値下りするだろうから待つておるというのではなく、金がないから買えないのです。もつと安くなれば手を出すでしよう。どうしても必要な人は借金をしても買つておるのです。この事情をもう少し認識を深めてもらいたい。これが私の立論の趣旨なんです。ところが今の次官のお話はそうじやない。何だかあやしいような御答弁で、私は実に遺憾に存じます。そんなことを考えていない、当初の計画が五月か六月に朝鮮にこれだけやるからというようなお話でございましたが、その当時農林省の考えたのは、五月、大月は需要の最盛期だから、大月、七月にもう少し肥料の手当が済んでから余つたらやるという意味なんです。現在はほんとうに余つたのじやない、足りないのです。そういうような事情をよく考えてもらいたい。肥料の値段を下げるのがわれわれの務めなんだという認識を深めてもらいたいのです。どうも先ほどの答弁だけでは私ども納得が行かない。さらに政務次官あるいは農政局長もおりますから、農政局長はこういうことを——今のお話では、農林省から提案したということは私たちは非常に心外なんだ。その事情を農政局長の立場からお考えがあるなら言つてもらいたい。そうしてこの繰上げの輸出によつて現在より肥料の値段が上らないという確信があるかどうかということを、私は小委員会でも聞いた。ところが肥料の値段が上るか下るか、これは責任が持てないというようなお話であつたが、その通りかどうか。今度の輸出をして絶対に肥料の値段が上らないということを断言できるならしてもらいたいと思う。またその裏づけが一体あるかどうかということなんです。これをひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/53
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054・野原正勝
○野原政府委員 小林委員は私の答弁を聞いて何か曲解をしておると思う。私は決して肥料の値段が今日の値段でそれでいいと思つておりません。むしろ安くなることが好ましいと思つておる。ただいかにも私の申した言葉の中に、農林省が繰上げて輸出をすることを提案したかのごとくおつしやるが、絶対にそういうことはございません。繰上げるのではなくてむしろ極力繰下げようとして努力して参つたけれども、この委員会でしばしば肥料問題として論議されましたように、現在よりも価格が絶対に上つてはならぬ、これは下げるのだ、下げる方向に持つて行くということで、肥料問題は価格の安定というよりもむしろ引下げという政策で極力進めておつたわけであります。それからまた大いに増産に努める。そうして国内での需給のバランスがとれて、これなら大丈夫というときでなければ輸出は原則として認めないという農林省の基本方針を、あくまでもわれわれは堅持してやつて参つたのであります。最近の事情は先ほど河野小委員長からも御説明がありましたように、生産も予想以上に好転しておる。また価格もあの当時論議されました最高、最低というふうな価格から見れば、むしろ今日はあのときの予想よりも下つておるということであつて、これが、この価格でいいのかどうかという問題になると、むしろ肥料のメーカーに対しては、生産の合理化なり生産に対する努力をもう少し願つて、そうしてなるべく安くしてもらう。安いことが好ましいことは、これはあくまでも農業政策の基本であります。従つてその点から言うならば、今日の価格いえどもまだ高過ぎることは私も同感であります。しかしながらあの当時われわれが一応の目安として、今後の肥料の価格の推移あるいは需給の状況というようなものをずつと勘案してみましたときに、今日予想以上に価格の問題なり生産の問題も事情がよく行つておる。非常に要化をしたということならばわれわれもあくまでがんばつて輸出の繰下げをいたします。しかしながらあの当時通産、安本側におきましては、やはり予定の通り五月の輸出を認めてくれと再三の交渉があつたのでありますが、われわれとしましては、もう少し国内の事情を見なければそれに対しては何とも言えないということで、極力繰下げるべく努力をしておつたのであります。先ほど申しましたような事情で、すでに事情も大分よくなつておるというような点から、この際は予定通り五月の輸出をどうしても認めてもらいたいという要望に対しまして、あくまでもこれを反対し切る理由が実は薄くなつておるというふうな点から、この際は、この程度の輸出をさしてもおそらく国内の価格は高騰するようなことはあるまい。むしろその程度の輸出を認めても価格は安定をし、あるいはもう少し下落をするのではないかというふうなことも考えまして、そうして承認することにきめたという事情でございますので、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/54
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055・小林運美
○小林(運)委員 政府次官の認識を、今ここで私の認識のように改めるということはあるいは困難かもしれませんけれども、どうもわれわれはそういうことでは納得できません。それから肥料の値段が、肥料の需給状況や市場を混乱云々というような話でありますけれども、混乱ということは肥料が高くなつて、欲しいけれどもないというのが混乱だと私は思う。国内に肥料がどんどんあれば、どこからでも買えるのですから、これは混乱じやない。当然のことなんです。こんなのは何も輸出を促進するとか、何とか繰上げてやるというような理由にはならない。やはり肥料の値段が下るのが当然だと思つておる。ところが当時出席した肥料業者がほかの問題を出した。電気料金が上るととてもやれないということは、すでにこれから肥料の値段を上げようという魂膽がはつきり現われておる。この問題が出たら、そんなことはあとまわしにしようというようなことで、当日はそれがわけのわからないことになつたけれども、もう先が見えておる。まだ業者は電気料金が上れば肥料も上るのだということを言つておる。こういうような際、しかも相当数量繰上げて——今政務次官は繰上げではない、当初の計画通りと言つたけれども、あのときはそうであつたが、農林省はいろいろの需給関係からもつと繰下げようという腹だつた。私はそれでいいと思う。それを五月にさかのぼつて輸出を許可するというのでは、先ほど来私が申し上げましたように、肥料の値段を下げて農民に安い肥料を十分供給するという根本原則には反すると考えます。
なお先ほどちよつと触れましたけれども、われわれが委員会において、肥料の輸出についていろいろ言うことは行政干渉だというようなお話も小委員長からありましたので、私は追加して申し上げますけれども、この委員会において特に肥料に関する小委員会を設けましていろいろやつておることは、こういう事情があるからいつも需給等を考え、また輸出の問題も、われわれは絶対に輸出してはいかぬというのではないのです。そういうような観点からやつておるのです。これは行政干渉でも何でもないと思つておる。むしろそういうことを強調するのは、われわれが前から言つておる肥料需給調整法というような法律をつくつて、そういうようなごたごたの起きないような法律をつくりたかつたのです。これは御存じのようにどこの反対か知りませんが、自由党か政府か知らぬが、これもなかなかできないような事情もあるので、小委員会においてこういうことを論議して、そうして政府も今までこういうことを報告し、また小委員会もこれを取上げて、特に小委員長は非常に肥料に関する権威者でもあり、ふだんの御努力をわれわれは信頼しておる。こういう特別な点からわれわれは率直な意見を申し上げておるのでありまして、今回の輸出の繰上げについては、われわれは以上のような観点から賛成しかねるということを申し上げておるのであります。なお先ほど肥料の値段について今後絶対上げない、上りつこない、このくらいのものを出しても別に何でもないというようなことをおつしやつておられる、その裏づけがはつきりできるかどうか、農林省はどういうふうに考えますか、その点をはつきり言つてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/55
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056・河野謙三
○河野(謙)委員 報告をさらに補足いたしますが、先ほど来小林委員から業者の発言云々ということがありましたが、昨日の肥料小委員会には業者の出席はありません。昨日出席いたしましたのは通産省の化学肥料部長、農林省の農政局長、経済安定本部の産業局次長、それからその局に属する課長が二、三人御出席になりましたので、業者の出席はありません。傍聴人は別でありますが、業者の出席はありませんし、従つて業者の発言ということは、おそらく通産省の肥料部長の柿手君の間違いではないかと思いますので、この点は委員会の権威のために、その問題をはつきりしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/56
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057・小倉武一
○小倉政府委員 硫安の今後の価格の問題でございますが、これについての予測と申しますか、今後政府の方針通り現状の価格水準をすえ置くという点について確信あるかないかないかというお尋ねだと思います。この点につきましては、一つはこの前御審議をいただきました節に、政府当局とメーカーの代表者間において、書面でもつてそういう趣旨の約束ができておるということを私は信頼したいのであります。もう一点は、最近の硫安の需給状況でございます。三月末現在におきまして、窒素質肥料におきまして、十五万五千トンの工場滞貨があるのであります。なおそのほかに中継地在庫が数万トンございます。四月に入りまして、おそらく現在におきましては、これは先ほど小委員長から報告がありましたように、二十数万トンになつているのではないかというふうに考えられるのであります。従いまして、さしあたり二万トンずつを五、六月に輸出するということに相なりましても、全国的な価格の水準ということになりますと、これはほとんど実力として影響を及ぼし得ないものじやないかというふうに考えておるのであります。なお地域的な問題もございます。あるいは時間的な問題もございますが、三月から四月にかけまして、非常に荷の動きが悪い。その点につきましては、業界の方にも協力を願いまして、工場から出たものをなるべく産地の近くに運んで置くという措置を講じたいと考えております。そういう関係の機関に協力を促しまして、若干ずつすでに着手をいたしております。
なお輸出の問題につきましての工場別割当につきましても五、六というところに需要がかたまりますような工場は避けまして、すでに最盛期が達ぎたような地域に所在する工場から輸出分を出すといつたような措置もとりたいというふうに考えております。以上のように、私どもといたしましては、小林委員の御懸念なされるようなことは万々あるまいというふうに信じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/57
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058・遠藤三郎
○遠藤委員長代理 竹村君に申し上げます。小委員長報告に対する質疑にとどめてください。政府との間の質疑は、別の機会にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/58
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059・竹村奈良一
○竹村委員 私は専門家である小委員長にひとつ伺つておきたいと思います。大体そういうふうに繰上げ輸出を承認するというような場合におきましては、小委員会におきましては少くともいろいろな点から検討された、こういうふうに考えるわけです。従つて私のまず第一にお伺いいたしたいのは、大体今度の春肥で、日本全国の需要量というものは一体どれだけ必要であつて、それで現在各地方にストツクがどれだけあるか。会社のストツクは今お聞きいたしましたが、現在の会社のストツクと、そうして地方にあるところのストツクだけで、全国の需要を満たし得るだけのストツクがあるのかどうか。まずここが私は一番重要な問題であると思う。この問題が検討されませんと、先ほど小林委員の心配されました電力料の値上げが今度あれば、肥料価格もこれではまた上げなければならぬというような気配が濃厚であり、これが会社側の主張であることははつきりしておる。従つて現在のストツクを繰上げて朝鮮に出してしまう、そうして電力料が値上つて、値上つた価格で生産されたものを内地の農民に出す、こういう矛盾したことは、農林委員会としては承認できないことだと思う。従つてこの問題につきましては、少くとも全国の春肥の需給量というものが、現在のストツクで満し得るという確信のもとでなければ、輸出できないものだ。従つてこの点について、春肥の需給の問題、しかも現在会社のストツクを全国へ分散することによつて、春肥の需給というものは、全国的にまかない得るという数量的な詳細な御説明を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/59
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060・河野謙三
○河野(謙)委員 私からお答えいたします。現在の各工場の手持ちのストツク並びに各府県にあります倉庫に入つておりますもの、これだけでこの春肥全体をまかなえる数字にはなつておりません。おそらく現在のストツクに、四月生産されるもの、さらに五月の半ばまで生産されたものをプラスすることによつて、十分春肥はゆうゆうと乗りきれる、そうして春肥のしまいにおきまして、いまだかつてない、四十万トン近い繰越しを秋肥にしなければならぬじやないか、こういうふうな見通しを持つております。それはもちろん四万トンの輸出を計算に入れてです、従つて、これは私個人の観察でありますけれども、今後肥料は相当価格まで私は低落というより、むしろ暴落する見通しを持つております。そうして余談になるかもしれませんが、おそらくわれわれがかつて主張いたしました肥料の需給調整法を、皮肉にも今度はメーカーの方から需給調整をやるか、さもなければ、これに類似する政府の施策をやつてもらわなければ、肥料工業は安泰でないという時期が近い時期に来る、こういうような私個人の見解を持つわけであります。その個人の見解を披瀝いたしまして、今お尋ねの春肥について、一体今のストツクで行けるかどうかという問題につきましては、今申し上げましたように、現在のストツク並びに五月の半ばまでの生産で十分乗り切れるという、私は深い確信を持つております。
それから、これはさらに補足して御報告いたしますが、実は本委員会で肥料輸出問題について政府に要望いたしました。その政府からの回答書には、皆さんはこれはうつかりしておられたかもしれませんけれども、六月、七月とは書いてない。政府の回答は五月、六月となつております。それを、この回答を受けまして、この回答に承認を與えたのでありますが、その後におきまして、私が非公式ではありましたが、ここにおいでの農政局長に対して、回答のうちで、五、六の分は、ちよつと五月は懸念されるから、大月ということでひとつ腹をきめて通産省に当つてもらいたいということを私は頼んで、農政局長もそれで努力いたしますということになつておつたのであります。それをその後、先ほど申し上げましたように、三省で会議の結果、今申し上げたようなストツクの状況からいたしまして、これはかねて農林委員会に御報告申し上げた通り、回答いたしましたように五、六で十分やつて、農林省としても責任が持てるということになつたから、三省の会議の結果きめたから、これをひとつ了承してもらいたいという経過なんでありまして、少し内輪話になりましたが、そういう経過ですから、これもひとつ補足しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/60
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061・竹村奈良一
○竹村委員 一応今の河野委員の需給の問題についての説明によりますと五月半ばごろまでの生産をもつて、春肥の全国的な需要がまかない得る、こういう御説明でございましたが、そういたしますと、現在のストツクを輸出いたしますならば、少くとも春肥の需給を全国的にまかない得るものは、この輸出分だけが五月の半ば以降にならなければ生産ができないということになると思うのです。そういたしますと、国内の春肥の需給というものが、結局においてきゆうくつになつて来ることは、これは委員長の報告によつてはつきりして来ているわけであります。それからもう一つは、価格が暴落する、こうおつしやいますけれども、まず第一に、この肥料の統制をおはずしになつたときの農民に対する約束から考えまして、河野委員は一体どこが、たとえば硫安にいたしますならば、硫安十貫目当りどの値段が、農民に約束した最も適正な価格とお考えになつておるのか。暴落々々とおつしやいますけれども、あの当時と比べていろいろ物価の変動はあります。ありますけれども、あの当時は少くとも一俵六百円以内、五百七、八十円で農民に渡すということをあなた方はお約束なさつて、そうして統制をはずされたと思うのでありますが、ただいま委員長は、おそらくこの値段よりも少くとも暴落するであろうということをおつしやいますけれども、約束した価格よりは、それはもちろんほかの物価の指数から考えて、少しは上つておる。けれども肥料だけが少くとも千円になんなんとしておる。少くとも四〇%の値上りをしておる。ところが米価その他いろいろなものを考えましても、四〇%も値上りしていない。そういたしますと、肥料の適正価格、つまり政府が約束して渡すという価格は、河野委員は暴落するとおつしやいますけれども、一体どのくらいが適正価格と考えておられるのか。この点はおそらく政府においても、一番重要な問題だと思のであります。少くとも農民に約束した六百円以内、それにいろいろな物価指数を考えまして、たとえば一割なり一割五分上つておるといたしましても、少くとも七百円以内で農民に渡すことが、統制をはずすについて政府がお約束なさつた価格であると思うのでありますが、この点は一体どのくらいで農民に渡そうとお考えになつておるか、この点を伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/61
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062・河野謙三
○河野(謙)委員 輸出を認めることによつて、それだけ需給関係が狂つて来るというような御見解でしたが、それはそうでなくて、先ほど私が申し上げた見通しとしての需給関係は、輸出の四万トンの数量もわくに入れて計算いたしました場合に、五月半ばまでの生産によつて十分まかなえる。しかも先ほども申し上げましたように、五号の半ばになりますと、北海道、東北の施肥は大体一巡いたします。でありますから、その地に所在する硫安工場から輸出をすることによつて、何ら内需に対しての圧迫はない、こういうふうなことも先ほど御報得した通りであります。それから肥料価格につきまして、どこが適正かということにつきましては、これは竹村君御存じのように、常に小委員会においてわれわれは論議を重ねて来たのですが、肥料メーカーの主張は、二箇月前の小委員会において、藤山愛一郎氏以下メーカーの代表を呼んで聞きましたときには、千四十円ないし千五十円でなければコストがカバーできない、こういう主張でありました。その当時九百九十円でありましたから、当時の主張では、メーカーとしては四、五十円は少くとも上げてくれなければ、肥料工業は採算がとれないという主張をしておりましたが、それは単なるメーカーの意見であつて、われわれのとるところではない。その後におきまして、本委員会としては、先ほど農政局長からお話がありましたように、メーカーから輸出を承認するについては、その当時の価格、全購連、県購連の口銭を内口銭にしての九百九十二円よりも上げることは認めない。それを承認するならば輸出を許可しようということで、メーカーから安本長官が文書をもつて回答を求めて、それによつて輸出の措置がとられたということは、御承知の通りであります。しからば九百九十二円が一体どうかということについては、九百九十二円はその当時の市価がたまたま九百九十二円であつたから、当時よりも上げてはいけないということの意味の九百九十二円で、しからば適正なる価格はどうかということになると、非常にむずかしい問題でありますが、私は先ほどの小林委員なり竹村委員の御意見と同じように、メーカーが現在の価格で採算がとれないとは思いません。思いませんが、これをさらに五十円も百円も——五十円程度は別ですが、百円も下つた場合に、現在の肥料工業がはたして採算がとれるかどうかということについては、全体のメーカーとしては別でありますけれども、少くとも数工場は、もしかりに百円下つた場合に、相当の赤字を出すというふうに私は考えます。でありますから、結論といたしまして、全国平均で低コストの工場、また高コストの工場、これを平均いたしまして、今よりも四十円や五十円下つても、そう大した、製造会社がつぶれるということは考えませんが、少くともその辺までは行つても大したことではないのじやないか、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/62
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063・竹村奈良一
○竹村委員 それではもう一点だけ聞いておきますが、大体五月の中ごろまで輸出する分をも含めて、春肥の需給はまかない得る生産に達する、こういうことでございますが、そこで問題は、この輸出を早くすることによつて、国内の需要著たとえば協同組合その他のものがいわゆる買付をやろうとする場合において、片方の輸出の許可が早くおりておるということをたてにして、そうして当然四、五十円下げて売り得るものを下げないで売ろうとする気配が、私は事実上において濃厚になつておると思うのであります。こういう点において、一方において輸出を許可する場合においては、そういうことをしないような勧告あるいは注意を與えられるような用意をしておられるのかどうか。これは法的にはないので、それができないというのでありましたならば、おそらくこの輸出をすることによつて、国内の需要者が買い付けようとする場合においては、輸出をたてにとつて、現行価格より下落しない価格で売ろうとすることは、これは商業道の当然のことだと思います。が、これに対して何か勧告でもして、それよりも安い価格で渡し得る、たとえば四十円下げてもいいのだと考えられておられるならば、その下げた価格で国内の需給に対しては売らしむるような勧告あるいはその他の方法を考えておられるのかどうか。この点をちよつて伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/63
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064・河野謙三
○河野(謙)委員 竹村君は、私が承知している範囲では協同組合に関係があるので、私よりも事情は詳しいと思うのですが、單位組合はもちろんのこと、県の連合会、それからまた全国をまとめた全購連も、肥料の荷動きが全然ない。今むしろ協同組合としても非常に困つておるような状態なんです。従つて現状におきましては、二万トン、三万トンの問題によつて、これがてこ入れになるとかなんとかいうようななまやさしい問題ではなくて、私が聞くところによりますと、製造会社は全購連に、値段はきめなくていいから、とにかく一箇月分くらいのものを金融をつけてくれ、こういうことさえも今話が始まつておるというような状態で、この肥料につきましては、これは個人の見解になりますけれども、今度は農民の立場で自由に肥料は値段もつけられるし、自由に買える、こういう段階に入つたと深く確信しております。その点につきましては、私個人の意見でありますけれども、私は二十年ただこの方の飯を食つたのではなくて、皆さんと私は見解がかりに違つても、私の見解に間違いはないということを、私は確信を持つているわけでございますから、どうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/64
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065・竹村奈良一
○竹村委員 私は河野委員の御意見とはちよつと違うのです。というのは、遺憾ながら、メーカーが値段をきめずに、全購連等に一箇月の融資を頼むということは、結局において今度電気料を値上げして来たときに、これは融資してもらつたのだから、現行価格で取引してくれという下準備だと思う。また今日の全購連そのものも、あまり買い過ぎるというので、われわれは問題にしているのですが、ともかく問題は、この輸出をさすという場合には、そういう適切な指示を與えられなければ、おそらく今度の電気料の値上げ等を通じて、少くとも内地の農民は、現在以上高い肥料を購入しなければならぬと私は思う。これは議論になりますから、この辺でやめておきますけれども、しかしこの見通しを持つて少くともこの問題に対処しなければ、後日、日本内地の農民に対して非常に高い肥料を買わせなければならないということを、特に私の意見として警告しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/65
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066・遠藤三郎
○遠藤委員長代理 午前中の会議はこの程度にいたしまして、午後は一時半から再開いたします。
これにて休憩いたします。
午後で時四十九分休憩
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午御二時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/66
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067・松浦東介
○松浦委員長 午前に引続き会議を開きます。
食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。河野謙三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/67
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068・河野謙三
○河野(謙)委員 まず第一に伺いたい点は、この麦の統制撤廃にあたりまして、前提條件として最も慎重なる調査並びに見通しをつけなければならぬ問題は、今後の米の需給関係だと思います。もちろん政府は、本法案を提出されます以上は、米に対しての十分なる見通しがついての上のことだと思いますが、この機会に、本米穀年度の米需給状況、特に外米の輸入見通しについての御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/68
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069・東畑四郎
○東畑政府委員 米の需給状況の問題につきましては、先般のこの委員会で申し上げたのでありますが、問題は日本の供出米と外米の輸入の問題に帰するわけであります。供出米につきましては、ただいまの最新の数字で申し上げますと、二千五百六万九千百四十一石になつておりまして、補正割当二千四百四十七万三千三百石に対しましては、一〇二・四%になつております。当初の割当に対しましてはまだ九八・三%でありまして、二千五百五十万石には実はまだ若干欠かけておるのであります。大部分の県が供出を完了しておりますけれども、若干割当より低めの県がまだ十三県残つておりまして、遅れてはおりますが、日々供出が進行中であります。なお新潟県等につきまして若干——供出は完了したのでありますが、超過供出についてさらに懇請を続けまして、ごく最近またこれが若干超過供出を願えるのではないかという段取りになつております。
外米の事情でございますが、十一月以後到着いたしましたものが、精米換算で三月までに三千九万七千トンございます。それからごく最近までに買いつけまして、まだ到着いたしませんが、買付済みのものが三十七万一千トン——これはみな精米の数字でございます。合計いたしますと、七十六万八千トンということになつております。政府といたしましては、一応百一万トンという精米換算の計画を持つておるのでありますが、ただいまのところ若干これより上まわる量が確保できるのではないかという見通しを持つておる次第であります。と申しますのは、実はタイ、ビルマ等につきまして、最近いわゆる政府割当が相当の量をもらえるという情報も入つて来ております。ビルマ等につきましても、国際入札がごく最近行われまして、これでも日本側に若干のものが参るということ等を織り込みますと、われわれの計画外でありましたウルグアイでありますとか、スペインでありますとかいう方の米が、相当量あまり高くなくて買えますので、もう少し外米の輸入量がふえる見通しを、実は本米穀年度としては持つておりますので、供出状況とにらみ合いますれば、いつか申し上げました本米穀年度の米食率は減らなくても済むのではないかというふうに確信いたしております。右のうち準内地米というものが今年は非常に多いのでありまして、七十六万八千トンのうち三十七万八千トンがいわゆる準内地米という日本品種でありまして、内地米の本年の供出主が少い地方には比較的こういうものが多いのでありますからそういう地帶、特に九州、中国方面には、なるたけこういう準内地米を輸入いたしまして、外米にしても比較的日本内地米に近いものを配給して、米食率の維持をはかりたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/69
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070・河野謙三
○河野(謙)委員 外米の輸入目標を百一万トンと立てておられるのですが、この百一万トンというのは、内地米の二千五百五十万石の供出ができるということを前提にして、そのほかに外米を百一万トン入れれば、本米穀年度における米食率については何ら不安がない。言葉をかえれば、百一万トンの輸入できれば現行の米の配給量は何ら不安がないということですか。それともこの百一万トンを輸入することによつて、相当の余裕をもつて来米穀年度に繰越せるということですか。その点をひとつ御説明いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/70
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071・東畑四郎
○東畑政府委員 当初政府が計画いたしました需要量から申し上げますと、約十三万トン——程度需要量が七月以後から減つて参りました。当初の計画は五百十三万六千トン——これは飯米以外の工業用途も含んでおりますが、そう見ておつたのであります。ところが大体十一月からの実績は、若干の配給辞退があつたのでありますが、そういうものから過去の実績を織り込みますと、大体五百万トン程度で済むのではないかというように、今需要の推定をいたしておるのであります。そういたしますと、二千五百五十万石集まりまして、当初の輸入計画通り実行いたしますと、相当量の外米は持越しができるのではないか。もちろん時期的な若干の持越量はいるのでありますが、外米は輸入港に入りましてから、配給する地域が限定されておりますので、そう奥地まで持つて行く必要はないので、持越重は若干の安全率を見ておりますが、これを切詰めますと、二千五百五十万石集まつた場合には百一万トンでいいのでありますが、今の見通しとして多少弾力性を持つた方がいいのではないかと考えまして、供出量を見合いまして多米の輸入量を見た方がいいのではないかという計画を持つております。そういたしますれば本年度の供出割当は少かつたのでありますけれども、米食率の維持についてはやつて行ける、実は数字的にはこういう見通しを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/71
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072・河野謙三
○河野(謙)委員 本委員会において大臣並びに長官からたびたび言明がありましたので、くどいようでありますが、重ねてこの際はつきり責任ある御答弁を願いたいのですが、今御説明のように、外米が七十六万八千トン現に入りまたは契約済みのものがある。そのほかの二十数万トンにつきましても十分なる見通しがついた。内地米の方はすでに二千五百万石あまりの供出が完了しておる。従つて米食率については何ら不安はない。現行の米食率を確信をもつて継続できるということに間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/72
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073・東畑四郎
○東畑政府委員 さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/73
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074・河野謙三
○河野(謙)委員 次にお伺いしたいのですが、麦の統制を撤廃しました後におきましても、本年度の予算におきましては補給金を一応予算に組んでおられますが、本来補給金というものは、補給金即公定価格であり、補給金即統制であると思う。補給金を組んでおいて公定価格を撤廃し、市場の流通を自由にするということは——この法案は完全なる自由ではありませんけれども、一応自由の形になるのですが、こういうことはえてしてこの補給金の目的からはずれて、中間の加工業者、販売業者の補給金になるというおそれが私は多分にあると思います。過去の実績はいずれもそうであります。この大事な国民の食糧につきまして、過去において食糧以外の物資で間違いましたように、消費者のための補給金を予算に組んでおきながら、それが中間業者の補給金になつたという例をこの麦の場合に繰返すことは、はなはだ事重大であります。そこで補給金を継続して配給をやめて、マル公をやめて、そうしてしかもこれが完全に政府の意図するように、消費者の補給金として、この補給金が消費者の台所に届くという確信がおありですか。もし確信があるならばどういう理由によつて確信があるか、どういう手段をとつたことによつて確信があるか、これをひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/74
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075・東畑四郎
○東畑政府委員 製粉のクーポン制を廃止しまして、またマル公を廃止しますことは、補給金を受けておりながら、はたして消費者のための補給金なりやいなやという御費問でございまして、まことにごもつともだと思います。政府といたしましては、今日の麦におきましては、たびたび申し上げましたように、遺憾ながら日本の供給力ではまかない得ないのでありまして、われわれの考えます需要量の非常に大きな分がやはり輸入に依存せざるを得ない。その輸入したものを政府が管理いたします限りにおいては、政府自身のコントロール下に相当の原麦を保有しなければいけないので、この力と申しますか、この量の操作ということによつて原料を握つておる。しかもそれを政府が完全にコントロールしておるということによりまして、原麦の価格さえある一定の操作をいたしますれば、末端の消費者に何ら不定のない価格形成ができるのではないかという、実は量の問題と価格の問題を完全にコートロールすることによつてやれるという確信を持つておるのであります。それは麦自体の持つ一つの性格なり、その管理方式から出ているのではないか、こういうように確信をいたしておるのであります。なお価格の問題ではなしに、地域的な問題として、非常に山奥等につきましては、政府で委託加工いたしました製品を輸送いたしますことによつて、そういう物量を確保し得ないという不安もなくなるのではないか、こういうふうに考えておりますので、こういう管理方式のもとに配給統制をなくしましても、この補給金は完全に消費者のための補給金である性格をちつともかえないのである、こういうように実は確信をしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/75
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076・河野謙三
○河野(謙)委員 麦の大半を政府が管理して、そうして今後価格のコントロールをして行こうというのでありますから、私は政府の意図するままに管理ができる、かように思います。従つて補給金の計算の基礎になる価格というものは、政府の意図のままにできると私は思います。けれどもそれのみにとらわれることによつて、食管の特別会計における赤字の問題と衝突して来る場合があると思うのですが、それは一体どういうことになりますか。たとえば補給金の計算の基礎においての予定価格がある。ところがその予定価格がたまたま家計費の方と衝撃が起つたという場合には、そのいずれをとられますか。どこまでも食管の特別会計の收支バランスということで家計費を無視して行かれるのか、それともそうでないのか、そこをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/76
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077・東畑四郎
○東畑政府委員 麦価の問題は、この法案にも出ておりますように、これはあくまでも内麦の価格を中心にして考えて参りまして、国際的な外麦価格とは一応遮断する形成になつております。従いまして、内麦の価格形成がもとになりまして、外麦の価格との差をただいまのところは輸入補給金で調整しているのであります。そこで家計費との関係でありますが、今日の段階におきましては、予算でも立てておりますように、この法案に基きます家計費のわく内において原麦価格の操作が政府としてできるのでありまして、何かの関係で家計費と政府の買入れ価格等において差ができます場合に、家計費を圧迫して政府が高くするということはこの制度上は考えておりませんので、あくまで家計費をしんしやくして政府の買入れ価格をきめるということが建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/77
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078・河野謙三
○河野(謙)委員 よくわかりました。そうしますと、食管の特別会計は、家計費と政府の予定しました価格との衝突が起つた場合に、家計費をどこまでも中心にして価格のコントロールをやる。こういうことになると、その場合は赤字の出ることを初めから予定のもとにおやりにならなければいかぬと思いますが、この赤字の即題についてひとつ長官から御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/78
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079・東畑四郎
○東畑政府委員 赤字の問題といいますと、実はいろいろ原因があるのであります。今河野さんが申されました家計費から見て食管の買入れ価格が、かりにこの法案できまりました場合は、家計費のしんしやくから見ましてそれが高すぎる、いわゆる赤字という問題と、もう一つは、政府はこの法案におきましては、あくまで農民に対する最低価格を保障するという建前上、そこに見積り経費をかけまして、売りました場合における見積り経費と、実際の経費との差が出ます。そこに経営若干の赤字が出る、こういう問題と実は二つあると思うのです。前者の赤字の問題につきましては、ただいまのところわれわれといたしましては、家計費の調査等から見ましても、河野さんの御心配になるような赤字にはなかなかならないではないか。後者の赤字につきましては、これは見積り経費の問題等厳密にいたすのでありますけれども、麦の政府に対しまする出荷量でありますとか、いろいろな問題で必ずしも見積り経費と実際の経費とが同じであるというわけに参りませんので、そういう場合には違つた意味のいわゆる赤が出るのであります。その赤というものについて、食管といたしまして従来はこれを消費者にかけたのでありますが、今後は赤は赤として、一定の食管内部の経理をいたしまして、これを繰越して行くという以外に道はないので、そういたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/79
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080・河野謙三
○河野(謙)委員 この点につきましては、まだ質疑すべき点が残つておりますけれども、時間の関係上これはやめまして、ただ一言、従来の食管の運営の経過にかんがみまして、この際私は厳重に申し上げておきます。従来とかく食管の特別会計の運営は、特別会計そのものにとらわれて、特別会計の收支をうまくバランスさせようということにとらわれて、その陰で常に生産者を犠牲にし、ある場合には消費者を犠牲にする、こういう例が——例でなくてこれが全部です。少くともこの法案の運用にあたつて、当然出べき赤字は出し、どこまでも消費者並びに生産者本位の特別会計の運営をやるということを、この際はつきりしてもらわなければ困るので、今までのように、一例をあげれば、厳重に検査をして三等米に買うべきものを、四等米で、よけい買つてみたり、その他食管特別会計そのもののために消費者、生産者を犠牲にしたという過去の運営は一切やめてもらいたいということを、これは反対がないはずでありますから、私は注文をつけるだけで、この赤字問題の質疑はこれでやめます。
次に今後政府の管理する麦を拂い下げる場合に、いかなる方法で拂い下げられるか。このことを伺うのは、四月一日から買取り制に移行されまして、この四月一日から買取り制をやつておられる。現在の買取り制においてどういう問題が起つておるかというと、中小企業の犠牲において大製粉が、また精麦の大企業が非常に伸びておる。言葉をかえれば、政府の援護のもとに必要以上に大製粉が跳梁しておるという結果になつておる。というのは、従来の割当も大製粉中心、大企業中心でありましたが、従来は一応名目上は大製粉はたくさんの拂い下げをもらうけれども、加工賃においてそこは非常に差別を受けておる。すなわちもつと具体案に申すならば、操業度において、一方において大企業は二十日なり二十五日の操業度を得るだけの量の割当を受けておる。片一方中小企業は十日なり十五日の操業度に押えられておる。しかしその反面において加工賃は中小企業の方は高くやつておつた。大企業の方は加工賃は安かつた。こういうことで、一応名目上は加工賃において操業度をアジヤストしておつたわけでありますが、四月一日以降の買取り制になりますと、このアジヤストするものは何もないので、政府みずから調査したところの操業度によつて、大中小の区別なく、一様に十五日の操業度は十五日、二十日大企業がやるなら中小企業も二十日、こういうことに私はすべきだと思う。そうでなくて、現在買取り制になりましても、依然として過去と同じように、一方において大企業が操業度が高くて、中小企業が操業度が低い、こういうりくつではない、現状なんだ。この現状を一体どういう意味にとられるか。またこの現状の不合理を早急に是正される、また麦の統制撤廃になりました以後においては、これをさらにどういう形で合理的にされるか、この拂下げの問題についての将来の食管長官のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/80
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081・東畑四郎
○東畑政府委員 この法案が考えております点は、原則として将来は一般競争契約による入札ということになつておるのでありますけれども、ただいま河野さんの御質問になりましたように、長い委託加工制度、統制中に企業が相当発展いたしまして、その企業の能力等につきましても大企業、中小企業と相当実はあります。これに対して何らの考慮なしにやりますことは、河野さんの申されましたように、あるいは大資本の集中という一つの別の種類の問題が発生することは私も承知いたしております。従いまして当分の間はやはり割当売却といいますか、随契で政府の持つております原麦は売らざるを得ない、こういうように、実は思つております。そういうふうに実行いたしたいと思います。また統制が解けますと、政府の売ります以外に、自由にもちろん麦は買えるのであります。政府の割当売即につきましては、やはり原則として能力というものを中心に考えて行かなけれでならないというふうに考えておりますが、能力をどう見るかということにつきまして、より公正な認定というものができますれば、それを中心にひとつ考えて行くのが適当ではないかというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/81
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082・河野謙三
○河野(謙)委員 当分の間随意契約でやる、こういうはつきりしたお話があつたのですが、その随意契約の仕方ですが、能力に応じてということですが、能力そのものは政府が査定して、政府が能力調査の台帳を持つておるわけです。その政府が持つておる能力調査の台帳に従つて、能力本位で——多のフアクターは全然入れないで、能力一本で随意契約の基準を立てる、こういうことですか。それとも何かそのほか従来いろいろわけのわからぬフアクターが入つているようですが、そういうフアクターも何か考えておられるのか。もしおられるとすれば、その他のフアクターはどういうものであるか、それをひとつ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/82
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083・東畑四郎
○東畑政府委員 ただいまのところはクーポンによつて販売をいたしておりますので、クーポンの回収率というものを若干拂い下げる場合の原料の割当の要件として考えておるのでありますけれども、統制を撤廃いたしますと、クーポン制はなくなりますので、そういう要素は考慮することができないし、またする必要もないわけでありまして、従いまして原則としましては、やはり申込み量いかんによつて、申込み量だけ政府が売却できればこれは申込み通りやるほかはないのでありますが、申込みと政府の計画的な拂下げというものに食い違いがありました場合、やり能力中心で行かざるを得ないじやないかと考えておりますけれども、何かこれがまた中小企業と大企業との関係において、非常にアンバランスができました場合には、この調整について何かいい意見があれば、われわれとしてはとることにさしつかえはない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/83
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084・河野謙三
○河野(謙)委員 クーポン制の問題は、現在クーポン制があるのですが、この法案が通過したあかつきには、クーポン制というのはなくなるです。そうしますと、その場合には一体どうされるか。私は人が調査したのではなくて、農林省自体が調査したところの能力調査というのがあるのですから、この権威ある調査に基いて、能力一本で割当すべきである。もちろん申込み数量が不足した場合は、これは申込みした数量だけやればいい。申込み量が超過した場合にはどうするかという問題は、私ははつきりとこの際に能力本位で、他のフアクターを一切考慮することなく、随意契約を続ける、こういう私は御答弁を得たいのであります。またそういう答弁を当然さるべきであると思う。それを躊躇する理由があれば私はそれを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/84
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085・東畑四郎
○東畑政府委員 農林省の持つておる能力調査というものも実はあるのでありますが、実は若干資料等が古いのであります。なるたけ現実に即したものが好ましいというので、役所の持つております能力調査が、はたして現実に合うかどうかについて、ちよつと古い資料でありますので、そういうところをもう少し整備しないと、かえつてまた不公正になつてもいけない、こういうので、若干その点を考慮しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/85
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086・河野謙三
○河野(謙)委員 能力は順次改善をされて行くでありましようし、また改善し得ない弱体な企業があるでしよう。でありますから、能力は一定のものでありませんけれども、とにかく農林省が能力の調査を常に継続して行くでありましようが、この継続して行きながら、どこまでも随意契約の基準数字は能力本位でやるということに間違いありませんか、これをひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/86
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087・東畑四郎
○東畑政府委員 根本はもちろんそう行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/87
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088・河野謙三
○河野(謙)委員 次に少し根本問題にまたさかのぼりますが、この法案を通すことによつて、今後一番農民が心配しておるのは価格の点であります。ひいては国全体としては麦の作付が減りはせぬかということであります。この麦の今後の増産計画を政府が放擲されたわけではないということは、私はよくわかつております。しかし今後の麦の価格政策にもしあやまちがあるならば、結果は逆に麦の減反になり、減收になり、非常に恐るべき結果になると思うのですが、将来のこの法案の基礎になる麦の価格政策、その価格の立て方、これについて少しく詳細に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/88
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089・東畑四郎
○東畑政府委員 価格政策が農業の生産に非常に影響のあることは当然でございまして、農林省といたしましても、麦の生産力を上げることにつきましては、もちろん努力しているのでありますが、この法案が考えております点は、要するに最低価格というものを農家に保障する、その最低価格はこの法案で一定の基礎をもつてはじくわけであります。それは最低価格でありまして、農家は政府にはそれで売るわけでありますが、時価はもちろんそれ以上になることが多いと思います。従いまして、供出割当をいたす価格としての場合よりは、麦作が有利な地域は、それ以上の価格に必ず保障されることと考えます。従いまして、そういう地域における麦の生産力は、一つは供出がなくなりますことによつて、あくまで経営は自主的に自由になるわけでございます。われわれといたしまして、農民が経営の自由を回復するということは、まことに望ましいことであります。その上に麦自体が、供出価格でございませんで、それが最低価格になります、その以上に必ずなるわけでありますから、そういつた地帶におきましては、麦の生産力はこれによつて決して減ることはない、そういうふうに思つている次第であります。もちろん価格政策でありますので、これだけで麦の生産力を上げるということは限界がありますことも、十分了承いたしております。その他の点等につきましては、これはまた土地改良でありますとか、別個のこの種の問題で解決して行くことによつて、総合的に麦の生産力を上げるという農業政策とは矛盾なしにやつて行けると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/89
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090・河野謙三
○河野(謙)委員 さらに今の御説明の具体的問題として、今度政府が買入れ価格をきめる場合に、二十六年を基準年次にして、パリテイ計算によりその他豊凶、家計費等を勘案するとか、こういうことをきめておられますが、二十六年を基準にするということによつて、今御説明の価格政策は完璧である、麦の減産にはならないという理論的の裏づけをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/90
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091・東畑四郎
○東畑政府委員 本年度予算では、二十六年度の旧パリテイ方式によるいわゆる二五五というものを基礎にいたしておりまして、小麦で申し上げますと、千八百三十四円ということになつております。この価格は、昨年の千七百十七円から比べますと、相当実はいい価格になつております。二十六年が基準になつているということにつきまして、二十六年を今後は農業パリテイの基礎にしたいという根拠につきましては、物価庁の方もおいでになりますけれども、簡単に申し上げますと、二十五年と二十六年を比べますと、朝鮮事変等の関係等がありまして、二十五年は非常に価格的に不安定な関係で、価格指数といたしましては、総合指数になりますので、なるたけ安定した年をとるのが将来の計画として望ましいというので、まず二十六年の方がより安定しておるのではないかということでとつたのが一つであります。もう一つは、農家の生活水準と申しますか、農家の現金支出面から見た実質的のいわゆる生計費の問題を、農林省の農家経済調査で判断をいたしますと、二十五年に比べまして二十六年の方が、実質的生計費が実は上つておるのであります。いわゆる農民対非農民の形における所得の均衡という点からいいましても、二十六年と二十五年と比べますと、二十六年の方がより所得均衡が年としてはいいのではないかということが言えるのであります。なおやはりこういう年は平年作の年をとつた方が望ましいのでありまして、二十六年は米については若干悪かつたのでありますが、麦は非常にいい年である、総合的に見ましてそうひどい凶作ではないう年でありますので、二十六年をとつたのであります。なおやはり消費者の問題等も考えなければならないのでありまして、現在小麦粉等は御承知のように四百八十五円ということになつております。この消費者価格に大きな変動を與えますこと自体、また国民経済全体として不安定になりますので、そういう点も考慮いたしまして、今後のパリテイの基準といたしまして、一応二十六年をとつたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/91
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092・河野謙三
○河野(謙)委員 そうしますと、二十六年を基準年次にとつた理論的な長官としての御説明は一応わかりましたが、その結果二十六年を基準年次にいたしました場合には、現行の消費者価格というものは何ら変更をする必要なく、今の消費者価格で安定するということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/92
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093・東畑四郎
○東畑政府委員 消費者価格のことにつきましては、従来は委託加工をやつており、それから配給統制をいたしておるのであります。四百八十五円というのは、歩どまりが七八%、今後統制がとれました場合において、おそらく歩どまりは七八%よりは低くなり、あるいは七五%程度まで下る、こうなりますと、実質的にはそれだけやはりよくなるのでありまして、形式的の価格は少し上るように考えます。もちろん企業の競争の面においてあるいは政府がやつております以下の経費の節約を企業はやりますので、こういう面で吸収されますならば、今日の価格体系としての水準は保つて行ける、こういうように実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/93
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094・河野謙三
○河野(謙)委員 端折つて御質問しますが、次に、今回こういう措置がとられました後において、おそらく農産物の検査法に基きまして基準銘柄の設定と申しますか、産地銘柄も設定される、どこのどういうものを基準銘柄にし、産地銘柄はどういうふうに扱うか、その格差はどうなるかということについて、当然この法案を出される以上は、農林省においてもそれらの腹案は整頓できておると思いますけれども、もしできておりましたならば、それをお示し願いたいし、またできておりませんでしたら、それらについての考え方を、ひとつこの際お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/94
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095・東畑四郎
○東畑政府委員 農林省といたしましては、大麦等につきましては、これは品種銘柄以外に産地銘柄を考えなければなりません。小麦等につきましても、産地、品種等の銘柄をつけるようにいたしたい。価格の基準といたしましては、やはり三等平均ということになろうかと実は考えております。あとは産地銘柄、品種銘柄、等級別の価格をつけるのであります。この点は歩どまり、品種の差で格差をつけて行くということで、事務当局の方といたしましては、等級、品種、銘柄別の歩どまりというものについて準備いたしております。もう少し固まりますれば、ここで発表してもさしつかえないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/95
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096・河野謙三
○河野(謙)委員 これはこの法案と非常に重大な関係がありますので、もし現在までに成案ができておらなければ、至急成案を得られて、資料として本委員会に御提出いただきたい、かように考えます。
それからもう一つ長官に伺いたいのは、価格の決定以前に、農民が麦の生産をしこれを政府に売り渡そうという問題が、従来の米の場合と同様に起つて来ると思います。そういう場合には、いかなる措置をとられるか。仮価格を設定されますか、仮価格を設定したあとで本価格が決定した後における価格差というものを追加拂いされるということをやるのか、それらについての政府のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/96
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097・東畑四郎
○東畑政府委員 この法案では麦価の決定の條件といたしまして、一応生産事情というものを考えます。この生産事情はいわゆる収穫予想高に基きます減收比率をとつて参るということになつておりますので、減収比率がはつきりいたしますのが、作報等の集計上六月の上旬まで待たなければならぬのであります。従いまして、それから米価審議会等にお諮り申し上げまして価格を正式に政府が決定いたしますのは、おそらく六月の十五日前後というように御了承願いたいと思います。そういたしますと、その以前に麦の供出がどの程度従来あつたかということになるのでありますが、もちろん九州の方につきましては若干実はございます。今後政府といたしましては、正式の価格としては十五日まではきまらないのでありまして、その間におきましては、もし必要があれば、政府は米と同じように暫定価格というものを発表せざるを得ないじやないか。その量はおそらくごくわずかだろうと思います。関係方面と価格等について打合せる必要がなくなつたものですから、今後はそう大きな時間的ずれはないと思いますが、一週間なり十日間若干ずれることはあると思います。その間の価格は暫定価格で参りたい、こういうことにいたしたいと思います。これの金利等につきましては、米についてはきよう御審議を願つております。麦につきましては、さしつかえなければ、金利はつけないことにするよりしようがないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/97
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098・河野謙三
○河野(謙)委員 麦の金利をつけないというようなことは、これはもしあなたの方のお手元で片づかなければ私の方で片づけなければならない。そんな不合理なことを放言されては私は非常に困ると思う。
それから少し愚問かもしれませんけれども、この法案が通りますね。ところが価格の決定は遅れるという場合に、その間において農民が政府に売らずして、自由にどこへでもかつてに売るということについては、その間一体どうなりますか。別に取締りの対象にはならぬと思うのですが、そういうことについて教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/98
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099・東畑四郎
○東畑政府委員 なるたけ新麦までに慎重審議願いたいと思つておるのですが、現在は食糧管理法がありますので、麦は自由販売はできないことになつております。この法案が通りますれば、自由販売ができるので、通るまでは現行法で行かざるを得ないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/99
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100・河野謙三
○河野(謙)委員 この法案が農民の立場からいつていいか悪いかは、議員諸公がきめると思うのですが、ほんとうの具体的な買入れ価格が決定するのは遅れますね。そういたしました場合に、具体的の買入れ価格がきまるのを待つて政府に売つた方が得か、それともいわゆる市場価格というもので売つた方が得かというもので売つた方が得かという判断に農家は非常に困るのであります。政府の価値がきまらなくても、一応市場には出るわけでありますが、そういう場合は一体どうなるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/100
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101・東畑四郎
○東畑政府委員 大月前後になりましてそういう問題が起る場合は、もちろん暫定価格を発表するのであります。政府が暫定価格を発表いたしました場合は、その価格で買い入れるのは、現行法上そうせざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/101
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102・河野謙三
○河野(謙)委員 そういたしますと、法案通過即暫定価格決定、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/102
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103・東畑四郎
○東畑政府委員 法案の通過の時期にもよりますけれども通過即ということでありませんで、麦の出まわりが天候上早くなれば、五月でも暫定価格をきめておいた方がいいのではないか。それが幾らの価格になりますかはまだ決定しておりません。本年度の予算等をしんしやくしてきめれば、そう不利な価格にはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/103
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104・河野謙三
○河野(謙)委員 農林大臣が久かたぶりに見えましたから、この機会にごく簡単にひとつお尋ねしたいのですが、今回のこの麦統制撤廃の法案は、これは引続き米も同様の措置においてこの秋にやるのだという前提ですか、それとも麦と米のそれとは全然無関係においてのそれであるか、これをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/104
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105・廣川弘禪
○廣川国務大臣 これは同じ食糧でも米と麦とは非常に違つておりますので、これを別にひとつ考えて行きたいと思います。麦はある段階に達したとわれわれは認定するのでありますが、米についてはまだそこまで確信が得られませんので、これと関連して米をはずす段階にはまだ至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/105
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106・河野謙三
○河野(謙)委員 そうしますと、先ほど来食糧庁の長官から本米穀年度の米の需給推算等を伺いましたが、まだ相当輸入の米にも依存しなければならぬという状況で、一応計算上は米食率に万々支障を来さぬような需給推算は立つておるようでありますけれども、国際情勢その他から考えまして、いわゆる本年の十一月に米の統制撤廃ということにつきましては、現状においては少しく無理があるのではないか、こう思いますが、この点につきましては、農林大臣は、現状においての本年十一月を考えました場合に、統制撤廃は可能であるとお考えか、それとも現状においてはまだそういうことは考えられない、こういうことですか。そこをひと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/106
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107・廣川弘禪
○廣川国務大臣 現状においては慎重に考えてはおりますが、まだよろしいという段階には至つてないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/107
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108・河野謙三
○河野(謙)委員 その他の質問につきましては、少しくこまかな問題になりますので、私は一、二の質問は留保いたしまして、この際他の委員諸公に質問をお譲りすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/108
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109・松浦東介
○松浦委員長 小林運美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/109
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110・小林運美
○小林(運)委員 かねて来の自由党の主張でございました主食の統制の一部を撤廃する法案が出て参りまして、農林大臣はしばしばの放言の中の一つを当てたような形になつておりますが、先ほど河野君の質問に対してのお答えもありましたが、われわれは主食、特に米と麦というものは、われわれ日本の国民が毎日々々親しんでおるものでありまして、そう簡単に大臣が言われるように別なものとは考えていない。いわゆる主食の統制撤廃を従来唱えておりました廣川農林大臣が、麦はある段階に達した、そこでこれを解除する、米はまだその段階に達していないというふうに簡単な言葉でありますが、これでは国民は納得しない。そこでまず第一に私は農林大臣にもう少しつつ込んで、腹を聞きたいのですが、一体いつになつたらわれわれは食いものを楽に食べられるか、こういう見通しをひとつ大臣から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/110
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111・廣川弘禪
○廣川国務大臣 私の放言が当てたといいますが、あなた方がこれに賛意を表してくれなければほんとうに的中いたしませんので、賛成いたしてもらうことを期待いたしております。ただいつになつたら食生活が楽になるかということですが、皆さんとともにわれわれ一番苦労いたしておるところでありまして、農林省で十箇年計画を立てたり、これを縮めて五箇年計画を立案したりいたしまして、どうしても自給度を高めまして、食生活を安定させたいということでやつておるのでありま
して、五箇年間に相当の国費を注入いたしまして、そうしてわれわれは自給度を高めて行きたい。少くとも五年目標くらいにそれをやつて行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/111
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112・小林運美
○小林(運)委員 自給の問題ですが、今米か麦か、その点がまだはつきりしていない。少くも先ほど麦はある段階に達した。そうすると、麦の自給度というのはこの程度で満足しておるのかどうか。統制をはずす以上は、麦の自給度はこのくらいでいいのだというお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/112
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113・廣川弘禪
○廣川国務大臣 決して安心いたしておりません。特に戦時中半強制的に作付をさしたものが、普通の一般作物に転換されて、それによつて減つている面もありますので、なおまたその上にたくさんな量を輸入に仰いでいるようなわけでありますので、これはますます奨励をいたしまして、麦の増産を望んでおるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/113
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114・小林運美
○小林(運)委員 そうすると、先ほどのある程度の段階というのは、一体どういうところからそういうことが大臣は言えるのか、そこが問題なんです。ある程度の段階というのは、もう自給度もこの程度でいいというのならわれわれ了承するけれども、今の大臣の話では、まだまだ自給度は足りないのだから、表も大いに増産させたい、こういう話ですが、一体どういう理由でそういうことが言えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/114
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115・廣川弘禪
○廣川国務大臣 輸入も順調になつておりますし、それにまたいわゆるブラツク・マーケットといいますか、実際の公定価格とほとんどかわらないようにもなつておりますし、配給辞退も非常に多くなつておりますので、その点あれやこれやを見て、私はその時期に達した、こう見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/115
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116・小林運美
○小林(運)委員 いよいよ農林大臣の怪僧の言がはつきりして来たのですが、われわれはそんなことではごまかされない。たとえば今大臣のお話のように、輸入も大丈夫だというけれども、あなたは世界の麦の生産をすつかりつかんでいるかどうか。輸入はこれは値段にもよるだろうし、いろいろの問題があつて、これもはつきりしていない。それから今ブラック・マーケットの話も出た。これはブラック・マーケツトですから、その内容は別問題としましても、配給辞退があることがもう需給関係がいいのだということにはならぬと私は思う。配給辞退ということは、この内容を掘つてみると、麦は統制をはずしてもいいという大きな理由にはならないのです。この配給辞退ということは、何のために国民が配給辞退をしているかということを、農林大臣の感覚でひとつ言つてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/116
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117・廣川弘禪
○廣川国務大臣 いわゆる正式の流通外にほんとうに流通していなければ、配給の辞退というのは少いと私は思うのです。ところが、それがブラツク・マーケツトという言葉かどうか知りませんが、ほとんど陰で流通しておるものが公定価格と同じだということは、もうその統制をしておく必要はないというふうに私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/117
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118・小林運美
○小林(運)委員 配給辞退の内容は、大臣も御存じかどうか知らぬが、あなたは配給辞退をする人はどういう気持で配給辞退をしているか。これは農林大臣だつたら、実際の話を聞いているかもしれない。パンを食べる人はパンだけ食べるわけには行かない。パンを食べれば何か動物蛋白も必要だ。バターもあるいはチ—ズも——そういうものを買つて食える人はいいかもしれない。ところが、配給辞退の一番根幹をなしているのは、麦類の製品を食べる人は、その副食物を買うととても高くなるから、買えないのです。これが配給辞退の一番大きな原因になつておる。そういうので、これでもういいのだということにはならぬと私は思う。それに対しては大臣はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/118
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119・廣川弘禪
○廣川国務大臣 粉食をとればその他の副食物もいることはよくわかります。しかしほんとうに足りなければ辞退をするものではないと私は思うのでありますが、要するに金がなくて辞退するという率もあるいはその中にあるかもしれませんが、しかし大半のものはそうでないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/119
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120・小林運美
○小林(運)委員 この論議を大臣とここで言い合つていてもしかたがないのだけれども、もう少し大臣は国民の食生活の実情に入つてもらいたいと思う。この点はこの程度でやめます。
今度の政府の提案によりますと、一応麦ははずすことになつておりますが、この前業なかなかたいへんであります。たとえば現在は独立も間近に控えまして、世界の情勢がまだどうなるのかわれわれ国民にははつきりしていない。一時は相当戦争の危機が迫つたようにも考えられておつた。今はあるいは安定しているかもしれない。しかし一面に政府は、今国会に破壊活動防止法案というような法律案を出して、ある一定の騒動のようなものも想定してやつておる。こういうような国内不安、あるいは政局の世界危機というようなものも一応考えなければならぬという時期に、われわれこういう小さい島国で、食糧の自給度がまだずつと低いところにあつて、今度の麦の解除にあたつて四分の三は輸入外麦にまつ、こういう危険なことをやつておるのですが、農林大臣は大臣として将来の日本国民の食生活に対して、そういつた面から世界危機とか、あるいは国内の不安というようなものを全然考えないでやつておるのか、あるいは考えておるのか、考えておるならば、こういうものをはずして、そうしていよいよ外麦が入らなくなつて来るときに、一体どういう方法を講ずるのか、そういうような点を具体的にひとつ大臣の言葉を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/120
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121・廣川弘禪
○廣川国務大臣 世界が混乱し、本が日混乱をするという前提のようでありますが、私は世界にだんだん平和になつて行くと思つておるのであります。また日本も決して内乱等はないと私は考えておるのであります。そういう仮定からいたしまして、わが国と正常に貿易ができる国がだんだんふえ参りますので、輸入におきましても、また国内におきましても、そういう心配はないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/121
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122・小林運美
○小林(運)委員 大臣はそう言いますが、それは大臣の見通しであつて、世界は廣川農林大臣の思うままには行かぬと私は思う。ならないならけつこうなんだが、もしなつた場合にはどうするか。その対策がこの改正法にあるかどうか。それはどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/122
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123・廣川弘禪
○廣川国務大臣 私はならないという見通しでやつておりますので、そこの辺は多少見解の相違があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/123
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124・小林運美
○小林(運)委員 大臣の答弁としては実に不満足です。ただそんなのんきなことでは、一国の食糧をあずかる大臣の言としては私は非常に不満足です。そういうようなことはあるいはないかもしれぬ。またわれわれはそういうことがないことを期待しているけれども、万一の場合にどういう措置を講ずるということはやるべきだ。廣川農林大臣のりつぱな家が建つた。これが火事にならないというふうにお考えになつて、保険も何もつけないでおられるかしらぬが、あるいは万一のことを考えて、あなたは保険をつけておるかもしれぬという意味においてこういうことは考えられないか。おれのところは全然火事の心配はないと考えて、あなたは全然保険をかけていないか。それと同じような意味において、この統制を解除していいかどうか、そういうような意味ではどうでしようか。それでも全然ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/124
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125・廣川弘禪
○廣川国務大臣 日本と修好を結ぶ国がだんだん多くなり、しかも修好の度がだんだん深くなりまするので、そういう御心配は私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/125
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126・小林運美
○小林(運)委員 世危機に対しては、あるいはそれであなたがどこまでも言い張ればしかたがないけれども、しからば国内に内乱というようなものが起つて非常な混乱を来した。たとえば北海道とかあるいは九州というような所にそういうような問題が起きた場合、政府はすでにそういうようなものを予想して破壊活動防止法というのを今出しておる。片方ではそういうことをやつている。片方ではそういうことは絶対ない、こういうことは言い切れないと思う。そういう場合にはどうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/126
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127・廣川弘禪
○廣川国務大臣 その破壊防止法の対象になるようなものがないことを私は信じております。また日本の今の見通しからいたしまして、内乱があるとはだれも考えていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/127
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128・小林運美
○小林(運)委員 何でもない、何も心配ない、まつたくないないずくしのお題目ばかりで、われわれはまじめに質問しているのに対して実に不見識きわまる。これ以上禪問答だかなんだか知らぬけれども、やつておつたつて切りがないので、この点はこの程度にいたしますが、今回の法律の改正によりまして、一番われわれが心配しておりますのは価格の問題でありまして、先ほど河野君からもこの点について当局に質問がありましたけれども、先ほど大臣も自給度を高めて行きたいということは言つておられた。これは確かに言つたから、またいいかげんな答弁では困るのだが、その自給度を高めるにはどういうことをしたらいいか。これはもうわかり切つたことのようですが、やはり自給度を高めるというのは、農民が喜んで麦をつくるというふうにならなければならぬ。ところがそうなればもう統制がないのであるから、結局農民が喜んでつくるというのは、相当高い値段で、農民が麦をつくつても相当の收入になるという点でなければ私はならぬと思う。その価格というものは、一体大臣はどの程度に考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/128
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129・廣川弘禪
○廣川国務大臣 麦を増殖する上において価格は非常に大事でありますが、しかし価格のみというわけにも参りませんので、政府が資金を入れて、いわゆる畑地灌漑をしたり、あるいはまたいろいろな方法を講じて増産をするようにしなければなりませんが、しかしことしあたりの作物のつくり方を見ておりますると、促成野菜その他を非常に転換して作付いたしまして、それがために非常に農家が不利益をこうむつておるようであります。こういつた投機的なものをつくるよりも、価格の正常化しておる麦をつくりたいというように私はなると思うのであります。しかし価格のこまかい点は食糧庁長官から説明をいたしますが、適当な価格をもつてみんなに安心をさせることが大事だと私も思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/129
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130・小林運美
○小林(運)委員 こまかい点を食糧庁長官からと言うけれども、ただ解除をして自給度を高める、増産をさせる、適当にやる、これだけでは農民は承知しないのです。食糧庁長官やあるいは事務当局のこまかい数字というようなものをいろいろ出しております。雑誌にも出ておるけれども、農民はそんなことはあんまり勉強しない。農民は筆もあまり持たないし、新聞もろくに見ないのです。そういうような点からいつて、政府がこれから麦の値段は十分な価格でやつてやるのだ、こういうしつかりしたものがあれば、農民は正直だから、それで増産するのです。そこでたとえば簡單にいつて、今まで米と麦の値段の比率、対米比価というものをいろいろきめておりましたのがだんだん下つて来た、そこで麦は生産が少くなつた。これはわかり切つたことであるパリテイ計算だ、何だといろいろこまかいことを言つておるが、農民はわかりはしない。そこでたとえば今後麦の値段をきめるのに際して、米に対してどのくらいの割合で行くのか、あるいは八〇%とか七五%とか、あるいは八五%というように、簡単に農民にわかるような方式で、政府はこれから麦の価格をきめて行くかどうか。米価審議会にはかつて、こまかい計算というようなことを言つても、農民はわかりつこない。そういうような考えを持つておるかどうか、大臣の御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/130
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131・廣川弘禪
○廣川国務大臣 表価の決定について農民にわかりやすく言つたらどうか、こういうことでありますが、やはり数字の積上げが一番わかりやすいので、單にあてずつぽうで言つちやいかぬと思いますが、この価格の対米比、その他いろいろな指数の積上げが正常な価格になるのだと思うのですが、そういう数字はあなたが御指摘のように出てもおりますし、またわからないところは食糧庁長官からも説明いたしますし、そうして一つのものを固めて、審議会にかけて決定して農民の納得するような数にしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/131
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132・小林運美
○小林(運)委員 食糧庁長官に対して、麦価の再生産に対してはどんな計算で行くかというような点については、またあらためて聞きますが、きようは大臣に概括的な御意見を承りたいので、ただいまのような質問をしたわけであります。ただ私が特に聞きたいのは、米と麦が、片方は統制をはずしてしまつて、米の方は統制を続けておる。そこにうんと大きく価格の考え方が違つて来ると思う。そこで米というものが統制を継続する以上、その米に対する麦の割合というようなものを、大体どのくらいにお考えになつておるかということを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/132
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133・廣川弘禪
○廣川国務大臣 対米比は今の六十四でしたか、それでよろしいのじやないかと私は今考えておりますが、それも最終は米価審議会によつて決しなければならぬものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/133
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134・小林運美
○小林(運)委員 大臣はいいかげんな答弁で——米価審議会にはかつて、米価審議会の意見によつて大臣がきめるなら、それでいい。米価審議会のきめた通りにあなたは今まできめていない。そこで大臣の御意見を承りたい。米価審議会にただ聞くだけで、あなたはきめるときは、自分かつてにきめておる。それを聞きたいのです。米価審議会で逃げては困る、あなたはいつもそうやるのだから、その腹をもう少しつつ込んで聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/134
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135・廣川弘禪
○廣川国務大臣 決して米価審議会をないがしろにしているのではありませんので、意見は十分尊重して、適当なところできめるようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/135
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136・小林運美
○小林(運)委員 相かわらずののらりくらりで、どうも徹底いたしません。
方向をかえまして二、三お尋ねしたいと思います。食管の特別会計の中で麦の価格をやつておりますが、今度の政府の買入れの場合に、われわれが考え、また米価審議会でも考えられるがろうと思う価格で麦を政府で買い上げた場合に、食管特別会計に赤字が出た場合にどうするか。あるいは食管特別会計は従来の考え方で赤字は出さぬという方針で行かれるのか。これはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/136
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137・廣川弘禪
○廣川国務大臣 この麦から出た赤字をほかのものでカバーしたりなんかするかどうかというようなことのようでありますが、これはやはり赤字は赤字と出して、長い目で見て、カバーするものはカバーして行くようにして行つたらいいのではないかと思います。ちやんとそのように出したらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/137
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138・小林運美
○小林(運)委員 そうすると、今までの食管特別会計の考え方と政府はかえるのですね。二重価格にして赤字を出して、これはほかの方から補充してやるのだ、こういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/138
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139・廣川弘禪
○廣川国務大臣 これはこういう例もあるのです。この間農林委員会の要請を受けてビート糖の買入れをいたすのでありますが、これにもやはり多少の赤字が出そうでありまするので、完全なバランスのとれるような方向には行かないと思うのでありますが、これも長い特別会計の中で操作をすればよろしいのではないか、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/139
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140・小林運美
○小林(運)委員 これは今の話とも関連するのだけれども、食管の特別会計の赤字を続けるのかどうか、あるいはしないのかどうかという根本方針が、そんなあいまいなことじや困る。さつき大臣が言つたように、まだどうしても自給度は足りないのだから、自給度を増すにはいろいろ方法もありましよう。しかし私がさつき言つたように、やはり麦の値段というものが重要な問題になつて来る。これから政府が買い上げて、金利とか、倉敷とか、輸送費とかいうものをだんだん積上げて来ると、そうして大臣の言うように、相当の麦の増産をほかろうとすれば、どうしてもこれは赤字を出さなければできなくなる。その赤字を出さなければできなくなるというわかり切つたことは大臣も認めておる。赤字が出るということを認めておるというのは、相当の価格で買い上げなければならぬということです。今までの食管の会計の原則を政府はかえて、赤字は赤字として別に考えて行くというはつきりした答弁を願いたい。いいかげんでないように、はつきり言つてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/140
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141・廣川弘禪
○廣川国務大臣 これは完全なバランスをとるという根本方針を、われわれは守りたいと思うのであります。しかし赤字の出た場合には、長い月でこれを見てカバーして行く、こういうことなのでありまして、赤字は本会計から入れるという前提には決して立つていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/141
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142・小林運美
○小林(運)委員 さつきはそれでもいいというようなことを言つたが、またかわつて来た。どうもお経の文句はわれわれにはわからぬけれども、あなたの今言つたのは、日本一語だからよくわかる。そこでそんないいかげんでなくて、やはり赤字が出たらこういう性質上、そういうものは一般会計から補填するのだというようなことで行かなければ、農村ではわからない。そういうふうに行つてもらいたい。私はまたそう信ずる。別に大臣の言質をとつて私はどうこう言わないから、もう少し誠意をもつてその点お答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/142
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143・廣川弘禪
○廣川国務大臣 先ほど申し上げている通り、食管特別会計に赤字を出してもいいのだということは、私は申し上げないのでありまして、なるべく両方バランスが合うようにいたして行きたいのでありますが、しかし出たものは出たとしてこれは計上して、長い間にそれをカバーする、こういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/143
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144・小林運美
○小林(運)委員 外麦が四分の三、あとの四分の一が内麦なんです。そこで外麦に対しては補給金を出しておる。これで消費者に対する価格というものが一応考えられるのですが、外麦に対しては抑えておる。四分の一の内麦を一応ほつたらかすことになる。あるいはやり方によつては、政府の考え方によつては、農民は政府に売らぬかもしれない。そういうようなことで、また中間の人たちがどんなことをするか。かりに思惑というようなことをやられた場合に、この消費者に対する価格保証というものを考えているのかどうか。どんなふうにやるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/144
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145・廣川弘禪
○廣川国務大臣 自由にした場合に思惑等で流通がよくならなくなつた場合に、消費者に対する損害はどうするか、こういうお話でありますが、これは政府で手持品をしよつちゆう市場の価格を見て操作をして出すのでありますから、思惑する余地がほとんどないと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/145
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146・小林運美
○小林(運)委員 思惑する余地がないと言うのですけれども、これが起つた場合にどうしますか。先ほどの私の論と同じで……。ところが往々にして、こういうことがある。ただ簡單に政府が持つているから、高くなれば政府のやつをどんどん売り出すと言つても、そうものは簡単でない。過去にもいろいろ例がある。この思惑の際にも何にも考えていないのか。絶対にないというのか。多少はそれに対してはこういうことがあるというふうなお考えなのか。どつちか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/146
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147・廣川弘禪
○廣川国務大臣 とにかく政府で管理している麦というのは、内地麦に対して非常に大きな量を持つておりますので、思惑等の徴候が現われるような場合には、これを放出すれば一ぺんに解消いたします。それからまた麦の貯蔵法等も内地においてはあまり発達いたしておりませんので、長く貯蔵するというようなことも私はできないと思う。それからまた資金繰りその他から見ても、そう大した思惑というものはでき得ない、私はこう信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/147
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148・小林運美
○小林(運)委員 大臣はいいかげんに自分の信念だけでやつておられるけれども、一般の経済界、商売人はそう簡単には行かないと私は思う。そこでそういつた心配が、表のそのままで行われる場合もあると私は考えますが、私の心配するのは、麦からつくつたいろいろな加工品に至つては、非常に危険がある。こういうものを一体どうするか。そういう場合に、政府が野放しにすれば、政府の原麦を買つていろいろ製品にして、そうしていろいろの形において思惑をやる、こういうことが考えられるのですか、そういう場合に政府はどういう処置を講じますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/148
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149・廣川弘禪
○廣川国務大臣 加工品になるパーセンテージもそう大したものではないと私は思いまするそれからなおまた、それどころでなく、正式にこれを粉にしたりなんかする人たちに拂い下げる場合に、要するに納入金のある程度の延納までも認めてやるというようなときでありまして、そう大量に買いつけて思惑をするというようには私は考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/149
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150・小林運美
○小林(運)委員 大量に買い上げて思惑をどうこうというけれども、ものはその簡単なものでなくて、相当の数量があつて、ある一部のものが思惑をやるというのは、これはひつかかるのです。そう大臣がお考えになるようなぐあいに行かない。全面的に政府がみんな握つておる場合なら、これは別問題です。しかし一部分解除しておるのだ、そういう場合に製品等でやろうと思えばできる。それを簡単に、そんなことはないと思う、数量も大したことはないと思うというようなことでは、私はいかぬと思う。従つて私の考えとしては、お菓子にしてしまうとか、特別なものは別問題として、麦に近いような、粉食として国民がすぐ消費するような製品については、最高価格のような制度を考えておるかどうか、そういう点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/150
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151・廣川弘禪
○廣川国務大臣 第二次加工といいますか、加工についての最高価格をきめたいというようなことは、まだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/151
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152・小林運美
○小林(運)委員 次に私は、先ほど米の統制をいつごろ撤廃するのか、そういうようなことについてはどうか、さつき河野君からもそういう質問がありましたが、現在は麦だけ解除して、米は当分やらないというお考えか、またある時期にやるのか、もしある時期という時期があれば一体いつごろか、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/152
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153・廣川弘禪
○廣川国務大臣 その時期を今慎重に検討いたしておるのでありますが、今のところは当分まだその時期に達しないと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/153
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154・小林運美
○小林(運)委員 今は達しないというようなことですが、当分というのはいつごろなんですか。あるいは秋、この十一月か、このごろを考えておるのか、当分というのは三年も五年も先か、どの辺なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/154
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155・廣川弘禪
○廣川国務大臣 十一月も多分当分の間に含まれると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/155
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156・小林運美
○小林(運)委員 そうするとこの十一月も米の統制は撤廃しない、こういうふうに承知していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/156
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157・廣川弘禪
○廣川国務大臣 まだその時期には達しまいと私は考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/157
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158・小林運美
○小林(運)委員 先ほど来大臣はなかなか見通しがいいようで、世界の政局も安定しているし、国内の問題も安定しているし、先のことはみなばかに見通しがよろしいと考えておられます。そこでもつと先の方、一体いつごろに米の需給関係がよくなつて、あなたのお考えになる統制は、米はいつごろ解除するという見通しですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/158
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159・廣川弘禪
○廣川国務大臣 いれは外米等がもう少しよくなりまして、それからまた内地におきましても、もう少しブラツク・マーケツトと正常のルートを流れる米との調和がとれるようになる時期がはずす時期だと思つておりますので、なかなかまだ近いうちにはそこまで行かぬと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/159
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160・小林運美
○小林(運)委員 近いうちには行かぬとすれば、来年の十一月とかあるいは再来年の十一月ごろにやれる見通しがあるのかどうか、こんなことをいつまで聞いているのはおかしいのですが、一体そういう時期を招来するのは、外米の問題だけを考えているのかどうかということです。国内の米の自給度は、農林大臣はいつになつたらはずしてもいい状態になるかということなんです。それを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/160
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161・廣川弘禪
○廣川国務大臣 あなたのおつしやるような時期になるべく早く到達させたいと考えて、国家資本の入れ方も今検討いたしておるようなわけでありまして、そうして耕地面積もふやさなければなりませんし、あるいは土壌の改良もしなければなりませんし、あるいはまたいろいろな病虫害の駆除等もしなければなりません。そうして国内の正常ルートとその陰のルートのものが一緒になる時期を、なるべく早くしたいと思つて努力をしておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/161
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162・小林運美
○小林(運)委員 どうも具体的に話が進まない。希望ならだれでも持つているのですが、あなたは、農林大臣として五箇年計画、何年計画というようなものを立てているんだから、その何年計画の何年目にはこれだけの米が自由になり、また外米はこれだけはいろいろの資金の関係で行くんだ、そのときはできるということが具体的にできていなければ、そんな見通しは立てられないのです。そんな要望する、考えるということはだれだつて言える。農林大臣としてもう少しはつきり計数的に考えて、何年ごろにはわれわれの計画で行けばこうなるということを、大臣として持たなかつたら、予算も何もとれやしない。そこをもう少しはつきり言つてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/162
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163・廣川弘禪
○廣川国務大臣 それがために予算をとる段取りをいたしておるようなわけであります。但しわれわれが今計画を立てておるのは五箇年計画でありますが、その中途においても、あなたのおつしやるような時期に達することをわれわれは念願しておるのであります。しかし豊凶等もありますので、なかなかそう簡単には参りませんがが、できるだけ努力をして行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/163
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164・小林運美
○小林(運)委員 豊凶等もあるというのですが、それじや今年うんと米がとれればすぐやりますか、来年はまた凶作だ、そうするとまた統制ですか、そんないいかげんなことじやないでしよう。それでは五箇年計画だつたら、五年だつたらはずすんですか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/164
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165・廣川弘禪
○廣川国務大臣 その時期をどうするかが一番問題でありまして、それをわれわれが真剣に考えて、いるのです。その五箇年計画の中にも豊凶等があるだろうということを言つておるのでありまして、豊作だからすぐはずすとかあるいは凶作だからやり直すとか、そんなことを私は言つているんじやないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/165
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166・小林運美
○小林(運)委員 今言つているんでなかつたら、三年先か五年先にだつたら、あなたの五箇年計画の三年ぐらいでやるとか、それに対してこういう予算をとつてこうやるんだ、こういうもう少し数字的な御答弁を願いたい。そうではないのです。私がさつき言つたのは一つの例であつて、あなたがそういうことを言うから言つたんです。もつと五箇年計画の三年目にはできるんだ、そのときの外貨の問題はこうするんだというようなことをはつきり言つてもらいたい。ただそういうことを望む、そうなつてほしいというようなことだけでは、私は答弁にならぬと思う。これは放言ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/166
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167・廣川弘禪
○廣川国務大臣 正しく答弁いたしておるつもりでありますが、見通しについては慎重に考えております。但しその裏づけになる五箇年計画の投資の仕方、あるいはその五箇年間における海外市場の騰貴の率、こういつたこまかい数字はまたあとで書類でも差上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/167
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168・小林運美
○小林(運)委員 そういうふうにわけのわからぬようなことで、ただ希望だとか、そういうものは慎重に慎重にと言われるが、慎重にしておつたらいつまでもできはしない。ところが慎重に考えたと言われるこの麦の統制撤廃は、決して慎重ではない。われわれが考えればこんな放言はないと思う。そういうような点をもう少しはつきりしてもらいたい。それからこんなことでこれ以上問答しておつてもしようがないので、具体的な問題に入つて伺いますが、今度麦をはずした場合に、国内のあとの残つた米の配給計画をどうするのか、現在の通りにやつて行くのか、あるいはもう一ぺん米食率を全国的に考え直すのか、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/168
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169・廣川弘禪
○廣川国務大臣 米食率はなるべく差のないように努力いたすつもりでありますが、しかし急には生産地と消費地の間がなかなかうまく行かぬと思いますが、各ブロックごとになるべく調整をとりまして、全国が平均化するように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/169
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170・小林運美
○小林(運)委員 また例によつて同じようなことを言つておるのですが、なるべくうまく行くように、そんなことを私は聞いておるのではないのです。生産地と消費地の米食率を現行通りにやるかどうか、今度麦をはずすことによつて相当問題が起きて来ると私は思うが、この米食率を今までと同じような考えでおるのかどうか、平均化したいというのはあたりまえです。しかし今までの米の生産地とか麦のたくさんとれる所と、完全な消費地、消費ばかりをやつておると所とでは非常な違いがある。ことに今度麦がはずれる場合には、それがもつと大きく開いて来る。そうなつた場合に、この米食率の問題を具体的にどうするかということを大臣から聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/170
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171・廣川弘禪
○廣川国務大臣 これは先ほども申し上げました通り、米の非常な生産地、一例をあげると新潟等には今までほとんど外麦を港につけていなかつたのでありますが、そういう所は港につけてなるべく粉食を慫慂し、そういう所の米を消費地の方に持つて行くというようにして、この米食率をなるべく下げないようにしたいと思います。それからまた麦の統制をはずしますと、自由に買えるようになりますので、決して心配がないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/171
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172・小林運美
○小林(運)委員 そうすると具体的に言つて、あなたの今のお話のように、新潟県で米がとれておつたけれども、今度はずしたら新潟から東京へ米をどんどん運んで、そのかわりに麦を新潟で食べろ、こういうことにして、今までとはかえるのですね。そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/172
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173・東畑四郎
○東畑政府委員 大臣の御説明の御趣旨の通りでありますが、最近の、たとえば二十七年米穀年度といたしますと、そう現実とかえない方がむしろ安定するのではないか。だんだんと米作地帯で麦の消費が増加いたしますれば、これはもとより米食率を変更いたしますが、今日の段階においては、これを急激に変更いたしますことは今日の実態に反しますので、そう急激に変化をいたさない方がむしろ不安を解消するゆえんじやないかというので、麦の統制を撤廃するにいたしましても、現地と若干のブロツク別の調整をいたす意図は持つております。大きな変化はいたさないという方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/173
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174・小林運美
○小林(運)委員 そうすると東畑食管長官の言うのと大臣と違う。大臣はさつき新潟県の米産地は米をこつちに送つて、そうして米食率は違つても麦を食わせる、こう言つた。そうすると長官はそうじやない、やつぱり今までと同じようだ、こういうふうに言つている。これは答弁が違う。大臣は一体どういうふうに言つたのか、もう一ぺん言つてくれないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/174
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175・廣川弘禪
○廣川国務大臣 ちつとも違つておりません。ただ外麦等を入れて麦を食うことを慫慂すると申し上げているのでありまして、ブロツク別にだんだん直して行きたい、こういうことはちつとも違つていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/175
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176・小林運美
○小林(運)委員 大臣は、奨励ですか慫慂ですかどつちですか知らぬけれども、とにかくそういうことを言つているが、新潟県の人がおれはいやだ、おれたちがつくつた米はおれたちが食うのだと言つてやつたらどうするのですか。そうすると慫慂したつて、あなたがそう言つたつて農民がいやだと言えばしようがないのだ。そうなつた場合にどうするのですか。そうすると東京の人は米は食えなくなる。そうすればどうするのです。東京の貧乏人は、この前に大蔵大臣が言つたように、いもでも食つているか、そこらの残飯でも拾つて食つているのですか。そういうことになりますよ、これは。生産地はそう簡単に——あなたが慫慂したくらいで、あなたがそこらを選挙運動してまわつてごたごた言つたつて、そのときはそうだけれども帰つたら、実際になつたそんなことはしない。そういうときにどうするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/176
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177・廣川弘禪
○廣川国務大臣 米の一定配給基準はきまつているので、残飯を拾うとか何とかいうことは絶対あり得ないのでありまして、そのほかに麦が自由になるのでありますからちつとも御心配ないと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/177
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178・小林運美
○小林(運)委員 あなたはないと思うと言つたつて現実に今問題に出ている。新潟県の米産地では米がある。ところが消費地では米がそつちへ動いて来ない。知事会議をやつたつて、知事だつてそう簡単にあなたの言うことを聞かぬかもしれない。そういつた場合にどうするのです。そうはならぬと思うと言つたつて、現実にそうなる。もうそれはわかり切つている。そういうときにどうするのです。あなたの言うことを知事がいつでも聞いていますか。これはなかなか大きい問題だ。知事だつて自分の県の米を出すということは相当な問題だ。だからまた県の境に行つて、あるいは清水トンネルやそういうトンネルに関所でも設けなければいけなくなる。そういうようなことをもう少し考えて、実際問題としてこの米食率をどうするのですか。もう少し具体的……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/178
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179・廣川弘禪
○廣川国務大臣 米は統制をはずすのではないのでありますから、これはやはり供出をしてもらわなければならぬので、供出をした米をほかに持つて行くことはあたりまえなことであります。あなたの言うように、一粒も米が行かなくなるというようなことはないと思う。
それから今の新潟県の例ですが、今まで粉食をしないかというとそうじやないので、やはり群馬その他から相当の加工品が行つて、これを食膳に供しているのであります。それからまた知事が言うことを聞かないじやないかと言うが、知事諸公は政府の言うことをよく守つていただいているのでありまして、決して御心配ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/179
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180・小林運美
○小林(運)委員 私はいろいろの問題について大臣の答弁を求めたのだけれども、まつたくのらりくらりで、あなたは一体われわれをどう考えているのか知らぬけれども、もう少し誠意を持つて答えてもらいたい。あなたの希望するとか、そういうことはないだろう、米は統制しているのだからこの通りにするのだ、そういうようなことをいくら言つたつて、現実は違つているのですよ。そうでしよう。たとえば米は食糧管理法で動かすことはできなくなつているけれども、実際はやみでどんどん流れて来ている。これはそうありたくない、こう言つていればそれでいいかもしれないけれども、現実はそうじやないのですよ。そういう問題をわれわれは心配している。そこで先ほど来いろいろ言つているけれども、大臣はおれはこういうことを希望するというような、ただ希望だけではだめなんです。そしてそんなことにならぬと思う、思うだけではだめであつて、現実には、いろいろ政府やあるいは農林大臣が考えているように行つていない問題がたくさんある。それでも何でもかんでもおれはこうだ、こうだと言つて、そして片一方ではこういうものをはずしている。あるいは思惑が出るかもしれない。いろいろな問題を想定して、農林大臣はこういう重要な法案を出す以上は、もう少し確固たる信念を持つて、こういうふうにやるのだ、そうしてその信念の上に数字的にこういう裏づけを持つてやるのだと言うなら、われわれも納得できるけれども、まだ何だかわけのわからないことを言つている。そうして食管長官の言うこととあなたの勘とは違うている。あなたの勘はまつすぐだと思つたらとんでもない間違いの勘ばかりだ。こんなことでわれわれは承知できない。もう少しこまかい数字を——こまかいというか、根本的な数字をしつかり握つて、そうしてわれわれに答えてもらいたい。まだいろいろ質問すべきことがありますが、あなたの態度がそういつたような、希望だとか、こう考えるとか、そんなことでは私はいくらやつたつて同じことだから、もう少しあなたが態度をかえて、もう一晩寝てお考えになつてから、あしたもう一ぺん質問いたしますので、きたうはこの程度にしておきます。あしたまたやります。留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/180
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181・松浦東介
○松浦委員長 井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/181
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182・井上良二
○井上(良)委員 今回政府から提案されました食管法の一部改正は、過去十四年の長い間統制を続けて来ました米麦を中心にする主食の需給統制の一部を解除するところの、食糧政策の上ではきわめて重大な法案でございます。御存じの通り、わが国の食糧構成は米麦二本建ての構成となつております関係上、その一本の柱である麦の統制を緩和し、その中の特に供出と配給を廃止するというこの食糧統制の一大変革にあたりまして、独立の日本を控えました今日、独立後のわが国の経済の自立再建という点から、その一環として食糧対策がいかに重大であるかということを考えますとき、政府の統制撤廃の対策が、独立を控えたわが国の経済再建の基礎的な立場から考えます場合、はたして妥当であるかどうかということについて、われわれは非常に検討を要すると考えます。この問題は単に政府與党であるから、るいは野党であるからという感情的な対立感情で私は質問をしたくない。日本の大切な独立を控えた今日、食糧問題をどう安定さすかという国策的な立場から、この問題は十分掘り下げて検討をしておく必要があろうと考えるので、そういう建前上政府の意見を伺いたいのですが、最初に伺つておきたいのは、政府は昨年十月の終りごろに米麦の統制撤廃を閣議で決定し、これを中外に声明をいたし、いよいよこれが具体的に法案として提案されます一歩前に、諸般の情勢を勘案された政府といたしましては、統制撤廃の時機にあらずということで、米麦統制撤廃の政府の方針は中止するのやむなきの状態に至つたことは、農林大臣よく御存じの通りであります。それからわずか六箇月そこそこしかなりません今日、その米麦の中心になつております麦の統制の、供出及び配給を廃止するという方針を政府がきめるに至りましたのは、この半年間に、わが国の食糧政策というものが非常に大きな変化を遂げておるという新しい事実がここに起つて来なければなりませんが、一体どういう具体的な事実が起つて来ておりますか。昨年の十月当時の事情と今日の事情と、どう変化を来しておりますか。この点を
一応御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/182
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183・廣川弘禪
○廣川国務大臣 與野党の対立感情でなく、日本の経済再建の上から食糧問題について掘り下げなければならぬということでありますが、私はその御意見に敬を表するものであります。ただ先ごろ閣議決定決定された米麦統制廃止の問題で、中止された後に新しい事実が何かあるかという話でありますが、党並びに政府は、食糧の統制を廃止する方針はかわていないのであります。ただあの当時においての中止は、これはいろいろな情勢から中止になつたのでありますが、その後だんだん麦については——先ほども私申し上げたように、一般の正常の流通の価格とブラツク・マーケツトの価格がまつたく同じようになつておる。また海外から輸入するものについても決して心配がない。それからまた配給の辞退が多くなつておるというようなことからいたしまして、もはや麦はばすしてよろしいという結論に達したような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/183
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184・井上良二
○井上(良)委員 今大臣が御説明になりましたような事情は、昨年の十月当時においても、そういう事情であつたことは事実であります。そうしたら何ゆえに十月にきめた統制撤廃を中止をしたのです、どういう理由で中止をしたのでありますか。私は、少くとも政府としては、今日食糧統制をはずす段階にはないという、諸般の情勢を勘案して中止されたのじやないかと思うのです。今大臣は、その後外国の輸入食糧等も非常に前途が明るいし、かつ国内食糧事情も不安定ではないというお話でございますけれども、われわれの知ります範囲における外国食糧の輸入状況というものは、昨年政府が予算を組んだ当時と今日とは非常に状態がかわつているのです。昨年九月予算を組みました当時の輸入食糧の状況よりも、今日の状況はさらに悪いという一つの見通しが立てられ得るのです。というのは、政府みずから、東南アジア諸国の食糧輸入状況ははなはだ思わしからぬ、かつ将来の日本との間に十分な了解をつける必要があると、わざわざ総理の代理として根本前農林大臣を南方に派遣しているのを見てもわかる。これは何ゆえですか。これは、南方諸国と日本と、外米の輸入についていろいろな了解を十分に遂げておきたいという一つの政治工作であろうと思います。そういう大きな政治工作をしなければならぬまでに、南方における食糧事情というものは、決して日本が楽観するような状態でないことは、輸入価格を見ればすぐわかるのです。政府が昨年組んだときの輸入予定価格と、現在の国際市場価格とではかわつているじやありませんか。これを大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/184
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185・廣川弘禪
○廣川国務大臣 この前の国会の空気から察しまして、米と麦を離したら、もつとやさしく麦は御賛成が願えたと私は思うのでありますが、麦と米を一緒にしたがためにああいうふうな混乱になつたと私は思うのであります。そこで、大体情勢は同じでありますが、麦はもはや段階であると思つて、わけて出したようなわけであります。
それから、東南アジアに根本君に使いしてもらつたことについての話でありますが、これは日本のみでなく世界各国、買い入れる国は相当の人をあそこに使いして、親善というか感謝というか、あるいはまたその輸入等について協力方を懇請いたしておるのであります。ところが私たちの日本は、今まで何らそういうことをしておりませんでしたので、根本君に行つてもらつたのでありますが、根本君の報告を聞きまして、将来われわれは非常に楽しめる状態になると思つておるのであります。
それから市場の価格のことでありますが、内地の市場価格も同様でありますが、外国の市場価格もときどき波のあるのは当然であろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/185
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186・井上良二
○井上(良)委員 大臣は非常に楽観をしているようでございますが、政府から出ております二十七年度の需給推算を見ましても、年間三、四箇月分の食糧が不足しているという需給推算です。絶対量が不足するので統制しておつたのとは違うのですか。絶対量が足らないので、今日あらゆるものの統制がはずれておるにかかわらず、農民の主要農産物たる米麦を統制して来たのとは違うのですか。それを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/186
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187・廣川弘禪
○廣川国務大臣 全面的に野放しをするというあなたのお考えのようでありますが、全面的ではないのでありまして、外麦等はりつぱに管理いたしておるのであります。ただ内地の麦については、もはや、その段階ではないと考えているようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/187
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188・井上良二
○井上(良)委員 問題は私はこう考えるのです。その絶体量が不足しております関係からこの統制は続けられておると私は考えている。そこで政府の方では全面統制撤廃ではない、一部麦をはずし、麦のうちでも特に輸入食糧はこれを政府が管理すると言うでしよう。管理するといいますけれども、管理すること自身はわが国の麦生産の上にどういう影響を與え、これがまた国際価格との関係でどう競合して行くかという問題が、ここへ起つて参るのです。いわゆる国内の麦の供出及び配給はやめてしまうのですから、そうすると、国内産麦と国際的な農産物との競争になるのですが、特に小麦におけるその、競争が激しくなります。その場合政府としては最低価格を保障するから、国際的な競争に日本農業は耐え得る、こういうわけでございますか。その点伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/188
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189・廣川弘禪
○廣川国務大臣 その通りであります。外麦を管理いたすのでありますから、決してただちにそのまま外国の市場によつて日本の内地の生産者が荒されるということはないと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/189
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190・井上良二
○井上(良)委員 そこで問題は、絶対量がかりに三箇月——一箇月大体四百万石見当といたしまして、年間五千万石余りでありますが、このうち国内産の生産は、供出して参りますものが米で二千八百万石、大体平年作の供出になつておりますが、これに麦を八百万石といたしましても、三千六百万石くらいの数字になりまして、あと千二、三百万石のものがここに足らぬ、こういう数字になつております。ここに需給推算で参りますと、繰越しなんかを別にしまして、絶対量はそういう数字になると考えますが、その場合政府は、絶対量が足らぬが、外国からは自由に買えるから、はずしてもいい、こういう答弁のようにさいぜんから伺つております。私の考えから行きますと、絶対量が足りないがゆえに、これはいろいろ技術的には困難な面がたくさんございますけれども、やはり農民の協力を求めて、できるだけ統制を続けて行くことが、日本の食糧政策の上からは絶対に必要ではないか。麦をはずす場合、そのしわが米に集まつて参ります。このことはすでに米の国際市場における買入れ価格にこれが影響しております。今大臣のお話では、また食管当局の話では、何かこの外米の輸入をきわめて楽観するような見通しを立てられておるようでございます。私の知ります範囲におきましては、日本の一番買付け先でありますタイでありますが、タイは御存じの通り、外国輸出の国内産米は全部政府管理になつております。このタイが日本にも最も多く輸出しておる国でありますが、このタイの最近の国際的な米の輸出状況が非常にやつかいな事態になつておることは、大臣もお聞きになつたのではないかと思います。すなわちタイは、英連邦の方から賠償金を申し付けられております。その賠償金の賠償物資として、五箇年間タイの産米を英連邦に輸出せよという要求がされておることは御存じの通りであります。そうなつて参りますと、政府としては隣の仏印なりあるいはビルマなりあるいはまたはイタリアなりインドシナ等にこの買いあさりをいたしますとともに、さらにその他の米産国について手を入れなければならぬ、そうなつて行きますと、必然に国際市場価格を全体的につり上げる形になつて参ります。全体的につり上げるということは、それだけ外貨資金にこれが影響して参ります。そういうことから考えて来ますと、米の輸入というものは、値段が高くなつて、政府が予算で組んでおりますところの一トン当り百七十二ドルで買えるという見込みが、今日すでにもう二百ドルへ手が届く状態にある。そういうように市場価格をどんどん買いあさつて引上げるということならば、買えるかもわかりません。二百五十ドルであるものを二百三十ドルで買うということなら、買えるかもわかりません。政府が百万トンなり百二十万トンなりの外米を買おうというのは、何ぼでどこから買おうというのです、具体的に言つてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/190
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191・東畑四郎
○東畑政府委員 先ほど河野さんの御質問に申し上げたのでありますが、すでに到着いたしましたもの、及び今買付け済みのものを国別に申し上げますと、タイは十七万七千トンでございます。ビルマが七万六千トン、それからアメリカの南部地域から九万四千トン、エクアドルから三万八千トン、仏印から五千トン、計三十九万トン、これが要するにいわゆる長細い外米でございます。それから準内地米的なものがカリフオニア十五万一千トン、イタリアから十三万一千トン、ブラジルから一万トン、ウルグアイから六千トン、スペインから二方六千トン、台湾から五万四千トン、合計三十七万八千トン、これがいわゆる日本品種の米でございます。合計で先ほど申しましたように七十六万八千トンを確実に買付けて到着しておるのであります。その他の米等につきましては、実は政府として計画を持つておるのでありますが、国別に申し上げますことが、井上さんの御心配になりますような国際価格を上げますので、私としては実は正式には申し上げ得ないのでありますが、タイ等におきましては、政府割当を確保することが外貨の倹約に実はたるのであります。われわれといたしましては、いわゆるフリー・クオーターの米を買いあさりまして、これをつり上げることをなるたく避けまして、政府割当の米を入れたい。ごく最近もそういうものが確実に入ることは実はよくわかつておりますが、今日の状況において、外米の輸入は本米穀年度に関する限りそう御心配はいらないのでありますが、具体的に幾らの量ということを各国別に申し上げますことは、かえつて国際価格を刺激いたしますので、申し上げないことに御了承を願います。
〔委員長退席、遠藤委員長代理着席〕
すでに十一月から今日まで七十六万八千トン——これは精米でありまして、玄米に換算しますともつと多くなりますが、これだけ入れておりますことで御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/191
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192・井上良二
○井上(良)委員 私は今長官からお話がございましたこの買付というものは、一つは、国内の本年の産米の割当が政府の予想からはるかに下まわつて、二千五百万石台に押えなければならぬという事態になつて、そこで政府としてはそれをカバーする手として、の外米輸入に全力をあげておるのです。ところがここであなたは買入れ価格については、国際価格に影響するから言はぬと言うけれども、これは言うてもらわれぬと困ります。今まで買いつけたものは何ぼで買いつけたか、現に買付済みのものもありましようから、この価格を発表しても一向国際価格には影響ありません。日本政府が国会で、これから国際市場価格のものはこれで買うということを言えば、それは影響するかもわかりませんが、すでに買いつけたもの、あるいは陸揚げしたもの等の価格をここで申しても、国際市場価格には影響はいたしませんから、これをひとつはつきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/192
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193・東畑四郎
○東畑政府委員 タイから参りますものは、ドルで言いますと、百八十四、五ドルでございます。スペインから参りましたものは百九十九ドル八十七セント。最近実は運賃が四、五ドルずつ下つておりますので、漸次これよりは下つて参ると思います。これは今まで買いました一番高い値段ですが、特にいい品種のもの、カリフオルニア等におきましても非常に日本米的な、非常にいいものは、二百三ドル、四ドル程度で若干買つたものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/193
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194・井上良二
○井上(良)委員 台湾からは幾らで買うているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/194
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195・東畑四郎
○東畑政府委員 台湾は実は非常に高い値段を出しておりますので、今のところ実は買つていないのであります。二百ドル以上は買わないつもりであります。過去に買いましたものは、たしか百九十ドル。最近におきましては、台湾から買わないという見通しであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/195
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196・井上良二
○井上(良)委員 台湾は何ぼなら売ると言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/196
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197・東畑四郎
○東畑政府委員 これは肥料との関係がございまして、肥料輸出との振合いにおいていろいろ言つておるのあります。具体的な交渉の責任を持つておりませんので、今日幾らということは申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/197
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198・河野謙三
○河野(謙)委員 台湾の米の値段は、こちらから出す硫安の値段に対し二て倍半という條件がついているそうですが、そういうことはほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/198
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199・東畑四郎
○東畑政府委員 私は二倍と実は聞いておりまして、これは硫安に対して米の輸入量があまりにも少いものでありますから、食糧庁といたしましては、そういうことをしては困るということを内々申し上げて、まだ決定に至つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/199
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200・河野謙三
○河野(謙)委員 そうしますと、いずれにしても、日本から出す肥料価格との関連において台湾の米で値段がきまるということは事実ですね。もしそうであるとすれば、国内から台湾向けの肥料について、特別の米との関連における価格を何らかの方針で政府が指示することによつて、向うから輸入する米の値段が安くなる、こういうことに解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/200
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201・東畑四郎
○東畑政府委員 先ほど台湾が五万四千トンと申し上げました中で、新穀になりましてから実は三万トンを買つたのであります。これは肥料の輸出とは無関係に実は輸入をいたしたのであります。その後日台貿易協定の締結等によりまして、まだこの間の話合いが結了しないのであります。もちろん肥料の輸出と関係してきまるものじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/201
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202・井上良二
○井上(良)委員 今食管の長官から伺いましてもわかります通り、政府が本年国会の承認を得た食管の特別会計における外米買入れ価格は、一トン当り百七十二ドル、ところがいずれもがそれをはるかに上まわつておる。このこと自体は、国際的に米が非常に楽に買える情勢ではないのです。この米が楽に買えない情勢というものは、必然にこれが麦に影響して来ることは当然です。政府は昨年国際小麦協定において五十万トンの割当を受けたのですが、本年百二十万トンか百三十万トンの要求をしているそうですが、この国際小麦協定における価格、同時に各国への割当というものも、なかなか政府の思うようにな割当はされませんよ。価格もまた昨年のような安い価格で入るとは考えられないのです。上つて来るのです。そうなつて来ますと、たとえばドルの貿易帳じりを見ましてもわかります通り、ドル資金はまことに不足しておるのです。われわれ現在のドルの勘定を、朝鮮動乱の影響や、あるいはまた駐留軍の日本に落します金や、アメリカ軍擴による注文等によつて、辛うじて日本から輸出した貿易の赤字を埋めておるような現状において、ほとんど日本から輸出した全部が、ドル地域からの食糧輸入資金になつておるではありませんか。これを農林大臣はどうお考えになりますか。日本からドル地域の関係に輸出しました全体の輸出に匹敵する金額が、米や麦にばけております。食糧にばけております。ほとんどそれに使われております。そういう関係が正当な関係とお考えになりますか。しかもこの食糧関係に必要なるドル資金は、もつとふえるという見通しを立てなければなりませんが、それをどうお考えになりますか。この点一応大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/202
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203・廣川弘禪
○廣川国務大臣 それはあなたの御心配の通りでありまして、現在世界が平和になつて、軍擴でも終りますと、日本の輸出貿易がはたしてこれが輸出貿易になるかどうかということについて、非常に心配いたしております。それからあなたの御指摘のように、駐留軍あるいは朝鮮の特需等によつて、相当のドルを持つておるのであります。これが正常の場合にどうなるかということを心配いたしておりますので、私たちといたしましては、なるべく早く自給度を確立するために、十箇年計画も五箇年に縮め、そうしてでき得る限り国費を投入して、自給度を高めるようにしたい、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/203
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204・井上良二
○井上(良)委員 国内の食糧の自給度の問題は、またいずれあとで質問をいたしますが、この問題にしましても、あなたのおつしやるのと実際とは違つておるのです。たとえば二十六年の麦の作付面積よりも、今年の作付面積は減つております。政府は一方増産々々と言つて、多額の国費を使つておりながら、そうして食糧増産計画をたびたび発表されながら、逆に主要食糧の生産が減反しておる事実、これを私は見のがしてはならぬと思うのであります。そういう問題はいろいろあと質問をいたしますが、私は特に大臣に、これは大事な考えん方の問題ですから、伺いたいのですが、この統制撤廃、いわゆる供出配給の撤廃でありますが、これを撤廃しても国民の食生活に何らの不安がない、国民生活の不安定が解消した、こういうことがこの提案理由にはつきりうたつてあります。国民の食生活の不安が完全に解消したということが一体どうして言えますか。これをもつとはつきり、国民がなるほどそうか、それなら心配ないという御説明をひとつしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/204
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205・廣川弘禪
○廣川国務大臣 総合的な食糧から見ますると、戦時中より飼料にいたしましても、あるいはまたその他のものにいたしましても、非常にふえておるのであります。特に著しい例は、配給辞退等が非常に多いのであります。それからまた米につきましても、特にこれは生産地方面でありますが、米の配給辞退が非常に多くなつておるのであります。こういうところを見まして、安定をいたしておる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/205
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206・井上良二
○井上(良)委員 非常にあなたは楽観論者ですから、そういう見方もお立ちになりましようが、現実にあなたの責任の所在においてやられております食糧の需給操作の面を、一ぺん調べてごらんなさい。現に四国、九州へ東北の米まで持つて行かなければならぬ状態にあるではありませんか。しかも産地においては、超過供出についてもう知事みずからが卒先して政府に協力しておらないじやありませんですか。そうなりますと、現実に内地米の需給操作がどんなに苦しい状態であるかということは、明確になつておるのです。一つ誤れば内地米の遅配ですよ。その状態にあるのに、食生活の不安は解消したなんということはおそらく言い得られないのですげあなたみずからが先般生産県をおまわりになつて、ひとつ超過供出をしつかりやつてくれというて、鐘たいこをたたいてまわられたじやありませんか。食生活も安定して、不安が解消したなら、何もそんな必要はありませんよ。麦の統制ははずすけれども、米の統制ははずさないということがそこへ来ておる。そういうことからして、提案理由の国民食生活の不安定や、これに起因してインフレを促進するといつた事態は次第に解消して参りましたというようなことは、およそ見当違いの考え方じやないかと私は思うているんです。それから問題は、麦をはずすことによつてその重みが米に来る。
〔遠藤委員長代理退席、委員長着席〕
しかも現実の問題として、さきにも問題になつておりますが、政府ははたして現行の配給量で、九月の早場米が出るまで米食い率を維持し得るということの責任が持てますか。農林大臣としてその責任が持てますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/206
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207・廣川弘禪
○廣川国務大臣 食生活が非常に楽になつたということはたれでも認めるところだろうと思うのであります。これはほとんど常識になつていると思います。
そこで知事諸公が政府に協力しないじやないかということは大そでありまして、知事には一生懸命協力いたしてもらつているのであります。どの県でも超過供出を相当量出してもらつておりますので、これは私たちが希望しているように、なるべく多く出すように、知事諸公にやつておつてもらえるわけであります。
それから九月まで現在の内地米の米食い率を保障するかということですが、われわれは保障いたしたいと思います。ただ西日本等においては作柄が非常に悪かつたので、東北、あるいは新潟の米まで送らなければならぬことも常識でありまして、向うが少いのでありますから、それで米食い率を下げないようにして操作して行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/207
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208・井上良二
○井上(良)委員 問題は、現在消費地において米は十五日分しか配給していない。そのうち五日分が外米で、十日分が内地米です。この十五日分の米食い率を維持することは、外米で補えばいいですから、楽です。問題は内地米です。内地米ではたして現行の配給量が維持できるかどうかということは非常に危険があると私は見ている。というのは、それはあなたの手元へはどういう報告書が行つているか知らぬけれども、私はさらにこまかいことをここで数字をあげて質問するのはどうかと思いますけれども、大体昨年度産米の補正しました供出の数字は二千五百万石じやありませんか。二千五百万石で早食いは何ぼしているのです。それから割出して来てごらんなさい。一体どういう数字になりますか。かりに現行の米食い率を維持しよとする場合、当然犠牲になるのは農家への還元配給、あるいはまた労務加配米の配給、これも現行通り維持できますか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/208
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209・東畑四郎
○東畑政府委員 内地米は年によりまして、供出量が非常に違うわけであります。井上さんのおつしやいましたように、昨年は二千八百万石、今年は二千五百万石でございますので、これはどうしても内地米としては年によつて配給量が違うことはやむを得ないと思います。但し本年は先ほど申し上げましたように、準内地米と申しますものを三十七万トン以上確保いたしました。これは日本品種であります。これを内地におきまよては、内地米として実は配給をいたし、維持をしておるわけであります。いわゆる外米のうちに日本品種を入れまして補填をいたしておるというのが実情であります。いわゆる純粋な内地米というものは、豊凶その他によりまして違うものでありますが、これをいつも同じにしろというわけには行きませんから、本年は外米の輸入量をふやしまして、そのうちに内地米に近いものを入れておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/209
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210・井上良二
○井上(良)委員 そこに問題があるのです。そうしたことはインチキきわまる。というのは、われわれの問題の中心点は国内の食糧の需給の問題です。国内の食糧が絶対不足するがゆえに、人々に非常に迷惑をかけて来たりする。そういろ絶対量の足らぬというときにおいて、国内で内地米が足らぬから、外米で穴埋めをするのだ、それなら何も問題はありはしない。そんなことはだれでもやれるわけです。問題はそこなんです。それだから問題は、私は麦がはずれた場合、当然そのしわが米に行く。麦と米とは違うというりくつは、私ども賛成ができ得ないのです。米が足らぬと思えばこそ麦を一緒にあわせて食うことになりますし、その麦は、何も政府は自由に豊富に市場へ出すのだから心配はないじやないかと、あなたらはこう言うに違いない。ところがその麦たるやほとんど大部分は輸入です。外貨なんです。日本はこの狭いところに多数の人間をかかえて、加工工業によつて生きて行かなければならぬという現実を考えたときに、消費物資である食糧を多量に入れるような経済政策というものが、一体妥当な政策であるかどうかということです。足らぬから安いものをどんどん入れればいい。足らぬから外国から入れればいいということは、だれでもやるのです。問題は日本をどう再建をし、どう日本が成り立つて行くかということを、われわれが考えたときに、生産資材に金をつぎ込むなら問題はございませんけれども、非生産的な消費物資に多額の資金をつぎ込むということは、われわれとしては賛成がしがたいところの原因がここにあるのです。だから問題は、どうしても外国の安い食糧を入れようという考え方か知らぬけれども、現実に外国の食糧は上つて来ておるし、上れば上るほど外貨資金に関連をもつて来ますし、そうなつて来ますと、日本全体の経済の上に非常な大きな問題を生んで来ます。そういう、政府の考え方ならば、そういう点どうですか。農林大臣は足らなければ外国から入れたらいい、そういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/210
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211・廣川弘禪
○廣川国務大臣 決して安易にそう考えていないのであります。でありますから、国家資本を農村にもつと大量に入れたい。それのみならず、外資まで入れて、自給度を確立するようにしたい、こう私は考えておるのでありまして、機会があれば、補正予算等においても、大量にこれを入れて、そして大事な外貨を消費財に向けずに、これを生産財に向けるようにしたい、こういうのが私たちの考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/211
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212・井上良二
○井上(良)委員 安易に外国からどんどん食糧を入れない、こういうのですが、政府では予算にたしか三百五十一万トンですか組んでおりますが、これだけどういうわけで入れなければならぬのですか、それを言うてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/212
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213・廣川弘禪
○廣川国務大臣 万やむを得ず入れるのでありまして、毎年減らしたいと思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/213
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214・井上良二
○井上(良)委員 現実の需給推算の不足は何ぼとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/214
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215・東畑四郎
○東畑政府委員 前にも申し上げましたように、約五百十三万トンの需要でありますが、その後やはり配給辞退その他で、現実の需要は若干下まわつておりまして、今の見通しとしましては、米は五百万トン程度であります。そういたしますと、外米の輸入と供出の問題でありますが、われわれといたしましては、供出量等と見合いまして、今外米の輸入を計画いたしておるのでありまして、先ほど申し上げましたように、われわれとしましては、外米そのものは、ただいま申しました数字以外にまだ若干の残がございますが、その残は確保できると思います。それから小麦の問題は、これも先ほど申し上げましたように、根本的には井上さんの考えと違わないのでありまして、今のところ輸入については、米と違いまして、小麦その他の麦類は非常に値下りを来しております。予算といたしましては、一応百ドルということでありますが、その内訳は、ポンド地域、ドル地域は国際小麦協定によつて違いますが、平均百ドルということになつております。一番高いカナダの麦、アメリカの麦等も、最近は百ドルを割つております。すでに計画の大部分の手当をしておりますが、まだまだ下り気味であります。八月以後新穀が出まわりますれば、もつと下る見通しでありますから、買い控えておるような状況であります。麦と米とは若干性格が違いますので、従つて米自体については、絶対量確保のため現在の統制方式を続けて行きたい、こう思うのでありますが、麦については、方式をかえて参りましても生活の不安はない、こういう確信のもとに立案したのでありまして、予算として今予定しております百ドル平均よりは、おそらく下るだろう、こういうように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/215
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216・井上良二
○井上(良)委員 大臣は忙しいそうでありますから、明日また大臣に対する質問はいたしますが、今の問題ですけれども、今の大臣の御答弁を聞いておりましても、長官の答弁を聞いておりましても、世界は平和的に落着きつつあるから、輸入食糧の上には不安はない、こういう前提にお立ちでございますが、そう解釈しますと、政府は一体手持ち食糧は現実にどのくらいお持ちの予定をしておりますか。要するに配給量がこれだけ、国内供給量がこれだけ、不足はこれだけという数字が、そこに出ておりますか。その不足のカバーをして、たとえば二箇月分を持つのが妥当とするか、三箇月分くらい持つておらなければならないとするか、どこを一体目途にしてその輸入計画を立てられておりますか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/216
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217・東畑四郎
○東畑政府委員 麦についての資料はお出しいたしましたが、統制中は政府が全部ストツクいたしておりますので、従来百万トンないし百二、三十万トン、ストツクがありましたが、本年六月一日にかりに統制を撤廃するといたしましても、政府の手持ちは百十万トンあります。これは大体今までの統計中と同じくらいの量でありまして、内地麦が自由になると、もちろん政府以外の自由購入が各企業者にできますので、政府のストツクは、これより減ると思いますが、大体統制と同じくらいの量を持つておりますから、これは三箇月以上になります。日本は遺憾ながら天候等の関係で、つゆ時がありますので、つゆ時を越すのは、製品としては容易でありませんが、原麦では、この程度持つておつても大丈夫です。あとは半年以上の手当を絶えず先にやつておりまして、到着は計画的にいたしておりますが、買付は半年くらいはすでに手当をして、順次輸入をいたしておるような現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/217
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218・井上良二
○井上(良)委員 そうすると、大体政府の方針としましては、三箇月ぐらいはストックしておきたい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/218
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219・東畑四郎
○東畑政府委員 従来は三箇月程度持つておりました。その程度は、今後も計画的に入れますれば、もちろん入るわけでありますが、内地麦の生産がだんだん増加いたしますれば、そうたくさんの量も不心要かと思います。統制緩和の方向へ切りかえる際におきましては、安全を期しまして、その程度を持つているのが合理的であるし、その通り実行いたしつつあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/219
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220・松浦東介
○松浦委員長 本案に対する残余の質疑は次会にこれを続行することにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。次会は明午前十時より開会いたします。
午後四時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304988X02619520423/220
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