1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月六日(木曜日)
午後一時五十分開議
出席委員
委員長 竹尾 弌君
理事 若林 義孝君 理事 小林 信一君
柏原 義則君 鹿野 彦吉君
甲木 保君 高木 章君
圓谷 光衞君 長野 長廣君
水谷 昇君 平島 良一君
笹森 順造君 渡部 義通君
出席国務大臣
文 部 大 臣 天野 貞祐君
出席政府委員
文部政務次官 今村 忠助君
文部事務官
(大学学術局
長) 稻田 清助君
文部事務官
(管理局長) 近藤 直人君
委員外の出席者
専 門 員 石井 勗君
専 門 員 横田重左衞門君
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三月四日
委員渡部義通君辞任につき、その補欠として井
之口政雄君が議長の指名で委員に選任された。
三月五日
委員井之口政雄君辞任につき、その補欠として
渡部義通君が議長の指名で委員に選任された。
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三月六日
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四八号)
私立学校振興会法案(内閣提出第四九号)
新たに入学する兒童に対する教科用図書の給與
に関する法律案(内閣提出第五〇号)
二月二十八日
学校給食法制定に関する請願(千賀康治君紹
介)(第九八六号)
新潟大学分校の育成発展に関する請願(猪俣浩
三君外四名紹介)(第一〇〇七号)
寒冷地帯の学校に屋内運動場建設促進に関する
請願(今井耕君紹介)(第一〇三八号)
同(小林進君紹介)(第一〇三九号)
同(笹森順造君紹介)(第一〇五六号)
同(淺利三朗君外六名紹介)(第一〇五七号)
台風ルースによる小学校災害復旧費国庫補助に
関する請願(長野長廣君紹介)(第一〇四〇
号)
公立学校諸施設の防災及び災害復旧に関する法
律制定の請願(淺利三朗君外六名紹介)(第一
〇五四号)
義務教育費国庫負担法制定に関する請願(淺利
三朗君外六名紹介)(第一〇五五号)
三月三日
寒冷地帯の学校に屋内運動場建設促進に関する
請願(大橋武夫君紹介)(第一〇九八号)
同(岡村利右衞門君紹介)(第一一五八号)
同(塚田十一郎君紹介)(第一一五九号)
学校給食継続実施等に関する請願(早川崇君紹
介)(第一〇九九号)
同(山口武秀君紹介)(第一一三六号)
国立きつ音きよう正所設立に関する請願(首藤
新八君外二名紹介)(第一一〇八号)
教育公務員給與準則改正に関する請願(小西英
雄君紹介)(第一一六〇号)
の審査を本委員会に付託された。
二月二十七日
学校給食継続に関する陳情書
(第六六八号)
建国祝日設定に関する陳情書
(第六六九号)
公立学校事務職員の身分に関する陳情書外三件
(第六七〇号)
六・三制校舎の建築、設備充実等に関する陳情
書
(第六七一号)
屋内運動場建設に関する補助交付等の陳情書
(第六七二号)
三月四日
地方教育委員会設置單位に関する陳情書
(第七五五号)
公立学校事務職員の身分に関する陳情書
(第七五
六号)
戰災市町村等義務教育施設復旧整備臨時措置法
制定に関する陳情書
(第七五七号)
義務教育費全額国庫負担に関する陳情書
(第七五八号)
公立学校施設の防災並びに災害復旧に関する法
律制定に関する陳情書外一件
(第七五九号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四八号)
私立学校振興会法案(内閣提出第四九号)
学校教育に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/0
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001・竹尾弌
○竹尾委員長 これより会議を開きます。
議事日程を追加し、国立学校設置法の一部を改正する法律案及び私立学校振興会法案の両案を一括して議題とし、提案理由の説明を求めます。文部大臣天野貞祐君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/1
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002・天野貞祐
○天野国務大臣 ただいま議題になりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、国立大学の学部、附置研究所、附属分院、附属学校及び教育施設または研究施設の新設、廃止、国立短期大学の新設並びに国立大学に包括された旧制の諸学校の廃止等につきましての所要の規定を設けるとともに、国立学校に置かれる職員の定員を、昭和二十七年度予算に定められた定員に合致させるため、国立学校設置法の一部を改正するものであります。
次に改正内容の骨子を法案の順を追つて簡單に申し上げます。
改正の第一点は、国立大学に包括されていた旧制の学校で、その生徒が在学していたために、課程として存続していたもののうち、募集停止により、昭和二十六年度限り、職員及び生徒の定員がなくなるものを廃止いたしたことであります。これによつて廃止される学校は、専門学校、高等師範学校等二十九校であります。なお、昭和二十七年度以降も存続するものは、旧制の大学等二十七校であります。
改正の第二点は、国立大学の学部の新設でありまして、北海道大学農学部獣医学科を獣医学部としたこと、茨城県立農科大学を茨城大学に合併して農学部としたこと、岐阜県立大学工学部を岐阜大学に合併して工学部としたことでありまして、いずれも大学設置審議会に諮つて、昭和二十七年度からの開設を適当と認められたものであります。
改正の第三点は、小樽商科大学短期大学部、福島大学経済短期大学部、千葉大学工業短期大学部の三つの国立短期大学部の設置であります。これは、いずれも夜間に授業を行うものでありまして、勤労青年の進学希望にこたえようとするものであります。
改正の第四点は、大学附置研究所の合併廃止に関するものでありまして、東北大学ガラス研究所を同大学非水溶液化学研究所に合併したこと、東京大学立地自然科学研究所を廃止したことであります。
改正の第五点は、附属学校及び教育施設または研究施設の設置、整備に関するものでありまして、そのおもなものは、従来高等師範学校、女子高等師範学校に置かれた附属学校を、高等師範学校、女子高等師範学校の廃止に伴い、国立大学及び学部の附属学校としたこと、その他助産婦学校、診療X線技術学校、歯科技工士学校を設置したこと等であります。
改正の第六点は、国立学校に置かれる職員の定員を昭和二十七年度予算に合せて改正したことであります。改正後の定員は、国立学校を通じて六万九百六十一名となり、前年度当初より千六百三十九名の減少となつております。これは、国立大学附属医学専門部の廃止による減員及び行政機関職員定員法の改正による、減員等と、県立大学の合併に伴う増員のほか、東京医科歯科大学及び大学、学部等の学年進行等による増員とを差引した結果、結局国立学校を通じて千六百三十九名の減員となつたものであります。
以上申し述べましたのが、本法案の提案理由及び内容の概要であります。どうか十分御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
次に、ただいま上程になりました私立学校振興会法案について、大要御説明申し上げます。
私立学校が、その数において、わが国の学校教育にきわめて重要な地位を占めているのみならず、それぞれ特有の伝統と学風をもつて、わが国の学校教育の進展に貢献して来たことは、あらためて申し上げるまでもないところであります。従つて、私立学校教育の振興をはかることは、ひいてはわが国の学校教育全般の振興を促すものでありまして、ただいまこの法案を上程いたしましたのも、一にこの趣旨にほかならないのであります。私立学校の経営の基礎を安定させ、その教育の振興をはかる必要から、私立学校の経営に対する援助を行う恒久的制度を設けることは、かねてから私立学校関係者の熱望するところであり、またその構想は種々の形で推進されて来た次第であります。
一方、私立学校に対する助成に関しては、さきに制定されました私立学校法によつて明文化されたのでありまして、その第五十九条によつて、国または地方公共団体は学校法人に対して助成を行うことができるのであります。か、これに基く助成には、その時々の財政上の理由によつて消長があり、また助成に伴つて一定の監督が行われる結果、私立学校の自主性を尊重する建前からは、必ずしも満足すべき状態ではないと申さなければなりません。ここに政府といたしましては、私立学校の自主性をいよいよ尊重し、また私立学校経営の助成に関する恒久的制度として、ようやく成案を得、ただいま私立学校振興会法案として上程いたした次第であります。
次にこの法案の大要を申し述べます。第一に、この法律によつて設立される私立学校振興会は、私立学校の経営に関し必要な資金の貸付、私立学校教育の助成、私立学校の職員の研修、福利厚生等の事業に対して、必要な資金の貸付または助成を行うことを目的とする特別法人であります。この新しい私立学校振興会の特色は、学校法人に対する資金の、貸付のみならず、助成をも行い、その他広く私立学校教育の振興のため必要な業務を行うという点にあります。
第二に、振興会の資本金は約二十一億四千万円でありまして、そのうち三億九千万円は現金出資であり、他の約十七億五千万円は、昭和二十一年度以降において、政府から、私立学校の設置者または都道府県に対して貸し付けられた私立学校戦災復旧費貸付金、経営費貸付金等の貸付金の債権であります。
なお、右の現金出資は、本年度において一億三千万円、明年度において二億六千万円の予定であります。現金出資の額は、私立学校の資金需要額をまかなうには、はなはだ不十分ではありますが、今後の機会に沸いて資本金の増額に努めて、その運営に支障のないようにしたい考えであります。
第三に、振興会の役員については、文部大臣が任命することになつておりますが、これには振興会の業務の運営上必要な広い知識と経験とを有する適材を求めたいと考えています。このために必要な場合には、兼務の役員を置くことも考慮いたしております。また、振興会には諮問機関として評議員会を置き、振興会の重要業務に関して広く学識経験者の意見を求めて運営上の参考に資するようにいたしました。なお評議員会については、相当数の私立学校関係者を加え、私立学校側の意向が十分に振興会の業務の運営に反映することを期しております。
第四に、振興会の業務につきましては、前に述べましたように、私立学校の経営のため必要な資金の貸付のみならず、私立学校職員の研修、福利厚生等に対する貸付または助成その他私立学校教育の振興のために必要な事柄を含むものでありまして、これによつて従来閑却されて来たこの方面の事業が、大いに促進されることと信じます。
最後に、振興会は文部大臣から監督を受けるのでありますが、これは振興会の行う業務の性質によるほか、振興会の資本金が全額政府出資であるという理由にも基くものであります。
なお振興会はなるべくすみかやに業務を開始する必要がありますので、必要な準備等を急速に行いたいと考えております。
以上、本法案提出の理由及びその大要を述べましたが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/2
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003・竹尾弌
○竹尾委員長 ただいまの文部大臣の提案理由の説明に関連いたしまして、文部当局より発言を、求められております。これを許します。近藤監理局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/3
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004・近藤直人
○近藤(直)政府委員 ただいま上程になりました私立学校振興会法案について、大要御説明申し上げます。
私立学校振興会は、法案第一条の目的に明らかでありますように、私立学校の経営に関し必要な資金の貸付、私立学校教育の助成その他私立学校教育に対する援助に必要な業務を行うことを目的とする特別法人でありまして、本法案は、この私立学校振興会の設立、資本金、組織、業務、監督等に関して必要な事項を規定することをその内容とするものであります。以下、本法案における重要な事項について、御説明申し上げます。
第一に、振興会の業務の対象とする学校は、学校教育法第一条に規定する学校又は学校法人でありまして、旧制私立学校及び準学校法人をその業務の対象といたしておりません。
第二に、振興会の資本金は、第五条に規定しておりますように、総額約二十一億四千万円でありまして、うち現金出資は三億九千万円、債権の出資は十七億五千万円であります。この債権は、昭和二十一年度以降において、私立学校の戦災その他の災害の復旧費及び経営費として私立学校の設置者又は都道府県に対して政府から貸し付けられた貸付金の債権であります。現金出資につきましては、本年度一億三千万円と明年度二億六千万円の予定でありまして、本年度の分は、本年度の私立学校戦災その他復旧費貸付金約九億九千万円のうちの節約額を、これに充てようとするものであります。明年度における出資金は、私立学校振興会出資金として、昭和二十七年度予算に計上されております。
また、以上の貸付金債権の出資に伴つて、従来これらの債権を担保しておりました国の保証債権、抵当権及び質権は、貸付金債権の移転に伴つて当然に振興会に移転されます。
第三に、振興会には、第十一条の規定により、役員として、会長一人、理事長一人、理事三人以上五人以内及び監事三人を置くことといたしております。これらの役員は、振興会の業務の運営の責任を負う機関であります。
役員は、第十三条の規定により、振興会の目的を達成するため必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命することとなつており、専任者を建前としておりますが、場合によつては、他の職業に従事している者であつても、第十五条の規定により、適任者を役員に任命し得ることとし、広く適材を求め得るようにいたしております。
また、振興会の役員及び職員は、第十六条の規定により、これを法令により公務に従事する職員とみなし、公文書偽造、涜職等の犯罪については、公務員と同一の取扱いを受けることとしました。これはこの種の特別法人に共通の立法例でありまして、振興会の役職員の担当する職務の特殊性、公益性から見て当然のことと考えております。
第四に、振興会に、その業務運営に関する諮問機関として、評議員会を設けております。評議員会は、第十七条以下に明らかでありますように、十人以上二十人以内の評議員をもつて組織され、定款の変更、予算、業務方法書等業務に関する重要事項について、会長の諮問に答申することを主たる任務とするものでありまして、振興会の業務の運営に広い範囲の公正な意見を反映させる目的をもつて設置されるものであります。
評議員は、第二十条の規定により、学識経験者のほか、私立学校関係者からも、文部大臣が任命できるようにいたしてありますが、このことは、評議員のうちに私立学校関係者を相当数加えて、私立学校側の適正な意向を十分振興会の業務運営に生かして行く趣旨であります。
第五に、振興会は、第二十二条に明らかなように、学校法人に対する資金の貸付又は助成を行うことを主たる業務といたしますが、このほかに私立学校の職員の研修、福利厚生等の事業を行う者に対しても、必要な資金の貸付又は助成を行うものであります。また振興会は、文部大臣の認可を受けた場合は、広く私立学校教育の振興のために必要な業務を行うことができるのであります。
学校法人に対する経営上必要な資金の貸付には、施設、設備等を対象としたものも含むのではありますが、さしあたりは、資金の関係上運営資金等の短期貸付に限定せざるを得ないのであります。
なお、振興会が、貸付のほかに助成をも行い得ることは、すでに述べたところでありますが、この助成は、前事業年度における利益のうちから、特別積立金及び普通積立金を控除した金額に相当する金額の範囲内において行われるものといたしております。これは振興会の健全な運営を期したからであります。
第六に、振興会が前述の貸付または助成を行うにあたつては、その貸付または助成がその目的を有効に達し得るかどうかを十分に審査するとともに、さらに学校法人が旧貸付金の元利償還を履行しないような場合には、新たな資金の貸付または助成を行わないよう、第二十五条及び第二十六条の規定により業務運営の適正を期しております。
第七に、振興会に移転される旧債権については、今後三十年間にわたつて年賦償還される予定でありますので、長い間において不測の災害が発生した場合等の特別の事態におきましては、学校法人に対してその債務の全部又は一部の免除、または貸付条件の変更等を行い得るようにいたしました。なおその手続については特に愼重を期し、振興会においてかかる措置をする場合には、第二十七条の規定により、文部大臣の認可を受けなければならないことといたしております。またこれと関連いたしまして、第三十二条の規定により、旧債権の滯貸元本につきまし(は、それに見合う特別積立金を利益のうちから積み立てることとし、振興会の、資本金の確実性を期しております。なお振興会は、旧貸付金の免除による損失が多額に上つた場合には、第三十三条の規定により、資本金の減少をなし得ることといたしております。
第八に、業務方法書、事業計画、予算、財務諸表、借入金等については、主として第五章の規定により、文部大臣の認可または承認を受けるととを要するものといたしておりますが、これは振興会の業務の特殊性及び公益性に基くほか、資本金の金額が政府から出資されているという理由にも基くものであります。
第九に、振興会は第六章の規定により、文部大臣の監督に服するものでありまして、文部大臣は振興会に対して監督上必要な命令をなし、また報告を徴し、所属職員をして立入検査をさせることができます。これも、前述いたしましたように、振興会の業務の特殊性、公益性に基くものであります。
最後に、振興会の設立に関する事務は、附則第二項以下に規定しておりますように、文部大臣が設立委員を任命してこれを処理させることにいたしております。設立委員は、それにふさわしい学職経験者のうちから任命されるわけであります。また、振興会は本年度政府出資を予定いたしております関係から、なるべくすみやかに本年度内に業務を開始する必要がありますので、必要な準備等を急速に進めなければならないと思います。
以上本法立案の事情を十分御理解くだされて、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/4
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005・竹尾弌
○竹尾委員長 ただいま上程されました二つの法案に対する質疑は、次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/5
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006・竹尾弌
○竹尾委員長 次に学校教育に関する件を議題といたします。
文部大臣はただいま法務委員会に呼ばれておりますので、時間の関係上、大臣に対する御質疑はできるだけ短かい時間にお願いいたしたいと思います。質疑がありましたならばこれを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/6
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007・渡部義通
○渡部委員 最近参議院の文部委員会あるいは法務委員会、それから衆議院の法務委員会において、いわゆる東大問題として世間に大きな関心を持たれておる学校教育行政上のきわめて重大な問題が起つておつて、それに対するかなり立ち入つた審議が、委員会において行われておるのでありますが、本委員会では、この文部行政の最も重大な問題について、ほんとうに立ち入つた、真剣な審議がいまだなされていないわけであります。これを私は非常に遺憾に思いますので、この点については委員長にお願いがあるわけですが、特別にこの問題について必要な参考人あるいは証人を呼んでなり、ここで十分な審議討論を進める仕組みの問題であります。これについては、先日社会党の坂本君からも、かなり具体的な提案があつたわけでありますが、なお明瞭にされておりませんので、これは後刻委員長から委員会に諮られて、しかるべく処理を願いたいと思います。
大臣に質問したい点は、この問題についてごく簡単明瞭な点だけであります。この間参議院の法務、文部合同審議の際に、矢内原学長が羽仁君の総括的な質問に対しまして、東大に起つた事件は、明らかに学校行政に関する警察権の干渉を意味するものであつて、もしこのような状態が今後も行われるならば、学問の自由、学園の自治というものは、成り立つて行かないという見通しを持つているという意味のことを、明確に述べられたわけであります。大臣は、東大事件なるものの起つた内容について、どれだけ詳細に聴取されているかは知りませんが、大臣の報告を受けられた範囲内において——すでに今日では相当報告が上つているはずだと思いますけれども、その聴取された事情のもとにおいて、矢内原学長が述べられたようにお考えになつているのかどうか、この点を明確にされたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/7
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008・天野貞祐
○天野国務大臣 東大の方から、私に数日中に詳しい報告を出されるということであります。それからまた、警察の方からはまだ何も私は聞いておりませんから、その詳しい報告を受けた上で、私の考えを述べたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/8
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009・渡部義通
○渡部委員 委員会、ことに参議院の委員会において、また衆議院では法務委員会において、すでに相当詳細な聴取がなされたはずだと思いますので、こういう学校行政の最も重大な、いわば教育行政が警察官の監督のもとに再び置かれようとするような状況を招来するか、あるいは全国の大学当局及び学生諸君等が徹底的に対抗しようとしておるそういう権力の侵入を排することを、今ここではつきり実現し得るかどうかという重大な問題に際会しておるわけでありまして、世間周知の事実によつても、当然この問題については、根本的な考えを文部当局としては持たるべきであり、またそういうふうな説明資料及び内容については、当然もつと迅速に、詳細にこれを取上げられて、態度を決せらるべきはずだと思うのでありますが、もしいまだにこういう報告が明確な形で入手されてないとすれば、との点は文部当局のはなはだしい怠慢であり、手落ちであると私は思う。しかし、それはともかくとしまして、学長は参議院の委員会に出席しておつたはずであるから、大臣に対してその報告はしてあるはずだと思うのですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/9
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010・天野貞祐
○天野国務大臣 学長からは、中間報告は受けましたけれども、数日中に私に詳しい公の報告をすると、学長からごあいさつがあつたのです。あなたのおつしやるように、事が非常に重大であるから、愼重に私も調べた上でお答えをしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/10
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011・竹尾弌
○竹尾委員長 渡部君にちよつと申し上げますが、時間が非常に少いのですから、ほかの方もありますので、ごく簡單に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/11
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012・渡部義通
○渡部委員 そうしますと、東京大学に起つた事件については、公式な報告が来ないうちは、文部当局としても公式な答弁を委員会に対して與えられないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/12
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013・天野貞祐
○天野国務大臣 私は東京大学から公式の報告を受けていないばかりでなく、警察の方からも、直接何も私はまだ聞いておりませんから、事があなたの言われるように重大であるから、今ここでは答えを差控えたい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/13
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014・竹尾弌
○竹尾委員長 他に文部大臣に対する御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/14
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015・小林信一
○小林(信)委員 大臣お忙しいところですから、できるならばまたの機会にお願いしたいと思うのですが、一つだけお答え願いたいのであります。それは今度の行政協定を結ぶにつきまして、文部委員会からも、政府当局に対して要望があつたはずなんです。それは今まで占領下という特殊の事情のもとに置かれておつたために、やむを得なかつたとはいいながらも、学校が占領軍のために使用されているとか、あるいは駐屯するために、児童の教育環境としていろいろな悪影響があつた事案がある。しかし、こういうふうなことは、お互い不便であり、それが悪影響のあることを知りながらも、今まで政府としても、これに対してどうすることもできないような状態に放置されている。これは校舎のようなものが使用されておつた場合には、一日も早くこれを復帰させるべきであるし、将来さらに安全保障条約によつて駐留軍があるというふうなことによつて、子供の生活環境が悪条件下に置かれるようなことが、今後あつてはならない。この機会に、そういう問題が相当慎重に考慮されるように、行政協定の締結の中で、はつきりこれを表明してもらいたい。これに対しまして、大臣ではありませんが、次官から、そういうことを次官会議で岡崎国務大臣を呼んで強く要望しており、必ず目的が達せられるのじやないかというようなお話を承つたのですが、これらの経過をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/15
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016・天野貞祐
○天野国務大臣 今の御説は、私もまつたく同感であります。ですから、文部省としては、どれだけの学校が今使われているかということを詳しく調べて、その順序をつけて、至急これを返すようにしてもらいたいということを、岡崎国務大臣に私から述べまして、岡崎国務大臣も、非常な誠意を披瀝されて、自分も、できるだけこれはやるからということになつておりますので、続々と私は返還されることと期待しております。
また第二の点は、これは非常にむずかしい問題で、簡單に先方だけが何かの処置をすれば、それで納まるということではないのであつて、先方では、そういうことは好まないことです。けれども、日本人の中に、そういう一定の場所へ集まつて来るとか、そのために何かそこへ宿屋をつくるとか、いろいろなことをする人たちがあるものですから、それをどういう仕方でやめさすことができるか。それには文教地区の設定とか、そういうようなこちらのやり方にむしろ依存していることであるから、そういう点も、今ただちにこうしたらいいということは、はつきりしませんが、きようも岡崎君ともその点は話し合つて、どういう方法かを講じたいと思います。小林さんなどは、そういう方のエキスパートでおられるのだから、こういうふうにしたらいいのじやないかという案がおありでしたら、私どもに教えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/16
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017・小林信一
○小林(信)委員 私のお聞きしたのは、このことについて、そういう協定の中で、たとえそれが形式的なものに現われなくても、相手に対して要望とか、あるいは了解させたとかいうふうなことを、政府としてとられたかどうかをお聞きしたのです。今大臣のおつしやるようなことは、当然そういうことがとりかわされなくても、行われなければならない問題であつて、これは両者の問題であると私は考えておりますが、今までは、その両者に話合いの上で道が開かれておらなかつたのじやないか。私たちが文部省にいろいろお話しましても、それは文部省としてどうすることもできないのだ、どこへ持つて参りましても、それぞれ責任はないというふうなことで放置されたのですが、私どもは今後両者の間で、この問題はお互いにそういうことがないように努力し合うという何か協定を結んでいただきたかつたのです。そういうことは、政府としては行われなかつたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/17
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018・天野貞祐
○天野国務大臣 その点は、今までも決して放置しておつたわけではなくして、岡崎さんにしよつちゆう言つておつたのです。このために岡崎国務大臣は、協定の相談のときに、先方にもよくその話をしたというのであります。そして学校を返すというようなことは、できるだけ早急にするという話合いをした、こう言つておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/18
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019・小林信一
○小林(信)委員 その学校のことですが、私は大臣のおつしやつたことは、非常に遺憾なのです。返していただくのではなくて、今後はどんなところへ駐留することになりましても、学校は使わないというふうなところまで話をされたかどうか、これを私はお伺いしておるので、返してもらうことは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/19
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020・天野貞祐
○天野国務大臣 私はつい何か言うと、いただくという言葉を使う癖があるので、文字通りに言えば、小林さんのおつしやる通りであります。これを法律的に言えばそうだと思います。ただ岡崎さんを通じて言つたから、それでそういう言葉を使つただけなので、御趣旨は同じことです。今後は使わないということは、岡崎さんが十分話したことだ、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/20
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021・竹尾弌
○竹尾委員長 他に文部大臣に対する御質疑はございませんか。——質疑がないようでございますから、文部当局に対して学校教育の件に関する質疑がありましたら、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/21
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022・渡部義通
○渡部委員 議事進行について……。ただいま小林君から質問された内容に関連する問題でありますが、この文部委員会全体として、接収学校及び接収学校の施設や土地の返還を非常に強く要望しておるのであり、ことに豊島校等に対しては、委員会全体が出掛けて行つて、あれだけの約束もして来たのです。従つて委員会は、こういう問題についてその結末がどうあつてもいいということではなくて、委員会の意向とそれに基く行動の結果について、締めくくりをつける必要があると思う。従つて文部委員会としまして、接収学校の問題等に関して、何らかの態度を委員会の決議において表明し、あるいはさらにこれを強化するために、本会議にまで委員会の意向を貫徹するという形において、委員会の行動を起し、その実現を期するための必要な一切の手段を今日とるべき段階だというふうに考えますので、この点を議事進行上諮つていただくか、あるいは適当な方法でこの問題についての処理方法を考えるとかいう点を、お諮り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/22
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023・竹尾弌
○竹尾委員長 豊島小学校を含めます接収された各学校の善後措置と申しましようか、そういう点につきましては、もちろんわれわれ文部委員会が結末をつけないというようなことではないと思います。少くとも私は、何らかの形で結末をつけたいと思つておりますが、何と申し上げましても、問題が相当大きな問題でございますから、きわめて最近のうちに、渡部君のおつしやられるような何かの方法を講じたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/23
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024・渡部義通
○渡部委員 何かの方法ということについてですが、こういう問題はやはり、ちようど小林君から述べられた機会でもあり、これをどうすべきかについて、一応当委員会におけるいろいろな意見をここに出し合つて、そうして早急にこの問題を委員会の決定としてきめて行くという手段に出られることを私は提案するものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/24
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025・竹尾弌
○竹尾委員長 この問題につきまして、私も私なりに非常に心配しておりまするので、何かの方法というのは、あなたがおつしやられたことであつて、その何かの方法によつて至急に結末をつけたいと思つておりますから、さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/25
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026・渡部義通
○渡部委員 委員長がひとりでやられるわけではないでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/26
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027・竹尾弌
○竹尾委員長 もちろんそうではございません。その点につきましては、あなたのおつしやられるような何かの方法を私考えておりますので、その方法によりまして至急やりまするから、それで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/27
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028・小林信一
○小林(信)委員 今文部大臣にお聞きした点に関連して、ちよつとお聞きするのですが、今接収されておる学校は何校、何坪ぐらいあるか、御承知でしたらお知らせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/28
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029・近藤直人
○近藤(直)政府委員 お答えいたします。これは昨年の九月五日現在の調査でございますが、大学から専門学校、中学校、小学校まで入れまして四十七件ございます。坪数にいたしまして三万五千三百九十九坪、それから土地は二十一万二千六十六坪という状況になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/29
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030・小林信一
○小林(信)委員 今の数字、それからこれに該当しておる各学校種別、生徒数、そういうふうなものを一応お知らせ願えないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/30
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031・近藤直人
○近藤(直)政府委員 承知いたしました。この件につきましては、参議院の文部委員会には資料として提出いたしておりますので、至急こちらのお方に差上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/31
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032・竹尾弌
○竹尾委員 ほかにどなたか学校教育の点に関して質疑はございませんか。——質疑なしと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305115X00819520306/32
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