1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月三日(木曜日)
午後一時五十五分開議
出席委員
委員長 佐瀬 昌三君
理事 北川 定務君 理事 田嶋 好文君
理事 田万 廣文君
角田 幸吉君 鍛冶 良作君
花村 四郎君 松木 弘君
眞鍋 勝君 吉田 安君
加藤 充君 田中 堯平君
世耕 弘一君
出席政府委員
法務政務次官 龍野喜一郎君
委員外の出席者
専 門 員 村 教三君
専 門 員 小木 貞一君
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三月三十一日
委員押谷富三君辞任につき、その補欠として龍
野喜一郎君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十九日
犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一三九号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案(内
閣提出第一四〇号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案(内
閣提出第一四一号)
四月二日
戰争犯罪者の減刑等に関する請願(岡村利右衞
門君紹介)(第一八九二号)
戰争犯罪者の減刑並びにその遺族の援護に関す
る請願(岩川與助君紹介)(第一八九三号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
戰犯者の助命、減刑等に関する陳情書
(第
一一二五号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
委員派遣承認申請に関する件
犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一三九号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案(内
閣提出第一四〇号)
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約
第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案(内
閣提出第一四一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305206X02919520403/0
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001・佐瀬昌三
○佐瀬委員長 これより会議を開きます。
まず犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案の各案を一括議題とし、政府より提案理由の説明を聽取いたします。龍野政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305206X02919520403/1
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002・龍野喜一郎
○龍野政府委員 ただいま上程になりました犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を申し上げます。
犯罪者予防更生法は、犯罪をした者の改善及び更生をはかるために、その第三章において、更生の措置に関する規定を設けているのでありますが、更生の措置を真に適切、周到、かつ効率的に行いまするためには、同章の規定中二、三の点について改正または補充を加える必要のあることが、明らかになつて参つたのであります。改正を要しまする部分は、第二十九條及び第三十條の仮釈放の審理に関する規定と、第四十五條に規定されておりますところの仮出獄の停止、引致状による引致、及び留置に関する規定でありまして、補充を必要としまするのは、決定の告知に関する規定であります。犯罪者予防更生法の目的を達成するためには、この五点について本法に改正を加える必要がありますので、この法律案を提出いたした次第であります。
次にこの法律案による改正の要旨を、條文の順序に従つて申し上げます。第一は、仮釈放の審理に関する、第二十九條及び第三十條の規定の改正であります。仮出獄または仮退院の審理におきましては、本人との面接が重要な意義を有するものでありますので、現行法では、本人の重病、重傷または危篤の場合を除くほかは、すべて面接を要するものと規定されておるのでありますが、現に実施中の行政整理の進行に伴いまして場合によつては面接についても相当に彈力性のある取扱いをしなければならぬ実情となつて参りました。それで、この法律案におきましては、仮出獄または仮退院を許すことを相当と認める事案については、重病または重傷の場合のほか、中央委員会の規則で定める場合には、委員の裁量により面接を省略することができるように、規定を改めまするとともに、審理を行う委員と矯正施設の職員との連絡共助の関係についても、合理化をはかつた次第であります。
第二は、引致に関する規定の改正でありまして引致状による引致は、現行法では仮出獄中の者だけに対して行うことができるのでありますが、実務の経験によりますと、仮出獄中の者だけでなく、仮退院中の者、家庭裁判所で保護観察の処分を受けた者等に対しましても、所在が判明しないため呼出しをすることができない場合、あるいは呼出しをしても本人が応じない場合等は、調査質問のため引致する必要があります。それで、この法律案におきましては、このような場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、保護観察に付されている者を引致させることができるようにいたし、他方、引致された者の人権を保証する趣旨で、引致後は、特定の場合を除いては二十四時間内に釈放しなければならない旨を規定いたしました。
第三は、この法律案の第四十二條の二、すなわち保護観察の停止に関する規定でありますが、これは、現行第四十五條中の仮出獄の停止に関する規定を改めたものであります。仮出獄の停止に関する現行法の規定は簡略に過ぎ、停止の効力について誤解を生ずるおそれもありますので、今回は、仮出獄の停止という表現を廃して保護観察の停止に改めまするとともに、停止の効果を明らかにし、さらに、一方では、停止の範囲を必要な最少限度にとどめ、他方では、この処分により本人が不当に不利益を受けることがないようにするため、停止中の遵守事項違反を仮出獄取消の理由とすることができない旨の規定と、停止の遡及取消しに関する規定とを設けたのであります。
第四は、引致された者の留置に関する規定の改正でありまして、留置の対象は、現行法では仮出獄中の者だけに限られておりますが、実際上更生の措置に遺漏なきを期するためには、仮退院中の者に対しましても、審理のため留置を必要とする場合がありますので、その必要に応じ得るように改正を加えたのであります。
第五は、決定の告知に関する規定を新たに設けたことであります。中央委員会、地方少年委員会及び地方成人委員会のなす決定については、本人に対する告知を要することは事理上当然でありますが、所在不明の場合等の決定については、特別な告知の方法を定めておく必要がありますので、新たに第五十五條の二としてその規定を設けたものであります。
以上をもちまして、提案の理由と内容の概略を申し上げたのでございます。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
次にただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う民事特別法案の提案の理由を説明いたします。
この法律案は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定において規定されている事項のうち、民事に関するものについて特別の定めをしようとするものであります。すなわち同協定第十八條第三項においては、安全保障條約に基き日本国内に駐留するアメリカ合衆国軍隊の活動に起因する不法行為上の損害については、日本国の被用者の行動から生ずる請求に関する日本国の法令に従つて、日本国がその賠償をすべきことが定められ、また、同協定第十八條第六項(B)においては、合衆国駐留軍の使用する施設または区域内にある私有の動産に対して強制執行をする場合には、合衆国の当局が日本国の裁判所の要請に基きそれらの動産を差押えて日本国の当局に引渡すべきことが定められているのであります。以上の二点はいずれも国民の権利義務に直接関係のある事項でありまして、行政協定の右の規定を実施いたしますためには、法律で特別の定めをする必要があるのであります。よつてこの法律案におきましては、第一條から第四條までにおいて、合衆国駐留軍の活動に起因する不法行為上の損害については、国が不法行為に関する法令の規定の例に従つてその賠償の責任を負うことその他損害の賠償に関する事項を規定し、第五條において、合衆国駐留軍の使用する施設または区域内にある動産に対する強制執行について民事訴訟法の特例を規定したのであります。
以上簡單でありますが、この法律案の提案の理由を説明いたしました。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決せられんことを希望いたします。
次にただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定に伴う刑事特別法案につき、提案の理由を御説明申し上げます。
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約の発効に伴い、同條約第三條に基き、日本国内及びその付近に配備されるアメリカ合衆国の軍隊に関しましては行政協定の趣旨にのつとり、刑事上の実体法及び手続法について若干の特別規定を設ける必要が生じますので、この法律案を提出することといたしたものであります。申すまでもなく、アメリカ合衆国軍隊並びにその要員に対しましても、わが国既存の法令は原則としてその適用を見るのでありますが、右條約第三條に基く行政協定の第十七條及び第二十三條等の條項により、刑事関係の法令について若干の特別措置を必要といたしまするので、その必要最少限度の規定をこの法律案に取入れた次第であります。従いまして、言いかえまするならば、この法律案に特別に規定していない事項につきましては、原則として既存の各法令が適用されることと相なるわけであります。
この法律案は第一章総則、第二章罪及び第三章刑事手続の三章二十箇條と附則からなつておるのでありましてここにこの法律案の主要点を申し上げます。
まず第一章総則の章は一箇條でありましてこの法律において使用する語の定義を定めたのであります。この定義は主として右に述べました安全保障條約及び行政協定第一條に定めているところに従つたものであります。
次に、第二章罪の章は行政協定第十七條及び第二十三條に基くものでありましてすべて八箇條より成り、合衆国軍隊が使用する施設または区域で入ることを禁じた場所に入る等の罪、アメリカ合衆国軍事裁判所が裁判権を行使する他人の刑事被告事件に関する証拠を隠滅する等の罪、合衆国軍事裁判所における偽証の罪、合衆国軍隊の軍用物を損壊する等の罪、合衆国軍隊の機密を侵す罪及び合衆国軍隊の構成員の制服を不当に着用する罪について規定したものでありましていずれも既存の法令によつてはその法益を保護することができないものばかりであります。またこれらの規定について定められている法定刑につきましては、おおむねわが国現行法令または過去の立法例を参酌し、かつ新しい事態に即応いたしまするよう努めて妥当を期したものであります。
次に第三章刑事手続の章は行政協定第十七條に基くものでありましてすべて十一箇條よりなり日本国の法令による罪を犯したアメリカ合衆国軍隊の構成員、軍属または家族の逮捕並びに合衆国軍隊への引渡し、合衆国軍隊の使用する施設または区域内における逮捕その他人身を拘束する処分及び差押え、捜索等の処分の執行、合衆国軍隊の使用する施設または区域内等において逮捕された者についての日本側の受領、アメリカ合衆国軍事裁判所または当局の刑事手続に対するわが国側の協力及び合衆国の軍事裁判所または合衆国軍隊による抑留または拘禁についての刑事補償法の適用等いずれも刑事手続に関する現行の法令をもつてしては処置し得ない問題を取上げて、特別の規定を置いたものであります。これを要するに実体規定、手続規定を通じ、いずれも必要最小限度の特則を置くという方針を堅持するとともに、一般国民の人権の保護についてもできる限りの配慮をいたしておるものであります。
以上この法律案につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ愼重御審議のほどをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305206X02919520403/2
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003・佐瀬昌三
○佐瀬委員長 これにて提案理由の説明は終りました。なおこれらの各案に対する質疑は後日に讓るごとにいたしますから、さよう御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305206X02919520403/3
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004・佐瀬昌三
○佐瀬委員長 この際お諮りいたします。破壞活動防止に関する件について、各地の実況調査のため委員を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305206X02919520403/4
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005・佐瀬昌三
○佐瀬委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。なお派遣委員の人選、派遣の地方及び期間の決定並びに議長に提出すべき委員派遣承認申請書の作成、その提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305206X02919520403/5
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006・佐瀬昌三
○佐瀬委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305206X02919520403/6
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