1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月二十六日(水曜日)
議事日程 第二十三号
午後一時開議
第一 行政協定の国会承認に関する決議案(三木武夫君外百二十二名提出)(委員会審査省略要求事件)
第二 日本輸出銀行法の一部を改正す法律案(内閣提出、参議院回付)
第三 在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案(第十二回国会内閣提出)
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●本日の会議に付した事件
日程第一 行政協定の国会承認に関する決議案(三木武夫君外百二十二名提出)
日程第二 日本輸出銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院回付)
日程第三 在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案(第十二回国会内閣提出)
新たに入学する児童に対する教科用図書の給與に関する法律案(内閣提出)
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
農林省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
総理府設置法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
午後二時二十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/0
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001・林讓治
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
〔「総理大臣を出せ」と呼び、その他発言する者多し〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/1
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002・林讓治
○議長(林讓治君) 日程第一は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/2
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003・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。
日程第一、行政協定の国会承認に関する決議案を議題といたします。
〔「総理大臣を出せ」と呼び、その他発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/3
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004・林讓治
○議長(林讓治君) 総理大臣は参議院の予算委員会に出席しておりますので、本院には出席いたしかねるとのことであります。
提出者の趣旨弁明を許します。三木武夫君。
〔三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/4
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005・三木武夫
○三木武夫君 私は、共産党を除く野党各派を代表して、行政協定の国会承認に関する決議案の趣旨弁明をいたしたいと考えます。(拍手)
まず最初に案文を朗読いたします。
行政協定の国会承認に関する決議案
行政協定は、日米安全保障條約第三條により政府に委任されたる米軍の配備規律の範囲を越え、その内容は、憲法第七十三條により国会の承認を経べきものと認める。
よつて、政府は直ちにその手続をとるべきである。
右決議する。
行政協定を国会の承認を受くべしとの第一の理由は、憲法第七十三條第三号の、條約は事前に、時宜によつては事後に国会の承認を経ることを必要とするとの解釈上から、この決議案を提出する次第であります。この條項は、主権在民の日本国憲法当然の帰結として、ありとあらゆる対外的約束ことは、主権者を代表する国会の承認を求めなければならないという大原則を規定したものであります。(拍手)その対外的約束の名前が、條約となつておろうが、協定となつておろうが、議定書となつておろうが、その名前によつて問題の軽重がきまるものではない。また憲法第七十三條の適用を受けるかどうかということが名前によつてきまるものではないのである。また安保條約によつて委任があるとかないとかということも、この憲法の條項は問うところではないのである。一切の国際的約束ことは憲法でいう條約であり、国会の承認を受けるべきが、これが憲法上の大原則であることは明らかであります。(拍手)ただ例外として、單なる行政事務をはかどらすために、郵便とか衛生とか通信とかいうがごとき国際的約束が、国会の承認を要さずに政府間でとりきめのできることは、常識的にも当然許されておることであります。しかしながら、行政協定のごとき、その発動いかんによつては個人並びに国家の運命を左右するがごとき、深刻にして重大な内容を含んだものが、條約という名前を用いず、協定という名前を用いたがゆえに、憲法第七十三條の適用を受けなくともよいのだということは、まつたく三百代言的言いのがれ以外の何ものでもないのであります。(拍手)このような協定という名のもとに、国家の主権、国民の権利義務を制限するがごとき重大な国際約とりきめが、国会の承認を経ずして、一政府の專断によつて締結されるものだとするならば、主権が国民にあるとの日本国憲法の大原則はまつたく蹂躙されるものであります。(拍手)われわれは、日本外交の出発点に際し、かくのごとき悪先例を後世のために残してはならないと信じております。(拍手)何ゆえに政府は、公明正大に憲法を正視し、堂々と国会の承認を求めないのであるか。この行政協定が、吉田首相や岡崎君の言うがごとき最良のものであるとの自信があるならば、なぜ国会の審議に付することをおそれるのであるか。(拍手)国民は政府の態度を決して承認するものではないのであります。
第二の理由は、行政協定は安保條約による委任の範囲をはなはだしく逸脱しているから、この点からも国会の承認を必要とするものであります。(拍手)すなわち、安全保障條約第三條は、米軍の配備を規律する條件を行政協定にゆだねられた心のでありますが、一体軍隊の配備を規律する條件とは何であるか。これを何らの政治的意図なしに考えるとするならば、軍隊の配備とは、軍隊がどこの区域に駐留するかとか、どこに住むかとか、練習場はどうなるか、また日本側ではどのような便宜を提供するか、家族の出入国の問題はどうなるかというようなことが、一般に考えられる配備の條件であつて、軍人が団体として、個人として動く場合の條件のごときは、米軍を配置する條件でないことは明瞭であります。(拍手)しかるに、行政協定は、第二十四條に、米軍が団体として動く場合、すなわち緊急非常時の米軍出動の共同措置を規定し、第十七條には、米軍が個人として動く場合における裁判管轄権を規定し、広汎なる治外法権を認めておるのであります。これらは阻らかに委任の範囲を逸脱しておりますから、当然に国会の承認を受けなければならないのであります。(拍手)現に北大西洋條約においても、治外法権に関する規定は、軍隊の地位に関する協定として、批准條項をつけて別個の協定が締結されておりますが、これが当然の措置であります。行政協定は国会の承認を求むべしという第二の理由がここにあるのであります。
第三は、政治上の理由からも国会の承認を必要とすると信じます。すなわち、日米安全保障條約並びに行政協定の締結の目的は、日米の完全なる協力のもとに日本の安全を保障するにあるのであります。安全保障條約や行政協定を結ぶことは、その目的を達成するための手段にすぎないのであります。従つて、政府は、米国の真意を日本国民に伝え、日本国民の真意を米国に伝え、両者の間に何らの誤解なく完全なる了解が成立するよう最大の努力を拂うことが、政府の嚴粛な義務であります。しかるに、政府は、この努力を拂わず、国会を軽視し、国民のあることを忘れて、独善と秘密外交に終始とていることは、天下周知の事実であります。(拍手)安全保障條約の審議の場合は、まだ行政協定がきまつていないからと言つて逃げ、いざ行政協定がきまれば、これは安全保障條約によつて委任を受けているからと言つて開き直り、おそらくは今後個々の立法措置の場合は、すでに行政協定によつてきまつているから、それが変更は国際信義に反すると言うに違いないのであります。(拍手)一体これでは、国民が意見を述べる機会はないではないか、国会の外交に対する審議権はまつたく蹂躙されるではないかと言いたいのであります。(拍手)かかる吉田内閣の態度を、国民は納得するはずはないのである。国会並びに国民の間から吉田内閣に対する痛烈なる批判の声が上つていることは、けだし当然であります。(拍手)
しかも、政府も自由党も、たとえば裁判管轄権の問題にしても、犯罪の種類によつて裁判管轄権の問題を処理せよというのが世界の傾向であるにかかわらず、属地主義か属人主義か、二者択一のごとく国民を欺瞞し、世界に類例を見ざるがごとき広汎な治外法権の承認を、あたかも日本に有利なことく宣伝をして国民を愚弄していることは、まつたく政治的良心の喪失といわなければならないのであります。(拍手)しかも、国民の間から批判が起れば、共産党のしり馬に乘つたがごとく、あべこべに国民を非難するがごとき吉田首相の態度は、まつたく言語道断である。(拍手)吉田首相が日米の友好関係の持続に心を砕いていることは疑わないが、国民を納得せしめる努力を惜しんで、せつかちに、強引に押し切ろうとする態度から、日米友好関係に逆効果を来していることは明らかである。日米関係の障害は、共産党のしり馬に乘つたから起るのではなくて、むしろ政府の不誠意と、政府の狡猾なる責任回避に基くものであると断言せざるを得ないのであります。(拍手)そのためにも、行政協定のごときものは、日本の国民の運命に関係をする重大な問題でありますから、こういう政治的見地に立つても、行政協定は国会の承認を必要とするのであります。
この行政協定に対する国会の承認は、與党とか野党とかいう問題でもなければ、議員の数の問題でもない。われわれは、国民と国会議員の良心を守るために、諸君の賛成を求めるものであります。(拍手)
〔「総理が出ていないじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/5
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006・林讓治
○議長(林讓治君) これより討論に入ります。仲内憲治君。
〔仲内憲治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/6
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007・仲内憲治
○仲内憲治君 私は、ただいま議題となりました行政協定の国会承認に関する決議案に関し、自由党を代表して反対の意見を述ぶるものであります。(拍手)
本行政協定は、周知のごとく、日米安全保障條約第三條の規定に従つて、アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその付近における配備を規律する條件を、両政府間の行政協定によつて決定いたしたものであります。野党の諸君は、本行政協定をもつて條約の性質を有するものと解し、憲法第七十三條第三号の規定によつて、事前に、時宜によつては事後に国会の承認を経ることを必要とするとの御意見のようでありまするが、この点に関しましては、第十二回国会において、平和條約及び日米安全保障條約の審議にあたり十分に論議を盡されたところであり、いまさらあらためて国会の承認を必要とするという決議案の出ることはまことに意外であつて、私どもの賛成し得ないところであります。(「その通り」拍手)私は、本行政協定の国会承認を必要としない理由について、次の諸点をあげて論証いたしたいと思います。
まず第一点は、日米安全保障條約に基く米軍の駐留は、米国の利益のためにわが国民の利益を犠牲にするものであるとの議論でありますが、安全保障條約による米軍の駐留は、独立後の武器なき日本の安全を守り、かつ極東の平和と安全を確保せんとするものでありますから、わが国民が拂う犠牲よりもはるかに重大なる利益をわが国が得ることは、言うまでもないところであります。(拍手)これは実に、世界の平和維持と、民主主義の擁護という点において、わが国の目的及び利益と、米国の目的及び利益とが完全に一致すればこそであります。
第二点は、政府間の行政協定で決定するという言葉の意味であります。この文句の意味は、行政協定の締結は、日米安全保障條約第三條によつて日本政府に委任されていることを明らかにしたものであると思うのであります。委任という語がなくとも、政府間の行政協定できめると條約に書いてありますれば、それは普通、国会の承認をあらためて必要としないことを意味しているのでありまして、国内立法におきましても、委任命令について、親の法律には委任という語はなく、單に何々に関しては政令をもつて定めるというように規定してあるだけでありますが、普通にこれを委任命令と称しておることは、諸君御承知の通りであります。(拍手)
次に第三点は、日米安全保障條約が第十二回国会において審議されました際に、第三條にいう行政協定は国会の承認を求めるのかと、繰返し議員側かち質問があつたのに対し、政府側は、親條約である安保條約について承認を得れば、その第三條によつて政府間限りの締結が授権されるから、行政協定についてはあらためて国会の承認を求めないと答弁し、右答弁を了承して、安保條約は圧倒的多数をもつて承認されておるのであります。(拍手)すなわち、安保條約は、駐留軍の配備を規律する條件は政府間限りの行政協定に委任し、国会は安保條約を承認することによつて、政府が行政協定を締結することをあらかじめ承認したのでありますから、今日あらためて行政協定の承認を受ける必要はないのであります。しかも、安保條約第三條は、一部の人が言うごとく、白紙委任ではないのであります。委任の範囲は駐留軍の配備を規律する條件の規定に限られており、かつ安保條約に基く行政協定であるから、協定の精神や趣旨も、安保條約の目的、精神にのつとるべきことは当然であります。無制限な委任がなされておるわけではないのであります。また、行政協定の目的とする軍隊の配備の條件の内容が、その締結前に国会において明示されなかつたという論者がありますが、一国の軍隊が外国に駐留する場合、施設や区域を使用し、あるいは一定の特権を有することは、国際常識、国際慣行の上から当然のことでありまして、大体の見当は当然予想し得たはずであります。
第四点は、政府が再三声明した通り、国民の権利義務や予算に関する事項は、国内立法措置及び予算として国会に提出し、その議決を求めることとしており、かつその趣旨は行政協定第二十七條第二項において規定されておるのでありまして、聞くところによれば、同項に基いて国会の審議に付せられる予定の議案は、一、民事特別法案、一、刑事特別法案、一、所得税、関税、地方税など税関係法案、一、駐留軍の電話電信使用の特例法案、一、防衛支出金に関する会計法の特例法案、一、駐留軍の国有財産使用に関する法案、一、道路、車両法の特例法案、一、航空法の特例法案など、少くとも十四、五件に及ぶ由でありまして、国会の審議権は十分に尊重されておるのであります。(拍手)
第五点は、今日の行政協定の内容は配備を規律する條件の範囲を逸脱してはいないかという点であります。すなわち、行政協定第二十四條の非常事態の場合の規定が政府の越権であると論ずる者もあるのでありますが、日本区域において敵対行為が発生し、または敵対行為の脅威が生じた、いわゆる非日常事態の場合に、日本の安全を保障する立場にある米国と日本政府とが防衛のために必要な共同措置をとり、かつ安保條約第一條の目的達成のために協議することは、まことに当然なことであります。(拍手)たとえば、日本は警察予備隊その他の方法によつて国内治安の維持をはかるとか、その場に臨んで適切な方策を講ずるという政府当局の答弁は、もとより当然にして適切なものと言うことができるのであります。従つて、この規定は、安保條約の目的達成のための当然なことを規定しているのでありまして、安保條約により行政協定に委任された範囲を、こうも逸脱していないのであります。
第六点は、行政協定によつて駐留軍に対し治外法権を認めたものとして、はなはだしい非難を加える者がありますが、一国の軍隊が、外国に、その政府の承認のもとに駐留する場合に、裁判管轄権の免除等のある特権を享有することは、国際法上の一般的原則であります。ただ、その特権の範囲については、先例が必ずしも一定していないのであります。今回の行政協定において米軍に認められた特権が、北大西洋條約当事者間の協定に比較して、はなはだしく不利であると論ずるものがありますが、同協定が今日までいまだ発効していないことは諸君御承知の通りであつて、もし発効すれば同協定にならい、またしからざる場合においても、本協定においては、少くとも一箇年の期間を限つて修正することを規定しておるのでありまして、現に米英間の協定も本行政協定にきわめて類似していることは、政府当局のしばしば説明したところでありますし、いわゆるエクストラテリトリアリテイ、すなわち領土外的資格という意味における治外法権の色彩はきわめて薄いものといわなければなりません。元来軍隊は、自国の軍隊でも憲兵や軍法会議の規定に従うものであつて、普通の司法権の管轄外に置かれることは常識であります。従つて、駐留軍及びその関係者に必要な特権を認めることは、いやしくも外国の軍隊の駐留を求める以上はやむを得ないことであります。
第七点は、本協定はわが国に片務的であるという非難でありますが、わが国が米国に軍隊を駐留せしめて米国の安全を保障するということはないのでありますから、まず全体から見て片務的な形となることは当然であります。けだし、外国に駐屯する軍隊は、国際法上ある種の特権を持つことになつていて、その特権を詳細に行政協定に規定しているのであるから、自然米国の権利が多く規定される結果になるのは当然であります。(拍手)しかし、米国側も日本の法令を尊重する義務であるとか、駐留費を分担する義務であるとか、非常事態の場合に協議する義務であるとか、種々の義務を負担しているのでありまして、決して日本のみに義務を負わせる片務的な協定ではないのであります。
これを要するに、安保條約第三條には、駐留軍の配備を規律する條件は両政府間の行政協定によつて決定すると規定しているのでありまして、ことさらに政府間の行政協定と規定いたしました点は、あらためて国会の承認を必要としないことを意味しているものであることは、何ら疑うの余地はないのであります。安保條約そのものに反対した党派の人々は別として、安保條約に賛成し、承認すべきものとした党派の諸君が、今日かような決議案を提出し、賛成されるに至つては、私どものとうてい理解し得ないところであり、奇怪しごくに存ずるところであります。(拍手)
なお私は、この決議案反対の討論を終るにあたつて、最後に強く雇うの諸君の反省を求めたい重要な点があります。いうまでもなく、講和発効を目前に控え、独立日本として何よりも大切なことは、国内の治安を確保し、民心の安定をはかり、もつて外国の信頼を高めることでなければならないと信じます。いやしくも、自衛力なき日本が安全を守るためやむ得ざる最善の方法として外国軍隊の駐留を求める以上、軍隊の威嚴を尊重し、その任務を遂行するに必要なる協力をすることは、当然覚悟しなければならない事柄であると思います。(拍手)それを、いまさら法律論や形式論を持ち出して、国会の承認を得べしというがごときは、日本の現在の立場ないしは日米関係の将来を思わざるのはなはだしきものといわなければならないと思うのであります。今や、本協定の母体ともいうべき平和條約と日米安全保障條約とがすでに米国上院を通過し、発効を目前に控える今日、突如行政協定の国会承認を要求するがごときは、いわゆる証文の出し遅れでありまして、(拍手)かかる論議を繰返すことだけでも、平和條約そのものに対する国民の疑惑と不安を増大せしめ、無用なる民心の動揺を助長するのみならず、対外的にも、講和発効を機会として、アメリカ初め列国の日本に対する和解と信頼を一段と増すことを念願する国民一般の期待に反して、思わざる悪影響を及ぼす憂いなしとしない点であります。申すまでもなく、外交問題は最も愼重かつ超党派的に取扱われなければならないのであります。しかるに、最近国会の風潮は、外交問題にちて、きわめて過激にして不穏当なる言論が行われるばかりでなく、本来穏健なるべき政党が、野党攻勢の名のもとに、極左政党の宣伝に乘ぜられ、あるいは党利党略に走り、態度尖鋭化の傾向あるは、まことに遺憾にたえないところであります。(拍手)願わくは、大事の前の小事にとらわれて国家の対局を誤ることなきよう希望いたしまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/7
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008・林讓治
○議長(林讓治君) 鈴木義男君。
〔鈴木義男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/8
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009・鈴木義男
○鈴木義男君 私は、日本社会党を代表して、ただいまの野党共同提案の決議案に賛成の意を表するものでありす。(拍手)ただいま三木君が述べられました通り、このたびの行政協定が、実質上一種の條約たることは明らかなことでありまして、かのごとく重大なる国家間の契約を、わが憲法の建前のもとにおいて、これを国会にはかることなく、政府が独断專行するにまかせるがごときは、憲政上最も忌むべき悪先例をつくるものであります。(拍手)政府は、アメリカの憲政上の慣例を援用して陳弁これ努めるのでありまするが、アメリカの法理はアメリカの法理であります。三権分立の立て方も、大統領の権限も、国会と行政府との関係も、わが国のそれとはまつたく趣きを異にするのであります。ことに米国における行政協定の慣行は、戰時中の緊急措置に出たのがその起源であります。わが憲法は、かかる制度を予想しないのであります。
憲法第七十三條第三号が、すべて條約は国会の承認を経べきごとを規定いたしましたのは、一般法理の常識に従つたものであります。ここにいう條約とは、国家間の一切の約束を意味するものでありまして、三木君が指摘しましたように、條約なる名称にこだわるものではないのであります。狭義の條約上——トリーテイ、あるいは協約——コンヴエンシヨン、協定——アグリ—メント、規約——パクト、あるいは憲章——チヤーター、いろいろな名前がありまするが、どうつけましようとも、国と国との間にとりかわされる、法的拘束力ある合意一切を意味するものであります。現に、現政府もこの見解をとる証拠といたしまして、最近麻薬に関する協定をば、国会の承認を求むべく参議院に提出した事実に徹しても明らかであります。(拍手)これが正当の見解であります。
繰返しわれわれが主張いたしましたことく、そもそも安全保障條約そのものを、あらかじめ国会に問うことなくして、吉田首相は独断において、しかも平和條約の発効後九十日の間に締結すれば足るのにもがかわらず、軍事同盟にも比すべき重大なるものを、ことに中ソ同盟條約を刺激することを知りつつ、サンフランシスコにおいて倉皇として調印したことが、軽率きわまることであつたのであります。(拍手)しかも、この條約は、作文のような、きわめて簡單なものであります。すべての重要なことは何も規定されていないのであります。どうしても他日別個の條約を締結するのでなければ、これを具体化することのできないものであります。
なるほど、安保條約第三條には、アメリカ軍隊の日本国内における配備を規律する條件は両国政府間の行政協定で決定するとありますが、これは文字通りアメリカ軍の配備の問題に限らるべきであります。それも軍隊配備の技術的問題に限つては、あるいは行政官庁同士のとりきめにゆだねてもよいものであるかもしれませんが、われわれは、これすらも委任したとは思つていないのでありますが、今回の行政協定は実に広汎なものでありまして、国土に及ぼす影響、国民の生命財産に関するものがあり、裁判権に関するものがあり、国家の負担に関するものまでもあるのであります。こういう規定は、明らかに憲法上立法事項でありまして、国会の権限に属するものであります。われわれは、かかる重大なことまで、第三條によつて政府に包括的委任をいあした覚えはないのであります。(拍手)かりに国会の議に付することができないまでも、政府に国会を尊重する意思がありまするならば、行政協定の内容をあらかじめ示して、国会の意向をしんしやくしつつ事を運ぶべき責務があつたはずであります。(拍手)しかるに、秘密の名のもとに、交渉中においては、われわれがいかに質問をしても何事も告げず、調印を了してしまつてからこれを発表するとは、国会を愚にするもはなはだしい、といわなければなりません。(拍手)
政府は、このうち予算措置を伴うものについては国会の承認を求めるといつておりますが、そんなことは当然のことでありまして、それすらもやらないようなら、もはや立憲国でも主権国でもないのであります。(拍手)国民の財産を侵害する点や、治外法権を実施するためには、それぞれ土地收用法や訴訟法等の改正を提案するというのでありまするが、ただいま仲内君が言つた通り、いろいろな法律を出すというのでありますが、われわれはその前提となるものを問題としておるのであります。(拍手)
さらに範囲を広めて考えれば、警察予備隊の増強、防衛隊への編成がえ、二十七年度中に、本日の新聞によれば、十八万に増強という予定であるそうであります。外電は、米国国務省高官筋の語るところとして、二十八年までには日本は三十万の防衛隊を持つことになると申しているのであります。米軍との共同行動等、再軍備への胎動は、すべてこれ安全保障條約に源を発し、国民の代表たる国会の議を経ることなくして進められる運命を馴致いたしたのであります。私は、かくのごとき乱暴なる立憲政治家を聞いたことがないのであります。(拍手)
岡崎国務大臣は、行政協定は、安保條約第三條を議したときに包括的委任をとつてしまつたとなして、これはアメリカ政府と日本政府、換言すればラスク氏と岡崎氏との間のとりきめであるから、国会の承認を要しないと主張するのでありまするが、堅白異同の弁とは真にこのことをいうのであります。政府とは国家を代表するものでありまして、政府の行為はすなわち国家の行為であることは、小学生でも知るところであります。近時、政府の説明ぐらい、白を黒とし、からすをさぎとし、奇怪きわまるものはないのであります。国民は、詭弁学を勉強するにはこのごろの国会に行けとさえ申しているくらいであります。
われわれの持つている憲法にも、人間のつくつたものとして、幾多不完全な点を持つております。しかし、これを改正するまでは、これを守らなければなりません。政府が今まさにとらんとしつつある態度は、新憲法実施後、憲法運用上最初にしてかつ最大の悪例をつくろうとしているものであります。(拍手)法制を異にするアメリカ上院においてすら、ジェンナー議員は、これを上院の議に付し、その承認を求むべきであると叫んだのであります。わが国の総理大臣は、決しでアメリカの大統領ではないのであります。今まさに憲法第七十三條が死文となるか、正当に守られるかの岐路に立つたわけであります。国会は、党派を超越して、立憲政治擁護のために、本決議案に賛成すべきものと信ずるのであります。(拍手)
以上の理由をもちまして、私は本決議案に賛成いたすものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/9
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010・林讓治
○議長(林讓治君) 中原健次君。
〔中原健次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/10
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011・中原健次
○中原健次君 私は、労働者農民党を代表して、ただいま議題になつている行政協定の国会承認に関する決議案に賛成の意を表します。(拍手)以下、簡單にわれわれの見解を述べたいと存ずるものであります。
政府と、その與党の自由党は、今回の行政協定は安保條約の施行細則のごときもので、その調印は安保條約第三條で総括的に委任されているとか、またはアメリカでは條約をつくつた場合その施行細目については国会承認が不要であるからとか述べ立て、法及び事実に対する権力解釈を強引に押しつけることによつて自己の行動を合理化し、合法化しようとしているのでありますが、しかし、八千万の日本国民がこれを一体どう考えているか、そうしてまた二月二十八日以後、日本の国民がどのように驚き、さらにどのように憤つているかについて、政府及びその與党は、まつたくこれを眼中に置いていないのである。眼中においていないだけではない。このような、きわめて当然の、最も正しい国民の憤激と不満と反抗を、政府は実力で押えつけようとしているのであります。(「ヒヤヒヤ」拍手)この政府及び與党の態度と行動こそは、すなわちこれをフアシズムというのであります。彼らは、このフアシズムといわれることを恐れ、あたかも再軍備を現実にやつておりながら再軍備ではないと強弁しているのとちようど同じように、この場合にも、自己をフアシストでないと強弁することに努めるでありましよう。しかし、日本の国民と世界の平和的大衆は、今日もはや、このような子供だましには決してひつかからないのであります。
政府及びその與党が、憲法第七十三條のきわめて自然かつ普通の解釈に反し、言葉を設けて行政協定の国会承認不要を固持する現在のこのフアツシヨ的態度は、実は協定の交渉中、予算委員会が開かれておつたにもかかわらず、委員の質問に対して、知らぬ、存ぜぬの答弁か、さもなくば、無責任なでたらめ答弁でこれを押し通したこと、あまつさえ、予算案の衆議院通過の直後に協定文を発表したこと、さらにまた議員だけに配付した協定議事録には、いわゆる緊急事態を規定した第二十四條初め重要箇所を抹殺省略して、その上、ぎようぎようしくも取扱い注意の朱筆まで加えておるというこの事実にも一貫して現われておるのであります。(拍手)
しかも、行政協定は、公式会議わずかに十回、調印までにようやく一箇月を要したのみで、会議は一方的に、アメリカの提案のみに基いて進められたといわれておる。また、二重に手間がかかるというので、通訳も入れないで、英語一本で押し通されたとも聞いております。また、交渉開始直前の一月二十二日には、アメリカ上院の平和條約聽問会の席上で、ブラッドレー米統合参謀本部議長が、わざわざ、平和條約の批准は行政協定の交渉が成立するまで発効しないことを望む旨の証言をしているのであります。これは、吉田政府を急がせることをねらつたものであることは申すまでもありません。これらの事実は何を物語るものであろうか。なぜこのようにあわて、なぜかくも秘密性を必要とされるのでありましようか。ここに今回の行政協定の本質があり、真相があるのであります。
二十四日、参議院の予算委員会で、岡崎国務大臣は、行政協定第二十四條につき、この條はあつてもなくてもよいくらいのもの云々という、きわめて無責任なことを言うておりまするが、周知のように、この第二十四條は、日本区域において敵対行為またはその急迫した脅威が生じた場合には、日米両政府が必要な共同措置をとり、かつただちに協議すると規定し、そして、ただそれだけを規定しているのであります。はたして、だれが敵対行為とその脅威の発生を認定し、宣言するのであろうか、共同措置とは一体何を言おうとするのであろうか等について、第二十四條には一切明らかにされておらず、議事録でもまつたく触れられておらないのであります。なお、政府の、秘密協定はないという声明にかかわらず、秘密了解事項として伝えられるところでは、緊急事態と戰争の判定はアメリカがこれを行い、その場合、米軍は基地の制限を一切解かれ、日本のいわゆる防衛力は米軍指揮官の司令下に入るということであります。こういう事情を十分に知つている岡崎国務大臣からいうならば、第二十四條は、なるほどこつけいに見えるかもしれない。まつたくあつてもなくてもよいくらいのものでもあろうと思うのは当然でありましよう。また、第二十四條に対する日本国民の注目と不安と反対を解消さぜようとして、このような放送をする必要があつたのでもありましよう。
しかしながら、今日平和を愛する日本の国民が最も心配しておるのは、ほかでもない、朝鮮の情勢と行政協定との関係である。朝鮮では確かに休戰の交渉が持たれておるのであるが、朝鮮情勢の急激な変化が直接日本の本土の戰略的価値に大きく響き、台湾問題を発展せしめ、さらに全資本主義世界の現在の軍拡努力を一層困難にするという事情は、人的、物的両面の大きな損傷にもかかわらず、アメリカに撤兵を意味する真の解決を考えさせていないのではないかという点であるのであります。現に、朝鮮と中国で細菌戰が実施されているということが伝えられている。また最近、米艦隊が北東朝鮮沿岸で損傷し、さらに朝日新聞の三月十四日付では、朝鮮の劣勢に対処して、アメリカが原子兵器の使用を検討している旨の記事を載せているのであります。こういう状態のもとで、もし朝鮮に新しい大規模な戰闘が再開されたら、一体どうなるであろうか。その場合、第二十四條の敵対行為またはその急迫した脅威が生じたという認定と宣言が絶対になされないと、だれが保証することができましようか。政府を含めて、だれもそのような保証はしておらないし、またできるはずがないのであります。まさに行政協定は、日本国民を直接朝鮮戰線に投入するための陰謀計画とも見られ、日本全土を完全な軍事基地にするための軍事的密約であるということも言えるのではなかろうか。(拍手)だからこそ、この軍事的計画の共同者である吉田政府とその與党はあわてざるを得なかつた。また極度の秘密性を必要としたのでありましよう。彼らの一貫したフアシストぶりの根拠は実にここに存するのでありまして、国会承認不要との強弁はその一表現でもあります。
周知のように、行政協定の、発表された内容のみについて見ても、自由党の諸君や政府の部内でさえも黙つてはおれないぼどであります。これは屈辱的なものであると同時に、今日まで屈辱的な條約の代名詞に使われたあの安政の日米修好通商條約も、今回のこの行政協定ほどの屈辱性は持ち合せておらなかつたのであります。歴史的にだけではなく、現在世界的に見て、いわゆる西欧従属諸国の中で、この日米行政協定は、その屈辱性においてまさに世界第一であります。(拍手)
なぜ、こうなつたのであろうか。すなわち、緊迫した極東の現情勢、特に朝鮮の新情勢に即応する戰争態勢を、より急速に、そうしてより完全につくり上げる必要から出たものではなかつただろうか。政府とその與党は、行政協定は安全保障條約第三條の施行細則であると言うけれども、それはまつたく逆なのであります。今日、多くの平和を愛する日本の国民は、はつきりこのように考えている。すなわち、このような行政協定が必要であつたからこそ、いわゆる安全保障條約が結ばれたのであり、安全保障條約が必要であつたからこそ、いわゆる講和條約が結ばれたのであると。
多くの平和を愛する日本人は、かつての日本帝国主義者の対支二十一箇條、近くは満州国の実体を、内におつてよく熟知いたしております。東洋の平和であるとか、五族の協和であるとかいう名文句が実はどんなものであつたかということを、きわめてよく承知いたしているのであります。そうして戰後において、それが安全保障という世界的な、そして新しい言葉にかわつたということをも、日本の平和を愛する国民はよく知つているのであります。(拍手)
世界的なイギリスの経済雑誌ロンドン・エコノミスト誌の三月八日号は、このように申しております。「日本におけるアメリカ軍」という記事の中で、米国との防衛上のとりきめに吉田内閣がいかに熱意を持つたにしても、アメリカは、あとで日本において、英国がエジプトに対し、スエズ運河に関して直面したのと同じような状態に直面するであろう———日本国民の憤怒と反抗の必然性を、このイギリスの一般誌さえもこのように確言いたしているのであります。(拍手)
恐るべき背景と本質を持つ、かつてのサンフランシスコの講和條約並びに安全保障條約破棄の立場を貫くわれわれ労働者農民党は、この條約から発し、さらにこれに関連する亡国的かつ屈辱的、軍事的行政協定には絶対に反対であると同時に、またその手続においても、單に政府の行政的とりきめにゆだねるべき性質のものではなく、あくまで憲法第七十三條によつて国会の承認を得なければその効力はなきものと断言いたします。よつて、ここに上程されました、行政協定は国会の承認を必要とする本決議案に賛成いたすものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/11
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012・林讓治
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。この採決は記名投票をもつて行います。本案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/12
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013・林讓治
○議長(林讓治君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
投票を計算いたさせます。
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/13
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014・林讓治
○議長(林讓治君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
〔事務総長朗読〕
投票総数 二百八十八
可とする者(白票) 九十八
〔拍手〕
否とする者(青票) 百九十
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/14
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015・林讓治
○議長(林讓治君) 右の結果、三木武夫君外百二十二名提出、行政協定の国会承認に関する決議案は否決せられました。(拍手)
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〔参照〕
三木武夫君外百二十二名提出行政協定の国会承認に関する決議案を可とする議員の氏名
有田 喜一君 石田 一松君
井出一太郎君 稻葉 修君
今井 耕君 大森 玉木君
岡田 勢一君 金子與重郎君
川崎 秀二君 吉川 久衛君
小林 運美君 河野 金昇君
坂口 主税君 笹森 順造君
笹山茂太郎君 椎熊 三郎君
鈴木 幹雄君 清藤 唯七君
園田 直君 高倉 定助君
高橋清治郎君 竹山祐太郎君
床次 徳二君 苫米地義三君
内藤 友明君 中島 茂喜君
中村 寅太君 中村 又一君
並木 芳雄君 長谷川四郎君
畠山 重勇君 早川 崇君
平川 篤雄君 福田 繁芳君
藤田 義光君 船田 享二君
増田 連也君 松谷天光光君
三木 武夫君 水野彦治郎君
宮腰 喜助君 村瀬 宣親君
柳原 三郎君 淺沼稻次郎君
井上 良二君 石井 繁丸君
石川金次郎君 大矢 省三君
岡 良一君 川島 金次君
熊本 虎三君 佐竹 新市君
鈴木 義男君 田万 廣文君
堤 ツルヨ君 戸叶 里子君
土井 直作君 西村 榮一君
前田 種男君 松井 政吉君
松尾トシ子君 松岡 駒吉君
松本 七郎君 三宅 正一君
水谷長三郎君 門司 亮君
山口シヅエ君 井之口政雄君
池田 峯雄君 江崎 一治君
加藤 充君 風早八十二君
柄澤雪ゑ子君 苅田アサノ君
木村 榮君 今野 武雄君
田島 ひで君 田代 文久君
竹村奈良一君 立花 敏男君
梨木作次郎君 林 百郎君
深澤 義守君 横田甚太郎君
渡部 義通君 青野 武一君
上林與市郎君 久保田鶴松君
佐々木重三君 成田知巳君
八百板 正君 石野 久男君
黒田 寿男君 中原 健次君
小平 忠君 寺崎 覺君
小林 進君 小林 信一君
否とする議員の氏名
阿左美廣治君 逢澤 寛君
安部 俊吾君 青木 孝養君
青木 正君 青柳 一郎君
淺香 忠雄君 麻生太賀吉君
天野 公義君 新井 京太君
有田 二郎君 井手 光治君
池田 勇人君 石田 博英君
稻田 直道君 今泉 貞雄君
今村 忠助君 今村長太郎君
宇田 恒君 植原悦二郎君
内海 安吉君 江田斗米吉君
江花 靜君 小笠原八十美君
小川 平二君 小川原政信君
小澤佐重喜君 尾崎 末吉君
尾関 義一君 大石 武一君
大内 一郎君 大上 司君
大澤嘉平治君 大橋 武夫君
大村 清一君 岡延右エ門君
岡崎 勝男君 岡田 五郎君
岡野 清豪君 奧村又十郎君
押谷 富三君 加藤隆太郎君
鹿野 彦吉君 鍛冶 良作君
角田 幸吉君 風間 啓吉君
片岡伊三郎君 甲木 保君
門脇勝太郎君 金光 義邦君
上林山榮吉君 川西 清君
川端 佳夫君 川村善八郎君
川本 末治君 河原伊三郎君
菅家 喜六君 木村 公平君
菊池 義郎君 北川 定務君
北澤 直吉君 金原 舜二君
久野 忠治君 倉石 忠雄君
黒澤富次郎君 小金 義照君
小平 久雄君 小玉 治行君
小峯 柳多君 河野 謙三君
近藤 鶴代君 佐久間 徹君
佐々木秀世君 佐々木盛雄君
佐瀬 昌三君 佐藤 重遠君
佐藤 親弘君 坂田 英一君
清水 逸平君 塩田賀四郎君
島田 末信君 澁谷雄太郎君
島村 一郎君 首藤 新八君
庄司 一郎君 周東 英雄君
鈴木 明良君 瀬戸山三男君
關内 正一君 關谷 勝利君
千賀 康治君 田嶋 好文君
田中伊三次君 田中 啓一君
田中 重彌君 田中 元君
田中不破三君 田中 萬逸君
田渕 光一君 多田 勇君
高木 章君 高木 松吉君
高塩 三郎君 高田 弥市君
高橋 英吉君 高橋 等君
竹尾 弌君 橘 直治君
玉置 信一君 塚原 俊郎君
土倉 宗明君 圓谷 光衞君
坪内 八郎君 坪川 信三君
寺本 齋君 飛嶋 繁君
苫米地英俊君 冨永格五郎君
奈良 治二君 内藤 隆君
中野 武雄君 中村 清君
中村 幸八君 中村 純一君
中山 マサ君 仲内 憲治君
永田 節君 西村 英一君
西村 直己君 西村 久之君
野原 正勝君 野村專太郎君
橋本登美三郎君 橋本 龍伍君
畠山 鶴吉君 花村 四郎君
原 健三郎君 原田 雪松君
平井 義一君 平島 良一君
平野 三郎君 廣川 弘禪君
福井 勇君 福田 篤泰君
福田 一君 福永 一臣君
藤井 平治君 藤枝 泉介君
渕 通義君 淵上房太郎君
船越 弘君 古島 義英君
降旗 徳弥君 保利 茂君
星島 二郎君 細田 榮藏君
堀川 恭平君 本多 市郎君
眞鍋 勝君 前尾繁三郎君
前田 正男君 牧野 寛索君
増田甲子七君 松木 弘君
松永 佛骨君 松野 頼三君
松本 一郎君 松本 善壽君
丸山 直友君 三池 信君
三浦寅之助君 三宅 則義君
水田三喜男君 滿尾 君亮君
南 好雄君 宮幡 靖君
宮原幸三郎君 武藤 嘉一君
村上 勇君 守島 伍郎君
森 幸太郎君 八木 一郎君
藥師神岩太郎君 柳澤 義男君
山口 好一君 山崎 猛君
吉田 茂君 龍野喜一郎君
若林 義孝君 亘 四郎君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/15
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016・林讓治
○議長(林讓治君) 日程第二、日本輸出銀行法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/16
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017・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/17
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018・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/18
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019・林讓治
○議長(林讓治君) 日程第三、在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長佐藤重遠君。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/19
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020・林讓治
○議長(林讓治君) 大蔵委員会理事奧村又十郎君。
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〔奧村又十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/20
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021・奧村又十郎
○奧村又十郎君 ただいま議題となりました在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案についで、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法律案は、先の第十二国会に提出され、爾来継続審議中のものでありますので、本委員会におきましては、提案趣旨の説明を省略し、ただちに質疑を行つたのであります。Jこの法律案の内容の骨子は、大体次の三点であります。第一点は、在外公館等借入金に対しては、本邦通貨をもつてこれを返済することといたしたこと。第二点は、右の返済金額は、在外公館等借入金評価審議会の答申に基いて決定いたしました在外公館等借入金換算率によりまして、現地通貨表示金額を本邦通貨に換算いたしました金額の三割増しといたし、さらに国民負担の衡平の見地かち、返済金額は同一人について五万円を限度といたしおること。第三点は、これら借入金返済に必要な金額は、毎会計年度予算の定めるところにより、一般会計から国債整理基金特別会計に繰入れ、これを通じて支拂うことといたしておることであります。
なお本案につきましては、その重要性にかんがみまして、第十二国会において海外同胞引揚に関する特別委員会と連合審査会を開き、同時に参考人として利害関係者の出頭を求め、本案に関する意見を聴取する等、愼重審議を行つたことをつけ加えておきます。
次いで本案に関しましては、一昨二十四日、自由党の塚田十一郎君より修正案が提出されました。修正案の内容のおもなる点は、返済の場合における交通費等を考慮しまして、返済金額が同一人について五百円に満たないときは、これを五百円に切ち上げるとともに、満州と関東州の借入金換算率に大きな開きがありましたのを、関満一体の見地から一本建に改めることとし、さらに申請漏れを救済するため、この際借入金の確認請求の期限を特に延長して本年六月三十日までといたそうとするものであります。
次いで質疑を打切り、討論を省略の上、修正案及び修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、起立総員をもつて修正議決いたしました。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/21
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022・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/22
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023・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/23
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024・倉石忠雄
○倉石忠雄君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、新たに入学する兒童に対する教科用図書の給與に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/24
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025・林讓治
○議長(林讓治君) 倉石君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なしと呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/25
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026・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
新たに入学する兒童に対する教科用図書の給與に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長竹尾弌君。
〔竹尾弌君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/26
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027・竹尾弌
○竹尾弌君 ただいま上程せられました、新たに入学する兒童に対する教科用図書の給與に関する法律案につきまして、本奉還の大綱を御説明いたしますとともに、その審議の結果を御報告申し上げます。
教科用図書の給與につきましては、昨年四月から実施されておりますことはすでに御承知のことと思います。しかるに、このことにつきましては、当時その趣旨においては異論がなかつたのでありますが、その実施上のことでいろいろ難点がありましたので、とりあえず二十六年度限りの臨時の制度ということにいたしまして、なお十分に研究することとなつたのであります。その難点と申しますのは、二十六年度におきましては、公立小学校等一年生の国語と算数の教科用図書の半額を国庫で負担するということになつておりましたために、残りの半額は勢い市町村の負担となりまして、その財政を圧迫するとか、国立、私立の学校の兒童には給與されないとか、あるいは教科用図書の発行者に対する金融上の措置が不十分であるといつたような欠陷があつたのでございます。従いまして、その後一年間にわたり十分研究しました結果、今後の恒久的な制度として確率するに足るだけの改正を施しましたものがこの法案でございます。
その概略を御説明申し上げますと、今後毎年の年度初めに小学校、盲学校、聾学校及び養護学校に入学する一年生の兒童に対しまして、兒童の国民的自覚に資するとともに、その前途を祝福するという見地に立ちまして、全額を国庫で負担し、国立、公立、私立の差別なく、一様に国語と算数の教科書を給與するということにしたのでございます。その実施上の手続、方法につきましては、国と各学校の管理機関とが協力する建前をとり、兒童に直接手渡すことは、各学校の校長の協力にまつことにしております。発行者の書店に対する措置といたしましては、国と発行者との契約に関する規定を定めまして、金融上の迷惑をかけないようにするとか、遅配や計算上の齟齬を生じないように嚴密な配慮を施しております。
以上が本法案の大要でございますが、本委員会におきましては、各委員よりそれぞれ熱心かつ詳細な質疑を盡しました上、討論に入つたのでありますが、自由党を代表して若林義孝君、社会党を代表して松本七郎君、共産党を代表して渡部義通君よりそれぞれ賛成の意見が述べられましたが、本日午前の委員会で採決の結果、全会一致をもつてこれを可決すべきもとの議決した次第であります。
右御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/27
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028・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/28
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029・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/29
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030・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案、外務省設置法の一部を改正する法律案、農林省設置法等の一部を改正する法律案、総理府設置法等の一部を改正する党法律案、右五案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
〔「休憩」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/30
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031・林讓治
○議長(林讓治君) このまま暫時休憩いたします。
午後三時四十三分休憩
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午後四時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/31
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032・林讓治
○議長(林讓治君) 休憩前に引続き会議を開きます。
休憩前に福永君から提出されました動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/32
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033・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案、外務省設置法の一部を改正する法律案、農林省設置法等の一部を改正する法律案、総理府設置法等の一部を改正する等の法律案、右五案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長八木一郎君。
〔八木一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/33
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034・八木一郎
○八木一郎君 ただいま議題となりました五つの法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法案は、昭和二十七年度予算の内容に即応したものでありまして、すなわち必要やむを得ざる事務増に伴う定員の増加、終戰処理事業費、賠償庁及び物価庁等の廃止等による職員の定員の移しかえまたは減少その他の調整を行つて、定員の適正な配置をはかろうとするものであります。
その内容を概略申し上げますならば、第一は、行政機関職員の定員の表の上では合計一万一千百七人の増加となつておりますが、終戰処理事業費等の廃止に伴う定員その他の移しかえによる二千五百六十四人を差引きますと、実質上の増加は八千五百四十三人となります。しかして、この増員のおもなるものは、電気通信施設の拡充に伴う要員六千九百六十六人でありまして、その他税関事務の増加に伴うもの三百二十人、矯正保護施設の増置に伴うもの四百四十三人、国立学校の学部、施設等の増加に伴うもの三百五十人、国立療養所等の施設拡充に伴うもの二百六十三人、旧軍人遺族及び傷病者等の援護支給金支拂いの事務に従事するもの百三十四人等であります。
第二は、終戰処理事業費等の廃止に伴い、その定員二千八百四十人のうち二千三百七十八人を関係機関へ移しかえ、残り四百六十二人を削除いたしております。
第三は、本法案は本年四月一日から施行する建前にいたしておりますが、捕獲審検再審査委員会の職員の定員につきましては、平和條約の最初の効力発生の日から施行することとし、賠償庁につきましては、同條約の最初の効力発生の日の前日までの間は現行の定員といたしております。
なお定員の改正に伴いまして所要の改正を行つておりますが、詳細は会議録によつて御承知を願います。
次に、経済安定本部設置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。本法案は、最近の経済情勢が安定の度を加え、価格統制の範囲が大幅に縮小されて参りましたので、本年四月一日から物価庁を経済安定本部の内局に組織がえするとともに、物価庁の地方機関である管区経済局の物価部を調整部に統合することとし、関係法令に所要の改正を行おうとするものであります。
次に、外務省設置法の一部を改正する法律案について申し上げますと、第一は、平和條約の発効と同時に、外務省の所掌事務中、占領軍関係の事務が当然不必要となりますので、これに関する規定を削除することとし、第二は、地方の連絡調整事務局を本年四月一日から全部廃止することにいたし、第三は、平和條約の発効に伴つて逐次増設されまする在外公館において取扱う領事事務に関して所要の規定を新たに設けようとするものであります。
次に、農林省設置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。本法案は、農林省設置法及び水産庁設置法にそれぞれ一部改正を行い、本年四月一日から施行しようとするものでありまして、その内容のおもなる点は、農林省設置法におきましては、第一は、農林畜水産業者がその経営計画を立てる上に必要な指針を作成するため、これらの産業に関する予測事業を農業改良局の所掌事務として新たに加えること、第二は、最近における輸出入検疫事務の増大、動植物防疫関係法律の改正に伴う防疫及び検疫事務の増加並びに防疫に関する国際條約への加入等によりまして、動植物検疫所を植物防疫所及び動物検疫所に分離することであり、第三は、付属機関として新たに中国種畜牧場及びかんがい排水審議会を設置することでありますが、前者は種畜牧場の合理的配置からであり、後者は国際かんがい排水委員会に加入手続をとつたことによるものであります。水産庁設置法におきましては日本海区水産研究所を新潟市に移すこと、並びに最近におけるさけ・ます類の孵化放流事業を国で行う必要がありますので、付属機関として新たに十和田湖ふ化場及び北海道さけ・ますふ化場を、設置することであります。
最後に、総理府設置法等の一部を改正する等の法律案について申し上げす。本法案のおもなる内容は、地方行政調査委員会議及び賠償庁を廃止することといたしまして、関係法令に所要の改正を行わんとするものであります。地方行政調査委員会議は、本来臨時の機関として設置せられましたものでありますが、爾来約二年間にわたり、その使命とする諸問題につきまして、その目的を十分果したものと認め、本年四月一日からこれを廃止することにいたしております。また賠償庁は、平和條約が効力を発生しますれば、その関係事務はまつたく終了し、その使命も完了いたしますので、これを條約の発効とともに廃止することとし、従来の賠償指定施設に関する残務処理事務及び平和條約の規定に基き引続き措置する必要のある、いわゆる特殊財産に関する対外事務は外務省において、この特殊財産の実施事務は大蔵省においてそれぞれ所掌することにいたしております。
以上の五つの法案は、三月十四日、十九日、二十日、二十二日、二十四日、それぞれ本委員会に付託され、政府の説明を聞き、質疑を重ね、愼重審査の上、三月二十六日、討論採決の結果、多数をもつて、いずれも原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/34
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035・林讓治
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。今野武雄君。
〔今野武雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/35
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036・今野武雄
○今野武雄君 私は、共産党を代表いたして、この五つの法案に対して、一括して反対の理由を申し述べたいと思います。
このような多数の法案を、ろくに審議もしないで、数でもつて押し通すということは、これは吉田内閣並びに自由党のお得意の、国会無視の態度の最も端的な現われであります。(拍手)
特にこの法案の最初に出ていまする定員法の一部改正でありますが、この定員法の一部改正の提案理由の説明に際しましては、政府委員は、予算できまつているから、だからこの定員法を改正するんだ、こういつて出して来ておるのであります。ところが、そういうような、予算できまつている、それによつて定員をきめる。そうして、しかもその中には、たとえば文部省、あるいは海上保安庁、あるいは特別調達庁、そういうような関係の場合には、その法案の審議もまだ行われておらない。文部省設置法の一部改正とか、海上保安庁法の一部改正、あるいは特別調達庁法の一部改正、こういうことが必要なんでありまするが、その法案の審議はまだあとに残されておる。しかも、文部省設置法の一部改正は現在内閣委員会にかかつておりまするが、しかし、この審議に必要なことは、たとえばユネスコ活動に関する件があるのでありまするが、その法律案はまだ文部委員会で審査中でありまして、来月にならないと上らないといわれている。しかるに、そのために必要な人員の配置を、もうすでに内閣委員会できめてしまう。そして、その前には予算でもつてきめる、こういうようなことをする。これは一体どういうことか。
本来、最も国会を尊重し、民主的に立法が運ばれるならば、当然今の例にしてみれば、ユネスコ活動に関する法律案というのがまず出て、これがきまつてからその機構に関する改正が行われて、それからその津議員定員がきまり、その次に予算がきまるというのが当然である。ところが、ちようどそれがまつさかさまの順序になつている。家を建てるのにいたしますれば、まず屋根をつくつて、それから柱を建てて、床をつくり、土台をつくるというような、こういう、ちようどまつさかさまなことをやつているのです。
皆さん、民主主義をさかさまにしたのは何か。これはフアツシヨであります。このことは、つまり吉田内閣がいかにフアツシヨであり、自由党自身いかにそのフアツシヨの走狗になり終つているか、そのことを最も雄弁に物語つておるわけであります。(拍手)
ただいまの委員長の説明によれば、あたかも、このことは、年度末その他の調整上の必要から、四月一日から実施する緊急の必要があつてと申しますが、たとえば文部省のことはさつき申しましたが、海上保安庁法の一部改正などというのは、一つの大きな法律案にも比すべき浩瀚なものである。しかもこれは日本海軍の復活を策している、そういう重大なものである。こういうものまでも吹つ飛ばして、そうして定員だけをきめるというのは、まさにフアツシヨといわなくて何であろう
しかも、そういうようなやり方をやるのは一体何のためであるか。これは決して年末調整でも何でもない。そうではなくて、先ごろ締結されました行政協定によつて日本の国を売り渡した政府は、アメリカに迫られて、どんどんと通信施設を拡充しなければならない。そのためには人をふやさなければならない。それで七千人か八千人の人をふやす、こういうようなことになつて来るわけでございます。これは、去年たくさん首を切つている。六千九百六十七人でありまするが、この七千人に近い人をふやす。何のためか。去年首を切つたのは何のためか。これを考えれば、ちようど行政協定を境目にしてこういうことが現われているのは、これは電通省の役人自身に聞いてもわかることでありますが、はつきりとアメリカのためにやる、サービスをする、そのための人員をふやすということにほかならないのであります。
また運輸関係でありまするが、これもおもな人員の増加は航空庁関係でございます。ところが、この航空庁関係の仕事は、今までも、おもにアメリカの空軍、すなわち極東空軍のサービスのために七割以上の仕事が提供されておつたのでございます。ところが、さらにその人数をふやし、予算を使つて、アメリカのサービスをしよう。そのための人員増加にすぎない。すなわち、これらの例によつても明らかなように、行政協定を結んだ。それがためにアメリカから迫られて、急遽人員をふやさなければならない。こういうことのためにやる定員法の一部改正でありまして、日本の国民にとつては実に迷惑しごくなことであります。——のための人員の増加である、こういうような点を考えますならば、さつきも言つた、さか立ちした民主主義、すなわちフアツシヨは單なるフアツシヨではなくして、植民地従属国における売国フアツシヨであるということがはつきり言えるのであります。(拍手)この売国フアツシヨとしての現われとしての定員法の一部改正に対しては、われわれは断固として反対せざるを得ないのであります。
第二の経済安定本部設置法の一部改正、これは、ただいまもお話があつたように、物価庁を廃止するというのでございますが、ここでわれわれは思い起すのは、昨年の、あの電力料金値上げの場合に、物価庁長官が電力料金値上げに対して反対の意見を具申したことがあります。このことは、世間に大きな反響を呼んだのであります。ところが、またまた電力料金値上げの問題が大きく浮かび上つておる。その他家賃、地代の値上げの問題も出て来ている。こういう際に物価庁を廃止するのは、一体何であるか。つまり、こういう役所が、ある程度独自性を持つて幾らかの良心を持つて、そうして正確なことを言おうとする、こういうことに対して、こういうことをするのは、今の吉田内閣にとつてはじやまになるということである。かつて気ままにアメリカにサービスし———売り渡すためには、こういう役所がなくなつた方がいい。それで廃止するわけであります。これに対しても、われわれとしては反対であります。(拍手)
第三の外務省設置法に対しては、こまかいことは今申し上げませんが、とにかくこれが将来日米合同委員会の事務局としての役割を勤めるに至ることは明らかであります。そのための準備である。従つて、われわれはこれに賛成するわけに行かない。反対しなければならない。(拍手)
農林省の設置法の場合については、これも実は農林委員会では連合審査の申合せをしておつたのでございますが、はつきり決議をしなかつたというしろものでございます。その内容に至つては、何ら審議されないのでございます。そうしてしかも水産庁関係の改正がございまするが、この問題は非常に重大な問題を含んでいる。あの北海道などにおきましては、漁船にレーダーをつけることを、ほとんど強制的に要求されているのでございます。そのために、貧しい漁業家は非常に困つて来ている。何のためにレーダーをつけるか。これは、海上警備隊を武装し、軍隊にするのと相並んで、武装出漁をするためである。そういう準備のための工作が着々行われている。そのことが現われているとわれわれは考えざるを得ないわけでございまして、これに対しては反対せざるを得ない。
第五に総理府の問題でありまするが、この問題の中で、特に私どもの注意を引くのは、地方行政調査委員会議の廃止問題でございます。これについて、政府と地方との行政の分担については、もう事柄は済んだからと申しますが、あの知事会議あるいは市長会議等、地方の知事や市長が陳情に始終来ているありさまは一体何であるか。ちつとも事柄は済んでいない。それだから、今盛んに——盛んにですよ。この自由党内閣によつて、地方行政の逆コース、すなわち自治を認めないという法案が用意され、それが今国会にも提案されようとしている。現に東京では、あの区長公選をやめて、区長を都知事の任命にするということで、自由党の諸君さえもみな騒いでいる。自由党の区会議員の諸君も、こんなことを通すなら、われわれは辞職するぞ、自由党をやめるぞと、こういうことを言つておる。このような反動的な自由党の地方行政政策の一部でありますから、われわれとしては、これに対して断固反対するわけでございます。(拍手)
そのほか、こまかい点は略しまるが、ともかく十二にわたる、このたくさんの省における重要な問題を一括してわずか一日か二日の、審議とは言えない審議によつて、ただ議員の数だけ——数だけというよりは、その目方だけでもつて押し通そうというような、この押しのふといやり方、まるでこの議場を、この国会というものを、單なる物理的な物体の集合にしてしまうような、このフアシヨ的なやり方というものに対しては、われわれとしては、国民の名において断固といて反対せざるを得ない。(拍手)このような政治はやめなければならぬ。いつまでも続けているならば、国民の批判は必ず下つて、近いうちに自由党は葬り去られるであろう。このことを申しまして、私の反対討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/36
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037・林讓治
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
五案を一括して採決いたします。五案の委員長の報告はいずれも可決であります。五案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/37
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038・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて五案とも委員長報告の通り可決いたしました。
明二十七日は定刻より本会議を開きます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02419520326/38
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