1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年三月二十七日(木曜日)
議事日程 第二十四号
午後一時開議
第一 郵便為替法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法案(瀬戸山三男君外四十二名提出)
第三 住民登録法施行法案(鍛冶良作君外三名提出)
第四 工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案(内閣提出)
—————————————
○本日の会議に付した事件
京都騒じよう事件の真相に関する緊急質問(小川半次君提出)
日程第一 郵便為替法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法案(瀬戸山三男君外四十二名提出)
日程第三 住民登録法施行法案(鍛冶良作君外三名提出)
日程第四 工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案(内閣提出)
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案(坂本實君外二十三名提出)
森林法等の一部を改正する法律案(平野三郎君外二十三名提出)
租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
資産再評価法の一部を改正する法律案(内閣提出)
通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
信用金庫法の一部を改正する法律案(佐藤重遠君外十七名提出)
海外からの日本国民の集団引揚輸送のための航海命令に関する法律案(内閣提出)
捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
午後一時二十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/0
-
001・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
————◇—————
京都騒じよう事件の真相に関する
緊急質問(小川半次君提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/1
-
002・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、小川半次君提出、京都騒じよう事件の真相に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/2
-
003・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/3
-
004・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
京都騒じよう事件の真相に関する緊急質問を許可いたします。小川半次君。
〔小川半次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/4
-
005・小川半次
○小川半次君 私は、最近頻発する派出所あるいは税務署襲撃事件について、法務総裁並びにこれに関係ある各大臣にお尋ねしたいのであります。
北海道では白鳥警部が射殺され、東京では印藤巡査が惨殺され、長野県においては数名の警官が集団暴行を加えられた上に短銃を強奪されたという恐るべき事犯が起つて以来、各地において警察官に対する集団暴行や派出所の襲撃、あるいは鶴見、川崎、横須賀等を初め各地の税務署の破壊等が頻発して、国民の不安をつのらしておるのであります。すでに伝えられておるごとく、この悪質な破壊的行動を煽動する最も根拠的なものは、日共の非合法機関紙と目されている球根栽培法三十二号の示すところにあると思うのであります。たとえば、その内容の一部には、警官の一人々々を居住地において各個に撃破して行くことであるとか、あるいは家庭における警察官を包囲し、彼らをして番犬であることにいたたまれなきまでに追い込んで行く意識的、計画的大衆工作が重要であるというような意味で煽動しておるのであります。われわれの想像するところによりますと、おそらく今日までに発生した事犯は、ほんの初歩的なモデル・ケースにすぎないのであつて、今後はさらに大規模の集団的暴力行為が執拗に繰返されると思うのであります。これがため、警察官を萎縮せしめ、司法権を睡眠せしめ、国家の権力は無視され、やがて無政府状態にまで追い込まれて行くのではないかという恐るべき不安感が国民の間に流れていることを、政府は見のがしてはならぬのであります。
私は、このたび京都において行われた彈圧法粉碎総決起大会並びにデモ行進中の情景を見て、日共を背景とする集団暴行が今後さらに悪質化して来るのではないかという印象を強くしたのであります。実は京都では、今から一箇月前の二月二十三日にもデモ隊の集団暴行事件が発生し、三箇所の交番所と二箇所の税務署が襲撃され、その際目つぶし用のパチンコ玉、灰のつぶてを用いて、多数の警察官が傷害を受けたのであります。この恐怖と戰慄のいまださめない一箇月後の今日、再びさらに悪質な集団暴行がデモ隊によつて行われたのであつて、しかも今回の場合は、單に警察官のみに対する暴行ではなく、一般民家に対しても、この家は反動の家だと称して破壊し、さらに報道の任にあつたところの京都新聞社の山形、井上両記者、大阪新聞の藤本記者らが集団暴行を加えられ、山形記者のごときは目下生命が案ぜられているという状態であつてわれわれは今回の事犯を單なるデモ騒ぎの余波として片づけるわけには行かないのであります。(拍手)この事件は、労働組合総評議会に日共が合流したものであつて、暴力行為は主として日共党員によつてなされたということが、大体明らかになつておるのであります。(拍手)
われわれが今回の事件を特に重視するのは、報道関係者に対する暴行であります。民主主義の基礎に言論、報道の自由が存在することは、あらためて言うまでもないところであつて、報道の自由を奪うことは、国民の自由を奪うことであり、しかも多数が暴力をもつて取材中の新聞記者に暴行傷害を加えたことは、自由と民主主義を破壊するものであつて、もはや正気のさたとは言えないのであります。(拍手)彼らの表面唱えるところは自由や解放などと申しておりますが、一歩裏にまわれば、暴力、フアツシヨにみずから道を開いているといわねばならぬのであります。わが国の集団的行動においては、諸外国に見られないような脅迫、侮辱、暴行、財産破壊等が発生するのであつて、今回の事件を見ましても、交通機関を妨げ、交番所を襲い、民家や自動車に投石するという悪質な行為であつて、これが労働運動の延長ででもあるかのごとく考えておる一部分子の行動は、昔の百姓のむしろ旗一揆にも劣る無統制、無秩序を暴露するものであつてわれわれはそのすべてを軽蔑するものでありますが、特に報道機関の取材を野蛮な暴行によつて妨害した事実に対しては、自由と文明の名において断固として容認し得ぬところであります。(拍手[その通り」)
以上、白鳥事件あるいは派出所襲撃事件、税務署破壊、報道関係者に対する暴行傷害事件は、すべて一連の関連があると思われるのであつて、今後さらに大規模の集団暴力が予想されるとき、政府においていかなる対策があるか、また白鳥事件や、その後頻発した暴力事件の結末が一体どうなつておるのか、国民はその結果を知りたいと思つているのであつて、この際明らかにしていただきたいのであります。また今回の京都の例を見ましても、警察官が萎縮してしまつて、報道記者が暴行されている現場を目撃しておりながら、それをとどめ得ずして傍観していたという事態も生じたのであつて、こうしたことは、今後の治安上にも影響あることと思いますので、こういう問題についても政府の態度を明らかにしておかなけおばならないと思うのであります。
私は、この機会に文部大臣にお尋ねしたいのであります。最近、労働組合のデモ隊の中に、高等学校生徒の参加が非常に多くなつて来たのであります。京都の例を見ましても、デモ隊の暴行者の中に、しばしば高等学校の生徒が含まれているのであります。逮捕された、ある高校生の手記によりますると、某党の幹部から、君たちは未成年者であるから、事件を犯して逮捕されても寛大で、少年として特別な保護を受けるし、また未成年者であるから新聞にも本名が出ない、たいてい仮名になる、だから恥にはならないから大いにあばれてくれと煽動されたということであります。思想的に未完成であり、すべて一本立ちのできない高校生が、労働組合の集団行動に加わつて、はたしていいものであるかどうか。米国においては、未成年者がこうした種類の行動に参加することは禁じられているのでありますが、日本においてはいかなる解釈をとつておられるのか、この機会に明らかにしていただきたいのであります。
次に労働大臣にお尋ねします。聞くところによりますれば、本年のメーデーには各所に暴行事件が発生するのではないかとうわさされているのであります。われわれは、労働組合の健全な発展を祈るがために、秩序あるメーデーの行われることを望むものであります。最近、一部尖鋭分子のため、ややもすれば暴力闘争を主とする傾向に労働組合がなりつつあることは、まつたく遺憾なことであつて、権利とともに義務を、自己とともに他人を、不規律よりも秩序を尊ぶところの労働組合が生れることによつて、労働組合がその方向に進むことによつて、日本の産業の発展は労働組合の発展とともになし遂げられると私は思うものであります。(拍手)このときにおいて、もはや一箇月後に迫るところのメーデーに対して、うわさされるところのこれらの問題に対して、政府は今のうちから何らかの方法を講じておかなければならぬと思うのであります。すなわち、労働組合の幹部とともに労働大臣が懇談して、本年のメーデーを秩序あるメーデーに持つて行かなければならぬと思うのでありまして、これらの点についても労働大臣の意見を承りたいのであります。
以上、私の緊急質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/5
-
006・木村篤太郎
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。
最近各所に暴力行為が行われることは、まことに遺憾であります。白鳥事件といい、印藤事件といい、かような暴力行為というものは、平和民主国家建設途上において許さるべきでないことはもちろんであります。ことに最近におきまする税務署襲撃事件、これはわれわれ最も重大視しておるのであります。しかして、二月二十三日の京都騒擾事件、これにつきましても、われわれは、特審局、国警に、あらかじめ、左翼矯激なる破壊活動分子がある種の計画をしておるという情報が入りまして、京都市警当局に対して、これらの情報を伝えて、それに対処すべきことを要望しておつたのであります。従つて、市警におきましても、相当の警官を配置しまして、これに万全の策を講じておつたのでありまするが、たまたまかようなことになつたということは、まことに残念であります。ことに労働組合が正常なる労働運動をやる途上において、一部の危險なる分子がこれを利用して、かようなことが起つたということについては、私はまことに遺憾に思つております。ことに学生がデモ行進に参加して、そうして極端なる破壊活動に出たということは、まことに遺憾に存ずる次第であります。そこで私が要望したいのは、労働組合が、かような破壊活動分子に利用されないということであります。われわれは労働組合の健全なる発達をこいねがつておるのであります。おそらく将来においては、さようなことはなかろうと思いますが、くれぐれもさような一部の破壊分子に利用されないようにということを、この機会に特にこいねがう次第であります。また学生については、ことに教育者に、これらの点について十分の反省をいただきたいと私は考えております。
そこで、これに対する対策いかんという問題でありますが、私は特審局、国警、自警、検察庁が互いに緊密な連絡をとりまして、あらかじめかようなことの起らないように、情報を十分に收集いたしまして、万一過激なことが起つたときには、断固としてこれを取締るという方針を持つておるのであります。ことに、この機会に申し上げたいのは、自警がいかにも勢力が薄弱であるということであります。予算の面から申しましても、人員の面から申しましても、はたして将来かような騒擾事件について十分対処できるかどうかということを苦慮しておるのであります。これにつきましては、各位の十分なる御研究をお願いしたいと考えております。私は責任を持つてこれらの点について、将来の機構の改革に当りたいと考えております。ことに国民諸君に対しましては、ぜひともこの左翼破壊分子の将来の活動に対して十分なる警戒を持つて、そうしてわれわれとともに平和国家をつくるように、将来の努力をこいねがいたいと思うのであります。(拍手)
〔国務大臣天野貞祐君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/6
-
007・天野貞祐
○国務大臣(天野貞祐君) 学生が一般の労働運動に参加することは、非常に好ましくないと思つております。ことに高等学校生に至つては、それは非常によくないことだと自分は考えております。しかし、過去のメーデー等に高等学校生が参加したということはまだ聞いておりませんが、今後高等学校生につきましては、教育委員会等にも連絡をし、また大学生につきましては、大学の学長に連絡をして、十分そういう点について警戒をし、またそういうことの起らないようにいたす考えでございます。(拍手)
〔国務大臣吉武惠市君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/7
-
008・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) お答えいたします。
最近における暴力行為につきましては、断じて許すべからざるものでございまして私どもは正常な労働組合運動は決して抑圧する考えはございませんが、限界を越えた行動に対しましては、法務総裁のお話のごとく、断固これを取締りたいと思います。
京都事件につきましては、総評の名のもとに決起大会が行われたのでありまするが、そのうちに、一部日雇い労務者の中の左翼分子の蠢動があつたようであります。
来るべきメーデーについてでありますが、今日メーデーの計画については、総同盟及び総評の幹部とも寄り寄り相談をいたしております。両方とも、幹部におきましては、御承知のごとく、今日は大体正常なる組合運動の線に沿つておりまするので、このメーデーにおいて左翼分子の蠢動なからしむるべく協議を進めておる次第であります。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/8
-
009・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第一、郵便為替法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。郵政委員長尾関義一君。
〔尾関義一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/9
-
010・尾関義一
○尾関義一君 ただいま議題となりました郵便為替法の一部を改正する法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法案提出の理由でありますが、政府は、来る四月一日から、本土と北緯二十九度以南の南西諸島との間に郵便為替の取扱いを開始しようとして目下準備中のところ、右南西諸島は行政権が分離されておる関係上、これと郵便為替の取扱いを開始するためには、琉球臨時中央政府との間にとりきめを必要といたすのであります。しかして、南西諸島の特殊的地位にかんがみ、このとりきめを純然たる外国との間の條約とまつたく同様のものとして取扱うことは適当でないと認めらるるのみならず、この郵便為替業務において内国郵便為替並の取扱いをしようとするときは、右郵便為替が、現行外国為替管理法令上、対外送金業務として取扱われるため、現行の郵便為替法をそのまま適用することができないので、政府は、郵便為替法中にその特例を定め得る根拠規定を設けようとして、本法律案を提出するに至つたのであります。しかして、その内容は、郵便為替法に一條を加えまして、右の郵便為替については省令で特例を設けることができることにしようとするものであります。
以上、法案の提出理由並びに内容につき御説明申し上げたのでありますが、二月二十七日、本法案の付託以来、委員会は数次にわたり会議を開き、まず提案理由を聞きました後、政府との間に、琉球側郵政庁との間における折衝の進行模様並びにとりきめの内容、小笠原諸島等、同様の事情下にあるものとの関係、省令委任の範囲、外国為替管理面から受ける制約程度等の諸点につき詳細にわたり質疑応答を重ね、審議の愼重を盡したのでありますが、それらの詳細はすべて会議録に譲りたいと存じます。
かくて委員会は、昨三月二十六日、本法案に対する質疑を打切り、討論を省略の上、ただちに採決に入りました結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/10
-
011・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告であります。これを許します。田代文久君。
〔田代文久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/11
-
012・田代文久
○田代文久君 私はだたいま上程されました郵便為替法の一部改正についての法案に対しまして、日本共産党を代表し断固反対の意を表明するものであります。
御承知のように、琉球を中心とする諸島は、日本の国の一部でありまして、従つてこれらの地方との郵便為替取引というものは、当然国内郵便為替法によつて実行されなければならないことは言うを待たないのであります。しかるに、ただいま提案されました法案は、具体的には、日本の円をもつてこの地方に為替します場合に、円がそのまま向うにそつくりその形で現われて来ない。なぜかと申しますと、これはドルにしなければならないということになるのである。また反対に、琉球地方から日本に為替を送ります場合には、ドルを円にかえて来るという形態をとるのでありましてこのことは、日本の経済あるいは財政事情が非常に混乱に陷り、日本の円価値が非常に下落するというような事態に立ち至りました場合に、日本の資本家の金がどんどんこの地域を通じてドルになるという、ドル買いとか、あるいは円の逃避というような形をとることは明らかであります。また反対に、ドルをもつて日本の円を撹乱するという余地も残しておるのでありまして、政府答弁、あるいはただいま委員長の説明によりますと、これは為替管理法によつてある程度のことがなされるであろうというようなことを言つておりますけれども、委員会における政府側の答弁におきましても、実際においてそれをどういう方法においてやるかという点ははつきりしておらない。従いまして、私がただいま話しましたような点を質問いたしますと、そういう懸念もあるでございましようというような、ふらちきわまる答弁をいたしておるのである。つまり、いかに日本の経済というものがアメリカのドルによつて支配されておるか、またされんとしつつあるかという点がはつきり証明されておるのである。
また、最も重大なる点は、ただいま委員長の説明にもありました通り、琉球臨時中央政府と日本国とがこのとりきめをやるというのであります。おそらく改進党の諸君といえども、自由党の諸君といえども、現在琉球臨時中央政府、こういう国家権力、こういう政府がどこにあるかということを、だれが言うことができるか。だれも知らないと思う。(拍手)ところが、そういう幽霊政権——なぜと申しますと、はつきりしたアメリカの出先になつた出店機関、そういう権力と、独立国にならんとする日本とが、これがとりきめをやるというような、ばかげた法案になつておるのでありまして、これすなわち、日本の自由党吉田内閣がとりつつあるところの、また反動政権がとりつつあるところの、国を売り、国を滅ぼす、売国、亡国政策の具体的な現われである。
先ほど、京都騒擾事件におきまして、何か共産党がこれを使嗾しておるかのごとき発言がありましたけれども(「その通り」)実際国を破壊し、国を不安と混乱に陷れているのはだれだ。(拍手)改進党自身である。政府自身である。自由党自身こそが社会不安の根源であるということを、私は断言するものであります。従いまして、こういう法案自身が売国勢力の具体的な現われであるということは、はつきりいたしておるのである。
かくのごとき観点から、共産党は断固反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/12
-
013・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/13
-
014・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/14
-
015・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第二、特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長松本一郎君。
〔松本一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/15
-
016・松本一郎
○松本一郎君 ただいま議題となりました、上林山榮吉君、瀬戸山三男君外四十一名の議員より提出されました特殊土じよう地帶災害防除及び振興臨時措置法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
最初に、本法案の提案理由及び法案の要旨について簡単に申し上げます。すなわち、地理的に台風の来襲が特に頻繁であり、地勢上豪雨がはなはだしいのみならず、その地表が、シラス、ボラ、コラ、アカホヤ等、特殊な火山噴出物及び花崗岩風化土、その他特に侵蝕を受けやすい土壌でおおわれているために年々災害が累増いたし、かつそれらの土性が農用地としてきわめて低生産性なる地域に対し、適切なる災害防除及び農地改良対策を樹立実施することにより同地帶の振興をはかり、あわせて狹小なる国土の利用及びその保全に寄與せんとする点が本法案の要旨であります。
本法案は、三月十四日、本委員会に付託されたのでありますが、その質疑応答の詳細は速記録に讓ることといたし、次にその要点のみを申し上げることといたします。
第一に、目下成案を得つつある国土総合開発法の一部を改正する法律案と切り離して本法案を提出せねばならぬ理由いかんとの質問に対しましては、国土総合開発法中に規定せる特定地域の中に、本法案でいう特殊土壌地帶もその一部は含まれますが、大部分の地帶は特定地域外にわたるものであつて、本法案の制定により、より強力に同地帶に対する災害防除及び振興に関する措置を樹立実施し、民生の安定、国土の保全をはかりたいとの答弁でありました。
第二には、本法案第九條においては、漠然と本事業計画を実施するために必要な経費を毎年度予算に計上しなければならぬことを規定してあるのみであるが、本予算は具体的にはいかに計上されるかとの質問に対しましては、本事業計画実施のための予算は、第九條にも明記されてあるごとく、国の予算の許す範囲内において計上されるものであつて、決して強制的な性質のものではない、しかして本事業計画は、その性質上、道路、河川、砂防あるいは農地改良等、相当広範囲にわたるものであり、従つてその予算はおのおの建設、農林両省の予算に計上されるものと思われるとの答弁でございました。
かくして、二十六日、討論を省略して採決に入り、全会一致をもつて原案通り可決いたした次第であります。
以上、きわめて簡單に御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/16
-
017・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/17
-
018・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/18
-
019・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 日程第三、住民登録法施行法案、日程第四、工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長佐瀬昌三君
〔佐瀬昌三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/19
-
020・佐瀬昌三
○佐瀬昌三君 ただいま議題となりました住民登録法施行法案並びに工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案につきまして、おのおの提案の要旨及び法務委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
まず住民登録法施行法案について申し上げます。
第十国会において制定されました住民登録法は、おそくも本年七月一日までには施行さるることとなつておりますが、最初になされる登録に関しましては、何ら規定が設けられてないのであります。御承知のように、住民登録法の施行に当つては、最初の登録がこの制度の基盤となるものでありまして、その成果いかんは、その後における運用を左右するものと申しても過言ではないのであります。これがため、当法務委員会におきましては、すでに昨年九月、住民登録法実施に関する基本方針として、住民に一齊届出をさせ、登録事項につき一齊調査をなした上、住民票を作成すべきことを決議いたしたのであります。本案は、この基本方針にのつとるとともに、その的確な実施に必要な手続上の規定を内容といたしたものであります。
さて当委員会におきましては、本案施行に伴う経費の点について、もつぱら質疑が集中されたのであります。提案者側の説明並びに答弁によりますと、国勢調査と同様の方式をもつて一齊調査を行うために、二十七年度予算において三億六千万円が計上され、なおまた市町村に対しましては、別に平衡交付金のうちより十億円余りの支出が予定されておりますので、何ら支障がないことがはつきりいたしたのであります。
かくて、質疑終了の上、日本共産党より反対討論があり、採決の結果、多数をもつて原案通り可決した次第であります。
次に、工場抵当法及び鉱業抵当法の一部を改正する法律案について申し上げます。
御承知のように、現行法は明治三十八年に制定され、爾来見るべき改正がほとんど行われずに今日に至つたのであります。従つて企業金融に関する担保制度といたしましては、はなはだ実情にそぐわない点が存するのであります。よつて、財団抵当による金融の便宜を増進させるため、本改正案が提出された次第であります。
改正点のおもなるものは、財団の存続期間を一箇月間延長いたしまして三箇月としたこと及び一定の要件のもとに財団の分割合併等を認めたことであります。なお鉱業抵当法におきましても、鉱業財団の構成物件に工業所有権を加えること及び財団に属している採掘権に租鉱権を設定することを認めることの二点が改正されたのであります。
さて、本案に対する当法務委員会における質疑の詳細につきましては、これを速記録に讓りたいと存じますが、今回の改正は、経済界の実情に照し、必要最小限度のものであつて、その改正の時期も、むしろおそきに失するものと認めまして、討論を省略し、採決の結果、多数をもつて政府原案通り可決した次第であります。
以上、簡單でありますが、御報告申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/20
-
021・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。加藤充君。
〔加藤充君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/21
-
022・加藤充
○加藤充君 日本共産党は、住民登録法施行法案に対しまして、戦争を憎み、平和を愛する国民とともに絶対反対するばかりでなく、どうしてもこれを粉碎せねばならないという考えを持つものであります。住民登録法は、現行の寄留制度と世帶台帳とを統合して、その欠陷を補足し、徴税、選挙、教育、生活保護、統計、住民の居住関係その他各種行政事務の適正確実な処理を目的にしておる。調査員は、申告が事実に反すると思えば、いくらでも質問を続け、文書その他の提出を命ずることができまするし、これに従わない者は五万円以下の罰金が課せられることになつているのであります。そうして、法務総裁はこの調査に対する勧告助言ができるし、国はまた国で地方行政機関に対し、また都道府県の知事は市町村に対して住民票の記載事項に関する報告を提出させる仕組みになつておるのであります。
わが党は、この法律が人権蹂躙であり、憲法違反であり、日本の植民地化と日本人の隷属化を促進するものである、国民監視のスパイ法であり、日本人の首に番号札をつけさせ、徴用、徴兵するための屈辱的戰争法であることを指摘いたしまして、住民登録法が提案されて以来強く反対して参つたのであります。諸君、その後約半箇年間の事態の発展は、まさしくわが党のこの指摘が正しかつたことを証明しております。
昨年九月、サンフランシスコ條約調印、本年二月、日米行政協定の調印、三月の、米国のこの條約の批准、昨年一月以来、ダレス氏の来日は、実はこの既定コースの展開と結実のための心のでありました。そしてこれと並行し、そのためにこそ昨年の六月に、本年七月一日までに施行されるものとしての住民登録法が押し通されたのであります。米国は、日本国が直接及び間接の侵略に対して、自国の防衛のためにみずから責任を負うことを期待するという、あの安保條約の前文は、明らかに日本に対する再軍備の要求であります。いわゆる間接侵略に対する警察予備隊は、米国軍人の指揮のもとに、外国軍隊と交戰する義務を背負い込まされたものである。このことは、特に行政協定二十四條に明確に規定されているところであります。そして、諸君、その警察予備隊は、いよいよ十八万の防衛隊として、公然おどり出さなければならなくなつているのが今日の状態であります。また米国は、その駐留軍のための物資、需品、備品、役務及び労務の調達に関する無制限の権利、権力、権能を掌握いたしました。
諸君、わが国の経済的総力はあげて米国の下請軍事工場化され、わが国の国民はあげて米国の戦争のため徴用され、徴兵されねばならないことは、今日あまりにも明らか過ぎる事実ではありますまいか。サンフランシスコ條約や日米行政協定は、わが民族の歴史に一大汚点を残しました。これに反発して低賃金、低米価反対、戰争に使う税金反対、売国吉田内閣打倒と、独立と平和を確立するための、売国奴を除く民族解放民主連合政府の樹立など、各種各様の国民的愛国運動の起きることは、今や必然の情勢である。これに対して、吉田政府は、特別保安法の制定、労働関係法の改悪、特高警察の復活などを策し、恥知らずにも———————————————を企てております。全面的、強制的、刑罰を背景とした戸口調査を敢行する住民登録法とその実施法が、いかなる意図を持つているかは明らかではありませんか。
最後に、地方自治体は、現在国家の委任事務のために、その事務量の七割以上を押しつけられ、地方行政事務並びに地方財政はまつたく麻痺、崩壊の状態となつております。この施行によつて、七月一日から三日間に約四十万人の調査員を動員し、三億六千万円の臨時費を使つて、第一回の調査をやろうとしております。また、年間約三十億の経常費がこのためにかかるのである。これは地方平衡交付金の操作によつてまかなわれる。かくて他の地方行政事務及び地方財政が、この過大な調査登録のために食い込まれることは必然であります。
われわれは、地方の行政機関を戰争行政の下請機関になりおわせ、本来の自治行政を放棄させ、押しつぶす本法案に断固反対しなければならないものであります。反対するばかりでなく、断固この徴兵と徴用と国家総動員の基礎になる本法案の施行をどうしても粉碎しなければならないと考えているものであります。
以上が、わが党が本法案に反対する理由の大略であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/22
-
023・岩本信行
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
まず日程第三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/23
-
024・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に日程第四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/24
-
025・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/25
-
026・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/26
-
027・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/27
-
028・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事今泉貞雄君。
〔今泉貞雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/28
-
029・今泉貞雄
○今泉貞雄君 ただいま議題となりました日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案の、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案の要旨を簡單に申し上げますと、日本製鉄株式会社法廃止法の附則第五項ないし第七項に規定されている期限を、いま一年延長するということであります。旧日本製鉄株式会社法の規定によりますと、日本製鉄株式会社は、いわゆる一般担保制度の適用により、社債の発行にあたつて、工場抵当法による工場財団を組成する必要がなかつたのであります。しかるがゆえに、同社の資産について、従来財団組成に必要な措置が講ぜられていなかつたため、日本製鉄株式会社法廃止法の制定にあたり、特に附則第五項ないし第七項を設けて、日本製鉄株式会社の第二会社たる八幡製鉄株式会社及び富士製鉄株式会社の二社に対して、二年間を限つて財団組成のため猶予期間を認め、一般担保による社債の発行を認めるとともに、見返り資金等の担保についても特例を設けたのであります。しかしながら、官営八幡製鉄所以来の長い歴史と厖大なる資産を有するため、財団組成の手続は予想以上の日時を要したのみならず、同法制定当時と比べて客観情勢は一変し、わが国鉄鋼業の合理化は内外より強く要請されて参りましたので、これら二社の設備資金需要額も、日鉄法廃止法制定当時と比べて著しく増大したため、組成を必要とする財団もおのずから大となつたのであります。以上の理由により、二箇年間の期限である本年八月四日までに所要の財団組成の完了がきわめて困難となりましたので、さらに一年を限つて延長しようというのであります。
本法律案は、二月二十一日通商産業委員会に付託され、同月二十九日、政府より提案理由の説明を聽取いたしました。本案に関する質疑は、三月十一日と十三日の両日にわたり、きわめて熱心に行われましたが、その詳細については会議録を御参照願います。なお、その間、工業に関する小委員会において、本法律案に関し二社の代表を参考人として意見を聽取いたしまして愼重に審議を行いました。
三月二十四日、今泉貞雄外十四名の提案者により、本案に対する修正案が提出されましたので、三月二十七日、通商産業委員会において修正案の提案理由を、提案者を代表して今泉貞雄より聽取いたしました。
修正案の要旨を簡単に申し上げますと、日本製鉄株式会社法廃止法の附則第五項ないし第七項の期限を、二箇年に限り、さらに延長を認めようとするものであります。八幡製鉄株式会社及び富士製鉄株式会社の財団組成手続が予想以上に煩瑣であり、多くの日時を要しておりまして、その進捗状況がはなはだしく遅れておるのであります。現在この二社が合理化のために必要とする資金需要額は非常に厖大な額に上つており、かつ現在のごとく内外の経済状況の変化がはなはだしい際においては、一年間の延長では若干の不安があると思われるのであります。しかして、この期限の延長が一般債権者等を侵害するおそれもありませんので、一般担保に関する猶予期間を、原案のごとく、それぞれ一年延長するよりは、それぞれ二年間延長する方が適当であるというのがその理由であります。
修正案の説明聽取後、討論を省略して、本法律案に対する修正案及び修正部分を除いた原案を一括議題として採決の結果、多数をもつて修正議決すべきものと決した次第であります。右御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/29
-
030・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/30
-
031・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/31
-
032・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/32
-
033・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/33
-
034・岩本信行
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長松本一郎君。
〔副議長退席、議長着席〕
〔松本一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/34
-
035・松本一郎
○松本一郎君 ただいま議題となりました連合国軍人等住宅公社法を廃止する法律案について、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本案の要旨を申し上げます。連合国軍人等住宅公社法は、昭和二十五年一月に、総司令部覚書に基いて、米国対日援助見返り資金よりの借入金をもつて連合国軍人等のための住宅を建設して、これを賃貸することを目的として設置されました法人であります。しかして当初は、連合国軍人等より直接徴收していた賃貸料をもつて見返り資金の返済に充当していましたが、昭和二十六年五月、総司令部覚書により住宅は接收され、それ以後、賃貸料は終戰処理費より支出することとなりまして、公社は単なる中間機関となり、その存在理由がなくなつたので、事務の簡素化、経費の節減等の見地より、今回これを廃止せんとするものであります。
本案は、三月二十二日、本委員会に付託されて以来、愼重に審議いたしました。詳細は速記録に讓ることといたします。
次いで討論に入り、自由党を代表して瀬戸山委員より、改進党を代表して村瀬委員より、それぞれ本案に賛成の意見がありました。但し、昨年五月、連合軍総司令部の覚書により住宅が接收されて以来、当初の法律の存在意義とその目的とは失われたのであるから、すみやかに本法の改廃を国会に諮るべきものであつた、それが現在まで放置されたことは、はなはだ遺憾である、という意見の開陳がありました。さらに、日本共産党を代表して本案に反対する旨の討論がありましたが、採決の結果、多数をもつて本案は可決すべきものと決定せられました。
簡單でありますが、以上御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/35
-
036・林讓治
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/36
-
037・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/37
-
038・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、坂本實君外二十三名提出、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、平野三郎君外二十三名提出、森林法等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/38
-
039・林讓治
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/39
-
040・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、右両案を一業して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林委員会理事平野三郎君。
〔平野三郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/40
-
041・平野三郎
○平野三郎君 ただいま議題となりました、坂本實君外二十三名提出、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案並びに平野三郎外二十三名提出、森林法等の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会におきまする審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。
農林漁業施設の災害復旧につきましては、現行の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律によりまして、政府は復旧事業者に対し、農地及び一般林道については事業費の五割を、また農業用施設、奥地幹線林道及び水産協同組合の維持管理する漁港施設については六割五分を国庫補助いたしまして、これが復旧に努めて来たのであります。しかしながら、この現行法におきましては、被害の軽重大小を問わず、一様に同率の補助をいたしておりますので、地域的に激甚な被害をこうむつた地方の農林漁業者の負担は非常に過重となりまして、ために復旧が困難となり、生産力の回復向上並びに農林漁業者の経済安定上にも多大の支障を與えているのであります。この実情にかんがみまして、農林漁業者が災害復旧のために負担し得る経済能力を越えた激甚な災害をこうむつた場合には、その限界を越えた部分に対しては高率の補助金を交付して復旧を促進するようにいたそうとするのが、本改正法案提出の理由であります。
本法案は、去る三月十九日本農林委員会に付託となり、翌二十日、提案者を代表して坂本實君から提案理由の説明を聽取いたしました。
次いで、昨二十六日質疑を行いましたるところ、自由党から千賀委員と私、社会党井上委員の各委員から、独立を目睫に控えたわが国は、食糧増産が最緊急事であるので、これに対し国庫補助を強化する必要がある、また農家経営の実体から見て、政令に規定すべき高率補助適用の基準は五万円程度とすべきであるとの強い要望がございました。なお詳細は速記録に讓りたいと思います。
質疑を終りましたので、本日討論を省略、採決いたしましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。
次に、森林法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、去る第十国会で制定されました森林法並びに国有林野法につきまして、今般の土地收用法の全文改正に伴い、この両法律中に準用いたしております関係規定を整備いたしまするとともに、森林法につきましては、実施後の状況にかんがみまして、円滑な運用を期するため、およそ左の四点につき改正いたそうとするものであります。
第一点は、森林区実施計画に基く伐採の許可の申請は年一回となつておりますが、伐採立木材積が森林区実施計画に定められた許容限度に達しない場合に限り、許容限度の範囲内で、都道府県知事は新たに伐採の許可ができることといたしたこと。
第二点は、森林区実施計画の編成準備に時間の余裕を十分に與えまして、その精度の向上を期するため、森林区実施計画案の公表の期日を一箇月、また森林区実施計画の決定の期日を二十五日それぞれ繰下げることといたしましたこと。
第三点は、保安林に関しましては、立木の損傷につきましても都道府県知事の許可を要することといたしたこと。
第四点は、市町村長が国有林野またはそれに近接する土地について火入れを許可する場合は営林署長の承認で足りることとしたこと並びに出資森林組合及び出資森林組合連合会の指導監督のため年一回の定例検査を行うことといたしましたことでございます。
本法案は、三月二十四日、本農林委員会に付託と相なり、翌二十五日、提案者を代表して私から提案理由の説明をいたしました。
次いで、昨二十六日質疑を行いましたるところ、改進党小林委員、社会党井上委員、共産党竹村委員から、国有林拂下げ並びに部分林及び共用林野の設定等に関連いたし簡單な御発言がございましたが、詳細は速記録についてごらんを願いたいと存じます。
本日討論を省略、採決いたしましたるところ、これまた全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。
以上をもつて御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/41
-
042・林讓治
○議長(林讓治君) まず農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/42
-
043・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に森林法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/43
-
044・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/44
-
045・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、資産再評価法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案、佐藤重遠君外十七名提出、信用金庫法の一部を改正する法律案、右五案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんごとを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/45
-
046・林讓治
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/46
-
047・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
租税特別措置法の一部を改正する法律案、資産再評価法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案、信用金庫法の一部を改正する法律案、右五案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事小山長規君。
〔小山長規君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/47
-
048・小山長規
○小山長規君 ただいま議題となりました租税特別措置法等の一部を改正する法律案外四法律案につきまして、大蔵委員会の経過と結果について御報告申し上げます。
まず第一に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案は、租税特別措置法、酒税法及び国税徴收法の各一部を改正しようとするものでありまして、その内容は、本年一月一日から五年間に新築された住宅であつて、賃貸または従業員の用に供するものについては減価償却を増加し及び四月一日以後取得した新築住宅については登録税を軽減することであります。第二には、住宅を買いかえたり、自作農地の買いかえをした場合には讓渡所得税を減免することであります。第三は、資産を公益法人に対し贈與した場合及び相続税の納入のため物納をした場合には、物納財産については譲渡所得税を課さないものとし、再評価税だけにとどめようというのであります。第四は、日本経済再建のために重要な工業所有権等に対しては、源泉徴收の所得税を一〇%に軽減し、またこの源泉徴收の期日を明年一月まで延期するのであります。第五には、賠償指定施設が解除された後、評価増のため法人に利益が生じたときは法人税の納期限を延期する特例を認めることであります。第六は、航空機用揮発油に対しては揮発油税を免除することであります。第七は、酒税について、臨時物資需給調整法が廃止された後においても、従来通り配給酒類について酒税の加算税を免除することであります。第八は、国税徴收を猶予した場合の利子税の免除をなし得る範囲を拡張すること等であります。
第二に、資産再評価法の一部を改正する法律案におきましては、再評価税の負担の軽減合理化と課税の簡素化をはかるため、まず相続の開始があつた場合には、従来資産の再評価があつたものとみなし再評価税を課し、さらに讓渡所得税を課し、その上さらに相続税を課していたのでありますが、今回これを改め、讓渡所得税を課さないのみならず、再評価税をも課さないこととしたことであります。資産の讓渡、贈與があつた場合の再評価税は、再評価差額から十万円を控除して課税することといたすのであります。また賠償指定施設について、指定の解除があつた際の減価償却について特例を設けるとともに、再評価を行つた場合の再評価税については納期限を延長しようというのであります。
第三に、通行税法の一部を改正する法律案におきましては、鉄道の特別二等の料金に対して新たに通行税を課するとともに、日本国有鉄道の徴收する通行税の納付方法についで特例を認めようというのであります。
第四に、災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案におきましては、災害があつた場合に所得税の減免をなし得る範囲を所得八十万円までに拡張することとし、また年の中途で災害があつた場合には、すでに納付した所得税を還付し、または予定納税額の変更をなし得ることにするなど、災害減免制度の合理化をはかろうとするものであります。
以上、税制四法律案の内容の概略を申し上げましたが、これらの法案の審議にあたりまして、大蔵委員会は、三月十五日、まず政府当局より提案理由の説明を聽取し、爾来本日まで数回にわたり熱心に質疑を行いました。その質疑応答の内容につきましては速記録に讓りたいと存じます。
かくて、本日質疑を打切り、ただちに討論を省略して採決に入りましたが、まず資産再評価法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律の一部を改正する法律案の三法案につきましては、起立総員をもつて原案通り可決され、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきましても、起立多数をもつて原案の通り可決いたされました。
最後に、信用金庫法の一部を一改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、佐藤重遠君外十七名の提出にかかるものでありまして、中小企業金融の重要性に鑑みまして、中小企業者のための金融機関として最近目ざましい発展を示しております信用金庫の活動を一層促進し、中小企業金融の円滑化をはかるために、今回信用金庫法の一部を改正いたそうとするものであります。すなわち、改正の第一点は、事業者たる会員の資格につきまして、常時使用する従業員の数を現在の百人より三百人に拡大いたしまして、中小企業金融難の解決に費することといたそうとするものであります。次に改正の第二点は、会員のためにする有価証券の拂込金の受入れ等の業務を新たに加えて会員の便宜をはかるとともに、金融機関として、活動の万全を期せしめようとするものであります。最後に改正の第三点は、大蔵大臣の認可を條件として員外貸出を認めまして、特に市町村当局への貸出、コール・ローン等への放出ができる道を開き、運用の妙味を発揮いたさせようとするものであります。
この法律案は、三月二十四日、本委員会に付託され、昨二十六日、提出者佐久間徹君より提案理由の説明を聽取いたし、本二十七日、質疑及び討論を省略いたしまして、ただちに採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/48
-
049・林讓治
○議長(林讓治君) まず租税特別措置法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/49
-
050・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に資産再評価法の一部を改正する法律案外三案を一括して採決いたします。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/50
-
051・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/51
-
052・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律案、捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/52
-
053・林讓治
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/53
-
054・林讓治
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律案、捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長岡村利右衞門君。
〔岡村利右衞門君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/54
-
055・岡村利右衞門
○岡村利右衞門君 ただいま議題となりました捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法案の趣旨を簡單に御説明いたします。戦時において、交戰国が敵船、敵貨及び中立国の一定の船舶並びに戰時禁制品を、その国の捕獲審検所の検定をもつて捕獲し得ることは、戰時国際法上認められておりまして、わが国においても、太平洋戦争中、旧捕獲審検令に基き捕獲審検所が設けられ、国内法である海戰法規により、これらの検定を行つたのでありますが、今般の日本国との平和條約第十七條(a)によりますと、わが国が行いましたこれらの検定について、いずれかの連合国から再審査の要請があつた場合は、これを再審査し、その結果国際法に違反するものと認められたときは、これを修正し、捕獲された物件の所有権を旧所有者である連合国人に回復すべきことが明らかになつたときは、平和條約第十五條に従い、返還すべきものは返還し、補償すべきものは補償しなければならないことに定められております。従つて、これら再審査の要求に対応する受入れ態勢を整備する必要から、所要事項について立法措置を講じようとするのが、この法案の目的とするところであります。
次に、本法案の内容のおもなる点を申し上げます。まず第一点は、検定の再審査を行う機関として、関係行政機関の職員及び学識経験者のうちから内閣総理大臣が任命する委員長及び委員をもつて組織される捕獲審検再審査委員会を運輸省の外局として設けることであります。第二点は、捕獲審検再審査委員会は、日本政府が連合国からの再審査の要請を受けたときは、遅滞なく国際法に従つて検定の再審査を行わなければならぬことであります。第三点は、再審査の要請は、事件の性質上、比較的短期間に出盡すものと予想されますので、この法律の有効期限を一応三箇年といたしたのであります。
本法案は、去る三月五日、予備審査のため本委員会に付託され、三月十五日、政府より提案理由の説明を聽取し、三月二十七日、本付託され、質疑に入り、政府委員と委員との間に熱心な質疑応答がとりかわされましたが、その内容は会議録に讓ることといたします。
次に、討論を省略し、ただちに採決したところ、起立多数をもつて政府原案通り可決いたしました。
次に海外からの日本国民の集団的引揚輸送のためにする航海命令に関する法律案ついて、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法案の趣旨並びに内容を御説明いたします。従来、海外からの帰還輸送は商船管理委員会が行つて参りましたが、同委員会は本年三月末日に解散の予定でありまして、今後帰還輸送に一般の船舶運航事業者の協力にまたねばなりません。よつて、政府は、大阪商船株式会社と契約を結び、同社の高砂丸を待機せしめて航海に当らせる方針でありますが、引揚者の数あるいはその他の事情により、船舶に不足を生ずることもあり得ないことではなく、この場合さらに船舶を求めなければならないのであります。しかしながら、このような事態に際しまして、通常の契約では所要の船舶を調達できないような場合も、万一の場合として予想されますので、かかる場合に備えて運輸大臣が船舶運航事業者に対し、強制命令をもつて必要な船舶を就航せしめるようにいたまして、帰還輸送の万全を期そうとするのが、この法案の目的であります。なおこの強制命令に対しましては完全補償を行い、船舶運航事業がいささかも経済的損失をこうむらないように規定されております。
本法案は、三月二十六日、本委員会に付託され、翌二十七日、政府より提案理由の説明を聽取し、質疑に入り、政府委員と委員との間に熱心なる質疑応答がとりかわされましたが、内容は会議録に讓ることにいたします。
次に、討論を省略し、ただちに採決の結果、本案は政府原案通り起立多数をもつて可決いたしました次第であります。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/55
-
056・林讓治
○議長(林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。江崎一治君。
〔江崎一治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/56
-
057・江崎一治
○江崎一治君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま上程されました、海外からの日本国民の集団的引揚輸送のための航海命令に関する法律案に対しまして、本案の真のねらいがどこにあるかということを明確にして反対するものであります。
だれでも、日本人である以上、一日千秋の思いで祖国に帰ることを待つておる罪のない人々に対して、その足を奪い去るようなことはできるものではありません。われわれの言いたいことは、羊頭を掲げて狗肉を売るという言葉がありますが、この法案はまさにその代表的な内容を持つておるものであります。
さきに、海外邦人引揚げのために商船管理委員会ができました。この管理委員会は、アメリカからLST船約四十隻を借り受けまして、その業務に当つておつたのであります。この商船管理委員会が、昭和二十五年六月に朝鮮戰争が勃発して以来、もともとやるべき邦人引揚げというものはそつちのけで、これを朝鮮水域の、しかも軍事行動に参加させたのであります。そのために、多数の日本人が死亡したのであります。しかも政府は、これを隠蔽するために、その人々の葬式さえも命令によつて禁止した事実があるのであります。今回、商船管理委員会を三月末日で解散するために、その代行機関の準備のためと称しまして、運輸大臣に、その命令によりまして、日本全船舶所有者から、必要に応じその船舶を強制的に接收する権能を與える法案を出したのであります。すなわち、この法案というものは、邦人の引揚げという美名のもとに隠れて——————————————————に参画し、結局行政協定の内容の運輸団として、はつきりここに形を現わしたものであるのであります。
すなわち、この法案は、一大軍事輸送団を形成するための法案でありまして、われわれ共産党といたしましては、この戰争のために、仮面をかぶつて、国民の目をあざむいて提案された、かかる法案に対しましては、断固として反対するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/57
-
058・林讓治
○議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。
両案を一括しで採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/58
-
059・林讓治
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
明二十八日は定刻より特に本会議を開きます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101305254X02519520327/59
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。