1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月十一日(火曜日)
午後一時三十一分開会
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委員の異動
三月六日委員小泉秀吉君及び鈴木清一
君辞任につき、その補欠として曾祢益
君及び水橋藤作君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 山縣 勝見君
理事
岡田 信次君
委員
仁田 竹一君
一松 政二君
高木 政夫君
小酒井義男君
前之園喜一郎君
深川榮左エ門君
国務大臣
運 輸 大 臣 村上 義一君
政府委員
運輸省海運局長 岡田 修一君
運輸省海運局海
運調整部長 國安 誠一君
運輸省港湾局長 黒田 靜夫君
海上保安庁警備
救難部長 松野 清秀君
航空庁長官 大庭 哲夫君
事務局側
常任委員会專門
員 岡本 忠雄君
常任委員会專門
員 古谷 善亮君
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本日の会議に付した事件
○捕獲審検所の検定の再審査に関する
法律案(内閣提出)
○請願及び陳情に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/0
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001・岡田信次
○理事(岡田信次君) それでは只今より委員会を開会いたします。
捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案を議題といたします。先ず本法案に対する政府の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/1
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002・村上義一
○国務大臣(村上義一君) 捕獲審検所の検定の再審査に関する法律案の提案理由につきまして一通りお聞き取りを願いたいと思います。
戰時におきまして交戰国が交戰権に基いて敵船敵貨及び中立国の一定の船舶並びに戰時禁制品をその国の捕獲審検所の検定を以て捕獲し得ることは、瞬時国際法上一般に認められている、ところでありまして、我が国におきましても太平洋戰爭中旧捕獲審検所が設置せられ、国内法たる海戰法規に従つてこれらの検定を行なつたのでありまするが、今般の平和条約第十七条によりますと、我が国が戰事中行いましたこれらの検定につきまして、いずれかの連合国から再審査の要請がありました場合には、これを再審査いたしまして、その結果検定が国際法に違反すると認められるときはこれを修正し、検定を以て捕獲された物件の所有権を旧所有者たる連合国人に回復すべきことが明らかになつたときは、平和条約第十五条に従いまして、返還すべきものは返還し、補償すべきものは補償しなければならないことになつているのであります。そこで検定の再審査の要求に対する受入態勢を整備することは、平和条約を誠実に履行する我が国の意思を明らかにするために必要なことと考えられるのでありまするが、これがためには立法措置が必要となつて来るのであります。これがこの法律案を提案した理由であります。
〔理事岡田信次君退席、委員長着席〕
次にこの法律案の内容の概略を申上げたいと思うのでありますが、先ずこの法律案全体の構成について申上げますと、この法律案は、連合国の要求があつた場合における旧捕獲審検所の検定の再審査に関する事項についてのみを規定いたしまして、再審査の結果、返還或いは補償すべきこととなつた場合の措置につきましては、この法律に規定せずに連合国財産の返還等に関する政令又は連合国財産補償法によることといたした次第であります。
次に検定の再審査のために、この法律におきましては関係行政機関の職員及び学識経験者の中から内閣総理大臣の任命する委員長及び六人の委員を以て組織される捕獲審検再審査委員会を昭和二十六年十月十一日の閣議了解の線に沿いまして運輸省の外局として設置することといたしたのであります。
第三に、この法律におきましては、この委員会は、日本政府が連合国からの再審査要請を受理したときは遅滯なく検定の再審査を開始しなければならないものといたしまして、この再審査は国際法に従つて行わなければならないものと規定いたしているのであります。
第四に、この法律案におきましては、この審理の結果検定が国際法に違反すると認めるときは検定を取消し、然らざるときはこれを容認しなければならないものといたしますと共に、検定を取消したときは、検定によつて国の所有となりました物件の所有権は、捕獲当時の所有者たる連合国人に回復されることといたしているものであります。
所有権の回復がありました物件の返還又は補償につきましては、前に述べた通りであります。
最後に捕獲審検の再審査の義務について、平和条約におきましては期限がございませんが、事柄の性質上、平和条約の効力発生後、比較的短期間の間に連合国の要請が出盡すものと予想せられますので、この法律の期限を一応三年といたしたのであります。
以上がこの法律案の概略であります。何とぞ愼重御審議の上、成るべく速かに御可決下さいまするようお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/2
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003・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 引続いて本件に関することの要綱につきまして政府から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/3
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004・國安誠一
○政府委員(國安誠一君) 只今大臣から提案理由が説明せられましたが、私から続きましてこの法律案の構成内容の御説明を申上げます。
先ず本法律案の順序といたしまして、内容は第一章から第四章まで規定してございまして、それに附則をつけてございます。
第一章は総則といたしまして、この法律の目的を規定しております。それから第二条にはこの法律に使つておりますところの連合国並びに連合国人と称するものの定義を規定いたしております。
第二章は、この捕獲審検所のやりました検定の再審査をするための再審査委員会を設置するための規定を書いております。第三条が委員会の設置、第四条がその委員会の組織を規定しております。更に第五条には委員の任期、第六条が委員の罷免、第七条は委員長の職務権限、更に第八条に委員会自体の独立性、「委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」という規定を入れております。それから第九条には、この委員会の議決の方法を規定してございまして、これは一般の多数決の原則に則ります。更にこの委員会に事務局を設置いたしまして、第十条にその事務局を置くことを規定いたしております。
次に第三章は、この委員会が如何にして再審査を行うかということの再審査の開始の時期、更に審査いたしますに当りましての参考人或いは鑑定人の出頭を求めることができるということを第十二条に規定しております。そういう手続を附しまして検定の再審査を行います。この委員会では、捕獲審検所で行なつたところの検定が果して国際法に合致しておつたかどうかということを判定いたしまして、国際法に合致しているという場合にはそのまま認める。国際法に違反しておつたと思われるときには前の検定を取消すことといたすことにいたしております。そうしてその決定いたしました内容は、様式を以て明らかにするために第十四条に決定書を作成して行うということを規定してございます。それからこの委員会がそういう取消しの決定をいたしました場合には、前の捕獲審検所が行なつたところの検定が取消されたその時期に遡つて旧所有者に所有権が回復するということを規定して、十六条に書いてございます。この法律によりましてはただその取消しの決定ということを行いまして、所有権が回復した場合の返還並びに補償というものにつきましては連合国財産補償法の適用によりまして返還又は補償をするという建前にいたしております。この法律では單に前の検定が果して国際法に合致しておつたかどうかということだけを判定すること、にとどめております。
次の第四章は罰則でございまして、これは先ほど十二条で書いてございました通りの参考人、或いは鑑定人についての義務違反の罰則でございます。
最後に附則といたしまして、施行期日とそれからこの委員会の存続期間、一応三年といたしてございます。これに伴いまして運輸省の設置法の改正並びに国家行政組織法の改正も同時に附則につけてございます。大体以上の構成によつてこの法律案が成り立つておるのでございます。
ここで簡單に従来捕獲審検所で行いましたところの対象の船舶或いは貨物がどのくらいあるかということも御参考までに申上げておきたいと思います。太平洋戰爭中におきまして、我が国の捕獲審検所が行いましたところの捕獲件数、これは高等捕獲審検所まで参りまして沒收いたしましたものが、各国の船を合計いたしまして千六十七隻ございます。それに積荷が大体三十八件ございまして、これが今回のこの再審査の要請の対象になるところの船舶並びに貨物でございます。このうちのどれほどが果して連合国から要求がありまして、再審査のこの委員会にかかるかということは、まだ疑問でありますけれども、一応再審査の要求をすることは各国のまあ権利でありまして、どれほど来るか、全部来るか或いはまあ半分来るか、まあ来てみなけれ々全然見当がつかないのであります。我が国といたしましては、相当の数が来ると予想いたしまして、この委員会の構成なり、まあ予算措置を考えて行きたい、こう考えております。
それから従来の捕獲審検所の構成、これは極く概略を申上げますると、これは戰爭中におきまして、この捕獲審検所が普通の捕獲審検所と高等捕獲審検所と二つございまして、普通の捕獲審検所の組織といたしましては、長官がおりまして、それに評定官が八名並びに監察官が三名置かれておりまして、で評定官という者の中には判事、海軍の将校、海軍の法務局の士官並びに書記官、更に法制局の参事官、それから外務書記生、書記官、外務事務官、外交官及び領事という者から構成されておりまして、高等捕獲審検所の構成は長官、これは枢密雇問官が当てられておりました、及び評定官十二名並びに検察官二名が置かれております。評定官には枢密雇問官が一名、海軍士官が二名、海軍省の法務局長、それから大審院の判事が三省、法制長官、外務省の条約局長、高等行政官二名、更に学識経験者一名という者を以て構成されておりました。これが当時の戰時国際法規に従いまして各国の艦を拿捕して、捕獲審検所の検定によつて沒收いたしておつたのであります。只今まだ正式にはよくわかりませんが、外務省筋はすでに一、一の国から捕獲審査の再審査の要求があるやに聞いておりますので、或いは講和が発効すれば直ちに初期のうちに相当な国から再審査の要求があるのではないかと思います。これにつきまして予算措置といたしましては、まだはつきりと件数が予定できませんので、的確なまあ予算を盛ることはできないのでありますが、取りあえず運輸省の予算といたしまして、二十七年度三百五十万八千円を計上いたしております。とにかく一応スタートしてみる、若し件数が余り多くてどうしても間に合わんときは、それは平和回復の善後処理費から適宜予備金的に支出しまして、金額の増加を図るという約束の下に一応この金額で始めたいと考えております。
この事務局の構成の人数につきましても、件数がはつきりいたしませんので、最初から多くの人間を入れておくこともどうかと思いますので、取りあえず運輸省の既定の定員から五名をさきまして、この委員会の事務局の機構を組織して始めたいと考えております。大体以上の構想で始めたいと考えております。
後ほど逐条の詳しい説明を書きましたものをお手許に差上げてございますから、これに従いまして更に御審議をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/4
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005・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 本件に関しましては本日は提案の説明のみにいたして、質疑は次回に讓りたいと考えますが、如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/5
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006・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) それではさようにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/6
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007・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 次にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く運輸省関係諸命令の措置に関する法律案でございますが、本件に関しましては只今法務委員会において原則的な点について審議中でありますので、当委員会における審議は、その原則論的審議が或る程度済んだ後にいたしたほうが順序としてよかろうと思いますが、如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼び者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/7
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008・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) それではさようにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/8
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009・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 次は請願陳情の審議でありますが、審議の便宜上、大体関連のものを一括した書類を差上げてありますから、これによつて審議を進めます。それじやこれは例によつて速記をやめてやることにいたしたいと思いますので、一応本日はこの程度で散会いたします。
午後一時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X00919520311/9
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