1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十二日(木曜日)
午後二時十四分開会
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出席者は左の通り。
委員長 山縣 勝見君
理事
岡田 信次君
高田 寛君
小泉 秀吉君
委員
植竹 春彦君
仁田 竹一君
高木 正夫君
齋 武雄君
前之園喜一郎君
委員外議員 石村 幸作君
政府委員
運輸大臣官房観
光部長 間島大治郎君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 細田 吉藏君
運輸省自動車局
長 中村 豊君
事務局側
常任委員会専門
員 岡本 忠雄君
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
日本国有鉄道調
査役 佐藤 照雄君
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本日の会議に付した事件
○旅行あつ旋業法案(石村幸作君外六
名発議)
○道路交通事業抵当法案(植竹春彦君
外十三名発議)
○連合委員会開会の件
○一般運輸事情に関する調査の件
(国有鉄道の現況に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/0
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001・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) 只今より運輸委員会を開会いたします。
委員長がまだ来られませんから私委員長の代りをいたします。
先ず旅行あつ旋業法案を議題といたします。発議者石村幸作君より提案理由の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/1
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002・石村幸作
○委員外議員(石村幸作君) 只今から旅行あつ旋業法案の提案理由について御説明申上げます。
終戦以来すでに六年半を経過し、今や国民経済も着実に復興しつつあり、これに伴い外客来訪数が増加するのは勿論、邦人の国内旅行も日に多きを加えております。
このため旅行あつ旋業者の数も急激に増加し、その中には悪質業者も少くなく、各地に旅行費用の詐取、客の携帯する主食、宿泊交通費等の一部の着服等々の被害を生じ、又外客に対するあつ旋の強要、あつ旋料の不当なる要求等の好ましからぬ事件を惹起している状態であります。
これをこのまま放任しておきますときは、国内旅行の健全化を少なからず阻害するのみでなく、他方外人向の悪質旅行あつ旋業者の出現は、我が国際観光事業の将来に暗影を投じ、又国際親善、友好関係にも悪影響を与えるものと憂えざるを得ないのであります、
現に最近の調査によりますると、一般の旅行大衆はもとより、学校、交通機関、宿泊業者、それに旅行あつ旋業者さえも何らかの取締法規の制定を要望している現状であります。
これ今回本法案の国会通過を図り、悪質業者の取締りと業者の指導監督による旅行あつ旋業の健全なる育成を期せんとする理由であります。
次に、本法案の内容について申上げまするに、第一は、旅行あつ旋業者の登録であります。即ち旅行あつ旋業を営むためには、運輸大臣に申請し、登録を受けしめることとしたのであります。但し鉄道、軌道等の運輸事業、バス事業、定期航路事業等、いわゆる運輸交通業を営んでいる者が日本人のみを対象として旅行あつ旋業を営む場合には、叙上の登録を免除することとなつているのであります。これはこれらの業者が運輸事業等の免許又は特許を受ける場合には、あらかじめその資力信用が篤と調査され、十分な資格を備えた者にのみこれが与えられることとなつていることと、これらの業者が附帯的に旅行あつ旋業を営むことは運輸交通業の性質上当然と思料されるからであります。
なお、登録に当つては何等特別の傑作をつけておりませんが、ただ外国人又は外国人と日本人の双方を対象として旅行あつ旋業を営もうとする者に対しては、その者又はその使用人その他の従業者が旅行あつ旋に関して相当の経験又は能力を持つていることを條件としているのでありまして、この程度の條件を課することは止むを得ないものと存ずるのであります。
第二は営業保証金の供託であります。即ち、本法の登録を受けた者に対し、営業開始の條件としてあらかじめ営業保証金を供託せしめることといたしております。
これはすでにフランスの旅行あつ旋業法において採用しているところであり、又我が国の証券業者や信託会社も同様の供託義務が課せられております。
旅行あつ旋業者にかかる営業保証金の供託をなさしめんとする理由は、これにより当該業者の資力信用状態を見ると共に、あつ旋を受ける者に対し不測の損害を与えた場合の補償に充てるためでありまして、外国人の旅行あつ旋を行う業者は邦人の旅行あつ旋を行う業者よりも多額の保証金を供託せしめることとなつております。
第三は旅行あつ旋料の届出であります。これは、旅行あつ旋上の弊害が多くは業者が収受する料金に基因していることに鑑み、かかる弊害の発生を未然に防止するため、業者が収受するあつ旋料をあらかじめ届け出でしめ、この届け出た限度を超えて料金を収受することを禁ずると共に、届け出た料金又は料率が著しく高きに過ぎるときはその変更を命じ得ることとしたのであります。尤も右の場合届出を要するのは個々のあつ旋料ではなくて、その収受する最高料金又は最高料率であります。又、特殊な旅行あつ旋をする場合は、あらかじめ届出さえすれば、前述の限度を超えた料金を収受することも勿論できるわけであります。
第四は登録の取消でありまして、旅行あつ旋業者が登録條件に適合しなくなつたときは勿論、業務上不正な行為をしたとき、所定の期間内に営業保証金を供託し、その届出をしないで営業を開始したとき等は登録の取消、営業の停止等の処分をすることができます。但しかかる処分をしようとするときは、あらかじめ期日及び場所を通知して公開による聴聞を行い、処分の適正を期することになつております。
第五は権限の一部の委任であります。本法の主務大臣は「運輸大臣」でありますが、その権限の一部は行政庁に委任し得ることとなつております。而して、日本人を対象とする旅行あつ旋業者の登録並びにその取消及び営業の停止等を初めとするその監督取締については、おおむねこれを都道府県知事に委任する所存であります。又、運輸事業者等で本法の登録を要しない者の旅行あつ旋業に関する監督取締について海陸運局長に委任したいと存じます。
第六に訴願でありますが、処分の公正を期するため、行政庁のした処分に不服のある者には訴願の道が開かれております。
最後に本法の適用の除外でありますが、この法律は国の行う事業には適用しないことになつております。ここに「国」とは「日本国有鉄道」を指しておるわけでありますが、かかる規定を設けたのは、国有鉄道は営利を目的とする旅行あつ旋業を営むものとは認められず、本法の適用を除外しても何ら差支えないと思料されたからであります。
以上本法案の提案理由並びに法案の内容につきまして御説明申上げましたが、何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを御願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/2
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003・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) 本法案の質疑その他は次回に譲つて如何ですか、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/3
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004・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) では御異議がなければ次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/4
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005・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) 次に道路交通事業抵当法案を議題といたします。御質疑のかたは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/5
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006・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 これは当局に運営上のことを聞きたいのですけれども、もう少し研究して、次回にまとめて質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/6
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007・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) それでは専門員のほうで、本法案に対して調査をしておる事項があるはずですから、そのほうの御説明を一遍聞きましようか、如何ですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/7
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008・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) それじや古谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/8
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009・古谷善亮
○専門員(古谷善亮君) この法律案は、政府の原案を基礎といたされまして、提案議員が関係法制局と共に立案されました節、実は当専門室も関係専門業と共に列席いたしまして、最初の案に対しまする、素案に対しまする調査の結果を持ち寄つて資料も提供いたしまして、只今配付になつておりまする原案は、提案議員において検討の上いろいろ意見を入れまてでき上つたものでございまして、専門室といたしましては一応まあ整備された案として疑問の点は少いのでございますが、若干の点につきまして、この法案の調べました結果を御説明申上げたいと思うのであります。
この財団抵当制度と申しまするものは、この法案が別に初めてなわけではございませんので、すでに古くから我が国にあるのでございまして、それは明治三十八年にすでに抵当権の目的とするところの財団制度が布かれておるのでございます。それは鉄道抵当法と工場抵当法と鉱業抵当法なのでございます。この三つの財団抵当法は同じ年に同じ議会を通りましてできました法律でございまして、その後できました財団抵当の制度はこれらのものを母法といたしましてそれぞれ組み立てられておるわけでございます。そこで只今三つの古い法律の名を申上げましたが、大体これを分けますというと、二つの法律体系となるのでございまして、一つは鉄道抵当法の法系に属するものと、一つは工場抵当法の法系に属するものでございます。従いましてこの鉄道抵当法の法系に属しますものは、抵当権の目的とします事業が交通関係のために、爾来交通関係に関しまする抵当制度は鉄道抵当法を母法といたしたものになつておつたのでございます。それでこの素案ができましたときに、私ども専門室といたしましては、先ずその点に着眼いたしまして調査をいたしたのでありまするが、この法案は工場抵当法を母法といたしておるのでございまして、この点が従来の抵当、交通に関しまする抵当制度と若干趣を異にしておるのであります。
そこで仔細にこれにつきまして調査を加えました結果、まあ鉄道抵当法というものを更に掘下げてみなければならない必要を生じたのでございます。それにつきましての詳しい御説明は又機会があれば申上げることにいたしますが、鉄道抵当法を掘り下げて調べてみまするというと、鉄道抵当法は、その法律ができまする特別な事情がございましてでき上りましたものでありますからして、一般民法の抵当権の例外といたしまするところの、こういう財団抵当法の母法といたしましては、工場抵当法を母法といたしますることにつきまして別に支障がないと考えた次第なんです。但し交通事業というものの性質上、工場抵当法一本槍では参りかねる点もございまして、その点につきまして仔細に調査いたしてみましたところ、この法案はそれらにつきましてそれぞれ考慮を払つておるのでございます。そこで然らば如何なる考慮を払つておるかという点につきまして御審議の御参考に申上げまするが、この法律におきましては、交通事業の性質上一応全部所属主義をとつております。そうしてあとから附加いたしましたものにつきましても当然所属するという主義をとつておるのでございます。この全部所属主義並びに当然所属主義と申しますことは、これは鉄道抵当法がとつておりまする主義でございまして、工場抵当法とその点性質の違つたものでありまするが、工場抵当法を母法といたしましておるにかかわりませず、事業の特質上先ほど申しました全部所属主義と当然所属主義をとつておりまする点につきましては妥当と私どもは判断をいたしておる次第であります。但し全部所属主義と申しましてこの鉄道抵当法の場合におきましては非常に強い排他的な全部所属主義であるのでありまするが、これは先ほどもちよつと触れましたように、鉄道抵当法という制度ができまするときの国内事情、その他金融事情又は手続、この面におきまして特異な法律形態を持つ必要がありましたからその結果でございまして、今日の客観事情におきましては、殊にこの自動車並びに通運の部分におきましてはかかる必要を認めませんので、全部所属主義と申しましても、この他人の権利の目的となつておりまするものはこれは包含しないという仕組になつておりまするものにつきましても、私は妥当なものと判断いたした次第であります。
それから工場抵当法と違います点は、強制執行というような場合におきましても、この事業に属しまするところの免許権というものが競落代金の全部の支払いがありましたときには当然移りまして、その間事業が中絶することを避けまして、以て交通を阻害するということを防止するということに役立たせておりまする点も、交通事業の性質上最も妥当なものと存ずるのであります。只今申しました全部所属主義或いは当然所属主義及び競落の場合の免許権の移転、こういつたようなものが工場抵当の法糸と鉄道抵当の法系と逢うところでありまするが、それらをこの法律におきましては工場抵当の特例といたしまして、そのほかの点につきましては手続の面におきまして全部これを工場抵当法を延用いたしておりまするという点は、手続その他の点におきまして最も当を得たものとかように考えられる次第でございます。
細かしい各條に亘りまする点につきましてこの機会に申し添えますことは、却つて御審議の場合に煩雑ならしめて、御理解を妨げることになりはしないかと懸念いたされますので、細かい点につきましては私どもの調べましたことを申上げる必要があると考えました節には、委員会に発言を求めまして申上げることにいたしまして総論といたしましての調査の結果は以上申しましたような点でございます。
なお若干この法律を適用いたしまするに当りまして政府は如何なる方針でこの法律を運用なさるか、又この法律に掲げておりますることを政府はどう解釈されておるかという点につきましては、政府の意見を質しておく必要があると思われますが、これらの事項につきましては追つて書き物等にいたしましてお手許に差上げることにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/9
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010・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) それでは今日は特に御質問がなければこの程度にしておいてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/10
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011・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) それから法務委員会のほうから連合委員会を開いて審査をするというような御希望が出ておりますが、それは受け入れていいのでございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/11
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012・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 結構だと思いますが、ただ時期はもう少しここで掘り下げて研究したあとがよかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/12
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013・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) そうすると法務委員との連合審査は、その前にこちらで適当に審議した上で日にちを予定するということでよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/13
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014・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 そういうふうにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/14
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015・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) よろしうございますね。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/15
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016・小泉秀吉
○理事(小泉秀吉君) それではそういうことに決定いたします。ちよつと速記をとめて……。
〔速記中止〕
〔理事小泉秀吉君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/16
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017・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 速記を始めて下さい。一般運輸事業に関する調査中、国有鉄道の現況に関する件を議題といたします。国有鉄道当局より本件に関して御説明を願います。佐藤説明員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/17
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018・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) 私は国鉄の佐藤調査役であります。国鉄の現況について話せということでございました。実は先般私のほうでお手許にお配りしてあると思いますが、「国鉄の悩み」というパンフレットを作りまして、これにつきまして主として御説明申上げたいと、こう存じております。いろいろ国鉄にも悩みがございますのですが、現在一番私たちの因つておりますのは車輛とか施設とかいうものが非常に老朽の域に達しておりまして、これが国鉄経営の上におきまして又国鉄の最も大きな使命である旅客とか貨物の安全な輸送という面におきましていろいろ問題を起すものですから、この点につきまして我々一番苦心しておるところでございます。このパンフレツトには現在の非常に車輛とか施設の悪いところを載せております。併しここで特にお断わりしておかなければならないことは、これで国鉄の仕事を擲つておるのではございませんでして、できるだけ努力いたしまして事故が起らないようにいたしているわけであります。併しこういうものがとにかく国鉄の全体の固定資産の全額が一兆七千億という尨大な資産でございまして、これが例えば三十年とか五十年の寿命しかないといたしますと、年々莫大な償却をやつて行かなければならない。その償却が足りませんとだんだんこれは溜りまして、いざ、どうにもしようがないというときになりますと、どうにもこうにも打つ手がなくなるというのが一つの問題でございます。それともう一つは、こういう古いものを使つておりますと、そろばん上非常によくないということが考えられるのでございます。この点につきまして国会の先生方の又御理解を得まして何とかこの苦境を打開して行きたいというふうに考えておる次第でございます。お手許にございますこのパンフレツトの開けてすぐの所でございますが、今まで工事経費がどのくらい使われているかという額を現わしたのがこのグラフでございます。昭和八年、これは現在の物価に換算しておりますが、四百九億くらい金を使つておりましてそれがだんだん型参りまて十九年には九百四十九億というような厖大な金額に達しております。それが二十年までだんだん減つ参りまてそれから又二十四年、二十五年、二十六年と上つております。今年は四百十六億くらいの金になつでおります。こういうふうに金のほうは戦前に比べまして割合1に低いところもございますが、併しここに実線で示したものは輸送量を現わしました人粁でございましてそれから点線が同じく貨物輸送量を現わしましたトン粁でございます。こういうふうに輸送量というものは戦前の三倍くらいになつております。ところがこれに使つている工事経費関係のほうの金が足りないものですから十分な償却ができて行かない。そのために資材、車輌、施設が古くなつておるというのがこの表でもよくわかると存ずるのでございます。それでこれらの金は、戦争中は戦時輸送のために或いは施設、車輌拡充に使われておりました。それから終戦後というものは民生の安定とか或いは経済の復興、或いは進駐軍の輸送というものに金がたくさん使われておつた。併し終戦後金はこう使われておりますが、この時は資材が非常に不足しておりました。金があつても資材がなくて思うような仕事ができなかつた。それが二十三年頃からだんだん資材が入るようになつて参りましたが、今度は金のほうが足りくなつて来た、こういう状態でございます。なおこの黒と白との関係は、白は自己資金でございますし、黒は借入の資金を現わしております。それからその次の頁でございますが、左上は或る幹線駅の構内を現わしてある。これは仙台でございますが、これも結局金が入らずに、線路の砂利が古くなりまして、土砂が入つて参りまして線路の保守もうまく行かない、それに比べましてそのすぐ左下はよく整備された線路でございまして、これならば輸送の運転の上から申しましても安全でございますし、又枕木の持ちがいいとか、そういうようなことが考えられるわけです。線路の構造といたしましてはその右下に書いてございますように、路盤がございまして、道床なり枕木があつてレールが載つておるという形でございますが、これらのものが皆寿命がございますから、それぞれ適当な時期に換えて行かなければいけないということが考えられるわけでございます。右のほうがレールの関係を現わしておりますが、右のほうにレールの断面が出ております。隧道内における襄損軌條、これは隧道の中におきまして煤煙とか或いは電蝕、この煤煙が水気を含みまして酸ができる、そのためにレールが錆びてだんだん細つ参ります。そういうのを裏損軌條と申しております。又その下は曲線部における軌條の磨耗を現したものでありまして、軌條の曲線部が車が滑るものでございますから非常に減りが早い、この附近で一番減りの早いのはお茶の水の駅へ入る所でございまして、四月しかもたない。あの五十キロの太い軌條が四月しかもたないというような現状でございます。その下は同じく三十七キロ軌條のやはり頭部が、これは片側が減りましたのを又片側を振替えて使うものですからこういうような形になつて、これでもまだ使つておるという状態でございます。それから直線部における軌條は頭が上がどんどん減つて参ります。それからこれは、こういうのはしよつちゆうはないのでございますが、ひどくなるとこの右下のようにこういうふうにレールが折損する例もあるのでございます。昨年あたりも大体一日に一件くらいずつレールの折損事故がございました。殊に冬の寒い時にこれが多く現れる状態でございます。現在でも岡山の伯備線に非常に現れております。これが対策に今腐心しております。できるだけこういうものを早く発見いたしまして、手を打つことを考えておりますが、それがその次の貢に、レールに車が載つておりますが、これはレールの内部の傷を電気的に見つけ出す軌條探傷車というものでございます。これをレールの上を走らせますと、軌條の中にあります小さな嘘でございますね、割れとか罅、こういうものがグラフに書けるのでございます。その右のグラフに書いてございます。傷がございますと高い波ができる、こういう所を調査します。それからこういう車をずつと通しまして、或る程度の幅があるところを大広、又半ばを中広とか、こういうようなふうに分類しておりまして、中広以上は早くレールを取換えないといつ何どきレールの折損が起きるかもわからない、こういうことでございます。そこで昨年度も全国的に調査いたしましたところ、今申しました大広というのが一%くらいございますし、中広以上が五%強ございます。こういうふうにいたしまして軌條探傷車を走らしてレールの不良程度を見て、早くレールのへたばる状態を調べております。それともう一つは現場の線路工手とかそういう人が列車の来る前にどんどん見まして、できるだけ早く傷を見つけまして、そうして列車を安全に通す努力だけはやつております。併しなかなかこういうふうにやりましても、目で見えない傷から急に折れたりすることがございますので、こういう軌條探傷車のようなものを通しまして、早期にあらかじめ前に取換えるようにしております。今年度はここに書いてございますように軌條の敷設総量は三万三千キロメーターございます。ここに据弧に直してあると思いますが、この軌條延長、これは軌道延長、道でございます。條は道の間違いでございます。軌道延長が三万三千キロございまして、トン数にいたしますと二百三十万トンくらいございます。それで年間に経常的に取換えて行かなければならないのは約八百六十キロメーターくらいございます。年々古くなつて参りますから、それを交換して行かなければならん。例えば三十年もつとか或いは二十年もつ、そういう計算から毎年どのくらい取換えて行かなければならんかというと、八百六十キロメーター取換えて行かなければならない。これは大体六、七万トンに相当する数量でございます。それからもう一つは戦時中それから終戦後に入れ不足がございます。そこに大きな穴が明いております。それを復元するのに要する量がここに書いてあります六千四百三十キロメーターございます。この大穴を何年間に埋めるかというのが問題でございますが、これを大体五年くらいに埋めたいというふうに考えております。今年は大体十万トンレールを入れる見込が立つておりますから、この調子で行けば割合に早いとは申しませんですが、まあ我々としても何とかやつて行けるのじやないか。併し実際から申しますともう少しほしい状態でございます。それから次は枕木でございますが、枕木は現在敷設総数が四千六百万本ございまして、復元を要するものが九百四十万本、こういうふうになつております。それから年間経常的に取換えなければならないものが四百三十八万本ございます。枕木はこういうふうにこの写真にございますように、非常に腐つて参りまして、犬釘が直ぐ抜けてしまうとか、或いは折れて来る、それから割れて来てどうにも仕様がないというふうになりまして、取換えなければならないことになつて参ります。それで今年は約五百万本入れております。五百万本ではこの経常取換に、復元のほうが少し入るという状態でございまして、これももう少し殖やさなければならんという状態でございます。それからその次の頁でございます。トンネルの写真が出ております。左のほうでございますが、これはやはり砂利の入れ方が足りない、そうして下の路盤が悪くて排水が悪いために下の路盤の所から水と泥、泥土が吹き出して来る、そうしてこのために線路が狂つて来るという状態を現したところでございます。こういう所は砂利を取換えるとか、或いはコンクリートを注入いたしましてそうしていい線路にするようにしております。
それから右のほうは鉄道のトンネルでございますが、トンネルというものは左右同じような圧力を受けましたときに非常に丈夫なものでございますが、どつもか偏圧がかかりますと非常に弱い。この上の写真は偏圧によりましてクラックが来ておる状態を示したものでございます。なお隧道の中の煉瓦とかコンクリートブロックの溝が切れまして、古くなりまして、そこから水が漏る、この水も左の写真のように寒い所でございますとつららになり、更にこれが下に落ちて凍結いたしますと、線路の上に大きな石が乗つたような形になりまして、これに機関車が乗り上つて脱線するというような事故を起します。こういうものにつきましては列車の合間を見まして漏水箇所を修理しております。隧道の延長は八百十六キロメーターございますし、現在改修を要する延長が十五キロメーターございます。なお四十年以上経過しました煉瓦巻の隧道が、これは危いものでございますが、二百キロございます。
それからその次は橋梁でございます。まあ橋梁もちよつと事故を起しましたら大変なことになりますものですが、橋梁につきましてもこの左の写真は、この写真でございますが、これは橋梁のこういうふうなここの所の一番上の所、この橋梁とちよつと構造は違いますが、ここにピンがさしてあります。ここに亀裂が来た写真でございます。これは木曾川の鉄橋です。東海道線のあの例でございます。これは橋梁すべてそうでございますが、力学的に申しまして、繰返応力と申しますが、圧力がかかつたり、又引張つたり、こういう操作を百万遍繰返しますと、非常に強度が落ちてしまう。それでもう鉄道ができまして相当の年数にございますし、或る橋梁ではもう百万遍の繰返応力を受けたようなことになつて来ております。そういうような結果から、普通の所ではもつところでも、強度が非常に低下しておるという所がございます。それからその下の写真は橋桁の錆びておる状態でございます。左の一番下は橋桁の下から上を覗いたところ、枕木が上に乗つている写真でございます。そうして枕木を置いている下の鉄の部分が非常に錆びておる状態を現たものであります。その右のほうは鉄の鋲の頭も腐つて殆んど丸みが取れてしまつたという状態を現わしております。それから右のほうの写真は橋脚にひびが来ておる、これも古くなりまして弱つて参りまして、こういうふうにひびが来ておるという状態を現わしております。それからその次のこの写真でございますが、こういうふうに古くなりました桁は適当に、いろいろの方法がございますが、こういうように汽車を動かしながら橋桁を替えております。それで橋梁の総延長は六百四十キロメーターございますが、取替復元をしなければならないのは、八十五キロメーターもございます。それから中の左の写真、これはこういう山の切取りの所でございますが、風雨のたびごとに土砂が線路に落ちて来る。これに対しましてはしよつちゆう警戒をやり、或いは電線を張りまして、石でも落ちて来まして電線が切れれば危険信号が出るというようなふうな設備もしている所もございます。そういうようなことをいたしましてできるだけ防止をしております。それからその右或いはその下はいずれも地辷りの箇所でございまして、こういう所も金が十分あればどんどん直すのでございますが、金の廻らないときはやはりこういうふうな応急的の防禦工事を施しております。
それからその次は建物はどうかという点でございますが、この上の写真は、これは東京の蒲田駅の写真でございます。まだこういうふうな戦災による応急バラツク造りの駅がたくさん残つております。今年予算で大分やりますのですが、まだ二十数駅残る計算になつております。このほかにどうにもこうにも小さくなつてしようがないという駅もたくさんございます。それからその右のほうは白蟻に食われました建物でございまして、これは南九州のほうにこういうのが多うございます。それからあと下のほうは駅の跨線橋が古くなりましてやはり危険になつておる状態でございます。跨線橋は特に人が大勢乗りますから、これだけは何としても取換えて行かなければならんと思いまして、極力これの取換えは進めております。それから次は車輌関係、機関車の関係でございます。この一番下に数字が出ておりますが、五十一年から六十年という年寄りの機関車がまだ五十七輌も残つております。或いは四十一年以上五十年というのが百九十輌も残つておる。でこういうような状態でしてこの機関車につきましては、との真中の図のように、或いはタイヤの取替を六回やつているとか、或いはこの輪軸の取替を三回やつているとか、各部分は何回取替をしても殆んど満身創痍というような形になつておりますが、こういうようにしてまで使つております。それから戦時中できましたものが、戦時設計で非常に悪いものがございます。特にD五一の形式のボイラーは鎔接箇所が悪い。この右上は水圧試験によりまして破裂した釜であります。こういう危険、これが若し蒸気によつて破裂しますとえらいことになりますものですから、こういうような水圧試験によつてテストをしておりますし、又その下の線の写真でテストをするようにやつております。このX線でテストをしたのがこの写真でございましてよいのですとこういう黒く出ますが、悪い所はついた所が白く十分ついていない結果を示します。それから右のほうにありますのはこの車軸でございますが、車軸が折れまして脱線することもございます。で車軸を超音波により傷を見出すことをやつております。それから材質が悪くて歯車が欠損する場合が電気機関車、電車にあるのでございます。こういうものは多いのでございます。それからその次は木造車の場合でございます。木造車は現在国鉄では大体四千輌ございますが、そのうち二千輌はもう廃車にしてしまいます。あとの二千輌を鋼管化と申しまして木造車を鋼造車に変えております。で左の下は一番ひどい例を現わすもので、この真中の左のようなものはまるで豚小屋のような形でございます。その右の黒い所をがたがたの木製客車に当て金しましてそして保たしております。それから下の左は、こういうのがしよつちゆうあるわけではないのですが、こういうふうに座席のお尻が非常に空いてしまつておる、そういう状態を現わしております。それから右のほうは、下のほうが殆んどはらみ出しまして、くねくねくねつておるという状態でございます。こういう車を工場に入れまして、下の車を使いまして、上を鋼鉄の車に直しております。大体四百万円、五百万円かけて直しております。そして又どんどん使うようにしております。これも今年は六百五十輌やるように考えております。これは極力早く繰上げて行きたい、こう考えております。電車も又随分ひどい木造車が地方に行くとございます。でその下はタイヤが割れた例、その右が車軸の折れた例でございます。それからパンタグラフも絶縁不良になる、或いは折損して行くというような例もございます。それから六三、その右のほうがいわゆる六三型でございます。六三型は四百八十輛ぐらいございますが、これをどんどん今改造しております。例えば電気関係をもう少しよくするとか、或いは天井を鉄板張りにしてしまう、そういうふうにして変えております。それの生れ変つたのが右下の七二型の電車でございます。この六三型がこういうように変つて来るということでございます。こういうふうにして悪い事を直すようにしております。
それからその次の貢は貨車でございますが、貨車も雨漏りのする貨車がございますし、又はその下に示すように非常に側板が傷みまして、つぎはぎの補強工事をやつておるというのも相当ございます。それに又三十一年から四十年ぐらいの車も一万輌ぐらいございます。非常に古い車がたくさんございます。あれは戦時中に作りました設計が悪い、設計が悪いと申しますか、材料が悪い車が大分ございます。これらはいずれも直すようにしております。他のもう一つは、このバネの折損が非常に多かつた、このバネの折損は、これは材質関係が悪いのでございまして、随分いろいろ努力したのでございますが、なかなか終戦後はうまく行きませんでして、この事故というものは非常に多かつた。最近は減つて参りましたですが、こういうような状態でございます。
それから最後の頁でございますが、これは鉄道の電気関係の仕事でございます。一番右は架線でございますが、本当から申しますと、架線の新らしい断面はこういうふうになつておるのですが、どんどん減つてこういうふうになる。ひどくなると切れて非常に危い事故を起しやすいということでございます。それから左の鉄管のあるのは、これはポイントを動かす鉄管でございますが、これが古くなりまして断面を切つて見ますと、この写真にありますように肉が殆んどなくなつて、薄くなつて、いつ何時切れるかわからないという状態のものでございます。それからあとのこの電気関係のケーブル、こういうものが外に露出されていてどんどん傷むのが多いというようになつております。それでこのあとがきにも書いてございますように、なぜこんな状態になつたかと申しますと、第一には先ほど申しましたように、終戦前後の資材不足に原因して施設や車輌が、老朽しても取替なければいけないということがわかつていても、十分取替ができなかつたということでございます。而もこの取替えたものがこの当時は材質が悪くてすぐ悪くなつてしまう。第二にはやはり財源が足らなくてどうしても十分な取替ができなかつたということでございます。そこで今こういうふうに個々についてお話申上げましたのですが、これを概括して申しますと、大体終戦時或いは終戦後の材料不足、又は金の不足のために大きな穴が空いております。この大きな穴が真中に書いてあるように千八百六十八億あります。それと先ほど申上げましたように一兆七千億の固定資産、これが毎年古くなつて参りまするので、これを取替えて行くのに年々五百二十六億円という金がかかるのでございます。この前の大穴の千八百六十八億、五年で取替をいたしますれば、そうすると毎年三百七十三億の金がかかりまして、先ほどの五百二十六億を合せますと約九百億の金がかかります。で、こういう金をとにかくかけて行かなければ現在よりは悪くなつて行くという状態でございます。それで今年度鉄道工事経費といたしまして、結局工事経費がこういうことをやる金でございますが、それにつきまして四百十六億の金を頂いております。併しそれはこの中では電化もやらなければならんし、建設線もやらなければならん、そのほかに輸送量増強に対する、要請に対する拡充の仕事もやつて行かなければならない。ですからこのうち取替に向けられるのが、国家予算で認めたものがたしかに二百五十七億ぐらいだと思うのでありまして、ですから取替が非常に足らないということです。それで私たちといたしまして、できるだけこれらのものを守りをして行くことに努めておりますが、総体的に見ましても、何と言つても金か足りない。この点を特に御認識頂きまして、何とぞ御援助願いたいという次第でございます。
なお今私申しましたのは、こういうように国鉄の機関が非常に古くなりまして、そして運輸保安の上から、又採算の上から非常に因るということを申上げたのでございますが、更に最近におきましてはいろいろのこの自立経済確立に伴います輸送要請というものが殖えて来ております。例えば石炭の四千九百万トン生産に対する輸送をどうするか、これに対しましてもやはり輸送が偏つております。例えば北海道におきましても室蘭の輸送に集中して行く。上聞の石炭の積出設備が現在のところ三百万トン程度でございますが、それに対しまして要請が五百万トン以上かかつて来るということでございます。これに対しましては室蘭も拡充しなければならない。これだけでも総工費は三十億くらいに達します。或いは九州炭の苅田への輸送状況、それから西唐津から石炭の輸送、これを確保するために西唐津の積出設備をやらなければならん、こういう問題がございます。或いは一般の貨物輸送の増強に対しまして、北海道の岩見澤、五稜郭或いは秋田、新小岩、東京の新小岩でございますね、この東京の新小岩は、東京埠頭の光成とか、又は千葉の川崎製鉄の上あの工場の完成等に伴いまして、どうしても現在では作業ができなくなつて参ります。これらに対しましても拡充して行かなければならん。或いは果の冨山附近の操車場、こういうものもやつて行かなければならんというふうに考えております。なお電化工事もお陰でどんどんやつておりますんですが、更に一般の要望に合せるためにはもう少しこれも速度を早めなければならん。或いは名古屋附近の今取りあえず濱松から稲澤までの電化を懸命にやつておりますんですが、更にこれを例えば大垣まで延ばしまして、早く名古屋附近の電車運転も考えなければならん、そういうような事情がございます。或いは東京関係の例えば千葉とか、或いは姫路とか都市計画がどんどん進みますのですが、鉄道が金がなくて駅の整備ができないというような所もございまして、大変外部には迷惑をかけているところがございます。或いはこの近くの東京附近の通勤輸送でございますが、これに対しましても現在はもう定員の三倍以上乗つております。非常な窮窟な輸送をしております。もうこれもどうにもこうにもしようがないのでありますが、これも車輌を殖やし或いは線路を殖やしまして解決する途はあるのでございまして、これらのほうも何とかして解決して行かなければならん。或いはこの車輌につきましても最近電化と並びましてデイゼル・カーを動かせという要望も非常に強いのでございまして、こういうものも或る程度やはりやつて行かなければならんという状態にございます。これらに要する金はいずれも莫大でございますが、今の国鉄の予算におきましてはこれらがいずれも思うように行かないというのが私たちの悩みでございまして、これは国会の先生がたの御認識によりまして何とかやつて行きたいというふうに私たちは考えております。以上大変雑駁な話を申上げまして恐縮でございますが、よろしく御援助のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/18
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019・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 只今の御説明に対して御質疑がございましたら御質疑願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/19
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020・岡田信次
○岡田信次君 只今佐藤君からいろいろ詳しい国鉄の悩みについてのすべての現状についてお話があつたのですが、一応結論としては何ですか、国会においてやつて頂きたいということと思うのですが、いやしくも国鉄であるからには国鉄としてはその財源を如何にして求めるかとかいう考えがあつて然るべきだと思いますが、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/20
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021・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) 先ず国鉄といたしますと、中の経営合理化その他によりまて、経営合理化はいろいろ考えております。そうしましてこの輸送力の増強或いは車を生み出すとかそういう手は打つております。併しこれも幾らも余裕はございませんです。それからあとはまあ収入を殖やす程度でございますが、自己資金によつてやるという点でございますが、それも今の輸送力ではどうにもこうにももうそうは殖えない。多少は殖えると思いますが、そう殖えない。まあ運賃を増せばこれは又幾らか方法があるかと思いますが、これは国鉄ではどうにもできない問題だ。ですからもう殆んど国鉄としては形式的には私打つ手は殆んどないのじやないか、ありましてもそれはもう極く弱いものである。こういうふうに思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/21
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022・岡田信次
○岡田信次君 国鉄として打つ手じやなくて、国鉄としてはこういう手を国会に打つてもらいたいということを伺つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/22
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023・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) これにつきましてはこの一番後にも書いておきましたように、何とかして政府からの借入金をもう少し頂くとか、或いはこの鉄道債券の発行を認めて頂く、こういう点を是非ともやつて頂きたいと望んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/23
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024・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 何か今当局の説明を聞いていると、もう汽車は危なくて乗れんような気持がする。多少誇張されて言われた点もあると思うんですが、これを例えばどこがどういうふうに悪いのか、例えばあなたがたが一番力を入れて補修をされるのは東海道線だと思うんですが、一番線路で、或いはその他の運転上支障のあるところはどこが一番、例えば東北線或いは四国線、九州線というようなふうに分けてもう少し具体的に御説明願いたいと思うんですね。皆これを知つたら恐らく汽車に乗りませんよ。危くて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/24
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025・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) それでこれはどの線が悪いとか、これは線によつて多少いい悪いはございます。併し大体におきまして全体的にこの現象があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/25
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026・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 それは何ですか、そういうことも、あなたはどういうかたか知らないが、初めて本日お見えになつたかただと思うんですが、国鉄の幹部は知つているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/26
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027・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) それは無論知つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/27
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028・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 それならば何とか手を打たないのですか。私は初めてこういうものを見たんです。私三年もいるが、こういうものを見たのは初めてで、聞いたことがない。非常に私は怠慢で手ぬるいのじやないかと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/28
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029・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) いや先ほど申上げましたようにですね。終戦後でございましたが、重要資材が入らない。鉄材或いはセメントのごとき、それから資材が入るようになりましたのは二十三年以降だと思うんですが、この時になりますと、どうしても国鉄から要望しましたところの予算というものはもつと大きなものを出しているのでございます。だけれどもどうしてもそれが頂けないわけでございます。その中では使い方は重点的に最も危いところからまあやつているわけなんでございます。それで先ほども申しましたように、それは線によりまして或いは大型の機関車が入つたためにレールが折損が多くなつたというような所もございます。ですからそういうところは、例えば先ほど申しましたように岡山の伯備線が悪い、又そういうところには重点的にやるというふうにしているのでございます。金の総額がきまつているものでございまして、その中において順序というものを考えて重点的には仕事をやつて行く、それから車輌というものは、もう例えば貨車のようなものは全国ぐるぐる廻つているものでございますが、これを一々危いのをつかまえては直しているわけです。だけれどもなかなか今の金ではそれがなかなかついて行けないということです。それで私もこういうふうに申しますと、極めて危いのだというふうな感じを与える慮れが非常にございます。それに対しましても私申上げたのでございますが、今何とかしてこうやつて我々はできるだけ全力を挙げてこの事故を起さないように一生懸命やつているわけです。併しこういうふうに予算不足が長く続きますと、一兆何千億という厖大な資産でございますね。これの取替えをしなければならんものはどんどん溜つて行くわけでございます。溜つて行きまして、本当にどうにも手がつまりましたときに、どうにもこうにもしようがないということを、今私たちが声を大きくして今言つているわけです。それからもう一つは、こういうものは何とか今金が足りないときでございますから、それはまあできるだけ継ぎはぎの手を打ちまして、そうしてもたすようには我々しているのでございます。併し一面考えますと、そういう手というものは非常に経費がかかりまして、むしろ新しいものと替えたはうがいいということが言えるのでございますね。それで私たち今声を大きくいたしまして、こういうふうに相対的にまあ見まして、この古いものが殖えて行くことに対しまして早く手を打つて行かなければならん、こう申上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/29
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030・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 それはよくわかります。それはよくわかつておるのですが、あなたの言われるこの厖大な費用が要るわけですね。これは一体結局は行詰るわけですがね。現在でもすでにあなたの説明だと非常に危険なんだ、トンネルも壊れかけているし、橋も駄目だし、レールも駄目だし、枕木も腐つている。これをそのままにしておられるということが……、これは何をおいてもやらなければならんことですね、あなたの言われることはどの程度誇張されておるか知らないが、そのまま受入れると大変なことになる。そういうことを私どもは国鉄の総裁から一遍も聞いていない。具体的な話を聞いたことがないのですね。声を大にしておられると言われるが、私は一つも大じやないと思う。委員会でさえも知らない、具体的に。ですからこれはやはり十分に、私は国鉄内部において先す確固たる方針を立てられなければいかんのじやないか。そうしてどうしてもやらなければならんものは、これはやらなければならんのですからね。これからの交通機関というものが、あなたの言われるように非常に不十分な、危険のものであつたら、これは大変です。そういうことをもう少し国鉄内部において私はして頂きたい。そうして確固たる方針を立てて、これでなければやれないという線を打ち出して、そうして運輸委員会においても強い発言をしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/30
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031・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) 「国鉄の悩み」の今度のグラフ版でございますね。これはこの前たしか御説明を申上げたのじやないかと思うのですが、「国鉄は復興したでしようか一というプリント、これをたしか御説明しておきはせんかと思うのですが、ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/31
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032・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 いつですか、とにかく私としては、その声を大にしておるということは聞いていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/32
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033・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) たしか二月か三月前でございます。それでもまだ同じよつなことを言つているわけなんでございますね。国鉄として少しP・Rの仕方が足りないかも知れませんがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/33
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034・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 声が大であるということはやはり国民は知らない、国民が知つているような一つ大きな声でやつてもらいたいのでございまして、運輸委員も知らない、我々も運輸委員の端くれですけれども知らない。それでも非常に危険だと言われる。それだけあなたが言われるようなことを初めて聞いてびつくりしたのですね。一つ根本的な方針を立ててもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/34
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035・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) 現在こういうふうな状態でございますから、国鉄の中では何年計画で大体これをやつて行こうということで今やつているのでございます。例えば先ほどの大きな穴は五年間くらいで埋めようとか何とかいうこともやつて、そして今国鉄の予算を組んでいるのでございます。今度二十七年度の予算も実はそれはそういうふうにして出しているのでございますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/35
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036・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 だから抽象的でなくて、どこの線がどういうふうに悪いから多少は修理して行くのだ、多少は復元して行くのだ、取替えて行くのだというようなことを、もつと具体的なものを一つ納得の行くようなものを一つ示してもらいたいのですね。如何にもこういうものを見ると、全部こういうことになつているように思えるのですが、そればかりではないと思えるのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/36
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037・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) これは随分尨大な調査でございましてね。昨年も施設整備運動という運動を起しまして全国の構造物を皆根こそぎ洗つて調べたのでございます。こういうふうにしまして調査はできているのでございます。ですから具体的に示せと申されればちやんと調査資料がございます。だけれどもこれは非常に尨大なものでございましてね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/37
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038・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 いや、わかるように、極く我々が見てわかるように、非常に簡明にやつてもらいたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/38
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039・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) 只今の前之園先生のお話でございますが、佐藤調査役からいろいろ御説明上げたのですが、私のほうの村上大臣も、この点につきましては非常にまあ重大な、むしろ最大の関心を持つておるところでございまして、機会あるごとにいろいろお話がいたしてあると思うのでございますが、先生のおつしやいますように、成るほど声がまだ余り大きくない、もつと大きくする必要があろうかと考えておる次第でございます。ただ運輸省並びに国有鉄道といたしましては、これはこの頃のはやりの言葉で言いますと、P・Rの仕方が非常にむずかしい問題でございまして、今にも汽車がひつくり返る、今にもトンネルが崩れるぞという言い方でございますとね、これは一般社会に不安を与えるというような形にもなりますし、只今佐藤調査役から御説明申上げましたように、もうぎりぎり危いところを、応急の、危いところにおいてはそれぞれ手を打つておるわけでございまして、併し只今申上げましたように、これが長いことこの状況で続きますと、取返しのつかない状況が一挙に来る、こういう意味なのでございます。なお今後は御注意のございましたような点につきましては、運輸省といたしましてもできるだけ今後声も大きくいたして行きたいと思いますし、又予算の獲得等につきましても十分努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/39
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040・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 現在は金があれば資材はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/40
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041・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) 只今は金の問題だけでございまして、資材は十分入手できるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/41
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042・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 それは一つ研究して早急に危険でない程度にやつてもらいたいものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/42
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043・岡田信次
○岡田信次君 このパンフレツトを拝見しますと、全く国鉄の一番悪いところばかり挙げていて橋梁が悪い、レールが悪い、少しいいと思うのはよく整備された線路の一例、或いは生れ変る木造客車とか六三型の改造、この三点だけなのですね。いいのは……。実際危殆に瀕しているようなものをいろいろなものを挙げるのも結構ですけれども、一方やはりこういういい奴もあるので、こういうふうにすればこういう効果があるのだというものを、何か少し入れたほうがいいと思いますがね。これではどうも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/43
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044・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) これは御説の通りでございまして、これは編集上、編集技術の問題でございまして、そういう点は多分に考えられますので、できるだけ今後又私どもP・Rでやつて行かなければならんと思いますので、一つそういうふうにやつて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/44
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045・高木正夫
○高木正夫君 非常にこの保安状態がよくわかつたわけでありますが、先ほどからいろいろお話を承わつておると、国会も協力は無論しなければならんと思いますが、我々の特に感じているのは、五ヵ年計画とか或いは十ヵ年計画でもいいのですが、もつとはつきりした、今前之園先生の言われたような計画を十分に樹立されて、それを参衆両院の人によく見てもらうとか、そういう宣伝をやつて、それで予算を取るということによつてやつて行つたらいいのじやないかと思います。その都度都度年度々々に話を持つで行くとなかなか面倒だと思います。それよりも一括した、確固たる大本をきめて、それであらかじめ十分にそれを皆さんに認識してもらつておいて、そうして年年予算を組むときに我々も又側面から協力して行くという段取りに持つて行つたらどうか、これは質問じやなしに意見になつて相済みませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/45
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046・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) 高木先生の御注意全く御尤もでございまして、実は村上大臣からもこの問題に関しまして早急に五ヵ年計画がよろしいか或いは何年計画がよろしいかは別といたしまして、基本的な計画、車輌をどうする、或いは線路をどうする、或いは橋梁をどうするというような点についてやや長期的な計画をできるだけ速かに樹立せよ、これはその前提になる、まあ一つのP・Rなのでございますが、これに対しまする対策につきましては、そういつた具体的な計画、どこの線をどうする或いはどこの橋梁をどうするというところまで、又これに要する経費はどのくらいかかるというところまで立てるということで、只今国有鉄道のほうでもこれは佐藤調査役がその専門に、これだけではございませんけれども、これに当つておられますが、運輸省といたしましても、国鉄のそういつた計画を立てて頂くようにお願いをいたしております。具体的な点は佐藤さんから又お話があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/46
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047・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 これは一番大きい問題だと思いますが、一遍計画が立つたらこの問題で一つじつくりそれを説明を願い、別に話合う機会を作つて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/47
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048・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) その点は委員長からも一つお願いいたしておきます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/48
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049・佐藤照雄
○説明員(佐藤照雄君) 先ほど高木先生からお話のございました長期的の見通しでございますが、これにつきまして国鉄でも今長期計画を作りつつございまして、例えば輸送計画でございますが、この前提ですが、輸送計画を作つております。又取替え、復元の計画でございます。それからもう一つ拡充の計画でございます。輸送、復元、拡充計画、この三部門で作りつつございます。これは又でさましたら機会を得まして御説明申上げよう。そう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/49
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050・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 他に御質疑ございませんか。じや本件は一応この程度で、ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/50
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051・山縣勝見
○委員長(山縣勝見君) 速記をつけて。それでは本日の委員会はこれを以て閉会いたします。
午後三時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313830X02319520522/51
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