1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月二十八日(月曜日)
午前十一時一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 有馬 英二君
理事
徳川 頼貞君
野田 俊作君
曾祢 益君
委員
杉原 荒太君
團 伊能君
平林 太一君
伊達源一郎君
岡田 宗司君
加藤シヅエ君
大隈 信幸君
大山 郁夫君
兼岩 傳一君
政府委員
外務大臣官房長 大江 晃君
外務事務官
(外務大臣官房
審議室勤務) 三宅喜二郎君
入国管理庁長官 鈴木 一君
入国管理庁審判
調査部長 鈴木 政勝君
事務局側
常任委員会專門
員 久保田貫一郎君
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本日の会議に付した事件
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
令に関する件に基く外務省関係諸命
令の措置に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○外国人登録法案(内閣提出、衆議院
送付)
○日本国との平和條約第十五條(a)
に基いて生ずる紛争の解決に関する
協定の締結について承認を求めるの
件
(内閣提出、衆議院送付)
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001・有馬英二
○委員長(有馬英二君) それではこれから外務委員会を開会いたします。
前回に兼岩委員の質疑に対しましては、政府から書面を以て答弁することに決定いたしましたから、さよう御承知をお願いいたします。
本日は直ちに討論に入ります。ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案並びに外国人登録法案、二題を一括して御討論をお願いいたします。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/1
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002・曾禰益
○曾祢益君 議事進行について……。討論にお入りになるということですが、本案に対して修正の意見を私は持つているのでありまするが、その議事手続上は一体どういうことになるのでございましようか。この原案について討論して、そうして採決をする前に修正の動議をお取上げになるかどうかということをお諮り願うのでしようか。委員長のお考えをあらかじめ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/2
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003・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 討論の際にお述べを願いまして、討論が終結いたしました際に修正案を採択するかどうかということを皆さんにお諮りいたします。さよう御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/3
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004・曾禰益
○曾祢益君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/4
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005・大隈信幸
○大隈信幸君 私は両案につきまして賛成をいたします。
なおこの際ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案につきまして、極く簡単な修正案を提出いたします。朗読いたします。
ポツダム宣言の受諾に伴い発する
命令に関する件に基く外務省関係諸
命令の措置に関する法律案の一部を
次のように修正する。
附則第一項但書を削る。
この附則第一項の但書と申しますのは、「但し、第三條中入国管理庁設置令第十六條に関する部分は、昭和二十七年四月一日から施行する。」というその項を削除するわけでございます。その理由は、最初この法案が提出されました当時におきましては、四月一日の年度替りからその入国管理庁設置令第十六條の部分を発効させるという御希望であつたと思うのでありますが、今日におきましては、すでに時期を失しておりますし、遡つて発効させる必要を認めないわけでありますので、以上の但書を削除するわけでございます。その部分を削除いたしました他の部分につきましては両案共私は賛成をいたします。
但し、私はいろいろ希望を申上げたいのでございます。この法律が実施されますに当りまして、終戦前から日本に滞在しておられたところの朝鮮人、台湾人、中国人等のかたがたにつきましては、いろいろと不安をこの法律がかもし出しておつたわけであります。その不安を何とかして除去したいということは、委員会の各委員とも一致した御見解だつたと思います。そのために今まで長いこといろいろと議論を盡して来たわけでございまして、特に小委員会等も設けられまして、その点の議論が交されたわけでございます。で、なお小委員会におきましては、この問題について何らか救済する方法はないかといつたようなお考えもあつて、一つの意見が取りまとめられたわけでございますけれども、併しながら、それを実際に法律上に現わすということになりますと、なかなかいろいろな点において困難な問題が起きて参ります。併し一方その議論をいたしております間において、政府側からもいろいろとざつくばらんな御答弁もあり、十分政府側も我々の意向を呑込んで頂きましたし、又政府側としても、その意味において善処するという相当な腹の中も見せて下さつたわけで、その政府側の意思を我々としては信用いたしまして、この法律案に賛成する次第でございます。
問題と申しますのは、他の委員からもいろいろとお話が出ると思いますけれども、要するに永住権の問題或いは強制退去を実施する場合にどうするか、それから終戦前からおられたかたがたに対しまして、無條件にそれを発動するかどうかといつたような点に集約されているのでありますが、併しながら政府としては、この点は十分に考慮して、決して非人道的な取扱をするのではない。従来からおられたかたがたに対しては特別な考慮の下にこれを実施して、非人道的なことは行わないということがはつきりと断言せられたわけでございまして、その点を我々は信じてこの法案に賛成する次第でございます。なお併しながら、私といたしましては、この委員会においてそのような政府が声明と申しますか、はつきりしたことを言われたわけでございまするけれども、併しながら、これを更に進んでこの法律が出されました際に、声明或いは他の方法によつてこれを末端機関まで周知徹底せしめて、決して前に申上げたかたがたの取扱について非人道的な、或いは不公平な取扱のないことを十分にして頂きたい。その一つの方法といたしまして、私といたしましては、委員長に強く要望いたしたいのは、今日この法案が本委員会を通りまして、本会議に上程されました際に、本会議において結論が出た後において、当該の大臣から、本会議において政府が考えておるところの取扱方針と申しますか、それについてはつきりしたところの御意見を本会議の席上において明確にして頂きたいということを強く希望いたしまして、私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/5
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006・曾禰益
○曾祢益君 私はこの二つの法案に対しまして修正の意見を持つておるものでございます。現実的には一つの法案、即ちポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案に対する修正案でございますが、この修正案につきましては、すでに委員長の手許に
提出してございます。従いまして先ず、修正の案を読み上げまして、そうして趣旨を御説明申上げたいと思います。
法律案に対する修正案
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案を次のように修正する。
第一條中「附則第三項から附則第十八項までを削り、附則第十九項を附則第三項とし、以下順次十六項ずつ繰り上げる。」を次のように改める。
附則第三項から附則第十八項までを削り、附則第二項の次に次の二項を加え、附則第十九項を附則第五項とし、以下順次十四項ずつ繰り上げる。
3 日本国との平和條約の規定に基き同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者で、昭和二十年九月二日以前から同條約の最初の効力発生の日まで引き続き本邦に在留するもの(昭和二十年九月三日から同條約の最初の効力発生の日までに本邦で出生したその子を含む。)は、第十九條及び第二十二條の二の規定にかかわらず、本邦に在留することができる。但し、将来別に法律の定めるところによりその者の在留資格及び在留期間を決定するものとする。
4 前項に規定する者及び昭和二十年九月二日以前から引き続き外国人として本邦に在留する者で、その者の国籍又は市民権の属する国につき特別の事情があるため当該国に送還することが不適当であるものについては、第五十三條の規定にかかわらず、本人の希望を徴して、送還先を決定するものとする。
第二條第六項を削る。
以上が修正案でございます。
次に修正案提出の理由を申上げます。政府の原案を本委員会におきまして非常に熱心に審議して参つたのでありまするが、それらの過程を通じまして三点ばかり非常に重要な点が問題になつたのでございます。第一点は、只今大隈委員からも大体同様なことをお話になつたと思いまするが、第一点は従来の台湾人、朝鮮人であつて、この日本の独立の結果国籍を失う者について、実際上の問題として彼らに引続き居住を認めて行く、これは原則として外交的に見ましてもいろいろな問題を含んでいることは当然でございます。即ち純理論的に申上げるならば、今度日本から分離される地域に住んでおつた、平穏に住んでおつた日本人、即ち国籍を失わない純然たる日本人とでも申しましようか、これらの諸君も平和後には再び朝鮮なり或いは中国なりに帰つて住むということを、日本国とこれらの諸国との交渉において主張すべき十分なる私は理由があると思います。いわゆる互恵主義、相互主義をとつてこのことを主張すべきである、決して一方的に日本におられたこれらの諸君に対してのみ特別な取扱いをしろということを私は主張するものではございません。併しながら現実の問題としては、すでにこれらの地域に住んでおつた我が同胞は送還されておるのであります。生活の根拠も失つております。その他いろいろな国際関係等から見まして、多くの人については実際上相互主義を適用すべきことは困難でございましよう。その事情も考え、又人道的に考える場合に、少くとも日本に住んでおつたこれらの諸君に対して事実上居住の事実を認め、安心を與えてやることは、これは当然であると私は考えるのであります。而もその点につきまして、政府当局の見解を質しましたところが、国際協定の関係はあるけれども、事実においては永住権ということは、少し言葉としては行過ぎかも知れません、事実上居住を認めて行こうと、こういう趣旨は相当明らかにされたと思うのであります。然るにこれが法文化されたるものを見ますると、いろいろの法制技術上の困難ということはあるといたしましても、この法案のままにおきましては、第一に別に法律で定めるところによりそのものの在留資格及び在留期間が決定されるまで、これまでの間に限り、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。即ち全くの経過規定しか書いてない、そうしてこれらの法律の内容がどうなるかということは、すべて国際條約、協定等ができてから、どんなふうにできるかわからない、ここに将来に対する非常な不安を関係者が持つことは、この字句から言えば当然であると思うのであります。従いまして私はこの点につき、現に政府が事実上居住を全部認めて行こうということに腹があり、大体関係国との協定等の原案においても、それらのことが固まりつつある現状にかかわらず、ひたすら国際関係の現状から見て、交渉の過程だから内容には触れられないのだというような理由を以て最も関係人にとつて大切な点を完全にぼかしておる、この書き方、それが適当でない、これが即ち不必要なる不安を起し、又一部の無責任なる煽動に同意を與えておる、これが私ははつきりしていないと思うのであります。従いましてこれを除去することが一つ。今一つは、逆に在留資格を認めると言いますると、然らば如何なる手続が要るのか、この法律によつて確認されんとする入国管理令、これの手続では非常に煩雑である。事実上これは他の一般外国人にこそ適用されても差支えないと思いますが、これらの特定の人たちには適用すべきでないというような判断の下に、この手続によらなければならないのか、而もそのことが、現に問題になつておりまするこれらの問題が、二つの政府があつていずれの政府の国籍というような問題で非常に政治問題を起しておるのでありまするから、引き続き在留資格を與えられるということと並行いたしまして、何らの手続を要しないということをこの際明らかにすることが必要である。従いまして修正案においてその趣旨を明らかにしたつもりでありまするが、修正案の趣旨は、これらの二点をこなして行く、第一には、これらの関係者は在留することができる、これを断言してしまう、これが第一であります。但しそこに問題がありますることは、現に行われている外交交渉の結果生まれるであろうところの法律でございます。これが確定的にいろいろな在留の資格等のいわゆる條件とでも申しますかをきめることも、これ又当然でございます。従つて在留を許すということを断定しておいて、それの細目と言いますか、條件につきましては、「別に法律の定めるところにより、」 と、こういうふうに書くことが一つと、第二は、第十九條及び第二十二條の二の規定等によつて特別な手続をとらなくていい、この点を明らかにしたのが、私の今提出いたしました修正案の趣旨でございます。どうぞ愼重に御審議の上御賛成を願いたいと思うのであります。
第二点は、第二十四條、つまり入国管理令の第二十四條の退去強制に関する問題でありまして、これにつきましても、すでに大隈委員からも御発言がありました通りでありまして、この点につきましては、問題を二つに分けて私は考えておるのであります。第一の点は、一般的な問題といたしまして、この二十四條の規定は当然に主権国として持つべき規定であることを認めるのであります。但し先ほど来問題になつております特定の人たち、はつきり申上げれば朝鮮人、台湾人につきまして考えましたときに、これも若しこのまま嚴格にやるならば、それは決して正しいやり方でないことも、これは明らかだと存ずるのであります。従いまして、この点につきましては、私の気持としては、実はこの二十四條の四号のハ、ニ、ホ、これらの條項は適用しないということをはつきり法文で明らかにしたらいいじやないかという意見でありますが、この点に関する政府当局の説明は、相当明確に、ただ單にハ、ニ、ホに限らず、一般的に、特に悪質なるもの、即ち刑を受けたものというようなものは別であるけれども、そうでないものについては運用において十分なる手心をする、事実上退去強制の対象から外すと考えてもいいというような態度を相当明らかにするような声明文を頂いたのであります。従いまして、この点につきましては、私はこの点を了承いたしまして法文の修正はやめました。第二の点、即ち二十四條と五十三條との関係におきまして送還すべきものときまりましても、現実にその送還先の問題から起るところのトラブル、これを人道的に取扱つて行くという点につきましては、どうしてもやはり法文を修正して行かなければならない、かように考えまして、先ほど読みました新たなる第四項を追加することを主張するものでございます。即ち政府の説明によりますると、大韓民国との交渉において、朝鮮人はすべて大韓民国から見れば大韓民国の国籍であるし、これらの人たちを送還するのは大韓民国に送還すればいいのだ。そういういわば理窟一点張りの考えを持つておるようでございます。又台湾人につきましては、これは台湾における国民政府、台湾政権との話合いによつて、これはすべて台湾政府の管轄すべき国民であるとして、送還先も台湾であればいいのだという、これは又理窟一点張りの解釈のようであります。而うしてこの問題につきましては、これらの台湾人及び朝鮮人のほかに、いま一つ戰前からおりまするところの華僑中国人の問題も現に考慮しなければならない。そこで私といたしましては、これらの関係者に限りましては、送還先の決定に当つて本人の意向を徴しまして、現にこれを韓国管轄地域に送つた場合に、明白に非人道的なことが行われるというような場合に、それを韓国にただ法律的或いは外交的な解釈一片でやらないようにして行く。又台湾人につきましても、同様に台湾に送ることが現実に非人道的なる取扱いを許容する結果になる虞れのある場合には、これも又本人の意向を徴する。又一般中国人、戰前からおりました中国人につきましても、これを中国本土に送還することによる、或いは台湾に送還することによる非人道的な処遇が起らないようにする。この点を明らかにせんとするのがこの第四項の修正の趣旨でございます。申すまでもなく、これは例は違うかも知れませんが、日本には当嵌まりませんが、現に朝鮮におきまする停戰会談を見ましても、例の俘虜の交換の問題に関連いたしまして、国連側がやはり送還先の問題については人道的な考え方をする。このことが又一つの国際政治上の難問になつておることは承知しております。我々の信ずる人道主義を貫くという意味から言いまして、この程度の修正は当然にやるべきだと、かように考える次第でございます。以上の理由によりまして、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案を修正する動議を提出します。従いまして原案にはそのままで賛成いたしかねるのであります。同様の関連におきまして、本来その法案自身としては別に異議はないと思われまするが、外国人登録法案につきましても、この二つの関連におきまして、このままでは賛成いたしかねることを申上げたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/6
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007・有馬英二
○委員長(有馬英二君) ほかに御討論はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/7
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008・兼岩傳一
○兼岩傳一君 只今社会党第四控室、それから第一クラブ有志及び労農党等で修正案を今練つておりまして、もうおつつけ参りますのでちよつとお待ち願いたいと思います。私は一昨日お尋ねした点をこの機会を利用して御回答をちよつと得られれば得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/8
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009・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 申上げますが、前回、一昨日で質疑を打切つてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/9
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010・兼岩傳一
○兼岩傳一君 だから質疑をするのではなくて、あなたも承認された……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/10
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011・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 兼岩君の質疑に対しましては、政府から書面を以てお答えすることにいたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/11
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012・兼岩傳一
○兼岩傳一君 それは初耳ですね。そうですか、そういうことにきまりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/12
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013・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 先ほど御報告いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/13
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014・平林太一
○平林太一君 両案を一括して原案に賛成するものであります。以下賛成いたすことの概略の理由を申上げたいと思います。平和條約の発効するのは本日であります。時間的には本日の午後十時十五分と相成つておりますが、全国を挙げて本日が我が国の平和発効の、その極めて感慨深き、又記念すべき当日であります。先刻本会議場におきまして、この講和に伴う我が国の決意、覚悟のありますることを本会議場におきまして極めて嚴粛莊重にこれが決議が行われましたことは、今なお私の感慨誠に深い次第であります。その決議案中の第一として掲げてありまするのは
一 日本は一員して世界平和の維持と人類の福祉増進に貢献せんことを期し、国連加入の一日も速やかならんことを希う。
二 日本はアジヤの諸国と善隣友好の関係を樹立し、もつて世界平和の達成に貢献せんことを期する。三 日本は領土の公正なる解決を促進し、機会均等、平等互恵の国際経済関係の確立を図り、もつて経済の自立を期する。四 日本国民はあくまで民主主義を守り、国民道義を昂揚し、自主自衛の気風の振興を図り、名実ともに国際社会の有為にして責任ある一員たらんことを期する。以上の四項を決議いたした次第であります。私がこの両案に賛成をいたさんといたしまする趣旨は、まさに本日の議場におきまして、これが議決されたことに深き思いをいたすのであります。要するに両案の内容に対しましては、すでに愼重に次ぐ愼重を重ねて、そしておよそこれらの案に対しまするところのその字句或いはそれに派生影響するところの諸問題に対しましては、善を善とし、又善ならざるものに対しましては善ならざるように、それぞれ審議を盡して参つております。従いまして、これは会議録に昭々として明らかにこれは明記されておる点でありまして、これが不備の点或いは心配をせらるる点、若しそれ先刻曾祢君の切々たる修正の御意見がありましたが、これらに対しましても更にそれ以上に、御説明以上にすでに会議録にこれが詳細に明記され、これが詳述せられておる次第であります。これが運用に当りましては、政府におきましては、ここに現わされるところの、例えば修正等によりまして現わされる文字等に遥かに数倍、数百倍いたしまして、これら会議録を通じて運用の上に誤まりなきを期することは、私は極めて明らかなることと思うのであります。又そう相成つておりますることが今日までの事例によつてよく明瞭である次第であります。従いまして私はそういうことに対しまして、深い憶測或いは深い深憂とをこの際拂いますことは、只今私は決議をいたしました、只今ここに参つたこの瞬間に、まだ時間が極めて間近であるという上におきましても、我々はこの決議に伴う国際間に対しまして、その信をいやしくも裏切るような、又信をして失わしむるようなことが断じてないということは、この決議によつても極めて私はこれを明かにしなければならんことと思います。内外に闡明いたしております。従いまして私はこの両案に対しましても、そういうこれらいわゆるいずれもこれが対外の外国関係の法律でありますることに、これが運用は字句以上にこの国際間の信義というものを重んじなければならない。若しそれ又これが特に取上げておりまするところの隣邦近国、アジアを中心とするアジアの親善という、これらアジアに関係するところの諸国民に対しましては更にその感一層深いものがあります。形式や字句の上の事柄の狭い範囲のものではない、広い意味におきまして、私はこういうことが深く政府においてこれが行われることを信じて疑わざる次第であります。又そうあることをこの際深く望んで、これに対して賛成を表する次第であります。詳細のことにつきましては、すでにそれぞれの機会におきまして明らかに私はいたしておりますから、大きな意味におきまして、これを申上げる次第であります。ただこの際先刻委員大隈君より御意見がありましたが、岡崎国務大臣がこの法案に対しまする、つまりこれを対外的のものでありますから、この法案に対しまして、今一度重ねてこれに対しまする政府の持つておりまする有為、高尚な雄大な気持ちを明らかにして、そうして明朗な態度をして、或いはこれらに関係して心配せられておる人に対しまして、安心して、安んずるところの態度をなさしむるところの発言は、或いはこれ又極めて私も同感であります。これは大隈君のそういうような御意見に対しましての事柄に対しましては賛意を表する次第であります。
以上を以ちまして私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/14
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015・有馬英二
○委員長(有馬英二君) ほかに御意見はございませんか……。速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/15
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016・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 速記を始めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/16
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017・岡田宗司
○岡田宗司君 私はポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案並びに外国人登録法案につきまして、外務委員会におきまして、或いは外務、法務連合委員会におきまして、いろいろ質疑を重ねましたが、極めて不備があると存じますので、修正案をここに提案いたしたいと思います。その修正案に関しまして、ここに先ずその案文を読み上げます。それはポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律案中の修正の個所でございますが、第一が第二條六のうち「別に法律で定めるところによりその者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。」とあるのを「別に法律の定めるところにより本邦に在留することができる。」と改めます。第二は、附則の三として次のものを挿入いたします。「日本国との平和條約の規定に基き同條約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者で、昭和二十年九月二日以前から同條約の最初の効力発生の日まで引続き本邦に在留するもの(昭和二十年九月三日からこの法律施行の日ま
でに本邦で出生したその子を含む)については、別に法律で定めるまでの間第二十四條を適用しない。」更に附則四として次のものを挿入いたします。「附則三に掲げるもの及び昭和二十年九月二日以前から平和條約の最初の効力発生の日まで引続き本邦に在留する外国人(昭和二十年九月三日からこの法律施行の日までに本邦で出生したその子を含む)は、そのものの国籍又は市民権の属する国の特別の事情を考慮して本人の希望により送還先を決定するものとする。」、以上が修正案でございます。これは社会党第四控室、労農党、第一クラブ有志並びに共産党の委員によりまして提出されるものでございます。
私どもがかがる修正を提議いたします理由は、この両法律案によりまして、今後日本に入つて参ります外国人の問題ばかりではなく、今日の日本にとりましては、従来日本の領土でありました朝鮮並びに台湾の人々の問題という重要な問題まで取扱われておりますので、その人々に対する取扱いが、政府の提案されました法律では甚だ問題が多いと、こう考えますので、この修正案を提出したのであります。即ちこのポツダム宣言の受諾に伴い云々の法律案の第二條の第六項におきまして、戰前より引続き日本に居住しております朝鮮人並びに台湾人に関するところの今後の位置が定められることになつておりますが、これでは極めて不十分、不明確であります。そうしてこれによりますならば「別に法律で定めるところにより、その者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。」とありまして、原則的に一体この人々の在留資格並びに在留期間をどうするかということが、この法律におきましては定められておらないのであります。これはこれらの人々に対しまして非常に不安定な、不安心な、安心のできないことになつておるのでありまして、やはりこれは従来からの関係等を考慮しまして、原則的に引続き在留することができる、こういう原則を立つべきが当然であろう。但しその在留の資格並びに在留の期間は後に勅鮮なり或いは中国の国々との間にいろいろ取極等もできるでありましよう。それによりまして
具体的に定めることといたしまして日本といたしましては、原則的に引続き本邦に在留することが妥当であると考えておるのであります。
それから修正の次の点は、出入国管理令第二十四條の適用の問題でございます。この第二十四條につきましては、外務、法務連合委員会におきまして詳しく質疑が重ねられておりましたが、この二十四條の適用が先にも曾祢委員が指摘されましたところもございますが、これ又従来から引続き在留しておるかたがたに対しまして不安の種となつておるのであります。これは国内政策上から見まして、又今後の中国並びに朝鮮との関係を我々が打開し、そしてよき善隣友好の関係を打立てて行きますために、これは俄かにこのまま直ちに適用すべきものではない、こう考えるのであります。勿論これにつきましては、特段の除外或いは又それらの国々との関係がもう少し明確になりまして、国際的な最極等によつていろいろと問題が決定されるまで、この二十四條を直ちに従来から在留しておる人々には適用しない、こういうふうにしたいと私どもは考えておる次第であります。
更に修正の第三点は送還先の問題でございますが、これは先に曾祢委員も指摘されたところでございますが、現在の朝鮮における状態及び中国並びに台湾の状態というものを考えまして、若し朝鮮人を政府の言うがごとく、ことごとく大韓国民として取扱い、これを大韓民国に対しまして送還するというようなことになりますれば、非人道的な問題が起ることも考えられます。かくのごときことは我々は避けなければならんと、こう考えておりますので、若し送還の問題が起りました場合には、本人が希望するところに従いまして、かくのごとき非人道的な取扱い方が起らないようにするということを我々は考慮すべきではないか、こう考えまして、三点の修正案を提出いたした次第であります。何とぞ委員諸君の御賛同を願いまして、修正をせられんことを切望する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/17
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018・有馬英二
○委員長(有馬英二君) ほかに御発言はございませんか……。御発言がないようでありまするから、討論は終局したものと認めまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/18
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019・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 御異議ないと認めます。それではこれから採決に入ります。先ず討論中にありました大隈君の修正案を議題に供します。大隈君提出の修正案に賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/19
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020・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 過半数と認めます。
第二に、曾祢委員提出の修正案の可否を問います。曾祢委員提出の修正案に御賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/20
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021・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 少数と認めます。
次に、岡田委員提出の修正案につい
て可否を問います。岡田君提出の修正案に御賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/21
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022・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 少数と認めます。
次に、修正案を除く部分の原案について御賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/22
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023・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 過半数と認めます。よつて本案は過半数を以ちまして修正可決されました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますから、委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして御承認願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/23
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024・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 御異議ないものと認めます。
それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつております。本案修正案を可とされましたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
野田 俊作 杉原 荒太
團 伊能 平林 太一
伊達源一郎 大隈 信幸
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/24
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025・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 次いで外国人登録法案について採決をいたします。外国人登録法案について御賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/25
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026・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 過半数と認めます。よつて本案は過半数を以て可決されました。取扱は同様にいたします。御署名を願います。
多数意見者署名
野田 俊作 杉原 荒太
團 伊能 平林 太一
伊達源一郎 大隈 信幸
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/26
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027・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 次に、日本国との平和條約第十五條(a)に基いて生ずる紛争の解決に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。御質疑のかたは順次御質疑を願います。別に御質疑もなければ、討論に入ることに御異議ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/27
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028・兼岩傳一
○兼岩傳一君 異議ありますよ、つまりね、困りますよ、そう急がれては……。奔命に疲れますよ、今大きな重要な法案は全くあれされたんですから、もう晝ですし、ここで只今可決になりました法律案に対する今後の見通しも拝聽したいし、準備もありますから、懇談会に一度入つて頂いたら如何でしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/28
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029・岡田宗司
○岡田宗司君 それは今日やらなければならん法律案なんですか、あなたのほうは今日上げないと困る何があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/29
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030・有馬英二
○委員長(有馬英二君) ちよつと速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/30
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031・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 速記を始めて……。それでは質疑もないようでございますから、討論に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/31
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032・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 討論に入ります。御発言のかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
〔「なし」「反対」「多数で通れ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/32
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033・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 別に討論もないようでありまするから、これにて採決に入ります。原案に賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/33
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034・有馬英二
○委員長(有馬英二君) 過半数と認めます。それでは本案は承認されたものと決定いたしました。
手続は前と同じようにいたして御署名を願います。
多数意見者署名
野田 俊作 曾祢 益
杉原 荒太 團 伊能
平林 太一 伊達源一郎
加藤シヅエ 大隈 信幸発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/34
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035・有馬英二
○委員長(有馬英二君) では御署名漏れはございませんか……。御署名漏れないと認めます。
本日はこれを以つて散会いたします。
午後零時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101313968X02619520428/35
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