1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月九日(金曜日)
午後二時十一分開会
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出席者は左の通り。
経済安定委員
委員長 佐々木良作君
委員
大野木秀次郎君
小滝 彬君
奥 むめお君
須藤 五郎君
大蔵委員
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
委員
岡崎 真一君
黒田 英雄君
溝淵 春次君
小林 政夫君
田村 文吉君
下條 恭兵君
波多野 鼎君
木村禧八郎君
通商産業委員
理事
小林 英三君
結城 安次君
栗山 良夫君
委員
中川 以良君
松平 勇雄君
松本 昇君
山本 米治君
加藤 正人君
清澤 俊英君
境野 清雄君
建設委員
委員長 廣瀬與兵衞君
理事
赤木 正雄君
小川 久義君
委員
石川 榮一君
深水 六郎君
徳川 宗敬君
松浦 定義君
東 隆君
衆議院議員
福田 一君
国務大臣
国 務 大 臣 周東 英雄君
政府委員
公益事業委員会
委員 松永安左エ門君
事務局側
常任委員会專門
員 桑野 仁君
常任委員会專門
員 渡邊 一郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
常任委員会專門
員 山本友太郎君
常任委員会專門
員 林 誠一君
常任委員会專門
員 小田橋貞壽君
常任委員会專門
員 武井 篤君
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本日の会議に付した事件
○電源開発促進法案(衆議院送付)
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは電源開発促進法案の審議に関する、実質的には第七回目になつておりますが、連合委員会を開会いたします。
質疑通告者からの答弁要求者としては、発議者のほかに周東安定本部長官、それから池田大蔵大臣、公益事業委員会関係、或いは通産省関係等の要求がありまして、現在発議者のほかには周東安定本部長官が出席されております。池田大蔵大臣及び野田建設大臣も追つて出席の予定だそうであります。前回に引続きまして質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/1
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002・下條恭兵
○下條恭兵君 私は前々回にも申上げたのですが、我々は第三回から参加いたしましたので、或いは私がお尋ねすることの中に、前にもうすでに御答弁になつたものがあるかも知らんと思うのでありますが、そういう際には、一つ簡単に結論だけお答え願えれば結構と存じます。私は先ず提案者にお尋ねしたいと思うのでありますが、今日まで三回の審議の経過を見ていますと、実際には提案者に対して安本の佐々木室長が蔭の声を努めておられるようでありますし、又私は電力問題は重大国策の一つでありますから、当然こういうことに対しては政府がとつくに案を持つておつて、そうして而も厖大な財政支出も長い年月に亙つて伴うのでありますからして、当然政府の提案において出されるのが妥当であると考えておるのですが、それにもかかわらず議員提案にした理由について、一昨日安本長官の御答弁を聞いたのでありますが、まだ私はこの理由が奈邊にあつて、特にこういう審議に関しても手数のかかるような方式をとつておられるのか、この点がはつきりわかりませんので、提案者から一つこの点を、どうしてこういう大きい問題を、特に政府のほうが案を持つておらなかつたのか。或いは持つておつても自由党の提案にしたのか。そうしなくてはならなかつた理由という点を一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/2
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003・福田一
○衆議院議員(福田一君) そういう御疑問を持たれるとは一応私たちにもわかるのでありますが、実はこの点では二、三度御説明を申上げたつもりでありますが、重ねてお答え申上げます。昨年の八、九月の異常渇水の当時からでありましたけれども、自由党におきましても又政府におきましても、この電源開発を急速に促進して行くことが必要である。これに対する提案を考えなければいけないというので自由党の政調会でも、又政府部内におきましても、いろいろこういう面について研究が進められておつたわけであります。そこで政府部内で研究を進め、又自由党内においても研究を進めておつたのでありますが、一応こういう問題をもつと離れ離れにしないで研究してはどうかというので、政府部内におきましては公益事業委員会も含めまして、電源開発促進協議会というような、まあとれは仮りの名でありますし、公式のものではありませんけれども、そういうものを作りまして、両三日に亘りまして総理官邸においてその会合をいたし、いろいろ対策を練つておる。これに我々も傍聽者の立場において参加いたしておつたわけでありますが、自由党自体といたしましても、すでにこれに対する要綱を全部作つて用意をいたしておつたのであります。ところがいろいろその審議の状況から見まして、自由党案と政府の考えておる案とは全く一致をいたしておるということが明らかになつて参りましたので、そこでこの場合において自由党がこの案を提出するか、或いは文政府側がこれを提出すべきかということが一応政府と自由党の間においてもいろいろ相談が進められたわけであります。併しそのときに大勢を占めました意見は、前々から申上げておりますように、電源開発というのは、これはもう国民の要望するところである。而も多年に亘つてこれを行なつて行かなければならないものであるから、政府が変つたからといつて、それでこれをやめるというようなことは絶対にできない。又すべきものでもない。而も今まで衆議院におきましては、参議院においてもそうであつたと存ずるのでありまするがしばしば電源開発促進の決議案というものが上程されておるのでありまして、衆議院では両三回この決議案を提出いたしました。その決議案はいずれも各党共同提案になつておりまして、全会一致でこれを議決いたしておつたわけであります。こういうように電源開発が国民的な要望であり、現在最も早く特に行わなければならないものであるとするならば、相成るべくは各党と協調いたしまして、そうして協同してこの問題を解決するのが一番いいことではないか。又その解決を得ることができるであろう、ころいう建前からこれはやはり自由党として提案して各派に呼びかけるべきである、こういう意味で、実は自由党から提案することになりました。その後各派に呼びかけたのでございます。衆議院におきまして各派へ政調会長その他私たちも参りまして、そうして改進党のかたにも、社会党のかたがたにも事情を御説明しまして、どうぞ一つ御協力を願いたいということを感熱に申上げたのでありますが、まあその後やはり法案を急いで提案する事情もあり、かたがたいろいろ各党のお立場もあるようでございまして、残念ながら私たちとしては、まあ御賛成を得ることができなかつたという、こういう事情でございまして、私はこれはもう偽らざるところをはつきり今ここであなたに申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/3
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004・下條恭兵
○下條恭兵君 大変丁寧に経過を説明頂いたのでありますけれども、大体各党の共同提案にしようというふうに、自由党と政府だけで案を作つてしまつて、それから各党にこれに参加してくれといつたつて、これは無理だと思います。その案を作る前に重大国策だからこれを一つ各党共同で研究して、政変などがあつても電源開發計画だけは変更がないものにしようということであれば、その場合は我々は考慮したと思いますが、ところが自由党と政府だけで勝手に作つておいて、できたからお前たちも共同提案で責任を負えということは、これは常識で考えても誰だつて乗つて行くはずがないと私は思います。まあ偽らざるところだというふうに提案者おつしやるのだから、多分そうだろうと思いますけれども、何だか私はどこか、政府でこれを提案すると、九分割との関係において、思想的の観点から見てもちぐはぐが出たりすることやその他の関係から、こういう措置をとられたのじやないかというような気がしておりますけれども、まあこの問題はそれだけ伺つておくだけにしておきたいと思います。
で、私はその次にお伺いしたいのは、前々回私の質問に公益委員会のほうから外資に対する見解が述べられております。又一昨日もやはり公益委員会のほうからいろいろの御意見があつたのでありますが、そうして政府はずつと前から外資導入の必要を説いておつたのでありますが、特に又前回松永先生からもお話があつたように、殆んど發電所における経費の九割とか九割五分がもう金融だというようなことになりますと、どうしてもこれは安い電気を作るということになると、外資の導入が絶対条件だと思うし、そうして又その努力は今もやつておられる、こういうふうに言つておられますけれども、大蔵大臣のごときは、欲しくないのじやないけれども、向うが入れてくれるならば勿論歓迎するということで、余り積極的に外資導入の努力をしておられるような口吻が聞けないのであります。そこで提案者は、大蔵大臣が言つておるように、向うが金が余つておるから貸してくれたら借りよう、こういう程度に電源開發と外資の導入問題をお考えになつておるか。それとも公益委員会の見解のように、外資導入が電源開發に対して安い電気を作つて日本の産業の發展に寄與するという考え方で外資を絶対条件と考えておるか。提案者のほうはどういうふうにお考えになつておるか、この点一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/4
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005・福田一
○衆議院議員(福田一君) 先ほどのことで一言実は私が説明を落しましたので、御疑問を抱かしめた点があるのじやないかと思うので、補足して説明させて頂きますが、実は各党にその共同提案を申入れましたときには、これは衆議院提案でありますから、衆議院の各派にいたしたのでありますが、これをきめる約二週間ほど前に一応の我々の構想を申上げまして、こういう構想でやろうと思うが、若しこれに対して御異存があるならば、一つ御相談に乗つて頂きたい、一遍一緒に皆さんで一度でも二度でもお打合せをして見たいということまで申入れましてやつたわけでありまして、その点は私たちとしては手続の上においても、共同提案という趣旨を明らかに徹底させる意味では十分いたしたつもりではありますが、甚だ不手際でありまして、そういう御印象を皆様に與えておつたとすれば誠に遺憾なこと泥と存ずる次第であります。
それから次の御質問でございますが、外資の導入ということは非常に必要であると思うかどうかということであります。これは私は非常に、できればやるべきだ、必要であると思います。何となれば非常に金利が安いのでありますから、これはやるべきであります。併し相手方のあることでございますから、外資が入らない場合というものも考えておかなければいけないものだと思います。そこで大蔵大臣はそういう意味合いのことを表現される言葉が若干或いは足りなかつたのかも知れませんが、大蔵大臣の御意見も私の意見もちつとも違つておらないわけでありまして、それは外資が入ることを勿論希望はいたしておるわけであります。併し相手があることでありまするから、入つて來ないという場合にどうするかということをちやんと考えておかなければなりません。そういう場合においても、外資が入らない場合においても、国民生活を安定して日本の経済の再建を図るという建前からは動力源というものにどうしても一番ウエイトを大きく見てやらなければいけない。そういう意味合いで、その場合には政府資金をどうしても使つてやられるような計画ができておりませんというと、こういうプランを出しますことは、非常に何というか、杜撰なことに相成る、かように考えるのでありまして、従つて私たちといたしましては、決して外資の入ることを歓迎しないとか、或いはそれを放任しておくとか、こういう気持ではございません。併し相手方があることでありまするから、きまらないうちから、こうきまるのだということを予定して法案を出すということもできません。一応そういうことを万般考慮いたしました上で、入れば非常に結構でありますという意味は、そういう意味合いと一つお考えを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/5
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006・下條恭兵
○下條恭兵君 外債にしても内債にしても、これは公益委員会の説明を待つまでもなく、私はほぼ同じような事情だと思うのでありますが、大体貸したら借りようというような気長な考え方で、私は外資にせよ内債にせよ、できるものじやないと、こう思うわけですよ。そこで私は大体本当に真劔に外資をこの特殊会社に導入しようと思うなら、先ず最初の計画から、むしろ外資をこれだけ予定するということの計画が先にあつて、そしてその計画に基いて、国内の金利に比べると外資のほうがこれだけ金利が安いから、そこでこれだけの安い電力が発生するのだということの計画書があつて、それに基いて努力するのでなければ、まあ相手があるのだから、貸すかどうかわからんから、当てにならんからこつちの金でやるというようなことで、まあ事業の普通の通念からいつてもそういうことで借入れなんか成功するかどうか。私は不幸にして経験がなくてわからんのですけれども、外資というのは、一体相手があるから確かに相手の出方でどうなるかわからん。これは確かにその通りでありますが、そんな気楽なことを言つていても、電力に対して外債が期待できるほど、それほどアメリカの金融事情……どうせ外債といつてもアメリカだと思いますが、アメリカの投資意欲なりは、そういうふうに今提案者が言われるほど、それほど日本にとつて条件がよくなつているのかどうかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/6
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007・福田一
○衆議院議員(福田一君) アメリカの状況がどうなつておるかということについては、私甚だ残念でございますが、今御答弁申上げるほどの資料も、又知識もございません。併しながら外資導入の問題につきましては、政府といたしまして従来しばしばそういう意見も出ております。今でもそういうことについて努力をしておられるものと私たちは確信しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/7
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008・下條恭兵
○下條恭兵君 それじやこの点一つ周東長官にお尋ねいたしますけれども、今この特殊会社を、もうすでに衆議院のほうを通過しようとしておりますし、参議院も審議中でありますが、政府のほうではこの特殊会社に対して外資導入の具体的にはどういう手を打つておられるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/8
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009・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) その点についてはまだ私は申上げる段階にないと思いますが、政府は非常に努力をいたしておるということだけはつきり申上げておきます。それから附加えて申しますが、あなたのお説を拝聽していると、外資導入というのがきまらなければ法案も審議できないと言つておられます。そういうことは私はいけないということを申上げます。それから金利の問題については、それは当然であります。これは資金運用部資金というものについても、私は将来に向つては運用部の状況如何にもよりますが、できるだけ低利なものによつて行きたい、こういうふうなことも考えている。外資ということについても、これはあなたがた專門家だと思いますが、どういう金利状態にあるかということは、必ずしもそんなえらい、べらぼうに安いものが来るわけでもないし、又日本なら日本における産業の、経済の状態によつては、金利が変つて来る。そこらは大いに努力しつつ、そして入つて来るということに対して努力しなければいけない。それについて努力を傾けているということだけを申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/9
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010・下條恭兵
○下條恭兵君 私は何も外資が入らなかつたらこの法案を審議しないとか、そういうことを申上げておるのではありません。私が言うのは、どうしても電力に対して外資を入れるということが日本の産業の将来にとつて絶対条件であるという観点に立つて、先ず外資を何割かこの会社に導入するということの前提に立つて計画して置いて、そうして事情が何かあつて外資が入らなかつた場合に財政資金の融通か何かで事業は必ず完遂して行くという行き方のほうが私は本筋ではなかつたかと考えるから、提案者の計画はどうであるかということをお尋ねしたわけであります。でありますから私は外資が入らんならこの法案は審議しない、そういうことを言つておるのではありませんから、一つ誤解のないようにお願いします。更に又外資の導入についていろいろ努力はしておるけれども、説明ができないということでありますから、まあ説明ができないとあればこれはだんだん後になれば、今日現在政府では外資導入についてどういう努力をしておられたかということがはつきりわかつて来るだろうと思いますので、お尋ねすることはこれだけにいたして置きます。
次に私がお尋ねしたいと思うのは、この第一次計画の七地点、これは、これを選定したことや何かについては、もうすでにどなたかから御質問があつたと思いますから、私は省略して置きます。けれどもこの七つの地点のうちの私は一、二のものについての設計なり計画なりを、私が洩れ聞いておるところによりますと、冬季間の補充電力に使おうとするというような計画の所もあるように思いますで、今度のこの特殊会社でやろうとするものは全部こういうふうな火力発電になると思います。補助発電所と言いますか、冬季の渇水期の補給施設にするような使命を帯びたものばかりやろうとしておるのか。或いはそうでなく一般の通例の発電所のような使命のものがあつたり、そういう特殊な設計のものがあつたり、というように分れておるかどうか、この点ちよつとはつきりしないので発案者にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/10
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011・福田一
○衆議院議員(福田一君) その点は地点選定の目標が、例えば国の事業に関連してダムを作つたのをもう少しダムを蒿上げすれば発電所ができるというような場合にそれを入れた所もあります。その他は一応大規模なものでダム式の発電所を作るというのでやつておるのであります。大体ダム式の発電所というものは、現在既設のものでございましても、運用の仕方は火力を補うようなと言いますか、火力に代わるものに使われておる場合がありますけれども、今度選定いたしましたやり方は、火力に代わるためということだけを目標にして選定したものはないように考えておりますが、具体的にどの地点をお考えになつておられるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/11
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012・下條恭兵
○下條恭兵君 私は電気に素人であります上に、全体的なことは勿論わかりませんが、提案者がこの間からしばしば只見川を例に引かれまして、たまたま私は新潟県の選出であるので若干のことは聞いておりますけれども、只見川の場合のごときは明らかに冬季の渇水期の補給電力に主眼を置いた計画になつておるように私は聞いておりますけれども、本当にそういうふうになつているんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/12
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013・福田一
○衆議院議員(福田一君) 私の了承しておる範囲では、そういう冬季の渇水期を目標として只見川を開発する、かようには私了承いたしておりません。ただ申上げて置きますが、一応これは我々は試案として出しておるのでありまして、根本的にはこれは電源開発審議会できめられることになるのでありますが、今まで聞いておりますところでは、只見川を渇水時のための火力発電所代用と考えるというようには考えておりません。例えば今の猪苗代湖にいたしましても、勿論必ずしもそれだけの目的でやつておるわけでもないのでありまして、常時電力も出ておりますし、又渇水時の分も出しておるというように相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/13
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014・下條恭兵
○下條恭兵君 猪苗代につきましては確かに常時電力は出ておることは確かです。ところが猪苗代は冬季の渇水期に使うために、阿賀野川のごときは夏灌漑用水の要るときは水が少くて、そうして冬になりますと水がたくさん流れておるという実情があるのです。只見川の場合でも川があるから常時水力は出ることは勿論です。勿論だけれども、これのダムの水は全部冬まで使わんということをすれば、これはやはり冬季の火力の補給用ということが言えると思います。その間溜めた水を年間平均に流しているのならばそれはそうでないけれども、猪苗代の場合というのは、実際私の知つている範囲においては、私は夏は今度通常のダムを必要としないものを使つておつて、冬になるとどんどん猪苗代の水を落しておるというやり方をしておると思いますが、只見川はそういうことをやるのかどうかということが一つと、それから今度特殊会社でやるのは全部そういうふうになつているかということをお尋ねしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/14
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015・福田一
○衆議院議員(福田一君) まあこれは私が申上げることは却つて失礼に当るかも知れませんが、年間平均に流すというようなことは天候の加減もありますし、どうなつておるかわからない。ダムというものの特質をもよく御存じのことと存じますから、それ以上申上げないでもおわかり願えると思うのでありますが、とにかくいずれにいたしましてもまだそういう今申されましたような渇水時の代用をするんだというような意味でこれを計画するつもりがあるかと言われれば、私はその調整審議会というものできまる問題であつて、今確たる御返事はできないが、提案者自体が今考えておるところでは、今申されましたような意味において只見川をやるつもりではございませんと、こう申上げるよりいたし方がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/15
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016・下條恭兵
○下條恭兵君 只見川ばかり例に取るのはおかしいのですけれども、只見川の分流案と本流案があることは御承知の通りでありますが、今提案者がお考えになつておるのは、分流案ならば非常に工事期間が短くて早く電気ができる。それから本流案のほうをやるとダムを作る関係で相当長くかかるということになると、この提案の趣旨からいつても今度早急に電力を出そうという要請から言つても、当然分流案のほうでないと本当の目的に合しないように思いますが、当面の使命達成に達して困難のように思いますが、提案者はそれに対してどうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/16
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017・福田一
○衆議院議員(福田一君) 只見川は日本における最大の出力を持つた日本のホープとも言われるべき大きな電源地帯であります。この電源地帯を如何ように利用するかということは、これは国にとりましても大問題でございます。従つて公益事業委員会などからも
○CIを招聘されていろいろ研究しておる。前の日発も研究しておる。東北電力も関東電力も研究されておる。いろいろ研究があるようでありまして、分流案、本流案というものはいろいろあるようでありますが、併しこれに対しては、私は最善のものかこの調整審議会できめられるべきだと思いまして、私個人といたしましてどの案を採るかと言われましても、それほどのまだ知識を特つておりませんので、残念ながらお答えができないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/17
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018・下條恭兵
○下條恭兵君 私が申上げるのは、提案者といもまして、私はたまたま只見川の例をとつたのですけれども、ほかにもそういう所があると思いますが、私は安本長官にもお尋ねしたのですが、国家百年の大計から言つて、今後拙速で事を誤るようなことがないようにという点を私は強く心配しておるわけです。そこで提案者においてもそういう点について十分お考えがあるだろうと思つて一応お尋ねしたわけであります。
私は更にお尋ねしたいのは、今提案者からOCIのお話が出たんですが、政府は相当の支出をしてOCIに調査を依頼し、そうしてこれは公益事業委員会のほうで委嘱してやつているそうですが、今その審議の経過を聞いて見ますと、この法案作成に当りましても何ら公益事業委員会のほうは御関係がないということを前回も前々回もここに来て言つておられるので断ります。こういう問題に対してこのOC1の調査なり、或いは公益事業委員会のほうの電源開発調査委員会というのがあるよろですが、これらの意見というようなものはこの法案作成までの間に全然取入れておられないのかどうかということをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/18
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019・福田一
○衆議院議員(福田一君) OCIはその当時においてはまだ結論が出ておらなかつたし思うのであります。それから又前の日発とか或いは東北電力とか或いは関東電力、公益事業委員会等でもいろいろ御研究になつておるようでありまして、私どもといたしましては、法案としてはこの只見川のようなところは是非取上げてやるべきであるという趣旨を貫きまして、そうして今あなたが仰せられたように、これはもう拙速主義でやりましてえらいことになつては大変なんでありますから、そこで日本の金智全能を傾けて、そうして最善の案を選ぶ、こういう建前においてやるべきであるがゆえに考えておつたわけでありまして、個人心々といたしましてはいろいろの意見も聞いておつたでありましようが、そのうちのどれを基本にして本法案を作つたということはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/19
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020・下條恭兵
○下條恭兵君 公益委員会のほうから松永先生もお見えになつておりますから、もう一遍私はその得心の行かない外資の問題に戻りたいと思いますが、提案者にちよつとお尋ねいたします。大蔵大臣は一昨日起業者がばらばらに発電計画を進めて行くよりも一社のほうが外資導入に対してはよりベターだと考えておると、こういうふうに言つておられたし、今安本長官はこの法律が通過して特殊会社ができることを前提にした外資の導入の運動を政府のほうではやつておるというふうに言つておられるのであります。ところが一昨日にしましても、又先月の十五日かと思いますが、そのときの公益委員会の松本委員長の御議論を聞いておりましても、この会社ができて外資導入というようなことは殆んど不可能に近いというような断定を下しておられることは、提案者もお聞取りだと思うのですが、そこで公益事業委員会の御意見の、外資はこの形態においては入つて来ないという意見に対して、これでも入るということの論拠がどこにあるか、一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/20
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021・福田一
○衆議院議員(福田一君) 実は先般も松本さんからいろいろと御高説を承わつたわけであります。その説の根本をなしておられるのは、これはもう担保などは要求しておらない。それから国の補償というような問題も大した問題じやない。そのプロジエクトさえよければそれでよい。それを最も重視しておるようであると、こういう御意見の開陳があつたのでありまして、これは私は何も松本先生の案を反駁するという意味で申すのではありませんが、然らばプロジエクトというものはどういう意味かということであります。その電源を開発いたしまして、それがどれだけの收益を挙げて行くかという、これが私はプロジエクトだと考えたわけであります。そういうことにいたしますならば、担保がどこにあるかということが非常な重点になつておるのであります。というと、これは長く続いて行かなければいけないということもありましようが、プロジエクトがいいというのであれば、当然担保権はその発電所に附いて移動されるものでありますからして、何も大した問題にはならない。どの会社でやつても同じようなことになりはしないかという私は気持を実は抱いたわけであります。これは松本先生の御意見をお伺いいたしておつて私の感じたところであります。併しそれではこの外資の導入は如何なる形において、どういうふうにやると一番いいか。これは金を借りに行くときに私が金を借りに行くほうがいいか、安本長官が金を借りに行くほうがいいかその行く場合でもどういうような服装をして行つたらいいか或いは何月何日頃行くと一番向うがいいかというようなことを一応あらかじめ議論しておるような形になるのでありまして、どちらにしても外資が導入されることはこれは非常に結構なことである。その意味で公益事業委員会でも大いに骨を折つておられるということについては、私は非常に敬意を払つておるのでありますが、併しそれだからと言つて、おれのやるやり方でなければ絶対に入らない、そういうやり方はやめたほうがいいというようなお考えは、これは余りに少し独善的と言いますか、排他的と言いますか、少し私は行き過ぎのようじやないか。私はいずれの努力も傾けて見まして、どちらにしてもどつちからでも入つて來ること、早く入れるということが日本の電源開発を促進する意味において非常にいい、こういう意味合いで私どもといたしましては公益事業委員会の今やつておられることにも敬意を払う。我々の政府が又やつておられることについても一応その成り行きを見て頂く。目的は一つでおります。アメリカから金を借り上うという目的でありますから、どの方法でなければ絶対駄目だなどということをこの議会などで余り議論することは、それ自体が私は何か少しおかしいような感じがするのでありまして、目的が一つだという意味合いでは、これは余りその点をここで、私か又外資導入の担当をしておるわけでもありませんし、それについてお前は自信があるかと、こう言われても、相手方のあることだから、どちらの方法でやれば一番いいのだということをここで私が申上げることも如何がと思いますので、その点は一つその程度で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/21
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022・下條恭兵
○下條恭兵君 私実はこの法案を見ておりますと、この会社の重役の任期が二年になつておると思います。電源開発のような最低四年も五年もかかる事業の重役の任期が二年であるというようなことは、これは実際この経営の衝に当る人が自信を持つてやれるかどうかわからんと疑問に思いますが、何も逐条審議でありませんから私は申しません。けれども松本委員長の指摘を待つまでもなく、こういろでき上ると解散することになつておる会社で、而も重役の任期が二年で、これが再選されるという保障が何もないというような形というもは、なかなか外資導入の条件としてこういうことが適格性を備えておるかどうかということに対しては私は疑問を持ちます。そうして外資の問題はここで論議をするなと言うけれども、これはおかしいと思います。実は外資が入るか入らんかということは、日本の電気事業、延いては一般産業に対する運命に相当重大な影響があるということは提案者もお認めになつておつた。だからこれが入るか入らんかということは相当もう重大な課題だと思いますのに、ここで相手のことを論議するなということは、私は甚だ遺憾だと思うのですが、私はそれにも増してお尋ねしたいと思いますのは、これは安本長官からお答え願つてもかまいませんが、昨年の講和会議に、新聞の伝えるところによると、大蔵大臣や日銀総裁が特に全権として行つたのは、外資導入の打合せ等もあつたためにああいう全権団の構成だつたというふうに新聞は伝えておつたように思います。当時からいろいろと折衝があつたと思いますし、今安本長官も折衝中だというふうに言明しておられるのですが、そこで私は本当に政府がまじめに外資導入を期待しておるならば、先ず向うとも事前に折衝して、そうしてこの事業形態ならば外資を入れてやろうというようなあらかじめの話合いがあつてこそ、私は本当に電気事業を忠実に、而も安い電気を供給できるような態勢を早く作り上げようという意味においては、私は親切な誠意のある態度だろうと思うのです。今そういう点について私はお尋ねしても御答弁がないわけですから、これはそれ以上お聞きしても仕方がないと思いますが、提案者は一体二年の任期の重役が、その外資導入の当面の責任者になるというようなことが適当なこととお考えになるかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/22
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023・福田一
○衆議院議員(福田一君) 実は御承知のように新らいし商法におきまして、重役会の権限を非常に強化いたしたわけでありまして、というのは、株主総会の権限よりは重役会を軍視するということに新商法がなつたわけであります。で、この会社も特殊法人でありまするからして、やはりそういう点も考慮いたしまして、重役会の権限が非常に強いのでございます。そういう重役会の、これは一般でありますが、傾向的にそうなつておりますが、そういう重役会の権限の強いということになりますと、長い間不適当な人が重役にとどまる場合は非常に困るわけであります。そこでこれはやはり一応任期を二年くらいに切つておくべきだという見地からこれをきめたのでありまして、勿論再任を妨げてはおりません。留任というか、再選されることはちつとも妨げがないのでありまして、まじめにやつて頂いたかたならば、それは勿論続けてやつて頂くことに相成ると存ずるのであります。これが外資導入にどういう影響があるかということになりますれば、まあいろいろ御批判もあろうし、御議論もあることと存じますけれども、この重役の任期を二年にいたしましたの、実はそういう点が根拠につておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/23
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024・下條恭兵
○下條恭兵君 まあ議論すれば際限なくこの問題もなんだと思いますが、あとで又……。ここで一つ松永先生お見えになつたようでありますから、松永先生にもう一遍、今提案者が言われるようなことで、この特殊会社に二年の任期の重役でも、重役の再選を妨げるということをきめておる会社なんかあるかどうか、それも知りませんけれども、こういうことで果して外資導入ができるかどうか、この点について今提案者のお話があつたのでありますが、松永先生からいま一遍、前回の所論と、若干の今の提案者の意見を聞いておられて、公益委員会としての考え方に修正する余地があるかどうか、参考に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/24
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025・松永安左エ門
○政府委員(松永安左エ門君) 只今下條氏が外資導入の関係において、新会社と申しますか、只今提案になつておる任期の二カ年ということが、外資導入などに影響があるかないかという御質問のようでありますが、これに関して私は深き関心はむしろ持つておりません。かかる官設会社のできること自身が外資導入には大きな障害になりはしないかということを恐れております。その理由の主なるものは、先般私どもの松本烝治博士が説明せられた通りであります。私は深き学問上の理由は御説明できませんけれども、自分の体験においで旧来の日発の失敗、そのほかのことから思い合せまして、外資導入に関する限りにおいては、別な構想でなければ困難だと思つておりまするので、この重役の任期が二カ年では困る、四カ年になれば外資導入ができるだろうというようなことは、一つの末節的のことでなかろうかと考えております。併しお話の通りに、いやしくも会社を経営しよう、政府も又これは適当な人であるといういわゆる衆望を負うてその任に当る人が、どうも甚だ危ないから二年くらいにしておこう、そういうみずからさようなことを考えて、おる任期ということは、これは外国の例に徹しましても、或いは国内の例に徹しましても、どんなもの貼ろうかと思いまするが、これはむしろ外資導入に関係のない話で、政府がかかることをおやめになりさえすれば何でもないことであります。一言だけ申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/25
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026・下條恭兵
○下條恭兵君 いま一点公益委員会のほうにお尋ねしたいと思いますが、〇CIの調査が今継続中だと聞いておりますが、最近の中間報告でも出ておりますかどうかということが一点。それから結論が出るのはいつ頃になるかということを一点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/26
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027・松永安左エ門
○政府委員(松永安左エ門君) お答えを申上げます。OCIから文書的の中間報告はありません。併し去る四月十二、三日頃と思いまするが、一度会合してものの渉り方について、政府として、公益委員会として催促いたしまして、まとめ方を請求いたしましたことに対して、この程度まではやつているという話が一度ありました。それから最近クロアという向うの少し年長の專門家が、委員会の頼んでいる仕事の渉りが遅いものですから、向うから更に專門の人が参りましたので、これがアメリカに帰る間際に、私どもと電源調査会の人に集まりを願われて、自分の見ている限りにおいての只見川、或いは熊野川両河川についての自分の見解はこんなものであるという話もありました。それはまだ詳しく御報告すべき段階に達しておりません。書面等も揃つておりませんが、議会が若し御要求になりますれば、その当時の談話そのほかは、まとめて提出いたしても差支えありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/27
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028・下條恭兵
○下條恭兵君 これはOCIの中間報告にせよ、クロア試験にせよ、電源開発に対しまして、この法案審議に対して非常に参考になると思いますから、一つこのクロアの中間報告書を公益委員会のほうから、文書を以て資料として出して頂くことをお願いいたしたいと思います。私はまだいろいろお尋ねしたい点もありますが、どうも外資に関する関係は、私十分得心が行きませんけれども、大蔵大臣は見えておりませんし、一応私の質問はこれで打切らして頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/28
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029・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/29
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030・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それじや速記を始めて下さい。それでは今日、都合によりましてこれで散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/30
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031・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 決定いたします。
午後三時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314066X00519520509/31
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