1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十七日(火曜日)
午前十一時三十四分開会
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出席者は左の通り。
経済安定委員
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
委員
愛知 揆一君
杉山 昌作君
須藤 五郎君
大蔵委員
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
委員
黒田 英雄君
小林 政夫君
小宮山常吉君
田村 文吉君
森 八三一君
野溝 勝君
菊田 七平君
木村禧八郎君
政府委員
外資委員会事務
局長 賀屋 正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 渡辺 一郎君
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
法務府民事局第
四課長 吉田 昂君
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本日の会議に付した事件
○外資に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは外資に関する法律の一部を改正する法律案に関する経済安定と大蔵の第四回目になると思いますが連合委員会を開会いたします。前回に引続きまして質疑を継続いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/1
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002・小林政夫
○小林政夫君 民事局長が御都合が悪くて第四課長が来たそうでありますが、法務府としての見解を述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/2
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003・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 新株の引受権が譲渡できるかどうかという問題でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/3
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004・小林政夫
○小林政夫君 そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/4
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005・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 新株の引受権が譲渡できるかどうかということについては別段法律に規定がありませんので、これは又判例もありませんので、学説によるほかはないのでありますが、学説によりますと、もうこれは定説と言つてよろしいかと思うのでありまするが、新株の引受権は譲渡はできるが、併し会社に対しその効力を生じないというように解釈すべきであろう。つまり商法の百九十条、それから二百四条第二項ですかを類推いたしまして、それと同じように解釈すべきであろうというように言われております。まあ譲渡はできるという意味は、債権的に譲渡ができるという意味で、会社に対しその効力を生じないということになりますと、これは会社側でその譲渡を認めましても、やはり効力を生じないという意味でありますから、結局において何と言いますか、素人わかりのするように申しますれば、引受の権利は譲渡できないというように言つてもいいのじやないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/5
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006・小林政夫
○小林政夫君 それはあなたは一般の通説として言われたわけで、法務府もそれと同様な見解だということでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/6
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007・吉田昂
○説明員(吉田昂君) そういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/7
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008・小林政夫
○小林政夫君 この商法百九十条の規定は、これは一応引受をしてからのちの、株式申込証にちやんと書いて正式の書類にして引受をしてからのち、株の払込金を払込んでおらないという場合に、それを店頭売買することによつて、あとで実際において譲渡ができないという弊害を、プレミアム稼ぎに終つて実際に会社が払込みの請求等する場合において困るのじやないかという弊害を防止するためにやつておるのであつて、まだそういつた書類による正式な引受がない。商法第二百八十条の五第四項に規定しているように、「会社が通知又ハ公告ヲ為シタルモ新株ノ引受権ヲ有スル者が期日迄二株式ノ申込ヲ為サザルトキハ共ノ権利ヲ失フ」という、ここで言われておるような、会社が通知を出した、その間においてまだ申込証を出しておらないというようなものについて売買が行われて、それを認めないということは、別に商法百九十条で禁止しているような、予想をされるような弊害を伴わないと私は思うのであります。従つてその商法百九十条は直接に私のいうような、今の商法二百八十条の五、第四項から考えられるような、いわゆる新株の引受権というものの直接譲渡を禁止している規定ではない。ただ商法百九十条の規定があるから類推的に当然そこでも禁止すべきだというふうに考えられるのでしようが、それはそうじやないのです。そう解釈する必要はない、又特に最近は授権資本の制度が採用されておつて、別に具体的に払込がなくても株式の発行だけで増資をやるということもできるわけですから、商法百九十条の解釈を、私のいういわゆる新株引受権まで類推する必要はない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/8
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009・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 百九十条及び二百四条の規定の趣旨は、おつしやる通りだと思います。ただ二百四条にしても百九十条におきましても、新法によりますと、それほど強い禁止の趣旨はない。ただ株式の譲渡について、株券というようなものを利用しないで譲渡するということについては、非常に流通の激しい株式にとつて危険ではないかというような意味で、こういう規定がまだ残されていたようなわけでございます。そういうことから考えますと、新株引受権につきましても同じようなことが言えるのじやないかというのでこの規定を類推したわけでございますが、新株引受権自体にあつては譲渡ができる、権利株になりますと譲渡ができない。株式にあつても、株券を発行するまでは譲渡ができない。株券が発行されて初めて譲渡ができるというように、段階が幾らか分れるということになりますと、取締り上いろいろ間違いが起きる虞れもないではないというふうに考えられるのであります。そういうことから、やはり百九十条を類推したほうが正しいのではないかというふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/9
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010・小林政夫
○小林政夫君 それは、はつきりその新株引受権者が会社に対して明らかになりさえすればいいのでありますから、今の申込証を出してから後とか、或いは新株発行前の売買というような、株金領収証や払込金領収証の店頭売買というようなものとはおのずから大分性質の違うものになつて来る。新株を割当ても、その割当を受けた人が必ず引受けるとは今までも限らない。全部との会社決議によつて一対一で新株を割当てるということがきまつても、必ずみんなが、割当を受ける人がみんな応募するとは限らない。ですからそれを任意に売買して、譲り渡しをしても別に弊害はないと思います。あとこの商法第百九十条等で規定しておる条件には該当しない、あなたが今言われた趣旨には該当していないと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/10
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011・吉田昂
○説明員(吉田昂君) それは二百四条の第二項の場合でも同様なことが言い得るわけでございまして、弊害がないと言つては弊害がないようでございますが、何と言つてもその譲渡の方法ということが、まだはつきりと法律にきまつていないという点に多少の不安があるのではないかという意味で、百九十条、二百四条が残されたのでありますから、その意味から言えば、やはり新株引受権についても、その譲渡の方法というものがはつきりした上でなければ、百九十条、二百四条第二項と同じような意味において譲渡ができないというふうに解すべきではないかと考えるのであります。二百四条第二項の場合でありますと、ただ株券が出ていないというだけで、株式の譲渡ができないことになつておるのでありますが、もうこれは払込みも済んでおりますし、又株金領収書というようなものが発行されていて間違いがないと言えば間違いがないし、又実際にもそれが行われているという状況でありますが、まだ法律上それが有価証券と認めるところまで行つておりませんので、やはり株式の譲渡の方法としては、まだそれほど安定したものではないというふうに考えられますのでこの規定が残されたものだろうと考えますが、そこでその意味から行きますれば、新株引受権についても、まだその譲渡の方法というものがはつきりしていないというような意味から、やはり百九十条、二百四条第二項を類推すべきではないかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/11
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012・小林政夫
○小林政夫君 それはこの商法二百四条の第二項というのは、これは会社がその株券を発行するに当つて、そういう領収証等によつて売買された場合には、株式の発行手数料がかかるというような、手数というか、非常に手数がかかるというような事務的なことが主であつて、そこでは間違いはないと思いますが、企業再建整備法の関係においては、新株引受権は認められておつて、第二十九条の四によつて明文で以て譲渡ができると書いてある。又その再評価積立金の資本組入に関する法律の第九条第一項によつて、新株引受権が認められておるとありますね、こういう規定をどういう意味で書かれておるとあなたはお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/12
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013・吉田昂
○説明員(吉田昂君) これは理論的に譲渡ができないというものではないのでありますから、特別の規定で譲渡を認めるということは差支ないのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/13
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014・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今の小林君の質問に関連しまして、事実上今新株の引受権の譲渡は行われているのですね。事実上……。大体商習慣として、今そういうことが行われているのではないですか。現にやつているのですから、事実やつているのですから、若し実害があるのなら、はつきりと取締るべきじやないですか。実害があるというのなら……。現に商習慣として行われているこの事実に対してどういうふうにお考えであろうか、その点一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/14
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015・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 新株引受権の譲渡は法律で認められている以外において事実行われているかどうかということについては私はよく存じませんが、大体効力を生じないという意味においては禁止されているわけでございます。でありますから、若し事実行われているとしますれば、それはそういう危険の下において行われている。つまり間違いが起きたときには自分で責任を負う、自己責任において行われているようなことになるわけであります。それ自体罰則の問題になりますが、これは又別に考えなければならないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/15
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016・木村禧八郎
○木村禧八郎君 実害があるとなると問題になるので、さつき小林君も言われたように、これはすでに証券処理調整協議会ですか、こういうところでも大ぴらにやつたのです。そういう実例があるのです。大蔵省もすでに新株の譲渡によつて儲けたと思うのです、日本の大蔵省が……。実例があるのです。ですから問題は非常に実害がある。先例があるのですからそれは禁止すべきである。そうしなければ、そういうことを法律上差支えない、ただ会社に対抗できないということだけでその人の危険においてやると言うけれども、はつきり知つておればいいですが、知らないでやつては対抗できない。事実上商習慣としてそういうことが行われているなら、これはむしろはつきり、できないならできないと禁止すべきが本当だと思うが、ところがそこが非常にあいまいなんです。今の商習慣というものをこれは大蔵省のほうから聞きたいのですが、すでにあるのにこれを無視されたような御答弁があつたのですが、実際今どうなつているのですか。大蔵省のほうに伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/16
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017・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 事実上あるのじやないかというお話でありましたが、これは何と言いますか、新株引受権の譲渡はできないわけではない。併し会社に対してその効力を免じないというわけでありますから、新株引受権を譲渡するような場合でございますれば、これは契約として譲渡しまして、そうして引受権者が申込みをして自分で払込みをして、株式を取得して、そうして譲渡できるようになつてから株式を引渡すということはできるわけです。そういう方法で譲渡をやつて行くのじやないかと思います。そういう方法なら別段差支えない。現行法でできるわけです。で、ただ先ほど絶対的になぜ禁止しないかというお話でありますけれども、先ほども申しましたように、百九十条及び二百四条第二項の禁止はこの程度の禁止で差支えないというくらいの理由でありますから、新株引受権の譲渡もそう絶対的に禁止するほどの必要はないのじやないか。やはり百九十条、二百四条の二項を類推するくらいでよろしいのじやないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/17
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018・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これまで何か弊害があつた事例がありましたか、若しかありましたらお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/18
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019・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 事例の問題については賀屋君から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/19
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020・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 只今の木村委員の御質問で、大蔵省の関係の御質問がございましたが、本日大蔵省が参つておりませんが、私のほうで漠然と記憶いたしておるところによりますると、従来行われました新株引受権の譲渡は大概やはり法令に根拠があつたように聞いているのでありまして、従つて合法的なものだと考えておりますが、又一般の増資の場合に新株引受権の譲渡ということが商習慣として行われているという点につきましては、只今吉田課長から御答弁がありましたように、実質的には引受権を譲渡したようなことにはなつておりますが、形式上はその払込み期日において元の譲渡をする人の名前において払込みをする。そうして株券が発行されてから直ちに名義書換をするというようなことでやつておつたのではないかと考えております。具体的に弊害が起つたというようなことは只今までのところでは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/20
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021・小林政夫
○小林政夫君 今の企業再建整備法関係と、それから再評価積立金の資本組入れに関する法律、これはやはり新株の引受権が問題になつて、その手続規定を念のために書いたというふうに解釈ができる。我々は解釈できる。ここではつきりそういう規定ができたから、そこで初めて特例として新株の引受権が法的に認められたというふうには思わない。それと、先ほどの商法二百四条の第二項ですか、これはさつきも言つたように、会社の株券発行の事務が混乱を来してはいけないという意味でただ事務的にそういうことで、弊害というよりはそういう便宜を考え名た。而もこの株式譲渡については義書換をしない限りは株券の譲渡については会社に対抗できないということが商法の二百四条第一項及び二百六条の第一項にある。会社に対しても対抗できないということを言わざるを得ない、それと裏腹と言うか、一緒になつてのことだと思う。ところが新株引受権についてはそういうことはないので、はつきりただ会社側が認めないのにどんどん売買するということはやはりいろいろ事務的に困るのですから、その手続がはつきり会社の承諾を得るということであれば売買を認めても差支えない。そこは手続上会社が承認しさえすればいいというふうに解釈していいのではないか。その点は何らそれについては商法で規定してないのですから、そういう解釈の問題で、はつきり会社が新株の引受権の譲渡を認めるということであれば、会社はちやんとそれによつて整理しますから、あとの手続はすぐできます。事務的の問題は事務的に片付く。特にそれを認めないとか、無効だとか、会社に対しては無効だとか言う必要はない。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/21
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022・吉田昂
○説明員(吉田昂君) その点は先ほどお答えしました通りでありますが、大体株式について二百五条、二百六条というような厳格な譲渡の方式を定めたことにつきまして、それに対して株券先行前の株式の譲渡は会社に対して効力を生ぜしめないのです。二百四条の趣旨はおつしやつた通りだと思います。ところがこの新株引受権と言いましても、引受による権利、権利株と言いましても、実質においては何ら株式と変りがないので、そういたしますと、株券発行前の株式と同様の考えでいいのではないかと考えております。株券発行前の株式について二百五条、二百六条のような厳格な方式をとることはできない。従つて会社に対して効力を生ぜしめないというように法律が定めたとしますれば、新株引受権についても同様な取扱をしてもいいのではないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/22
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023・木村禧八郎
○木村禧八郎君 さつき賀屋さんから、大体大蔵省関係においては法文に明記してあるので、新株について別に違法的なことをやつていることはない、再建整備法とか再評価法に明記しあるというが、併し法文に明記してない場合において大蔵省は権利株を売つたことはないのですか。儲けたことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/23
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024・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 法令に明記のない場合に、新株引受権の譲渡を果して行いましたかどうか、具体的な事例については残念ながら私只今知識を持つておりませんので、後刻大蔵省に問い合わせましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/24
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025・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私はそういう事例があつたと聞いているのです。証券処理調整協議会では大つぴらにそういうこともやつたと聞いております。ですから、その事実をよく調べて、ただ法律に明文があつたときのみ大蔵省ではそういう株式の引受権というものを売つて儲けた、こう言つているけれども、そうでない場合もありますから、その事実を確めまして……、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの新株引受権は大体株券と同様だというような意見も言われましたね。そんなことはないですよ。株とは違う。引受権は株式と同様に考えるべき問題じやないので、その考えだから今のような商法二百四条たとか、二百五条だとか、六条だとかいうものを類推して考えなければならんという気持になる。また株を引受けるかどうか、引受け得るというだけの権利なので、まだ株は引受けてない。株とは切り離したものなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/26
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027・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 株式自体でないことは勿論であります。ただ株式についても二百四条第二項のような規定がある以上は、権利株も、それからその前の新株引受権も同様に考えてよろしいのじやないかというように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/27
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028・須藤五郎
○須藤五郎君 少し関連が外れるかもわかりませんが、賀屋さんにお尋ねしておきたいと思うのですが、これまで戦前から日本国内にずつと住居しておつた朝鮮の人たち、それから中国の人たち、台湾の人たちがありますが、その人たちから、国外送金はしないという条件で、自分たちの手持ちのもので日本の株を買うことができないかということがあなたのほうに請願か何かで出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/28
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029・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 只今の御質問の要旨の要求は、戦前から長くいます朝鮮人、台湾人についてそういうことを認めて欲しいという陳情を受けたことはございます。ただ正式な形で書類として受取つた覚えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/29
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030・須藤五郎
○須藤五郎君 それに対してどういう御意見でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/30
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031・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) これは成るほど現行法によりますれば、外国人、日本の国籍を持たない外国人には一律に、ただ単に国内において蓄積いたしました円貨で以ていわゆる旧株、つまり市場で買います株とかいうような資産の増加をもたらさない株は、たとえその配当金でも、或いは……今度の改正によつて元本が一定の条件の下に送れるようになりますが……、この元本なり、配当金の海外送金の保証を要求いたさないとしましても取得が認可されないということになつているのであります。これは前々から御説明いたしておりますように、只今のところ日本の経済の今日の段階におきましては、やはり国際収支という観点からこの旧株の外人取得は、たとえ円貨によろうとも制限する必要があるという考えに出でているのでありまして、これを仮に或る外国人には認めて他の外国人には認めないということにいたしますと、その線の引きようが非常にむずかしくなります。数においてはなるほど戰前から日本に住んでおられます朝鮮人は圧倒的に多いのでありますけれども、そういつた外国人にこの例外を認めるということだけでは非常に不十分でありまして、他の第三国の外国人等にもやはり認めなくてはならないというようなことにもなりまして、ちよつとその例外を認める根拠が薄くなつて参ると考えられまするので、これはやはりこのたび平和条約の発効に伴いまして、朝鮮が立派な独立国家の国民となられたこの機会において、一般のアメリカ人その他の外国人と同じような扱いにして行くのが適当ではないかという考えから、特にそういつた例外は認めないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/31
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032・須藤五郎
○須藤五郎君 ところが戦前から日本にいた朝鮮人、これは日本人としていたわけですね。それから台湾人も日本人としていた。そうして日本で生業を営むことによつて得た資産、それでその人たちはその金を本国に送ることもできない。そうして日本において投資することもできない。そういう窮地に追い込むということは、少し僕はおかしいと思うのです。それじやその人たちは何で生活して行くかということになつて参ります。ですからその人たちは何も償還金とか、それから果実を本国へ送るということは希望していない、日本に永住する、日本でそれを消費するということはちやんと確認しているわけですね。それをなおそういう一方的な認定の下において禁止しなくちやならんという必要は、その根拠が少し薄弱だと思うのですが、それに対して何か便法を作るというお気持もないのですか、その人たちに対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/32
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033・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 只今のところではそういつた長く日本に住んでおられますような朝鮮人等につきまして、特に便法を設けるということは考えておりません。又はこういつたかたがたが帰化せられまして、日本の国籍を持てば日本人と同じ扱いになるわけでありますが、だから国内で蓄積いたしました円貨で株を買います場合、全然買えないというわけじやなくして、いわゆる新株の場合には、これは国外送金保証を要求しない限りは届出でだけで買えるわけであります。まあそういつたような便法もありまして、生活の根拠として株だけの投資しかないかどうかというような点問題がございますが、只今までのところは特に例外を設けるという考えを持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/33
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034・須藤五郎
○須藤五郎君 それじやもう一つ尋ねますが、朝鮮人や台湾人の人たちに対して一方的にそういう、私らが見たら非常に不公平な扱いだと思うんですが、生活々脅かすような方法を取つていると同時に、今度逆にアメリカの人たちに対しては非常に株の取得をドルでできるということのために、無制限にあなたたちは認めようとしている。ところが今日一ドル三百六十円で換算して、それを持つて来れば五十円の株はとにかく七株買えるわけですね。一ドル、これは前の二円ですよ、日本の円貨で言つたら。戦前の四円ぐらいのドルを持つて来て五十円の株を七株も買うということになれば、株の値段を左右するアメリカとしては楽なんです。一つの生産会社の株を買占める。そうしてアメリカから材料を提供しない、要するに材料をお前のほうへ輸出しない、これはアメリカで一方的に決定できるんですよ。そうしてそこの株はぐんと下つちやう、又買わないということになれば下つちやう、下つたときに株を買える、そうして今度は株をつり上げるなんということは、それは自由なんです。今度お前のほうへ材料を余計安く提供するぞというようなことを発表する、そこで株が値が上つちやう。上つたときにぽんと売つてしまう。そういうことでアメリカの資本によつて日本の産業界というものは実に簡単に左右されてしまう、僅か戦前の四円ばかりで七株買える、どんどんと買つて、そういう操作によつてどんどんとアメリカのほうへ送金されちやう。そういうことをどんどん露骨にやられたら日本のドルというものは殆んどなくなつちやうんじやないですか。そういう危険はあなたたちはどういうことで防ごうと考えておられますか。一方において非常に中国の人や朝鮮人をいためつけておいて、もう一方でそんな大きな抜け穴を考えておるのじやないですか。そういうことを政治的にしようとあなたたちは思つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/34
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035・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 株式の取得につきまして、いわゆる外貨或いは外貨相当物を持つて参りました場合には、その裏付のある円価で株を取得いたしますケースでありまするならば、必ずやその半面において日本の国際収支の改善に寄与して行くという効果もございますので、それが目に見えた弊害がない場合は認可ができる。これは自由には認める法律的な制度にはなつておりませんけれども、依然としてそういつた場合にも認可はできるということになつておりますので、目に見えた弊害がない限りは認可するという方針でありまして、ただ朝鮮人等の扱いが、これはやはり日本人と、長らく住んでいる朝鮮人との間では或る程度不公平があるかもしれません。外国人相互間には何らの不公平もないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/35
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036・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと今の須藤君の質問はちよつと政策の重要な問題でありますから、事務当局の答弁だけでは無理だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/36
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037・須藤五郎
○須藤五郎君 僕も不満です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/37
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038・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ですからなお時間も十二時を過ぎましたので、今後の運用の問題を御相談いたしたいと思いますがよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/38
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039・小林政夫
○小林政夫君 その前にちよつと締めくくりをしておきたいと思います。法務府の見解は、若し新株の引受権の売買譲渡というものを有効に認めようとすれば、企業再建整備法或いは再評価積立金の資本組入に関する法律に書いてあるように、やはりこの法律で法定しなければならないという見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/39
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040・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 新株の引受権の譲渡を認めようとする場合には、やはり法律に規定しなければならないと思いますが、一般的に規定するということになりますれば、やはり商法の改正で行かなければ不適当じやないかと考えております。非常に特別な場合でありますれば、これはほかの法律で定めるということも考えられます。それは具体的な場合を考えてみないと簡単にお答えできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/40
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041・小林政夫
○小林政夫君 例えば外国の投資家がその本国法或いは日本の法令によつて、今まで持つておつた株式に対する新株の割当を受けられない、いわゆる新株を引受けることができないというときに、その権利を他に譲渡するということを、その人の何というか、いわゆる利益が得られるような方法で譲渡するということを規定する場合、この外資法に特別な規定を設けてやらなければいけないのだと、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/41
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042・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 株主一般が或る特定の場合に、割当てられた新株引受権というものを譲渡すことができるというような規定でありますれば、特別法で規定するのも或いは不可能ではないと考えますが、或る特定の株主だけに与えられた新株引受権を譲渡すことができるということになりますると、譲受けるほうの側で、その特定の株主の株式に当るか当たらないかということを見分けることが困難な場合が多いと思いますから、適当じやないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/42
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043・小林政夫
○小林政夫君 外国投資家ということがはつきりしているわけです。特定の株主ということは外国投資家、この外資法に言う外国投資家、具体的に言うとアメリカ人は新株の引受がアメリカ本国の証券法の関係で引受けられない。それを救済するという場合にです、特別にこの外資法ではつきりそういつた外国投資家が、本国又は日本の法令では引受ができないという場合に、その引受権を譲渡することができるというように、規定で譲渡することができるということにしようと思えば、特別立法でこの一条項を加えることによつてやらなければならんかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/43
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044・吉田昂
○説明員(吉田昂君) 外国法で新株引受権が与えられた場合に、それを引受けることができないというような法律があるかどうか私存じませんが、そういう法律は恐らくないんじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/44
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045・小林政夫
○小林政夫君 あるのだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/45
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046・吉田昂
○説明員(吉田昂君) それで外国投資家がという場合に、(「自信のある答弁をしなければいけない」と呼ぶ者あり)一回だけであつたならば可能かと思いますが、併しその後何回でもそれが事実できるということになりますと、見分けがつかなくなるんじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/46
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047・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 新株の割出がありました場合に、それに応募することができないという点につきましては、資料としても提出いたしてございますが、アメリカのSECの有価証券取引法にそういうような規定がございまして、一年以内にそういつた株式に応募することはその会社がアメリカにおいて登録しておらなければならないということになつております。従いましてこれを文字通りに適用いたしますと、今言つたようなことになると思いますが、アメリカでそういう制度がありますことを、日本の法律で一般的な法令で外すことがいいかどうかという問題は、今日としてはなかなか困難な問題じやなかろうか。それから法令を設けまする場合に、商法の例外規定で行くか、この外資法の特別規定で行くかということについてでございますが、外資法はその内容をお読みになつてお感付きになりますように、むしろ国外送金の分を大体取扱つている法律でありまして、生れましたその原因が、大体この国外への送金保証をやろうということで、これはいわゆる為替管理法の例外規定というような性質を持つた法律でございます。そういつた為替管理法的な法律の中に、そういつた実体的な新株引受権の譲渡を認めるといつたような、商法の例外的な規定を設けることは、私はちよつと妥当じやないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/47
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048・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは先ほど申上げましたように運用上の御相談を申上げたいと思います。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/48
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049・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。それでは出席を要求されておりました大蔵大臣等の閣僚の出席もありませんので、一応今日の委員会はこの辺で打切りまして次回の委員会につきましては大蔵委員長と相談して決定するというふうにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/49
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050・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは今日はこれで散会いたします。
午後零時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314068X00419520527/50
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