1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年四月十七日(木曜日)
午前十時四十五分開会
—————————————
出席者は左の通り。
経済安定委員
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
委員
大野木秀次郎君
小滝 彬君
杉山 昌作君
通商産業委員
委員長 竹中 七郎君
理事
古池 信三君
小林 英三君
栗山 良夫君
委員
中川 以良君
松平 勇雄君
山本 米治君
加藤 正人君
島 清君
西田 隆男君
政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
公正取引委員会
事務局総務部長 古内 廣雄君
事務局側
常任委員会專門
員 桑野 仁君
常任委員会專門
員 渡邊 一郎君
常任委員会專門
員 林 誠一君
常任委員会專門
員 小田橋貞壽君
常任委員会專門
員 山本友太郎君
—————————————
本日の会議に付した事件
○事業者団体法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/0
-
001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは経済安定と通商産業委員会の連合委員今を開会いたします。
本日の議題は事業者団体法の一部か改正する法律案でありまして、予備審査になつておるものであります。先ず政府側の提案理由の説明を承わります。公正取引委員会の委員長横田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/1
-
002・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 只今上程されました事業者団体法の一部を改正する法律案についてその提案の理由を説明いたします。
昭和二十三年七月に事業者団体法州公布、施行されまして早くも約四年を経過致しました。公正取引委員会はこの間本法の施行に当つて参つたのでありますが、その施行の経過に徴しまして、本法中の若干の規定で日本経済の実態に副わないものがあることが認められたのでございます。殊に中小企業の協同化又は組織化及び事業者団体の正当な活動の促進等の問題に関連いたしまして、現行法第二條の事業者団体の定義の規定並びに現行法第四條及び第五條の規定による事業者団体の活動の規制の方式が問題となつたのでございます。従いまして今回これらの点を検討しました結果、この法律の究極の目的でありますところの公正且つ自由な競争を阻害いたしません限り、これらの規定を緩和して、中小企業の協同化、団体活動の促進等の障害を除去することとなつたのであります。なおこのほか今回の改正を機会にいたしまして、昭和二十四年六月に改正されました私的独占禁止法の規定、それから本法施行四カ年の経験に照らしまして、第八條の排除措置の規定と第九條以下の手続規定に検討を加えました結果、これらの諸規定を適当に調整することとなつたのでございます。
次に本改正法律案の内容について御説明申上げます。先ず今回の改正の尊点を挙げますと、それは次の三点に尊約することができます。先ず第一は、現行法第二條の事業者団体の定義の組定が余りに広汎に失しまして、そのために会社等の共同企業体の存立を不可能にいたしておりました点を是正いしまして、事業者団体法の適用を受ける事業者団体の範囲を、原則として本来の事業者団体でありまするところの産業団体や同業組合に限定し、事業者の共同企業体である会社などを本法の適用から除外することにいたしたことでございます。
第二は、現行法が事業者団体の活動を、第四條の許容活動及び公正取引委員会の認可を必要とする行為並びに第五條の禁止行為の三つの面から嚴格に規制し、団体の活動を狭い枠の中に封じこめておりましたのを改めまして、第五條に規定する禁止行為以外の行為は、すべて自由にいたしたことでございます
第三は、現行法第五條の禁止行為の規定が、公正且つ自由な競争の秩序を直接侵害する廃れのない行為までも規制しておりまして、そのために団体の正常な活動をも阻害する結果を招来しております点を是正いたしまして、これらの行過ぎの規定を削除いたしたことでございます。
次に、本改正法律案の内容につきまして、少しく詳細に御説明申上げます。先ず第一に、第二條第一項を改めると共に、同項の次に新たに一項を設けまして、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつても、資本又は構成事業者の出資を有し、営利のために商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、且つ、現にその事業を行なつておりますものを事業者団体に含まないことといたしました。従いまして、二以上の事業者が株主又は出資者となりまして、共同の事業を誉むことを目的とし、且つそれを現に行う会社でございますとか、商法上の匿名組合、営業目的の民法上の組合などは、いずれも、それが構成事業者の共通の利益を増進することを目的とするものでありましても、本法の適用はこれを受けないことになるのでございます。
次に、第四條につきましては、現行法が若干の項目を限定的に列挙しておりまして、事業者団体はここに掲げられている行為以外は行なつてはならないこととなつておりますのを改めまして、事業者団体の模範的な活動を例示する趣旨の規定にいたしました。従いまして、今後事業者団体は、第五條第一項に掲げる禁止行為の規定と私的独占禁止法の規定に該当しない限り、如一何なる活動でも自由に行うことができるようになるのでございます。
次に、第五條につきましては、現行法が十八項目に亘つて事業者団体の活動を禁止しておりますのを改めまして、これらの規定の中から自由競争秩序を直接侵害する慮れのない行為を削除いたすと共に條文の整理をいたしまして、これを十二項目に縮小いたしました。即ち、現行法では、第五條第一項の第一号から第八号までの規定は、事業者団体の統制的な行為やカルテル的な活動を禁止しておりますので、これらの規定は原則として現行法のまま存置いたしまして、第九号以下の、株式又は社債の所有、自然科学の研究施設の所有又は経営、構成事業者その他の者のための融資、営業に至らない單なる取引の代理、集金及び構成事業者その他の者の間の紛争の仲裁又は解決などの禁止に関する規定を削除いたしました。従いまして、現行の第九号以下の規定で今後も残されますものは、特許権の所有又は支配、営業用の施設の所有と営業行為、不当な対政府活動及び入札を規制する行為の四項目でございますが、これらの行為は、営業行為を除いていずれも、事業者団体が自由競争秩序を侵害する手段として往々用いているところでありますので、依然として規制する必要があるのでありまして、又営業行為につきましては、営利を主たる目的とする団体が本法の適用から除外されることになりますと、本法の対象は、社団法人、財団法人、人格のなき社団、非営利目的の組合など、社会通念上から見まして本来営業を行うべきでないもののみとなりますので、これに対しては営業行為を認める必要はないという理由から存置することといたしました。なお、この存置される四項目のうちで特許権の所有又は支配及び入札の規制に関する規定につきましては、不明確な点を是正するため若干の修正を加えました。
以上申上げましたほか、第六條及び第七條に関しましては、適用除外団体或は適用除外行為の根拠法令の改廃などに基きまして條文を整理いたし、第八條に関しましては、従来の本法運用の経験に鑑みまして、本法違反事件について、必要に応じて事業者団体だけではなく、その役員や構成事業者にも適当な排除措置を命ずることができる旨の規定を新たに設け、本法の運用を適正ならしめることといたし、又第九條以下におきましては、以上の改正及び昭和二十四年六月の私的独占禁止法の手続規定の改正に伴いまして各條文の整理をいたしました。
終りに、第十四條の罰則につきましては、私的独占禁止法の罰則に照らし、新たに偽証の罰を加えましたほか、條文の整理に基く改正をいたしました。
以上本改正法律案の目的及び要旨につきまして御説明いたしました。何とぞ御審議の上、速かに御協賛あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/2
-
003・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 提案者のほうで特別準備されておる資料はありませんか。……公取のほうからは特別のこの法案に関連しての資料はないそうでございまして、ただ一般の公取委員会の仕事の概要を説明した資料を作成中であつて、次に提出されるそうでございます。そのほかは必要に応じて資料は提出されるということでございます。
なおこの事業者団体法の改正につきましては、御承知のように、最初公正取引委員会でいろいろな準備が進められ、それから衆議院でも同様なことが進められ、その次に又政令諮問委員会でしたか、に渡つていろいろな改正問題か進められて、三転四転いたしまして、公正取引委員会に戻つて、今度の今提案されました改正がされたと聞いておりまして、その間関係当局との関係その他いろいろな経過があつたように聞いておりますから、若し必要がありましたら、その辺の事情をもう少し詳しく伺いたいと思いますが、如何でありますか。
〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/3
-
004・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは今の提案理由の説明を補足されまして、現在の提案までに至りました法案の作成過程の御説明を附加えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/4
-
005・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) それでは今回の提案に至りまするまでの経過をかいつまんで申上げます。
只今提案理由の中で申上げました通り、事業者団体法は制定当時からすでにきつ過ぎて日本の事情に合わないのではないかというような関係で、制定当時から改正問題がすでに始まつておると言つてもいいくらいのものでございます。この改正につきましては、公正取引委員会で相当長期間に亘りまして研究をいたしまして、司令部とも大いに折衝いたしまして、或る程度の改正はできそうな様子に見えたのでございますが、御承知の前のGHQの反トラストの係でありましたウエルシユ氏がアメリカに一度帰りまして帰つて参りましてからは、非常に空氣が変りまして、独占禁止法なり事業者団体法を施行すべき役所である公正取引委員会自体が改正問題を取扱うことはいかんということを強く言われましたので、公取といたしましては、改正の強い希望を持ちながらも遂に改正問題は公取として取上げることが不可能になつたわけでございます。ところが一方、只今委員長からもお話がございましたように、国会、特に衆議院のほうに駒きまして、公取と並行的にこの問題を研究されておりまして、この案ができまして、まあ国会方面からGHQに持つて行つたら、或いは違うのではないかというので、衆議院の安定委員会の小委員会で作りました案をGHQのほうへ示しましたのでございますが、これはやはり向うの了承するところにならず、ここで団体法改正の問題は一時ストツプの状態になつたわけでございます。ところがだんだん時がたちまして、御承知の昨年の五月でございますか、例のリツジウエイ声明が出まして、占領下にできました法令につきまして日本の立場においてこれを検討するということが許されるようになりまして、御承知の、政府におきましては政令諮問委員会を作りまして、これの答申を待ちまして七月の閣議におきまして一応改正案が決定いたされました。これから申上げますことは、大体独占禁止法と事業者団体法と同時にこの改正問題が運ばれて参りましたので、それを独占禁止法の問題も含めて申上げたいと思います。
この政令諮問委員会で作りました案と、七月の閣議決定の案とはやや違つておりまするが、大体政令諮問委員会の意図されるところがこの閣議決定による要一綱に盛られておるようでございまして、これがGHQに出されましたのでありますが、一番問題になりましたのは、むしろ事業者団体法でなくて、独占禁止法の、御承知の第四條と第六條の、いわゆる協定行為、価格決定その他の協定行為、それから第六條の国際取引の問題でございまして、この案によりますと、公正取引委員会が認可しました場合には、必要なカルテル協定も許されるというような線が出ておつたわけでございます。これに対しましては、司令部はそういうような独占禁止法の根本原則に触れるような改正に対しまして、そういう改正を加える必要性をもつと具体的に説明しろというようなことでありまして、このいろいろな説明を書いて相当手間はとりましたですが、出しましたが、その説明ではどうしても納得できないというようなことになりました結果、改正の一番主眼でございます第四條、第六條の改正を政府が断念いたしまして、その他の点について独占禁止法に若干の改正を加え、それから事業者団体法につきましては、大体今回政府が提案いたしましたとほぽ同様な改正案を作りまして、これを正式にGHQへ提出いたしたのでございます。それが昨年の十一月の十五日と心得ております。ところがこの案に対しまして、後にGHQの人からいろいろ聞きましたのでございますが、あちらのGS、それからリーガル・セクシヨン、デイプロマテイツク・セクシヨン、それからESS、経済科学局、これらの各セクシヨンが合同してこの案を研究いたしましてその間、前の閣議決定の要綱とそれからその後に出されましたこの案もアメリカの本国のほうに送られまして、いろいろそれにGHQのほうの説明が付いて送られておつたそうでございまするが、その回答等に照らしまして、結局十一月の末になりまして、全面的にこの改正にはデイスアプルーヴアル、認めがだいということを言つて参つたのでございます。これは我々といたしましても、余り強い回答でございますのでちよつとびつくりしたのでございますが、その後内閣のほうとお打合せをいたしまして、十二月の初めになりまして、公取の私その他総務部長がESSへ参りまして、全面的デイスアプルーヴアルというのはどういうことであるかということで、その説明を求めたのでございますが、それに対して、実は改正をしていい点もあるけれども併し今度の内閣の案の出し方がどうも余り面白くないというので一応全部蹴つたのであるということでございますのでだんだん話して参りますと、独占禁止法につきましても或る程度の改正を認めてくれる線があるように思われましだし、殊に事業者団体法につきましては、政府提案に多少の修正を加えれば認められそうな様子も見えだのでございます。その点を早速内閣のほうへも連絡いたしまして、そこで内閣のほうは飽くまでもGHQのある間にその承認の下に法案を出すか、或いは今言いましたようないきさつもございますので、講和発効後にこれを見送るかという岐路に立つたわけでございますが、一応講和発効後に見送ろうということになりまして、その由をGHQのほうにも一応通じたのでございますが、併しその後政府としましても、この団体法の改正というのは、特に業界の要望もございますことでございますので、やはり一日も早くできるだけの改正をすべきであるということになりました結果、司令部との折衝を我々のほうの公正取引委員会のほうに委せるということになりましたので、その後鋭意委員会におきまして司令部の担当の人と折衝をいたしました結果、本日御提案を申上げましたこの案にまとまつたわけでございまして、この案でございますれば司令部も異議はないということになるわけでございます。
なお、事業者団体法の改正問題は、そういういきさつでございますが、お話のついでに独占禁止法の改正問題について一言申上げたいと思いますが、今の考え方で参りますれば、独占禁止法もできればGHQのアプルーヴアルを得まして、向うの認めます範囲で改正をこの際行うということも考えられるわけでございまするが、独占禁止法の問題につきましては、手を触れてはならんと言わんが、併しこれを骨抜きにするような重要な改正はとてもむずかしいというような事情もございまするのと、それからどうも独占禁止法の改正につきましては、事業者団体法と違いまして、向うがどうも話に乘つてくれないので、いろいろ当つていますが、どうも乘つて来ませんのみか、場合によりましてもつといろいろな向うの欲するような改正をこの際盛り込もうというような気持まで見えまするので、これはどうもこの際無理に独占禁止法の改正に手を着けることは甚だ得策でない、又困難であるということが感ぜられましたので、遂に内閣におきましても、我々のほうにおきましても、この問題はもう少し見送るということになりまして、今回同時に提案をいたすことができなかつた次第でございます。
以上甚だ簡單でございますが、本法案を提出するに至りまするまでの経過を御説明申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/5
-
006・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 議事の運営方法につききまして御懇談申上げたいと思いますので、速記をとめて。
午前十一時十二分速記中止
—————・—————
午後零時二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/6
-
007・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて下さい。議事の運営方法につきまして只今御相談申上げたわけでありますが、その中におきまして、先ほど公取の委員長から説明願いました経過の説明に対しまして、それぞれ内容的な意見交換もありまして、内容的な見方も相当深かまりましたので、この次には直ちに質疑に入つて頂いたほうがよかろうと思いますので、そういうふうに取計らいたいと思います。従いまして今日の委員会はこの辺で打切りまして、次に質疑から入るということにいたしたいと思います。よろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/7
-
008・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そのように決定いたします。それでは次回は通産委員長と御相談申上げました結果、来週木曜日、二十四日の午前十時から開会いたします。直ちに質問を開始いたしたいと思いますから、御準備をお願いしたいと思います。特に発言がなければ、閉会いたします。
午後零時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314070X00219520417/8
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。