1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月二十五日(火曜日)
午後二時三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
委員
小滝 彬君
杉山 昌作君
須藤 五郎君
政府委員
経済安定本部産
業局長 近藤 止文君
経済安定本部産
業局次長 岩武 照彦君
外資委員会事務
局長 賀屋 正雄君
事務局側
常任委員会專門
員 桑野 仁君
常任委員会專門
員 渡邊 一郎君
説明員
外務省条約局第
三課長 重光 晶君
外務省経済局第
六課長 永井三樹三君
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本日の会議に付した事件
○ポツダム宣言の受諾に伴い発する命
令に関する件に基く経済安定本部関
係諸命令の措置に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○国際的供給不足物資等の需給調整に
関する臨時措置に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/0
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは第七回の経済安定委員会を開会いたします。
先ず、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律案を議題といたします。
本案につきましては、今日で四回目の審議を重ねるわけでありますが、前回の委員会におきましては、外務省及び外資委員会当局に対して質疑を行いますと同時に、一応文書を以て事務的、技術的な質問事項を列挙いたしまして、政府側の答弁を求めたのであります。従いまして今日は、先ず政府側から順次それについての御答弁、御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/1
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002・重光晶
○説明員(重光晶君) 前回文書を以ちまして当委員会から御質問のございました事項につきましてお答えいたします。
先ず、政令第五十一号(外国人の財産取得に関する政令)関係のうち平和條約第十二條の解釈等についての問題でございますが、その第一点として、本條によつて最恵国待遇、内国民待遇を供与する義務は片務的なものであるかどうかとの問題についてお答えいたします。
日本国は、第十二條(b)項所定の諸事項について、それぞれ最恵国待遇又は内国民待遇を連合国に供与する義務を負うのでありますが、この日本国の義務は当該事項について連合国が日本国は最恵国待遇又は内国民待遇を与えない場合には、(c)項前段の規定によつて解除されるのでありますから、従つてこの意味におきましては、第十二條によつて負う日本の義務は片務的ではないと考えられるのであります。
次に、第二点として、政令第五十一号以外に平和條約第十二條に抵触する現行国内法令にはどんなものがあるか、又、どんな点か、その改正方針はどうかという点についてでありますが、平和條約第十二條に抵触する国内法令としては、「外国人の国際航空運送事業に関する政令」(昭和二六年政令第一三三号)、「水先法」(昭和二四年法律第一二一号)、「移民保護法」(明治二九年法律第七〇号)等がございますが、「外国人の国際航空運送事業に関する政令」は、目下立案中の「航空法」によりまして廃止されることになつております。又水先法や移民保護法等は、平和條約第十二條(d)項に規定されております「通商條約に通常規定されている例外に基くもの」として、今後も引続き存置することになつております。
第三点といたしまして、連合国の一乃至数ケ国に、平和條約第十二條に従つて、ある事項に関する内国民待遇を与えた場合、連合国であると否とを問わず、他の国との通商航海條約等他の條約において、同じ事項について最恵国待遇を与えるたらば、前者に対する待遇を採用して、後者についても事実上内国民待遇を与えねばならないのかという点につきましては、正にその通りでございます。但し、平和條約第十二條(b)項によりまして日本国が所定の義務を負うのは、平和條約発効後長くとも四年間に限られますので、従つて右期間経過後は、他の條約中に規定された最恵国條項の適用による均霑も及ばないことになるのであります。
第四点は、イタリー平和條約の場合には、連合国に対し、関税、輸入貨物の国内課税についての最恵国待遇、商、工、船舶業その他の官業的活動に関する内国民待遇、最恵国待遇を与えているが、財産権等には触れていない。この点の差違は何に基くか、というお尋ねでございますが、イタリー平和條約第八十二條では、「連合国民はイタリア国内における商業、工業、船舶業及び他の種類の営業的活動に関する一切の事項について内国民待遇及び最恵国民待遇」を与えるべき旨規定しておりまして、この一切の事項の中には、財産権に関する事項も当然含意されていると考えられるのであります。従つて実質上第十二條の規定とイタリア平和條約の規定との間に差違はないと存じます。
第五に、鉱業権についても、平和條約に従えば、相互主義等の條件はあつても原則として内国民待遇を与えねばならないのか。又鉱業権について内国民待遇を与える例は少いのではないか。という点についてでありますが、第十二條は、日本と連合国間に通商航海條約が締結され、相互の通商航海関係が正常化されるまでの過渡期間に関する暫定的経過規定であります。従つて第十二條(b)項所定の諸事項も、通商航海條約で通常取極められるべき事項に限られると解釈いたします。通常通商航海條約中で設けられる財産権すなわち動産、不動産の取得に関する規定は、鉱業権には及ばないのであります。尤も米国を一方の当事国とする最近の通商航海條約中には、鉱業権の取得に関して最恵国待遇を規定する例がございますが、但し、この規定はとくにマイニングについて規定したもので、このような特別の規定がない限り、鉱業権は通常の財産権の中には入らないと考えられるのであります。なお鉱業権の取得に関して内国民待遇を与えた例としては、戦前のフランス等がございます。
第六点として、條約第十二條(d)項に規定されている「通商條約に通常規定されている例外」とはどのようなものを指すのかということでございますが、これには沿岸貿易、国境貿易、衛生、保安上の目的による輸出入制限等がございます。
第七点、十二條(d)項の「当事国」とは、連合国の一国又はその地域、邦、州等を指すのか。又日本も含まれるのか、という点につきましては、(d)項の「当事国」とは、この條約の当事国でございまして、勿論日本も含まれるものでございます。
最後に、第八点のお尋ねとして、十二條(d)項の意味は、相互主義に拘らず、「連合国の一国が日本人に対してその国の対外的財政状態の保護その他の理由によつて、一つの事項について或る制限を課する場合、それと同じ制限を日体かその国民に課することは一般的にはできない。併し、日本にとつて、日本の対外的財政状態の保護その他の理由によつて適正に制限をすることは、相手国が同様に制限をしていると否とに拘らず、差支えない」と解してよいかということでございますが、これはその通りであろうと存じます。
次に、同じく政令第五十一号関係のうち、相互主義の適用に関する問題について、その御質問にお答えいたします。五点ございますうち、その第一点は、平和條約批准国の国民その他原則として適用除外をすべき外国人について、相手国が日本人に対して制限を課しているため、相互主義によつて、日本においても当該国人に対して制限を課す場合には、法律的措置によつて行うのか、或は行政的措置によつて行うのかということでございますが、これは、政令第五十一号の適用を除外された外国人は外国人土地法の適用を受けますので、相互主義による制限は同法第一條の規定に基く施行令によつて行うのでございます。
第二点の外国人土地法の改正復活の構想如何という点につきましては、外国人土地法第一條に基く勅令は、戦前においても全く立法されたことがありませんでしたので、講和発効後直ちに第一條に基く施行令を立法する必要は実質的にはないと考えられます。但し政令五十一号の適用除外の指定国において、日本人又は日本法人に対し、土地に関する権利の享有に禁止制限を加えている例が今後の調査において明らかになりましたときには、更に施行令の立法措置を講ずる必要の有無を検討することにいたしたいと存じております。次に第四條の施行行令の必要の有無についてでございますが、この点も今後検討の結果、必要となれば立法措置を講ずる考えでございます。
第三に、外国人土地法の改正復活が行われない間は、土地に関する権利については、政令五十一号の適用除外外国人については、日本人と全く同様法律的には野放しとなり、相互主義の適用は困難であるが、これをどうするのかというお尋ねでございますが、日本人又は日本法人の外国における土地の権利取得についての制限の立法例の有無につきましては、目下調査中でございます。従つて早急に外国人土地法第一條の規定による施行令を制定することは不可能でございますので、政令第五十一号の適用除外外国人につきましては、條約第十二條の相互主義を或いは貫きにくい事例もあり得るかも知れませんが、これは止むを得ないことと存じます。併し相互主義は必ずとらねばならぬ義務的なものではなく、これを採用いたしますか否かは、我が国において種々の観点からこれを自由に決定すべき事柄でございますが、我が国において、相手国の立法例を調査せずして、土地の権利取得につきまして当該外国人に制限を加えますことは、條約第十二條の違反となりますので、差当り制限を加えないことにいたしまして、更に後日調査の結果、当該外国において日本人に対し土地の権利取得に制限を加えている立法例のあることが明らかになりましたときにおきましては、研究の結果、必要あらば立法措置を講じたいと考えておる次第でございます。
第四点は、諸外国、特に政令五十一号の適用除外外国人の本国における国内法による日本人又は一般外国人に対する財産取得の制限はどのように課せられているか。又、国別に説明されたいという御質問でございますが、日本との間に正常な外交関係を回復した国が日本国民にどのような待遇を与えるかは、今から予測できない問題でございます。又各国で一般外国人がどのような待遇を与えられているかにつきましては、現在鋭意調査いたしております。
第五に、只今の第四点につきましての調査が、各国別に具体的にできなければ、相互主義の適用は事実上不可能ではないかということでございますが、これは、前述いたしましたように、日本との間に正常な外交関係を回復した国が日本国民にどのような待遇を与えるかは予測できませんので、従つて連合国との関係において政令五十一号を存置した場合には條約違反を生ずる慮れが多分にあるのでございます。平和條約を批准した連合国をその都度指定いたしまして、一応適用除外の措置をとりますことは、この條約違反が生ずることを防止することの趣旨でございます。除外指定で行いました後に、その国で日本国民が内国民待遇を与えられないことが判明いたしました場合には、改めて適宜の措置をとることを何ら妨げるものではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/2
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003・永井三樹三
○説明員(永井三樹三君) 通商航海條約についての質問事項について御説明いたします。
第一点は、戦前日本が締結していた通商航海條約は何カ国あるか。戦時中及び終戦後その効力はどうなつているか。講和発効とともに復効するのはどこどこかという問題でありますが、戦前日本が締結していた通商航海條約は二十九カ国ありますが、通商航海條約の体裁を完全に備えて居らない暫定取極め等を加えると四十三カ国に達します。このうちには、戦前植民地又は自治領等で、戦後独立した国がそれぞれの元の本国のうちに含まれて適用されていたので、現在の国の数で言えば、更に多数となり、日本と相当関係の深かつた国については、殆んど全部締結されていたわけであります。このうち日米通商條約及び日英通商條約は、戦前廃棄され、日米については戦前既にその効力が失われ、日英については、その効力の失われる前に開戦となつたのであります。従つて、日米條約を除く他の條約については、平和條約第七條の適用を受け、連合国が一方的に通告をすることによつて復活させる途が開かれています。又スイス、スエーデン等の中立国及び日本との戦争状態になかつたスペイン、タイ、デンマーク、ドイツ等との関係は、終戦に伴う日本の外交権の停止により、その適用が中断されていたわけでありますから、これらは日本の主権回復と共に、再び適用を再開し得る状態になります。
次に、第二点の、平和條約第七條の規定により、連合国が復活を通告することのできる條約には、通商航海條約を含むか。右規定によつて復活が予想される相手国はどこどこか、という問題でありますが、前段については、第一点でも述べましたように、通商航海條約は含まれております。後段の復活予想の相手国については、未だ明確に予想することは困難でありますが、戦前の條約はいずれも非常に古いものが多いので、戦後の国際情勢に適合しない点も多々ありますから、新らしい状態に即して新しい條約を交渉締結することを希望する国が多いのではないかと思われます。
第三点は各国との通商航海條約の更取若しくは締結について、相手国、内容、時期の見通し如何。その際日本側として、是非確保したい事項はどんな点か、という問題でありますが、現在米国とは予備的話合中で、恐らくこれが最初のものとなろうと思います。その他の諸国については、重要相手国とはできるだけ早く通商航海條約を結びたいと考えておりますが、現在のところ、その時期の見通しは、相手国の意向もあり、未だ具体的には予想しがたい段階にあります、是非確保したい点は、日本の通商、貿易、特に関税、シツピング、相手国における事業活動等は諸外国と同じ條件で扱われるようにし、日本が差別待遇を受けないようにすることであります。
第四点は、平和條約によつて連合国に与えられた待遇は、通商航海條約にそのまま引継がれる見通しか、という問題でありますが、平和條約の規定の多くのものは、新しい通商航海條約の方向にマツチしておりますから、大体はそのまま新條約にも引継がれるものと思われます。併し平和條約は、相手国と日本との相互に義務を負わす趣旨でない点があるに反し、通商航海條約は、相互の義務として規定することとなるわけであります。又、平和條約第十二條は、通常の通商航海條約では、三十カ條以上に規定される内容を簡単に書いたため、解釈も明確でない点もありますので、通商航海條約では、もつと具体的に詳細に規定することになるでありましようから、その場合には若干の差違が生ずることはあると思われます。
次に実際上の問題についての第一点と第四点について御説明申し上げます。
第一点は、日本と各連合国間の政治的経済的実力の差違のため、内国民待遇を与えることは、相互主義の適用や、来るべき通商航海條約において双務的に協定したとしても、形式上平等であつても、事実上相手国に著るしく有利となり、我が国は殆んど利益を受けない事項が多いと思われるが、この点の対世如何、という質問であります。これについては、確かに敗戦によつて、日本は海外の資産、権益等を失い、海外における実力の差違は明らかに存するのでありますが、将来の海外における発展の可能性を確保するためには、相手国に日本に対して門戸を開いてもらい、そのために同様の待遇を日本も相手国に与えることが望ましいのであります。
通商航海條約は、両当事国か現代これから得る目前の利益を同一ならしめることを目的とするものではなく、それぞれ相手国に対する待遇を定め、将来の発展の可能性を平等にしようとするものでありますから、現在だけの利益の多少の差違から有利不利を判断し得たいのであります。併しながら日本の国内的必要による適当な留保は、これを付することができるのでありまして、甚だしく日本が不利益を蒙ることのないように交渉して行く考えです。
第四点は、平和條約第十二條の解釈についての八番目の質問事項の如くに、同條d項が解釈されるとすると、相手国の事情によつて日本が著るしく不利となることはないかという問題でありますが、この点については、日本だけが不利になることは考えられないのであります。むしろ日本こそ同項を適用して、日本における相手国に対して制限を課し得る場合が多く考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/3
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004・賀屋正雄
○政府委員(賀屋正雄君) 私から、政令第五十一号関係のうち、適用除外の指定に関する問題、字句の解釈等についての問題、実際上の問題についてのうち第二点及び第三点、第三百十一号関係等につきまして御質問の事項にお答えいたします。
先ず適用除外の指定に関する問題について御説明いたします。
その第一点は、第二十三條の二の規定により、適用除外の指定を行うについて、如何なる範囲の国の国民を具体的にどのような形式で指定するかという問題でございますが、條約を枇准した国、中立国等條約発効後わが国と正常な外交関係を回復する国を国名を列挙して指定するのでございます。なお朝鮮に関しましても條約によつて内国民待遇を与える義務がございますので、これを指定いたします。
第二点の、この適用除外をいたす場合、平和條約調印批准国の国民は、同條約により当然適用除外とすべきであるが、中立国人についてはどうするのか。若し適用除外とするならば、それは如何なる理由によるのか、という問題につきましては、中立国は條約発効によりまして、正常な外交関係を回復いたしますので、これを指定し、適用を除外するのでございます。
第三点の、平和條約の最初の効力発生後、同條約の批准を行つた国があれば、その時にその国の国民を適用除外に指定するのかという問題につきましては、これは批准書寄託の都度指定するのでございます。
第四点の、サンフランシスコ條約以外の條約によつて、日本との講和を行う国があれば、その都度これらの国の国民を適用除外に指定するのか、という点につきましては、その通りその都度指定いたします。
次に第五点は、旧枢軸国、乃ちドイツ、オーストラリヤ、イタリー、タイ等の国民をどう扱うのかということでございますが、これは旧枢軸国であると否とにかかわらず、国交回復の合意がなされますれば、正常な外交関係が復活いたしますので、指定によつて適用除外するものでございます。
第六点は、朝鮮は平和條約第二十一條により、同條約第十二條の利益を享けるので、朝鮮人については断然適用除外の指定を行うものと思われるが、この場合南北朝鮮によつて差別をつけるかという問題でございますが、平和條約が発効いたしますれば、在日韓人は適用除外の指定を受けるのでございまして、在日韓人が大輔民国の国籍を有するか否かは、具体的には大韓民国が決定する問題でございます。
第七点は、台湾における政府としての国民政府と講和條約又はそれに代るべきものを締結した場合には、台湾人のみについて適用除外の指定を行うのか。又この場合、中国本土に本籍を持つ中国人をどう扱うか。ということでございますが、在日中国人の国籍につきましては、現在行われております日華交渉の結果取極められることになろうと存じますので、適用途外についてどのような形で指定を行うのか、今の処未定でございます。
第八点は、日本が未だ承認していないが、事実上主権を行使する政府が存在し、支配する地域に本籍を持つ外国人はどのように取扱うのか。という問題でございます。これは、その外国人が適用除外国の国籍を有しない限り、依然としてこの政令の適用を受けるものと存じております。
第九点は、連合国で平和條約を締結しない国すなわちサンフランシスコ会議の不参加国、参加したが調印しない国、及び調印したが批准しない国を中立国よりも不利に扱う理由についてのお尋ねでございますが、これは、中立国とは正常な外交関係を回復いたすのでございますが、平和條約調印批准国以外の連合国とわが国との間は、国際法上は依然として戦争状態が継続しておりますので、政令五十一号によつて規制する必要があるのでございます。
第十点の、日本が平和條約によつて主権を放棄し、その帰属の明確でない地域すなわち千島、樺太、南洋諸島、更に日本の主権の存否も明確でない南西諸島、小笠原諸島等に本籍を有する人はどう取扱うかという問題についてでございますが、南西諸島及び小笠原諸島等の南方諸島に対する領土主権は依然として日本に属しております以上、その当然の結果として、これらの地域の住民は日本の国籍を保有するものでございます。従つてその取扱に当りましては適用除外の問題は生じないのでございまして、同時にこれら地域に本籍を有する本土在住者についても同様でございます。又千島及び樺太に本籍を有し、日本国内に在住する者は、平和條約発効後も依然日本国籍を有しておりますので、これも適用除外の問題を生じません。次に旧委任統治地域たる太平洋諸島の住民は、従前から日本国籍を持つておりませんでしたし、又これらの地域に本籍を有する日本国民は存在していないのでございます。
次に字句の解釈等についての問題にお答えいたします。
その第一点は、第三條第一項に対する罰則規定である第二十條の改正は、内容的意味に全然変化を与えないかという問題でございますが、その通り内容的には変化はございません。
第二点は、第六條の旧第十号すなわち新第八号中「連合国占領軍の責に帰すべき」という字句はどのように解釈すべきか、又、今回の改正によつて削除されれば、どのように意味が変るか。ということでございますが、これは「連合品国の責に帰すべき」と申しますのは、「連合国人又は連合国軍によつてなされた」という意味でありまして、これを削除いたしますれば、外資に関する法律の規定と同様に、一般的に詐欺、強迫又は不当の圧迫を意味することになるのでございます。
第三点は鉱業法の解釈についてでございまして、鉱業法第十二條及び第七十一條によると、鉱業権租鉱権又は不動産に関する規定を準用するとあるが、この不動産に関する規定とは何を指すのか、又、政令第五十一号の規定に含まれるか。外国人はその支配する
日本法人を通じて鉱業権、租鉱権を取得できるか。という問題につきましては、この不動産に関する規定とは一般に不動産についての規定を指しておるのでありまして、従つて政令第五十一号も含まれるのでございます。又、鉱業法によりますと、外国人の支配する日本法人でも鉱業権等を取得し得るのでありますが、政令五十一号の適用を受ける外国人については、その支配する日本法人も政令五十一号の認可を受けなければ鉱業権等を取得し得ないのでごいざます。
次に実際上の問題についてのうち、私どもの所管であります第二点と第三点の事項について御説明いたします。
まず第二点は、政令五十一号の適用除外外国人の土地取得を全く無制限にした場合には、貿易、暴利行為、闇取引等による不正不当な手段で入金した円貨によつて例えば対馬における朝鮮人のごとくに、一地方の土地の大部分を買占められるおそれがあると考えられるが、この対策は如何という御質問でございますが、わが国の政策上、一定地域について右の事態を生ずることが好ましくないと考えられます場合には、外国人土地法第四條に基く施行令の立法措置を講ずれば足りろと考えられますので、かかる立法措置を講ずる必要の有無を研究することにいたしたいと存じております。右の立法措置を講じたときにおきまして、すでにこうした事態が生じているといたしますれば、外国人土地法第六條及びこれに基く施行令によりまして、その善後措置を講ずることとなるわけでございます。第三点は、政令第五十一号の適用外国人が株式又は持分等の全部若しくは過半数を保持し、支配している名目上の日本法人が土地を取得するときは、事実上無制限となるのか、ということでございますが、これは政令第五十一号の適用を受けるのでございます。
最後に政令第三百十一号関係について御説明申上げます。
第一点は、現在政令第三百十一号によつて指定している国は何カ国あるか。又連合国、中立国、その他に区分してその内訳はどうか。
第二点は、今回講和発効と共に指定取消をする国はどこどこかということでございまして二点一括してお答えいたします。
現在は、「連合国最高司令官の承認した代表者又は使節団を日本国内に有する国一として指定してございますので、講和発効に際してあらためて指定し直すことになりますが、條約調印批准国、中立国等正常な国交を回復する国以外の国を指定することになると存じます。
第三点は、中共、北鮮等日本の未承認政府をどのような形で指定するのかという問題でありますが、未承認政府は同政令の適用外にあるものでございます。
第四点の、国連及びその他の国際機関すなわち赤十字、ユネスコ、ユニセフ等をどう取扱うのかという問題につきましては、国際機関は外国政府ではありませんので、従つて同政令の適用外になるのであります。
以上簡單に御説明申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/4
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005・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) これで一応大体の御説明を伺つたわけでありますが、説明に対して御質問の点がございますればお願いいたしたいと存じます。
速記をとめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/5
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006・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて、それでは、本法案の質疑は、更に後日において継続することといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/6
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007・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 次に、国際的供給不足物資の需給調整に関する臨時措置に関する法律案を議題といたします。この法律案は、去る二十日通産委員会と連合委員会を開き主として通産委員側からの質疑を行つたのでありますが、連合委員会は一回で打切ることとなり、本委員会單独としては今日初めて質疑を行うわけであります。では質疑をなさりたい方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/7
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008・小滝彬
○小滝彬君 私聞いて居ります所では、某商社のカナダからのニツケル輸入について、問題が起つているということでありますが、この事情等について御存じでしたら御説明を願いたい。又このような場合に、この法律によつて必要な措置がとれるかどうかを御答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/8
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009・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記を止めて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/9
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010・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて……
それでは只今のニツケル問題については、岩武産業局次長から説明があつたわけでありますが、なお次回に物価庁の方から説明をしてもらうこととします。それから、只今の御相談通り、この法案に対して、事務的な質疑については、ここに文書による質問がありますから、これに対する回答を政府の方で明日までに用意して頂く。そして、尚補足的な質疑があれば、それをやつて、政治的といいますか、政策的な質問に入つてゆく。このように進めて行きたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/10
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011・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ではさようにいたします。本日はこれで散会いたします。
午後三時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00619520325/11
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