1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月二十六日(水曜日)
午後二時三十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
永井純一郎君
委員
杉山 昌作君
須藤 五郎君
政府委員
経済安定本部産
業局長 近藤 止文君
経済安定本部建
設交通局次長 今泉 兼寛君
事務局側
常任委員会專門
員 渡辺 一郎君
常任委員会專門
員 桑野 仁君
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本日の会議に付した事件
○国際的供給不足物資等の需給調整に
関する臨時措置に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○公共事業推進に関する請願(第五四
七号)
○公共事業の施行年度を暦年に改正の
陳情(第八号)
○公共事業費繰越制度に関する陳情
(第一〇二号)
○継続事業費制度確立に関する陳情
(第一二〇号)
○建設省関係公共事業費の事務費増額
に関する陳情(第六五三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/0
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 委員会を開を会いたします。
今日の議題は国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律案でありまして、前回に引続きまして質問を継続いたします。そのほかに時間がありましたならば陳情、請願五件の審議をお願いいたします。
前回におきまして一応文書で以て事務的、技術的な質問事項を列挙いたしまして、政府側の答弁を求めてありますので、それにつきまして先ず政府側から御答弁、御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/1
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002・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 前回文書を以ちまして当委員会から御質問のございました事項につきましてお答えを申上げます。
第一の問題は、国際的に不足いたします物資につきまして、これらの物資の国際的な需給関係がどうなつておるかという見通しの点でございますが、これにつきまして申上げますと、第一に鉄鋼でございますが、鉄鋼につきましては一九五一年におきましての世界のスチールの生産は合計一億二千四百七十万トン、これは鋼塊の計算でございますが、鋼塊の計算にいたしまして二億二千四百七十万トンでございます。なお一九五二年、即ち本年におきまして増産を予想されております国々は、ドイツ、ソヴイエト、米国及び後進諸国の一部でございまして、米国は一千万トン、ソヴイエトは三千万乃至三千五百万トンと推定されますが、それらの数字の増産をいたすことになつておりまして、その他の国々におきましての増産の数字は只今のところはつきりいたしておりません。これらの諸国の中で比較的多量に輸出をなしております国はドイツ、ベルギー、ルクセンブルグ、フランス等でございまして、昨年の下期の月間の輸出のベースは大体百十万トン程度になつております。これらの供給に対しまして需要のほうはどうであるかという点でございますが、この需要数量を把握いたしますことは極めて困難でございますが、とにかく世界的に需給の関係を左右いたします主力は米国でございまして、米国におきましては極く最近の情勢といたしましては、或る程度その需給関係がかなり緩和されて来ておると言われておりまして現実にグレイ・マーケツトは殆んど現在消滅いたしております。又西欧諸国に対しまして従来輸入のオフアーをしておりましたのでありますが、これも相当減つて来ているようでございまして、これらの点から見ますと、或る程度需給関係が緩和されつつあるということが言えるのじやないかというように考えるのでございます。ただイギリスにおきましては、その特有の事情といたしまして、やはりその需給関係は非常に逼迫いたしておりましてアメリカから相当量の輸入を仰がなければならない現状でございます。なおベルギーにつきましては多少市況が緩和されまして、或る程度滞貨を生じつつあるような現状にあるのであります。次にアルミにつきまして概略を申上げますと、実はアルミにつきましては各国ともいずれもその生産及び需要の内容を余り正確にいたしておりませんので、確実な数字をつかえることは非常に困難でございますが、大体一九五〇年、即ち一昨年においての生産は合計いたしまして約百四十六万四千トンという数字になつております。そのうちアメリカ、カナダにおきまして百三万トンの生産をいたしております。なおこれらの生産に伴いまする設備拡張の関係は、北アメリカ、カナダ及びアラスカを含めまして北米におきまして昨年度におきまして百三十五万トンの増設をいたしております。また本年度は百六十五万トンの設備拡張を見込んでおります。来年度におきましては百八十万トンぐらいの増産を予定されておるのでございますが、これに対しまして需要の面は実は極めて不正確な把握しかできないのでありましてアメリカにおきましては現在のところどういう恰好にあるかと申しますと、本年の……本年と申しますか、一九五一年度の第二四半期の割当におきましては、供給に対して需要量が相当上廻つておりまして、供給はその約七〇%というようなことになつておりまして、従いまして一般の消費財と申しますか、洗濯機その他の生活用品でございますが、これらの部面につきましては相当需要の圧縮が行われておるように見られるわけであります。次に銅の関係でございますが、これは現在のところ国際原料会議において発表しておる資料しかございませんので、最近の資料といたしましてはこの国際原料会議における資料によつて数字を出して見ますると、全体の銅の必要な量は三百五十七万三千トンでございましてそれに対応いたします生産のほうは二百八十五万五千トン、約八〇%の充足率ということになつておるわけでございます。大体前年の充足率とほぼ同様でございまして、而もこれらの需要量と申しますのは、アメリカのみならず欧州諸国における銅製品の使用制限の点を考慮に入れました推定量となつておりますので、鋼につきましては当分需給関係は不足と見て差支えないと思われるのであります。なお一昨年の銅の国別生産量は、アメリカの百十五万トンを初めといたしましてチリー、カナダ、ベルギー、ドイツ、イギリスその他二百五十三万トンということになつておりまして、ソヴイエト並びにその衛星国関係の生産につきましては数量が現在のところつまびらかでございません。次に亜鉛でございますが、亜鉛もやはり国際原料会議におきまして、その需給関係の数字を出しておるのでございまして、需給量は一九五二年におきまして二百三十五万六千トン、それに対しまして生産量は百九十九万八千トン、約二百万トンということでございまして、充足率は八二%ということになつております。勿論かような状況で、これらの需給関係は今後におきましてそう短い期間にこれらの関係が緩和されるということには考えられないのでございますが、或る一部分におきましては多少この関係が緩和されまして、統制も多少緩まるのじやないかということが言われておりますが、その真偽の程度ははつきりいたしません。
次に鉛でございますが、鉛につきましては国際原料会議におきまして、やはり銅、鉛、亜鉛の委員会におきましていろいろ資料を取りまして検討いたしておりますが、未だ原料会議それ自体におきまして鉛につきましての問題を取上げるというところまで至つておりませんでございます。而もアメリカにおける統制状況等から見ましても、亜鉛なり、銅なりと同じようなほどに国際的な需給関係が逼迫しておるというところまでは至つておりませんようでございます。我が国におきましても現在相当在庫が豊富でございまして仮に輸入をいたす場合におきましても余り困難をしないで済むんじやないかというように思われるのでございます。そういつた状況でございまして一昨年の生産量はアメリカが五十二万トンを初めといたしまして、メキシコ、カナダ、ドイツその他の国を合わせまして百六十六万トンということに相成つております。これはやはりソヴイエト及びその衛星国関係の数字はつまびらかでございません。次に錫でございますが、錫につきましてはアメリカの鉱山局の数字によりまして、これもソヴイエト圏を除きました国の生産量を見ますと、一昨年が十六万六千四百トン、それから昨年が十六万四千八百トン、大体同じような数字の生産をいたしておるのでございまして、この生産量のうち三五%乃至は四三%程度がアメリカで使用いたしておるのでありまして、これが世界的な錫の市場を支配しておる実情にあるわけでございます。そこで国際的な需給関係でございますが、この点はマレイから購入いたします錫に対し、大体錫はマレイがその大部分の原料を輸出いたしておりますので、或る程度価格政策も加味されておりますので、現在のところ必ずしも世界的に需給関係が困難であるというところまで言い切るのはいささか早計ではないかと思われますし、我が国におきましても現在のところ輸入をいたしますことに余り困難がございませんし、将来も大体輸入は余り困難なしに継続できるものと考えられておるわけでございます。次に硫黄でございますが、国際原料会議の資料によりますと、硫黄の需要量は七百三十六万四千百英トンということになつておりまして、生産量は五百八十二万五千百トン、七四・五%の充足率ということになつておるのでございまして、これは現在我が国に対しましても輸出の割当が参つておるのでありまして、需給関係は只今のところ当分緩和するものとは考えられません。
最後に石油の需給関係と今後の見通しの点でございますが、これは別の細かい表を差上げてございますが、その大要から申しますと、昨年の石油の需給関係は、イランの石油の供給が中絶いたしまして、原油の精製能力が不足いたしましたために、多少窮屈な思いをいたしたのでありまするが、これは大体アメリカにおける在庫の拂い出しと精製設備のフル稼動によりまして充足されたわけでございます。本年の需給関係はどうかと申しますと、イランの原油及びその精製能力に期待をいたしませんでも、昨年に措置をいたしましたアメリカその他の国における精製設備の拡充によりまして、需給は大体バランスすると考えられるのでありまして、明年以降におきましては一層その需給関係は安定すると考えられております。原油の主な増産をいたそうと思つております対象は、南米のベネズエラ、中東地区におきましてのサウジアラビア、イラク、クエート等でございまして、イラクでは相当の増産が期待されるのでございますが、この増産は地中海海岸向に輸送管を敷設するという問題で、一層効果的に解決されることになると思うのでございます。精製設備のほうは従来の大戰前の関係と比べて見ますと、最近におきましては産油地主義を消費地主義に改めて参つて来ておりまして、対欧援助資金に対応いたします英、仏、独、オランダ等へのアメリカ資本により精製設備の新増設というものが相当顯著でありまして、日本におきましても相当の精製設備が増設されておる状態であります。輸送力の点もタンカーの不足その他相当言われておつたのでございますが、最近におきましてはタンカーの輸送能力に比べまして需要の関係が比較的マツチして参りまして、昨年あたりの船腹不足の際よりは本年は或る程度緩和されるというふうに考えられるのであります。なお大体需要の推定及び精油能力、それから産油設備の原油の生産の数字につきましては、別表に昨年、本年及び明年と三カ年の大体の見通しを差上げてございますので、この表によつて御了解を願いたいと存じます。
なおこの法律の別表に挙げてございます品目、それから只今御説明を申上げました品物につきまして主な輸入国はどこかという問題でございますが、これは実はお手許に資料として差上げますのに、一枚差し落しまして差上げてございませんので、口頭で御説明をさせて頂きまして、後ほど資料で差上げることにいたしたいと存じます。
法律に挙つております別表の五品目はニツケル、コバルト、タングステン、モリブデン、白金でありましてニツケルにつきましては一番主な輸入先はアメリカですが、その他ノルウエー、カナダ、英国等から少量輸入しております。コバルトにつきましてはベルギー、カナダ、フランス等から極く僅かの数量でありますが、幾らかずつ分けて輸入いたしておる状態であります。タングステンにつきましては米国、ポルトガル、スペイン、この三国から輸入をいたしております。モリブデンはアメリカ及びチリーから輸入いたしております。白金は今後輸入をいたすのでありまして、只今までのところでは国内のストツクによつて賄つておつたのでありますが、本年からは相当の輸入をいたさなければならんのでありますが、その輸入先はアメリカ、カナダ及び南阿連邦を予定いたしております。鉛、亜鉛、これらも実はいずれも現在までのところ輸入をいたしておりません。鉛は最近まで輸入をいたしておりませんが、若し将来輸入せなきやならん必要が起るといたしますならば、濠州、カナダ、アメリカ、メキシコ等から輸入いたすことになると思います。それから亜鉛につきましても、同様只今申上げました鉛の輸入国と同じところから輸入することになると思いますが、これも暫く前に一遍亜鉛鉱石を輸入したことがありますが、その後国産の増加によりまして、現状におきましては輸入をいたす必要を感じておらん状態でございます。錫につきましてはマレー及びインドネシアから輸入をいたしております。これは現在輸入いたしておりませんが、将来必要が起ればこういうところから輸入することになると思います。
それからちよつと御説明が前後いたしましたが、銅につきましては実は現在までは輸入いたしておりませんのでございますが、将来の問題といたしまして、鉱石なりスクラツプを輸入する必要が起るかと思われるのでございますが、その場合には鉱石の輸入先はチリ、フイリピン、ボリビヤ等でございまして、スクラツプは朝鮮あたりを実は考えておる次第でございます。これは本年の末か来年度になりまして輸入をいたす必要が起ろうかと考えております。それから最後に石油でございますが、石油は現在国産は極く僅かでございまして、使用量の一割に満たない程度でございますが、大部分の輸入は現在ドル地域から輸入をいたしております。大体ドル地域からの輸入が現在のところ七割乃至七割五分くらいになつておりまして、その輸入をいたしております先はアメリカ、それからドル地域、ドル支拂になつておりますが、サウジアラビヤ及びニユーギニヤ、これらから輸入をいたしております。それからポンド地域の輸入は三割或いは二割五分、比較的最近では減少いたしておりますが、これらのポンド地域の輸入先はイラン、クーウエイト、これは中東アジアでございますが、それからボルネオ、ニユーギニヤ、こういつた方面からドル支拂による石油を輸入いたしておりまして、この場合におきましても石油は原油の輸入が大部分でございまして、現在までのところ製品で輸入をいたしておりますのは高級潤滑油、その他のいわゆるマシンオイルに相当しまするものと重油を輸入いたしておりまして、ガソリンそれ自体の輸入はこれからだんだんに輸入して参るということでございまして、この四月頃に最初のガソリン輸入が行われるということになると思うのでございます。主な物資の需給の関係とそれから主な輸入国の調べにつきましては、只今申上げました通りでございます。
それから第二の問題といたしまして、いわゆる戰略物資につきまして、国際的供給不足の有無にかかわらず輸出制限を行なつておる国が多いけれども、この法律の第二條第一項第二号にはこられを含んでおるかどうかという点でございますが、国際的に供給不足の有無にかかわらず輸出国が輸出制限を行なつておる、こういうようなものにつきましては、この法律におきましては適用されない、含まれないというように解釈いたしております。
それから国民経済の健全な発展と国際経済の円滑な運行というこの法律の第一條の目的のところに書いてございます関係につきまして、第一に国内的に余剩な物資でも国際的に不足しているというような場合には、この法律の対象になるかどうかという問題でございますが、これは国際的に不足いたしておりますような場合には、国内的には余裕がございましても、本法の対象といたす考えでございまして、例えば銅のようなものにつきまして、現在国内的には余り逼迫をいたしておりませんが、国際的に今非常に不足いたしております関係上、何らかの措置を近い将来においてはとらなければならんのじやないかというように考えておる次第でございます。
それからその次に、国内の経済上直接必要じやございませんが、日米経済協力と申しますか、いわゆる新らしい特需等を引受けますためにどうしても輸入が必要となつて来るというような国際的な供給不足物資がこの法律の対象になるかどうかという点でございますが、これは対象になると考えておる次第でございます。
なお條文の解釈の問題につきましていろいろの御質問の点がございますが、第一に讓渡、讓受、引渡という文句が出ておりますが、これは法律的に区別いたしますと、讓渡は所有権を移転するということを言うのでございまして、讓受は丁度そのうらはらの関係で、所有権の移転を受けるという関係をここで規定しておるわけでございまして、引渡は現実に占有権を移転するという現実のあり方の点をここで規定している次第でございます。それから「公共の利益」という言葉が第二條の第一項第三号に使つてございますが、この「公共の利益」と申しますのは、憲法で言つております公共の福祉というような言葉と大体同様な意味にとつておるのでございまして、具体的な内容はちよつとはつきり申上げかねるのでございますが、いわゆる社会生活の秩序というものを対象に考えておる。従つてこの法律で言つております「公共の利益を害する」ということは、国民生活の安定を害し、社会生活の秩序を紊すというような程度に至る場合を指しておるものと解釈いたしております。それからこの法律では命令するという言葉と命ずるという言葉と両方に使い分けてございますのでありますが、これは実は別にその内容が異つておるわけでございませんので、同じ言葉でございますが、前に受けて参りました言葉のあやによりまして、何々を命令するとか、何々を命ずるというような恰好になるのでございまして、これは内容はいずれも同じ意味でございます。これは一つはいわゆる法的な形式によりまして、行政機関が特定な人に対して作為又は不作為の義務を課すると、一つの法的な形式によりまして規正いたします場合と、個々の具体的な処分につきまして作為不作為の義務を課するというような両方の意味を持つておるわけでございまして、省令等の規則でやります場合と、個々の処分、命令でやります場合と両方含んでおるのでございまして、それが使い方によりまして、場合によりますといずれか片方を意味しているような場合があるのでございまして、第二條の第二項の「命ずる」という場合には処分命令を意味いたしておりまして、法形式を意味いたしておるわけではないのであります。そういつた使い分けをいたしておる場合があります。それから割当配給をいたします物資と使用制限を行います物資との区別の問題でございますが、これは嚴密に区別いたします一般的な基準というのは非常にむずかしいと思うのでございますが、要するに單なる用途制限、使用制限等を行うだけでは十分に効果が挙げられないと、これと同時に切符制等によりましてその使用の量なり或いはその切符を受けます人間の範囲というものを限定いたしまして、そういつた規正を必要とすると考えられます場合には、進んで割当配給という方法にまで持つて参るのが通常のやり方でございます。それから今回の法律におきましては、生産の命令につきましては、これを削つてございますのでありますが、生産の増強という点につきましては、これはこの法律によりまして措置をするという問題ではございませんで、むしろそれぞれの企業の努力によりまして生産の増強をいたしますが、その場合に或いは政府資金の調達供給をするとか、その他別個の措置によつて生産の増強は行うべきものでございまして、本法の命令によつて強制すべきものとは考えられませんので、これを削除した次第でございまして、ただ生産の制限乃至は禁止ということは、実はその原材料の使用の制限禁止ということとうらはらの関係になりますので、その使用の制限禁止によりまして目的が達し得られるという解釈でこれを削除いたした次第でございます。
なおこの生産の問題に関連いたしまして、最近言われております操短の問題につきまして、これがどういう根拠であるかということがございますが、操短の勧告は現在のところでは行政措置として行われておるものと考えられるのでございまして、法的には根拠はないのでございます。従つてその勧告に応じなかつた場合にこれをどう処置するかという問題も、やはり行政的な措置で済ませるほかいたし方がないわけでございまして、その行政措置の内容がどの程度までやるかという点はそれぞれの具体的なケースによりましてきめられるものと考えております。それから次に第二條第一項第一号に「條約、協定その他の国際的取極」ということがございますが、これにつきましてどういう状況であるかということを簡單に申上げますと、これは別紙二のところにございますが、現在これらの国際的取極に該当いたします主なものは、いわゆるI・M・C、国際原料割当会議でございまして、この会議は昨年の二月に設置されまして、当初は二十三の国が参加しておりましたが、現在は二十八カ国になつておる次第でございまして、その構成は中央機関のほかに七つの商品別委員会がございまして、その品目は銅、鉛、亜鉛、硫黄、綿及びコツトンリンター、タングステン、モリブデン、マンガン、ニツケル、コバルト、羊毛、紙、パルプ、こういうことになつておりまして、我が国では綿及びコツトンリンターの委員会、紙、パルプの委員会、タングステン、モリブデンの委員会に参加の意思表示をいたしております。又銅、鉛、亜鉛の委員会或いは硫黄の委員会等に参加することに近い将来にはなろうかと考えております。そのほかに現在ございますのは国際小麦協定というのがございますが、これは我が国も参加いたしておりまして、年間五十万トンの割当を受けておりますが、このほうの関係は食糧関係でございまして、別に食糧管理法というものがございますので、国内的にはそちらのほうの関係でいろいろ割当配給その他の規正を行うということに相成ろうかと存じます。現在のところこういつた国際的取極として今後どういうことが起るかという点は、先の点は見通しがまだつきませんが、差当りはこの辺のところで……、このほかには新しいものは出て参らないというふうに考えております。
それから次に輸出の制限をいたしております物資の関係でございますが、第二條第一項第二号の物資でございます。これが各国におきまして輸出の制限をいたしておる現状或いは今後の見通しにつきまして申上げますと、最も嚴格に輸出の制限を行なつておりますのはアメリカでございまして、これは輸出統制法によりまして現在輸出許可制の対象にいたしておりますのは約千五百品目でございます。ただそのうちの大部分はソ連圏への輸出を制限いたしておるのでございまして、いわゆる〇・I・T物資と呼ばれておりますものは五百三十ぐらいの品目でございます。そのうちで具体的に輸出制限を行なつておりますのは三百二十品目くらいでございまして、我が国ではそのうちで約二十品目程度のものにつきまして輸入の要望をしておるのでございます。従つて輸入を要請いたしておりますものが大体本法の対象に相成りますので、二十品目程度に現在はなつておるのでございますが、そのうちで国内的に措置をいたす必要がない品目が相当ございますので、この法律の別表にございますように、差当りといたしましては五品目程度が選ばれておるような次第でございます。それから英国におきましては、国際收支が悪化いたしておりますために輸出を実は全般的に育成をいたしておりますので、極く基礎的なものにつきましてだけ、石炭、鉄鋼、機械、そういつたものだけ輸出の規正が行われておりますが、大体輸出の関係は殆んど野放しに近いと言つてよろしいと思つておるのでございます。国内で非常に不足しておる石炭、鉄鋼というようなものについて或る程度統制をしておるという現状でございます。あとは大体インド、パキスタン、タイ等、いわゆるまあ後進国でございまして、これらはすべて輸出或いは輸入、或いはその場合の税の関係等、いろいろな手段をいたしまして自国のいわゆる收支バランスの調整をいたしておるようなわけでございまして、いずれもそれらの国々の特産品に対しまして輸出の統制をするということになつておりますけれども、実際問題といたしまして、国内で或る程度大きな産業になつておりますものは別にいたしまして、そうでないものは輸出をいたす方向になつて来ております。なおアルゼンチンにおきまして、やはりアルゼンチン自体の特産的なものにつきましては、これは国営貿易を行なつておるような現状にございまして、これによりまして自国の特産品等につきまして統制的な措置を講じておるのがございます。こういつたように各国でいろいろ輸出制限の措置をいたしておりますが、どうしても差当り問題になりますのは、アメリカにおきまして実施いたしておりますいわゆる〇・I・T物資に関する輸出の統制でございまして、この中には日本でどうしても輸入しなければならんというものが相当ございます。これらのものが大体この法律の対象になるというふうに考えております。
それから次に第二條の第一項第三号の物資、つまり国際的な物資ではございませんけれども、この物資につきましては或る程度需給調整措置を講じませんと、国民経済の正常な運行を阻害されるばかりでなく、公共の利害を害するというようなものにつきましては、本法の対象にいたしておるわけでございますが、この調整は、従いまして條文にもございますように、普通の状態のときに行われるものではございませんで、或る程度異常な時期に行われるのでございますが、その時期が一体どのくらいかという問題でございますが、これはその状態が長く続くかどうかということで決定される問題でございまして、必ずしも常に短期間に終るということには限定されないと存じます。なおこの法律の適用ができませんような、何と申しますか、いわゆる正常な状態におきましての物資の調整のことでございますが、これは今後絶対にそういうことは起り得ないということは断言できないのでございますが、そういつたことの必要が起りました場合におきましては、この法律でない別個の立法措置によらなければならないと考えておるのでございます。
それからなお、従いましてこの第三号の物資につきましては、国民経済の正常な運行に支障を生ずるというだけでなくて、公共の利益を害する慮れがあるというような場合に初めて需給調整措置が行われるのでございまして、そういう慮れのないときにはこの需給調整措置は行われない次第でございます。
それからこの法律と他の法令との関係でございますが、物価統制令と臨時物資需給調整法、従来ございました法律でございますが、これは必ずしもうらはらをなしておつたものとは言えないのでございますが、今度の法律におきましても物価統制令とは直接には関係がないのでございます。物価統制と物の需給調整措置というものは、場合によりますとうらはらになる場合もございますが、別個に考えられる場合もございまして、必ずしも直接の関係はございません。それからなお緊要物資輸入基金特別会計法によりまして、現在この会計が買入れなり売拂いを行なつております物資につきましては、一番最後の表にございますが、現在のところニツケル、合成ゴム、石綿、苛性ソーダ、タングステン、こういうものでございまして、その受拂いの状況につきましては、ニツケルにつきましては受入が二百九十六トン、押出三十四トン、現在二百六十二トンの残量を持つております。合成ゴムは三百トンの受入がございまして、拂出二十トン、二百八十トンの残額と、このほかに現在港に入つておりますが、まだ通関が済んでおりませんものが、石綿二十四トン、ニツケル百四十トン、それから契約が済んでおりますけれども、まだ現物がこちらに到着しておりませんものが、苛性ソーダ六百トン、タングステン、これはいろいろな種類のもので、余り大量のものはまとまつておりませんが、金額にいたしまして四千九百八十万円、それから合成ゴムが千五百トン、石綿二十一トン、そういう受拂の状態になつております。相手国につきましては大体現在のところアメリカが主でございます。それから緊要物資輸入基金特別会計法は、今回は差当り改正されない見込でございまして、従つてこの緊要物資輸入基金特別会計法によりまして受入れました品物とこの法律との関係につきましては、従来と変りはございません、大体従来の関係と同じように措置をとつて行くということに相成るかと存じております。
大体御質問の事項につきましては、只今申上げましたところで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/2
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003・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 有難うございました。一応の説明は終つたわけでありますが、御質問ありましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/3
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004・須藤五郎
○須藤五郎君 説明は余り順調にさつささつさと行くので呑込めないような点も多々あると思うので、この書類による説明はよし悪しの点がたくさん出て来ると思うのです。一方的な説明に終つてしまつて不審な点などいろいろある。それを討論しながらいろいろなことを拡げて行くということができないために、政府としては非常にいいでしようけれども、聞くほうとしては何だか非常に範囲が狭まつてしまつたような感じがするのですが……。まあ余り質問するのにも勉強も足りないのですが、併し補足的に質問させて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/4
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005・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/5
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006・須藤五郎
○須藤五郎君 伝えられるところによりますと、今度のこの統制は、政府自身が最初からこの統制を計画したのではなしに、やはりアメリカからの要請によつてこの統制計画がなされたということがいろいろの面から言われておると思うのです。少くも今度の五品目ですか、この統制を先に考えたのじやなしに、タングステンとかモリブデンというような二、三種類ぐらいにとどめたいというのが政府の意向であつて、それがこういうふうに拡がつたのは、やはりアメリカの要請によつて拡げられたということが言われておりますが、この間の事情を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/6
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007・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 只今お話もございましたが、実はこの五品目につきまして、この新らしい法律によりまして統制をいたしますのは、アメリカの要請によりましてやるということではなしに、日本政府の独自の見解でこういうものについて統制をしようというように考えた次第でございますが、それは具体的に申上げますと、ニツケル、コバルトにつきましては、従来から物資需給調整法によりまして割当配給の統制を実行いたしておるのでございます。それを継続してこの新しい法律で実行いたしたい。かように考えたわけでございます。それからタングステン、モリブデンにつきましては、従来の物調法によりまして統制をいたそうという計画をいたしておりましたところが、丁度こういつた法律の期限の切れる時期が参りまして、そのために従来の物調法では、大体もう実は成案その他ございましたのでございますが、この新法に切替えるという考えでこの二品目が追加したような恰好になつておりますが、これも需給関係から参りますと、やはり日本といたしましてはどうしてもこれらの二品目の統制をしなければならん状態には実は大分前からあつたのでございます。と申しますのは、ニツケル、コバルトも同じでございますが、タングステン、モリブデンは特に戰争中から残つておりましたストツクを食いつぶしてしまつたような状態でございまして、それが主としてこれは特殊鋼の原料でございますので、従来はいわゆる特殊物件等と申しまして、戰争中に軍等の持つておりました特殊鋼が相当あつたわけでございます。これを鑄潰しまして、改めてハイスピード・スチールなり或いは刃物鋼なりに鑄変えておつたのでございます。それが非常に底を突きまして、昨年の春頃には特殊物件等の奪い合い等でいろいろな不正の問題等も起るような状態もあつたわけです。そういつた意味でこれを今回は挙げたわけでございます。それから白金及び白金含有物につきましては、これは従来貴金属管理法という法律がございまして、この貴金属管理法におきまして白金、金及び銀につきまして一手に買上げをいたしますと同時に、割当配給をやつておつたのでございます。そのために実は物調法のほうではこれをやつていなかつたのでありますが、今回貴金属管理法が改正になりまして、白金と銀は貴金属管理法から除外になりまして、金だけを買上げて必要なところに配給するということになりました。併し実態から申しますと、白金は工業原料として極めて重要なものでございます。この割当配給制度はどうしても継続を要する。本来物資需給調整法によつて行うべきものであつたのでありますが、貴金属管理法の関係で物調法でやつておらなかつたものが、ここに参つておるわけでございます。実はこの程度の品物につきまして割当配給制度をいたしますことは、関係方面の影響によつてやつたのではなしに、これらのものは日本政府といたしましても当然やらなければならんという実情にあるためにやつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/7
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008・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 今のに関連ですが、今の説明の中で、五品目の指定の理由を述べられましたが、先ほどの説明の中の国際的不足物資の品目別に説明の内容を承わつたわけですが、その中の特に銅、亜鉛、硫黄というようなものは、現実に国際需給が逼迫しておる品目になつておるわけです。併しこの五品目の中には入つておらないわけです。それを入れなかつた理由、及び先ほどちよつと話が出かかりましたけれども、今後考えられる措置等についてちよつと附加えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/8
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009・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 只今お尋ねのございました銅、鉛、亜鉛、それから硫黄の関係でございますが、銅につきましては、只今のところでは国内の需給関係は或る程度均衡を保つております。ただこの銅の需給関係が均衡を保つておりますのは、従来国内におきましてのスクラツプを相当量回収いたしまして、新しい鉱石から生産いたされます電気銅のほかに、スクラツプを相当持つて参りまして、銅製品の供給を殖やしておつたのでございますが、これは国際的に見ますと、現在需給関係が相当逼迫いたしておる品目でございます。同時に日本にとりましても今年の下期あたりに参りますと、スクラツプが枯渇して参りました関係上、生産が相当頭打ちになつて参る可能性がございまして、私のほうで二十七年度の銅の需給関係を算定いたしております見通しから申しましても、銅鉱石或いは銅のスクラツプを或る程度輸入いたさなければ、国内の需給が均衡いたさないということに相成ると考えられておるのでございますが、そういつた国内事情のほかに、現在国際原料会議におきまして、銅につきましては輸出の割当を毎期もらつておるような状態でございますので、銅につきましては近い将来に、この不急不要用途に対する使用の制限措置をいたしたいと考えております。ただこれにつきまして、別表に挙げまして割当配給まで行うかどうかという問題でございますが、銅につきましては、その使用の態様なり或いは現在の国内における需給のバランスの関係等から勘案いたしまして、割当配給まで行う必要は現在のところではない。差当り贅沢品その他不急不要用途の使用制限措置で銅については措置をいたしたいと考えておるのでございます。それはこの法律が若し通過いたしますれば、その後においてそういつた措置を具体的に検討いたしたい。かように考えておるわけでございます。
それから鉛、亜鉛も国際的に不足している物資の中に一応挙がつておるのでございますが、これは鉛につきましては、先ほどもちよつと申上げましたように、比較的需給関係は現在バランスがとれておるのでございまして、国内的にも鉛は非常に不足するというような状態は解消いたしております。それから亜鉛につきましても、現在におきましては、鉛と殆んど同様の状態にございますので、国際的に供給の不足する物資という範疇には一応入りますけれども、日本といたしましては、差当りこれらの二品目については特段の措置をとることを必要といたさないというように考えております。それから硫黄につきましては、日本は実は生産国でございまして、先般国際原料会議から輸出の割当が参つておりますが、その程度の輸出をいたしましても、なお且つ相当供給に余力があるという状態でございますので、現在もう少し輸出の割当を殖やしてもらいたいというような申入れをいたそうかという状態にございますので、これは国際的には不足いたしておりますけれども、差当り国内におきまして需給調整の措置はとらないというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/9
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010・須藤五郎
○須藤五郎君 それからまあ私たちが伺つておるのでは、もつともつと大きい範囲の統制を希望されたが、やつとこの辺で食いとめたと、そういうふうに伺つておるのですが、なおここの中に国際的とか、それから何と言いますか、社会的、公共的というような言葉がたびたび出て来るのですが、その国際的という言葉はどういうふうに理解していいのでしようか。どうもこの法案を見ていますと、何と言うのですか、地球の或る一部を見て国際的というふうに見ている。いわゆるソ連圏とあなたたちは言いますが、我々のほうでは民主的な国と言つておりますが、そのほうを一つも考慮に入れてないのですね。この法案を作る場合にどういう観点からこれをつかんでおられるのか、それをちよつと伺つておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/10
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011・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) ここに国際的と使つておりますのは、実はまあ今のお話のように、地球を二つに分けてどちらかというふうなお話がたびたびございますが、ここで使つておりますのは、要するに日本の立場におきまして、世界的に見まして供給がまあ得られないというようなもの、これから又全体の関係から見まして、どうしても供給が不足するということが認められますものを、国際的に供給が不足すると、こう言つておりますので、例えば物によりましては、ソヴイエト並びにその衛星国と申しますか、そちらのほうで相当の生産のある物資もあると思うのです。ただその品物が一体それじや日本で簡單に入手できるかどうかということになりますと、政治的な制約等もございまして、簡單に入手できない、そういたしますと、やはり日本としてはそういつた方面に輸入を仰がなければ、そのほかの所から輸入しなければならん、その場合に、そういつた関係の国々の間におきまして需給関係が非常に逼迫しておるというような場合におきましては、やはりこの国際的に供給が不足するという範疇に入れまして、これによつて一つの枠を規正して参つて来ておると、こういつた恰好なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/11
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012・須藤五郎
○須藤五郎君 ああそうですか。今ここに使われておる国際的ということは、要するにまあソヴイエト圏というものがあるならば、アメリカ圏、ドル圏を国際的というふうにあなたたちは使つておるわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/12
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013・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) まあ現実的にはそういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/13
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014・須藤五郎
○須藤五郎君 そこらに僕らは根本的に異論があるわけなんですね。まああなたも專門家でしようから、プラチナのソヴイエトにおける生産とか、ニツケルにしましても、タングステンの中国における生産高、皆御存じだろうと思いますから、私は何も物知り顔に申しませんけれども、そういうふうに十分にあり余つた国と、殊更に政治的とか何とかいうような言葉を使つて貿易を禁止して……向うは希望しておる、ソヴイエトなどはどんどんと貿易を希望しておるわけですね。日本とバーターでもいい、或いは円で売つてもいいと、そこまでソヴイエトは積極的になつている。日本の国民の生活のためにはそういう手段をとつてもいいと言つて来ているのに、殊更それを日本が封鎖して、アメリカ一辺倒的な政治をやるためにこういう非常な不都合なことが起つておる。而もこの不都合の起つて来る原因は何かというと、アメリカからの要求だと、アメリカの戰力を日本が援助するためにこういうことがされるという結果が私は起つて来ておると思うんですね。それからもう一つ聞きたいのは、社会的、公共的という言葉を先ほどあなたがおつしやいましたが、どうも私はこの法案に社会的、公共的というような言葉が果して合うのかどうかという点なんです。それはなぜかと申しますと、これは何の目的でこういうような統制をしなくちやならんかというと、これは全部何ですよ、アメリカ圏、ドル圏の戰力増強のためにこれが必要になつて来ておるわけですね。殆んどが戰力を増強するのが公共的というような言葉に当てはまるのかどうか。まあ一つの例を挙げますると、日本が玩具にニツケルを使つたと、ところがそれがアメリカへ行つて、日本じやニツケルを玩具に使つてけしからんというようなことで日本が怒られた、だからニツケルをやはりこういうふうにしなくちやならん、玩具にニツケルを使うのが公共的でなく社会的でなく、それを武器に使うのが公共的だ、社会的だというような断定はどこで下せるのか、この言葉が非常にごまかしだと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/14
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015・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 実はちよつと只今の御質問で誤解をなさつていらつしやるのじやないかと思われますので申上げるのであります。実は公共の利益を害するという言葉を使つてございますのは、この法律の第二條の第一項の第三号でございます。この第三号は、国内において供給が特に不足する物資であつてということで、国際的な関係は入つておりません。そういつたもので、若しその需給の調整を行わないような場合には、国民経済の正常な運行が著しく阻害されるし、又公共の利益を害する虞れがあるということでございまして、これは一つの例を挙げて申上げたほうがおわかりやすいと存じますが、例えば昨年の秋におきましての異常な渇水期におきまして、火力発電用の石炭がどうしても手に入らない、こういつたような場合におきまして、それが常に一般の家庭にも停電が起る、そういつたような場合に、その電力用の石炭に対しましてこの法令に、よりまして譲渡の制限をするとか、そういつた措置をやる、こういつた意味のことをここで言つておりますので、ニツケルを玩具に使いますような場合の社会的、公共的というようなことではないのでございます。ちよつとこの第二條の第三号の目的の立て方はそういつたようなものを考えておりますので、いわゆる国際的稀少物資と申しますか、ニツケル、コバルト等の品物を、ここでは考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/15
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016・須藤五郎
○須藤五郎君 それじや今度のこの五品目の統制によつて、業者の受ける利害関係というものはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/16
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017・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) この五品目の統制をいたしましても、現実にはこれを受けます業者に対してそう大きな不利益と申しますか、阻害は起らないと考えておるのであります。それはなぜかと申しますと、これらの五つの品目は、大体原料的な関係に使われますもののほかは、或る程度代替品がございまして、それによりまして従来の品物が生産し得るような状態にあるわけでございます。それが若し非常に阻害されますようなものにつきましては、これらの品目につきましてはそれぞれ例外規定を実は設けております。ニツケル製品等につきましても、非常に困るというようなものについては、これを或る程度使つてよろしいというようなふうに穴をあけてございます。それから代替品のあるものについては、その使用を抑えるというような形で行つて参つておりますので、現実的には大きな影響がないと思われるのであります。又逆に従来こういつたもので主に仕事をしておりましたようなものは、こういう割当配給をやりますことによつて、逆に仕事のほうに安定性が出て参るように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/17
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018・須藤五郎
○須藤五郎君 近い将来において、この五品目に加えられる品物というものは、あなたのほうで予想してないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/18
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019・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 実はこのほかにカーフスキン、キツプスキンと申しまして、牛の極く小さい、生れてから半歳までのものをカーフスキン、一年以内ぐらいのものをキヤツプスキンと申しております。これは主として紡績のレザーに使われておるのでございます。エプロン・レザー、ローラーそういつたものに使われておりますが、これらのものについてどうしても統制をやらなければならんということの情勢が、一時逼迫したことがあつたのでございますが、最近皮の関係につきましては比較的世界的に需給が楽になつて参りまして、これらの統制は強化する必要がない、むしろ統制せんでも、差当りのところ供給は十分あるというような見通しになつて参りましたので、これを落しまして、従いまして差当りこの五品目にすぐ追加するというものは只今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/19
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020・須藤五郎
○須藤五郎君 この粘結炭、鉄鋼を造る粘結炭の輸入に関してはどういう見通しを立てておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/20
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021・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 大体粘結炭の輸入につきましては、只今のところまあ二十七年度といたしましては、大体二百九十万程度のものを輸入いたしたいと考えておるのでございますが、その輸入先は二百万トン余りがアメリカでございまして、八十万トン程度をインドから輸入いたすということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/21
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022・須藤五郎
○須藤五郎君 この輸入は確実性を持つたものですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/22
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023・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 昨年の実績から考えますと、この程度の輸入は余りむずかしくないと考えておるのでございまして、昨年の実績とはぼ同じ程度のものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/23
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024・須藤五郎
○須藤五郎君 私たち心配しますのは、この粘結炭の輸入が非常にむずかしくなるのではないか、そうすると鉄鋼の生産高が減るために鉄鋼まで制限が、統制が延びるような状態が来はしないかという心配があるのでお尋ねしておるのですが、そういう心配は絶対ありませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/24
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025・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 只今のところでは実は船賃の関係、船腹の関係その他は比較的昨年よりも楽になつておりますので、この程度の輸入は心配ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/25
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026・須藤五郎
○須藤五郎君 それから実は安本長官が御出席であればちよつと伺いたいと思つておつたのですが、最近の操短の問題ですね、繊維産業の操短……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/26
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027・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記をとめておいて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/27
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028・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて下さい。須藤君のほうまださつきの質問続けますか……。じや郡さんどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/28
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029・郡祐一
○郡祐一君 ということなんですが、(笑声)ですからこれは、こういう法律を作るとすれば、根本的に、事務当局或いは政府としては法律は考えなければならん基本的な問題になつて来る。併しあなたがた專門的にどういうふうに議論されたのか、一応聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/29
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030・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 今の御質問は、この国際的供給不足物資の中で、一番大きな問題は食糧関係であるはずだ。この食糧関係について政府関係当局とどういうような話合いになつておるかということですね、大体……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/30
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031・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 実は食糧関係につきましてはいろいろ農林省その他とも打合せをいたしておるのでございますが、これは御承知のように食糧管理法という法律が別にございまして、この法律の運用によりまして実質的には従来もやつておつたわけでございます。ただ形式上臨時物資需給調整法の指定配給物資の中に食糧が入つておりましたのでありますが、それは指定してあるだけでございまして、それに伴う関係法令その他は全部挙げて食糧管理法のほうに讓るのでございます。そういつた関係もございますので、今回この法律を作ります場合には、食糧関係は一切食糧管理法のほうに譲りまして、こちらのほうでは食糧関係は取上げない。ただ輸入の関係については、この法律も直接関係はございませんが、貿易統制法等によりまして現在輸入外貨資金の割当その他の事項を実行いたしております。輸入の関係はそのほうで規正いたしまするし、国内関係は食糧管理法のほうで行う、こういう了解の下に実はこの法律案ができておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/31
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032・郡祐一
○郡祐一君 それでそれはわかるのですが、そこで考え方の問題として、やがて統制を外そうということを言つておるわけです、食糧について明らかに……。すでに麦はもうこの国会に出して外して行こう、その次に米を外すということをまあ政府当局が言つておるのです。大蔵、農林大臣あたり言つておるのです。ところがそのことは結局食糧管理法がなくなるということなのです。その考え方が專門的には、或いは事務的には、こういう法律を作るならば、食糧というものも当然外さないで行つて、こういう考え方の対象にしなければならないはずなのです。そういう議論と言いますか、検討はそのときされたかどうかということなのです、僕の言つておるのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/32
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033・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 実はその問題につきましても、一応関係各省間では相談をいたしたのでございますが、今の食糧管理法を廃止するという場合には、現在の食糧の統制を撤廃した場合に、何もほかに措置をせずに自由に任してしまうという恰好で参るのか、或いは、特別の需給調整を行い、別途の方途を改めて考えるか、これは従来政府で考えておりました統制撤廃の案もあるわけでございますが、そういつた措置を実行するという点もございまして、そういつた関係になりますれば、この法律を直接適用するという必要が起るかどうか、それは先の問題としてわかりませんけれども、その成行きによりましては、この法律で強いて食糧を包括しなくても差支えないということにはなるのじやないかということも考えられますので、この條文の書き方から見ますと、当然入らないということにはまあならないわけでございます。そこで第三号に含めようと思えば入らないことはないのでございますが、運用といたしましては、差当り食糧管理法の運用で参る、こういう打合せをいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/33
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034・永井純一郎
○永井純一郎君 差当りの問題はわかるのですが、この法律を作るときに、将来やはり食糧というものが当然この法律の、食管法がなくなつたような場合には対象になるのが本当だ。この第二條に書いてあることを読めば……、尤も第二條の各事項に相当するのはやはり食糧だと思うのですが、そのことについての議論というものは、政府ではもうそういうことは取上げておりませんから、各省間、事務当局間の研究なり議論というものはもう行われなかつたのですね、行われなかつたのでしような。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/34
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035・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 実はこの法律は、できるだけ局限された範囲で適用をいたしまして、食糧その他相当重要な物質を需給調査をいたさなければならん、現在の食管法そのままで、統制ということではないと思いますけれども、食糧の場合でも何らかの需給調整措置をいたしますような場合には、できるだけ別個の法律を作りまして処置をすることが適当じやないかというような意見が実はありまして、只今申上げましたようなことになつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/35
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036・永井純一郎
○永井純一郎君 別個というのは、こういう目的のために食糧を統制する、需給調整をするということ自体が問題になつていたのでしよう。需給調整をする必要が食糧については起るかも知れないということを考えておりながら、食管法を廃止しようというのはおかしいですね。だから私のお聞きしたいのは、そういう議論はもうなされなかつたのであつて、そうして先ほど須藤君もいろいろ言葉を、表現の文字を追及されておりましたが、はつきり言えば、例えば軍需生産に必要な国際的供給不足物資に関する需給調整の法律、こういう考え方なんですね、これは。というふうなことで議論されておつたということじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/36
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037・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 軍需生産というふうには限定的には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/37
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038・永井純一郎
○永井純一郎君 限定的に考えなければ、食糧というものも当然議論の対象になつたはずですよ。結果がこれは出ていませんけれども、私は議論がされたかどうかということをお聞きしたい。検討したかということを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/38
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039・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) それは一応食糧につきましてもこの法律でやるかどうかという問題は出たのであります。そのときには大体食糧のようなものにつきましては別の法律においてこれを実行するということにしようという方針を申しますか、それがきまつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/39
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040・永井純一郎
○永井純一郎君 そうすると、食糧についても将来需給調整を解除しないでするのだという方針をきめたことになりますか。安本として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/40
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041・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 将来需給調整をするのだということでなしに、現在需給調整をやつておりますが、これを解除した後におきまして、又需給調整をやる必要が起るかもわからんわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/41
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042・永井純一郎
○永井純一郎君 そこがだから問題なんで、起るということであれば、これは重大なこととして国会として取上げよう。起ることを今予想しておりながら、統制解除の方向に持つて行くということは、それこそ許されないことであつて、だからそういう点はあなたは答弁しにくい。これは周東君にも聞きますけれども、研究はされたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/42
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043・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 多少議論に出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/43
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044・永井純一郎
○永井純一郎君 そうすると、これはまあ実際にはこの軍需生産関係の物資に限定してこの法律はやろうということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/44
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045・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) それはちよつとお話が違います。と申しますのは、この法律はどこまでも稀少物資でございましても、現在日本の軍需生産に使つておる物はないのであります。五品目の一応割当配給をやりますものが挙つておりますけれども、これが現在軍需生産には使われてはおりません。大体民需品に使われているものが大部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/45
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046・永井純一郎
○永井純一郎君 それではこれをどういうところにどういうふうに使つているのか、数字を出して頂きたい。ここに挙げておる五品目の需要……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/46
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047・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) それではちよつと概要を申上げます。
ニツケルにつきましては、御承知のように相当大きく使つておりますのはいわゆる合金鋼でございますが、肌燒鋼なり工具鋼、それからロール、そういつたものの原料に使つており、それからステンレス・スチール、これは現在化学工業の設備には非常に使われておりますが、こういつたステンレス・スチールに使われておるものが二割四分ぐらいになつております。先ほどの工具鋼、肌燒鋼に使われておりますものが三一%、それから磁石鋼に使われておりますものが五%ございますが、これは大体鉄道等のバネ鋼に使われております。それから電気鍍金の関係で二〇%、この電気鍍金と申しますのは、大体生活用品その他の器具類になつておるものが主なんでございます。そういつたものにも使われておりまして、これが直接軍需生産、軍需生産というのは日本には殆んどないのですが、そういうものには現在使われておりません。
それからコバルトでございますが、コバルトが使われておりますのはやはり特殊鋼が大体主な用途でございまして、これはハイスピード・スチールに使われております分が相当多いのと、それからもう一つは、先ほど申上げましたニツケルと両方全金にいたしまして磁石鋼を作りまして、それは車両その他のバネに使う。これが半分ぐらいございます。ハイスピード・スチールは、その用途は主にバイト類でございます。造船とかその他そういつた方面のバイトに使われるものが主なんでございます。大体コバルトにつきましてはそういつた用途でございます。
それからタングステンは、只今申上げましたハイスピード・スチールに今のコバルトを一緒に混ぜまして作りますものが相当多いのでございますが、その他にダイス或いは耐熱鋼、そういつたもので、これは自動車部品なり船舶用の部品でございます。それからタングステンそのものの金属といたしまして、電球なり真空管なりその他の用途に使われておりまして、これは主として今の有線、無線の電気関係の器具に使われておるわけであります。
それからモリブデンでございますが、モリブデンが現在使われております主な点は、やはり特殊鋼に使われておりますものが大部分でございますが、これはハイスピード・スチール、それからステンレス・スチール、こういいうものに合金として混ぜておりますのと、それから耐熱鋼、肌燒鋼、これはいずれも自動車、船舶、機械部品等に使いますスチールでございます。その他にロールに相当程度使つております。
それから白金につきましては、相当大きな用途といたしましては、化学工業に使います白金るつぼの関係がございまして、これは化学反応をいたします場合にどうしても白金るつぼが必要である。それからもう一つ化学繊維関係で、糸を引いて参ります紡糸のノズルでございますが、これは金と白金の合金によりまして使つております。このノズルの用途に三分の一くらい使われておるわけであります。それから触媒の用途に使つております、これは化学反応をさせます場合に、白金の触媒によりまして還元をしておる。こういう状態でございまして、実は軍需生産とおつしやいますけれども、現状ではそういつたことにはなつていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/47
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048・永井純一郎
○永井純一郎君 それが軍需生産になるのでしよう。もう一つそこでお聞きをしておきたいのですが、これに司令部の要請が非常にあつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/48
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049・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 実は先ほどから須藤委員からも御質問があつたのでございますが、この問題につきましては司令部からそんなに強い要請はなかつたのでございまして、むしろこの五品目につきましては日本側から相当前にやつておりますものを継続してやるという考え方なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/49
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050・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) よろしかつたらちよつと私補足して聞きたいのですが、先ほど永井委員及び須藤委員から繰返し質問されておりますことを補足的に聞くわけですが、だんだん法律の目的と言いますか、本論にこれはなつて来ておると思うのです。この第一條に目的として「国民経済の健全な発展を図るとともに、国際経済の円滑な運行に寄與すること」が目的だと書いてあるわけですね。その方法としては、国際的に供給が不足しておるようなものなどの恐らく国内の需給を調節することによつてということでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/50
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051・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/51
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052・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それで端的に、この法律に一貫して流れておる思想は、国内需給の調節をすることによつて、これは目的が二つ書いてあるのですが、どつちの目的が中心ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/52
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053・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 中心は、やはり国民経済の健全な発展ということにあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/53
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054・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そうすると、国民経済の健全な発展を図るためであるとするならば、そうすると国際的に供給が不足しておろうがおるまいが、要するに国内の需給のバランスを取れば足りるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/54
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055・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 実はそのお尋ねの通りの法律が今までの臨時物資需給調整法なんですね。これは国内において供給が著しく不足いたします物資につきましては、すべて調整措置がとり得るということに相成つておつたわけなのであります。ただその法律の形が非常にまあ條文は簡単でございまして、殆んど全部が省令等の委任立法に委任しておるわけでございます。つまり経済安定本部総裁が方策を定めれば、それに従つて各省大臣は省令を以てそういつた需給調整措置ができるということになつておつたわけでございますが、そういつたことではいわゆる非常に授権が大き過ぎると、こういつた関係がありまして、国会の関係から申しますれば、できるだけ国会の審議を経た法律によつて規正すべきであるという意見がこれは国会のほうにもございますし、又法制意見局等におきましても、そういつた広汎な委任立法というものはできるだけ制限すべきであるというお話がございまして、実は需給調整をいたします目的の主なものは、勿論国民経済の健全な発展を図ることにあるのでございますが、この法律ではできるだけ狭めた範囲の物資につきましてそういうことができるということにいたしまして、そのほかにこの條件に該当しませんようなものについて必要が起ればそれぞれ別個の立法措置を講じてやることにいたしたい、こういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/55
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056・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それはまあ趣旨はわかりますが、それで授権立法の内容を狭めようとすればするほど、上の国際的供給不足物資等とか何とかいうことはむしろ要らんのであつて、むしろ別表の品目を法律で限定するということだけで私は大体足りるのだろうと思うのです。恐らく国際的供給不足物資等というのが附いたのは、国内の需給バランスから見れば必要でないものであつても、別な必要のためにそれを何とかしなければならんことがあるから、そのために国際的供給不足物資というやつが二條の第一号の問題になつたのだろうと思うのですが、そうじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/56
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057・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 勿論今までの物資需給調整法においてはそういう範疇に入つておりませんようなものでも、国際的に需給が逼迫いたしておりますものにつきまして、この法律によりましてそれらの物資の需給調整を行わなければならんというものが殖えて来た点もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/57
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058・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そこで話はこうぐるぐる廻りしてわからなくなつて来るのだが、国民経済の健全な発展ということが中心的な目的であるとするならば、そうすると国内における需給のバランスを取れば大体足りるということになつて来る。そこで国内の需給バランスが中心であるにもかかわらず、国際的供給不足物資等という言葉が附いて、そうして目的の二番目に国際経済の円滑な運行ということが附いておるので問題になつて来ると思うのです。而も問題は、ただどうもはつきりしないのは、二條以下の需給措置ですね、具体的に物資の需給を調整する調整措置として挙つて来るものは従来のと大体似たようなやり方、割当だとか配給だとかいう制限の仕方、こういうやり方で以て、つまり国内の需給調整のやり方で以て国際的に不足する物資等について国際的な経済の運行に寄與する結果が現われ得ますか、それはどういう場合に出て来るのだろうか。つまりやり方は国内の需給調節であつて、而も目的を国際経済の円滑な運行と……、前段の目的の場合には話は一応すつと通るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/58
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059・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) そこで後段の場合は、つまり一つの例を挙げて申しますと、銅につきましては、差当りのところは或る程度需給関係が均衡が取れておるわけなのでございますが、国際的に考えますと非常に均衡が取れておらない、不足するという関係にあるわけで、これに対しまして輸出の割当というようなことが参るわけなのでございますが、それをやつて参りまする場合に、国内的には非常な奢侈的なものなり不要不急の用途のものの使用を制限するというような措置をこの法律によつてとりまして、そうしてできるだけ輸出し得るものについては輸出をして参る。併し一面逆に国内において必要な面に対する供給はこれを確保して参る。こういう措置をここでやろうと、こういう意味なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/59
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060・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そうすると国内的に需給が逼迫しておらなくても国内の需給を制限して、そうして今の割当等々の国際経済にプラスしようということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/60
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061・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) つまり硫黄のような場合は、相当国際経済にも寄與すると申しますか、輸出をいたしましても、国内的に相当供給が潤沢でございますから、別段の百需給調整措置を国内でやる必要がないわけです。そういうものはこれで縛るという考えはしておりませんけれども、銅のように近い将来においては或る程度日本の生産も落ちると、原料或いはスクラツプの形で輸入をしなければならんというような場合に、やはり一定の量のものは輸出をしなければならんという場合には、国内で使う必要のないような用途のものは一応制限しまして、どうしても必要な用途のものには適正に流して行こうというので、この法律の制限措置の中に入れておると、こういうことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/61
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062・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 国際経済に寄與する仕方を国内法できめるという例がこれまでにありますか。それはむしろ貿易政策なり経済政策の問題じやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/62
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063・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) そこでつまりそういつた政策が一応きまりますですね。きまりました場合に、その政策を実行するという段階に、果して国内的にそういつた物資についての需給が完全にバランスが取れるかどうかという問題になつて参りましたときに、それを或る程度不要不急のものを制限いたしまして、そうして必要なところにその品物を流すということにすれば、国内的にも需給が安定するという場合にはこの適用によつてやつて行こう、こういう意味なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/63
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064・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そうすると今のような物資について国内的な需給がバランスしているかどうか、或いはもう少し制限したほうがいいかどうかという判定は、国際経済に寄與しなければならんということが前提になつてきめられるわけですか。例えば銅の国内における使い方がこれは甘いとか辛いとか、或いは贅沢に使つておるとかということは……、銅を国際経済に放り込んで、輸出して行くことが目的であつて、これだけのものを天引きしなければならんから国内経済の銅に関する需給を抑えなければならんと、これだけできまつて来るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/64
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065・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 普通はそうなつて参ります。そういうものにつきましてはですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/65
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066・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そうすると、この法律の場合には、国内の需給調節が目的ではなくて、一つの国際的な経済の流れに寄與するための方法をきめた法律だということになつて来ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/66
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067・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) そうでなしに、逆の結果になつて来るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/67
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068・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 併し今銅が日本では一応余つておる、余つておるというよりも、余つておる状態で適当に使われておると、それを余つておる分だけが国外に流れるのならばこれは問題ない。これは使用制限も何もする措置は必要ない。ところが余つておるのではあるけれども、国内で使われておるものも余つておる中に入れて、つまり使用を制限して、そうしてそれをどこかへ持つて行こうというと、銅の使用制限措置が必要になつて来るのでしよう。つまり銅の使用制限措置が必要になつて来るのは、国内の銅の需給バランスを保つためではなくて、国外に銅を輸出するために必要になつて来ると、端的に言えば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/68
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069・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) という場合があるというわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/69
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070・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) いや、場合があるというよりも、法律がこれは二本建で、非常に私は巧妙と言えば巧妙、それからわかりにくいと言えば非常にわかりにくくできておると思うのです。つまり国内の需給バランスを保つためにできておるのか、或いは国際経済に何らか寄與するために必要なのか、その目的ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/70
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071・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 目的はやはり国内の需給バランスを取るというのがこの法律の目的なんです。そこで先ほどのお話のように、銅なら銅というものにつきまして一定の輸出の割当をもらうと、ところが国内の関係の生産供給のほうから見ますと、それだけの輸出をすれば国内的には需給のバランスが相当逼迫して参る。そこで或る程度不要不急の用途のものを制限して国内の需給の調整をして、そのバランスを取つて行くと、こういうふうになる場合があるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/71
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072・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 結構です。それであるならば、国際的な輸出の割当をもらうというそのもらい方のときに、今の国内の需給の範囲を圧迫することを前提とした輸出割当をもらうことが前提となつたということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/72
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073・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 最後になりますと、それが結局割当のもらい方の数字の問題になりますが、結局これは国内で銅なら銅を需要なる面におきまして、それが絶対に必要な用途以外に使われておらないと、節約をする余地は全然ないという場合におきましては、恐らく輸出の割当をもらう場合にも、それは余地がないと言つて断わるということになると思うのですね。ただ、或る程度代替品の関係その他から見て、このくらいはどうも需要というものは節約し得るということが出ました場合に、そういつた数字も含めまして輸出の割当を受けるということになる場合もあるわけでございます。そのときに国内の需給関係を野放しにしておけば、不要不急の用途に流れてしまつて、必要な方面にはそれが、確保されないということが起りますから、その点については使用制限その他の措置をやると、こういう形なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/73
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074・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そうすると、そういう日本の輸出割当を受ける際の輸出割当の数字及び輸出割当の、これだけ輸出したほうがよい、或いは輸出しなければならんという目的がどこにあるかということによつて、先ほどの問題が僕は出て来ると思うのです。若しその輸出が、例えば食糧なら食糧というものが絶対必要であつて、それを入れるために、つまり外貨を獲得するためということがはつきりと前提になれば、そうするとその枠というものは割かたはつきりと見られる。ところが別な目的のために銅なら銅をぐつと圧縮して、日本の使用制限までして出さなければならんということになると、どこのどういう目的によつて国内的に強制されるのかという問題が出て来ると思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/74
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075・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) ただ実は実際問題といたしますと、銅に対して或る程度の輸出割当は受けると、併しどうしても日本としては輸入しなければならんような緊要物資があるわけでございますね。特に別表に挙つているような品物は殆んど全部日本に生産がございませんで、輸入しなければならないようなものなんですが、これも逆に言いますと、国際の輸入割当を受けまして、日本がもらつて来るというような両方の関係もあるわけなのでございますね。そういう意味で、場合によりますと或る品物については国内で不要不急の用途ぐらいは制限して輸出はするが、それ以上に緊要なものについて輸入をしてもらいたいというような点もございまして、そう余り一つのケースだけで純粋に事を見るというわけには参らん場合があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/75
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076・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) これは事務当局を責めたつて気の毒なんだけれども、私に言わせると、これは書き方が正直に過ぎると思うのだ。若し解釈論で今のように行くのであるならば、僕は飽くまでも国内の物資の需給のバランスを保つために必要な限度に需給調整を行うということが目的であつてその結果として国際経済の円滑な運行に寄與するならよいので、その結果としてならばいいのであつて、目的は飽くまでも国内経済の健全な発達ということが中心になるべきであつて、恐らく須藤君あたりから質問が出るのは、なぜそう書けなかつたかというところにあると思う。恐らく国内の需給バランスということでは措置ができないような状態が出て来ることを予測して、どこからか強制されてこういう文句を附加えさせられたのではないかというところに、僕は問題があのだろうと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/76
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077・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 強制されて文句を附けたというわけではないのですが、実はこの法律は或る程度の範囲内においては委任立法の点があるわけですね。そういうものが従来の物調法では殆んど野放しに認められておつたわけです。ところがそういつたことは国会の審議事項だということで、だんだんに絞つて来たわけで、最小限だけこの法律でやつて、どうしてもこの法律にはまらんものは別個の法律で行こうじやないかというところから、おつしやる通り非常に正直に絞つたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/77
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078・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それはわかるので、僕はそれだけであつたならば、その目的の後段を削ればいいと思うのです。委任立法を限定するというのであるならば別表で、従来のような委任立法でなくて、具体的にずつと法律の上に挙げるということで限定されるのですね。若し国際経済の円滑なる運行に寄與することが目的であるならば、国内の需給を調節するための割当だの配給だの、そういうところにあるのではなくて、輸出制限をするとか強制輸出をさせるとかいう措置が裏付けになるのであるならば、国際経済の円滑な運行に寄與することが目的であるということが言い得ると思うのです。そこで二條以下に書かれておるこの目的を達成するための手段は、国内の需給調節の方法ばかり従来と同じように挙げておるわけです。そうしておいて、目的のところには国際経済の円滑なる運行に寄與することが目的だと、而もその目的は結果として出て来るのだということになるから、話はどうもおかしくなつて来るということではないかな。関連して私少し言い過ぎましたけれども、御質問がありましたらどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/78
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079・永井純一郎
○永井純一郎君 これは国際割当を受ける品物ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/79
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080・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) そうでございます。それから白金は輸出の割当を受けることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/80
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081・永井純一郎
○永井純一郎君 あとは皆輸入の割当を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/81
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082・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) 白金は国際割当は現在やつておりませんのですが、アメリカの輸出割当を受けることになるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/82
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083・永井純一郎
○永井純一郎君 アメリカが輸出をしてくれと言つて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/83
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084・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) いや、アメリカから日本が輸入したいと言つて、向うが輸出してやろうということの割当になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/84
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085・永井純一郎
○永井純一郎君 その他は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/85
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086・近藤止文
○政府委員(近藤止文君) その他は皆国際割当物資になります。白金も日本が輸入するものでございますけれども、割当の仕方が、国際原料会議でやつておりませんので、アメリカの輸出許可の際の数量割当になると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/86
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087・須藤五郎
○須藤五郎君 さつき私が国際的というような言葉に対する意味を述べましたのも、委員長が先ほどからずつとお話なすつたのと一緒の意味で、これまでとにかく政府はアメリカからは物はくれる、金は貸してくれるということでいい気になつておつたところが、今度はアメリカがドル圏の物が足りなくなつて来た。物は今度はくれるどころじやなしに、今度消滅されるだけじやなしに、日本の物まで向うに持つて行かれようというような段階が来ると思います。もう来つつある。その段階の第一歩としてこういう法案が必要となつて来てそうして作つたと、そのためにこの国際的というような言葉を入れなくちやならんような状態になつたということですね。而も金はやると言つたが外資はなかなか貸してくれない。金も来ない、物も来ない、むしろ今度は逆に物を持つて行かれる立場に追込まれて来るというときが必ず来ると思います。こういう情勢が続いて来れば……。そういう点で私は非常な不満がある。そうすると国際的という言葉がドル圏に限つて、地球の三分の一面積で行けば三分の二を国際的という言葉の中から外して、三分の一をつかまえて国際的という言葉を使つて、三分の一と交際することによつてこんな不自由な状態が来るわけですね。いわゆるタングステンなどは朝鮮と中国と交際すればどれだけでも来ますね、日本に……。そうすると日本に何ら不都合がないのに、そういう不都合を強いて自由党の政策として、これは日本の政策じやないと思う。自由党の、吉田内閣の政策だと思いますが、そういう政策によつてこういうばかげたことをやつている。而もこれからどんどん持つているものまで取られちやう。恐らく又戰争時代に我々が持つていた水盤まで叩き割つて兵器にせなくちやならんような時代が来るのじやないか、こういう心配があるのですが、来ないとは限りませんね。それは皆さんも来ないという断言はできないと思います。そういうときにこういう字句を使つていることが非常な危険を、我々に不利なことを起して来るのだと思いますね。だからこんな字句は使わないほうがいいんだと思いますね。委員長の言う通り使う必要がない。その使う必要がないものを強いて使つているところに味噌があるので、(笑声)この法案は、皆さんはそうじやないとおつしやるけれども、世間じやいろいろのことを言つておりますよ。僕にもこういういろいろのことがありますが……、どうも釈然としない点がありますな、たくさん……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/87
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088・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) どうでしようか、大分質疑がまあ政治的、政策的な質疑になつて来ましたので、事務当局から一々お答え願うのも無理だと思いますから、次の機会に安本長官を出席させてもらつて、それからはつきりと今のような問題について解明をしてもらいたいと思いますので、今日のこの法案に対する質疑は一応この辺で打切つたらどうかと思いますが、よろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/88
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089・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ではそのようにいたします。今日の質疑は一応これで打切ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/89
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090・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それから陳情、請願、二、三件を御審議願いたいと思います。
請願は五百四十七号の公共事業推進に関する請願、それから陳情八号、公共事業の施行年度を暦年に改正の陳情、それから同じく百二号、公共事業費繰越制度に関する陳情、同じく百二十号、継続事業費制度確立に関する陳情、同じく六百五十三号、建設省関係公共事業費の事務費増額に関する陳情、以上似たような公共事業費関係でありますから、一緒に御審議願いたいと思いますが、よろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/90
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091・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 先ず事務局のほうで以て簡單に今の請願一件、陳情四件の説明を願います。なお政府委員としては安定本部の建設交通局次長今泉兼寛さんが見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/91
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092・渡辺一郎
○專門員(渡辺一郎君) 請願の五百四十七号、紹介議員岩沢忠恭さんです。請願者は全日本建設技術協会の人です。これは非常に広汎な請願の内容でありますが、その趣旨は、公共事業推進上の隘路打開に関する請願というのであつて、要望はそれぞれ十一ほど附いております。要望だけを最初に申上げますが、第一には継続費制度の確立をして欲しい。第二には認証制度を改善して欲しい。第三には事業費繰越制度の円滑化を図つてもらいたい。第四には監督監査機関を一元化してもらいたい。第五は予算科目の設定の実態に即応してもらいたい。第六は労働関係法規の特例を設けてもらいたい。第七には適正な定員の策定をしてもらいたい。第八には年度予算を早期に決定し、そうして早期に示達してもらいたい。第九は超過勤務手当、旅費その他の諸手当の増額とその適正化をやつてもらいたい。第十番目は災害復旧事業の短期完結が可能になるような方策を講じてもらいたい。第十一が公共事業に関する起債を早期に決定し、十分その枠を増大してもらいたい。これだけの十一の内容を以て公共事業推進上の隘路を打開してもらいたいということであります。財政法の改正によつてここに挙げられております継続費制度の問題及び事業費繰越制度の円滑化は若干もはや実現されておるものもありますが、大体以上がその要望事項であります。
次の陳情八号というのは、公共事業の施行年度を歴年に改正をしてもらいたいということでありまして、これは宮城県知事から出ておりますが、理由は東北や北海道では十二月から三月までは降雪、寒冷のために事業の施行ができない。七月から八月までは農繁期のために農民の労力が不足で施行が困難である。四月頃からでないと工事ができないから暦年に変えてもらいたい。そうすれば四月頃から工事にかかれると、こういう陳情の内容であります。次の公共事業繰越制度に関する陳情は同じく宮城県知事から出ておりますが、これは要するに繰越制度を円滑化されたいという趣旨であります。
それからなおその次の陳情百二十号も同じく宮城県知事から出ておりまして、継続事業費制度を確立してもらいたいということであります。先ほど申上げましたように、継続事業費の制度及び繰越の制度は財政法の改正によつて解決されておると思いますが、そういう内容でございます。
それから次は陳情六百五十三号でありまして、建設省関係公共事業費の事務費増額に関する陳情、これも同じく宮城県知事から出ております。この内容は、建設省の関係の公共事業費に対する事業費の割合が昭和二十六年度で平均四分五厘ほどだ。農林省では一割、運輸省では五分乃至七分程度だ。それに対して建設省関係の公共事業に対する事務費の割合が非常に少いということ、且つ物価や人件費が上昇して、県の財政の逼迫状態では到底事務処理ができないから、農林省並みに、つまり現在の約倍である一割程度にまで事務費を引上げてほしいと、こういう内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/92
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093・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そこで以て政府側のこれに関する意見を聞きたいと思いますが、その前にちよつとお諮りいたしますが、ほかの委員会から速記を外してほしいという話がありますけれども、大体今の内容でありますので、他の委員会に速記を譲りたいと思います。よろしうございますか。それでは速記をとめて。
午後四時二十一分速記中止
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午後四時四十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/93
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094・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは速記を始めて下さい。本日はこの程度で散会といたします。
午後四時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X00719520326/94
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