1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十一日(水曜日)
午前十一時十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
永井純一郎君
委員
古池 信三君
奥 むめお君
山川 良一君
衆議院議員
福田 一君
国務大臣
国 務 大 臣 周東 英雄君
政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
公正取引委員会
総務部長 古内 廣雄君
事務局側
常任委員会専門
員 渡邊 一郎君
常任委員会専門
員 桑野 仁君
説明員
経済安定事務官 佐々木義武君
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本日の会議に付した事件
○私的独占の禁止及び公正取引の確保
に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣送付)
○電源開発促進法案(衆議院提出)
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは経済安定委員会を開会いたします。本日で第二十回になると思います。前回は昨日でありまして、昨日は外資法の一部改正法案に関しまして質疑を行なつて、その後修正の問題につきまして協議を行いました。それから更に国土総合開発法の一部を改正する法律案に関しまして質疑を行い、引続いて午後は電源開発促進法案につきまして質疑を続行いたしました。本日の議題は先ず予備付託になつておりますところの私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、これの提案説明等を聞き、ついで電源開発促進法案の質疑を続行したいと思います。
先ず私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/1
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002・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 只今上程されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を説明いたします。
行政機構の簡素化、合理化の線に沿いまして、公正取引委員会の組織、権限を規定する私的独占禁止法第八章の規定に所要の改正を加える必要が生じたのでありますが、その主要な改正点は次の五点であります。
第一は、委員の定数を七人から五人に減少せしめ、それに伴いまして委員会の議事定足数を委員長を含めて四人でありましたのを、委員長を含めて三人にいたしたことであります。このために第二十九条第一項及び第三十四条第一項を修正いたしました。
第二は、事務局に事務局長を置くとともに部の改廃を行なつたことであります。即ち現在は、総務部、調査部、商事部及び審査部の四部が並立して委員会に属し、事務局長を欠いておるのでありますが、このような機構は委員会としては当委員会のみであり、事務の統一がとりがたく、支障も多々ありますので、新たに事務局長を置きますとともに、従来の総務部を官房とし、更に他の三部の所掌事務を整理いたしまして経済部及び審査部の二部に縮小いたしました。第三十五条第一項及び第三十五条の二の改正がそれであります。
以上の二点が今次改正の主眼点でありますが、このほかに委員長及び委員の任命方法、審判官の法律的地位の明確化並びに部の所掌事務の法定化等、この際必要と考えられます組織法上の改正をいたしました。
即ち第三点といたしまして、従来国会閉会の場合又は衆議院解散の場合に委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員が生じたときの措置は政令に任ぜられておりました。即ち内閣総理大臣が臨時に委員の職務を行う者を命じ、事後に最初の国会で衆議院のみの同意を得て任命することになつており、正式に任命されるまでは委員としての地位が不明確である等の不備があつたのであります。従いまして他の諸委員会の例にならい、国会閉会又は衆議院解散の場合におきましては、総理大臣は一先ず委員長又は委員を任命し、事後に両議院の同意を得ればよいように改めますとともに、従来任命一般につきまして単に衆議院の同意のみで足りておりましたのを両議院の同意を必要とするように改めることにいたしました。このため第二十九条第二項、第三十条第四項、第三十一条及び第三十二条に所要の改正を加えました。
第四点は、審判官の法定化でありますが、従来違反事件の審判を主宰する審判官につきましては、特に専門の知識と経験を必要とされるにもかかわらず事件ごとに指定されるという形をとり、その名称も公正取引委員会の審判規則に規定されるにとどまつておりました。法律上の地位が不明確でありますため、審判を受ける当事者の側からややもすれば公平なる争訟制度の保護下に置かれていないのではないかという疑問も往々にしてあり、又最近におきましては委員会が直接に審判をいたすことはなく、特定の職員に委任する事例が恒常化して来ております実情に鑑みましても、これを第三十五条第二項及び同条第三項として新たに規定して審判官の地位の向上を図ることが望ましいと考えられるのであります。そこで実際の審判を主宰する審判官を五人以内置くことにいたしまして迅速、公平なる事件処理を期することにいたしました。これに伴いまして審判手続の一部委任を規定しております第五十一条の二を修正いたしました。
第五点は都の所掌事務の法定化であります。国家行政組織法上は、部の所掌事務は法律に規定しなければならないことになつておりますが、御承知のように独占禁止法は国家行政組織法成立前にできておりますことと、公正取引委員会の組織権限が設置法の法体裁をとつておらない関係等で法律に規定されておりませんでしたのでこれもこの機会に第三十五条の二以下第三十五条の五までとして法定化することにいたしました。第三十五条の六以下は、設置法の体裁に従つて従来項であつたのをそれぞれ一条に書き改めただけであります。
以上本改正法律案の目的及び要旨につきまして御説明いたしました。何とぞ御審議の上速やかに御協賛あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/2
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003・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 次いで配付資料が大分ありますけれども、簡単にその配付資料について御説明頂きますか。これはどういう意味でどういう内容のものであるかということについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/3
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004・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 配付いたしましたお手許に行つておりまする書類は大体只今御説明いたしました法令関係を綴じましたものでございまして、これについて特に御説明申上げるほどのことはないと思います。なお委員会の現在の委員長、委員の氏名と、それから表のようになつておりますものは現在の公正正取引委員会の各部の所掌事務をはつきりわかりまするように図解をいたしたのでございます。なお勧告審判開始決定事件一覧表というのは公正取引委員会が発足いたしましてから現在までに正式に事件として坂上げて勧告をし或いは審判開始決定をいたしまして或いは審結をいたしましたり或いはまだ継続中のものもございますが、それらの事件に関する一覧表でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/4
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005・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) お諮りいたしますが、今説明頂きました独禁法の一部改正法律案につきましては衆議院におきましてなお審議中であり、根本的な修正の意見も出たかと聞いておりますが、恐らく今度の場合が根本的の修正を取上げて提案されておる範囲においてやろうというくらいの状況に今なつておると思います。従いまして衆議院の審議の状況を見まして質疑等に入りたいと思いますので、今日はこの法案につきましては今の説明を承わつたところで質疑に入らずに止めておきたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/5
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006・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ではそのように決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/6
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007・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 次いで第二の議題でありますところの電源開発促進法案に入りまして、その質疑を前回に引き続いて継続したいと思います。ちよつと速記を止めて。
午前十一時、二十六分速記中止
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午前十一時五十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/7
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008・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて……。それでは先ほど申上げましたように電源開発促進法案の質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/8
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009・永井純一郎
○永井純一郎君 安本長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、長い間連合委員会で質疑が行なわれまして、まあ大体ほぼ重要な点に対する回答が得られまして、もう余り質問事項というものもないと思いますが、私がこれからお伺いする点も或いは少しダブる点もあるかと思いまするが、成るべくそういう点は省きまして、まとめるといいますか、そういうような意味で長官のお答えを頂きたいとこう思うのです、で私がお尋ねをいたしたいのは、これは電力と食糧が日本の産業経済の基本的な重大な要素になつておる、こう考える。従つてこの問題の取扱いかた如何によつて日本の将来の産業経済或いは貿易の発展ということに重大な要素をこれが持つということになつて来ますので、そういう点と今度の電力開発との関係について政府が見通しておる点をお伺いをしたいとこういうふうに考えます。で少しくこのいろいろ頂いた数字を検討してみますと、先ず発電原価は三十一年度におきましては大体四割近く騰貴することになります。ここで食糧の問題と離すことのできない肥料の問題が例えば一つ取上げて重要な問題として取上られると思いますが、肥料の統制を解除して、それから又電力を分断政府がいたしまして以後は、どういう状態を辿つて来たかというと、電力料金がどんどん引上げられる。従つて一方肥料の値段も御承知の通りどんどん騰貴をいたして来ております。で、二十六年の八月でありましたかに実施された電力の改正料金のもとにおける肥料の生産の原価計算を調べてみますと、硫安で大体一三%、石灰窒素でやはり一割ちよつという電力料金の占める率というものは非常に大きいわけであります。それがこの前引上げられました電力料金によつてどのくらい原価計算の中に占めて行くところの肥料の値段が上るかということを見て行きますというと、特に大口電力は非常に大きな四〇%から五〇%の値上りでありますから大幅に肥料の価格の中における電力料金は上つて行きます。硫安等におきましては、一俵当りで二百円近くが上つて行くということに原価計算の上からはなつて参るようであります。こういうふうに見て行きますと、それが更に今次の政府が意図しておりまするところの電力開発をやりました三十一年度以降におきましては更にこれが政府の数字で見ましても、やはり四割近くが今より更に上るというような見当が私ども推算すると出て参る、こういうふうに電力料金そのものと、それから食糧等には密接に関係する、特に日本の今日の米麦作農業では、化学肥料はやはり相当使わざるを得ないわけでありましてその生産費の食糧の大部分を占めるところの化学肥料の値段が相当一方では上つて行くというような状態を続けて三十一年度、三十二年度に入つて行くと思います。そうすれば電力料金も上る。同時に食糧の消費者の価格も相当上つて行く。而もその間何らの計画的な措置を政府は食糧についてはしないという方針を順次とるのでありますから、その頃になつたならばなお更食糧の価格、消費者価格というものは上つて行くと私はこういうふうに考えます。同時に一方では私はこの電力料金が企業の合理化 それから輸出の競争という点からこれは検討して見ますと、例えばアメリカの電力料金との比較をとつて見ますと、これは先般上げた価格によりましてもう殆んどアメリカと料金はとんとんになつて来ております。而もアメリカの電力料金というものは一九五〇年、五一年、五二年と順次電力料金が下向いております半面、日本の電力料金は四割、五割というふうに大幅に引上げられて三十一年度に至りました場合には非常な大幅の価格の引上げが行なわれるということになつて参りますが、アメリカから高い粘結炭や鉄鉱石を入れて、その面でも非常に困るのに、国内の電力料金とアメリカの電力料金との違いも又非常に大きくなつてだんだん来るというようなことが基礎になつて行くと思いまするが、そこでこういつたような実情に我が国の産業経済の実情が食糧と電力を基礎にしてなつて行くと思いまするが、その場合政府はどういうふうに物価安定の策をこの電力開発と総合してやつて行こうと考えられておるかという点が一つ、そういう食糧の価格と電力の価格との上における日本の企業合理化、従つて又外国との輸出の競争における合理化等をどういうふうにして基本的にはやろうというふうに考えておられるのか、もう少しこれを実は細かに数字で質問を申上げたほうがいいかも知れませんが、大臣に対する質問でありますから、一応考え方でいいと思うのでありまするが、この電源開発を自由党から提出されておりまするが、これについてそういつたような物価安定策或いは輸出増大策といつたようなものを関連して基本的にどういうふうな方策で行こうとしておられるか、この点を成るべく詳細に一通り御説明頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/9
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010・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 永井さんのお尋ねにお答えしますが、今の御質問の内容については御尤もな点もあるのであります。今後の日本経済の復興ということは当然に国民生派の安定への途を狙いとして産業復興が考えられて行かなければならんのでありまして、そういう面において物価との関係、価格との関係で一体それができ得るのかというようなことを内容に含んでのお尋ねと思います。私どもの考え方としては何としても国民生活に関係する部面においての目標、考え方としては国内における必需品の増産をするということが一つの狙いだ、数を殖やすということが第一だ。而して同時にそれと並行して価格をできるだけ安くして、そうして増産するということが狙いであることは言うまでもないのであります。この点に関してお尋ねの食糧の問題について例をとつて言いましても、何としても御承知の通り今日の状態としては澱粉質、食糧の主たるものである米麦等をとりましても、国内における農民のかたがたの非常な努力があるにかかわらず、絶対量としてはややまだ足らんような恰好で外国から輸入を仰いでおりますが、これをどうしても国内において増産を高めて国内における自給度を上げるということが必要でありましようから、これを狙いとして、例えば手取早い土地改良なり或いはその土地改良という広い面に含まれる用排水の設置、床地の客土、或いは開墾、干拓というようなことが大きく取上げられて予算的措置にもこれが織込まれておるわけであります。併しこの間に土地改良その他のものが予算的措置等によつて進められたとしても、農業生産に含むコストの面からの肥料の問題が非常に高くなるのじやなかろうか、そうするとおのずから農産物の価格が上るのじやなかろうかというお尋ねであるようでありますが、これとても成るほど肥料生産に最も必要であるところの電力の問題について御指摘ですが、今日のままの状態におきまして進むならば、私は仮定した計画の内容によつて三十一年度において四割ほど上げるということは実はもつと上るのじやなかろうかと思われる。併しながら私どもはそれは平均的な問題であつて、水力並びに火力を両方で以てやつで行く面において火力のほうが相当高いような恰好でありますから、そういう計算率が出たと思いますが、その間に処してはおのずから産業別に、例えば肥料の生産等につきましては、全体的の電気供給量が殖えればおのずから深夜余剰電力といいますか、深夜を肥料生産に与えて夜の無駄になる電気というものを買う。余剰の電気をそつちに廻すことによつてその値上率を特殊産業に対しては下げるということもできるでありましようし、それらの措置はやはりとつて行くことは必要だと思います。併し飽くまで先ず多少のコストが上るとしても電力の総体量を殖やさんことには産業上の復興はできないと思います。殊に今御説明になつた農業生産と肥料の問題ですけれども、結局これらの事柄を実行するにしてもやはり法律の関係が裏付けになつて必要なものを外から買つて来るためにそれを売払う代金をとるということにして、貿易振興は必要であるし、それに対しての日本の設備能力の関係からいえば、やはり計算上安定本部等でやつておりますのは動力源並びに原材料の獲得があれば戦前の倍近くは伸び得る設備は現に持つておるわけでありますから、それらに対する考え方からいつても先ず電力を殖やさなければ国民生活の上にもよい影響はないと思いますので、私どもは日本の将来の産業復興、そのことが延いて国民生活の安定或いは生活水準というものを高めて行くためにする生産の増強ということに対して一番欠けているものは何かといえば動力、その動力について先ず起し、而してこれに対しての価格政策については、それぞれの産業について考慮を廻らす必要があろうと思います。
それからもう一つは現在の状況から推して一つの推定を立てております。私どもは或る一時の状況で一喜一憂することは如何かと思いますが、今日のごときは国外に仰いでおる原料の面について考えても、今日原料高、製品安になつて非常に企業の困つている状態は争えない事実ですけれども、併しその大きなコストの部分を占めているのは何かと言えば運賃だつたのです。最近の状況は殆んど去年六月以前だと思いましたが、その以前のような状況にまであと戻りしている、一〇八%になります。殆んど今下押しになつているという状況であります。世界的の物価の状況についてもその点は他の物価についても言えるのでありますから、その間に処してできるだけコストの引下げに関する原材料の獲得について、安い原材料の獲得ができるように近い所からの開発、交流ということも必要でありまするし、更にもつとあなたがたが御指摘になつた合理化の面にしたところで、これは私は抽象的な議論で失礼ですけれども、今日日本の状態としてはどうしても積極的に各企業が設備その他の合理化を行わなければならんと思います。設備の合理化だけでは足らんので、企業経営自体に入つてまで合理的に運用するというふうに持つて行かなければ、一時的な朝鮮事変の好影響によつて利益を得た状態が今度は平常の形に戻る、或いは平常の形に戻らんにしてもアメリカとの経済提携をやつて行く上においてもやはり商業採算上交易をするのですから、その意味において設備の合理化、近代化ということに対してはもとより経営それ自体の運営も合理的な形に返えすということも勿論考えなければならんと思うのであります。その間に対しては政府としても企業合理化法案というようなものを出して一部考え方を進めております。そういう経済的な面においては総合した上に立つて行かないと電力だけでもコストが上る、下るということで、農業関係に及ぼす影響が大だから困るじやないかということでなくて、電力についても先ほど申上げましたような趣旨も考えられるし、更に他の生活必需物資又貿易関係の製品を作る上においても、合理化なり原材料の低下ということについて努力をして行かなければならんと思います。それにしても繰返して申しますが、何としても日本の産業復興について一番欠けておる動力源については、仮に一時的に多少のコストが高くなるとしても開発して行かなければならんし、而もこれをそのまま捨てておくというよりも、もつと値の上り方が高くなるのではないか、最小限度において上り方を抑えるということにおいてもこういう形において安い原料に代えるという程度の政府の援助に基く特殊措置が必要であろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/10
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011・福田一
○衆議院議員(福田一君) 永井さんの御質問に対して安本長官から御説明つがあつたのでありますが、永井さんは特に肥料の問題をお取上げになつて御質問でありましたので、若干関連して補足させて頂きます。御承知のように肥料と言いましてもいろいろありますが、硫安がまあ何と言つても一番大きなものになると思うのです。この硫安の場合に考えてみますと、永井さんはもう御承知だと思いますが、日本の硫安工業と言いますか、この工業は電気に非常に多く頼つておるのでありますけれども、併しそれが製造過程をみておりますというと、その電気というのは今までは深夜作業と言いますか、ピーク時の一番電気が必要なときには余りな仕事をいたしませんで、そして夜電気を使わない時にその非常に安い電気を買つて、それを我々余剰電力と申しておるのですが、その余剰電力でもつて肥料を生産しておつたのが現実でございます。ところが最近非常に電力が逼迫をして参りまして電力量が少くなりましたためにこの余剰電力というものも非常に少なくなりました。そこでそういうこととも大きな市価に影響を与えておる原因なのでありまして、先ほど安本長官からも言われましたが、このままの状態で進みますならば、これは非常に電力料が騰貴するに従つてやはりそういうような原価にも織り込まるべき電力料が騰貴するということが考えられるのでありますが、ここで我々がこういうような計画をいたしまして、そうして四百万キロ以上のものを四年間にやるということになれば、四百万キロの発電所から出すいわゆる余剰電力というものも相当殖えてくると思うのであります。これはそう値段を高く上げないでも電力会社としては誰も使つてくれないと言つておかしいのですが、とにかく夜の電気でありますから、そういうような特殊な用途を持つておるものにだけ売るのですから、従つてその電力料金の値上というものは比較的私は四割まで行かないですむのではないかと、こういう考えでありまして、一般的に四割上るというようなことになるとしましても、私はそこまでは上らないですむ。又万一ここで電源開発をやらなかつたらどうかと言えばそれは大変な値上りをする、こういうことになるのではないかとかように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/11
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012・永井純一郎
○永井純一郎君 先ず安本長官に更にお尋ねしたいのですが、只今の長官の御答弁を聞いておりますと先ず増産、総体量殖やすことが先ず大切だ。これはかねがね大蔵大臣なり周東国務大臣が本会議等でも御答弁になつておりますが、その点はそれで私共もいいと思うのでありますが、併し我々が更に考えますことは、こういつたような重要な法案をお出しになつておるし、それからかねがね経済自立計画というものも委員会等も先年いろいろ論議されておるわけでありますが、その際にも我々が申上げましたように総体量を先ず殖やすことが必要だから、先ずそのことだけやつておればいいのだということではないのであつて、私どもが経済或いは国民の生活の発展と同時にその安定ということが同時に考えて行かなければいかんという建前からお尋ねしておるわけであります。従つて今の御説明を聞いておると、先ず殖せばいいのだから先の見通しもないのたが、先ず電力を殖やすことだけをやればいいと、まあそういう意味じやないと思いますけれども、そういうふうにもとれる。それであつてはならないから、三十一年或いは三十二年後には大体物価というものはこういう程度になる。而して食糧の増産はその基礎の上に立つてこういうふうに行われ、農民の収支はどういうふうに大体なつて行くか、国民総所得に占める農民の所得はこのくらいに従つてなつて行く。又労働者を中心とする消費者の生活の安定というものはこういうふうにほぼなつて行くんだといつたような、増産、生産を殖やすということと同時に国民生活の安定と結び付いたものがやはり私は計画的に一応方策というものがなければならん。そういうものの構想を一つ御説明願いたい、こういう意味でお尋ねをしておるわけであります。
更に御説明になつた点で合点がいかないのは、企業の合理化というのは設備の更新、新設等は勿論おつしやる通りでありまするが、併しそういうふうに設備の面で合理化して行つても、一方ではアメリカの電力よりも我が国の電力が、例えば一福田さんのおつしやるように或る程度余剰電力量が殖えて来るかもしれません。そういうことによつて肥料の生産費が四割も殖えないで、或いは三割ぐらいの価格しか上らないだろうということが一応言えるかも知れませんが、いずれにしても総体としては上ると同時に設備の更新をやつても、肝心のそいつを動かす電力が諸外国の価格よりもどんどん高くなつて行く傾向、一方向うのほうは下つておるのにこつちのほうは上つておる、倍の開きがそこに出て来るということに誰も気が付くわけであります。そういう場合に、それではどういう見通しで五年乃至六年後の我が国の貿易の振興ということをやるかということも大体はこれは私は見当がないことには、食糧と電力の問題もそういつた基本的な問題に関連して見当がないことには、私は政府当局の御答弁としてはおかしいとこう思うのです。それで、若しそれがなくて今のような御説明だと、国民は結局この前のマーフイ大使が演説が言つておりましたように、特需だとか新特需だとかによるところの収入、それから駐留軍がこれ又大変汚い言葉ですが、夜の女なんかを通じて落すところの金額も相当大きいというようなことを言つておる。そういつたものの収入、そういつたことによつて結局収入を得て、そういうものを頼りに大部分日本はやつて行くということになつてしまう。非常に異常なそういう支出だけに頼つて五年先も六年先も、結局は諸外国との競争にどんどん打勝つて行くということができないために、いつまでもそういう異常な支出、アメリカの支出に頼つて我が国の経済がお妾的な存在で行かざるを得ないということの裏付けになるような御説明のように国民はとると私は思う、そういう方策がはつきりしておらないと……。それで私はそういうことでは困るので、この際先般から作つてありました自立経済計画というものの問題が当然ここでこれと同時にもう少し具体的に私は政府に案があるのじやないか。で、この前も作られました経済自立計画というものは、あれは私が大臣にいつか御指摘したように、ただ目標をずつと並べたに過ぎないと思う。あれを実際実現するのにいつ予算化して、どういうふうに進めて行くのか、具体的な実施方法というものは一体誰が考えてどうして行くのかということに対する予算委員会における私の代表質問に対する御答弁は、これから実施方法は各省と連絡をしてこの点は具体的にきめて 一つ一つ電力の問題はどうする、食糧の増産の問題はどうする、輸出の問題はどうするのだというふうに具体的にきめて、実施方策をきめてやつて行く。又中央の計画と即応して地方の計画というものも当然あの計画を実施する場合に出て来るのだから、地方計画というような問題も具体的に進めて行つてそうして計画ができ上つてからあとのその計画を推進する組織といつたようなもの、機構といつたようなものも当然必要になるが、そういつたようなものもこれから所管各大臣等々と相談をして具体的にやつて行くのだというような御答弁も得たこともあつたわけですが、私がそういうものがこの際具体的になつて行つて、計画的な措置というものがこの電力開発に即応して改めて私は政府になければならん、こういうふうな意図からお尋ねをしておるわけであります。その辺を一つ更に長官から御説明を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/12
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013・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) お話の点ですが、これは永井さんは連合委員会にお出になつておつたから、資料等を自由党から出しましたので御理解があるかと思いますが、ただ単にほかの産業計画と何らの関係なく電源開発を五ヶ年町にあれだけやると、こういうことになつておらないということは御派知のはずだと思います。もとより五ヶ年先のことですから的確にその通りに確定的になるということはないかも知れませんし、又当らないかも知れませんけれども、一応の計画としては今日日本が生きて行くために大体現在ある設備能力というものをフルに活動させることによつて、或いは合理化等によつて置換えが起るかも知れませんが、少くとも現在ある設備工場能力等をフルに活動させることによつて、大体目標として昭和九—十一年の平均の約一九〇%程度に、倍近くに生産能力を高め得ると、これをやらんことには一体日本の国民生活の安定化ということも困難である。又その安定の前提であるべき日本の貿易政策の推進においても、御承知のように原料にしろ或いは製品にしろ、かなり外国依存であります。その物を買うために先ず売つて買う、こういう意味においての製品生産の立場においてもそれだけの生産を上げなければならん。こうすることによつて、必要な電力量はどのくらいかということが割出されて今度の五ヶ年計画になつておるわけであります。無計画ではないわけであります。而もそうすることによつて国民生活というもの、我々が非常に内輪に見積つて、先ず徐々に二十七年度から年々三%ずつくらいでも上げたいということが一つの目標になつておる。今お話を承つておると、この前の自立三ヶ年計画もただ目標を示しただけで空じやないかと、こういう御指摘ですが、これはまあ実際の職に当られて見るとわかりますし、過去の永井君の経験からいつても、飽くまでも一つの目標を定めてそれに向つて日本国家の財政的の立場から考えて、これに応じ得るように徐徐に実施計画が進められて行く、これは当然だ。何らの目標もなくして、出たとこ勝負でやつておるということはいけませんけれども、これは三ヶ年計画について立てた計画の内容は少くとも二十七年度の予算等にも、例えば農業生産力の増強等において、従来百一、三億円程度しか土地改良その他食糧増産にできなかつたものが、二十七年度には二百五億近くこれを出すことにした。又国土保全の上においての治山治水計画において山林、植林をどうするかということはやはり一連の計画になつておるわけであります。私は一つの目標というものについて非常な変化を受けることは有り得るわけです。或いは御承知のように私どもが国民生活の水準を高くすることによつて、一年にせめて二%ずつ上げて五ヶ年の間において九〇%近くに持つて行きたいという最近の二、三ヶ月前まではいろいろと議会でもそんな甘いことができるかと叱られましたが、妙な現象が起きて最近の月だけの現象を見ると八億円、この点はいいというわけじやないですよ、原因が別のところにあつて世界的に或る程度不況に今一時的になつておる。産業において各方面少し生産が過剰という恰好になつておるので値が下つておる、そこにおいて消費水準の中における状況の変化を起した。そこで二、三ヶ月前にえらく楽観的気分だといつて叱られたことが別のことになつておる。これは政府の政策でも何でもありませんから私はそれを自慢するわけじやありませんが、そういうふうな形で出て来るということを指摘することは、一つの目標を定めつつ進めて来たところで、あなたの言われるように三十一年前に的確にその通りになると私は思わない。併し少くとも一つの目標のためにその目標に近付けるために一つの政策がこれに実施計画が止つて行くということは当然な話で、目標を定めたことは結局空念仏で何もあとにせんということでは私はないと思う。物価についても若しでき得べくんば電気をかくのごとく起したことによつて三十一年目において物価はどう下るか、ということをここで言えとおつしやいますが、五年先の物価がどうなるかということを今言うことはなかなかむずかしい。すでに現実の問題で半年の間にいろいろな世界情勢の変化があるということでそれほど或る意味においては日本経済の幅が狭いとも言えるし、国際経済に結び着いた今日において国際経済の動きというものは日本経済に及ぼして来るということですから、これははつきりとどうなるとは言えませんが、併し少くとも我々は電気をこれだけ起すその必要性の理由は、何としても日本の領土は狭くなり国民が急に殖えた、この人間に対して農業生産はどの程度か或いは工業生産はどの程度かというような個別的なものはあります。而してそれらは平均した形において国民生活水準というものを三十一年度には大体九〇%近くまで持つて行きたいと、こういうことが一つの目標であり、そのことは次にエンゲル係数なり生活水準、消費水準の中に占める食糧の割合とかいうことが価格によつて影響してそういうことが出て来るわけです。こういうことは当然私はおわかりの上での御質問だと思いますので詳しくは申上げませんが、政府としての考え方は以上申述べたようなところにあるということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/13
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014・永井純一郎
○永井純一郎君 只今のようなお話は勿論大体わかるわけでありまするが、そこで我々は栗山君等からも要求しておつたのですが、目標が大体この電力の増産がただ現在のあるところの電気を十分に、フルに充足する程度に必要な電力量を目標にして生産の計画は立てられておるようですが、そこで私どもが心配するのは大体そういつたような場合にも産業別の需要というものはどういうふうになるのかというようなことに対して的確な資料も答弁もなかつたようです。これはどうしてそういうことを私どもがお尋ねするかといえば、私は大体この日本経済の現状、あり方が、又これは将来ともそうじやないかと思われるような心配があるのは、今おつしやるように電力はとにかく作ることが第一だということで生産を増大をするわけですけれども、その電力を使つて作つた製品が果してそれでは十分に競争に勝つて売り捌けるのかというような問題が当然くつついて来るわけです。その場合に大体異常でなく通常の状態に国際情勢が順次行つて行く場合のことを考えるとそれじや到底やつて行けない。戦争でもあるのじやないかということを予定しておるとそういつたような軍需産業に結び着くことによつて例えば特需、新特需といつたようなことに結び着いてならば非常な需要がそういう場合に出て来て高い電力で相当高くとも或いは捌けるというようなことも考えられるかも知れませんが、今日すでにマツカートなんかも言つておるようにコマーシヤルベースでなければ買わないのだというようなこともしばしば言つている、かといつて半面では高い原料を向うが、アリメカでは寄越しておるのにそういうことを言う。そして中共貿易は一切やらせない、かと思つているとまぐろだとかミシンだとか陶器だとかいつて一番アメリカに輸出しやすい、ドルを手取早く取れるようなものについては関税をどんどん上げて行く。そしてマーフイーなんかが言つているようなことを聞いておると、駐留軍が国内に落すドルだけでも何億ドルとあるのだというような、誠に我々から言えば不都合のような屈辱的なような感じを受ける演説も平気でやる、というようなふうになつて行きますると、非常な変形の形の場合においてのみやつて行けるのであつて、こういう電力開発等も考え合わしてみても、通常の場合になつたならば、もうどうなるかちよつとわからない、というような見通しを政府自身もとつておられるのじやないかという心配が国民にあるわけなんです。差あたりもうちよつと見当がつかない、だからまあこういうことでやつて行くのだということで問題ないだろうと思いますが、その辺もう少し政府としてはこう思つておつてこういう見当で行くんだというようなことが的確に御説明を政府としてはして頂きたい、私どもはこう思うわけですが、それは無理かどうか、五年先はちよつとわからないのだ、物価がどうなるのかもわからないのだということでなしに私は聞きたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/14
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015・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) お答えしますが、私は今の考え方について疑問を多少持つのですが、あとはどうなつても電気さえ起せばいいのだという気持でおるのはおかしいじやないか、それは私どもは電気を起すことによつて日本の産業をこういうふうに復興さして行く、そのことによつて商品といいますか、生活必需品を増す、物の増加をはかる、そうして国民の生活について徐々にでも水準を上げて行くということが目標になつておる、併し私は考えるのに、先ず数量をふやすことが第一義だということはこれは私は真理だと思います。あなたのおつしやるように電気は高うて競争にならないから当分区電気は起さんでもいいんじやないかという極論にあなたの説を考えると、これは日本も縮小経済になつてこれだけ人口が殖えたのだが、もう生活の水準をうんと落して行くのならこれは電気も殖やす必要もなかろうと私は思います。電源の開発にコストが高くなるから電気は起さんでもよいということになれば、これはあなたの御承知のように日本で食糧については農業食糧生産というものは大体八割五分ぐらいというものは自給できるのだから、それでじつと農業だけやつておつて食うだけやつておつて、国民生活必需品の大部分の原材料を外国から入れんでも又生産はせんでも、国の中で生産されるものだけでじつと生きて行くというような縮小経済を望まれるのならそれでもよろしい、私はやはり日本が恐らく永井さんもそんなことを考えておるとは思いません、考え方としては阿漕じやありませんか、日本の今日の人口が一足飛びに毎年の増加率が百万近くありますが、人口問題は別に考えなければならん問題だが、とにかくその毎年殖える以外に、満州朝鮮台湾、全世界の各地から追い帰えされた人達が一遍に六、七百万殖えたということになる、それを或る程度の生活水準を高めつつやつて行くのには何としても貿易立国のほかにない、競争するなんということは勿論あなたの言われる通り私は非常に心配ですよ、だがそこは勿論考えなければいかんが、とても今の状態ではやりきれないから、当分の間生産は縮小しても電気はいらんから電気を止めてしまえというような考え方のように聞える御質問は如何かと思うのであります。それは今日の日本の置かれておる産業立地といいますか、立地が非常にこれは不利な地域であるということは認めておる、だから若し社会党の諸君等がイギリスのように国民生活というものを圧迫して抑えてでもいいから、国内の成るたけ喰うものも着るものも全部止めてこれを外へ出すようにして飢餓輸出でもやるというえらい覚悟をして当分はやるということを陣頭に立つて言われるならば、これは一つの考え方として少なくとも日本はやはりその貿易を基礎として諸外国が求めんとするものは国内において生産される、農業生産物というものは余り多く期待できない、どうしたつて外国から原料を入れたものを再生産して行かなければならん立場においてそれをやる鉱工業というものは常に電力動力を喰う、この準備を先ずして行くことが必要だと考える、こういうふうに私は考えますが、私はもとよりお話の後段について賛成です。それは勿論準備は必要だが、あなたの心配されておるコスト高等において外国との競争は困難じやなかろうか、その点はどうするかということはよくわかるのですよ。だからその点についてもそのまま放つておいても必要な動力というものは高くなりがちであります。一体今電力料金の値上げ等についても私どもの抑えて来ているゆえんは確かに電力料金について合理化は必要だがずつと放つてあつた。ほかのものに比べて比較的安いのじやないか、併し公益的な立場に立つて日本の産業に全般的に及ぼす影響なり、国民生活に及ぼす影響を考えて徐徐に上げてもらいたいということを政治的に要求しておるわけなのであります。併しできるだけ合理化しなければならないが、電気の料金が安くて、ほかの物が高すぎるというのは、実は私は電力会社の弁護をするのじやないが、これは無理だ、徐々に上げて行く方法が必要だと思います。併しそれには時期と方法とがあるということで私は言つて来ている。そこで今度は放つておけば日本経済復興に足らぬ動力を起すには多少のコストが高くても開発するのが前提必要条件だ。而もそれを、放つておけば非常に高くなるということは騰貴率を抑える意味においても今日やつておる電力を開発する、こういう立場に立つて進んでおるということは現在においては了承を願わなければならんと思う。国際経済の面については私も心配です。だから原料その他についても、東南アジア地区との開発協定等によつて近い所から安い原料を得ることに努力するとともに、とにかく戦争中、戦後において放つておかれたす本の工場設備等の非合理な点のものを合理化する、又戦後においても随分不合理なコスト高の経営をしていると私は思う、そういう点を直して行きつつコストを引下げるように努力しなければいかん。設備の不完全な点については政府も金を出してやる、こういうふうに私ども思つておりますが、その際に思い切つて初めから統制経済に入つて、うんと締めつけられたらという御不安の下にのお尋ねであります。そうやつて締めつけることが私は過去の戦争中の統制経済で無理なことをやつておることを目撃しておる立場から承知できないのです、そういう立場において考えておるので、決して電気だけ殖やせばその電気はどんなに高くなつてもいいとは考えておりませんが、先ず日本の産業復興をさせるために必要なものを増加させるということが第一である。その増加したものについて又国際競争に勝ち得るようにコストの引下げを考えるということについてはそれぞれ努力する必要があるということについては同感です。産業別の需用電力量等について何か別途説明を申上げましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/15
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016・福田一
○衆議院議員(福田一君) 先ほど栗山さんからの御質問に対して鉱工業生産の昭和三十一年度にどれくらい電気を使うかという説明がなかつた、資料が出ておらなかつたというようなお話もあつたのでありますが、実は委員会においては説明は申上げたわけでございます。若し御必要ならば御説明申上げましてもよろしいと思います。
それからあなたの御質問の前提になりました電気料金が昭和三十一年には約四割上がるというお考えは、実は電気料金を改訂しない場合にはそういう数字が出たのですが、今度の値上げをいたしましたので一割ちよつとになるわけなんです。ただそれをその説明をちよつとさせておきましよう。速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/16
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017・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/17
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018・佐々木義武
○説明員(佐々木義武君) 只今自立経済の問題がちよつと出ましたので、それに関連いたしまして説明したほうが便利かと思いまして御説明申上げます。自立経済審議会の報告書を御説明申上げます際に永井さんからも今と同じような質問が出まして、その達成方法等をどうするのだという御質問があつたことを記憶しております。そこであのときの結論は集約いたしますと、結局電気或いは船或いは農業の増産というものをどうするかという、それの近代化乃至は料金の問題等をどうするかという問題が一審中心問題だというふうに記憶してございます。そこで量の問題はあとで資料を差上げますので、主として価格の面からその問題を少し掘り下げて見たいと思いますが、日本の産業の合理化の問題は永井さんもよく御承知の通り、先ず第一番に何と申しましても、設備の近代化をしまして、そして労働の生産性を上げながら、計正面生産も上げながら、質もいいものを出すというのはこれはもう当然だと思いますが、一番本になつておるのは何と言つても動力ベースでありまして、その動力基準を一体どういうふうな恰好でやつて行くのかという点が大きな問題であります。あの当時からいろいろ議論しておつたのですが、現在の動力の一番大きな問題は何と言いましても石炭と電力でありまして、石炭は平均諸外国の現在の単価はドル・ベースが中心でございますが、大体トン当り六ドル近くでございます。日本の石炭は御承知のようにそれに相応するようなカロリー別でとつて行きますと十八ドル乃至十九ドル、約三倍というベースでございまして、これを一体どういうふうにするかというのが非常に大きな問題でございます。そこで石炭自体の単価を成るべく低めるというのも合理化の大きい理由の一つでございますが、それに相応いたしまして電力の料金をどう持つて行くのだという点が非常に大きい問題かと思います。そこで永井さんから御質問がありまして、日米間の電気料金の比較の資料を差上げてあるわけでございますが、それによりますと、現在アメリカに比較いたしまして非常に安うございます。そこで将来これをこの計画を完成いたしました際にどうなるかと申しますと、完成した際でもなお且つアメリカよりは相当程度安い、平均に言いますと二円程度安くなるというふうな計算になつてございます。需用端に参りますと一円十銭程度でございますが、その程度はまだ安い。石炭は三倍くらいなのに比較いたしましてまだこれが安いというのはどういたしましても動力ベースというものは量の面からいたしましても質の面からいたしましても電力ベースに還るんじやなかろうかというふうな感じが強くいたす次第であります。そこで只今の四割云々の問題でありましたが、改訂べースの資料は確か差上げてありまして、これはまだ概算で正確のものは公益委員会では出しておりませんが、恐らく需用端で四円七十銭くらいになるのではなかろうか。それを今度の計算で参りますと五円三十銭になります。ですからそれほど今度の値上りでも三円七十銭から四円七十銭と一円くらい大幅に上るわけでございますから、今後五年後にこの計算で参りますと今の改訂べースを基礎といたしますれば六十銭くらいにしかならない、ですから年間平均で仮りに参りますと年に僅か二十銭か三十銭しかしらん、まあ十七銭くらいにしか上らないような計算になつておりますが、非常に僅かな値上りだというふうに考えていいんじやないかと思います。そういう次第でございますので、仮りにほかの動力源との比較をいたしますと、これくらいの値上りがよしあつてもどうしても水力発電というものを今からやつていかなければならんという問題が当然御納得行くんじやないかという問題が一つと、それからもう一つ仮りに電源開発というものをやらなかつた場合にはどうしても火力というものをもつと焚かにやいかんという計算になりますので、自然さつき申しましたような石炭の単価でございますから電力の現価というのも上昇して来るだろうという点が一つと、それからもう一点はこれには特殊会社でやる分はこの前にもお話しましたように三十一年度には政府株に六分配当するという計算で試算をしてございますが、これを仮りに若しどうしてもその当時の状況によりましてもつと電力料金は下げたほうがよろしいという要求が強いん状況でありますれば或いはこの後配株等の制度をとりまして、もつと値段の点も下し或いは値下げ料金等の値段も低めるんじやなかろうかというふうに考えましたので、電力だけを考えますと若干の値上りにはなつて参りますが、他の動力との兼合い或いは今申しましたような火力そのものとの比較或いは将来特殊会社の配当の制度を顧慮いたしますと、それほど今おつしやつたように全部がほかの産業にひどい影響を及ぼすということは、よしあつてもその差というものは小さいものじやなかろうかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/18
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019・永井純一郎
○永井純一郎君 只今のその説明員のほうの数字は大体僕もわかつているんですが、ただ私が長官に言うのは傾向なんです。アメリカのほうはあなたのほうから貰つた数字でもだんだん下つて行つている傾向、それから成るほどこれによると三次改訂による料金改訂によるものからの推定では、四円七十四銭が三十一年度には五円三十銭、これは二十六年のときの原価が一円六十銭のときに三円七十銭の需用端の単価がそうたつたからという同じ率でこれはこうなつておると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/19
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020・佐々木義武
○説明員(佐々木義武君) これはロスが一番大きいわけでしたが、だんだん軽減されて参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/20
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021・永井純一郎
○永井純一郎君 ところが私はそれはいろいろ考え方があるのでしようが、この程度で止まるとしても私は止まらないで、逆に食糧その他がだんだんこのことによつて悪循環して上つて行くし、当然料金なんかはどんどん高くなる傾向に行かざるを得ないと思うのですが、これは政治的ないろいろな情勢もあつて、更にその傾向が強くなつて来ると思うのですが、一応この数字の通りにしても三十一年度或いは三十二年度、電源開発が終りになつた頃にはもう大体とんとんくらいになるという傾向に行くということを、私はまあ数字そのものでなくそういう傾向に行くから、従つて私が大臣にお尋ねしておるのは、私が何も電源を起さなくてもいい、そうしなくてもいいなどということは少しも私言つておらないのであつて、申上げておるのは生産の発展と経済の安定との調和、それに対する計画的な措置が私は必要だ、そういう構想をこれは講ずるのだ、ああするのだと、率直に言えばどうしても五年乃至六年先には生産の発展と経済の安定との調和はなかなか日本の経済では困難だ。つまり経済の自立が困難だから、その間はアメリカのこうこういう援助によつてやらざるを得ない。併しそれから先は芽南アジア或いはその他でこうこういうふうにしようと思う、料金、物価安定の方策というものも実はこうこういうふうにしたい思う。それから電力でも三年、四年先でも開発原価が安くなるためには外資の導入というものはこういうふうにほぼ見通しがついて、その利息はこういうふうに安いのだとか、何とかそういつたものを基礎にして経済の安定の方策と関連した構想、政府の政治でありまするから方針というものが聞きたい、こういうことを私は申上げておるのであつて、電力の生産をしなくてもいいというようなことは、誰もそんなことは考えている人はいないと思うのです。併しほぼお考えのあることもわかりましたので、更にもう一つ問題を進めてお聞きしたいと思います。
これは電力行政の問題ですが、この前も丁度周東大臣が席を立たれまして野田管理庁長官にはちよつとお伺いしたのでしたが、設置法の改正もありまするし、大体電力の問題はこういうふうに開発をして行つて重大な行政になつて来ますが、電力行政を一貫してやることが私は非常に大切だと思つております。今までは公益事業委員会がやる、通産がやる、安本がやる、いろいろなふうに錯綜しておつてどうもはつきりしなかつたと思いますが、今度は政府の行政機構の改革では通産に大体やる、ところがこれは政府の案の経済審議庁、これにもやつぱりあるのですね。私が具体的にお伺いしたいのはどうも野山さんの答弁でははつきりしなかつたし、又野田さんが余り知らなかつたのだろうと思いますが、こういうちよつと具体的な点でお伺いしたいのは、政府の審議庁案の所管事項と言いますか、権限の中にはやはり物価の基本的な政策に関することや、こういうふうに書いてある、電力料金をきめるときに周東長官は公益事業委員会等との関係で非常に苦労をされて、どうもうまく行かなかつたようですが、又同じようなことが今度の機構改革をやつても起るじやないか、つまり通産省と経済審議庁で起りやしないかということなんです。この電力料金等をきめるのは価格形成で具体的な一キロ幾らということをきめることがすでにこれはもう物価或いは経済政策の基本的な問題に私はなつて来ると思う。で、経済審議庁と通産省ががたがたやつて一向きまらない。今まで安本と公益委員会がやつて一向きまらなかつたといつたようなことが起りはしないかと思いまするが、そういうときには一体どちらがきめるのか、或いはそれはよく相談して政府部内で今度は政府部内の機構になるのだからうまく行くというようなことをおつしやるだろうと思いまするが、むしろ私はやはり高処から見て審議庁で全部やつたほうがいいように思うわけなんです。料金ともその点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/21
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022・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 将来に向つての電力料金の決定等に関してどこでやるかということでありましたが、これは只今のところ通産省においてこれを決定する、個々の電力料金の決定についてはそれぞれ所管省においてやらしめると、こういうことに考えております。全体の物価対策の立場においてそれじや又新しくできる経済審議庁との間に摩擦が起きはせんかということで、それに関してむしろ最終決定まで経済審議庁でやつたらどうかという御意見は一応御尤もですが、今度は大体あなたがそう私の答弁まで先廻りして答弁された通り、これは今度は内閣で意見が違えは今までのようなことは起りません。今までは内閣閣議には公益事業委員会は参加せんことになつており、内閣の外に立つて総理大臣より強いような恰好にしてたからこういうことが起つたのですけれども、そういうことは内閣制度がある今日においては改むべきであると考えておりますので、そういうことは起らん、あなたのあらかじめ御指導頂いた御質問の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/22
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023・永井純一郎
○永井純一郎君 そういうふうになるだろうと思います私も……。私はですから更にはつきりして通産省、管理庁長官のお答えでも又通産省で大体全部やらせるんだというような話なんですが、答弁が、そういうふうになつておると因るからあの案という、今出ておる審議庁のあの権限のところの事項等はこれははつきり一つさしておきたい、そうして通産省の言う通りでなしに、やはり大所高処から考えると経済審議庁が経済政策全般の建前から相当こういつたような電力料金といつたような問題はやつてもらうようにしたい、こういう意味なんです。建設大臣の話ではただ審議庁というのはまあ斡旋役をするところだ、みずから立案なんかして、強力にそれを折衝して一つの価格だとかいうようなものをきめるというようなことはしないようなふうのあの提案の理由とは非常に違うような答弁があつたので、所管の大臣からの答弁をここで伺つておくという意味でお伺いしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/23
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024・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 従来この電力の料金一定については公益事業委員会でやつておつたその間に処して、その関係として全体の物価政策上かくあるべしと、これは少しこう持つて行くべきではないか、こういう形で公益事業委員会等に働きかけておりましたが、従来は全然そちらとの間に連絡する必要もない、又勝手に権限を以てきめるというような建前になつておるからその間の調整がつかなかつたのですが、今度は先ほど申したように閣議で全体の物価政策からみた電力料金のあり姿というようなものについては当然従来と同じような意味において経済審議庁が発言し発言権を持つわけです。その間に実際上の立場において、決定する所管庁というものの間に従来とは違つた行きかたにおいては調和ができるものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/24
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025・永井純一郎
○永井純一郎君 大分時間が来ましたが、もう一つだけ念のためにお聞きしておきます。それは外資の問題でしばしば質問があつてお答えがありましたが、どうもいろいろなお答えがあるし、まあそれを全部総合するとほぼ見当がつくのかもしれませんが、特にぼやけておる点を一カ所だけお伺いしておきたいと思いますが、それは今朝の新聞等でもワシントンからの外電でありましたか、まあ入る、入る見通しが非常に強い。まあ私どもも入るのじやないかというような気がしておつたわけですが、その場合に電源開発、水力等の電源開発のために入つて来る外資というものはどういう形でそういう場合には入つて来るのか。水力発電の機械、そういうようなもので入つて来るのか、或いはドルというものだけで入つて来るのか、そういう点を一つ御説明を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/25
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026・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) これは私は今後ワールド・バンク等が金を出すというような場合における契約の内容によると私は思う。貴重な日本において電力発電機械というようなものが必要な場合においてそれを向うから機械の形で寄越す場合もありましようし、或る場合においては大きなクレジツト設定という形において必要ある場合によつても動くという形をとつて行く場合もありましようが、これは一概に今どういう形だということはまだ折衝をして条約の内容によつてきまることだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/26
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027・永井純一郎
○永井純一郎君 成るほどこれからの約束、契約の内容によつてきまるのだろうと思いまするが、これは例えば機械で入つて来るという場合には日本の水力発電の機械というものが非常に優秀でありまして、もうあるわけなんです。日本で間に合う、労力も間に合うし、セメントも間に合う。若し機械で入つて来るということになると日本の機械産業を非常に圧迫するというような心配もある。そうすると、そういう点は十分考えて勿論この締約の内容というものも我が方としては結ぶわけでしようが、そうでない場合にただドルだけが入つて来たような場合には、それで電源開発以外の、そのドルで物も輸入したりすることができるのかどうか。今そういうことをお伺いしてもちよつとわからないということかもしれませんが、その点を一つ教えて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/27
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028・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) これは今後の問題ですから、どうするのだ、こうなるのだということをここではつきり申上げることはできないと思いますが、場合によつては実はクレジツトの設定というようなことが形になつて出て来たときには、将来この外貨を入れると、ドルも貸すと、こういう形の新協約が出ておれば、日本から輸出するセメントなんかも或る程度抑えて、これを電力会社に開発に使うということも私はできると思います。それから初めのお話の機械等についてもお話の通り水力発電に関する機械等は、日本で相当立派なものができるので、多くはいらんと思う。火力発電についての機械類等についてはなかなかいい機械がありますから、むしろそのほうを買つたほうが実は早いというような場合もある。こういうふうに先ほど日本であるよりもいいものがあつたらば、こういうことを言つたのです。国内のほうの産業の圧迫はしないように締約は結ばれるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/28
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029・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ほかに質問ないようでしたら、時間も大分遅くなりましたので、今日の委員会は散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/29
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030・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは今日の委員会は閉会いたします。
午後一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01519520611/30
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