1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十二日(木曜日)
午後一時五十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
永井純一郎君
委員
愛知 揆一君
大野木秀次郎君
古池 信三君
奥 むめお君
杉山 昌作君
山川 良一君
須藤 五郎君
委員外議員
小林 政夫君
衆議院議員
福田 一君
国務大臣
国 務 大 臣 周東 英雄君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 一郎君
常任委員会専門
員 桑野 仁君
説明員
経済安定事務官 佐々木義武君
経済安定事務官 橋本 徳雄君
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本日の会議に付した事件
○電源開発促進法案(衆議院提出)
○外資に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは委員会を開会いたします。
今日で第二十一回目の委員会になると思いますが、昨日十一日の委員会におきましては、独禁法の一部改正に関しまして提案理由を聞き、資料説明を聞いて、第二番目の議題でありましたところの電源開発促進法につきましての質疑を続行したわけであります。
今日の議題は、公報にも挙げておきました通り、外資に関する法律の一部改正法案と国土総合開発法の一部改正法案と、それから電源開発促進法案でありますが、順序先ず最初に電源開発促進法案につきまして、前回に続いての質疑を続行したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/1
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002・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこの委員会を休んでおりまして皆さんの質疑を余り聞いておりませんので、質疑がダブるような虞れもあると思いますけれども、その点ありましたらどうぞお許しを願いたいと思います。それとまだ余り整理ができていませんので、前後する点があると思いますが、よろしくお願いして質問いたしたいと思います。
先ず第一に私が最近耳にいたしましたことで、これは是非提案者の意見を聞いておかないと、この電源開発問題の質疑の上に大きな支障が出ると思いますので、一、二点お伺いしたいと思うのですが、先日大蔵大臣と周東安本長官が緑風会へ説明に参られて、その席上で秘密会でしたか、何ですか、説明をなさつたようです。洩れ承わるところによると、この提案者福田さんのこれまで説明して来られたことと逆なことがその席上で発言されているという点なんです。福田さんはこの新らしい会社は三十五年度になれば、清算状態に入るというような説明をなすつていらつしやつたと思うのですが、それに対しまして大蔵大臣はそういう馬鹿なことはない。若しもそういう三十五年度になつて清算に入るような会社ならば、外資も入ることはないのだ、だから決してそういうことをしないという点をおつしやつた。それからもう一つは、この会社は今ある九つの電力会社が開発して行く上に非常に困難を来たすような場所を開発するのだ、むずかしい点をこの会社が引受けてやつて行くのだというふうな御意見だつたと思うのですが、それに対しましてそういうことはない最も有利な、最も算盤に合う地点から開発して行くのだという意見、それからまあ外資はこうこうで……、私ちよつと忘れましたが、十分に入る見通しが立つたというふうな、そういう意見を周東安本長官と池田大蔵大臣とで緑風会で述べられたということを私は洩れ聞いておるわけなんです。そうしますと、新らしい会社の性格というものが非常に福田さんの説明されたところと違つて来ると思うのです。この点提案者としての意見をもう一遍はつきり伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/2
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003・福田一
○衆議院議員(福田一君) ちようど周東長官が見えられましたので、周東さんからお話を申上げたほうがいいかと思うのでありますが、実は私は緑風会へ参りませんでしたので、周東さんや大蔵大臣がどういうことを言われたかということは余りはつきり聞いておりません。併し御同様の質問が昨日社会党のかたからございまして、周東さんから御説明がありました。一遍周東さんからお答えを願つたほうが却つて間違いがないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/3
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004・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 緑風会での説明で、従来発議者といたして説明されておつた福田君の説明と相当違つた説明がされたらしいことを聞いておる。その中心的な一点は、この新らしい会社の存続期限を大体三十五年あたりを見通したという恰好で説明されておつたのにかかわらず多分大蔵大臣だつたと思うけれども、そういうことはないのであつて、三十五年というような期限を切るならば、外資導入にもむしろ非常に不都合なんだから、そういうことはないはずだというような説明がされたらしいこと、それから二点としては、開発地点の選定について、従来の説明によるというと、普通の会社でやりにくいような地点、特にコストの高くなるというような所をやるんだということも話になつておつたけれども大蔵大臣か周東長官か知らないけれどもむしろそういうことではなくて、一番やりやすい、コストの割安な所から始めるんだというような説明がされて、従来と非常に矛盾したような説明がされたと漏れ聞いておるけれども、真相如何こういうことでしたですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/4
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005・須藤五郎
○須藤五郎君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/5
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006・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたしますが、その前に申上げたいことは、提案者の今までの説明、何か私なり、大蔵大臣の話との間に食い違いがあるようなお話でありますが、これはありません。と申しますのは、先ず第一点について、大蔵大臣も緑風会で話したのですが、これは結局打明け話をはつきりしたのでして、法案には別に存続期間は書いてないのです。それを提案者はいろいろ言葉を使つたと思うのですが、まあ攻撃、攻めにあつたつだろうと思うのです。それで片方では民間の企業は成るたけ尊重したいと害つておるが、この法文に書いておるように譲渡すると外資は入らなくなる、開発の成立する時期が大体第二期計画が三十五年ぐらいじやないか、それでなくなるのか、こういう質問に対して、非常に追込まれて或いはそういうふうな御答弁をしたじやないかと思うのです。私どものこの間緑風会で御説明しましたのは、法文には初めから存続期間は書いてない、ということは、今後における情勢によつていろいろ変つても来るでありましようし、仮に譲渡ということがあつたにしても、一旦開発してすぐにその年に終つたからと言つて渡して、すぐに全資産といいますか、対価を払い得るものでない、恐らくその点については長期契約ということになつて、年賦になるだろう。昭和三十五年にすぐに存続期間満了が来るとも思えないという話を申上げたわけであります。この点は表現の相違もありましようし、いろいろ質問者のほうから、なかなか複雑な法案でありますから、追詰められて福田君大いにしつかりしておられるわけですけれども、(笑声)つい捲き込まれたじやないか、こういう話を私したのです。これは初めから法案にそういうことを予想して存続期間を書いてないわけであります。そこは御了承願いたいと思います。
第二の外資導入に関して、緑風会でも出ましたことは、提案者が外資を当てにしていないと言うたじやないないか。それを外資を当てにする、こういうことで食い違うということであります。これは私はそのときも打明話をしたのです。殊に池田君が、参議院で答弁したときに、私は横におつて聞いております。又同様のことを私は衆議院の委員会でも述べたということはマーカツトの話が出たとき、あのときの内容と大分違つておりますか、これは議員の巧妙な質問といいますか、鋭い質問といいますか、とにかく外資が来んときには一体開発計画はやめるのか、こういう御質問なんです。それに対して池田君は一体電源開発ということは、今日の日本経済復興の上において優先して考えなければ、未稼働の工場を動かしたりなんかするについて、又今後の日本の経済復興について、国民の生活を徐々に上げるためには、相当に動力が足らないのだ。だから電力の開発は先ず優先的に考えなければならん。併し、これについては外資を導入することが、すべての点によろしいから、その形として導入しやすい形といいますか、いろいろ研究した結果、ああいう形で、政府出資の会社なんですが、それを作つたのですから、それは期待しておることは事実であります。併し、これは相手方もあるし、すぐに初年度からということにも行かんかも知れないが、そういうときにやめるわけには行かない。そういうときに多少ほかの産業に影響しても、資金資材を先ず優先的に電源開発に廻して、そうして先ず動力を確保して行くことが将来に向つての開発産業復興に是非とも必要なことである、こういうことを申したのを私は聞いております。これは外資が入らんときにどうするかと言えば、入らんときにはやめるわけには行かないから、これは必ずしも外資が入らなくても、その資金計画を立てておるということを申したのは、そういうことを申したので、これはよく須藤さん御了承願いたい。これはむしろ福田君の答弁あたりは実に純真なはつきりしたことを言うておるのですよ。それを今度は片一方ほかに行くとお前のところは外資は要らんと言うたじやないか。外資が要らんならばこんなものは要らん。要ると言えば何ぼ、いつ入るかと言う、そういう何ぼいつ入るということを政府が言うと、これはいろいろと影響がありますから、これは言えない。
その次に外資の問題でありますが、これについてはそれはこの間打明話でざつくばらんに言つたんです。非常に努力しております。今日までいろいろ材料、調査資料を刻々に要求に応じて出しておりますことは事実であります。これについて、向うもいろいろ専門的立場から事実調査もし、研究してもらつておることだけは申上げられます。最近も形としてはワールド・バンクあたりで最初問題になつて取上げたということは新聞にもちらほら出ておりますから、この間参議院でお話ししましたように、我々の努力が芽が出て来たというように思つております。そういう意味で飽くまでも外資を入れると言いうことによつて日本の電源開発に要する必要な資金等についてゆとりを持たせるということであります。
それから、外資の入りやすい形といたしましては、いろいろ議論されております。一々ここで反駁はいたしませんが、世界銀行等が出しました過去の実例を見ましても、やはり純民間会社というのは一つしかない。十六ある中に、そのうち三つは政府機関、日本のいわゆる公社です。九つが政府出資の会社であります。あと三つはちよつとまだわかりませんが、そういう形になつております。いわばどういう形ならば入りいいかという調査報告に基いてああいう形が出て来たということは一つ御了察願いたいと思います。そういうものが出て、そういう看板で入りやすからしめるように、池田君は緑風会で一つ魅力あるものを作るのだと申されましたが、そういう形で入りますれば、そこへ入ることによつてほかのほうへ廻し得る日本国内の資金の資金繰りも楽になるというもので、これが全般的によく行くということが私どもの狙いであります。そういう意味において実質的にも福田君の提案説明とは食い違いはないと思います。たまたまどうも福田君は気が弱いようでありますから、つい峻烈な質問を受けますとたじたじになるようですから、この点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/6
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007・須藤五郎
○須藤五郎君 座つたままで失礼いたしますから……。どうも周東さんは福田さんをえらい庇つていらつしやいますが、なかなか福田さんしつかりされて、(笑声)気が弱いとは思わん。福田さんの説明を聞いておりまして、なかなか素晴らしい人だということを信じております。そういうことはないと思います。(笑声)私も審議の過程において、最初福田さんは外資は全然当てにしていない、問題にしていない、目標にしていないということをちやんと言つておられる。それが審議の過程において外資問題が非常に論議されて来ておる。これはおかしいなと実は思つていたのです。むしろ周東さんや池田さんが緑風会でおつしやつたことが、これは本当で、それでなかつたら要するに会社というものは実際はできないじやないか、そういうふうに私も了解するわけです。それで賛成、不賛成の問題とは別個に、そういうふうに考えるので、福田さんの説明していらつしやつたようなああいう状態の会社というのは、これはなかなかできないじやないかというように実は考えていたので、結局緑風会における説明が本当だということになりますが、緑風会の中にもこういう意見があつたということを聞いたのです。それならば提案者側の意図がこうだと言つて提案者が説明していたことと政府の考えていたこととこれだけ違うならば、むしろこれは政府が責任を持つて、政府提案で何故しないのだという意見が緑風会内部にもあつたということを聞いたのですが、私もむしろそれが本当ではないかと思うのです。もう一遍これをやり直して、政府提案として次の国会にでも出し直して、全責任を政府がとつてやるべきだと思う。福田さんにアドバルーンをぽつと上げさして置いて、そうしていろいろ矛盾が起つて来たときに、政府が出てやあこうじやなかつた、こうなんだということを言われる。こういうやり方はちよつと周東さんにも似合わしくないやり方だと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/7
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008・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) それは物は見方ですがね。今の政治御承知の通り政党政治で、党と政府は一体なんでして、党からの提案について全幅に政府は賛成しなければなかなか提案できにくい。殊にこういう重大なものについては、政府提案に変つたとしても、一致して党は政府を支援しておるわけですから、これは今日今出し直しする必要もなく、それだけ遅れては困るわけですから、是非これは一つ御協賛を願いたい。
それから今の経過の問題なんですが、繰返して申しますけれども、提案者の言うことと政府の言うことと食い違つていない点は、これは言葉の表現の問題です。幾ら福田君でも、衆議院あたりでも、又こちらでも言つたと思う。外資の問題は考えておる、努力しておるということを言つておるのです。但しその際に、さつきも申しましたように、これは、木村君の質問だつたと思うけれども、外資が入らんときにはどうするのだという質問に対して、それは人の褌で相撲をとるような恰好だから、外資がきつちり入らなければ出せんということにしたら、これは本末顛倒じやないか、きまらなければ法案は作れんということではいけない。努力しつつ出して行く、万一の場合を考えて資金計画は立てる、資金計画を立てておる、こういう説明をしておる。それがどういう表現であつたかはつきりしませんが、当てにしておらんのだということを言つたのではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/8
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009・須藤五郎
○須藤五郎君 それは福田さんは外資は全然要らん、外資はもらわないでいいというような発言はしていらつしやらなかつたというのですが、今まで何十回というのですか、とにかく審議を続けて来た。それは福田さんの答弁によつて審議が続けられて来ておると思うのです。それはいわゆる外資は要らないということと、三十五年度になれは清算に入るのだということと、それから発電箇所、工事の箇所はとにかく非常に算盤に合う有利な地点はやらない、いわゆる普通の会社がやつてはできないような地点から開発をやるんだという福田さんの説明の下に、今日までずつと審議が続けられて来た。それが周東さんと池田さんの言葉で逆なことが最近になつて言われたというと、これまで審議されて来た、討論されて来たことが無駄になつたような形になつて、随分おかしいと思うですね。そこに私は問題があると思う。福田さんが幸いに与党の議員であるからいいけれども、議員提案だと言つても、与党の議員だけ提案するわけではないですし、若しもほかの政党の議員が説明に当つておつたら、周東さん、池田さんはどういうふうに処置なさるか、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/9
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010・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) さつきのお尋ねですが、まだ私御答弁を残しておつた。その点は何も私どもは従来発電箇所につついて非常に民間でやるのに困難な場所なり、総合開発計画としてまとめてやらなければいかん箇所というものからやつて行くということについては変えておりません。それはあなたの聞き違いだろうと思う。今日ここに何が見えておりますから、はつきりこれは申上げますがその前に経過の過程において産業立地的に見て例えば水力発電が少い北海道とか、九州というものに入れたらどうかという、その審議の経過、過程において、その点については更に研究をいたしましよう、こういうことを言つておる。問題としてはあなたの言われるむずかしい問題があるか知れんが、その問題は総合開発計画という観点から必要な箇所をやるという福田君の説明とちつとも変つておりません。同じことです。そのほかに立地的に見て、何とか北海道とか九州がないじやないかというような御意見に対しては、これは小林君が見えておりますから、はつきり私はそういう面については審議の過程を通じて、御尤もな点もあるからその点は一つ研究してみてよろしいと、こういうことを言つたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/10
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011・福田一
○衆議院議員(福田一君) 両すどうさんの質問応答で(笑声)私は提案者で、今の須藤委員の御質問に私として一言だけ弁明になるかも知れませんが、申さして頂きたいと思います。私が三十五年度でこの会社は清算に入るということを実は確言したことはないのであります。そういう意味のことを言つたことはございません。ただ第一期第二期の計画を、一応この試案を出せと言われたので、それを試案として出しておりますので、第二期の計画は三十五年度に終る。それを全部譲り渡すということになつてしまえば清算に入るということになるかも知れないが、期限のことは法律には書いてないのですから、期限を三十五年で切つた、切るんだというようなことは明言したことはないのであります。併しとり方でそういうふうに或いはおとりになつた人があるかも知れないので、その点は或いは私の説明の仕方がまずかつたのだと思つておるので、考え方としては、私は何も三十五年度で打切るとは思いません。現に法案を見て頂いてもわかるように、譲渡する、貸付する、卸売りするとある。全部譲渡するというならば、譲渡だけで、卸売り、貸付の項はなくすればいい。そうなれば三十五年度で第二期計画が終ることになれば、それでもうなくなつてしまいますけれども、貸付ける、卸売りするということになれば、その会社は貸付けする、卸売りする範囲においてずつと残つて行くんですから、法案の会社の業務の内容を見て頂いただけでも、私はそういう説明をしたら逆にそんならば何故卸売とか、貸付という項目をとらないのかという疑問が出て来るだろう。そういうことから考えて頂いても、私はそういう説明をした覚えはない。
もう一点外資の問題ですが、これも私委員会で非常にこれはしばしば申上げておるのですが、実は外資の問題は、私は最初から言つておる。衆議院においてもそのことを表明いたしております。そうしてそういう論議を闘わして来ております。私は。ところが参議院でもそれを申上げた。併し皆さんの御質問は、常に外資の問題を離れて計画の問題に入つておられる。外資は我々は期待するのだ。外資が入らなかつたらどうするかというので、その場合でも作らなくてはいかん。その場合私はこういう計画を持つておるということをいつも御説明しておる。ところが外資の問題の質問はそういうふうに簡単に済んでしまつて、その財政資金でやる場合の質問が非常に数回行われた。そうすると印象的には、これは外資を期待していないじやないかというふうにとられる。又質問応答の途中にちよつと入つて来て、ちよつとお帰りになつたような人は、あれは皆計画でこういうふうにやつておるであろうというようなお考で、誤解をなすつたかたがあるのではないか、全体的としての私の速記録を読んで頂いて、私が外資の問題を除外して論議をしたということは、これは全然ないことであります。それからさつきの地点の問題でありますが、これも、あなたの仰せられたことも、周東長官の言われることも、実はその通りなんでありまして、私は周東長官の言われた通りお答えをしておる。大体大規模なもので民間会社のやれないような所をやるんだ、併し時と場合によつて産業立地的に見て、どうしてもそれをやらなければならんような場所があれば、それも考慮するでしようということを、速記録を見て頂けばわかるように、申上げておる。而もそういうような所が、いい電源がない場合を考えて、そういう大規模な電源開発した場合には、譲渡したり貸付をした場合にも融通をする、そういうような条件も付けなければなるまいということを言つておるので、それは産業立地という観点から言つておるわけです。そういう意味で、これは一つ誤解として解いて頂きたいのでありまして、私は一貫してそういう意味合いで政府側と違つた考えを持つたこともございませんし、それからそういう意味で説明をいたした覚えもないのであります。ただ私の表現がまずいから、だからそういうことになつたのだと仰せられれば、これは私の不徳のいたすところですから、何とも弁明のしようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/11
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012・須藤五郎
○須藤五郎君 私もう少しこの点についてお尋ねしたいと思いますが、この会社の性格がここではつきりするために、これはやはりはつきりさしておかなければならないと思いますので質問いたしますが、私もちよつつと来てもつと出た口なのかもわかりませんが、三十五年度に清算するというようなことは六体聞いたのですが、その中に譲渡及び卸売とか貸付という条項があるじやないかという点で福田さんは逆襲されているようですが、そのときの卸売とかそれから貸付ということは、その相手方の会社がそれを譲渡を受けるだけの資力がないのだ、それを全部譲渡を受けるだけの資力があれば譲渡はしてもいいが、そうでない場合があるからやはり卸売をしなければならない場合もあるし、貸付をしなければならない場合もあるというような答弁をなさつたと思う。これは速記録を全部調べなければわからないと思うが、私はたしかそういう意味のことを聞いていると思う。だから字句を逆におつしやることはどうかと思うのですが、そして事実そういう場合があると思うのです。その他電力会社はそれを全部金を出して売つてくれとおつしやるならば、或る面で売つてこの面で売らぬということはなさらないと思う。やはりそれを譲渡なさると思う。ところが譲渡を受けるだけの資金がないために、卸売を願つたり貸付を願つたりしなければならぬ状態が起つて来る。やはり一番大きい点は譲渡にあると思うのです。あなたの話の筋道から、あのときの言葉、いろいろな点からやはりウエイトは譲渡が一番大きいかと思うのです。譲渡をすることのできない場合には貸付もするし卸売もするというふうに私は聞いていたと思うのですが、今あなたはそれを帳消しになさつて、やはり三十五年度から清算から入るのじやないのだというなら、やはりそういうふうにこの会社はすべてのものを譲渡してしまわない性格なんで、譲渡する場合もあるが、やはり卸売をしたり貸付はしたりして、いろいろそういう複雑な形をとつてずつと長く続いて行く会社だというふうな性格をはつきりお認めになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/12
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013・福田一
○衆議院議員(福田一君) あなたの御意見の通りでありましてその意味は……。そこで私が説明をしておつたときどうしてそういう説明になつているかといいますと、あの条文には御存じのように譲渡と貸付と卸売というのが並列して書いてございます。並列してあるというのは、どつちを順にするかという立法上の、例えば卸売を先にして譲渡は次にして貸付を次に置く、いろいろな書き方はありましよう、譲渡、貸付、卸売と条文に書いてありますし、それから実はしばしば御説明いたしているのですが、公営といいますか、国家事業であつてダムを作つている。そこで蒿上げをして発電所を作るというようなものは割合に小さいのです。二万キロとか三万キロ、こういうものは当然譲渡したほうが運用上もいい場合がある。そこで譲渡というものを全然取つてしまうということはどうかということは、我々が一応善悪は別ですが、九分割ということを前提となしてものを考えますと、そういうものはやつてもいいわけなんで、そこで大きいものになりますと、事は簡単にこれは行かない。而もそれは資金の関係で二十五年も三十五年も売渡さなければとても買えないような場合もある。そういう資金の大きいものは譲渡条件とか或いは条件がいろいろ付きますから、その条件の付き方でなかなかそう簡単に行かない場合があるのだということを抜書き的に私が説明しているだけで、法文にもちやんとそういうふうに書いてあるのだから、そこを一番先に質問されるからそういうお答えをしておつたのですが、まあ譲渡貸付卸売ということはやるわけですから、卸売をする場合或いは貸付を又する場合というようなことを考えてみると、これは三十五年で切れる会社とは言えないのです。その意味で今須藤さんがおつしやつた通りだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/13
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014・須藤五郎
○須藤五郎君 これは私だけの不審でとどまれば結構だと思うのですが、これまであなたの説明を、提案者の説明をずつと聞いている人間の中には、恐らく私と同じような疑問を持つた者がたくさんいたのじやないかと思いますが、現在そういうふうに訂正なさつたことをやはりこれまで審議していらつしやつたかたに伝えることも必要じやないかと思うのです。非常に変化したと思います。これまではやはり譲渡という点に重点が置かれて説明されていたように思いますので、この点少し食い違いがあつたように思うのです。
それから地点の点をもう一遍周東さんに伺つておきたいと思うのですが、これまで福田さんの説明しておられるのを私も聞いておりますと、電力会社が今年のような地点、それは財政的にも技術的にも言えると思うのですが、そういう地点を先ずこの会社は第一義的に開発するのだというふうな答弁があつたように思つていたのですが、今度緑風会における説明はそうでなしに、有利な地点、算盤に合う地点を先ず第一義的にやるのだという説明があつたように思うのですが、それは両方とも嘘で、先ほど周東さんが説明なさつたのが本当でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/14
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015・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) それはそこに緑風会の小林さんがおられますからはつきり言いますが、あなたのほうの聞き違いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/15
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016・須藤五郎
○須藤五郎君 私の聞き違いじやないです。それならば私に言つた者の言い違いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/16
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017・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/17
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018・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/18
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019・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこの会社の性格をはつきりしなければならないと思つて今までお尋ねしたわけなんです。それから次の質問に移りたいと思いますが、今この委員会に同時にかかつている国土総合開発法案と電源開発、この特殊の会社の法案等も非常に関係深い問題だと思うのです。政府はこの両法案のどちらを重要な法案だというふうに考えていらつしやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/19
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020・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) これはどちらも重要だと思つております。というのは、どういう御質問の伏線かわかりませんから、お聞きをしてから返事をいたします。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/20
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021・須藤五郎
○須藤五郎君 伏線ではない。私はどちらも重要だということは事実だと思います。私の考えではむしろ国土総合開発のほうを先ず第一に本腰を入れて考えて頂かないと、この電源開発問題もむずかしいと思つていたのです。ところが政府は国土総合開発に対しては非常に冷淡だと思うのです。それはなぜかと申しますと、これまで日本の土地調査をするためには二百億くらいの金が要るということは説明されていたと思う。ところが昨年度一億予算を立てられた、本年度ならばもつとそれをたくさん予算を増してかからなかつたらできないことにかかわらず、逆に八千万円に減らしているという点、こういうような点で国土総合開発に対する政府の熱意が非常に足りないのじやないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/21
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022・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) これ又須藤さんと議論になるかも知れないが、私はそう思わない。国土総合開発はこの日本の土地の利用というような面から言つて大切なことであることは言うまでもないけです。これはやはり或る程度の計画が進まんと、なかなかむずかしいのです。その計画が進めば予算的措置を講じつつ財政の許す限り早くやりたいという趣旨であの法案ができている。ところが実際十九の特定地域の指定は一応概括的調査に基いてこの地区がよかろうということでやつておりますがあれを具体化するためにはもう一遍具体的な検討をしなければならんことになつております。これも財政的の問題がありますからこれを決してゆるがせにしているわけじやなく、一番熱意を入れているのです。ところが国土総会開発のこととの結付きでありますが、あの内容、これは須藤さんのことだからよく御存じだろうと思いますが、今の調査では地籍調査が大事なんです。私はランド・クラシフイケーシヨン、土地利用、ランド・ユーティリゼーシヨンというのが国土の総合利用については必要だと思うのですけれども、このユーテリゼーシヨンのためにする土地地質調査まで入るということはこれは非常にむずかしいのです。これは今なかなか言うてすぐにできるものじやない、先ず地籍調査ということになつて来る。そこで昨年来、原野、田畑、土地、工場地帯にどういう面積があるかということを先ず調査しようということになつて来て、その上に今後は質的な地質調査に入るのです。この両方を加味しなければならんのですが、これを待つておつたのでは国土総合はなお更遅れる。だからむしろ箇所心々に国土総合開発を立てて具体的にそれに予算を持つて行くのが貧乏国には最善の策だと思う。それですら非常に時間がかかると思つているので私は決して放つておくわけじやない。それから今直ちに国土調査というものを、国土総合開発というものに実質的に結ばなければならんけれども、今考えていることはそういう点を進んでしようと思つてもこれは予算上成るほど一億が八千万円に減らされた。このままではなかなか今の土地の種類別調査というもの、並びに地質的の調査というものまでには手が届きません。むしろ地域的な国土総合開発計画を具体的に立ててそれに予算を盛るということかネツキスト・ベターズ、こういうようなところで今手を入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/22
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023・須藤五郎
○須藤五郎君 これはまあいろいろ政治的な意見の分れる点だと思うのですが、若しも我々が政権を担当するような時期が来たならば、私たちは先ず何よりも国土総合開発に金力を注ぐと思います。そして私はこの前九州のほうへお伴して国土総合開発の問題で阿蘇盆地など見届けて参りましたが、本当に日本の政府が国土総合開発に本腰を入れてやるならばたくさんやることがある。そしてその結果は我々の国土というものがもつともつと豊かな国土になつて、四つの島になつてもなお我々が豊かな生活ができる方法は立て得ないものじやないということを私一箇所だけでも見て参つたわけであります。ところがそれに対して何ら熱意を入れていない、非常に杜撰なやり方で、もう予算だつて減らされてしまう。だから私たちが宮崎県から鹿児島県に廻つてもそこの第一県知事たちがこの政府のやつている国土総合開発に対して馬鹿にしているわけです。問題にしていない、何だ、あんなものは看板だけで熱意がない、中央政府に何ができるかという態度を私たちに露骨に見せるような状態です。私はそれが非常に残念だと思います。ところがその国土総合開発の結果生れて来るべき電源開発の問題がここに大きくクローズ・アツプされてもそのほうは知らん顔して、電源開発だけ大きく取扱われて来たという点に私たちは納得しかねる点があるのです。そうすると政府は産業のためにどうしても必要だということで電源開発を急がなければならんというふうに行かれると思うのですが、ここで私は一つ問題を提示したいと思うのですが、電源開発の促進の理由として我が産業の振興並びに発展に寄与することを目的とする、こういつも政府は言つていらつしやいますが、その産業というものはどんな産業かということが問題になつて来ると思うのです。その点一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/23
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024・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) その前に先ず申上げたいのですが、須藤さんが阿蘇盆地をお見になつたということで大いに敬意を表しますが、私ども決して国土総合開発を捨てているわけじやないのです。一体地域的に見ても、或いは地方的に見ても国土総合開発というものをしつかり立ててそれに対する予算を盛るという段階にあるわけであります。あの問題を去年以来我が党が取上げてやつて来たことは多としてもらいたいと思うのです。それが金の問題で同時に計画自体が立つていないのです。だからそれは十九地域の、一応概括的な計画を今度は実施計画に移すのです。そういう段階に進んで来なくちやならんので、まあよほどこれは骨が折れます。殊に総合開発計画は今度は各府県別々に言つて来ているこれに対しては思い切つて予算を持ち込んで行きたいと思います。併しながら国土総合開発計画に関する法律はまだ現実的には少しも効果を現わしておらないのでありまして、これから総合開発が具体的にできればそれに対して予算を盛る。今御指摘の土地調査に関することなどもばらばらにやつておるから直ちに国土総合開発に不熱心だということにはならないということを私申上げておるのです。土地調査ということはこれは農業政策を立てるのに必要なことでありまして、今の土地調査というものは完全なものでなく、明治八年にやつて以後本当の土地調査をやつておらない。そういうわけで先ず地籍調査の必要があるというので取上げて進んでおるのです。本当に総合開発を実際においてやるのには、さつきも申したように質的な調査をやらなければならん、併しそこまで手が延びない。そうかといつてそれを待つておつて総合開発計画をやるというと遅れてしまう。日本は貧乏な国ですからこれらを並行してやらなければならん。只今の御質問の総合開発計画が遅れて、電源開発だけ先にやるというのはおかしいというお話は私も御尤もと思います。併しそうかといつて完全な計画を立ててそれから電気を起すということでは遅い。そこで今度の電源開発法も国土総合計画と睨合せて土地の選定についてはよく注意してやらなければならん。あくまでも国土総合開発計画が主であります。併し今の状態としては国土総合計画の進む前に電源開発を急がなければならんわけであります。勿論十九の指定された地域も総合開発の一環として電源開発をやるわけであります。そのため場所によつては今後電源開発が先に進むという面も起りましよう。そしてその場合は国土総合開発計画と連絡を図ると同時に審議会において十分調整を図るということになろうと思います。この点、御了解願いたい。
それからよく出る問題ですが、係りのほうから説明さしてもいいですが、電源開発を促進する必要性というもの、については何としても日本の産業の復興を考えておる、産業の復興は今の人口が増加し、且つ四つの島に押込められた現在としては、これは国土総合開発によつて未利用資源を開発することは勿論必要であるが、それにしても今日まで地下資源その他のものが、非常に不足であつて、国民生活に必要なものの大半を占めるものについては殆んど外国からの輸入を待たなければならない。日本の工業は今日において幸いに未稼動の設備というものがあるが、これに足らんのは動力と原材料だ、原材料は入れるにしても動力がなければこれは動かないということになる。でそういう考え方から如何なる程度に産業復興をさせ、如何なる程度に動力を必要とするかということが提案者が今まで説明していた点でありまして、大体今の未稼動の工場設備、これについてはいいのも悪いのでありましよう。悪いものについては合理化のために施設しなければならん点があるにしても、変えなければならんにしてもこの設備というむのに動力を与えるならば、大体において生産おいて平均して一九〇%程度まで伸び得るという前提の下にこういうことになつておりますから、それを動かすために先ず動力を必要とすると、これは今後の計画の内容です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/24
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025・須藤五郎
○須藤五郎君 周東さんは総合開発をやるにしてもいろいろな計画が必要だというふうに言つていらしやいますが、私はむしろその本当の実施計画、そういうものを今日まで怠つておるということを迫撃したいわけなんです。それをなぜ早くやらないかというと、私が阿蘇地区を見ただけでも、そこの開発を若し計画的にやればそこだけでもそれだけ増産ができる、電気だつて起すことができる。それができるのにその計画を怠つて、そうしてその言いわけに金がないということをすぐ出して来られる。それじや日本に本当に金がないかというと、これは共産党のお家芸だというふうに、又かというように周東さんはおつしやるかも知れませんが、金はある、警察予備隊なり、再軍備費用なり、ああいう無駄な費用はたくさんある。特審局に月七百万円の調査費とか、スパイの買収費に五百万円とかの金を払つておる、使わんでもいい金を使つておる。あんな金だつて一年経てば七億円になる、来年は七億円からの金を特審局が使うということをやつておる。あんな無駄な金がたくさんあるのにそれを我々が幸福な生活ができるような方面に使わないで、戦争準備、弾圧のためにだけ使つておる、こういうふうに私たちは考える。周東さんはそれは共産党のお家芸だというよう簡単に片付けられるかも知れないが、これは非常な問題だと思う。だから私はむしろそういう馬鹿な方面に金を使わないで国土総合開発に本腰を入れて我々がこの四つの島で幸福に暮すにはどうしたらいいかという点をもつと真劔に考えてもらいたい。そう考えてないのが政府の怠慢ではないか、政府の性格が問題になつて来るわけなんです。併しこれは恐らく政治論で意見の分れる点ですからこれ以上私は申上げても仕方ないと思いますからやめますが、それじや産業の発展に寄与するというようにお答えになりますが、実際その産業は本当に日本人の生活に役立つ産業であるのか、又世界の平和に寄与する産業であるかという点に非常に問題があると思うのです。而も今度のそれを露骨に現わしておる点は今度先ず第一に取りかかろうとしておるところの、現在やられておるところの発電計画を見ますと、それは全部軍需産業に紐付になつておるという点なんです。実例を二、三挙げてみましてもいいのですが、利根川水系の箱島発電所、これは二十三万ボルト送電線で、これは千葉県の川崎製鉄所に電気を送るためにどんどんここを急いでやつておる、それから多摩基地内の諸施設に送るために小河内のダムが今急がれておる、それから中日本重工業、名古屋工場に送るために天龍川水系の高丘ダムが今急がれておる。いろいろありますが、そういう方面にとにかく電力は今やかましく言つて急いで起さなければならん、起さなければならんと言つていながらその作る電気はどこへ持つて行くかというと中小企業の平和産業又我々の家庭に送る電気にならないですべてが軍需産業に持つて行かれる、軍需産業を起すために電気が急がれておるというふうに解釈されると思うのです。この点あなたたちはどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/25
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026・福田一
○衆議院議員(福田一君) 或いは周東長官からお答えするほうがいいかも知れませんが、一応提案者として御説明申上げます。これは実を言うと政治の根本的な問題に関連して来ることで、畢竟して行けば私は見解の相違ということで須藤さんとお分れするより仕方ないのじやないかと、こう考えますが、併し一応私の考えを申し上げます。
今何と言つても世界は米ソの両国が対立している、米国のほうでも随分軍備を拡充しておることは事実であります。ソヴエトのほうもやはり軍備の拡充をされておるので随分電気などをお作りになりますが、併しまあ我々の見るところでは、少くとも朝鮮の戦線あたりでもあんな立派な飛行機がどんどん出て来るということは軍備を大いに拡充されたから出て来たことだと思う。両方とも軍備を拡充されておるわけです。そこでそういうような意味から言つて電源開発というものをやらなければならない、私たちは未稼動工場を動すと、こう言つておるわけです。未稼動工場を動かすということになりますれば、その中には軍需の関係の分もかなりあるだろうと思います。併し現に去年だけですが、関東地方だけでも電燈が十七万もつきました。戸数にいたしまして十七万も増加いたしております。まだまだこの要求が多いのでありまして、民間のいわゆる電力というものを今までは三燈くらいしかついていないのを五燈にする、五燈になつていたのを今度は又コードを引いて何といいますか電気コンロを使うというような意味でどんどん殖えておるということも実際問題としてお認めにならなければならん問題だと思います。そういう状況でありまして、私たちとしてはこういう二つの相対立した世界の間に生きておるのでありますけれども、とにかくものを生産して、そしてこれを売つて外貨を獲得して、それによつて食糧、或いはその他の物資を輸入するというようなことにしなければ日本の国民生活は向上して行かないと思います。そういう観点からしますというと、中には今申されましたように軍需工場を動かして行く、軍需の面に随分あれをしておる面はあると思います。それは数字を示せばわかるわけで、それは確かであります。であるけれども、私たちの考えはそれは戦争を誘発するとか、或いはアメリカを助けるとかいうことよりは、今の日本の立場は背に腹は代えられない、とにかくこれだけ貧乏になつたけれども何とかして一つ国民生活を、食わせる、ところまで持つて行くためには工場も動かして行かなければならんじやないか。そして物の註文も取つて物を作つて行かなければならんと、こういう観点に立つているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/26
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027・須藤五郎
○須藤五郎君 本当ですか。まあそれはあとで駁撃しましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/27
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028・福田一
○衆議院議員(福田一君) そういうわけで、例えば電気が今年三百二十億キロワツトアワー出ておりますが、そのうちで工業用に使われておるものが百七十キロ、民需用が大体百五十キロ前後じやないかと思います。内訳から言いますと工業のほうが多く、民需のほうが四割から四割五分というような比率になつております。その工業用と言つても純然たる平和産業と言われないものがかなりそのうちで占めておるのは事実であります。それが今度は実はこれを四百八十キロワツトにいたしました場合の比率を取つてみましても民需も相当やります。工業もやります。従つてその工業用の中には軍需産業に廻るものもあると思います。軍需産業に廻つたから、それはもう日本がアメリカに味方をして、そうして戦争を誘発するためにやるのだ、こういう気持で私たちは断じてやつておらない。これは私は自分個人としては全くそういう意思もないし、私は戦争は大嫌いですから、そういう意味でこれはいたし方がない、追い込まされた立場にある。若し日本がもう少し力を持つて来て、そうして発言権を持つようになつたならば、今度は絶対に戦争はいかんということを我々は世界に向つて発言できるようになりたい。それが私の本当の希望です。ただ今御承知のように敗戦後で人まかせで食つているような時代ですから、どうも言つてみたつて蚊の泣くほどにしかこたえはない。実は甚だ残念ですけれども、こんなつらい立場に置かれて遺憾千万だと思うが、これは運命だと言つてはいけないかも知れませんが、運命だから仕方がない、こういうふうに考えているわけです。そこで私は光へ戻りまして、その点では私は或いは見解の相違ということになりはしないか、こう思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/28
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029・須藤五郎
○須藤五郎君 今福田さんは非常にいいことをおつしやつたと思うのですが、戦争は嫌いだ、声を大にして世界の平和を叫びたい気持を持つている。そういう気持だけでなしに、それを現在大いに叫ばなければならないときですから、大いに声を大にして叫んでもらいたい。そうすれば共産党と自由党とが手を握ることができると思う。この点で何も政党を云々する必要もな、い。平和を叫ぶのなら只今から大いに声を大にして合唱したいと思います。それからもう一つ、アメリカのためにやつておるのではないというふうにおつしやいますけれども、事実今日日本の軍需産業が誰の利益のために提供されておるかということですよ。それは日本の生活を守るためにというふうに逃げられるかもわかりませんですが、併し結果として、アメリカの戦力増強、のためにともかくやつているということは明らかです。そのために条約が作られたのじやないのですか。平和条約なり、安保条約なり、今度の行政協定、すべてアメリカの戦力を増強するためにあの条約が計画されて作られたということはこれは日本人皆み知つております。そういうことを抜きにしてこの日本の産業を決してアメリカのためにやつているのじやない、日本人の生活のためにやつているとおつしやつても、それは口先の言葉では通るかもわからんが、それはどうも通らないように思う。若しも日本人のためにすべての産業を発展をさす必要があるからやつているのだと言うならば、何故岡崎外用が中日貿易はやらん、今後もつと築上の面を大きくするのだというような、ああいう馬鹿げた日本人の利益に反するような言明を何放しなければならんか、そこに問題があると思う。それは日本の電力を開発してどんどん送つてたくさん物を作るがいい、機械を作るがいい、トラツクを作るがいい。併しそれをアメリカの戦力にのみ使うではなしに、中国の農業の発展のために、開発のためにそのトラツクがどんどん中国へ送られるというならば、これは素晴らしいことだと思う。そのために日本の電気が使われるという方針ならば、私たちもこの電源開発に対して双手を挙げて賛成したい。本当です。ところがそうじやない点に問題がある。中国貿易は禁止する、日ソ貿易は禁止する、そうしてアメリカ軍需産業のみに奉仕しようというようなことが、この電源開発が急がれている点じやないかと思う。若しもその戦争の危機がなくなつて、朝鮮戦線が休戦になつて、今後それが発展して行く心配がない、そしてアメリカが軍需産業を、日本に特需関係というものを注文しなくなつたら、日本の電源開発は急がれないはずですよ。そのときこそ電源開発をやらなければならないときだと私たちは思うのです。ところが恐らく今日の政府はそのときになつたら、電源開発はよそに飛んでしまつてやる必要はないと言い出すと思う。そこに非常に見解の相違が生まれて来ると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/29
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030・福田一
○衆議院議員(福田一君) 今須藤さんの仰せだと中共貿易をお引合いになつておるお話ですが、これはいろいろ……。周東さんからお答えしたほうがいいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/30
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031・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 要するに今電源開発をやつても、それは軍需を助け、今の日米関係から見てその側につく軍需を助けることになるだけじやないか、民生のほうには殆んど廻わらんじやないかということを実例を引かれて言われて、そういう政策の根本が変らない限り、その変らないことは中共貿易に対する外務大臣等の発言によつてもわかつておるような状態だから、出直さなければ駄目じやないか。本当に電源開発が民生のために必要なような段階になつたときは電源開発は忘れられる、こういう意味のお話ですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/31
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032・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) それはちよつと須藤さんがお立場上止むを得んにしても、(笑声)少し片寄り過ぎていると思います。これは同じ質問を同じ調子で、衆議院で共産党が言われた。これは共通の質問だと思うけれども、やはりそういう軍需に片寄つてするのだというふうにお見にならんでもいいじやないか。一体私は直接と間接と二つ、民需に対して、国民の生活のために電源が開発されると思う。一つは先ほど申上げましたように、何としても戦争以後都市が破壊されて電燈がなかなか引きにくかつた、こういう電燈等の点から言えば、電燈というものがどくどん殖えておる点もありましようし、それから又輸出関係によつて日本は国民生活の必需物資を質つておる、が、売つて手取りを得た金で買うという貧乏国なんだから、その意味においては或るものは場合には軍需品の一部になるのもありましよう。併し売つた金で何が買われるかといえば、民需品の綿とか食糧が買われるということを見て行かなければならん。いわんや鉄鋼業というものに対して今二、三お示しがありましたけれども、そのできた鉄が皆んな武器になるわけではなしに、その鉄というものがやつぱり殖えれば、これは外にも出るが、一部国内に対する機械器具というものにこれが変つて行くわけです。こういうことを私は間接に御覧にならないと、知らん人が聞いたら皆んな電力の開発が武器を造る工場に行くというふうに、なかなか須藤さんなんか宣伝が上手だから迷わされるけれども、ぼくはやつばり直接と間接という面から国の状態というものは、輸出によつて物を受取るということをやつているのだ。その輸出によつて開発に必要な農業器具、機械を造る。東南アジア地区においては農業機械とか車輌とかというものを欲している。でありますから軍需でも何でもない。それを送ることによつて日本の必要な物を買う、こういうことなんです。それを造るには電力が要る。何も電力の増加そのもの即軍需工場だけに使われるだけでもなく、又戦争を誘発するためにというお言葉でありましたが、その点は少し言い過ぎじやないかと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/32
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033・須藤五郎
○須藤五郎君 それは機械が全部武器になる、鉄が全部武器になつてしまうというふうに私は極論はしないけれど、その大部分が武器になるという点を指摘しているわけです。そうしてその大部分武器になるものに殆んど電力の五〇%が使われてしまつているというような点を私は問題にしたいと思うので、若しもそういうことをやめるならば、今日の電力だつて十分ちやんと民需に廻り得るのだ。それが今日電力の開発会社が急がれているということは、結局日米行政協定から出て来たその線に沿わんとする熱意の余り私に言わすと、総合開発を先ず先にして電源開発をそのときに考えてやるべきものを、総合開発を抜きにして電源開発をあわてて出して来られた。そこに原因があるというふうに私は理解するわけです。それですからそれは間違いじやないか。日本の幸福なる道はこういう方向にあるではないか、平和に生きる道はあるではないか。それを何を好んでそういう危険の道を歩もうとして電源開発を急ぐのだという点を私は申上げているわけです。そういう例はたくさん数字を挙げて行けば、これからぼつぼつやつて参りますが説明できる。何も私たちのお家芸でも何でもないと思うのです。つ
それからもう一つ促進法案につきましてちよつとお尋ねしたいのは、私たちはこの開発のために被害を受ける、ダムのために湖底に沈まなければならぬ人たちに対する賠償という面が余り大きく考えられてない点があるのじやないかと思いますので、このダムのために水温の低下等から農作物の被害も相当ありますし、この間私が九州に参りましたときに、大淀ダムが砂で埋つたために、都城の農民は非常に困つた、水が溢れるために損害賠償を要求したつてそれが少しもなされない。莚旗を立てて行つてやろうかなどと激しい言葉で農民が私たちに訴えていたのですが、今度の開発法案ですねそういう点が大きく考慮されているのか、又どういう形で考慮されておるのかを私は伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/33
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034・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 今の御答弁の前に、時間の関係がございますので、委員外議員の小林君に御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/34
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035・小林政夫
○委員外議員(小林政夫君) 簡単に伺いますが、法案の二十五条で、法人に対する財政援助の制限に関する法律にもかかわらず、電源特殊会社に対しては、外貨の借入れに対して政府は保証できるという規定がありますが、その法人に対する財政援助の制限に関する法律という、第三条だつたと思うのですが、その但書で大蔵大臣が指定する会社に対しては政府並びに地方公共団体は保証ができるということになつておる。特にこの二十五条を設けてはつきり法律でそういうことを規定を置かれて、若し必要つがあれば大蔵大臣が指定すればできるわけですが、この条文を設けられた趣旨ということはどういうことになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/35
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036・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 詳しく係りから説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/36
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037・橋本徳雄
○説明員(橋本徳雄君) 代つてお答え申上げます。只今の第三条の但書の規定でございますけれども、これはこの法律は司令部のメモに基きまして出た法律でございまして、そのメモの中にははつきりと但書のような場合におきましては銀行等に限るというふうに限定されております。こちらの国内法的にはそれをはつきりと表現しておりませんが、解釈上銀行に限るという、こういう解釈になつておりますから殊更ここに排除の規定を掲げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/37
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038・小林政夫
○委員外議員(小林政夫君) そうすると、やはり現在でも他の会社に対して、他の法人について、あの法律の但書を使おうと思えばやはり今後のあの法律の運用の問題ですね、今のメモの制約、気兼ねがいるわけですが。この法律をお作りなるときに司令部がおつたから特に設けなければならないが、もう司令部がいなくなつたからメモは無効だと思うが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/38
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039・橋本徳雄
○説明員(橋本徳雄君) 無効でございますけれども、従来からそういう取扱いをしておりますので、何か別個のものを設けなくちやほかのほうでも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/39
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040・小林政夫
○委員外議員(小林政夫君) 大臣よく聞いておいて下さい、ほかのほうでも出ますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/40
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041・奥むめお
○奥むめお君 ちよつと今のに関連してお伺いいたしますが、そうすると、あちらから出たあの法案、あれは国内の円貨だけの問題と見ていいのですか、外貨にも及ぶのですか、今度の場合は外貨と書いてあるでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/41
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042・橋本徳雄
○説明員(橋本徳雄君) これはすべて外貨とか何とかいう表示はなく、すべて一切政府が特別な契約を結ぶことができないというふうな形になつておりますので、この解釈は円であろうと、外貨であろうとすべてというふうに解釈すべきだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/42
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043・奥むめお
○奥むめお君 今度は外貨ということに限つて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/43
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044・橋本徳雄
○説明員(橋本徳雄君) 今度は外貨と、国内と両方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/44
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045・奥むめお
○奥むめお君 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/45
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046・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは先ほどの須藤君の御質問に対して、提案者の福田君からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/46
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047・福田一
○衆議院議員(福田一君) 只今補償の問題について御質問がざいました。大変結構な御意見だと思つております。実はこれについては他の委員からもしばしば御質問がございまた。そのたびにお答えはいたしておるのでありますが、一応私たちが出しました試案のうちには、従来の補償の一応の目途というものが、一応パーセンテージがあるのでありますが、それを大分引上げて十分補償ができるようには試案も組んでおります。という意味は、補償を十分やらなければいけないという考え方でございます。併しこれに対して補償について明らかにしておいたほうがいいのじやないか、そういう面も明らかにしておいたほうがいいのじやないかという修正意見をお持ちになつておるかたもおありのようでございまして、それに対しては提案者としては御賛成申上げるつもりでおるのでありまして、あなたの御意見のようにいたして行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/47
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048・須藤五郎
○須藤五郎君 それではもう数点御質問申上げたいと思いますが、先ほど私は日本の軍需産業を切換えれば、やめれば勿論特称関係を平和産業に切換えて行くならば、日本の電気はそれほど足りないということは言えないのじやないかと思う点を申上げたのですが、なお今日経済恐慌が起つて参りましたこの状態から判断しまして、これまで電力不足はこうこうでこれだけの不足があるからこういうふうにしなくちやならんという御意見であつたと思いますが、それが非常にぐらついて来ておるのじやないかと思います。その点いろいろ例を出して申したい思うのですが、第一輸出の、特需の停滞という問題が先ず第一であると思いますが、今年の五月二十六日の日経によつた資料ですが、最初今年は十五億ドルの輸出で二十億ドルの輸入というふうに予定されていたと思うのです。ところが今年の五月二十六日の日経によりますと、もうすでに輸出のほうでは輸出の十五億ドルが十三億ドルくらいに減つておる。輸入の二十億ドルが十八億ドルくらいに減つて来ておるような状態だと思うのです。こういう面でも恐慌が進んで来るのじやないかという点、それからなお詳しいことは抜きにしまして簡単に申しますが、国内市場の窮乏化ということ、即ち我々国民の大衆の生活がだんだん苦しくなるから、作つた物が消化し切れないのじやないか、そういう感じがするわけなんです。今日工業生産の指数が戦前の四〇%を上廻つておるような状態でありながら、生活のほうはそうではないという点が一つの問題点だと思うのです。それから軍需産業は、これまで日本の産業というものは大体戦前から軍需産業が重点であつたと思います。そのために大きくなつたと思うのですが今度戦争に敗けてから後もこれの方針が少しも変つてない、やはり軍需産業重点で来ておると思うのですが、この軍需産業自体が朝鮮の休戦会談の問題やいろいろなことでやはり恐慌を来たして来ておるのではないか。むしろ電力の不足というよりもこの恐慌状態から却つて過剰に向つて行く傾向が起つておるのではないか、そういうふうな感じがするのですが、その点はどういうふうにお考えになつていうつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/48
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049・福田一
○衆議院議員(福田一君) 只今輸出入関係の数字をお挙げになりまして御説明というか御質問があつたわけでありますが、私たちは年初来一応の計画を立てて今年度においての輸出入関係のバランスを一応査定いたしております。又四、五月の状況その他によつて若干のこれに開きが現在あることは、一応そういう見込が立ち得ることも事実だと思います。併し見込の問題でお話を申上げておるということになるのでありますが、併し全体としてこれはあなたの仰せられるところによれば総額においてまあ五分程度の見込違いが出て来ておる。総額三十五億が三十一億ですかになるということでありますから丁度一割ですね、一割くらいの見込違いが出ておるのじやないかというような御質問だと思います。併しこの全体的に私たちは考えて見て、これはもうどうしても電気というものの比率から見て行きまして一応我々はまあ三十一年度には少くとも四百八十万キロワツトくらい使うようにならなければいけない、しなければいけない。できればあなたのおつしやるような特需なんというものを抜きにしても、そこまで使うようになりませんというと国民の生活の安定は望み得ないのではないか、こう考えておる。まあ須藤さんのお話でいつも私伺いたいと思つておることはこれは政治機構を変えてしまうということは別であります。そういうふうになればこれは又別途の議論になりますが、今の一応どの政治機構の下において、例えば軍需産業なら軍需産業を全部やめてしまう、平和産業だけやつて行けばどの程度に国民生活を安定できるかという具体的な数字が示されないで、いつも御質問を受けておるところに我々は非常に苦しいところがあるわけであります。そこの点も一つあなたのほうの党としては、一つ十分御研究になつて御発表になると皆さんもよくわかつてもらえると思うのですが、これは逆に申上げたようなことになるかも知れませんが、併し私は大体の傾向としてそういうふうな目標を立てる、政治というものはやはり理想がなくちやいけないと思う、一応目的というものがなくちやいけない。その目的を立てて行かなければいけない。なお特に電気のような問題は一年や半年で作れるものでありません。三年とか四年とかというように長年月を要して作るものでありますから、一応の想定を以てそれにマツチするような計画を推進して行くということが必要だと思うのです。こういう意味で私たちは日本の経済が世界経済の影響を受けないなどということを申上げておるのではありません。それは影響が現にあるんだし将来もあり得ると思う。併し同時に今度は世界の経済が回復したというような場合、或いは何かの特殊事情が起きた場合にはまだまだこれが殖えるかもわからない。そういうことを考えた場合に、一応の想定に基いて計画を進めて行くということは必要なんじやないか、こういうわけで電源の開発は進めて行かなければならない、こう思つております。それからあなたは平和産業に全部切替えたらいいという御議論の中で鉱工業生産は四〇%に上廻つておる、併し生活のほうは非常に苦しい、こういうことから見ても過剰生産に陥つておるんじやないかというような御議論でありますが、これは鉱工業生産の四〇%を上廻つたということは非常に結構なことであります。併し一方日本が非常に貧乏になつておりまして、そうしてどうしてもこの或る程度の輸出をして食糧を輸入しなければならないということから言いますと、国民の生活が水準をそこまで高めることをしないで飢餓輸出と言いますか、若干その輸出のほうを余計やらなければいかんということも事実であります。そうしなければ食糧が入りませんから、その他必要なものが買えませんから、それでそういうことになるわけであります。僕はそういう問題について今度の中共との貿易の問題でまあ三人のおかたが行つて何か協定をなさつている御趣旨は私非常に結構だと思つておりますが、その趣旨は併しあれでも、私非常に心配なことは支払はどうしてもらうのかさつぱりわからないでおるのです、業者も非常に困つておるようでありまして、こういう品物さえ送ればいい、支払つてもらうのはどうなるかわからんということでもこれは困るので、まあやはり日本としては輸出した以上はそれに代るべきものを何かもらわなければ困るのですね。そういう意味から言つても、この生活必需物資を買うと、これは話がちよつと脇道に外れたのですが、生活必需物資を買うためにそういう状態が起きておるので、まだ私は物が余り多過ぎるのだというふうには考えておりません。ただ織物関係などを見ますと若干そういう面があるのでありますけれども、余りまあ特殊事情がありますし、それから日本の織物業界などというものは、或る意味でこれだけ世界の生産が殖え、世界の買うほうの国が生産をするようになつて来れば、これは一種の合理化といいますか、別のやり方をせにやいかんじやないか、例えば国内用にそれを向けるとか、そういうような機械その他の転換もして行くというようなことも考えて行かにやならんじやないかと、これは細かいことになると議論をせなければなりませんが、それはまあそういうように理解をしておる。
それからもう一つ軍需産業はそのうちに駄目になるのじやないか、今こういうような御質問であります。私は軍需産業はこれはなかなか駄目にならないだろうと思つておるのでありまして、軍需産業という言葉の中にもいろいろあるわけであります。で今軍需産業という言葉で言いますと、火薬だとか、大砲を作るとか、飛行機を作るとかいうものが中心になるわけであります。併しそれじや機械を作るとか電源開発のための何か品物を作る、或いは船を造るというようなことは、これはまあ軍需産業と見ていいかどうかかなり問題だと思うのでありまして、今の株式の状況を御覧下すつてもわかりますように、いわゆる軍需産業の中の一部は確かにそれはまあ入つておりますけれども、主として今盛んに値が上つておるのは電源開発関係とか或いは造船関係というものが主なのですね、これはまあ須藤さんも数字の上でおわかりのことだと思いますが、この傾向は今後三年や四年はなかなか衰えて行くものじやないのじやないか、そういうような意味で、私は全体として軍需産業という範疇の中に入れられておるものの中でもかなりのものがやはりまだまだ拡張されて行かなければならない時代にあるのじやないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/49
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050・須藤五郎
○須藤五郎君 まあ軍需産業に入つているものでも拡張して行かなければならんという気持ちと、先ほど平和を叫びたいというお気持ちとは大分食い違いがあるというふうに思うのですが、まあそういう状態から私たちは早く脱却したいと常々考えております。
それから電気は今即刻できるものではなく数年後にできて来るものだから、今から計画して起さなくちやならんということも私は純粋に考えた場合には全くその通りで結構な話だと思うのです。それだから電気を起すということに対しては決して反対していないのです。或るものはどんどん起さなければならない、或るものは自由党に電気を起してもらつておいて共産党があとで皆もらつてもいいじやないかという人もある。それはその通りでそれは結構だと思うのですが、今日まだやらなくちやならんことがたくさんあるのに、そういう面に私たちから言うと、不必要な面に使うために電気が足りなくなる。その電気を起すために私はもつとしなくもやならん面を放棄してそうしてそちらへ金を使うということは無駄なことだ、なすべきことじやないというふうに考えておるわけなんです。中共貿易ということを申上げたが、中共貿易は資本主義的な頭で考えるというと割切れない変な不安のような感じもするのでしようけれども、私たち考えると実に安全な、これほど安全な貿易はないように思うのです。ですから向うから船で或る分量のものをこちらへ持つて来る、それと同額の金額にして同額のものをその船に乗せて返してやつてもいいのですし、日本から先に持つて行かなくても向うから、中共から日本に物を先ず第一にもらつてそれと同じ物をこちらからやる条件をつけさえすればそれでいいので、これはもう実にやる気があればあなたの御心配になるようなことがなくて実にスムースに行く。現に業者は中共から石炭を買うと、よその国から買つた場合には何%か船に積むときに滅つている。ところが中国から買つた石炭は行つた分量よりも少し余計にある、船で減る分まで見越してちやんとくれる、中国ほど道義的な商売の国はないと言つて喜んでいるくらいですから、あなたのおつしやるような心配はないと思うのです。ですからそういうことは少しもないという点は今ちよつと話がありましたから序でに申上げておきたいと思います。
〔委員長退席、理事郡祐一君委員長席に着く〕
私は先ほど恐慌の問題を言つたのですが、今年は五月二十六日の日経の調査で行きますと、二千万ドルほどのプラスになつていたようなんですが、最近の調査によりますと、今度は逆に三億五千四百万ドルくらいのマイナスになるような数字が出て来ているわけなんです。そうすると、この恐慌はだんだんと大きくなつて来るのではないかというふうに私たちは考えておるわけなんです。去年は五億五千六百万ドルのプラスになつていたものが、今年はマイナス三億五千四百万ドルというような数字が出て来ておりますから、去年と今年と比較すると、恐慌は相当深刻になつて来るのじやないかと、そういうふうに考えますのです。これも数字も私たちの持つておる数字とあなたのほうで持つていらつしやる数字と違うかもわかりませんが、私たちはそういう数字を持つておるわけであります。こういう状態で、果してこの電源開発を急がなくちやならんかどうかという問題ですね。それも四年、五年のことを考えれば、又今から準備しても遅くはないという御答弁になり、そうしてその電源は、電気は平和産業に使われれば結構じやないかという御意見ですが、その通りならば結構だと思いますが、今日のような財政状態で、平和産業に使うのじやなしに、軍需産業に使うために電気が足りないのだから、その電気を起すために、そういう無理をしなくちやならんかどうかという点に、私としては問題点を残しているわけなんです。
それからまあ余り長くなりますので御迷惑だと思いますから、簡単に申して行きたいと思うのですが、日産協の調査ですね、二十九年度事業用電力消費量の総計というものが出ているのですが、三百八十五億キロワツトアワーという数字が出ているのです。皆さんのほうにはどういう数字をお持ちでしようか。二十九年度事業用電力消費量、若しもあつたらお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/50
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051・福田一
○衆議院議員(福田一君) ちよつとその前に、その数字の前に一つ須藤さんは非常に御熱心なんで、私もよくわかつてもらいたいと考える。これは政治的な立場が違う、違うけれどもそれだからと言つて、非常に変に対立することは民主主義じやないと思う。私はそういう観念が非常に強いわけです。だからできるだけお答えをして、理解を深めて頂きたいという意味でお答えをしておるという御理解を願うとして、あなたは輸出入の数字を以ておつしやつたのですが、或いはこれもちよつと考え方の問題です。それは材料を余計買いますときと、それから飢餓輸出をしてまで輸出せなければならん場合と、更に輸出とか、輸入というものは国際の貿易というものはそういう面で非常に時期的なズレがある。材料を余計買いますとか、或いはそういうことで非常に違つて来る。去年あたりは非常に輸出のほうを盛んにやつたわけであります。それでドル貨も得られた、ポンド貨も得られた、従つて原料が不足して来る、今度は買わなければならんという立場になりますと今度は輸入のほうが殖えてしまい、従つて外貨が激つて来るという場合もあり得る。その数字だけで恐慌が漸進しつつあるというところへ持つて行かれることは、少し私は無理がありはしないかと、私たちはそういう意味合で、全体としてのバランスとしましては決して恐慌の状態が起きるとは考えておりませんと、まあおらないわけなんです。そういう意味で恐慌が起きて来るというようなことは考えておりません。大体において不振な部門もありますが、又うまく行つておる部門もたくさんあるわけです。日本の産業全体としては一応でこぼこはあるとしても全体としては伸びつつある状態だと、こう想定しておりますので、この程度の電源開発はやらなければならない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/51
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052・須藤五郎
○須藤五郎君 福田さん去年と今年とですね……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/52
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053・福田一
○衆議院議員(福田一君) それから先ほどの数字でありますが、これは日経のどういう調査をいたしましたのか、その基礎によつて大分違うのだと思いますが、私のほうで想定いたしておりますのは、一般用と事業用と言いますか、事業用と言いますのは、九電力会社が売つておる電力です。売る電力の想定は二百五十億前後のキロワツトアワー、それに一般用、自家発というのがございます。自家発が八十一億ほどそのほかに使われておる次第であります。合計すると四百三十一億になつております。そういう想定の下に電源開発計画ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/53
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054・須藤五郎
○須藤五郎君 それで次にお尋ねしますが、二十九年度ですね、電源開発計画による需用端発電量の総計はどのくらいになつておりますか。私ちよつと資料を持ちませんで、二十九年度は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/54
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055・福田一
○衆議院議員(福田一君) 今の数字が需用端でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/55
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056・須藤五郎
○須藤五郎君 需用端ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/56
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057・福田一
○衆議院議員(福田一君) 需用端です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/57
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058・須藤五郎
○須藤五郎君 私の先ほど申しましためは事業用電力の消費量ということについて日産協の調査によつて申上げたのです。それはどういうように予定を立てておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/58
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059・福田一
○衆議院議員(福田一君) 需用端と言いますのは、一番消費するところで言つておるのだから、私たちの言つておるのは、その消費量という意味であります。実際に消費しておる需用の末端という意味であります。だからその数字は我々とは非常に違つておるわけであります。その意味でだからどういう計算で統計をとられておるかということを私非常に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/59
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060・須藤五郎
○須藤五郎君 それじやもう一遍お聞きしますが、それから二十九年度に生産された電気のロスや、そういうもの全部除いて、実際に使える発生量というものはどういうふうになつておりますか。二十九年度の総発電量でロスやいろいろのものを除いた実際に使う発電量総計というものはどのくらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/60
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061・福田一
○衆議院議員(福田一君) 先ほど申上げましたのがロスや何か全部除いての消費電力量であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/61
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062・須藤五郎
○須藤五郎君 これは消費のほうでしよう。私は発電量のほうをもう少し聞かして頂きたいのです。
〔理事郡祐一君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/62
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063・福田一
○衆議院議員(福田一君) 一般用が四百六十七億キロワツトアワー……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/63
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064・須藤五郎
○須藤五郎君 四百六十七億キロワツトアワーですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/64
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065・福田一
○衆議院議員(福田一君) そうです。それから自家用が八十八億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/65
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066・須藤五郎
○須藤五郎君 自家用は八十八億ですか、合計しまして……、これはロスも皆抜いた数字ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/66
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067・福田一
○衆議院議員(福田一君) それからロスが出るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/67
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068・須藤五郎
○須藤五郎君 私はそれを抜いた数字を私は知りたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/68
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069・福田一
○衆議院議員(福田一君) それがロスを抜いた数字なのです。今度はロスを抜きますというと、先ほど言つたように三百八十五億、八十億になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/69
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070・須藤五郎
○須藤五郎君 ちよつと話が違うのですがね……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/70
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071・福田一
○衆議院議員(福田一君) 委員長ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/71
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072・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕
〔委員長退席、理事郡祐一君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/72
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073・郡祐一
○理事(郡祐一君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/73
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074・須藤五郎
○須藤五郎君 日産協の二十九年度の資料によりますと、産業用電力使用量の総計は三百八十五億キロワツトアワーになつているわけです。それから当年度の電源開発計画による需用端の発電量総計は今福田さんのおつしやつたと同じわけですね、四百三十四億キロワツトアワーになつているわけなんです。そうするとこの差引がどのくらいになるかと申しますというと、私計算してみたのですが、四十九億キロワツトアワーしかないわけです。そこに政府が数的に苦労なさつていらつしやる点もあるかもわからないが、そうしますと実におかしいことが起つて来ると思うのです。福田さんたちはこの開発が進んで十九年度になれば一般家庭の配給とか、そういうものは殖えて来るのだということをこれまで言つていらしたと思うのです。ところが今日二十六年度の電力電熱使用量が二十六年度で六十億キロワツトアワーになつてしまつておるわけです。ところが二十九年度になつて四十九億キロワツトしかこういつた面に廻つて来ないという数字が出て来たわけです。ここで非常に私は不思議に思うわけです。電源開発されるというけれども一般家庭に対する電源はだんだん減つてしまつて、今日我々はときどき消える電気で我慢しておるのですが、それがもつとみじめな状態が来るのではないかという数字が出て来たのです。その点をはつきりしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/74
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075・佐々木義武
○説明員(佐々木義武君) 実はこの問題に関しまして奥委員からも資料の提供の要求がありまして前に御説明したことがあるのですが、電力使用量の増加の率と人口の増加の率の比率如何というような点がございました。たしかあのときの資料は人口の増加が三十一年度で一四、五%のように記憶しておりますが、それに比較いたしまして電力のほうは五〇%増加するというような計算になつております。非常に一人当りの使用上が電力が殖えるという計算が出ました。それから産業用の問題はさつき日産協の資料を見ておりましたが、それと今のを引きましてその差で云々ということになりますと少し論旨がはつきりしませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/75
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076・須藤五郎
○須藤五郎君 私論旨は不徹底じやないと思いますよ。そうできたものから使つたもの……、産業方面に行つたものを引いた残りが我々一般家庭に来るわけでしよう。それが今日よりも少いということに問題だと思う、だから私は不徹底じやないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/76
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077・山川良一
○山川良一君 今の須藤委員の疑問を多少解く意味において申しますが、日産協の資料はいろいろ集計の仕方に問題があるのです。完全に覚えておりませんけれども、この集め方はいろいろ石炭とか鉄とか産業団体がみずから二十九年度にはこれくらいの生産になるだろう、それに必要な電力は幾ら、こういうものを使つてそれを総計したものがこういうふうになつておる。それで今の石炭なら石炭の生産量が大体政府の計画にマツチするような数量を基礎にしたところは大体政府の計画数量と違わない電力量が出ておると思う。ところが相当生産量を希望的にやつておるところは、どうしても電力の総消費量も希望的になつておると思います。ですから日産協の資料はそれよりもはるかに上廻つた結論が出ておるわけです。ですから産業によつては大体政府の計画と殆んどマツチしたのもあると思いますが、全体的に見ますと相当上廻つておると思う。ですからそれだけの電力の供給はできないし、それだけ使う状態にもならないと私は思う。ですから日産協自体の使用量を自分で調整してお前のところは幾らしか使えないぞというような取り方をしておるのです。そこに須藤委員のいわれるように日産協の希望通り電力を使えば今の十算のように一般に廻る電力が少くなる。それはそれで安本等で調整して決定される内容を持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/77
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078・福田一
○衆議院議員(福田一君) それは今でも実は二割ほど規制しております。だから日産協の数字で我々のほうを御判断願うことはちよつとベースが違いますから御無理だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/78
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079・須藤五郎
○須藤五郎君 私はその日産協の資料はここにあるんですよ、指数がですね、二十九年度のものですね、ずつと出ているんですが、それを抜きましたものですからそういうことになつたんですが、これは日産協の資料と政府の使われておる資料とに食い違いがあるということで議論にならないと思いますから、私はその点は議論をやめましよう。私たちはこういう資料によつてこういう結果が出て来ることに対してまあ不安の念を持つている、疑問を持つているという意味で申上げておるんです。少し長くなりますから私は今日はこれでやめます。
それから先ほどのダムから受ける損害に対する賠償問題とか何とかいうものはもう修正案が具体的にできているんですか、どうなんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/79
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080・福田一
○衆議院議員(福田一君) 農林委員会のほうから御希望が出ております。一応それは法律の関係上或いは土地収用法とか或いは河川法というものに準用されて今補償が行われておるわけです。従つてこの法律でそういう問題を改正するということは非常にむずかしいので、本来の法律があるわけですから……。併しこれは補償はしなければなりませんから、補償をしなければいけないということをこの法律で規定しようと、例えば資金の供給について、民間の電力会社にもどんどんやつてもらわなければいけませんから、政府は資金供給について大いに努力しなければならないという宣言規定がこの法律に入つているわけです。それと同じような意味で補償をしなければいけないということをはつきり語うことによつて問題を一歩前進させることにいたしておる、こういうまあ御意見なんでございます。非常に結構な御意見だと思いますのでそういうことなら直して頂いても結構だとこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/80
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081・奥むめお
○奥むめお君 先ほど須藤さんが大分明らかにして下さつたようですけれども、この電源開発株式会社のこの性格というものが政府の、提案者の今までおつしやつていました説明がいろいろに変つてもいたし、又変つても聞かれる面が随分あつたので明らかにしたいと思うことがあつたんです。須藤さんの御質問でわかつた点もございますが、それではもう一度一言で御返事してもろうとしたら、この会社はこの開発設備が三十五年頃ですか、できても、あと電気の開発をして又卸売りする会社としてずつと存続するものだと私どもは解釈してこの法案の審議を進めたらいいわけですね。それを先ずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/81
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082・福田一
○衆議院議員(福田一君) 法律の条文にもありますように譲渡、貸付、卸売ということになつておりまして、それがいずれもできることになつておりますから、従つて卸売、貸付の面におきましては私はずつと存続するという奥委員のお考え通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/82
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083・奥むめお
○奥むめお君 ではそういう考え方でこの法案は審議することにいたします。大分それも前に聞いていたのとは私も違うと思うんです、それは途中で自由に開発できるようになつたときに過程において卸売りすることもできる、こう福田さんがおつしやつたことを私ははつきり聞いておるものだから、過程において大部分の開発ができて出るようになつたら売るんだとだけれども全体的には先々には売らないだと、これは飽くまでも開発の設備をする何である、こういうふうに解釈していたんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/83
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084・福田一
○衆議院議員(福田一君) そういう御説明をしたかも知れませんが、私の考えておるのは、その場合譲渡するということにしてもその相手方があることだから譲渡できない場合もある、貸付ができないこともある、その場合に卸売りすることができると一言附け加えておつたのですが、主として御質問は譲渡という面についてだけ御質問があつたものですから、私は或いはそういう御説明をしておつたかとも思いますが、先ほどもちよつと申上げますように法文に三つ書いてあるわけですから、そうでなければ三十五年で終るなら、その譲渡だけにして貸付、卸売りを切つてしまわなければならない。そうして年限を切らなければならない。そうしなければ法律の体裁にならないと思う。気持は実は須藤さんの言われたような気持でおつたのですけれども、私の説明がその意味で足りなかつたのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/84
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085・奥むめお
○奥むめお君 そうすると今度は二つの会社が併行して行くわけですね、こつちも開発をするしこつちも開発をする、続けてずつと行くとしたら両方非常にお金がかかる、両方とも資金を要するわけでございますから、そうすると私前にもこういう御質問をしたことがあるのですけれども、今年は金が出るとしても来年再来年その先になつて、特に軍備時代が来るとして非常に国家がお金が余計かかる。そうすると要るものがたくさんの中で出さなければならない、電源開発にどうしても出さなければならないというときに不安を感じますものですから、こういう不安がないように、必ず出すのだという何か法的措置をおとりになるおつもりでございますか。続いて出すという……、それは今年はあるとしてもその先目の前に不安があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/85
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086・福田一
○衆議院議員(福田一君) その点は大蔵大臣からしばしば申上げておる通り、将来の計画として電源開発だけはやらなければいけないのです。そういう意味でこの法律のうちにも政府は資金を確保することについて努力しなければならないという宣言規定があるから、そこではつきりと資金を作らなければいけないのだという義務をつけておるわけです。具体的に十八年度には幾ら二十九年度には幾らという数字を挙げておりませんけれども、これは試案で以て出しておるのでありまして、どことどことなることは審議会で結局きまるわけです。きまつた額が今年はこのくらいの予算というものがありましたから、そこできめておる。で、この次に二十八年度にも二十九年度にも必要な資金を政府としては出さなければならない。これは特殊会社だけではありません。電力会社にも府県に対しても自家発に対しても努力することを義務付けておるわけであります。従いましてそういうような不安はないと私は考えるのであります。政府としてもそのつもりでやつておる、万一政府が変つた場合でも途中でそれをやめるというようなことは私は電源開発に限つてあり得ないと思う。これはどうしても電源開発はやつて行かなければならない、将来軍需産業をやるとか、或いはそういう特殊の事情ができても、動力がなければ軍備とか何とかいうことはできない。若しそういう必要ができてもできないのでありますから、そういう基礎になるものでありますから、どうしてもこれはやらなければいけない、政府が変つてもやらなければいけないし、勿論これは政府としても続けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/86
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087・奥むめお
○奥むめお君 それはそのように承わつて安心しておきます。今度は民間の電気会社のほうですね、これの融資もこれはこの法律に義務付けられておるからいいとして、お金がほかのほうにどんどん要るときに民間のほうに融資するというものが削られる虞れがあるかも知れないと思うのだけれども、それを何か保証する別途の方法をおとりになつて行くなにはないのですか。併せて御質問のついでに外資の問題も両方なにしてもらつてもいいと思います。民間の外資獲得のために特別の保証の途をつけるとか、これをどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/87
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088・福田一
○衆議院議員(福田一君) 法案の第五条を見て頂きますと、「政府は、電源開発及び送電変電施設の整備(以下「電源開発」という。)に必要な資金の確保に努めなければならない。」とあります。これは法律の総則であります。それであとに電源開発株式会社の章があるのでありまして、この第五条では民間の分も公共事業体の分もそれから特殊会社も、自家発の分、全部のそういう電源開発の資金については政府はこれを獲得するために努力をしなければならないということをこの第五条で謳つているわけでございます。義務付けという……、まあ宣言規定でありますから、しなければならないとあるから、数学的には出せませんけれども、その義務をここで負わしているわけです。それは民間会社に対しても同じなんです。これは民間会社も含んでの意味です。これはこの法律の形から御覧下さつてもおわかりになると思いますが、民間会社を排除するという考えは全然ございません。
それから外資の場合は、民間の会社で外資が入るのを決して私たちは反対も何もいたしておらないのでありまして、特殊会社についてはまあ政府保証ということになつておるのですが、国際開発銀行では今まで政府か或いは中央銀行、或いはこれに準ずるもの、まあ日本で言うと開発銀行みたいなもの、そういうようなものが保証しなければいけないということを言つておるわけです。従つて開発銀行を通じて保証をすることによつて民間に外資が入るのだつたら、我々ちつともこれを妨げるべきじやないとかように思つております。だからその点では絶対に民間の電力会社をいじめるというような、そういうような継子根性というようなものは持つておらないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/88
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089・奥むめお
○奥むめお君 まあ私ども今の御答弁でお言葉のほうはわかつたけれども、何かわからんものもありますけれども、おつしやる通りに理解するといたしまして、先々の問題はどうせ今言うたつて水掛論ですから……。
それから最後にこの法案の土地収用法のことがちよつと法律を直すことを書いてありますけれども、私が心配しておりますことは、例えば地方の府県に持つている権利を、土地収用法の問題というよりも河川法のほうから行つたほうがいいのですが、地方の府県に国がそこに持つておる水利権というものを取上げなければ大きな発電ができないわけですね。そうしたときにすでに水利権を持つている、或いは小さい会社が持つている、或いは府県が持つているそういう場合にはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/89
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090・福田一
○衆議院議員(福田一君) 水利権はまあ府県が認可をする権利を持つておるわけです。で、それに対してまあ建設大臣に協議しなければいけない、協議して建設大臣がよろしいと言うた場合に、実際にその書類を認可してやるということを言うのは府県が持つておるわけです。それでありますから、今度の審議会を作ります場合にその審議会においては関係府県の知事の意見を聞かなければいけない、聞いてからそうして計画をきめなければいけない、こういうことをきめておるわけであります。それから今度はこの九つの電力会社が持つておる、或いはその他のものが持つておる電力水利権ですね、水利権を持つておるこういうような場合においては勿論電力会社の持つておる権利は十分これを保障しなければいけないのであります。そのことはもう当然行われることでむやみに取上げるというわけじやありません。併し全体としての計画を立てた上でこれはまあここでやつたほうがいいときめた場合には協議に行つて協議をして、それでそれが整わない場合には、電力会社は電力会社として訴訟を起す途もありますし、或いは通産大臣に対して、これじや困るから調整をしてもらいたいといつて行ける場合もある、ただ取上げるわけじやありません。これにはそれ相応の補償をするということが当然入つて来るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/90
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091・奥むめお
○奥むめお君 そうすると例えば天龍川の問題ですね、あの中部電力が或る一部の水利権を持つておる、そうすると大きな開発会社ができる。そういたしますと、今度大きな計画だから大きな水利権が問題になつて来るわけなんだと思うのです。そうすると、前に持つておる小さい水利権というものはどういう関係になるのです。それの延長として中部電力が持つていると見てよろしいのですか。それとも新らしい性格のものとして出直さなければいけないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/91
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092・福田一
○衆議院議員(福田一君) これはまあ本当は建設省からそういう場合の答弁は申上げたほうがいいと思いますが、一般論として私は申上げます。天龍川の場合はそんなに地点が違つておりませんから申上げてもそう間違いがないと思いますが、これは中部電力が持つておられるのをこれでいよいよやるということになれば、やることが審議会できまつたということになれば、勿論関係の静岡県の知事にも来てもらつて、いろいろ又利益代表としてはこの法案によつてはまあ公益事業委員会があるのですから、公益事業委員会のほうから発言があるでありましようし、いろいろ論議があると思いますけれども、結局それじや特殊会社でやるということになりますと、これは当然必要な補償をしなきやならない。補償についての協議をしなきやならない、こういうことになります。水利権はその場合には今度は一応譲渡されるという形になるだろうと私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/92
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093・奥むめお
○奥むめお君 じやこれは又建設省のおかたに私個人としても或いは委員会でも伺うことにいたしまして、明らかにしたいと思うのです。まあ私先ほど須藤さんもおつしやつたけれども、まあ提案者である福田さんにこれを聞いてもしようがない問題なのでやめますけれども、私から言つても電気のために非常にたくさんの金を廻すというこの計画、電気ができることは非常に結構ですけれども、非常にたくさんの金を廻す、それは結局国民の税金であり、貯金である金である。そうすると電気だけができても産業という車は廻るかということを私は考えるのですね。やはり設備を動かすのには動かすまでに設備を手入れしなければならないものもあるだろうし材料を買わなきやならないものもあるだろうし、いろいろな意味で考えて、今までの御説明は電力一辺倒であるという問題で私は非常に不安を持つておる。これは私福田さんにはこの前も申上げたこともあるのだから御質問としては申上げませんけれども、それだけ附加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/93
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094・郡祐一
○理事(郡祐一君) 他に電源開発促進法案についての御質疑がありましたら御発言を願います。ちよつと速記をとめて。
午後三時五十九分速記中止
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午後四時十六分速記開始
〔理事郡祐一君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/94
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095・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それじや御懇談を頂きましたように、次の議題として外資に関する法律の一部を改正する法律案を掲げたいと思います。
前回におきまして質疑は大体終了したものと思つておりましたけれども、特別に御質疑はもうありませんでしようか。原案に対する質疑は終了したものと認めて差支えありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/95
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096・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは質疑は終了したものと認めます。
討論に入ります前に、皆さんも御承知のように、この法案につきましては大蔵委員会と大分連合して審議をいたしまして、その連合して審議しております際に、修正の問題が出ておりましたことは御承知の通りだと思います。その後連合会を切りまして後に、大蔵委員長から同法案に対する修正の、修正案をくつつけて善処されたいという意味の申出が私宛に参つております。御承知のように、同様な意味の修正の意図が関係の会派において御相談あつたように聞いておりますから、討論の際に修正御意見がありましたならば、先ずお出し願つて、それに基づいてあとの審議を続けたいと思います。修正意見がありましたら今御発表願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/96
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097・杉山昌作
○杉山昌作君 私はこの外資法の改正案は、現下の事情から見まして外資の受入体制を整えて外資の導入を促進するという意味で賛成でありますが、ただその趣旨から考えましてまだ不十分であると思われる条項がありますので、その修正の動議を提出いたしたいと思うのであります。でその修正案文はお手許に御配付申上げてある通りでありますので、その朗読は省略さして頂きますが、要旨は二つであります。一点は、外国の投資家が株式又は持分を取得してから三年間はそれの売却代金或いは清算によるところの分配金を海外へ送金できないという、三年間という据置期間がありますが、この三年間を年に短縮したいということが一点。
それからもう一点は外国投資家が持つておりまする株式に対して新株の割当等をする場合に、これは米国等におきましては、外国の会社の新株を取得することが困難であるようでありまして、そのために投資を阻害せられる虞れもありますからして、ここで新株の引受権をも譲渡することができる、又更には旧株を、新株を持つておる旧株を売つたその代金で買入れました新株につきましては、旧株と同じ株数だけにつきましては旧株を取得したときから今の据置期間を計算するとこういうことにして外国投資を容易にさせることにいたしたい。
それからもう一点貸付信託法というのが、御承知のように先般通りました貸付信託証券が出ますので、これを投資信託証券と同じような取扱いにする必要があると思いまして、貸付信託証券の問題を新たに加えております。この三点が修正の主な点でありまして、ただ最後の貸付信託証券のことにつきましては、貸付信託法の附則にそういうようなことが書いてあつたのでありますが、これは立法技術上は、やはりこの外資法に持つて行くべきものだと考えまして、それをこちらに取入れまして、従いまして貸付信託法の附則の第五項を削るというような趣旨の修正でございます。詳細の文書は御配付申上げたので御覧願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/97
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098・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 只今杉山君から同法案の修正意見が修正案を含めて提案されたわけでありますが、原案の質疑中におきまして、只今の修正案の内容につきましても実質上質疑は終つておつたと思いますので、特にその必要もないかと思いまするけれども、特別に只今の修正案につきまして御質問があるようでしたら、実質的な発議者の一人であります大蔵委員会の代表みたいで小林君も見えておりますから、質して頂くことがあつたら御質問願つても結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/98
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099・須藤五郎
○須藤五郎君 この修正の根本理念と申しますか、それは前の原案では外資が入らないからもつと入りやすいようにしよう、それには外国人に対して前の法案によつて、原案によつて守られている利益よりももつとより外資の利益を守るという立場でこれが修正されているというように理解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/99
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100・小林政夫
○委員外議員(小林政夫君) 大体そういうふうに御理解下さつて結構ですが、ただ原則としてはその通りなんです。新株引受について譲渡又は買替えという言葉を使つております。先ほど杉山委員から御説明のあつたように旧株を売つてその新株を買うというのを認めましたのは、アメリカの証券法の関係でアメリカの投資家は向うの証券取引委員会に登録してある株の新株しか引受けられない、実際問題として……。勿論そういう手続を日本側でとれば問題ないのですけれども、そういうことでそれが大体本年の二月頃明らかになりまして、勿論その後急激に日本の外国投資家による証券、保有株数が減つて来ているというような事例から見まして、一応そういつた特定の外国人、その外国人の本国法、又は日本の国内法によつて引受けができないという特定の外国人に限つて新株の引受、譲渡、又はこれらの買替えということを認めて行こう、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/100
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101・須藤五郎
○須藤五郎君 前の原案では外資が入らないという認定なすつたのですね。その根拠をお尋ねしたいと思うのですが、その根拠は即ち修正点だというふうにお答えになりましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/101
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102・小林政夫
○委員外議員(小林政夫君) その入らないという認定は、大体外国投資家が日本の証券投資をするという場合においては、配当自体ということよりも将来性のある会社、一般の投資家が特に技術提携をやるとかいうような問題でなしに、証券市場を通じて日本の株式を保有するというような一般外国投資家が日本の証券を買うという場合においては、将来発展の見込のあるいわゆる新株増資見込のある会社、その増資の新株に対してはプレミアが付くというような非常に発展性のある会社というものに目を付けるわけであります。そういうことが今の新株引受けができないということになると、実際に外国の投資家としては妙味がないということになりますので、その点の救済をしたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/102
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103・須藤五郎
○須藤五郎君 私は前の原案におきましても、この修正案におきましても私たちが一番心配する点は、或る会社に対する外資の入つて来るパーセンテージですね。そういうものによつて将来日本の勿論いい産業でなければ入つて来ないと思うのですが、いい産業は向うさんにとつても重要なように、我々国民にとつても重要な産業だと思いますが、その産業の支配力というものを外国人によつて握られて行くという点は我々非常に心配なんですが、それはどういうふうにして守つて行くか、そういう手段はちやんととられているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/103
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104・小林政夫
○委員外議員(小林政夫君) それは外資委員会がケース・バイ・ケースで許可する。すでに株が出ておるというものについて外国人が買おうという場合に一応外資委員会の認可を得ます。そこで今の日軽金のような場合のような措置は、ただ特に問題になつております第十一条の第二項によつて外貨送金の保証を要しない投資については増資をする場合、実際その会社が資本を増加する場合の引受けについては届出をいたすということについては私はあなたと同様多少の疑念を持ちます。併しそれは原則として旧株主に対して一定の比率で割当られることが原則でありますから、我々が心配するようなことはレアー・ケースであると政府委員のほうの説明があつたので、そこで大体大蔵委員の多数はそういうことを了承して問題は多少そこに残つておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/104
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105・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記をとめて……
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/105
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106・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/106
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107・須藤五郎
○須藤五郎君 私は今懇談中に小林さんから伺いましたが、そういう心配のある条項は、あなたのほうで修正された過程においてもそういう心配をお持ちであるならば、当然この修正の中にこの条項を入れておくべきではないかと思うのです。これは将来問題となると思うのです。大蔵省の扱い方によつてそれは防止できるものじやなし、必ずそういう問題は起つて来る。私どもの得ておる資料と皆様の持つておる資料は違うかもわかりませんが、私どもはすでにもう石油産業は五〇%以上外国会社が入つておる。大きいところは七、八〇%入つておるというような資料を持つておるわけです。ですからそういうことが今後ずつと起つて来るならば日本の産業として重大な問題じやないかと思う。だから今それを防止する条項を一応入れておかなければいけない。それを入れることによつて若し外資というものが入つて来ないならば、これは問題だと思う。日本の産業を外国人に握らせないようにする条項を入れたことによつて外資が入つて来ないというならば、それを入れないことによつて、日本の産業を握ろうとする野心を持つた外資というものを認定しなければならない。ですからこういう条項を入れたことによつて、そういう外資が入つて来なければ、結構じやないですか。ですからやはり入れるべきだと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/107
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108・小林政夫
○委員外議員(小林政夫君) 個人的には同感の点もございますが、まあ大体考え方としては、そういう肝腎なところを縛つてそれであとは成るべくフリーにするという考えもあるわけです。ですからいろいろ各派で調整をいたしました結果、大蔵委員会としては多数を以て今の原案になつたわけです。非常に個人的には共鳴申上げる点もございますが、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/108
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109・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/109
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110・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて。それでは修正案につきましての質疑も終つたものと認めまして、修正案も含めての討論に入りたいと思います。従いまして修正案を含めての御意見ありましたならば御開陳願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/110
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111・須藤五郎
○須藤五郎君 私は原案におきましても、この据置を三年にしているということは、少し短きに失する。日本の産業の復興の点から見ましても、こんな短い年限で外資が入つて来たものが又向うへ出て行くというようなことでは、なかなかやつて行けないと思いますし、こういう短い期限を付けなければ入つて来ないような外資というものは、余りいい外資ではないのだ、もうほんの植民地を搾取するというような目的でこの前も申上げたのですが、投資ではない、いわゆる資本を盗んで逃げるといういわゆるその投資、そういうふうに私はこの前にも申上げたのですが、そういうどうも性格を持つている。日本の政治に、日本の国情に本当に信頼があるならば、そういう意味でない本当のいい意味の外資が入つて来るはずであるのに、こういう条件を付けなければ入つて来ないような外資ならば、余りいい外資ではない。と同時に又そういう外資しか入つて来ない日本の国情というものは、決していいものじやない。そういうふうに私はまあ解釈しておるわけなのです。なおそれがこの修正案によりまして、逆に二年というふうに余計に縮められたということに対して、私はどうも了解に苦しむものなのです。
それからなお一点、前の原案でもその通りでありましたが、外資の入つて来るパーセント、或る会社に入るパーセントが何ら規正されていないという点なのです。これは曾つて日本が中国を席巻したときに、注政権が日本の資本の中国に入る率を四九%以上は絶対に入れないということを注政権すらもはつきりとそのとき決定していたはずなのです。然るに今日吉田政府はその点を野放しにして、どれだけでも入つていいという状態にしているということは、これは日本の将来を誤らすものとして、私たちはどうしても納得できないわけです。少くも汪政権のとつたくらいのところをもつと私厳しくしなければならないと思うのですがそれにもかかわらず野放しで外資を入れるということに対しまして、私は絶対に賛成できないわけなのです。この修正案におきましても、その点が少しも修正されていないという点、私は大きな不満を持つものであります。今日すでにもう石油会社などにおきましては、私たちの聞くところによりますと五〇%以上、大きいところは七、八〇%というものは入つて来ておる。そして今後も優秀な会社に対しては、そういう傾向がどんどん大きくなりつつあるように聞いておりますので、今にしてそれをちやんと処置しておかないと、将来日本の産業というものが外国人の手によつて支配されるような事態が来やしないか、そういう心配があるわけなのです。その点この修正案が少しも措置されていないという点で私は原案にも、この修正案にも遺憾ながら賛成することができないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/111
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112・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ほかに御意見ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/112
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113・永井純一郎
○永井純一郎君 私もこの修正案を含めての外資に関する法律の一部を改正する法律案に反対をするものでありますが、簡単に項目だけ挙げて、反対の理由を明らかにしたいと思いますが、それは一つはこの外資を入れるということの主目的は、我が国の経済を本当に自立せしめるという目的のためになされなければならないという点でありまするが、その線に必ずしも沿つておらないということが一つであります。これはまあすべての点に将来帰結されて来ますが、従つて又二つには、我が国の基礎産業が外国の資本によつて牛耳られることがあつてはならないということと同時に、基礎産業の本当の企業の合理化というものができるための外資の導入というものが、必ずしもこの法律、このようにルーズに明けつ開きにして迎合的な法律を作つたことによつて、そういう企業の合理化というものができない。逆に却つて悪質の外資が投機的な目的のためにのみ入つて来る、そうして一部の商業資本家のような人たちがこれを歓迎するというようなことの心配があるという点が一つであります。それからもう一つは法律全体の体裁が誠にこれでは工合が悪い。これは先ほど外国等に迎合的と申しましたが、私は法律全体のこの外資に対する法律の体裁というものは、そうではなくしてやはり持株なり或いは送金の保証なりについて原則的には外国並みのきちんとしたものにして置く。が併しながら日本の経済の発展、特に企業合理化のために必要な面につきましては、行政庁の裁量で的確な判断を誤まられないように、裁量でその辺上手にやつて行くというような法律全体の体裁に私はしておくべきだというふうに考えまして、こういう三点からいたしまして、この法律に賛成しかねる、このように考えまして反対をする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/113
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114・愛知揆一
○愛知揆一君 私は自由党を代表いたしまして、本改正案及び只今提案されました修正案に対して、両案に対して賛成いたします。ただこの際一、二申上げておきたいと思いますのは、その第一点は先般本案の審議に際して小瀧君から政府側に対して質疑をいたしました点でありますが、この本案に対して、その運用上政府側に対して希望したい点があることであります。それは従来のいろいろの実績に徴しますと、外資法上で取扱われて進行させられることになつておるところの問題が、例えば公正取引委員会における取扱、或いは外国為替管理法の取扱、或いは外貨予算編成というようなことに必ずしも平仄が合つていない、場合によつてはそれらの点をこの修正案に法制上においてもはつきりとしたいという希望もあつたことは、小瀧君の発言で十分御了解を願えた点であろうと思うのでありますが、それらの点については今回の修正において、或いは修正にならない外資法それ自体においても勿論でありますが、外資法に認められてこの法律によつて所定の手続がとられたものについては、公正取引委員会においても或いは外貨予算の編成等においても円滑に事態が進行するように運営上十分政府において注意をして頂きたいという希呈なのでありまして、この点はすでに質疑応答でも十分尽されたところでありますが、賛成の討論の際にもはつきりこの点を我々の意思として表明いたしておきたいと思うのであります。
それから本日提案になりました修正案につきましては実は修正案のうちの第一点の据置期間を二年にするという点については、実は我々は原案の三年のほうが妥当ではなかろうかという意見を持つておるのでありますけれども、いろいろの関係上正案作成に当られたかたがたの熱心な御意見に対しまして消極的に賛成をするという意味合において養成をいたしますことも、これも合せてはつきりさせておきたい、この二点を申上げまして両案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/114
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115・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) ほかに御意見ありませんか……、御意見ないようでありますから、討論は終結したものと認めて差支えありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/115
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116・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) そのように認めます。それでは採決に入りたいと思いますが、先ず外資に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、先ほど杉山君から提案されました修正案を議題といたしまして先ず採決いたします。杉山君提出の修正案に賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/116
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117・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 多数であります。よりまして杉山君御提出の修正案は可決されました。続きまして只今採決されました杉山君の修正にかかる部分を除いて衆議院送付にかかる外資に関する法律の一部を改正する法律案全部を議題にいたします。修正部分を除いた原案に賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/117
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118・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 多数であります。よりまして外資に関する法律の一部を改正する法律案は多数を以て修正可決されました。
なお、本会議におきます委員長の口頭報告の内容につきましては慣例によりまして委員長に御一任をお願いをいたしたいと思います。御了解を願いたいと思います。
なお、委員長が議院に提出する報告書に付する多数意見者の御署名を今賛成のかたから逐次お願いいたしたいと思います。
多数意見者署名
郡 祐一 古池 信三
大野木秀次郎 愛知 揆一
杉山 昌作 奥 むめお発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/118
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119・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それではこれで本日の委員会は散会いたします。
午後四時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01619520612/119
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