1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十四日(土曜日)
午前十一時十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
永井純一郎君
委員
愛知 揆一君
古池 信三君
奥 むめお君
杉山 昌作君
清澤 俊英君
国務大臣
国 務 大 臣 周東 英雄君
衆議院議員
福田 一君
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本日の会議に付した事件
○電源開発促進法案(衆議院提出)
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001・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは経済安定委員会第二十三回を開会いたします。議題は電源開発促進法案でありまして、その後に経済安定本部関係の設置法につきましての意見交換を別にやりたいと思います。ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/1
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002・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) 速記を始めて下さい。電源開発法案を議題といたしますが、前回に引続きまして、御質疑のありますかたから御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/2
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003・清澤俊英
○清澤俊英君 多分外資の問題に対しましてはいろいろ質問も応答も済んでおると考えますが、なお私として確認しておきたいと思いますことを一、二点お伺いしたいと思うのですが、今までの御議論でもわかります通り、この電源開発に対しましては、外資導入に対して非常な期待を寄せておられたというより、むしろ外資導入が中心で法案の骨子がなつておるくらいにも考えられますのが、最近の大蔵大臣等の答弁から見ましても、これが余りまだ明確化されていない、非常に心許ない情勢になつている。そこで大豆等にお伺いしますと、その場合になおこの開発が国内資本でできるかどうか、やるかやらんのか、必ずやるのだと、こういうことまでが私が聞いている範囲でありまして、最近問題になつておりますことは、もう法案も末期に近付いたのであるから、従つてこの法案が外資を中心にする見通しがついて、どれだけ入つて来る見通しがついてこれだけのことがやれるのだ、当分見込みがないからこれは国内資本で一つやらなければならない、こういうような、大体これを実行せられんとする政府としても肚のきまらなければならん時期じやないか。従つて、よりより各党の控室などで議論にもなつておりますのは、予算委員会との合同委員会等を開いても、いま一度国の財政問題と見合した検討が入用ではないかというようなことが考えられているのは、多分にそういう点にあると考えますので、もうここ数日でこの案が成立するか成立しないかは別の問題としまして、とにかく成立するとして私はお伺いしておるのでありますが、そうした場合政府としましては、外資導入等の現実の状態と睨み合せて、国内資本でやるならやると、而もそれも殆んど財政資金でこれを賄うということになりますれば、これは国民所得等と睨み合せまして、その他の多くの国家がなさんとする事業と睨み合せまして、電源開発にだけ全部が廻るようなことになりましたならば、これは重大な将来に問題を残すようなことも考えられますので、非常に重大な問題だと思いますので、今日の段階において大体どつちであるかというような点を一つ明らかにして頂きたいのであります。今までのようにこうできればこうやるのだし、できなかつたときには国でやるのだというような御答弁では私は満足しかねると思うのです。もうこういう情勢なんだから、一応は国の資金でやつて行くんだと、そういう方針で行くよりほかないのだというならいうように、極く簡単なお話でよろしうございますが、ここだけをはつきりお伺いしておきたいと、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/3
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004・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) これはたびたび申しておりますことでありまして、清澤さんは今度初めて見えましたので大分その点は重複するところでありますが、重ねて申上げます。
我々は電源開発というようなものについては外資の導入を期待し、今日まで努力を継続いたしておるのでありまして、それに関しては大体希望が持てる状態に立至つておるということをはつきり申上げておきます。今お話の点で、外資が今日の段階に来たら何ぼ来るのだということをはつきり言えるのではないか、言えとおつしやいますが、この点は少し無理だと思います。私どもはいろいろな点について努力し、又最近ワールド・バンクの総裁等から新聞記者会見等に片鱗が漏れておりますところから御覧になりましても、ワールド・バンクの総裁がワールド・バンクの投資の際には電源開発等について一番先に考えられるということを言つておりますことは、我々の過去における、又今日まで継続しておる努力が現われて来た一つの証左であると御承知頂けば結構であると思います。併し、その間におきまして、電源開発というものは、これはこの計画におきましても五年なり、或いは第二期計画を加えて十年近くかかる。又、今外資の導入につきましても折衝し続けておるのでありまして、入るという見込みは確立しましたが、然らば、二十七年に直ちに着手するときに、最初から外資の金額がきまつておらなければならんかどうかということは、私は必ずしも当にならんと思うのであります。この点を混同されて議論されては困るのでありまして、電源開発のごときは、とにかく日本の産業の復興、又国民生活というものを少しでもよくして行くというためには、何としても日本の生産力を高めなければならん。その高める一つの要因としては、必要なる動力の開発確保を絶対的な必要条件といたしますが、外資が入らなければ、又それが今日確実に開発の前にわかつておらなければ計画が立てられんということでは困るのでありまして飽くまでもすべての経済の他の産業に対する金融その他の問題を考えてみまして、外資というものを仰ぐことが必要であり、それがために努力するが、着手の初年度その他におきまして、確定しない前において、それでは中止するかでは困るのであつて、それに対しては政府がしつかりと資金計画を立てつつ計画を進めることが必要なのでありまして、そういう意味合いにおきまして自由党提案の本案に対しまして政府は大体二十七年度計画において千二百億円前後の資金計画を立て、それに対して政府関係資金というものを六百十億出して、そしてこれをやつて行こう、こういう計画は立てなければならん、それを進めていこう、幸いにして初年度から早く何がしかの外資が入つて参りますれば、その間における電源開発に関する資金はゆとりができて、他の産業に対する影響も非常によくなつて来る、こういうことを考えつつ我々は努力し、計画を進めて行つておるのでありまして、その点ははつきりいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/4
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005・清澤俊英
○清澤俊英君 只今いろいろお伺いしまして少しわかつたようなところもありますが、まだ少し私としては納得しかねる点がありますので、くどいことになりますか知らんが、今少しお伺いしたいのですが、天体外資の導入についてはいういろいろ見通しがある、それも期待できるし、今まで努力もお払いになつていることはよく了承しております。そこで見通しがあるとしまするならば、大体どういうところからどういう形式において入る見通しがあるか。これはまあすぐとは角しませんが、そういう線がありましたならばお伺いしておきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/5
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006・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 外資の関係はいろいろ形態があることはこれは清澤さんも御存じだろうと思います。政府借款によるというような場合もありましようし、又政府関係と同じように見られる世界銀行からの導入もあるでしよう。その他一般民間からの外資の導入もあると思います。そのいずれによるかということは、それぞれの事態において私は違うと思いますけれども、一番考えられることは、先ず今日の場合におきまして世界銀行等から日本に融資をしてもらうということが一番早い、又なし得られようと思われる途であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/6
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007・清澤俊英
○清澤俊英君 そこで次にお伺いしたいのは、先ほども長官がお話になりました通り最近の新聞に日本も世界銀行に加入しまして、その結果として電源開発への借款が十年くらいの期間で千五百万ドルくらいができるのじやないかというような外国電報の記事が載つておりますが、これを見ますと大体調査やいろいろのことがあつて、仮にこれが実現するとしましても非常に期限がかかる。而も千五百万ドルと申しますと五十何億かにすぎない、こう思うのでありますが、それが約十年くらいの間に分割して来る。なおその導入の方法などが、この点は大蔵省の理財局長あたりからでも、長官からでもいいですが、お伺いしたいのですが、大体世界銀行等からの導入資金は、向うの成るべく物で来る方針になつておるのだというようなことも、東南アジアの開発調査等の際のアメリカ側の外資投資なり外国投資に対しましては、大体投資は自分の国内でできる物を投資する方針だというようなことを聞いておりましたが、この新聞から見ましても、米国では水力発電設備に対する国内の需要が多いために日本がこれを米国に頼ることは容易でない、こういうようなことが言われておるので、果してドルで若干貸して頂いてそれを国内に持つて参りまして、それを通じて国内の産業を援けて行くというようなことができるのかどうか。同時にこの千五百万ドルの日経の新聞記事につきまして、おわかりの点がありましたならなお詳しく一つお教えして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/7
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008・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 新聞に出ておりました千五百万ドルの記事のことはまだ私は承知いたしておりません。分けにまだ政府との間に何も話がありません。これについては何とも私ども申上げかねます。併し今のお話の中で多少誤解をされておるのじやなかろうかということは、輸出入銀行はアメリカの製品を日本へ持つて来て、それに対する、アメリカの輸出業者に対する金融関係、そのほうはそうです、あなたの今御指摘の通りワールド・バンクのほうは違います。これは必ずしもアメリカの製品を輸出し、その輸出業者に対して金融をつけるという関係じやなくて、ドルの信用状もやり得るわけであります。その点はよく御承知願つておきたい。然らば仮にワールド・バンクのほうで話が進んだとしても、この間も大蔵大臣から答弁いたしたのですが、これはすぐにドルで来る場合もありましよう。併し我々のほうといたしましては、電力開発を目指して信用状、クレジツトの設定ということができてさえおれば、日本の輸出関係で電力に必要なセメント等の輸出も今日五、六十万トンやつております。それが二十八年度になりまして、これがもう少し百万トン近くになるかも知れません。これはそのほうの支払いに充てる。そういうことをせんでも、いざとなると、施設さえあれば輸出すべきセメントをしつかりと電源開発に廻すということもできる。そうしてそれがために買入れるものに対して支払いが遅れれば、そのときは手伝つてもらうということも、いざ足りないならばそれを使うということもできる。又場合によつては機械器具の輸入に対して支払いのために代えてもよろしい。併し水力發電に必要な諸機械については、大体のところを見ますと、日本の機械メーカーのものがなかなか立派なものができるようであります。そういうものをたくさん輸入することによつて、今御指摘の日本の産業を圧迫するようなことはないと考えております。それから火力の発電設備機械等については、優秀なものが向うにあるという話であります。そういう場合には或いは具体的の場合によつて考えなければなりませんが、そういうものの輸入ということはあるかも知れん。これは今後の計画の遂行に関して、具体的にそれぞれ如何なる形によつて外資の導入を図るかということはきまるのだと思いますが、必ず金銭そのもので入れるか、或いは機械で入れるか、又すぐに今金銭の借入れをしないで、国内的にそれを目指して輸出すべきものの一部を電源開発に廻わす、いろいろ私は操作はできると思います。一概にきまつておらんと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/8
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009・清澤俊英
○清澤俊英君 私わからんからお伺いするのですが、先般大蔵委員会で、東南アジアの開発の際に大体アメリカの外国投資の方式は物でする方式で、その物がない場合には大体投資の対象に余り考えておらない、こういうようなことを聞いておりましたところへこの記事を見ましたので、何もこれが政府筋の公表とも書いてありませんので、国際復興開発銀行に近い筋が言明したところによればこうなつておるのでありますから、政府のほうとの御交渉等はないのであるかとは考えますが、非常に重要な記事でありますので、少しくどくなりますが、いま少し、仮に電源開発と離れた建前ででもお伺いしておかなければならんとこう思います。而もこれが電源開発と結んでの記事として、今申しましたような、米国における水力発電設備に対する生産能力が今ないのだから、日本がこれを米国より購入することは容易でないだろう。その次には日本は約六億ドルのドル貨を手持しておるから、世界銀行及び米官辺筋では日本はこの手持ドルを使用して水力発電設備を製造することができるのだから、そういうものに貸せないでいいというような結論も出ておりますので、その点で参りますと電源開発と非常な関係を持ちます。従つてまあ一つの新聞の記事にしか過ぎないのですけれども、最も情報網の民間より確立しておる政府筋として、これらに対するもつと詳しいことがわかつたらお伺いしたいと、こう考えておつたのが一つ。
いま一つは、この報道によりますと、僅かのものが非常にむずかしい調査等を経て、そうして相当の期間を置いて電源開発借款として十年くらいに分割して考えられるように書いてあるのでありますので、これでは殆んど、こういう情報が確かであるとするならば、そうひどい期待ができないじやないか、こう考えますので、おわかりになる範囲のものをこの記事についてお伺いしたい、こう思つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/9
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010・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 先ほども申しますようにその記事に対してはなんにも、公電も受けておらなければ、まだ公式に具体的になつての意見の発表でもないと私は思います。又その詳細をお話せよとおつしやつても、その点は申上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/10
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011・清澤俊英
○清澤俊英君 それではいま一つ突込んでお伺いしたいのは、政府として今まで外資導入に対して、而も世界銀行に対する非常な御期待を持つておられるように只今御答弁にもなつておりますので、政府が予想せられる将来の借款の形式並びに額くらいのものは成る程度目算という言葉はどうか知りませんが、自信のある範囲のものがありましたならばお洩らしを願いたいと、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/11
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012・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) さつき私は政府の考えておる形をお問いになつておるから申上げたはずです。直接に政府借款或いは民間とがあるだろう、その中で一番形としては世界銀行の形が期待できると、こう答弁しておりますがね。その点はよく御承知を願いたい。而してなぜ世界銀行が期待できるかということについては、従来日本だけでなくて、諸外国に対して十六ほどケースがあります。電力に関する開発会社等に対して融通をしたのは世界銀行でありまして、その間において融通する融通先の形としては、政府の機関である公社的なものが三つあります。それから政府出資による会社で政府が保証しておる会社に融通しておるのが九件あります。純民間の会社に対して融通しておるのが例外として一件あります。そういうふうな状態からいろいろ施策を進めまして、こういう形がよかろうということで今度の法律案ができた次第であります。而していろいろと我々の努力しておりまする事柄も、そういう線と結び付いて今まで努力しております。たまたま新聞に御指摘のようなことが出ておりますことは、世界銀行が過去の十六のケースにおいて融通した電力関係に対する投資の形が、同じく日本へ外資として出すならば電源開発に対して出ることが一番先であろうということを非公式ながら言つておられた新聞の状態を見て、私共が今まで考えておつたことが間違いなかつたと、こういうふうに私は思います。交渉の金額とかどうなるかというようなことは、これは相手方がありますので、今何ぼできるとかできんとかいうようなことは申上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/12
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013・清澤俊英
○清澤俊英君 どうも長官、ちよつと気を悪くしておられるのじやないかと思うですね。私はこういうことは不得手でありますので、先ほども申します通り、ちよつとくどいけれどもと、こうお教えを願つておるのであります。御趣旨はよくわかります。そこで私の是非聞きたいと思うのは、一口に言えば、長官を初めとしまして政府では、大体世界銀行がそういう今長官の言われたような状態に置かれて一番期待が持てるから、その世界銀行に加入したあとにおいて大体どれくらいのものが欲しいのだ、日本では十億ドルを、これにも書いてありますが、期待しておるようであるが、それは無理だと、こういうようなことが言われておりますので、果して十億ドルくらいのものを、言われておるような額を電源開発で期待しておられるのか、同時に、今出ております記事は甚だ根拠のないと言えばない記事でありますが、少くともこの記事を見ますと非常な重要性がある、政府では十億ドルも期待しておるが、それが第一回の借款許与額は多くて二千五百万ドル、おそらく償還十カ年条件で一千五百万ドルになるだろうというような記事を見ますとき、私どもは、多分に今長官が期待しておられたと同じ希望を持つております私どもといたしましては、非常な失望を感じますので、それで政府はどれくらい期待しているのだ、ところがまだ加入早々であり、正式の交渉もしておらないが、それでも逐次今までの交渉等の、非公式とかいろいろな交渉の御経過もあることであるから、まあこれくらいのものは自信が持てるとか何とかいうことがお聞きしたいと、こう思つてお伺いしておるのでありますが、できたら一つ親切にそういう点をお伺いしておきたいと思います。まあそんなくどいことは要らんと、こういうお話ならばこれで質問を打切りたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/13
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014・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 金額をどれだけ期待しておるかというようなことは、いろいろデリケートな問題でありますから申上げかねます。ただ一度に調査なくして直ぐにどれだけというような相当大きなことを期待することは如何かと思うのであります。併し向うの新聞に出ておりましたものは想像がつきますが、具体的な箇所につきましては調査をしてその具体的箇所ごとにきめて総額を考える、こういうような考え方であるように思う。従つて私は新聞に出た額は確定的にそれで直ぐ出るとか何とかということは今想像もつきませんが、相当に具体的な箇所の調査の上、必ずしもその金額の範囲内できまるとも思いませんが、どういう具体的な話の内容であるか、今後のことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/14
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015・清澤俊英
○清澤俊英君 それではこの問題は打切りまして、あと昨日お伺いしておきました総合開発と電源開発の問題で是非今一点お伺いしておきたい点がありますので、安本の係のほうでも、長官からお伺いできれはなお結構でありますが、総合開発の一環として政府は電源開発に対して極力これが早く成立して、開発が重要であるということはそれは今長官が申された通りでよく了承しております。従つて昨日私がお伺いしたことは、総合開発の一環とする電源開発であるならば、その総合開発が主になるなら、先になるなら変更せんければならんのじやないか、こういう私の質問に対しまして、電気の事情が、今日本の産業を中心にして、そういうことを待つておられないから、これを併行的に行いつつそれを完成してやるのだという御回答を受けているのであります。
そこで私はなおここで質問が同時に注文になるかも知れませんが、率直に申上げますといろいろ昨日もその答弁の中にありましたが、どの点が重要か、いろいろその地方の産業の情勢等も睨み合わせまして、電気の必要性等を勘案して、総合開発と併行な形で、まあ少しぐらいそれらが崩れてもやつて行かなければならん場合だからやつて行くのだ、こういうような強い気持のお話がありまして、私も場合によつたら止むを得ないものとも考えておりますが、実は新潟県のごとく大きな電源の所有地方といたしましてできました電気は全部県外へ送られてしまう。ダムができていろいろ水流の関係等が変つて用水路を変更せんければならんというので、多くの用水路の変更等で農民がこの一部を負担している。堰を切られまして水を止められる関係上、夏季になりますと渇水してしまいます。非常に渇水がして来る。そのために堤防にたくさんの鼠や或いはいろいろなものが集まつてしまいまして堤防に穴をあけてしまう。そこへ夏季の洪水でも参りますとその穴が中心になつて堤防の決壊がほうぼうに起る。被害は全部地方住民のほうにかけられる。できたものはよそへ持つて行かれる。而もその電源の重要な基本になりまするところの水は、我々が最も降雪に悩む雪からその有力な資源を得ている。そうしてでき上つたものは日本の産業の開発にこれはなるかも知れませんが、残された多くの農民は、何らそれに対しては期待ができない。これは何らという言葉はちよつと出過ぎた言葉で、社会の文化が進みますれば少しぐらいはありますけれども、川を埋めるような期待もかけられるかどうか、こういう状態が続いているのであります。従つてこれは新潟県だけの農民の要望ではないと思いますので、恐らく日本の農村地帯におきまする電源開発に対する要望は、その不合理に対する一つの激情的なものを持つているのじやないかと思います。だから全国農地協会の会長であります西さんの電源開発促進法に対する陳情書というようなものを見ましても、鬼怒川発電、近くは鬼怒川ダムの問題等、枚挙にいとまのない私が今申上げましたような矛盾が感ぜられておる。だから電源開発を実施する場合には治山治水及び利水等、国の総合開発の見地から行われるべきところであり、その総合調査に十分な慮りを払うべきであります、こういうて陳情しておられるのでありまして、我々新潟県の農民ばかりではなく、これは恐らく電源開発の下におります農民、各地方或いは電源開発のために部落全耕地を失うという場合さへしばしばあるのであります。こういう点から考えて見まするならば、ダムそれ自身ができますことによつて洪水を防止するというようなものくらい作つて、その洪水を防止して行きますことによつて、その設備を電源開発に利用するというふうなくらいのものを一つ作つてもらわなくては、我々はそろばんが合わない、これは大体日本の全農民の今考えている率直な意見だろうと考えているのでありますが、こういう問題を、少くとも総合的な立場に立つて、国土開発の総合的な立場に立つて電源開発をする、こういうときに先ほどの、先ほどというのは昨日の御回答に与りましたような、電気は今非常に必要なんだから、これは先ず第一にやらなければならん、そういうことも逐次加味してそれもやるのだ、非常に言われることに私は危惧を感ずるのであります。今まで私共電源の開発に、ダムの建設に、それまでの親切の考えを以つてやつてもらつたものは一つもない。従つてそういう経験のない一つの開発がここに新たにとり上げられようとしまするならば、昨日御答弁に与つたようなそういう簡単なお取扱いでは、それは治山治水も口で言うことは易くはありますが、それは実際において行いますには、容易な問題じやないと思いますので、この農地協会長が申しますような、現に全日本の農民が待望しております要望をこの開発に結んで頂きまするには、総合開発ともつと密着な、もつと具体的なお考えをお伺いしておきたいと、こう思いますので、甚だくどいようでありますが、この点をいま一度長官から一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/15
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016・福田一
○衆議院議員(福田一君) 清澤さんの御質問は大変結構な尤もな御質問だと私恩つております。実は私も北陸の福井県でございまして、あそこでは発電所がございますけれども、これはまあ御承知のように関西のほうに持つて行かれるというような工合でありまして、全く福井県や新潟県などというものは雪が降つて、そうして非常に困る。そうしていよいよ電気ができるとすればよそへ持つて行かれるというような事情で、却つて北陸地区は電気が高いというような逆現象さえ起きているのであります。そういう意味では私は実は県民の一人として被害者であります。又私も農村の出身でありましてあなたのお考えになつておられるお考えには非常に賛成をしておるのであります。
そこで私たちがこの法案を作りましたときに考えましたのは、電源の開発促進というだけから言いますれば、今電気の開発で一番必要なものは何かというと金なんです。金を付けてやればできるじやないかという問題になるのですが、電力会社にただ金を出してやるだけでは、今言つたような治山治水というような問題と関連して電源の開発をすることはできない。そこで国土総合開発というような意味において特にこれに重点を入れて、国の全体としての電源の開発を見て行かなければならないというので、そこで私たちは電源開発審議会というものを作つて清澤君が仰せられる、又農村の人たちが主張されておるような面を、この審議会を通じて強く反映さして、そうしてこの電源開発計画を立てるということが必要である、こういう意味合いで実は電源開発審議会というものが置かれておるのであります。これが非常に大きな理由になつておるのであります。そういう意味合いでございますから、先日から御説明申上げております通り、私たちは治山治水の面並びに農民の補償、灌漑に対する考慮、或いは又水が冷くなる場合における取入れ口の問題、そういうような農村の問題も十分この審議会で取扱うべきである、研究してそうしてしなければいけない、こういう意味合いで審議会というものは設けられておるのでありまして、私たちの考え方は、この点では全くあなたの御意見と一致しておる、かように考えておるわけであります。
ただあなたの仰せられまする御意見は、国土総合開発というものが先ず先行してきまつて、その次に電源開発をやるのが、これが筋じやないか、こういう御議論でございまして、これも尤もな御議論だと思うのでありますけれども、電源の開発は一日もこれをゆるがせにすることはできないから、成るべくこれは早くやらなければいけない、その場合においてもう三年も四年も前に国土総合開発の計画というものが大きくクローズ・アツプされておつて、もうすでにそういう案ができておるということになれば結構でありますけれども、現段階においては、今これと併行して結び付けて、そうしてそれが影響がないようにやつて行くより仕方がない、かように私たちは説明を申上げておるわけであります。但しそれは一般論としてさように申上げましたけれども、只見川なら只見川、庄川なら庄川、その他いろいろ例はございますが、そういう川の電源開発をいたします場合には、その発電所を作る場合には、今あなたの仰せられましたような治山治水の問題、或いは灌漑用水の問題、或いはその他の森林関係というような、いろいろな面を全部考慮して、これが電源開発をやつた場合に、どういう影響を与えるかということも十分この電源開発審議会においては一応調査をするわけであります。併しそれにも、まあそれと併行して、総合的にもつと大きな範囲で国土総合開発という画があります。ありますが、かなり私は国土総合開発と電源開発とはダブつた面が出て来るというか、調査、審議の対象においてタブつた面が出て来て然るべきであり、又ダブるのは当然だと思うのでありまして、私は清澤さんの御意見には全面的に提案者としては賛成をいたします。かるが故に電源開発審議会というものを作りまして、ここであなたがたが仰せられ、更に又農民が言つており、又提案者自身も主張しておるような、この治山治水、灌漑というような面、或いは補償の面というようなものも十分審議して、そうして農村の人たちにもこの不利益をうえない。又むしろこれによつて利益が与えられるような面を特に考慮いたさなければならないというのが我々の考えでございますから、あなたの仰せになりますところの総合開発が先行して、その次に電源開発をやらなければならないというその原則には、我々も御尤もだと思つておりますが、今電気を非常に早くやらなければならないという建前から見て、いたし方がなくこういうような併行的な立場に立つておるということを御了解願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/16
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017・清澤俊英
○清澤俊英君 只今の御答弁の最後ですな、お前の言うことは尤もだし、それも十分考えているが、併し電気の要ることは現実の問題で、このほうをせかなければならないということと、今の問題がここに来てちよつと切り離れておる。場合によつたら、電気が不足だからそれを起すためには、どうも場合によつたらそのほうが先になつてしまうのじやないか、こういう懸念が昨日から起つておるのです。だからそのところを今少し、そうあるべきものじやないと、こう私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/17
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018・周東英雄
○国務大臣(周東英雄君) 補足いたしますが、今清澤さんのお話のような意味では私は福田君の答弁はないと思います。言葉が少し足らんので誤解を招いた点があるのじやないかと思つて私から補足しますが、実は今度の電源開発促進法の中に、審議会の制度を設け、又第二条だつたか三条でありましたか、電源開発を或る地点において許すという場合においては、総合的な観点に立つてその場所がいいか悪いかということは、よく関係各省の間に調節をとつて、これを実行せねばならんということになつておるのであります。そのことは一面においては、あなたの御指摘のように、国土総合開発計画が完全に立つてからやる個所については、そこで調節がとれて行くわけですが、場所によつて総合計画がやや遅れているけれども、今福田君の申しましたように、電源開発を多少急がなければならないという場合もあるかと思う、そういう場合においてもそれじや電気だけささつとやつてよろしいということはやらせないぞと、その場所をどうしても先にやるという場合においては、将来に向つて今御指摘のように灌漑用水の関係はどうなる、又そこにダムを作るということによつて治山治水の関係が、またしつかり山が治まつていない所をやれば、どうしても砂が余計出て詰まつて、洪水を、水の誘発を起しやすくなるから、それに対して適当な措置を講ずべしと、或いは水産の関係で魚梯を同時にやはり付けなければ、遡河魚族の産卵のために上つて来るものが死んでしまうとか、まあ流木路を横に付けなければ木材を流すということについて、山林事業の上に非常に支障を来たすとかいうような、あらゆる面から、そこに特に電源開発地点として許す、ダムの建設を認める場合において、それぞれの処置を講じさせるようにこの法案ができておるのであります。でその点はまあこの運用の問題になりますが、少くとも今御指摘になつた点は考えてやられているつもりです。余計なことですが、又逆に今度は折角の国費を使つていろいろとこういう洪水調節をやるというような個所もできれば、そこに発電所を設けて電気の発電に使つたらどうかというようなことも今度は考えたのであります。従来はともすると電気の発電だけを考えると洪水調節のために作るダムの地点に発電所を作るよりも、別の地点をとつたほうが発電事業から言えば有利だというようなことがよく言われてなかなか調節がとれなかつた、今度は国の公共事業として、例えば藤原のダムとか或いは五十里ですか、利根の上流にある、鬼怒川の上流にダムを作るとか、これはもつぱら洪水調節のために作るダムでありますが、同時にそれを利用して発電をしたらどうかということを考えているのは、やはり総合開発計画の一環として折角できるダムをもつと国利民福のために有利に使いたいというような現われを持つているわけであります。で、もつぱら運用の問題に入りますけれども、今理論的に或いは制度的には清澤さんの御指摘のようなものは皆盛込まれておるのがこの法案であるということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/18
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019・清澤俊英
○清澤俊英君 それに関連しまして甚だ小さいことを申上げるようですが、只見川の開発の問題は新潟県の不動産計画とは非常な関係を以ちまして、関係地域の農民としましては非常な関心を持つているのでありますが、最近新聞などで見ますとOCIですか、技術調査団の調査結果が本流案が正しいのだ、そのほうがいいのだというような報道がせられてありますが、新聞の報道必ずしも全部私信じておりませんが、この調査の経路から見ましても我我が期待している方面の調査は全的に十分であつたとも考えられないし、同時にその電源開発がそれ自身の開発によつて将来生ずる食糧の増産等とも結び付けてのまだ御調査も十分でないと考えておりますので、新聞に言われるがごとく米国の調査団の調査それだけで御決定になるようなことは万只今の御答弁でないと思いますけれども、安心はしておりますが、十分県民の考え方響も御了承になつて、将来只見川の開発を決定せられるときは十分の御調査を経て御決定を頂くことを期待してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/19
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020・福田一
○衆議院議員(福田一君) OCIが調査をいたしまして、その結果が只見川について発表せられておるのでありますが、私の了承いたしまする範囲では政府においても又提案者我々といたしましてもOCIがどういう決定をいたされておりましようとも、それを鵜呑みにしなければならないとは全然考えておりません。これは新潟県、福島県、或いは栃木県いろいろ関係するところもございます。又それぞれの立場においての主張もおありになることだろうと思います。これは全般といたしましてそれこそ本当に国土総合開発という面と電気を早く供給するという面とをよくマツチさせて、そうしてうまく誰が見てもこれならば正しいのだというところへ落付けて、そうして実現いたすべきだと思いますので、OCIの調査には私たちはこれは資料としては一つの調査資料としてはこれは認めますけれども、決定を指導する材料だと、かようには考えておらないということをお答えして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/20
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021・清澤俊英
○清澤俊英君 まだ少し御質問申したいこともありますが、或いは議事録を少し勉強しましたら出て来るのじやないかと思う個所もありますので、先ほど速記をとめて申合せたこともありますので、人様の御迷惑に成るべくならんために私はあとに残されたものは多分速記の中にどなたかが質問をされて説明を受けておるのじやないかと思いますのでその後に讓つて、若しそれでなければ残されました機会に少しさして頂きたいと思いますので、何も質問保留というような強い意味合いでなく御採用願いたいとこう思つております。これは善意の申出でありますから、これで一つ今日の分は打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/21
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022・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) この法案につきまして今日なお質問される予定のかたはありませんですね。それでは先ほどの懇談の内容で言われておりました意見並びに只今の清澤君自身から言われました意見を尊重いたしましてあとの日程等は考えることといたしまして、電源開発促進法案に関する今日の議事は一応これで終了したいと思います。そこで最初申上げましたように本日の議題といたしまして経済安定本部関係の行政機構改革に関する御相談を申上げたいと思つておつたわけですが、時間がこういうふうになつておりますし、まあ問題も割に微妙な問題がありますから、或いは打合会なり懇談会なりというような方法のほうがいいかと思います。従いまして若し皆さんの御同意を得られまするならば一応休みまして、一時ならば一時頃から懇談会というような形で御相談を申上げたらどうかと思いますが、如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/22
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023・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) よろしうございますか。それでは特別の御発言がなければ今日の委員会はこれで閉会したいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/23
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024・佐々木良作
○委員長(佐々木良作君) それでは散会いたします。
午後零時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314073X01819520614/24
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