1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年二月七日(木曜日)
午前十時二十六分開会
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委員の異動
二月四日委員石原幹市郎君辞任につ
き、その補欠として草葉隆圓君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 梅津 錦一君
理事 井上なつゑ君
委員
草葉 隆圓君
小杉 繁安君
中山 壽彦君
常岡 一郎君
藤森 眞治君
藤原 道子君
山下 義信君
堂森 芳夫君
谷口弥三郎君
松原 一彦君
国務大臣
労 働 大 臣
厚 生 大 臣 吉武 惠市君
政府委員
厚生政務次官 松野 頼三君
引揚援護庁次長 田辺 繁雄君
事務局側
常任委員会專門
員 草間 弘司君
常任委員会專門
員 多田 仁己君
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本日の会議に付した事件
○小委員長の報告
○小委員会廃止の件
○小委員会設置の件
○小委員の選任の件
○小委員長の指名の件
○小委員の補欠選任の件
○社会保障制度に関する調査の件
(遺族援護に関する件)
○参考人の出頭に関する件
○請願及び陳情の取扱いに関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/0
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001・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) これより委員会を開きます。小委員長の報告を先にして頂きまして本日の日程に移りたいと思います。結核予防に関する小委員長の御報告をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/1
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002・藤森眞治
○藤森眞治君 結核予防に関する小委員会の経過について御報告申上げます。本七日この国会における第一回の小委員会を開会いたしましたが結核に関する問題もなお研究を要する点がたくさんあるのでございますが、この際結核予防に関する小委員会は一応発展的解消をいたしまして結核問題に限定されることなく、広く医療に関する諸般の調査を行う小委員会を設置して、そうしてその委員会において調査研究を続行いたしたいと、こういうことに相成りました次第でございます。以上御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/2
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003・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 以上の御報告通り承認することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/3
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004・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) さよう決定いたします。
次に看護に関する小委員長の御報告をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/4
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005・藤原道子
○藤原道子君 看護に関する小委員会の経過について御報告申上げます。本七日第一回の小委員会を開会いたしましたが、保健婦、助産婦、看護婦の待遇改善等なお研究を要する点も多々ありますが、この際看護に関する小委員会は発展的解消をなし、看護に関する問題に限定されることなく広く医療に関する諸般の調査を行う小委員会を設置し、その小委員会において調査研究を続行いたしたい、そういうことの結論に達した次第であります。以上御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/5
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006・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 以上の御報告の通り承認することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/6
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007・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) さように決定をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/7
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008・藤森眞治
○藤森眞治君 緊急動議を提出いたします。結核予防に関する小委員会及び看護に関する小委員会を発展的に解消し、新たに医療に関する小委員会を設け、その委員の数は九名とし、小委員の指名及び小委員長は成規の手続を省略して委員長の指名とせられんことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/8
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009・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 藤森さんの動議に対して賛成の御意見がございますがとり上げることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/9
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010・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 御異議ないと認めます。只今の藤森眞治さんから結核予防に関する小委員会及び看護に関する小委員会を廃止して、医療に関する小委員会を設け、なおその数は九人とし、小委員の指名及び小委員長は委員長に任せたいとの動議が提出せられましたが、藤森さんの動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/10
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011・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) それではさよう決定いたします。
なお指名の件は只今委員長一任の動議がございましたがそれで御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/11
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012・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) それではさよういたしまして小委員長及び小委員の指名をいたします。なお委員長として若干考慮すべき点がございまするので、当面当小委員会の運行上差支えない数を考えまして御指名申上げます。定員九名には現在みちませんが追つて追加して指名いたすことにいたしまして以下申上げます。藤森眞治君、井上なつゑ君、藤原道子君、堂森芳夫君、谷口弥三郎君、松原一彦君以上六名を御指名申上げます。次に小委員長に藤森眞治君を指名いたします。
次に遺族に関する小委員に石原幹市郎君の補欠といたしまして草葉隆圓君を指名いたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/12
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013・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/13
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014・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) それでは本日の日程に入ります。大蔵大臣の出席を求めておつたのですが、本日は衆議院の予算委員会、参議院の大蔵委員会のほうに出席をいたしておりますので、従つて本日は出席不可能との御通知でございますので御了承を願いたいと存じます。
社会保障制度に関する調査の一環といたしまして遺家族援護に関する件並びに国立病院地方移管に関する件を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/14
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015・山下義信
○山下義信君 私はこの際遺家族援護の対策につきまして厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
その前に吉武厚生大臣は参議院のこの委員会では初めてお目にかかるのでございますが、もうすでに御承知と存じまするが、当参議院、特に本厚生委員会の今日までの伝統的な気風は、必ずしも与野党というがごとき政党的対立の甚だしいところではないものであります。殊に厚生関係につきましては委員会は一致して常に協力する態度で参つているのでございます。あらかじめ御了承を頂きまして御懇切なる御答弁を得たいと存じます。殊に遺家族援護の問題に関しましては衆議院のほうも大変御熱心でございまするが、当参議院におきましてはつとに前年来熱心に心配をいたして参りました。本問題の促進につきましては院みずから決議等は言うに及びませず、関係方面との交渉につきましても極力努力して参りましたのでございます。従いまして本問題を今日まで社会保障制度の一環といたしまして問題が具体化いたしまするまで委員会として取上げて参りまして、その都度に建設的ないろいろな委員会、若しくは小委員会等の意見も政府に申上げまして今日まで参つているわけでございます。そういういきさつでございまするので私どももそういう態度をもちましてこの問題に今日も当面いたしているわけでございます。質疑いたしまする趣旨もその点にございまするのであらかじめ御了承を得ておきたいと思うのでございます。問題は非常に重大でございまするので一朝一夕に御所見を伺うことは到底尽しがたいと存ずるのでございます。本日は二、三の点につきまして伺いたいと思います。
すでに本会議におきまして本員も伺つたのでございますがなお十分要を尽しません。又他の予算委員会等の機会もあると存ずるのでございまするが、当面本委員会の所管でございますのでここであらかじめ二、三の点を伺いたいと思うのであります。第一は政府のほうにおきまして明年度予算に御計上になり、御計画に相なつておりますこの遺家族援護対策でございます。なお具体的なものを公式に本委員会としては政府からの御発表を承わつていないのでありますが、小委員会におきましては引揚援護庁長官を通じまして一応の説明は承わつておるのでございます。併しながら新聞紙その他を通じまして承知いたしているところを見ますと、予算案に盛られてあります政府のお考えにつきまして今後或いは又俗に何と申しますか練り直しと申しますか、その具体的な内容につきまして実施までに何かお考え直しになるという報道も新聞等に現われておるのであります。すでに政府のほうにおきましては御方針が決定しておりまするか、或いはなお御考慮中でございまするか、もう具体的な点までも決定を見ましたでしようか。先ずその点を承わりたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/15
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016・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 只今山下さんから本参議院の厚生委員会において特に超党派的に御審議を進めてきておるというお言葉でございまして、私ども皆様がたの各党の御協力をお願いしてやまない次第でございます。只今の御質問の遺家族の対策でございますが、今回の遺家族対策の予算といたしまして、一つは遺家族の援護の問題と、それから傷痍軍人の援護の問題と、それから英霊に対するお祭、育英等の予算が盛られまして、予算といたしましては二百三十一億、そうして一時金として公債を八百八十億予定いたしているわけでございます。今お尋ねの遺家族の件につきましては、大体政府が予算的措置を講じました構想としては年金は妻子に限つて年金を出す、父母、祖父母等の年金という点も考究いたしましたが相当多額に上りますので、止をむ得ず妻子世帯に限りましてそれは未復員者給与法の例にならいまして基本を千円として未亡人のかたに六百円、第一子のかたに六百円、そうして第二子以下は四百円ということで予算を見積りまして、その予算が大体百五十六億余りになるわけでございます。そこで父母、祖父母につきましては一時金として一人五万円と予定いたしましてこれが八百八十億になつておるわけでございます。それは予算的措置として一応そういうふうに内定しておりますが、法律も急いで出したいと思つて今検討しておりますが、法律を出しますまでになお検討の余地があれば検討してみようかと思つていろいろ検討をいたしております。併し予算を増額いたしまするならばいろいろ案もございますけれども、なかなか検討はいたしてみましたけれどもなかなかいい案というものも実は今のところ見つからないような状態でございまして、ただ一般の遺家族のかたの要望や各方面の要望を聞いてみますと、一時金を父母、祖父母に対して一人五万円というよりは、一柱に五万円という支給をしたらどうかという声が相当強いように思えるのでございまして、この点につきまして今そうしたら予算がどういうふうになるだろうかという点をまあ検討しております。年金のほうはどうも父母祖父母等に年金をといつてもそれは到底むずかしい状態でございますので、元来今回とりまする処置もこれを以て恒久的にということではございませんで、根本的には恩給その他とも併せて検討をすべきものでございまするので、いずれ審議会等を設けまして御審議を願いたいと思つております。併し何といつても七年間遺家族のかたに対しましては国家として今まで何にもいたしておりませんので、差当り今回の予算措置で遺族のかたに一応不十分だけれども何らかの処置を講じようと、こういう心組みでございまするので、今のところは年金は母子世帯に限つて未復員の例によつて行く。それから父母、祖父母の一時金につきましては、先ほど申しましたように、一般の御意見としてはどうも一柱に五万円のほうがよくはないかという声が相当強いようでございまするのでその点は目下考慮中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/16
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017・山下義信
○山下義信君 そういたしますと、大体政府のほうの案は、この遺族一時金の点を父母、祖父母一人というお考えでありましたのを、戰歿者一人当りにするかどうかということが御検討中でありまして、他は大体御予定の通りにお変りはないというふうに了承いたしたのであります。申すまでもございません、非常にこの対象者が多数でございまするし、問題が非常な重大な問題でございますだけにいろいろ影響も大きくございます。例えば只今政府の考えておられますることは、今も大臣がお述べになりましたようにこれは暫定的である、まだ本格的なことはこれから審議会を作つて検討するんだというお考えと只今拝承いたしたのであります。そういう政府のお考えでありまするとこの問題はいうまでもなくこれを以て解決したものではなくして問題は今後に残されたことになるわけでございまして、関係者は非常に関心を持ち注意をいたし続けて参るわけでございます。衆議院のほうの予算委員会でこれも新聞で拝見したのでありまするが大蔵大臣の御意見としては、今年度のこの措置は本格的にこれはやり始めたのであるというような、つまりこのやり方で行くのだ、まあ財源が許せば金額その他の増額は今後の問題であるが、大体これが本格的に着手したものだというような御答弁があつたように拝見いたすのであります。一応これが暫定的な処置であるということでございますが、それはこのたびお考えになりましたこの行き方、この制度の建前、これも暫定的でございましようか。金額が暫定的でございましようか、この制度の建前それ自体も暫定的でございましようか、その辺も伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/17
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018・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 先日衆議院の予算委員会で私も出ておりまして大蔵大臣からいよいよ本格的に取上げることになりましたという言葉がございましたが、言葉の真意はどうでありましたかは実はか私ら申すのもどうかと思いますが、私の聞いておりましたのは今まで軍人遺家族だからといつて取上げられなかつた、これは御承知のような事情で取上げられなかつた。それがいよいよ講和も済み近く独立をすることになつたのでまあ大つぴらに取上げることができることになつたのだという意味で私は本格的という言葉を使つたのではなかろうかと、これはまあ私の推察でございます。
そこで将来の問題でありますが、将来どうなりまするかは実を申しますと御承知の通りに現在軍人恩給につきましては停止中でございます。それで停止中でございますから将来はどうしてもこの問題は再検討をされる時期が来るだろうと思います。それで政府としてはそれまで待てませんので一応こういう処置を講じたわけであります。将来先ほど申しましたように審議会でこれは軍人恩給とも合せて出て来る問題でございます。昔の恩給そのまま復活するということは財政の面から行きましてもいろいろ検討を要する問題であると思いますがそのときにいずれこの問題が出て来るではないかと思います。従いまして私はその意味で暫定という言葉を使つたわけでありますが将来恩給の問題として関連したときに、どういうふうな案になつて来ますかは、私ちよつと今ここでは申上げかねますし、又私自身も今そういう案は持つておるわけではございませんので、いずれ皆様の御意見を聞いて慎重に一ついたしたいとかように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/18
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019・山下義信
○山下義信君 そこで政府の本格的にというお言葉はわかりました。軍人遺家族の問題を本格的に取上げることになつたという御趣旨御尤もであります。つきましては明年度政府がこの予算でなさろうとする、そのやり方でなさろうとするその対策のお考えは大体どういうふうなお考えでおやりになろうとするのでございましようか。私は長い時間をここで使いましてこの遺族援護の理論的の点について論争しようという考えはないのでありますけれども、これは他日法案そのものが出ましたときにゆつくり伺うつもりでありますが、一応伺つておきたいと思いますことは、ここに遺族年金或いは遺族一持金等の方法をおとりになりましたのはどういうお考えでございましようか。而も暫定的であると、根本的な対策は今後十分検討してやるのだということになりますると、明年おとりになろうとします対策はどういうお考えの性格のものでございましようか。明年一年だけを限つて遺族のかたがたに国の誠意を尽して一応お慰めしようという俗に申します弔慰金というようなお気持で、ただ年金とか一時金という二種類、遺族のかたで申しますと二種類になつておりますがこういう処置をとつたのだが、必持を含めて一応弔意を表するというお気持でございましようか。それともこれ又一には国家保障の具体化したものであるというようなお考えでございましようか。その辺の根本的な政府のお考えはたとえ暫定的であつてもそこに確たるお考えがあるはずであると思います。従いまして今政府のおとりになろうといたしますその対策の性格は一時遺族に弔慰の誠意を表するのだというお考えでございましようか。それとも何か筋の立つた、ただ金額が伴う伴わないは別であるけれども、考えの上には何か一貫した筋の立つたお考えを持つてお当りになつておられるのでありましようかどうか。この対策の政府の根本的におとりになりました御態度について承知させて頂きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/19
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020・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) これは衆議院でも又参議院でも質問もございましたように、国のために命を捧げたのであるからその遺族に対しては、国家が補償すべきでないかという意見が強いのであります。私どももこういうかたがたに対しては、国家が義務として補償をするのが筋合じやないかと思うのでありますが、今度の予算措置について国家はこれは補償だとこう言いましても、御承知のように金額といたしましては国家補償というほどの実は予算でもございません。そこでそうかといつて遺族のかたをもうこれ以上放置することを許しませんので、国として何らかのそれに対する援護をさしのべなければならないということで、まあ差当り援護ということで出したわけでございます。その筋といたしましては遺族のうちで一番何といつてもお気の毒なのは未亡人のかたであり遺児である。従つてこのかたには何とかして年金として毎月何がしかのきまつた援護というものを早く打立てて行きたい。できれば父母、祖父母等にもそうすべきでありますが、何分数が多く予算に限りのあることでありまするので、これは一時金で以て行こう、こういうことで出発しておるわけでございます。従いましてまあ本格的にこれを取上げて行くのはいずれ恩給の問題とからみ合つて出て来ると思いますが、筋としては全然行き方が違うというふうにも行かないので、考え方といたしましては今言いましたように遺族のうち特にお気の毒である未亡人、遺児のかたには年金で進んで行く、そうしてまあ父母、祖父母のかたには年金で行きたいところだけれどもできないので公債で一時金という恰好で行こう、こういうまあ構想であります。これが先ほど申しましたように皆さんの御意見で父母、祖父母については一人幾らというよりは、英霊一柱のほうがいいじやないかという御意見になりますればその点も考慮しなければならんと思いますが、そういう場合におきましても父母、祖父母のかたで大体公債と申しましてもいつまでも現金化しないというわけに参りませんので、まあ大蔵大臣と相談いたしておりまするのは大体十年計画で十年間に現金化して行く方法をとろうじやないか、そうして而も父母、祖父母の中で特にお気の毒なかたに対しては十年をもつと縮めて例えば五年ぐらいでも償還のできるような途も一部には講じたらどうか、かようなまあ構想を持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/20
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021・山下義信
○山下義信君 この今大臣のおつしやつた国家補償というのにしては金額が十分でない、こういうお言葉でありますが御尤もであります。金額の面だけから申上げますと、国家補償というのは手厚くするのだ、そうでないのは手薄いのだという金額で区別がつくかつかんかは別といたしまして、私どもの考えでは何も金額でなくても国家補償の性格であるか或いは社会保障的な性格であるかということは私は金額ではないと思う。補償とか援護とかいうものは極めて薄いものだ、国家補償というものは手厚いものだ、そういう考え方のものじやない。それならば国家補償でやるものは現行の法規の上でもたくさんあります。それが皆手厚いかというと必ずしもそうではないのであります。それで金額のみにはよらんのであります、やり方である、やり方なら国家補償的なやり方というものがあることは、これはもう大臣の御承知の通りであります。そこで私どもはこの金額的な予算的な措置は暫定的ということはできるけれども、その考え方に暫定的な考え方というものがあろうはずはないのであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)戦争遺家族に対してどうするかという考え方は昨日今日に始まつた問題ではないのでありますから、今頃になつてそろそろ考えてみようというのじやないのでありまするから、政府のほうにおきましてはこの遺家族の援護対策はどういう考え方で行くかということは、これはあるべきはずなんであります。而も国家補償という行き方は金額のみではない、又国家補償といえばすぐに恩給に結び付ける、恩給以外には国家補償的な性格の対策というものはないかというとそんなものじやございますまい。いくらでもあるはずでありますから、例えば社会保障的な行き方になれば生活というものを対象にしてこれに対する対策が中心になる。国家補償的な行き方というものになれば貧富の懸隔を問わずして国家が補償すべき建前でありますから、相手方を見なくして国家の而もお手前のほうで考えて、財政のできるだけ平等にその損害に対して行うて行こうということも、国家補償的の性格の一つでございましよう。でありますから今回の御対策の中にはその点を考えてみますると、政府のお考えがはつきりいたさない。国家補償的にといつて遺族がたのほうの俗語になつておる。あの人たちの国家補償的なということは、金額の多いことを言うか、金額にはよらないことでありまして、そういうことが私は政府の方針に暫定的の考えがあろうはずはないということを思うのであります。政府のほうはそういうことに対してお考えがきまつておるのかきまつてないのか、今日まで御研究をなさつたのかなさらなかつたのか。殊に私は吉武厚生大臣に期待するのはあなたは自由党の政調会長として長く党の政策審議を御主宰になられて、この問題については政調会長当時から御心配下されたので、もう一定の理論は十分御研究尽されたものがあつたんではないかと考えるのであります。
それで質問者といたしまして私のほうが多弁は用いませんが、この暫定的なやりかたは私は将来非常に混乱を起す、先へ先へ期待、希望をつながせておいて行くことというものは、金額は財政の許す限りよろしうございまししうが、制度そのものが一年やつてみてはこれは暫定的だ、そうして審議会へ持つて行つていろいろ考えてみて又来年考えかたを変えるんだということは大混乱を起す。私はいやしくも政府が軍人遺家族に対する戦争後の援護の対策を立てるのに年々そのやりかたが変るなんということは、これはあるべきことじやない。而も遺族年金というべき年金制を立てて厖大な事務を扱う、そうしてそれが又一年もたたん間にやりかたが変るなんということになりますとこれは非常に大混乱を起すことであろうと私は思うのであります。「同感」と呼ぶ者あり)やはり或る一定の制度の下に立てて逐次改善して行くとか逐次金額を増額して行くということはあり得られましても、いろいろ制度の根本的の改変を他日行うということになれば、これはいつまでたつてもいずれを以てよしとするか、対象者も次から次へといろいろな希望を巻き起しまして果がないことに相成るのであります。で政府のほうにおかれましては、十分今日までに御研究がなされなかつたのであるかどうか、一定の方針があるのであるかどうか、これを国家補償といえばすぐにこれを恩給法に直結するという必然的な理由がどこにあるのであるかという点だけは承わつておかないと、暫定的々々々というがごときことは私は非常にこれは考えなければならんことであると思う。何を暫定的と考えておるかということだけは明確にいたしておきませんとこの援護対策のやりかた、制度そのものが、これは一応ここ一年間ぐらいのことであるならば、こういうやり方をしないで、年金とか一時金とかいろいろな制度を立てないで、この際一柱十万円なら十万円という誠意のある弔慰金を一応差上げておきまして、一カ年間それによつておとを弔い、いろいろなお家族の御用に便宜を与えて根本的に制度をお立てになるならば明後日でもよろしいから、ここで遺族年金というごとき制度を立てておいて、その支給の対象者はこうだとかいろいろな諸規則を作つておいて、そうしてそれを実施して或いは郵便局を通じて或いは受給者を定め、いろいろなことをやつてそれを実務に移しておいてそれを改変するがごときことを一年後に行うがごときことは、これは非常に禍いを起すものであると考えますが、それらの点につきまして政府のほうはどうお考えになつておられますか承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/21
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022・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 山下さんのお話のように国家補償は必ずしも金額でないから、この金額でも国家補償と言えば言えるじやないかという点はそう言えるかも知れません。併しながらやはり国家補償ということになりますれば、その名前に値するものというものはやはり考えなければならないじやないかという気もいたすのであります。それからこれを国家補償としてそうして恩給は何もとらわれないで別に考えればいいじやないかというお説でありますが、それもそういうことにいたせばそれもできんことはないでありましようが、現在軍人恩給、遺族扶助料の制度というものはなくなつているわけじやございませんで支給せずということで停止されている状態であります。でありまするからそのほうはもうなくしたのだということであれば又別の本格的なものをここで立てて、たびたび変えるということをしないほうがいいじやないかというお説も仰せ御尤もだと思うのですけれども、その恩給の問題は将来どうするかということは相当重要な問題でございまして簡單にやれるというわけにも参りませんので、そうかといつてここですぐ三月や半年でなかなかきまりにくいのじやないか。その間遺族の対策はもうすでに七年もこういう状態になつて来ておりまするから理論はどういう理論になるかは別といたしまして、とにかく遺族のかたに国家として何らかの援護の方法を講ずべきじやないかということで出発しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/22
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023・山下義信
○山下義信君 私は先ほど申上げましたことで議論しようと思いませんが、大臣の只今のお考えの中に混線しておいでになることがあるのではないかと思うのは、いわゆる軍人恩給としての家族扶助料等の既得権ということと国家補償ということとは私は必ずしもではない。それは一つは恩給関係は既得権の問題であり、私の言う国家補償というやり方は必ずしも既得権でなくても、改めて国家補償的な制度のやり方はあるという考え方を言つておる。なお私は政府が国家補償という建前で遺族の援護をやるということになつて参りますると、戦争の犠牲になりまして身体、生命を損傷いたしました犠牲者は何も軍人に限らないと思うのでありますが、軍人に対してのみ国家補償の必要があり、その他の戦争犠牲者に対しては国家補償の必要はないという考え方は納得いたしがたいのでございますが、その辺は厚生大臣はどうお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/23
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024・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 戦争犠牲者と申しまするとお説のように軍人遺家族ばかりではございませんで、徴用工でございまするとか或いは学徒動員でありますとか実にたくさんございます。併しその問題を同時に全部拾い立てて行くということになりますると今日の日本の財政状態ではなかなかむずかしい問題で、そうかと言つてその問題が一緒に解決されるまでこの軍人遺家族のかたに待つて頂くということもなかなかこれはできがたいのじやないか。従つてまあ差当り軍人遺家族のかたがただけに何とか方法を講じようということで進んでいるわけであります。それでは将来そのほかの犠牲者に対して処置ができるかどうかという問題は、これは私なかなかむずかしい問題だと思うのです。と申しまするのは戦時中における国家の犠牲になつたというかたはもう末期になりましたときは殆んどあらゆる面に出て来ておりまして、どこの線までが国家で補償すべきであるか、どこの線からは補償せんでもいいということは、これはもう非常にむずかしい問題じやないだろうか。従いまして差当りまあ軍人及び軍属の範囲についてとり上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/24
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025・山下義信
○山下義信君 範囲の問題はお説の通り非常に困難な問題でありますが併しながら困難でありまするだけに非常に重大な問題だと私も考えております。殊に当参議院の我々の意見といたしましては、そういう遺家族援護の対策は言い換えますると戦争犠牲者でございまして、これに対しまする対策というものは非常に全般的に見て公平な御処置がなされなければならないことは我々の信念として持つていることでございます。その点は衆議院側と空気が違いますから大臣は特に御注意を願わなければなりませんが、いつもこういう質問のときには御調査は拡げて行けば際限がないということをおつしやる。そうして非常に多数になつて来てとても財源が伴わんということをおつしやる。私ども若しそういうことをおつしやるときには実際に正確な資料を以ておつしやつて頂きたいと思うのであります。そういう言葉を雑駁に通俗語でおつしやると事情に精通しない者は如何にもそういうふうな感じがしまするが、併しながらこれは理想から申しますれば軍人といわず市民といわず、その犠牲が戦争といわず戦争以外の行為でありましても今次戦争中に犠牲を受けました者をことごとく償いたいということは、政府も私どももそれは心から望むことでございまして、できればかのドイツに近き、それ以上のことを望むわけでありますが、而もそれ以上のことはできないということは言うまでもありません。併しながら線を引こうとすれば引き得られます。それは公務によりまして強制的に政府から徴募せられまして軍人と同様に自己の意思によらずして国家権力のために強制せられて軍務に服し、或いは軍務に準ずる業務に命令によつて服し、而も直接戦闘的立場に置かれて身体生命を落しましたそれらの犠牲者ということになりますれば範囲は極めて明確でございます。どこまで拡げていいかわからんというような雑駁な言葉で片付けられるべきものではないのであります。而もそれらの犠牲者は幾ばくあるかということの数字も出ている。それが非常に多いというようなことは言い得られないと思う。例えば学徒にいたしましても一万有余、徴用工にいたしましてもあなたは労働大臣を兼ねておられますからよく御存じでありますが、徴用船舶の海員に対しましても二万有余であります。恐らく全体を引つくるめましても五万乃至十万の範囲でございましよう。十万以上出るということは恐らくありますまい。政府におかれましても相当な御調査がありましよう。私どもも調査の資料を持つております。恩給局も調査をいたしております。その十万以下の者が入るか入らないかということが学徒で申しますと全学生、教育界に影響があります。僅か一万、二万の僅かの徴用工が入る入らないは全部労働者の士気にも関係がございます。一般の国民といたしましても、その対策が軍人だけに限られるものか限られないものかというようなことにつきましては、非常にこれは国民に及ぼします必理影響は大なるものがあるわけであります。そういうことでございまするから政府におかれましても是非この点は御留意を願いまして正確に御調査にも相成り、できるだけの対策を御考慮下さるように願わなければなりませんが、これは大臣は幸いに労働大臣も兼ねておられるのでありますが、将来これらの対象者の範囲の問題につきましては十分御調査を頂き、御留意が願われるか願われないかということをこの際承わつておきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/25
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026・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) お話の通りでございまして、公務で犠牲になられました範囲につきましても、御指摘になりましたような徴用船員或いは軍及び管理工場に徴用された徴用工員、それから学徒動員も相当多数でございます。併しこれもやはり公務で動員されたことでございまするから国家として考えなければならんことはこれは当然だと思うのであります。従いまして私どもも今後調査もすれば努力もいたしますが今からここでどうするということを申上げることは私としてはまあできませんけれども、お話のように公務のために犠牲になつたものであるということは十分考えなければならないことと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/26
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027・山下義信
○山下義信君 次は未復員者のことでございますが、未復員者給与法というものをこれをこのたびの遺家族援護の対策をお立てになるに関連いたしまして、何らかその処遇その他につきまして十分御改善に相成るように承わつておりましたのでありますがそういうお計らいをなさらんようであります。と申しますというと従来のようなだけの扱いをなさるかというと、今回の二百三十一億の予算の中に入れて遺家族援護の対策の一環となされておるようであります。予算上の措置は金額は同様でありますが、その枠の中に、対策の中にお入れになり、而もその実態は旧態依然としてそのままに残して置かれましたことは甚だその御処置が不十分はでないかという考えがするのでございますが、未復員者の留守家族に対しまする対策はどういうお考えでございましようか、承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/27
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028・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) お話のように未復員者の予算の立て方は今まで別に未復員者給与費として掲げておりましたのでありますが、今回はこれを遺家族等の援護の予算のほうに一括して計上しております。併しそれは予算の組み方がそのほうに掲げただけでございまして、未復員者給与法はそのまま残しまして現状通りやつて行くつもりでございます。ただ若干その額が少し減つておるのでありますが、それは未復員者の数が減少しただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/28
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029・山下義信
○山下義信君 私は未復員者の留守家族という立場で、今のような現行の給與のままで置いたのが援護が十分なのであるか。或いはこれを真に遺家族援護の対策の一環とするならば、この留守家族の援護対策を根本的に考え直しましてもつと手厚くする必要があるのではないかと、こう考えたのでありまするが、手厚くしないで遺家族援護ということがたやすく行えるのだ、ということでその予算の中に入つておるが、正体を見るともとのままであつて、政府のほうではこの未復員者の留守家族、留守家族といつてみてもこれは本当は或いは戦歿者の遺族になつてしまうかもわからんのであるから、今までは留守家族、留守家族といつて、僅かの本人給與と家族手当でなくしてこの際戦歿者遺家族がいろいろ手厚く行えるその対策の一環の中に入れるならば、入れたような実質的な処遇の向上改善が図られるのであるかと期待いたしておりました。ところが一向そうでないことになりましたのはどういうわけでありましようか、こう承わつておるのでございます。何か将来未復員者の留守家族の処遇につきましては十分これを手厚くするというお考えがありますかどうか。これが戦歿者ということの判明するまでは今のままの薄い待遇でいつまでも待たしておくのであるかということを伺つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/29
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030・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 御尤もであります。従いまして未復員者給與の基準にこの遺族のほうの母子の援護も合わしておるわけでありまして、御指摘のように現在の未復員者給與法も基本給が千円でそうして妻が六百円、第一子が六百円、第二子から四百円という状態でまあ四人家族にいたしましても三千円そこそこで私どももこれで決していいとは思つておりません、十分だとは思つていないのであります。従つてまあ数次に亘つて改善はして来ておるわけでありまして今後とも改善すべきだと思います。併しまあ何分実は財政の点もいろいろ窮屈な状態でございまして、今回に改善ができなかつたことは甚だ遺憾でございますけれども、将来まあ財政の許す限りこれも改善して行くべきものじやないかと、かように今存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/30
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031・山下義信
○山下義信君 大臣、これは私は惡口を言うのじやありません、惡口を言うのじやありませんが、これは余り狡猾なんですよ。これは遺家族の援護対策の支給基準をどこに置くかと言えば、未復員者給与法とバランスをとるようにしてそこから基準を持つて来たのだと言つて、そうして二百三十一億の予算で抑えておいて、そうして未復員者給与法は今のままにしておいて、若し未復員者給与法を十分にするならば、その基準を持つて来たら遺家族援護のほうはずつともつと今の二百三十一億よりは厚くなるはずなんである。その基準の未復員者給与法をいじくればその基準がまあ遺家族の援護のほうに及ぶからといつて未復員者給与法をそのままにしておくということは、これは狡いやり方とでも言える。そういう惡意は政府のほうではおありになろうはずはございませんけれども、私どもは未復員者給与法はいつまでも置くべきじやない、すでに講和条約ができて発効して未復員者というものがあろうはずばない。そういう建前のものでなくしてそうして本人給与というようなものも、当時の引揚者、未復員者を如何に処遇するかということで、大臣御承知のごとく、関係方面等の関係もあつて、本人給与先渡しに渡すという建前になつておる。その制度は今は講和条約ができて、発効しようというときに、占領政策の治下で抑えられた形のものを残しておくということは私は筋としてこれは妥当でない。でありまするから又遺家族のほうは少額でありましても一時金がここで下つて来て、それは死亡確認ができましたときには戦歿者のお扱いとしてこれに準じまして、やはり未復員者のほうも死亡通知書のあります都度に一時弔慰金も出ることであろうと思いますが、一応遺族のほうには弔慰金があり又このいろいろな他の処遇がそれに附随されているのに、未復員者の留守家族のほうは従来のままであるということになりますと何だか俗にいうさびしい気持がする。これは速かにこの未復員者留守家族に対しまする処遇は一段と御考慮にならなければならんと思いますが、大臣はその点御努力下さいますでありましようかどうでありましようか、念のために承わつておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/31
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032・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 先ほど申しましたように、これは将来努力すべきものであると私も十分気をつけて行くつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/32
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033・山下義信
○山下義信君 あと一つ、二つでございますが、支給方法のことでございますが、細かいことはいずれ法案の御提出のときに承わりたいと思いますが、なお忘れんうちに伺つておきますのは、この今回の援護に関係の立法の法案はいつ頃御提出になりますでございましようか、当院におきましてもこの見通しを承わつておきたいと思います。そこで遺族年金の支給につきましては、これはいろいろな支給の方法をお考えでもありましようと思いますが、年金を分割して与えるというような方法をおとりになりましようか。そういう点も細かいところはもうすでに政府のほうでも研究がすでにおきまりになりましたでしようか、年金の支給方法等について承わりたいと思うのです。なお関連いたしまして、私は非常に重大な問題としてお尋ねいたしたいと思うのは、遺族年金の支給の対象でございまする妻子でありますが、妻というものに対しては再婚いたしましたような妻はもうお認めになりませんのでしようか、如何でございましようか。死亡当時は本人の妻である、戦歿当時の現在を基準といたしまするならば、死亡当時は戦死者の妻でありましたとか、今日は終戦後から七年でありますから終戦前の戦死当時を加算いたしますと、十年、十五年経つた妻もありましよう。若しその妻が再婚いたしておりましたならば、それはどうなりましよう。又再婚した妻が再び離縁、若しくは婚家先の再婚の夫が死亡いたしまして元の寡婦に返つておる、いろいろ妻の身分に私は変動が非常に多いと思いますが、それらに対しましては政府のほうにおきましては、どういうお考えを持つておられましようか、承わりたいと思います。
なお遺児でございますが、遺児といたしましても、又他家に養子に参りました等の遺児がたくさんあると思います。或いは里親にかかつております遺児もございます。そういう子供にいたしましても、身分等の変りました子供に対しましては、どこまでも探し出して追求いたしまして支給されまするか。それらの妻子は戦死者の家族内に残つておりませねば支給いたしませんか、その辺のお心遣いはどういうふうになつておりましようか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/33
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034・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) この支給に関する法律の時期でありまするが、これはできるだけ早く出したいと思つております。今何日ということは申上げかねますが、できるだけ早く出したいと思つて今急いでおります。
それから支給の方法の御質問でございますが、この未亡人のかたはやはり他家に再婚された者は含めないつもりでございます。従いまして遺児につきましても、他家に入りました者は一応入れない考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/34
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035・山下義信
○山下義信君 この法案の出ますのはできるだけ早くということでございますが、およそいつ頃でございましようか。大変重大でございますのでお見通しを承わつておきたいと思います。
それから再婚した妻には支給しないということは、これは私は非常に重大な問題と思いますので、若し政府が考慮の余地がまだあるようでしたら御考慮願いたいと思います。これはすでに先例となつておりますドイツあたりを見ましても、再婚いたしましても戦死者の妻でありました者には相当のことがされた。殊にいわんや再び寡婦となつて帰つて来ました者に対しましては、ドイツの例を見ましてもやつております。これは婦人の身の上はいろいろな家系の点から家族制度の関係もさまざまでありまして、例えば御承知のごとくアナタハンの一例を見るまでもなく、戦死者が弟であつてその妻が兄の妻になつた者もあり、兄の妻であつた者がその人の弟の妻になつた者などもありまして、等しく再婚と言いましても人道上から行きましても、これを支給の対象にしても憚からないという例も多々あるのであります。この妻でありました者の婦人の立場などから考えられまして、支給の対象上それは十分の御考慮をなさなければ、非常に私どもは折角の遺族対象というものが戦死者の妻であつた者、戦死者の子供であつた者に及ばずして、妙なところに参りますようでは国家の意思が届きませんので、十分御考慮願わなければならんと存ずるのでありますが、再婚の妻には与えんというがごとく簡單に片付けるべきものではないと思うのでございますが、なお技術的に御考慮の余地がありましようかどうか、今一度承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/35
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036・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 只今の御意見御尤もの点もあると私思います。今のところはいろいろ研究いたしました結果、一応入れない考えでございますが、なお検討いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/36
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037・山下義信
○山下義信君 次は育英費でございますが、これも非常に大きく社会も要望し、私どもも要望し、すでに参議院におきましては、前国会におきまして遺児に対しまする育英の立法も引揚委員会その他で企図されまして、本厚生委員会も協力いたしまして努力いたした経緯もあるわけでございます。これが僅かに七千万円足らずということでございますと、殆んど私どういう対策をおとりになりますのか、この了解に苦しむのでございますが、一体政府は遺児の育英についてどういう考えを持つておられますのか、そのお考えを承わりたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/37
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038・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 遺児の育英につきましてはこれは重大なことで、考えなければならんと思うのでございますが、実は今回の予算措置で六千八百万円ほど追加計上いたしましたが、実は元来育英費として二十八億ばかり一般の育英費として組んでございます。この中にはまあ相当遺家族のかたの育英費も入つておりますが、それだけで賄うのでは育児のかたで気の毒なかたもおありだろうということで、特に今回それに追加六千八百万円を出したわけでございまするから、六千八百万円だけで遺児の育英だけをやるわけではございませんので、一般の二十八億の中でも勿論遺児の育英は十分考慮して行きたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/38
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039・山下義信
○山下義信君 大臣のおつしやる通りであります。おつしやる通りでありますが、御考慮願わなければならんことは、なお御研究願わなければなりませんことは、従来の大日本育英会でありますか、育英協会ですかでやつております育英資金の出し方はどういう出し方をしておるかということは御承知の通りであります。私ども遺児の子弟の育英というものは、従来育英会がやつております出し方は優秀の子供でなければならんとか、いろいろな条件を付けておりますが、遺家族の子弟の育英につきましては、その成績が優秀であるというような条件は付けなくてできるだけの奨学資金というものを出して行かなければならんと思います。出し方にはおのずから差違があると思います。そういうことのお考え方はどうなつておりますか。六千八百万円の育英資金を前の二十八億にプラスして二十八億何千万円ということで、それでやればいいのだということになりますと、育英資金の出し方は従来とつておりました通りのやり方をするのでありますか、遺家族の子弟に対しましては又別途のお考え方を加えようというのでありますか、別途のお考えを加えようというならば、別途の考え方としては六千八百万円では足りまいということを申しておるのでありまして、この六千八百万円の資金の出し方につきましては何かお考えがありますかどうか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/39
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040・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 只今のは御尤もでございまして、今までの育英資金は優秀な者を育英したのでございます。従いまして、今度の遺児の育英につきましても、やはり基準のとり方としては全部上の大学まで、こういうことはこれは好ましくないと思いますが、併しその基準のとり方を一般の基準のとり方をとりましたのでは遺児のかたに気の毒だと思いますので、遺児のかたにはその基準におのずから考慮を払うべきものじやなかろうか、こう存じまして、特に六千八百万円というものを計上いたしたわけでございます。御趣旨の点には十分副わないかも知れませんが、若干は勿論考慮した上の予算措置であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/40
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041・山下義信
○山下義信君 私の質問を終りますが、今の育英費のことにつきまして私は申上げておきたいと思うのですが、これは上級の学校に進むだけというのでは私は尽しがたいと思うのであります。義務教育に対するこの教育費の補助だけでも私は六千円か七千円では足るか足らないか問題だと思うのです。こういう点はできるだけ政府は誠意のある対策を立てて頂きたい。私どもが調査いたしました数字は一々申上げませんが、厚生大臣はよく御承知ですから、そういう資料は御承知ですから、今日の小学校で幾ら要るか、教科書が幾ら要るか、そういう点はよく御調査でございまするから、何も上の学校に行かなくても義務教育を受けるだけの十分な一つ御配慮は願わなければならんと思いますが、これは運用でございますから御要望いたしておきます。
最後に承わりたいと思いますことは、外地におきまする戦歿者の遺骨の収容或いは慰霊等のことでございますが、政府におきまして何かお考えがあるのでございましようか如何でございましようか、承わりたいと思います。
それから最近御案内のごとく、日赤或いは安藤正純さんのあの宗教連盟等が心配いたしまして、これは参議院の或いは長島君も当初参加し、先般私も招請を受けまして要請に参りましたのでありますが、衆議院のほうから若林君も出て参りました。何か政府と協力いたしまして立派な遺骨の引取、慰霊等もいたしたいという計画もあるようでございますが、それら民間運動に対しまする政府のお考えは如何でございましようか、承わりたいと思います。例えば今朝の新聞にも沖縄に対して何かよく存じておりません団体が参りまするとか、硫黄島の和智君のああいうことがありまして以来、外地の遺骨の或いは捜索、引取、慰霊等のことがいろいろな方面から、いろいろに企画されたり新聞紙上に見えるのでございます。これは政府自体も十分熱意を以てなさらなければならないことでございますが、政府自体がお当りにくい点もあり、若し民間に協力なさるというならば、筋の立つたことをいたしませんと、こういう神聖な事柄に対しまして万一のことがありましては、我々といたしましても本意でないことでございますから、これらに対しまする政府の何か確たるお考えがございましようか。且つ又権威ある民間の団体の計画に対しまして御協力をなさいまするお考えがありますかどうか、この点を承わりたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/41
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042・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 実に御尤もな御質問なり御意見でございまして、今まで外地に残されました遺骨の取扱のできなかつたことを私どもとして誠に申訳ないと思つておる次第でございます。漸く関係方面との了解も得まして、目下硫黄島につきましては、復員局の職員を派遣をいたしまして調査なり、慰霊を行わしておりますが、これが近く帰つて来ると思うのでありますが、そのほかまだ南方諸島にもあることでございまするから、これにつきましては政府といたしましてもできるだけの処置を講じたいと思つております。そのやり方等につきましては、今御意見がありましたように、権威ある民間の御協力を得てやりますか、或いは政府でやりますか、その点十分研究をいたしまして、遺憾なきを期したい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/42
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043・山下義信
○山下義信君 私の趣意が……、なお残余は保留いたしまして、本日はこの程度に厚生大臣に対する質問をいたしておきたい。なおあと官房長官が見えましたときは若干の質問をさして頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/43
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044・松原一彦
○松原一彦君 厚生大臣にお伺いしますが、この軍人に関する特典は、かねて占領政策として一切廃絶の形になつておつたのは御承知の通りで、それが今度ぼつぼつ復活して、何だかいつの間にやら復活したような、しないような形で以て、さつきお話のあつた本格的に取上げる時期が来たと考えていいのでしようか、どうなんでしようか。まだ実はこの軍人に対する特典的なものは今日六年間一切触れられなかつた。触れられればもつと早く片付いた、そしてもつと有利にもつと研究して片付くものがあつたのに、今日まで触れられないために荏苒六年間を空白にして、そうして今触れられるというときが来たときに、これが本格的に立法府独自の立場からも、政府の御方針からも一体さつぱり割切り得るのかどうか。占領政策としてのその筋の意向はどういうものでしようか。速記をとめてもよろしうございますが、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/44
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045・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 実はまだ占領下でございまするので、今までの軍人に対するところの制限はまだ解除にはなつておりません。併し御承知のように講和会議も昨年済みまして、もう独立も間近いからということで関係方面の了解を得て昨年の補正予算では遺家族の援護に関する調査ということで一億円を計上したわけでございますし、又硫黄島の今度の調査も了解を求めて行つているわけでございます。正式には独立した後でなければならないかと思いますけれども、もう独立も間近なことでございまするから、その点を考えまして了解を求めながら進んでおるわけでございます。今度の援護に関するこの予算措置もその意味で向うの了解を得てやつているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/45
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046・松原一彦
○松原一彦君 その点了解を得つつお進みになるというのはわかつたようでもありますが、本格的に勅令六十八号による一切の抑えが、特典、権利が復活したのだということになりますというと、丁度文官が多数追放になつておつたものが解除によつて恩給が又復活したように、多数の軍人の国家補償という本格的なことに戻つて来る場合にはこの権利の復活があるとか、これはもう当然だと、こう思うんです。そこまで行くとしますというと、今政府がおやりになろうとしている、今山下委員からも質問、意見もありましたが、年金といつたような恒久制に触れるような問題は今すぐにいい加減な臨時措置でお扱いになつておつたのではいけないのじやないかということを私は思う。権利である以上はたとえ小さなものであろうともこれは当然個人の人権を重んずる今日の憲法下におきましては捨てることはできません。従つて復活すべき権利はもうはつきりわかつておるのでありますから、これをどういうふうに新らしい時代の認識から、或いは財政経済の面から見て整理するかは別問題としましても、儼然たる権利がある以上は、これに触れるような問題を恒久的な年金制といつたようなものによつて今すぐお取上げになつて、未復員岩の給与を基準としたような稀薄なものでこれをお片付けになることはそれは非常に軽卒だ、のみならずこの権利の根源に立至りますると、厚生大臣のこれは所管じやない。御承知のように明治初年以来戦死者に対する法律はあるのであります。戦死者にはどれどれの給与を与える、戦死者の遺族に対する給与の法律は幾変遷を経て現に存在しておるのであります。ただそれが今日ストツプしておるだけの話であります。それが復活するとなるというと、これは厚生省の所管じやなくして、これは国家補償でありますから、国家が当然法律によつて補償する、歴史的にも法律の上からも補償せにやならん国家の義務なのでありますから、これは恩給局なりその他の機関においてやるべきものであつて、厚生省がお取上げになるとするならば私は社会保障の面だと思う。社会保障の面ならば定額的な生活基準による一つの応急措置であつて、これは生活が変化するに従つて増しも減らしもすることのできる性質のものだと思うのです。従つて厚生省のおやりになりますことは社会面の現実に即したものであつて、こういう年金制のごとき永久、恒久性を持つものであつてはならんと思うのす。この点に対するところの厚生大臣のお考えはどうであろうか、この戦死者に対する国の補償などというものは厳たる基準が今日まであるのです。これをこの際にごまかしてもならんし、又これを無視してもならん、又これに便乗して、この時代に便乗していろいろな国家財政窮乏の際に負ぶさるようなことがあつてもならん、お互いに考えなければならんものがありますですから、そこでこれは政府が一千万円の更に恩給復活に関する調査をやるための費用をお持ちになつたようでありますが、それのまあ適否は別としましても、そこで久恒的なものが考えられるのでありますから、この際においては厚生省がお取扱いになる以上、或いは所管がどこになりましても、山下氏の言わるるように一応この際は戦死者一柱に対して五万円なら五万円、これは換金のできる或いは融通のできる公債証書として一応平等にこれを配つておいて、そうしてあとの恒久性を持つ年金とかいつたようなものは、これは厚生省の所管じやない、断じて所管じやない、別途に考慮なさつた上で適法な措置をおやりになるほうがいいのじやないか、現に恩給局長の手許でも四、五百億の程度で以て一貫したる一つの筋の通つたものが考えられておることを承わつておる。これは筋が通つておる、権利を権利として尊重し、歴史を歴史として重んずる一つの筋の通つたものがありますので、これは断じて現在の社会面の不均衡から起る応急措置ではないのであります。国家補償であります。国家補償というものが山下氏の言わるる通り恩給でなくしても、生活に触れずに権利として与うるものをば定額制にしてもそれはかまわんと私は思います。そういう別途の法律を作つてもよろしいが、それは厚生省の御所管じやない、これをなお且つ厚生省の御所管とお考えであろうかどうか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/46
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047・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 先ほど申しましたように、軍人につきましては、戦死者の遺族につきましても恩給の制度がございまして、これが現在停止されておる状況でございます。ですからお話のようにこれが復活をするという問題も出て来るのでございますが、それならば今のままこれをすぐ復活していいかということになりますと、これは相当私も問題があると思うのであります。又これは遺家族だけの復活ということではすまないで、やはり元の軍人というものに対しても考えなければならない、そうしますると、この議論をいたしておりますと、そう実は簡單にはなかなか話がきまらないだろうと思うのであります。併し又更にこれは検討を要する問題だと思うのであります。そこでその間まで遺族のかたも待つて頂くということももう七年も経ちまして、これも忍びがたいわけでありますので、そういう本格的な根本的な問題につきましては、審議会を作つて早速審議をして頂く、そうしてその間とにかく援護というものを進めて行こうということで出ておるわけでございまして、理論的に申しますと、おつしやるように国家的なこれは義務があるから国家補償は厚生省でなくていいのじやないかというお話もありますけれども、まあ実は余り遅れておりますし、それよりも先ずまあ何とか早く我我の気持といたしましては、英霊を祭ることと、遺族のかた、特に未亡人のかたとか、遺児のかたにはとにかく何がしかの援護制度を立てたい、かようなわけでございまして、これで以て永久にやつて行くんだという気持は毛頭ございませんので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/47
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048・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) ちよつとお諮りいたしますが、国立病院移管の問題が今日議題になつておりますが、遺族援護に関する御質疑はまだ相当あるように考えられますので、国立病院移管に関する件は本日の議題から削除したいと思いますが、如何でしよう。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/48
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049・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) それではそういたしまして、遺族援護の問題を主として続けたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/49
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050・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/50
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051・松原一彦
○松原一彦君 重ねて厚生大臣に、これは私が是非お願いするのですが、今恒久的な年金制なんかというものについては、もう少し政府もお考え直しになつてはどうでしようか。くどいようでございますけれども、一方に傷痍軍人の恩給がもう四月から実施せらるるような御腹案になつておる。これは現在の傷痍軍人の恩給は特例ではありますけれどもが、階級を含めておる。階級とそれからその傷痍の程度による特項症から六項症、この両方かけ合せたものが現在の傷痍軍人の恩給という極く稀薄なものでありますけれどもあります。更生年金によつたものとこれは準じて御承知の通りあります。これを改めたものが政府の御腹案にあるようでありますが、額は約十倍近くも上りますけれども、これは一つの定額制のものとなつておる。階級のないものとなつて来ますが、これも又この次に行わるる軍人恩給の復活ということになりますというと、ここに大きなアン・バランスが出て来るのです。非常な大きなアン・バランスが出て来まして、又傷痍軍人が今後死んだ場合においては、遺族は恩給法によつてその半額が遺族の扶助料としてもらう遺族年金というものが付きます。又傷痍軍人以外の正規軍人にどういうような恩給が裁定せられるか知りませんけれども、この裁定せられたる恩給が恒久性のものでありますから、これが病死した場合においては、その遺族には当然恩給法によつて半額の遺族扶助料が付く、ここにおいても又現在おやりになろうとする基本金一千円、妻には六百円何がしといつたような遺族年金との間に大きなアン・バランスができて、大変な社会問題が起つて来る。これがまあ喧々鴛々となつて来る。高いのを減すわけにも行かんし、まあ低いのは増すのはよろしいけれどもが、ここにはたくさん厄介な問題が起つて来ますことは、私も多年恩給というものを扱つて文官恩級にアン・バランスができて、今日締め上げられ抜いて困り切つておる事実に当面しておるのであります。こういう恒久的な問題につきましては、いい加減に今お扱いにならないで、一つまだ日があることですから、政府のほうでも十分御考慮の上に、この際だけは一応公債か何かで換金せられる、金に換えられるような公債か何かで以て一応平等に慰藉料をお出しになることが六年間の空白に対する国の思いやりだろう、善政だろう、明日の一万円、二万円をもらうよりも、とにかく今日の千円、二千円が欲しいのであります。それがなくちや起てんのでありますから、そうして補正予算にでも組込みまして一千万円によるところの調査ができますれば、これはもう現に筋遂についてはできておるのでありますから、政府の御決心だけによつては如何ようにもなると思います。従来は軍事思想を日本から除いて、平和憲法一本でやつて行くというような占領政策から、随分軍人にはつらく当つております。軍人懲罰といつたようなものが日本の占領政策の中にあつたのでありますが、その沢庵石を除いて自由になつて最軍備の声となつて出て来ますると、これはいい加減に扱われなくなるのであります。この点につきまして是非とも慎重なる考慮をお願いしなければ、私は将来の大きな禍いとなるということを信じまして、是非とも希望するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/51
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052・山下義信
○山下義信君 私はこの際動議を提出したいと思うのであります。いずれこの法案が出ましたときに本格的審議に入るのでありますが、一応今日まで政府の考えて参りました遺家族援護の対策につきましての根本的な所信を質しまするような過程にあるわけであります。つきましては、審議の必要を痛感いたしまするので、前厚生大臣橋本龍伍君を当参議院の厚生委員会に遺家族援護に関しまする審議の証人といたしまして出席いたさせますること、即ち証人として喚問いたしますることの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/52
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053・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 只今山下委員から前厚生大臣橋本さんを証人として喚問することの動議が提出されましたが、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/53
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054・藤原道子
○藤原道子君 私は山下さんの動議に賛成いたします。非常に重大な問題でございますから、是非ともお取上げを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/54
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055・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 賛成の御意見がございましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/55
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056・草葉隆圓
○草葉隆圓君 速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/56
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057・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/57
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058・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/58
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059・山下義信
○山下義信君 この動議は私は野党という立場で出しておるのでは決してない。従つて与党という立場で又草葉君も拒否されたというお考えでないと思いますが、これはよい意味におきまして橋本君の持つておられました考え方、又厚生省案というものがどこまで練られてあつたのか、先ほど現大臣に伺つたんですけれども、余りその点がはつきり私も追及しなかつたのでありますが、十分厚生省として練られたものだろうと思います。厚生省が今日までそれに対しての検討の用意なくして卒然としていい加減なことをなさるわけはないのでありますから、熱心に検討して出された結果であると思うのであります。橋本氏の所論もいろいろに伝えられておるので、いわゆる厚生省案を提げて閣議に臨まれた、それが橋本案というものがいわゆる国家補償的であつたということが一般に伝わつておる、我々は案外そうでないかもわからないという面もあるんじやないかと思うので、いろいろ橋本氏の所説も聞いて、そうして今後厚生省から出されるところのその法案等につきましても我々は考えて行かなければならん、それで参議院のほうは私が本日の委員会におきましても冒頭に吉武大臣に言いましたように、与野党の対立がないのでありますから、そういつたような党利党略でなしに、この厚生委員会におきましては、衆議院のほうでもこういう意見が出たそうでありますが、それとは別個の観点から橋本式にも堂々その所説をおなじみ深かつた我々にも聞かしてもらうという絶好のチヤンスを与える意味においてこれは非常にいいんじやないかと思うので、別に橋本氏を証人に喚んだからといつて、それは政府をいじめる極にも何にもなるんじやない。政府も痛くも痒くもない、ほつぽり出した大臣の泣き言を聞いても痛くも痒くもないのでありますから、参議院はフエアにやつて、衆議院のほうは多数で押えられて来ておるが、参議院のほうはフエアにそういう機会を与えていいんじやないかと思います。是非これは与党のほうも寛大に知らん顔をしておつて頂いて、そうしてここへ来てもらつて、そうして今まであの人も随分心配して努力をして来たのでありますから、本日までの努力の経過を聞きたい。殊にこれは私は先ほど松原委員の質問に対して吉武大臣の答弁したものの中には重要なものがある、それならそれでもいい、これは関係方面と相談した、私は大蔵大臣の質問にもそれがある。ですから一般国民は政府を攻撃しているが、実際は関係方面が……或る程度までは関係方面と相談した結果というならば、何も一橋本氏が八百億を要求したからといつて、千億を要求したからつといつて自由にならない情勢下において、個人ゼスチユアというものが許されるものではない。ですからそういう点を明白にしておかなければならない、そういう点の必要もありますから、是非これは突如として出しました動議で、実は御相談したいと思いましたが、これは御相談しないほうが却つて与党の皆さんのほうもやりいいだろうと思つて実はその前に御相談しなかつたんですが、是非これは証へとして喚問を……、参議院までそれを拒否されたといつたら国民は納得しないと思う、一つ御同意を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/59
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060・草葉隆圓
○草葉隆圓君 私は先に懇談の席に先ず譲つて頂きたいと、こう申上げたのです。今委員長に聞いたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/60
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061・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/61
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062・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/62
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063・藤原道子
○藤原道子君 私は遺族問題は重大な問題でございますから、法案が出たときに十分審議したいと思つておりまして、今日は時間もございませんので、すべては後日に譲りますが、先ほど山下さんの御質疑の中に一つ大臣の答弁の洩れている点があります。山下さんは再婚した場合の妻と、それから再び離婚した場合の妻と、それからもう一つ離婚した妻ですね、つまりこれはこういうのがあります、遺族の場合には後の家の建直しであるとか、或いは扶助料等を目途とした惡質のもございまして、夫人が無理に自己の意思によらずして離婚されて実家に帰つたのがたくさんある、こういう場合の実家へ帰つた妻、併し実家へは帰つたけれども、未亡人としての生活を続けておる人がたくさんございます。これらの人が子供を連れて非常に困難な生活をしておる、併し婚家先にも籍はない、実家へ帰つても……こういう場合には当然援護さるべきであると私は思う、それを局長は援護しますというような御答弁を私どもこの前伺つておりますが、私は大臣から先ほどの山下さんのこの重大な質問に対しての御答弁がなかつたので、大臣の直接責任ある御答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/63
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064・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) お答えをいたしますが、籍は問題でございませんで、事実未亡人としておられるかたには支給するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/64
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065・山下義信
○山下義信君 それじやさつきの御答弁と食違いが出て来る、それじや一遍再婚してもやはり房つて来て未亡人でおれば、やはり未亡人として認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/65
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066・田辺繁雄
○政府委員(田辺繁雄君) 御説明申上げます。籍が問題でないと申しましたのは、死亡の当時属しておつた戸籍ということは現在は問題でございません。従つて実家へ帰ろうがどうしようが、未亡人という状態にある限りにおいては対象にしたいということで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/66
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067・山下義信
○山下義信君 現在がですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/67
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068・田辺繁雄
○政府委員(田辺繁雄君) それから今日までの間にすでに再婚しておる、再婚して今日の状態に至つておる人、及び一遍再婚してその再婚がうまく行かないで実家へ帰つておる人、それは今のところでは法律の対象から除外するという考えで進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/68
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069・藤原道子
○藤原道子君 今一つ大臣にお伺いいたします。私の質問は飛び飛びになるのですけれども、実は昨日当厚生委員会の遺族援護に関する小委員会として風祭に行つて来た……、大臣もお出でになつたと聞きましたが、昨日私ども行つて来たのです。そうして再びよく視察をし、皆さんの陳情を承わつて参りました。その中でやはり先日大臣と御一緒に面会室で会いましたときと同じ要望が強く出たのです。一番強く出ましたのは、怪我をした後に娶つた妻、これに対して扶助料が何ら考慮されないわけですが、事実その当時を以て恩給法が制定されております関係上、盲になりますね、そのときは独身であつた、盲になると手引きが欲しい、従いましてその後……、青年が多く傷しておりますから結婚いたします。そうしてその妻は何ら扶助の恩恵に浴さない。又風祭のように脊髄患者はもう本当に御覧の通りの困難な状態にあるのでございますから、これが結婚いたしました妻が、精神妻とし心妻としてあの涙ぐましい夫婦生活をしておりますのに、この人たちに対しても家族の恩典がないのでございます、大臣わかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/69
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070・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) ええわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/70
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071・藤原道子
○藤原道子君 質問中にごそごそしていると私は質問する意思がなくなつてしまいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/71
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072・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) いやよくわかつています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/72
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073・藤原道子
○藤原道子君 大臣からこれに対して今後どういう態度をとられるかということ、もう一つ同じく要望されましたのは、いつまでもあそこにいるわけに行かない。十八歳になる子供があるのです、もうじき……。そういう人たちは非常に不安にかられるということになりますので、あの近くに小住宅を建ててそうしてあの人たちが安んじて生活のできるように、なお医療と切り離しての生活は一日も保てないのでございますから、あの附近に幸い土地があるのですから、これに対して小住宅を建てて欲しいという要望は前々からありまして、私、衆議院当時からこの問題をとり上げているのでございますが、今日なお解決していないし、見通しもないのです。ところが先日大臣は患者たちの前で考慮いたしましようというようなお約束もございましたので、今大臣がこの重大な問題をきめようとするときのお心構え、これを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/73
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074・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 私も先日箱根の療養所に行きまして、あの半身不随のかたがたには誠にお気の毒だと実は思つている。従いまして今度の傷痍軍人に対する援護も実は相当考えたのではございますが、従いまして恩給との関係につきましても傷痍軍人に対する恩給は現在は一部残つておりまするから、それは一応残してはおきますけれども、今度の予算措置によるほうが実は相当上廻つていると私ども思いまするので、いいほうで支給をしようとまあ考えております。そこでまあ家族の一人々々についてですね、変えるということもどうかと考えまして、今度の援護の処置は一応そういう点も含まれて計算をして特項症六万円、それから漸次下げて行きまして二万四千円というふうにしておるわけでございまして、これとても併し不十分じやないかということになりますると、私どもも十分だとは思わないのでございます。これは遺家族のほうの問題についても同様でありまして、まあ傷痍軍人につきましては相当考えることは考えております。従つて生活援護の問題は家族の多いかたにつきましてはあるかと思います。生活援護の問題が重ねて出て来るものがあり得ると私は思うのであります。今度の援護だけで全部賄えるということになれば結構でありますけれども、家族が多かつたりしますと、なかなかそう行かん者があると思います。従つて生活援護で裏付けをしなければならん面につきましては、私は相当運用の面においてそう数の多いことじやございませんから、十分考慮して行かなければならんかと、かように存じております。その点はまあこの間あなたもお立会いになりましたとき、私は申上げておることでありますが、それから将来家族と離れて別に家を持つて行くというような問題につきましては、これは今後の問題として私十分考えるつもりでございますけれども、私が行つて見ました感じから申しますと、あそこに入つておられるかたは、病気が治つたからと言つて独立になられましても、絶えず医者が非常に注意をいたしませんと非常に再発する虞れがある。特にあそこの療養所の所長は、その点については私から申上げることはどうかと思いますけれども、非常にその点熱心に注意してくれますので、まあ今直ぐ離れてというふうにはなかなかむずかしいのじやないかというふうに思います。近所と申しましても、なかなかあの中でしよつちゆう気を付けないとむずかしいのではないかと私は考えております。併し本人の希望で別になりたいという面につきましては、これは又考えるべきことだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/74
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075・藤原道子
○藤原道子君 それは院長も希望しているのですよ。別々と言いましても、病院と一家のようなふうに、小住宅という願目にしなければ子供がもう高等学校に行くのです。そういうふうで一緒にいられない結果になる、それを考慮して欲しいと言うのです。これは院長も云つておりましたし、患者の強い要望です。
もう一つ、援護の面で考慮するということでございますけれども、戦争に行つて傷ついたのは青年が多いのです。傷ついてから結婚した妻は何ら健康当時の楽しい夫婦生活もしないで不具の夫と共に新たなる人生を歩んでいるわけなんです。この人たちは当然傷つく前の妻であつた人が当然の権利として見てもらえる家族加給に対して傷ついた後に結婚したが故にその権利が与えられないということになると、この傷ついた多くの青年たちは一生結婚できないか、結婚しても不合理な、不遇な生活を続けて行かなければならないか、従つて今度は多分に今の考え方では社会保障面もあるでしよう。いろいろな点から併せ考えましても、どうしてもこの際私は傷ついた後に結婚した妻も、傷つく前に結婚した妻も同じように扱われて然るべきじやないかと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/75
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076・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) これは多少誤解があるかも知れませんが、元の恩給の制度で行けば或いはそういうのが出て来るのかも知れませんけれども、今度の援護でとりまする措置にはそういう家族加給という制度をとりませんで、とりませんというのは、特項症は一年六万円というふうにしております。ですから今のお話になります点は今度の予算措置には出てこないで、今度の援護の予算措置で足りない部分、家族が多くて年六万円じや実は食つて行けないというような面につきましては、生活保護の面で補わなければならぬ面が出て来ると思うのです。その際に家族の中には当然入るべきで負傷したときの家族だけが生活援護の対象になるということはございませんから、今の御指摘の点は私は心配ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/76
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077・藤原道子
○藤原道子君 じや私は誤解していたのです。それならば今度の援護の措置として傷痍軍人にとられる解釈には特項症が幾ら、六万円ですか、以下二万四千円まで、これぽつきりであつて家族に対しては家族加給というような今までの扱いは一切やらない、六万円から二万四千円で打切なんですね、その足らざるところは生活保護法でやるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/77
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078・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) それは大体家族の平均を見込んで、そうして六万円、五万円何ぼというように作つてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/78
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079・山下義信
○山下義信君 家族の平均を見込んだら大変ですよ、症状で区別しても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/79
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080・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 症状で区別してありますが、それをとるのに大体生活関係も考えて特項症六万円という基準にしたわけでありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/80
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081・藤原道子
○藤原道子君 そうすると六万円というと月にして五千円ですね。両脚、或いは眼がなかつたり、或いはああした脊髄患者が五千円でやつて行けるとお考えですか、一人でも……。それに対して家族があるのですよ。お互いの生活を考えたつてそんなむごいことは考えられないわけです。家族六人というのもありますよ。これは足らざるところは生活保護法で見て行くのだと思つて私は誤解していましたが、いいほうに解釈しておりました。今まで通り六万円、ほかに家族に対しての加給が付くのだと……。そうでないとすれば、これは重大な問題と考えますから、これは今日言つても仕方ございませんから承わつておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/81
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082・井上なつゑ
○井上なつゑ君 風祭の現在の問題でございますが、お風呂でございますね、本当に気の毒な状態でございますね、風祭のお風呂でございます。まるで温度が低くて大人の入るべき温度ではございません。三十度や三十五度では赤ちやんでも入られる温度ではありません。四十度以上のお風呂に入らなければならぬのでございますが、即刻あのお風呂は温泉法によりまして、温泉需要施設へ厚生省から申入れて何か一定の措置をして欲しいのでございますが、どういうふうに厚生大臣はお考えになつておられますか、私どもこれは大変大きな問題だと思います。上の湯本ではどんどんと普通の温泉旅館に温泉をとつてしまつて、そうして本当にお湯の要るあの病人たちのあのお風呂のみじめな様は一刻も猶余はできないと思います。早速温泉法を利用して即刻改正して頂きたいと思いますが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/82
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083・吉武恵市
○国務大臣(吉武惠市君) 実はあれは引いておるらしくございまして、温度が低いので温度を高めてやつているらしく聞いております。従いまして、或いはその温度の高め方が低かつたかも知れませんが、それは調節しなければならない装置だつたと思いますつ十分気を付けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/83
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084・井上なつゑ
○井上なつゑ君 只今温度を高めるとおつしやつておられますけれども、あれに百二十万円ものお金を使つておられる、根本的に施設を改善して頂かないと、会社を督励して頂かないとあの問題は少しくらいな注意じや直らない、私ども議員一同大変憤慨して帰つて参りました。水風呂に患者を入れておるということは厚生省として早速処置すべき問題だと思いますので、よく温泉法を御覧になつて、私ども今朝から温泉法を見て勉強して参りましたが、十五条にはつきり出ておりますから、どうぞ厚生大臣指示して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/84
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085・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 一点あるのですが、田辺援護庁次長がおりますから、これは北多摩郡の砂川村の横田基地ですか、あそこにB29が落ちて家屋を破壊損傷したわけです。それに対して家の補修整備費に五万円、家財に対しては三万円、なおその分をまぜたものを超えた損害に対しては五〇%と、こういうことになつておるそうですが、ここは非常に借家人が多くて今の空気ではこの五〇%の政府の補修金を大屋がみんな懐に入れちまつて、家は自分で直せと、こういうことを言つているそうです。これではこの五〇%を政府が出したのも意味がわからない。だからこれを注意して欲しい、こういう借家人一同の陳情が出ておるのですが、陳情を収上げるのに間に合いませんから、一つ政府で然るべく注意をして、その五〇%は当然補修費であるからその他に使つてはいかんというような通牒を出してもらえばよくわかると思いますから、然るべくお手配願いたいと思います。
ではよろしうございますか、大臣に対する……。速記をとめて下さい。
午後零時二十四分速記中止
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午後零時四十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/85
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086・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記を付けて下さい。
先ほど医療小委員会に関する小委員の定員が満ちておりませんので、新たに中山壽彦君、草葉隆圓君、大谷瑩潤君を指名いたします。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/86
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087・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 更に現在までに、遺族援護に関する小委員会に付託になつておる請願並びに陳情がございますが、小委員会に付託したいと思いますが、申上げます。請願百五十八、百五十九、百六十五、百六十七、百六十八、百七十、二百二十五、二百六十三、二百六十四、二百八十、三百十一、三百十二、三百十三、三百三十一、三百三十二、三百三十三、三百三十四、三百三十五、三百五十五、三百八十以上二十件、陳情四、二十七、三十二、三十三、四十、五十七、五十八、七十、七十一、七十九、八十八、八十九、九十、百八、百九、百十、百十一、百十二、百十三、百三十六、百四十五、百五十九、百九十三、以上二十三件。
なお引揚特別委員会が廃止になつて、その問題が厚生委員会としての……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/87
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088・山下義信
○山下義信君 ちよつと待つて下さい。それはさつきの問題がきまつてからにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/88
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089・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) それではその問題はあとに譲りまして、先ほどの動議の問題を続けます。山下君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/89
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090・山下義信
○山下義信君 先ほど私は、遺族援護の調査に関連いたしまして、前厚生大臣橋本龍伍君の証人としての喚問の動議を提出いたしましたが、この動議は撤回いたしまして、改めまして、同遺族援護の問題に関する調査の一環といたしまして、前厚生大臣橋本龍伍君を参考人として当厚生委員会に出席せられまするよう、委員長において手配せられたいとの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/90
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091・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 只今の動議如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/91
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092・藤原道子
○藤原道子君 賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/92
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093・草葉隆圓
○草葉隆圓君 今の問題は、先ほど懇談でお話がありましたように、一つ委員長、理事つにおいて御相談願つて御決定願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/93
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094・山下義信
○山下義信君 只今の動議は一応ここに成立いたしました以上は、その参考人として当委員会へ御出席方を要求いたしますること、並びにその日時等につきましては、委員長及び小委員長の打合会に一任いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/94
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095・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 只今の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/95
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096・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) ではさよう決定いたします。ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/96
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097・梅津錦一
○委員長(梅津錦一君) 速記をつけて。
それでは委員会は本日の分はこれで終了したことにいたしまして、あとは懇談会といたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314237X00419520207/97
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