1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十八日(水曜日)
午後二時十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 木下 辰雄君
理事
千田 正君
委員
青山 正一君
秋山俊一郎君
藤野 繁雄君
政府委員
調達庁管理局長 長岡 伊八君
事務局側
常任委員会専門
員 岡 尊信君
常任委員会専門
員 林 達磨君
説明員
水産庁漁政部長 伊東 正義君
水産庁漁政部漁
政課長 家治 清一君
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本日の会議に付した事件
○日本国とアメリカ合衆国との間の安
全保障條約に基き駐留する合衆国軍
隊に水面を使用させるための漁船の
操業制限等に関する法律案(内閣送
付)
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001・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。
「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律案」を議題に供します。前二回の委員会において総括的質問はまだ盡きたとは申しませんが、相当ありましたので、本日は逐條審議をいたしたいと存じます。第一條から逐捺に審議いたします。先ず第一條、第二條について何か御質問があつたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/1
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002・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 前々委員会でございましたか、私が質問をいたしました漁船の操業に限らないで水面を使用しておる事実に対する問題は、水産庁当局ではどういうふうに処置されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/2
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003・伊東正義
○説明員(伊東正義君) この前御質問のありました海辺等におきまする網干し場の問題でございますが、これは調達庁ともいろいろ打合せしたのでございますが、正式に申しますと、この法律なり、特別調達庁でお出しになりました土地等の使用等に関する特別措置法とか或いは民事特例法を三つ考えましても、なかなかこの問題は困難でございます。それで正式の影としましてはこれはやはり見舞金という形で行くほかはないのじやないかという結論に今達しております。それで我々も具体的な例というのでいろいろ過去に補償した場合等を考えたのでございますが、秋山委員の御説明になりましたような問題、実は農林省としてはそういうケースに当りませんので、今までには補償は出しておりません。今法律論をやりますと、今の三つの法律ではなかなかこれはむずかしいのじやなかろうか、ただ答えられますのは、そういう場合の漁業権等と結び合わせて、漁業権漁業或いは許可漁業等と睨み合わせた漁獲量の問題とか、そういうところでこれは便法的に救うか、何かそういうことでも考えん限り正式にこの法律から真つ正面で救うというような結論には達しておりませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/3
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004・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この法律では漁船の操業ということに限つておるのですが、漁船の操業制限ということでなければいけないのか、漁業の制限といつたようなふうに解釈する、法文を書き直すわけには行かないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/4
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005・家治清一
○説明員(家治清一君) その点でございますが、実は私どもの趣旨としましては、第一條の制限が第二條の損害補償を払い出すための前提でこれは止むを得ず書いた次第でございまして、御質問のように漁業の制限ということは実は成るべくやりたくないのでございます。漁業そのものは制限はやりたくないのでございます。で、漁船の操業をやれるときは最大限にやる、それでどうしても支障のある場合に一番支障になるところだけを抑えて、それで一応制限或いは禁止をする、それに対して補償をいたす、こういう考え方にいたした次第でございます。それで例えば漁船を使わない漁業のほうは、これは大体といいますか、殆んど全部が漁業権漁業の対象になつておりまするので、その関係では別の土地使用等の特別措置法によつて救済せられる、こういう考えでできておりますので、成るべくは漁業全体の或いは漁業そのものの制限或いは禁止はやりたくないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/5
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006・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 それは少し私はおかしいと思うのです。成るほど漁船によらないものは見舞金その他によつて補償ができるということはわかりますが、少くとも漁船によつて漁業をして損害をこうむつた問題に対する補償である、漁船を使用して制限を或る程度しても、それが仮に損害をこうむらなければそれでいいわけなんです。従つて漁船は使用しておるけれども、その漁業自体が制限を受けた、即ち或る根拠地に帰つて来ても網の干場がないから、そこでその仕事は非常な損害を受ける。非常な他の不便な所に網干場を拵えるか、或いはその漁船のために根拠地を移してやらなければならん。それに伴ういろんな損失は大きなものがあると思うのです。そういうことを考えるならば、ただ漁船の操業だけを規定する必要は私はないと思う。それじやいけないと思う。漁業がいわゆる経営上損害をこうむつたという観点から行くならば、必ずしも漁船の操業を制限した場合にのみ限るということは私はおかしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/6
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007・伊東正義
○説明員(伊東正義君) この問題はこれは水面の提供ということからも問題になつて来るわけなのでありますが、この前御質問のありましたのは水面、海上における網干場の問題ということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/7
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008・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 そうです。長崎県においては全部水面にできております。海の上にかけ出してある、陸でやるならば私もあえてそれを言いませんが、水面を使つておる、それは水面使用の許可によつてそういうものができておるのです。これはもう漁業と不可分なんです。そういう事実はそう頻繁にはないかも知れませんが、併し当然あり得る問題だと思うのです。問題が起つた場合にそれを見舞金でやるということになると非常におかしなものになるので、見舞金というのは大体先般も申上げましたように、何か一時的にそういう問題が起つた場合には見舞金で補償するような恰好になりますけれども、ずつと継続して行くものに見舞金ということで出すということは、結局補償するということと同じような恰好にしなければ意味がないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/8
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009・伊東正義
○説明員(伊東正義君) 御質問の点は確かにこの法律から言いますと抜けております。我々この法律を作りますときには、大体水面提供のための漁船の操業制限ということで行けば被害の大部分はカバーできるのじやないかということで、過去の補償の実態とかそういうものを調べましてこの法律を作つたわけなのでございまして、御質問の点はこの法律から行きますと確かに抜けております。一体私は民事特例法と土地等の使用等の特別措置法とこの法律で大部分救えるのじやないかということでこの法律を出しましたので、御質問の点はこの法律から言いますと確かに拔かつております。今漁業の制限ということにせんかというお話でございますが、この点は我々としましてももう少し研究してから御答弁いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/9
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010・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 その御意見は先日も承わつたので、それでその研究はどうなつたかということを私今質問したわけなんです。従つて若し提案者のほうでできなければ、参議院で修正してもいいと思うのです。この点なお一つ検討して頂きた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/10
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011・家治清一
○説明委員(家治清一君) 御質問に関連がございますので、実は第一條、第二條の、先ほど漁政部長から申上げました落しておる、拔かつております点をどうして拔かつたか、落したかということを経過的にちよつと御説明させて頂きたいと思います。これは一番初め私どもが案を作り始めましたときには実はいろいろな点をみんな網羅するつもりで考え始めたのでございます。ところがこの法律を行政協定に基く措置法と心なければ、この法律に基きます補償の予算が防衛支出金との関連がつかない。そこで飽くまでも行政協定に根拠を求める法律にしなければならんということになつたわけでございます。で、この間関係の各省と御相談し、折衝して参つたのでございますが、そういう結論になりまして、そこで実は行政協定に戻るわけでございますが私どもが折衝して知つております限りでは、結論といたしましては行政協定の中でこういつた損害補償に関連のありそうな規定は、十八條の三項と二十五條の二項と二つでございます。それで十八條の三項でございますが、これは駐留軍の軍人、又は平たく申上げますと軍人或いは軍属が公務執行中要するに作為、不作為或いは事故で日本国で第三者に財産上の損害を与えたものから出て参りますその請求は、日本国が次の規定に従つて処理する。その規定と申しますのは、先ず日本国の被用者、つまり日本国の公務員或いは準公務員かと思いますが、「日本国の被用者の行動から生ずる請求に関する日本国の法令に従つて審査し、且つ解決し、」云云とこう書いてございます。そこで日本国の被用者の行動から出て参ります賠償請求に関します法令というものは、現在のところ国家賠償法しかございません。そうしてその国家賠償法を受けました規定といたしましては、民事特例法、名前は長いのでございますが、要約して申しますと民事特例法がありますが、大体この十八條の三項に基きます法律といたしましては民事特例法に盡きるわけでございます。これは結局日本国の領土、領水を含めて、領土、領水内で適用せられる法律でございます。而も国家賠償自身が違法ということを要件としておりますので、民事特例法も違法ということを書いてございます。で、御質問のような場合におきましては、違法の場合は従つて民事特例法に関する限りにおいては救える。ところが直接違法でない場合或いは領海外の場合におきましては、民事特令法の範囲からはみ出るわけでございます。従つて十八條は部分的には御設問のうちの一部には該当するわけでございますが、相当外れる。そうしてそれを救うほかの根拠を探しましたが、ほかの関係はございません。僅かに二十五條の二項で日本国が施設、区域等をこの協定の存続期間中にアメリカ合衆国に負担をかけないで提供し、そうして相当の場合にはその施設、区域等の所有者及び提供者に補償を行うと書いてありますが、これを実は援用した次第でございます。それでこの演習区域を日本国が提供するのだという構想、構成の下にこの法律案ができ上つた次第でございます。そういう次第でございますから、結局いろいろな事態を考えましたものの、そのうち全部が行政協定に基く法律で救うというわけには参らなくなりまして、それで最後は先ほど来申上げましたようなことで、結局まあ意識的にというか、止むなく法律の規定からは落した。そうして他の民事特例法或いは土地等の使用等に関する特別措置法、それでいわゆる通常の損失に該当する範囲内ではできるだけ拡げて救つてもらうというか、救う、それでどうしてもいけない場合には、実際の実情等を勘案して大体この法律案或いは関連の法律の趣旨に準じて見舞金の制度を活用して行く、こういう結論になつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/11
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012・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 いろいろ当局においてもこの点は研究せられたようなお話でありますが、我々この委員会のメンバーとしまして、この法律なるものは漁業の損害を補償してやろうというのがこれの眼目である。さすれば当然そういうことが起きるとするならば、ここに漁船という字句に拘泥せずに、何かそこに適当な字句を入れてそういうものを包含するように一つはつきりしておくほうがいいのであつて、それがはつきりしていないと後日扱い者においていろいろな異論が出て来る。そこで悶着が起るようなことになるので、その根本の趣旨から考えますならば、適当な字句をこれに挿入することはあえてむずかしいことではないのじやないか、それを原案を余り固執する必要もないように私は思う。そこで我々も考えますが、もう少し適当な字句を考えて頂いて、そうして必要によつては我々が修正してもいいし、又他の方法をとつてどこかで修正してもいいのではないか、そう考えますので、まだ時間もあるようでありますから、この点なお研究をして決定させて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/12
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013・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) それでは第三條に移ります。第三條に対して御意見なり御質問がありましたならばお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/13
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014・千田正
○千田正君 第二條の第二項についてちよつと伺いたいのですが、「前項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。」となつておりますが、通常以外のものということはどういうふうなことを考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/14
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015・家治清一
○説明員(家治清一君) 例えば或る漁場が制限を受けたといたしますと、その間普通の漁業者であればそれに代る漁場を求めるといたしましても、そうとんでもない遠いところへ行かないで可能な範囲で漁業をされるのが通常の場合であります。それを非常にとんでもないところへ行つて、そこで例えば網を引つかけて流してしまつた。そういつた場合の異常な損失は考えない、大体こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/15
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016・千田正
○千田正君 そうしますというと、普通常識で考えてこの程度の場所であればこういう減収その他の損害をこうむつたと認定できるという程度のことを通常というのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/16
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017・家治清一
○説明員(家治清一君) さようでござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/17
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018・千田正
○千田正君 それではそれ以外で今実例をおつしやられましたが、例えば三マイルなら三マイル以内においては通常と認めるが、十マイルも離れたところは通常と認めない、併し現実においてはそうするよりほかになかつたというような場合は、やはり通常と認めるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/18
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019・家治清一
○説明員(家治清一君) これも大体社会通念と申しますか、或る程度の客観性の根拠があればそういつた場合も入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/19
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020・千田正
○千田正君 わかりました。三條に進んで頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/20
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021・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 何か御質問がありましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/21
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022・千田正
○千田正君 この補償を受けようとするものの申請の期間は特に定めなくてもよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/22
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023・家治清一
○説明員(家治清一君) ここでは例えば六カ月内とか一年内という制限はございませんが、予定しておりますのは、大体その都度お出しになつてもいいし、或いは何と言いますか、或る程度その同種の被害を受けた人達が或る時期に纏めて申請されてもいいと考えておりますが、ただ指導としては、そう一件々々、お出しになるのではなでて、成るべく纏めて、それで府県知事を経由して参ります際に、府県知事がその実情を調べますので、成るべく纏めた範囲で、纏まつた時期に出してもらう、こういうように調達庁とお打合せ中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/23
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024・千田正
○千田正君 それでは期限の制限がないとするならば、これはいわゆる被害者のほうの都合によつて適当な時期ということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/24
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025・家治清一
○説明員(家治清一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/25
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026・千田正
○千田正君 但しこれはやはり常識の点からいつて、社会通念から、五年も六年も前の問題を持込まれたんじや容易でやないと思うのですが、その点はどうなんですか。それでも構わないのですか。例えば三年前に問題があつた同一事項のことを持出して賠償の請求をするというような場合があり得ると思わなけれでならんのですが、そういう点も何ら制限しなくてもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/26
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027・家治清一
○説明員(家治清一君) この点は、実は特に定めなかつたというのでございますが、私どもの希望と言いますか、指導方針としては、お話のように、その個人の都合で三年も五年も放つて置いて、それからあとで申請されるということはないように指導したい。それからもう一つは、被害を受けた漁業者の実情からいたしますと、一刻も補償を早くもらいたいというのが実情でございますので、その被害を受けた地区においては、洩れなく何と言いますか、まとまつて申請されるように、府県庁を通じ、関係の組合等を通じまして指導いたしまして、万一何かの都合で洩れた場合は、それは普通常識で理解できる程度の遅延は、これは勿論許す。それから、余り非常識に、十年も十五年も放つて置かれた場合には、たとえ補償になりましても、実態に副わなくなると思いますので、そういつた洩れがないように十分注意して、実際問題として解決して行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/27
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028・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 ほかに何か規定があるのかも知れませんが、この第一條から、今の千田委員の御質問に関連して来るじやないかと思うのですが、「一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。」制限、禁止したことをどうして知らせるか、知らせなければならないという規定が普通ならあるのですが、それが皆に行渡つてからの問題になるわけで、例えて言いますれば、制限があつたという通知がなければ、まだ制限があつたことを知らないかも知れません個人は……。そうしてそこで仕事をしておつたところが、それはできないということになつて、或いはそういう制限があると同時に知らせる、而もその禁止の相当期間を置いて前に知らしてくれるならば、その措置ができるのですが、いきなりもう公布の日からこれは実施するのだと言われると、漁船の操業に非常に影響して来る。どうにもならんような場合があるのではないか。根拠地を移さなければならんといつたような事情も生じて来ましようが、その規定は、これにないのはどこかにそういう規定がありますか。又こういうことを制限、禁止した場合には、それを知らせるというようなことをここで謳う必要がありはせんかと私は考える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/28
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029・家治清一
○説明員(家治清一君) この点は総理府令で規定になるのでございますが、考え方といたしましては、例えば、或る危險区域の中に年間固定しておりまするものは告示ではつきりと地域と期間が出ます。それから演習地区のような場合におきましては、地区そのものは告示したいと思いますが、実際に演習するのは、これは実は本当に演習すると言つても、事実演習しないこともあるので、実際演習が始まるときには別途漁船のみならず、一般船舶の関係もありまして、例えば水路部の公示なり、それからラジオ等によつて通報がございますが、その際にこの制限の措置も通報してもらう、官報なり、広告なり、どうやりましても実は遅れ勝ちでありまして、成るべく最大限操業してもらう、極めて危険な所だけ実際に行かないように制限する、こういう考え方で、例えば演習を実際やります何日の何時から何日の何時まで、こういうようなものはもつと敏速に一般に周知できるような方法としましては、例えば、ラジオ等によつて周知の方法をとりたい。こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/29
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030・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 従来の制限、禁止の例を見まするというと、水面の操業区域というものをちやんと明示して来たはずなんです。それはジヨージとか何とかいう名前がついて、どの区域には行かない。実際にそれを本当に何月何日から何日までやるというようなことは、只今お話のような告示する方法をとつておるようですが、そういうふうな相当長い期間これを禁止して行く、或いは制限して行くというような場合には、何らかはつきり周知せしめる方法がとられなければならんと思うのですが、そういうものをこの規定の中に入れる必要はないのですか。入れなければ工合が悪いじやありませんか。今私が申し上げましたように、いきなりそういうことをやられても漁船は戸惑いしてしまう。どうにもならないようなことになつて、この損害というものは非常に大きくなり、国家が補償するためにも余分の補償をしなければならん。前以てそれを通知して行くならばその補償も案外少くて済む、もう盛漁期になつて、それをやられては大きな損害、その年の経営は破壊されてしまうということになり、そうなると大きな損失を国家が補償しなければならん。それは前以て知らしておくならば、相当準備をして、その時期にはどうする、私がさつき話したように網を干す場所なんか、そう一朝一夕にどこにでもできるものじやない、波が荒いところなんかできるものじやない、そういう設備をするにしても、一日や二日でできるものじやありません。だからして前以てそういうものは知らせるというようなことが私は是非必要だと思う。その規定をこの中に入れておく必要があるのじやないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/30
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031・家治清一
○説明員(家治清一君) 周知徹底の方法はあらゆる手段を使つて的確な措置をとらなければならんという点におきましては、全く同感でございます。ただここに法律で特に書きませんでしたゆえんは、実は單に告示するとか、或いは新聞紙上で広告するということだけでは、実は足りないので、先ほど申上げましたように、演習場の区域がきまりましたならば、官報告示なり、或いは役場、県等を通じての組合等に対する通知なりはいたしますが、それだけでは又あれで、そういう演習場がきまりましてから、別に本当に演習をやるときまでは漁業をやつてもらいたい。それで実際危いときだけは、これはラジオ等によつて緊急に通知をし周知して、そのときだけはやめてもらう、そうでない限りは演習場の設定がありましても、出漁してもらう、そうすれば漁業者の被害も少いし、国の補償も少くなる。相当期間をおいて告示できる場合と、そうでなく、その都度一番的確にわかる周知徹底の方法と二通りあると考えるので、特別に法律上周知の方法を規定しなかつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/31
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032・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 私はそういうことがあるからなおしなければいかんと思う。いきなりやられたら実際困る、だからしてこれは若し政府のほうでうつかりしておつてやらなかつた場合に、何もやらなくても通知するとは書いてないじやないかということになれば抜け道になる、ですからそういうものは大抵禁止することになつたら、禁止したらどうするという規定は、普通は付いておるわけだから、そういうものは何とかしておかないとおかしいのじやありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/32
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033・伊東正義
○説明員(伊東正義君) 今の御質問は、この規定の中に何日前までに告示するということを書いたほうがいいだろうということだと思いますが、その点は私委員長になつて向うと折衝しておるのでありますが、ものによりましては、さつきお話のありましたようなところは、これは絶対危險な区域だと書いて来ております。場合によつては、この地区では演習をする場合は、十五日前に日本側に通知するということが書いてある地区もあります。地区につきまして若干向うとの話合いも違つております。何日前までにということをびしやつとここに出せば一番いいのでありますが、向うとの関係がありまして、何日前までに通知するということは、実は落したのであります。今交渉しておりますのは、向う側としましても、急にやつて日本の漁業者に迷惑をかけちやいかんというので、日本側のほうに通知して頂いて、ここは年中危險の区域だということを早急にやるつもりでありますが、地区につきましては、向うは十五日前に通知をするとか何とかということを区分けをして書いて来ております。そういうような関係で、この法律には何日前ということをびしやつと書けなかつたのでありますが、我々としましては、先ほど家治課長が申しましたように、急に演習をするというようなことはやめて、成るべく早く通知をするというようなことはやりたいと思つております。それから又これは一回通知をいたしましても、向うで天候の工合とか或いは何かでやめる場合もございます。その日はやるといつていながら何日間かやめる場合もありますので、そういう場合の通知の方法、これは実際やるという告示が出ておりまして向うでやめる場合には、こつちも成るべく早くそれを漁民に知らせまして、本当はやる期間でありますが、漁業もするということをさしたのでありますが、そういうこともいちいち法律に書けばいいのでありますが、非常に具体的な場合になりまして問題がありますので、あとで申上げましたような、やるといつて置きながらやめる場合は、これは今話合いは一々東京からやつたのじや時間がかかるので、現地の部隊と漁業組合なり、警察なり、村役場と話すということを具体的に今交渉いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/33
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034・千田正
○千田正君 さつき家治課長からのお答えには第三條の期限を別に付さなくても被害者は早く補償を要求するからいいだろうという御回答のようでありましたが、国内法においての、いわゆる日本の会計法から言いますというと、この三十條によつて損害補償の期限の時効は五カ年ときめております。そういう通念で以て行かれるつもりですか、いわゆる期限なしにどこまでもいいという意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/34
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035・伊東正義
○説明員(伊東正義君) その点は私こう考えます。債権が確定してから五カ年間というふうに、時効になるというふうに考えます。その点はそれでこの三條の三項で内閣総理大臣が補償額を確定した場合ということで、債権が確定してから五年間で時効になるというように、解しまして、事件のほうの請求をするという、いつまでに請求したらいいかということについては又債権未確定というようなつもりでその時効の規定は適用にならんのじやないかというように今は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/35
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036・千田正
○千田正君 あれはたしか会計法の三十條は請求権でしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/36
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037・伊東正義
○説明員(伊東正義君) 債権が確定してからというように解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/37
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038・千田正
○千田正君 ちよつと見て下さいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/38
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039・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) ちよつと私から申しますが、やはり第三條は千田委員の言われた通り申請の時期を明記することが必要じやありませんか。少くとも速かにとか或いは何カ月以内ということがないとだらになる慮れがありますね、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/39
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040・家治清一
○説明員(家治清一君) お答え申上げます。これは実はその検討の過程におきましては、先ほどお答えしましたようなことで落したのでございますが、これはどうしても期限を切つては困るということはありません。切つてもいいのでございます。ただ今のところ、先ほど申上げましたようなことで、特に規定して置かないでもいいだろうというつもりで、できただけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/40
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041・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 今の問題は、ここに総理府令の定めるところにより云々とありますが、その総理府令の中にそういうことを謳うのでありませんか。そういう内容は御承知ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/41
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042・長岡伊八
○政府委員(長岡伊八君) 総理府令に定めますこの点は十分研究いたしたいと思つておるのでありますが、ここに実は総理府令と書きましたのは手続を書いたのでございまして、それによつて請求権を制限するといつたようなことができるかできないかという問題に相成るかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/42
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043・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 それは別に請求権を制限するのじやなくて、総理府令の中に請求しようと思うものは何月何日、或いはその事件から何日内にどういうことを書いて出せ、こういうことは何も制限じやないじやありませんか。まだそこは総理府令は案も何もないわけですね。若しないとすれば、まだできてないとすれば、そういうことも考えて、今いつたような疑念のないようにここに語うのがいいのじやありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/43
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044・家治清一
○説明員(家治清一君) 総理府令は一応まあ水産庁でも実はまだ未検討なんでございますが、それについて特別調達庁と御相談中でございますが、管理部長のお答えになりましたように、実は手続だけを規定するつもりで現在の原案はできておりますが、これは仰せのように総理府令の定めるところによりというので、申請の期限を書いて書けないことはないという解釈で、法制意見局の担当参事官とはまあ連絡はして、どうしても書く必要があるならば書けないことはないだろうという、今のところはその程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/44
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045・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) ほかにありませんければ、第四條に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/45
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046・千田正
○千田正君 第三條は一つ研究して頂きたいと思います。我々もまあもつと研究したいと思いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/46
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047・木下辰雄
○委員長(木下辰雄君) 一通り質問をいたしまして、その上で各委員の意見をまとめて善処することといたしたいと思います。
第四條を議題に供します。では、第四條と第五條を一緒に議題に供します。ございませんければ、最後の第六條を議題に供します。ほかに何かありませんか。大体これで一通りの逐條審議は済んだものと認めます。
それから次の委員会におきまして各委員の御意見をまとめてこの取扱い方を御相談したいと思います。
本日はこれにて閉会いたします。
午後二時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314562X03519520528/47
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