1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十二月十一日(火曜日)
午前十時五十九分開会
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委員氏名
委員長 平沼彌太郎君
理事 大矢半次郎君
理事 清澤 俊英君
理事 伊藤 保平君
理事 木内 四郎君
愛知 揆一君
岡崎 真一君
黒田 英雄君
山本 米治君
小林 政夫君
小宮山常吉君
田村 文吉君
岡田 宗司君
菊川 孝夫君
野溝 勝君
松永 義雄君
菊田 七平君
櫻内 辰郎君
森 八三一君
木村禧八郎君
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
委員
愛知 揆一君
黒田 英雄君
小宮山常吉君
小林 政夫君
田村 文吉君
菊川 孝夫君
松永 義雄君
菊田 七平君
森 八三一君
木村禧八郎君
政府委員
大蔵省主計局長 河野 一之君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主計局法
規課長 佐藤 一郎君
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本日の会議に付した事件
○審査報告書に関する件
○連合委員会開会の件
○財政法、会計法等の財政関係法律の
一部を改正する等の法律案(内閣提
出、衆議院送付)(第十二回国会継
続)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/0
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001・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それではこれより第一回の大蔵委員会を開会いたします。先ず最初に、前国会におきまして継続審査を承認されました財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案についてお諮りいたします。本件については、本院規則第五十五條により議長に報告書を提出しなければならないことになつておりますので、まだ審査を終らないということで提出することとし、その手続内容等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/1
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002・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めますので、さよう取計らうことにします。
なお本報告書には多数意見者の署名を必要といたしますので、順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
伊藤 保平 大矢半次郎
小林 政夫 小宮山常吉
黒田 英雄 菊川 孝夫
菊田 七平 森 八三一
松永 義雄 木村禧八郎
田村 文吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/2
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003・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に只今通商産業委員会において審議中の企業合理化促進法案についてお諮りいたします。本件につきましては、御承知のごとく、先国会に連合委員会を開くことに申入れたのでありますが、今回会期等の関係上連合委員会が開けませんでしたので、改めて通産委員会に連合委員会を申入れることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/3
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004・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは御異議ないものを認めましてさよう決定いたします。なお、通産委員会の都合で、右の連合委員会は明十二日午後に開かれることになると思いますが、決定次第公報を似てお知らせいたしますから御了承願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/4
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005・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に、財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/5
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006・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この前この法案は定員法とやはり関係があるというお話だつたのですが、定員法がああいうふうになつたんですが、今度どういう関係になるのですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/6
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007・河野一之
○政府委員(河野一之君) 定員法は政令諮問委員会で、人事事務、いわゆる内部管理事務、つまり人事とか会計とかという事務を簡素化せいというお話がございまして、御指示になつておりまするが、その意味におきましてこういう立案をいたしたのでありますが、従つて、管理要員につきましては、たしか二割程度減じたかと思つておりまするが、これは或る程度復活になりましたが、直接的に定員のほうが緩和されたから、この分は元へ戻してもいいというふうな必然的な関連は、私は持つておらないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/7
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008・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういうふうな抽象的なことではなくて、この前一応あの法律通過によつて何名かを整理することが予定されていて、当初案の七万幾らの整理の人員の中に当然織込まれていたと思うのです。それはどのくらい織込まれておつて、そうしてこの法律が通らなかつたのですから、そこで何人くらいが整理されないで残つて、若し今度この法律が通つた場合には、再びこの法律に基いて整理の問題が起るのかどうか、そういう点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/8
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009・河野一之
○政府委員(河野一之君) 実際問題としまして、管理要員の中に、会計職員が幾ら、人事職員が幾らというふうに実ははつきり区別できないのであります。それで管理要員と目されるものについて、大体二割程度、小さな官庁であれば一割程度減じたのでありますが、この定員が直接的に、それで会計職員に幾らというふうな関連は必ずしもそこに考えておりませんでした。従つて、この法律が通つてどうというふうには、私ども別の観点から定員の問題が起ることは別といたしまして、この点と直接に非常な密接な、米の統制撤廃のごとく密接な関連はそれほどにはないと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/9
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010・木村禧八郎
○木村禧八郎君 一応この法律は通るものと予定されて会計方面の整理が予定されて来たと思うのですが、今事実はどうなつたのですか。事実は定員法がああいうふうに改正されましたが、これが仮に通らなかつたとすればどうなるのですか。実際には、すべて事務としてはごの法律が通つた場合を前提としてそういうふうに行われておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/10
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011・河野一之
○政府委員(河野一之君) おつしやる意味がよくわからないのですけれども、定員法が御承知のようなふうになりまして、どこで幾らというふうには内容ははつきりわかつた修正には実はなつておりませんので、整理の問題としましては、全体としてやるので、必ずしもその会計の部面が二割となつておつたからといつて、全体を見て各省おやりになると思いますので、必ずしも非常にこれが密接に結びついておるというふうにも思わないのであります。この法律が通つたからというのではなく、この法律については、前々から会計事務については簡素化を希望しておつたわけです。殊に支出負担行為の問題についてそうでありまして、この法律と直接に会計職員が非常に密接に関連して、これが通つたとすれば、更に整理の問題が起る、そういつたような関連は、米の統制撤廃その他の統制関係の経費のごとく密接ではないと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/11
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012・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私が質問しましたのは、この前河野さんが、この法律は第十二臨時国会に是非通すのが望ましい、それについてはいろいろ理由があるけれども、その一つとして定員法の関係があるのだ、こういうことを言われたから質問しておるのでありますが、ところが定員法があのようになつて、この法律は一応前国会で通らなかつた、持越された、そこで、最初のお話によれば、又支障が生ずるに違いないと思う。支障が生じないとすれば、この前の定員法と関係があるのだから、そればかりの理由じやありませんが、これが通るのが望ましいと言われたことが私は事実でないというふうに理解されるのです。この法律が通らなくて、本国会に持越されても支障がないと、現実に、そんならば今度この今の年内にこれを上げなければならないという理由がわからないです、急いで。そういう意味でお伺いしておるわけです。これが年内に上げなければ支障が生ずるというのは何か具体的に出て来るものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/12
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013・河野一之
○政府委員(河野一之君) どうもあれしかねるのですが、さつき申上げましたように、政令諮問委員会で人事及び会計に関する制度を徹底的に合理化して、そうして事務を減らしそうして人を減らせというラインであつたわけです。そうしてあの政令諮問委員会の案に基いて、法令の改正と申しますか、事務整理としておる案としては、率直に申上げれば、この財政法ぐらいであつたかと思うのであります。前回の国会に、従つて或いは木村さんにそういうふうなことを申上げたかと思います。殊に会計事務というものは相当複雑である。この会計事務の整理の問題だけではないのでありまして、そのうち一番関係がありますのは、支出負担行為の問題と、それから契約制度の問題だと思うのでありますが、そういうことについて前々から簡素化を要望しておる、そうして従つて或る程度人員の整理をするならば、是非こういうのをやつてくれというのが会計職員の要望であつたこと、従つて今度も或る程度天引整理でありますが、事務の性質によつては天引整理にはなつておりますが、そういつたことも考え併せて、これとどの程度の関連があるか、これは考えようによりますが、こういうことをやつて会計職員の手をすかしたい、従つて或る程度の整理も可能にいたしたいと、こういう考えで行なつておるわけであります。これをやつたから更にどの程度というように、事務の分量というものはなかなか測りにくいものでありますから、これは木村さんの言われたように、これがどうなつたから整理のほうはどうなるというふうに非常に密接的に考えられるということもこれは一論かも知れませんが、私どもは現在そう思つておりません。それからこの問題を非常に急ぐと申上げますのは、支出負担行為制度の改正というものは、来年の一月くらいからいたしたいと思つておりますし、それから二十七年度の予算は、この財政法に基いて予算は編成したいと、こう思つておるわけであります。従いまして、出来上つた法律に従つて予算を作るという建前で、早急にお願いしたいと、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/13
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014・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはまあ大体早くやつたほうが政府としてはいいことは、それはわかるのです。その簡素化自体に我々は別に反対じやないのですけれども、併し二十七年度予算編成をこの方針でやろうとする場合、何も年内に今すぐやらなくちやならんということは……それと並行してやられることがいいのじやないか、その点はまだよくわかりませんが……併しこの問題ばかり言つていてもあれですから、もう一つ次にお尋ねしたいのですが、この継続費の問題ですが、どうも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/14
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015・小林政夫
○小林政夫君 今の、さつきのに関連して、ここに二十五年四月二十日現在の支出負担行為担当官等の人数が出ておりますね。今度の定員法の改正によつてこれがどうなつたのか、又この法律を通すことに上つてこれが人数が減るのかどうか、その点をはつきりすれば今の木村さんの質問がはつきりするのじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/15
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016・河野一之
○政府委員(河野一之君) この支出負担行為担当宮の数がここに出ておりますが、これは別の人を置いてあるわけじやないのであります。つまりその現在おる職員に対して、そういうその特別な、何と言いますか、会計職員を命じておるわけであります。従つてこの支出負担行為担当官が激つたからどうだということじやないのでありまして例えばちよつと申上げて見ますと、大蔵省においては会計課長であります、支出官というのはその下の課長補佐、契約を担当しておる課長補佐であります。それから支出負担行為認証官というのは大蔵省で言えば文書課長で、それらのことについては文書命令を出してやつておるわけであります。これがなくなりましたからと言つて、そういつた職務がなくなる、会計職員としての何と言いますか、文書事務がなくなるというだけであるというふうにお考え願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/16
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017・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、もう全然この法案と定員とは関係がないと言われるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/17
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018・河野一之
○政府委員(河野一之君) そういうふうに、率直にそういうお考えになりましても、私もちよつと困るのでありますが、例えばその支出負担行為担当官の数につきましては、今まで毎四半期……今年度から少し変つておりますが、そういつた書類を作る職員がおるわけでございます。それから認証についても、勿論これも専任の職員がおるわけじやありませんが、そういつた事務が非常に複雑になつておる、それからこれを各省に大蔵省が持つて行きまして支出負担行為と予算とを合せるわけであります。そういつた事務があるわけであります。それが何人というように計られませんけれども、とにかくそういう事務がなくなることによつて或る程度人手がすくということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/18
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019・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それに関連してお伺いしますが、そうすると、この法案を通すことによつて大蔵省は何名節約できるのですか。この間の定員法を先ずする場合には大蔵省で何名、それは何の簡素化によつてですか。計画して積み上げて行つたと思いますが、仮にあの定員法と切り放して考えましても、これをこの法律が通ることによつて大蔵省だけでどこの部、どこの局で何名だけは減員でき、経費の節約はどのくらいになるという見積りができているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/19
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020・河野一之
○政府委員(河野一之君) それは率直に申上げてできてないのであります。と申しますことは、大蔵省の会計課の職員のうちでどの程度と、これによつて事務の分量が明細に測り得ない点がございますし、それから且又小さな役所へ行きますと、税務署でもある、或いは国税局でもあるが、人事、庶務、会計の事務を一つにやつておる、で、一人の人を三つに分けるわけに行かないので……総体的に非常に事務負担が軽くなるであろうということは言えると思います。それを何分の一に整理していいとか、非常に恣意的な見方になるが、当初我々が考えておるところの人事、会計或いは庶務といつた管理職員というものは二割くらい減るのではないかということを考えておる。そのうち会計は幾らということはちよつと申上げかねるのです。丁度いわゆる管理職員というものは、大蔵省にどの程度が適正かということは、これは行政効果判断の問題でありますが、一割から一番少い所で八分、多い所は一割五分、管理職員を持つておつて小さな職域はどそういう分量が多いのです。従つて人間を二つに分けるわけに行かないので、それがために会計事務、これがなくなつたがために一人で全部やつておつたものは一人要らなくなる、三人の場合には一人くらいは要らなくなるかも知れませんが、そういつた的確な計算は出ないわけであります。行政機関職員定員法の改正に当りまして、我々が考えておつたのは管理職員を定員二割程度、こういうふうに考えておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/20
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021・松永義雄
○松永義雄君 木村さんのにちよつと関連して、来年度、二十七年度の予算編成のために議題になつておる本案の通過が、延び延びになつおると、こうおつしやつたが、そうすると、この法案の通過することによつて、二十七年度予算に現われて来る具体的な問題を先ずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/21
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022・河野一之
○政府委員(河野一之君) それは実行の問題と予算の問題と両方あるわけでありますが、一番代表的なものは継続費の問題であろうと思う。継続費というものは来年の予算から一部実施したいと考えております。それからもう一つは予算の部、款の廃止の問題であろうと思います。この二つが来年度予算としての具体的の問題になると思います。あとは主として実行の問題になると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/22
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023・松永義雄
○松永義雄君 継続費で現われて来る具体的の何と言いますか、費目ですが、それはどういうものを、例えば公共事業費なら公共事業費の費目は具体的にどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/23
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024・河野一之
○政府委員(河野一之君) これはまだ現在検討しておるのでありますが、我我としてこれは特殊の例でありますから拡げたくないと思つております。只今私のほうでいろいろ検討して、或いはやらなくちやならないと思つておるのは、これもまだ確定的なものではございませんが、例えば例を申上げますと、例えば関門国道の問題であるとか、或いはダムの建設といつたような、そういつた程度の一、二のものに限られると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/24
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025・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこで、今継続費の問題のことがあつたのですが、これはこれまでの……最初の財政法を作つたときは原則として、歳出予算のほうでは一カ年限り、それから国庫債務負担行為のほうで継続的なものと認めるという建前であつたと思う。そこで憲法の第八十六條の問題ですね、毎会計年度の予算を提出する。これは憲法のほうも変えなければならなくなつて来るのではないんですか。憲法に毎会計年度予算を提出する、とはつきり書いておるのに、財政法だけでこの原則を変えることはできるのかどうか、ちよつと問題じやないんですか。それだからこそ国庫債務負担行為で継続的なものができるようにしたのではないんですか。国庫債務負担行為は相当いろいろなことができるようになつておると思うのです。例えば法律に基いてもやれることになつておるのですから、国会の事後承諾によつてもできるとか、いろいろ国庫債務負担行為の範囲は相当広くなつておると思うのです。そういうふうに救済規定があるのだと思う。そのために国庫債務負担行為のほうで、十五條ですかのほうできめたと思う。これは私はやはり相当憲法八十六條との関連問題じやないかと思うのですが、当初作るときどういうふうにこれを解釈されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/25
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026・松永義雄
○松永義雄君 その点は相当明確に、法理的に詳細お話願いたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/26
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027・河野一之
○政府委員(河野一之君) 財政法は二十二年から施行されたわけです。新憲法が五月三日から施行されたのでありますが、旧憲法と新憲法との差異の問題になるのでありますが、旧憲法においては毎年予算は帝国議会の協賛を経る、そのほかに継続費というのが憲法上ありました、それから予算外国庫の負担となるべき契約というのがあつたのであります。つまり毎年度予算の例外をなすものが二つ認められておつた。ところが新憲法になつてその二つがないわけであります。従つてこれが禁じられた趣旨であるか、或いは新憲法の精神に従つて財政に関することは、国会の議決によつてすべてをきめることになつておりますから、法律上、法律でやつてもいいし、いろいろなやり方、形式的な行為はいろいろありましようが、そういつた国会の議決に基いてやることができるかという点に一つの問題があつたと思うのであります。併しこの問題はすでに国庫債務負担行為によつて解決せられておる問題である。新憲法においては国庫債務負担行為の規定はないのであります。併し財政法において国庫債務負担行為というものを新たに設けた、これは旧憲法における予算外国庫負担契約と同一であります。なぜ継続費をそれならばそのときに設けなかつたか、これは財政法の問題、或いは憲法の問題で継続費を禁じておる趣旨であるかどうかという問題について議論があつたときに、そういうことを申上げたわけでありますが、継続費というものが必要であるかどうか、これは別途御議論を願うといたしまして、我々としてはこれは禁じた趣旨ではない、つまり国庫債務負担行為というものが単年度予算、或いは予算の繰越というものが、単年度予算に対する例外であるならば、例外が財政法として認められるならば、継続費としても当然認めらるべきものである。ただ何故に継続費をそのとき置かなかつたかということについて、第二段の問題があるわけです。この問題につきましては継続費というものは数年度に亘つて債務の負担をし、且つ金を支出するものでありますが、当時の我が国の財政経済の現状から考えて、将来に亘つて大きな経費の負担をするということが財政計画の上からいつて適当であるかどうかという問題が、実質論が一つあつたと思います。それからもう一つは、ほかの制度によつてこれが変り得るのじやないか、つまり国庫債務負担行為なり、或いは法律によつてこれができるのじやないかという第二論があつたと思うのです。で、国庫債務負担行為においてやる場合というのは、これは債務の負担であつたのです。改めて予算を取らなければ……これはアメリカの制度と日本の制度の差異でありまして、国庫の債務を負担するだけであつて、経費の支出ができないのです。これは法律でも同様で、法律で例えばどこどこの河川を何カ年間に幾らやるということを法律できめただけでは金を出せない、債務の負担は或いはできるでありましようが、支出ができない。そこでこれはアメリカの制度でありますと、日本のような予算の形式によつて債務負担行為をするのではありませんで、年々アプロベーシヨン・アクトと申しますか、一定の法律のような形式で予算をきめて行くわけです。各項についてこれこれの経費のために何年かに亘つて、或いは一カ年度限り幾らの経費を出してよろしいということが国会のアクトできまれば、それによつて政府はフアンドを設定してどんどん金を出して行ける、あとでこれは議会の議決を経る必要がないわけです。これはイギリスでもそうでありまして、サプライ・サービスとコンソリデーテツド・サービスと両方あつて、いわゆる継続的な予算と単年度的な予算と分けております。継続的な予算は形式的な予算のエステイメートとして一定の表にして議会に出して全貌を示すという意味においては議決があるわけでありますが、それとは関係なしにできるわけであります。ところが日本の制度においてはすべてを、これは進歩した制度か、或いはそれはいろいろあると思いますけれども、毎年予算を改めて予算の形式で以て国会の議決を経ないと金が出せない、従つて暫定予算みたいな制度もあるわけなんです。それで法律ではできない、或いは国庫債務負担行為でできないとするならば、継続費ということによつて、これを事業なり或いは、まあ主として事業でありますが、一定の計画を以て数年度に亘つて債務の負担ができ、或いは現金の支出ができる、勿論年度内の区分はありますが、そういうふうにすることによつて事業が非常に効果的になる。例えて申しますると、現在三月に予算が通過いたします場合に、その当該年度の予算は三月まではどうなるかわからんという状況で計画も何も立たない、それが四月以降において幾ら幾らの債務がもうすでに負担してもいいのだということが確定しておりますれば、事業の執行は非常にスムーズに合理的に行く。それでこれは行政監察委員会から継続費制度の必要ということを出されておるわけでありますが、或る下部の官庁におきましては、予算が取れないから年度の初めは一般から借金をしてそれで立替えて仕事をしておる、それであとで以て予算がついてからこれを返すというような実情が実は一、二の官庁にあるのであります。それがために非常に経理が不合理になり、それから非常に不正を起す、そういつた元になるということで、それは現実の必要の問題としてあるわけです。従つてくどくど申上げましたけれども、法律上は、憲法上は私はこれはもう支障がないし、又ほかの制度で行けるかという木村さんの御質問に対しては、なかなかほかの制度ではむずかしい、それから現実的にはそういつた必要に現在迫られている、その三つの理由から我々は継続費を是非実現さして頂きたい、こういうふうにお願いするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/27
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028・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは、主計局長のお話は一応継続費の必要な理由を合理化する上において一つの御意見です。併し憲法八十六條で予算というものを一会計年度に区切つた、なぜ区切つたか、旧憲法において継続費があつたのに今度は継続費を否定しているのでないということは、私もそうだと思うのです。美濃部さんなんかの憲法の本を見てもやはりそう解釈しております。併し前に継続費を認められて、なぜ今度は継続費というものを予算で認めないか、それは継続費はあつたほうが便利であるに違いないのです。事業は早く進捗することは明らかです。それにもかかわらずなぜ予算から継続費を実質的にやろうとすれば、予算外として予備費を使うとか、そういう形が一つある。それから予算以外国会の特別の議決を要する、こういう方法もあるのです。予算として継続費を認めないということは便利、不便利ということよりも、更にこれが濫用されるその弊害の面と比べてどちらが重要ということがこの趣旨であると思うのです。それでやはり予算とは一年限りのもの、財政としては予算以外にいろいろな方法があるのですけれども、御算としては一会計年度限りだとした趣旨が、濫用のほうが、弊害のほうが大きいのだ。だから例外規定として予備費の制度もある。予備費は私は予算外として見るべきだと思う、一応は予算の恰好で計上されている、あれは使途が明確になつていないのですから、一応予算外としてある、そういう形が国会の特別の議決によつてできるのですから、そういうことによつて……それは窮屈です、不便です。併しなぜこういう不便にしたかというと、その弊害のほうがこれまで大きいから不便にしたので、民主主義というのは不便なものです。独裁主義というのは便利なものです、何かやるのに都合がいい。民主化したということは、特に手続を不便にしたということは、それによつてそういう弊害を、一部の権力によつてこれが濫用されることを防ぐ、こういうようなことを目的にして作られたと思うのですが、特に予算になると、歳出義務の負担と、歳出の支出の権能と両方出て来る、そこで非常に予算で縛られると思うのです。支出のほうも認めるわけですから、支出のほうもあるのですね。そうすると、国庫債務負担行為のほうですと、今度は次々の国会で予算をきめて行けばいいのですけれども、継続費を一遍認めてとまうと、支出のほうもこれも認めてしまうのですから、そこで非常な制約をされると思います。勿論これが濫用されなければ、それはよいことはわかつている。長い歴史の上ではやはりそういう弊害のほうが大きいのではないか。これはそこの比較勘案の問題だと思うのですが、絶対的に私はいかんという意味ではないのですけれども、この点はやはり今まで旧憲法で継続費があつて、なぜそれが予算として認められなくて、それでこういうことになつたか。今まで司令部のほうでなかなかOKをよこさなかつたが、漸くよこした、こういうあれもどういう経過でそういう議論が闘わされたのか、そういう点も差支えなかつたならば率直にですね、これもなにも反対するとかしないとかいうよりも、問題を本当に明らかにして、弊害がないならばない、あるならあるでよろしい、我々も……そういう意味で一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/28
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029・河野一之
○政府委員(河野一之君) これは憲法に、毎会計年度とか、予算とかいう言葉を使つておりますが、この意味は、要するに健全なる政治慣行というものを前提として、且つその国のいろいろな事情によつて各国ともこれは同一でないので、何ら毎会計年度とはどういうことか、或いは予算とはどういうことかということについて憲法では少くとも規定していないわけです。それで予算というものは昔でありますれば、これは歳入歳出予算であつた、旧憲法の時代には……、ところが新らしい財政法におきましては、予算とは予算総則と、それから歳入歳出予算と、それから国庫債務負担行為、それから事故明許繰越、この四つが予算という内容をなしておるわけです。昔でありますれば、国庫債務負担行為に関するものは、予算外国庫の負担となるべき契約に関する件というので、予算とは全然別の議案として議決されておつた。今は予算という中にそれだけのものが入つている。ここに継続費というものを新たに入れようというのが、予算の新らしい内容として我々は考えるということにあるので、この予算ということであるから、これを歳入歳出予算という非常に制限的なものに解して、継続費は別であるというふうな解釈については、少くとも新憲法の考え方として我々はとらなくてもいいんじやないかということを一つ考えるわけです。これは御議論があろうと思いますが、又木村さんは現にそのことを問題にされておるわけですが……。それから毎会計年度というのだから翌年度以降にやるものは毎会計年度の予算じやないじやないか。これも一つの御議論と思いますが、併しこの点についてはすでに繰越明許という制度自体は当該年度について要るものを翌年度に使つてもいいと、議決をしておるわけです。予算自体は債務負担と支出の両方でありますが、国庫債務負担行為については、翌年度以降についてこれだけの負担が起りますということをあらかじめ認めるわけです。その支出を認めるかどうかだけがけじめだと思う。継続費は債務負担とし、且つ支出を認めるわけです。従つてその点については毎会計年度という意味が、当該議決を得る一年ということに解するのも一案でありましようが、次年度以降も、現に国庫債務負担行為については、次年度以降の毎会計年度について、債務負担を国会にお願いしておるわけです。そこは私は新憲法の精神を妥当に現在の経済情勢、或いは政治情勢に合せて解釈するのが適当であり、財政法も常に一定不変のものでありませんで、その時の情勢によつて、最も合理的に負担を、国民の立場から言えば効果的であり、負担を軽減し、又政府の立場から言えば最も行政効果を挙げる上においてどういうふうに考えて行くか、これは結局政治論に私はなると思う。それからもう一つの点は木村さんのおつしやる点は継続費というものをなにするならば、将来は拘束されるということでこれは適当でない、これも確かに一つの御議論だと思いますが、併しこれは継続費としてどういうものをとるか、これは何年にやるか、政治経済事情は一定不変ではありませんので、何年間のものについて、どういう特殊のものについてどうしてもやらなければならん、恐らく二年、三年の間その情勢が変らんというものについて政府は出すのが当然であり、国会もそういう点をよく審査されて、これはすべきものである、してはいけないものであるというふうな判断の下にやつて頂けるということを我々は期待しているわけです。つまりそこに最も妥当な政治慣行の下にこの継続費というものが運営される、これは国庫債務負担行為、予算自体もすべてそうでありますが、そういう考え方の下にこの改正を行いたい、こういうふうに考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/29
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030・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちよつと今の御説明ですね、成るほど予算一般としては河野さんの言われたように総則と、歳出入と、国庫債務負担、それから繰越ですけれども、私の言うのは、歳出予算のことを言つているのです。歳出予算としては、歳出義務の負担と歳出の支出と、こう両方あるのです。同じ予算の中でも歳出予算となると、国庫債務負担行為ですと支出の権能まではないのですね、与えられてないのですね、ですから僕の言つているのは歳出予算のことで、それは歳出義務と歳出の支出の義務とが両方ある、ですから一番狭義の予算と言つていいかも知れない、ですから国庫債務負担行為も予算ですし、又歳出予算も予算ですけれども、性質が違うのです。そこを継続費をそつちの歳出予算のほうに入れるということについての今問題を言つているわけです。その点はさつき予算一般としては河野さんの言われた通りだと思うのですが、私はそういうふうに今予算を解して質問したわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/30
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031・河野一之
○政府委員(河野一之君) 旧憲法と新憲法の建前が全然違つておりますから、予算というものを歳入歳出予算という狭義に解するというのは、現在の段階においてそうでないものも入つているというふうな意味で私は申上げたのです。それから先ほどちよつと木村さんのおつしやつた従来どうなつておつたかということですが、要するにこの問題についてはアメリカの予算制度と日本の予算制度の根本的な違いと言いますか、そういうものについての相違から起つて、その認識がなかつたと私は思うのです。それから先ほども申上げた案質的な理由もございましようが、それが大きな理由、現に我々まだつまびらかにしておらないのでありますが、アメリカの州の議会においては継続費の制度をとつているところもある。それから先ほど松永さんからいろいろ外国の立法例のことなどお話があり、私よく存じませんが、英米系においてはアクトの恰好ですでにその問題は解決されておる。それから旧ドイツなどについては継続費の問題もございます。フランスもあるのじやないか。日本のような予算制度をとつているところではおのおのあると私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/31
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032・小林政夫
○小林政夫君 基本的なことを今の議論を進めていることで念のために聞くわけですが、継続費の年割額は当該年度の歳出予算に一応計上されるわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/32
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033・河野一之
○政府委員(河野一之君) 計上いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/33
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034・小林政夫
○小林政夫君 その年割額をその予算審議の際に一応初年度は認めて、その第二年目に国会の審議の過程において情勢の変化等でそれを変更することができるのですか、できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/34
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035・河野一之
○政府委員(河野一之君) それは予算修正の問題でございますから、継続費の年割を変えるという問題、これは普通の予算修正と同じようにやられることはできると思います。併し私はそこは政治慣行の問題と実際の法律の問題とは、私は別に思うのでありますが、一旦国会において議決をされた以上はそういうふうに勝手に、勝手にと申しますか当初の目的と反しておやりになるということはどういうふうなものだろうかという感じを政治的な問題として私持つわけであります。例えば国庫債務負担行為についてもすでに債務を負担しておりますその分の年割は、当該年度の予算に出て来るわけです。債務を負担しておるものを払えなくするということに結局なるようなことは、そういうことが実際問題として妥当であろうかどうかというこの解釈論になりますと、そうすべきではないのじやないか。但し法律論としてはそれができるという建前でないと現在の憲法の精神から言つて反するというふうに、私は思うのです。これはむしろ私の個人の見解でありまして、或いは金森先生その他憲法制定に当られたかたはどういうふうにお考えになりますか知りませんが、私はそういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/35
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036・黒田英雄
○黒田英雄君 今主計局長お答えになつたのですが、必要があることが起ると私は思うのです。というのは、来年度が仮に五千万円なら五千万円が、同じ五千万円というのが来年度において何らかの事情でできなかつたというようなときには、自然五千万円がその年度に使われないのですから、その翌年度において一億使おうといつてもできない、その場合には政府におきましても予算を組替えられるだろうと思います。年度割を変えられるだろうと思う。万一それが変えられないときにはこれは国会で以て変える、削減する、そうしてほかの財源に充てるという必要が起るだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/36
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037・河野一之
○政府委員(河野一之君) 黒田さんのおつしやつたように現実の問題はあり得ると思つております。ただ継続費については繰越すというふうな制度を、旧憲法の時代でもそうでありましたが、そういつたような繰越の制度がありますから、その必要性の程度の問題はございましようが、或いはその全額は繰越をするのだというふうな扱いもできるかと思います。併し本当に年度において債務負担ができないというふうな場合においては、政府から積極的に年割を改正して御審議を願うというのが適当なやり方じやないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/37
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038・大矢半次郎
○大矢半次郎君 木村委員の御質問に関連して伺いますが、私は憲法第八十六條の「毎会計年度の予算を作成し」云々と言つておるのと、財政法で言つておる予算とは少し範囲が違うのではなかろうか。従つて憲法第八十六條のこの「毎会計年度の予算」というのは、これはどうしても一年限りの予算である。それから財政法で言つておるのはもう少し広い意味の予算で、それは憲法第八十五條の「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」これに基きまして債務の負担行為等もやる。それを財政法ではやはり予算の一種と見て、そうして予算の総則等にも規定しておる。これが又この法律と予算の違いで、両院協議会にかける場合のやり方の違い等もそこから起つて来るのであるが、要するに憲法第八十六條の「毎会計年度の予算」というのは一年限りの予算である。財政法で言つておる予算というものは、それよりも少し範囲の広いものである。国庫債務の負担行為を、翌年以降にはそういう意味で財政法で規定しておる。今度の継続費の問題もそのように解釈いたしまして、憲法上の第八十六條の「毎会計年度の予算」ではないけれども、財政法上の予算の中には入れて毫も支障がないのだ、こういうふうに解釈すべきではなかろうかと思いますが、如何でございましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/38
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039・河野一之
○政府委員(河野一之君) それはいろろ御議論がありましようが、私憲法論は余り得意でないのでございますが、第八十五條の「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」これは予算の形式もございましようし、又狭義の歳出予算というその形式もございましようし、それから財政法で言う予算、つまり予算の中の国庫債務負担行為の形式もございますし、法律も私はあると思います。或いはそういつたような幾つもの形式があるが、常に国民の負担になるようなことは何らかの恰好で国会の議決を経ろ、こういうことだと思うのです。それを予算に入れる、予算の形式で継続費として国庫債務負担行為で入れるという行き方について、これは第八十三條の「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」つまり財政を処理する権限として予算の形式においてやるのだということを財政法で言われておるというふうに考えるわけであります。第八十六條の個個の場合をとりますと、毎会計年度は一年であるというふうには、すぐにそういうふうには、それが常識かも存じませんが、過去の臨時軍事費のごときは一年以上の会計年度も……これは旧憲法の時代でありますし、又現在において二十七、二十八の各年度の分を継続費に関してやることも毎会計年度だと解してもあえて支障がないのではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/39
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040・大矢半次郎
○大矢半次郎君 どうも主計局長の御意見のようだとしますると、国庫債務負担行為を現在財政法の予算の上では認めておるが、この継続費を認めるのは果していいかどうかという木村委員の御質問に対する十全の答弁にはなつていないような気持がいたしまするが、国庫債務負担行為と、それからこの継続費との関係は財政法の予算の上で規定して、毫も差支えがないという、何かそこをはつきりしなければ法律案を提出するわけには行かんじやなかろうかというふうな気がいたしますが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/40
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041・河野一之
○政府委員(河野一之君) ちよつと私意味が忖度いたしかねたのでありますが、何と申しますか、財政法というのは憲法の八十三條の規定を受けて、まあいろいろな財政処理の基本原則を実際定めておると思うのでありますが、そのうちにおいてまあ予算というものをどういうふうに扱うか、憲法は予算というものをどういうものであるというふうにも別に限定いたしておるわけではないのでありまして、それを財政法が受けて予算とはこういうものであると、つまり予算総則と歳入歳出予算、それから国庫債務負担行為、事故繰越、これだけを包括して予算と考えている。その中に継続費というものを一つ入れろと、こういう趣旨で我々は予算の意味を解して行きたい、それを財政法で規定させたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/41
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042・大矢半次郎
○大矢半次郎君 そうすると、憲法第八十六條の毎会計年度というのは一年ごとでなくても二年度、三年度分という数年度に亘る予算もやはり入れるんだと、毎会計年度の中に包含するんだと、こういう御解釈なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/42
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043・河野一之
○政府委員(河野一之君) 大体そういう趣旨であります。まあ現在の常識としては、各単年度ということもありましようが、翌年度二十八年度の分も次の会計年度の分として現在議決をして頂く、それが予算の内容として議決をして頂く、こういう建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/43
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044・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは僕はおかしい。それは継続費を第八十五條が禁止しておるのではないという意味では御説の通りなんです。併し毎会計年度に継続費を含むんだということになれば改正する必要はないでしよう、財政法を。それから八十五條というのは財政処分を禁じた僕は條項だと思うのですよ。ですから範囲の問題じやなくて、八十五條は、旧憲法では財政緊急処分をしたのですが、それをしちやいけないというので、財政法ではつきりと支出をするときには何でもはつきりしなくちやいけない、これは八十五條で財政緊急処分を禁止している、それで範囲の問題じやない。ですからやはり重点は八十六條の問題になるのじやないかと思うのですよ、この継続費の問題は。ですから継続費は私は禁じておるとは言つてやしない、八十六條がただ歳出予算の中に継続費を認めた形でいいかどうか、それが今度の改正の要点です。而もそれはさつき小林さんから質問があつたように、一応この予算が成立すれば法律と私は同じように国会がこれはきめたのですけれども、拘束力があると思うのです。拘束しなければ意味がないと思うのです。法律も一旦国会がきめたのだけれども、きまつた以上は拘束しなければならない、従わなければならない、それを自由に変えるといつても限度があるのです。どうしても歳出予算の中で、あとでもお尋ねしたいのですが、ダム建設にどのくらい予想しておるのですか、或いは関門国道にどのくらい予想しておるのか、金額によつても問題になつて来ると思うのですが、その歳出予算の中にそれを入れるということが問題だと思うのですよ、それであとで簡単にこれを組替えることができないと、それが非常に濫用されたらそれはもうそれ以外のいろいろな今度平衡交付金をこつちへやろうとしたつてできないと思うし、非常に困難な問題になつて来ると思うのですよ、申請する場合に……。そこのところを一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/44
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045・小林政夫
○小林政夫君 先ほど私は自由に変えられるかということをお尋ねして、主計局長個人としてはそういう見解をとる、それから政府側の正式な案を出されるに当つてのお考えを若しまとまらなければあとでまとめて答弁して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/45
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046・松永義雄
○松永義雄君 雑談的でいいのですが、旧憲法当時の予算の出し方と新憲法の解釈は違うと思うのですが、新憲法の予算の作成とかその作成の内容ですが、それはすべて収入支出全部を挙げる、そうして予算の内容をはつきりさせると同時に、予算の執行というかそれを厳粛ならしめる、そこであなたがおつしやつたように日本の財政の現状からしてまあインフレーシヨンということになると私は推測しておるのです。そういうことに亘らないようにできるだけ厳粛にやつて行こう、こういう精神で新らしい憲法の新らしい予算の方式というものは生れて来たのじやないか、そうじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/46
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047・河野一之
○政府委員(河野一之君) 必ずしも御答弁のあれになるかどうか存じませんけれども、旧憲法においても毎年という規定はあつたのです。毎年「帝国議会ノ協賛ヲ経へシ」という規定はあつたのです。それで継続費と予算外国庫の負担となるべき契約、おのおの憲法に條文がございました。併し予算といたしましては甲号というものが歳入歳出予算で、その前に予算総則というのがついておりますけれども、これはそういう予算総則という名前を付けておりませんでした。甲号歳入歳出予算、乙号として継続費が予算の形式で以て議会の協賛を経ておつたのです。予算外国庫の負担となるべき契約というのが別の議案として出ていた。どうも旧憲法においても違うとおつしやればそれまでですけれども、旧憲法においても継続費は予算として国会の議を経て、継続費も予算外契約も事故繰越も全部予算の形式で国会の御審議を仰ぎたいと、こういうまあ精神で予算を解しても何らその点について支障はないのじやないか。翌年度以降における歳出の義務負担、これは当然その次の予算の経費で現われて参りますが、一応国が有効に債務負担したものは一種の義務費になるわけでございますね。それから事故繰越なんかにつきましては当該年度で要らなかつたものはもう一回予算を編成して、それは不用に立てて翌年度の予算として出すのか、或いは考え方によつては御趣旨に副うというような行き方もあるかと思うのですが、現在はそういうことをいたしておらない。それは何ら憲法の予算ということの言葉の意味に少しも私は反しておらない、こう思うのです。継続費も同様の意味において財政法、憲法は勿論禁じておらない。この財政法、憲法の規定に抵触するものじやないのです。ただ継続費の実体について合理的にどうするかという問題は残されていると思いますが、制度的には何ら差支えない、私はそう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/47
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048・松永義雄
○松永義雄君 只今局長さんのお話では法律的にいいのだと、併し実際問題としてはこれは考えて行かなければならない、こういうふうに私は聞いたのですが、大体が今度新らしい予算の形というものは厳粛にやつて行こう、厳格にやつて行こう、それは日本の終戦後における経済財政状態を考慮してある。ところで継続費というものが拡がつて行けば、先ほど来も繰返しお話になつたように是非必要な今度支出をしようと思つてももうすでにきまつておるのです、拘束的な力を持つておる、如何ともなしがたい、修正できるものだけれども、こういうまあお話でしたけれども、そのようにその実質的に法律論をやつておるのじやないのです。予算というものは御承知の通り少し話が大きいのですけれども、フランス革命というのは税金の問題で起きたのは、これは御承知の通りであります。それで憲法でこういうふうに、予算は国会の議決を経なければならんということが書いてあるということは、先ず第一に原則として民衆の利益のために厳格にこれは解釈し執行して行かなければならん、こういう精神です。そうして終戦後日本の財政経済の状態が放漫に流れないために、こうした新らしい憲法、予算方式が出て来た。そこで今度継続費というものを認めて行けば、そうすれば利益な点もあるけれども、又弊害も非常に多い。それはすべて国会でやるのなら国会がまじめにやればいいじやないか、よき政治慣行によつてすればいいじやないかとおつしやるのだろうと思うのですが、併しそれのいいほうだけ現われて来ればよろしいけれども、これが若し濫用されて、やれ北上川、やれ利根川ということで、日本全国に亘つて頭をもち上げて来る。そうして結局是非必要な経費が現われて来たときに如何ともしがたいという結果になりはしないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/48
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049・河野一之
○政府委員(河野一之君) 松永さんのおつしやる点御尤もな点もあると思います。旧憲法時代に継続費というものは治水事業費という、明治四十二年でありましたか、四十年ぐらいの継続費を以、約七、八十本の川が各四十年ぐらいずつとめじろ押しに並んで毎年計画が変つて行く、こういつたような継続費は私は本当に意味がないと思います。当初できましたときには必ずしもそうではなかつたかも存じませんが、そういつた事実がありましたことは確かであります。従つてそういうような継続費であるならば、これは設けざるにしかずと私は思うのであります。我我は非常に長い財政経済を見通すことは困難である。それを見通し得る範囲の程度において継続費を設けて行くのがいいのじやないか。或いは三月とか五年とかにそれを限つて行くのがいいのじやないか。現在でも実際問題として単年度予算でありますが、単年度予算では計画が立たないのであります。或る程度の計画を以てそれで実は仕事をいたしておる。現状からしますと、そういつたものが現実に行われておる。それをもう少し合理的にジヤステイフアイしてやりたいという気持になるわけです。おつしやるような弊害の点は、これは実際の運行の問題でありまして、我々は過去における継続費の運営というものは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/49
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050・松永義雄
○松永義雄君 三年か五年というのはこれは法文に規定してあるでしようか。数年度という言葉でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/50
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051・河野一之
○政府委員(河野一之君) それは法文では規定してございません。ものによつていろいろ違いますので、特にその規定をしなかつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/51
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052・松永義雄
○松永義雄君 規定をしておらなければ五年でも六年でも、まあ十年でもできる、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/52
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053・河野一之
○政府委員(河野一之君) 財政という問題について法律の盲点といいますか、そういつたことで、法律でこういうこともやれるのじやないか。これも法律的に禁止するのもあれでありますが、やはり健全な政治慣行で財政機能を運営して行くのが私どもとしては適当なので、そこは国会において十分政府がどういうことをするか監視して頂けるのでありますから、我々は財政を直接に扱う者としてそういうふうな考え方は考えておらない。できるだけ合理的に制度の運用をやつて行きたいという趣旨で、特に年度について規定を置かなかつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/53
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054・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほど翌年度以後に継続して支出をなす場合というのを、これを予算一般として国庫債務負担行為としてそういうことに解釈するならば、八十六條と私は抵触するとは思わないのです。国庫債務負担行為自体でさえ八十六條との問題が前起つたと思うのです、継続的にやるということに……、併しそれは国庫債務負担行為はやはり一応毎会計年度の予算作成云云と、八十六條と抵触しないと御解釈になつたと思いますが、それでさえ問題になるのが、更に今度は支出予算、歳出予算の場合にこれを又拡充するというのですから、これは私はそういうときには別の法律、予算以外に私は法律できめるべきじやないかと思います。憲法上からいえば予算としてではなくして予算以外に私は国会の特別の議決を求める必要がある。美濃部さんなんかはそういうように解釈をしておるようですね。調べて見たのです。その点はどうなんですか。予算以外に国会の特別の議決を要するということは……。
〔委員長退席、理事大矢半次郎君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/54
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055・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 今までの御質問は非常に多岐に亘つておりますから、少しまとまりがないかと思いますが、第一の問題は、今までの八十六條の解釈の問題でございます。局長からも何回も御答弁がありましたように、毎会計年度の予算という、毎会計年度というのはどういう範囲であるか、どういう意味であるか、それから又予算というものは何を指すのかという点については、憲法にも何らこれを明らかにいたしておりません。従つて我々は大体の常識に基いてそれを財政法その他に具体化しておるというのが実情であります。それで毎会計年度といいますが、先ほど大矢さんからお話がありましたが、これは別に一年に限るという趣旨ではないと思うのであります。極端にいえば半年でも三カ月でもいい場合もございます。或いは又四年、五年に亘る長期の会計年度も過去の例等に徴しまして考え得られる、こう思つております。それで会計年度という言葉は、私たち財政法や会計法で会計年度というのはどういうものであるかということを規定しておるものですから、非常に技術的に解釈し勝ちでありますが、憲法の本旨としては、只今申上げましたように、場合によつては数カ年に亘る年度というようなものも考えられます。それは会計年度というと語弊がある、むしろ年度というところに重点があるのかも知れませんが、そういう意味におきましては継続費を否定したことにはならない。例えば何回も例が出ましたが、繰越明許のごときは現在の制度でも認められておる。年度当初に予算を御審議願うときからもすでに次の年度まで繰越すことが予定されておるということもあります。これは国庫債務負担行為等と違つて、予算そのものを繰越すことが認められておる。いわゆる複数年度の予算というものが現在の制度におきましてもすでに成り立つておるわけであります。そういうところから考えまして、毎会計年度というのは八十五條の基本的な規定に次いで八十六條が、毎会計年度の予算を国会に出して審議を受けなければならんというやや手続的な要素を含んだ規定というふうに我々は解釈しておるわけであります。従つて毎会計年度を非常に厳密に乃至は窮屈に解釈するという必要はあるまいという考え方から、継続費の制度は現行法におきましても認められておる、こういう解釈をとつております。従つて只今木村さんがおつしやいましたように、法律による規定によつて継続費を認めることはできるけれども、予算の経費として継続費は無理ではないかというお話がございましたけれども、私たちはそこまで窮屈には考えておらないのであります。それからついででありますから、先ほど小林さんからも御質問のありました点でありますが、勿論国会が前の国会できめましたことを、後の国会において修正し得ることはこれは当然でございます。従つて継続費におきましても、前に議決いたしました年割額はこれを修正して減額することもできれば、増額することもできれば、或いは廃止することもできるということになろうと思います。ただ先ほど局長が御説明申上げましたのは、旧憲法においては特別の規定があつたわけであります。即ち「憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出」でございますとか、或いは法律上国が背負つた義務費でございますとか、こういうものにつきましては、国会は政府の同意なくしてこれを削減することができないという規定がわざわざあつたのが、新憲法においてはございません。それらと噛み合せて見ますと、国会はそういう意味においてむしろ一層自由になつていると言うことができるわけであります。それはむしろ私は新憲法の趣旨であろうかと考えるのであります。そこで実際問題といたしましては、例えば一億円の年割額がございましたときに、すでに五千万円だけは資材等を買込んでおつた、或いは契約をやつておつた、従つてそれを支払わない場合には、政府は債務不履行の責任を背負わなければならない、従つてその五千万円については、国会は勿論これを削減することは形式上自由でございますけれども、それは徒らに政府を窮地に陥れるという結果になりますから、政治的な問題としてこれまで削減するということは極めて実情として困難性があるだろう、こういうことを御説明したわけであります。全然手を着けておらないところの五千万円については、更に一層自由にこれを国会が年割が年割を変更することができることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/55
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056・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それでは只今の御説明ですと、わざわざ財政法も改正しなくてもいいのじやないですか、今のお話ですと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/56
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057・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) そこで現在の憲法の下において、継続費を設けようと思えば設けることが許されている。併しながら財政法において何らこれを明らかに規定しておりません。それでその憲法の解釈において許された制度を新たに財政法に設けよう、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/57
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058・木村禧八郎
○木村禧八郎君 どうもおかしいのですね。この予算一般と、予算の中に総則と、歳出入と、それから国庫負担行為がある。歳出予算というのと国庫債務負担行為とどう違うのですか。そこのところの区別です。予算一般として言う場合と……。この問題は歳出予算に閲するものですね。ですから予算一般として国庫負担行為が入るとすれば、憲法で継続的なものは認められることになつている。併し歳出予算としては継続はいかないのじやないですか。そう解釈すべきじやないですか。歳出予算も後年度に亘るということになれば、これは何も出す必要はないでよう。ですから問題は歳出予算がそれをできないところに問題があろと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/58
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059・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 木村さんの歳出予算とおつしやつている意味は、我我が言つている歳入歳出予算の、その歳出分を強調された表現のされた方であつたと思いますが、その歳出予算、それに現在国庫債務負担行為がございますが、更に継続費という制度をそこにプラスしてもかまわないというのが我々の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/59
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060・木村禧八郎
○木村禧八郎君 おかしいね。それでいいのですか。歳入歳出予算をそう解釈していいのですか。これは一カ年限りじやないそれではあとでこれまで出されたいろいろのものを変えなければならんですよ。一般に財政法の解釈として出されているものがあります、それを改正する必要があるのですね。歳出予算は原則として一カ年間、それと、債務負担行為と違うところがそこにあると思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/60
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061・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 歳入歳出予算は現在一カ年で組んでおりますけれども、歳入歳出予算のほかに国庫債務負担行為がある。今回更に新たに継続費を設けよう、従つて従来の歳入歳出予算の解釈とおつしやいましたが、継続費は全然これから新たに設けるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/61
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062・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それならわかる。前と同じでできるような話では、この法律を出した意味がないと、そういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/62
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063・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) それは御説の通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/63
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064・黒田英雄
○黒田英雄君 その問題は私も一遍前に御質問しておるのですから、それはまあ見解の違いもあるのですが、ただ予算というものに、継続費を八十六條の予算といううちに含めなくちやならん、含めるという何か必要があるのですか。何も予算というものに入れなくても、予算書と一緒に出して国会の議決を経ればいいのであつて何も予算といううちに入るのだということを固執される何か必要があるのですか。どうも予算というと、ここに歳入歳出というものが伴つて、毎会計年度というものが予算、予算と共に国会の議決を経るということで事足りるのではないかと思うのですが、この点は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/64
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065・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) これは非常に法律論を離れて、一般的な常識論としてはそういう議論も十分成り立つと思うのでありますが、我々がこれから設けます継続費は毎年国会で御審議を受ける国としても重要な制度でございます。一方においてこの憲法の條章は予算についての基本的な規定でございまして、事予算に関するものはこの規定に基くものというふうに我々は解釈しております。従つて憲法の規定に基かない、全然はみ出した制度であるということは、或いは法律論として勿論成り立つのかも知れませんが、私たちはやはりこの憲法の條章の下にあるところの制度、こういうふうな考え方に一貫しておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/65
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066・黒田英雄
○黒田英雄君 どうも予算という観念を非常に拡げておられるように思うのですが、何も国庫負担行為で、これを予算であると言わなくてもいいのであつて、予算と一緒に国会の議決を経るということでいいのではないかと思うのですが、まあそれ以上繰返しても同じことだと思つておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/66
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067・河野一之
○政府委員(河野一之君) それは黒田さんのおつしやることは一応御尤もなところもあると思うのです。ただ国会の議決を求める形式を何に求めるかということになると思うのであつて、現在の国会の議決を求める形式は、法律と、予算と、それから條約ですか、それからそのほかにいろいろの国会の同意がなければ任命できないというああいうふうな四つばかりの形式しか私は現在ないと思うのです。新らしい継続費ということで、別に予算と離れた形式をとるということも一案ではあると思いますが、併しそういう新らしい形式をとるまでもなく、歳入歳出予算と密接な関係がありますので、その中に便宜入れて、一緒にやつていいのではなかろうか。御承知のように旧憲法のほうは、予算外契約は別の議案になつておりますが、現在そういうふうな制度、そういつた議決を経る形式がございませんので、まあ便宜予算の中に入れたというのが実際の論としてのお答えになろかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/67
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068・黒田英雄
○黒田英雄君 併し政府は本年度の予算でも前年度の均衡予算だというのですが、継続費でずつと十年も後のものが入つて来て均衡予算ということは適当でもないし、又予算全体について政府の説明されるようなことは皆一年度の予算について言われておることなんですから、それを何も無理に予算の中に入れてしまうということになつて来ると、そういう説明もできないことになるのです、均衝予算なんていうこともちよつと言えなくなつて来るので、均衡予算も明年度からこの年割額に対して予算を編成するのだと言えば言えるかも知れませんけれども、予算という観念が一年度ということを頭に置いてやるのが常識でもあり、憲法の本当の解釈である。
〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕
旧憲法では一年度であるが特に必要があれば継続費としてやれるという例外もあるのですが、今度は例外もないのですから、特に予算の中に入れてしまうということに無理があるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/68
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069・河野一之
○政府委員(河野一之君) 継続費が非常に大きな、予算の何割を占めるということでありますれば、或いはそういつた御議論もあるかと思いますが、我我はそういうことを考えておりませんのと、それから国庫債務負担行為は予算の中に入つておりますが、これも翌年度以降のことは現実に歳出予算を作るときには、この分は又別だというのも一つの行き方でありますが、少くともそれは一種の義務費になつて実際問題として将来の予算を実は拘束するわけであります。そういう点においてまあ類似性を考えますと予算の中に入れても別に支障がないのではないかという考え方なのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/69
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070・黒田英雄
○黒田英雄君 財政法の今度の改正も継続費は予算の中に、予算の一部であるということは別に何も明文はないのでしよう、今度改正される……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/70
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071・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) これは明らかにするつもりであります。予算の中に継続費があるということを明らかにいたします。今條文をお読み願うとわかります。十六條で明らかになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/71
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072・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/72
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073・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/73
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074・黒田英雄
○黒田英雄君 この十六條というお話でしたが、十六條の「予算は」というのが予算総則、歳入歳出予算というのですね。この歳入歳出予算というものが憲法にいう予算であつて、総則とか何とかいうものは憲法にいう予算の中には入らないのじやないか、だから財政法でいう予算というのは非常に広い予算であつて、憲法のいう予算とは歳出歳入予算だけじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/74
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075・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) これは考え方の相違になるわけでありますが、我々が歳入歳出予算と言つておりますのは例の計数表であります。出ております部款項によつて現わされておる例の数字の表を歳入歳出予算、従来は予算総則というようなものは旧憲法の予算にはなかつたわけでありますが、併して予算の内容がだんだん複雑になつて参りまして、やはりどうしても説明的な要素が余計になつて来ます。予算の本質そのものとしては数字だけでなければならんという理由は少しもないというわけで新らしい憲法の下において財政法の中には予算総則というようなものを新らしく入れたわけであります。そこでその予算総則に対する意味においてこの従来の数字の分を歳入歳出予算と我々は呼ぶようになつたのであります。それに現行法では国庫債務負担行為を加えた、これを予算と従来から呼んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/75
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076・大矢半次郎
○大矢半次郎君 私はどうも例えば通常国会が始まつて大蔵大臣が明年度の歳入歳出予算に関する財政演説をなさる、それからここにも昭和二十六年度一般会計予算として二十六年ということを表題にしております。然るに今度の継続費のようなものが出て来るというと二十七年度、二十八年度にも亘る、だからしてこういう形のものではいけないのではなかろうか。従つて最初に私がお尋ねしたように憲法第八十六條関係のものはこれでいいけれども、その他のものはどうも別個の形式で本当は出すべきではなかろうか、少くとも昭和二十六年度、この一カ年を区切つて出すのが形式として適当ではないかというように考えられますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/76
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077・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 旧憲法におきましても表題は同じようにございまして、その中の甲号が現在のいわゆる歳入歳出予算でございまして、そして乙号に継続費が入つておつたのでございます。そうして同じような表題で現わしておつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/77
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078・大矢半次郎
○大矢半次郎君 慣行かも知れませんけれども、こういうふうにいろいろ議論して来るというとどうもそういう点が非常にあいまいになつておるのではなかろうか。やはり憲法八十六條ですか、毎会計年度の予算というのは毎年毎年一年度間の予算を指しておるものと解釈するのですがあの憲法その他のところで予算とあるのはずつと広く解していい。従つて国会における審議の手続上これは予算のうちに入れるか、法律に入れるかというような場合には、広い意味の予算で解釈して入れるものですか、八十六條の関係ではどうも一会計年度に限るべきではなかろうか、そうするとすべてがはつきりして来るが……それを八十六條の毎会計年度の予算というのは、一年でもいいし、五年でも、十年でもいい。ですから又数会計年度にも予算をあれしてもいいと、こういうふうに解釈するのは少しルーズではなかろうかというふうな気がいたしますが、如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/78
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079・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 何回も申上げたのですが、従来からその点は政府は八十六條を一年度と限つていないという解釈で、この憲法制定直後からずつと金森国務大臣その他も答弁をして来ておられるわけでございます。でございますからしてこれを厳密な意味の一カ年に限るということは現在まで全然考えておりません。そういたしますと、先ほど来御説明申上げましたように、これは表題の書方等については、感じというようなことは或いはございますかも知れませんが、実質論としては一年に限つたものしか予算で出せないということになれば、従来の考え方と全然根本的に違つて来ますからして政府としてはとれない、こう思うのであります。表題は考え方でございますが、やはり二十六年ということを明らかにすることは当然必要でございますし、その中に継続費等が一部分入つておりましても、これは勿論国会で御審議願うわけでありますし、別にそれによつて国民一般が欺かれるというほどに考える必要はないのじやないかと、こういうふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/79
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080・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは重大な解釈論を僕は伺つたのですが、予算の効力が一会計年度でない、数年に亘つて効力がある。そういうふうな解釈で政府が今まで来ておると言うのですが、私はその解釈は大変だと思う。旧憲法と同じじやないですか。だから今度の憲法で一会計年度に限つて効力を有するという原則を立つたのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/80
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081・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) ちよつと言葉の行き違いがあるのじやないかと思いますが、数会計年度ということを申上げているのじやなくて、一会計年度が何年にもなるという場合も理論的には考えられる。こういうことをさつきから申上げておるのです。例えば五年ならば五年を一つの会計年度とするというようなことも理論としては考えられると、こういうことであります。つまり会計年度を暦年一年に限るという趣旨ではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/81
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082・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは議論になるから何ですが、それじやいろいろこれは文献なんかありますが、予算民主化の一つの原則として大体一年を区切るということが、大抵原則としてそれが常識になつていると思うのです。それは今非常にごじつけだと思うのです。これは議論になりますからあとほかの、私ももつと文献を捜してあれしたいと思いますが……最後に、時間がありませんからちよつと伺いたいのは、この国際條約による債務負担、例えば賠償なんか出て来る、そういうときの継続的な支出はどうなるのですか、そういう問題は、それは国庫債務負担の中に入るのですか。これには事業というふうにありますが、それはこの中に入らないのじやないかと思うのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/82
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083・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) これは條約に基きまして国際的な義務を負担いたしました場合に、これを国内的な予算措置としてどんな形式をとるかということは、必ずしも直接的にはきまつて来ないわけであります。ですからして、継続費の形で取らなければならないとか、或いは国庫債務負担行為をする形がいいか、そのいずれがいいかというような点は、まあ條約そのもので義務を背負うということも考えられますからして、そういう新らしい形式をわざわざとらなくてもいいということも考えられるわけであります。従来から法律その他でも、例えば義務を背負いますと、これは即ち国庫債務負担行為の形式をとらないで債務を負担したことになつておりまして、強いて別に国庫債務負担行為をとらない場合もございます。それから念のために国庫債務負担行為をとつて悪いということもございません。でありますからして條約で義務を背負いましてそのままそれが債務の負担の権限になるという考え方で毎年それに応じた予算だけを載せて行くということも考えられるわけであります。必ず継続費の形にしなければならんということはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/83
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084・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その場合、條約のきめ方にもよるのですが、ただ国会で、これは非常に素朴な質問かも知れませんが、本年度は例えば賠償三百億ときめ、本年度は払えないから二百億にして、百億は来年度に廻す、そういうような形は国会でできるのですか。これは條約との問題で、本当に素人の質問のようですけれども、今すぐじやなくてもいいんですが、そういう問題は継続費というような形で……、まあ継続費が問題になりましたから、ついでに。少し逸れているかも知れませんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/84
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085・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) これはまあ答弁と申しまするよりか、懇談ですが、條約と憲法との関係とか、いろいろ議論がございますね、そういうものとやはり関連して私たちもよく研究さして頂いたほうがいいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/85
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086・木村禧八郎
○木村禧八郎君 わからないものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/86
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087・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 国会でできるということを聞いておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/87
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088・菊川孝夫
○菊川孝夫君 法規課長の御説明にちよつと関連して聞きたいと思いますが、今課長は、憲法の八十六條は、毎会計年度というのは別に一年を意味しているのじやないというふうに言われましたが、金森さんの説明もそうだと言つておられたが、金森さんは、この憲法は一年間の予算ということを眼目にしておりまして、そこで毎会計年度という言葉が生れて来るのでありますがと、こう言つておるのですが、従つて私はかく解釈しているのですが、継続費で一億というふうに作つて、これを五年の年割にする場合に、毎年二千万円ずつ出すというようなときには、その二千万円がやつぱりその当年度の予算だと、こういうふうに解釈するんだが、この金森さんの説明によつても、従つてその二千万円だけは毎年必ず、形式的ではあるけれども、数字に便宜上載せるのである、こういうふうな説明をしておりますがね。従いましてもう一億というのが通つておれば、一億というのは政府としてはこれは動かすことはできない、そうして二千万円ずつ年割がきまつてあれば、二千万円は必ず載せて行かなきやならんものである、こういうふうに解釈するのですが、そう解してよろしうございますか。政府は勝手に物価の変動その他によつてこれを動かすことはできない。国会でも議決を経たものであるから…こういうふうに解釈するのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/88
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089・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 勿論国会の議決を経まして変えることができるのでございまして、政府が勝手に動かすということはできないです。それからしてちよつと速記をとめて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/89
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090・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/90
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091・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/91
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092・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますと、この継続費の場合に、今のように物価が非常に変動をいたします。計画は、二十八條の今度の改正によりまして九号を設けまして、その継続費の計画は予算案の中には書類として出しますね。そうしますると、五カ年計画でやろうと思つて年割を出しておいても、物価の変動によつて、二千万円だつたらその計画より上廻るような仕事もできるような場合もある、又下廻つて半分くらいより仕事のできない場合もあり得ると思いますが、そういう場合にできないというのは、これは承認を求めなければならんと思いますが、その承認の方法、それから二千万円で予定計画を来年度これだけやろうと思つておつたやつが半分よりできないということになつたら、増額を求めなければならんと思いますが、その場合には一体どういう手続をとるつもりですか、財政法上で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/92
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093・河野一之
○政府委員(河野一之君) 只今おつしやるごとく、仮に一億円の総額の継続費があつて、五年に亘る、そうすると、二十七年度からやるとして、二十七年度が二千万円、次の二十八年度の予算は更に二千万円というものを歳入歳出予算に計上してやつて行くわけです。それで二千万円で足りなければ、更に追加する分については勿論予算に載せて議決をして頂く、要らないようなものであるならば、できないとすれば、この年割を減らして一千万なら一千万にして翌年に追加する、そういうような行き方で御承認を求めるということに相成ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/93
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094・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、継続費として初年度に取つたものを、ただ予算書の中で計画を物価の変動、情勢の変化等によつて削つたり殖やしたりすることは政府は自由にできるのですか。予算書で出して来れますか。予算で継続費というのは一億で、五カ年計画の年度割を出して承認して予算を組んでおきながら、今度出すときには二千万円を組まずに出すということは、国会の議決に反することになる。国会の議決に反するのですから、別の手続をとつて変更する方法を講じなければ勝手に毎年予算を殖やしたりされたのじや、国会の議決は要らないと思う。そういう点はどういうふうに調整するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/94
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095・河野一之
○政府委員(河野一之君) 勿論その改訂は継続費の改訂として、つまり継続費のほうの根本の改訂案と、それからそのうちの年割の変つた部分を総予算の中に編入いたしまして、並行して一緒に予算を提出して御審議を願うわけであります。併し提案することは可能であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/95
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096・菊川孝夫
○菊川孝夫君 形式的なようなことを言うようですけれども、二千万円を二十七年度で使うということにきまつておる、もう国会が今年きめてしまつてあるものを、あなたのほうの予算書にこれを一千万円に変更して来るということは、あらかじめそれは別途の議決を経て変更するという承認を得てからでなくては歳入歳出予算に変更することはできんのじやないですか。勝手にあなたのほうで自由に動かせるというのは、法律を変える手続を求めなくては駄目だと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/96
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097・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 別な形式とおつしやいますが、今までも申上げておりますように、予算の中には年割額を歳入歳出予算に見込むというだけでありまして、本体は継続費という一定の本体はあるわけであります。そうしてその継続費は、若しも年割を改訂いたしますときには、前の予算の一部を、いわゆる継続費のところに載せまして改訂案が同時に出るのであります。その本体たる継続費の改訂案が、今菊川さんの言うように、特に御承認を願うという意味で提案するわけでありまして、そのうちの二千万円の一千万円に変つた部分を継続費として出しまして、そうして同時に歳入歳出予算でも二千万円だけをその全体の計数の中にはめ込んで出すわけでありまして、歳入歳出予算の中におきまして直ちにそれによつて改訂を要求しているということにはならないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/97
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098・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、これは金森さんの御答弁を引用するようだけれども、それはただ数字を集計いたしまして便宜上載せるのであります、と言つているのだからして、これはもうどうしても二千万円という年割が先国会においてこれは議決を経てあれば、どうしてもこの二千万円は必ずこれは便宜上載せなければならない。従つてこれは別の法律案でこの年度割を減らすとか何とかという法律がなければいかんように政府も思うし、我々もそう思うし、形式になるかも知れないが、二十七年度は二千万円という年度割というのはちやんと前以て承認してあるのです。議決を経てある。それを今度はあなたのほうで二十七年度の予算を組む場合に、これは金がなくなつたからというので一千万円減らすと言つたら、これは形式的にでもそれをここで御承認を経ないならば、政府みずから勝手にそれを出して来るということはできないのであります。歳入歳出予算におきまして、そういう場合に除外規定を設けて出しておけばいい、財政法なんかにね……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/98
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099・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 金森先生の今のところをもう少し前からお読み願うとおわかりになると思うのですが、そこで先生が言つておられる意味は、いわゆる歳入歳出予算に組込まれているところの年割額に対する部分についても、同時に新たにこういうふうな別個の議決が行われるかどうかという問題を取上げられておられるわけであります。そういう意味におきましては、先ほどから申上げたところの本体たる継続費につきましての議決があれば、歳入歳出予算にはただ形式として集計整理する意味において年割額が改訂されるだけであつて、それは特に改めて議決の対象となる程度のものではない、こういうことをここで御説明になつているわけであります。そういう意味でその説明があるのでありまして、今菊川さんがお取上げになつたような意味ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/99
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100・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私の聞くのは年割額というものも国会の議決を経るものではないのですか。継続費の総額も勿論だが、併し年割額というのも議決を経るのでしよう。経た以上は何としてもこれは政府としては如何なる財政上の事情があろうとも、別に法律の規定がない限りにおきましては、その二千万円は必ず歳入歳出予算のうちに入れなければならんのではないでしようか、年割額は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/100
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101・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 或いはこれはまあ何か形式で御説明したほうがいいのかも知れませんが、予算の中に予算総則と、歳入歳出予算と、それから国庫債務負担行為のほかに今度継続費というものが出ますね、そうすると、その継続費のところに例えば関門トンルの継続費がございまして、昭和二十七年度の年割額が仮に五千万円で当初取つてあつた。それをいろいろの事情から三千万円にいたしますときには、その予算のうちに継続費の部分を、年割額の五千万円を三千万円に改訂するということを明らかにした継続費自体の改訂案というものがここで以て提案されるわけであります。そうしてその五千万円が三千万円になつて当然の結果として、前の部分の歳入歳出予算に組込まれる集計の中には、三千万円だけがただ改訂されて入つて来るという意味でありまして、継続費自体の改訂案というものは政府において提案されるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/101
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102・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/102
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103・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれを以て閉会いたします。
午後零時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00119511211/103
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