1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十二月十三日(木曜日)
午前十時五十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
委員
黒田 英雄君
小宮山常吉君
小林 政夫君
田村 文吉君
菊川 孝夫君
野溝 勝君
櫻内 辰郎君
森 八三一君
木村禧八郎君
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会計検査院長 佐藤 基君
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事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主計局法
規課長 佐藤 一郎君
農林事務官
(農林大臣官房
会計課勤務) 岡 義衞君
建設大臣官房会
計課長 植田 俊雄君
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本日の会議に付した事件
○財政法、会計法等の財政関係法律の
一部を改正する等の法律案(内閣提
出、衆議院送付)(第十二回国会継
続)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/0
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001・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは第三回の大蔵委員会を開催いたします。財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案の質疑をお願いします。説明員としてお見えになつたかたは、佐藤会計検査院長、河川局次長の伊藤説明員、道路局建設課長の宮樫説明員、会計課長の植田説明員のかたがたがおいで頂いております。順次御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/1
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002・小林政夫
○小林政夫君 今日御出席になつた会計検査院長は別として、他の建設農林の関係のかたは、大蔵当局の説明によると、特に問題である継続費を建設農林関係のほうで要望が多いということであつたので御出席を求めたわけであります。その必要とされる状況を一応具体的に説明をして頂いたらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/2
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003・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは只今小林委員からお話がありました点について、各関係のかたがたの御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/3
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004・植田俊雄
○説明員(植田俊雄君) 建設省は御承知の通りに内務省時代から直営工事を実施いたしておるのでありますが、先般衆議院の行政監察委員会におきましても、いろいろ地方建設局の不正の問題につきまして御非難を受けまして、私どもとしまして非常に恐縮をいたしておるのでございます。でこの委員会の建設省側のほうで答弁いたしましたうちにおきましても、いろいろ予算の上で改善して頂きたい、この点を改善して頂きますればこの不正事犯というものも大分減つて来るのじやないかということをお願いしたものもあるわけでございます。現在この直営工事を実施いたしておりますのは私どもの出先であります地方建設局長でありますが、地方建設長もたびたび公共事業の、特に直営事業の隘路打開の一つの方法としまして、継続費を是非設定して頂きたいということを強く私どもに要望して参つておるのでございます。本省の私どもといたしましてもこの点はかねてより痛感いたしておる点でございまして、大蔵省に要望いたしまして、今回の財政法の改正案にその点が盛込まれるということを私どもとしましては非常に期待いたしておる次第でございます。で継続費の必要の問題につきまして、財政的の立場からの論議は私どもいたしますのは適当ではございませんので、これは大蔵省から御説明があつたかと存じますが、軍に予算執行者のほうの立場といたしまして、継続費があればこういう点が非常に助かるのだと、こういう点を申述べてみたいと存じます。
で継続費につきましては、二つの利点があると考えておるのでございます。第一番は実質的な利点でございます。それから第三は予算技術上の形式的のございます。で先ず簡單な形式的の利点のほうから申上げますと、直営工事におきましては、法的に繰越がはつきりと認められていなかつたのでございます。でこれが地方建設局におきましては、繰越が認められないために何とかして余つた工事費を繰越したいというので、空人夫というふうな、事業をやるものとしましては最も忌わしい行為によりまして、工事費を翌年度に繰越そうというふうな結果を捲き起したわけでございます。この点は今回の改正案によりますと、繰越が事故繰越として認められるということに相成つておりますので、この点は若干緩和された次第でございます。併しながら事故繰越は要するに何らかの特殊な事情によりまして繰越すのでございますから、大蔵省に繰越をお願いいたすにしましても、相当な理由を整え、又説明をする必要があるわけでございまして手数もなかなかかるわけでございます。又最近は大蔵省のほうも非常に簡便に又早くやつて頂けるようになりましたけれども、昔は繰越手続がやはり翌年度の財政計画と睨み合せの関係でありましようか特に遅れ勝ちでございましたので、ともすると現場の職員としましては、繰越手続を軽視しがちな傾向がかねてよりあつたわけでございます。最近私どももこの繰越が認められるということになりますれば、これは絶対にそういつた空人夫等で繰越すことはやつてはいけない、正式の繰越手続について私ども本省の者としましては大蔵省に交渉することを決していとうわけではないから、是非正式の繰越手続を、是非といいますか、絶対に闇人夫による繰越はやつてはいけないということを強く申しておるわけでございます。
それから予算上から申しますと、明言繰越というのがございます。でこれは公共事業費について全般的に明許にしてくれたらどうかというような議論をずる者もございますけれども、一般会計予算の一七%を占めております公共事業費を、現在の單年度予算の上におきまして、これを全部明許繰越にするということは、これは私どもとしても要望すべきことではないと考えます。そういたしますと、次の問題といたしまして継続費ということに相成るわけでございます。継続費につきましては私どもとしましても全部の公共事業費、全部の直営事業を継続費として繰越が比較的簡單にできるようにして頂きたいというわけではございませんので、特殊なものについてこういうふうな考慮をお願いいたしたいというふうに考えておるわけでございます。なお工事を数年間に亘つて実施いたします場合に、国庫債務負担行為という制度もございますか、これは請負に出します場合はこの制度を活用して参るかと思うのでございますが、直営工事で日々人夫を雇い入れる、こういつた性格のものでは国庫債務負担行為では解決つかないのじやないかとかように考えております。只今申上げました経費的な理由といたしましては、要するに、継続費になりますと、繰越という手続が非常に簡素化され、工事をやつておる者は安心してやつて行ける、こういうことなのでございます。
次に実質的な理由でございますが、これは工事が計画的に行うことができるということでございまして、御承知の通り河川、道路の工事におきましては、單年度の予算だけで終るものは比較的少いのでございまして、予算としましては單年度に計上になつておりますけれども、実質的には継続事業になつておるものが多いのでございます。併し私どもの希望としましても、実質的に継続できたら、これをすべて継続費にして頂きたいという、かような意味ではございません。大規模な工事でございましてそれが一体をなすもので、一体的に効用を発揮するものが初めて継続費としてお取上げ願うべき性格のものではないか、かように考えております。又その機能が一体となつてでき上る、例えば大規模な工事で一体をなすものと申します場合は、ダムでございますとか橋梁、こういうものが考えられます。又機能が一体的をなすものと申しますと、放水路のようなものが例として挙げられると思うのでございまして、放水路の一部が完成し、或いは一部の擴幅が行われるといたしましても下流まで一貫して擴幅されませんと所期の目的は達せられないわけでございます。こういつた工事につきましては單年度予算ではどうも安心して工事がしにくい、こういうことになるわけでございます。
次に経済的な問題から論じますれば、継続費になりますと事業が経済的に行われ得るのじやないか、こういう点でございます。これは工事につきましては、御承知の通り段取ということが一番大切でありまして、段取のやり方がまずいとそれが工事全般にひつかかつて参りまして能率的な経営ができないわけでございます。一つの例を申しますと、仮に山奥に一つのダムを築造いたしますといたしますと、これを三年で仕上げるか五年で仕上げるかによりまして段取が違つて参るわけでございます。現場まで運びますのに砂利、セメント等を、これは場所によつて違うと思いますが、索道で運びます場合と道路で運びます場合とでは場所によつては経済的な事情が違うわけでございます。仮に道路で運んだほうが非常に有利だ、こういうような場合であるといたしましても、道路を新たに作りますか大改修を要するわけでございます。併しそれだけの附帶的経費をかけるほどの価値ある工事材料が運搬せられるということでありますれば、これはそろばんが合うわけでありますが、従つて先ほどの例で申しますと三年間で仕上げるということであれば道路を作つてもいい。併し五年で仕上げるものであれば或いは索道だけで間に合うかも知れない。これが單年度予算として要求いたします場合には、仮に何年間という見通しで予算が作られるものといたしましたところで、その予算全般についてその工事で幾ばくという金額の見通しがはつきりしたものじやありませんと、現場の担当者といたしましては、いずれの工事段取で行くべきかということが確定しかねるのでございます。従つて初めは三年間でできるつもりで道路をやつてみた、ところが或いは五年、六年に延びますと、これは経済的に無駄な道路を作つたと、こういうことにならないとも限らないのでございます。それから資材の点でも同様でございますし、又機械の点も同様でございます。機械を大型を使うか小型で間に合わすかということ、こういうこともやはり工事全般の実施年度と関連を持つ問題でございます。こういう問題につきましてはいろいろございますがこの程度で省略いたしまして次に用地の買収の問題でございます。
用地の買收は工事を変えてやる場合におきましても請負にいたす場合におきましても、現在の土地の事情からいたしますと非常にむずかしい問題でございます。單年度予算の建前でございますからその年間に工事する土地しか買えないというのが現在の建前でございます。これには勿論予算の編成におきましては、その杓子定規にやつたのでは工事はできません。若干翌年度にかかりましても事実上継続費は若干の考量は加えられますがそう大きな考量を加えることはできません。ところが用地の買收におきましては、道路の場合にいたしましても、河川の場合にいたしましても、一部ずつ買つて行くということはこれは事務上も大変でございますが、その買收価格の決定、或いは土地所有者との條件の協定等が非常にむずかしいのでございます。それよりもむしろ一括いたしまして地主から団体的にまとめて契約する、こういう方式のほうが、有利不利の問題ということは別にいたしましても、非常に簡便に、而も土地の所有者間の各種の、何といいますか買収価格その他についての條件を平均にいたしまして、地元のかたがたの満足を得られるのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。それから道路等の場合でございますと、来年度工事をいたすということがはつきりきまつておる道路につきましては、これは仮に道路費で土地を買わないということにいたしましても、道路予定地といたしましてそこの建物を整備いたす等によりまして、今後その土地を買います場合には、家屋の償却に多額の経費を拂わなくて比較的安く仕上げることができる、こういうような利点もあるのでございます。その他工事の設計、事務費等におきましても、非常に軽減をされる点があるわけでございます。
私ども予算執行者の立場から申しまして、こういつた諸点から継続費が速かに実現されることを希望している際でございますので、是非実現になりますように格別の御配慮をお願いいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/4
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005・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に農林省の岡説明員に説明を求めます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/5
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006・岡義衞
○説明員(岡義衞君) 継続費につきまして農林関係の事情について御説明申上げたいと思います。
農林省といたしましては、大体継続費の対象となります主なものといたしましては、干拓事業、灌漑排水事業、墾開、溜池、用水路等というような大規模なまとまつた一体として設計計画をする必要があるような事業について考えてみますと、水路のようなものにいたしましても一定の地点から一定の地点まで水路が完成しませんとその目的を全く達することができない状態でありまして、その他干拓或いは溜池のようなものを考えますと、大体溜池のような、やや大規模なものになりますと、当初の年度で底掘りをいたしまして一番下のほうの工事をやる。二年目は大体地平面ぐらいまでをやる。三年目ぐらいはだんだん上の蒿上げをするというような数カ年を要する事業におきましては、現在の制度でありますとそれを單独年度で各底掘り或いはその他を重ねることになりますが、設計の面から言いますと、これは底掘りをやりましても何らの効用がないのでありまして、どうしても事業と計画、設計というものは、これを一体として設計し、工事を施行して行くことになつておるのでありますが、その場合技術的には到底可分でないものを可分のような予算で組まれまして毎年御審議を頂いておるのでありますが、設計しこれを実施する面から見ますと、その後の完成までは国会におきまして議決をして頂くということを予定し、それを前提としてやつて参りますことは、非常に実施する上におきましては苦しいのでありまして、途中で削減或いは不成立というような場合は、全く当初手を着けないよりも却つて無駄な仕事をやり、無駄な経費を使うというような結果になるのでありまして、こういうような一体として設計計画されるようなものは、是非継続費を各年度及び総額の予算をお認め頂きまして、安心して技術者も施工するほうもそれに集中してできるようにして頂きたいと考えるのであります。先ほどお話になりましたように、繰越関係その他につきましても継続費でありますと、毎年方々の工事は進捗状況等によりまして、一〇〇%できる場合も、或いは八〇%の場合も或いは物価の高低によりまして全額支出する場合、或いはなくなつて不足を生ずる場合がありますが、それは完成する年度まで逓次繰越を認めて頂きまして、全体の完成を支障なく安心してやつて行けるようにしていて頂きたいと考えるのであります。そうした事業は干拓事業、灌漑排水事業等いろいろありますが、継続費として御承認願えますものはそのうち特に技術上或いは事業分量等におきまして特に重要なものについては是非継続費の必要があるのではないかと考えておるのであります。一応これだけを申上げます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/6
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007・小林政夫
○小林政夫君 継続費を作る場合に、例えば今の農林省の場合だと、干拓費というような名前だけで何年、まあ五年なら五年というような何々費の予算を盛つておられるが、具体的に何県の何郡の何村というようなはつきり一件一件ごとにやられ、これは同様に建設省のほうにおいても言えると思うのですが、橋梁なら橋梁というような漠然たる名前でなくて、関門トンネルなら関門トンネルというように、はつきり事業を具体的に個別的に指定して、昔例えば工場の建設等で専売工場等が震災でやられたという場合には、その中には二年で建設工事が完了する工場もあり、五年かかつて完成する工場もあるが、一括して工場の建設費として継続費を出された例もあるようであります。そういうようなことでなしに、工場を三つ建てるとすればおのおのの工場について一々項を分け事案を分けて継続費を組まれるつもりであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/7
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008・植田俊雄
○説明員(植田俊雄君) 只今の点は昔の継続費を振返つて見ましてもわかるわけでございまして、包据的に直接河川事業費を継続費に組むというふうな、金額だけを組むというふうなことはあり得ないし、又私どももそれを要求するという考え方を持つておるわけでございません。ただ只今お話がありましたように、個々別々にそれぞれ設計書に基いて予算当局が十分な査定を加えられた上に計上に相成るものと思つております。ただ予算書になります形式におきましては、或いは一々利根川の五カ年計画たら五カ年計画、江戸川の何カ年計画なら何カ年計画、こういうような工合に出ますか、或いは直轄の河川工事で幾ら幾ら、その内訳として河川名等が出るように相成りますか、これは形式の問題はまだ大蔵省と打合せをいたしておりませんので申上げるというわけには参りませんが、併しそれぞれ内訳が明確な根拠に基いて計上せられるものであるということは聞違いなかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/8
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009・小林政夫
○小林政夫君 大蔵当局にその点について聞きたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/9
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010・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 私から御答弁申上げます。従来でございますとこれはものによるわけでございまして、直轄工事の大河川のようなものはおもてに出たこともございます。それから中小河川のごときものは、勿論予算を御審議願いますときには参考といたしましてどこのという内訳の年割表みたいなものをお出しいたしまして、そうして御審議願いますけれども、予算の立て方の上で例えば中小河川は一本で出ておりますが、そういうものは直ちに項目の表面には出て参りません。併し事柄の大小によりまして予算の表面にそのまま出て来る場合もございますし、今申しましたように小さなものは一括して計上される。併しがらいずれにしてもその場合においても内容的な年割表というようなものははつきりいたしておりまして、これは勿論政府部内の間でも自由にすることのできない拘束力を内部的に持つておりまして、そうして予算は執行されておるわけでございます。又十分にそういう点については御説明を従来からもいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/10
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011・小林政夫
○小林政夫君 説明は恐らく十分できるでしようが、その間の彼此移用、流用というようなことはこれはどうですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/11
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012・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 従来継続費については移用いたしておりません。つまり他の川のものをこの川にやるというようなことは一切いたしておりません。又事柄の性質上、当然そういうことは継続費の意味をなくすわけでございますからして絶対にやらないというつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/12
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013・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほど農林省と建設省のかたに御説明を伺つたのですが、成るほど御説明を伺えば継続費を認めることがいいに違いない。そういうことはわかり切つておるのですが、ただ問題はそれによつてどの程度の効果が挙がるかということがあるのですけれども、これは大きい問題になりますから一応それは別問題にしますが、ここではお伺いしたいのは、それによつて生ずる効果と、最近例えば公共事業費なんか物価補正は継続費としてなかつたのですね。それでこの前予算委員会で伺つた時には、その結果としてどういうことが生ずるかというと、三年でダム建設をやるところが四年かかる。二年が三年かかるということになる。又道路でも一千メートルやるところが七百メートルで打切らざるを得ないというような事態になる。こういうことを伺つたわけです。そこで実際片一方でこういう継続費を認めてもそういう面でその建設が阻害されてしまえばこれはもう意味がないわけです。そこで実際問題としてどうなんですか、そういう物価補正なんかやらないために起る支障ですね、それはこういう継続費を認めるというようなことによつてカバーできるのですか。
そういうことが一つと、もう一つは何か最近の腐敗現象が非常に公共事業費や建設工事で起つたのですが、その説明として予算が窮屈である、そういうことが非常に大きな原因であると言つて、何かそういう腐敗現象をそういうことによつて合理付けるような印象を我々は与えられる。その腐敗現象は我々多少聞いたところによつても決してそれのみではないと思う。勿論あなたのほうではお認めになると思うが、そういうことによつて腐敗現象というものは大部分解消されるのかどうか。先ずこの二点をお持いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/13
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014・植田俊雄
○説明員(植田俊雄君) 今木村委員からお話がありました物価の問題でございますが、物価が継続費を設定いたしました年度間を通じて安定いたしますということは、これはなかなか予測もできませんし或いは困難なことではなかろうかと存じます。昔の継続費の各省の書類等を見ましても、やはり物価が変動いたしますと継続費の総額の変更でありますとか、或いは年度割の変更でありますとか、或いは物価が上りますために当初考えました工事を或る程度打切らなければならん、こういうようなことも起るわけでございます。完全に安定した経済でございますればそういうことなしで済むわけですが、現在そういう理想的な状態でないと私も考えております。従いまして只今の物価の見通しはどうかという問題につきましては私としましてもお答えする力もございませんから申上げませんが、ただ継続費というものが設定されました以上、国の方針はその工事を完成するということを一応お約束なさつたわけでございます。従つて或いは将来物価が騰貴いたしました場合には年度割の変更その他或いは総額の変更等があるにいたしましても、例えば三カ年計画にいたしましても五カ年計画にいたしましても、政府がその工事を完成するという意思表示がはつきりいたしましたそのこと自体によりまして、工事の段取といたしましてもその他の工事の執行法にいたしましても大いに利益するところがあるのじやないかというふうに考えております。
次に腐敗の問題でございますが、私言葉が足りませんでして申訳ございませんが私も木村委員と同じ考えでございまして、決して腐敗の現実が予算の窮屈、或いは継続費が認められなかつたからこんなことが起つたのだというような言い方を決して申しておるわけでもございません。ただ腐敗をなくするための方法として継続費というものも認めて頂いて、そうして繰越というふうな手続も簡單になる、こういうふうな予算上の改善をして頂くことが私ども今後不正の事実の発生を防止する、或いは又これは言い方を変えますれば、不正の理由として藉口する原因をなくするということにもなるわけであります。そういう意味から申しましても継続費というものは必要であると、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/14
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015・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これまで実際に継続費は一応予算制度で認められていないが、これまでどうして来られましたか。それで具体的に今日までどれだけの支障が生じたか、継続費が認められないために具体的にどういう障害か生じたか。又もう一つは、継続費制度を認めないでほかに継続費制度以外においてこの救済措置はあるかどうか。今日までもうずつと支障があつたわけですからその支障は放つて来たかどうか。或いは何らかの形でこれは救済して来たに違いないと思うが、それじや困るから。若しかして来なかつたら大変なことだ。支障をほうり放しで今になつて急にそれを言うのはおかしい。ですから今日まで具体的にどこにおいてどういう支障があつたか、その支障を排除するためにどういう対策をとつたか、それを具体的に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/15
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016・植田俊雄
○説明員(植田俊雄君) 只今の御質問は、只今までうまくやつておつたとお答え申上げれば何だか工合が惡うございますし、いずれにいたしましても都合の惡いことになるわけでございます。これは包括的にこういうことを申せばいいと思います。私ども終戰後の財政の仕事をやつておりましたものといたしましては、予算の科目も変転いたしますしそれから継続費という制度もなくなります。而も公共事業につきましては安本の予算に一指計上されまして工事認証である、或いは大蔵省の関係になりますと債務負担行為支拂計画、而もこれが一年間も比較的初めのうちは四等分されるという非常に固苦しい制約を頭からかぶせられたわけでございます。従つてこれに対してどういうふうに打開するかという問題よりも、この枠の中で非常にじたばたして苦しんでおつたのでございます。従つてこの枠を入れてやるということはできないわけでございます。従つてこの枠以外におきましてこれにはみ出ますならば、それは会計検査院の批難事項としてすぐ現われる。それから枠以上に工事をやろうとしましても、或いはこれは民間から金を借入れて工事をやつてその利拂いをする、こういう刑事事件になるか知れない事件も起すのでございます。やりくりとか或いは継続費で継続的な工事の場合につきましては、予算の査定の際におきまして、大蔵省にしても安本自体も相当考えてくれることと思いますが、予算執行の段階になりますと今の会計法規の制約の枠の中で私ども非常に苦しんでやつて来た、こういうふうなことを申上げることができるのじやないかと考えております。
次に救済措置の問題でございますが、これは救済措置が只今私どものところでは見当らないのでございます。やはり勿論この継続費を認めなかつたら公共事業費は非常に支障を来たすかとおつしやいますならば、これは私どもとしてはそうも申すわけには参りません。併し継続費を設定して頂くということが、私ども今までやつておりますところの大きな工事なんかを執行いたします場合におきまして、継続費があればもつとうまく、又もつとうまく段取をつけてやることができるのであるがというふうなことで、いろいろ溜息を洩らすと申しますか、嘆いたというふうなことはしばしばあるわけでございます。例をちよつと申上げますと最近建設省が着工いたしましたダムでございますが、このダムは見返資金から発足いたしたのでございますが、ダム全部で何尺かかるかということは金額は決定いたしておるのでございます。そのダムの入札の問題に相成りますと、これは予算が全部ついておるわけではございませんので、ダム一体としては入札することができない。そうすると各年度ごとに予算のついた範囲内においてのみしか業者と入札による契約はできない。而も一旦一定の業者と決定いたしてしまう限りにおきましては、翌年度の入札というものはもうすでに段取のつきました業者がどうしても優先的に落札いたしますのでその業者に牛耳られてしまうということになるのでございます。これは直営工事の例ではございませんで請負の例でございますけれども、こういう際におきましては継続費が決定されておればこういう苦労はなくて済むのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/16
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017・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは継続費自体が予算制度を認めていないのじやないのです。否定しているのじやないと思う。問題は継続費が予算支出として出て来るとこれは国会の予算審議のあれが一応制約されるのです。国会の意思が一応制約されることになるのです、どうしたつて。そこで問題は、これは飽くまでも相対的なものなんです。いいに違いないのだけれどもそういうふうに制約されると、どれだけのウエイトをどつちへ置くかの問題になつて来る。実はそういうふうに継続費で出て来る場合にもつと実質的な問題があるのですよ。本当は長期予算がちやんと総合的に出ていて、そうして総合計画ができていて、そうして次年度の予算はどう、次の予算はどうと、こういう計画的な財政計画が出ていて、それで継続費的なものが出て来るならいい。ところが長期的財政計画は何もない。来年度予算を審議するときに実はこつちのほうが大切だということが出て来るときに、一応それが制約されてしまうと困難が生ずる。これは大きな問題である。ですから事務当局としては悩むことは御尤もだと思う。それはよくわかるのです。そこで我々はこれを国会の予算審議が制約されないようにすると同時に、継続費が認められないという形において生ずる支障をどうして打開するか、そこのところを我々は検討するわけです。そこで具体的にこれまでどの程度の支障があつたか、その支障の程度がどうしても予算制度の根本の問題なんです。これはこれを改正しなければならないほど大きな支障があるのかどうかを我々具体的に聞きたいわけなんですよ。これまでも公共事業、直轄事業をずつとやつて来たのですから、やつて来て、これを改正しなければならないほど支障があつたとするとこれは大きな問題だと思う。ですから具体的に伺いたいのです。本末顛倒であつて、若しかこういう継続費は認めたけれども、財政政策の立て方がまずいためにそれ以上の大きな支障があるならば何もならない。こういうものを改正しなくても、例えば今度の予算補正の問題も、予算のほうで価格補正をしないためにうんと大きな支障が生じているのに、そつちのほうを根本的には直さないで、こういう制度的なこうものをいじくつても意味がない。勿論そつちのほうも直しこつちも直せばいいけれども本末顛倒であつて、片方の肝腎なほうを直さないでこれを直すというのは私は本来顛倒のような気がする。やはり抽象的な議論よりも具体的なことを聞きたいのですよ、何か。若しすぐおわかりならなければいい。何かのケースをとらえて具体的にどういう支障があつた、例えばいつ幾日材料を買おうと思つたが継続費がないために材料はこれだけしか買えない、そのために工事が何カ月遅れた、何かそういう点を具体的ケースとしてと心えて御説明願わないとこれは水かけ論みたいになる発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/17
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018・岡義衞
○説明員(岡義衞君) 継続費が認められましても、公共事業関係が大半だとか全部とかいうようなことでありませんので、その計画がどうしても一体的をなしておりまして一部だけやつたのでは全く効果がない、どうしても次年度以降完成するまで国会で認めて頂かなければいかんということは、どうしても制約されるだろうと思うのであります。それで具体的な困難な実例その他の御質問でありますけれども、單独年度予算がきまりますと国会の議決が済むまでは全く手が付けられませんので、その後におきましても農林省におきまして安本の査定、大蔵省の予算の示達というようなものが年度の最初の時期においてはなかなかそうスムースにすぐ参りませんので、四月、五月の丁度候のいい時なかなか予算が地元の事業所のほうまで示達が行かないので手をあけて遊んでいなきやならんので、常用人夫賃とか材料というものが入らない、そうした場合借入金とかいうことが何かそこで事業所の現場のほうでどんどんやつてしまうといろんな問題が派生する余地を残すことになりまして、又繰越の関係、これがなかなか三月三十一日まで全体できちんと完成しま芝ので、繰越とかいろいろな問題が起きるのでありますが、これを全国の分を本省でまとめまして大蔵省に御承認して頂くという手続等が今のまだ通信だとか運輸の不便の時代に非常に困難を感じますので、なかなかもらわない分は地元は少しできないのをできたことにして一応決築するとか、まだその辺あたりがいろんな問題の発生する余地が多分にありますので、継続費になりますと各年割額及び総額をあらかじめ決定して頂きまして、施行する方法にいたしましたらその間非常に便利なわけでありますが、更に実行するほうといたしましてはその工事を総額で幾ら、各年割額幾ら、それでどういう工事をやると義務付けられますので、その点は実施官庁といたしましてはその義務付けられました予算の制約ということに対しましては非常に苦しいのでありまして、それを更に物価の値上りその他によつて増額するという場合が発生しますと、今の單独年度でありますとその間が余り明瞭でないと思うのであります。同じ事業を何カ年かに分割して一指して参りますと…、併し継続費の場合は最初年割額幾ら、総額で幾らと、それを今度物価の値上りで幾ら増してくれというような場合に継続費の年割額だとか、総額の増額の場合そんな増額が妥当であるかどうかというような審議をして頂くことになりまして、全くただ予算が全部付いたから安心してやれるというだけでなくて、そうした制約を受ける面がありまして、実施するほうはそれだけ責任を加重される結果となるのでありまして、継続費の内容を適当に重点的に査定して頂いて認めて頂けば今よりは非常によい結果が招来するのじやないかと考えておるのであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/18
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019・木村禧八郎
○木村禧八郎君 どうもお話伺つても具体的でないものですから、どうも余り参考にならないのですけれども、そこでお伺いしたいのはこの継続費をまあここでこういう制度を新らしく認める必要が出て来たのは、主として差当り電源開発ダム建設の問題、それから関門国道の問題が起つて来ると言われているのです。そこで新聞にもすでにこの電源開発の資金や何かが伝えられておるのですが、一体非常に大きなスケールのものですが、このダムの建設に当つて総合的な点を考慮されているのかどうか。建設省として例えば木材でもセメントでも鋼材でもたくさん要るのです。ダム建設と日本経済の全体のいろいろな建設計画との総合的な問題を考慮しているのかどうか。それと今度政府出資があるのです。そういう財政支出とほかの支出との権衡というものを考えておるのかどうか。そういうことが問題になつて来ると思うのです。継続費を仮に認めるとしてもダム建設だけぽかんと出て来て我々それを承認してしてしまうと、あとの予算の権衡の問今をどうするかということが問題になるのです。いつでも今後それに制約されちやう、非常に困るわけなんです。そこで本当の総合計画でなければ無理なんです。継続費を出して来るのに、総合的長期財政計画がなくてこの継続費だけがぽこんと部分的に出て来るというのは、私はそもそも本来を顛倒していると思うのですけれども、そこでこの際そういう電源開発についての長期計画、それで財政的にどのくらい毎年財政資金としてれを要求しているのか。それから資材面から物動的にどういうふうにこれを考えているのか。この点が今継続費を認めるための一番の必要性はここから出ているというのですから、先ず具体的にどの程度毎年財政資金を要求するのか。それによつて大体次年度、二十七年、二十八年ぐらいの財政的な規模というものと勘案して、それで例えば国内費は非常に圧縮されそうですし、講和関係費が非常にたくさん出て来る。そこで仮に国内費が六千億ぐらいに抑えられちやつてその中で特に電源開発が、無論必要なんですけれども、ウエイトがぽこつと大き過ぎてほかとの権衡がとれないという場合にどうするかという問題が出て来るのです。ですから具体的にはそういうことも伺つておかないと判断できないのですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/19
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020・植田俊雄
○説明員(植田俊雄君) 只今木村委員のお話の点はよくわかつたのでございますが、ダムを先ほどから私ども申しておりますのは、これは電源開発のダムは只今のところ私のほうの所管というわけでもございませんので、ダムと申しましたのは洪水調節のダムでございまして併せて電力も開発するという程度のものでございます。金額的に申しましても現在発電計画としまして相当大きな金額が新聞等に伝えられておりますが、それとは勿論一環をなし、又その一部に協力すべき性質のものでございますけれども、趣旨といたしましては洪水調節のために北上川の猿ケ石とか、石渕、四国の物部川に造つております、又利根川の支流の五十里に造つている、こういつたダムについて私ども申上げておるわけでございます。発電計画の問題につきましては私どもまだ承知いたしておりませんのでわかりませんが、これが政府の直営でやるということになりますればこれは財政法の適用は当然受けるべきでありましよう。併し特殊会社という形式になりますと、これは政府出資という形になりまして、私ども今考えております継続費とは別問題になるのじやないか、かように考えております。御指摘のありました関門につきましては私どもとしましては、関門は是非早く実現いた号したいとこういうふうに考えておるのでございますが、残工事としましては三十一億五千万円ございます。これを五カ年計画で仕上げたい。今のように毎年一億前後の僅かな金でだらだら行くのは堪りませんから一つこれを五年ぐらいに仕上げたいというふうな希望を持つておるわけでございます。
橋梁につきましても、これは将来計画を大きくり五カ年ならば五カ年で取上げようという考え方ではございませんで、現在着工いたしました橋梁を経済速度で仕上げできるだけ早く公衆に使つて頂くという考え方でございます。こうして決して新規の橋梁が入らんというわけではございませんが、大きな計画を立てて、そうして大きな多額の予算をこのために拘束してしまうというふうな考え方は私どもとしては只今のところ持つておらないものと御了承願いたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/20
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021・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大蔵当局は、ちよつと大蔵省から発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/21
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022・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) いろいろ問題がございますが、第一に本来の全体の財政計画を計画されておらないのにひとり継続費に製造を認めるというのは本米顛倒ではないかというのが私の考えであります。現在の状況におきまして長期財政計画を広範囲に亘つて確立することは努力目標としては別として、なかなかこれを立派なものを作り上げるというのは困難な情勢にあることは確かでございます。併しだんだんと経済の安定というものと並行しまして長期財政計画もだんだん具体的な内容にして行くということは我々の念願であります。それから又その一部分を申しましたが継続費制度のごときものこそ最も先ず手を着けて計画化することができると、全体の計画化と申しましても結局部分的な具体的なものが一つ一つ計画的にやらなければ財政計画も成り立たない。そういう意味から申しますれば従来いわば工事のごとく比較的計画目標の立ていいものについてすら單年度事業であつたというために比較的全体計画の審議というものがどつちかというとおろそかになりがちであつたものが、この制度が設けられて予算の際に継続費の要求ができるということになりますれば、それらを契機として又おのずから全体を見るということが行われて来るのじやないか。むしろ私は木村さんのおつしやつておられましたような目的からいつても継続費は必要であるというふうに考えられるわけであります。この会におきましても先ほどもまあちよつとお話がありましたが、ちよつと話がそれるかも知れませんが、継続費を設けると非常に予算審議が拘束されるというお話がありましたが、單年度の予算でございましても実質的には何ほどかの、いわゆる継続費的なものが単年度の形で毎年度の予算を占めておるわけであります。結局去年やつたものをそのまま打切るということはできないわけでございますからして、形は單年度でございましても結局本質的には継続費の年度割に相当するものが毎年の予算に相当部分入つておるということができると思うのでございます。それがたまたま計画的に計上されるということになると思います。国会におきましても單年度で予算が審議されますよりも長期的に全体を御覧になつたほうが、先ほど物価補正の問題が出ましたが、物価補正その他いろいろなことを見ます際にも單年度だけで見るよりも全体の計画として見る、或いは関門トンネルということが一体全体としてどのくらいかかるのかということもそのときどきにはつきり出て来ると思います。そういう意味で話はそれましたが全体が計画的にだんだん持つて行かなければならんことは、私たちもそう考えるのでありますが、まあ継続費はその一環として全体を計画化するのに役立つのじやないかというような感じですが、そういう感じがいたすわけであります。
それから電源開発の問題が出ましたが、これを具体的にどうするかという計画はこれからの問題でございますので関門トンネル、それからダムの建設等について例を主として御説明申上げましたが、今植田会計課長の話がありましたように、電源開発を万一国が直営いたすような場合には継続費事業として出て参りますけれども、伝えられるように公社の案であるとか又はいろいろな他の形で民間が直接やるということになりますれば、直接にはこの継続費の形としては出て参りませんで、政府の出資その他の形で出て参ることになります。従つて今直接にダムと申しておりますのは、先ほど建設省等の話のありましたものを頭に入れておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/22
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023・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの流用、移用等については、継続費等についてはないということでございますけれども、具体的にその予算措置としてどういうふうなわけで流用の制限をしたか……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/23
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024・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) まあこの継続費をどういうふうに予算化するか、先ほど予算は直さんで法律だけという話がありましたけれども、実はこの制度をお認め願めてから二十七年度の予算から始めて行きたいと思つておるのでありますが、二十七年度の予算には仮に継続費の問題が出て参りましても、そうたくさんの件数は勿論要求しない、こういう予定でおるわけであります。関門トンネルのごときものは勿論継続費の要求案としては関門トンネルの継続費ということではつきり現わしたいと思つております。それでそういうような大きなものにつきましては今のところはつきりと現わしますし、或いは将来小さな河川や小さな漁港のようなものをたくさんあるのは一括して現わして、そしてその内容は予算の参照書に明らかにする、そうしてまあ御審議を願う、政府といたしましては、勿論継続費につきましては従来からできるだけ項に挙げております。そうして今後はこれを項にするか目にするかまだはつきりお答えする段階になつておりませんが、いずれにしても継続費を他の経費に流用するというような措置のないような方法を予算的に考えて参りたい、こう考えておるのです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/24
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025・小林政夫
○小林政夫君 継続費を他の予算に使うということはないと思うが、個別的に今のダムならダムということについて広島県のダムも富山県のダムも一緒に説明書にする、勿論目別に挙げられるでしよう。それがその間の個別的な或る村の橋と或るこちらの他の村の橋との費用が彼此流用される場合があるのじやないか。一方の橋は二年かかり、一方の橋は五年かかるというものが同じ項目の継続費の内容になつて而もそれがルーズに流用されるということは非常に問題が起ると思います。橋なんか大した問題はないと思いますが、その他の問題についてそういうことについてはどういうような考えを持つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/25
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026・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 頃にしますものにつきましては絶対的に移用させないようにするつもりでおります。目にしましても大蔵大臣はこれを承認することはございません。それこそ全くよほど予想のできないような真に止むを得ないものであれば別でございますけれども、普通はそういうことは絶対にない、流用を認めない、こういう方針でおります。又実際問題といたしましても各省におきましても一方に廻せば一方の工事が結局遅れるのでありまして、それについては地元やその他の世論の批判を覚悟しなければなりませんし、又従つてその次の年度に継続費の審議を受けます際には必ずその実態が明らかにされるわけでござついまして、そういうことをやるといたしましてもよくよくの場合でなければ考えられないと思います。まあ各現場の所長も又会計課長としてもそれぞれにきまつた予算でありますからして、普通それを他の備品のように方々の項目に散ら張つておりますが、結局それを一本にして中央の本省の事務費にしておるというような性質と違うのでありまして、その工事はその対象がはつきりいたしておりますからして、流用のほうは実際の問題といたしまして、各省の立場といたしましてもいたしておりませんし、又大蔵大臣としてもこれを認めない、こういうことで従来といえども継続費についてはAからBということは従来なかつたのです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/26
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027・小林政夫
○小林政夫君 いや、省が違うというのは問題はないわけです。同じ省内で彼此流用ということは従来なかつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/27
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028・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 従来から継続費についてはございません。又これは実際世論でありますからしてなかなか、例えば御指摘になるように広島の事務所の経費を九州の事務所に使うということは、これは役人根性でありますが、決して広島のほうがだまつておりません。これはむしろその逆のほうが多いのでありまして、例えば背農林省に裸麦の補助金と小麦の補助金がありましたが、愛媛県でこれを使おうとしましたときに、愛媛県でたまたま小麦の補助金が余つて裸麦が足らなかつた。係りが二つ別であつたために片方の技師がどうしてもその流用を認めなかつたというのがよく笑い話にありますが、役人としては内部的には案外他の建設事務所長がそれをうんというようなことはないのです。技術問題としてもございませんし、それから又少くとも本省並びに大蔵大臣の了解が要りますが、大蔵省として回そういう流用は認めない、こういう考えでおります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/28
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029・小林政夫
○小林政夫君 まあ折角会計検査院が見えておるので全体の意見も聞きたいし、それから今の問題についても一遍聞きたいと思うのですが、今それは一例として橋だとか、トンネルの話をしたので、まあ工場建設なんかの場合ですね、というようなときには同じ所管、同じところで同じ、今の例で言えば同じ事務所であつて、そうして工事の内容によつては二年かかるものもあろうし、三年かかるものもある、同じ事務所の中で、というようなことも考えられる。そういうことで大体継続費という名前で長期の金をとつておいてそれがルーズに使われるというこがと一番心配なわけなので、同じ所管の中で科目が二、三に分れておる場合のことなんかも考えられるわけですね。そういう場合においても絶対心配はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/29
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030・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 継続費についてはそういうことのないようにしたいと思つております。まあ同じ継続費の中で、工場の一つの中で工程の手順をどつちにするかというような問題は場合によつては起るかも知れません。それは飽くまでその継続費の中の問題でございまして、Aの工場の継続費をBの工場の継続費にやるとかいうようなものにつきましては、これもうまあ先ほど小林さんも御指摘があつた、私もよくわかりませんが、何か震災の復旧で非常に問題が多い、災害の復旧についていろいろ立地條件やそれから復興の順位をどういうふうにするかというようなことで、まあ順位を変えるというような場合に緊急度の高いものをやるというようなことは一面必要はあるかと思いますが、併しそれは雑多な場合にはそういうことも、まあ予算の立て方がそれを認めておる場合には差支えございませんけれども、いわゆる工事をはつきり目的にして、そうしてやる場合には他の工事にそれを流用するということはないようにいたします。これは大蔵大臣の承認を当然受けるようにいたしますし、できれば大きなものは項に現わす。予算そのものにおいても確保できるようにできるだけいたしたいと思つております。これは予算の編成を継続費についてどうするかという具体的な今後の問題でございますので、大蔵宵はそういう点は国会に劣らず大蔵省としても勿論そういうことが行われては困る立場でありますので、できるだけそういうことのないように制度的にも又実際問題の運営としても防ごうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/30
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031・森八三一
○森八三一君 議事進行について。非常に重要なものでございますので十分意を盡したいと思いますが、大蔵当局に対しましては質問することがしばしばあると思いますので、折角会計検査院長もお見えになつておりますから、この機会に会計検査院の見解を伺うというように御進行を願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/31
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032・木村禧八郎
○木村禧八郎君 賛成ですが、大蔵省に対する注文があるのです。先ほど法規課長からこの継続費についてのお話がありましたが、私希望しておきたいことがあるのです。それは見解の相違になるかも知れませんが、どうも法規課長の継続費に対する考え方が安易過ぎると思うのです。今までのいろいろ予算に継続費的なものがある、それだから一向差支えないじやないか、一言にして言えば、そういうような安易な考えじや今後運用するについても私はいけないと思うのですよ。勿論だんだん近代国家になりまして企業会計的になつて継続費が殖えるのは当り前なんですよ。併し今度の継続費がこれほど重大問題になつているのは、それはやはり予算の民主化と相反する面が出て来る。本当に民主化されていればいいのです、国会でも全体でも。ところが我々は民主化されていないと思つておるのです。まだ吉田内閣の反動的なこういう政治態勢では民主化されていない。そういう下でこれを考える場合に我々は真劍に考えておるのですから、そう安易に一つ考えないで、やはり重大な問題として考えておるのですから。それも技術的に考えていないのですよ。そういう態度で一つ御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/32
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033・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それではこれから検査院長に対する御質疑を発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/33
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034・森八三一
○森八三一君 質疑じやなしに御見解を、継続費に対する見解を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/34
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035・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) じや見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/35
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036・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 継続費の問題は、数年を要する継続事業について継続費があれば一応便利である、こういうことは勿論言えると思います。その点のみから言えば。併しながら又継続費については一利一害ありまして、先ほどもどなたかお話がありましたように継続費ということになるというと政府当局が安易に考えて早くできる仕事が延びるということは、これは現在のような国民が非常な大きい負担をしておるときでありまするからして、国の経費の効率的使用、早く経費の効果を現わすという点から言うと非常に疑問であります。併しながらそれは結局事務当局のやり方の問題になりまして、制度それ自身の問題ではないと思います。なお先ほどちよつとお話がありましたが、継続費がないために予算の経理上不当なことが起るというようにちよつと私聞いたんでありますが、例えば空出張するとか空人夫の経費をやつて、そうして金を浮かしてそれを翌年度に使うというようなお話、或いは又その年度には仕事ができていないのにできたことにして歳出をする。そういうふうなお話があつたのでございますが、これはいわゆる予算の繰越の問題でありまして、現在の制度においても予算の繰越ということは制度上できるのであります。ところが我々の検査しておる立場から申しますというと、その繰越制度というものがまあどういう理由かわかりませんが、面倒くさいというようなことがあるのか十分活用されておらん。そこで繰越制度を活用しないで繰越と同じ目的を達するために今申しましたような不正の経理をするということがあるようであります。継続費が認められればその点が簡單になるからしてそういう問題は起らないのでありますけれども、この点は現在の制度においても大蔵大臣の承認を経て、勿論一定の條件はありますけれども、承認を経れば繰越ができるのであつて、現に本院の大蔵省に対する要望もありまして、大蔵省におきましては現在繰越というものは非常に簡單に敏速にやつておるのでありますからして、そういう見地から言えば何も継続費を認めなければならんということにはならんと思います。要するに継続費というものは便利である。併しなら他方にいろいろな弊害もあるからしてその利点と欠点とを十分調整し、而も如何なる場合において継続費を認めるかということを政府当局なり、国会におきまして十分御審議になれば継続費は絶対にいかんという問題ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/36
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037・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今継続費について会計検査院長から御説明がございましたが、私はこの財政法、会計法等の財政関係法律の一部改正等の法律、これは何と申しましても継続費の支出が一番大きな問題であるから、憲法等の問題にも発展しますので、大きい問題であることはわかりますが、会計手続の簡素化ということも狙いになつております。併しこれは本院でも今一つの大きな問題になつておるのですが、公務員の汚職問題であります。これは今までまあ複雑な手続をとつて来たのは、実はそうした不祥事故がないようにするためがこれはまあ会計法の一つの大きな狙いであるだろうと思う。国の経費が適正に使用されるということが一つ、これはまあ会計法の、財政法においても同じでありますが、まあ一つの大きな狙いであることは否定できないと思うのであります。ところが今こういう問題が起きている矢先に勿論これは何も法律的な問題だけで以てこういう事件が起きているのではないとは思います。併しこういう矢先に簡素化だというので会計手続を非常にまあ簡略にする、我々はまあ簡素化することには賛成でありますが、場合が場合でございますので、この点から一つ会計検査院長の御説明を願いたいと思うのでございますが、第一点はこれはどうだ、こういう時期にこういうのはどうだ。
それから、会計検査院におきまして、今まで摘発されましたものがいろいろ決算委員会に報告になつておりまするが、併しこれは私らのまあこれは勘でございますが、たまたま運惡く会計検査院の摘発にかかつたのがああいう数字になつておるので、むしろまだ日の届かない摘発不能の面も相当私はあるのじやないか。で、大体一番その不正の摘発されるのは一体どういうところから来ておるのであるかという点を第二点としてお伺いいたしたい。
それから第三点といたしまして、これはまあ検査院長の前で苦言を呈するようで申訳ないのでありますが、私たちも公務員の端くれをやつておりましたが、従来会計検査院から検査官がおいでになりますると、先ずその歓迎準備を一週間くらいかかつて行うのであります。実際でございますが、そうして、今は物資が楽でございますから、割合に手を廻すのが少いのでございますが、酒や菓子のないときは先ずほうぼうからこれを調達いたしまして、お着きになりますと、先ず御ゆつくり御休息願う宿屋を工面して、我々に与えられました旅費からも少しは醵出しまして、そうして御歓迎申上げる。それから翌日からお手柔かに願いますということが慣習になつておるのでございますが、現在もそれは或る程度相当な公務員が皆会計検査院から来ると、同格であつても鞄持つて御接待申上げておるというのは私は失せておらないと思う。率直に申上げますが、会計検査院長の前でありますが、時期が時期であるだけに申上げる。これに対して検査院長は何らかの検査院の権限保持のために御処置を講じておられるかどうか。こういうところからも私は汚職事件の一端の責任があると思いますが、これに対して御処置を講じておられるか、今後どういう御処置をとられるおつもりであるか、この点についてお伺い申上げたい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/37
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038・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 現在のような情勢の下に会計手続を簡素化する、会計手続が複雑なのはいろいろな点がありましようが、要するに不正を防止するという見地が一番大きな見地だろうと思います。そういうふうな建前を現在のような時代に崩すのはどうかという点、この点は実はこの法律案を我々のほうでも研究したときにいろいろな議論が出たところなんであります。ところがここに書いてある認証官の認証という制度、これは要するにチエック・システムであつて、不正を防止するためには有力な方法でありますけれども、実際の運行を見ますというと、いわゆる盲判に類する例が非常に多いのであります。すでにそういうことであるならば、單に手続を煩瑣にするたけであつて大して効果がない、そういうものならあつてもなくても同じだというのが我々のほうの大体の見解であります。併しながらこの法律にも例外が設けてありますように、各省各庁の長において必要な場合には認証官を置いて認証を行わせるとありますが、そういう必要がある役所も若干あると思つております。それでありますから、結局これを一律にしないで、各省大臣の責任において必要なる場合においてこれをやつて行くというのなら、我々のほうとしても強いて反対する必要はない、こういうふうに考えております。
それから第二の問題、検査院の検査が不徹底である、徹底しておらんのじやないかというお話でありますが、これは我々といたしましても、決して徹底しておるとは申すことはできないのでありまして、御承知の通り憲法が変りまして、会計検査院のまあ重要性といいますか、認められまして、職員が従来約三百人だつたのが四年前にその四倍の千二百人になつたのであります。これは要すに会計検査を徹底していわゆる民主国らしい会計検査院として国民のために検査をするという趣旨だと思いますが、そういう意味におきまして検査の徹底を期するようにしておるのでありますが、何しろ会計検査と申しますと、馳け出しの素人が行つてすぐできるものではないのであつて、相当の熟練を要するのであります。その意味におきまして、四年前に私会計検査院に入りまして、この新らしい職員に如何にして検査を上手にやらせるかということを専ら考えまして、講習その他いろいろの方法によりまして職員の素質の向上を図つて来ております。幸いに職員も非常に熱心になりまして、その結果申としますか、過去五年足らずの検査報告を御覧になるとよくおわかりになると思いますが、いわゆる不当事項として我々のほうで遺憾ながら国会に報告しなければならん事件が非常に殖えて来る、現在今二十五年度の報告を作成中でございますが、本年度は又前年度よりは使えておるのではないか、相当殖える見込なのであります。これは本当に不当事項が殖えたのか或いは従来も不当事項があつたのだが、それが検査が徹底してないために十分見付からなかつたのか、この点は実はわかりにくいので、我々のほうとしてはむしろ従来の検査が徹底していなかつたために見付からなかつたのであつて、だんだん職員も馴れて来て、検査が徹底したために多くの不当事項が見付かる。勿論我々のほうは不正摘発のみを目的とするのでなくて、いろいろな役所におきましては、会計職員の素質が惡いために会計法規を知らんで、善意で法規違反をやつておる場合もある、やる虞れもあるという場合もありますからして、そういうものに対しては経理指導ということを不正摘発と併せて同じ重さでやつておるのでありますが、その意味におきまして、検査がだんだん徹底したから不当事項の発見が殖えて来ておるという点も勿論あると思つております。もつと我々のほうの職員の検査能力が殖えれば更に殖えるのじやないかと思つております。
それから第三の会計検査院の職員が検査に行く場合のまあ歓迎といいますか、接待と申しますか、この点私としても検査院の幹部の者皆非常に気を使つておる点でありまして、従来しばしば検査に行く先に対しまして、どうぞ接待等をしないようにということをお願いしておる、これは妙な話でありますが、こちらから言うのはどうかと思つたのでありますが、検査に行く職員の要望として、どうも自分たちだけじや言いにくいから、言つても効果がない場合が多いから、検査院としてのそういう意思表示をしてくれというので、事務総長名を以て各省の次官なり或いは地方の所属長にお願いをしておるわけであります。まあそういうことでできるだけやかましくしておるつもりでありますけれども、たまには不心得な者がありまして、実は辞職させた例もあるのであります。その点についてはこういう時勢でありまして、私としては一番心配しておる点でありまして、できるだけそういうことのないようにしておりますが、ただどういう方法をしたらいいかということが実はなかなかむずかしいのでありまして、結局職員の自覚といいますか、相手のほうでも検査員をそうこわがらないようにしてもらいたいということもあるのであります。惡い極端な例を申しますと、検査員の者が来た際に相手が便乗するということもないではないのでありまして、(笑声)なかなかこれはむずかしい問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/38
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039・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次にお尋ねいたしたいのは、主としてこの会計検査院の検査官が摘発されまする不当支出と申しますか、そういつた間違いであるとかいうのはどういうところで、契約の面が一番惡いのであるか、或いは支出の面においてなされておるか、この点について一つお伺いしたいと思いますが、どういう点が一番結果が間違いが起きておるか、この点を一つ今までの実績から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/39
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040・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) これはどの面が多いということは実は非常に言いにくいので非常に多岐に且つておりましてり、單に法規を知らない、この点は非常に遺憾でありますけれども、地方の職員等におきまして、会計法規を十分知らんという場合があるのであります。これは一つには勉強が足らんと言えばこれだけでありますが、会計法規が複雑であることと、ときどき変りまして、そういう関係で相手を責めるばかりでもいけないので、我々のほうとしても場合によりては、要求があれば講習に行つて教える、これは大蔵省の主計局のほうでもやつておられるようでありますが、或いは又会計検査院に集つてもらつて会計法規の講習をするとかいうふうに、相手の会計法規を知らんために起る場合と、知つていて起る場合、知つておつた場合には例えば売買、請負等におきまして不当に高い値段であつて、これは不正事件を伴う場合は別でありますけれども、不正事件を伴わない場合におきまして、十分の市場の物価等に対する研究が足りないという場合もあります。それから又組織的に申しますと、いわゆるチエック・システムが不十分である。一人の人がきめて一人の人が金を拂うというようなのが小さい役所では若干あるのであります。そういう点は少しチエツク・システムということをもう少し徹底すれば、形式でなしに実質的なチェック・システムズを徹底すれば抑えられのではないかということも考えられます。或いは一般的なことでありますが、金銭に対する観念が、従来金銭というものは賤しいものだという考えもありまして、金のことは、会計のことは下つぱに任せておく、上の者は知らん顔をして、而も上の人が責任者である場合でありますが、責任者であるにかかわらず、自分のやるべき仕事を下に任せて、その下の者に対する指導監督というものが不十分である。そういうために不正事件が発生している場合も相当あるのであります。従つてどういう場合に不正事故が多いかということは検査報告を御覧になるとわかりますが、あらゆる場合がありまして、どこが多いということはちよつと申しかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/40
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041・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そこで、今チエツク・システムの問題について院長触れられましたが、今度の会計法の改正に当りましては、二十五條を削除になりまして、小切手の認証といいますか、小切手認証制度を廃止いたしますことになつて、小切手はどうしても事故が起きやすい、又聞違い等も割合に起きるのが多いと思うのでありますが、この二十五條を削除することによりまして小切手認証制度を廃止する。これは小切手はそう事務の面から見ましても、小切手の認証くらい私は複雑じやないと思いますが、これを会計検査院長どうお考えになりますかという点を一つお聞きしたいと思います。
それからもう一つついでに、ほかのかたもあると思いますので私ばかりお聞きしては……、次に契約の面でございますが、契約も今度、今までの公開入札制度を相当これを強行しておる面が、強行し過ぎておる嫌いのある点を私考えるのでありますが、成るほど契約につきましては、指名競争入札も、それからいろいろ競争入札の場合には指名競争入札と一般の公開入札とのどちらがいいか、随意契約の必要な場合も又あると思うのでありますが、余りこれは固執してはまずいとは思いますが、併しむしろ今度の改正の大蔵省で意図しておるのは、小さいものを成るべく公開入札から外そうとするのですが、大きなものはむしろこれは指名競争に付するとか、或いは随意契約等によつて、それはどこの会社でなければならん、むしろ五大メーカーとか、三大メーカとか、或いは日本の一流メーカー、会社なんでありますが、そういうのにさす場合には大きなものがむしろこれは指名競争の必要があるのであつて、金額の少いものというようなものはむしろこれこそは公開入札にして一般の中小企業家の利用といいますか、これに納入する機会を与える、そうしてやつたならば、検査におきまして、納入検査におきましては私はむしろ簡略ではないかと、こう思うのです。この間提案理由の際に大蔵省から説明された方向とは逆に少額の場合はむしろ公開本位にして、手続はうるさいかも知れませんが、中小企業家の人が官庁へ長いこと入つておると、どうもよくない面が従来起きておりますので、そういう点からも一つこの契約制度については私の申上げたような方向に行くのがむしろ正しいのではないかと私は考えるのですが、この点の御意見を伺いたい。
次には昨日も大蔵省の担当官にもお伺いしたのでありますが、契約当事者であるところの物品納入者において、その他工事請負等の業者におきまして、いろいろ間違いを起した場合におきまして、或る年限を限りましてこれはこの公開入札の場合にしましても、指名競争入札の場合にいたしましても、随意契約にいたしましても、これに参加することができないというような、この際でございますので、二年間なら二年間は譴責処分というような恰好を法律的にこれを設けて、今の会計法の中に大臣が必要と認めた場合にはできるということになつておりますので、私も法律的に一つそういう枠をはめるべき必要があるのではないか、この改正の際でございますので、すべきではないかと私は考えるのでありますが、こういう点について院長はどうお考えになるか。これは又ほかの法律とのかかり合いもあるとも考えられるのですが、併しこれは別に民法、商法等にまで発展する問題ではないので、間違いを起してもそれらの出入を差止めるということは昔から原則はないので、それはできるのであるから、存外そうした今まで事故を起しておつてもすぐにその当時の担当者を更迭するくらいで平然として、依然としてその会社なり、業者なりが出入をしておるのを各官庁において見受けられますが、この点についての御意見を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/41
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042・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 今の御質問にちよつと誤解があるので、私から先にお答えして、院長にお願いしたいと思います。
二点ですが、今度の随意契約の話はこれは従来から政令できめてある。それで随意契約の範囲を擴大しますには、法律の改正を要しませんので、政令に更に「場合」を追加すればそれでできるわけであります。今回のは実は事務の手続を簡単にするために随意契約なり指名競争入札をする場合に大蔵大臣に一々協議を要することになつておるので、その協議を金額の少いもの、そのほかの場合に協議を略することができるようにしたいというのでございまして、随意契約そのものの範囲を法律において擴大するという趣旨の改正でございませんので、その点をちよつと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/42
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043・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私も御説明に関連して……だからして私のほうはむしろ随意契約とか、指名競争入札はむしろ少額のやつは今はそれを認めているのです。そこで金額の少いようなもの、それから雑品類とか、そういうようなものはむしろ公開を原則にして、大きいものとか、相当大規模なものは、小さいものがそれを請負つたのでは、逆に大きな所え行つてしもうというようなきらいがあるので、そういう点をむしろ逆にするのがいいのじやないかと、こういうことについての院長の御見解を求めたわけであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/43
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044・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 小切手の認証の問題でありますが、小切手の認証というものは今度の法律で制度上廃止することになつております。実際問題として現在やつておらんので中止しているのであります。と申しますのは、小切手認証というのは本当の形式になりまして意味ないということなんだそうです。我々のほうでもそういたしますというと、例えば地方におきましては財務局が小切手の認証をやつている。そこで遠くから財務局まで持つて行かなければやつてもらえない。非常に時間がかかる。一遍にたくさん持つて行くので財務局では形式的に一遍にやつてしまう。形式的な制度に流れるので、ただ判を押すだけだということになつているから、そういうふうな意味の小切手認証は意味がない。だからこれはよすのだということは差支えないと思います。だから小切手について予算執行職員等の責任に関する法律等で小切手の取扱については嚴重な制度にきめたのでありますが、そちらのほうを励行すればよいのであつて、今度の改正による認証の廃止というものは差支えないかと思つております。
それから契約についての問題でありますが、これはなかなか実は我々のほうとしても現在の制度がいいのか惡いのか、批判の余地が相当あると思つております。というのは、政府の契約というものは役人の汚職と申しますか、そういうふうな弊害を防止するということが非常に重点に掲げられておりますので、本当の経済効果と申しますか、そういう見地から現在の制度がいいかというと非常に疑問がある。と申しますのは、契約する場合には競争契約が原則でありますが、競争する場合にはときに資格制限をするところはございますけれども、要するに安いものと契約する。ところが俗にいう安かろう惡かろうということもあるのでありまして、安い契約をするために契約の相手方が完全な履行をしないで途中で逃げてしまうというような場合もありまして、勿論これは手を抜く場合にはこれを十分監督し、又逃げる場合にはその措置を講ずるということが完全に行われればいいのでありますが、なかなか監督というものも十分に行われない場合もある。單に安ければよいというような行き方がよいかどうかということは、立法論として国会等においては十分お考えになつてよい問題じやないかと思つております。現に進駐軍でやつておるところを見ますと、必ずしも一番安いものを入れてはおらない。やはり信用その他というものを相当加味して契約を結んでおるようであります。併しながらこれをやると相当裁量の余地ができますから、弊害の起る余地もある。だからどちらがよいかということはなかなかむずかしい問題であります。
それかから契約の履行が不十分なものを将来永久に或いは一定期限契約に参加させないという問題、これは必要なことでありまして、行政上行われておるのでありますが、法律上更にこれを明確にするかどうかという問題は、立法の條件等が明確にできるならば法に規定しても差支ないと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/44
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045・小林政夫
○小林政夫君 継続費は利点もあるし、認めてもよいが、適当な調整を加えればよいという御意見でありますが、具体的に会計検査院長としては継続費を認めるとして、どういうような調整を加えるというお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/45
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046・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) どうもそこまで行くと、検査院として申上げるのはどうかと思いますが、最近ちよつと場所は忘れましたが、こういう例がございました。二年余りかかる仕事だつたそうでありますが、第一年度では予算ができた。そこでそれに基いて工事をした。これはケーソンを埋める工中事だつたそうであります。ところが翌年度はどういう行違いか予算が取れなかつた。だからそのまま工事を放つたらかしたので、ケーソンは流された。第三年度は予算が取れた。そういうわけで仕事の仕戻りがありまして、これは極端な場合ですが、そういう場合もありますので、そういう場合には継続費があつたならば、もつと効率的に仕事ができたのじやないかと思います。ただ継締費というものは先ほども申しました通り、いろいろ経費の効率とか或いは能率的に仕事をやつて行くという点において十分な注意をやつて行かないと濫に流れる。毎会計年度ごとにやつて行くというのは例外でありますのでよほどの必要がないとやらないほうがよい、そういうわけでありまして、継続費についてどういうふうにしろということを言われても、ちよつと会計検査院としては申上げることは困難かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/46
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047・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それに関連して……、その点について新らしい十四條の二に、「国は、工事、製造その他の事業で、」と、こういうふうに殆んど広範囲のように表現がなつておるのであります。従つてこの法律の運用に当りましては、各省、各庁におきましては十分継続費というものは便利なものだということろから、製造等におきましてもつこれを使うということになりますと、これは濫用の虞れがある。今も御説明を聞いてみますと、農林省にしましても、建設省の御説明を聞いても、土木工事、国土の総合開発、それからもう一つは災害復旧、この程度で最初は出発すべきであつて、この製造その他の事業というものですが、まあ私が考えるのですが、製造事業等におきまして数年度に亘つて完成を要するというような製造といつたものは、これは極く稀な電気の大きな機械とか、原子力を活用する機械というようなものになれば或いはそういうこともありますが、今の日本においてはちよつと想像もされません。昔のように建艦計画というような場合が一応想像されますが、今の日本にそういうことは想像されませんので、むしろこれは国土開発、或いは災害復旧工事でその完成に数年度を要する、こういうようなものから先ず出発するのがいいのじやないかと思う。私はどうもその点だけが一番気になるわけでありますが、会計検査院はこれは将来におきまして、製造とかこういう広範囲にしておきますと、各省とも今のように便利であるからというので、相当これは濫用もするようになると私は憤れるわけでありますが、検査院長の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/47
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048・小林政夫
○小林政夫君 私も同じようなことを言おうと思つたのですが、今の会計検査院長も我々も同じ気持だろうと思う。これは継続費を認めることによつて利点もあるが、その弊害が恐しい。この弊害を何とかはつきり除去する方法があれば認めてもいいのじやないか、こういう気持もあるわけであります。この弊害を除くのに今の十四條の二の「その他の事業」というのに何でも使えるという菊川さんと同じことですけれども、それから国庫債務負担行為については三会計年度、併し特別な事情で国会の議決によつてそれが延ばすことができるというふうになつております。数年度ということになりますと、十年も、極端に言えば三十年も継続費が認められるということになる。そういう点について一定の年度、最高限度の年度を少くとも置く必要があるというふうな、これは具体的におつしやらないので、私どものほうから問題を指摘して御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/48
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049・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) この法律案がどういう趣旨でできておるかということを実は政府当局、殊に大蔵省から直接聞いておりませんので、これに対して私の意見を言うことはどうかと思うのでありますが、まあ一般的に考えまして、政府当局、行政部局といたしましては、製造とやつておいて、そうして運用で適当にやつて行くというのが便利であります。併しながらこれは又一方におきましていろいろな弊害も起るのでありますが、これらの点は私の意見を求められるよりは、国会の皆さんが十分御審議になるほうがいいのじやないかと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/49
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050・小林政夫
○小林政夫君 いや審議の参考にしたいのです。今具体的な意見を言われぬというのですけれども、会計検査院長としては別に政府と同一歩調をおとりにならなくたつていいと思う。独立の機関たし、率直に検査の経過に基いて御意見をお聞かせ願いたいと思います。今の二つの点、それから私が先ほど言つた彼此流用の点等から言つて一つはつきり御見解を披瀝願いたいのですが……、その他の学者等の御意見も聞くことになつておるのです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/50
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051・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) どうも学者的な意見なら別でありますが、どうも検査院というものは政府から独立しておるのでありまして、政府の会計経理につきましては批判いたします。併しながら政府が如何なる政策をとるかということについては、政府の意見を十分聞かないというと、まあ軽々しくと申しては失礼かも知れませんが、ちよつと批評が実はむずかしいのであります。そういう立場ですから御了承願いたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/51
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052・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは会計検査院長、政府から独立している、そこにこそ会計検査院の重要性がある。何故独立したかと言えば、御承知のように今度新憲法で財政法を作り、いわゆる予算財政制度の民主化というものに非常に重点を置いたわけですから、その点でその会計検査を嚴正にするという面、それからいろいろな汚職、そういう間違いのないような、弊害を少くする面も重要ですが、この予算の民主化という予算制度のそういう面からは会計検査院長としては一見識を持たなければならないと思うのですよ。そういうものと、この事業の便利になることは明らかですから、便利ということと、予算の民主化ということと権衡の問題なんですね。そういうような観点からこういうことを建前を崩すことが予算の民主化という制度、又会計検査院を強化した、そういう趣旨と照し合せて会計検査院長としてはどうお考えか、それが一つ。それからもう一つは、これは旧憲法の資料を頂いたのですが、予算が不成立になつた場合継続費を認めた場合、今度の予算制度はそれはどうなるか、予算不成立になつた場合継続費というものを一旦きめた場合です。承認した場合です、どうなるか。それから今後は継続費を認めた場合年割額を、毎年年割額というものが国会に出して承認しなければならないものかどうか。旧憲法ではそうしなくてもいいというわけなんですね。それから予算不成立のときにも旧憲法では継続費は新たに筋質を要しないことになつておるのですが、今度の建前はどうなるものか。この三点お伺いしておきたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/52
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053・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 検査院は政府から独立するということは、結局検査をする場合にいわゆる国民のために我々は検査しているのであつて、何もそのときの政府の都合のいいような検査はしないのでありまして、現に我我のはうで政府のやつたことについて閣議決定が違法であるという批難をしたこともあります。そういう意味において独立でありますが、将来の制度を作るについてとやかく批評するのは一体どういうものか、私実は迷つているのでありますが、結局継続費についていい点もあり、惡い点もあるからして、そのいい点だけが留まるような立法をすればいい、抽象的になりますが、それから継続費ができた場合に、予算不成立の場合どうなるかという問題は、実は非常にむずかしい問題で十分研究しておりませんので、ちよつと申上げかねます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/53
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054・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは御答弁はこれ以上は議論になるからですけれども、どうも会計検査院長のお考えはこの新憲法における財政法、会計法というものとの考え方が、私はやはりさつき佐藤さんおつしやつたように安易じやないか。この歴史をずつとお調べになればわかるんです。この予算の民主化というものはこのコランス革命以来の大きな問題なんです。これは折角日本が敗戰の結果こういう予算の民主化というものが全体の民主化の一つの中核として出て来ているのであつて、会計検査院としてもそういう毎度から、事務的ないろいろな汚職を起すか起さないとかいう問題も重要ですけれども、もつと高い一つの点にあると思うんですよ。そういう大きい見地からやはり会計検査というそういう経済の民主化の非常に重要な一つの点に立つている、そういう立場からやはり絶えず批難なり警告なり、そういうものをなさるべきじやないかと思うんです。余りに地位を軽んぜられてはいけないのじやないかと思う。ただ技術的にまだ将来の制度についてどうこうということは、それは政策については違いますが、制度についてはやはり見識をお持ちになつてこれは警告を発するなり、御意見を発表するなりしてこれは然るべきじやないかと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/54
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055・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 予算というものがいわゆる民主化しないというお話でありますが、御尤もでありまして、我々は決算の面から逆に次の決算が民主化されるように予算がどういうふうに使われているか、どういうふうな不正がある、国民がどういう点を注意しなければならんか、そういう意味におきまして予算の民主化に一役を買うということはやつているのでありますが、新しい制度を作るときにどうこうという問題は実は非常にむずかしい問題で、現に会計検査院立法におきましても、現在の制度はどういうふうに実はやられているか、その運用如何によつては面白くない点を生じますので、それが運用の欠点であるか、制度の欠点であるかという問題になります。制度の欠点であるならば立法その他の手段によりまして制度を改善するように、勿論この運用が惡いならば運用を改善するように改善意見というものを政府に出す権限を認められ、又これを実行しているのであります。だけれども、新たなる制度を作る場合に検査院から積極的に意見を言うということは現在の制度としては、立法論は別でありますが、現在の制度としては認められておらんのじやないか、そういう意味でありまして、こういう席で申上げることはどうかと思つて、個人的の意見は別でありますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/55
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056・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そこで今の会計検査院長のお話下さいました中で認証……今運用がうまく行つておらん、運用について我々としては運用がうまく行くように示唆を与える、注告を与える、こういうことを申されましたのですが、そうすると今までの認証は全部盲判である、大して効果はない、これは運用の問題だと思う、うまく行つておらんからやめちまおうということになりますと、盲判云々ということになりますと、これは官庁に行きますと、局長クラスになりますと殆んど盲判である。大臣にいたしましても、率直に申上げますが、どこの局へ行つても局長あたりは一々計算書の附いている厖大なものが参りましても、そんなそろばんを彈いているものはございません。これは盲判を押している、皆そうであります。たまにちよつと気が向いたときに質問するくらいで、これは率直に私どもも言い得るのでありまして、これは会計検査院長もお認めになるだろうと思う。であるならば、そういう制度も盲判で一切廃止するということになつてしまうと、論理の飛躍になるんじやないか。むしろそうして盲判であつたならば、こういう際に盲判でないようにするためにはどうするか、たとえそうするために公務員が少し必要といたしましても、それによつて国費が不正、不正と申しますか、適正に使用されていないとするならば、プラス・マイナス公務員を少し使つてもむしろ適正に使用されるようにして行くのが私は必要でないか。会計検査院は政府の話に同調されて、認証制度のごときは盲判だというふうに、ここで大して効果はないというようなお話が今あつたわけでございますが、私はこれは大きな問題だと思いますので、その運用をうまくやらせて行つたらいいという今の御発言からはちよつと納得できないので、その点について一つお伺いしたい。
その次にもう一つだけお伺いしたいのですが、財政法の三十條の暫定予算についてでございますが、これはまあ将来もこういうことは、特に来年度あたりはひよつとすると暫定予算ということにならざるを得ないのじやないかと思います。これは今後も起き得ることだと思いますが、その場合に継続費を一体どういうふうに処理するのであるか、これは、やはり暫定予算の中にも継続費は盛られるものかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/56
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057・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 先ほどの認証等のシステムの問題でありますが、私の言い方が足りなかつたかと思いますが、現在の如何なる場合でも一率に認証をやつて行くというのでは余り仕事も多過ぎるし、結局形式に流れてしまう。ところが今回の制度におきましては或る程度の制限をして各省各庁の長が必要の限度においてやつて行くということになりますと、いわゆる重点的に認証が行われる。そうなれば認証というものは有効に行われると思つております。そういう意味におきまして、形式的に常にしなければならん、而もその実情たるや盲判だ、こういう制度よりは今回の制度のほうがいいのじやないか。
それから暫定予算と継続費の問題、これはむしろ大蔵当局の問題でありますから、大蔵当局からお答えがあると思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/57
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058・木村禧八郎
○木村禧八郎君 さつきの不成立の場合と年度割の場合も併せて一つ……、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/58
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059・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 只今の問題は新らしい制度でどうするかの問題でございますので、私のほうからお答えいたします。継続費の制度につきまして来年度の予算が不成立になつた場合にどうするか。これは実は旧憲法のごとくいわゆる執行予算の制度がございません。成立いたしませんときには暫定予算ができ上るまでは全然如何ともなしがたいという現行の予算制度になつております。併しながらもとより理論的には一日も予算の不成立のままで置くということは現在の国家活動の上から言つてできないことでありますからして、運営上はそこにギャップが生ずるということはよほどの場合でない限りはないという前提で現在の財政制度全体が仕組まれておるわけでありまして、それで私どもの考えといたしまして、そういう場合に或いは国の予算、即ち尤も緊急を要する人件費その他のものまで一切の予算がやめられてしまう場合があるかと申しますと、殆んどよほどの場合でなければあり得ない。予算が全然ない場合を考えますと、その場合に人件費は一切やめられております。継続費だけがひとり生きるかどうかということは立法論としては非常に問題があると思います。それで私どものとりました立場は、継続費は理論的にはすでに当初において議決を経ております。而してその総体の議決を経ました予算総額というものは直ちに各省に内閣がこれを配付いたします。それで内閣の予算の執行の見地から申しますと、国会で以て予算が議決されましただけでは直ちにいわゆる各省の係官が当日然にはこれを使うことができません。成立いたしました予算を内閣が一遍各省大臣に配付するという財政法上の形式的手続が先ずございまして、然るのちに使える段階になるのでございます。それで継続費につきましては当初の年度に総体の予算についての配付がございまするが、併しながらその年割額につきましては今度は更に毎年度配付をいたすという仕組にいたしております。それで総体の額についての配付がございますので、契約は勿論予算が不成立の場合にもやることができるというふうに考えておるわけでございます。ただ支出につきましては、万一予算が不成立の場合には年割についての配付行為そのものが今の財政法の仕組ではできないわけでございます。従つてその配付ができない限りにおいては支出を暫らく繰延べる、即ち支出が当分はできない、予算の成立を待ちまして、そうして配付をする、こういうふうな考え方をとつて実は今回は立案してございます。これは考え方でございまして、あらゆる継続費以外の経費は、たとえすべて不成立の結果使用できなくても、継続費だけは一遍議決があるのだから、継続費だけはそれに係わりなく支出できるような措置をとるということも立法的には可能でございますが、それでは少し行過ぎではないかという建前で、手続の規定が問題になるのですが、そういう手続規定をおいておりません。従つて現在のままの手続規定ではその間支出だけはできない。契約はできても……というふうになつております。それで結局その際には他の予算と同様に暫定予算に継続費を組む、これは一面暫定予算をおいた趣旨から言いましても適当であろうかと思つております。ただその際に継続費の年割額全部を暫定予算に組むか、それとも他の部分と同様に三カ月なり二カ月なりのいわゆる暫定的な部分だけを組むかという点は、実は私どもまあ今度新たにそういう事態がまだ起つて参りませんから、何とも申上げかねるのでありますが、実は本当を申しますと研究中でございます。これはまあ予算の編成をどうするということにかかわつて来ますので、もう少し検討をいたしたい。継続費の性質から言いまして、他の人件費や事務費のような機械的に十二分の三、或いは十二分の二を計上するというわけには行かないかと思いますが、併し暫定予算に継続費の年割額全額を組むということは必ずしも必要でないのじやないかというふうに考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/59
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060・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 如何でしようか、大分時間も……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/60
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061・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう一点。今の佐藤さんの説明だと、農林省や建設省の御説明になりました例の事業を途中でやめる云々と暫定予算の場合とは何らかの規定を設けておかなければ、工事の問題は非常にむずかしくなつて来るだろう、今研究中だということになりますと、これは一つどういう処置をするかということは早急に、通すに当りましても、一応大蔵省の見解を説明してもらわなければ、ちよつと無理だと思います。
それから次に、大蔵省には明日でもゆつくりお尋ねできるので、会計検査院にお尋ねしたいが、財政法の二十七條に十二月中に国会に提出するのを常例とするということになつておるのでありますが、なかなかこれはその常例が殆んどもう、むしろそれに提出されるのは異例になつておるようなわけですが、これはできないものであるならば、法律上常例とするというような例をいつも犯していいというなら、この際になぜできない、十二月中に殆んど提出された例は少いのじやないのですか、実際問題として……、それで立法に常例と言うよりも、改正の際にできないものならば成る程度の幅を持たせるように一つ改正するのが私はいいのじやないか、会計検査院長としてはそういうのはどうかと申しますが、財政法の運用という面からも私は重要な問題だと思いますので、この点について一つ会計検査院に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/61
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062・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 予算の提出につきましては、これは従来からいろいろ問題がありまして、従来からいわゆる休会明けに出すというのが慣例のようであります。だからその慣例が成文上に疑問なんでありますけれども、それでずつと来ているから、特に今度も法律上言わないのだと思いますが、それはまあ実際できないことはやらんというなら、これを直せばこの上ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/62
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063・小林政夫
○小林政夫君 特に四十條のほうがむしろ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/63
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064・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 前の問題をちよつとお答えいたします。おつしやる点よくわかつております。問題は予算が不成立になるというようなことは、まあいわゆるつまり暫定予算もないというようなことは、従つて例えば何カ日かの間全然予算がないというような場合は、先ず実際問題としてめつたに起らないということで私のほうは考えておりますが、一般の場合にはこの支出の手続を年度の以前に全部継続費の場合には用意いたすことができるようになつておりますからして、先ほどお話がありましたように、改めて新らしい年度になつてから支拂計画等をするというような手続が非常に実際問題として早く運びます。普通の場合におきましては只今のような御心配は起らないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/64
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065・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますると、今の会計検査院長のお話では法律を改正すればいいと言うのだが、十三月上旬には国会の常会を召集することになつております。従つて十二月中には少くとも予算を提出をせいということになつているのですが、これは先ほどから木林君が繰返して言われておりますように、予算民主化といいますか、できるだけ国会の会期中に慎重なる審議期間を設けるというのが財政法の建前だと私は思うのでありますが、それが休会明けとか、ずるずるとこう延ばしてしまうということになりますと、むしろ予算民主化というのと逆行することになるのでありまして、むしろ改正するといたしましても、この「常例とする。」のじやなしに、しなければならないとするか、何らかのこれは予算の民主化という点から行きますと、私は必要があるのじやないか。これを三月までに出せというようなことに改正してしまうと、これは非常なことになりますので、むしろこれは殆んど実行されないし、あと一月の下旬くらいに出されて参りますと、三月三十一日までにどうしても通さなければならない。そうなりますと審議期間が非常に短縮されることになりますので、この点については私は大きな問題だと思いますので、これは再度法律を改正すればいいんだとかいう簡単な御説明じやなしに、御意見を伺いたいと思います。これは会計検査院としても検査ということであるが、これは予算成立の審議とそれの執行検査ということと私は重大な関連があると思すまので、この際財政法改正の機会でもございますので、一つお伺いしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/65
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066・小林政夫
○小林政夫君 併せてその検査報告については第四十條について同様なことが言われます。それも併せて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/66
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067・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 先ほどの予算の提出問題でありますが、その問題は私のほうから見ますというと、予算が実際問題として年度末に成立する。そこで予算の配付というものがいろいろな手続もあるのでありましようが、非常に遅いのです。そのために殊に寒い所なんかは四月、五月、六月といつたら事業をするのに一番いい時期である。ところがその時期に配付が遅れるから、従つて予算の配付が下半期になる。もう寒くなつて凍つてしまう。そういうときに予算が配付される場合が非常に多いので工事の能率が非常に惡い。結局非常に不経済な工事をしておる。ですから一日も早く予算を配付するようにということを関係省に勧告しております。幸い関係省におきましても、北海道その他寒い地域には予算の配付は比較的この頃早くなりまして、工事も大分便利だということが言われますけれども、とにかく検査に行つた者の話を聞きますと、現地の者は非常にこぼしております。それでありますからして、むしろその現地から言えば予算をもつと早く出して、そうしてもつと早く議決して頂いて、年度初めから予算がどんどん実際上使えるようにできれば更にいいんじやないかと思つております。だけれども、実際上の問題として国会の常会の初めに出せない、それが仮に不可能であるというならば、やはり制度上変えなければならんが、併しながら予算の執行という面から言えばどうしても常会の初めに出してもらつて早く予算を配付して、会計年度を変えれば別でありますが、これはなかなかむずかしいというので現在の会計年度で行く限り、やはりいい時期に工事等が早くできるようにという意味において予算の成立を早くする。そのためには予算の提出を早くする、法規通りにやるというほうが私の立場としては望ましいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/67
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068・小林政夫
○小林政夫君 第四十條は実際問題として実行されておらないのですが、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/68
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069・佐藤基
○会計検査院長(佐藤基君) 検査報告は今までの例は大体一月、恐らくそのくらいになると思いますが、一月頃我我の手を離れまして内閣に行き、内閣から国会に提出されるのは一月の下旬又は二月の上旬かと思つております。私のほうといたしましては、政府から決算を送つて来るのが十一月の末になりますので、この確定した決算に対しましていろいろな意見を付けるというのでどうしても一月になるのでありまして、又決算委員会の審議を見ましても、今のところ別に支障はないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/69
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070・野溝勝
○野溝勝君 会計検査院長に一つだけ要望をしておきます。先ほど木村委員が言われたように検査院長は検査院法に基いて一つ力強くやつて頂きたいのです。今の財政法の第二十七條の適用などの問題に対する見解は、あなた自身は死文と心得ておると私は思います。こういう点ははつきりやはりあなたが強く打出してもらわんと、やはり法治国は実際混乱します。しつかりやつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/70
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071・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 大分時間も経過したようでございますので、本日の質疑はこの程度にいたしまして散会いたします。
午後一時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00319511213/71
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