1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年一月三十一日(木曜日)
午前十時四十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
菊川 孝夫君
木内 四郎君
委員
岡崎 真一君
黒田 英雄君
西川甚五郎君
小林 政夫君
大野 幸一君
下條 恭兵君
波多野 鼎君
菊田 七平君
油井賢太郎君
森 八三一君
木村禧八郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
政府委員
大蔵政務次官 西村 直己君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主計局法
規課長 佐藤 一郎君
大蔵省管財局閉
鎖機関第二課長 堀口 定義君
閉鎖機関整理委
員会委員長 岩坪 友至君
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本日の会議に付した事件
○閉鎖機関整理方針及び整理状況に関
する件
○財政法、会計法等の財政関係法律の
一部を改正する等の法律案(内閣提
出、衆議院送付)(第十二回国会継
続)
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001・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは第九回の大蔵委員会を開会いたします。
閉鎖機関の整理方針並びに整理状況に関する説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/1
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002・岩坪友至
○説明員(岩坪友至君) 閉鎖機関整理委員会の委員長でございますが、閉鎖機関の整理状況について簡單に御説明申上げます。
前置きといたしまして簡單に述べておきたいと思いますが、閉鎖機関整理委員会は、昭和二十年九月以降連合軍最高司令官の要求によりまして、戰時中に外地で活動した特殊会社、金融機関並びに国内における戰時統制機関等、千八十八の機関が閉鎖機関に指定されましたのでありますが、そのうち私のほうの閉鎖機関整理委員会で清算を担当しておるものが千八十五でございます。この本年一月末における清算の進捗状況は、大体次の通りになつております。清算の結了したもの、これは大蔵省に申請中のものを含むのでありますが、五百六十四機関、最終処理段階にある機関数二百四十一、右以外の清算中の機関数が二百八十、以上合計千八十五でございます。それから太平木材、日本出版配給、全国金融統制会、これは別個に清算しておりまして、それぞれ特殊清算人がその清算を担当しております。
右のうち清算の未だ結了しない五百二十一機関を類別して見ますと、(イ)、朝鮮銀行、台湾銀行そのほか満鉄、横浜正金等、主な活動地域が外地にあつたもの五十三機関。(ロ)、産業設備営団、公益営団等、單行法で設立されたもので、政府の出資を受けておるもの、こういう特殊法人の数十九機関。右以外の一般法人、これは東京の本所で所管しておるもの三百六十機関、大阪の支所で所管しておるもの八十九機関、こういうふうになつておりまして、各類別ごとの清算進捗状況、これは昨年十一月末現在でありますが、その大要は次の通りであります。(イ)の在外活動機関、つまり五十三機関の総合勘定であります。資産の部、債券勘定二十七億、有価証券九十二億、有体資産七百万円、預金及び現金四十九億円、これはバランス・シートの上に載つておりますが、換価不能の資産というものがあります。それが千五十億円。負債の部を申上げますと、債務勘定二百六十八億円、外地関係において八百六十四億円、資本金十三億円、閉鎖前の剰余金四十九億円、閉鎖後の利益二十六億円、合計しまして千二百二十億円、こういう概数になつております。(ロ)の特殊法人十九機関でありますが、この資金の部、債権勘定二十五億円、有価証券三億七千万円、有体資産一億九千万円、預金及び現金四十億円……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/2
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003・木内四郎
○木内四郎君 何か表みたいなものを、手許に配つて頂けるものはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/3
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004・岩坪友至
○説明員(岩坪友至君) 時間がありませんので表には拵えておりませんが、あとで又御説明申上げます。
それから清算の進捗状況の総括的な概況を申上げますと、換価すべき資産総額、これは閉鎖時の合計でありますが、これが九百七十九億円、それが十一月三十日現在では百五十八億円、換価済資産の合計が八百二十億円、換価額が十一月三十日現在で八百七十八億円、それから債務のほうに移りまして、支払うべき債務総額が千二百五十四億円、十一月三十日現在が四百七億円、支払済の合計が十一月三十日までに八百四十七億円、清算に要した費用が十一月三十日までに五十八億円、こういうふうになつております。以上の割合を申上げますと、換価すべき資産に対する換価済資産の比率は八三%、換価資産に対する換価額の比率が一〇六%、支払うべき債務に対する支払済額が六七%、換価額及び支払済額に対する清算費の割合が三・三九%、こういうふうになつております。以上が概況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/4
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005・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕
〔委員長退席、理事大矢半次郎君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/5
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006・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。閉鎖機関について御質問のあるかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/6
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007・小林政夫
○小林政夫君 只今概略の説明を承わつたわけでありますが、非常に厖大な資産を扱つておられるので、この整理の状況についてもう少し具体的に聞きたいと思いますので、資料として、千八十五閉鎖機関に指定されておるわけでありますが、只今読み上げた総括的数字のほかに、各閉鎖機関別にその状況のわかる資料を御提出頂きたいと思います。その要求が先ず第一、そうしてこの整理の方法でありますが、各閉鎖機関に指定された機関別にいろいろやつておられると思いますが、その清算をした結果、剰余が出た、或いは欠損であるというようなものについての機関ごとの取扱はどうなるのか。いろいろ閉鎖機関に指定された種類によつて全額国庫出資の機関もございましようし、民間資本によつて全額が民間人の出資のものもある、こういうものについておのずから取扱が別だと思いますが、特に旧統制会社等が閉鎖機関に指定されておつて、それを清算結了をして剰余金があるというような場合の返還等について、旧来の株主等について十分な株主権を行使できるような措置が取られておるかどうか。先ずその点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/7
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008・堀口定義
○説明員(堀口定義君) 只今小林委員の御質問の資料の問題でありますが、これにつきましては大蔵省の閉鎖機関課のほうで、閉鎖機関の特殊清算の進捗の概略と、それからさつき岩坪委員長から説明のありました全体の資産、負債の整理の内容、それから閉鎖機関の全部の名簿及びその中から清算の結了したものというような三つの資料を今準備しておりますので、印刷のでき次第差上げたいと思います。
それから一つ一つの閉鎖機関についての内容でございますが、これにつきましては閉鎖機関名簿だけでも一千八十八ということになりますと相当厖大なものになりまして、
〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕
その中のバランス・シートを作るということになりますと、非常に厖大な資料になります。それで一覧表は作つて差上げたいと思いますが、内部の個個のバランス・シートにつきまして御要求がありますれば、それだけはいつでも差上げるようにしたらどうか、そういうふうに一応考えております。
それから第二に整理の具体的な問題でありますが、清算方法といたしましては通常の商法、解散した会社の清算の方式と大体同じでございます。ただそれを制約しておりますのは外国関係の資産、負債があるもの等につきまして、通常の商法の規定では不備でありまして、清算ができないというようなものもありますし、それから急速に公正に、非常に多くの清算をやるために株主権その他の行使を制限している点もあります。それらの点を除きましては、通常の商法上の清算と変つておりません。内容から申しますと、土地とか建物とか、そういう所有物件は全部処分し、それから債権は取立てまして、それによつて負債を先ず弁済する。それで若し剰余がありますれば社債を弁済し、株主に分配する。こういうような通常の清算の通りであります。そこでさつき御質問になりましたように、特殊法人、この特別法によつて設立されたもの及び統制機関等につきましても、やはり組合は組合としての出資者の権利がありますし、法人は法人としてやはり株主権を有する株主がおりまするから、それらの取扱は通常の商法の清算法人と同じように、平等に公正に残余財産を分配する。そこで法人格をなくしまして清算を終了する、そういうような順序になつております。
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009・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと閉鎖機関のほうは質問を一時中止します。
それでは大臣が来られましたから財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案、これについての質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/9
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010・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この財政法、会計法等の財政関係法律の一部を改正する等の法律案の中心が、やはり何と申しましても議論の中心になるのは継続費の問題であると思いますので、継続費の新設の問題だと考えますので、先ず継続費を中心にして大蔵大臣としての政府の所見を一つお伺いしたいと思います。
第一番に憲法と継続費の関係について伺いたいと思いますが、帝国憲法、旧憲法には継続費に関する明文があつたのでありますが、新憲法にはそれがございません。そして新憲法の施行以来財政法にも継続費の規定はございませんし、予算上にも今日まで継続費を設けなかつたのであります。それは予算制度の例外でありますこの継続費は、過去において軍部或いは官僚によつて濫用せられたので、その弊害を除こうといういわゆる予算民主化の線にあつたものと思われるのでありますが、帝国議会におきまする憲法改正の特別委員会の速記録を見ましても、憲法学者の間にも、憲法にこの規定を設けずに財政法、会計法等で処理するということは、憲法違反であるというような論議も、佐々木博士とそれから金森国務大臣との質疑応答の中にも、見解を異にしております。で旧憲法当時の継続費と同じ形の継続費を認めるものであるという確乎たる議論がその中にもないのでありますが、むしろ疑義を残して、そのままになつておるように考えるのであります。で政府は新憲法の下におきましても旧憲法時代と同じような形の継続費を設けることができるというふうに考えているようでありますが、先ずその根拠を一つお伺いしたいと思うのでありますが、特に憲法の八十六條を読んで見ますると……、この関連につきまして一つはつきりと御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/10
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011・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。憲法八十五條がこの予算の実体を規定しておる規定でございまして、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」、こう書いてございます。で、継続費ということにつきましては何ら規定していないのであります。で、問題はその次の手続規定をきめておりまする八十六條の「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」、こうなつておるので「毎会計年度の予算を作成し、」ということになるから、継続費はこの八十六條の違反ではないかという議論があることは私も承知いたしておるのであります。旧憲法との関係におきまして、継続費の規定があつたのがなくなつたから、新憲法下においては継続費というものはやらないんだ、こう断定するわけには行かんと思います。八十五條、八十六條はそこまで言つておるのではないと考えます。旧憲法時代におきましても、予算外契約というふうなことがございまして、今回はそういうものはございませんが、八十五條の規定によりまして債務負担行為ということを財政法で新たに規定しておる場合もあるのであります。而して毎会計年度というのは原則をきめておるのでございます。原則として一年を会計年度としてやる。併し必ずしも一年に限つていないと私は思うのであります。即ち繰越明許の規定もございまして、翌年度へ繰越すということもあります。又、債務負担行為につきましても三年間を通じていたしまして、後年度に亘る債務負担行為ができる。こういうことから考えますると、規定上継続費を財政法に設けましても憲法違反では私はないと考えるのであります。又実際上の問題から申しまして、大きい工事をいたします場合には、経済的に継続費を設けたほうが便利がいい、こういうこともありますので、私は従来経済の安定していなかつたときには継続費ということは考えられなかつたのでありまするが、今回継続費を第一に規定いたしまして、予算上継続費の御審議を願いたいというので、財政法の一部改正を提案しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/11
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012・木村禧八郎
○木村禧八郎君 菊川君の質問に関連しておるのですが、菊川君の聞くのは、そういう質問じやないと私は思うのです。継続費自体を菊川君は否定して質問しておるのじやないと思うのです。勿論、継続費は、産業が発達し、経済も発展して、それで長期的な財政投資が必要になつて来るのですから、継続費自体を否定するということは野暮ですし、又近代的な経済を解しないと思うのです。菊川君の質問はそうじやなく、予算として継続費を認めることは憲法違反ではないか。大蔵大臣は債務負担行為を挙げましたが、債務負担行為と継続費とはまるで違いまして、債務負担行為、これは政府の契約であつて歳出の予算と違います。債務負担行為と歳出との違いは、債務負担行為は政府に支出の責任がないのです。債務負担行為において支出する場合は国会の議決を経て、そうして歳出の予算として初めてできるのであります。併しながら大蔵大臣は、債務負担行為を認めておるから、継続費もできるようなことを言つておるのですが、このことは継続費の規定がないので、止むを得ず債務負担行為でこれを糊塗しておつた。それから繰越につきましても、これは飽くまでも変則でありまして、本来ならばその年度内に使うのが原則なんですが、止むを得ないから繰越ということを認めておるので、だから継続費を認めておる……。併し継続費の精神と全く私は違うと思うのです。問題は、予算として継続費を認めることは八十六條の違反ではないか。私は違反だと思う。八十六條は認めていない。若し認めるのならば財政法に継続費を新らしく規定する必要がないのです。それじや継続費は何であるか。イギリス、フランスでは継続費は認めておりません。おりませんけれども、單独の法律を制定して、それに基いてその別の財源を……。例えば財源に合同資金設定費というものを設けて、そこで処理しておる。予算は飽くまでも年次制でなければならんと思う。年次制がこの予算の建前でなければならん。殊に予算の民主化、財政の民主化、この根本精神は年次制であります。八十六條はそれを規定しておる。この年次制と長期予算との矛盾をどうして解決するか。そこでイギリス、フランスでは苦心の結果、單独法によつてやるということになつたのであります。予算の年次制というものは飽くまで私は貫かなければならない。憲法第八十六條は、菊川君も言われたように、これまでの継続費の弊害に鑑みて、歳出の予算としての継続費は禁止しているものと解すべきだ。大蔵大臣の御答弁によると、そうでなければ継続費事業はできないかのごとく答弁されているのですが、菊川君はそういう聞き方をしているのじやないと思う。予算として継続費を認めることは八十六條違反ではないか。こういう意味なのでありまして、継続費を我々は別に頭から否定しているのじやない。これは、否定することはむしろ近代的財政を解さないものだ、むしろ今後の財政はますます長期化しなければならんものなのですから、そこの予算の年次制、即ち予算の民主化の精神と、この継続費との問題をどう調和するか。だから重大な疑義があるのです。この疑義を解明しないで、そうしてこの財政法に基いてこの継続費の予算を出したということは、これは憲法違反じやないか。私はこの財政法の改正が通らない前に予算を出したから、この予算の出し方は憲法違反じやないかという議論については、いろいろこれは政府側の言い分もあると思うのです。例えば税法と予算を同時に提出されますから、こういう議論は私は余り明快じやないと思うのですけれども、併し財政法に……今の八十六條と今度の継続費との問題については今言つた予算の問題、予算の年次制の問題について非常に疑義があるのです。憲法学者の間でも疑義がある。それで参議院で幸いにこの問題を愼重に扱つたからまあよかつたようなものの、衆議院では簡單に通してしまつたのですが、これは政府は、この際十分これを明らかにして、見解を明らかにして、まだ私は質問はありますが、菊川君が今質問中でありますから、ただその点についてもう一度明快な大蔵大臣の御答弁を頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/12
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013・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 継続費の重要性につきましては御賛成を得たようであります。そうすると、憲法論から参りまして財政法上継続費を規定することが憲法違反なりや否やということにつきましてもう一回申上げます。八十五條はこの予算の実体をきめておりまして、「国費を支出し、又は国が債務を負担する」ということがあります。「国が債務を負担する」というのは債務負担行為であります。それにつきましては先ず八十六條がこれを受けて、形式的に規定しておるのであります。然らば国の債務負担行為の三年ということは、毎会計年度ということから離れるかどうかという問題、その問題を私は提起したのであります。勿論債務負担行為と歳出予算とは違います。違うことは百も知つておりまするが、今、国費の支出という場合については八十五條にあり、而も八十六條で「毎会計年度の」という国費の支出について継続費は形式上違反ではないかという問題になると、債務負担行為は毎会計年度でやつております債務ということになつておる。而して又、片一方に国の歳出に繰越明許を認めているということは、これは毎会計年度の例外ではないか。それを私が申しておるのであります。従いまして私は継続費というものが原則になつてはいけません、飽くまで例外的である。これは制限して行かなければならんことは当然のことです。昔のように臨軍費ができます前までは、継続費は総予算の三〇%、或るときは二七、八%も含んでおつたというようなことは、これは私はよくないと思います。木村君が御賛成になりました、経済的に予算を使用して行う、効率的に使用して行こうというこことがらそういう制度を認める。而してそれが絶対的に八十五條並びに八十六條に違反するかということは、規定はないが、私は財政法で規定し得るという考えでいるのであります。
第二段の問題になりまして、それならば疑義のあるところならば法律によつて支出をやつたらどうかというお考えでございます。一つの考えでございましよう。併しイギリスその他とは違いまして、予算一体の原則を通して行かなければなりません、総予算という観念を通して行かなければならん。これは我が国が他の諸国とは違いまして、予算と法律案というものは飽くまで別個のものとして国会で審議頂くことになつているのであります。予算に対しまする法律案との違いは御承知の通りいろいろあります。而して私は、予算不可分、総予算一体の原則で行くほうが憲法の精神にも合う。予算を別に、総予算よりほかに法律で以て支出をきめるということは、私は日本の憲法の精神から言つてとるべき策ではない。然らば経済上の理由から必要であるとし、而も八十五條はそれを禁止しているものじやない。又実質的には債務負担行為にしましても、三年間という財政法の規定を以てできることになつている繰越明許の問題があるものとすれば、この例外的に継続費を認めて行くということは何ら憲法違反ではない。而も実態に合うやり方だというので、こういう財政法の規定をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/13
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014・木村禧八郎
○木村禧八郎君 只今大蔵大臣が総予算主義のことを言われましたが、財政法十四條で規定しておるこの総予算主義というものは、いわゆる純計予算を排する。いわゆる普通財政民主化で言うところの総予算主義というのは、ただ全部の予算を集めるというのでなく、歳出歳入を純計ですべてこれを盛るということがいわゆる総予算主義だと思うのです。形式は分れてもそういう予算の総額を集める。その総額と国民所得との比率とか、或いは国民負担の割合とか、こういうものを勘案する場合、或いは総合的財政計画を立てるという場合の予算総額を一体にするといことについては、別に法律によつて、單独法によつて継続費を認めても何らそのことは僕は問題に支障を生じないと思うのです。大蔵大臣の総予算主義というのは、これは純計予算主義じやいけないという意味であつて、歳入歳出、これはすべて予算に編入しなければならんというのが、これが第十四條の精神だと思う。飽くまで例外だというならば例外で、濫用されないようにしなければならんということが重要なのですが、その條件がないのです。殊にこの間学者のかたの意見を徴しましたが、この濫用されるという場合、現在は最も濫用される情勢になつて来ている。政府が如何にしても……いわゆる再軍備計画が頭を出して来ておる。過去において政府は我々に資料を出されましたが、大蔵大臣も今言われましたが、臨軍費的にこの継続費制度が復活されれば濫用される危険のある最も重要なるときに、なぜこういうものを出して来たか。更に長期計画がはつきりしていればそういう弊害もないというのか。長期財政計画もはつきりしていない、又政治も衆議院では自由党が絶対多数なので独裁的だ、こういうような政治の下でどんどん継続費というようなものが出て来た。勿論今関門トンネルとか、ダム建設とか言われましたが、制度自体をここで認めればそういう虞れが多分にある。参議院としては一応党を離れて、こういうものについては過去に弊害があつたということで十分これは愼重に考えなければならん。そういうことをもつと明快にして疑義がないようにしてから、私は予算を提出すべきだと思う。又年次割についてもあとで非常に問題があるのですが、政府の解釈と我々の解釈とは相当年次割の解釈には違いがあると思う。あとで又菊川君が御質問しますから、今の二点、総予算主義という問題、それから飽くまで例外だというなら單独法でいいじやないか。それで單独法でできるように歳出を変えて行つたらどうか、歳出予算の仕方を……。これは大蔵大臣は一つの案と言われましたが、諸外国にもあるのです。又アメリカ、西ドイツで継続費を認めておりますけれども、今度の改正法みたいに、こんな漠然と規定している継続費の制度というものはない、もつと嚴重に制約されている。年次割についても、国会あたりで減額修正できるようになつている。こんな漠然と継続費の行き方を認めたことは、これは私は非常に弊害が出て来ると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/14
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015・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私は日本の憲法は予算につきましては、法律と別個の審議手続等を規定いたしておりますので、総予算主義で行くことが、憲法の精神に副うことと考えておるのであります。従いまして先ほどお答え申しましたところで盡きておると思いますが、法律で予算をどうこうするということになりますと、やはり予算一体の原則に反しますので、私としてはとりたくないと考えております。而して又、継続費が如何にも広くできるようになつているじやないか、こういう御質問に対しましては、これは予算審議の際におきまして、その事項並びに金額につきまして御審議を願うことでありまして、政府といたしましても、これは飽くまで例外的のことでございますので、経済的効果が十分現われるような事項について、而も適正な年度計画を立てて行くことが適当である。而もそれが事項が殖え過ぎる、或いは金額が多過ぎたりする場合におきましては、予算審議の過程においてこれを制約すべきであると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/15
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016・波多野鼎
○波多野鼎君 ちようと関連して……、先ほど問題になつた点は、少し答弁のあれがズレているようですが、第八十五條、八十六條のこの憲法の規定と、今度の改正案との関連の問題が問題になつておつたので、政治上の問題とか、実際の問題として便利だとか便利でないということは、私はあとで出て来る問題だと思いますので、先ず八十五條、八十六條について政府がどういうふうな解釈をしておるかということをはつきりさしておきたいと思うのです。八十五條に国費の支出ということと債務負担行為とは別に書いてある、別に規定してある。それから第八十六條で、「内閣は、毎会計年度の予算」というふうになつておる。政府では大蔵大臣は、この「毎会計年度の予算」という、この予算という意味をどういうふうに理解しておられるか、これを一つお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/16
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017・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 第八十六條の「毎会計年度の予算を作成し」、と、この予算におきましては、八十五條の国費の支出又は国が債務を負担する、両方を含めておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/17
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018・波多野鼎
○波多野鼎君 そうしますと、この財政法にいう予算総則も、歳入歳出予算も、それから国庫債務負担行為も全部含めたものを、第八十六條にいう予算、こういうふうに理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/18
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019・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/19
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020・波多野鼎
○波多野鼎君 この点については、まあこの間も専門家を呼んでいろいろ質疑をしたのですが、意見が大分分れておるようであります。この八十六條の予算というのは、歳入歳出予算、基本的な、或いはノーマルな予算だ、債務負担行為とかいつたようなもの、或いは又予算が総則というものは、これに入らないというような意見が大分強かつたようでありますが、それはそれとして、政府がそう理解しておられるなら、その予算については、毎会計年度作らなければならないという毎会計年度というのは、どういうように理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/20
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021・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 毎会計年度は原則として一年を予定しておりますが、この例外の場合といたしまして、財政法に規定し得ることと考えておるのであります。従いまして八十五條の「国が債務を負担する」というのも、財政法上三年間の債務負担行為と同様な意味合いにおきまして、継続費も規定し得る、こう考えておるのであります。「毎会計年度の予算を作成し、」という予算の中に、国費の支出のみならず債務負担行為も入るということに疑義があるというお話でございまするが、これは従来財政法に基きましてこういうようにして来ておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/21
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022・波多野鼎
○波多野鼎君 そういたしますと、毎会計年度というのは、原則としては一年、併し債務負担行為のように三年に亘ることを財政法で規定すれば三年にもなるというふうな意味で理解していいのですか。そう理解しておられると私どもは了解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/22
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023・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) さようでございます。そういう前提の下に今まで私はお答え申上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/23
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024・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今大蔵大臣が、繰越明許と債務負担行為を現在やつておるのであるから、憲法の八十六條と抵触しない。こういうお話でございますが、この八十六條、八十五條から考えまして、旧憲法には継続費があつたけれども、それがなくなつたのであるから、だから今度はそれの一つの……それでは余り不便であるからというので、明許繰越と、それから債務負担行為というので補つて行こうというので、財政法は立法されたのじやないか、私はこういうふうに考えるのでありますが、全然継続費なしというふうでも運用上困るから……、ところがやはり憲法には八十六條でこう規定してあるから、併しそこで憲法にも牴触しない範囲は、やはり明許繰越と債務負担行為、この二つによつて憲法に牴触しないし、この程度ならよかろうというので、財政法に規定されたのじやなかろうか。我々はこういうように考えるのでありますが、大蔵大臣はその点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/24
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025・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 債務負担行為の三カ年間或いは繰越明許が必要でありますと同様に、新たに継続費の制度が必要であると考えまして、追加して御審議を願うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/25
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026・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この際、大蔵大臣に歳出予算と債務負担行為との区別ですね、どこが違うかを明らかにして頂きたいのです。これは私は非常に性質が違うのだと思いますので、債務負担行為を引用しつつ継続費を合理化しようとするというのは、これは非常に間違いだと思います。明確に区別をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/26
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027・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 国の歳出は必ず歳出を伴うものであります。債務負担行為は必ずしも歳出を伴うものではございません。そこが根本的に違うのであります。併し私が申上げておりますことは、八十五條の「国費を支出し、」と「国が債務を負担する」ということが違うことはお話の通りであります。違うのですが、「国が債務を負担する」ということを受けて、毎会計年度の予算の中で、債務負担行為は三年という例外、特例を設けている。この精神を言つているのであります。歳出予算と債務負担行為が違うことは全然八十五條に規定している通りでございます。財政法でも全然違つている。ただ八十五條で「国が債務を負担する」ということを言つて、その債務の負担は八十六條の毎会計年度の予算の中に含まれておつて、而も財政法に三年という特例を設けている。而して又、国の歳出につきましても、「毎会計年度の予算を作成し、」というのは、原則は一年ということでございますが、繰越明許を認めている。こういうことを認めている以上は、必要に応じて継続費を組むことも、何も八十五條の実体にも反しないし、八十六條の手続規定にも精神から言つて反しない。そこで片方で必要があればお認め願いたい、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/27
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028・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そこが非常に違うのですが、債務負担行為は三年間ではなくても、これを支出するときには、毎会計年度予算として国会の議決を経る。ところが継続費になりますと、五カ年なら五カ年、これで議決を経ると、毎会計年度国会の議決を経られるなら同じことになる。又国会でこれを修正できるなら……、そこが債務負担行為なら成るほど三カ年でできますが、これを支出するときにはやはり毎会計年度国会で議決を経る。そうすると継続費と非常に違う。そこが根本的に違う。それから問題は、国会の審議権を制約するかしないかは、毎会計年度の支出について国会の議決を経るかどうかという問題であります。債務負担行為は支出することになつて来て問題になつて来るのであります。そこのところが、大蔵大臣は何か明快じやないと思うのであります。混同しているのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/28
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029・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私はこれを言つておるのでございますよ、木村さん。「国が債務を負担する」と、こう八十五條に調い、八十六條に、「毎会年計度の予算を作成し、」ということになつた場合において、債務負担行為を三カ年ということを認めたら、毎会計年度の問題をどう解釈するか、これを私は言つておるのであります。而うしてあなたは今、これからまだ議論になることと思いまするが、継続費を一旦きめたならば、次年度においてこれの修正権があるかないかという問題と別問題であります。私は継続費を組むということがいいか悪いかということが問題で、毎会計年度との関係を債務負担行為について言つておる、性質は違いますよ。ただ毎会計年度と言いながら三年の債務負担行為を認めた場合において、毎会計年度の説明はどうするかという問題と、私は債務負担行為と結び付け、或いは繰越明許の問題を言つておるのであります。而うして後に継続費を議決した場合に、次年度からの予算は総予算に載つて参ります。向後に載つて参りまするが、向後に載つて来た次年度の予算について審議権はどうあるかという問題は、別個の問題だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/29
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030・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大蔵大臣は、八十六條の「毎会計年度」をどう解決するかというのですが、ここが問題なんです。大蔵大臣は、ここへ出て来るところのこの予算を、財政法に言うところの予算総則、歳出入予算、債務負担行為、こういうものをひつくるめて予算と解釈するのだと、こう言われておりながら、その毎会計年度が非常に広義に解釈されるのです。私は、八十六條の予算というものは歳出入予算である。政府が現実に收支する権限を與えられる歳出入予算、これは学者の意見を聞いてもそうであります。金森さんの意見を聞いてもそうであります。狹義の予算と解すべきである。それで財政法は、その規定によつてこれを拡げて解釈しておるようですけれども、少くとも八十六條における予算というものは歳出入予算、そうしなければこの予算民主化、毎会計年度といつた意味がはつきりして来ないのです。ですから私の考えは、歳出入予算については毎会計年度一カ年、それで会計年度については会計法でこれを一カ年とする、こういうふうに規定してあります。ですから私は、この八十六條の予算についての毎会計年度は、どうしても一カ年である。こう解釈すべきじやないかと思うのです。そこで大蔵大臣と解釈が建つて来るわけなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/30
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031・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 今度は又別の観点から、八十六條の「毎会計年度の予算を作成しするという、その予算は、国の歳出入予算のみを意味するものだと、こういうふうに議論が変つて来るのでありますから、私は財政法ははつきりとこの予算につきましては、国費の支出又は国が債務を負担する行為、この二つのものを含めた国の行為として従来も取扱つて来ておるのであります。この点につきましては政府委員から詳しく答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/31
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032・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 付加えて申上げますが、只今大臣から御答弁がございましたように、私たちは従来からこの財政法の規定にも予算というものの概念を規定してございますが、その予算というのは、予算総則、それから歳入歳出予算、それから国庫債務負担行為、この三つを含めて言うというふうに解釈をいたしておるわけであります。御承知のように旧憲法の時代には、いわゆる予算というものには予算総則といつたものがございませんでした。それから又、債務を負担するにつきましては、別に予算外の契約を受けるような形式が別にあつたわけであります。新憲法におきましてはそういう形式がなくなりまして、代りに予算というものの中に総則と、それから昔一般に考えられておつた予算であるところの歳入歳出予算、それから国庫債務負担行為という三つのものを含むということを明らかに財政法で規定いたしまして、そうしてその規定に基き、財政法が制定せられまして以来、今日まですでに毎国会において議決を経ておるわけであります。而もその際に予算総則或いは国庫債務負担行為は予算の一部として、いわゆる憲法上の予算の議決手続に従つて議決を経ておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/32
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033・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは政府の考えておる新らしい財政法の改正に基くところの継続費と、旧憲法時代の継続費との性格について私は先ずお伺いしたいと思いますが、明治憲法は、これはドイツ憲法に倣つたということは誰しも言われておる通りでありますが、新憲法はどうしても米英流だと言い得ると思うのであります。当時のドイツ憲法にはやはり継続費の規定があつたので、明治憲法にもその規定ができたと思うのでありまするが、これはどう違うかというと、私らの考えでは、素人考えに過ぎませんけれども、ドイツは何と言つても行政権のほうはもう優先しておつたということが言い得ると思うのであります。それから又アメリカやイギリスのほうでは議会が中心であつた、こう思うのであります。従いましてこの憲法の立法の精神がそうなつておる以上は、やはり予算の審議権という面につきましても、大きな相違が出て来ると思うのであります。従つて新憲法において継続費を仮に否定するものではないといたしましても、予算制度上の例外的な継続費につきましては、或いは先ほど木村君から言われましたような特別な單独法によるとか、或いは嚴格な制限規定を設けておく必要があると思うのであります。ところが政府の提案は、その字句の使い方を言うわけではありませんけれども、「工事、製造その他の事業で、」と、こういう字句の使い方をして、旧憲法に基く旧会計法の二十八條の表現と同じようになつておるわけであります。丁度旧会計法の二十八條と同じ表現法によつているところを見ますると、旧憲法の下における継続費と同様の性格を、現在の政府は考えているように思うのでありまするが、私はこの際、旧憲法下の継続費と新憲法の下におけるところの継続費と、おのずから性格も変つて来なければならんと思うのでありますが、この点について一つ大蔵大臣のお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/33
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034・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 今回御審議を願つておりまする継続費に関する規定は、旧憲法と同じようになつております。私は継続費自体の問題といたしましては、そういう形式的議論よりも、実質的の議論に移るべきではないかと思います。継続費が一般予算のうちに占める割合、或いはその事項につきましては十分審議しなければいけませんが、(「だんだんするよ」と呼ぶ者あり)規定の問題につきましては、私は継続費の性質上、新憲法は旧憲法と変らなければならんという前提の下に論議すべきでなしに、如何なる事項に、如何なる金額が如何なる名義によつて組まれるか。こういう実質的議論を要するのではないかと思うのであります。従いまして先ほど来申上げておりますように、これは飽くまで例外的のものである。やむにやまれぬと言うと強うございますが、できるだけ制限的に、而も審議は愼重にやつて頂かなければならん。これは新憲法の精神だと思います。規定の仕方よりも実を取るべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/34
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035・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますると、将来継続費を運用されて行く場合におきましても、明治憲法当時に運用しておつたような運用の仕方とはおのずから性格の変つた運用をするということについては、政府も考えているわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/35
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036・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 勿論そうでございまして、昔の継続費は主として軍事費に使つておりました、軍事費が相当多かつた。継続費というものは予算の一割足らずくらいが普通である。それが臨軍費ができる昭和十七年まで……即ち十五、六年は表にしてお出ししたかと思いますが、多いときには二七%、二〇%程度。併しそれが臨軍費ができて、もう予算自体がずつと長く使われるようになりましたり、継続費が予算の一、二%程度という、こういうような状況であるのでありました。この継続費というのは飽くまでやはり憲法の精神から言いましても例外的のものであるから、その事項、金額、或いは年次計画につきましては愼重にやらなければならんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/36
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037・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、それでは継続費の年割額についてお尋ねしたいと思いますが、継続費の年割額を次年度以降に、国会が、今のようにまあ財政、経済の規模も、それからそのときの情勢も非常に目まぐるしい変転をいたすことは認めなければならんと思うのでありますが、明治、大正時代とは大分テンポが違うと思う。従いまして次年度以降において国会が必要と認めた場合においては、これは国会におきまして削減又は増額できるものであつて、そのために政府の同意を必要としないと考えるのでありますが、この点について私の考えと同じていられるかどうか、政府の考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/37
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038・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) ちよつと聞しき漏ましたが、次年度以降についてこの国会が修正し得るかどうか、こういう問題でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/38
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039・菊川孝夫
○菊川孝夫君 政府の同意が必要かどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/39
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040・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これが私は議論の中心だと思います。で、今までの議論は今の八十六條に入つて、八十六條の「予算」というものに債務負担行為が入るかどうかという問題、もうこれは財政法第十六條に、「予算は、予算総則、歳入歳出予算及び国庫債務負担行為とする。」と、はつきり書いてありますので……、問題は、今の菊川君の言う乙号として審議願つて、初年度はそれでいい次年度、三年度、四年度について、次年度以降について修正権がありやなしやという問題になると思う。私は、これは今まで政府委員がどう答弁したかわかりませんが、私は修正権があると思います。それじや、修正権があるのなら事業計画を継続費と認めたのか、根底が覆えるのじやないか。こういう議論がありますが、それは政治的に考えなければならん問題である。それで例えば十二億円なら十二億円の予算を、初年度三億円、次年度三億円と均分に三億円ずつ出しておつた場合に、次年度の三億円の予算の修正権があるかという問題になつて来ますと、私は修正権ありと解釈するのがいいと思います。併し次年度の三億円を二億円にした場合におきましては、私はそのときには、三年度、四年度についてやはり政府はその議決に善処した乙号予算を出して、継続費の組替をやるのが至当な考え方ではないかと思います。この継続費というものは、そこまで申しましたらもう一度申上げますが、飽くまで必要であり、国定的に見てこれが能率的であり、経済的であるというので一応御審議を願つておる。併しその後において重大な変化があつた場合に、これは全然変えられないということは私はよくないと思う。これは、私は先ほど触れた予算の総合性、そういうことから言つて変え得る。変えた場合においてはやはり三年度、四年度につきましても又一緒に御審議を願わなければならんわけです。こう考えて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/40
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041・菊川孝夫
○菊川孝夫君 政府の同意云々はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/41
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042・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私は、政府の同意することが要ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/42
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043・木村禧八郎
○木村禧八郎君 理論的には国会で修正し得る、こういうお話です。今の大蔵大臣の答弁は実際的には……。どうでしよう、予算の編成権は政府にあるのですね。その場合に政府は今菊川さんの言われた同意、それは政府はそのとき同意すると、そういう意味の同意ですか。それなら国会がこういうふうに修正したというのは政府が同意することを條件にするのですね。予算編成権ははつきり政府にあるのでしよう。だからその点は、恐らく政府は今後国会がそうしたつて編成権はこつちにあるのだからこうすると言う、実際問題としてそういうふうになると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/43
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044・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) いろいろな議論がありましようが、私は、総予算の審議を経まして、そうして次年度の総予算に載つて来ておるのでありますから、国会におきましてこれを修正なさることは差支えないのではないかと考えております。これは提案権の問題じやございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/44
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045・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そのときに、増額修正も減額修正も同様できるのですか、両方をです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/45
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046・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私は、予算の提案権の問題がございますので、増額修正は如何かと思います。これはちよつと御返事できませんですね。減額修正は当然できることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/46
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047・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、いろんな今大蔵大臣のお話のように問題がある点だということになつておりますから、外国の例では、はつきりと減額修正をすることができると、こういうふうに規定があるのです、個々にですね……。まあ一応今それは、大蔵大臣の言われたことは全部承認しておるのではないわけですけれども、それならここに改正案をもつと明確に規定する意思があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/47
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048・大野幸一
○大野幸一君 それはこちでやれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/48
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049・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私はこの程度で御了承願えるのではないかと思います。明確にというと、どういう場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/49
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050・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの大蔵大臣のお話で、減額のほうは差支えないが増額については疑義があるということでありましたが、一応国会の審議によつて修正を認められるということであれば、次年度以降の年割額についても一応政府は予算として国会に提案されたと同じ結果になると思うのであります。従来旧憲法の時代においては、一応参考書類として国会には出すけれども、国会は全然それについて手を触れることができなかつたということであつて、それと大蔵大臣の答弁とは大分違うのでありまして、今度の継続費については、国会は審議することができる、そうして減額することができるということであると、普通の予算と変りはないのであつて、今まででも実現は関係当局との関係上できなかつたのかも知れませんが、一応例えば平衡交付金等について、国会においては政府提案よりも増額を考える。財源については勿論一方を殖やせるというような別に新らしい財源を求めずして、政府の提案された歳入の範囲内において、項目の間において一方を殖やし、一方を減らすということをやろうとした例はあることでありますが、そういうことから考えて削減ができるというお考えならば、増額もできるのではないかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/50
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051・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 旧憲法時代の継続費と新たに御審議願つております継続費の問題とでは、今の修正減額の問題が私は違うと、ここで申上げておるのであります。然らばこの予算の修正権の問題になつて参りますと、私はこれはいろんな議論もありまするが、私の只今まで考えておるところでは、予算全体の枠を増額しなければ、項を入れ換えすることは可能ではないかというふうに実は考えておるのです。これは又重大な問題でございまするから、私見として一応お聞き願いまして、政府代表としてではございません。そういうふうにできるのではないか。即ち例えば千億円……。まあ八千五百二十七億円を八千九百億円に増額できるかというと、これは増額できぬと思います。八千五百二十七億円の中で、各項ごとの増減はできるかという問題につきましては、私の今の私見としては可能ではないかと思います。これは予算の提案権にはならないと思います。項があれば……それ全体の問題といたしまして……。そこで今度継続費の次年度について、これは修正できるかという問題になりまして、減額修正は私はできると思う。これは旧憲法時代の継続費とは違います。そこで継続費の分の増額ができるかという問題になると、今審議しております継続費の問題に限つて増額ができるかという問題につきましては、私はこれは私見として全体を動かさざる限りにおいては増額し得ると考えるのが政治的に至当ではないかと思つております。併し修正できるということははつきり申上げます、政府を代表して…。併し増額ができるかという問題は予算提案権の問題で非常に議論のあるところでございます。ここでは一応留保して置きますが、私見としては全体の枠内においては増額し得るのじやないか、項の中なら勿論でございますが、他の項のものを減らして持つて来るのは可能じやないかと思います。これはもう少し研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/51
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052・小林政夫
○小林政夫君 その問題は非常に重要で、大蔵大臣も認められておるように重要な問題であつて、この法案についての各党の態度をきめる上において一番問題だと思いますから、至急に政府としての態度をおきめになつて、本委員会において言明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/52
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053・波多野鼎
○波多野鼎君 ちよつと只今のに関連して……、今大蔵大臣の御発言だと、こういうことになりますか。継続費の年度割額というものが、翌年度の予算の中に勿論入つて来ます。その入つておる年度割額について国会は審議の対象となし得るかどうかという、もう一つ根本の問題ですね、それについてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/53
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054・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 審議の対象になり得る、従つて減額修正はできると、こう解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/54
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055・森八三一
○森八三一君 今の大臣の御説明で減額修正は可能である、増額についてはまだ保留されておりまするが、政府のほうは予算提出権があるのでございますから、一旦継続費を国会で議決いたしまして、それを次年度で政府が予算を提案する際に減額提案するという権限を與えられるかどうか。国会が修正することは可能であるという御答弁でございましたが、政府が積極的に、前国会で議決した年次割の次年度分を減らして提案をするということは可能かどうかという点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/55
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056・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 理論上可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/56
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057・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に、今理論上政府は減額可能だということになりますると、これは非常に問題になつて来ると思うのであります。というのは政変があつて内閣が変つた場合、前と後の内閣では財政経済政策は相当これは性格が変つて来ると思うのであります。そうしますと折角継続費で認めて置いて、この事業を遂行中でも政策の変更に伴つて、そうしてどんどん減額を、内閣が変つた場合に、やり得るということになりますると、事業計画も非常に食違つて来るだろう。それから又、その事業を起しておるところの地方にも大きな影響を與えて来るのじやないか。例えば鉄道建設のごとき問題にいたしましても、或いは道路の建設にいたしましても、その辺やるつもりでやつておつたが、今度は政変によつて、こちらのほうをやめちまつて、向うの川をやるというようなことに変更が自由にできるということになつて来ると、相当これは大きな問題ができて来ると思うのですが、それをそういうことは自由に政変の場合においてもやり得ると、こういうふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/57
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058・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは政治論でございまして、実は旧憲法時代におきましても継続費について政府が削減した場合もありますし、全廃した場合もあるのであります。私はそういう極端なことをあれしますと、この予算ばかりじやございません。法律なんかでもどんどん変えるということになるのでございますが、これはやはり国民全般が見ておることでございまして、理論的には変え得まするが、実際問題としてはよほど考慮しなきやいかんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/58
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059・波多野鼎
○波多野鼎君 大蔵大臣、この点はどうなんです。継続費を提出される、それに関連して勿論年次割についてもそのときに提出されるわけですね。それでその年次割についても国会の議決が一応行われるわけであります。ところが翌年度になつて、国会が前年度に議決した年次割について国会みずからの発議によつてこれを又審議し直すということは理論的にどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/59
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060・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは一応決定したものだから、もう金輪際動かせないのだと堅く考えることがいいか悪いかと、こういう問題だと思います。従いまして旧憲法当時におきましては、それはできないのだと、議会でこれを修正することはできないのだと、こういう解釈ですが、私はそこまで窮屈に考えなくてもいいのじやないか。勿論原則は継続でやつておるのでありますから、変えないことが原則でございますが、併し情勢の変化その他によりまして、絶対に変え得ないときめてかかることは、如何なものかと思いますので、今までも議論があつたと思いますが、私は理論上は変え得ると、こういう解釈で行くべきじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/60
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061・波多野鼎
○波多野鼎君 ではその情勢の急変によつて年次割について変えるという必要が生じた場合は、予算編成権を政府が握つておる関係上、政府のほうからそれは出すべきであつて、国会が自主的にそれはやるべきでない、この年次割修正の問題について国会が発議してこれをやるべきでなくて、政府が初め発議すべきじやないかと、こう私は思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/61
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062・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 情勢の変化によりましてこれを修正減額するということは、これは旧憲法時代からあるということは今申上げた通りでございます。併し国会におきまして修正できないと解釈するということは余り窮屈過ぎる。国会におきましても予算の審議権があるのでございます。総予算のうちに入れて出しておるのでございますから、私は理論的には修正し得ると、こう解釈していいのじやないか。ただ政治論としまして、それに継続費の性質から申しまして変えないほうが望ましいということは、原則としては言えますけれども、変えられないと言い切ることは如何なものかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/62
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063・油井賢太郎
○油井賢太郎君 ちよつと関連したことですからお伺いしたいのですが、この問題については成るほど国会において修正することが可能になつて来ると思うのですが、今までの例で申しますと、この予算というものは実際は国会で修正されたこともなければ、修正することもできなかつたという状態になつておるのですね。併し国際的に情勢も変つて来たのですが、今後の見通しとしては国会の自主権によつて予算の修正が可能かどうかということを、これはこの問題と違いますが、重大な点ですから大臣の個人的な御意見でも、見通しについて、若しなんでしたらば、速記をとめてでもお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/63
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064・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/64
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065・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/65
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066・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/66
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067・木村禧八郎
○木村禧八郎君 国会のほうに、予算を編成する権能はないのですから、そこにまあこれは大蔵大臣は政治の問題だと逃げちやつている、併し理論上それはできるのです。又我々はしなければならない、それで問題は條件になるのです。我々はここで、国会で修正、仮に今度の国会で、継続費を削るべしとやつたとき、政府ははいとそれで承知して、ちやんと編成して出して来るかどうか。そこの編成権の問題は、どういうふうに大蔵大臣はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/67
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068・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは先ほど来申上げましたように、私の、政府代表として答弁いたしました、修正の分でございますが、編成権ではなくて、予算の修正権だと私は考えます。その範囲のことならできると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/68
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069・波多野鼎
○波多野鼎君 先ほどから問題になつておる点ですが、この継続費の年度割の費目、項に出て参りますが、これと継続費の年度割でない費目が出ておる項、これに対する国会の審議の効果というものが、大蔵大臣同じように考えておられるような気がするのですが、そうじやないですか。別の言葉から言うと、一応継続費が出た場合に、これの年度割も、国会で審議、議決すると思います。そうしますと、その年度割についての国会の審議、議決というものの意味は、一体どうなるのだ、翌年度以降についてはどうなるのだ、こういう点をもう少し考えを述べて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/69
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070・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 一応拘束力を持つのでございます。併し絶対の拘束力があつて、政府もこれを減額できない、国会もこれを減額できない、こういう程度の拘束力ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/70
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071・波多野鼎
○波多野鼎君 いやそうじやないのです。僕は政府としてあると思う。これは政府は予算の編成権を持つておるという建前からあると思うのです。で国会がイニシアチブをとつて、この年度割額について修正或いは審議するということはできない、政府はこう思つておると、こういう意味で聞いておつたのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/71
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072・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) そこで今も国会のほうでその年次割の分について、次年度で修正権があるかという問題になつて来る。私は前の時代とは変つて、年次割の提案があつたものと見る。併しこれは一応先の国会で議決のあつたものですが、全然審議しないというのでなしに、年次割の提案があつたものと、こういう態度で審議し得ると、こういう態度で行きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/72
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073・波多野鼎
○波多野鼎君 そうしますと、以前の、まあ旧憲法時代の憲法学者が継続費の年次割について下しておつた解釈というものは、一つ統一的な確定的な解釈があるわけですね。年次割は、これは單なる参考の数字、審議の対象にならない参考の数字として出すものだ。従つて翌年度の予算が不成立に終つた場合でも、その継続費の年次割は生きておるんだと、こういう解釈ですね。こういう確定した解釈と反対の解釈を大蔵大臣はとろうとしておる。今度の継続費についてはとろうとしておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/73
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074・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お話の通りに、前ははつきり国会における修正権はないということに規定しておつたのでありまするが、新憲法下の継続費につきましては、私は先ほど申上げましたように、年次割の提案があつたものと見て、やはり形式論としては審議の対象になる、こう考えて行くのが妥当ではないかという考えを持つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/74
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075・大野幸一
○大野幸一君 そこでその次年度の年次割について、審議の対象になるか、国会の権限との関係で大分そういうことについては皆同僚諸君心配していたのを、大蔵大臣が旧憲法当時と違つた解釈をされたということは、一応のまあ安心はあつたろうと思うのでありますが、併し波多野議員が言われたように、やはり旧憲法当時の人も又相当出て来られる場合もある。で、我々はその責任を負うために、仮にこの大蔵委員会において、これは注意的規定、解釈的規定として修正をして、その点を明かにしておくというような場合には、政府としては勿論異議はないだろうと思うが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/75
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076・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは私がここで申上げたのではまだ不安だとおつしやるのなら、これはいたし方ございませんが、はつきりそのようになされても差支えございません。私の考えは、それは形式論としてはこれは修正権がないという議論もございます。併し国会を尊重し、予算の重要性から考えて、一旦きめたんだから国会はもう金輪際修正は駄目だという解釈をとらずに、やはりそのときの予算全体として御審議になることが民主的じやないかと、こう考えるのであります。従つて今波多野さんが触れられましたように、継続費が議決せられた、そうして予算が不成立になつた、暫定予算を組む場合において、一カ月、二カ月暫定予算を組む場合において、この継続費の分だけは組まずに、これはこのまま行くんだ。そうしていろんな仕事がストツプしておる場合において、継続費だけこのまま行くということはどうか。従いまして暫定予算の場合におきましても、継続費も暫定予算の中に入れてやる。ただ政治的にこれは一応議決を経たということは、国会並に政府は考えなければなりません。併し理論としてこれらの予算審議のあれとしては、私は実質的に予算全体として考慮すべきじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/76
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077・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それじや記録にとどめる意味で……。この点が今度の改正案では一番重大な点だつたのでありますから、くどいようですが、実質的には次年度以後の予算も、予算全体と一緒に、ほかの予算を一緒に、新たなる、新たなるですね予算を提出したものと解釈していいわけなんですか。そういうように政府は解釈してお出しになる。で、継続費については次年度以後においても新たなる予算の提出と考えていられると、こういうふうに了承してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/77
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078・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 新たなる予算としてというのでなしに、古い、前の議決のあつた分として総予算のうちに入れてそうして審議の対象になる、こういうことに御解釈願いたい。新たなる予算でなく、一応継続費として、そうして御議決を頂いた予算でございまするから、古い予算であるから総予算のうちに入れて出します。而してそれは審議の対象となり、減額修正ができる、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/78
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079・木村禧八郎
○木村禧八郎君 実は公聽会を開きましたとき、金森さんはですね、もう一旦継続費をきめると、次年度以後の継続費、年次割については、これはかすといいますか、からの数字が出て来るに過ぎない、こういう御意見だつたのです。併し大蔵大臣が、政府当局としてはつきり言われれば、ほかの人がどう言おうとこれは我々かまわないのです。ただ参考意見として聞いただけなのですけれども、そういう憲法学者の間においても、継続費についてはそういう考えを持つているものですから、我々は継続費としては一旦国家がきめたから、あとは次年度以後においてはただ数字が形式的に出て来るので、それで二度議決するわけですが、今大蔵大臣の意見によりますと、一遍議決して承認を取つておいて、又今度は実質的に出して来てもう一度確認を得ると、こういうふうに二重議決になるわけなんですが、やつぱり新たなる予算として実質的に出して来るという形にしないと、実質的に審議の対象になるということにならないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/79
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080・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私は憲法学者の意見を実は公聽会のときに聞いていないので、また聞きでございまするが、そういう議論もあると思います。旧憲法時代はそうであつたのでありますから、そういう議論もあると思いまするが、今後の予算審議の上において生きた予算、そのときに当てはまる予算としてやる場合においては、只今までお答え申上げたようなのが適当ではないかという自分は確信を持つております。而して新らしい予算か、古い予算かと申しましても、実はもう一応議決を経た、而してこれは総予算の中に入れまして、そうして総体の予算のうちにそれが加わつて来るのでございますから、これは古い予算でございまするが、一応審議の対象になり得ると、こう解釈するのが適当な解釈ではないか、これはもう私は前からの持論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/80
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081・波多野鼎
○波多野鼎君 私もその点確かめておきますが、大蔵大臣は非常に民主主義を擁護する立場でものを言つておられますが、国会の審議権を尊重する立場でものを言つておられますけれども、一応年次割の予算が継続費として議決をされたあと、動かせないのじや困るという立場で大蔵大臣は言つておられる、私も同じことなのです。動かせないじや困ると思う。併し動かすイニシアチブをとるのは誰かというのは、どちらのほうがイニシアチブをとるのであるか。それは私は政府じやないか、国会にはないのじやないか。審議は勿論しますよ、新らしく動かして来れば、新らしく審議の対象になると思う。政府のほうが継続費がきまつた年次割だけの数字を出して来れば新らしく審議の対象にはならん。これを動かして来た場合に初めて審議の対象になる。その動かすのは誰かといえば政府側が予算編成権を用いて動かして来る、こういう解釈なのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/81
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082・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) そういう解釈論は昔からあるのであります。併しそういう解釈論で行くことがいいか悪いかという問題を私はきめたいと思う。従いましてこの前の委員会で政府委員がどう答弁したか知りません。ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/82
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083・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/83
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084・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/84
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085・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お話のように議論はあります。議論はありますが、私は予算審議というものの重要性から考えて、一遍きめたら金輪際国会はもう修正は願えないのだという考え方はよくない。併し提案権の政府にあるというはつきりした原則を置いて行けば、私は修正し得るこう解釈をいたしましても、年次別の予算額は古い予算でありますけれども、議決を経た予算でありますが、審議の対象にすべきだというこういう議論であります。そこで申しましたように次年度分を審議の対象として修正方がすでに行われます場合におきましては、政府は乙号予算として三年度、四年度分を出すべきだ。こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/85
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086・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちよつと法規課長に伺いたいのですが、イギリスとかフランスあたりで、まあ国会が最高機関である国において、継続費について次年度年次割について減額修正できることになつているようであります。頂いた参考書にはそうなつております。その場合に何かはつきりした規定が設けられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/86
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087・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 私も実は外国の規定をまだよくわかつておりませんが、例えばドイツのような場合には、お手許にあります資料にもありますように、修正できるということが規定によつて出ておるものもあります。それからまあ大体英国のように長い慣習によつてできております所においては、必ずしも規定がはつきりしておらないで慣行によつて議会政治の運営の上にだんだんと慣行が確立して来たというようなものもあると思います。只今私も詳しい点についてはちよつと御説明いたしかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/87
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088・小林政夫
○小林政夫君 念のために確認しておきたいので質問申上げておきます。今の次年度以降の年度割について国会において審議権があるということを政府としては認める。要するにこれは解釈はどうあろうとも国会の慣行の問題なり、国権の最高機関としての国会としては是非そうありたいと思います。従つて年割額について、国会に審議権があるならば、総体の政府の見積られた歳入額の範囲において、一方を増減することによつて、この年割額を国会の審議によつて増額をするということは、大蔵大臣としても私見としてはそういうことは可能だと思うということでございました。一方を減らして一方を殖やすということは、是非政府の解釈をそういうふうに御統一になつて、速かに政府としての確定的な、増額の場合が、総体の歳入歳出額をいじらない範囲において、項と項との間の、一方の項を減らして継続費のほうを殖やすということも可能であるという拡張解釈に御統一を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/88
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089・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 御尤もなお話で、我々といたしましても、今の私が大蔵大臣としてはつきりお答えした分は、これはよろしうございます。今の増額の問題につきまして、総体を動かさずに増額してその項のうちうちでやり繰りできるという問題と、他の項とのやり繰りのできる問題、この問題は至急決定いたしまして申上げたいと思います。で、私はこの継続費の問題につきましては縷々申上げましたが、今まではつきり私の気持ちをここで申上げる機会がなかつたので議論があつたと思うのでありますが、やはり国会の審議権というものは絶対的なものであるということで進んで行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/89
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090・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に今度は継続費の年割額の繰越しについて一つ伺いたいと思います。継続費の年割額に余剰を生じた場合には、これは完成年度まで逓次に繰越しできるものであるかどうか。若しそれができるとしたならば、それはどういう法的な根拠でこれができるのかこの点について一つ伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/90
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091・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 私から代つて申上げますが、逓次繰越しができるということは、今回継続費の規定を提案いたしまして、そのあとのほうに規定として逓次繰越しができる規定が挿入してあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/91
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092・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういたしますと、この逓次繰越しの場合の額でございますが、これはもうその額の大小は問わずすべて逓次繰越ができる、こういうふうに解釈してよろしうございますか。例えば年割額の半分くらいまで剰余を生じたというような場合でもどんどん逓次繰越ができる、こういうふうに解釈してよろしうございますか。額その他については旧法でも、今度提案された條項によりましても、その額等については謳われておらないのでございますが、この点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/92
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093・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 勿論これは制限はございません。と申しますのは、繰越が生じました事由はそのときどきによりまして千差万別でございます。道路の工事を施行したいと思つておりましたが、土地の買収の問題が片付なかつたために、到頭最初の一年間は潰してしまうというようなことが実際問題としてしばしばあるわけでありますので、そういう場合に費用の大部分というものは繰越されるというようなことも考えられないことはございません。従いましてそれについては何らの制限を設けてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/93
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094・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次には予算不成立の場合に、この暫定予算との関係でございます。継続費との関係について予算不成立の場合といえども、すでに議決を経てあるところの継続費は、当該年度の年割額によつて執行するものであるかどうか。この場合の先ほどからの大蔵大臣の言明による年割額に対する国会の審議権との関連を一つお伺いしたいと思うのでありますが、旧憲法と旧の会計法によりますると、予算不成立の場合には前年度の予算を踏襲する。併し年割額についてだけは前年度の予算じやなしに新らしい年割額でやつて行く、こういうような、例でありますが、それと今度の予算不成立と暫定予算との関連、これを一つ特に大蔵大臣が先ほど予算の国会の審議権について割合に明確に継続費の審議権について答えられましたので、それとの関連を一つお伺いしたい、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/94
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095・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) この問題は先走つたか、先ほど申上げましたような状態でございまして、暫定予算のうちに年割額の一部を入れることができると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/95
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096・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) ちよつと私からその点補足申上げますが、理論上つまり当然継続費がすでに議決は成立しておるからできるわけでございます。ただあとは程度の問題として、理論上認めるように無制限に認めるかどうかという点について、今回の法律では例えば予算の最も重要な部分が不成立になつておるのにかかわらず、継続費だけ生かしておくことがいいかどうかということを政策的に考えました場合には、実際の慣行としては、今後暫定予算に組んで行くということが適当であるかと思つております。又継続費の年割額を配賦いたしますときにも、結局内閣が各省に配賦するその仕方によつてきまるわけでありますから、そういつた点の手続につきましては必ずしも実際上常に無制限に継続費だけが生きるというような方針はとりたくない、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/96
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097・波多野鼎
○波多野鼎君 ちよつと今の問題ですが、それは運用の問題なんです。政治論なんだ。それはそれでいいと思うのですが、政治論じやなくて法理論と申しますか、から言つて、そういうことが可能なんですか。そういう年度割額について、これは一体国会のすでに議決を経ておるやつなんだが、それはどうですか。予算編成の場合には、予算編成権に基いて話を進めるというあなたの言われることが、予算編成権に基いて行えるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/97
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098・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 予算編成権との関係という意味、ちよつとわかりかねる点もありますが、従来からの解釈にもございますが、継続費について一応、議決としては生きておるわけであります。それを何ら殺すということにはなつておらないわけでありますからして、当然若し不成立になりましても、何らの措置を下さない場合にはそれは生きておる。従つて理論上はこれを制度的に何らの制限を設けない場合には使い得る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/98
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099・波多野鼎
○波多野鼎君 そういたしますと、予算不成立の場合に継続費だけは生きておるという解釈をとれば、先ほど大蔵大臣が言われたように継続費の年割については審議の対象になるという解釈とは食い違うでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/99
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100・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 非常に形式的に推し進めて参る場合には、そういう議論も十分出ると思います。先ほどから大臣が答弁されておられますように、継続費の一貫性ということを強調する点と、それからその年度の総体の予算の審議を十分にするという見地等の調整の問題であろうと思うのであります。それで私どもとしましては、一旦議決を経ているのでございますからして、理論上はこれは生きている。併し又一面においてその一部分の年割額というものが、その年の総体の予算に含まれて来ている。そういう意味においては当然これは審議の対象になる。それで若しもそれが変更をこうむるようなことがございましたならば、勿論それに基いた変更措置をとるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/100
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101・木内四郎
○木内四郎君 今法規課長からお話がありましたが、予算不成立の場合に、継続費の議決はあつても、歳出予算というものはあるのですか、出し得る予算というものが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/101
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102・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) つまり改めて一々毎年予算によつて歳出を組む必要がないというために、継続費の制度を設けまして、そうして年割額によつてその額が確定するわけでございまして、当然あると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/102
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103・木内四郎
○木内四郎君 そういう継続費の計画はあつて、その他の支出の計画はあり、議決はあるけれども、その年度の歳出予算が不成立ならば、歳出予算という形式上のものはないじやないですか。あなたがたそれに支出するとしたら、どの款項からどの形式によつて予算を出しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/103
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104・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) それは年割額の分については、一番当初において総体としての議決を経ているわけであります。その際に款項はおのずからきまつているわけでありまして、それに基いて出すことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/104
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105・木内四郎
○木内四郎君 そうすると歳出予算が不成立であつても、その他の予算というものは、予算は成立しているという建前ですか。その点について大蔵大臣は暫定予算にやはりそれを入れて、そうして国会の議決を経て歳出予算を取つて、そうして出す、こういうことを言つておられるのじやないかと思いますが、その点に誤謬がないかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/105
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106・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) これは理論上は私どももあると考えているのですが、これは暫定予算に組むかどうか。これは勿論政府が予算を組むときの方針の問題であります。それで私たちとしまして丁度その点は同じことになるわけであります。すでに議決を経た年割額というものがともかくも来年度の予算に含まれて計上されるわけであります。でありますからして暫定予算についてもそれができないということはないわけでありまして、暫定予算を組んでおいて、そうして本予算の成立をできるだけ待つという方法も可能であります。ただ理論上は、何回も申上げましたが生きているというふうに解釈をいたしておりますわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/106
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107・木内四郎
○木内四郎君 この点大蔵大臣の御答弁と少し食い違つている点もあるように思うのですが、予算が成立しておらんのに、そこのところだけ生きているということは、説明がどうかと思うのですが、それは国会の議決は議決として生きているだろうと思うのです。予算が成立しないのにその点だけが予算として生きているということは、これはどうもどうかと思うので、大蔵大臣少しあとからでもいいですから御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/107
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108・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私からお答えいたします。予算の議決はありました。併しそれは予算の議決があつたというだけで、やつぱり予算は翌年度において不成立の場合に予算は組まなければなりません。そしてその予算を組む場合において暫定予算を組むのでございまするが、例えば二カ月の暫定予算を組むときに、継続費として組んだ次年度の分を全部組むか組まんかということ、私はそれは暫定予算の性質上、議決したのだから全部組み得ないとも言えません。言えませんが、暫定予算の性質上、而もこの暫定予算は、いずれも本予算に吸収してしまう予算でありまするから、そのときに二カ月分をどう組むかということは、やはり議決があつたことを考慮に入れて、按分で二カ月分を組むか、或いはたくさん組むか、少く組むか、これは言えると思います。これは飽くまでも次年度の本予算の前提とし、一部をなすものでありますから、暫定予算の場合においては予算が議決があつたものとして、そしてこの次の暫定予算に顔を出すべきだと考えております。顔を出した場合においてその出し方をどうするかというとき、議決があつたから暫定予算の中にこの分を組むかということになりまずと、そうは組まないのが適当じやないか、つまり予算は組なきやいけないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/108
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109・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今までのいろいろの御答弁を伺うと解釈論が多いのですが、その解釈論も勿論重要でありますが、併し例えば西ドイツの例なんかを見ましても、予算不成立の場合の年割額についてちやんと規定があるのですね。基本法第百十一條第一項は「会計年度の終りまでに翌年度の予算が法律によつて決定されるに至らない場合においては、連邦政府は当該予算の効力の発生するに至るまで、次の目的のために必要な一切の支出をする権能を有する。」として、はつきり規定しているのです。そこでこの点について今いろんな疑義が生じているけれども、先ほど法規課長も言われ、大蔵大臣も御答弁になつたのですが、そういう疑義を残さないように何故はつきりと不成立の場合にはこうなるのだとはつきり規定されなかつたか。さつきの年割の国会の審議権についても、解釈論で今やつているのですが、もつとよその国においてははつきりと規定しているわけなんですね。どうしてはつきりした先ほどのような御解釈なら、はつきりした規定を設けなかつたのか、その点を伺いたいのです。非常に漠然たる解釈論だけでやつているのは、どうも腑に落ちないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/109
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110・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) これはおつしやる通り考え方の問題でありますが、この問題は大体憲法に繋つているものですからして、特に先ほどからお話がありましたように、解釈上疑義の多い点も出て来るわけでございます。それで私どもとしましては、これについては学者の間にも、実際家の間にもいろいろな議論があるわけでありまして、そういうものはやはり長い年月の間におのずから落ちついて来る、慣行となつて来る。余り、こうでなければならないと、或る時期に規定を設けて、きちきちとしてしまうのが適当かどうか。例えば先ほどの修正の問題につきましても、それでは修正できるとわざわざ書くと、ほかの場合にはできないような印象も與えますし、全体としてやはりこういう点については解釈の余地があつていいのである。特にこういう憲法に繋つたむずかしい問題については、そういうことがどうしてもあるということを前提にいたしておるわけであります。でありまするからして、まあ今おつしやいましたように、特別な規定をドイツのようにどうして設けなかつたかという疑問も起るかと思いますが、私たち継続費の規定を設けます際には、そういうような考え方で以て規定をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/110
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111・木内四郎
○木内四郎君 さつき法規課長から伺つたことと、大蔵大臣から伺つたことを総合いたしまして、こんなような解釈にしちや工合が悪いですかね。継続費の国会の議決というものは、その年度については議決すると同時に歳出予算に計上してありますね。ところが債務負担行為についても、ここで議決しても、直ちに歳出に計上しない場合もある。必要があれば歳出予算に又別に計上する。継続費の場合にも国会は議決をして、初年度のものは歳出予算に計上する。併し次年度以降のものは国会が議決をして修正されない限り、或る程度の拘束力があるけれども、現実の予算としては次の年に、歳出予算としては次の年に歳出予算に計上したとき効力がある、こういうふうに解釈されるべきじやないでしようか。そうすれば今大蔵大臣の説明されたように、予算が不成立になつた場合にも、暫定予算に歳出予算として月割額を計上する。それから歳出第二十何年度の第何の款項から幾ら幾らの支出をするということで、あなたのほうが予算の令達もできる。併し予算が全然不成立なのに、継続費の議決が生きているからといつて、第何の予算の款項から幾ら幾らの予算を令達するということはあり得ないのじやないかと思います。それで継続費という議決も、議決としては一応効力はあるが、歳出予算としては、歳出予算として計上された際に歳出予算としての効力がある、この解釈することはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/111
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112・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) まあ歳出予算という言葉を非常に狹くお使いになつた場合においては、継続費として議決されるわけでありますからして、歳出予算としては飽くまでその中に含まれなければならんわけでありますが、私たちの申上げておりますのは、結局国庫債務負担行為の場合におきましては、債務負担についての権限はあるけれども、支出については改めてその後に国会の議決を経なければならない。ところがそれだけでは実際上の運営から申しまして不十分な点があるという趣旨の下に、継続費制度を設けたわけであります。従いまして年度割額につきまして、すでに議決を経たものにつきましては、やはり予算としての議決を経たのでありますからして、その効力は理論上は成り立つ、そういう考え方をとらざるを得ないわけであります。ただ先ほどから木内さんがおつしやつていましたように、如何にも別な観点、即ち予算全体の観点から申しますと、ほかのものは死んでおるのに継続費だけが生きておるというのは、一般の常識から見て奇異の感を持つ、こういう見地からお話になつておるんだろうと思いますが、私たちもその実際的な扱いについては全く同様の感じを持つわけであります。それで継続費の理論的な要求は別といたしまして、やはり毎年予算ができましたときに、その中に歳出予算の一部として、年割額が含まれておるわけでございますからして、その年割額を使用するときには、他の項目と同様に内閣が配賦を改めてして、その配賦の手続がなければ使うことは自由にできないという制度によりまして、実際上継続費だけがむやみに使われるということを排して行きたいという考え方なんですが、やや折衷というかそういう感じを私たちも持つのでありますが、継続費の本質から申しますと、やはり年割額は議決を経て生きておる。ただ素人考えというとおかしいですが、実際的には継続費は生きておるということが何か感じがおかしいという点からやはりお話があるのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/112
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113・木内四郎
○木内四郎君 説明の相違だけで実際上は差支えないと思うのですけれども、若し極端に言うとですね、さつき大蔵大臣の言われたように本予算が不成立になつて暫定予算になつて、二カ月分のものを計上をしたという場合に、今あなたの言われるように、それが本当は歳出予算として生きておるのだというような若し説明をすれば、二カ月の暫定予算は計上されたけれども、予算の令達は一年分やり得るというようなことになるのじやないか、暫定予算で二カ月分計上したというような場合に、そういうような不合理が……、理論的にですよ、結果になるような説明をしないで、国会では継続費としての議決は生きておるけれども、歳出の予算はですね、やはり予算の中に計上したときに、初めてこれが予算として生きて来るんです、こういうふうに説明されたほうがいいのじやないかと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/113
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114・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) 説明の仕方だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/114
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115・木村禧八郎
○木村禧八郎君 只今の法規課長のあれなら、債務負担行為と同じで、わざわざ予算総則の中にですね、予算の中にこれを継続費というものを謳う必要がない。そこを問題にしておるのじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/115
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116・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) まあ木内さんのおつしやいます点と木村さんの言われます点は、丁度両方の問題が極端にありまして、私たちも継続費の解釈についてはそこでしよつちゆう悩んでおるわけでありますが、継続費を設ける以上は、今木村さんのおつしやつた点が確かにあるわけでございます。私たちもそういう意味からしてどうしても必要な場合には、政府としてそれの配賦をすることは、理論上可能であると考えております。ただ余りほかの予算と平仄の合わないようなことをやるということは、運営上問題が起きますからして、まあ配賦につきましては、やはり一応暫定予算に載せまして、そうしてそれに基く配賦を行なつて行くということで実際上の解決を図つて行きたい、こう申上げる以外にないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/116
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117・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に予算の総額と継続費の年割額の総計との割合について先ほど大蔵大臣ちよつと言われましたが、その点についてお伺いしたいと思うのですが、これは国の経営の費用というものは考えようによつては永久的な継続費の性格を持つたものが多いと思いますが、官吏の俸給などは継続費みたいなものであると私は思います。それを毎年予算に盛つて歳入歳出について国会の議決を経るのはこれはやはり憲法上の予算制度である、こういうように解釈していいと思います。従つて例外的な継続費は先ほど大蔵大臣も言われましたように成るべく少くするのが原則であると思います。ところが一度継続費を設けますと、従来の例から見ますると、だんだんとこれは逐次増加して参りまして、先ほどもお話になつたように三〇%近くに達したこともございます。又明治時代にはもつと多いときもあつたそうでございますが、政府として今後これを一体何%くらいまで継続費を設けるつもりであるか。又大蔵大臣として特に何%くらいまでが適当であるとお考えであるか、この点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/117
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118・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは例の総予算に対して何%というのが問題になるのは、予備費がよく問題になるのであります。予備費は大体通常三%とか何とか言われておりますが、併しここ二、三年の予備費というものは五億、十億に限られ、今回が初めて三十億になつた。こういう日本の予算は普通言われておるところの昔の二、三%の予備費を持つた時代に比べましてはよほど変つておりますが、継続費について何%ということは私はなかなか言い得ないのではないかと思います。今御審議願つておるのはダムの建設と関門トンネルぐらいであります。これは御承知の通り殆んど問題にならん程度であります。私はこれは五%がいいとか、一〇%がいいとか、或いは一%以内にとどめなければならないということはないのでありまして、やはりできるだけ少く、特に必要止むを得ないものを例外的に認めて行くのが本当であると思います。これが憲法八十六條の原則でございますからそうありたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/118
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119・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、やはり又今の大蔵大臣の話でも成るべく少いほうがいい、これが八十六條の原則に合致するものである。私もこれは成るべく少くして、仮に設けるとしても、必要止むを得ない極く小範囲にとどめておくほうがいいと考えるのでありますが、併し従来の例はこれを一旦設けてしまいますと、各省がこぞつて継続費の設定を競争してやつておつた。これはもう否めないだろうと思いますが、特に今後警察予備隊だとか、安全保障の費用、自衛力の強化というもんでどんどんこれが昔の八・八艦隊式に出て来るというふうなことも考えられるのでありますが、そうするとそれが強くなつて来るに従つて、それに圧迫を受けて来ると思いますので、この際に一応例外的なものを設けて、まだ憲法上にも疑義があるとするならば、財政法の中にはつきりと何%以内というくらいに、私は一応今二十七年度の予算でお出しになつた程度、このくらいなところがまずいいんじやないかというところで、或る程度の制限を設けておいたほうが私はいいと思うのでありますが、それはまあ時の財政規模その他から考えてもつと拡大すべきだというときには、新たに一つ審議をするということにして、この際に全然制限を設けずに、これは今のこの法案から行きますると五〇%でもいい、極端な例を申しますとそういうことになるわけでありますが、これは常識論だとおつしやられるだろうと思いますが、そこで結論として私は十四條の三項を設けて或る程度の制限を設ける必要があるとこういうふうに考えるのですが、政府はこれに対して御異議がないか、この点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/119
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120・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは何%ということをきめることがもうむずかしいと同時に、きめてもこれは余り意味のないものであろうかと思います。拔き差しならないようになつても困ります。そこで何%が適当なりやということは、国会で御審議願いたい。これが先ほど修正減額ができるということは……。うつかりするとどんどん継続費ができて、次年度三年度そのままであつて、次年度に又継続費が出て来る、こうなつて来ますから、そこでこれは国会の修正権もあつたほうがいいんだ、こういう全体として、予算審議全体から御審議願う。従つて継続費が何%ということをきめるということは、私は極端な、言葉は悪いかも知れませんが、ナンセンスではないか。それよりもこれが継続費として必要であるかどうかということからきめて行くべきものじやないか。それが私が言う継続費である、例外的なものである。こういう強い意味じやないかと思います。継続費を抑えるのには……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/120
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121・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その点については先ほど審議権について大分我々事務当局から説明を聞いたよりもちよつと変つた大蔵大臣から説明がありましたので、この点については余り深く私も論議しないことにして、次にそれではこの継続費の年限について一つお伺いしたいと思うのでありますが、明治の末期から大正の初めにかけての継続費は十年くらいの継続費というようなのがあつたわけであります。例としてこれは十年或いは十五年というのがあつたということを聞いておりますが、従いまして今大体各国とも通例としまして経済五カ年計画だとか、すべて五カ年を單位に計画を進めておるようであります。従いましてこの継続費も形式的に少しずつ出してその地方の要望を入れておく、そうして総花式の継続費の設定というようなことになつたんでは、却つて継続費設定の意味がなくなるのじやないか。そういうことから考えまして五カ年くらいを限度として、今お出しになつておる三十七年度の予算を見ましても大体五カ年以内になつておるわけでありますが、この年限も或る程度これは制限しておく必要が私はあると思うのでありますが、従来の例からこれが総花式で成るべくたくさんのほうぼうへ義理を立てて、そうして年度を延ばしてやつて行こう、こういうような傾向があつたわけでありますが、そういう点に鑑みまして年限を五カ年くらいにする、五カ年以内というふうにするのが適当ではないかとかように考えるのですが、この年限について一つ大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/121
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122・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは実質的にはパーセンテージの問題と同じような問題でございまして、私は年限を切るよりも、その事業自体について御検討願うのがいいのではないかと思います。三年にする場合もありましようし、或いは六年くらいにしたほうが実際便利がいい場合もありましよう。ダムを造りますにつきましても、トンネルをやりますにつきましても、何年まではいいけれども、何年越えてはいかんというような形式的なものよりも、予算全体として御考慮願えば、おのずから限度があるのじやないかと考えます。これは飽くまで経済効果を狙つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/122
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123・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちよつとその点について……。大蔵大臣の御答弁一応御尤もですが、一番今我々問題にしておるのは、軍事費的なものですね。軍事費的なものについて今後継続費的なものが多く出て来るのではないかという心配がありますが、例えばアメリカのように軍事予算については、継続費的なものを最長二年の期間を制限しておる。その他のものについては多年度予算とか、或いは無期限予算とかありますが、軍事費については、わざわざ継続費的なものについて最長二年の期間を制限しております。で繰越費を仮に認めても四カ年、従つてこういうものについてはやはり今後濫用される弊害があるようなものについては、やはり事前にそういう機械的にではなく、制限を設けるのがいいのではないかと思うのですが、その点は大蔵大臣どうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/123
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124・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 継続費の期間の問題で、まあ昔は軍艦を造る場合が一番多かつたと思うのであります。併し我々は今軍艦を造ろうなんていう気持は全然持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/124
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125・木村禧八郎
○木村禧八郎君 現在はそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/125
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126・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) そこでこれも又予算の審議のところで、そういう形式的に何年とかいう問題よりも、これは継続費として適当なりや否や。又その科目についての継続費が何年でいいかというようなことは、あなたがたが万能でございますから、その都度お考え頂いたほうがいいのではないかと思います。今軍艦のお話が出ましたが、軍艦陸奥、長門を造ろうと思えば、五百億円ぐらい一艘で要るのですが、とても継続費にしましてもたくさんなことだと思うのです。而して私は継続費の今後設けようとする趣旨をお考え下されば……、而も年次割にあなたがたの御審議を願う……、法規的にこうだああだというようなことは、私は実際論といたしまして必要じやない。年次を御審議願うのだから特に形式的な制限は如何なものかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/126
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127・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その点大蔵大臣は国会が最高の機関で、これを修正したり何かできるのだから、国会の自由になるのだからそう窮屈な制限を設けなくてもいいのじやないかというお話ですけれども、そこが問題でありまして、成るほど実際がそういうふうになれば、窮屈な規定を設ける必要もありませんし、我々も又この継続費をこんなにやかましく言う必要はないと思うのであります。問題は現在のいろいろな客観的な條件が窮屈に規定をしておかないと、濫用される公算が大きい方向に向つておるというところにあるわけなんで、従つてこれは成るべく消極的に、成るべく制限的に規定して、これは濫用されないようにするのが我々の義務だと思うのであります。国会が何でもできるというのならばいいのでありますが、それならば今の国会はどうですか。衆議院はどうですか。この継続費の法案は簡單に絶対多数で通して、或いは満場一致であるかも知れません。(笑声)通しちやつて持つて来ると、或いは又予算の委員会等で野党が退場しちやつて興野だけで予算を成立させる、こういうような独裁的な政治形態になつておる。そういう状態の下で、これを非常に制限を窮屈にしないで認めたら、濫用される公算が大だと思うのであります。又長期財政計画というのはきちんと立つていて、そうして一部で来年度にこういうものはやり、再来年度にこういうものをやる、全体の財政計画がちやんと立つていて、その上での継続費ならばまだ納得も行くのであります。ところがそういうものがないから行き当りばつたりで、大蔵大臣は軍艦は作らんと言いますけれども、再軍備、漸増計画と言いますから、だんだんに殖えて行けば、大砲から軍艦に行かないとも限りませんし、そういうことは今問題ではないと思いますけれども、我々としては事前にそういう情勢を見通してこれを判断しなければならんと思います。そういうような條件があるわけです。客観的には再軍備の方向に向いておるというこの情勢です。又臨軍的に予算がなる危險があるのです現に……。その際にこういう継続費が出て来るから心配するのであつて、従つて大蔵大臣は国会が何でもできるのだと考えるのは、非常に消極的に、例外的に解釈するのが当然だと思うのであります。その点は大藏大臣なんか馬鹿に簡單に考えておるようですけれども、濫用される危險を一番我々が心配するのでありますが、又濫用の問題について大蔵大臣はどう考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/127
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128・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 大藏大臣といたしましては、先ほど来申上げましたように、これは例外的のものでございまして、嚴に濫用は愼しまなければならないと思います。これはむちやくちやにやるようだつたら、それこそあなたがたの心配になりますような八十六條なんかで十分濫用の起らないように予算は編成して行かなければならん。従つて実質的には国会で御審議になるのでありますからして、何年でなくてはいかんというふうに規定するのはどうかと思います。この実態を御議論願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/128
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129・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつとお願いいたしますが、衆議院の予算委員会が午後一時から再開されますので、大臣があつちへ行かれる御都合もありますので、御質問はそれを心に入れて頂いてお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/129
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130・小林政夫
○小林政夫君 大臣が向うへ行くのでしたら止むを得ないので、一応この財政法の審議は今日は打切つてもらつて、先ほどの増額修正の問題についてはつきり政府としての御答弁を願う問題もありますので、次回大臣の出席可能の日に再開をして質問を続行するということにお取計らい願いたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/130
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131・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつとお諮りしますが、閉鎖機関のほうを一時質疑を中止してありましたが、いろいろな書類が揃つておりませんので……。書類が整つたところでもう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/131
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132・大野幸一
○大野幸一君 閉鎖機関の委員長に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/132
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133・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/133
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134・大野幸一
○大野幸一君 ちよつと閉鎖機関の委員長が御出席ですから御質問いたしたいと思います。今度閉鎖機関の整理に伴つて、職員との関係を聞きたいと思います。職員に対する関係で今千人未満の職員があるようでありまするが、これが閉鎖機関が廃止になるようなことになると、この職員たちの問題が起る。そこで聞くところによると、これをブロツクに分けまして分けられるようなことを聞いております。例えば在外資産とか、特殊法人、一般法人というように今そういうようなふうになつておるそうですが、ちよつと考えました一つの構想は、こういうような三つのブロツクに分れて而も大分優秀な職員の人が多いだろうと思います。こういう分れたブロツクを又新らしい何かの法人組織に再出発するような構想を以て、こういう人たちの将来の生活安全に期せられないかと考えるんだが、こういう点についてどういう構想がありますか、そういう構想は無理ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/134
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135・佐藤一郎
○説明員(佐藤一郎君) お答えいたします。今の職員の問題でありますが、今度新らしく考えておりますのは、委員会が解散したあと、さつき申しましたようにブロツク別に同一種類のものを合せまして清算人を任命しまして、その下に職員を置いて差当り従来通り閉鎖機関の仕事をやるというふうに考えておりますので、そこに採用される職員につきましては、その人数はまだ確定しておりませんが、相当程度必要になりますので、そちらのほうへ移行することになつております。
それから最終的に職員の雇傭の問題はどうなるかという点につきましては、今就職斡旋室というものを設けまして、相当專門的にいろいろ労働省あたりとも連絡をとりまして專門的に就職の斡旋をしております。一方将来閉鎖機関の中で資産がありまして、且つ利害関係者の希望のあるものにつきましては、適当と認められるものは、新らしい会社の設立等を許可しまして、その面に相当程度の職員を吸收することも可能じやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/135
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136・大野幸一
○大野幸一君 年限が少いために一般公務員に準ぜられるような職員になつているのでしようが、退職手当等については甚だ不利益な立場にあるので、総体から言つても千人未満であるから、而もこれは優秀な人ばかりで、一旦失職その他になると、こういう時局柄非常に悪影響があるだろうと思うが、いろいろな方法において全員まあ犠牲のないようにできる可能性があるかどうか、そういう努力をせられておるかどうかということですが、全員というところに私は疑義があると思う。僅かな人数であるから、そういう点については十分考慮されておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/136
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137・堀口定義
○説明員(堀口定義君) お答えいたします。全員という意味でありますが、さつきお答えいたしましたように、一方従来の会社なり政府機関なりその他従来存続する一つの会社等に対して就職斡旋する方法は、さつき申しましたように、就職斡旋室を置きまして、極力やつておるわけであります。それから将来例えば金融機関であるとか、或いは電源開発その他に関しまして、そういう一つの企業体ができるような場合には、成るべくそちらのほうに吸收するように努力したい、そうしてなお残つた職員につきましては、さつきに申しましたような、当分の間閉鎖機関の整理の仕事がまだ残つております。それをやりまして、その最終的な段階に来ました場合には、更に一般的な会社に対する斡旋なり、第三会社等の構想によつて、成るべく全部が就職できるようにということを考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/137
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138・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 閉鎖機関のかたにちよつとお願いしますが、先ほどお願いした書類を至急お願いします。そうしてそういう機会にもう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/138
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139・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の点についても大事な点だと思うので、資料を出すときにもう一遍よく委員長からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/139
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140・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ではこれを以て散会いたします。
午後一時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X00919520131/140
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