1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月二十九日(土曜日)
午前十一時十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
伊藤 保平君
菊川 孝夫君
木内 四郎君
委員
岡崎 真一君
黒田 英雄君
西川甚五郎君
溝淵 春次君
小林 政夫君
田村 文吉君
森 八三一君
野溝 勝君
大野 幸一君
波多野 鼎君
菊田 七平君
油井賢太郎君
木村禧八郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
政府委員
大蔵大臣官房長 森永貞一郎君
大蔵省主計局長 河野 一之君
大蔵省主計局法
規課長 佐藤 一郎君
大蔵省主税局税
関部長 北島 武雄君
大蔵省理財局長 石田 正君
大蔵省理財局次
長 酒井 俊彦君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
大蔵省銀行局総
務課長 福田 久男君
通商産業省通商
纎維局長 記内 角一君
通商産業省通商
化学局長 中村辰五郎君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
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本日の会議に付した事件
○在外公館等借入金の返済の実施に関
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)(在外、第十二回国会継続)
○ポンド問題に関する件
○関税定率法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○小委員会設置の件
○小委員の選任の件
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001・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) お待たせいたしました。第三十二回の大蔵委員会を開催いたします。在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案について質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/1
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002・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちよつとこの法律案の質疑に入る前に今朝の新聞に非常に重要な、いわゆる経済振興に関する大蔵大臣の構想というのが出ておりますが、これについて簡單にちよつと質問したいのですがよろしうございますか……。
今朝大蔵大臣御承知のように経済振興の構想として手持外貨の積極的活用を中心とする構想を協議されたということが発表されておりますが、これは大体新聞に出ておるような構想に間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/2
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003・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 見出しだけ見たのでございまして、内容は一、二の新聞を読みましたが少し書き過ぎておると思うのでございますが、書き過ぎている新聞もあります。大体の考え方としては、私が本委員会と予算委員会であなたに答弁したような気持でおるのでございまして、今までの答弁が少し具体的になつたかと思いますが、或る新聞のごときは具体的過ぎておるところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/3
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004・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつとお待ち下さい。今在外公館借入に関する質疑と委員長が申上げたのですが、それに関連しておると思つたが関連していないですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/4
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005・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今委員長にそういう意味で御承認を得たわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/5
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006・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ですからそれを許可して差支えございませんか。一つ皆さんにお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/6
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007・波多野鼎
○波多野鼎君 議事進行について。在外公館の問題を先にやつてもらつて、そうして大蔵大臣に少し残つてもらつて、僕も実は質問したいことがあるのですが、関連しないことですが、あとでどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/7
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008・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それでもよろしうございますが、先ほど委員長は大蔵大臣は午後残れないというお話だから非常に簡單に質問したいということで御了承を得たわけなんですが、それで若しか午後残れれば結構です。あとで時間があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/8
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009・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは大蔵大臣に成るべく残つて頂いて、木村さんの質疑をやつて頂くということにしてあとに廻して頂きます。
ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/9
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010・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。
それでは在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案について質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/10
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011・波多野鼎
○波多野鼎君 それでは私は大蔵大臣に出席を求めた張本人ですから一つだけ聞いておきたいのですが、在外公館の借入金、これは昨日この委員会でいろいろ論議がありましたが、論議の焦点は、この借入金は終戦後に国が負うた確定債務である、従つて政府のほうにおいてはこれはどういう趣旨で支払をしようとしておるか。政府原案を見てみると何だか非常にあいまい極まるものであつて、確定債権として承認しておるのかどうかということさえも疑問だという点に問題があつたのであります。政府のほうとして基本的な方針はどこにあるかということを先ず承わつておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/11
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012・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通り、終戰直後の外地における状態で止むを得ず同胞の援護のために外地在留民のお金を借りまして、そうしてその急場を凌いだ、その後これの返還の問題がありましたときいろいろ紆余曲折があつたのでありますが、両院で強い要望がございまして、或る程度の支払をしたほうがいいだろう、こういう結論が出まして、そうしてその債務は今回の法律によつて確定することにいたしておるのであります。御承知の通り異論はあります。例えば引揚者は千円だつたかと思いまするが、それしかもらわない、こういうことでございまして、財産がたくさん持つて帰れなかつたというような事情がございますので、連絡をすることも如何なものか、片一方では財政資金の点もございますので、一応払うことは払うということにいたして、その払い方、即ちどれだけを払うかということを、確定的内容の債務と言うか、それは今回のこの法律によつてきまることに相成つておると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/12
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013・波多野鼎
○波多野鼎君 それでは何ですね、この現地で実際に借りて、借用証書を出しておるようでありますが、あの借用証書などは債務を負うたことを国が承認したことではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/13
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014・石田正
○政府委員(石田正君) 多少法律的な問題に触れるかと思いますので補足して申上げますが、これは在外公館等借入金整理準備審査会法というのが第一回のときにできまして、この第一條に「債務として承認する」という言葉があるわけでありますが、これは第一條第二項であります。「法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において、将来返済すべき国の債務として承認する」こういうことでありまして、国の債務ではありまするけれども、その内容をどういうふうにいたしますかということは、「法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において」という條件附の承認でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/14
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015・波多野鼎
○波多野鼎君 そうしますと、現地で金を借りたときに出した証書、借用証書、あれはどういう効果を持つておることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/15
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016・石田正
○政府委員(石田正君) これはその当時、昨日もお話がございましたけれども、外務大臣からの訓令がありまして、そうして現地の公館には居留民団、それから民間、その他によりまして、できるだけ引揚に必要な経費というものをお願いするということで、併し相当大きな分というものは結局国において負担することになるのじやないかという意味のことでありました、そこでそういうふうなものに基きまして現地でいろいろ借入れが行われた。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/16
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017・波多野鼎
○波多野鼎君 そうしますと、初めつから借りるときに借用証書を出したわけではないと、この金額は借用証書と言いますか、受取、公館のほうから出した受取には金額はあるけれども、これは初めから確定的なものじやない、どれだけ払うかわからんぞ、どれだけ支払うかわからんが、これだけ借りたという意味であれを出したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/17
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018・石田正
○政府委員(石田正君) これは借用証書を、或いは借用証を御覧になるとおわかりになると思うのですが、在外公館がみずから出しました借用証書もございますれば、民間が出しましたところの借用証書もあります。その形というものは、形式上から申しますると、非常にいろいろなものになつておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/18
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019・木村禧八郎
○木村禧八郎君 併しそれは先ほど石田さんが説明されたように、在外公館等借入金整理準備審査会法によつて債務ときめたのでしよう。ですから誰が貸したかとかどうとかいうことよりも、この法律に基いて債務とするということになつたことははつきりしておるわけですね。それからもう一つですね。はつきりしないのもあるかも知れませんけれども、はつきりしたのもあるわけでしよう。吉田茂氏が訓令を発して、そして在外公館に民留民団その他から借りろ、こういうようにして、証書まであつて、はつきりしておるものもあるわけです、それからはつきりしないものもあると言いますけれども、極めてはつきりしたものもあるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/19
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020・石田正
○政府委員(石田正君) 波多野委員からの御質問は、一番初めの証書はどうだつたか、こういう御質問であろうかと思いましたので、そういう意味で答えたわけであります。それから木村委員からの御質問は、その後におきまして、要するに、二十四年の六月に整理準備審査会法というものができましたときに、そういうふうに確認したと、要するにさつき申上げましたのを繰返して申上げますと、「法律の定めるところに従い、且つ、予算の範囲内において、将来返済すべき国の債務として承認する」という行為を、整理準備審査会法によりまして、国が行うように至つたと、こう申しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/20
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021・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、前に大蔵大臣が御説明になつた千円しか持つて帰れなかつた、だから千円を超えるものについては、まあ前に石田さんが説明されたように、いわゆる在外財産として扱うと、こういう説明は、これはこの審査会において債務として決定すればこれはまあ成立たないわけですね。もうすでにこの法律ができてそれで債務として決定すれば、前にいろいうなことがあつたかも知れませんけれども、とにかくこの法律によつて債務として認める、こういうことになつておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/21
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022・石田正
○政府委員(石田正君) 大蔵大臣がお話になりましたのは、法律的な問題に必ずしも重点を置いてお答えになつたのじやないと思います。私は波多野委員の御質問に対しまして法律的な問題に亘るように思いましたのでお答えしたわけであります。なお今木村委員からのお話につきましては、「法律の定めるところに従い、予算の範囲内において」ということがなぜ書かれなければならなかつたかということになりますると、いろいろな事情が加わるかと思いますけれども、大蔵大臣のお話になりましたようなことも考えられてこういうことになつたのではないか、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/22
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023・波多野鼎
○波多野鼎君 それじや最後の質問をしますが、大蔵大臣としては、まあ借りたときは混乱の真際で借りたんだと、千円以上は持つて帰れんのだから、千円を超える金額を借りたところで、それは在外財産と合一して扱うべきものだと、こういう考えで今の法律案を出されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/23
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024・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) まあそういうことでございますが、在外財産としてということは、必ずしも私の考えておるところではありません。そういう事情の下に貸借が行われました。そうしてこれをどうするかということが問題になつて、今の審査会法ができて、そうしてその当時の貨幣価値の状況等を見まして、これこれ払うべきものがあるということを、具体的にこの法律できめようとするのであります。従いまして、法律に言われておる在外財産の処理として、一般の在外財産の処理として、考えておるのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/24
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025・波多野鼎
○波多野鼎君 在外財産の処理として考えていないというならば問題があるのですよ。それならば現に法律案においても、三万円でしたか五万円でしたかを限度にしておりますが、この三万円か五万円を限度にしておるということ、それだけがすでにもう在外財産として取扱つてない証明だと思う。而してなぜこれを在外財産として取扱わないで、別個のものとして取扱つておるかと言えば、政府が借りたんだと、そうして借りて貨幣としての効用はすでに發揮したのだということをはつきり認めておられるから、こういうことになつておると思う。それならば私は言いたいのですが、政府のほうではつきり借用しましたという証書を出しておるというものについては、金額お返しになるおつもりはないのですか。それが当然じやないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/25
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026・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) そういう議論もないことはございませんが、先ほど私が申上げましたような、いろいろな事情がございまして、とにかく払うべきものか、払うべからざるものかということにつきまして、検討の結果、條件附で払おうというので、審査会法ができてやつたのであります。而してそのときに、この問題は閣議決定も多分なかつたと思います。在外公館の借入問題はこういういろいろの経緯を経て、特別措置として処理いたしたいというので、こういう法案を設けたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/26
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027・波多野鼎
○波多野鼎君 最後に注文しておきますが、実際海外から引揚げられた人たちが、その当座は千円しか持つて来られなかつたかも知れない、知れないでしようが、とにかく持つておる財産を政府に貸したという意識は、これはもうはつきりしておるのですよ。政府のほうに貸したという自覚は、貸したほうではつきりしておる、借りたほうでははつきりしておらんということでは、国の威信というものが問題になる。私は国及び政府がなした行為については、国及び政府が責任を負うべきだと思う。この問題については、これは委員会ではどういう結論が出ますか知れませんが、政府のほうにおいても国の威信を保つ上において、信用を保つ上において、丁度外国へ、イギリスヘは借金を払うということの肚をきめられたようでありますが、イギリスに払うなら引揚者にも払つて頂きたいということを要望いたしまして私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/27
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028・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほどいわゆる條件附でこれを認めたというお話ですが、條件と言いますと、法律の定めるところに従うということが一つと、もう一つは予算の範囲内ということですね。法律の定めるところに従うという條件については、石田さんはさつき千円しか持つて来られなかつたということも考慮に入れているのだと、こういうお話でしたが、実際はこの換算率の問題、いろいろな手続の問題、こういうことが法律の定めるところに従うというのであつて、千円しか持つて来られなかつたという事情をここで勘案しているというのは、どうも説明としては少し無理があるのじやないかと思うのです。それからもう一つの予算の範囲内ですが、この予算の範囲内というのは具体的には何を指しているのか、財源との考慮において……、こういう意味だろうと思うのです。財源の問題になるとこれは又一概には言えませんが、この引揚者団体のほうでお聞きしたところによれば、八億五千万円に対して、更にまあ殖えるのは二、三億ぐらいのものだ、まあ十億程度になる。その程度の予算金額の節約と、国の信用に対して疑惑を深めるという、そのどつちが大きいか。私これは著しく金額が大きければ我々もやはり考えなければならない点もあると思うのです、併しそれがそんなに、大きいことではないと思うのです。従つて又せめてはつきり、先ほどの波多野氏の言われたように、はつきりしている分については全額払うことにすれば、そんなにあれは変らないのじやないですか、財源関係で。この点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/28
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029・石田正
○政府委員(石田正君) 財源関係と申しますかにつきましては大したことはないのではないか、予算はこれしか出ないではないかと、こういうお話でございます。この点につきましては予算というものは、大体法律の定めるところに従い、且つ予算の範囲内ということでございますが、私たちといたしましては法案を出しました場合におきまして、その法案の趣旨に副つたような予算を組むというふうな意味でやつておつたのでございます。なおどういうふうに直したら、直すべきかという御意見があるかも知れませんが、仮に今五万円というのは、五万円を撤廃したらどうだろうかと、こういうことでございます。その数字を申上げますと、私たちの一応の算定によりますると、この間も申しましたような工合に、五万円を超えますところの件数は約二千二百件ばかりでございますが、これを換算率に従つたままで払いますということになりますと、いわゆる五億五千八百万円ほどのことに相成ります。それに対しまして五万円で打切りました場合の数字は、一億一千四百万円ということでございまして、大体これの差額と申しますか、そういうふうなものは約四億四千万円になる、こういうふうに考えておるわけであります。換算率が変りました場合にどうなるかということは、これは換算率を変えました場合のやつでありまして、どういうことになりますか数字のことは申上げられないのでございまするが、二、三億の数字ではないわけであります。それからこの二億か三億かの問題であるから、それだけやつたらどうかというお話がございますが、これにつきましては、先ほど申しましたような工合に、法律に定むるところ、それから予算の範囲とありますことは、審査会法においてあるところでありますが、なおそのあとの在外公館等借入金の返済の準備に関する法律の二條におきましても、国民負担の衡平の見地を考えてやらなければならんというふうな規定があるのでございます。外地から引揚げせられましたかたは千円であるから、それと同じ千円にしてしまうというふうな考え方で今度の法案は進んでおるわけではないのでありますけれども、国民負担の衡平の見地ということを考えますると、戰後のいろいろの問題というものも考えなければならないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/29
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030・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その国民負担の衡平の見地というのは昨日ですね、石田さんと論戰したとこうなんです。それは例ですね、例えば戰時補償打切り、それなんか一番顯著な例だと思うのです、それは問題が違うというのですね、あれは終戰後において生じた問題で、それについて国民負担の衡平云々ということは当らない、大蔵大臣も在外資産として扱つておるのじやないということを言つておるのです。そうしたら国民負担の衡平云々のことはですね、一体何を指すのか、私はそれはどうも当らないのじやないかと思う。在外資産として扱つておるならそういうことになります。石田さんの言うようになる。在外資産として扱つておるのに……在外資産については補償する、ところが国内のあの保險金の問題、或いは又戰時補償の問題、ああいうものを打切るというのと比較すれば衡平の問題が起るのです。大蔵大臣は明確にこれは在外資産と切離して考えておる、こういうふうに言われておりますが、そうしたら今の国民負担の衡平の原則というものは衡平だの不衡平というのは説明にならないのですが、その外にどういう理由で衡平ということを意味しておるのか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/30
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031・石田正
○政府委員(石田正君) 大分法律論と、それから法律を離れた問題とあるかと思うのですが、戰前のものであるか、戰後のものであるかというふうなことでは、何か法律的の意味にも解釈できるのでありますが、国民負担の衡平の見地からということになりますと、必ずしも戰前のものであるとか、戰後のものであるとか考慮しなければならないというものではなくして、いろいろな観点を考えてやつたらどうか、そういうことではないかと私は解釈しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/31
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032・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは非常におかしいと思うのです。そういう問題が起るからこそ大蔵大臣は在外資産と区別してやつたという、在外資産の一部としてやれば確かにその問題が起るのです。もうはつきりしておる。ですから大蔵大臣は在外資産と区別しておるというのですからこれは極めてはつきりしておる。在外資産の一部となると問題です。在外資産の一部に補償するなら国内において補償するものはたくさんあります。ですから大蔵大臣はそれを心配されて若しか在外資産の一部としてこれを補償するということになれば、これは重大なる問題になつて来る。ですから大蔵大臣はそれを考慮されて、あなたの言われたそれを考慮されて、区別もしておる。それならばです、負担衡平云々ということはないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/32
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033・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) どうも大分言葉尻が出て来るようでございます。これは私は一般の言われておる在外財産の措置の一つとしてやるのではないと、こういうのであります。これが在外財産であるかどうかという問題につきましては問題です。私の言わんとするところは、一般に言われておる在外財産の、あの補償の問題とは区別してやる。在外財産とは申しておりません。あの未曾有のどさくさのときで、而も戰後とか戰前とか言つても紙一重であります。明瞭な問題ではない。戰時補償の打切問題も戰前戰後を通じての問題であつたのであります。例えば八月十五日の終戰でございますが、払つたとか払わないとか、或いは前渡金であるとか何とかいうことは幾らでも出て来ると思います。こういうふうに葉言尻を捉えて……、あのどさくさのときでありますので、やはり終戰前後の分につきましては、やはりこの程度の打切制度を置くべきじやないかというのでやつて来ておるのであります。で事柄は、私はこの問題が在外財産に揆を一にするというようなことは、まだ政府できまつておりませんので、ああいう措置にしたのであります。事柄は、終戰前後のどさくさの処理でありますので、あの当時の一連の措置、軍事補償打切とか財産税、或いは金融機関の再建整法等の事柄から考えまして、こういう措置を講ずる必要がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/33
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034・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まあこれは余り議論してもなかなかはつきりした結論に到達しないと思うのですけれども、ただ大蔵大臣は在外資産であるかないか、やはり議論の存するところであるけれども、一応この法律を作つて、こういうはつきりした形に出て来た場合には、これは在外財産の手続としてやはり区別してやるのだ、こういうのであります。これは非常に賢明な御答弁であつたと思うのです。若しこれは在外財産の一部であるということが入つて来れば、これは言葉尻じやなく、やはり戰時補償の問題とどうしてもからんで来て、これは重大問題化すると思うのです。ですから大蔵大臣は非常に賢明にも在外財産と、それは問題は議論はあるかも知れませんけれども、区別されて言われたのです。ですからそれは私はすつきりして来たと思うのです。その点は一応すつまりしております。ですからそれに衡平……、いわゆる企業整備とか軍事補償というものと別にやはり考えないと、その負担云々ということよりも、はつきりこれがまあそういう特殊の債務であつたということによつて、昨日北條さんからも証言があつたのですけれども、そういう引揚者団体のいろいろ御意見伺つても、私はそういう無理なことを引揚者団体は言つておられるのじやなくて、これはやはり、はつきり政府に対してこれを貸したのであるから割切れるように、正しくこれを解決して頂きたい、こういう意味の御意見なんです。で、問題は結局財源の問題になつて来ると思うのですよ。結局財源の問題に……、でそんなに財源がないわけでもないと思うのです。自然増収が三百億ぐらいはあるというお話ですから……。それによつてこれがすつきり解決するということは、やはり国の信用というものを保持する上に、却つて大局から見るといいのじやないかと思うのです。で、そういう意味で私はただ議論ばかり……、言葉尻を捉えたり何かする議論ということは余り好みませんから、この程度でよしますけれども、十分大蔵大臣もその点お考え願いたいと思うのです。どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/34
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035・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 十分考えてやつておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/35
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036・木村禧八郎
○木村禧八郎君 十分考えてやつたと言うけれども、これだけについて、これでは不十分であるから変えるように考慮される意思がおありかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/36
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037・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 只今変える意思は持つておりません、私のほうでは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/37
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038・木村禧八郎
○木村禧八郎君 お持ちになつていない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/38
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039・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/39
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040・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私はこの問題は余りむずかしい法律問題としてよりも、やはり政治問題としてどうしても解決しなければいけないと思うのでありますが、昨日も石田理財局長からの説明によりますると、経済の事情は大いにまあ変革しているのだと、ところがあの在外公館において借入をしなければならないようなときには恐らく日本の国は一体どうなるかわからんというふうなことをお互いに私は考えて、借入するほうも貸すほうもそうだつた、借りるほうもそうだつたと思います。又国内でもそうだつた。ところが今日になつて見ますと、あの当時に少くともお互いに想像し、杞憂したよりも若干違つた様相を呈しておるということは、これは認めなければならんと思うのです。例えばまあ自衛力を増強しなければならん、中には憲法を改正して再軍備しなければならん、軍艦や鉄砲や大砲もどんどん作らなければならんという論者も出て来ているわけです。それだけあの当時の考えのセンスとは随分変わつて来たものになつて来たと思うのです。特に憲法改正の委員長であつた、衆議院の委員長であつた人が、今日では憲法改正の急先鋒に立つておられるというふうに情勢が変わつて来ているのでありますから、その時から見ますと、その当時とは……、少し寛大に我々はまあ考えて返すようにしなければならないと思うのです、返す場合に……。成るほど今も領収証がはつきりしていないとか、民団で借入れているとか、或いは在外公館の正式な借入領収証があるとかないとかということを論ずるよりも、私はそういうふうに情勢はむしろあの当時に我々が考えたよりも違つた、よりまあいいという考え方を持つ人もあるし、又はかの考え方を持つ人もあるでありましようが、とにかく変つておることは事実であります。そうしますと、それに応じたような返済方法を考えなければならんと思うのであります。一概にただ法律問題だけで処理するわけにも行かない。で、まあこの法律の立法の趣旨もそういうふうなところから立案されておると思うのでありますが、一番このうちで問題になるのは、第四條の括弧内の五万円というのが何と言つても私は一番この法案のみそだと思うのです。これを五万円にするか、それとも政治的にもう少し配慮をするか、これが何と言つてもこの法案の分れ目だと、いろいろ論議いたしましても結論としてはここへ集約されるものと我々は思うのであります。そこで、お伺いしたいのは、石田君も昨日から再三経済事情の変革を強調しておられますけれども、あの当時にお互いの想像したよりも、今日ではより以上まだ考慮せなければならん余地がある、例えば自衛力漸増のほうを少し節約するというふうにしましたならば、これまでも五万円を十万円にする金が出て来るだろう。又大蔵大臣が自然増収を見通され、経済の発展を下半期において大いに見通すということになると、このくらいのことの考慮は楽にできると、我々はこう考えるのでありますが、この点を一つ、特に経済事情の変革ということは、我々から見るならば、むしろこうした貸した連中にとつては有利なように変革しておると、こういうふうに考えるのですが、池田大蔵大臣はその点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/40
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041・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 幾らにするかというのは、いろいろ議論したのでございます。内輪を申上げますと、先ず初め、主計局では一万円で行こう、それから石田君のところではこれを三万円、私のところへ来て、実は菊川さんのようなお話もありますので、私は五万円ぐらい……(笑声)これが打明け話でございます。そこで十三万件のうちで、できるだけのことは出そうというので、実は私は五万円、菊川さんの大蔵大臣としたら十万円……、十三万件のうちで二千件程度の人がお気の毒ですが、十万円ぐらいになるところを五万円にしておるのでありますが、それは一番初めに申上げましたような事情もありまして、この際五万円程度が適当である、件数その他から勘案して決断を下したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/41
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042・菊川孝夫
○菊川孝夫君 池田さんなかなか話せるので、事務官僚の立案よりも五万円まで殖やしたというのだが、我々から見たならば、もう少つし殖やして、そうしてここでうまく引揚者のかたも納得をさせるようにしなければならん。それで池田さんの頭の中には、千円よりか持つて帰れなかつたのじやないか、それを幸いにして在外公館が借入れてやつたので、従つてその債務として一応残つたのだということが頭の中にどつかに立案する場合に残つておるのじやないか。これを、在外公館が借入をしなかつた場合には千円より持つて帰れない。それにもかかわらずこういう借入の非常措置をとつたために或る程度の今回の返還ということができるのじやないか、というふうにどうも頭にこびりついておる。ところが昨日北條君から聞きました証言によりますと、むしろ貸出したがらないのを相当強要、半ば強要してでもとにかく同胞を救うためだから出してくれと言つて出さしておる。そのことから考えると、金と命は掛替えにするくらいにして持つておつたやつを無理やりにも出させるような方法で出したということを昨日証言いたしておるのであります。そのことから考えて見ても、この際もう少しここで政府は、一旦出してしまつた五万円であるけれども、これをもう少し考慮するということになりますと、先ず先ずこの点が一番私はこの法案のみそだと思うので、我々としてもこの点について考慮をいたしているのでありますが、ただ五万円というのも池田さんの勘で、而も相当政治力を発揮して五万円にせられたので、その根拠はそう大してないように思うのであります。従いましてこれを今の増収の見通し、それから今国が直面いたしております諸問題とも睨み合せて見ましたときに、これを立案せられました当時の情勢よりも、この人たちには借入を……、貸した連中にとつては有利に好転しておるのだから、この際これをもう少し政治力を発揮するつもりは、或いは余地はございませんでしようか。実際問題としてどつちみちこれがこの法案の一番のみそだと思うので、もう一遍重ねてお尋ねいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/42
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043・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 木村さんにお答えしたように、いろいろと考慮いたしまして結論を出したのであります。各階級ごとの件数につきましても検討を加えまして、この程度で我慢願いたいというのが私の今の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/43
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044・木村禧八郎
○木村禧八郎君 菊川さんの言われた政治的に考慮されるということも重要なんでありますけれども、要するにこれがはつきりして合理的に納得し、割切れて出されるのならば、これでも我慢されると思うのです。ところが只今のこれまでの大蔵大臣の御答弁によつて五万円という金額を切る根拠がなくなつたと思う。なぜ五万円で切るか、この五万円に切る根拠として、これまで言われたのは、衡平の原則が一つ、これは千円という問題と関連するのです。それは在外財産という観念と関連して来るのです。だからそれは在外財産の一種であり、千円しか持つて来られなかつたのを向うに残して来た。即ち在外財産だから、衡平の原則に反するから戰時補償等と勘案して、衡平の原則に反するから、丁度内地で保險金を五万円で打切つたのです、戰災のですね、丁度私はあの観念に合せて、そうして五万円という線を出したと思う。恐らく私はそうじやないかと思う。衡平の原則ということは、それは先ほどのお話で破れたのです。その根拠はそうじやない、いわゆる在外財産と区別して考えられておる。そうなると、五万円で切る根拠がないと私は思う。この点をはつきり根拠がなければ非常に不当なんです。なぜ五万円で切つたのか、この程度でいいだろうくらいでは、私は金額を幾らにして、菊川さんはもう少しまけろ、多くしろという問題もあるかも知れませんが、併し筋を通す上から言うと、金額の多い少いという問題ではないと思う。やはり借りたものは全部返す、在外財産の一種となるとそうは行かないのです、衡平の原則で。全額返すということについては問題があります、確かにこの中に……。併し大蔵大臣は区別されたのですから、私はその論拠がないと思う。論拠がないのにどうして五万円でこれを切るか、その点合理的に一つ御説明願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/44
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045・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 一般に言われておる在外財産と区別して、この特別の措置に基く法律案を出す、そうしたならば五万円で切るという根拠も出て来ないとも言えると思います。これはもう初めからこの換算率、その他を考えるときに、法律の定むるところによつてこの債務額を確定する、こうなつておるのでありますが、そういう法律で幾ら幾らに切るということは根拠がない、私は問題はやはり菊川さんもおつしやるように、全部払うかどうかという問題だと思うのです。そこで先ほど来問題になつておりますように、終戰後のあの経済措置の考え方を或る程度入れまして五万円、あのときの五万円だから価幣価値も違つておるのだから、もつと多くしろという議論が出て来るかも知れませんが、私は全体の件数、その他から申しまして、この程度で切るというのが適当じやないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/45
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046・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私はもうこの一つで終りますけれども、今大蔵大臣の御説明では、金額を切られて、法律できめる必要はないじやないかというお話ですが、併しそういうことは、きつき私が質問したその答弁にはならないのじやないかと思うのです。全額払うにしましても換算率の問題があります、それから財源の問題もあると思う。その著しく多いということになれば、又問題は別ですけれども、先ほど菊川氏が言われたように、財源がないというわけじやないと思う。ですからこれはどうしても合理的な御説明にならないと、この在外財産と区別される、こう言われた以上は衡平の原則、或いは千円云々ということは成立たないと私は思う。これ以上又あれしても満足な御答弁は得られない、先ほども一応結論的な御答弁を得ましたから、私はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/46
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047・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私は最後にこれで各委員の質問を総合しまして、結局何と言つても、木村氏の言う純理論も何ですが、私はどうしても政治問題として解決する以外にないとそう思うのであります。これは意見の相違で、ここで木村さんと議論してもあれですが、さてそうしますと、これを十万円にして七万円補助、この補助を国が助成するということにしましても大した金の問題じやないと思う。従つてこの八千五百二十七億の二十七年度の総予算を、少しああいう公務員の汚職事件が去年も随分数が挙つて来たのでありますが、これを少し大蔵大臣のほうで引締めて運用を誤まらせなかつたならば、あの人たちのを五万円に値切らなくても、もう少し政治的考慮が簡單に生れて来ると思う。そこで今年度二十七年度の予算執行に当りましては、これは又第二の大きな汚職事件も起きる危險性を孕んだ費目が多いと思うのでありますが、特に安全保障費によつて施設の建設、或いは買収等を行います場合、或いは国有財産の払下げ等を行う場合に、少し考慮をすれば、この金額は僅かな大蔵大臣の、これはもう事務的なやり方如何によつてこれは大蔵省も大蔵省全般として少し考慮をされて、各庁を督励されましたならば、簡約はできると思う。私の最後に要望したいのは、去年は非常に汚職事件が各庁ともない庁はない、而もその件数はだんだん増加して来ておる。私はいつもこの委員会において大蔵大臣が見えるたびによく汚職事件を引出すのでありますが、それをちよつと引締めればわけなく出て来るのだ。従いましてそういう予算の、二十七年度予算執行に当つては、特に今年は去年の轍を踏まないようにしてもらつて、これは出してもらいたいということを要望して、私の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/47
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048・油井賢太郎
○油井賢太郎君 一点だけ伺いたいのですが、この法律を出されるときに、国民負担の衡平の原則ということを謳つておられるのですが、この点所得税等を課せられる場合にも、高額所得者に対しては累進税を課せられる、これもいたし方ないという我々考えを持つております。併しこのような場合におきましても、五万円で打切つたならば、五万円を超過した分に対しては多少でも二分の一にするとか、或いは三分の一にするというようなことで以て皆納得するような方法を考慮せられなかつたかと疑問が出るのでありますが、そういうことをお考えになつたことはありませんか。又将来そういうように訂正する御意思はお持ちになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/48
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049・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 累進的の考え方もございましようが、累進税は非常に多いのでございますし、又それならば下のほうから、一万円からだんだん累進的ということも考えられるのじやないか。事務的に非常に困難な点がございますのでこういうふうにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/49
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050・木村禧八郎
○木村禧八郎君 最後に一つだけ……先ほどの衡平の原則というのは、これは石田さんでもよろしいのですが、衡平の原則というのは在外資産の観念から来ていると思うのです。それと戰時補償の問題、大蔵大臣は在外財産の一種でないと言われたのですが、この矛盾はどういうふうにあなたはお扱いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/50
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051・石田正
○政府委員(石田正君) 木村委員は非常に割切つてそういうことをお考えになつておるようですが、公館等借入金というものはもともとなかなか割切りがたいものである、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/51
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052・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その衡平の原則云々というのは今までの経過から随分御存じの通りなんです。それは戰時補償の問題です。それと、在外財産の問題、これが本質的な問題なんです、ですから在外財産の一種としてお扱いになるだろうけれども、問題になる点は区別されたんですからそれは成り立たないのですよ。どうも私はそこのところをおかしいと思う。今割切つて割切つてと言われますけれども、はつきりした分については全部お返しになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/52
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053・石田正
○政府委員(石田正君) 在外財産の問題とこれとは別であるから、全然もう在外財産のことは考える余地はないのだ、こういうことでございましよう、お話は、これは在外財産と違う扱いをする場合において在外財産はどうなつて行くかということをもうちつとも考えなくても、考えることは根本的に間違いであるというふうな御議論のように思うのでありますけれども、在外財産ばかりでございませんで、いろいろな問題について頭をめぐらしながら考えなければならないものなのだ、かように考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/53
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054・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういう御答弁ですと、事務当局もやはり法律的に解釈すべきですよ、法律解釈として、今のお話は法的な説明じやないと思うのです。私も先ほど法律論、或いは又実際論から混同して、一緒に混ざつて質問をして来たんですけれども、今のは私はそういう実際問題を法律的にどう解釈するかということを聞いているのでありまして、割切るとか割切れないとかそういう問題じやないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/54
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055・石田正
○政府委員(石田正君) 先ほどもちよつと申上げたのでありますが、問題は五万円の問題が核心だと思うんです。その問題につきましては大臣と菊川委員との間に質問応答がございましてそうして大体或る程度のお話があつたと思います。私はそういう話合いというものが法律的に全然ないものかというと、これは法律の定めるところに従い、予算の範囲内ということで、まあ法律にも衡平の原則ということもあるので、そういう考え方をとることは憲法違反ではございませんということだけを事務的には御答弁申上げる外はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/55
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056・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 大蔵大臣に対する質疑はこれで終了したものと認めて差支えありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/56
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057・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは次に関税定率法……ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/57
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058・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。それでは次に関税定率法……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/58
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059・波多野鼎
○波多野鼎君 議事進行……先ほどから木村君と私とが緊急質問を出しているんです。ただ在外公館の問題はまあ大蔵大臣に最初に聞いて、これ済んだら緊急質問に移るということになつたと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/59
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060・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 私は三案について大臣に質問を済まして緊急質問、そう解釈していたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/60
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061・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほど御相談してそれでは時間がないから一応これだけを先ず先にやつて、そうしてその緊急質問に移ろう、こういうことだつたと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/61
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062・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは関税をよして緊急質問に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/62
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063・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先に引続いて簡單に大蔵大臣に御質問したいんですが、その一つはイングランド銀行に二千万ポンド預託をされるということが出ておりますが、これはポンド債についてポンド債の支払に充てるために一つのその含みで預金をする、こういうことのように新聞では報道されていますが、そうしますとこのドル債についてはこういうことをお考えになつているか、ボンド債だけじやなくて、ドル債についてはお考えになつているかどうか、これが一点。それからこういうふうにいよいよポンド債の支払というものを相当具体的に考えるに至つては、この外債支払についての何か計画が具体的に作られて来ているのかどうか、或いは又それについて外債償還の交渉というものは具体的に進んで来ているのかどうか、それが第二点。それから第三点は、外貨貸付による輸入ですが、この輸入は新聞では買船とか、設備機械の近代化、特に火力発電機械に重点を置くというふうに伝えられておりますが、私は原則として今溜つている外貨をここで早く使うということについては、私は或る観点からは賛成なんです。前のこの日本が預合い勘定を、北支や中支に預合い勘定をやつて、ドル債権ばかり溜つてこれを返せないということになると、そういうことはないかも知れませんが、これは問題であります。従つて私はその外貨を早く使うということについては、それに不賛成じやないんですけれども、この機械とかその他の輸入につきまして国内の自立計画との総合的ないろいろな調整、こういうものを考えられて、そうしてこの輸入計画には裏に計画があるはずだと思うんです。自立経済計画、それとの照応において輸入されておるか、そうでないとこれは安本で調査したのを見ますと、日本の産業構造というものは非常に最近では、前の昭和十九年当時のような基礎産業が非常に厖大になつて来て、何か政治経済的な産業構造になつて来ている。私は無計画にですよ、何でも機械だから輸入すればいいということは非常に重大な問題が起つて来やしないか。今でも投資過剰と言われているんです。それを近代機械を輸入してもひどい機械もあることですが、全体としてやはり投資過剰、設備過剰という問題が起らないか、そういうものとの調整は考えられてやつているのかどうか、この三点についてお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/63
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064・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 英蘭銀行のポンドの二千万ポンド預入につきましては一、二カ月、二カ月半くらい前から計画いたしまして、実はイギリスのポンド口座の要求もありますし、余つて参りましたので、或る程度のものを英蘭銀行へ預けておくことは、日本の信用並びにいろいろな事情から考えまして適当であるというので、先般来イギリスの大蔵省と話合いの上できまつたのであります。いろいうな條件がまだございますが、例えば今ビツグ、フアイヴに預けておりますのを英蘭銀行に移し替えをする場合に、どういうような按分で行くか、定期預金をどのくらいするとか、大体今のところ二年くらいのつもりでおりますが、これが直ちに外債に振り向けるという意味ではない。或いはポンド輸入増加によりまして、今の一億ポンドが非常に殖えるというような点もあるのでありますが、我々としては外債は払いますと言つております関係上、余剰ポンドを或る程度そういう目的のために置いておくということは、国際信用上から言つて適当な措置と考えてやつたのであります。然るにドル或いはフランのほうについてはどういうことを考えておるかという問題につきましては、もともと英蘭銀行のほうは私どもも考えますが、向うも相当の要求がありましたので、向うの大蔵省でポンド預金の話が外務大臣並びに私のところに入つて来ますのでやつたのであります。ドルのほうにおきましてはまだ考えておりません。私が言つたような状態でございまして、ポンドもドルも、イギリスのほうにそういうふうにしてやれば、非常に好感を持つ。このことは将来アメリカにもわかるはずであります。今アメリカ人からドルを預けてくれというような要求はございません。このことは前から話合いはやつたのでありますが、昨日一昨日向うから、イギリスの大蔵省のほうでは今朝九時に発表する、日本時間で……向うで言えば昨夜の夜半になるわけであります。我々のほうとしても今朝九時に実は発表するつもりでおりましたところ、仕事は大蔵省でやつておつて、外務省を通じてやつておつたのですが、外務省が少し早く発表してしまつた。気持はそういうところにあるのであります。ドルのほうについての話合いはできておりません。
それから外債の支払について具体案を練つておるかという問題でございますが、我々も相当前から検討いたしておりますが、これも極秘裡にやつております。併しいつまでもそういうわけに行きませんので、大蔵省に臨時外貨債処理協議会というものを設けまして、昔から外債に関係しておつた專門家のお集まりを願つてこれから検討して行く。そうしてこの検討はなかなかむずかしいのでありまして、日本がこういうことを考えておる、ああいうことを計画しておるということになりますと、日本の外貨債が非常に騰貴いたします。それから又向うの気持も、十分ポンド、ホールダーの気持も考えなければならない。又今後の日本のために余りポンド、ホールダーが非常に不満を持つような解決方法は避けるべきである。極く秘密裡にいろいろな点を研究しようというので、一昨日でしたか、外貨債処理協議会というものを五人の委員、專門家といたしまして、ずつと昔外貨債の発行につきまして法律問題に携わつた民間の二人を入れて、これは経済的な面と、それから法律的の面があるのであります。十分検討して行きたいと考えております。第三番目の外貨の貸付の面、これは一カ月余り前から外貨の貸付、殊にポンドの貸付ということについてやつておるのでありますが、なかなかはかばかしく参りません。併しお話のように今日本が十億ドルに近いポンドを持つておるということは私は適当ではない。これは卑近な例で申上げますが、箪笥も米櫃も空になつておる、こういうことではいかんので適正な品物は持つていなければならん。それから又今輸出度がかなり困難である。困難ということよりもこちらでも或る程度輸出を抑えている。世界的に物資の購入が制約を受けるこの機会において、余つたドル、ポンドを使つて日本の経済の基盤を強化する必要があるということは、これは何人も異存のないところである。そこで私は日本の設備その他は、これは遊休設備を持つておりまするが、動いておる設備につきましては非常に陳腐化しておる。この経済界の非常な中だるみの中において日本が急速に設備の近代化をしておけば今後の世界の市場に立つて行くときに非常に力強いものになる。で、私はボンドのみならずドルについても大いにやらなければならんという考えの下に、何と申しましても……私は財政金融のほうに携わつておりますが、実際の産業面につきましては余り存じておりません。外資導入のことにつきましては例えば石油精製とかというような問題はちよいちよい向うから来ますが、これを総合的に考えなければならん。日本の設備の近代化ということを主にしてどういう機械を入れるか、又片一方には輸出が或る程度行かないときに、この輸出に向けらるべきものを国内の経済強化の基盤に使う或いはセメントにいたしましても、鉄にいたしましても、ダムをどんどん作る、ダムを作るにいたしましてもこれは四、五年先のことである、四、五年先のことだから火力発電も昨日議題に上りましたが、日本が火力発電をやるとすると十カ月乃至十五カ月でできますが、アメリカに註文すると四年かかる。併しアメリカの機械は相当よい、アメリカの機械を入れるということになれば、これは輸出入銀行の借款もできる、こういう点があるので、これは発電機械に限つたことではない。例えばということであります。これは新聞で書き過ぎておるというのはそれなんです。発電機械を入れる、例えばこういうものもあるというので……。それで日本の設備の近代化をこの際やつて、基盤の充実を図つて行くというのが私の気持であるのであります。で一にも輸出二にも輸出と言つておりまして、日本の経済力の基盤を築かずに輸出ばかりやつて行くということになると消耗して行くのじやないか、今世界の情勢を見ると、今後財政、経済、金融施策としては、ポンドを使つて強化して行かなければならない。そこでポンドを使うにいたしましても、市中銀行はポンドの使い方については余り熱心ではございません。これは今の商社がああいう状態を回復するにつきまして、ポンドを日本銀行から四分で借りて五分で返すということにしておる。これははかばかしく行つておりません。私は四分で貸すということについても少し考えなければならん。そこで普通銀行の場合ですと、マージンを多くしてやる。ドルを貸すという場合においても、ドルとポンドの貸付利率の差がポンドのほうが困難で、ドルのほうが楽だということになれば少し考える。それから他の市中銀行がなかなか動いて来ないという場合においては、やはり興銀、勧銀のような長期の設備資金を供給することを任務としておるものを先ず使つたらよい。而して今のポンドの貸付は一年ということにしておりましたが、この施設等についてはやはり最高三年ぐらいまでは信用して貸すということにしたらどうか、こういうことを考えまして実は昨日は安本、通産の当局を、彼らは実際いろいろなことを知つておりますから、呼んで聞こうとしましたところ、通産、安本両大臣も来られまして、そこでやつたのでありますが、先ず産業面からどういう部門の企業が非常に陳腐化している、そういう面にもつといい機械を入れて能率を上げて行くか、こういうことを通産省及び安本に申しまして、而して又日銀のほうにも貸付の場合においてそういう産業についてはどの程度の貸付で……、勿論あなたのおつしやるように機械ばつかり買つても仕方がないのでありますから、産業の近代化、合理化の線でやつたらどうか、こういうことで打合せいたしまして、いろいろ具体案を今準備をいたしておるのであります。船の問題も月大体十隻くらい予定して運輸省では組んでおるようでありますが、これはいい船ならば何も十隻に限つたことではない、十五年未満のものは向うで輸出禁止をしております。タンカーもやはり手に入りませんが、十五年を超えるものについては、私として言うなら或る程度入れてもいいのじやないか、今運賃が下降状態になつておりますので、最高のときよりも二割程度下つておりますから、こういう時が買い時じやないか、併しこういうことにいたしましても船を買いますとじき高くなる、その点はよく承知の上一つ外貨を使つて日本の経済力の底力をつける、こういう考えでおるのでございます。従いましてこの問題につきましては、外貨貸付というのは日本銀行のいわゆる一般の貸付とは区別いたしまして、金利その他につきましても区別いたしまして、高率適用その他の関係を除外して行く、こういう気持でおるのであります。まだ最後的にきまつたところではございませんが、私の構想を各大臣並びに日銀のほうへ言いまして具体的な研究をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/64
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065・波多野鼎
○波多野鼎君 今二千万ポンド英蘭銀行へ預けておることを承わりましたが、大体了承いたしましたが、このことは日本が二千万ポンド預けているということはイギリスにとつては非常な恩恵だと私は思う。今ポンドの地位が非常に弱くなつているときに、相当長期に亘る資金をイギリスに貸付けてやることは、イギリスにとつては非常な恩恵を日本が与えたことになるわけなんです。ですから私はこれを機会に、もう恐らく大蔵大臣は考えておられると思うのですけれども、日英支払協定の問題について更に一段と改善の努力をして頂きたい。やりつ放しじやどうもまずいと思います。恐らく大臣も十分承知のことと思いますが、更に一段の努力をして頂けるように要望いたしておきます。
それからもう一つポンドのアメリカの業者への貸付の問題ですが、例えばドル條項附で買付けるのですか、どういう貸付を考えておられるか、今のようにポンドが公定相場と実勢相場が相当開いているときに公定相場で貸付け、今の公定相場で返還するということであれば、それは業者のほうは借りたがらんと思います。今大蔵大臣も余り使い方が熱心じやないと言われましたが、それはその通りだと私も思います。実勢相場で買付け、そうしてポンドとドルの実勢でクロスウエイトを算出して、それで貸すというような條件ならそれは借りたがると思う。公定相場にしがみついて貸し借りやつてもそれは借りません。使い所がないと思いますが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/65
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066・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これはポンドの……、設備その他の輸入資金としていわゆるユーザンスの関係でございます。従いまして今の何は市中銀行にポンドを貸し、輸入業者と申しますか、或いは実際の機械を買う人、物を買う人、これにポンドとして融資するのであります。而して支払をポンドでやるのであります。そこで例えば船なんかを輸入いたします場合には、通常契約のとき一割払い、引渡のときに二割、その他はその後は例えば二年間に残りを毎月金を払う、こういうような契約が多いのでありまするが、ポンドが下つたからと言つて、ポンドで払えばいいのでございます。その負担は業者には余りかからないのじやないか。それから実際ポンドが下る下ると言つておりますが、私は実はそう見ていない。これは今イギリスがポンドを下げるということは、イギリス自体の問題じやなしに、やはりアメリカとの関係があると思いますが、私は今そういうふうな下るということを前提にして考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/66
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067・波多野鼎
○波多野鼎君 下るか下らんか、これは見通しの問題だからどちらでもいいのですが、現に実勢相場と公定相場は開いている。これは事実なんです。この事実に立脚して今のことを言うたわけなんですが、どちらにしても、下るにしても上るにしても、何か安定した世界通貨の問題もすでに論議されていると思いますが、ドルを中心とした世界通貨というようなものは考えられていると思いますが、ともかく安定したドルとの結び付きを考えながらポンドを貸す、或いは借りるということであれば、これは安心ができると思いますけれども、今どういう條件でお貸しになるか私どもよく知りませんけれども、マル公相場でどんどんやつていてはこれは借り手がないということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/67
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068・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 只今の御指摘の通りでありまして、今のところでは大体千円というようなレートになつております。併しこれは今のポンドを使わんという原因が、昨年の春の状況を見ましてあつものにこりてなますを吹くと申しますか、が少し出ている。一般の貸出状況を申しますと、この頃銀行に行つても、なかなか貸したがらんということが頭にありますのか一時は非常に貸出の申込が減つて参りました。それから又先行不安と申しますか、思惑は勿論余りないのでございますが、物の動きのために停滞しておるような関係がありますので、今のところは活発に動いておりません。政府において適当な措置をとるとすれば、相当設備の近代化を図るために、或いは船舶その他の輸入があるのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/68
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069・波多野鼎
○波多野鼎君 それは実勢相場と公定相場の開きの問題は別としまして、最初聞き落しましたが、英蘭銀行に預けるときに、ドル條項附なんですか、どういうことですか、ポンドで返せばいいというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/69
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070・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) ドル條項はついておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/70
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071・小林政夫
○小林政夫君 今最後の波多野さんの質問に関連しますが、ポンド債にドル・クローズがついているのとついてないのと二通りあるはずです。それでドル、クローズがついていない部分は、今大蔵大臣はポンドの切替は大体なかろうということでありますが、仮定の問題として万一切替があつた場合は、そのときのポンドで払えばいいわけですか。その点が一つと、それからこういう措置をとられるとすれば、今ドル・クローズがついていないということですが、ドル、クローズがついたポンド債は当然今預託された二千万ポンドはドル、クローズのついたポンド債で返済する、そういうふうな約束をしておられるほうがいいのじやないか、将来の切替を考えれば……。そういう点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/71
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072・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) ポンド債でドル、クローズがついておるものは一九〇七年の一千八百万ポンドの分がドル、クローズがついております。ポンド債といたしましては六千数百万ポンドでございます。そのうち一千八百万ポンドがドル、クローズがついております。従いましてこれは支払期の到来したときのドル換算率で行きますので、多分その分はそれを四ドル三セントで払わなければならんのではないかと思つております。その他の分はドール・クローズがついておりませんから、そのときのポンドの関係で行くことになるのであります。併しポンドを預けたのはこういう問題でなしに、一応日本が外債に対する支払に誠意があるんだということを示すわけでございまして、どういうようなものについて何とかという問題ではございません。例えば二年間二千万ポンドを預けておると、二年間に二千万ポンド払うもりかと、こう聞かれたら、私は二年間に二千万ポンドは払えないと思います。これは一つの支払の條件というのでなしに、溜つておるものに対して誠意を示す、而もこれも外債の見合いになることあるべし、この程度で行つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/72
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073・小林政夫
○小林政夫君 ですから今ドル・クローズのついておるポンド債には、今預けた少くとも二千万ポンドは、今誠意を示して現在預ける、現在のポンドをドル価値で将来見てもらえるという念を押しておく必要があるようにも思うんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/73
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074・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) ちよつと御質問の趣旨がわかりませんが、支払方法を今度の預託によりまして軽減することはできないと思います。そういう趣旨でやつたのではないのであります。ドル・クローズがついておるものについてはどうやるべきだとおつしやるのか、ちよつとその点がはつきりいたしませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/74
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075・小林政夫
○小林政夫君 これは将来ポンドが切下げられることを予定して、そういうことはないかも知れないが、万一切下げられた場合のことを考えてのことですか、切下げがないということであれば問題ない。これは切下げられた場合のことを考慮に入れて一応釘をさしておく必要があるんじやないかという意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/75
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076・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) それは釘はさせません。これははつきりは申上げませんが、ドル・クローズになつておりますから、今後ポンドが下つたときにはその割合でドルの支払を少くしようということは、これはとても向うはきかない、又それを言うべきではないと思います。そうなつておるので全体の問題として支払の方法をどうするか、今までの利子をどうするかとかいろいうな問題がありますが、ドル、クローズの問題は、今後ポンドが下つた場合にこうしろというようなことはこれは支払方法のときにきまるのであります。預金によつてそういう條件をつけることはちよつと困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/76
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077・田村文吉
○田村文吉君 今のポンド預金の問題はこれは別問題としまして、大蔵大臣が新らしい構想をお立てになりまして、今日かなり行詰つた日本の経済状況に対処なさるということについて大いに敬意を表する次第でありますが、ただ私は甚だ老婆心のようになりますが、昨年少し外貨が多いというときに盛んに輸入を奨励して輸入しろというような結果が、ゴムが余るとか何が余るとかいうことで、かなり困難な状況に立至つたことは事実なんでありますが、私は余り政府の要路のかたがたが、例えば重要な機械とか、機械の改良のためには金は幾らでも出してやる、その方面に金を向けるんだというように、余りにそういう御方針を若しお立てになるならば、計画経済的に五年も七年もこういう計画であるからこうするということならば結構でありまするが、現在のような状況で余りに少し外貨が多いとか、ポンドが多いとかいうようなことのためにお驚きになつたわけではありますまいが、余りに軽卒にそれがために動かれるということは、又半年一年の後にその政策を改正しなければならん、こういうことが起りはせんかということを実は心配するのでありまするので、今のイギリスのポンド預金をなさるというようなことを私自体は決して悪いということを申上げませんが、無論そういう手は今後とも金融上、財政上について打たれるということは私も予期しておりますが、今の産業政策の点につきまして余りに政府が指図がましいと言うわけではありませんが、注文がましいことをいたしますると、却つて悪い結果を招きはせんかということを心配いたすのでありまするが、余りに具体的に機械の合理化のためにあれも入れる、これも入れるという御意見はどうかと考えるのでありまするが、これは考えの違いであるということであればそれでいいんですが、一言私の老婆心を申上げる次第であります。どうお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/77
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078・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 勿論そういう点は十分考慮いたして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/78
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079・野溝勝
○野溝勝君 私一、二点伺います。大蔵大臣となるとなかなか日本財政の実力家なので、遠慮しいしい聞いておられるのでありますが、国家の一大事であるから遠慮する必要はないと思います。貴下が今度とられた二千万ポンド英国へ提供というのは、勝手に二年間御処分願いますということだから誠に英国の信用を高めて、英国といたしましては池田万々歳というところであります。併しこの構想の内容から見れば、政府といたしましましては一応考えざるを得ない点であつたと思います。英国の非常に喜ぶのは当り前だが同時に池田大蔵大臣においても何か期するところがあつたのか、具体的に日本が利益するところがあるのですか。具体的にあるとしたならばこの点をお伺いしたいと思います。ただポンド所有が多過ぎるからこの際一つ処分しようというような気持だけでなく、何か狙いがあるならばこの委員会に一つあなたから発表願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/79
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080・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 別に具体的にこういう狙いがあるというわけではございませんが、先ほどお答えいたしましたように、日英親善、或いは又日本のために日本の外貨債を所持しておられる人に安心を与え、そうして日本が借金を誠意を以て払う用意ありということを示すのであります。国の信用を高める上におきましても適当である、こういうふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/80
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081・野溝勝
○野溝勝君 木制度実施の場合に輸出入銀行との関係はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/81
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082・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 輸出入銀行との関係は直接ございません。実はこの一億ポンド溜りましたポンドは実は英国の銀行に皆預けておる。ビツグ・ファイブ、五大銀行でありますが、それに預けてあるのを預け替えする程度であるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/82
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083・野溝勝
○野溝勝君 例えば過剰ポンドを輸入資金に使用する限り、ポンド地域の物価高から実質的に大体一割五分、新聞には一割五分と言われておりますが、一割内外の損失が一応免かれるというふうに考えられておる。そうなつて参りますると今大臣のお話によると、取りあえず輸出入銀行とは関係のないがごとく言われておりますが、叙上の事由から見れば、私はその間経済上の大きな心配があると思います。そういう点について輸出入銀行のほうに対する動きと言いましようか、今後の運営というものに対しては何ら考えなくてもいいのですかどうですか、その点を一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/83
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084・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 輸出入銀行というのはアメリカの輸出入銀行でございますか、日本の輸出入銀行でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/84
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085・野溝勝
○野溝勝君 勿論国内です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/85
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086・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これには関係ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/86
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087・野溝勝
○野溝勝君 そうすると今の例えば過剰ボンドを輸入の資金に使用する場合に、ポンド区域に対する輸出入の問題などに対しても、物価の変動のあるにかかわらず、そういうものに対しても直接間接にせよ関係がない、こう言い切るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/87
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088・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私は特にこういう関係があるということを思い付きません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/88
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089・野溝勝
○野溝勝君 それでは今日の新聞の発表によりますと、この二千万ポンドのイングランド銀行への預託内容が発表された。それと並行してこういうことが発表されている。「安くなる衣料、バター」「上半期の割当」これによる内容を見ますと、バター、砂糖、食糧、牛皮、衣料、飛行機、自動車、葉たばこ、その他を買入れることになるらしい。一つ例をとりますとこの中のバターなどは確かに現在一ポンド四百円ぐらいで売つている。これを輸入すれば外国製品は非常に安い。この間を調整した価格によつて売らせる。それからこれに対しましては、価格の相違に対しましては、国内値段とプールできるようにするために、小売値段は輸入品国産品も一ポンド三百八十六円になる見込だ。これは大蔵当局から発表されたものだと思うのでありますが、こういうように物価の変動を事実において承認しているわけだ。この承認している事実に立つて、金融上の機関である輸出入銀行が何らこの傑作には関係も心配もないと言い得るものではない、と思う。だからこういう点に対して何ら関係がないというならば、この物価操作に対しましては、全然輸出入銀行というものはもうこういう貿易関係に対しても何らタツチしない、こういうふうに解釈して差支えありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/89
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090・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) これは英蘭銀行の預金とは全然関係がない、これは新聞のあれも違つておりますが、そうして閣僚懇談会で外貨予算というものをきめた。四月から九月までの輸出入を想定いたしまして、輸入する場合にそういう品物についてどれだけの外貨の割当をしようと、こういうことでありまして、輸出入銀行と英蘭銀行との預託金とは全然関係はございません。お話の点、日本のバターは今四百三十円から五十円いたしておりますが、外国から入れますと大体三百円程度でありまして、輸入税を入れましても三百五十円くらいになると心得ております。然る場合において、この物価の点がありますので、安いに越したことはないが、国内産業ということも頭におかなければならんので、どの程度入れるかというのが問題になつたのであります。大体外貨予算といたしましては、五百トンばかりを入れたらどうかというので一応外貨予算のほうに組んでおります。安本、農林の所管でありまして、詳しくは知りませんが、そういうことで外貨予算にバターの買入資金を組んだというだけであります。輸出入銀行の中のあのポンドの預入れの問題とは全然関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/90
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091・野溝勝
○野溝勝君 その点は了解しました。外貨予算によつてこれを買入れるということの意図でありますが、その場合日本の生産者の地位というものはこれによつて何ら支障を来たさないというように考えておるか、その点を聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/91
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092・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 私は所管でございませんが、そういうことは私は所管ではないが、或る程度頭に入れて輸入割当の数量等を考えておるのであります。私は国内の雪印を中心としたバターの価格はどうなるか、或いは輸入バターの原価がどれだけにつくか、そうして国内消費についての適当な措置は聞いておらないからわかりませんが、適当な措置をとられると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/92
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093・野溝勝
○野溝勝君 誠に心外の答弁で、実際生産者の地位が所管大臣でないのでよくわからないというようなことで、かような、比率と言いますか、算定基準はどこに根拠を置いたのですか、どういうところから計算をした、それがあるならば私どもわかるのですが、そのような算定の基礎もあやふやな事態において、かようなものを軽卒に発表するのは何事であるか。大蔵大臣は外債金融には明るい、併し生産者の問題についてはよくわからないということであるならば、とくと生産者に関係しておるところの所管大臣と具体的に打合せをし、かような算定基礎の上に立つているので脅威を与えないという判りした案を発表されるならば承知するけれども、腰だめ式軽卒にして独善によつて、かような案を発表されることは誠に国民として迷惑である。こういう点についてはあなたは今まで関係当局と打合せたことはないのですか、あるのですか、その点をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/93
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094・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 外貨予算の作成については安本を中心に案を立て、安本は各省と相談の上案を立てそうして私は外貨予算の閣僚審議会の一人として参加しております。而してこの問題については千トン入れるか、五百トン入れるかという問題が前からあつたのでありますが、一応農林省としても五百トン程度ならば結構だろうと、併し価格の問題については先ほど申上げた通りであります。今の雪印を中心としたバターの四百四、五十円の小売価格と、輸入したものの原価とは違つて参る、そこで農林省としましては今ある国内産のバターと、今後輸入する分のバターとどの程度の違いがあるか検討して、大体やつて行けるということを聞きましたので、私は閣僚審議会の一人として承認を与えたのであります。こういうことを軽卒にという話でございますが、軽卒ではございません。十分前から審議、打合せをしております。安本、農林省と打合せをして、そうしてこの際国内産のバターの或る程度の値下げを輸入によつてやることが国民生活の安定、又食糧関係方面からも好ましいという結論が出ましたので外貨予算にそれを織込んで、そうして外貨予算の全体として発表した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/94
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095・野溝勝
○野溝勝君 物の値下りをさせるということは誠に結構であります。併しこれは物を値下りさせても、この案から見ればいわゆるこちらの業者がこのポンド資金を或る程度使用できる可能な情勢になつておるので、業者としましては余り経済上の悪影響はないと思いますが、併しそれから下の生産者に対しては悪影響がある、安く輸入されることによつて生産費を償うことの事由とはならん。こういうような点について先ほど大臣は專門でないと、所管大臣ではないという意見がありましたので詳しくはお聞きいたしませんが、併し今お話によると三大臣と打合せた結果というから果してさような生産者のことまでも考えてこの案を出したかどうかということについてはいずれ私から所管大臣に聞いてから又質問することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/95
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096・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの質問で大体了解願えたと思いますが、私の言つた趣旨は四ドル三十セントですか、ドル、クローズのついたポンド債のあることでもありますので、この際二千万ポンドの預託をされる、而もそれが二年間という定期預金であるということであれば、少くとも現在のドル貨に見積れば五千六百ダラーに相当する金であるから、その二年間は二千万ボンドは五千六百万ダラーの、直ちにドルと交換するというのではありませんが、この五千六百万ダラーの値打には見てくれ、万一その二年間のうちにポンドの切下げがあつても、当然この五千六百万ダラーの価値に認めてもらいたいと、そうして一万ドル、クローズのついたポンド債について、その五千六百万ダラーの値打で以て将来返済するということであればこれを充当するという話合いがつかないか、又これだけの処置をするときにそのドル、クローズのついたポンド債のドル、クローズを撤廃するというふうなことはできないかという意味なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/96
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097・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 只今のところちよつとできない相談ではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/97
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098・木村禧八郎
○木村禧八郎君 一つだけ伺いたいのですが、この外貨の貸付ですね。この外貨をどの程度にお考えになつているか。四—九月の外貨予算はきまつたようですが、大体今手持の外貨のポジシヨンが非常に多くなつておりますが、これをどの程度物に換えるかという、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/98
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099・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど田村さんの言われたようなことも考えなければなりませんので、而して又徒らに資本の少い人が厖大な設備、機械等をやることも銀行の貸付の保全上から見ましてあれでございますが、どの程度ポンドを使い、どの程度ドルを使うかということははつきり申上げられません。私はそういう腹ずもりのために日本銀行を使い、或いは産業官庁の協力を得まして、これから計画をして行くというような考え方で、関係当局にお話をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/99
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100・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これまで政府の自立計画によりますと、極力ドル地域には輸出を殖やして、ドル地域の輸入は減らして、ポンド地域からの輸入を多くする、こういうような御方針のようですね。今度はそのドル地域からの輸入も相当殖やす、こういう建前になつているわけですが、そうするとこれまでの自立計画方針として、極力ドル地域への輸出を殖やして輸入は減らす、ポンド地域にはその逆のことをやると、こういう方針は変つて来たわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/100
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101・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 何も方針は考えておりません。ポンド地域からの輸入を増進し、ドル地域への輸出を増進したいという気持は変つていないのです。ただ、今の外貨のポジシヨンから申しまして、ポンド地域からの輸入で、ドル地域からの輸入は考えんということではなしに、私は今年度におきましても相当のドル収入があると考えておるのであります。過去一年間におきまして大体三億五六千万ドル殖えました。そのうちドルの殖えたのが一億ドル程度であります。又オープン勘定のドルの殖えたのも五六千万ドルか六七千万ドルくらいになります。そういたしますと、殖えた三億五千万ドルの四割或いは五割程度はドルについても……、日本の近代化のために将来もドルは必要でありますけれども、この際ポンドの輸入ばかりでなしに、ドルの輸入も考えたらどうかと、併し重点的には、先ほど申上げましたように、ボンドの貸付とドルの貸付と金利その他で差をつけて行こうと、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/101
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102・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちよつとお聞きしたいのは、経済振興構想を、御発表になつたのを、大蔵大臣が今日本の経済がちよつと下り気味になつて来たのでこれを一つ活を入れるというデモンストレーシヨンには、誠に大蔵大臣の一つのはつたりとしては経済界にきくだろうと思うのでありますが、私は又一面におきまして、こういうことを発表されまするというと、むしろアメリカなりイギリスなりの売るほうからいたしますならば、それ日本が買付けに来るのだからというのでもう準備されて、向うにこちらの足許を見透かされると、こういう嫌いがあるのではないか。この点について余り大々的に宣伝せられることも、国内的な一つのデモとしては結構なのでありますが、国際的な影響を我々はそういうふうに考えるのでありますが、この点を一つお聞きしたい。
次に、盛んに大臣が今までアメリカとの経済協力、それから東南アジアの開発への参加、この点を強調されまして、将来の日本経済の発展を我々に構想として御発表になつておつたが、この二つがいずれも、むしろアメリカのほうの経済協力は軍拡がどうも中だるみだと、従つて余り経済協力は期待できないと、又一つ東南アジアの開発といつても具体的に現われて来ないと、従つてこれの穴埋め的に、その構想がちよつと外れたので、それをここで挽回する意味において今回のこの経済振興の構想を御発表になつたのではないか、私はその点非常に関係あると思うのですが、この点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/102
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103・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一の点は、そういう嫌いがなきにしもあらずでありまするが、併し問題は個々の品物をどこから買うということになりますと、お話のような弊害が起るのであります。併し今回はどういう品物をということを言つておりませんので、私はその影響は大したことはないと思います。高ければ買わないと、こういうことで、大した影響はないと考えております。
それから御質問の第二の点、日米経済協力、東南アジア開発という問題がなかなか困難だから、その穴埋めにこういうはつたりをやるのではないかというお考えは、これはどうかと思います。私はそういうような気持でおりません。日米経済協力もどんどん進めて行きますし、東南アジアの問題もいろいうな計画を立てておるのであります。ここのところは……、東南アジア開発の問題は、一昨年五月頃はアメリカも相当やつておつた。こういう問題はそう早急に捗るものではないのであります。我々は……、日本人は一般的にそうでありますが、少し気が早過ぎるのであります。こういう問題はそう簡單に行くものではないということをよく考えて、大国民としてがつちり行かなければならん問題であると思います。私は東南アジア開発問題も徐々に進んで行くことを、期待しておるのではない、確信を持つております。日米経済協力につきましても、私は相当今後増進して行くと思つております。四五カ月前に私が特需その他貿易外収入が七億ドルと言つたときには、少し僕も言い過ぎたかなと思つたのですが、まあ今後の見通しが九億ドル乃至十億ドルの特需その他貿易外収入が期待されると思います。こういうものはやはり日米経済協力の一環であるのであります。そうしてそれが又東南アジア開発への繋がりを持つておるということを確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/103
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104・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう一点、それではこういうふうに大蔵大臣の今後の日本の産業の持つて行き方としまして、むしろ設備や買船に重点を置くということになりますと、東南アジア開発に設備を輸出すると、プラント輸出ということはやはりそういうことだと私は思うのでありますが、設備を輸出するということは、アメリカからまだそういう設備を買わなければならん、それを今度こちらから東南アジアのほうに輸出するのだということになりますと、むしろ機械なんかはアメリカ等に対抗できるような機械をこしらえさせる方向に持つて行くことが一つではないか。日本みずから設備や機械を買つておりながら、更に東南アジアに輸出炭するということになりますと、そういう機械や設備がアメリカあたりから落ちるということを認めざるを得ないというようなことになつて、却つて東南アジア開発への寄与が非常に困難になるのではないかということを恐れるのでありますが、むしろ国内でそれを生産させるという構想に持つて行くわけにはいかんのですか、この点一つ最後にお伺いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/104
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105・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) 機械でもいろいうな機械がございます。アメリカの機械に負けない機械もできますが、併し全体としまして、日本の機械の近代化は遅れております。従いましてできるだけアメリカの近代化された機械を輸入し、或いは一台を輸入してそしてパテントをもらつてこつちで作る、こういうような方法もある。ボイラーなんかでも日本なんかは三方面は耐火レンガ、アメリカの最近の方法では耐火レンガは殆んど使つていない、繋ぎ合せだけ使つておる、そうしてその熱量を盛んに上げております。こういうような分はやはりアメリカから輸入し、パテントをとつて日本で作るということは考えられます。而して東南アジアでアメリカの機械は要らない、日本の機械でいいというようなら日本の機械をどんどん輸出します。東南アジアへ出す機械の種類は違いますから一概に言えません。併し私が言うのは例えば発電機にしても向うでは三年かかる。日本だつたら一年前後で作る。これは早く作らなければならんというときには、パテントを輸入して来て作るというような点も考えられます。いろいうな点があるのでございます、機械なら機械という……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/105
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106・菊川孝夫
○菊川孝夫君 モデル輸入かな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/106
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107・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) そういう問題でありますので私は有無相通じ、そうしてその間において日本の設備の近代化を図る、こういう構想であるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/107
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108・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 緊急質問はこの程度で以て終ります。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/108
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109・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて。
午前の委員会はこれを以て休憩いたします。
午後一時三分休憩
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午後二時四十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/109
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110・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 午前に引続き委員会を再開いたします。
在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案、右について質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/110
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111・西川甚五郎
○西川甚五郎君 議事進行について……秘密会にして頂いて、傍聽人に一応退席して頂いたほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/111
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112・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 只今西川委員より秘密会という提案がありましたが、そういうふうにいたして差支えありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/112
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113・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは秘密会にいたしますから、事務担当者、議員以外のかたは一時退場をお願いいたします。
午後二時四十三分秘密会に移る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/113
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114・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) これより秘密会に入ります。速記をとめて下さい。
午後二時四十四分速記中止
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午後四時一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/114
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115・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。これで秘密会を終ります。
午後四時二分秘密会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/115
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116・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 只今小林委員からポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律案に対して小委員会をこしらえたいという御意見がありましたのですが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/116
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117・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないようですからその通り決します。各会派から一名ずつ小委員を選定いたしたいと思いますが、それは委員長に御一任願えましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/117
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118・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないようですから委員長より指名いたします。それでは油井委員、小林委員、大矢委員、木村委員、菊川委員、大野委員、このかたにお願いいたします。なお小委員長は小林委員にお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/118
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119・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) そうしますると前に戻りまして、関税定律法の一部を改正する法律案について修正案が出ておりますのですが、これをどういうふうに取扱つたらよろしいでしようか、御相談願いたいと思います。
秘密会にいたします。
午後四時四分秘密会に移る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/119
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120・木内四郎
○木内四郎君 速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/120
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121・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは速記をとめて。
午後四時五分速記中止
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午後五時五十六分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/121
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122・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 速記を始めて、これで秘密会を終ります。
午後五時五十七分秘密会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/122
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123・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 本日の委員会はこの程度を以て散会いたします。
午後五時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X03319520329/123
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