1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月九日(金曜日)
午前十一時三十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
委員
岡崎 真一君
黒田 英雄君
溝淵 春次君
小宮山常吉君
小林 政夫君
森 八三一君
野溝 勝君
波多野 鼎君
菊田 七平君
油井賢太郎君
政府委員
大蔵省理財局長 石田 正君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
大蔵省銀行局総
務課長 福田 久男君
大蔵省銀行局銀
行課長 大月 高君
事務局側
常任委員会專門
員 木村常次郎君
常任委員会專門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省理財局管
理課長 横山 正臣君
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本日の会議に付した事件
○参考人より意見聽取に関する件
○貴金属管理法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
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001・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それでは只今から大蔵委員会を開催いたします。
ちよつと御報告申上げます。昨日の委員会において日銀総裁の一万田さんを参考人として呼ぶことにつきまして、昨日午後四時ちよつと過ぎに日銀に参りまして、総裁にお目にかかりまして、いろいろお話いたしました。快よくお引受け下さいまして、十四日水曜日の午前十一時に大蔵委員会に伺うということにきめて参りました。勿論その日は十時からは普通の他の法案についての御質疑を願うのですが、十分質問事項をお揃え下さいまして、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/1
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002・野溝勝
○野溝勝君 誠に結構でありますが、私はそのときに内容は知らんですが、独立後の金融政策ですか、金融動向を聞くのですか、どつちですか。政策など聞く必要はないと思います。私はそんな不見識なことはいやです。立法府ですからね。ですから金融の動向とか、意見を聞くならいいですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/2
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003・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) それが主体なんです。併し現在いろいろな法案が出ておりますので、これについても……。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/3
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004・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 次に貴金属管理法の一部を改正する法律案について質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/4
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005・油井賢太郎
○油井賢太郎君 この第十七條の二の金売捌業という点ですが、これはどのくらいの人数をおきめになるということか、或いはそれと金売捌業に対する手数料というのはどの程度に決定する予定になつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/5
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006・石田正
○政府委員(石田正君) 加工用の金売捌業につきましては、これは申請を待ちまして認可制度に変らせるわけでありますが、御承知の通り金の売戻しは鉱山に対してやるわけであります、一番初めに……。で、鉱山が直接需要者に売るという途も開いてあるわけであります。若し鉱山自体が全部消費者に、需要者に対して、売拂う上におきまして、支障がなければ、必ずしも金売捌業者というものがなくてもいいわけであります。ただ鉱山及び鉱山会社の所在地というものが地域的に限定されておる。従いまして需要者との間において不便を来たす慮れがあつてはいけない。そういう意味におきまして、加工用金売捌業というものを認めるわけであります。従いましてその数というものは必ずしもたくさん自由にやつてよろしいと、こういうものではないと思います。それから金の取扱いには專門的な知識を相当要するわけであります。又信用の厚いところでなければなりませんのでありまして、その意味におきまして、数はおのずから限定せられるということが適当であろうかというふうに思つております。又需要者の立場と、それからしてこの売捌きをいたしますところの関係におきまして、手数料の問題が生ずるわけでありますが、需要者の立場から申しまするならば、成るべく手数料が低廉であることが望ましいということになることは当然であろうと思います。そういう意味におきまして、余り多数の加工業者を認めるということに相成りますと、非常に僅かな分量を一部のものが扱うということによりまして、手数料も若したくさん認めるならば、それが自然大きな引上げをしなければならん、手数料の幅を拡げなければならんという問題も起つて来るだろうと思います。この点も余り適当でない。我々といたしましては、手数料というものは成るべく幅の狹いものであることが望ましい、かように考えておるのでありまして、或いはこれは鶏が先か卵が光かということになるだろうと思いますが、手数料といたしましては、成るたけできるだけ低廉にするということを心がけてやつて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/6
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007・油井賢太郎
○油井賢太郎君 趣旨はわかるのですが、具体的にどの程度にする予定なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/7
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008・石田正
○政府委員(石田正君) お尋ねは加工業者の数でございますか。それとも手数料の金額のほうの問題でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/8
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009・油井賢太郎
○油井賢太郎君 今のは手数料の金額は、例えば一トレーオンスについてどの程度、或いは売上金の何%、そういつたような大体の標準はおありになると思うのです。これはどの程度なんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/9
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010・石田正
○政府委員(石田正君) 大体私たちの考えから申しまして、一グラム当り四円以下ぐらいが適当ではないか、まだはつきり数字を以ちまして確定いたしたわけではございませんが、感じといたしましては、そのくらいのところを頭に置いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/10
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011・小林政夫
○小林政夫君 今の価格の問題ですが、第十條ですね、第十條で売却価格は恐らく三種になるのですね。今のそれの値段の相違、それを聞けば今のものは含めてわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/11
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012・石田正
○政府委員(石田正君) 第十條にございます値段でございますが、政府が一遍産金業者から買上げるときには、この値段というのはここには書いてないわけであります。それから今度は売戻すわけでありますが、その場合の価格が第一の価格でございます。それから金納入者が自分で以て売りまする場合と、それからして加工用の金売捌業者が売りまして、そうして行く場合があるわけでありますが、この場合におきましては、この規定の第二の価格と申しますのは、加工用金売捌業者に売却する場合、それからして金売捌業者が他の金売捌業者に売る場合、この場合でございますが、あとのほうの場合は大体ノー・マージンということに相成るかと思つております。それから一番最後の場合が需要者に売却する場合、こういうことに相成るわけでありまして、今油井委員からのお尋ねの点は、一番最後の段階の場合、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/12
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013・小林政夫
○小林政夫君 それはわかつているので、そこで今のお話でも、売却価格というものは三本建になるわけですね。その三本建を勿論これからいろいろおきめになるでしようが、仮定すれば、例えば政府の金納入者に対する売却金を四百五円、四百一円とするならば、次の段階、あと二つはどうなるのか。そこでマージンが得られますが、何%かということを見てやるのか、その案はあるのかどうか。ここにすでに明らかに法文に三種の価格を予定されております。絶対額は別として、マージンの歩率というものはおよそ頭にある。それを言つて頂きたい。三段に分けて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/13
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014・石田正
○政府委員(石田正君) 政府から金納入者に売ります場合、これは殆んどマージンなしに、買上価格と近い価格で売るのが当然であると考えております。それからその次に一番最後の段階に需要者に売りますところの値段、これが又一つの片方のほうにおきますところの大切なポイントだろうと思います。その点が主といたしましてこの一番最後のところに掲げてありますところの国際市場価格とか、或いは国内の生産、消費の事情とか、そういうことによつてきまりますところの価格、それが一番最後に抑えられるわけでございます。そこに行くまでの間にどれだけのそれでは間に立つ売捌業者にマージンを認めたらよろしいかという点につきましては、これは大きなものを認めるわけには行かない。常識的に言つて一グラムについて四百一円で政府が買取つて或いは五円で買取る、そういうところを考えますと、せいぜい四円程度ではないだろうか、かように存じておるわけでございます。今度はそういたしますと、一番最初に価格を、売るやつを幾らにするか、最高額を幾らにするか、それが四百五十円であるか、五百円であるとか、或いは五百五円であるかということは一番大きな問題であると、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/14
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015・小林政夫
○小林政夫君 そういう考え方は別として、実際問題として例えば納入者から加工業者に売る場合に、大体この趣旨は納入者に対して相当の実質的な金の値上をして収入をよくしようという建前なんですから、中間マージンが多くては消費者も迷惑だし、金探鉱業者も困る。そこで一応納入者が加工業者へ売る値段と、納入者が販売する値段ですね、それから加工用金売捌業者に売却する場合、又加工用金売捌業者が需用者に売る価格、その間のマージン、その最終価格が五百円なら五百円と抑えられて、その五百円の中には加工用金売捌業者のマージンがどれだけ入るかということですね、結局は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/15
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016・石田正
○政府委員(石田正君) 簡單に申しますると、一つの仮定でございますが、仮に産業用の例をとりますと、そちらのほうが丁度四百円である、それから需用のほうの関係が五百円、こういうことに相成りまする場合には、大ざつぱに申しますれば四百円の価格に近いところで金納入者に返す。金納入者が今度五百円で売る。これが一番常態でございます。ところがその間にそういうようにすることが不便であるというので、どうしても金売捌業者というものを入れなければならん、こういうことになりますと、ここに手数料の問題が起つて来る、それが今言いました百円なら百円の差があるならば、四円とかいう程度以下のものでなければならない、かように考えております。なお金納入者が売捌業者を通じませんで直接需要者に売ります場合手数料は勿論金納入者に帰属する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/16
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017・小林政夫
○小林政夫君 売捌業者は今後加工用金売捌業を指定し、又売捌業というものをきめますね、今まで歯科用金地金販売業と新らしくここに加工用金売捌業者というものを設定するというか、歯科用金地金販売業者と一般の加工用金売捌業を分ける必要がどういうところにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/17
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018・石田正
○政府委員(石田正君) この歯科用の場合になりますと、実際の需要者はお医者さんです。お医者さんは非常にたくさんあるのでございまして、それがまとまつてやらなければならんということになります。そういたしますと、それを一括して需要者が一つの団体になつて申請する、こういう形になるわけであります。そういう意味におきまして、それに拂下げをする、非常に今度は細かく分割しなければならない、そういう特殊の技術が要るわけでございます。そういう特殊な技術でございますので、今まで設けておつたわけでございます。そういうところに対しましては直接国から拂下げをする、拂下げてからあと分割するというために特別のそういう機構が要つたわけでございます。今度のはそうではなくて、大口も小口もございましようが、大体大口が多いと思うのでございますが、そういうところが買取ります場合に中に立つて経由して行かなければならん、そういう意味で新らしく売捌業者を認める、こういうわけであります。新らしく売捌業者を認めるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/18
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019・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、今までの歯科用金地金販売業者というものの上に今度新らしくできる加工用金売捌業者というものがあることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/19
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020・石田正
○政府委員(石田正君) ちよつと御質問の趣旨がよくわかりませんでしたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/20
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021・小林政夫
○小林政夫君 今の御説明だと、例えば歯科用に関する限りにおいては歯科用金地金販売業者というものは納入者から直接買わずに、今度新らしく設けられる加工用金売捌業者から買うことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/21
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022・石田正
○政府委員(石田正君) この歯科用金加工業者というものは、これは需要者でございます。結局はそのものが加工用金売捌業者から買つたほうが便利であると思いますれば加工用金売捌業者から買うということになると思います。併し大量でありますると、これはそれをする必要はなく、コンネクシヨンがいいから直接金加工業者から買つてもよろしいということになります。直接買うと、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/22
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023・小林政夫
○小林政夫君 併しそれで今歯科用のほうは小口に分散すると言われるけれども、一般の蒔絵等に使う場合においても、かなりこれは中小企業者も多いと思いますし、相当分散されるのだし、同じ金を扱う販売業者は、これは免許制にするということはいいと思いますが、はつきりその歯科用金地金販売業者、又一般の加工用金売捌業者というふうに販売業者を区別して置く必要があるかどうか、ただ單に加工用金売捌業ということで、その中では歯科用のものを專門に扱うものもあろうしというふうなことで、これは主管大臣は厚生大臣と通産大臣とか、いろいろ変つて来るようですが、けれどもこの販売業者としては一本建でいいじやないですか、名前その他については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/23
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024・石田正
○政府委員(石田正君) これは歯科用の金加工業者が同時に金売捌業者という名前をとつて、その分だけ取扱うということは絶対にいけないということはないと思います。ですから兼ねて行くということはあり得るかと思うのであります。併しどうしても一つにしなければいけないという理由も又ないわけでありまして、従いまして私のほうとしては両建に考えておるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/24
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025・油井賢太郎
○油井賢太郎君 次に一体政府は金を貨幣として保存したいというような意思がおありになるのかどうか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/25
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026・石田正
○政府委員(石田正君) これはどこの国でもそうでございますが、金というものは国際決済手段としていつでも通用できるというのが、昔からそうでありますし、今日におきましても、なお続いておるわけでありまして、その意味におきましては大切なものでございまするので、できるだけ政府の手にこれを集めることが望ましい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/26
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027・油井賢太郎
○油井賢太郎君 提案理由の説明には貨幣用以外の金についてというような文句が使われておるのですけれども、実際に貨幣を金で以て作る意思があるか、或いは貨幣として現在保有されている量が、日本のいわゆる貨幣制度に適当した数量があるかどうか、そういう点はどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/27
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028・石田正
○政府委員(石田正君) この貨幣という言葉が或いは誤解があつたかも知れないのでありますが、日本政府といたしまして、ゴール下本位を作ろうという気持を今持つておるわけではございません。併し決済をいたすということは、これは貨幣と貨幣との間の振替が行われるわけであります。要するに「もの」として決済するのでなくて、「かね」の代用として決済すると、こういうふうなことに結局なつて来るわけでございまして、何と申しますか、貨幣制度として金本位をやろうと、そういう意味を考えておるわけじやございません。大体御承知の通りに、今の世界の現状から申しまして、純然たる金本位をとつておる国というのはないわけでございます。併しながら金の用途を分けます場合に、貨幣用と産業用という分け方を一応いたしておりますものでございますから、それに従つておるわけでございます。なお日本の通貨の発行準備として金が何ほどあるか、こういうわけでございますが、この問題につきましては、現在通貨を発行いたしまする日本銀行がどれだけの金を持つておるかというお尋ねかと思うのでございます。これはいろいろむずかしい問題がございまして、いずれ又別途法案を提出いたしたいというふうに思つておりますが、従来は日本銀行の持つております金も、皆占領軍によつて接收せられておつたわけでございまして、これを講和條約発効と共に日本政府の処分に委ねられるということが起りまして、併しそれでありますから、当然その金というものは日本銀行に戻るかと言いますと、接收された金というものは、ひとり日本銀行或いは政府のものだけでなく、非常にいろいうな方面から接収されておりますので、その実態を取究めなければならないということによりまして、いろいろと報告を聽取する法案を提出いたしたいと思つておりますが、その帰結を待ちまして、そういう点は明白になつて来ると思うのでありまして、今にわかにどれだけ貨幣用金があるかということは申上げかねる段階にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/28
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029・油井賢太郎
○油井賢太郎君 それは今のお話でわかりましたが、では日本の金の売買価格というものはアメリカ政府の買入価格を基礎にしているというふうに提案理由にあるのですが、一体金の価格というものは、何もアメリカの單位を日本で以て基礎におく必要は私はないと思うのですね。やつぱり日本の産金政策上から言うと、日本自体の経済事情にマツチする金の価格がきめられていいと思うのですが、この点はどういうふうになるのですか。今後もこういうふうにアメリカの買入価格を基準として産金政策というのをおやりになるのですか。それとも独自の立場で、金はどうしても必要なんだから、相当生産の上るような方策をとるか。この点なんですかね。どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/29
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030・石田正
○政府委員(石田正君) 日本が通貨とか、為替とかいうふうな問題をどう処置して行くかという問題が根本に相成ろうかと思うのであります。今のところ日本政府といたしましては、これもいずれ御審議を願いたいと思うのでありますが、国際通貨基金に加入するということをいたしたいと思つておるわけでございます。国際通貨基金におきましては、各国通貨の価値と申しますか、平価と申しますか、これを現在のアメリカのドルの純分と申しますか、金と申しますか、そういうものによつて現わすということに相成つておるわけでございます。それから又それを基準として通貨的にはいろいろな取引をしなければならんということに相成つておるわけでございます。我々はその大きなラインによつて進みたい。かように考えておる次第でございます。従いまして、それに基いてアメリカの一オンス三十五ドルというふうなものが出て来るわけでございます。なお、金の問題は非常にむずかしいのでありますが、金が非常に大切であるということと、日本の産金が今どうであるかということは、これは又違つた問題なのでございます。産金業の実態というものをよく考えなければなりませんけれども、又他面におきまして、今申しましたような点をやはり十分配慮しなければならない、こういうようなことがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/30
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031・油井賢太郎
○油井賢太郎君 その点がちよつと漠然としているのですが、両方睨み合していわめる産金政策を立てるんだと言いましても、実際的には一体買入価格を或る程度高くしても金の生産というものを殖やすのか、やはり金の価格というもの自体を標準として、まあそれにマツチするだけの生産能力があるだけでたくさんなのかというふうに、二つに分れると思うのですね。それは将来の大きな政策としては政府はどつちをおとりになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/31
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032・石田正
○政府委員(石田正君) 大蔵省といたしましては、通貨とか、貨幣とかいうものは極めて重大な問題である、かように考えております。これは国民経済全般に影響のあるものでございまして、どうしてもこれを中心に考えなければならんと思つております。仮に国際通貨基金に我々加入いたしました場合に、国際通貨基金の定めた価値以上で取引することは全然見込めないのだということでございますれば、産金業の実情はともかくといたしまして、その大きなところに副つて行かなければならんのではないか、かように考えておる次第でございます。なお今回の改正をいたそうというところの理由は、国際通貨基金におきまして、貨幣用の金というものと、それから産業用の金というものを分けて、そして産業用の金については貨幣用の金と違つた価格を出してもよろしいという決議があつたわけでございます。そうして多くの国がそれに従つてやつておる。アメリカはそうはやつておりませんけれども、やつておる国があるわけであります。それはやはりその国の産金事情というものを考えてやつておるわけでございます。それと同じ程度のことまでは日本がやれることであればやつたほうがいいであろうというので、この点の改正をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/32
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033・油井賢太郎
○油井賢太郎君 又元に戻るようですが、一体アメリカの金の価格の單位と日本の政府の買入価格の差はどのくらいあるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/33
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034・石田正
○政府委員(石田正君) 一オンスアメリカが三十五ドルでございまして、日本は今一ドルが三百六十円でございます。これから算定しますると、一グラム四百五円十銭という数字が出て参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/34
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035・油井賢太郎
○油井賢太郎君 一オンスに直すと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/35
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036・石田正
○政府委員(石田正君) 一オンスは、先ほど申しましたように三十五ドルでありますから、三十五ドルに対しまして三百六十円をかけまして、そうしてそれはすぐ数字が出て来るのでありまして、それは一オンスにいたしますれば一万二千六百円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/36
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037・油井賢太郎
○油井賢太郎君 日本のいわゆるさつきの一グラム四百五円というのが一オンスの目方に換算すると幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/37
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038・石田正
○政府委員(石田正君) 一トロイ・オンスが三一・一〇三四八グラムになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/38
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039・油井賢太郎
○油井賢太郎君 そうすると、結局アメリカの金の値段と日本の政府の買入値段とは殆んど同じだということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/39
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040・石田正
○政府委員(石田正君) いま日本の政府は四百一円で買取つております。というのは、今申しました四百五円十銭というものから輸送費その他を考えまして、向うへ出しまして、ドルならドルに替えた場合ということを考えてそのマージンを引いて四百一円という相場で買取つているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/40
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041・油井賢太郎
○油井賢太郎君 そう計算しますと、一万二千五百五十五円ということになつて、アメリカの一オンス一万二千六百円と殆んど大差ないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/41
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042・石田正
○政府委員(石田正君) これは日本が三百六十円という為替相場を出しておる以上、当然同じ価格で行くべきはずである。ただ四百五円十銭で買いまして、これをアメリカに持つて行つてドルに替えれば、いろいろ輸送費その他がかかるわけであります。そこで四百五円では買うわけに行かないから、マージンをとるために四百一円で買う、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/42
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043・油井賢太郎
○油井賢太郎君 最近塩の專売法や何かで以て塩の値段のことを政府側からもいろいろ我々は聞いておるのですが、輸入塩は七千円、日本で生産される塩は一万三千円もしておる。そういうふうに二重価格になつて、現在日本の製塩業者に対していわゆる助成をやつておるというふうな形なんですね、ところが金の場合でいうと、アメリカの一ドルが三百六十円だからといつて、それを單位にして産金政策を行うということが原則になれば、さつき申上げた塩の値段なんかが二重価格となつているのとこれは大変な牴触が来るわけですね、そういう点は産金政策になぜ現わさないかというのですが、二重価格制度とか何かをとつて、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/43
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044・石田正
○政府委員(石田正君) これは金というものの特殊性に応ずるものでありまして金の値段というものは即ち通貨の価値を示すものである、こういうことになつております。それがまあ何と申しますか、常識というと語弊があるかも知れませんが、そういうものなのでありまして、従いましてそれを二重価格にするということは通貨の価値が二重になる、三重の為替相場を立ててさる、こういうふうにとられやすい、これは金が二つありまして、貨幣用の金でありますならば二重価格というものは、二重価値乃至は二重相場、二重為替相場ということになる、そこで今度のは要するに通貨として二重価格とか二重為替相場ということを避けると同時に、貨幣用でないところの産業用のものについては、相当それと違つた少し高い値段を出そうというのが今回の法案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/44
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045・油井賢太郎
○油井賢太郎君 それでその貨幣用以外の金の値段は何割ぐらい高くなつておるのですか、それはこれからきめるというお話ですが、併し大体の目標はおきめになつていると思うのです。あとはこの法律ができてから二月になんでしよう。政府のほうで改めておきめになるのは、その見通しはどういうふうになつているのですか。それは今発表できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/45
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046・石田正
○政府委員(石田正君) これはこの法案の先ほど読みましたところにもございまするような工合に、消費者のほうの考え方から申しますると、現在のままでやつて欲しい、こういうのは当然だと思います。特にまあ歯科用の方面とか或いは輸出用でございます陶磁器に使いますそういうふうな方面から申しますと、やはり国際的に一番安いところの価格と申しますか、そういうところでやつて欲しい、これは当然であろうかと思います。それから山のほうから申しますと、これはまあ六百八十円くらいにして欲しい、こういうお話があるわけであります。私たちはこれはまだ決定はいたしておりませんけれども、併し私たちは各国におきましていろいろと金が産業用に売買されておる、その値段というものを見合いまして、これが一つ上つておる国際価格という面もございますが、その点が極めて重要であろうとかように考えておるわけでございます、と申しまするのは、先ほど来御質問がありましたような工合に、何といつても通貨とか貨幣というものは一番大切なものである、ただ許される範囲において業界のために図らなければならんという考え方でおりまするので、私たち大蔵省といたしましては、この国際市場価格というものを相当重要視して考えておるわけでございます。なお、ただ国際市場価格につきましても、いろいろと動いておりまして、いよいよそのときになつて見ませんと、結局はつきりしたことは言えないと思いまするし、それから一遍定めましても、それは定めつきりですつと行くものでなくして、国際市場価格の変動もございますし、そこらのところを私ども睨み合せて、或いは変更がたびたび行われるということもあろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/46
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047・油井賢太郎
○油井賢太郎君 どうも今の御説明ではちよつと納得いかんのですが、さつきはドルを單位にして金の価格をおきめになる、そうすればドルというものは一オンス三十五ドルで以てアメリカは固定されておる、そういう点からいつて、まあ国際市場の金の価値の変動ということを今新たにお話になつたのですが、日本の場合で言うとアメリカのいわゆる金ドルというものを中心にしてやればそんなに変動はないわけです。ただこの場合に二重価格式のものというと、今の貨幣用以外の金というものは或る程度高くしてもいい、こういうふうなお話なんですが、而も許された範囲内という、その許された範囲というのは何割ぐらいを目標にされるかということに結局なつて来る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/47
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048・石田正
○政府委員(石田正君) これは貨幣用のものについては変更する意思は全然ございません。ただ問題は産業用のものがどうなるかという問題でございます。この問題はよその国の振合を見なければならないというのはなぜかと申しますると、金というものは貨幣の価値というふうな点から見られる点が非常に重要であるわけであります。よその国におきましていわゆる貨幣用の値段と産業用に開きがある、例えば一割とか二割というマージンであるのに、日本ひとりだけが四割とか五割というようなわけには、これは国際市場上いかんであろうと我々は考えておるわけであります。それから仮に例えばよその国の市場が四割、五割というふうな開きを示しておるということでありますならば、業界のために、それに近いところまで持つて行くということは考えられようと思いますが、併しそれが一割、二割であるというような場合に、それを三割、四割にするわけにいかない、併しそれが三割、四割か、一割、二割かということが、これが予言できないのでございまして、いろいろと動いておりますので、そのときの実情を参酌して考えたい、かようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/48
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049・波多野鼎
○波多野鼎君 今日の新聞を見ておると、産金業者の側からグラム当り例の六百円とか七百円といつたようなふうに扱つてくれというような要望が非常に強いということを新聞で報じておりまするが、この金の価格の問題は、今政府委員の言われたように、通貨制度の問題と基本的に繋がつておるのです。日本の通貨政策を変えるというなら話はわかるけれども、今の一ドル三百六十円というレートを堅持して行くという方針の下では、産業用の金といえどもその価格は余り上げるということは私はどうかと思う。この前委員会で聞いたときに、一グラム今四百一円であるけれども、為替レートから言えば四百一円だが、これは大体五百円見当に上げるということを言つておられる。この五百円見当に上げるということさえも私は問題だと思う。これさえもすでに問題を含んでおると思う。で、この加工用金の海外市場価格調、資料としてもらつたものを見ておりましても、五百円見当に行つておるのは香港とマカオ、こういうような相当政情不安な所だけなんです。日本も政情不安だと言えばそれは別なんだが、五百円にまで上げるという根拠についても非常に疑いを持つ。このことが通貨政策に非常に影響があるから、疑いを持つて愼重に考えなければならんと思うのだが、一面産金業者の側から言うと、それから又加工用に使つて輸出するという面から言うと、相当考えなければならん点もある。その点のいろいろなバランスをとつて五百円ということに大体方針をきめておられるようですが、もう少しその点を考え直す必要がないか、私は今ポンドの為替相場がだんだん強くなつて行きつつある。それからドルの問題については問題は殆んどないと私は思つておる。ただこういう政情不安な所においてこそこういう問題が起きておるというふうに思うので、為替政策を基本的に、日本の通貨政策の基本を、金為替本位制度において立てて行くという建前から言うと、もう少し考えてもらいたい点があるように思うのですがね、その点どうなんですか、もう少し説明して頂きたい。通貨政策はちやんと変えないのでしよう。変えるとなれば又問題は起きるのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/49
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050・石田正
○政府委員(石田正君) これは貨幣とか通貨という問題の根本問題でありますと、非常にむずかしいのでありまするが、今現に日本政府といたしまして、為替相場を対米三百六十円といたしておりまして、これを変える意思は毛頭ございません。ただ更にそれを進んで金にリンクして金本位をやるとか、或いは金為替本位というものを明文で謳うかどうか、これは大問題でありまして、我々はまだそこまで研究もし、結論を下すという立場にはなつていないわけです。ただ三百六十円を堅持するということは努めて行きたい、かように考えております。それからなおその点から申しまして、これを本当に真劍に守ろうとするならば、あらゆる金の値段というものは、三百六十円を基礎としてやるべきであつて、一切それ以外の値段というものは認めるべきではない、こういうことに相成ると思います。ただ金というものが現に日本において産しており、そうしてそれが又貨幣用の金にもなり得るということでありまするならば、成るべくそういう金というものの産出を維持し、できればこれを殖やし、そうして貨幣用のストツクを殖やすということは通貨自身の価値を維持する上において大切である、こういうふうに考えまするので、そういうことができればそういうことをいたしたい、かように考えておるわけであります。それからなお実際問題といたしまして、この金の重要性と、それから産金業の実態というものとが、日本におきましては遺憾ながら乖離いたしております。金が非常に日本としては大切であると同時に、それを産出するところの産金業というものの品位と申しますか、そういうふうなものが非常に低い、そこに矛盾があるわけであります。そこでその矛盾をほつたらかしておくわけにはいかんから、できる範囲において何とかこれを調和いたしたい。私たちの希望といたしましては、何と申しましても通貨的な面にこれは重点を置かなければならん。併し許された範囲においては何とかしたい、こういう気持を持つておるわけであります。そこで国際通貨基金というものが従来やつて参りましたような工合に、非常に嚴格に貨幣用の金と産業用の金というものを分けずして、全部一本として通貨的な、いわゆる平価を基準にして値段をきあなければならんということであるならば、日本としてもその線に沿つて行かなければならんかと考えます。ただ去年の九月から産業用の金というものを別にいたしまして、そうしてそれについては違つた値段を出してもよろしい、それについてやるかやらんかということは、各国の判断に任せるということにいたして決議いたしたわけであります。それに基いて別にいたしている国もあるわけであります。そういうことが認められるということであれば、やはり日本としても産金業が潰れてしまつていいものではないので、許された範囲においてはやつて行くことがむしろ実際的ではないだろうか、こう考えましたのでそういう背景の下においてこの法律案を出しているわけであります。若しこの国際通貨基金制度が変るとか、或いは日本自体として通貨制度というものを根本的に考え直して確定的なものにいたすということに相成りますれば、それらの場合におきましては、又違つた考え方をとらざるを得ないのではないか、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/50
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051・波多野鼎
○波多野鼎君 ちよつと今の国際通貨基金の方針の問題ですけれども、嚴格に一オンス三十五ドルというものを守らなくてもいいという方式がきまつたようですが、これは要するに世界の通貨制度というものが現在一オンス三十五ドルに釘附けしておくことについて釘附けし得ない、要するに必ずしもそれが嚴格に守れないような情勢になつて来ているということははつきりしております。だからこそそういう一オンス三十五ドルから離れた価格を作つてもいいというようなことを言つて来たと私は思う。金本位制度そのものの根柢に疑惑が起きているということはありますね。一オンス三十五ドルの線を或る程度崩して行こうということで、要するに通貨基金の方針に日本も大体従つてこういう案を出されたと思うのだが、その方針そのもの自体はどうなんですか。日本側としてどういうふうに考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/51
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052・石田正
○政府委員(石田正君) 先ほど油井委員から御質問がありまして日本政府としては国際通貨基金に加盟する考え方でございまして、その法案を追つて審議願うということを申上げたのであります。そこで国際通貨基金というものの加入ということを前提として一応すべてのことを考えております、なお今お尋ねの点は国際通貨基金において御承知の通り非常な問題の点でございます、ということは要するに一オンス三十五ドルというものが果して妥当であるかどうかという点でございまして、アメリカにおきましては、これは変える必要は全然ないのだと、こういう考え方をとつております。産金国といたしましては三十五ドルというアメリカの元値を変えてもらいたい、こういう要望がありまして、これは非常に大きな問題になつておるわけで、その問題が片附かないままに、要するに貨幣用の金というものと産業用の金というものを分けて、そうしてその産業用の金については別の価格をやつてもよろしいというのが現段階であります。日本政府といたしまして国際通貨基金をどう持つて行くかというふうなことになりますると、これは日本政府自身において国際通貨基金に又入りました後におきましても、なかなか日本だけの考えで国際通貨基金をどう動かすというわけにも行かんと思います。それから又今の日本におきましては三十五ドルがもつと違つた価格になるかどうかという問題につきましては、今どうこうということは率直に言つて言えないというのが実情でございます。やはりその実情の下においてどうするかということをそのときどき考えて行くより仕方がないのじやないか、併しこれはいわゆる日本の一ドル三百六十円というのを搖がそう、そういう意図は毛頭含んでおらんわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/52
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053・波多野鼎
○波多野鼎君 輸出用の陶磁器などに使う金ですね、これは一グラム五百円で拂下げるということでなしに、何か別の方法は考えられないかと思うのです、というのは、嚴重に輸出用の金であれば、それは恐らく多くの場合ドル為替手形に換わるものなので、ドル為替手形と金は同じだから、五百円に上げないで何とか低いところできめて輸出を奨励して、そしてドル為替手形に書替えて行くということになれば大したことじやないが、その辺の操作はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/53
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054・石田正
○政府委員(石田正君) これはいろいうな見方によりまして、輸出用のものについてはそれだけの値段にしてはどうか、もとの値段を据え置いたらどうか、こういうことができないかということでありますが、これは需要者としてはまさにその通りだろうと思います。併しその生産者のほうといたしましては、それに対しては又別の立場があるわけであります。なお先に申しました一オンス三十五ドルというもので各国皆金をそのようにやつておるかどうかという問題でございますが、この問題につきましては、今度のような国際通貨基金のああいう決議に基いて産業用の金について、違つた値段をとつておるということになりますれば、それらの国におきましては、内需も輸出用もやはり産業用の金の値段で取引しておる、こういうことになるのでありまして、必ずしも三十五ドルを基準にしてやつておるわけではありません。
それから又日本の産金業者とよその国の、例えば対米輸出するところの国の産金業者の立場というものを考えて見ますと、日本の産金業者というものは決して有利な地位にあるのではなく、むしろ非常に不利な立場でやつておるという点を考えますれば、これは生産者とそれから消費者との関係において或る程度消費者のほうで忍んで行かなければならないのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/54
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055・波多野鼎
○波多野鼎君 今の歯科用の金、あれと輸出用に使う金を、これは同列に扱うことはどうかと思うのだが、非常に面倒な問題だろうと思うけれども、何かその辺の操作のやり方はないものかということ。
それからもう一つ産金業者にとつては日本の産金業が例えば南アフリカあたりの産金業者と同じレベルで動いて行くということはとてもできつこない、そこで産金の保護奨励をしようと思えば、そこにやはり別の方法を考えなければならん、若しそういう必要があるとすれば、つまり国家的な何らかの手を打つて非常な不利な條件の下で作つておる、産出しておる産金業を保護して行くという手を打たないと、南アフリカの産金業者と日本の産金業者と競争しろと言つたつてとても問題にはなつたものじやない、で、一律にやらないで、輸出用の金についてはこうだとか或いは産金奨励のためにはこうだとかいうような手を打つことは国際通貨基金に加入する前途に当つて、日本政府としてはまずいですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/55
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056・石田正
○政府委員(石田正君) なかなか混み入つた問題でございまして、先ず前段のほうの輸出用の問題でございますが、これは輸出用の問題につきましては、ただ輸出ができるから特別な値段を設定するということが必ずしもその通り行つてよろしいかどうかという疑問の点もあるわけでございます、と申しまするのは先ほどのお話でアメリカへ出るのだからドルと同じではないかというお話がございました。勿論そういう面も多いと思います。併しながらそうでない、いわゆるボンドを稼ぐ地域に出て行くものもかなり多いのでございます。それらのものを実際の運用上分けて行くのであります。御承知の通り金液でございますが、あれは金液の分をこうとかあるとか分けておきますことはなかなかむずかしい、それから輸出用と申しましても、大きなものは陶磁器の金液でございますが、そのほかに万年筆というようなものがございますが、これらのものがアメリカへ出るというよりも、むしろ東南アジヤ地域にポンドを相手に出るということも多いわけでございます。これらのものはそれぞれの輸出品の性質、それから使途、その他もございましてなかなか一律に分けるというのが困難な実情でございます。それらの点がまあ金というものは実際上みんなドル地域へ行くものであるというような目算が立ちますれば、又同じような考えも立つかと思いますが、実際はなかなか困難でございます。
それから実はあとのほうの問題でございますが、日本の産金業に対して特別の助成をしたらというお話でございます。これは若し産出いたしました金が全部産業用に行きまして、そうして貨幣用としては全然買上げない、こういう決議がきまりますれば一つの行き方だと思います。併しながら何と申しましても現状では貨幣用というものに相当行くというのが実情でございます。こういう貨幣用に行きます場合におきましては、国際通貨基金の建前といたしましては、そういうものについては一切助成金を出してはいかん、補助金を出してそうして貨幣用の金というものの算出を助成することはいけない、それで今度の産業用の金についても別にする、この外へ産業用として出すものについていろいろ補助金の問題につきまして補助金を削るとか削らんとかいう問題がございまして、各国の事情によりまして違うところもあろうかと思いますが、併し一般に申しまして国際通貨基金では貨幣用のものについては助成をするということは何と申しますか、これは平価を紊るという思想が根本にあるわけでございます。それらのところを睨み合せてやつて行かなければならん、それで我々のほうは産金一グラムについて幾ら補助するという、コストをペイするという形で補助をいたしまして、そうしてそれを貨幣用の金としてとつて行くということに相成りますると、これはもう明らかにいかんということを言われる慮れがあるのです。そこで産業用助成金とか何とかいうような形でカモフラージユして、或る程度助成をしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/56
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057・波多野鼎
○波多野鼎君 今の産業用の金だけについて助成をするとか、或いは又ドル地域へ輸出される金についても今特別価格を認めるといつたような手を昨日は塩の問題で大分論議になつたのだが、ああいつたような方法はとれませんか、塩の場合だとなかなかうまいことを考えているようだが、ああいつたような方法もとることは考えていなかつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/57
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058・石田正
○政府委員(石田正君) まあこの問題はとにかく今度は初めてこういうふうに産業用、そういうものを別にするわけでありますが、まあ貨幣用の金はどのぐらいできまするか、或いはどのぐらいを産業用に割振りますか、それはだんだんと変つて行くことでありまして、将来お話のような点は研究の余地があるかと思いますけれども、とにかくスタートして見ないことにはわからん点でございますので、大蔵省といたしましては、先ほど波多野先生からお話のありましたような具合に、二重価格でやるということ自体がどうかということを非常に心配しながら実はやつておるのが実情でございまして、更に雑複ないろいろと手をこましたことをやるということがどういう反響がありますかどうか、そういうことも考えなければいかん、取り敢えず今各国がやつておる程度のことだけに止めておきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/58
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059・小林政夫
○小林政夫君 大きい問題は済んだので逐條的に念のためにお伺いしておきます。その前に今の波多野委員との応答の最後の問題ですが、産金業者を大蔵省側において余り助成的なことを考えないということが我々に来ておる陳情等によつてもまあ相当そういう不平を訴えておる、その一点として大体アメリカの奢侈品相場で行くということになつておるにかかわらず、三百六十円のレートできまつたときでもなかなな今の四百一円までには……、一年間ぐらい前は三百幾らというようなことで、そうすぐには奢侈品相場にしてもらえないというようなことも言つておる。又各国の例を見ても、かなり国際通貨基金の了承を得て減税その他についていろいろ助成策が講ぜられておるわけでありますが、十分まあその意思を持つて通貨基金当局と話合をすれば、日本は例えば金利等の問題についても非常に一般的にまあアメリカ等に比べて高いというようなことから考えても、政府の低利資金も貸してやるというような助成方法があるわけですが、十分通貨基金当局と話合つて、日本の特殊事情を話して了解を得て、その助成策というものについては積極的に考えるお気持があるのかどうか、一つ大蔵当局にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/59
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060・石田正
○政府委員(石田正君) これは国際通貨基金の加入はまだ実現いたしておりません。で、この実現する前提として金の問題も持ち出しまして向うと交渉するということは私はむしろ適当ではないのじやないかと考えておるわけです。ただ加太いたしました後におきまして、向うとよく話合をして、そうして許されるものであり、而もそれが日本の国内事情から見ても適当であるものであれば、それは考えて行かなければならんのじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/60
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061・小林政夫
○小林政夫君 それから第三條の二項で造幣庁が金、地金の精製を頼まれてやつた実績はどの程度になつておりますか。
それから序にその主務省令で定める精製に要する費用というものについてはどういうような金額か、できれば今日上げる趣旨だから簡單に明快に答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/61
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062・横山正臣
○説明員(横山正臣君) 造幣庁などの手数料についての御質問だと思います。造幣庁におきましては一グラムについて四円の手数料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/62
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063・小林政夫
○小林政夫君 実績は……。どのくらい精製やつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/63
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064・石田正
○政府委員(石田正君) 小林委員からの御質問の前段は、造幣庁がどのくらい精製をやつているかという実績でございますが、これは大体今の産金業者は相当な製錬設備を持つていまして、相当いい品位のものにみずから精製することができるわけであります。それから又設備を持つていないところでありましても同業者に頼んでそして精製するということが多いのでありまして、造幣庁が精製を依頼されるということは実際問題としてそう大きなものではないので、大部分のものは産金業者が製錬をいたしましてそれを造幣庁に持つて行くことになつています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/64
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065・小林政夫
○小林政夫君 いや、そう思つているから聞いているのですよ。一体どのくらいになつているか……、それじや調べられる間、次に行きます。
第十一條第六項の資力或いは医療能力の判定ですね、医療能力によつて割当を考える、その医療能力等の判定の方法はどういうふうにやるのですか、第十一條の第六項。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/65
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066・石田正
○政府委員(石田正君) これは実は厚生省のほうへ私たちのほうとしては一任いたしましてやつておるわけでありまして、何と申しますか、的確なることは、どういう基準でやつておるかということははつきり申上げかねるのでありますが、要するに、販売業者が金がなくて、ただ持つて行つてしまうというようなことでも困るし、やはり代金回収というような点についても確実であるというようなことを考えなければなりません。又お医者さんの場合におきましても、お医者さんがあまり患者が来ないのに余計来ても困るというようなことで、厚生省のほうで判定されておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/66
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067・小林政夫
○小林政夫君 判定の基準は従つて診療費の收入であるとかいうことは、逆に税金をどれだけ納めるとか、患者の数等を考えるのかどうかということなんです。まあそれはいいです。
それから同條の第七項の、価格が、さつき油井委員の質問と関連して私が尋ねた第十條の販売価格との関係はどういうふうになりますか。要するに歯科用金地金の販売業者の場合と、一般の加工用金販売捌業者のマージンとは違うのか違わないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/67
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068・石田正
○政府委員(石田正君) この第七項の場合は、これは金が或る量まとまりまして、一括して拂下がありまして、それを今度は細かく切りまして、そうしてやるわけでございます。この切断いたしましたり、細片にいたしましたり、その手数料を考えましてきめるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/68
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069・小林政夫
○小林政夫君 きめられるのですがね。前は一般用の加工用金販売業者のマージンは四円以内、これだと相当手が込むからそれは四円か、どのくらいに考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/69
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070・石田正
○政府委員(石田正君) これは厚生大臣がきめておるのでございますが、今申上げました切るような費用と、それから又、例えば大阪なら大阪で一括して扱いましたものを、九州なら九州のお医者さんのところまで届けるというような費用も考えておるのでありまして、この点は厚生大臣がやつておりますので、大蔵省といたしましては、こういう価格がどういうふうになつておるということを今実は資料を持ち合せてないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/70
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071・小林政夫
○小林政夫君 最後に第十九條の第三項、これは非常にややこしい書き方がしてあるのですが、具体的にこういうことを考えておるのだということをお話願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/71
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072・石田正
○政府委員(石田正君) これもやはり厚生大臣のほうでおやりになつておるのでありますが、要するにここのところの趣旨は一人の人があつちこつちに関係して幾にも分けてやつたりなんかしては困る、そういうところを取締ろうという趣旨でやつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/72
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073・小林政夫
○小林政夫君 その趣旨はわかるんだけれども、これは事業上の関係があるかということを実際どの程度まで書くのかですね、厚生省関係はあんたにはわからんということで、僕の質問に対しては三点満足な答弁は得られませんからもうよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/73
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074・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 他に御発言もないようですが、質疑は終了したものと認めて差支ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/74
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075・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。
別に御発言もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/75
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076・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。貴金属管理法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/76
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077・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。それでは多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
黒田 英雄 岡崎 真一
菊田 七平 波多野 鼎
森 八三一 油井賢太郎
小宮山常吉 大矢半次郎
小林 政夫発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/77
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078・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X04919520509/78
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