1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十九日(木曜日)
午前十時三十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平沼彌太郎君
理事
大矢半次郎君
野溝 勝君
木内 四郎君
委員
岡崎 真一君
黒田 英雄君
西川甚五郎君
小林 政夫君
小宮山常吉君
森 八三一君
江田 三郎君
大野 幸一君
菊田 七平君
油井賢太郎君
木村禧八郎君
政府委員
法務府法制意見
第二局長 林 修三君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
大蔵省銀行局総
務課長 福田 久男君
大蔵省銀行局銀
行課長 大月 高君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
参考人
日本開発銀行総
裁 小林 中君
日本開発銀行理
事 中村 建城君
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本日の会議に付した事件
○日本開発銀行法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) これより第五十八回の大蔵委員会を開会いたします。
日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府側のほかに開発銀行から小林総裁が見えておられます。質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/1
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002・小林政夫
○小林政夫君 前回ちよつと政府委員に質問をいたしておいたのでありますが、今度の改正によつて外国銀行又はその他の金融機関から日本開発銀行が借入ができるというように改正規定をされておるわけでありますが、こういう形で一応外国金融機関から借入ができるという規定をおきましても、この規定によつて入ることが想像される外資の種類というものはどういうものを予定されておるのか、その点が一点と、それからつこういう形においては、例えば世界銀行等からの借入を、借款を予定するというような場合において政府保証を要求するという場合においては只今経済安定委員会において問題となつておる電源開発促進法案による特殊会社において定められておるような、予算の定める範囲において政府は保証することができるというような規定がなくてはなかなか外資は入らないのじやないか。特に開発銀行の信用云々の問題でなしに、外国為替管理の行われておる時におきましては、なお更そういう政府保証ということがなくては外資は入りにくいのじやないか。一応規定は書いてあつてもなかなか実行できないのじやないかというふうに思いますが、この点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/2
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003・小林中
○参考人(小林中君) 只今の御質問に対しましては、第一の問題は、開発銀行が将来外国の銀行並びに金融機関から外資を借入れる場合にはどういう方法によつて使われるかという御質問だと思いますが、大体これは日本の産業資金開発銀行の建前上産業資金にこれを使うという考えを持つております。それから第三の問題は、そういう場合が起つた場合に、開発銀行自体の信用だけではなかなか外資の導入、いわゆる外国金融機関からの借入はむずかしいのではないかという御質問でありますが、現在の実情からいたしますると、私どもも必ずしも楽ではないと考えます。併し政府の保証その他の問題は、その問題が具体的に起りまして、相手との交渉の経過によりましてそういう問題が起つて来るのではないかと思います。必ずしもあらゆるものが政府の保証でなければ外国金融機関からの借入は絶対に不可能だというまでには私どもは考えていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/3
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004・大野幸一
○大野幸一君 ちよつとお願いしたいのですが、これは日本銀行総裁をこの前来て頂くというついでに、開発銀行法の改正があるからというので、開発銀行が発足して以来総裁を勤められまして、その間における経験からいろいろな御意見、御抱負を承わろう、こういうわけで来て頂いたと、自分はそういう意味で発議しておるのです。一応そういう意味での大体の御意見を一応拝聴したいと思うのですが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/4
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005・大矢半次郎
○理事(大矢半次郎君) 大野委員のおつしやいました意味も含まれてはおりますが、順序としてそういたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/5
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006・小林政夫
○小林政夫君 ちよつと今の問題、途中ですから……。私が第一点でお尋ねしたのは、入れた外資をどう使うかということでなくて、どういう種類の外資を入れようと予定されておるのかということなんです。例えば国際復興開発銀行から借入れるというつもりであるか、いわゆる予定されておる外資の種類はどういうものを、どういう性質の外資を予定されておるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/6
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007・小林中
○参考人(小林中君) 御質問でありますが、現在具体的にどういう種類の外資を予定しておりますということはまだありませんのです。併し考えといたしましては或いは世界銀行、輪山田入銀行等から、金融機関としては対象として、外資が入り得れば入れたいと、こういう希望であります。と同時に、この今回の法律改正によりまして直接産業会社が外資を導入する場合に、或いは他の保証がいるというときに、開発銀行は保証ができるという建前をとりたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/7
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008・小林政夫
○小林政夫君 まあ一応大野委員の意見もありますから、私は先ずその問題についてやりたいのですが、あとにしましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/8
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009・大野幸一
○大野幸一君 総裁から、先ほど申上げましたような抱負経綸、経験上の結果を一つ御報告を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/9
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010・小林中
○参考人(小林中君) 御質問の趣旨は、結局開発銀行が営業を開始いたしまして、今日までの仕事の上の経験上の話をせよと、こういう仰せですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/10
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011・大野幸一
○大野幸一君 はあ、そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/11
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012・小林中
○参考人(小林中君) 何か質問の要点が漠然としてちよつとむずかしいと思いますが、御承知の通り日本の産業は、戦争中或いは戦後の時代におままして、世界産業の水準から相当後退をしておりますので、この産業に対して少くとも国際水準にまで、できるだけ早い機会に持つて行きたいというふうな考え方をいたしますると、日本の産業の合理化資金、或いは近代化資金というものが相当厖大な資金を予定されなければならんと思つておるのであります。併し御承知の通り、開発銀行の資金というものがおのずから制限されておりますので、従つて産業家の要望には全部が全部お応えができないというふうな現在状態にあると思います。ただ最近は、合理化、近代化の線が非常に強く叫ばれて、日本の産業といたしましては、誠に結構なことだとは存じておりますが、産業の合理化というものは、
〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕
間々産業の何と言いますか、拡大、増産を伴うものでありまして、これが余り効き過ぎますると、生産過剰ということも考えられるのでありまして、合理化、近代化には或る意味におきましてやはり大量生産ということが伴う場合がありますので、こういう点は止むを得ざるものは無論あると考えられるかも知れませんが、相当注意をして今後参らなければならんのではないかというふうに考えておる次第であります。何かこう具体的に、こういう問題はお前はどう考えるかということでありましたら、何か御説明もできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/12
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013・小林政夫
○小林政夫君 先ほどの、今の根本的な方針の問題についても伺いたいことがあるのでありますが、一応質疑をやりかけましたから、外資の問題を先に進めます。
只今のような総裁の御意図で果して外資……、まあ入つて来る外資は入るようにしよう。特別に積極的に外資を入れるような努力ということもない。まあ入る外資が、こういう条件でも入れば入れようというような意味にもとれるわけでありますが、現在の国際情勢、或いは日本が外貨管理をやつておるというような状態において、開発銀行が直接外資を受入れるという場合において政府の保証なくして入る外資というものが考えられるかどうかということなんです。従つて一体どういう種類の外資を考えられておるのか。この規定においては、入り得る外資というものは私の考えるところでは余り入らないのであると思う。ただ自己満足的に規定を置いておくというだけであつて、実際において実現不可能なことであるというふうな気持を持つてお尋ねしておるわけなんです。それで総裁としては満足ですか。これだけの規定だけで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/13
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014・小林中
○参考人(小林中君) 開発銀行といたしましては、こういう法律の改正をお願いいたしましてそれだけで成り行きに委せるという考え方ではありませんで、只今私が御返事申上げましたのは、現在において具体的のこういう形の外資の話は、ということは現在はないのであります。こうお答えをしたのでありまして将来は開発銀行が国内産業資金の供給の使命を果すために、できるだけ外資導入、いわゆる外国金融機関からの外資の借入れということに努力はいたしたいと思つております。そういう場合に、外国金融機関と交渉の結果、或いは政府の保証、或いは政府の了解等が必要の場合には、その時々に政府と折衝し、又法律の改正の必要なものありとすれば、その時に又法律の改正をして頂かなければならんということで、一応はここで、外国金融機関からの外資が借入れられる途を開いておくというような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/14
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015・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、万一外国銀行から金が借入れられて、その外資が支払ができないという場合には誰が責任を負うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/15
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016・小林中
○参考人(小林中君) 外資の支払ができませんということは、結局為替管理の関係上、支払ができないという御質問でありますか、それとも開発銀行が外国金融機関から外資を借入れたのだが、開発銀行自体が支払能力がなくなつたという御質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/16
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017・小林政夫
○小林政夫君 その後者です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/17
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018・小林中
○参考人(小林中君) 開発銀行が支払能力がなくなるということは、これは私どもが考えていないことでありますが、若しそういう懸念が外国の金融機関にありとしますれば、外国の金融機関は開発銀行の信用だけで外資をお出しにはならんということにならざるを得ない。従つて或いは政府の保証ということがそこについて参るかも知れない。併しながら開発銀行の今日、或いはこの法案によつて、若しできますれば、将来における開発銀行の信用というものは相当高まつて参るものだと私は考えておるのでありまして、そういう場合に、開発銀行の信用を対象として外国の金融機関が外資の貸出しをするということが絶対にないということは私は考えられんと思います。従つて開発銀行の支払能力がないのだというように相手が考えれば、それは政府の保証というような、仰せの通りの要求があるかも知れません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/18
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019・小林政夫
○小林政夫君 銀行局長に今の点についてお伺いしたいのでありますが、この前の説明員のどなたでありましたかが、今の開発銀行が万一外資に対して支払不能になりました場合には、全額政府出資の政府機関であるから、当然政府が責任を負うべきであるという説明でしたが、必ずしもそうは行かないので、やはり予算の定めるところによらなければそうは行かない。その点と今の外貨保証外貨送金というような点もありますから、今この二点の問題においてどうしても外国金融機関からの借入で十分目的を達しさせようと思うならば、今電源開発の特殊会社について案が出ておるような、予算の定めた範囲において、外国からの借入金については保証するというような規定がなければ、ただここに一応、輸出入銀行にもこういうような意味で外資受入の規定を作り、開発銀行にも作つたけれども、ただ政府は外資導入外資導入と言つておる掛声をただ法律に現わすだけであつて、実効の伴わない規定に終るのではないか、それは問題を起すときは、ケース・バイ・ケースで、その必要が起きたときに法律改正をすればいいというようなものですけれども、国会が開かれていなければしようがない。だからそういう点も考慮して、一応案としては考えて行つたほうがいいのではないかというふうに私は思う。その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/19
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020・小林中
○参考人(小林中君) 御意見としては至極御尤もだと存じます。但し開発銀行は政府機関でもありますが、純然たる金融機関の立場をとつておりますので、将来におきまして他の一般金融機関、いわゆる市中銀行が外国の金融機関から資金の借入が、これも或いはできるというふうな時代が来るかも知れません。それと同じように、それよりむしろより有力な対象として外資借入というものができるのではないか、ただ開発銀行の支払能力というお話がありましたが、この規定にもありまする通り、資本の限度内ということで制限をされておりますので、今日の事情から行きますれば、私どもは支払能力がなくなるというふうな事態は想像をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/20
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021・小林政夫
○小林政夫君 資本の限度内ということは私も承知いたしておりますが、併し開発銀行というものは大体いわゆるコンマーシアル・ベーシス、この点については後ほど総裁の意見をよく確めたいと思つておるんですが、コンマーシアル・ベーシスに乗らない金融をやるのが建前であつて、普通の市中銀行では手のつかないものをやるべきなんです。従つて相当貸倒れの危険が見込まれる融資をやるのが建前でありから、絶対に回収が可能だ、誰が見ても回収が可能だというものをやるということが、すでにそこに問題があるんです。開発銀行が、長期信用銀行の朝立を一方に図りながら、やはりその長期信用銀行でできるような融資を開発銀行がやるということは問題なんです。そういう点から言つても、まあ回収不能になつては困るが、併し場合によつてはそういうこともあり得るんで、名目的な資本の範囲内ではあつても、実際的に回収不能ができた場合に資本に食込むということが考えられるのです。そこでこの保証を要するのではないか。併し又先ほどお話があつた、一般の金融機関でも借入れする外資があるんだということでありますが、開発銀行の性質から言つて、そういつた市中銀行が受入れ得る、或いは普通の銀行まで向うの金融機関との取引において入れ得るような何というか、純民間的な資本といいますか、そういうようなものは普通の金融機関に任せばいい。その開発銀行が受けられる外資というものは、何かそこに特別な、世界銀行であるとか、一つの政治的な意味の加わつたものを考えるべきである。ちよつと言葉が適切な表現がありませんが、意味は了解願えると思うんですけれども、この開発銀行設立の本来の趣旨に合つたような外資を、普通の銀行では受けられないような外資を入れるということが筋であると思う。そうすれば尚更のこと今の政府保証というような規定がなくては借りられない。そういうような規定があつて初めて入るような外資を入れるべきであつて、そういうようなものがなくてもどんどん入るような外資は普通の銀行にまかしたほうがいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/21
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022・小林中
○参考人(小林中君) 第一の御質問に対しましては、御承知の通り開発銀行は政府機関の金融機関なんでありますが、その運営におきましては、本来の金融機関の角度から十分にこれを運営して参るという方針でおるのでありまして、初めから貸倒れを予想するというふうなことは私どもは絶対に考えておりません。ただ普通の市中銀行が金融の対象とならないものを考えて行くということは、その期限とか、返済方法等におきまして、普通の市中銀行が取扱いにくいものを対象として考えて行くべきことが間々あるのではないかと考えるのであります。従いまして私どもも開発銀行の運営におきましては、市中の銀行と競合しないように、どこまでも市中銀行の金融の補完という建前を堅持しておるような次第でございます。従つて仰せのように、相当お前のところは貸倒れを予定すべきではないかというお尋ねでありますが、これは私どもは現在仕事をしております上におきましては、純金融機関の角度から考えておりまして、貸倒れを予定するというような仕事のいたしかたはしておらないのでございます。
第二の場合は、市中銀行が外資の借入れができるような種類は市中銀行にさせて、お前のところは別な意味の、いわゆる政治的色彩の濃厚な外資というものを取扱うべきが本来の使命ではないかというお話でありますが、それは私どもさように考えております。但し市中銀行が外資の借入れができるというふうなことを考えた場合に、開発銀行自体におきましても、その信用の上からは当然外資が借入れることができる立場にある、こういうことであります。同じものを借りるという意味ではない。市中銀行が外資を借りられるような状態になる場合には、その信用の程度におきまして、開発銀行自体も外資の借入れが可能になるのではないかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/22
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023・小林政夫
○小林政夫君 それではまあ一応その問題については押合いしても仕様がありませんから、具体的な例で御質問をしますが、政府というかこれは自由党議員の発案によつて電源開発株式会社という特殊会社を作る、積極的に外資導入の受入れ口としての特殊会社を作る、大蔵大臣等の言明によると、世界銀行からの借款というものは、そういう九電力会社ばらばらのようなことではいけない。特殊会社を作つて政府が保証するということにしなければ入らないのである。国際間の、世界銀行の借款の相手方としては、単一目的の政府機関に限るんだというような答弁をやつておられた。併しこれは実際の調査によるとそうではないので、そうではないところがたくさん出ておりますが、開発銀行の総裁としては、折角ここに外資を借入れられると、う規定を設けるとすれば、そういつた特殊会社を作つて電力開発資金のための外資を受け入れるというようなことでなしに、開発銀行自体も今の電源開発資金に対しては相当融資を計画しておられることでもあるし、そういつた種類の外資ならば、あなたのほうが受入れるということで、若しばらばらでいけないということであれば、開発銀行も政府機関であるのだから、ここに政府の保証を求めて、そうして今の電源開発の特殊会社をしてやらせようと政府当局が考えておるようなことをこの開発銀行でやるという意思はないか、又やれるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/23
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024・小林中
○参考人(小林中君) 政府が考えております電力開発の特殊会社、そういつたものでなければ世界銀行の融資の対象とならんということは、私ども、世界銀行はそういう非常に窮屈な考え方でもないと考えているわけであります。ただこれは政府が保証する場合に、特殊会社のほうが政府としては保証しやすいというふうな建前が相当あるのではないかというふうに考えるのであります。然らばじやあ開発銀行は、お前がそのそういう資金を借りて、日本の電力開発資金を出したらいいじやないかというお話でありますが、これは世界銀行の考え方にもよりましようが、大体日本の電源開発ということは非常に大きな問題でありますので、電源開発というものが直接世界銀行とつながるというほうがむしろ話が楽ではないか、必ずしも仰せの通り、その中間に日本開発銀行というものが入らなければ外資は絶対駄目だということは私ども考えておりません。現在の日本の状態といたしましては、相手に最も理解されやすい方法によつて外資を導入するということが一番いいと考えておりますので、この点は一応政府の考え方で電源開発資金は進んでも結構だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/24
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025・小林政夫
○小林政夫君 政府の言うごとく、政府機関でなくては入らないということは私もないと思いますが、万一そういう機関を必要とする場合にはあなたのほうで代り得るのじやないか。又そのためには、ここにただ単にこういつた政府保証のない外資を借入れ得るというような規定だけでなしにそういうことの点も考慮して、先ほど来言つている政府保証を受け得る途を開かれておつたほうがいいのではないか、望ましいのではないか。それは相手方の出方によつてどちらにでも行き得る態勢を今直接電が会社に貸すというケース、或いはそういつたものを仲立もにして貸すという場合も起り得ると思いますが、そういう場合に折角開発銀行というものがあるのだから、特殊会社を作つて運営するよりは、むしろそういう政府機関によつて受入口を作らなければならんというなら、開発銀行を受入口にして使うというのが一つの方法じやないかということを申上げておるのです。そのためにも是非ここに、ただ単に金融機関その他からの外資が受入れられるということでなしに、はつきり政府保証を受けてやるという規定、受け得るという規定を置いておいたほうが好ましいのではないか。総裁としては是非そうしてもらうと言われるはずなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/25
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026・小林中
○参考人(小林中君) これは御尤もな御意見だと思いますが、併し私ども銀行を経営しております者から言いますと、そういう場合にも、でき得るだけ政府の保証というものは実は私どもは好ましくないのでありまして、止むを得ない場合に政府に保証してくれという場合も起るかも知れませんが、できれば開発銀行自体の信用において外資の借入れができるように努力をすべきだと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/26
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027・小林政夫
○小林政夫君 それでは次に・一般の貸出の方針について、先ほどちよつと総裁も触れられましたが、いわゆる他の金融機関の補完ということが建前であつて、一般の金融機関等でやれる分野まで開発銀行が進むべきでないということはよく言われるところであり、総裁のみならず、理事その他のかたが出席をされてもいつも言われるわけです。併し実際の貸出先をみると、必ずしも、この前資料を提供されておりますが、そう開発銀行でなければ出ないような資金のものでもなさそうなものもあるようでありますし、今後どれだけの、長期信用銀行法案が通過すると、長期信用銀行というものができるわけでありますが、そういう長期信用銀行の出現と関連をして、今までの融資方針というものの実際のやり方について多少考え直すというような点はお感じになつておりませんか。長期信用銀行ができるという新しい情勢において、今までの運用方針を多少考えてみるというようなお気持はないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/27
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028・小林中
○参考人(小林中君) 今回長期信用銀行法案が通過いたしますと、法律の定めるところに基いてこうした銀行ができるわけでありますが、その実態は、現在の興業銀行或いは勧業銀行の一部長期融資の実態と或いは実態においては変りはないと考えておるのであります。従つて今日私どもが興銀或いは勧銀等と常に密接な連携の下に長期資金を出しておるわけでありまして、こういつた考えから言いますと、長期信用銀行が設立せられましても、ことさらに非常な、大きな方針を変えなければならないのではないかというふうには只今は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/28
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029・小林政夫
○小林政夫君 長期信用銀行、例えば現状を以てするならば、興銀、勧銀などと密接な連絡をとつて運用をやつておるというふうに言われまするが、その運用の連絡のとり方であります。開発銀行がイニシアティブをとつて、むしろお前のほうでなんぼか片棒を担ぐことを考えたらどうかというやり方は、私は望ましくないのではないか。むしろ普通の先ず以て長期信用銀行で検討さして、おれのほうで手に負えないから併しこれは国家的に考えるべきだということで、あなたのほうで取上げてもらいたいという連絡は、むしろ長期信用銀行のほうからあなたのほうへ行くべきではないか。それが得てしてどうも逆に行くのではないかという傾向が感ぜられるのですが、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/29
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030・小林中
○参考人(小林中君) 現在の仕事ぶりからいたしましても、大体開発銀行に出してもらうことが、他の興銀なり、勧銀なり、或いは片側におきましてはつ一般市中銀行でもいたすところもありますが、そういう場合に開発銀行に出してもらうことのほうがほかの銀行がしやすいから、一つお前のほうが考えてくれというふうな場合のほうが非常に多いのでありまして、小林委員からのそうあるべきだというふうなことのほうが、現在では事実そうあるわけであります。間々或いは開発銀行から融資関係で協調してくれないかというような話をいたすような場合もありますが、それはその仕事が地方に特殊な関係があるとか、特殊な取引先を持つているというような場合に限られているのでありまして、普通の場合には、興銀なり勧銀なりが、この問題は一つ開発銀行も仲間になつて出してくれんかという場合のほうが現在は多いと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/30
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031・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちよつと質問したいのですが、開発銀行の業務ですね。開発銀行の業務は今どういうような業務が行われておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/31
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032・小林中
○参考人(小林中君) 開発銀行の業務は御承知の通り法律で定められておりまして、開発資金、並びに肩替り資金、その他社債の保有、こういうふうに三つに大体区別しております。仕事の内容は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/32
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033・木村禧八郎
○木村禧八郎君 開発銀行法を見ますと、そういう経済再建とか産業の開発に寄与する設備の取得、改良又は補修に必要な資金で、銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難なものを貸付けるわけですね。それから今総裁が言われたような開発資金の調達のために発行される社債で、証券業者等が応募文は引受けることが困難なものに応募する。そうしますと開発銀行は一応それによつてまあそういう貸付又は応募の場合ですね。まあ多少の利益は見込んで、一応まあ独立採算の建前で運営されて行くことになつておる。こう理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/33
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034・小林中
○参考人(小林中君) 勿論資金でありますから、相当の利潤を考えまして貸付けておるのでありますが、開発銀行の利子はどういうふうな基準を以て考えておるかと申しますと、先ほど申しましたように、どこまでも産業資金の補完を役目とする立場でありますので、一般に長期産業資金、長期の一般産業資金とやや近い金利を考えまして、その金利で営業しておるわけです。従つて開発銀行といたしましては、銀行の経営によつて相当の利益の生ずることは当然のことです。従つてその利益も今後は大部分を政府に納入するという建前になるわけでありましてその点は市中銀行と非常に大きな差はないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/34
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035・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、今度開発銀行は、今電力促進法案が出ておりまして、それに基いて特殊会社、それに五十億出資することになつておる。それで出資はこれは無利息になる。ただになる。そうしますと、私この開発銀行の業務を見たのですが、出資していいというあれは一つもないのです、どこにも。それで今お話の納付金ということがこの場合やはり予想せられて来るのです。政府が出資するならわかりますが、政府が開発銀行に出資して、開発銀行が電力会社に出資するということは、この業務規定によれば私はそれはないと思うのです。やはり開発銀行は貸付或いは社債の応募、こういうことでなければならないので、勿論そういうことをするんなら、私は何かこの開発銀行で出資してもいいという規定を何か置かなければならないと思うのですが、それはどういうわけでできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/35
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036・小林中
○参考人(小林中君) 只今の御質問は、開発銀行法を御覧になりますと、御尤もの御疑問と思うのでありますが、今度の電源開発特殊会社の法律を見ますと、その中に開発銀行が出資をすることができるということになつておりますので、この法律によりまして開発銀行が出資ができるということになるのでありまして、そういうふうに一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/36
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037・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は政府側から一つ聞きたいのです。そういうことが仮にですよ。電源開発法ですか、あれによつて仮にできるにしましても、開発銀行法のほうでそういうことが業務規定としてないのにできるのはおかしいじやないですか。やつぱりそんなら、仮にできるとしても、同時に開発銀行法を改正しなければならないじやないですか。業務規定にないものを他の法律によつてすることができるというのは、どうも私はおかしいと思うのですね。どうも便宜的にそうやつたのかもしれないけれども、私はそうやれば開発銀行というものの趣旨と違つて来ると思うのです。これはやはり政府機関でありますけれども、今小林総裁が言われたように、大体これは市中銀行とそう違つた、営業ということで行けば違つていやしないと思うのです。ただ市中銀行が投資できない、リスクの多い非常に長期なものを金融するというのであつて、そういう利息とか或る程度の利潤を見込んで、納付金制度もあるということになれば、これはおかしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/37
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038・河野通一
○政府委員(河野通一君) お尋ねの点は、先ほど小林開発銀行総裁のほうからお答えがあつた通りでありますが、この新しい電源開発促進法案ですか、これの附則の第十三項、「日本開発銀行は、当分の間、日本開発銀行法第十八条の規定にかかわらず、会社の株式を引き受けることができる。」こういう規定があるわけです。これによりまして、まあこれは專門の法律家にお聞き願つたほうが実はいいかと思いますが、私どもは開発銀行の、まあ何と申しますか、能力がこの規定によつて付与されたというように解釈すべきではないかと思います。ただ法律の体裁としては、或いは開発銀行法の中にこれを入れるのがむしろ適当であるということは或いは言えるかもしれませんが、どちらも法律でありますので、別の法律でそういう能力を付与することは、法律論としては別に差支えない。かたがた今申上げましたように、当分の間会社の株式を引受けることができるということになつておるのでありまして、恒久法であります日本開発銀行法の法律を直すことも果して適当であるかどうかという点もあります。結論としては、これで法律の体裁自体は、いろいろ適当かどうかの御意見はあろうかと思いますけれども、差支えないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/38
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039・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この問題は、単に法律の形式がどうこうという問題でない。問題は私は根本的に見なければならんと思う。政府は最初この開発銀行から五十億出資することを予定していなかつたと思うのです。若しそうなら、この予算を組むときに、はつきりと政府が予算を出すべきであつたのです。間に合わなかつたから応急的にやつた。ではなぜ間に合わせなかつたか、今の改正案が出ておるように、一応外資を予想しておつたわけですね。促進法案にもはつきり出ておりますのを見ましても、今度の電源開発は、ああいう特殊会社形態をとる一つの重要なる理由として、外資導入にはああいう特殊会社形態をとつたほうがいい。外資導入受入態勢を整えるということが重要な理由であつたと思うのです。それでこれに初めて相呼応して、開発銀行でも外資の借入準備をしてここに入れることになつて、先ほどの小林君のような説明があつたのですけれども、あてにした外資が入らない。それで何だか皆ちぐはぐになつて来た。実にちぐはぐだ。外資を導入する予定だつたが入らないで、而も法律のほうでは受入のこういう法律を作つたと思うのです。そこで私のお聞きしたいのは、開発銀行としては五十億は最初は、特殊電力会社ですな、今度できる、それに出資する予定ではなかつたと思うのです。我々予算を承認したときには、ただその他の項目にあつたんで、こういうことは。で、或いは他に運用する計画もおありになつたのではないかと思うのです。その点はどうなんですか、開発銀行……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/39
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040・小林中
○参考人(小林中君) 五十億の電源開発会社の出資は、これは政府が開発銀行に出資をする際に、私どもも予定をして政府の出資を願つております。従つてあれが百三十億の財政資金の出資になつております。そのうちで五十億は電源開発特殊会社に出資をするという建前で私ども考えてずつと参つております。それは途中で変つたのではなくて、初めつから、財政資金を出資されるときからそういう考えで、私どもそういう気持でこれは受取つておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/40
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041・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それなら大蔵当局はなぜはつきりと政府出資という形をとらなかつたのか、開発銀行に出資して開発銀行から又この特殊会社に出資する、ですからあれは変態的だから当分の間ということになつておる。そこが私はおかしいと思う。そんなに最初からはつきりわかつておるのならば、なぜ予算ではつきり今度の電源開発に対する出資としなかつたか。開発銀行というものはこの開発銀行法によればそういうことを本来すべきものじやないことは明らかです、業務規定によつてはつきりしているのですから。それで今度は特殊会社法においては、この開発銀行の規定にかかわらず例外的には認めたのです。最初から、今総裁のお話を承われば、予定していたのなら、そんなに面倒くさい形をどうしてとるのか私にはわからないのです。それでこの間大蔵大臣が、これは今度は出資を一応政府が肩替りするということを言われたのです。ですから又他の機会に、一応今度の予算に間に合わなかつたからこういう措置をとつたのだと、こういう答弁をされているのです。その点今も最初から予定されていたということになれば、私は非常におかしいのです。これを問題にするのは、実際は予定していなかつた、あの五十億はほかの産業資金のほうに振向けられるべきものであつたと思うのです。それが電源開発のほうに向けられて食い込んでいると思うのです。ですから政府は今後の財政措置によつて恐らくあれを肩替りしなければならん、こういうふうなこれは筋合いになつていると思うのです。そこがそうでないということになれば、私は資金計画の上で狂いが生じて来るのじやないか、そうでないというのならば、別にそういう電源開発のほうに振向けることも予定されて資金計画が立つているのならはいいのです。そうじやなく、予算編成の過程において間に合わなかつたから臨時的に開発銀行のほうに廻しているのだ、あとで政府がこの五十億に対しては、別途財政措置をとつて開発銀行のほうに出資するということになれば、私は資金計画に狂いは出て来ないのじやないかと思うのですけれども、そうでないと、相当私は狂いが出て来るのじやないかこういうふうに思つて質問していたわけです。その点は総裁はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/41
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042・河野通一
○政府委員(河野通一君) 問題が政府のほうの問題になりますので、便宜私からお答え申上げます。先ほど小林総裁からお答えがありました通り、開発銀行に対するこのたびの百三十億の出資のうちには、五十億だけはこういつた電源開発関係の特殊会社に対する出資ということを予定して百三十億というものはきまつております。と申しますのは結局一般の資金といたしましては、貸付その他に当てますものは八十億を新しく出資する、そういつた特殊なもののために五十億出すということになつておるのでありまして、これは予算の説明書の中にも、開発銀行資金運用の計画の中にはつきり出ておる、五十億だけは特殊の資金として、予備のとりあえず計画をしておる、その内容は今申上げましたようなことを予定してここにとつてあると、そう御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/42
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043・木村禧八郎
○木村禧八郎君 予算委員会においての説明ではそういうふうに了解していないのです。それは説明書にはただ予備として、その他として五十億をとつてあるということは書いてある。併しそれを電源開発のほうに向けるということは予定していないのです。はつきりしていません。それならば、なぜ予算の審議過程において、そんなにはつきりしているのならば我々にそれを明示しなかつたのか、この問題については質問したわけです。それを明示していないで、あとになつてそういうことを言われるから私はおかしいと言うのです。予算の審議過程においてそんなにはつきりしているのならばなぜあのときにはつきりさせなかつたか。それで実は予算の編成過程において間に合わなかつたので、臨時的にそういうふうにしたのだ、私はそう解釈するのです。これは最近こればかりじやないのです。どうも予算の使い方或いは又扱い方なんかについて、一応予算委員会において了解した以外に、あとで政府がいろいろ操作して使うようなどうも措置が出ているので、私は甚だ遺憾に思つておるのです。財政民主化の点から言つて非常にこれはどうも私はよろしくない。それで形式を私は何もやかましく言うわけじやないのですけれども、実に私はおかしいと思うのです。
そこで私は一つ小林総裁に伺いたいのです。先ほど緑風会の小林君からの質問と関連するのですが、一応この講和後の日本の自立経済については、外資導入を予定したことはもう明らかで、吉田総理も、この十三国会の施政方針演説の冒頭で、外資導入がなければ日本の経済を急速に自立させることはできないと言つているのですから、それが当てが外れたと思うのです。実は今までのところ、今後は知りませんよ。今まで当てが外れていると思う。そこでその開発銀行としては、外資を予定したところが入つて来ないということになると、開発資金などについてげ国内資金を相当動員しなければならんわけです。こういうことになると知は思うのです。その結果として、この五十億については、私の考えではですよ。これはもつと他に貸付けなけれげならなかつた資金であつてこれを電力のほうに流用してしまつたから、開発銀行の資金に不足を生ずるのではないか。こういうふうに私は思うのですが、それで更に将来政府の出資というものが必要となるのじやないかと思うのですが、この点は、一応外資導入を予定したけれども、それが思うように行かなかつた結果として、法律案としてはこういうようなことが書いてありますけれども、開発銀行の今後の資金の調達、運用については大分違つて来るのじやないかと思うのですが、その点はあまり変りないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/43
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044・小林中
○参考人(小林中君) 只今電源開発に対して、開発銀行自体も外資導入を予定していたのではないかという御質問でありますが、開発銀行は、先ほども小林委員の御質問がありました通り、現在におきましても具体的にどういう形の外資が借りられるか、或いは入ろというふうなことはないのでありまして、従つて過去におきましても、外資を開発銀行に具体的に入れるという予定はしておりませんのでございます。従つて二十七年度の開発銀行の資金計画におきましても、外資導入ということは考えておりませんし、只今の五十億は、資金計画と言いますか、資金計画の或る特殊の欄に出しておりまして、二十七年度の開発銀行の資金計画は、おおむね三百億ぐらいのところで今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/44
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045・木村禧八郎
○木村禧八郎君 最後に一つお伺いしたいのですが、私この委員会を通じて資料を要求しておりましたが、資料を提出して頂いたわけです。それはこの復興金融金庫及び開発銀行の償却の問題でありますが、この資料によりますと、昭和二十三年、昭和二十六年、復金時代における償却及び今度は開銀になつてからの償却というものが出ております。それでこの点についてこの表には昭和二十三年、昭和二十六年と出ておりますが、償却したのはこの二つの年度だけでありますかどうか、二十四、二十五、この両年度には償却というものはなかつたのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/45
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046・小林中
○参考人(小林中君) 只今の御質問はその通りでありまして、復興金融金庫の時代には二回償却しております。そうして開発銀行になりまして二十六年度に償却をしておるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/46
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047・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) ちよつと皆さんに申上げますが、小林総裁もお忙しい体でありますし、小林総裁に対する質疑を本日は打切りたいと思いますので、質疑者も大分大勢おられるようですから、成るべく、時間を切るというわけには行きませんが、簡単に一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/47
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048・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この資料によりますと、件数が六百件になつておりまして、総額九億一千六百万円になつております。それで私たちは、復金時代にいろいろ問題がありましたので、特にこの問題については大きな関心を持つていたわけなんですが、この資料だけではまだ足りませんので、我々は今委員長のお話もありましたから、質問を簡単にするために、更に資料を私は要求いたしたい。それは単に業種別でなく、ここに、マイニング、金属機械工業、化学工業、繊維工業、農林水産業、その他とありますが、これを単に業種別でなく、会社別に、決してこれは少い額ではありませんで、この問題は今まで一番重要な点なんでありますから、会社別にこれを詳細に一つ資料を出して頂きたいのです。そうでなければ、我々抽象的に検討してもわかりませんから、その会社別の具体的な資料を出して頂くことで、それを拝見して私又質問いたしたいと思います。それからもう一つ、これは要求してあつたのですが、借換の期限ですね。期限延長をされたのがあるんです。これについてもでき得る限り詳細な資料を頂きたいのです。その資料が出て来ませんと、我々抽象的にばかり論じてもしようがないのです。何か復金が変じやないかというようなことばかり言つているんでは、又却つて復金のためにも迷惑、又開発銀行にとつても迷惑だと思う。それで我々これを具体的な事実に基いて検討する、そうでなければ、そういう誤解を特に呼びもいたしますし、我々納得できないところがあるので、我々十分ここで質問し、究明する義務があると思うのです。この二つの資料を要求いたしたいと思うのです。至急に、この法案の審議の過程において私はこの資料を出して頂きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/48
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049・河野通一
○政府委員(河野通一君) 便宜私からお答え申上げたいと思いますが、木村さんも御承知の通り、銀行等で債権を償却いたしました場合に、この債権の償却というのは必ずしも債権を放棄したことでは実はないわけであります。殊に開発銀行に対しましては全額政府の出資、政府の出資と言いますれば、これは租税から集まつて参つたものでございます。仮に償却をいたしましても、できるだけ、一銭たりとも多く回収いたさなければならん問題と考える。従いまして個々の会社についてこれはもう償却をいたしたということになりますると、回収上非常に何と申しますか、支障を起す虞れがありますが、勿論償却をいたしたものでありますから、全額回収ということは或いはむずかしいかも知れませんが、そのうもできるだけ多額のものを回収することが、租税によつて出資されておりさす貸付銀行の使命から行きまして、当然そうあるべきではないかと考える。従いまして折角の御要求でありますけれども、個々の会社について、何会社のどの債権を幾ら償却をいたしたということは、今申上げましたような筋合でもありますので、この際御提出をいたすことを御勘弁頂きたいと思うのであります。
なお期限を延長いたしましたものにつきましては、これは実は期限と申しましても、当初の期限というものが必ずしも実情に即したものでないものがありますので、当然当初から期限を延長する、或いは書換えることを予定して出しておるものも実はあるわけであります。これは一般の市中銀行におきましても同じような問題があるわけであります。これらの点で、単純に書換えたからこれはすべて不要のものであつて期限を延したんだということにも相成らんわけであります。個々に当つてみませんと、この辺は非常に判断がむずかしいと思う。従いまして、極く抽象的には申上げられると思いますけれども、個々の会社につきまして、本当の意味の回収はできないために期限を延長したというものだけがいわゆる書換えられたもののすべてでは実はないわけであります。この点につきましても個々の債権について事情を考えて判断しなければならんと思います。抽象的には申上げられると思いますけれども、個々のものについて又一々詳細に期限の書換をいたしましたものの内容を原因に遡つて業種別を出しますことは、事実上非常に困難なことではないかと思います。この点は開発銀行のほうからお答え願つてもいいかと思いますが、私はさように考えております。少くとも前者につきましては先ほど申上げましたようなこともございますので、提出を御勘弁願いたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/49
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050・木村禧八郎
○木村禧八郎君 只今折角の河野銀行局長の御答弁ですが、我々承服できないのです。この点は前から問題になつておるのであつて、その償却ばかりではなく、貸付先についてもこれは国会においてこれを示さなければいけないんです。特に開発銀行などはそうであります。政府は監督権がないのであります。ないというのは変でありますけれども、銀行局を通じてこれは一応できるのですけれども、復金の場合と又違うわけであります。ですから責任の所在というものは十分でなくなる例があるので、融資先についてさへ我々個々の融資先を求めたんですが、未だに出していない、これは委員長からも求めてあるはずであります。この復金或いは開発銀行の運用は適切であつたかどうかについては、個々に具体的にこれを検討しなければ抽象論では水掛論で問題にならんでしよう。ですからそれは弊害があるかないか、判定するのは国会でするのですから、我々国会としてこの資料はどうしても要求せざるを得ないのです。何も我々は決してこれを濫用するわけでもないのですから、それが弊害があるものならばこれは慎重に勿論しなければならんと思います。ここに世間の疑惑があるのですから、具体的にこれを検討しなかつたらもう意味はないと思うんです。私はこの点承服ができませんから、銀行局長の御答弁でしたが委員長から私は改めて要求して頂きたいと思います。又そのことについて諮つて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/50
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051・大野幸一
○大野幸一君 これに関連して。あなたがたにどうしてそういう権限が与えてあるのですか。取立が不便だから国会には報告できない、そんな権限はあなたがたに与えていないわけです。この点についてはすべて公明すべきだという意味で、木村委員はそんなことは遠慮することはないと思います。あなたがたがそんなものだからいろいろの不明瞭なことが起きて来るのである。すべてのことを明らかにできないようなことで政治がどうしてできるか、私はその意味において断然要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/51
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052・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 只今の資料につきましては、確かに木村さんから御要求がありましたので、復興金融金庫から五千万円以上の融資先については出ています。それ以下のものについてはここに資料を出されていません。今御要求によりまして、これをどうするかという問題でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/52
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053・野溝勝
○野溝勝君 委員長の権限でやられたらいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/53
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054・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) いずれ理事会でもう一度研究させて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/54
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055・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今の償却の問題について諮つて頂きたいと思います。これはいつでもあいまいだから困るのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/55
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056・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/56
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057・野溝勝
○野溝勝君 開発銀行の小林総裁がおいでになつておられますので、この際一二お伺いしておきたいと思います。開発銀行開始以来、特殊銀行初めその他との関係上いろいろ運営に対して相当困難な点、且つ又実際面と法理論上におけるいろいろのやりにくい点等、特にお感じになつた点がありましたら、この際忌憚なく御発表を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/57
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058・小林中
○参考人(小林中君) 大体先ほど他の委員から御質問のありました点と類似していることと思いますが、開発銀行は銀行の建前上、一般の融資を補完するという建前であります。現在長期金融を扱つておりますけれども、興銀或いは勧銀というものとは密接な連絡をとつて融資しているわけであります。こういう面におきましては開発銀行は現在何らの不便も不都合もないのであります。ただ先ほども申しましたように、日本の産業というものは戦争以来長年に亙りまして、殆んど進歩、改良されておりませんので、これを近代化、合理化いたして行きますには相当の資金需要も考えられる。そういう点から見まして、開発銀行の資金必ずしも十分であるとは考えておりません。こういう点些か物足りない感じがいたすのであります。現在の運営面におきましては、さして大きな支障は出ておりませんのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/58
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059・野溝勝
○野溝勝君 誠に結構なお答えをお頂載いたしました。そうすると、先ほど木村委員から開発銀行の貸付などの点につきましても或いは償却などの内容につきましても詳細な資料を出してもらいたいということに対して、何も大蔵当局は、今の開発銀行の総裁の意見からしてもこだわる必要はないのでありますから、そういう点はこの際私は明らかにしておいたほうがいいと思います。
そこで今総裁のお話によりますると、まあ金融機関が行う金融を補完するということでありまして、非常に円滑に行つているということでありますが、我々の手許に配付されました貸付先の一覧表を見ますると、余りかんばしくない会社に随分資金が運用されているのでございまして、こういうものに資金運用をする場合は、金融機関の金融の補完をする開発銀行でありますが、一応市中銀行なりその他の金融機関とよく連絡乃至は検討の上、かような資金を貸付けられたと思う。その貸付に当つてどういう点を中心にされたか、この点を一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/59
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060・小林中
○参考人(小林中君) 中村理事から御説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/60
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061・中村建城
○参考人(中村建城君) 只今までに貸付けました件数は二百数十件ございます。いずれも市中銀行と協調しているのが殆んど大部分であります。それで市中銀行としても貸付対象になる、但し資金量の問題、返済期日等の問題につきまして、開発銀行の資金が出なければその計画が完成しないということが多いのでありまして、従つて市中銀行が当然問題にしない、或いは金融的にも、成立たないという例は一つもないと私どもは信じております。
それから手続といたしましては、大体各会社から申込がございますと、うちの銀行の貸付は政府の基本計画に即応いたしますために、関係官庁でやはり国家資金を貸付けて育成すべきものであるか、こういうことにつきまして審査をいたします。その審査をする過程におきましては、総額において幾ら要る、この計画に幾ら要る、その計画に対して自分ではどのくらい資金を出す、或いは市中銀行、これは興銀、勧銀を含めての長期金融機関が幾ら、これは金利の問題や何かはあるが、たくさんのものを含めてそこから幾ら出す、あと開発銀行がこれだけ出さなければこの計画が完成しない、こういう意味において十分審査をして参つておりますので、市中銀行とは殆んど全部連絡をとつて貸付けている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/61
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062・野溝勝
○野溝勝君 連絡をされているのはよくわかるのですが、ここに示されたこの貸付対象の調査ですが、大体これらは市中の大銀行あたりに関係をそれぞれ持つておりまして、その上にこういう会社により多く長期の資金を貸付けてやるというのでありますると、これは厖大な利益をこの諸君は得るわけであります。そこでこういう厖大な利益を得て特定な恩典にあずかる、かような恩典にあずかつている会社がその償還に対してまだ完全に行つていないというところもあると私は聞いております。今開発銀行の当局の中村さんのお話でございますると、至極順調に行つているというようなお話でございますが、果して完全に貸付などについては確実に行つておりますか、若し全部行つておるというなら、ここで言明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/62
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063・中村建城
○参考人(中村建城君) 少くとも開発銀行になりましてから貸付けましたもので、現在において償還において無理なものは殆んどございません。ただ例外的にほんの少々元利金の延滞が多少生じておるものもございますが、これは殆んど僅かな件数でございまして、大部分は順調に、黙つておりましても元利金を返して参ります。それから償還につきましては、たとえ元利金が多少遅れましても担保等を十分取つておりますから、最後の償還に不十分なものは一件もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/63
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064・野溝勝
○野溝勝君 この金は御承知の通り個人が出資した命じやないのです。政府イコール国民が出資した金なんですから、そういうふうな紋切型でなしに、私どもの言うことは国民の声として素直に聞いて、私は今あなたがたが二、三そういうものがあるごとく裏書をしましたから、どこの会社がどうなつているということは申しません。いずれ資料が来たあとで、若しそれが間違つておりましたら改めてお伺いしたいと、かように思つております。更に復興金融金庫の尻拭いはしないといつてはあれでございますが、引受けをやられておるわけでありますが、これが実際には今あなたも告白されたごとく順調に行つておらんのであります。これは早く急いで解決するように御努力願いたい。それはあなたたちばかりに責任があるわけではないのです。勿論政府にも責任があるのです。これはまだ手がついているのは僅からしく、殆んどないのでありまして、これを一つ急いで解決するように御努力を願わなければならん。実際において帳尻がいつも未決になつておりますから、そういう点も一つ十分御努力を願いたいと思います。
それから特にこれは開発銀行の総裁に申上げることではないのでありますが、丁度総裁も来ておられまするので、私は銀行局長にこの際御質問したいと思います。今回の法律の改正によりまして、「利益金の処分及び国庫納付金」に改めるということになつておるわけであります。そうすると、結局所得税、法人税、地方税等々が全面的に改正をされるわけですが、これは一応政府に納付するのですが、それはいいと思うのですけれども、そうすると財源のない、財源と言いましようか、法人税、所得税の非常に予算収入減というものが来るのでございますが、これに対しては大蔵当局、特に銀行当局と主税、主計のほうの各局間においてはその調整をどこに一体持込もうとしておるのですか。その点も一つお聞きして置きたいと思います。予算編成上……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/64
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065・河野通一
○政府委員(河野通一君) 従来の開発銀行の税による納付の形を納付金の制度に改めたということは、先般御審議を頂きました輸出入銀行につきましても同じような制度に変えたわけでございます。現在特殊の機関につきましては大体納付金の制度になつております。日本銀行がその制度であります。それから国民金融公庫あたりもその制度になつております。制度としてはやはりこういう政府機関的なものにつきましてはやはり税という形でなしに、利益は全部納付させるというようにしたほうがいいという趣旨であります。財源の問題につきましては、従来のままの税の形で国庫に収納いたします場合よりも、この納付金の制度にいたしましたほうが国庫の収入は多くなります。具体的には税で行きますと大体四十億程度になるかと思いますが、これが納付金で行きますとあの予算書に書いてございますように、大体六十億程度の納付金ということになる。この制度につきましては主税当局その他主計当局、大蔵部内につきましては勿論、地方税の関係をやつております自治庁等とも十分打合せをいたしまして、こういう制度にいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/65
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066・野溝勝
○野溝勝君 もう一遍お伺いいたします。国税関係はそれでよろしいのですが、今のお話によるというと、地方自治庁とも協議というか相談をされたというのですが、地方財政は非常に枯渇して、特に借入金の問題と言い、或いはその他地方の財源、税金と言いますか、財政の財源が非常に窮屈で困つておるのでございますが、若しこの税法の改正によりまして、こういうのが取れないということになり、いわゆる免税ということになりますれば、非常に枯渇するのですが、話というのはどういう程度に話されたんですか。これに対する何か代償を出すというのですか、又出すとすればどういう名目で出すのですか。そういう点についてどういうように一体検討されたんですか、それをお聞きして置きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/66
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067・河野通一
○政府委員(河野通一君) 個々の地方団体が地方税として開発銀行から収入できたであろうものが、納付金の制度になりますと入りませんことは今御指摘の通りでございます。ただ具体的には自治庁と十分打合せをいたしましたが、この地方税をやめるから、その代りにどういう財源を付けるということは別にお約束はいたしておりません。これは一般的な地方財政自体の問題として全般的な財政の立場から考えるというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/67
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068・野溝勝
○野溝勝君 それでは打合せしたというのはどういう程度のことを打合せしたんですか。今私が申上げました通り、義務教育の問題にしろその他国庫の委任事務の諸費用にしろ、全く地方財政は困つておるのでありまして、それをこういう免税をするのを、はいさようですかということで聞いておるわけでは私はないと思うのです。だから例えば最低行政費を負担する、例えば平衡交付金のほうでどうするとか、或いは借入金の問題、或いはその他国庫の委任事務に関する予算をどうするとか、或る程度の話が全然なくてこれを承認したんですか。そういう点を私は細かくは聞かないでもいいけれども、その程度の話を聞いて置かんというと、これは地方行政を審議する上においても相当問題が起ると思いますから、それをお聞きして置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/68
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069・河野通一
○政府委員(河野通一君) 税の制度を納付金の制度に切換える制度の改変につきまして十分打合せをいたしたのであります。ちよつと時間がかかりましたけれども、自治庁の了承を得てこの法律案は政府によつて提出されておるわけです。閣議でも勿論そういうことを含めて検討された結果、政府によつ
て提出されたわけです。それから具体的には地方税として従来の制度をそのまま続けて置きました場合にも、恐らく地方税の入るのは東京都だけであつただろうと思いますが、従つてこれは全体の各地方の税収として入るわけではないので、東京都だけが地方税の対象になつておると、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/69
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070・野溝勝
○野溝勝君 東京都だけというお話でございますが、それはここに法案の中を見まするというと、左の各号に掲げる事業の附加価値に対してはと、こう
いうのですが、東京都だけですか、附加価値は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/70
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071・河野通一
○政府委員(河野通一君) 事務所のありますところにつきましては、その固定資産税というものが入るわけであります。少し言葉が足りませんでしたが、殆んど全部が東京都というふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/71
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072・野溝勝
○野溝勝君 私も無理があると思います。河野さんは地方財政のほうはそう精しいわけではないのですから……。それで私はこの問題は非常に地方財政、或いは地方行政審議の上において重大でございますから、いずれ委員長にお願いいたしまして、一つ地方財政の当局と、それから河野銀行局長さんと御列席の上で質問をすることを留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/72
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073・大矢半次郎
○大矢半次郎君 私は一点貸付金のことについて総裁にお伺いしたいと思います。先ほどのお話は、開発銀行の貸付の金利は市中銀行の金利と見合つて、余りそれと隔らないようにしておるというお話でありますが、一方開発銀行法第十九条においては、基準率算定方法を法律できめておる。どうもそれからそういうレートというのが出て来るわけがないような気がいたします。一方において業務方法書においては利率は一割になつておる。同様の規定のある日本輸出入銀行におきましては七分五厘を下らない程度ということを標準にしておりまして、どうしてこういうふうな、法律の規定が大体同じであるにかかわらず、実際のやり方が違つております。私には解しかねる点があるのでありますが、この点御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/73
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074・小林中
○参考人(小林中君) 御承知の輸出入銀行におきましては、大体国際金利水準というものが一応の基準になるのではないかと私は思います。従つて開発銀行の場合には国内金利水準というものを一応の基準に考える。そこに輸出入銀行と開発銀行の金利の基準の差がおのずから生じて参るのではないかというふうなことを考えておるのであります。開発銀行が大体市中の産業の長期資金利率にやや近いものといたしましたのは、要するに開発銀行の使命といたしましては補完的業務をやつておりますので、補完という建前から現状における金利に余り差等を付けない程度の金利が至当であるというふうに考えて実は定めた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/74
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075・大矢半次郎
○大矢半次郎君 実際の運営から言いますと誠に実情に適したやり方だと考えますけれども、この法律の規定はどうもそういうふうになつていないのでありまして、殊に政府からの借入金のレートをどうきめるかによつて貸付のレートが非常に動いて来るのです。或いは又政府の借入金を開発銀行が出資に振替える、一千万円以上の借入金を出資に振替えた場合の金利の基準なんかも出資に対する配当と申しましようか、そういうことを考えなければどうしても出て来ないと思われまするが、然るに出資に対する配当ということは全然考慮に置かないで結果的に利益が起つた場合に納付金で政府に納める。そうしてその額は先ほど銀行局長が言われた通り、二十七年度においては六十億になる、こういうようなことはどうも法文の面からは出て来ないように思われますが、或いはこれは開発銀行のほうに伺うより政府当局に伺うほうがいいかも知れませんが、この法律の下において業務方法書を作つておられる開発銀行としては、何かそこに算出の基準というものがあるのではなかろうかと思いまして伺う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/75
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076・小林中
○参考人(小林中君) 只今の大矢委員の御質問は、私どもは実はこの法律改正につきまして一応さように考えたこともあるのであります。銀行がその資金のコストを一応きめて、それから運用によつて利潤を得るというような考え方が正しいのであつて、資金のコストを持つということは必要ではないかというふうに考えたのであります。併し政府機関がおしなべて納付金制度であるということで、むしろ政府は納付金制度をやるべきだという建前で納付金制度に変つているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/76
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077・大矢半次郎
○大矢半次郎君 そういたしますと、私はむしろ第十九条のような金利の基準を法律に定めるのは却つて支障があり、誤解を来たす虞れがあると思われますが、銀行局長の御意見如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/77
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078・福田久男
○政府委員(福田久男君) 御質問のように輸出入銀行法、開発銀行法いずれも十九条に同じような趣旨の規定がございますから、前段にあります例えば貸付金の利息その他の収入がいろいろな費用を賄うに足るようにというところは、つまり損が出ないように、俗に申しますと入つた金と出る金とで両方対照した場合に赤字にならないようにという最低限の保障を意味しているわけであります。それを最低線といたしまして、他方銀行の貸付利率を勘案して定める。その最低線を超えることを先ず第一段として要求して、一方銀行の貸付利率を勘案してきめるというふうにあるわけであります。そこで銀行の貸付利率という同じ言葉ではありますが、その気持は同じような性質の銀行の貸付の利率というものを対象に考えておるわけであります。只今小林総裁からもお話がございましたように、輸出銀行のほうは運転資金の性格を持つた融資でございます。開発銀行のほうは設備資金として融資され、従つて融資期限におきましても、輸出銀行のほうは従来は六カ月超、先般の改正によりまして三カ月超という期限でございます。開発銀行は一年以上で相当長いものが多いというような観点から考えてみますと、開発銀行と輸出入銀行におきましては、勘案さるべき銀行の貸付利率がおのずから異なる対象だというふうに考えられるのであります。そういう意味におきまして、例えば貿易手形を例に取りますと日歩二銭二厘、年利に換算して八歩三毛程度だと思いますが、一方長期資金である興業銀行等の普通の設備資金の貸付は三銭二厘ぐらいではないかと思いますが、そういうものは一応の勘案さるべき銀行の貸付利率、それをやや下廻るというような程度で、年利一割或いは七分五厘というようなものが考えられるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/78
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079・大矢半次郎
○大矢半次郎君 今電源開発の特殊会社を拵えるのも、成るべく資金のコストを安くしようという趣旨であると思うのでありますが、開発銀行の貸付金利について、できるだけ金利を安くして、或いは船舶の外航船の建造費を安くする電源開発のコストを安くするという要求が多いのでありまして、従いましてこの法律の建前から言えば、赤字の起らない限度においては相当安くしてもよいのではなかろうかと思われる節もあるのであります。併しながら一般市中金利との開きを非常に多くいたしますると、どうしても開発銀行のほうに資金の需要が殺到して来るという、実際やりにくい点もあるのでありましようけれども、併しながらとの第十九条のような規定があれば、どうしてももつと金利は安くするというのが建前ではなかろうか、納付金を多くとるというのが建前ではなくて、政策金利でやるのを標榜しておるのではないかという気がいたしますが、そういう点はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/79
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080・小林中
○参考人(小林中君) 只今の点は一応御尤もの御質問だと思います。御承知のように電力資金或いは船舶資金というものは、現在開発銀行は資金を直接出すことはしておりませんので、こういう資金を直接将来出すことになりましたならば、業種別に資金のコストはおのずから考えて行かなければならないかと考えております。と同時に開発銀行という立場は、申上げましたように、金融の補完をしておる立場でございまして、それが率先してコストのない金であるから金利をどこまでも安くするということは、市中銀行の金利問題に相当の影響が及ぶのではないかということも考慮をしなければなりません。実は只今開発銀行といたしましても、金利をどこに置くべきかということを研究中でありまして、今考慮しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/80
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081・大矢半次郎
○大矢半次郎君 大体お尋ねのほどはわかりましたが、今度見返資金の関係も開発銀行のほうの貸付金になり、出資に振り替わる、こういうような問題もありまして、従来見返資金からは七分五厘で出ていたのじやないかと思います。従いましてそれらをすべて統合して、将来開発銀行が資源の開発などに際しましては、金利全体をどう持つて行くかということは非常に検討を要することではなかろうかと思います。又目的によつて金利に差等を設けるというような趣旨のもありますが、これ又市中銀行ではなかなかやり得ないことで、むしろ政策金利というものがその中に入つて来なければならんのが法律の建前ではないかと思いますので、そういう点を十分御考慮下さいまして善処して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/81
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082・小林政夫
○小林政夫君 一応見返資金の私企業融資のものは、今度引が継れて金利はどうなんですか、前と変るんですか、変らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/82
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083・小林中
○参考人(小林中君) 見返資金の私企業融資が引継がれた場合には、当然その金利を開発銀行に参りましたことによつて上げるということは考えられないのであります。事情によりましては下げるということは考えられましようが、上げるということは考えられないのであります。従いまして只今大矢委員の御質問のように、将来見返資金が開発銀行に参りました場合には、開発銀行としましては更にこれを一貫して金利をどういうふうに持つて行くかということを只今研究しておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/83
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084・大野幸一
○大野幸一君 この法案によりますと、資金の募集の拡張のほうは考えられておりますが、開発銀行というのは、これは俗に世の中から、頭が揃つていても手足というものがない、手足というものは中金或いは又興銀、勧銀、こういうところへ頼んで、そうして調査をしてもらう、何だかあそこには総裁以下の幹部はあるけれども、自分直接に調査するというような機関がないというのですが、そういう面について今後どういうふうに今までで十分であるか、自分独自の調査機関を設けたいという考えがあるのかどうかということを一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/84
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085・小林中
○参考人(小林中君) 只今の御質問は、開発銀行創設当時におきましては大体行員の数が百名くらいで発足いたしたものでありまして、その当時においてはそういつた内部機構が完備していたとは申上げかねるのであります。併し復金の債権債務を継承いたしました今日におきましては、相当陣容も完備をして参つておりまして、審査部というものが相当拡充をして参りましたので、審査部で事業の内容ことごとくを審査しております。そうして開発銀行は貸付けた資金の用途を十分に監督をしているというふうな状態であります。そうして今後におきましてはできるだけ地方にも機関を設けて行きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/85
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086・大野幸一
○大野幸一君 ところが実際問題としては、その大きなところへ……、そうしてまあ総裁の思想としては貸倒れなんということは、税金でやつている仕事だからできない。こういうウエイトのほうが大きいように拝聴しましたけれども、小さいもので本当にまじめな開発事業に携わろうという人に対して手が付けられない、小さいのを一件調査するのも大きいのを調査するのも同じだ、こういうので、もつと大きな事業をやつている大財閥のほうへ資金が廻つて、こういう銀行にも細れないというような小企業家に対しては、今まではそういうところへは手が廻らなかつたという実情なんですが、今後はそういうところへも手を廻すようなことになるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/86
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087・小林中
○参考人(小林中君) 只今申上げましたように開発銀行創設当時におきましては、陣容必ずしも整備していなかつたからそういう憾みが多々あつたと思います。又二十六年度におきましては開発銀行は基幹産業を中心とする政府の計画に基きまして融資をいたしたような次第であります。資金の量にも制約をされておつたので、中小金融という方面には残念ながら手が伸びていなかつたことは事実であります。併しながら幸い中小金融は御承知のように見返資金の枠が相当あるのでありまして、昨年末におきましても残高が三十億円を擁しておる。本年には恐らく四十何億円の残高を持つているというふうな状態でありまして、政府の全体として考えまする場合には、この資金をできるだけ活用して行つて、中小企業に出すべきだと私どもは考えているのでありまして又将来におきましては、見返資金の私企業貸付を開発銀行が承継をいたしました場合には当然開発銀行といたしましては中小企業の面も十分に積極的に考えて行かなければならないことだとは考えております。但し中小企業を十分に考えるということになりますと、全国に相当の数の店も持つて行かなければならないというふうなことで、店の数が少くて中小金融を完全にやるということはなかなか骨が折れることでありまして、私どもの感覚から申上げますと、中小企業金融というものの特別なる金融機関を政府が作られまして、そうしてこれで中小企業専門の金融をする。開発銀行の建前上、中小企業の設備資金ということに限られておるのでありまして、今日中小企業の苦しんでおる多くの原因は、むしろ設備資金じやなくして運転資金ではないかというふうに考えられておりますので、私どもの感覚からいたしますると、むしろそういうふうに積極的に発展すべきでないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/87
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088・大野幸一
○大野幸一君 それから河野局長に一つ、先ほどあなたは木村委員の資料提出要求に対して、事もなげにどうも債務の取立上困ると、こういう御答弁であつたのですが、資料のことについて曾つて或る委員会で非常に問題になつたことがあるのです。憲法六十二条に、国政調査の一環として請求されたものである、証人の出頭及び証言及び記録の提出を要求することができるという意味で書いてあるのです。それでこれを拒むのは……、いろいろの法律があります、国会法百四条にもあるし、まあその程度言えはいろいろ御研究願えると思うのですが、これを拒むのは国の利益に重大なる影響を与える虞れあるときに限るということになつております。ただ債務の取立上不便であるからというので、国会の資料提出を拒まれるということにはどうもならんのですが、そういう強い意味であなたは遠慮をしてもらいたいと言つたのじやないのでしようね。それならば例えば議院における証人の宣誓及び証言等に関する罪だと、若し拒めば……更に「その証言又は書類の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができる。」この声明があつた場合は書類を提出する必要がないと書いてある。これまでの国会の審議権を、近頃どうも国会の権威をだんだんとあなたがたは軽んじて来られるのじやないかと思うのですが、あなたの意味はそうじやないでしよう、むしろ忠実なる事務官として、成るべくそれでその貸金を取立てるに都合がいいようにというあなたの忠実心は認めます。それと同時にこれが先例になつて国会のこの権限を犯されることは非常に心外だと思いますので、一応伺つて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/88
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089・河野通一
○政府委員(河野通一君) 憲法及び国会法で定めておりますところに従つて私どもは行動いたしております。先ほど申上げましたのはそういう意味でありまして、お願いを実は申上げたわけなんです。法律に反して私どもは国会を無視するようなことは毛頭考えておりません。なろうことならばお許しを頂きたいということを申上げたのです。そういう僣越なことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/89
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090・大野幸一
○大野幸一君 すべての場合に秘密があるので、国会といえどもその秘密を寄ることは十分心得ておりますから、成るべくその資料提出には今後とも考慮せられることをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/90
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091・木村禧八郎
○木村禧八郎君 小林総裁にちよつと伺いたいのですが、今度の法律改正によつて、新らしくその銀行その他金融機関の開発資金の貸付にかかる債権の全部若しくは一部を譲り受けることができるようになる。この問題はどうなんでしようか。若しこういうことができるようになると、債権の回収その他に対して努力が失われるのじやないかと思うのですが、全部この銀行が債権を譲り受けてしまうということになると非常に安易感を与えるのじやないか。そこで非常な不良債権を譲り受けてしまうと重大な問題だと思うのです。今までは貸付調整があつたからいいと思うのです。その点に対する今後の見通し、或いはどの程度譲り受けというものが起つて来るか、二十七年度で。その見通しについてちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/91
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092・小林中
○参考人(小林中君) 只今の御質問は実はその肩替り資金の運用上支障を来すものでありまして、それで譲受けということができるという法律改正を実はお願いしておるわけでありまして、従来は、業者に改めて開発銀行が融資をいたしまして、それを一般銀行に返すという形が肩替りの形であります。そういう場合には担保とかその他の問題で事務手続上非常に煩瑣になりますし、併し不都合の場合も起りますので、直接銀行から債権を譲り受けるという手続が取れるということの途を開いたわけであります。従つてこれはその実態におきましては、肩替りをするということと実態は少しも変つておりませんです。内容はかように御承知を願いたいと思います。そして、然らば二十七年度においてお前のところはいわゆる肩替り、譲受債権をどのくらい考えておるかというお話でありますが、大体二十七年度におきましては五十億程度の肩替りをしたいという一応の考え方を持つております。そうして肩替りをし、譲受をした場合には不良債権だけをお前のところは受けてどうなるということの御疑念もあると思いますが、これは開発銀行の現在の営業方針を少しも変えませんで、不適当のものは決して市中銀行の貸付でも肩替りをしないということをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/92
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093・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう一つ、実はどうもこの債権譲受けの問題と、それから今度新らしく資金を借入れることができることになるんですが、恐らくその資金は資金運用部あたりからの金だと思うのです。政府資金です。そうしますと、日本開発銀行が今度の改正を契機として、いわゆるオーバー・ローンの問題ですね、オーバー・ローンを解消する一つの挺子になつて行く、こういうような気がするんですね。それで大体銀行が今のオーバー・ローンを資金運用部資金により肩替りする、はつきり言えばですよ、そういう形になつて行くんじやないかと思うんですが、結果はですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/93
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094・小林中
○参考人(小林中君) 大体商業銀行といたしましては長期金融をするということは実は好ましくないことであります。そういう形であることは一時も早く廃止をすべきだと思つております。そういう意味からいたしまして、開発銀行は政府資金によりまして、そういう商業銀行が長期資金を貸出しておるものの有利なるものは肩替りをして行こうということで肩替りの業務があるのでありまして、今の債権の譲受けということは先ほど申しましたように、実態は肩替りと変りませんでございます。ただ今の運用部資金を開発難行が借入れて、そうして積極的に市中銀行の肩替りをすればオーバー・ローンの解消になるのではないかというふうなお話でありますが、これも積極的に仰せの通りに、やりまするとオーバー・ローンの解消ということに相当役に立つと私も存じております。ただ資金におのずから限度がありまして、そう思うように資金も借りられないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/94
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095・小林政夫
○小林政夫君 これはこの前国民金融公庫法の一部を改正する法律案の際に質疑を留保した問題でありますが、開発銀行法においても、第十七条で国民金融公庫の今度改正された規定と同様の規定があるわけです。即ち「役員及び職員は、刑法」、「その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」この解釈であります。法務府法制意見第二局長の林君が出席されておるようでありますから、一応解釈について見解を述べて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/95
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096・林修三
○政府委員(林修三君) この「法令により公務に従事する職員とみなす。」ということの解釈でございますが、これは従来立法上大体慣用されておる実は字句なんでございますが、一応これを使う上の解釈といたしまして、御承知のように刑法の第七条、いわゆる刑法上の公務員についての定義がございます。この刑法七条には「本法ニ於テ公務員ト称スルハ官吏、公吏、法令ニ依リ公務二従事スル議員、委員其他ノ職員ヲ謂フ」、こういうことになつております。この今申しました「法令により公務に従事する職員」というものも、刑法においていわゆる公務員として、その特殊の罰則が刑法に規定してあるわけです。この「法令により公務に従事する職員」というものと同様に扱うという意味で、この幾多の特別な法令におきまして一定の政府関係の機関の職員等と、或いはそういうものに準すべきものにつきまして公務員と同じに扱う、そういうことを規定してあるわけであります。従来の例を申しますと日本銀行法にも、この日本銀行の役職員につきましては、「法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看倣ス」という規定もございます。或いは刑事訴訟法におきまして国選弁護をいたします弁護士につきましても同様の規定をいたしておるわけであります。この規定をいたしました効果といたしては、刑法で公務員の収賄罪であるとか、或いは公務執行妨害であるとか、或いは公文書偽造でありますとか、こういうものにつきまして罰則の適用が従つてそういうものについても起る、こういう効果を期待いたしまして、こういう規定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/96
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097・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、この前問題になりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案で附則の第五項で、この法律施行前に国民金融公庫の役員及び職員がその職務上知ることができた秘密については、国民金融公庫の役員及び職員は、一般職の職員たる国家公務員とみなして国家公務員法第百条第一項及び第百九条第十二号の規定を適用する、こういう附則第五項があるわけでございます。従つて職務上知ることができた秘密等の漏洩、いわゆる国家公務員法の第百条第一項及び第百九条第十二号の規定に抵触するようなことが、この公務に従事する職員とみなされても適用されないのかどうか、その点をはつきりさすためには、刑法その他の罰則の適用という、その他の罰則の適用ということは何をいうのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/97
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098・林修三
○政府委員(林修三君) 誠に御尤もな御疑念だと思うのでございますが、この国民金融公庫法におきまして、附則にああいう刑罰規定を置きました趣旨は、従来国民金融公庫の役職員はいわゆる一般の一般職の公務員という扱いをしておつたわけでございます。従いまして一般職の公務員といたしまして、国家公務員法の百十条でございましたか、百九条ですかこの罰則の規定の適用を当然受けておりました。今度国民金融公庫の職員は一応一般職の国家公務員からは外れたわけでございます。従いまして、一般職の国家公務員時代に知り得た秘密につきまして今後それを洩らした場合処罰をいたしますにはやはりああいう経過措置が要るのではないか、かように考えておるわけでございます。で今お尋ねの国家公務員法百九条なり百十条の罰則はいわゆる一般職の国家会務につきましての規定でございまして、これは当然に直ちにいわゆる法令により会務に従事する職員というものに対しては国家公務員法の罰則が適用になるとは私ども実は考えておらないわけでございます。然らば刑法その他の罰則の適用についてはというその他の罰則とは何を指すかというお尋ねでございます。これは実を申しますと、いわゆる「法令により公務に従事する職員とみなす」という規定の仕方でございますが、これは今まで三つばかり実は変転をして来たので、初め昔の法律でございますと、日本銀行法等におきましては、ただ単に日本銀行の役職員は「法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看倣ス」ということだけを書いてございます。この意味はやはり今と同じ意味でございまして、罰則関係だけを法令により公務に従事する職員とみなすという趣旨で書いておつたのでございます。それがどうもつはつきりしないというような議論もございまして、この経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律においては罰則の適用については云々ということを書いておりす。それをくだきまして、最近の法律では「刑法その他の罰則については」というふうに多少例示を変えております。然らば刑法以外にどんなものがあるかと申しますと、実は只今のところ刑法以外にこれというものは実はないのでございます。併しこれは過去におきましては、例えば戦時刑事特別法というのがございまして、刑法の特別な罰則を書いておりました。只今でも軽犯罪法とか或いは爆発物取締罰則とか暴力行為等処罰法とか、こういう特別な刑法がございます。軽犯罪法には国家つ公務員のこともちよつとございますけれども、そういうふうな特別な刑法の罰則の規定ができまして、公務員につきましても特殊の罰則を規定した、こういう場合にその適用があるということを予定いたしまして書いてあるわけなのであります。一々そういう罰則が新らしくできました際に、又これを直さなくちやならないというよりは、やはり刑法とこれに準ずべき罰則がありました場合に、それが一緒に適用されるということを目途として書いてあるわけであります。只今のところちよつとそういうものは余りないわけでございますが、過去におきましては、戦時刑事特別法というものがあつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/98
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099・小林政夫
○小林政夫君 見解はよくわかりましたが、併し常識的に考えて、我々は今まで金融関係の法案を審議するときに、輸出入銀行にしても、開発銀行にしても、国民金融公庫にしても、いずれも同様の規定がある。その解釈としては、刑法その他の罰則というのは、国家公務員法等によつて、罰則規定百九条ですが、そういうようなものは罰則に関する限りは、公務員と同じ処遇を受けるのだというふうに解釈をして来たわけなのであります。今のような、あなたのほうは解釈をとられるのだが、それを我々が了解しておつたような解釈というものはできないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/99
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100・林修三
○政府委員(林修三君) いわゆる罰則の適用云々でございますが、これはやはり罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすと申しますことは、結局刑法で言つております公務員とみなすということでございます。公務員とみなされた場合に、その公務員について特殊な犯罪規定があります場合に、この開発銀行なり、輸出入銀行、或いは国民金融公庫の職員もその罰則の適用を受けるわけであります。国家公務員法の百九条なり百十条の罰則規定は、一般職の職員につきましての罰則規定であります。いわゆる国家公務員と刑法で申しております公務員とは必ずしも範囲は一致いたしておりません。これは刑法七条の解釈にもございますし、多少その範囲が一般職の国家公務員という点におきましては狭い関係がございます。従来の刑法七条の解釈におきましては、雇用員というものは大体入らないという解釈になつておりますが、そういう場合におきましては一般職の関係のほうが広いことになつております。そういうことでございまして、国家公務員法の罰則そのものが、直ちに刑法等で申しますような公務員というものについての罰則規定とは考えられないわけであります。罰則はすべて罪刑法定主義でありまして、はつきりした罰則規定がそれに当然当るという場合でないと、処罰の法規の適用はないわけでありまして、国家公務員法の百九条乃至百十一条の規定は、一般職の職員だけを対象にして規定しておるわけであります。法令により公務に従事する職員とみなすという場合には、果してそのものが一般職か特別職かということもはつきりいたしておりませんし、又現在特別職の国家公務員については一般的な秘密漏洩の罰則もありません。そういうものから直ちに国家公務員法の罰則の適用があることは、解釈上出て来ないというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/100
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101・平沼彌太郎
○委員長(平沼彌太郎君) 小林総裁には、本日お忙しいところを御苦労様でございました。つきましては、ちよつと申上げたいことがあるのですが、本日の委員会で、各委員からの発言で御承知になつたように、この開発銀行は成るべく低利に資金を貸付けるということ、それが本銀行の使命だと思いまするので、できる限りの低利で今後とも運営して頂くようにお願いいたします。それを申上げます。
本日はこの委員会はこれを以て散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314629X05919520529/101
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