1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十一日(水曜日)
午後二時三十四分開会
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出席者は左の通り。
通商産業委員
委員長 竹中 七郎君
理事
結城 安次君
栗山 良夫君
委員
中川 以良君
山本 米治君
加藤 正人君
小松 正雄君
境野 清雄君
西田 隆男君
石川 清一君
経済安定委員
委員長 佐々木良作君
理事
郡 祐一君
委員
古池 信三君
奥 むめお君
杉山 昌作君
衆議院議員
南 好雄君
政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
通商産業政務次
官 本間 俊一君
通商産業省通商
局長 牛場 信彦君
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本日の会議に付した事件
○特定中小企業の安定に関する臨時措
置法案(衆議院送付)
○輸出取引法案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/0
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001・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今より通商産業、経済安定の連合委員会を開きます。
議題は輸出取引法案、並びに特定中小企業の安定に関する臨時措置法案でありますが、先ず特定中小企業の安定に関する臨時措置法案につきまして、提案者から提案理由の説明を聞くことといたします。衆議院議員南好雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/1
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002・南好雄
○衆議院議員(南好雄君) 只今議題となりました特定中小企業の安定に関する臨時措置法案の提案理由について御説明いたします。
思いますに、中小企業が我が産業構成上特異の重要なる地歩を占めていることについては今さら申すまでもないことであります。我が中小企業は企業者数においても、生産量においても特定産業部門の過半以上を占むる部門が多く、また生産品目においてはいわば普遍的性質を持つた品目の生産分野のもの多く、更に資本構成においては弱少にもかかわらずその従業員数は全企業の七八%を占め、その関係層は広く、その結果は社会問題的性質をも内包していることは御承知の通りであります。
従つて、我が国の産業経済を考うるに当つては必ず中小企業の問題を併せ考えねばならないことは当然であります。而も、我が経済は近時、朝鮮事変後の異状景気から逐次平常的というべき今日の事態に復帰し、しかのみならずその根底は深く世界の政治、経済上の複雑なる関係にきざし、また国内的にも経済活動の急激な上昇を期待し得る因素少く、むしろ全般的に耐乏のうちに良質廉価の産業鉄則の具現を目標に実力を培うべき時期に到達したものと言い得るものの、その影響の中小企業にとつては致命的な分野も少しとしないのでありますかかる分野においては、合理化の企業努力を妨げざる最少の必要限度において、暫定的にその中小企業分野の安定を図る措置をとることも前述せるごとき我が中小企業の特質に鑑み、国民経済全般の健全なる発展上必要欠くべからざることであります。
本法案の根本趣旨はそこにあるのであります。なお本法案の主たる骨子を挙げれば次の諸点にあります。
その第一点は、如上の趣旨に基き、本法の適用を受くる中小企業の業種は、工業部門に属する業種のうち当該業種の総数の三分の二以上が中小企業者であり、且つ過去一年間総生産数量のおおむね二分の一以上が中小企業者によつて生産されている業種であつて、而もその製品の需給が著るしく均衡を失し、そのために当該産業及びその関連産業の存立に重大な影響を及ぼす虞れがあるものに限つていることであります。
なお右指定業種は法律によつて指定されるのであつて、政令に委任するものではありません。
その第二点は、かかる指定業種を営む者は組合員の総数がその地区内において指定業種を営む者の総数の二分の一以上であり、且つその組合員の三分の二以上が中小企業者である場合に限り調整組合を組織することができること。
而して調整組合は、当該業種に係る産業における危機を打開するための必要且つ最少限度の範囲内において、並びに不当に差別的でない限りにおいて、組合員の指定業種に係る製品の生産数量、若しくは出荷数量又はその製造の設備に関する制限を定めることができることであります。
なおこの制限の内容、その実施に関する定めについては、勿論通産大臣の認可を必要とするとともに通産大臣はこれが必要なしと認むるときは、その認可を取消すことのできることとしていることであります。
その第三点は、調整組合の連合会が組織され、同一業種に属する事業を営む者の大部分が一つの連合会の総合調整計画の適用を受けることとなつた場合において、同一業種を営む者の組合員以外の事業活動が、連合会の自主的調整の効果を著るしく阻害し、かような事態を放置しては当該業種に係る産業及びその関連産業の存立に重大な悪影響があると認めるときは、通産大臣は、連合会の申出に基き、組合員以外の者を含むすべての者に対し同一規準の制限に従うべき旨を勧告ができること、更に右勧告を以てしても効果のないときは、同一内容の制限を命令することができる点であります。
第四点は、本法案の内容の及ぼす影響の重要性に鑑み、通産大臣の行う行政行為の重要事項を審議するため、中小企業安定審議会を設け、その委員には指定業種を営む者、その製品の販売業者消費者、指定業種の関連業者及び学識経験者を任命することとし、公平性と民主性とを保持した点であります。
その第五点は本法案の内容は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、並びに事業者団体法の適用を排除する点であります。
以上のごとく要するに本法案は、我が中小企業の特性に省み、その合理的発展を意図しつつも、臨時的に必要最小限度において、特定産業の安定を図り、ひいて国民経済の円滑なる運行を進めるために、必要にして止むを得ざる最善の措置なりと確信するものであります。何とぞ速かに御審議の上御賛同せられんことを御願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/2
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003・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 本案につきましては、予備審査でもありますし、最初の連合委員会でもありますので質疑は次回において行うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/3
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004・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/4
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005・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 次に輸出取引法案を議題といたします。本案につきましては前回に提案理由の説明を政府から伺つておりますので本日から質疑に入ります。成るべく経済安定委員のかたがたの御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/5
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006・佐々木良作
○佐々木良作君 この輸出取引法案は、御承知のように、従来の占領下におきますところの集排、独禁、事業者団体等、いわゆる経済民主化立法として制定されたものに対しまして、それらの経済民主化立法の精神と比較いたしました場合に、相当重要な精神的な変更を基礎としておるものでありますがために、国際的な反響も十分考慮されなければならんのでありまして、以下そういう立場から一つ政府のむしろ代表的な御答弁をお願いしたいと考えます。順序を逐つて御質問申上げたいと思います。
先ず総括的な問題として、先ほど申しましたように、この法案が制定されることによりまして、最近における国際的な経済事情、或いは貿易事情等々から勘案し、更に国際政治的な考慮からいたしましても、相当な注意が必要だと思うわけでありますが、この法案は、従来提案までの過程におきましていろんないきさつをとつたことも私承知しております。従いまして、今度ここに提出されました法律は、諸外国特に最近まで日本占領の一番中心的な動きをしておりましたところのアメリカが、この法案を作ることにどういう態度を示しておるか、従来のやり方からして外国に相談する必要はないと思いますけれども、本当に十分なそこらに話合いができたのかどうか、その辺の事情を先ず承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/6
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007・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 御指摘の点私どもといたしましても最も意を用いたところでございまして、占領中にもできたらばそういうようなものを成るべく早く出したいといろ気持は持つておつたのでございますが、いろいろの事情で占領後までこれが延びて来た次第であります。それで、この法律の案ができましたときに、早速アメリカ、イギリスその他の国のほうにも連絡いたしまして、国会に対して提案いたしましたときに通産省といたしまして声明を出しました。それを特に通信社を通じて外国に回付させるというようなこともいたしました。又本邦におります英米の商社関係、イギリスもアメリカもそれぞれ商業会議所のようなものを持つております。最近ドイツ等もたくさん商人が入つて来ております。それに対していつでも説明するからと申して、一応先ほど申しました声明でありますとか、この法案等も渡してございます。近いうちにそういうような運びになるかと思つております。特に外国側からこれに対して批判でありますとか、乃至は賛成であるとか、そういうような批評は聞いたことはございませんが、今までのところ決してこれに対して反対するという態度には一つも出て来ておらんように認められます。
なおアメリカにおきましては、御承知の通り例のウエツプ・ポメリン法がございまして、これが大体この法律の内容に近いようなものを規定しておりまして、ああいう独禁法の法制の非常に発達した国でありますけれども、輸出組合に対してはこういう組織を認めておるということがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/7
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008・佐々木良作
○佐々木良作君 この法案の作成に当りまして関係諸外国と十分の了解も得てあるし、大して心配ないという話でありますけれども、従来の動きから見ると私は必ずしもそう楽観は許されんと思います。特にアメリカ等におきましていわば見て見ん振りをするという程度であるならば結構ですけれども、むしろ政治的に逆の状態から、例えば日本の国内におきまして現在中小貿易の促進問題が非常に強く要望されております、この日本におきましての強い要望を逆に避けるためにこれを許して行こうとか、或いは又アメリカの関税引上に対する日本側の不満を逆にこれを見て見ん振りをすることによつて不満を緩和するとか、そういう政治的な裏の問題を含むような恰好で折衝がされるとか、或いは考慮がされるとかいうようなことがありますならば、今後の日本の経済の自主的な、独立的な発展に非常に支障になると思いますから、まあ追求はいたしませんけれども十分にその辺の御考慮をお願いしたいと思います。
只今の問題と関連しまして、従つてすぐこれから起つて参りますところの例えば国際関税協定、或いは国際連合への日本の加入に当つて、こういう法案を作ることによつて諸外国の警戒心を助長して、そうして今のような協定や連合加入に妨げられる心配をどの程度に考慮されておるか、そういうことは全然心配ないというふうに考えられておるかどうか。
それからもう一点。同じような意味におきまして、日米通商航海条約の締結が問題になつて来ると思いますが、この通商航海条約の締結に当りましても同じ意味の心配がありまして、例えば不公正なカルテル等の禁止条項が戦後のアメリカの普通に結んだ通商航海条約においては挿入されておることが普通になつておりますけれども、同じ意味で日米通商航海条約においてもこれが強調されて、従つて今度は逆に本法運用が非常に困難になつて来るような心配はないかどうか。その辺の事情と、それからどの程度本気にその辺を考えておられるかどうかということをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/8
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009・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 御指摘の第一点。ガットでありますとか或いは国際連合加入に対して、この法案が障害になるかという点でございますが、この点につきましては私ども法案立案中におきまして、外務省或いはそれから公正取引委員会というような方面と非常に連絡いたしまして案を立てた次第でございます。今までのところ私ども研究した範囲においては、この程度のものでございましたならばそういう方面に障害はないのではないかというふうに考えております。又実際これは不当に取引の自由を制限しようという趣旨ではないのでございまして、飽くまで正当な秩序の維持に協力して行きたいという精神に基いております。この点は心配はないのじやないかというふうに考えております。
それから第二に日米の通商航海条約との関係でございます。この点は成るほど御指摘になつたような問題は確かにございます。不当に取引の自由を制限するようなもの、例えば販路の独占などをきめるようなことはいけないというようなことが従来と申しますか戦争後に各国と結びました通商航海条約の中に入つております。この条約とこれとの調整は今後更に十分に図らなければならないと存じますが、ただ先ほど申しました通りにアメリカ自身におきましてもこの程度の法律は国内法として持つておるわけであります。この程度の条項ならば通商航海条約の規定に触れることはないのじやないかというふうに考えております。又この販路の独占というようなことは、この法律におきましてもやはり認めないような方針でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/9
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010・佐々木良作
○佐々木良作君 まあ只今のような問題は私は十分に注意されたいということを希望いたしまして次の問題に入りたいと思います。ただ今そういうふうな国際的な問題を非常に重要視するがために、そういう法律の建前になつておるから大丈夫だ、こういうように言われるわけでありますが、これからその法案につきまして少し具体的に御質問するわけでありますけれども、そういう建前に相成つておるが故に今度はこの条文ずつと通覧いたしまして、書き方が実際は全部実質的には裏返しに書いてあるわけであります。そこで若し今の文字通りにことを言われるのであるならば、確かに国際的には問題はないかも知れないが、それを文字通りに実施するのであるならば、これは決して今の第一条の目的になりますところの輸出貿易の健全な発展を図ることになるかどうか、実質的にはそれが非常に疑問になつて来ると思うわけであります。この輸出貿易の健全な発展を図ることを目的として出されましたこの法律が、只今のような表面的に書いてある字句に拘泥をされるならば、恐らく目的を達成することが非常に困難になるのではなかろうか。むしろこの目的を達成することを非常に強く要望すればするほどこの書いてある条文の裏といいますか逆を読んで行かないと困るような状態になるのではないか。
更に又実際はここに規定してありまするような問題があるとしましても、本当に輸出を阻害しておる最近における最大の原因がこれによつて除去されるようなものは大したことではないのであつて、むしろもつとほかの大きな問題、国際的な不況であるとか、或いはその他国際政治の制約であるとか等々にあるのではなかろうか。つまり先ほどから説明されておりますように文字通りにこの法案を読むのであるならば、確かに国際的な問題はそれほど考慮する必要はないかも知れないけれども、この法律が意図するようなことをこの法律によつて達成しようとするならば、そうすると逆にこの法律をまあ運用といいますか悪用といいますか、裏を読んで実施しなければならない危険性があるのではないか。而もそういうことをやりましてもなお現在の輸出を阻害しておる最大の原因はそれほど緩和されないのじやなかろうかということを一番恐れるわけでありますけれども、御見解はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/10
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011・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 書き方が非常に持つて廻つたような書方をしており、殊に第五条の点などを御指摘になるのではないかと思うのでございますが、この点は幾分そういうきらいがあることは私ども認める次第でございますが、併しこういう状況はこれは即ちはね返つて日本の輸出業者の利益を害しておるということになるのでありまして、実際上の運用におきましては日本の輸出業者の利益ということは勿論一番先に念頭において運営して行くつもりでおる次第でございます。
そういうようになつた場合に国際的な摩擦が起りはせんか、或いは輸出を阻害している原因というものはもつとほかにあるのであつて、これだけではその最大の原因が除けないのではないか。これはいずれも御尤もな点でございますが、この第一の輸出業者の利益を中心として運用して行くということによりまして起きる摩擦というものは、私はそう大したことは考えられないのじやないか、その裏には勿論仕向地の業者の利益ということを常に見ておるわけでございますから、ことに相互の利益の一致点というものは必ず発見されるのではないかというふうに考えます。又これが非常に有効な手段であつて、これだけでもつて日本の輸出不振を打開できるとは我々も考えておらない次第でございます。現在のような全然まあ何といいますか、無統制な秩序のないやり方によつてやつておりますよりはよほど改善されるのではないか。勿論その以外に輸出阻害の大きな原因があることは十分認めておる次第でございまして、それはそれといたしまして、通産省といたしましても、政府といたしましても、大いにその除去に努力しなければならないと存じますが、これも必ずや輸出の増進のために或いは輸出の健全化のために役に立つ法律であるというふうに私たち考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/11
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012・佐々木良作
○佐々木良作君 要するにこの法案自身の価値について、実質的な法案が目的としておりますところの輸出貿易の健全な発展を図るという目的のための価値につきまして、今後の貿易政策上私が先ほど申上げましたような意味を十分加味されまして御検討、慎重な扱いをされることを要望しまして、その前提に立つて以下質問をこの条文の章につきまして御質問を申上げたいと思います。
第一に公正な輸出取引についてであります。現在のいわゆる不公正な、不公平な輸出取引、特にリベート或いは商標侵害などは大体におきまして相手方バイヤーにいわば強要されてそういうことになつていることのほうが実例としては私は多いだろうと思います。ということは実際は現在の国と国といいますか、経済力といいますか、或いは業者といいますかその実力、力関係でそういうことになつておるのであつて、従いましてそういう不公正な輸出取引のやり方を若し日本業者が拒否するならば、今度はその取引自身が成立困難となつて来るというような状態が現在の不公正ないろいろな問題の出て来ておる最大の原因になつておるのではないかと思うのです。つまり言い換えますと、こういう不公正な輸出取引につきましては、日本の業者が実際に好んでこういう取引をきめておるのではなくて、仕方なしに実質的に強要されてやつておることのほうが実際には多いわけです。従つてこの法律によりますと、日本の法律でありますから外国のやつを取締るわけには行きませんけれども、ともかくこの法律でもつて日本側の業者の不公正な輸出取引をいくら、まあいくらと言いましてもその取引をともかくも取締るということによつて相当な効果が出るような感じに見ざるを得ないわけでありますけれども、どうもそれは実際には逆のような気がするわけでありますが、法律行為とは別にそういう実情を加味されまして、この法律の問題とは別に相手方から今のような不法行為とまあ言つていいかどうか知りませんが、要するに不公正な取引の強要、そういう問題に対して政府はこの法律とは別にどういう対策或いはどういう力でもつてそれを排除されようとするのか、対策或いは貿易政策でもありましたらお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/12
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013・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 大変困難な問題でございまして、私からもはつきりしたあれは申上げられないと思うのでございますが、現状におきまして確かに御指摘のような事実もございますが、これは若し日本の業者が全部やはりそういう取引を拒否するということができましたならば恐らく正しい仕方で以て取引が成立できるべきものがやはり一部の人がいろいろな事情でそういう取引に応ずることがありますために足並が乱れる、そこに先方につけこまれるというようなことになるわけでありまして、この法律によりますと一方においてそういう不正を行いまする者に罰則を強化すると同時に、他方において強制……組合の結成を認めまして業者間の団結をして力を高めて行くということによりましてそういうような先方からの圧力に対抗する力を養つて行く、これは私どもといたしましてはやはり現在一番正しい方法じやないかと考えておる次第であります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/13
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014・佐々木良作
○佐々木良作君 まあ御答弁としてはそれくらいのことしか言えないと思いますけれども、実情は実際はそうではなくて力関係で以て相手方から強要されておるほうがマイナスの面に多く出ていることは事実であります。従いまして私はこの法律によつて国内的な団体等で排除され得る効果というものはそれほど大きくは考えられないのでありまして、これをやられるのはまあ結構といつていいかどうか知れませんけれども、やられるならやられてもいいと思うのですがこれにそれほどウェイト、効果を期待されることは現在の実情からして非常に危険だと思います。従いましてどうかこれが若し成立をしましたならば、先ほどからも繰返しておりますような相手方の不法行為に対しまして、政府としまして相手方の不法行為に対する手段を、この国内の業者の団結とかそういうところに求められる以上、もつと大きな力なり或いは条約なりということについて十分一つ考慮を払われたいということを希望しておきます。
それからなお少し皮肉になるかと思いますが、この不公正な輸出取引に関するこの規定を、実は殊更この法案の一番最初にずらつと第二章として挙げられたこと自身にも、一番最初申上げましたような意味でこの法律を裏から見なければならないような感じをせざるを得ないのであります。つまりこういうことは従来から独禁法によりまして不公正競争の制限であるとか、或いはその他輸出品の取締法、或いは外為管理法等によりまして大体全部やれることになつておるわけでありまして、新らしくこれがここに規定されてこれによつて生ずる大した効果は出ないわけであります。従つて私はここにこの第二章に挙げられた理由は、むしろ三章、四章以下を合法化というか合理的に説明するためにまあいわば飾りみたいなことになつておるのだと思います。
まあこれは強いて問う必要もないかと思いますが、ただこれは実質的な意味でちよつと公取の委員長に聞いておきたいと思いますが、私はそういうふうに感じておるわけでありますから、だからその弁解なんかは要らないのであります。だから公取委員長に一つお伺いしたいのは、従来からありますところの独禁法、或いは輸出品の取締法、或いは外為管理法等では取締れない、全然新らしくこの第二章に乗りかかつて第二章によつて新らしく禁止なり取締なりに代る部分が実際に考えられるかどうか簡単に一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/14
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015・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 私は独占禁止法の関係だけを申上げますと、この第二条にございまするものは、或いはこの第四号の政令で定めるものにいろいろなものがあるわけでございますが、或いはその中に独占禁止法と重複するようなものが指定されることも予想されますが、大体一、二、三は現在の独禁法の直接の対象にならんようなもののように考えます。御承知の不正競争防止法というものがございましてそれに多少関係のある部分がございますし、或いは為替関係の法令に関係のある部分もあると思いますが、独占禁止法につきましては、大体これはそれと少し角度の違つた問題のように考えられます。なおこの狙いは恐らく第四条でこれらの規定に違反しました場合に、最後は輸出を停止するところまで通商産業大臣に権限を与えられておるというようなところが、恐らく特にこの法律の中に不公正な輸出取引を取締る規定を入れた趣旨ではないかと思いますけれども、独禁法以外の点は私としましては余りよく勉強しておりませんのではつきりとお答えができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/15
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016・佐々木良作
○佐々木良作君 第二章のその問題は今のような私の意見を申上げることにいたしまして次に移りたいと思います。
次は三章の輸出業者協定の問題についてであります。これは先ほど牛場局長に私は裏から法律を見なければならないような法律ではないかというようなことを言いました際に、まさにみずから例を挙げられましたように、この五条というのがまあそういう感じのものであると思うわけでありまして、如何にもこの五条の第一項の第一号、第二号等は如何にも相手国の利益のためにこちらが輸出統制を行うように書いてあるわけでありますけれども、実際問題としてはこれは先ほどから言われましたように、国際的反響をむしろ恐れてカムフラージュして実際はもつと端的な第一条の目的を私は狙つておられるものだろうと思います。ただ心配するわけでありますが、こういう書き方をすることにより実際に国際的に相手国がごまかされるというか、満足するというか、それはむしろ相手方から運用され日本側が自縄自縛に陥りはしないかということを、先ほどから私が言つておりますことと同じ意味において私は心配するわけでありますが、例えばダンピングを指摘されたり、或いは不利な条件を強要されたり、そういう心配がつきまとつて離れないことを繰返して申上げますが、御承知おき願いたいと思います。
具体的に端的にお伺いしたいと思いますが、この中で不公正な取引相手をボイコツトする協定、先ほど販路協定なんか入らないのだというお話でありますからそれは省略いたしますが、取引相手をボイコツトする協定、或いは買手方からの買叩きを防止するような協定、そういうような協定は五条の第一項でできることになりますか、或いは逆になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/16
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017・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) このボイコツトのほうは、あとに出ております二十条の第一号におきまして不公正な競争を用いるときには協定の締結はいけないということになつておりますが、その結果としてはボイコツトはできないことになると解釈されます。
それから第二の買叩きのほうの関係でございますが、これは買手に対する協定ができるわけでございますから、これによりまして向う側の買叩きに対抗するということはできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/17
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018・佐々木良作
○佐々木良作君 そうすると一応の解釈はボイコツト協定はやらせない、買叩き防止はできると、こういうことですね。ボイコツト協定が実際にできなければこれは仕事が非常にむずかしくなると思いますが、この辺でやめておきます。
それからもう一つ。同一仕向けの品目につきまして二つ以上のグループの業者が別々に協定を作るということができるのかできないか。つまり協定は独占的な協定として考えておられるのか。同じ品物について複数の業者間の協定、日本側の協定内部の競争ができるような仕組に考えておるか、いずれに重点があるのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/18
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019・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) これは第五条の第三項第三号に「輸出取引の秩序の確立を著しく害するものでないこと」この条件がございますので、それに照し合せまして複数的の協定を許すか許さないかということがきまつて参ることと思います。更に若しそういうふうな複数の協定が結成される気運になつて参りますれば、これ即ち輸出組合の結成ということになつて来るわけでありまして、そちらのほうにむしろ重点は移行して参るのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/19
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020・佐々木良作
○佐々木良作君 そこで今指摘された第三項の三号、これの読み方は今後の取締といいますか、これを実際の問題として扱う場合に一番私は政策的に行われる条項であるというふうに考えましてこの三号を非常に重視するわけであります。従いまして五条三号の意味をはつきりとお知らせ願いたいと思います。ただその前に衆議院におきまする説明のときか何かに、大体政策といたしましてこの協定よりも輸出組合のほうに重点が置かれて輸出組合を奨励して、むしろ輸出協定というのは暫定的に一時的に限り認可する方針だというようなことが言われたように聞いておるわけでありますけれども、それはどうして輸出組合を非常に奨励する方針をとられ、輸出協定のほうをむしろ軽く差別待遇するような方針をとられるのか。その協定と組合とのウエイト及びその政策を含めて今の三号の正式の解釈をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/20
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021・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) この五条の三項、三号これは後ほど出ます輸出組合の認可基準の十四条の二項の三号、これと対照して見て頂きたい規定でございますが、協定と組合とのウエイトの問題から申しますと、協定につきましては先ほど御指摘がありました通り、同じような市場について同じような品物について違つた業者が多数の協定を作るということになりますと、これはその条件その他につきまして勿論認可の際に一々検討いたすわけであります。非常に複雑なことになる虞れがございます。又協定を作つただけでは一つの法人格を持つて行動するということができないわけでございますから、その点におきましてやはり輸出組合というものによりまして包括的な態勢を作つて行くほうが輸出取引の秩序の確立のため便宜であるというふうに考えまして、方針といたしましては勿論おのおの認可基準は厳守するわけでありますけれども、方針といたしましてはやはり輸出組合に重点を置きそれを補う意味において協定のほうを運用するようにして行きたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/21
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022・佐々木良作
○佐々木良作君 この問題はこの法案の条文の問題以上に、或いは貿易政策或いは国内経済問題に極めて重要な影響があると思います。それは次の章の輸出組合の問題と関連して後に譲りますけれども、要するに私がこれを重視するゆえんのものは、これは局長も感じておられますように中小企業の実質的な圧迫になる危険性がある。それはこの輸出取引法自身が先ほどの事業者団体法なり独禁法の精神なりを蹂躙してむしろ輸出の問題が国内経済に非常に大きくはね返る危険があるからでありまして、この輸出業者の中の中小企業の問題とそれから一般の国内経済へのはね返り、この二つが重要な影響を及ぼすことをよく一つ御承知おきの上で政策を立てて頂きたいと思います。
最後にもう一つ事務的のことでありますけれども、内容がよくわからないので伺つておきます。第五条の第一項の一号、二号、これは実際問題としてこういうことを考えておられるのですか。一号の著しく値段を安くして相手国になんとかかんとかという場合に、例えば問題になるまぐろの罐詰、そういうものが考えられるが、品目の例示をお願いしたい。それから二号の場合におきましては例えば生糸というようなものを考えられておるか、ひよつとしたら私は全然感違いをしておる危険性を感ずるので例示をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/22
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023・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 第五条の第一項第一号はこれは御指摘のようなやはりアメリカ向けのまぐろの罐詰でありますとか、冷凍まぐろ又はやはりアメリカ向けのミシン、絹スカーフ、絹手袋というようなものを考えておる次第であります。これがダンピングの非難をこうむる一番危険性の多い品物がここに入つておるわけであります。第二号は現在価格変動が著しいために輸出が困難になる、それを防止するためにいわゆるチエツク・プライスというものを作つております。それに該当するような品物でありまして、これは絹織物、綿糸布、繊維の二次製品、一般的な家庭用のミシン、陶磁器、ほうろう鉄品、というようなものが考えられておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/23
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024・佐々木良作
○佐々木良作君 大体わかりました。次に第四章の輸出組合について質問したいと思います心輸出組合の問題は先ほど協定の問題と関連して大体考え方はわかつておりますから実際の問題といたしまして、この輸出組合は一商品、一組合という建前でおられるらしく感ずるのでありますが、大体そういう方針でおられるかどうか。そうして今度は実情でありますけれども、そういう建前で以て現在設立を予想される輸出組合の数、或いは業者というものは大体どのくらい考えておるか、今までの最盛期にそういう組合は百四、五十あつたと思いますが、大体そういうものと考えておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/24
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025・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 輸出組合の認可基準のことでございますが、これはまだ実は私どもといたしましても単に役所としてのそのまま持つておる程度に過ぎないりでありまして、これはあとのほうに出て参ります審議会にかけまして審議会において審議会の意見を十分参酌いたしました上で決定いたしたいと考えておる次第であります。それで大体の考え方といたしましては一商品、一組合というふうにいたしたい、その商品も成るべく大分類をいたしたいと考えております。数につきましてはうんと絞れば三十組合ぐらい、多くとも五十組合ぐらいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/25
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026・佐々木良作
○佐々木良作君 若し差支えなかつたならば今政府が考えておられる草案だけでも結構ですから、別の機会で結構ですからお示し願いたいと思います。
それから次に先ほどの協定問題と関連してこの組合の問題で心配になることでありますが、今の一商品一組合という方針で行くならば、私は当然にその組合内部におきまして中小企業が非常な不利、圧迫をこうむる危険を感ぜざるを得ないのであります。これによりますと議決権は平等であるし云々という建前らしいのでありますが、従来の様子から見ましても実際上経費の分担額の差異はありますし、そうして実際問題として大企業に従属するような組合員の支配等によつて大企業の発言権が実際に強化されて来て、従つて中小企業の発言が阻まれ同時に実質的な意味の圧迫をこうむる危険性が非常に強いと思うのであります。従つてそういうことをされる場合に中小企業が圧迫をこうむらないための法律以外の対策を何か考えておられるかどうか。これは十分な考慮を必要とすると思いますが、折角この法律をここに出されるくらいでありますから相当な考慮があるだろうと思いますけれども、どういうことが現在考えられておるかということをお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/26
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027・本間俊一
○政府委員(本間俊一君) お答え申上げたいと思いますが、御指摘もありましたように、組合員の議決権或いは選挙権などは平等にいたしたわけでありますが、実は私どものほうでは御指摘のような点も考慮はいたしておるわけでございますが、大体この輸出関係でございまするので、輸出が前にも御指摘がございましたように価格が買叩かれる、或いろいろな事情で不振になるということになりますれば、大小の企業家を問わずそれになるわけでございますから、大企業のほうも中小企業のほうもできるだけ一つ一致した形で外国との競争をして頂く、そしてできるだけまあ日本側のほうの利益を擁護して頂く、実はまあこういう考え方の上に立つておるわけであります。従いましてその組合ができまして、その組合内でいろいろな勿論協定をいたしまする場合には議論などもあろうかと思いますが、普通の場合のような何と申しますか利害の非常な衝突はないのではなかろうか、こういう実は考え方をいたしておるわけでございます。従つて組合で価格或いは数量などをきめます場合に、数量の按分の方法などでは御指摘のような問題も起るかと思いますが、併しこの場合は大体大きな人も中小の人も一致して自分たちの商品なり価格なりを維持して行こうという、こういう考え方ですから、何と申しますか、そうひどい一般の場合のような対立関係はないのじやないだろうかという考え方をいたしておるのでありますので、御指摘もありましたように法のほうの関係で何といいますか、調和をとるための条文その他は置いておらないわけでございまするが、大体そのような考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/27
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028・佐々木良作
○佐々木良作君 普通にこの法文を見て答えられるときにはそうなると思いますが、私が今申上げたのはそれを条文上でどうするということは恐らく実際問題として不可能だと思う。むしろそうではなくて、恐らく従来の経験に見ましても、現在の経済状態から見ましてもそういう心配が必ず出て来るに違いない。現にそれを突つついて行きますと、この次に今度は先ほど提案されましたところの特定中小企業の安定法の問題と丁度これは裏腹になつて来て、その心配があるから中小企業安定法も作らなければならないというような実際上の矛盾と心配があるわけであります。従いまして追及はいたしませんが、今の危険は結局今答弁されましたような恰好で解消されるものではなくて問題が相当残ると思いますから、十分一つ考慮されたいということをお願いしておきたいと思います。
更にそれと関連いたしまして先ほどからのお話を承わりますと、どうもその輸出組合の助成保護政策を輸出貿易の中心といいますか、輸出貿易政策の一つの大きな目途に考えておられるようでありますけれども、実際問題としてこの輸出組合に加入した業者に対しまして政府はどういう便宜を与えられることを今考えておられますか。例えば融資の斡旋というようなこと、或いは諸外国との取引の場合にその組合を優先的にとか或いは組合に先ずその実情を知らせるとか、そういうことがつまりアウトサイダーとの関連で特別な具体的に便宜を供与せられる方針か、そうであるならば大体どういうことが考えられるかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/28
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029・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) この融資の斡旋などの問題になりますと、これは組合自体としては営利を目的としないということになつておりまして、結局組合に対する融資斡旋の問題になりますが、これはまあ表面的にどうこうということはなかなかむずかしいと思うのでございますが、組合に入つておれば割合にそういう便宜があるということは私は実際問題として起つて来るのじやないかというふうに考えます。
又政府がいろいろ取引の情報なんかを輸出組合に対して優先的に流すということはどうかというお話でございますが、これは私はよほど注意をしないと、又それこそ本当に不公正なやり方ということになる虞れがありまして、勿論その中の組合に入る者もありましようし、アウトサイダーにとどまる者もあると思います。そういうようなことも考慮いたしまして、そういう方面におきましてはやはり公平にやつて行くというほかはないのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/29
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030・佐々木良作
○佐々木良作君 今は組合に対して融資の斡旋は考えておられないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/30
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031・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 積極的にやろうということは今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/31
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032・佐々木良作
○佐々木良作君 恐らくこれはそれでは今後の問題になろうかと思いますが、そういう融資の斡旋の場合及び実際の取引における……どう言いましようか、先ほどの情報等の流し方等におきまして、実際上その組合に入つておらなければどうにもアウトサイダーとしては立ち行かないというような結果が出ないように一つ十分御考慮願いたいと思います。それは従来にもありましたことでありまして、輸出組合でなくても、例えば一つの種類の雑貨の中で特定な雑貨の半分くらいの生産を持つておる或る会社がその組合に入らなかつた、ところが役所のほうはその特定雑貨自身がそれほど貿易上大した問題でないということから、むしろ組合の話さえ聞いておれば大体わかるだろうというので、これは私は手落だつたろうと思いますけれども、いわんや重要商品でないように錯覚される。錯覚じやないかも知れませんが、重要商品でないような感じに、或る品物については特にそういう組合に入つておるものとアウトサイダーとの間に実際上の不公正が起りがちだと思います。そういう意味におきましても今の輸出組合に入つた業者に対しての便宜供与という問題につきましてはアウトサイダーも十分考慮されて、不公正な扱いのないように一つ御考慮をお願いいたしておきたいと思います。
それから事業の問題でありますけれども、この十一条の組合の事業、第一号、第二号両方に書いてありますが、書いてあることはわかりますけれども錯覚したらちよつと困るからお伺いしたいのですが、例えば事業というのは一号、二号の内容はわかります。それのための事業というのは、例えばどういうことを考えておられますか、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/32
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033・牛場信彦
○政府委員(牛場信彦君) 主として第二号の「輸出業者の共通の利益を増進するための施設」ということが問題になると思いますが、これは例えば共同で以て組合から一つの市場調査のための人間を出すとか、乃至は輸出品の検査につきまして現在やつておりますところの国営検査などの方面と衝突しない範囲内において検査をするとか、或いは包装施設を共同に持つとか、そういうようなことを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/33
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034・佐々木良作
○佐々木良作君 四章までこの法案に法律的に書いてある問題の質問は一応終つたわけでありますが、その他二、三実際上の問題につきまして、むしろこれは政策の根本にも触れるし、運用の基本にも触れるかと思いますが、そういう問題を二、三質問したいわけでありますが、質問も大分長くなつておりますし、何か次の委員会のあれもあるらしいのですが、どうしましようか、委員長のお取計らいは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/34
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035・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/35
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036・佐々木良作
○佐々木良作君 それではこれは補足的な、包括的な質問になると思いますが、その第一に輸出業者というものの定義は今度なくなつております。この輸出業者の定義をどう理解したらいいか。端的に申しますとメーカーの問題をどう扱われるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/36
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037・本間俊一
○政府委員(本間俊一君) お答えを申上げたいと思いますが、御承知のように輸出の実際の場合に、価格及び品質、数量につきまして協定をいたしまする場合には、やはりこのメーカーの立場と申しますかを相当に尊重しなければならんという実際上の必要があるわけであります。従いまして法案では輸出業者ということにいたしたのでございますが、大体私どもの考え方を申上げますと実際輸出取引をいたしました実績のない人でも取引をしたいという能力と意思があれば、大体まあ輸出業者という広い解釈で参りたい。従いまして御承知のように、輸出組合ができまする場合にそれぞれの組合で定款をきめるわけでございますが、只今申上げたような広い解釈で定款その他が作られるように一つ指導して参りたいこういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/37
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038・佐々木良作
○佐々木良作君 能力と意思があれば輸出業者の中にメーカーも入り得るという解釈らしく或いは取扱らしく考えられるわけですが、確かに今御答弁のありましたように、日本のように輸出に依存度の非常に高い経済におきましては、メーカーを輸出業者と無関係に置くことは不可能だろうと思ひます。併し又実際問題としまして今度は大メーカーと貿易業者との実際の力関係になりますと、例えば肥料、鉄鋼というようなものをちよつと考えてみましてもその場合には大メーカーの力は支配的になつて来ると思ひます。そうした場合にはこの輸出業者の輸出組合を大メーカーが実質的に支配する結果となつて来ると思ひます。そうなると、一番最初或いは中間に申上げましたように、そういう結果を来たす場合にこそ今の事業者団体法に対する実質的な違反、つまり国内経済に対するはね返りは実に大きなものになつて来ると思うのです。その辺をどういうふうに調節なり、考えられますか。又今度は逆に雑貨みたいなものを考えました場合には、メーカーのほうが完全に貿易業者に支配されて来る結果になることも、これは従来経験ずみであります。つまりこのメーカーの問題の扱い方によりまして、決して輸出貿易問題だけではなくてそれが国内経済に対して非常に大きなはね返りをして来る。このはね返りが来た場合に、その部分につきましてのこの事業者団体法等が最も気にしておる、日本の経済の民主化立法の狙いが侵される危険性が出て来るのでありますが、その問題と輸出を振興したいという問題との調節というものは私は非常に困難だと思うのです。その辺を大体どういうふうに考えられておるかお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/38
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039・本間俊一
○政府委員(本間俊一君) 御指摘もありましたように、非常に何と申しますか実際上の問題として大事な問題だと私どもも率直に考えておるわけでございますが、御指摘もありましたように大メーカーが組合員を牛耳りまして、その結果といたしまして国内の取引に相当な大きな影響を持つて来るというような場合も当然考えられるわけでございますが、そういう場合には御指摘もありましたように、独占禁止法或いは事業者団体法の精神にも反して参るわけでございまするので、協定をいたしましたその協定が国内にはね返つて参りましてそうしてかなりの影響を及ぼすというような場合は、その協定を認めないことにいたして参りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/39
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040・佐々木良作
○佐々木良作君 まあ抽象的にはそれはそういうことに違いないわけでありまして、併しこれは貿易局長なり実際の仕事に当つておられる人が考えられれば明白なことでありまして、若しこの二十条に規定しておりますように、国内の一定分野の競争を実質的に制限するときには独禁法を適用することを厳格に励行する、これを本当に厳格に励行するということでありますと、今の輸出協定なり輸出組合というものは殆んど全部ひつかからざるを得なくなつて来るというふうに考えざるを得ないので、これの調節というのはまあ抽象的に今言われれば或いはそういうことだと思いますけれども、その問題がこの輸出取引法の従来の民主化立法との関係及び現在の国内経済との関係で一番重要な問題だと思います。従いまして、まあ追及はしませんけれどもどうかこの問題をそう簡単にやれるというふうにお考えにならずに私は宿題にこれは残しておきたいと思います。
ただ事務的にそれと関連して聞いておきたいのですけれども、そういうふうになればなるほど実際にはこの国内の一般消費者にかかる影響は極めて重大になつて来るわけでありますが、そうであるならば今度は事務的にえらい先まで飛んでしまうわけでありますが、先ほどちよつとお話に出ました二十四条の輸出取引審議会は五十人の委員を置かれるというお話でございますけれども、これを衆議院での或いは要綱か何かの説明によりますと、大体生産者といいますか業者代表で当てられることになつておるらしいのですね。若しこれが業者代表だけで当てられることになれば、私は今言つたような形式的な機関ではありますけれどもチエツクするところの場所がなくなつてしまうのです。例えばこれに消費者を入れられるとか、そういう事務的、形式的なことでも考えられておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/40
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041・本間俊一
○政府委員(本間俊一君) この審議会は御指摘のような点を考慮いたしまして構成をいたしたいと、こういうふうに考えております。ちよつと附加えて申上げたいのでありますが、実は御承知のように、まあ関係をいたしまする品目その他も非常に多いわけでございまするので、できるだけ実は少い数にいたしたいというような意見もあつたのでございますが、品目別にやりますと又非常に煩瑣にもなりますし、それから御指摘の考かいろいろな国内の消費者或いは国内の価格等に対する影響もございまするので、できるだけ利害関係者と申しますか、いうような人をこの中に網羅をいたしましてそういう関係で五十人になるのじやないか。それも実際必要な面があるわけでありますから止むを得ないということにいたしまして、当然審議会の運用に当りまして或いは分科会のようなものもできるかとも思いますが、御指摘のような点は十分尊重いたしまして委員の中に加える、こういろ考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/41
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042・佐々木良作
○佐々木良作君 この国内経済へのはね返りの問題は、先ほどから繰返し指摘しておりますように、この法案の国民経済に及ぼす影響からいいますならば、輸出がこれで伸びるか伸びないかという問題よりももつと大きな問題だと私思います。そういう意味で一つ十分に考慮を願いたいと思いますが、同時にその重要な考慮の中で決してこの審議会だけが……例えばこの審議会が持つウエイトというものは私は本当は大して感じてはおりません。従いましてそれほど重要視するわけではありませんが、先ほどの基本的な考慮が十分必要であるということを政府で考えられるならば、当然にこの審議会におきましては今のような業者の代表だけではなくて、その国民経済のはね返りを監視しその影響を十分に発言できるような、端的に言えば消費者代表だとかそういつたものを入れて発言の機会を与えられて、先ほどから言いましたような輸出貿易と国内経済へのはね返りとの調節に少しでも役立たせるような方法を一つ十分にお考えを願いたい、こういうふうに思います。
最後にちよつと事務的でございますけれども同じ問題と関連しまして、二十一条の三項か何かで公取との関係が規定してあります。つまり公取が勧告或いは審判開始決定書を発送しようとするときは通産大臣の意見をきくという規定がありますが、これは従来私どもが私どもの委員会を中心として扱つて来ておつた立場の公取という機関の性格から見ますと、単なる手続規定ではありますが公取自身の性格に極めて大きな影響を将来及ぼす危険性のある規定として見逃すわけにはいかん規定なんです。つまり公取の独立職権を実質的にとれば実質的といいますか、むしろ形式的にこの条文から覆すことが始まるという意味で、私はこれも若し注意して見るならば、従来占領に関係しておつたところの諸外国から見れば相当大きな関心を持たざるを得ない条文だろうと思います。これは公取に聞いてもどうかと思いますから、それでどういうふうな話合か、相当重要に扱われたのかどうか、その扱い方に相当な考慮がなされたかどうか、扱い方を一つ、この立案の過程でどの程度に扱われたか、御説明を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/42
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043・本間俊一
○政府委員(本間俊一君) 十分な或いは納得が行かないかも知れません。御指摘のありましたようにこの例はほかのものにはなかつたわけでございまして、私どももそういう意味合でいろいろ検討をいたしまして公取のほうとも十分話合をいたしたわけでございますが、何と申しますかこの公取のほうでいろいろお調べになつておりまして最終的な決定をいたしまする前に、実は私どものほうで、協定をいたしましてその協定が必要がなくなつた場合でありますとか、或いは不当に差別的な内容でありました場合でありますとか、或いはそういつたような問題がありました場合に、通産大臣の意見を聞かなければならんというふうにいたしておりますのは、公取が決定をいたしまする場合に、何と申しますか通産大臣が変更命令文は認可の取消の処分をするようにしたほうがいいんじやないか、又そういう処置をとり得るようにしたほうがいいんじやないかというような点も実は考慮いたしましてこういう規定を設けて頂いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/43
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044・佐々木良作
○佐々木良作君 現在の官庁の力関係から見ると、恐らくまあこういうことになるだろうと思います。併しながら先ほどから私繰返し申上げておりますように、この輸出取引法自身とそれから又我々の日本経済及び日本の置かれておるところの国際政治上の地位から見ました場合に、この法案輸出取引法自身が端的に言えば脱法法と言つたら言い過ぎかも知れませんけれども、そういう危険をさえはらんでおる法案でありますから、最近におきましての復古調の特に甚だしい国内の情勢だけを勘案され条文を整備されることは非常に危険であると思います。その意見だけ附加えてこの条文の問題は終つておきたいと思います。
なお実質的の問題として最後に伺つておきたいが、先ほど輸出業者の定義の中でメーカーの問題をお伺いしましたそれと関連いたしまして、実際上の問題として、今出ておる特需について今の輸出組合や輸出協定を作れるお考えでおられるかどうか。特需の扱い方、特需に対しまして業者間に法律がやれるお考えかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/44
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045・本間俊一
○政府委員(本間俊一君) それはこの法律を適用しない考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/45
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046・佐々木良作
○佐々木良作君 恐らくそうだろうと思います。そうだろうと思いますが、私はそうであるだろうからなお更重要視いたします。ということは日本の今の経済の中におきまして、特に日本の貿易の輸出の問題の中におきまして、特需が実際に占めておるウエイトは御承知の通りであります。そして特需自身が日本の経済と貿易と特に輸出におきまして占めておるウエイトというものは何としても見逃すことのできないところの最も基本的な現在の価値を持つておる問題であります。而もその内容はどこに出しても恥かしくないというか、どこからどう突いてみましても内容的には実質上の輸出以外の何ものでもないと思います。従つてその輸出の大宗であり内容の基本的なものであるところのこの特需を輸出組合や協定から除外されるということは、今後の日本経済の円滑な発展を見ます場合に何としても私は重要な問題であると思います。特に先ほど一番最初に伺いましたところの協定の相手方の買叩きを防止する協定にはやれるという局長の、最初こいつは認める方針だ、つまりボイコツトの協定は認めないけれども買叩きを防止する協定はやらせるつもりであるというお話でございますが、現在日本の輸出との関係の中で日本の国内経済に一番大きな影響を与えておるのは特需における買叩き或いは不公平な入札、こいつが最も大きな影響を与えておる実情を私は直視して頂きたいと思います。従いまして若しこれを実施される場合におきまして、本当に日本の輸出を考えられ、それからこの問題から派生するところの国内経済へのはね返りを考えられまするならば、特需の問題は今政務次官が言われましたように、これは考えておらないという一点張ではなくて、私は基本的な再考慮を必要とせざるを得ないと思います。まああえて今御答弁は要求いたしません。併しながら私の申上げました意味を十分にお考えを願いたい。輸出の日本の国内経済へのはね返りに対して法律によつての防衛措置が必要であるとするならば、特需こそ一番先にやらなければならん内容を持つておるのだということを申上げておきたいと思います。
最後に事務的に一つだけ。次に輸入組合というものを考えておられますか。将来輸入組合を認める考え方を今持つておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/46
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047・本間俊一
○政府委員(本間俊一君) 先ほどの問題にちよつと関連しで申上げたいと思いますが、私どもも特需の関係は決して簡単と申しますか、軽視をいたしておるわけではでないのでありまして、これは御趣旨を十分に尊重いたしまして、この問題は対処して参りたいと考えております。
輸入組合のことでございますが、実は輸出組合の法律ができるのでありますから、輸入組合もできまするのが当然だと思うのでございますが、御承知のようにいろいろな経過がございまして、何とか輸出組合を早く作りたいという要望が非常に強うございまして、輸入組合のほうは実際の問題といたしまして、それほど要望が高まつておりませんので、取りあえず輸出組合を一つ設立するように法的措置を講じたいということでいたしておりまするので、御指摘にもありましたように、将来の問題といたしまして、輸入の組合の法的措置につきましても研究なり準備をいたしておかなければならんと思いますが、今すぐどういう然らばものを出すかというところまでは進んでおりませんが、申上げましたような事情で輸出組合のほうを早く着手いたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/47
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048・佐々木良作
○佐々木良作君 長い時間とりまして、ずつと質問をしたわけでありますが、私の質問に対しまする御答弁は私は必ずしも満足しておりません。特にこの法案が与えますところの国際的な影響について、及びこの法案を実施することによつて実際にはね返つて来るところの国内経済に与える影響につきまして私は極めて大きな関心を持つものでありまして、むしろこれを討議し、質問を進めるならば、もつと基本的な経済政策に触れざるを得ない状態になると思います。
併しながら時間の制約もありますので、若し時間が適当なときに許されますならばあとの問題はあとに譲ることといたしまして一応質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/48
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049・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/49
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050・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
連合委員会は今日はこの程度で散会いたしまして御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/50
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051・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 異議ないと認めまして連合委員会は散会いたします。
午後三時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314785X00219520611/51
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