1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年三月六日(木曜日)
午後二時八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 竹中 七郎君
理事
古池 信三君
小林 英三君
結城 安次君
栗山 良夫君
委員
中川 以良君
松本 昇君
山川 良一君
小林 孝平君
島 清君
国務大臣
通商産業大臣 高橋龍太郎君
政府委員
大蔵省主税局税
制課長 泉 美之松君
通商産業政務次
官 本間 俊一君
通商産業大臣官
房長 永山 時雄君
通商産業省通商
企業局長 石原 武夫君
資源庁長官 始関 伊平君
資源庁炭政局長 中島 征帆君
中小企業庁長官 小笠 公韶君
事務局側
常任委員会專門
員 林 誠一君
常任委員会專門
員 山本友太郎君
常任委員会專門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した事件
○企業合理化促進法案(衆議院提出)
(第十二回国会継続)
○理事の辞任及び補欠選任の件
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001・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今より通産委員会を開会いたします。
企業合理化促進法案を議題といたします。企業合理化法案に関する中川委員の動議に基く当委員会の総意による申出につきましては、五日の委員会散会後私より本間政務次官を通じまして伝達方を依頼しておきました。本間政務次官は御承知の通り当日の委員会に出席せられまして、本委員会の申入の経過並びに内容等につきましても熟知されておるので、大臣に対する伝達も遺憾なく行われたことと存じます。右につきまして高橋通産大臣より発言を求められて参りましたので、これをお許しいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/1
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002・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 昨日の委員会からの御要求がありました諸点につきましてお答えをいたします。
先ず中小企業の問題について申上げます。第一の金融対策につきましては、合理化に必要な長期資金の流通の円滑化を計るため資金源の確保、信用力の補強のために次の対策を講じております。第一に見返資金の中小企業向け融資につきましては、昭和二十五年一月より市中金融機関の窓口を通じて取扱金融機関の資金と協調して設備合理化資金を融資しておるのであります。昭和二十六年十一月末現在における融資実績は約三十億、これは見返資金のみであります。見返資金のみにつきまして約三十億になつており、二十七年度においても二十億円の枠を用意しておるのであります。
第二に商工中金の長期資金源の拡充を図るつもりであります。商工中金の取扱対象は所属組合からその組合員にまで拡張いたしましたのでありますが、その長期資金源拡充の方途といたしまして、商工中金の債券の資金運用部資金による引受の拡大を検討しております。即ち現在利付商工債券につきましては、月約一億五千万円を資金運用部において引受けておるのでありますが、更に割引商工債券につきましても、月三億円見当の引受の実現を検討いたしております。
第三には政府預金の据置及び増加を図るつもりであります。政府指定預金につきましては昨年十一月おおむね期限の到来によつて引上げたのでありますが、商工中金につきましては、その預託金十三億円を当分据置くことにいたしましたほか、更に差当り約二十億円見当を増加する予定であります。なお引続き増加の研究を進めております。
第四に国民金融公庫につきましては、すでに逐次その資金の増大を図つて参りましたが、二十七年度においても更に三十億円を増加し、資金総額百二十億円になる予定であります。
なお長期資金源として見返資金の循環的活用を考究中であります。
中小企業信用保険制度の活用につきましては中小企業の信用力を増強し、特に長期資金手当の円滑化を期しておる次第であります。
第二点は中小企業の設備の近代化の促進でありますが、中小企業の経営の合理化の基本的方策は組織化にあり、なかんずく、協同組合の共同施設による設備の近代化は現下の緊急の要務であります。これを促進するため、共同施設に対する国庫補助の制度を昭和二十二年より復活いたしましてその金額も逐次増加して、二十六年度においては二億円に達しておるのであります。
なお二十七年度予算案におきましても、二十六年度と同額の三億円を計上いたしました。ちなみに国庫補助額の増加に伴いまして、地方公共団体の補助額も飛躍的に増加し、二十六年度は三億円を上廻るものと見込まれております。中小企業の老朽設備の急速な更新を図るため、目下提案準備中の国有財産特別措置法案において、賠償解除の国有機械を中小企業の老朽機械と交換する制度を立案中であります。これは相当有効な結果をみることと信じております。
第三は中小企業の税務対策でありますが、中小企業の税問題につきましてはいろいろの問題があります。先ず所得税につきましては事業主並びに家族専従者の勤労所得を事業所得から分離課税すること、又事業税につきましては基礎控除を引上ぐることなどを中心として検討を進めたいと考えておるのであります。
更に過年度の滞納の分、その他徴税困難なものにつきましてはその原因を十分調査し、事情に応ずる分納、延期、軽減等の方法を準備中であります。
なお中小企業に対する課税につきましては、中小企業の経営の実情に応じた徴收をなすよう努めたいと考えております。
第四点は中小企業の販路の拡張でありますが、中小企業の販路の拡張につきましては従来より特に意を用いておるのでありますが、中小企業製品の展示会、品評会等を適宜開催するほか新製品の紹介斡旋に努めております。特に親工場と下請の中小企業との連繋につきましては指導斡旋をしておるのであります。中小企業の輸出の振興につきましては、その製品の宣伝紹介により、又取引の斡旋に努めておるのでありますが、今後この方面に特に留意いたしたいと存じます。
次に大企業中、自力で合理化を行い得ないものに対する対策についてのお尋ねにお答えいたします。大企業で自力で合理化を行い得ない企業であつても、国家的見地からみて援助する必要があると認めらるるものにつきましては、開発銀行の融資斡旋をするほか、必要な工作機械等については、特に輸入機械の取得については、助成金二十七年度二億五千万円を交付して合理化の促進を図るつもりであります。第三に電力割当問題等についてお答えをいたします。三十七年度の電力配分量につきましては目下公益事業委員会で検討中でありますが、通産省といたしましては中小企業向けの電力必要量の確保について十分の配慮をいたすつもりであります。大企業向配当量との適正な均衡を得るよう努力いたします。以上御要求の諸点につきましてお答えいたしました。どうか企業合理化促進法案の意図するところを御了解頂きましてよろしくお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/2
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003・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御質問お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/3
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004・栗山良夫
○栗山良夫君 只今大臣から御答弁がありましたが、きのうの委員会では関係各省とも連絡をとつて頂いたということまでございましたが、実際にお話を願いましたのはどことどこでありましたか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/4
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005・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 今日お答え申しました点は、各省とも連絡をとりましたのであります。ただ大蔵大臣は目下病気中で私面会できませんが、首脳とは十分打合せ済みでお答えを申した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/5
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006・栗山良夫
○栗山良夫君 お差支えなければもう少し詳しく御交渉を頂いた先をお述べ頂くわけには参りませんか。大蔵大臣は御病気だということはよく承知しておりますが、関係先に打合をいたしましたというお言葉でありますから、お差支えなければその打合せられた相手方を御発表願えませんかということをまあお願いしたわけです。これはやはり内容は別といたしまして相当重要な点を含んでおりますので、その点を明らかにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/6
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007・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 打合せをいたしましたのは大蔵省と安本でありますが、安本は長官と十分話合をいたしております。大蔵省方面とは大蔵省の政務次官、その他関係の人々と十分話合をつけてお答えした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/7
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008・栗山良夫
○栗山良夫君 先ほどの金融対策等、或いは設備の近代化による国有財産の処置の問題等は、これは十分所管局あたりまで徹底されてお打合せになつているのでしようか。ただ政務次官にお打合せになつたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/8
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009・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) お答えいたします。只今の問題はこれはすでに先だつてから、私のほうでも昨年から問題にしているなんでありまして、すでに何回も大蔵省の当局とも私のほうの所管局長が交渉いたしておりますので、昨日更に交渉をしたのでありますが、これは遠からずこういうような方針で決行すべくこれは法案が出る、法案を出すことになりますので、よろしく御審議を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/9
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010・栗山良夫
○栗山良夫君 今お話を頂きました内容につきまして重ねて御質問いたしたいと思いますが、我々が昨日いろいろと御答弁の内容について期待をいたしました点とは大分隔りがあるようでありますが、その点を一、三伺つて参りたいと思います。先ず第一に一番最後の電力の割当でありますが、通産省としては、中小企業向けの割当も結局確保して大企業との均衡をとりたい、こういうことをおつしやつたのでありますが、只今進行している電力の割当は、この御説明と全く反対の方向に向つておるわけでありますが、然らば今作業せられておりまするものを根本的に修正せられるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/10
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011・永山時雄
○政府委員(永山時雄君) 電力問題についてお答え申上げますが、只今公益委員会それから安定本部並びに通産省、この三者で二十七年度の総供給力、それからその供給力の中で三千キロ以上の比較的大きい工場或いはそれ以下の中小企業そういうものに対して、どういうような配分をするかということを折角交渉中でございましてまだ決定をいたしておりません。お話のように総枠の関係から、中小三千キロ未満のものに対して、多少不利になるというような意見も一方にあることは事実でございますが、通産省といたしましては、只今大臣からお答えを申上げましたように、総枠がきまりましたならば、その総供給力の中で大企業と中小企業との均衡は十分に適正な均衡を得るように努力いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/11
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012・栗山良夫
○栗山良夫君 この問題は昨日この委員会でも土曜日にこれだけ特に取上げて調査をすることになつておりますけれども、やはり昨日お願いした筋合もありますのでもう少し詳しく聞きたいと思います。それは今永山官房長のおつしやつたところは、恐らく具体的には実行が不可能じやないかと思うわけであります。そこで今日の通産大臣の御答弁は、経済安定本部とも十分打合せの結果頂いたわけであります。従つてこれは通産省の意向というよりは、通産省も経済安定本部もその他関係先まとまつての意見としては私は伺つておるわけであります。そこで大企業と中小企業との均衡をとる、こういう工合におつしやつたのでありますが、現実にその均衡というのは大体どこの基準にして均衡という工合に考えておられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/12
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013・永山時雄
○政府委員(永山時雄君) ただ数字的にまだ総枠やそれから三千キロ以上のものがどれだけというような点がきまつておりませんので、従つて数字的にお答えするわけに参りませんが、これは常識的に均衡の問題といたしますれば、実績の問題だとか、或いは産業の伸びて行く傾向だとか、そういうものをいろいろ勘案して判断をするということになると思いますが、そうした常識的な判定に基いて結果的に十分適正な均衡がとれるようにいたして参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/13
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014・栗山良夫
○栗山良夫君 その実績を大体基準にするというお話でありますが、そうしますと、数字の問題はいずれ土曜日に伺うといたしまして、少くとも肥料とかアルミニウムとかいうところへ相当まとまつた電力が昨年の実績の率を超えて割当てられるように只今作業が続けられ、而も昨日、今日の新聞などによりますと、大体八億キロワツト余で以て公益事業委員会、安定本部との話合いもつき、そうして電気事業者もこれを呑んだ。これをベースにして電力の割当をきめ、且つ料金も定めて行きたい、料金改訂の原案を作らしたい、こういうようなふうに承知をいたしておるのであります。従つて発生電力量の絶対値が大体きめられるのでありますから、そこでこういう工合に大企業に相当な枠を余分に割当てますれば、そのしわは当然中小企業なり或いは一般家庭用の電燈へ及ばざるを得ないわけであります。特に水の利用率、或いは石炭の熱効率等を実際以上に高めて、そうして損失量等の予想も高めて、そうして発電量というものが計算をせられる。そうして需用電力が想定せられた場合には、若しその通りに参らなかつたときには、大企業はそれだけ確保しますけれども、当然しわは中小企業へ及ばざるを得ないわけです。従つて今申された大企業と中小企業との均衡をとるという意味は、どうも私は逆な意味に実際はなるように思うのですが、従つて若し私のこの考え方を否定せられるならば、まだ未決定だそうでありますから、安定本部なり通産省と公益事業委員会との間でお打合せをせられて、今官房長が述べられたように本当の意味の均衡をとるようにせられるのかどうか、この点を明らかにして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/14
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015・永山時雄
○政府委員(永山時雄君) 今私どもの考えておりまするのは、お話のように肥料のようなものは、これはやはり相当に現在のいろいろな情勢からいたしまして、増産をしなければならない、かように考えておるのであります。その他現在の諸般の情勢から見まして或いは鉄乃至はアルミニウムというようなものについては或る程度の優先的な考え方をいたさなければならないかと思いますが、私の申上げた均衡と申しますのは、相当現在或いは近い将来におけるいろいろな需用や情勢を勘案をいたしまして、需用の強さ或いは現在の日本の経済からいつて伸ばして行かなければならない産業、そういうようなもののフアクターも見、且つ又中小企業に対する実績というようないろいろなフアクターを勘案をいたしまして、均衡を得るようにしたい、こういう意味で申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/15
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016・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、少くとも只今行われておりまする料金制度の下にある電力の割当、大企業、中小企業等への割当の実績における均衡よりも、只今作業をせられておるものがそのまま実現されるとしまするならば、その料金値上案の中にある電力割当のほうが均衡状態は惡くなる、これは結果からいつて惡くなる、こういう工合に解釈してよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/16
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017・永山時雄
○政府委員(永山時雄君) 私どもといたしましては、先ず総供給力、これをできるだけ大きくして行きたいという意味の努力をいたしているのでございます。従いましてその供給力がまだ未決定でございますので、その中においてどの産業にどのくらい行くかというような数字も、或いは比例も現在のところははつきりしていないという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/17
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018・栗山良夫
○栗山良夫君 本当はここで話を進めまするならば、只今作業が進んでおる、実際の資料を提出されて伺つたほうが話が具体的になつてよかつたと思うわけでありますが、供給力の増加という問題は、少くとも二十七年度にはもう余り発電所の運転を開始する大きなものもないわけです。従つて供給力の増加を図りますためには、火力発電の能率を高めまして、而も石炭の消費量を殖やして伸ばすか、或いは又河川の水量等の予定の率を上げるか、或いはその利用率の点をアサンプシヨンの数字を上げて行くか、発電端と需用端の間にある電力損失の比率を下げるとか、こういつたようないわゆる紙の上に書かれた数字を適当にあしらいまして、そうして発電力の増加予想を立てるより途はなかろうと私は思う。その紙の上に書かれたものが実行に入り得ればいいわけでありますが、入り得なかつた場合、すでに昨年の夏の料金値上げの時も重要なポイントについてそういう点を指摘したのでありますが、その実行に実際に入り得ないものが相当あります。例えば電力損失のごときはそんなよくはなつていない。そういうような点を考えてみましたときに、実績にかけ得られないような発電力の予想をしまして、そうしてこれだけ出るのであるということを前提にして均衡上前年同期と違いはないと、こういうことにして大企業へ特別な枠の割当をせられました場合には、実際に電気が出なかつたときには、中小企業或いは家庭へ、先ほど申上げました通りに当然しわが来るわけであります。これは私は間違いなしに来ると思う。そうすると只今の電力の均衡状態よりもとにかく惡くなるということはお認めにならなければならんのじやないかと思いますが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/18
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019・永山時雄
○政府委員(永山時雄君) 電力のことはむしろ栗山さんのほうがお詳しいわけでありますが、今お話のように水の利用率をどのくらいに見るとか、乃至は送電のロスをどのくらいに算定するとか、或いは又火力発電のたく能力というものをどのくらいに見るかというようないろいろな問題について、まだ必ずしも我々のほう、或いは安本乃至は公益委員会というような三者が全面的に意見が一致しておるわけではございませんので只今その点を折角研究中であります。でお話のように徒らにこれをふくらしてみるという考え方は私どももとつていないのでございまして、ただ合理的な推定が付く限りはその合理的な基礎によつて算定をするのだというように考えておるのでございますが、要はこの電力の供給力なり、それからその供給力の中でどういうように配分をするかというような問題は、最終的な権限は御承知のように公益委員会が決定権を握つておるのでありまして我々のほうといたしましては先ほどから申上げておりまするように、できるだけその間適正な均衡を得るように努力したいということで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/19
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020・栗山良夫
○栗山良夫君 公益事業委員会が決定権を持つておると言われましたがまさにその通りでありますけれども、私ども只今承知しておりまするところでは、その決定権を持つておる公益委員会が作つた原案なるものは、今大臣が言われたように、大企業、中小企業の別なく一応前年度の実績程度を基準にして割当の均衡をとるような案になつておつたわけです。それに対して経済安定本部等の意見が強く出て、そうして八億幾らというところで話が付いたというわけでありますから、結局それだけ殖すということは、私は均衡状態が惡くなつたとこう見なければならなんと思うのです。そこでこの点はまあこれ以上を質問することはとどめまして土曜日にいたしたいと思いますが、一言だけ確かめておきたいことは、まだ未決定だとこう言われておりまするから、今大臣が見解を表明せられました線に副わないような案でありまするならば、この委員会の意思を尊重せられてそしてこれを修正せられる用意があるかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/20
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021・永山時雄
○政府委員(永山時雄君) 先ほどから申上げておりますように、我々のほうの意思はできるだけ肥料の増産もしなければならない、同時に又中小企業その他の企業向に対しても適正なバランスのとれた割当量は確保したいというような気持を持つておりまするので、できるだけこれの実現に引続き努力をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/21
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022・栗山良夫
○栗山良夫君 どうも私よくわからないのですが、要するに今政府側で問題にされておる肥料とかアルミニウムとか、そういうものの増産が必要であるというその根拠を、これは先ず第一に私は伺わなければならないと思うのです。どういう根拠でそういうものが必要なのか、増産して作られたものはどういう工合になるのか、その価格はどうなるのかというようなことを伺わなければならないと思いますが、その点は一つ土曜日に十分私どもが理解が行くような御説明を願いたいと思います。それから更に、今の官房長のお話を聞いていると、均衡ということは、結局二十七年度の増産所要見込を入れて大口に電力の枠を特別に賦課することが均衡を保持するような工合におつしやつておるのでありまして、この点ちよつと私の聞き違いかも知れませんが私の質問と少し違うようであります。ものの考え方が違うようでありまして、この点を一つ今日はまあ保留にいたしておきますから、土曜日に併せて御答弁を願いたい、こう思います。それからその次に、先ほどいろいろお述べになりました中で、金額が全部表示せられたのでありますが、この金額では恐らくこの委員会で強く要望したような中小企業対策というものが確立するのには不十分であろうということは想像がつくわけであります。そこで中小企業庁の長官に一つお尋ねしたいのでありますが、今述べられた内容を一応是認するとしまして、実際に今苦悶している中小企業を救いまするためには、理想的にはどの程度の金額が必要なのでありますか。これを一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/22
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023・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) お答えいたします。中小企業の現実に計画的に必要としておる資金量というものははつきりつかみにくいのであります。ただ折々調査いたしておりまするところの私どもの調査の資料から推測いたしまして、設備の改善と申しますか、その資金の需要は五、六十億に大体年推定なるようであります。これはただここに問題になりますのは、私どもの調査がサンプル調査を土台にして推定を加えておるというのでありまするから、現実の数字と違うと思うのでありますけれども、大体の目安という二とを申上げますと、そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/23
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024・栗山良夫
○栗山良夫君 只今のは設備資金の問題、近代化の問題になりましようが、そのほかに運転資金というものはどの程度に考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/24
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025・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 中小企業全体の所要いたしまする資金につきましては、これは又はつきり非常につかみにくいのでありますけれども、現在の資料等によつてすでに御承知だと思うのでありますが、金融機関から出ておりまする、いわゆる銀行系統から出ております資金量というものが、昨年の九月現在におきまして約貸出残三百万円以下の資本金の会社を中小企業と見まして三千六、七百出ておるわけであります。そのほかに商工中金の資金、或いは信用協同組合から出ております、或いは相互銀行から出ておる、こういうふうな状況に相成つておるのであります。そういうような事情でありますので、現実の相当多くのものの資金というものが市中金融機関によつて賄われておるのであります。更にこの上にどのくらいの金額量を附加すれば適当になるかということになりますと、遺憾ながらはつきり私ども承知いたしかねておるのであります。なぜかと申しますと、御承知の通りに全国的な精密な調査をまだやつておりませんということが一つと、中小企業金融の実態の一つは、問屋からの金融に依存しておる分が弱いながらもまだ若干あるそれから親戚知人から借りて廻しておる、こういう分野も御承知の通りにございますので、はつきりした全貌をつかむということが実はできかねておる、こういう状況であります。従いましてこの問におきまする中小企業金融を少しでも楽にして行くという意味において、私どもは先ほど大臣から御答弁申上げましたように、できるだけ可能な範囲においての財政的な資金を殖やして行くという方向に努力を続けて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/25
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026・栗山良夫
○栗山良夫君 只今の長官のお話によりますと、設備資金というのは五十乃至六十億というものは、これは大体先ほど大臣の述べられた見返資金或いは国民金融公庫の資金増加の計画等から考えますと、大してこの五十乃至六十億のあなたが理想的に必要とすると言われた金額と隔りがないように思いますが、これで十分行けるわけでございますか。これは月ですか、年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/26
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027・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 今私が推定設備改善費として申上げました五、六十億というのは年であります。先ほど大臣からお話申上げました中で、完全に設備の合理化資金になりますのはエイド・フアンドの二十億、それから商工中金の資金源の拡大として債券の資金運用部の資金による引受の分がございますが、一つの問題は、利付債券の引受一億五千万と申上げましたはずでありますが、長期になりますので合理化資金に廻るのであります。割引商工債券は先ほどお話申上げましたような線で昨年来検討を進めておるわけでございますが、これは主として短期資金に廻るとみたほうが私は適当かと考えておるのであります。これができますれば、現在の一億五千万円、協調分、市中応募のものを入れますと二億五千万円、四分六でありますから二億五千万円になるわけであります。これが只今、一昨日でありましたか、商工中金の貸出が短期の運転資金に偏しておるというお話がありましたが、そういう資金が長期に廻つて行くという傾向を馴致すると私は期待いたしておるのであります。それから本日、特にはつきり大臣からお話がありましたが、指定預金の問題でありますが、新らしく二十億を差当り追加しようというふうにお話申上げたわけでありますが、これはどちらかと言えば短期の形に廻ると見ていいのであります。一部は長期に廻りますが何しろ指定預金の期限というものが三月くらいが原則である、ということから見て短期に廻すというほうが適当かと考えておるのであります。そういうふうな事情を総合勘案いたしますと、現在の情勢は中小企業の合理化資金というものからいうとまだ十分でもないのでありまして十分ではないができるだけ私どもはその資金の増加を図つて参りたい、こういうふうな考え方でおるわけであります。数字の関係から申上げますと、以上申上げるようなふうに機動的に動くのではないか、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/27
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028・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと簡單に申しますと、見返資金の二十七年度の合理化資金としての予定が大体二十億、それから利付債券のものが市中応募のものを含めて二億五千万というのですから、これは年に約三十億、五十億になるわけですね。そうすると大体あなたのおつしやつた五十億、六十億というやつと合うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/28
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029・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) それはお答え申上げますが、いわゆる利付債券が一億五千万、月予定いたしております。この利付債券は期限が必ずしも同一でありませんので、その中の一部は短期にどうしても廻つて行くということになりますので、私が一応推定として申上げた設備改善資金としての現実の需要にはまだ不足だというのは、私は事実だというふうにまあ実は考えておるわけでございます。而もこの割引商工債券を資金運用部資金によつて引受けるという前提に立つて初めてその一億五千万のほうが長期に運用されて行くというようなことになるわけです。そういたしますれば少くとも希望が相当充足されるような傾向に動いて行くというふうに実は思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/29
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030・栗山良夫
○栗山良夫君 大体よくわかつて来ましたが、いわゆる設備改善資金が年五十乃至六十億円でまあ大体事足りる、こういうお話でありますが、そうしますと、只今の中小企業の占めておる日本産業構造の規模からいいまして、恐らく私はその事足りると言われた合理化の対象として考えられておりますのは、非常に幅といいますか対象を狭く考えておられるのじやないかと思いますが、そういう工合に理解して間違いないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/30
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031・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 中小企業というものの対象の取り方、先ほど五、六十億という推定を出しました対象は業種を或る程度選んでおります。この点は従いまして主要な中小企業の多い、而も工業部門についての業種を選んで、その中から一応サンプル調査から推計を下す、こういうような数字でありますので、対象は一般中小企業の全般から見ますと若干狭くなる、こういヂことはお話の通りと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/31
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032・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますとまあ結論から言いましてとにかくこの委員会でここ三、三日来問題になつたような意味の中小企業対策の資金としてはとにかく相当足りない、こういう工合に私どもは理解をいたしておきたい、こう思います。それでよろしいかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/32
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033・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 中小企業の合理化資金として先ほど申上げたような点で十分であるとは私は考えておりません。先ほど来申上げましたように、できるだけ借りやすい金を入れることによつて合理化を促進して参りたい、こういうふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/33
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034・栗山良夫
○栗山良夫君 それから、これは大臣にやはりお尋ねをしなければならん問題でありますが、販路の拡張並びに貿易の促進というようなことについての御答弁といたしましては、品評会、展示会を開いて云々ということをおつしやつた。これは成るほど販路拡張或いは貿易振興の一つの手段としましては成り立つと思いますが、私どもが問題を提起したのはそういうような意味ではなかつたわけであります。特に輸出の紹介、斡旋に努める、こういう工合に言われましたけれども、幾ら紹介斡旋をいたしましても相手があることでありまして、過日来ここで研究いたしました販路の問題、その他海外の貿易市場の問題等を考えてみまして、これだけでは私は市場が安定するとはどうしても考えられないわけで、従つてこの点はもう少し大臣から海外の市場の分析をせられた結果に基いて、そしてどういう工合に積極的な手を打つか、いわゆる内閣の政策としてどういう手を打つか、そういう点を一つ述べて頂きたい。まあ只今御説明を願つた程度の販路の拡張、貿易の振興であれば、これは通産省の一課長でも私はこれくらいのことは述べられると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/34
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035・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 今の栗山さんのお言葉は同感です。同感なんですが、中小企業の輸出向けの販路拡張は実際に非常にむずかしい問題でございまして、今通商監、関係局内でしきりに苦心検討をいたしておるのです。こういうふうにすればこのくらい販路が殖えて行くだろうということはちよつとまだお答えができません。各地の海外事務所にも始終連絡をとり、又新しくできまする南米その他の在外事務所には必ず中小関係の人を入れましてその販路の拡張に苦心をしております。
私からはそのくらいの、ことだけを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/35
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036・栗山良夫
○栗山良夫君 私がお尋ねしたいのは、今までやつていたのは非常につかえておりまするので、従つて新しい市場を開拓するという意味におきましては、よほどの努力をしなければならんと思うわけです。そこでアメリカはバトル法によりまして、いわゆるソ連経済圏へは特定の品物について輸出の禁止をする、そうして又いわゆるアメリカ陣営の国々に対してはその協力を要請しているわけでありますが、このバトル法の中にはつきりと明記されている製品以外のものは中共へもどんどんと、貿易の方法は、これは相手のあることでありますからこちらだけで参らんでありましようが、少くともそういう品物については、積極的に政府として輸出のできるように努力をせられる意思がありまするかどうか、これを伺いたいと思います。私最近中小企業の問題で業者のかたとも会つておりまするけれども、余りにも先行が不安であり見通しが立たない、市場が拘束されて来ておるというので、仮に例を挙げますれば、隣国である中共との貿易を何とかしなければ、日本の中小企業に生きる途はないということを極めて熱心に私どもも考えておりますが、業者自身もわかつて参りました。そうして一日も早くその実現の来らんことを要望いたしておるのでありまして、そういうような一般中小企業界にある空気というものを政府は早速取上げられて、そうしてこれに協力し、そういう手を打たれるのが通産省の私は大きな務めではないかと考えたわけであります。そういうような意味における方針が今日述べて頂いておりませんので、この点を一つ伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/36
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037・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 御尤もであります。ところでこのバトル法というやつはどうも非常に面倒で品目なども発表したものがある、発表しないものがあるというような何があるのですね。大体今の御趣意のバトル法の制限のないものをできるだけ私は中国でも、どこでも海外へ出すことに持つて行くべきだということは御回見であります。できるだけの措置をとりたいと思います。そして又だんだんこれは改善されるのでないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/37
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038・栗山良夫
○栗山良夫君 中小企業長官にお尋ねいたしますが、我が国の中小企業というものは恐らくバトル法の規定しておる品目に該当しないようなものがパーセンテージからいえば大きいのじやないか。輸出関係の総額からいいましたならば大きいのじやないか。こう考えるのでございますが、別にこのバトル法の拘束下にあつて、これの指定していないものを積極的に例えば中共などへ出すといたしますならば、大体どの程度の比率になるか、どういう工合にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/38
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039・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) お答えいたします。日本の中小企業、特に中小工業の製品で輸出に向くものを従来調査しておりましたが、大陸に向けておつた商品の量から考えまして、比較的日本人の生活用品と同じようなものがたくさん出ておつた、これは事実であります。従いましてバトル法適用の品目との対比をしますればそういう雑貨品というのが相当多いのではないかと想像いたすのであります。そこでこれらの商品を出して行く、いわゆる適用のない商品を大陸その他のものに出して行くとういことに努力すれば、どの程度の見込が立ち得るかということにつきましては、私ははつきりした見込は立ちかねておるのであります。なぜかと申しますと、今日そういうような例えば簡單に申しますと下駄であるとか或いは竹籠、そういうふうないろいろな物をたくさん大陸には以前出たのでありますが、当時の状況と今日の大陸における状況というものは若干変つて来ているのではないか。そこで需要の層が変つて来ておる、内容が変つて来てはせんかということを恐れておるのであります。
それからもう一つの問題は、そういうふうな家内工業的な製品の値段が必ずしも安くないのであります。値段の点に若干の問題がありはせんかというようなことを心配いたしておるわけであります。従いましてお話のようにできるだけそういう物が大陸その他に出て行くといたしましても、その数量を予測するということは、なかなか困難であると私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/39
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040・栗山良夫
○栗山良夫君 大陸の貿易が許されるとすれば、バトル法の禁止品目に該当しないものは、大陸の戦争後における需要傾向等を調査することによつて、恐らく私は中小企業者はそれにマツチし得るような製品をすぐに造り出す能力を私は持つておると思う。従つて大陸のほうの購買力なり或いは向うの希望というようなものがわからなければ、非常につかみにくい問題なのでありまして、長官もこういう質問には困られることはわかるわけでありますが、併し少くとも今申上げましたような点で、この大陸貿易を一日も早く促進しなければならないという結論には私はなるとこう思うわけです。まあ大臣からは先ほど貿易については国を問わないで、而も関係諸国との問の約束を乱さない範囲においては努力をするとこういうことをはつきり言われたわけであります。この点は吉田総理の本会議における御答弁は今までさようにはおつしやらなかつたわけでありまして、その点は問題がないのでありましようか。今高橋大臣から御答弁頂いた点はやはり経済安定本部等とも大体同じ意見でそういう工合におつしやつたとこう伺つてよろしいものでありますか、その点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/40
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041・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) その点は私通産大臣としての意見で、別にほかの閣僚と打合せておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/41
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042・栗山良夫
○栗山良夫君 それからこの設備近代化のために協同組合の共同施設に対して助成をして行くこういうお話がありましたが、これは大体昨年度と同じような額を見込んでおられるのでありますが、私は本当に中小企業のことを考えるならば、協同組合の組織化についてもう少し裏付のある対策を講じまして推進しますと同時に、共同施設に対する助成等ももつとこれは思切つてやるべきではないかと存じます。即ち中小企業庁から出されておりまする「中小企業の問題点」とかいう書籍がございますが、そこの中に中小企業対策の最も重点はこの協同組合を中心とする組織化の問題である、そして組織化の問題、であると同時にこういう組織された協同組合について共同施設等を相当活溌に国が指導し、援助をして完成しまして、そこにおいて初めて弱体な中小企業が大企業と対等の立場にあつてやつて行けるのである、こういうことを述べておられるわけです。従つてそういうふうに中小企業庁がお考えになつておるならば、この額は余りにも私は少いのじやないかとこう考えるわけです。この点につきまして又理想論を申上げて恐縮ですが、小笠長官は只今の協同組合の大体の組織の状況等かち勘案されて、これであなたがたがとつておられる基本方針に大体どの程度ほど遠いものであるか、又どの程度にしなければならんかということを伺いたいのであります。又大臣には中小企業庁が考えておるようなそういう考え方について更に大蔵省当局と折衝せられて、もつと大幅に中小企業が大企業と均等の立場で、これはなかなかむずかしいことでありますが、やり得るような、少くとももう一歩前進した積極的な政策をとられるような御意思がないだろうか。今お述べになつたような程度でまあ止むを得ないとこういう工合に考えておられるのか。この点を明らかにして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/42
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043・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 中小企業の組織化の現状は中小企業等協同組合法に基きます組合が約二万五千をちよつと上廻つておりますが大体大ざつぱに二万五千。このうちで企業組合が約七千、信用協同組合が約六百、こういうふうな分布の状況に相成つておるのであります。で協同組合の一つの目的は相寄つて設備なり生産なりを合理化して行くということにありますので、これをできるだけバツクアツプするという必要があることはお話の通りと実は考えております。そこでどれくらいあつたら適当か。こういうお尋ねのようでありますが、組合の組織の進捗状況と睨合してみなければわかりませんのでありまするが、過去の実情から申上げますと、一昨年二十五年におきまする、何と申しまするか、予算が三千万円、それに対しまして、要求がありましたのが約三億をちよつと切つたところであります。二十六年度の実績は予算が自転車を除く一般産業が一億九千万円、自転車関係産業が一千万円計二億という予算でありまして、これに対する補助金交付の要望のありました総額は約十一億でございます。そういうような事情でありまするが、然らばそれの差だけ増加すればいいかというとなかなかそうにも参りませんので、実は愼重にその計画の妥当性といいますか、適当であるかどうかというふうなことを考えてみますると、私は現在の組織化程度で考えますと四、五億程度あると相当程度の普及ができるではないかという希望を実は持つておる状況であるのであります。そういうような事情でありまして、この制度は比較的迂遠なようではありますが、実際大局的に考えますと、相当効果を挙げておりますので、できるだけ継続して国家財政の許す限りにおいて、これを拡げて行きたいというふうな希望でおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/43
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044・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) この金額は私も決して十分だとは思わないのです。二十七年度の予算としても、通産省の要求しました額はこれより遥かに多かつたのでありますが、財政需要の事情で漸くこの金額が認められたわけで、財政需要の事情からみますと私も止むを得んと思つて同意をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/44
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045・栗山良夫
○栗山良夫君 私は先ほど協同組合の組織を考えまする場合には、その裏付を同時に考えなければできないということを申上げたのであります。それはいくら協同組合を作りましても、共同施設というものを国に要請しても、なかなかその希望通りのものができないということになれば、一番協同組合の裏付をする中心点がぼやけまして、そうして組織が進まないということになる。従つて中小企業が安定しないということになるのであります。話を飛ばせばそういうことになる。従つて協同組合を作りさえすればすぐに共同施設が国の補助によつてできると、相当楽にできるというような現実が生まれて来ない限りはなかなか伸びないと思う。勿論国の大切な費用でありますから、無計画にどれもこれも全部全額の補助をするということは、これは許されないことでしよう。併しやはりそういうことを考える場合には一般金融機関が融資をする前提として、国からその施設に対して六割とか五割とかはとにかく気前よく出してやる、そういうような態勢ができなければ、恐らく今の組織化の問題は私は進まないだろうと考えます。企業組合の問題はちよつと別ですけれども、そう考える。そこでこの点は私は非常に困つている中小企業の立場からいつては甚だ不十分なものである。私も最近或る所へ参りまして、これを盛んに進めそうして実際に計算を立てて少し話をしてみますると到底出そうにない。これじやとても企業組合も伸びませんし、共同施設を行なつて生産の能率を上げ、又価格を下げるというようなことは期待簿になる。更に私は政府側に向つてこういう問題については相当まとまつた金を用意せられるように努力を願いたいと思う。来年度の予算を見ましても、随分まとまつた金で大ずかみに計上されている額がありました。僕は全くああいう金の相当部分がこういうところに割かれるならば、中小企業のいろいろな問題は一挙に解決してしまう。こういう工合に考えるので強く要望をいたしておきたいと思います。僕の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/45
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046・島清
○島清君 昨日の委員会におきまして、中川委員から質問に入る前に三点ばかり挙げられて、政府のこれに対する誠意のある御答弁を伺いたいという動議が出されまして、それで私もその動議に賛成をいたしまして、中川委員が指摘をされた中小企業に対する金融的処置をして頂くというような動議に対しまして、私はそれは只今私たちが審議をしておりまするところの法案というものは、各委員から指摘されております通り大企業偏重な法案であるから、我が国の産業の向上の上からも、中小企業に対してはそれに対する合理化を促進するための金融の別途の資金貸付の方途なりを考えて頂きたい、というような意味の内容的なことを附言をいたしまして賛成を申上げたのですが、只今大臣の御説明を承つておりますると、見返資金から二十六年度はおやり下さつたと、それから二十七年度もそれは計画しておる、それは私ども過去のことでありまして、そういうことは承知の上で更にこの合理化の法案の趣旨を中小企業の上にも及ぼして、日本の産業再建を促進して行くということを、別に二十七年度の予算の枠でお考え頂きたいというのではなくして、なるべくならば早いほうがよろしうございますけれども、そういう趣旨を中小企業の上にも政府が合理化の促進の資金等の別途の方途を講じてもらいたいということの意味を附け加えて賛成をしておきまして、本間次官は列席をして聞いて頂いておりますので大臣のお耳にも入つているかと思いますが、大臣から別にそういうような御答弁がなかつたようでございますけれどもこの点如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/46
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047・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) その点は私も承つたのですけれどもいろいろ昨日来協議をいたしましたのですが、何といいますか、合理化のための紐付き融資といいますか、そういう性質のものはなかなか困難な面がありますので、先刻御答弁をいたしました程度しかまだ御答弁ができない段階であるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/47
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048・島清
○島清君 困難であるということは私も承知をしておりまするので、二十七年度予算の編成を組変えてまでそういうふうに振向けて頂きたいというのではなく、少くとも政府の努力の目標をその辺に置かれてもよろしいのではないか、そういう意味で別途そういう努力の方向に熱意を示して頂きたい。こういう意味だつたのですが、それすら困難だとおつしやればこれは止むを得ないことですが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/48
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049・高橋龍太郎
○国務大臣(高橋龍太郎君) 努力はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/49
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050・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) お答えいたします。島さんのお話がありましたが本日大臣からお答えいたしましたのは、いろいろ現在協議の結果現段階において可能なものをはつきり実はお話申上げたわけであります。従いまして、それで十分でないことは先ほどお答え申上げました通りでありますが、引続いてお話の趣旨に則りまして額を殖やして行くという方向に努力をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/50
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051・島清
○島清君 言葉が足りませんので或いは説明が不十分かも知れませんのでございますが、私の申上げておりますのは、それは中小企業に対しまして販路の拡張をやらなければならないとか、或いは金融を講じてやらなければならないということとか、或いは租税方面に対しての政府はもつと温かい親心を示して頂かなければならんということは、絶えず私たちはこの法案とは別個に日本の産業再建の上から申上げておるわけでございまして、今申上げておりますのは、この法案の審議の過程におきまして、これと関連をいたしまして、こういつたような法案の趣旨を中小企業の上にももつと広く、深く、厚く影響力を及ぼしたい。そのためには併しながらこの法案を今更修正するとかいうことも困難な段階になりまするので、適当な時期において国家はそういう方面の端的に申しますと合理化の資金を貸付けてやるとかいうようなことを、政府として努力の目標に置いても然るべきじやないか、そうして頂きたいということを申上げたのであつて、今大臣から承りましたことは、それはもう今までにも数回に亘つて承つたわけでございまして、私の申上げているのは今申上げたような趣旨で申上げたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/51
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052・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 島さんのお話でございますが、中小企業の金融の問題は二通りあると思いますが、本来普通経営上に必要な資金と、中小企業の現状から見ましてどうしても中小企業それ自体が合理化する、もう少し科学的な経営体形に持つて行くということを推進する資金、お話の合理化資金だと思いますが、これの供給を強く推し進めて行くということが中小企業対策の基本になると思います。実際問題から見ますとそういう意味でありまして、見返資金は従来の制度でありますが、先ほどもちよつと申上げましたように、商工中金の債券発行の拡大によりまして、そういう長期の資金を賄つて商工中金の長期資金の貸付の割合を殖やして行くというふうな方向を考える、そのほかいろいろとあります。新らしい考えかたも考えられておるのでありますが、そういう点で努力して参りたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/52
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053・島清
○島清君 そうしますと、何でございますか、今の長官の御説明は、別に中小企業の合理化資金というような一つの枠を考えないで、非常にゆるく大まかに中小企業のほうに長期の貸付をやれば、必然にそれは合理化のほうにも廻るであろう、そういうような意味の金融の長期貸付といつたようなものを考えておるんだと、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/53
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054・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 言葉の問題でございまするが、中小企業の経営の実績から見ますると、一番困つているのは長期の安定した運転資金だと私は思うのであります。二月、三月で手形の書替に悩むというのが経営の現状だと思うのであります。そこで半年とか或いはそれ以上の期間の落着いた資金があると、販売計画にいたしましても、仕入計画にいたしましても、そこに非常な合理性が出て来るのではないかと考えておるのでございます。従いまして合理化資金というのを設備資金だけに考えずに、大企業の場合におきましては比較的設備が先ず前面に出るということが考えられるのでございますが、中小企業の経営の現状から考えますと、設備の合理化自体もやらなければならないと思いますが、経営のやりくり自体が安定して来るような形の資金供給ということが先ず第一にやらなければならん合理化の点ではないかというふうに実は私は一人で考えておるわけであります。従いまして私は合理化資金というものは、特に設備のみに限らず長期に経営のやり方自体を楽にできるというか、合理化できる線の金融を出して行くということが必要ではないか、実はそういうふうに考えております。それはなぜそう申上げますかというと、それは御承知かと思いますが、中小企業の見返資金本年度四十億であつたわけでありますが、これの消化のできないということは設備に限つておるということが主であります。初度運転資金すらそれから賄えないというところに一つの利用困難な原因があるのではないかというふうに実は考えておるのであります。そういうふうな事情から考えますと、中小企業に関する合理化資金というのは若干のゆとりを持たした資金のほうが効果が多いのではないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/54
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055・島清
○島清君 見返資金から合理化のために廻つて参りまする資金というものは非常に條件がうるさくて、それで消化ができてないのであつて、これを中小企業が必要としないから未消化になつておるわけではないのですね。議会でももう少し條件をよくしなさいということは絶えず言つていることで、これが消化されていないから中小企業のほうは合理化が促進できないのだという理由には、これはならんわけですね。そこで私の申上げておりましたのは、その合理化資金すら利用條件が余りにもむずかしくて十二分に使われていないから、もつと中小企業の諸君が軽い気持でこの合理化資金を仰げるような特別な枠を作つて、日本の産業再建上合理化を促進する方途に努力してもよくはないかということを申上げて、努力の御意思はありませんかどうかということをお聞きしただけなんです。ありますか、ないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/55
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056・小笠公韶
○政府委員(小笠公韶君) 私からいつも申上げております通り、私どもはそういう合理化資金を一億でも殖やして行きたい、できるだけ枠を殖やして行きたいという考え方で今まで参つておるのであります。従いまして、今後ともこれを諸般の事情の許す限りにおいてはつきりした目標額というものができることを希望いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/56
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057・島清
○島清君 もつと聞きたいけれども、それ以上はつきり又聞けば泥試合になりますからこれでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/57
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058・結城安次
○結城安次君 大分この問題も前日来論議され、殊に中小企業の救済問題は本日大臣からもお話があり、企業庁長官からは又非常な熱意を持つているというお話があつたので、私はこの問題は打ち切るべきものでない、この中小企業の救済問題はこの法案とは離して、一つ通産委員会は今後真劍に中小企業庁をバツク・アツプして多くの中小企業者を救済するようなことに行かなければいかん。殊に島さんのおつしやつた金の問題はこれは借りるのに非常に手続が面倒で閉口しているということも、勿論今後お話合の上に簡素化して頂きたいという希望を持つていますが、法案そのものに対する論議は相当に盡き、大体これはわかつたかと思うのですが、一つ委員長から皆様に若しここいらで打ち切つてもいいかどうかということをお諮り願いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/58
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059・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今の結城委員からの御動議に対して御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/59
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060・中川以良
○中川以良君 私は結城委員の動議に賛成をいたすものであります。ただ今結城委員からも申されたことく、通産大臣は一層一つ中小企業の振興政策につきまして一段の誠意を示して今後御努力を願いたいと思うのです。さように申しまする意味は、通産省はややともいたしますると、大蔵省に押されて中小企業庁があつても、ただ徒らに議論だけを弄んで実行ができないというような状態にあることを私ども非常に懸念をいたしておりまするためであります。この点は十分一つ今後一段の誠意を示して頂きたいと切望する次第であります。
それからもう一点、私はこの法案の討論に入るに当つてお願いを申上げたいことは、先日も申上げたのでありますが、電力の需給計画の問題でありますが、今日も栗山委員はこの点にお触れになりましたが、これに対して通産大臣はまだ決定をしてないようなお話であつたのであります。恐らくこれは決定をしないと存じまするが、併し新聞等にはもはや決定をしたごとくに出ておるし、各会社等に対しても交渉が行われておるようでございますが、これが土曜日に公益事業委員会並びに安本から話を承わることになつておりまするが、それまでに決定でもいたしますることになりますると、私どもがお尋ねをしようと思うことが何にもならんことになりますので、どうぞそれまでには決定をみないように、これは通産省からそういうお話をして頂くことはどうかと思いますが、安本、公益事業委員会へも一つこの本委員会の意思を明確にお伝え願いたい。委員長からもその点を一つ御通告を願いたいと思います。この点は各委員のかたも恐らくどなたも御賛成頂けるものと存じますが、一応各委員にお諮りを頂いてその点を正式に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/60
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061・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今の中川君の御発言に対して御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/61
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062・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めましてさよう取計らいます。
別に御発言はございませんか……。御発言もないようでございますから質疑は盡きたものと認めまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/62
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063・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/63
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064・古池信三
○古池信三君 私は自由党を代表いたしまして若干希望を付して本案に賛意を表します。本法律案は昨年本委員会に提案になりまして以来、相当長い期間に亘つて愼重審議がなされたのでありまして、その間極めて重要なる質疑応答或いは意見の開陳があつたことは申すまでもないのであります。さようなわけで、この法案についてはいろいろと意見もあり必ずしも完全無欠の案とは申し得ないかと思いますけれども、併しながらこの目的たる技術の向上、或いは設備の近代化によつて我が国の産業の合理化を促進しようという目的は、これは現代日本の客観情勢から申しまして最も急を要する重要なる問題であるということは疑う余地がございません。その意味から申しまして、かような目的を達する上において本法案の通過には全面的に我が党は賛成をいたしたいと思うのであります。ただこの法案は極めて條文も少いのでありまして、相当重要なる面において政令又は省令に讓つておる点が多々あると思います。従いまして、政府は今後政令を制定し或いは省令を制定される場合において、本委員会におきまして問題になりました諸点については十分にその意を酌んで、なお且つ実際執行に当つて業界の公正なる意見も十分取入れた上、通産省は他の関係各省とも連絡を密にされまして、この法の運用に当つては万全を期して頂きたいということを希望いたします。殊にこの審議の過程においても問題になりましたように、この法律の施行によりまして相当な減収があるということを大蔵省の政府委員からも申しておられます。無論さようなこともありましようし、財政上の理由ということもこれは考えないわけにはいかんのでありまするが、併しながら熱意を持つてこの設備の近代化を促進したいという事業につきましては、政府も又熱心にこれを助成され、でき得る限り事情の許す限り收入臓というようなことを成るべくそれを以て希望を抑制するというようなことなく、民間の業界の意向というものを十二分に暢達できるように御協力をお願いしたいということを申上げるのであります。
更に中小企業の対策の問題は、これは今まで縷々各委員から極めて詳細なる意見並びに希望の開陳がありましたから、ここに私は繰返すことは避けますが、先ほど通産大臣からも、或いは中小企業の設備の近代化であるとか、或いは税務関係の対策乃至は販路拡張等の問題について御対策の説明がありましたが、最も緊急を要する重要なる問題はやはり金融の問題であるかと思うのであります。どうかこれにつきましては、今後通産省としてはもつと積極的に熱意と誠意とを持つてこの処理に当られんことを私は強く要望したいと思うのであります。大体要綱だけを私は申述べまして詳しく述べることはこの際省略いたしますが、是非とも政府は一体となつて、この中小企業対策の問題については心から熱意と誠意、これを強く一つ押し出して考えて頂きたいということを要望いたしまして本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/64
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065・栗山良夫
○栗山良夫君 私は誠に残念でありますがこの法案には賛成をいたすわけに参らんのであります。それは産業の近代化に反対であるという意味ではありません。近代化には心から賛成をいたしたいと思います。昨年の春以来、私どもは産業の近代化を是非行わなければならんというので、さように問題の研究の時にも縷々述べて参りました。その当時通産省側の説明におきましても私どもと全く意見の一致をみた点でありまして、我が国の産業を興隆させましてそうして世界経済の中へ裸で飛び込んで行きまするためにはいろいろな内外の制約がありまするから、従つて産業を合理化いたしまして、アメリカの例えば高度の生産効率まで上げ得たといたしましても、なおそれでも日本の経済力は、産業は海外の各国の豊富な材料或いは安い材料等を以て生産を続けておりまするものとは競争に堪え得ない面が多々あるわけであります。そこで私どもは当時一番熱心に主張をいたしましたのはこういうことであつたと思うのであります。それは最も遅れた産業に対しまして積極的な合理化を行い近代化を行いまして、そして国全体の産業のレベルを上げて行く、こういう方針でなければならんということを力説して参つたのであります。又政府のほうもこの法律案の提案をした当初におきましては全く同意見であるのである、決して大企業を偏重しておるわけではない、中小企業も忘れてはいないというようなことを繰返し述べられたのでありますが、私どもはどうもその内容につきまして信を置きがたい点がありましたので、然るべき資料の提出等を願いまして調査を進めて参りますると、結局においてほうつておきましても自力で合理化を促進し得るような企業に対しましては、国が積極的な法律を以てしても育成をしようという考え方があるということが明らかになつたのであります。そうして中小企業に対しましては勿論でありまするが、更に大企業のうちにおきましても自力で以て改善をなし得ないような企業は、依然として非合理化のまま進まなければならないという状態でありますことが明らかになつたのであります。そこで結局最後には中小企業対策の問題だけは別に取出して措置をするのが妥当であるというような話が出て参りました事自体が、この合理化促進法案が非常に偏つた、昨日高瀬委員も言われました、あつてもなくても同じようなものである、毒にも薬にもならんというようなお話がありましたが、そういうようなことになつてしまつたわけであります。そこで私どもといたしましては、どうしても一貫して日本の全産業をくつわをそろえて合理化いたしまするためには、みずからの力において行い得ないもの、或いは極めて弱体でありまして適当な育成をしなければならないようなものに集中的に国が育成をすべきではなかろうかと考えるわけであります。更に法案の内容につきましても細かく申上げればきりがないことでありまするが、要するに非常に最初大きく上げられました看板がだんだん内容をつぶさに究めて参りますると、結局中小企業なり或いは大企業のうちにおきましても劣弱な内容を持つておりまするような企業につきましては、別途な措置を考えなければならないというような法律案になつておりますることについて、私どもは先ず不満を持たなければならないのであります。
それから第二に考えられますることは、この法律案が、通商産業省が当初に計画せられましたような構想は大体ゆがめられて参りましたのは、要するに財政の規模、国家財政の現状からいたしまして止むを得ないというので、一つの枠がはめられた点があるのでありますが、私はこれは本末顛倒でありまして、仮にこの法律案に精神を入れるならば中小企業の問題を別に抜出して解決するまでもなく、合理化だけにつきましては中小企業も十分にやつて行かれるように必要なものはどんどんなし得る処置にいたしまして、そうして大蔵省がそれを呑むというようなことにすべきではなかつたのではないか。この点は最初の構想と方向が変りました点でありまして、最近の行政のあり方を見ますると、すべての問題が国の財政金融政策に枠がはめられまして、そうして弾力性を失つておる事実を私どもは見逃すわけには参りません。通商産業行政も又然りであります。私はさようなことでは相成らん。産業政策というものはやはり財政金融政策と対等、或いはそれ以上の立場に立ちまして経営せられなければならないのではないかということを強く私は痛感をいたすわけであります。こういうような点が承服しがたい第二点であります。
それから更にこの法律案の中で試験研究等の助成に関する問題がございまするけれども、こういう問題に当りましても従来やつて参りましたことをただ法の体系を整えまするために一堂に集めたという域を出でないのであります。その予算措置等によつてもすでに明らかでありますが、こういうような試験研究等の費用は我が国におきましては各企業がみずからの力で似て相当な経費をさいてこれに充てるということもできない状態にあるわけでありますから、従つてそういうような熱意を持つておる業者に対しましては、又国のためになりまするような新しい構想を持つておる者に対しましては、これはもつと予算措置を高めましてそうして積極的な援助をすべきである。この点につきましても従来と何ら政善された跡を見ることができないのであります。そのほか中小企業診断の問題にしてもそうでございます。すべての問題に亘りまして従来行われて来たことが一つの法にまとめられたというに過ぎないように私は考えるのであります。このような点も将来仮にこの法律案が通過いたしましたといたしましても、その後においてその内容を運営の面において充実せられなければならんと思うわけであります。更に最も重要な問題でありますところの中小企業の近代化、合理化というものは、ドツジ氏が日本へ一番最初に参られまして日本の経済はとにかく貿易で生きて行かなければならんということを強く強調せられたのでありますが、こういう工合に企業を合理化して参りましても貿易では生きて行けないような現在の環境にあるわけであります。従いまして国内の購買力は依然として低迷をいたしております。海外の貿易の状況もよろしくないという現状でありますから、従つて今の日本の状態におきましては合理化をいたしましても日本の経済力の強化にはならないような面があるわけでありまして、政府はあらゆる努力を拂つて国民購買力の拡大強化の施策をいたしますと共に、海外に向いましては弾力性のある貿易政策を強力に進展いたしまして安定した市場を獲得し、そして中小企業を中心とした全体の安定政策を講じなければならんわけでありますが、本日伺いましたところによりましてもこの最も重要な点について政府の所信を私どもは拍手を以てお聞きするというわけには行かなかつたわけであります。その他述べますると数限りないのでございまするけれども、要するに今まで申上げましたような諸点が私どもの最も不満とするところでありまして更に金融問題、或いはその他電力の問題等も質疑応答の中でその欠くる点を指摘いたしました通りであります。以上のような理由を以ちまして私は社会党第四控室を代表いたしまして反対をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/65
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066・結城安次
○結城安次君 私は本法案に賛成いたします。極めて、ただ一、二の希望を申述べておきますが、法案そのものの価値ということは、昨日高瀬さんも御指摘の通り非常な効果あるとも思われませんが、併しないよりは優るということはたしかであります。ただ本法案の上程以来論議されました中小企業、この問題を今後真劍に取上げてもらいたいという各委員の希望は十分御尊重願いたい。大体国が頼まれて動き出すもの、又進んで手伝つて動かすもの、大きく分ければこの二つになると思いますが、この法案に盛られた大部分のものは頼まなくとも向うから動かされるというような立場の仕事が多いように思われます。進んでやる、手伝つてやる、指導してやるという方面に対して非常に欠けておるかのように思われる、或いは手薄のように思われますので、この点を是非今後通産委員会としても継続してこれを取上げる。先ほど中小企業中心というような栗山さんのお言葉もありましたが、大体理窟としては古池委員の言うことに殆んど重複するから申上げませんが賛成いたします。又栗山委員の御主張にも私は賛成いたします。併し栗山委員の御主張がこの法案を否認する理由には私はならんと思います。これは栗山委員の御主張は勿論これを尊重して十分に希望を到達するように通産省初め我々は中小企業に対しては努力せねばならんと思つております。いろいろ問題はたくさんあるようでありまするが、殆んど栗山委員と古池委員の賛成、反対の言葉で盛り盡されておりますので、重複を避けて私はこれ以上申しません。ただ今後常に何としても、つまり中小企業をよくして、中小企業中心とは私申しません、日本の産業中心、その中に大企業のほうが何か少し勝つておるような気がする。中心になりがちのような気がしますので、今後は大企業中心にあらず、中企業中心にあらず、小企業中心にあらず、日本の産業は大小すべてが一体となつて躍進するというような方針に進むということをこの法案実行に際しては特に御留意願つて本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/66
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067・島清
○島清君 私は社会党の第二控室を代表いたしましてこの法案に五分五厘の賛成、四分五厘の反対の意思で止むを得ず賛成の意を表したいと思います。先ず現段階におきまして日本が海外市場におきまして先進諸国と自由なる競争をするためには企業の近代化を図らなければならないというところに着眼をされまして、そしてこの法案を発議されました中村さんほか衆議院の諸君に対しまして敬意を表するにやぶさかではないのであります。併しながら昨日の委員会におきまして高瀬さんから御指摘がございました通り、本法案はややもいたしますると羊頭を掲げて狗肉を売るというようなそしりを受ける危険性も又十分に含んでおるのでございます。この点につきましては同じく中村さんと党を共にされておられまする古池委員が苦しいながらも賛成をされておつたところに十二分に物語られておると思うのでございまして、従いまして私の四分五厘の反対というところもその辺にあると思うのでございまするが、昨日私たち委員会が中小企業に対してもつと政府はそういう意味の企業合理化の促進を温かい親心を以つて熱意を示さなければならないという意思表示をいたしましたが、大臣に私は今日も質疑をいたしたのでございまするが、財政の困難でその努力の目標すら今日はないというようなことをおつしやいましたので、この点も私の四分五厘の中に入りまする賛成しがたい理由の一つでございます。いろいろ賛成、反対ということは、反対の栗山委員の意思表示、賛成は結城委員、古池委員のかたから述べられておりまするので、この併せ兼ねそえまして功罪は共に私は発議者のほうで責任を負うという法の運営に当りましては強い決意を監視を怠らないという努力が必要であると思うのであります。古池委員の杞憂されておる面を少くいたしまして、そうして法の運営に誤りがなければこれは日本の産業再建の上に非常に役立ちましようが、併し栗山委員が指摘をされておりまする通りのような状態になりますると、納税者の金から放つておいても合理化を促進するかたがたに免税の措置まで講じてやつたのだというような印象を国民に深く與えますと、国民の納税思想の上にも非常に惡影響を及ぼすのではないか、こう思うのであります。従いましてこの法を国民が共に納得し、企業の合理化を促進し、法案の趣旨を十二分に発揮させるためには、今後の法の運営と更に発議者が法律通過後も功罪ともに責任を負うという熱意を以て監視をするところにあると思うのであります。私はそういう意味におきまして澁々ながら賛意の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/67
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068・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 他に御意見もないようでございますから討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/68
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069・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。企業合理化促進法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/69
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070・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 多数と認めます。よつて本法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御了承を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/70
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071・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二條によつて委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とせられましたかたは順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
古池 信三 中川 以良
結城 安次 小林 英三
松本 昇 山川 良一
島 清発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/71
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072・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御署名洩れはございませんか……。御署名洩れはないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/72
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073・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 次に中川君より都合により理事を辞任したいという申出がありましたのでこれを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/73
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074・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。ついては理事が一名欠員になりましたから、この補欠につきまして互選の方法は成規の手続を省略して委員長から直ちに指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/74
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075・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それでは理事に小林英三君を御指名申上げます。
本日はこれを以て散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/75
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076・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして散会いたします。
午後四時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X01719520306/76
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