1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月十三日(金曜日)
午前十時三十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 竹中 七郎君
理事
小林 英三君
松本 昇君
結城 安次君
栗山 良夫君
委員
中川 以良君
山本 米治君
清澤 俊英君
小松 正雄君
島 清君
境野 清雄君
西田 隆男君
委員外議員 清澤 俊英君
政府委員
通商産業省機械
局長 佐枝 新一君
通商産業省通商
機械局車両部長 吉岡千代三君
通商産業省炭政
局長 中島 征帆君
通商産業省開発
鉱害部鉱害第一
課長兼第二課長 大山 隆君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した事件
○自転車競技法の一部を改正する法律
案(境野清雄君外五十七名発議)
○臨時石炭鉱害復旧法案(内閣提出、
衆議院送付)
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001・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 只今から通産委員会を開催いたします。
自転車競技法等の一部を改正する法律案を議題に供します。別に御発言もございませんようですから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/1
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002・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/2
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003・栗山良夫
○栗山良夫君 日本社会党第四控室を代表いたしまして本法律案に賛成をいたします。我が党はそもそもこの自転車競輪につきましては反対の立場を堅持しておるものであります。そういう立場を堅持しながらこの改正案に賛成をいたしましたゆえんのものは、現行の法律がその運営の面におきまして幾多の不偏欠陥を有しており、そのために元来健全なスポーツとして国民の娯楽としての任務を果すべきものが、ややもいたしまするとその目的と背反するような行為が現われておりまして、このままにいたしておきましては所期の目的、一番初めに法律を考えられました目的にも副わない現況にありまするので、従つてこの現況を改正するという意味において賛成をいたすわけでありますが、特に私どもが関心を持つておりますのは、今後自転車競技場の新設等は、私は厳正な態度を持ちまして認めないというような強い方針をとつて行きたいと思うのであります。又今後におきまして若し好ましくないような事態が生じました場合においては、そういう当該競輪場については施行の停止、或いは場合によりましては閉鎖等も強行いたしまして、そして飽くまでも競輪が国民の健全なスポーツ化したところの娯楽機関となり、併せて自転車の振興に尽して行くというような、本来の目的を堅持して行くようにいたしたいと思うのであります。
次に第二点といたしましては、こういう工合にして競輪場の数に対して相当強い態度を持つて臨んで参るということになりますると、いろいろ各地方自治団体等におきましては、競輪を行いましてその財源の補てんをいたしたいと考えておるのが目的を達しないようなことにもなろうかと思うのであります。従つてこの点は通産省当局におきまして運営よろしきを得られ、そして競輪場を所有しないところの地方自治団体に対しましても、是非とも施行者としてこの自治団体の財政補てんに寄与でき得るような途、いわゆる競輪場開催のプール制の道を開いて参りたいと、こういう工合に考えるわけであります。
それから第三点としましては、ここで小委員会等を通じて明らかにせられた通りに、今日の状態において監督官庁である通産省或いは施行者、自転車振興会、更に選手会等の内部の或いは相互間におきまして幾多改善をしなければならん事実があるのであります。これは細かく具体的にここで私は申上げませんけれども、委員会において厳重に発表せられました、そういうような矯正すべき事実をはつきりと確認をせられまして、そうして強く行政指導の監督権を持つことになりますが、通産省は従来の態度を改めてそして本来の目的に副うような抜本的な施策を行われたい、こう考えるわけであります。特に最近関西等におきましては、いわゆる「のみや」等が行いまする非常にひんしゆくすべき行為も世論の批判を受けておるわけでありますから、この法律案は附則において公布の日から起算して六ヵ月をこえない期間において政令で定めるとなつておりますが、そういう悠長なことでなく一刻も早く施行してそして国民の要望に応えられたいということを私は強く要請をいたす次第であります。大体以上を持ちまして賛成の言葉に替える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/3
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004・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/4
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005・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/5
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006・島清
○島清君 私は日本社会党の第二控室を代表いたしまして、本改正法案に必ずしも反対するものではございません。賛成するについては相当ここで明確に希望を附して後ほど本会議でもよし又採決の終つた後でもよろしいが、通産省当局の意見などをも幸い御開陳願えれば仕合せだと思いますが、必ずしも併しこれが私の条件ではございません。
私は本法案の討論に入る前に久しきに亙りまして、競輪に関する小委員会を開いて参り、そしてその小委員会において、小委員会の結末といいまするか結論らしいものが出ずして、そうして本法案が有志議員の共同提案を見るに至りましたことについて、将来委員会の運営等について、きつく反省をしなければならないものがあるのではないかと思います。私も小委員会の一員といたしまして、特に選手問題は中心になつて議論をして参りました関係もあるのでございまするが、昨日の委員会においても少し触れておきましたが、昨日の委員会に出て初めて今度の法案を拝見し、そして昨日で質疑を打切り、今日で討論採決たというようなことについては、今後委員会の運営等について只今申上げたように、きつく反省をしなければならんのではないかと思います。併しそういうことについて私は誰を責めるわけではないのでございまして、私も委員会の一員といたしまして、当然反省の一半を負うということについてはやぶさかではありません。
本法案のねらいは通産省の監督権を拡充して行くというところに、全部ではございませんが最大の条件があるのであります。併し競輪に対する批判が非常に強い、とりわけ振興会のほうに批判が集中されておるのでありまするが、若し振興会のほうについて世間が言つておるような批判が誤りがないといたしまするならば、この責任は当然に通産省も分担をしなければならん立場にあると私は思う。若しこの法案実施に当つて、従来の通産省当局の競輪に対する取締の態度等において何ら変るものがないといたしまするならば、私は通産省にこれ以上の責任を負つてもらつて競輪を見てもらうということについて、いささかの不安を感ずるものであります。その例を本日の質問の中に私は秘密会を要求をいたしまして質してみたいと思う点もあつたのでありまするが、その機会が得られなかつた。
従いまして先ず真先に本法案が通過成立実施いたしまする場合に、きつく要請をしておきたい点は、業者は業者、監督官庁は監督官庁であるというところの新憲法に則つた公僕精神に基いて、競輪行政に心して世間から批判なり指弾を受けないように当らなければならないということであります。
更にもう一点現行法は第四条において競走場の数について或る程度の制限をしておるのであります。ところが新改正法案にはそういうものをも除いておる。審議会の活用によつていろいろと起るであろうと予測される弊害であるとか障害をこれによつて調節して行こうと、こういうねらいは誤つてないと思いまするが、併し新法案が通過成立をいたしますると、待つていましたとばかりに、新競走場が、委員会の責任の名において直ちに許可認可されるというような危惧を世の人々に与えてもおりまするし、又そういう取扱をすればできるような仕組にも相成つておるのであります。現内閣においても競輪場はふやして行かないということを昨日の委員会においても、本間政務次官は明らかに明言をされておる。競輪場が設置されまするたびごとに、或いは教育者の立場にある人、或いは家庭の主婦等からかんばしくないものとしていつも反対の意思表示がなされ、大きなその土地の政治問題、社会問題にまで発展をしておる傾向があつたのであります。過去の競輪場の設置をめぐりまする問題を省みましてもかようなことが回想されまするので、新法案に何か直ちに競輪場が一躍かえるのではないかというような世間の疑惑に対しましては、通産省当局においてどうかこの疑惑が杞憂であつたというような法律の実施面に当つては強く心してもらわなければならないと思うのであります。
以上強い要求を附しまして、私は賛意を表するにやぶさかではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/6
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007・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。
それではこれより採決に入ります。境野清雄君ほか五十七名発議、自転車競技法等の一部を改正する法律案について採決をいたします。本法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/7
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008・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 全会一致と認めます。
よつて本案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容等爾後の手続は慣例によりまして、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/8
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009・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。
次に本案を可とせられましたかたは例により順次御署名を願います。
多数意見者署名
栗山 良夫 小林 英三
中川 以良 山本 米治
松本 昇 小松 正雄
島 清 結城 安次
清澤 俊英 境野 清雄
西田 隆男発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/9
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010・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御署名漏れはございませんか……。ないと認めます。
それではこれにて休憩いたします。午後は一時から再開いたします。
午前十一時三分休憩
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午後二時八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/10
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011・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 休憩前に引続きまして、通商産業委員会を再開いたします。自転車競技法等の一部を改正する法律案の本日の本会議上程の件は、緑風会の内部事情から議運で一応予定されたところが変更されたのであります。従いまして次回の本会議月曜日に上程されるだろうと存じますので御報告いたしておきます。
只今から臨時石炭鉱害復旧法案を議題といたします。かねて委員長に御一任を願つてありました本法案に対する来る十六日の公聴会の公述人選定についてでありますが、次のごとく内定いたしましたから御承認頂きたいと存じます。読み上げます。
福岡県知事杉本勝次君山口県小野田市長姫井伊介君福岡県鉱害対策組合連合会副会長粟田数雄君福岡県鉱山関係市町村連盟副会長春孝一君日本石炭協会副会長万仲余所治君日本石炭鉱業連合会常任理事国崎真推君東京大学教授青山秀三郎君東京大学教授我妻栄君
右八名でございます。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/11
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012・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。
次に本案の質疑に移りたいと思います。委員外議員といたしまして清澤俊英君に質問をお許しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/12
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013・清澤俊英
○委員外議員(清澤俊英君) ちよつとお伺いしますが、この臨時石炭鉱害復旧法案が出ますまでには一つの経過があると考えますので、従つてその経過は議事録によつて勉強いたしますれば明確であると思いますが、その勉強もまだ済んでおりませんので、一応その経過を大体こうではないかというふうに私の考えておりますことを申上げて、それを前提として御質問の一二点をしたいと、こう思つております。
本案が出ますまでには、先ず鉱業法の審議に当りまして福岡県の鉱害が非常に重大化している。結局申上げまするならば到底鉱業法に規定せられる補償条件であつては福岡県その他の石炭鉱害に対しては完全な補償が成立たない、こういうような意味合から何らかの処置をとれということが附帯条件として取扱われて、それを基本にして特別鉱害復旧法案なるものが出て参つたのではないか、こう考えておるのでありまして、この特別鉱害からのことはしばしばお伺いしてわかつていますのですが、従つてそのときの本委員会の決議は決議書にもあります通り、この復旧に対して徹底的に考えろ、こういう附帯条件をつけて、それがもとになつて審議会を設けて本案が出ておると、こう考えるのでありますが、この只今提出せられておりますところの臨時石炭鉱害復旧法案なるものを一応拝見して参りますと、最初に考えますることは、この決議の中心でありますところのこれは重大な、被害者並びに加害者と申しますか賠償義務者におきましても到底それらの負担が、鉱業法に規定せられる限度内の賠償額では完全な復旧ができないのであるから、それをなおすという線においては非常に古い点がある。こういうことが考えられますが、そういう非常にあいまいな、而も法案の全精神を貫いておりますることは、大体において賠償義務者を中心にした局部的な復旧法を考えておられるように考えておりますが、その間の政府がとりました考え方の中心を先ずお伺いしたいと、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/13
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014・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 前の前提は大体お話の通りでありますが、一つだけ順序が違つております点は特別鉱害復旧法が一番最初にできましてその次に鉱業法の改正が問題になりました。附帯決議はそのときにできたわけであります。特別鉱害の法律ができましたときには一般鉱害はそのときは余り問題になりませんでしたが、特にこの鉱業法の改正のときに只今のような附帯決議がつけられたのであります。
今度の法律の内容につきましては只今御意見がございましたが、鉱害の対象となつておるものを大きく農地関係と公共施設と家屋補助、この三つに分けますと、農地に関しましては鉱業法上支払つております賠償金を資本管理いたしまして、これを徴収いたしましてそれに復旧に対しまして不足する部分だけを国庫から加えましてそれで復旧する、こういう建前をとつております。従つて鉱業権者の負担だけでなくてこれに国庫の補助が入つて復旧するということになつておりますので、国がこれには相当力を入れているという恰好になつております。
それから公共施設に関しましては、これも一般の公共事業の補助の制度によりまして一応国が補助金を出しますが、公共施設に関する鉱業権者の責任というものは、復旧費全額がそれに当るべきものだ、こういう観点からいたしまして、国から出した補助金につきましてはあとでこれを徴収する。従つて結果的には全額を負担する、こういうことになつております。
それから家屋、墓地等に関しましては、これの補助金は全然考えられておりません。その意味におきましては大体の鉱業法の原則にゆだねてしまつたということになるわけでありますが、その理由は家屋、墓地等に関しましては特別鉱害の場合におきましてもこれに対して国から補助金が出ていないのであります。公共的な性質を持つているものについてのみ特別鉱害でも補助金を考える。又今度の場合も特別鉱害に比べまして、一般鉱害というのは一層国の責任が薄いという関係から、それ以上に補助を出すということは特別鉱害との振合からいつても困難だというので、家屋等に対しましては国の補助は期待できなかつた。でただ特別鉱害の場合と違いますのは、各鉱業権者から徴収いたしました納付金を全部プールいたしまして特別会計でこれを出資するわけであります。従つてここの加害者というものは、自分の関係いたしております鉱害の復旧費というものと、それから自分が負担する特別鉱害の納付金というものは全然直接関係がないわけであります。従つて鉱害復旧費以上の負担金になるものもあれば、それ以下になることもあるということで、その辺が間接になつておりますが、従つて全体の補助金とプールした考え方をとれば、家屋にも或る程度の補助金が間接につけられるという見方もされないわけではないのであります。その点が特別鉱害と、今度の一般鉱害に対する法律案とは違つているわけでありまして、建前といたしましては、特別鉱害同様国の補助を出さない、こういうわけであります。但し鉱業法の原則にゆだねたままでは、これは国会の決議案の趣旨に反しまするし、又今度の臨時立法する目的からいいましても不備でありますので、とこに考えられておりますのは、そういう場合に対しましては復旧に関する協議を鉱業権者と被害者がやることができる。協議が整わない場合におきましては通商産業局長が裁定をすると、こういう線を一つ開いております。これは従来であればもう争いがある場合には結局裁判に訴えるより仕方がなかつたわけでありますが、その点につきまして、政府の比較的実情に明るい通商産業局長が手近で裁定をしてくれるということが、復旧の問題を割合に早く片附け得るのじやないかと、こういう見地からそういうふうな制度をとつたわけであります。この意味におきまして特別鉱害と比べては若干弱い点がございますけれども、鉱業権者自体の責任ということを考える場合におきましては、やはり本来自分の行為によつて起きた鉱害でありますから、自己の責任において復旧するのが本則であるという建前をとりまして、これに余り多くの補助金をつけるということをしなかつたわけであります。各国の例を求めましても、鉱業権者はすべて全部を自己の責任において復旧なり賠償なりをいたしておりまして、国から補助金を出しているという例はどこにもないのであります。それに対しましては特別鉱害の場合におきましても今度の場合におきましても、日本ではむしろ例外的に特別の理由をここにつけまして補助金を出すということにいたしている点でありまして、これはやはりそういう意味から申しましても臨時に国が相当な手をかして復旧を促進しようと、こういう趣旨に出ているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/14
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015・清澤俊英
○委員外議員(清澤俊英君) ちよつとお伺いの仕方が悪るかつたか知れませんが、とにかくこの前の決議から見ましても到底、前の委員会におきましては、鉱業法を通しますとき、石炭鉱害の集積したる鉱害を直すには、先進国の例がありましても恐らくその負担においては法案の目的の趣旨を徹底することができないと思うから、従つて国の思い切つた政策によつて、そうして財政資金の投資によつて復旧すべきものであるということが言われたのでありますが、只今の御答弁をお伺いしますと、そういうことが言われているから、大体の基本は鉱業法に規定せられたる賠償区分を中心にして復旧の基本にするが、但し少しばかり足らないものは国が補助してやつて行く、直すという考え方でこの法案が出たと、こういうことに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/15
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016・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 鉱業法の原則に基きますと、鉱業権者は金銭賠償を原則といたしておりまするので、例えば農地に対しましては年々その減収額を補償すればすでにそれによつて鉱業権者の責任は免れると、こういうことになつているわけであります。従つてこの法案で狙つておりますような復旧の義務というようなことはないのでありますけれども、それをこの際金銭賠償の金額の限度を徴収いたしまして、それに国費を加えて復旧するということがはつきりここでねらわれておりまして、従つてその点に関しましてはこの法律がなければ恐らく復旧されない。農地その他のものが着々復旧されるということにつきましては、相当な実績を上げると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/16
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017・清澤俊英
○委員外議員(清澤俊英君) やはり私のお尋ねしていることは、鉱業法の範囲内を中心にして僅かのものを足らん部分を国が出してやつてそれで復旧するんだと、これが本則だと、こういうことに私は解釈しておきますが、それで差支えございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/17
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018・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/18
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019・清澤俊英
○委員外議員(清澤俊英君) 私は先般本委員会の決議に従いまして現地をしたしく見せて頂きました。その結論から簡単に申上げまするならば、只今のようなお考えでは民生の安定並びに土地の利用の増進、国土の保全というような三大目的は到底でき得ないのじやないかと、こういうようなことを考えるのでありますが、その点はどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/19
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020・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) この法律を施行いたしまして、復旧できないものというのは、どういうものかと考えますと、第一には未だ鉱害が進行中であつて、安定していない、こういう物件に対しましては折角復旧工事をいたしましても、更に又鉱害が生ずるというので、これが応急工事をするか或いは安定するまで延ばすかということをせざるを得ないのであります。これはどちらにいたしましても、復旧するに適しないものと思います。それから鉱害は安定しているけれども、地形その他の関係からして復旧するには非常に多額の経費が要る。その場合には復旧いたしましても復旧された物件の価値というものが、復旧工事に投ぜられました費用と比べましてそれほど多くないという場合には、その経済性から申しましても復旧に適しないと申さざるを得ないのであります。現在執行いたしておりまして、特別鉱害の場合におきましても反当りの工事費の限度をきめまして、それ以上かかるものにつきましては復旧いたしておりません。そういうものは復旧されずに残るわけでありますけれども、そうでない復旧に適しているものにつきましては国費と鉱業権者からの負担金と合せまして復旧は計画的に進行して行くと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/20
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021・清澤俊英
○委員外議員(清澤俊英君) それはまあ見解の相違でありますが、大体この鉱業法が通りますとき、恐らくここで決議を出されたことは、鉱業法に縛られた賠償との問題を乗り越えてこの鉱害を直すと、こういう決議であつたと思うのです。ところがどこまでも鉱業法に規定せられた賠償を基本にしてやつておられる関係上、まあ陥没地帯それ自身を埋めるなら埋めると、こういうことによつて耕地が回復すると、こういうふうな考え方などが大体とられたようでありますが、一応我々が見ますると、土地全体が下つている。土地全体が下つたのでありまするからあの広漠たる土地における水を先ずどうするかということが先決的に総合的に大がかりで考えられなければならんと思う。その次に考えられますことが、土地をどう埋めるかというような、本当にやりますならばもつと大がかりの国が本気に荒地開墾をするくらいの計画がどこかに見受けられなければならんと思うのです。そういうようなことがやられませんことは、結局さつき私が確認しました通り、この法案自身を出しますときに鉱業法で縛られて、そうしてせばめられたその賠償の範囲内において足らん部分を少し出してやると、そうして目に見えた所を何とかして直す、こういうことがとられてれると、こう考えますので、従つてそのやり方は私は間違つているのではないかと、間違いのやり方ではないか。現実の状態から言いましても本当にあれほどまでに集積した鉱害を直すには不適当なやり方じやないか。こう考えているのでありまして、或いは先進国の加害者の責任においてやるというようなことを例にとられますが、それは同じ石炭事業としましても、数百年の歴史を持つ炭鉱地帯と、日本のように明治維新以来僅かの期間に長足の進歩というよりは、むしろ或る意味合においては無秩序な経済進展とでも申しましようか、ごく短期にやつて来ている。従つて或るものが先進国のような準備が進まないうちに而も先進産業でありますところの石炭のごときは、現実の経済情勢に追われてそうして非常に無理な掘り方をしたり、これを監督する者も掘る者のほうも多く経験を持たない。従つて他企業に及ぼす影響等も考えないでやつているものが集積して、今ここに被害者百三十万と言われる広漠たる面積が殆んど荒地と化して、こういうときにそれを直すにこの法律案で、あなたがた自身が、完全な回復ができるとこうお考えになつているかどうかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/21
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022・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 御質問の趣旨を十分把握しておらないかも存じませんが、お話の初めにありましたような水の問題、或いは国土計画全般との関連の問題、こういうものにつきましては、勿論当然復旧をやる場合には考慮に入れるわけであります。水に関しましては、例えば部分的なものであればこれは水道等を新らしく作りまして水を供給するとか、その水の多い土地に対しましては排水施設を設けるとかということで以て片附けられ得ると思いますが、国土計画全般の問題になりますと、これこそ先ほど申上げました土地の復旧費というものとその経済効果というものの兼合いの問題になるわけでありますけれども、その際考慮するのは、新らしく土地を開拓してそこで新らしい耕地を造成するというような経費というものと、それから鉱害地を復旧するに要する経費というものと、どちらが経済的であるかということを考慮いたしまして、むしろ復旧費が余りに多額にすぎて、而もむしろ新らしい耕土を他に求めるほうが容易であるという場合には新地を開拓すると、こういうことになるわけでありまして、やはり全体的な国土計画乃至は農地造成という見地からやはりその一環としてのるものをこの鉱害復旧の対象として上げるわけであります。
お話の御趣旨は恐らくもう少し大がかりな、一層計画的な構想を持つて行かなければ十分じやないんじやないかというような御意見かとも思いますが、これは勿論そういうふうな趣旨で一層総合的な機関を持つて復旧するということにすれば一層効果があることは間違いないと思いますけれども、現在の段階におきましては、できる範囲ということになりますと、やはりこの程度のもので差当り鉱害のひどい所から部分的に片附けて行くということ以外にはどうも方法がないじやないかということで、こういうようなことにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/22
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023・清澤俊英
○委員外議員(清澤俊英君) 現在の段階ではそれより方法はないということと、又この復興の基本が、新たな場所を開墾して行くのとこれを復興することを金銭的に対照して考えておられますが、金銭的に対照して考えられますと御承知の通り、福岡県におきまするこの鉱害地帯の農家の所有する耕地面積というものは非常に減つているのでありまして、従つて殆んどまあ村の半分以上も減つているという所がたくさん出ているのでありまして、従つてそういう面で整理するということになりますれば荒地開墾してその郷土を捨ててどこかへ行つて、このたくさんの人が当り前の営農をする適当の場所が現実においてそうたくさんあるだろうかないだろうかと、そういうことがまず第一考えられますし、同時に今までやつておりましたものを捨て他に移転するとしますならば、これは誰が責任になるか知りませんけれども、とにかくそういう状態に押込められたものが順次どこかに見つけて行かなければならんとすれば、それらの経費を考える、こういうことを考えましたならばもつと考え方は違うのじやないか。これはあなたにだけこういう御質問をすることは無理だと思いますので、従つて農林大臣からでも出てもらつてよくその点はお伺いしたいとこう思いますが、そういう点から考えると、もつと国のほうの金の出し方が考え方によつて内輪にもなるのじやないか。こう思いますので、ただそこに土地だけを開墾するが得か、直したが得かというやり方の考え方で事は済まない、こう思います。今日大学で調べました鉱害地の後の村落の情勢等を調べますならば、完全に農村という形をはや破壊しつくされてしまつている。而も今のやり方でボタを埋めて、その上に二尺かそこらの盛土を、附近にあります山から取つて来て盛土をした、その耕土のごときは一つは強酸性であり粘土性であり、或いは海底の砂で埋める。先般もその土塊を持つて農林省の媒土の係の西ヵ原試験場へ行きましていろいろ意見を聞きますれば、一方は強酸性の土を持つている、一方は強粘土性の土を持つている。強酸性の粘土には石灰を入れて中和する方法がある、その中和をするために石灰を入れると片方の粘土性のほうにはその石灰が粘土性と合流しまして非常にコンクリート化している。これではとても維持できない。人間の体で言うならば賢臓と肝臓と一緒に病気になつた、肝臓の薬は賢臓に悪い、賢臓の薬を呑めば肝臓が悪くなるというがごとき、最も不適当な耕土を以てこの工事が進めらつれている。その上になお且つそれでも我慢して多くの農民は土地の殖えることを好んでいるということは、如何にその地方が耕地が少くなつているか、どの村を調べてみましても六割、七割耕地がなくなつている。完全の耕地などは三割くらいしかない。こういうような状態に追込まれている、この際でありますから、私は今言われたようなことばかりでなしに、もつと合法的といいますか大きな考え方でこの法案を考え直される余地は十分あると思うんです、この法案をあなたが方が将来において考え直される余地は私は十分ありとこう思う、まずそこから出発して行かなければ、現に今衆議院で問題になつております両者の紛争、加害者と被害者との紛争等は到底私は片附けられるものじやない。従つてその結果如何というものは一応法律とそのときの政治的な力の均衡によりまして、こういうのがどちらにきまつてみましても、これは非常に深酷な問題が将来残る重要な私は法案だと、こう考えますので、従つてあなたにそういうことをお伺いすることは或いは無理かも知れませんが、この法案を一応これで通すが、併しながらその後でも現在のあなた方の考え方でももつとそういう集積したものの発展のためにいろいろの無理を重ねて来た場所に、非常に大きなそこに障碍が起きてそうして百数十万のそこの住民が、殊にその中に先祖伝来の耕地を持つて生活した農民が現に耕地を失つて先祖伝来の家を離れているというこの実情を何とかする、こういうお考えが幾分かあるのかないのか。私はそれをまず先にお伺いしなければ、この問題の一応の解決をして行く上の基本的な自分の態度をきめるのに困るのでありまして、どうしてもこれだけで行つてこれ以上は我々は考えないのだ、こうなりますればこの法案の不備な点に対しましては徹底的な考えを持たなければなりません。一応まあ折角の案でもあるしいろいろの情勢もあるからこのくらいにしておいても、我々はもつと進んだ考えで、できるならば国がもつと思い切つた金をかけて、そうして両方の利益というものを睨み合わせてもつとかけて、もつとやりたいのだ、こういう意思が表明せられますならばあと審議する上に我々の態度は又別なものが出て来る。そうじやないのだ、これでどうしても行くのだ、鉱業法の範囲内で行くのだ、こういう話になれば後の審議に又かような考えかたで審議して考えかたをまとめて行かなければならん。こう思いますので、甚だ無理な御注文かも知れませんが、あなたに直ぐそういう重要の問題を御返事をお願いすることも若し無理でありますならば、通産大臣と御相談して頂いて御返答をお伺いしてもいいと、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/23
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024・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) この法律を施行いたしましても将来問題は残るという説は誠にその通りでございまして、私もこれで以て全般的の問題が片附くとは考えておりません。それは結局においては鉱業法の賠償の原則というものをどう考えるべきか。又地下の採掘と地上の利益というものをどう調整すべきか、これは国の国土計画その他の関連においても問題になる得るわけであります。そういう根本的な問題は十分検討してきめなければならんと思つておりますが、法律で差当りねらつておりますのは現存の累積した鉱害の解決でありましてその途上において、或いはその解決後におきまして今のような根本問題は再検討する必要がある、これは私の個人的な見解でありますけれどもそう考えているわけであります。従つて鉱業権者の賠償の義務の限度乃至はその内容といつたような鉱業法上の問題でありますとか、それから地下の採掘と地上の関連性をどう調整するか、具体的な方法、そういつたようなこの差当りの鉱害の復旧をどんどん進行させます途上におきまして検討いたしました上で、適当なときにおいては十分又もう一遍全体的な構成を考え直す必要があるのじやないか、個人的にはそういう考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/24
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025・清澤俊英
○委員外議員(清澤俊英君) いま少しお伺いしたいんですけれども、経済安定委員会がありますのでこの次に特別の質問を許して頂くことにして今日はこれで打切りたいと思つております。失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/25
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026・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 私も先般福岡県に参りましていろいろ感じさせられたものが相当あるのでございます。特別鉱害復旧法が施行されましてその成果も我々見て参つているのでございまして、これがまあ二つの結果が起つているのじやないか、かように考えるのでございます。いわゆる何と申しますか、広い土地が陥没いたしましてそれを開拓方式、いわゆる開拓をするような方式でサンド・ポンプを使いましてそうしてやつている土地へ参りますと、後の耕作その他に対しまして非常にまあ成績がいいのでありますが、部分的に陥没いたしまして、先ほど清浄君が申されましたようにボタをやる、その上に赤土か或いは粘土をやる、その上に表土の薄いのをやる、こういうのをやりまして、それを畑地として使つてはいいのでありますが、直ぐといわゆる田として利用する、そこに矛盾が相当あるのじやないか。これはあなたのほうでおやりになるのじやなくて農林省関係の人が指導するのでございますが、こういう点もその主管官庁としては相当お考えにならなければならんと思います。
結局二つの問題で我々も二、三年前から参りまして特別鉱害を見ましてまあよくできているのは特に新入炭坑の鉱害地を見て参りまして、何十町歩あるかも知れませんが、まだ半分くらいしかできておりませんがサンド・ポンプ二台でやつておられる。そうしてできました所は今清澤君が言われるような所じやなくてうまく行つている。併し山手に参りました所などにおきましては、まあ二十年前に復旧工事をやつた或いは十年前、或いは四年前というので、三階段につきまして、その復旧状態と申しますか、これは農民の耕作意欲というものも加味しなければなりませんが、そのでき工合が元のように復旧しない、何と申しますか、昔のようなとれ方をしない。こういうことを見たときにおきまして、私はこの指導方針が相当やりませんといわゆる惰眠と申しますか、農民の方々は保証されているからそう力を入れんでもいいじやないか、こういうことがありますから指導方針につきましてはお考え願わなければならんということは特に考えて来た。
もう一つはその指導方法というものをお考えになつているかどうか、こういう点につきましてまず第一点お伺い申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/26
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027・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 十年、二十年前の復旧工事につきましては、当時はこれはすべて鉱業権者が任意的に行なつた行為でありますから従つてその工事が十分であるかないかという点につきましては、恐らくは現在行なつておりますような特別鉱害乃至はこれからやりまする一般鉱害のこととは大分違つたものじやないかと思つております。従つて十分復旧しない土地もかなりあるだろうと思います。又農民の勤労如何によつてその土地の効力が出るか出ないかという点は、これは当然問題になるわけでありまして、この点につきましては農林省といたしましてもいわゆる惰農奨励的なことをやらんようにしたいということは繰返し申されておりますし、特に今度の場合におきましては復旧工事をしましたあとにその効果があつたかどうかという認定をすることになつております。その際には十分客観的な条件を確かめましてその工事効果を認定するわけでありまして、従つてその認定が正確に行われます限りは、あとそれと違つた収穫を挙げた場合にはこれは結局農民の任意的な努力の問題になるということにならざるを得ないのであります。その点は農林省のほうといたしましても十分な専門家を以て認定させるわけでありますから、比較的正確な認定ができるのじやないかと、そういう考えからして、いわゆる惰農をできるだけ排除するような措置や指導もできるのじやないかと思います。
〔委員長退席、理事結城安次君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/27
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028・竹中七郎
○竹中七郎君 その点につきまして、私は向うへ参りましても地元の農林省の出張所長がついて歩いてくれましたけれども、大体特別鉱害で今復旧しております所でも、初めて見たとか或いは殆んど、何と言いますか、これは通産省がやつておられるというようなもの、或いは土地の人に聞きますと県の農地部の者も余り来ない、それが鉱業権者に殆んど任しきりだ、こういうような不平が相当ある。私はこういう問題がいろいろな係争の的になるのじやないか。こういうものに対しましてどういう、もつとしつかりこれから農林省或いは県の農地部などと連絡をとられてうまくやられるかどうか、この点を先ず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/28
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029・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) これは農林省からお答え申したほうがいいかと思いましたが、農地の復旧限度が、すべてこれは公共事業費のほうの農地関係の予算から出されておりますので、従つてその契約及びその実行につきましては農林省の系統の担当の官庁なり或いは府県で以て監督をするわけであります。従つて実際問題がどういうふうになるか存じませんけれども、形式的には十分県当局も又農林当局も工事のやり方につきましては監督の責があるわけでありますので、今後は勿論そういうことは行われ得ると思います。又特別鉱害の場合にはそういつたような恰好にはなつておりますけれども、工事効果につきます認定という業務はございません。これは特別鉱害の場合には工事完了後におきましても更に鉱害の残る場合におきましては、やはりその限度においては依然として鉱業権者が責任を持つということになつておりますので、工事の結果についての認定ということがないわけでありますが、今度の場合におきましては、工事執行後におきましては完全に鉱業権者との関係が断ち切れるものでありますので、その際どの程度の工事が行われたか、又どの程度の工事を回復したかは正確に認定する必要がございますので、従つて工事に関します限りは、むしろ特別鉱害の場合よりも一般鉱害の復旧工事に対しましてはより一層厳密な監督指導が行われるだろうと思つております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/29
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030・竹中七郎
○竹中七郎君 次に遠賀川流域でございますが、遠賀川の河底が相当上つておる。そうして私たちが、何と申しますか、こちらのほうで見ますと全体が下ります。下つておりますと、我々のほうは高いからちよつと下げたほうがいいというように感じますが、特にこれは地形の関係で九州は非常に豪雨が多い、こういう関係が相当問題であると思うのです。でありますから鉱害自体よりも雨量が多いということを我々は本当に感じます。そういたしますと、建設省関係の河川問題、或いは今の農林省関係で雨量が多いという天然現象というものを考えなければならん。それを特別鉱害におきましては国が主体でやつておるのだが、今度は鉱業権者が主体でやるというような観点に立つと、そこに被害者、鉱業権者の間に問題があると思いますが、こういうものは私は先ほど清澤君が言われた通り一つ国が相当力を入れなければならん。まあこれは法律でそううまく行かないし、この問題に対しましてはお隣の西田さんが非常にお骨折になつてこれだけの法律ができて来たことを、あなたがたの御努力に対しては私は敬意を表しますが、こういうものを一緒にやらして行かなければならん。そこに何と申しますか、あなたに私が申上げては恐縮でございまするが、各省間の連絡というものがなかなかうまく行かないのでいろいろな不平が起るのじやないかと、かように考えるのでございます。特にこの河川の問題に対して建設省といろいろな御交渉をなさつたことがあるかどうか、この点につきましてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/30
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031・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 勿論この法律の施行に当りましては各省とも十分これを了解して又力を入れなければ効果が挙りませんので、その過程におきましてはしばしばいろいろな連絡会議を開いております。現在の法律ではそこまではつきりいたしておりませんけれども、当初の考え方といたしましては例えば今お話になりましたような河川、道路、農地といつたようなものが総合的に工事を施行する必要がある場合がある。工事を施行したほうが適当な場合が予想ざれるわけでありますので、そういう場合には復旧事業団がそれをまとめて工事の施行に当るというふうなことも考えてみたのであります。現在は御承知のようにそれぞれ河川法、道路法等によつて工事の施行のできるものが範囲がきまつておりますから、それだけその点に関しましてはそういつたような法律との関連を考えまして、例外規定を作らなければならんわけになるわけでありますけれども、そこまでは今度の最後の案ではできておりません。併し実際問題といたしましては復旧基本計画を作りますときに、これは事業団が作るわけでありますけれども、当然に府県或いは建設省、農林省といつたようなところと十分協議をいたしまして作るわけであります。そういうふうな主務当局との連絡が十分行われておらん限りは、折角復旧基本計画を作りましても実行がかたいわけでありますので、むしろ復旧計画は事業団が事務的に立案して評議員会でこれを調整してきめるという、そういうふうな性質のものでなくて、むしろ更により一層各主務官庁との連絡を十分にとりまして、それぞれの公共事業費の予算の中からどの程度のものを、どことどこを本年度の復旧計画として挙げるか、こういうことを十分にとらなければならん。その際当然に横の関連もつけられるわけでありまして、先ず基本計画においてそういうような相互連絡をつけまして、更に一層実際の工事をする場合には実際の計画は事業団が持つておるわけでありますから、その実行方法等につきましては事業団から十分それぞれの工事担当者と連絡をとつて適正な工事ができるようにというだけの指導ができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/31
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032・竹中七郎
○竹中七郎君 重ねてでございますが、今の九州の鉱害というものが、いわゆる天然災害と鉱業災害が合併して起り易い。その点につきまして非常に被害者のほうが問題を起す。雨が降つて来てあとはこれで打切られたときには大変じやないか、こういうことでございますので私は天然災害と鉱業災害と二つが重なつておるということを念頭におかれまして、成るべく建設省或いは農林省のほうからの金をこれに注ぎ込んでやる、そういたしますと、この一般鉱害の法案が通りそれと並行いたしまするとうまく行くのじやないか……これがなかなかほかの問題でそれを我々も経験しておりますが、農林省は開拓をやる、こういうわけで河川のほうは何と申しますか建設省でやる、農林省のほうの開拓を一緒にやつて行こうという、土を掘つて片方やるというと非常に一石二鳥であるがなかなかうまく行かないのであります。あなたがたのほうは、今の私は石炭それ自身が日本の本当の何と申しますか基本産業であり、そうしてどうしても掘らなければならん、そうしてこの災害が起つたのは、いわゆる戦時中の特別鉱害の復旧法案と共に、その以後の国の要請によりまして三千万トンをどうしても掘らなければならん、炭鉱国管なんというような問題が起りましてやつたのでありますから、暫くの問というものは戦争中と同じような状態であつて、ドイツなどとは相当事情が違うのじやないかと私は思うのでございます。こういうことを考えますときにおきまして、先ほど清澤さんが言われた通り、国の金の出し方が足りないと私は思うのであります。そこにいわゆる鉱業権者と被害者とのいろいろな陳情の問題が起つておるのでございますので、これはいわゆる当局がお互いの省との間に話合いがつきますれば相当の金が出る、かように私は考え、農林省からも出して頂く、或いは建設省から出して頂く、それからこれの鉱害と三本立てでやれば私は行くのじやないか。鉱害というものは掘つている間は必ず起るのでございますが、その掘り方におきましては、我々が聞いて来た範囲におきましては合理的に掘つておられますので、戦時中或いは戦後暫くの間の鉱害ほどではないのでございますから、この点を加味せられまして御努力下さいますかどうか、この点を一点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/32
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033・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 今度の鉱害復旧に対しまする予算は本年度のものは本予算に載つておりませんが、法案が成立しましたら適当な機会において大蔵省と折衝するつもりでございますが、いずれにいたしましてもこの一般鉱害の関係の復旧費の予算というものは、一般の公共事業費の中で別枠にしてとりたい、こう思つております。勿論そうしましてその中で内訳はそれぞれ農地関係或いは道路関係等々出て来るわけでありますが、まとめて一本にして挙げてもらう。この工事は実質的には通産省のほうでとりまとめてしますけれども、現在のところは形式的には各省ばらばらになつておりますが、併し一応数字的には私のほうでまとめて、まとまつた数字として大蔵省に交渉する、こういうふうにしたいと思つております。従つて総予算ができますと、そこで各省との割振りはもうすでにきまつておりますし、それの実行につきましては鉱害だけを考えればいいわけでありますから、その面において各省との相互連絡というようなことは十分つき得ると思うのであります。
それからそれ以外のものとの関連でありますけれども、鉱害と天然災害と重なつた場合におきましては、勿論これに更に一般の災害予算というものをつけて復旧工事が同時に進行するという意味のことになるわけでありますが、これもそういう場合には鉱害復旧費の関係とそれに天然災害の復旧予算というものを合せられまして、そこで総合的な工事に対しまして計画を作るということは、これは可能なわけであります。現在の特別鉱害におきましても天然災害がありました場合にはそれと併せて一緒に復旧するということもやつておりますし、そういう点につきましては大蔵省に対します予算の請求の場合におきましても、又実際の工事施行の場合におきましても、十分各省と連絡をとつて遺憾ないようにいたしたいと思つております。
本予算の金額でございますが、この法案によります国費の出し方が少いという点は、工事費に対する補助の割合が少いということになるわけでありまして、その割合がどの程度になるかということが問題なんであります。全体の金額そのものはその割合によつておのずから出て来るわけでありますが、従つて仮に鉱害の予算だけを立てるとしましても、すると鉱害関係に対しましてどの程度国が補助するかという率が仮に低くきまつておりましたらそれだけのものは使えないということになりますので、率がきまりましたならばそれに相当する予算はどうしてもこれはつけるということになるわけであります。従つて災害費の予算はその他のものを公共事業費等からこちらにとりまして一緒にやるということで、仮に金額だけふやしましても率がきまつております以上は、それはやはりその率に従つて使いますので使えないということにもなりますので、金額よりもむしろ率の問題になる。その率をできるだけ高くしようと私どものほうで交渉はいたしておりまするが、今のところでは大体農地に対しまして復旧費の六割五分くらいの負担額を国と地方公共団体で負担してもらう、こういうふうな考えで交渉を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/33
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034・竹中七郎
○竹中七郎君 まだ予算も確定しておらないようではございまするから、その交渉程度におきまして天然災害は来るにきまつているようなものでありますから、率の問題をもう少し事務当局においてがん張つて頂きたい。そうすれば金が出る。これは二つあるということを前提にやらなければいけないので我々が陳情を受けると必ずそうです。雨が降つて去年もあつたじやないか、その前も必ず一年に二回あつた。そのときにはどういうふうにするかということになつて来る。そういうことを農民のかたが非常に心配をしているということは、これは九州の地形による、何とか台風が来れば必ず九州に台風が起るということを前提とせられまして、大蔵省と御交渉願う。そうすれば被害者に対してもいいし、又鉱業権者のほうに今まあ力のある鉱業権者はいいのですが、この法案ができますと力のない鉱業権者は非常なる負担である。そこで問題が起る。こういうことを我々ははつきり認識しているのでございますから、その点特に局長に強く要望いたしまして、私の質問は終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/34
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035・小松正雄
○小松正雄君 私は幸いにいたしまして、この臨時石炭鉱害の法案が重要視せられまして、それが本員よりの要望によりまして近く公聴会が開かれ、これらに関連いたします各位の公述か主といたしまして私の質問をいたしたいとは考えているものでありまするが、この際一、二政府に質してお尋ねをしておきたいと思うのであります。
〔理事結城安次君退席、委員長着席〕
それは特別鉱害は、戦争をするために或いは又勝つためにということで、鉱業権者に乱掘をされた、その責任が政府にありとして特別鉱害というものが生れまして、その特別鉱害の半面に今回生まれんとする臨時石炭鉱害という法案がからんだと私は思うわけでありまして、この又法案に対しましては終始本委員会の中でもこの石炭に関係せられている西田先輩が幾多の苦難をなめられて、中島炭政局長等を激励と申しますか、通産省の関係各位に対して適切なる進言をせられた結果がここに初めて生まれて来たということに対しまして心から感謝の意を表するものであります。
そこでこの法案が戦争に勝つためのみによつて受けた被害は国の責任である、その他の場合については国の責任でないという考え方に立つておつたのであるか、或いは又この法案がこうして提案せられたにつきましては責任は同じく政府にありと考えているのでありますかをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/35
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036・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 一般鉱害に対しましては国は責任はないというのが建前であります。この鉱業権の許可或いは実際上の保安上の監督というふうな責任は政府にはございますけれども、こういうふうなその経済的な責任というものにつきましては政府はそこまでは責任を持たない。従つて特別鉱害の場合とは違つて、これに対しては補助金がなかなか出にくいという点があつたわけでありまして、これは考え方の点もあろうかと思いますけれども私どもとしましては、前提として国の責任には本来属しないのだという考え方から出発しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/36
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037・小松正雄
○小松正雄君 然らばお尋ねいたしますが、終戦後炭政局の局長であられる中島さんは、終戦後何を以て日本の再建にあてようとせられたのであるか。少くとも石炭なくては日本の再建もないと考えておつたかどうか。答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/37
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038・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 勿論石炭が中心であります。ちよつとここではつきりしませんでしたが、国に責任がないと申しておりますのは、この監督上の責任は別といたしまして、こういうふうな経済的な災害に対しましてはこれは企業の経済的な経営の内部で賄わるべきものであつて、これに対して国が経済的に責任を負うべき筋合じやない。こういうふうな意味合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/38
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039・小松正雄
○小松正雄君 なおお尋ねしますが、石炭を採掘させるということに対しての責任は恐らく石炭局の中にあると思いますが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/39
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040・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 言葉の意味でございますけれども、採掘させるということは、強制的採掘、幾ら出せるか、出せんかということになりますと、現在ではそういうふうな法規もございませんからないわけでありますが、戦後の統制時代におきましては炭鉱国管法等によりまして或る程度そういうふうな採掘を強制するということもあつたわけでございます。従つてその意味におきましては採掘させるという権限と責任が政府にあつたということが言えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/40
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041・小松正雄
○小松正雄君 そこで加えておきたいことは、戦争に勝つためにのみ石炭を掘れということで乱掘をさせたという責任を政府はとつた。その後の終戦後の石炭が重要であるということは今も申された通りであります。その重要性から来るためにその石炭の採掘を、その関係官庁の主体である石炭局が、これを特に日本の復興に対しては三千七百万トン或いは二十四年度には四千二百万トンを出さなくてはならないという強い要望と申しますか、一面又鉱業権者に対してその責任ある石炭を出せるかどうかといつたような強い命令的なような感じのする通達を受けたこともあるのであります。その証拠といたしましては、少くとも敗戦後の日本としては物資がなかつた、衣料につきましてもその他の衣食的なものに対しましてはなかつたのでありまするが、幸いにアメリカの放出物資というものがありまして、その放出物資ばどこに使用したかと申しますると、石炭局を通じまして、石炭の労働者のみに限つて石炭一人当り何トン出せばこの放出物資をやる。或いは又その炭鉱に対して三千トン一月に出炭をせい、出炭をしたらばこれに対して奨励金をやるといつたようなことを以て石炭の採掘に従事させたということは間違いないと思いますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/41
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042・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) そういうふうな事実はございました。ただここでお考え願いたいのは、特別鉱害の場合におきましては、政府が強行採炭を命じまして、これは特に文書その他ではつきり命令として出したものを特別鉱害の原因として取上げておりますが、そういう命令を出しておりまして、併せてそういうふうな強行採炭をしますと当然爾後の措置というものも十分できない。従つて鉱害に対する万全の策もとられないということもはつきりわかつておりますが、なお且つ採炭を強行するというので、従つてその当初におきましては当然普通以上の鉱害ができるということは覚悟の上で命令しているわけであります。ところが戦後におきましてそういう増産を相当強行しましたときに、お話のようにいろいろな品をとつておりますが、この場合には要するにできるだけ努力して炭を掘れということは言つておりまするが、只今のような保安上の措置或いは鉱害防止上の措置、そういうものを放擲してまでもやれという趣旨では全然働いておりません。従つて鉱害そのものについては一般に起きる程度のものを当然予想しなければなりませんし、又一般に生ずる程度の鉱害であれば、これは鉱業権者が自分の計算に入れまして賠償しなければならんということが当然でありますので、そういう筋でやつておつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/42
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043・小松正雄
○小松正雄君 そこでこの法案に対しまするあなたがたの熱意と申しますかその熱意の根拠は、大にせよ、小にせよ、石炭を採掘する採掘権者の責任である。かように考えておられるためにこの法案そのものができてもこの法案によつて問題を解決しようという心組の意図がないように私は考えるのであります。
その一点と申しまするのは、今日福岡県で今回の鉱害調査に対しまして私も同行をして参りまして聞いたことであります。又私どもより西田先輩もそうでありましようが、私どももこの法案を急いでくれ、一般鉱害というものをどうするかという問題に相成つて進んで来た問題は、同じ鉱業権者であつてもあなたのおつしやるように、鉱業権者であるが故に被害地というものは絶対的にその責任において復旧しなくてはならないという観点に立たれているということに対して、それが立派にその義務が果し得ることであるならばこういう法案は要らないということであつて、鉱業権者の一人である西田先輩が進んでこの鉱害法を出せ、どうしろというのは、少くとも自分の首に自分で細をつけることに相成るということを私はよく承知しております。私も鉱業権者の一人である。併しながら私たちのような無力なこの鉱業権者が絶対に義務を果し切らないというところに私たちの首に綱がかかつている。責任あることを貫かなくてはならないということの大きな立場に立つて西田先輩は私どもに強くこのことを話されている。又私どもも納得している。
そこでこの法案が生まれる以上にはこの石炭に直接関係のある石炭局のあなたがたがどういうふうにするか、特別鉱害は国が命じてやらしたものであるからして国が責仕を持つ。この一般鉱害に対しては、鉱業権者というものがあるために鉱業権者がよくすることに初めからわかつているのだからすべきだという、そんな簡単な考えによつてこの法案が作られたということになることにおきましては、決してこれはこの法律によつてスムースにこの被害が解決するとは私は思えない。それでさつきも同僚議員の人たちからこの一般鉱害というものに対してどう考えておるかということに対して、あなたが言われたのは、やはり特別鉱害は国の施策によつてやつたのだから重いことであり、一般鉱害は今言つたように、そのときは言われなかつたけれども、今私のことについては、鉱業権者があるためと言われたように、軽く見ておられるということが一つである。さつきも委員長からの質問の中にもそういうことが言われておる。これでは私どもは全く納得できない点が出て来るわけであります。
話は戻りますが、福岡県内にもすでに被害の対象になつておる金額が五億円になんなんとするほどになつておる。その五億円になんなんとする被害を与えながらも、五億円以上の被害対象の金を義務的に払わなくてはならない鉱業権者というものはどこにいたかわからないということであるのであつてこういうものに対しては、この法律によつては、それは成るほど鉱業権者によつて復旧し得ることのできないものに対しては国が補助をするとか、貸し与えるとか、或いはこういうものに対しても貸し与えることになるでしようし、そこで私があなたに申上げたいことは、少くともこの法案というものを作り上げる上においては、大蔵省に対しては、全面的に或いは農林省と一緒になつてでもこの予算の獲得ということはやらなくちやならないと思う。それはこの特別鉱害に対しては五カ年計画で七十九億という多額の金を持つている。而もこの一般鉱害というものは、十年を期間として僅かに年間千億といつたくらいな程度でやつて行こうとされておる。先の委員会におきまして西田先輩が追及せられておつたその一点から考え合せましても然りでありまして、この鉱害というものは炭鉱がある限りは継続的に起つて行くということを考えなくちやいけないということに対して、あなたは年々に四億ぐらいを解消して行けば大丈夫であろう、こういうことを言われている。そんな簡単なことで解決し得るというような考え方でこの石炭局の中におられるあなたが考えておるというようなことは、絶対に我々の主張するこの法案によつて、被害者の上に立ち、或いは鉱業権者の上に立ち、或いは国民という観念の立場に立つて、必ずしも立派な法案に相成るとは私は考えないのです。
そこで本日はこれにとどめますけれども、前提に申上げましたごとく、公聴会で公述人のいろいろな説を聞きまして、それを参考として改めて又お聞きすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/43
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044・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 本日はこの程度で散会いたしまして御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/44
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045・竹中七郎
○委員長(竹中七郎君) 御異議ないと認めまして散会いたします。
午後三時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314793X04819520613/45
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