1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年四月九日(水曜日)
午後一時四十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 結城 安次君
委員
古池 信三君
重宗 雄三君
松平 勇雄君
島 清君
境野 清雄君
委員外委員
中川 以良君
事務局側
常任委員会專門
員 山本友太郎君
説明員
通商産業省通商
機械局車両部長 吉岡千代三君
通商産業省通商
機械局車両課長 畔蒜嘉一郎君
参考人
川崎市経済部長 田邊 光次君
全国競輪施行者
協議会事務局長 辻 松一君
自転車振興連合
会專務理事 鈴木 茂七君
自転車振興連合
会管理部長 石坂善五郎君
自転車振興連合
会理事長 小西 要君
埼玉県営競技事
務所長 鈴木 隆君
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本日の会議に付した事件
○自転車競技法の改正に関する件
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001・結城安次
○委員長(結城安次君) それではこれから競輪に関する小委員会を開会いたします。
小委員会といたしましては競輪法改正案に関する問題、又競輪選手に関する問題と種々ございまするので、それらに関する事情を聽取したいと思います。本日は自転車振興会連合会代表のほかに施行者側といたしまして、川崎市から田邊君、埼玉県から鈴木君、施行者協議会から辻君、以上三君の御出席を頂いております。本日の議事の進行上、先ず前回に引続いて島君からでありましたが、まだ見えておりませんので、施行者側のほうから一つ御意見を伺いたいと思います。施行者代表の川崎市経済部長田邊光次さんから競輪法改正案に対するお話を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/1
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002・田邊光次
○参考人(田邊光次君) 非常にお忙がしいところを私どもの競輪の問題につきまして、お取上げ下さいまして御審議を頂いておりまして、誠に有難く恐縮に存じます。施行者側の意見といたしましては、大体辻局長が私ども一応考えていることをまとめまして申上げまして、それから御質問に応じまして私どもがあとはお答えいたしたいと思いますから、その点で御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/2
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003・結城安次
○委員長(結城安次君) 承知いたしました。それでは全国競輪施行者協議会事務局長辻松一さんからお話願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/3
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004・辻松一
○参考人(辻松一君) 今回の改正法に対しまして全国の協議会が決議をいたしまして先般もお願いを申上げたと思いますが、改正法に対する希望意見を申述べたいと思うわけであります。
お手許に書類を差上げてございますが、改正法案に対する要望事項というものがございますが、第一番に申上げたいのは施行目的の限定でございます。本来本法は自転車産業の振興と地方財政に寄与するというふうなことでありまするので、同時に又地方の財政事情もまだ好転をいたしておらないような状況にございますし、而も競輪は地方自治体の責任と努力においてなされている企業でございまするので、これから上りまするところの收益につきましては自転車産業の振興に支出すべき額を国庫納付金にさして頂きまして、あとは苦しい地方財政に寄与するために使えるようにして頂きたいと、かように考える次第でございます。次に競輪場の設置の制限の問題でありますが、これにつきましては都道府県、或いはその他人口、財政等のいろいろな相違もございまするので、こういうふうな点も十分勘案を頂きまして合理的に一つ決定をして頂きたいというふうに考える次第でございます。それからなお開催回数の制限でありますが、改正法の原案によりますると、開催回数を制限するということが通産大臣によつてできるというふうなことになつておりますが、これは現在の地方財政には重大な影響を持つものでございまするし、又施行者ごとに人口、財政、或いは戰災その他の特殊事情等も種々違いますので、命令によつて定めまする場合には直接施行者の意見を十分聽取をして頂くように一つ希望をいたしたいと思う次第でございます。それから車券購入禁止の範囲でありますが、これらにつきましても、大体現在におきましては競輪に関係する政府職員並びに自転車振興会連合会役職員にあつてはすべての競輪について車券の購入を禁止せられたいと、まあ現在連合会や政府職員はやつておりませんが、選手全体に直接非常に関係の深い振興会の職員にあつても、大体買わないほうが妥当ではないかというふうなことを考えておりますので、車券購入の禁止というふうなことを考えられたいと、かように考えるのであります。次に国庫納付金でございますが、国庫納付金につきましては現在の競輪でありますると丁度三千万円の売上げでありまして、実際の所要経費と利益とがとんとんの状態にございますので、大体におきまして三千万円の線は丁度收支一ぱいという関係でありますので、国庫納付金を免除をして頂く、そうしてその代りに百分の四を課して頂く、若しそれができないときには全体に百分の三ということにして頂きまして、そうして而も売上げの少い三千万円というふうなものに対しましてはこれを免除し、又五千万、六千万という程度のものにつきましては軽減をして頂く、かように考えておるのであります。現在の国庫納付金の状況を申上げますると、二十六年度の、一部推定は入つておりまするが、施行者の全体の利益は約二十六億に相成るのでございます。そうして国庫に納付すべき納付金は大体におきまして二十五億と想定せられるのであります。先ほども申上げましたように、施行者みずからの努力と責任においてやつております企業であるにもかかわらず、その利益の、相当施行者の利益に近い金が国庫納付金に使われると、收められると、而も大部分は一般国庫の歳計に入る。本年度の自転車振興に使いました予定は大体五億か六億というふうに聞いておりますが、そうしますと、十七、八億の金が一般歳計に入るというふうな状況でありますので、地方財政の苦しい折から、大体におきまして国庫納付金をできるなら百分の三、併しながら六、七千万円以下のものにつきましては、低額に一つして頂きたい、かように考える次第であります。それから振興会に対する交付金でありますが、これは百分の三以内におきまして必要とする経費を支払う、こういうふうに考えている次第でございます。それから競輪場の登録の問題でありますが、これも余りこだわるようにも考えられるのでありますが、受託をする、つまり振興会に実施面を委託いたしますが、受託を受ける団体の連合会に施行者が競輪場の登録をしなければならないというのはちよつとおかしいように考えられますので、これも一つ通産省なりその他に登録をするようにと、こういうふうに考えているのでございます。それからなお施行者の主体性の確立でありますがこの改正法によりますると、一体に振興会と施行者と共同を……実際は協同してやるのでありますが、法文の形で何か少しぴんと来ないものがある、例えば第十三條の秩序の維持等につきましても、双方が秩序の維持に当ると、こういうふうなことになつておりますが、これは施行者が全体の秩序の維持の責任を負うべきであつて、そうして振興会が委任された範囲において責任を負うというふうに考えるわけであります。
大体以上大ざつぱでありますが、右ようの点を今回の改正につきまして特に御配慮を願いたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/4
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005・結城安次
○委員長(結城安次君) 只今のお話に何か御質問ございますれば……。主として改正法に対する御意見、……何かございませんか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/5
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006・島清
○島清君 只今の辻さんにちよつとお伺いいたしますが、辻さんから御覧になりまして、私ども初めてこの前京王閣の競輪場を見せて頂いたのでありますが、相当無駄があるのではないか、何と言いますか、合理化を図れば非常に無駄が省けるのじやないかというようなことを痛切に見て参つたのでございまするが、そういうような点につきましては、どんなふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/6
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007・辻松一
○参考人(辻松一君) 大体におきまして当初におきましては、初めてできた仕事でありまして施行者も不慣れのためにそういう面もあつたように承知をいたしておりますが、その後大体運営等につきましても慣れて参りまするし、運営の合理化等につきましても十分留意をいたしておりまして、無駄な金を使わずに少しでも地方財政に寄与できるようにというふうなことで、漸次改良されて参つているように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/7
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008・島清
○島清君 よくその御答弁の趣旨はわかるのでございまするが、もう少し詳しく御説明頂ければ非常によろしいかと思います。と申上げまするのは、例えば法規にございます、施行細則でございましたかしら、それに競輪を施行いたしまる場合にいろいろの開催執務委員ですか、そういう人々が大勢おられるようでありますが、そういうかたがたが何か一つ競輪場ですか、振興会ですか、そういうところの地域的なものに所属しているようでございますね。ああいうものをもつと訓練し、もつと高度に活用するならば、そこらあたりから非常に経費が節約できるのではないか、こういうふうな印象を非常に深くしたのでございますが、そういうような面についてはどんなでございますか、施行者側といたしましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/8
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009・結城安次
○委員長(結城安次君) どなたでもよろしゆうございますが、施行者側……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/9
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010・島清
○島清君 若し私がお伺いした要点がはつきりしなければもう一遍申上げてもよろしうございますが、或いは辻さんがお答えになる範囲ではないかも知れませんが、つまり大勢の人が競輪を施行いたしまする場合に、一競輪場に必要欠くべからざるところの技術を持つたかたがたが執務をしておられるわけでございまするが、そういうかたがたが一競輪場と言えば或いは語弊があるかも知れませんが、少くとも地域的にだけ所属しているわけでございましてね、そういうことは技術の面からいたしますならばもつと高めて、磨いて行かなければならないにもかかわらず、一地区の競輪場に所属しておりますとその技を磨くと言いますか、或いは知識を高めると言いまするか、そういうものができないのではないか。更にこれを全国的に全部の競輪の開催執務者というように使用して行きまするならば、高度にそういうものが活用できるのじやないか、費用も非常に省けるのじやないか、こういう印象を受けて参つたのでありまするが、これはどなたからでもかまわないのですが、御答弁が願えたらと思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/10
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011・田邊光次
○参考人(田邊光次君) お答え申します。島先生の御質問の御趣旨は私どもも一応御尤もと思われますが、大体におきまして執務を実行するものは振興会が委任を受けてやつてやつておりますので、振興会は、その県に例えば三つなり、四つなりの競輪場が……私のほうは四つございますが、そういう所は六日ずつの開催でございますから二十四日というものはどうしても勤務するのでございますから、振興会の非常な労力的負担と言いましようか、そういうものは非常なものであろうと私どものほうに限りましては考えられるわけであります。併しながら一県に一つしか競輪場がなくて、一つの振興会がその六日だけに相当な給料とか月給とかをもらつて、あとの間は余り用もないという、そういう所はいま少し合理化したならば何とか方法はあるのじやないかというようなことにつきましても、それは広い意味におきましては、確かに振興会の方面におきましてもそういう点は研究の余地があろうと思います。この分野は振興会のほうのお答えとしまして、私どものほうの主催者側から見ますならば、これも一県に一つある所と四つある所とでは非常に違いまして、一つしかない所でも、現在一開催に必要な執務委員というものはおいてございますので、こういう所におきますところの人員とか、仕事の合理化というような点におきましても、広い意味で言いますならば、やつぱり振興会同様考えられる点があろうかというふうにも思いますが、これもやはり何分にも県のほうも違うことだし、市のほうも違うことでございますから、結局平素におきまして、いろいろな市役所なら市役所、或いは県なら県におきまして、專任の仕事に他の業務も併せてやつている。例えば復興宝くじというようなものも管轄したり、いろいろしましてかれこれ一カ月間というものの事務分量の暇のないような方法におきましてその県なり、その市なりが責任を持つて現在やつているわけでございます。競輪だけ眺める場合には、今、島先生がお尋ねの合理化する点も多々あろうかと、又その点考慮する余地があろうかと思います。まあ実行はそんなふうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/11
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012・辻松一
○参考人(辻松一君) 施行者の関係だけについて申上げますれば、只今島先生の御質問ございました所要経費の、先ほどちよつと抽象的に合理化に進んでおると申上げましたが、それにやや具体的なものを各年度を逐つて簡單に申上げたいと思います。昭和二十三年度におきましては、所要経費というようなものが大体売上げの一一%九というふうにかかつておつたのでございます。その後漸次減りまして、二十五年度には八%六ということに相成りまして、二十六年度、これは一部想定が入つておりますが、八%九ということになつております。そうしてこれには八%九と、二十五年度に比べまして少し殖えておりますが、これは物価の値上り等が相当、二割ぐらい少くとも織り込まなければならん、同時に人件費等も相当上つておりますので、そういうものを考慮いたしますと、施行者側におきます経費におきましては、大体におきまして合理化されておる、こういうふうに考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/12
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013・島清
○島清君 大体あれでございますか、所要経費というものは辻さんのお考えではどの程度で上げることが理想的だとお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/13
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014・辻松一
○参考人(辻松一君) まあ大体八%ぐらいのところで遂行できるようにできたならば理想的だと思います。ただ最近物価も非常に上つて参つておりますので、そういう方向に向つてできるだけ所要経費の合理化に努めて参りたいと希望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/14
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015・島清
○島清君 先ほど田邊さんからお答えがありました点でございますが、田邊さんのお答えの部分は地域的な範囲で了承できるのでございますが、私はあの審判員などというものは相当自転車に対しては権威と見識を持たなければならないと思いまするので、その臨時的なことでは健全なる競技の発展は望みにくいのではないかと、そう思いますので、むしろこれは連合会のほうが、まあ一つの審判員の例でございますが、こういうものを統合されて大きく機構をお持ちになりまして、全国的な競輪開催と睨み合せてこういうものをお使いになるということが望ましいのではないかと私は考えますが、一つ審判員の例を取つたのでございますが、併し審判員以外にもそういう特殊な技術を要するものがあるのではないかと思いますので、こういう点を連合会側からお答え願えたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/15
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016・鈴木茂七
○参考人(鈴木茂七君) 只今島委員さんからの御質問でありますが、競輪開催に当りましての所要人員と申しますのは、先ず第一に審判員が一番重要だと思うのでありますが、その前に自転車の検車係或いは管理、選手の番組編成、こういうような係がございまして、これらに対しましては成るべく人員は……出発の当初におきましてはその状況がわかりませんので、競馬その他の関係を十分参考といたしまして、これの計画を立てたのでありますが、その後におきまして競馬と競輪の違う点等を考慮いたしまして、できる限り人員を寡少にいたしまして、そうして検車のごときも検車器というものを創案いたしまして、これによつて検車をするというふうな工合に、人の手は成るべく減らしておるような状況であります。それから審判員にいたしましても、従来自転車競技に経験のある者を主体としてやつて参つたのでありますが、最近におきましては連合会といたしまして、全国の審判員をテストいたしまして、いわゆる労働医学の立場から研究所と連絡いたしまして、試験器による科学的な試験をいたしまして、そうして全国的に連合会に審判員を登録するというような形態をとりまして審判を現在やらせておるような状況であります。一例を挙げますと、当初におきましては、九車立で走る場合におきましては九人の審判員を必要とするというような意見もありましたが、現在では決勝審判を三名にいたしまして、これに代えるに写真を使用いたしまして、スライド写真とか、或いは高速度写真というようなものを使用いたしまして、この点はできる限り経費の節約と、そういう面に的確なる一つの状況を判断するというような方向に現在連合会といたしましても極力やつておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/16
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017・島清
○島清君 鈴木さんの今のお答え、それは今やつておられるということの説明はわかりますが、それが全国六十何カ所ですか、競輪場がありまして、年間どこかで競輪をやつておるわけでございまするからして、例えばそういうような特殊の写真師でございますか、特殊な審判員でございましようか、その人々は一つの地域的な連合会に所属しておるのでしよう。そうすると、競輪場の開催というものはきまつておりまするので、或いは神奈川県みたように競輪場がたくさんあるような所でございますれば、そういう特殊な技術を持つたかたが、月の稼動日数でその道で生活を維持する程度のことができるかも知れませんが、競輪場の少い所ではどうしても臨時的になる。臨時的になりますると技術がおろそかになる。そうすると技術の向上をますます期待しなければならないところのそういう特殊技能者に対して、技術の向上を要求することは無理ではないか。従いまして特殊技術者を、私は審判員に例を坂つて申上げたのでありますが、その他にもあると思うのです。そういう人々を連合会のほうで吸收をして、一つのまあ連合会に所属したものといたしまして、そうして恒久的に、或いは今群馬県でそれをやる、次には東京でやる、或いは九州に行くかも知れないというふうな、選手みたように、そうして恒久的にその技術に携われるような制度は持てないものだろうか。そうすれば非常に技術の向上にもなるし、その人々の生活も安定するのではないかと思います。私はこういうことを申上げたのであります。それに対するお考えを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/17
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018・鈴木茂七
○参考人(鈴木茂七君) その点につきましては、島委員さんと同感でございます。連合会といたしましてできる限り経費のそういう面も画一的にやりたいということを考えておりましたですが、現在審判の登録制は画一的に連合会でやつておりますが、各地に対する執務委員を連合会に全部まとめまして、開催のたびに地方に派遣する、そういうことが最も望ましいことだと考えております。漸次そういう点に向つて進みたいと念願しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/18
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019・島清
○島清君 辻さんのお話の途中に参りましたので、今辻さんの御質問のほうに戻つたほうがよろしいかと思いまするので、私は資料をいろいろと調べておりまする間に、ここに競輪の完全民営に関する提唱というものを、全国競輪施設協議会という団体から出されておるのでございまするが、これらの団体の提唱が指摘しておるところは現在のままの競輪を運営をして行くと、かなり欠点が指摘されておるのでございまして、これは辻さんもよく御覧になつたと思いますが、私たちも将来は少くとも何らかの形で、或いは民営にするか、或いは又地方財政に寄与するということが競輪の当初の目的でございますからして、これは競輪場がある所の地方団体のみがその趣旨の恩典に浴するというのでは非常に不公平だと思うのです。従いましてそれは例えば地方財政委員会あたりが主催者になつて、この上りを地方財政交付金みたいな準則に従つて、競輪場のあるなしにかかわらず、この趣旨を均霑させなければならないのではないかという議論も当然に生まれて来るのでありまして、現在当然にそれが生まれておるのでありまするが、お話のついでといたしまして、民営の問題については辻さんどういうふうなお考えでいらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/19
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020・辻松一
○参考人(辻松一君) 民営の問題については結論から申上げますると反対でございます。その理由といたしましては、大体こういうふうな社会情勢におきまして、非常に競輪が殷賑を極めておると思うのです。そうして而もこの競輪の性質が、非常にギヤンブル性が大きいのでございまするので、かような仕事は、少くとも今日の社会情勢におつきましては公共団体がやつて参るということが最もいいのではなかろうかとも考えておるわけでございます。それから次にこの競輪の收益の問題でございますが、非常にこれは大きいのでございまして、先ほど申上げましたように、大体二十六年度は三十五、六億円の收益が最小限度見まして地方団体の財政に寄与するという状況であります。地方団体といたしましても、これらの收入は非常に大きい役割を果しておるのでありまして、戰災の復興に、或いは教育施設の復興に、或いは社会福祉施設に使われておるというような現状でありますので、是非とも一つ現状のままに行かなければならんと、かように考えておるわけであります。尤も島先生のお話の中にありましたように、いわゆる地方納付金をしたらいいじやないかというようなお話がございますのでありますが、これらにつきましても、これは競輪ではありませんが、曾つての競馬時代のことなどを思い浮かべて見ますると、かなり不安定なものがあるように承知をいたしておるのであります。競馬が民営から公営に移されました昭和二十三年九月現在におきまして、いわゆる納付金というようなものは六千六百万円ばかりございましたのでありますが、この金が解散当時には約半分の三千三百万円に近い未納になつておりまして、而もその後今日に至りましてもなお且つ二千二百万円の金が未納である。六千万円の二千二百万円でありますから比重が非常に大きい。かように見てみますると、民営になりました場合にはそういうような形の納付金に対する信頼性の問題を考えざるを得ません。殊に今の地方の事情が非常に財政的に苦しいというような現状におきましては、当分の間現状のまま一つやつて参ることが施行者としても望ましいことでありまするし、又仕事の性質上から行きましても、そういうような行き方をすることが最善の行き方であると、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/20
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021・島清
○島清君 どうも施行者を代表されておるところの辻さんにこういう御質問を申上げると、大体反対というものが起ると思うのでありますが、今私の質問の中にも申上げた通り、競輪場のある所は相当やはり地方財政のほうに大幅に寄与しておるようでございまするが、併しながら競輪場のない所はその恩典にちつとも浴しないというようなことは、競輪場を設置したいという希望のあるものに対して国家がこれを全部認めてやろうという場合には、私が今から申上げる議論は成立しないと思いまするが、競輪場が余りたくさんあつては困るというような今の通産省の考え方からいたしまするならば、競輪場の設置というものは或る程度の制限を受ける。或る程度の制限を受けますと、既設の競輪場のある所はその法律の恩典に浴しまするが、そうでない所は浴しないというところに法の趣旨が、この恩典の及ぶところが非常に不公平になりまするので、この公平を期するために調節を図らなければならんという声が当然に起つて参ると思うのであります。その声の現れるところに、要するに競輪は何かの一つの団体が或いはこれを施行者になつてやり、そうして上つたところの競輪の收益は全国の地方団体のほうにこの施しをしなければならん。施しという言葉はちよつと語弊がありまするが、その地方財政のほうに寄与するようにしなければならないということの理論は、その制限を受けるという制約の前では私は正しいと思うのです。従いまして、それじや誰が一体競輪をやるかということは、或いは地方財政委員会のほうでやつたらよろしいのじやないかというような考え方も起つて来ると思いますが、こういうような制約の下に、競輪を施行して行かなければならない場合に、只今私が申上げたようなこの理論のあり方については、辻さんどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/21
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022・辻松一
○参考人(辻松一君) 只今の島先生のは全く御尤もでありまして、全国の各施行者におきましても、通産省の指導の下に、大体におきましてできるだけ一体今やつておらないところに競輪場を貸与して、そうしてお互いに困つておる団体の財政に寄与しよう、こういうふうなことでありまして、大体の基準をきめまして、多いところでは年間について一競輪場につきまして七、八回を貸しておるというふうなところもございます。少いところでは二回くらい貸しておるというようなところもございます。大体におきまして、普通の中都市におきまして、現在のところでは年間八回みずからやりまして、そうして四回を貸すというふうなことで、漸次そういうふうな方向に参つておりまして、昨年あたりから比べまするというと、本年は余ほど貸す分が大きくなつておるように考えられるのであります。なお、もつと範囲を拡げて他府県にというふうなこともお話の中にあるようでありまするが、この問題は、地方各施行自治体が相当の投資をいたしまして、中にはまだみずからの投資をした部分を、総体の利益を挙げても持つておらんというふうなものもありまするし、まだよそに十分貸すのには今少しないと困るというふうなものもあると思うのであります。現に今、大体他の団体にも貸す、こういう傾向になりつつあるのでございます。なお他の団体、或いは他府県にというようなことになりますと、使用人である私からは余りどうもその問題については積極的に意見を申上げにくいのでありますから、お許しを願つておきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/22
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023・島清
○島清君 連合会のほうへお尋ねしたいのでありますが、連合会は二十七年度の事業計画の中に選手の千人の検定を予定されておるようでありまするが、今既設の競輪場と登録選手の比率を睨み合わせましたときに、大体もうこれ以上選手を殖やしますと、選手のかたが生活が非常に脅かされるのではないかというふうに考えられるのでありまするが、千人の検定を、登録選手を殖やそうという目的は、何か今十一カ所でございまするか、通産省のほうに競輪場の新設を申請しておる地方団体があるのでありまするが、そういうことは許可になるものであるという前提の下に二十七年度の千人分選手の検定を見込まれておるわけでございまするか、ちよつと御説明煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/23
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024・石坂善五郎
○参考人(石坂善五郎君) 私からお答え申上げます。選手は実は一昨年におきまして六千二百名程度あつたのでありますが、現在におきましては五千三百程度に減少いたしております。なお毎月自発的にやめる選手、或いはその他の原因でやめて行く選手が大体一カ年に五百名程度であります。従いまして、今年度の減少分と睨み合わせまして大体補充して行くと、こういう考え方で千人の選手の補充員数を考えている次第であります。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/24
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025・島清
○島清君 競輪場の増設というものは見込まないで今の選手を補充して行くというお説でございまするが、一年間に五百名ずつ減つて行くといたしますと、一割の人々がやめて行くということについては、何か選手諸君がこの競輪選手としての非常に不安定に脅かされておるという一つの証拠だと思うのでありますが、大体一年五百名ずつやめて行く選手のやめておる理由について調査されまして、そうしてその結果が出ておりまするならば御説明を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/25
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026・石坂善五郎
○参考人(石坂善五郎君) その資料はお渡し申上げてあると考えますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/26
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027・島清
○島清君 そうですが、いつ頃ですか。今日ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/27
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028・石坂善五郎
○参考人(石坂善五郎君) いや、前に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/28
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029・島清
○島清君 前にですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/29
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030・石坂善五郎
○参考人(石坂善五郎君) 一応御説明申上げましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/30
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031・島清
○島清君 ちよつと概略的におつしやつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/31
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032・石坂善五郎
○参考人(石坂善五郎君) お手許に登録選手数異動表、昭和二十六年四月一日から二十七年二月二十九日までの状況を御報告申上げております。登録の取消しの中におきまして、本人の申出によりまして取消したものが男子選手百六十一名、女子選手十三名でございます。それからNCCで選手の登録規定に基いて検定をいたしておりますが、その検定の結果、不合格に相成りました選手は、男が四十二名、女が一名であります。連続十五連敗、疾走選手半数以下の着になりました選手が、連続十五回続いて、そういつたいわゆる着外に落ちた場合には登録を抹消いたす、こういう制度を採用いたしておりますが、これによりまして登録を取消しましたものは、男が百五十三人、女で三十七名であります。それから自転車競技法違反、いわゆる不正協定その他によりまして取消ざれたものが男子選手十三名、それから登録を一カ年ごとに更新をいたしておりますが、選手の自発的の希望等によりまして更新の申出がなかつた選手でありますが、これが男子が二百七名、女子二十五名であります。死亡選手は男子が六名、女子二名であります。その他一名と、こういうふうになつておりまして、合計男で五百八十三名、女子選手で七十八名、これが登録の抹消を受けております。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/32
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033・島清
○島清君 この五百八十三名からの多くの選手がスポーツマンとして、競輪選手として身を立てて行こうとしたにかかわらず、一年間でこんなにいなくなるということは、今石坂さんが言われたところの理由ではどうしてもやはり選手諸君の生活が不安定であるから、そういうことになるのだという結論を如何にも証明付ける御説明を下さつたような感を深くするのでありますが、このやめていつた選手の諸君が選手当時に大体どういうふうな月收を得て生活を賄つておつたかということをあらましでようございますが、御説明はできますまいか、あらましでよい……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/33
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034・石坂善五郎
○参考人(石坂善五郎君) 選手の取得額と申しますれば参加賞と賞金でありますが、大体先般お手許に差上げておきました配分回数の平均、この平均程度、或いはこの平均以下の收入があつたのじやないかと、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/34
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035・島清
○島清君 何か選手の問題に入りましたので、続けて質問してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/35
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036・結城安次
○委員長(結城安次君) お諮りいたしますが、競輪法改正案に関する何か御質疑がございますれば、この際継続したいと思いますが、ございませんか。……なければ前回の競輪選手に関する質疑を続けて、島委員から御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/36
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037・島清
○島清君 先日の小委員会で小西さんに連合会のほうの予算面において選手のために如何ように金が使われておるかというようなことを御報告願いたいと申上げておきましたので、これに何かそうらしい資料があるやに思いまするが、これの説明を願えれば非常によろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/37
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038・小西要
○参考人(小西要君) 只今島さんからの御質問でありましたのに対しまして書面を出しておきました。一応お読み願つたと思いまするが、連合会の予算の一部といたしまして選手の斡旋料がありますが、これは選手が納入するものではありませんで、振興会から納入させておるものであります。斡旋料とはやや詳細に申しますると、選手の出場を斡旋するに関して振興会が連合会に総経費の一部として負担するいわゆる分担金であるのであります。従いまして斡旋に要する実費ではないのであります。主として連合会の経費を賄う收入は賦課金と斡旋料、総予算を一〇〇%といたしましてその中で賦課金は七〇・六%、斡旋料は二一・三%になつておるのでありますが、賦課金は振興会の收入でありまする三%の交付金に応じて分担させておりまするし、それから斡旋料は開催手続の都度納入する負担金なんであります。従いまして選手に関する各種の経費と、それから斡旋料の收入とは直接の関係はございません。連合会の收入として直接選手から徴收するものは單に選手の登録手数料の年額約百八十万円のみでありまして、これは総予算の約一%に当つております。なお、本年度予算中直接間接に選手に関しまして支出する概略の使途と、その金額は別表の通りでございます。別表を付けてありますので、御覧頂きたいと思います。その前にちよつと申上げておきたいのは、この三角の印が付いておりますのは概算の金額を算出いたしております。選手の奬励費といたしまして三百万円、これは褒賞制度に充当いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/38
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039・島清
○島清君 ちよつと小西さんお待ち下さい。資料はどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/39
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040・小西要
○参考人(小西要君) 自転車振興会連合会昭和二十七年度予算における選手関係支出予定額に関する件という資料を差上げてあります。選手の奬励費は三百万円でありますが、これは優秀なる成績を挙げました選手に奬励金その他を出しております費用でございます。それから特別の競輪賞五十万円、これは優秀なる選手の表彰に特に充てております。それから選手の訓練費でありますが、これは千三百二十万円、選手訓練のために日本サイクリスト・センターの維持費に使つております。それから競輪科学研究費三百三十万円でございますが、これは選手が走りますときの風の抵抗その他を研究いたすために、風洞の実験による選手の競走の方法を改善いたしたいと思いまして、映画その他をとりまして研究を進めて参つております。この経費であります。会議費五十万円、選手の競輪開催中における管理方法等を研究いたしまするのに各振興会の役職員を呼びまして会合いたしまする費用でございます。人件費七百八十万円、当連合会におきまして直接選手に関係する事務を管掌いたしておりまする各課の人員及びその人件費でございます。その算出は大体使用人員に応じて出した概算額でございます。これは登録課に関するものは一括いたしまして二百四十万円。これは選手の登録を扱つております。男女十四名を使つております。配分課といたしましては二百八十万円、これは選手の出場に関する斡旋事務をやつております。男女十六名を使つております。管理課百六十万円、選手の褒賞、罰則、福祉等をやつておりまする事務でございますが、男女五名でございます。それから選手互助会の仕事をやつております、これが百万円、選手の災害補償、厚生等に関する事務の従業者で男女六名ございます。事務費は四百万円であります。選手関係の管掌各課におきまする事務費の概算でございますが、内訳を申上げますと、消耗品は五十万円、通信運搬費として百五十万円、交通費百万円、印刷費百万円、予備費として五百万円別にございますが、これは選手互助会の経費に充てる額でございます。以上を合計いたしますると三千七百三十万円の概算になるのでございます。お答え申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/40
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041・島清
○島清君 只今の資料はもう少し時間をあれして検討してみないと何ですが、今小西さんの御説明の中で斡旋料は選手から徴收するものではないと、別からとるのであるから直接選手の負担する費用じやないからこれは選手とは関係ないのだというような意味の御説明がありましたが、私は選手が負担するとか負担しないというような対立関係に立つて物を申上げておるのではなくして、私は競輪というものは競輪施行者、それから振興会、選手と、これが一体になつて、大なる目的は地方財政に寄与するということと、それから自転車の改良等にあつて、これに寄与するというようなこと、更に選手側が要望しておられまする自転車競技を高めて行くということにあろうかと思いまするので、そこで連合会は、その振興会の連合体として公益法人の認可を受けてその仕事をしておられる、従いまして全体が打つて一丸となつて逼迫枯渇しておる地方財政に寄与するという目的の一つのために協力し合わなければならんのでございまして、従つて、その斡旋料というものが直接に選手から徴收しないから、これは選手のほうとはそう関係が深いのではないというような御議論はどうかと思うのです。ただ公益法人といたしまして、その仕事を遂行されておりまする連合会が、二十六年度は八百万の繰越をやつておられる。更に選手を斡旋することによつて、外部的には何か知らんそれの、通俗的な言葉で申上げますると、ピンをはねておるのではないかというような印象を外部に与えておるということでございまして、若しあなたたちが周旋、斡旋料として予定されておるものが或いは選手に返り、或いは自転車改良のほうに返り、或いは財政のほうに返るといたしまするならば、自転車競技のほうの趣旨からしてよろしいかと思いまするが、いずれにいたしましても、一つの目的のために努力し合つておるわけでございまするから、直接に選手が負担をしなくとも、選手をあつちに動かし、こつちに動かすことによつて得るところの收入であることには間違いありませんので、これは世間的に言つて斡旋手数料をあなたたちのほうも謳つておられまする通り、要するに昔で言いますると、労働者を動かすことによつてその斡旋料を取るということと、いささかも私には違いないように思えるのでございまするが、そういうふうな解釈をして了解するということは小西さん少し何か酷でございましようか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/41
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042・鈴木茂七
○参考人(鈴木茂七君) 只今島先生から御質問でありまするが、私たちのこの予算の立て方に対しましての御批判、御意見だと思うのでありますが、現在私たちが連合会の予算を、最初競輪が出発する当時からいろいろこういう問題が、字句が使われておりましたので、この点を踏襲しておりますのでございますが、成るほど島先生に言われてみると御尤もな点もあると思うのであります。で、競輪がまだ始まりまして歴史が非常に少いものですから、いろいろの点に矛盾はたくさんあると思うのであります。今後大いにこういう点は改めて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/42
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043・島清
○島清君 これはまあ鈴木さんは非常に虚心坦懐に御答弁に相成つたので、大変に私は満足しております。その一つの目的のために、一つの最善な方途と最高の手段を選んで、その実現に邁進したいというのが、委員会の改正法案と取組んでおる姿でありまするからして、あなたたちのほうもそういう点は虚心坦懐に一つ直して頂きたいと、そういう御答弁を頂いて非常に満足でございまするが、もう一つこの前小西さんにお伺いいたしましたときに、選手の会を育成して行きたいと、指導して行きたいと、今は弱体であるから、境野委員から御質問のあつたときに、一体登録権なんというものは他のほうに移転が可能であるかどうかと、その選手会のほうが能力があると認められたときにはそれが移転可能であるかというような御質問に対しては、あなたは弱体であるから育成強化を図りたいというようなお説でございまして、更に私がその選手の強化をお図りになるという立場でありながら、選手が個人個人の百円ずつの月額の負担を選手会長の会合できめて、これが徴收に対して連合会側は非協力の、わざわざ非協力の通達をしておるのではないかと、こういうような質問を申上げたときに、小西さんは非常に内部において選手が金を扱うということは外部によくない印象を与えるので、そういう通達を出したのだという御答弁でございましたが、私その当時、どうも私たちは了解しにくい、御答弁であると申上げておいたのでありまするが、この点についてもう一回お伺いしたいのでございまするが、あの通達は各地区の振興会も忠実に履行いたしましてやつておるわけでございましようか、どうか。更に私がこの前、御質問を申上げて数日間たつておりますので、又はあの通達を撤回をされまして、成るほど月に一回ぐらいの、選手諸君が自主的に会費を集めるということは、そう不自然でもないので、これは協力したほうがよくないかというような心境にお変りになつていないかどうか。ちよつと御説明を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/43
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044・小西要
○参考人(小西要君) この問題につきましてちよつとお答え申上げます。先日、通牒の面につきましての私の説明が多少足りませんので、その点を補足させて頂きたいと思いますが、選手会が金を集めますることについては、我我は何ら異議はないのでございまして、ただ競輪場内においての問題は、暫らくの間は従来の規定がありますので、中止するようにということを通達いたしました。なお今後の処置につきましては、只今いろいろ我々関係者で考究中でございますので、いま暫らくいたしましたならば、適当な方法を以て協力するなり助成するなりでき得るのじやないかと考えております。只今その程度のお答えしかいたしかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/44
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045・島清
○島清君 私の聞いた情報によりますると、或る振興会におかれましてはその程度の協力を忌避するようでは、選手の協力は得られない。そこで或る振興会においては、連合会の通達をむしろ拒否をしておるというふうに聞いておるのであります。従いまして、折角連合会のほうも通達を出されて、それが十二分に拳々服膺され、そうして実行されてないとすると、その威嚴にもかかわりましようし、又誰が聞いてもその程度のものに対して協力しないということを聞かれたのでは、如何に口先の上では選手会の育成を図るのだ、その強化を念願しておるのだということを言われましても、ただそれは口先ばかりであつて、裏腹は違うのだ、こういうふうな誤解をされないとも限りませんので、願わくば結論といたしましては、その程度のことは振興会が進んで協力をするというふうな態度に最後的な結論を持つて行かれることが、競輪の健全なる発達を念願しておりますところの関係者の愁眉を開くゆえんだと思います。折角考究中というような御答弁がございまするので、これ以上は私は申上げませんが、願わくば、連合会におかれましても、この程度は欣然と喜んで協力をするというふうな態度に持つて行かれまするように希望しておきます。この百円の問題はこの程度にとどめておきます。
この際私は、通産省側にお聞きしておきたいと思いまするが、今連合会のほうで選手を千人殖やそうということは非常に選手側にシヨツクを与えまして、今ですら選手の諸君は競輪場の数と現在の選手の数とを比較いたしました場合に、必ずしも選手が足りないとは言えない、むしろ選手側のほうが余るぐらいだというふうな考えを持つておりますところへ、連合会のほうが千人も殖やす、こういうような計画を立てられておるので、今あなたもお聞きの通り、私、連合会のほうに聞いたわけでありまするが、連合会側といたしましては、自然にやめる選手の諸君が六百何名もおるというので、その補充だと、こうおつしやつておるわけでございまするが、通産省側といたしましては今新設の競輪場は成るべくこれを許さないという方針をとつておられるようでありまするが、現在の競輪場以外に殖やさないといたしまするならば、選手の諸君が安んじてその技を磨き、そうして競輪に一生懸命になるという定安した線は選手が何人くらいあればよろしいとお考えであるかどうか、そこらをちよつと御説明を願えたら幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/45
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046・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 只今のお尋ねの問題は、選手の数の問題、それから一競輪場当りの開催回数の問題、それから選手に対しまする参加賞その他の給与の問題、こういうものと総合的に考えるべき問題かと思います。私どもといたしましては、選手はやはりこれは登録をされました以上は、まあ毎日練習をし、專業にならざるを得ないという関係もございますので、少くとも、一般の労務者なり選手の年齢その他から考えましての生計費なり給与ペースというふうなものを考えまして、登録されておる選手につきましては、最小限度の生活は維持できるということを頭に入れましてこの選手に対する給与を考えるべきかと思います。なお選手の数の問題につきましては、只今のところ積極的にこれを大幅に増加するということは、私どもとしては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/46
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047・島清
○島清君 ここに選手を大幅に殖やそうというお考えであるかどうかということを私お聞きしておるのではなくして現在の既設競輪場の数と選手の数とを睨み合せた場合に、選手側のほうの意向を聞いてみますると、もう現在の選手で、現在の競輪場であればむしろ選手は余つておるのだ、こういうような意向を持つておるわけです。そこで、選手がそういう不安の念を持つておるときに、たまたま千人の検定登録選手を殖やそうという連合会の方針ですが、吉岡部長にお聞きしたいのは選手諸君がそういう不安を持つておるが、この不安が解消するように、この程度のことでこの程度の收入が確保できるのだというような具体的な説明が伺いたかつたのであります。その説明がなされなければそれでよろしいのでありまするが、この前、何か吉岡部長は現在A級の上のところに競輪選手の全体の生活があるような御説明をしておられましたが、私がこの前競輪選手の諸君に競輪選手の生活の実態を少し知らしてくれということを要求いたしまして、ここに出ておるようでありますが、それで見ますると、非常に驚くほど低いので、従いまして選手の諸君が連合会のほうで千人殖やそうというのに対しては、自分たちの生活の防衛の建前から、これは動物本能からいたしましても直ちにピンといたしまして、生活防衛のこれは行動に移ると思うのでありますが、そういたしますると、その不安の中においては競輪の発達というものは非常に困難じやないか、私はこれを心配しておるわけです。ですから、もつと具体的に選手諸君の不安を解消し、そして競輪でも絶対に殖やさんなら殖やさんという方針であるとかいうような、そういう方針をお示し願えれば大変によろしいかと思いまするが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/47
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048・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 具体的ということになりますと、これは大変むずかしいわけでございますが、少くとも平均いたしまして選手の收入を現在より低下する、そういうことがないような形におきまして考えて参りたいと思います。現在の收入につきましては我々の調べました程度におきましては、ほぼ仮にこれを一般の労務者等の賃金と選手の年齢相当において比べまするならば、必ずしもこれよりも低い、一般労務者の收入よりも低いということは言えないかと思います。ただ勿論普通の労働者といろいろ違う面もございますし、一面参加賞以外の賞金の制度もございますので、これらの点を考えまして、今後御趣旨のような点について十分考えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/48
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049・島清
○島清君 折角のお言葉でございまするが、この前私が資料の提出を要求いたしまして、各委員の手許にも配付されておりまするので、東京選手会の二十六年度收入実態調査表というものがここに配付されておりまするが、それを見ますると、二十五万以上五十万以下の選手の諸君が東京選手会においてはA級の人が三八%もあるのです。それからB級の選手が十万円以上十五万円以下のものが二七%占めておるというような形は、私はこれ自体から見ましても、一般の労務者以上と言えないと思うのです。更にこれに選手諸君はあつちこつちの地方へ出かけて行くのでありますからして、やはり参加賞でございまするか、それで頂きましたものじや足りないので、従つてそういうものから必要な経費を出して行きますると、これは私は遙かに一般の労務者以下だということが言えることと思うのであります。收入の面におきましても、そういう一般の労務者の收入とおつかつであるといたしまするならば、生命をかけてやつておりまするところの競輪選手に対して、それはお前たちの不安を解消して、そうしてこれに精を出せということ自体が非常に無理なように思えてしようがないのです、只今はそれはおつしやれなかつたらおつしやらなくてもよろしうございますが、こういつたような実情に鑑みまして、どうか一つ健全な競輪の発達を折角念願されておると思いまするし、そういう方向に指導の要点を置いておられると思いまするので、そこらに十二分な配慮を煩わして、成るべくならば、選手の数は今より以上は、もう競輪場は今より以上殖やさんという方針を堅持して行く、そうして又自然にやめて行かなければならない選手を補充して行かなければならんというなら、これを最少限度にとどめる、そうして現在の登録選手の生活の安定を先ず図つてから次のことをお考えになる、こういつたような方向に持つて行かれたいということを私は希望を申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/49
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050・境野清雄
○境野清雄君 途中から私は参りましたので、初めのほうのお話を聞いておらなかつたのですが、今島委員からお話がありましたので、その問題に関連して私のほうの考え方を申上げたいと思うのでありますけれども、今島委員のお話によりますと、選手数を増加するということは、現在の選手諸君の生活をおびやかすのじやないかというような御議論であり、併せて新らしい競輪場を新設しないのなら、選手数の増加ということは、現在の選手に対しては非常な脅威だろうというようなお話だが、私はこれはもう全然逆な考えを持つておるのでありまして、選手数は増加することを是非私はやつて頂きたい、こういうふうに考えております。これは特に今日全国の競輪施行者協議会のほうから出て来ておりますので、施行者協議会のほうのかたにお聞きしたいのでありますけれども、現在通産省がやつております開催回数の制限というものに対しては、施行者協議会としては全面的にこれは私は賛成を表しているのじやないと思うのであります。大体開催回数の制限というものをやられることは、非常に施行者自体としては苦痛な問題である、こういうように考えておるのでありまして、私どもは、これは一つの例でありますが、若しでき得るならば開催回数の制限はせないで、若し関係の指定都市に貸すというような場合が起りますなら、施行者自体は十二回やる、又併せて指定都市には六回なら六回貸すんだ、そうして一カ年十八回やる、こういうようにして、現在の六十カ所足らすの競輪場を生かして行くということのほうが、私は現在の開催回数の制限というものは即選手数が不足しておるからどうしても開催回数を制限しなくちやならんのではないかというようなことになりますので、むしろ選手の数を増加して頂きますならば、この開催回数の制限というものも或る程度何とか妥協的な、もう少し施行者自体が困らない形でやつて行けるじやないか、こんなふうに考えておるので、私自体から考えまするなら、選手数はもつと増加させて頂くほうが、開催回数の制限という問題にもからまつて来る、又選手自体としましても、そのほうが今の私は五千三百人か四百人のものでは、どうしてもこれは不足しておるのではないか、私の案で行きますならば、七千名以上のかたがおられまするなら、開催回数の制限という問題も、もう少し妥協的のものができるというような考えを持つておるので、島委員のおつしやるほど、私は選手の数が増加しても心配ないじやないか、こういうようなふうに私は考えておるのであります。この点については、のちほど施行者協議会のほうからも一つ御意見を承わりたいと思うのであります。
なお、今度選手の收入実態調査というのを頂戴しまして、まだよくは見ておりませんが、私どもの手許で調査したところによりますと、大体一カ年間の平均所得額というものは、A級の選手におきましては、月四万三千三百九十五円という数字が出ておるのであります。これはレース賞金が二万八千六十七円、参加賞が一万五千三百二十八円というもので、合計が四万三千三百九十五円、B級の選手が、レース賞金が、一万四千四百十一円、参加賞が一万九百七円、合計二万五千三百十八円、女子の選手がレース賞金が一万九千四百七十一円、参加賞が一万四千七百八十七円、合計三万四千二百五十八円、こういうような数字が出ておりますので、私どもから考えますなら、平均所得が非常に低いということは私は考えられない。若しこれに難点があるといたしますなら、賞金そのものの制度が何か難点がありまして、そうして下に薄く上に厚過ぎるのだというようなことじやないかと思うのでありまして、こういう面は一つ再度委員会として現実の問題をとらえて再検討してみたい、こういうふうに思うのでありまして、決して選手の收入実態調査というものを先般どなたか選手から証言のありましたような二十五万円一年に取りましても、二十万円は経費にかかつてしまうというような数字は私は頭から納得でき得ないのでありまして、そういうような点から行きますなら、今のA級、B級、女子というような選手諸君の平均收入というものでなく、上下を一つ調べて頂きまして、そういうものによつて、多分この選手の收入実態調査というものを見ればわかると思うのでありますけれども、こういうような面で一つ変えて行かなくちやならん問題が出て来るじやないか、これは私の意見でありまするが、先ほど申上げました選手数の問題に関して一つ施行者協議会のほうから開催回数の制限と併せて御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/50
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051・島清
○島清君 その前に境野委員と私とは改めてここに改正法案が出たときに意見があるならば討論をするのが当り前だと思いますが、ただ私の希望意見に対してすぐ反撥をされましたので、この際私の意見を申述べて置いたほうがよろしいかと思いまするので申上げまするが、今競輪場が六十カ所あるといたしまして、現在五千百八十三名の選手がどのくらい出られるかというと、月に大体二・〇〇二回出られることになつておるんです。そうしますると、参加賞だとか何とかというものを入れまして、ここに出ますのはA級の人が一万二千円、それからB級の人が六千八百円、女子が六千八百円という数字が出ておるんです。こういう一カ月の收入で各地方を廻らなければやつて行けないという選手の生活の不安というものはこれは推して知るべしでございまして、現在以上に競輪の回数を殖やして行くという前提のものとであれば、これは競輪場が殖えたとも同様でございまするから、そういう前提の下に御議論をしておられるといたしまするならば、私が通産省に希望いたしました意見とは少し立論の根拠が違いまするので、むしろ私の議論を肯定されたようにも思いますので、そういう意味で私の説明が足りなかつたといたしまするならば、ここに補足をいたしまして説明をして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/51
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052・田邊光次
○参考人(田邊光次君) お答え申します。島先生の御意見、境野先生の御意見、それぞれのお立場におけるところの御意見はいずれも御尤もな私は御意見だと拜聽いたしました。島先生の御意見に対する私の考え方といたしましては、選手の数というものをこれ以上殖やさないでということでございますが、私はそういう点につきましては現在の競輪場を現在の数より殖やさんというような、大体現在の競輪場というものを対象として選手の数を考えますならば、私は選手は多過ぎるように思います。その点は同感であります。私のほうの調べによりますと、A級が一回七分七厘、B級が一回六分四厘というように施行者協議会のほうではなつております。私はこの前一月を六日で暮すよい男と申し上げましてちよつと言葉が問題になつたことがあるのでございますが、六日で最低の給与も全部保障して食つて行けるように十分やれということをするということは、私はちよつとこれは困難じやないかと思うのでありまして、根本問題が二回乃至二回半くらい出れるくらいにして置きますれば、選手のほうも或る程度の收入があり、それに伴いまして生活権も安定して来るというふうに考えますので、そういう観点から見まするならば、選手は、私は二回以上、少くとも二回半くらい出して頂けるくらいの数に大体置くことがお互いによろしいんじやないかというふうに考えられるのでありますが、ただまだこれから選手を目指して非常に熱心に練習して選手を待望しておるような新人もありますから、刺戟の意味におきましてこういう新人も多少入れて行きましてやることをフアンも渇望しておることでございますから、全然現員を抑えて、あと新規採用はせんという方針をとるということも如何かとは思いますが、そこらは調節上のむずかしい点もあると思いますが、選手の数と競輪場の数というものとの睨み合せの考え方は、いま少し選手を減らしたほうがいいというふうに私どもは考えるのであります。選手が安んじて後顧の憂いなくその職分に邁進するというような安定線を確保さして頂けるということは、私は実に公正明朗なレースを展開する上におきましても重要な事柄でございまして、こういう意味から現在の選手に報いる施行者側としてのやり方そのものにおきましても、相当検討の余地があるものも残されておるというふうに私どもは現在考えておるのであります。例えて申しますならば、選手が傷を負つた、傷害した、或いは死にましたというような場面もときにありますけれども、あれだけの荒仕事をする選手でございますから、さらに負傷するというような事柄もありますが、こういうときに報ゆる施行者側の方法といたしまして、よく車券が売れて收入の増大する所の競輪場は或る程度の満足すべきお報いもできるわけでございますが、売れない所におきましては、大して顧みられないというような現状があるわけでございまして、選手から見ますとこういう点は甚だ矛盾、或いは不満足な点であろうかというふうにも私どもは考えまして、こういう点を調節いたしまして何とか一定の規格を設けまして、そういう方面につきましても応分に公平化するところの御協力をいたしたいというふうに事務局におきましても考えまして、今折角そういう案を考究中でございますから、どうかそういう点を御了承頂きたいと思います。
それから境野先生の申されました点でございますが、これは選手を大いにいま少し殖やしてもいいんじやないか、選手が殖えれば、勢い開催回数、生活権の問題等も立ちどころに出て来ることになりますから、そこで開催回数の制限というようなものも或る程度緩和して、どんどんやられたらばそのほうが施行者もよし、選手もよし、すべてのものがいいんじやないかという御意見でございますが、施行者側から見まするならば、開催回数を殖やして頂くことでございますならば、誰一人これは異議あるところでなく、満腔の賛意をまするところでございますが、競輪が社会的に及ぼす諸般の諸情勢等を勘案して、まずまずこのくらいにして置けというような通産省の意図も我我わからないわけではございませんので、この点につきましては、この委員会等の国会の代表の諸先生によりましてこれは解決して頂く分野でございまして、私どもはこれに対しまして、通産省もお見えでございますし、我々の立場ばかりを述べるというわけにも参りませんでございましようから、高いところにおきまして御高裁を頂くならば我々は結構だと思つておるわけであります。一応申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/52
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053・境野清雄
○境野清雄君 今施行者側からいろいろお話がありましたので、関連して一つお伺いいたしたいのですが、大体先般選手諸君に当委員会で証言をもらいましたときに、選手の身分保障といいますか、生活保障といいますか、そういうような問題が相当うるさく出ておつたようでありまして、私どもが従来聞いておるところによりますと、例えば川崎競輪場で負傷をしたというような場合に、現行の補償といたしましては川崎競輪場において、その川崎の施行者におきましてその治療費だけを出す。併しながらその選手は次の配分としては大宮へ行つておるが、大宮の競輪場には出られない、こういうような形になつておる場合に、治療費だけをもらつておりましたのでは、例えばA級の選手諸君にすれば三日間大宮で出ますれば六千九百円、約七千円ばかりの收入が参加賞だけでもある、この参加賞の七千円ばかりのものをもらいませんと、家庭の生活というものに私は直ちに影響するんじやないか、病気をしまして、怪我をしましてその治療費だけをもらいましても妻子は食つて行けないのでありまして、そういうことは私はいわゆる補償制度の確立ということには、選手諸君がこの点を相当強く主張しておつたのじやないか。こんなふうに思つておりますので、若しそういうような、今の施行者側からのお話のようなものがありましたならば、是非私はこういうふうなものに関しまして、大体休んでいる間の参加賞に該当するくらいなものは、次の配分されている競輪場なり、或いは事故を起しました競輪場なりが半々で負担をするというようなことにでもして頂かんと、実際先般選手諸君から聞いたような話で行きましては、怪我そのものは癒るが、妻子は食つて行けないのじやないかというような結論が出るのではないかと思うのでありまして、その点は若しそういうような補償制度になつておりますならば、一つ近い時期におきまして、競技会のほうで御相談願つて直して頂きたい、こういうふうに思うのであります。その辺に対する御意向は如何でございましようか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/53
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054・辻松一
○参考人(辻松一君) 只今の先生のお話は、大体生活保障の問題と災害補償の問題との二つあると考えられるのであります。先ず生活保障の問題についてちよつと申上げたいのでありますが、これは一応本来の選手は自営者でありまして、被使用人の関係はないのであります。従いまして全面的にこれを保障するというようなことはちよつと考えられないと思うのであります。併しながら実際上の面から見ますると、選手は異つた施行者と連続をいたしまして出場契約を結んでおり、而も現在の選手の数は大体におきまして全体六十カ所の競輪場を行うのに絶対必要の数であるというふうに一応考えられるのでありますので、従いまして完全な生活保障でなくて、生活保障の観念をこれにとり入れまして考えなければならんように私ども考えているのであります。従いましてそういうような意味におきまして、現在参加賞というようなものは、私どもの了解する範囲におきましては、これが十分であるかどうかということにつきましてはいろいろな議論があると思うのでありますが、そういうふうな観念をとり入れて実際はやつているわけでございます。なお少し具体的に亘りますが、これらの点についていろいろとお話があつたのでございますが、二十七年の三月現在の参加賞につきまして見ますると、これは三月一月だけでありますので、年間を通じての例になるかならんかはちよつとむずかしいと思うのでありますが、A級におきましては二回の配分を受けておりまして、その平均総收入は参加賞だけで一万八千四百円ということに相成つております。そうしてB級におきましては二回三分の配分を受けておりまして一万五千二百八十円、女子におきましては二回六分の配分を受けておりまして一万七千百六十円というふうに相成つているのでありますが、ただこの分から選手は自分の持つている自転車の原価償却をもして行かなければならんし、或いは又大体二回と申しますと約八日間乃至九日間そこで宿泊しなければならん。七百円にいたしましても八日間としまして五千六百円の宿泊料を払う、こういうものを差引くわけでございますので、そういう費用も入つているわけでありますが、大体におきまして一応この額におきましてのいろいろの考え方はありましようと思いますが、そういうふうな点で一応考えているのでございます。
なお、災害補償のことにつきましては、大体従来におきましても死亡、傷害等につきまして一応の基準を設けていたしておりますのがありますが、この点につきましては、実は私ども大体におきまして施行者のやつている分と振興会のやつている分とありますが、施行者の分につきまして申しますと不十分な点が非常に多いということを率直に認めざるを得ないのであります。これらの点につきまして、実は昨年の九月から各施行者においての取扱い状況につきまして調査をいたしているのであります。一応この問題は選手のかたがたに重大な関係をもつ問題であり、又同時に公正明朗な競輪をやつて行く上において、施行者といたしましても十分検討をしなければならん問題だと考えますので、今回我々の考えておりますのは、一応の労働基準法を参考といたしまして、これに近い程度のものを一つ考えて参りたいと、かように考えて目下いろいろ成案を急いでおるような状況でございます。なお、この点につきましては、通産省から指導を頂きまして……ただ私どものほうでは会の性質上全体の会をできるだけ早く開きまして、できるだけ早くというような基準を関係方面と折衝を遂げまして作りたいと、かように考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/54
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055・境野清雄
○境野清雄君 今の問題に関して通産省のほうの御意向も承わるというようなお話でございますけれども、通産省自体の御意向は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/55
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056・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 只今辻事務局長から述べましたのと大体同じ考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/56
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057・境野清雄
○境野清雄君 丁度いい機会ですから私のほうから施行者と連合会のほうへ合せてお伺いをしたいのでありますけれども、私は先ほど来選手の收入実態調査その他を頂いたのでございますけれども、前にこの各選手の級別というものはA、B、Cと三つに分れておつたと……、私はむしろ今日の選手諸君の情勢から見ますならば、これはむしろA、B、C、Dと四つに分けるほうが妥当ではないか、併し連合会自体としては、これを四つに分けられましたときには、必ずC、Dというものに対する賞金なり、参加賞なりが従来より低くなりますと、選手の收入実態というようなものに大きな影響を来す。そこで施行者側が賞金を増してくれる、言い換えますならば今のB級のすそであります参加賞なり、その他のものを次の四段階に分けたD級の人にこれだけのものなり、これに近いものを出してくれるのなら、むしろ私は競輪の今後の運営というような面に対しては、四段階級くらいに分けたほうがいいのではないか、こういうことを私は従来から非常に強く考えておるのでございますけれども、たまたま連合会、施行者の両者のお集まりを願つたので、そこで私はそういうような問題に関して両者の御意見を承わりたい。連合会が若しそれが是である、私の申上げるような賞金増というようなものによつて解決できますならば、私は施行者のほうでそういうものが出し得るかどうかという点をお聞きしたい。合せて先ほど川崎の経済部長さんからもお話のありましたように、それはあなたのほうでは一率には行かないのだ、こういうことに多分なるのだろうと思いますので、若し一率にならん場合には、競輪場自体に対しましても、このA、B、C、Dの四段階をつけてもらい、合せて選手諸君のほうもA、B、C、Dの四段階をつけてもらいまして、そうしてAの階級はできるだけ、今よりもつと余分の賞金を増して頂けるというような形態にもでき得るのではないかというふうにも考えておるのですが、先ずその点連合会から御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/57
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058・石坂善五郎
○参考人(石坂善五郎君) 只今境野先生から選手の級別を四段階程度に設けたらどうかという御意見であつたのでありますが、従来は男子におきまして三階級、女子におきまして二階級に分れておつたのでありますが、昨年の春頃でありましたか、男子についてA、Bの二つの階級に引直したのであります。これはレースを編成する上におきましてやりいいということと、それから従来C級でありました新人選手が約一年間出場いたしておりまして、相当足も上昇しておる、こういう点から考えまして、A、Bの二つの段階にいたした次第でありまして、併しながらこれは詳細に分ければ各人とも実力の相違が多少はあるのでありまして、何段階がいいかということにつきまして、なかなかむずかしい点と、それから選手の斡旋の難易という点がからんで参りますので……、こういうふうに考えております。四段階程度がレースの編成上におきましても四段階程度に分けたほうがいいんじやなかろうかというふうな考え方で目下研究中であります。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/58
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059・辻松一
○参考人(辻松一君) 只今の境野先生の御質問にお答えをいたしたいと思います。それにつきまして一応現在の選手の收入につきまして調べたことをちよつと申上げたいと思うのであります。実は昨年の一月から十二月までの選手の賞金の大体の状況を、これは平均でありますが、調査をいたしたのであります。これによりますと全国の車券の売上高が約四百八十七億一千四百万円でありまして、そうして選手の賞金に出しました金額は二十一億八千五百万円と相成つております。で大体これを賞金別に見ますると、いわゆる普通の賞金で出しましたものが約十三億二千二百七十万円。それから参加賞におきまして出しましたものが八億六千二百五十八万円ということに相成つておりまして、これを選手の大体の一人当りの平均について見まするというと、年間を通じまして大体平均が三十九万九千七十三円というのが平均額になつておりまして、これを月割にいたしますと三万三千二百五十六円ということに相成つております。これを参加賞と普通賞金にして見ますと、普通賞金におきまして二万六千円強と、それから参加賞におきまして平均が一万三千百二十六円というふうなことに相成つておるのが現状でありまして、これは売上げの総額に対しまして四五%、施行者の收得金に対しまして一八%と相成つております。なお二十六年度におきまする賞金総額は右のような状況でございますが、これは御承知のように中止後のひどい制限開催の状況でありまして、昨年の十月までは大体におきまして最も大きな競輪場は大体四日開催で参つておるというふうなそういう制限下におきましての賞金でありまして、これを先ず本年の状況について考えて見ますると、丁度昨年の十二月全国一斉に六日制でやつておりましたので、大体十二月の賞金というものを基礎といたしましていろいろと推定をいたして見まするというと、賞金の大体一人当りの平均は四万一千円ぐらいになるのではなかろうかと思うのであります。多分四万一千円の賞金額が多いか少いかということについては、いろいろ議論があろうと思います。又我我も選ばれた五千人の選手でありますので、相当これは高く評価しなければならんというふうにも考えておるのでございます。なお、賞金の問題を、もう少し四段階にして、そうして上げたらどうかというふうなことでございまするが、選手の生活の安定ということが極めて重要な問題でございますので、いろいろと四段階若しくは賞金の増額というふうなことにつきましても十分一つ検討いたしまして考えて見たい、かように考える次第でございます。何しろそういう問題になりますと、一応総会に諮らなければ責任あるお答えができないのであります。できるだけ選手の生活の安定ができまして、そうして一つ安心をして走つて頂けるような状態に持つて行くことができるようにあらゆる点から賞金の問題も十分検討をいたしたいとかように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/59
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060・境野清雄
○境野清雄君 通産省にお伺いいたしたいのですが、先般来私どもが選手諸君或いは振興会、今日も又施行者という方面の御意見をいろいろ承わつたのですが、どうもいろいろ考えましても、三者の間に相当食い違いがあるということは、もう委員の諸君も認めて頂いておることだろうと思うのでありますけれども、従来施行者と振興会、選手というものの三者が一堂に会しまして、お互いに忌憚のない意見を述べるとか何とかいうような措置は通産省として講じておつたのかどうか。又若し講じておらないといたしまするならば、今後一つ通産省の音頭とりで振興会とそれから施行者と選手というものをときどきお寄せ願つて、そうして意見の完全な交換をするその斡旋の労を私はとつて頂きたい、こういうふうに思うのでありますけれども、その辺如何ですか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/60
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061・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 施行者と振興会との関係につきましては、施行者の会合には必ず振興会の代表者を出席せしめ、又振興会の会合には辻事務局長に必ず出て頂く、こういう仕組みでやつております。勿論私どもは両方とも出席いたしております。それから更に通産省、連合会、施行者協議会の間におきましては、特に最近においてお互いに十分この中央団体間の意思の疏通を図る必要があるという考えを以ちまして、昨年の暮あたりから毎月一回定例的に会合をいたしまして意見を交換し合うということにいたしております。
それから選手の問題は、率直に申上げまして従来これはやや振興会、特に連合会がこの責任を負い過ぎておつたという感じがいたします。選手に対する給与の問題その他は、これは振興会というものは御承知のように大体におきまして施行者から運営に要する事務の委任を受け、又それに必要な交付金を受けまして実務をやる機関でありまして、例えて申しますと選手に対する給与をどうこうするという問題の処理ということになりますと、これはどうしても施行者が実質的の負担者になる、こういう関係であります。ただ従来いろいろな関係からそういう形になつておりましたのでありますが、これでは適当でないのじやないかという考えの下に今後は御趣旨のような点について十分考えたいと思います。なお先般来特に選手の実際の生活の実態なり又多数の選手の実際の希望等を十分に反映して頂く意味におきまして、各地方別に振興会と選手との懇談会を定例的に開催いたしまして、これには関係の施行者、通産局等も必ず出席するようにということを指示してございますので、現在そのように運営されておると思いますが、今後なおこれらの制度を通じまして十分に御指摘の点については考えて参りたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/61
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062・境野清雄
○境野清雄君 従来今のお説によりますと、施行者と連合会とは緊密な連絡をとつておられる、そうしてそれを通産省が指導しておられるということを承わつたのでありますけれども、私どもはその点いささか納得でき得ないところがあるので、いつも私は施行者のほうと連合会と寄つたものは、儀礼的な問題で私は寄つておるのじやないか。と申しますことは、これはいつも起る問題でありますけれども、今日ではいわゆる弱小競輪場というようなものが松本一カ所になつたようでありますが、従来彌彦や松江にありましたようなときにおきましても、振興会の連合会としては弱小競輪場は廃止するほうが是なりということは、最初当委員会においても証言せられており、施行者のほうはこれは維持育成してもらわなくちや困るんだと、こういうような問題がいつも解決しないように、私どもは対立的な意見なように考えておる。又競輪場の登録というような問題に関しても、これは完全にお話合いがついておらない。三%の率にしましてもこれはいつも完全にその話がついておらないので、私はゆくゆく一番心配しておりますのは、各地区の振興会と施行者というようなものの間が、施行者は三分の一よりも低い点、自分のほうでやればやがて二・五でできるのじやないかとか、二でできるのじやないかというようなことがどうも振興会と施行者との間にトラブルが起る何か癌のようなふうに私どもは考えを持つておるのでありまして、若し従来のようなこの施行者と連合会との懇談会をやつておりましたなら、一つそういう点も通産省自体でも勿論お気付きのことだと思うのでありますけれども、間断なく御意見をもう少し交換さして頂きまして、そうして表面にこの両者がそういうような懇談会をやつているということを無視したようなことが出て来ないように一つ御指導願いたい。併せて従来から聞いておりまするこの選手諸君というものが、まあ言い換えますならば連合会の隷属的なものだというような扱いを受けておるやに聞いておりますので、これも一つ三位一体というような形から言いまして、施行者と連合会と選手の諸君、こういうものも一つ改めてお考えを願いまして本年度の競輪に対しては三者を一体にするように、格段な一つ通産省にお斡旋を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/62
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063・島清
○島清君 選手の問題につきましては、選手会のほうからの要望に基きまして、以来関係者の諸君の意見を聞かして頂いたのでございまするが、大体通産省にいたしましても、それから連合会にいたしましても、選手会のほうの育成を図りたい、そしてそのためには指導も行なつて行きたいというようなお説でございまするが、委員会のほうではさような答弁を頂くのでありまするが、併し外部から、私たちが選手の諸君からじかに受ける情報というものは、委員会の御答弁とは非常に異なるものがあるのであります。例えば一例を申上げますると、余り選手の諸君かそういう国会に強力な要求をすると、世評が高まつて来て、又眠つておるところの競輪に対する批判が起つて来て、結局競輪はつぶれるのであるそ、つぶれたならば一番誰が困るのた、一番困るのは選手の諸君じやないかとこういうふうなことを外部から呼びかけられると、むしろそういうことは選手の諸君からすれば威圧を持つたふうに受取るようでありまするが、幸い吉岡部長にお聞きしたいのは、選手の諸君のそういう動きに対して現在の競輪を危機に陷れるような要素があると思われるかどうか御説明を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/63
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064・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 動きと申されるのは、私実はいろいろな噂と申しますか、いろいろなことをまあ断片的には聞いておりますのですが、私ども承知しておる限りにおきましては、そういう虞れは別にないと思います。どうもそれ以上別段知識がございませんので、お答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/64
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065・島清
○島清君 よくわかりました。選手の諸君が、ここに提示してありまするところの選手の要望事項、それが実現に向つて努力し、結成することについては、何人が競輪の危機を言おうとも競輪の危機はないと、私もそう信じております。若し競輪の危機を、選手諸君が正当な立場において、正当の機関を通じて要望すること自体が競輪の危機を招くものであると説く者がありといたしまするならば、その人こそ、その団体こそ私は競輪の危機を包蔵しておるところのものであると、そう考えます。
もう一点お聞きしたいのは、最近強力な……、振興会の内部において、振興会は相当競輪等のためには貢献をして来たのである、従つてもうここまで発達をした競輪はむしろ施行者、並びに選手諸君に任して、振興会は職場のほうに帰るべきではないかというような意見があるやに聞いております。それは私は最初成るほど振興会ができました時分には、自転車業者の諸君が振興会を結成して、そして若干の出資をなし、そうして配当の若干を期待したかと思いまするが、併しながらでき上つて見ますると、そこに利益の対象にならないところの公益法人というものができてしまつて、ちつとも……何と言いますか、所期の目的とは違つてしまつた、そこで振興会側のほうから、やはり自分たちのほうはその持分に帰つて、職場のほうに戻るべきであるという声も、私は聞えるのは、何か納得できるような気がするのであります。従いましてその声は全体的ではないようでありまするが、この声が強くなつて参りました場合に、現在の振興会がなくとも競輪というものは健全に運営されると思われるかどうか。又その声というものの……何と言いますか、正当性と言いますか、何と言いますか、そういうものについて御説明が願えるならば煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/65
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066・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 振興会も各府県にございますので、個々につきましては、我々も十分現状を以て満足しておるわけではありませんが、併しながら全体的に見ました場合に、私は率直に申上げまして、世間的に考えられておるようなものとは……むしろ実態はそう惡くないと実は考えております。殊に振興会の役員等にも、これはいろいろなかたがおられますが、併しながらその責任者といたしましては、一般的に見まして、現在の他の団体等の水準に比べましても、必ずしも見劣りをしないように考えております。ただそういうかたは、これは個人としては甚だ御迷惑なことでありまして、相当の工場を持ち、事業を持つておられるかたを役員にお願いしておるわけでありますが、併しながら私はむしろ或る意味において、ああいう仕事を迷惑に考えるというようなかたにやつてもらうことが、むしろ適切な面が又あるわけでありまして、振興会を通じて自分の收入所得を図るとか、これを何らかの基盤にするということでは、むしろ困るわけでありますので、どういう意味でそういう御意見が出ているかよく存じませんけれども、むしろ非常に喜んでやつておられないかたにこそ、むしろそういうことをお願いしたいという面も一つお考え願いたいと思います。なお施行者自身がやるということは、やはり一つのいわば興行でありますので、これは地方団体みずからの職員が、これをやるということは適当でないと思います。ただ併しながら一面におきまして、いろいろな世間の批判も受けつつやらなければならん仕事でありますので、或いは純粋にこれを企業、乃至は興行としての成績だけを取上げますならば、或いは民間のそういう興行專門家に任せればそういう意味においては成績が挙がるかと思いますが、併し現状におきましてはやはりこの競輪の運営というものは、常に施行者みずからが自己を反省し、いわばこれを世間に遠慮しながらやつて頂くのが先ず穏当であろう。そういう意味におきましては現在のような形において施行者が運営の最終責任を持ち、その実務は公益法人たる振興会がやつて行く、この形態が適当であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/66
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067・島清
○島清君 実際に競輪を施行いたしまする場合に、いろいろと選手の八百長問題というものが過去においては起つて参つたのでございまするが、その関係からいたしまして、競輪場には、特に関西方面には好ましくないところの人々の介在が余りにも多過ぎるということを聞いております。例えば八百長がない場合でも、八百長だ、八百長だと言つて騒いで、そしてその競輪主催者のほうでこの責任が負えない場合には、よし一つ俺に任せいというような、八百長だというて事件を起さして、そしてこれを自分が責任を負うことによつて生活をしている人々が、大勢ではないでしようが、あるやに私たちは聞いております。そういう問題に対しまして、適当な取締の方針を通産省側は持つておられるか、乃至施行者側におかれましても、この問題に対してどういうふうな対策を持つておられるか、併せてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/67
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068・田邊光次
○参考人(田邊光次君) お答えいたします。とにかく世界に類例のない競技をこれから固めて恒久的なものに仕上げようというその過程におきますところのいろいろな問題が社会に提供されている事実は、我々もよくわかつているわけでございますから、施行者におきましても、又振興会におきましても同様でございますが、私どもは折角この国会でこういう立派な法律を議員提出の下に作つて頂いたのでございますから、この法の趣旨に合致するような一つの模範的な運営を行いまして、この地方財政に寄与するという面につきまして大いに努力いたしたいというふうに熱意を持つて私どもはやつているのでございますが、それにつきましては毎日々々、にちにちが強い反省でございまして、我々施行者におきましても振興会におきましても非難あるところをいろいろと直ちに解剖しては、反省すべきものは直ちに反省して、そうして恒久的なものに固めさせて頂きたい。こういうふうに日々念慮しつつ我我は運営をいたしているわけでございます。従いまして今度のような改正法案を議員さんに取上げて頂きましたことは、私ども心から感謝をいたしているわけでございますが、こういう法案を、折角改正も第七次案を重ねまして、相当立派なものが練られているようにも考えますが、私ども施行者の立場におきましても一日も早くこれを通過させるよう委員の皆様におきましても御盡力を頂きたい。こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/68
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069・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) いわゆる八百長の問題についてお答えいたしますが、最近におきましても甚だ遺憾なことでありますが、選手のいわゆる不正レースは完全に跡を絶つたということは申しかねるのであります。ただこの競輪施行者なり、その他の通産当局からも監督官が参ります、又警備の関係で警察官も常時来て頂いておりますが、こういう人々の知識が非常に進んで参りましたので、レースを見ておりまして少しおかしいというときには直ちに当該レース終了後選手を呼びまして事情を調べることになつております。従いまして最近におきましてはフアンが騒ぎ出しまして不正レースの意味において騒擾を起しておるというような例は殆んど跡を絶つております。それでいろいろな、今申上げましたような面で不正事実が発覚しまして当該選手が処罰されるということは遺憾ながら跡を絶つておりませんが、現在の状況は大体その程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/69
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070・結城安次
○委員長(結城安次君) 島さんの御質問とはちよつと違いやあしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/70
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071・島清
○島清君 違います。八百長屋の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/71
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072・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 従いましてその騒擾的な雰囲気が出るというようなことがありませんので、それを利用して騒ぐということも最近では跡を絶つているように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/72
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073・島清
○島清君 それは吉岡さん、関西でも全然ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/73
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074・吉岡千代三
○説明員(吉岡千代三君) 私の就任いたしましたのは実は昨年の九月でございますが、それ以後におきましては殆んどそういうことは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/74
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075・結城安次
○委員長(結城安次君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/75
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076・結城安次
○委員長(結城安次君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/76
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077・島清
○島清君 ただ一点だけ辻さんにちよつとお聞きしたいのですが、さつきの点ですが、有力な、例えば大阪の振興会あたりから私がお聞きしたようなことは、もはやここまで発達した競輪に振興会はまあ関与しなくともよかろう、一本立ちできるのではないかというような考え方を持つておるように私たちは聞いておりますが、そういう声が拡がつて参りました場合に、振興会が全面的に職場に帰つて身を引くという場合に、競輪のほうは支障を来たさないかどうか。それとも又それはないほうがよろしい、とは辻さんの口からはおつしやれまいと思いますが、若しこれが身を引くというようなことになりますと、何かそれに代るべきものがなければ競輪の運営はやつて行けないかどうかをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/77
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078・辻松一
○参考人(辻松一君) 只今の島先生の御質問は、競輪運営上振興会がなくなつてもできるかと、こういうふうなことのようでありまするが、これは大体大部分が競輪の実施につきましては競技面に関係を持つ部面が非常に多いのであります。従いまして若し仮に振興会がやめるということになりますれば、どうしてもそれに代るものがなければできないというふうに考えるのであります。ただ私ども考えまして、一番慣れております現在の振興会が担任をして行くというふうな行き方が一番よろしいように考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/78
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079・境野清雄
○境野清雄君 私も一つだけ施行者側にお聞きしたいと思のですけれども、車券購入禁止範囲の拡大という條項がありますが、私どもとしては例えばこの競輪場をお持ちになつておるものが市であるとか、県であるとか、それぞれ違うと思うのでありますけれども、そのうちの市であります場合は、何か競輪運営委員というものに全市会議員がなつておるというような場所もありますようですし、又場所によりましては競輪委員会というようなものがありまして、僅かに十名か十五名くらいのかたがそれをやつておるように聞いておるのでありますけれども、この車券購入という問題で、施行者側である市なり或いは県なりの県会議員なり或いは市会議員なり、直接競輪に関連しておる人は、私の個人の考えとしては、当該競輪場においては車券購入は禁止するほうが是じやないかというふうに私は思つておりますが、施行者側としての御意見はどんなものでありますか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/79
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080・鈴木隆
○参考人(鈴木隆君) 只今の境野先生の御意見でございますが、競輪に関係する者の、競輪運営委員とおつしやられましたが、運営委員の購入は禁止したらどうかというような御意見のように拜聽いたしたのでありますが、勿論競輪の開催執務に携わります者は全部條例によりまして禁止されておりまするが、ただ只今お話のありました運営委員と申しまする、市の開催に市会議員さんがたまたま運営委員という肩書を持つて競輪場に参つておる場合がございますが、実際の場合この運営委員さんは車券を求めておるようでありますが、これは條例にも禁止してございません。開催執務委員と申しまして、開催の事務に携わる者は、何たるとを問わず、全部これは地方自治体の條例によつて禁止されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/80
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081・境野清雄
○境野清雄君 私のお聞きしたいのは運営委員の諸君の問題でありまして、私どもが各方面から聞いておりまする点によりますと、運営委員の諸君にむしろ車券を購入させないほうがその市その県のためになるのじやないか、例えば私どもが聞いておる範囲内におきましても、他の指定都市へ既設の競輪場を貸すというような場面に絡み合いましても、相当いろいろな私どもは問題を耳にしておりますので、そういう点から言いまして、市会議員全員が運営委員をなすつておるのなら、勿論執務委員の場合は、これは申すまでもないのでありますが、運営委員自体にも私は当該競輪場におきましては車券を買わせないというほうがむしろ各市各県が明朗化するのではないか、こういうふうに考えて、私は自分の意見としていずれこれは委員会で申上げよう思つたのでありますが、たまたまいい機会ですから、参りました施行者の皆様がたの御意見はどうかと思つてお伺いしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/81
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082・田邊光次
○参考人(田邊光次君) 今の境野先生の御質問は、私は非常に肯綮に値するものがあるというふうに考えておるわけなんでございます。但し、埼玉県の鈴木さんから今お答えいたしましたのは、狭義に解釈いたしまして、まあ執務委員でないからという理由で大目に見ておるというような解釈をとつてお答えをいたしたわけでございますが、現実は今鈴木さんのお答えいたした通りなんでありますが、併し境野先生が申されたような点も、私どもは明朗な競輪の運営をする上におきましては、やはり広義に解釈して、こういう議員さんたる運営委員さんも車券を買わないほうが最もよろしいのだ。こういうふうに私どもは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/82
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083・境野清雄
○境野清雄君 もう一つ連合会のほうにお聞きいたしたいのでありますけれども、これも私見でありますが、大体従来は地方の自転車振興会というものの理事、監事というものは、総員そのまま競輪施行に当りまして執務委員になつておる。こういうことは相当矛盾があるのではないか。言い換えれば、執務委員というものと、振興会の役員というものが、不可分なものでなく、私は可分論が正当じやないか、こういうふうに思つておりますので、私の考えとしては、理事或いは監事が即そのまま競輪執務委員でなく、何名かのかたは執務委員になりましても、他は適材適所のほうが私はやはり競輪の運行の上に非常にいいのじやないか、こういうふうに思うのですが、そういう面に対して一つ小西理事長さんからお考えがありましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/83
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084・小西要
○参考人(小西要君) お答えいたします。私は境野先生の御意見に全部御賛成をいたします。同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/84
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085・島清
○島清君 二、三点、大変恐縮ですが、質問さして頂きます。辻さんにお聞きしたいのですが、先ほど振興会側のほうから身を引きたいという声があるが、そういう場合に、そういう意見が強かつた場合に、競輪施行に当つて支障を来たすかどうかということをお尋ねいたしましたとき、御返事を頂きましたのが、今度は反対のほうに……今は施行者側と振興会のほうで万事相談をしてやつておられるようでございますが、併し事重大な問題になりますると、選手側とも相談をしておられるようです。例えば通産省の機械局のほうから出しておられまするところの指令通達を見てみますると、開催可否の決定、例えば雨が降つて開催できるかできないだろうかといつて重大な判定をしなければならないというときには、選手とも相談をしなさいというような示達をしておられるようでございまして、これは今日選手の諸君と相談をしなければ、こういつたような重大な問題の解決はできないのだということの一つの証拠だと思いますが、従いまして選手の諸君は、振興会も連合会も指定しませんで、これからは、例えば通産省の指令通達にも現われておるような形でもつと競輪の施行全面について参画して、健全な運営に寄与したいというような意見を持つておりまするが、この点についてはつまり選手も三位一体となつて貢献して行きたいという考え方を持つておられまするが、施行者側の辻さんはこの選手側の要望については如何ようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/85
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086・辻松一
○参考人(辻松一君) 只今島先生から、競輪の運営については三位一体となつてやることについてはどうかというふうなお話でありますが、大体理論的に申しますると、競輪の運営の中心は施行者でありまして、競技面は振興会に委託をいたしますし、又選手とは出場契約を結んでやるというのが一応理窟から申しましたあり方でございますが、併しながら競輪の実際の運営の面からこれを見まするときに、振興会も選手も極めて重要な役割を果しておるのでありまして、この三者の歩調がうまく揃わなければ公正明朗な競輪というものは行われないというふうに考えられまするので、私どもも、先生のおつしやるような三者が極力協力をいたしましてやつて参るように一つ努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/86
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087・島清
○島清君 通産省側にお聞きしたいのでありまするが、私は吉岡部長がお見えにならない前に連合会側のほうに向いまして、どうも非常に競輪の実施に当つて重要な役割と、而も專門的な技術を要するような執務委員というようなかたがたが、一つの地域的な団体に所属しておるので、これは非常に双方共に遺憾のように思えるのだが、これを少し合理化するために、連合会のほうに、例えば審判員のまあ団体とでも言いましようか、そういうものをお持ちになつて、そうして全国の競輪施行と睨み合せてそれを活用することがその技術の向上なり、健全競輪の運営に非常によろしいのではないかと、こういうことを申上げたのでありますが、この点につきましては吉岡部長はどういうふうにお考えでございますか、ちよつと御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/87
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088・畔蒜嘉一郎
○説明員(畔蒜嘉一郎君) 代りましてお答えいたします。現在連合会の中に団体を作つて、そういつたことをすることは考えておりませんのですが、審判員の全国的な会議でありますとか、或いは管理に関係いたしております人たちの全国的な集まりを連合会と主催いたしまして、それぞれ全国的に統一した技術を普及したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/88
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089・結城安次
○委員長(結城安次君) どうも本日は誠に皆さん長い時間有難うございます。お蔭様で……本日はこれで散会いたします。
午後四時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314796X00319520409/89
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