1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月七日(土曜日)
午前十時五十一分開会
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出席者は左の通り。
電気通信委員
委員長 鈴木 恭一君
委員
新谷寅三郎君
稻垣平太郎君
小笠原二三男君
水橋 藤作君
人事委員
理事
草葉 隆圓君
千葉 信君
委員
平井 太郎君
木下 源吾君
紅露 みつ君
国務大臣
郵政大臣電気通
信大臣 佐藤 榮作君
政府委員
電気通信大臣官
房人事部長 山岸 重孝君
電気通信省業務
局国際通信部長 花岡 薫君
電気通信省経理
局長 横田 信夫君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 榮一君
常任委員会専門
員 川島 孝彦君
常任委員会専門
員 熊埜御堂定君
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○日本電信電話公社法案(内閣提出、
衆議院送付)
○国際電信電話株式会社法案(内閣提
出、衆議院送付)
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001・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 只今より電気通信、人事連合委員会を開きます。
日本電信電話公社法案並びに国際電信電話株式会社法案について御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/1
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002・千葉信
○千葉信君 前回に引続いて大臣に御質問申上げます。前回の委員会におきましてこの法案に関連する重要な問題の一項として、本法案の出発点となりました電信電話復興審議会における審議の状況等について不審の点を質す必要があるという考え方については、前回の委員会において一応総括的に大臣に申上げてございました。今日はその質問の具体的な点から入りたいと思います。御承知のように電信電話復興審議会の内容は前にも申上げました通り総理大臣の諮問機関という形においてそれぞれの各界の代表が網羅され、それから又一方ではオブザーバーとして出席された自由党の国会議員諸君がその委員会における審議の過程の中では重要な役割を務めたということはこれ又明らかなことでございます。これは前回にも申上げましたように委員と同格の発言をし、若しくは又場合によつては委員よりもむしろ強力な結論の支配力を持つておる、その審議の結論をまとめる場合の承認にはそれらのオブザーバー諸君も入つている。こういう恰好でありまするから、その電信電話復興審議会の審議の状況というものは簡單に申上げると、非常にプライべートな立場において自分たちの仲間同士で発言できるような状態において、いろいろな問題が相当正直に審議をされております。その審議会の第一回の会合のときに今の国鉄、専売等が御承知の通りに公共企業体になるというときには、例えば企業の能率的な運営であるとか、或いは又設備の拡張によるサービスの改善とか、そういう問題のために国有鉄道を公共企業体に持つて行く必要があるというので、政府のほうから国会に提案されて公共企業体になつたというふうに私ども了解しておりました。勿論マツカーサー書簡による示唆もあつたことを知つておりまするが、その復興審議会における第一回の会合の席上で当時の逓信大臣は容易ならない発言をされております。それは鈴木竹雄参考人の質問に答えて……、鈴木竹雄参考人は鉄道のコーポレーシヨン化の意義はどうかと、こう言つて聞きましたところが、大臣はこう答弁しております。單に労働関係調整のために公共企業体にしたいというほどのものである、こういう答弁を大臣はされております。この問題は單に国鉄或いは専売事業等の関係でございましたら一応これは古証文ということに相成るかも知れませんけれども、同様に電気通信事業が公共企業体移行という問題が提起されておるわけでございます。従つて極めてプライベートな立場で討議され、審議されておるその審議会の席上で当該大臣が、電気通信事業を担当しておられる大臣が鉄道事業が公共企業体に行つたのは労働関係調整のためである、こう明白に言われておるんです。大臣はこの点については現在電気通信事業の公共企業体化の問題についてどう考えておられるか、そして又当時の逓信大臣がこう言われたことに対して同一の第三次吉田内閣の閣僚としてどうこの問題に対して御答弁なさるつもりか、その点を先ず承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/2
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003・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この度公社案を御審議頂いておるわけでありますが、電気通信の業務を公社経営に移すということにつきましては今までたびたび御説明申上げておりますので、重ねて御説明しますことは省略さして頂きたいと思います。ただ鉄道の公社ができる際にその当時の逓信大臣が、これは労働問題を解決するためである、かような意見を出した、それをどう考えるかという一点につきましてお答えをいたしたいと思いますが、恐らく鉄道公社にする理由は幾つもあつたことだと思います。当時の情勢から見まして労働問題解決ということもその一つであつたと、かように私は理解いたしておるのでありまして、鉄道が公社に移行されたのは労働問題だけを解決するためにしたと、かようには私は考えておりません。それだけ明確にお答え申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/3
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004・千葉信
○千葉信君 御承知の通りに国有鉄道における公共企業体化の問題は、勿論その直接の原因となりましたのは昭和二十三年七月におけるマツカーサー書簡の示唆にあるということは明らかでございます。ですから鉄道を公共企業体にいたし、或いは専売事業を公共企業体に移行せしめるという問題については、当時の日本における客観情勢というものが一応考慮されなければならない。ところが今日の段階においてそういう客観情勢というものが大きく変化して来ておる。変化しておるにもかかわらず、同様な措置が今とられようとしておるわけでございますから、その点について大体当時の客観情勢の上に立つて審議された電気通信事業の公共企業体化の問題が、今日の客観情勢の下で同様な考えの下で出されるということは少しく私どもとしては納得の行かない点があるのですが、特に又同様に同じく同日九月二十七日第一回電信電話復興審議会の席上において大臣はこういうことも答弁されておるのです。占領下の我が国では占領方針によつて制限されるのは勿論であるが、占領軍の認識を改めさせるということもできるわけである。又終戰後四年以上経過し、占領軍のこの種制限も次第に大まかな監督に移つておるので、占領方針の基本に触れない点においては何ら拘束されずに審議されたい、大臣は審議会に対してこう要望されておる。そうして大臣みずからの御答弁の中では根本的には占領軍の日本に対する占領方針に関係のない部分について審議を願いたい、つまり審議できる範囲というものは非常に極限されたものであるということが言えると思うのであります。
それから又一方におきましては、その審議をする場合の大綱としては飽くまでも占領方式の上に立つて審議がなされなければならない。その根本方針は、これは当時の委員会の諸君は了解ずくの上に立つて審議をされております。こういう條件から考えましても、今自由党内閣の言われるところでは、日本は全く独立国家になつたのだとおつしやつておられますから、独立国家になつたという立場で本当に日本の国情なり、或いは日本の財政、経済状態に適合するような状態において、新たにこの問題についての考えなり、新らたなる方策というものがこの際考究されて初めてこの問題が提起されることが望ましいと思うのですが、この点については大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/4
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005・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今回電気通信事業を公社に移行いたしますのもその理由には電気通信省、特に政府と申しますか、政府は今日の情勢から判断をいたしまして公社に移行することが適当なりと、かような結論に到達して法案を提出いたしておるのであります。その結論に到達いたしますに際しましては、過去における両院の決議であるとか、或いは復興審議会の答申であるとか、或いは政令諮問委員会の答申であるとか、或いは又国鉄なり、專売公社なり、これらの先例等をも勿論勘案して結論を出しておるのであります。その意味合いにおいて審議会の答申の趣旨を尊重はしておりますが、審議会自身も今千葉君が御指摘のように、特殊な環境の下においてスタートした、そういう点は勿論当方におきましても考慮に入れて結論を出すわけでございまして、公社にいたしましたことは審議会の答申をそのまま採用したと、こういうものではないのであります。お話を伺いますると審議会自身の決議を否認しておられるようにも考えられるのでありますが、私どもはこの審議会の決議、それによつて公社にしたのではないのでありますから、この点は誤解のないように願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/5
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006・千葉信
○千葉信君 私は決して審議会の結論を否定しているのでも何でもなくて、審議会の結論の中にも私は十分尊重すべきだという点を持つていることを私は考えております。併し何と言いましても、大臣は今單に復興審議会における審議の結論というものは一応尊重はしたけれども、併しまるつきりそのままの方針で今度の問題が決定したのではないという、こういう御答弁でありまするが、前回の委員会における大臣の御答弁では、今直ちに民営に持つて行くという方針については我々としては考慮の余地があつたからその通りはやらなかつたが、それ以外の條件については復興審議会におけるところの審議の結論がそのままであるということを大臣みずからはつきり答弁されておるのです。而も私の承知しておる復興審議会の結論なるものも、大臣の答弁と符節を合せるように民営移行の問題だけを除いて、その他の條件は全く同一です。若し違つているところがあるとすれば、これは国際電気通信部門に対して復興審議会の答申というのは、これは国内と国際とを別にすべきだという、そういう答申が出ているだけであつて、この際には、国際通信の場合については民営の形に持つて行かれた、その点が違つているだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/6
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007・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この前お話をいたしましたように、復興審議会との相違はどこにあるかというお尋ねがありました。復興審議会の公社案は、民営移行への一段階としての公社案のように考え得られるが、私どものほうはさような形式的な規定としての公社を考えておらないということを明確にいたしたはずでございます。その点若し誤解がありますなら重ねて申上げておきたいと思いますが、今回公社を作るのは、公社は公社としての使命達成でありまして、別な目的、民営移行への一段階として公社経営を計画しておるものではない、この点だけを明確にいたしておきたいのであります。審議会の結論といたしましては、更に国際部門については何ら触れておりません。これは全部公社で経営ということを考えていたと思いますが、今回御審議を頂いておりますように、政府といたしましては国際部門は会社経営ということ々考えておるのであります。従いまして審議会の経過の過程なり又そこで取上げられております議論等がそのまま採用されておらないということを重ねて明確にいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/7
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008・千葉信
○千葉信君 いろいろ大臣から御答弁がありましたけれども、復興審議会の結論も、何も電気通信事業を民営に持つて行くべきだという結論は出しておりません。これは大臣もよくお調べになればわかることだと思いますが、はつきりこう言つております。最も自主性と機動性を持つ企業の組織は民営であるけれども、併し公共企業体に持つて行くことが望ましい、復興審議会の答申はその点はつきりと民営をやれということなんかをこれは答申しておりません。ですからその点では大臣の御答弁は少し違うと思います。併しこの問題は一応これくらいにして、次にこの問題に関連して御質問申上げたいことは、今度公共企業体なり、若しくは又株式会社に電気通信事業が移行するということの條件として、例えば設備拡張資金につきましても、そのときどきの国家財政の枠に左右され、十分且つ安定した資金を得られず、更に企業経営の基本でありまする財務、会計、人事管理についても一般行政官庁と同一の規律を受けているため、活発な企業活動ができない、そうして能率的な運営ができない、こういう趣旨の下に出ておりますが、この際大臣に対してお尋ね申上げたいことは、大臣は官界出身の大臣として、一体官営と民営との場合に、本当にそういうふうに企業の経営においては、民営が能率的であるのに対して、官営は非能率であるというふうにお考えになつておられるかどうか。この点については大体の例としては簡易保険事業等の例も合せてこの際大臣にその点を御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/8
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009・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この点は私も官界の出身だが、千葉議員も官界の御出身であられますので、事情はよく御承知だろうと思います。一概に官営が非能率だとか、民営が能率的だとか、かようには申しかねるだろうと思います。それぞれの事業には事業の発展の一つの歴史があるのであります。それを無視して事業の成績を云々するわけには参らないと思います。そこで簡易保険の仕事のお話が出ましたが、そのほうは暫くおきまして、一般に言われる通説といた七ましては、官営事業は非能率であり、民営事業は能率的であるということが一般的に通説として言われております。私は通説に暫く従いたいと、かように考えておる次第であります。官営事業のよさをここへ挙げましたり、又民営事業の欠点をここで論議いたしますことは如何かと思います。ただ通念がさようになつておる、これだけを申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/9
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010・千葉信
○千葉信君 大体大臣が一般的な通念に従つた行動をとつておられるということについては、私は決して大臣に対してとやかく申しはいたしません。併し大臣が長い間鉄道事業に従事されて、而も今度は電気通信事業、郵政事業等に携わつておられて、そうしてその事業の中には、勿論これは鉄道事業もそうでありまするが、郵政事業の中にも決して民間の事業に劣らないような成績をたくさん挙げておる部門がございます。そういう部門を担任しておられる大臣が、簡単に一般的な通念に従つた行動をとられて、それで大臣の職責が果せるかどうか、この点は私は大臣に反省、要望申上げると共に、もう一度大臣の明確な御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私結論を簡單に申上げましたので、いろいろ誤解を抱いておられる。いい点はやはり伸ばして行かなければなりませんし、悪い点は大胆にこれにメスを加えまして是正して参らなければならないと思います。やはり本質的な問題でありますならば、これは是正の方法では救えないということにもなるのではないかと思います。そこでそれらの点を工夫いたしました結果が、公社形態によるものが両方の長所を活かし得るものである、ここに私ども非常な希望と期待をかけておるわけであります。今この機会にこの席上で官営の長所なり欠点を御披露申上げるだけの時間もないように思いますが、結論的に申しますれば長所はあるのですからその長所を活かす、かような意味合において公社形態を採用した、これだけを一つお考えを頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/11
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012・千葉信
○千葉信君 執拗にこの問題をお尋ねする理由は、電信、電話復興審議会における結論というのは、もう頭から官営は非能率的であつて官営では電気通信事業を通じての国民に対する能率的なサービスはできない、こういう考えの上に立つて結論が出されておるのです。ですからそういう結論に対して大臣が、一般的にはそう言われておるけれどもというそういうお考えを持つておられる大臣が、簡單にこういう結論に従つてこの法律を立案されたということは、私は大臣の責任が十分遂行されていないというふうに考えざるを得ないのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/12
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013・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の公社が私が計画したように官営といいますか国家が管理する長所が公社経営において十分に発揮され、又民間の長所も採入れられたとしたら、これは今回御審議を得て公社ができ上つたとしたら、私は大変な成功だと思います。併しながら若し計画した通り、又目的とした通りの実績が挙がらなければ、それは私が責任を追究さるべき筋だとかように考えております。審議会の審議の経過その他はこれは別個の問題としてただ私ども考え、或いは尊重はいたしておりますが、その通りでないということは先ほど申上げた通りでありますから、審議会と直接結び付けられないようにお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/13
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014・千葉信
○千葉信君 それでは次の質問ですが、大体今度の公共企業体移行の重要な眼目としてはいろいろな人事行政上の問題であるとか、或いは財政等の問題、資金の問題等も考慮して公共企業体に移行することが設備の拡張、態率的な企業経営に有利である、そういう考えの下に一応立案されておりますが、その中で、尤もこれは官営である場合では不可能であるけれども、民営若しくは公共企業体の場合には可能性が出て来るという立場に立つてお考えになられた点に資金の問題があろうかと思います。設備資金或いは建設資金、それから経営上必要な資金の獲得、こういう問題が根本にあろうかと思うのです。ところがこの問題について、この間の参考人喚問の際に中山均という日銀の政策委員会の委員が見えられての答弁では、政府のほうで考えておられる資金の獲得という問題については、政府資金の獲得が困難であるからという理由で公共企業体に移行をされるということであるが、現在の段階では民間の資金をこの事業に吸收するということ、獲得するということは恐らく困難であろうという御意見でございました。大臣はそういう場合に一体そういう中山君の御意見をどう考えられ、そうして若しそれが実際そうである場合には、どこからその資金を求めるという考えでおられるか、その点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/14
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015・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 勿論事業を遂行します場合には、資金を獲得すること、これは大きな問題だと思いますが、同時に自分たちの会社、事業の経営に適応するように運用されるということがもつと大事なことではないかと思います。私自身余り事業経営をいたしておりませんので、この点は確信がないのでありますが、金が幾ら多くありましてもその使い方、運用方法が非常に限定されるといたしましたら、これは活きた金になかなかならない、事業経営にふさわしくないのじやないか、かように考えます。従いまして今回の公社設立の場合に、公社になれば事業資金の巨額のものが獲得不可能だ、かような印象を一部に与えておりますが、これは必ずしも実際には合わないだろうと思う。ただ公社経営にいたしますことによりまして在来国家財政資金のみに依存していたものが民間資金をも獲得し得るのでありますから、その途は拡大されておる、在来よりも門戸は広くなつております。この意味においてそれは門戸は広くなつておりますから、多額の金額を獲得し得るという期待はかけ得る、で只今お話になりました中山さんのお話のようになかなか国家財政なり或いは金融なりというものに一つの枠がありますから、事業が望むがままに、巨額のものは自由に入るということはなかなか困難でありまして、その点は御指摘の通りだと思います。併しながら法案でははつきりいたしておりますように巨額なものを獲得し得るようにその部門を拡張しておる、これは在来の政府事業の場合とは違うと考えます。この点は一つの進歩であります。同時に又その資金の運用という点におきまして、いわゆる融通のつくといいますか、流用のできる、融通性のある資金運用ができる、そこが事業としては最も望ましい点だと思うのです。或いは電力、造船等につきましても同様なことが言えると思うのであります。こういう点をやはり、先ず狙いの点としてお考え願わないと、公社になつたら直ちに金がたくさんできるのだ、こういう端的なものではない、こう私は御了承いただき、その点についての誤解のないように願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/15
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016・千葉信
○千葉信君 大臣の御答弁のように獲得した資金若しくは使用できる資金の効率的な運用ということが大事だという御意見は私も全く同感でございます。併し私の御質問申上げている点はそういう点ではなく、今大臣がおつしやるように成るほど今度の公共企業体化等の法律によりますと、資金獲得上の範囲、限界というものが、かなり大臣のおつしやるように拡充されております。そうして又拡充することに今度の法案の目的があり、そうして拡充し、その資金を獲得するというところに初めて公共企業体になつた場合の事業経営の有利な部面が出て来るわけでございます。ですから私の質問している点は、そういう條件を折角整えているにもかかわらず、現実的には、今中山君の意見を例に引きましたけれども、現在の日本国内における状態においては、それらの資金は民間からはどうしても吸收若しくは獲得できるとは考えられない。政府資金の融通獲得という問題はこれは別でございます。この問題でございましたら従来でも可能でございますから、従来の形態でも何ら変りないわけでありますが、私の申上げているのは、ただそういう蓄積の足りない民間資本は到底この程度の事業に集中できないだろう、こういう意見なんです。ですから、私は折角こういう法律を作られて資金獲得を意図されても、実際にはそういう資金は、日本の民間資金は集まらない。そういう場合に一体大臣は、具体的にはどういう方針で資金を獲得されるというお考えでこの法律をお作りになられたか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/16
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017・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の運用の問題は御了承頂いたと思いますので、その点には触れないで資金獲得の問題について申上げてみたいと思います。これは今千葉君からお話があり、殊に日銀の中山氏あたりの意見を御披露になつておりますが、今の国の重要産業という部門、例えば電力の問題ですとか、或いは造船だとか、こういうような部門におきましてもなかなか資金獲得は思うようには参つておらないのでおります。これは会社の場合においてそういうような結果になつております。ところが一面最も公共的機能を発揮しておる鉄道の建設、或いは電信電話の普及整備のためにどういうような方策がとられているかと、かように考えて見ますると、今回僅かとは申せ、鉄道にしても新線建設の資金獲得の途を開いて参りました。電信電話の普及、整備の状況が非常に遅れている、痛切な設備拡充要求が出ている際であります。私どもはこれに関係しておるから、この事業の重要性を指摘するのではなくて、恐らく経済界と申しても経済界各部門の人たちも現在の通信網を以て十分だとか或いはこれに資金を廻すのが非常に高順位だとかいうような考え方は毛頭なされないだろうと思います。若しそういうような考え方がありますならば、これこそ皆様がたの御協力、御支援を得まして、是非とも緊急整備の方向にこの事業は持つて行くべきだと考えます。かように考えますと、金額を幾ら取るかということ、それ自体これはまだ今のところむずかしい問題でありますが、今回資金獲得の限度と申しますか、範囲も拡張されている、限度も拡張されている、公社債発行等もいろいろ工夫されている。これらのことを考えますと、ただ今までの金融状況だけからこの部門に金が集まらないだろうとか、これは困難だと、かようにひがんだ見通を立てる道筋のものではない、かように私は考えております。更に実情等をもよく周知願いまして、そうして事業の整備についての所要資金の獲得には一層、言われているような困難性があればあるだけ一層積極的に獲得に努力すべきものだとかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/17
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018・千葉信
○千葉信君 この問題について私非常に重要に考えている点は、国内の蓄積資本がなくて、事業にこれが調達不可能だという場合には、結局頼らなければならないところは外国資本ではないか、こういう懸念が出て来るわけであります。この法律を見ましても、法律の第六十二條によりますと、この問題が出ております。恐らく政府のほうでは最終的にはこの方法に頼られるということは必至だと思います。それから又一方から考えますと、私ども大体現在外貨獲得といいますか、或いはクレジツトといいますか、こういう問題について一応問題が提起されておりますのに電源開発の問題がございます。電源の開発の問題については、御承知の通り政治借款なんかあり得ないという恰好で蹴飛ばされており、飽くまでも商業主義的な條件の上に立たなければクレジツトも不可能であるし、借款も全然見通しが立たないという、そういう状態でございます。こういう状態というものに対して電気通信事業がひとりその例外であり得るかどうかということが問題になつて来ると思うのです。国内資本の場合でございましたら、私は今大臣がおつしやつたように、いろいろな條件をはつきり認識してもらうか、或いはいろいろの努力払うということによつて可能でございましようけれども、少くともクレジツトの設定であるとか、外貨の獲得ということになりますと、これはやはりどこまでも商業主義的な投資が行われると、こういうことになると思います。その問題について大臣がどの程度の見通しを持つておられるかどうかはわかりませんけれども、ここで問題になりますことは、一応外国から来るところの経済支配というような問題は別としても事業本来の性質からいつて、この事業を飽くまでも商業的な事業であるというその立場を我々としては放棄することはできないと思うのです。そういうことになりますと、私が申上げるまでもなく、最近の電気通信の設備というものは、一応独立採算性が施行されてから後はもつぱら営利追求、採算、追求という方式がとられている。都市における電気通信の設備はかなり拡充発展を遂げておりますけれども、事業の公共性から考えれば、どうしても設備をしなければならない、利用度の少い地方、採算上不利な地方、こういう地方に対しても、この事業の本来の性質からすれば設備はしなければならん。従来それは殆んど閑却されております。併し若し外貨資本の獲得の必要という点からどうしても事業経営の方式が営利追求という商業主義的な方針に合致したものでない場合には、外国の資本を獲得することができないという條件が出て来れば、やはり事業の設備拡張ということは都市中心、而も採算主義をとらざるを得ない。そうしなければ資本はこつちに廻つて来ない。こういう関係が出て来ると思うのです。従つて大臣が一体事業の公共性から考えて将来の設備という問題を資本獲得の問題に関連してどういうふうに調整するというお見通しを持つておられるか、この点を先ず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/18
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019・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この事業の公共性は只今御指摘になりました通り、全国津々浦々にいたるまで都市といわず、地方といわずこれは万遍なく均斉のとれた方向において発達させるべきものであることは言を待たないところであります。そこで各事業を部門別に分けて見ましても、電信の面では、赤字ということになつており、或いは電話では黒字になつておるが、然らば市内通話において非常な黒字が出ておるかと申すと、市内よりも市外通話のほうで相当の利益を上げておるというのが只今の事業の状態であります。この種の事業といたしまして、独立採算を採用いたしまするが、独立採算ということがいわゆる民間事業におけるような利益追求だと、こういう観念と結び付けて考えられるのは、少し観念的な飛躍があるように私は考えておるのであります。と申しますのは、公共的性格を持ちますものからは当然利益追求の限度はあるべき筋でございます。言い換えて申しますれば、今のような状況なら料金だけうんと上げて、そうして利用者の負担において経営をうんと黒字にできるかと、かように申しますと、さような筋のものではない。これはやはりその利潤も或る程度以上になりますれば、料金のほうをやはり手加減して行くような性格の事業であるわけであります。そこで先ほどお話になつておられます外資を如何なる方法で協力を求めるのだというようなことになりますと、これは御指摘の通り政治借款というようなことでは考えられない。外資が入つて来る北はどこまでもコンマーシヤルベースでなければ入つて来ない、これははつきりしているわけであります。コンマーシヤルベースということも、これは利益率が非常に高い、その高いところに入つて来ると、かような單純のものではない。やはり利益の恒久性ということがこの大きな問題になるのだと思つております。時期的には非常に儲かつたが、併しながら一つの波を過ぎてしまえば、すぐその利益は消し飛んでしまう。こういうような不安定な利潤のあるところには外資は入つて来ない。かように考えますと、只今外資を引入れるような具体的な話は全然ありませんが、この電気通信事業が公社になりまして、国内の電話設備を据付け、或いは電信設備をも完備しまして立派な事業体になり、そうしてその收支状況が逐次改善をされまして、これに変動が加わつて来ないで、むしろ発展性がある。かように考えますと、コンマーシヤルベースにおいてもこれは外資導入必ずしも困難ではない。問題は信用の問題だと思います。信用ということは、一時的な利潤の高ではない。殊にこの種の事業自体といたしましての永続性から見まして、当然安定した利潤が上つて来る、そういうところにはつきりと確信の、信頼のできる投資場所だということになることと思います。従いまして、公社が出来上りましてこれの運営に当ります際におきましても、只今申上げるような非常なその高い利廻りを得るということは困難な事業に違いありません。併しながらそれが非常な変動のある收益状態でない方向に持つて参りますならば、コンマーシヤルベースでありましても外資は必ずしも悲観すべきものではない、かように私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/19
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020・千葉信
○千葉信君 委員長のほうからも注意を受けておりますので、成るべく簡單な質問をしたいと思います。今度の公共企業体移行に関連して、主として以下は労働問題に関連する種類のものでありますが、この日本電信電話公社法を見ますと。団体交渉の範囲に入るべき事項というのは公共企業体労働関係法ではつきりしております。これは労働関係法の第八條に団体交渉の対象に含める事項というのが明確に出ております。ところが今度の公社法によりますと団体交渉の範囲であるべき問題が第三十條以下数項に亙つて明確にされております。これが将来団体交渉する場合に障害になるようなことがありはしないかどうかということを先ずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/20
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021・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 千葉委員に申上げますが、大臣は昨日から大蔵委員会のほうに呼ばれておられるのでありまして、今朝も呼ばれておるのでありますがこちらにおいでを願つたので、若し政府委員でお間に合いになるような御質問でしたら、大臣そちらの委員会においでになりたいという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/21
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022・千葉信
○千葉信君 あと何分間くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/22
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023・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨日大蔵委員会に出席していないので、非常にせかれましてちよつと顔を出して来たいのですが、それでは今おつしやるように大体基本の問題だけお答えしておきましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/23
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024・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 基本的な問題についてお尋ね願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/24
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025・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今御指摘になつております公共企業体労働法の適用を受けるということに相成りまして、でその内容において、将来団体交渉等において支障はないかというようなお尋ねであつたと思いますが、今日までできております鉄道公社なり專売公社なりと、労働関係におきましては同一の取扱をするという考えで只今いるのでございまして、それらの両公社とも大体公労法の適用を受けておるのでありますので、同一の取扱を受けると、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/25
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026・千葉信
○千葉信君 大体国有鉄道公社法にしましても日本專売公社法につきましても今度の電信電話公社法と同様の立法がなされていることを私も知つております。併しそういう法律の適用を受けておる国有鉄道或いは專売公社をこの団体交渉の範囲内に含まれるのが明確に立法化されてあるということについての紛争が今以て絶えないのです。ですからそういう今までの経験上からしてこういう條項を入れておくということは、却つてむしろ団体交渉の権利を一方に認めたが、実質的には覆えされておるという状況がここでも又立法化されようとしているのですから、私はそういう点について障害になることはないかという懸念を持つのでお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/26
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027・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 御議論としては一応御尤もなようにも考えられますが、組合員側といいますか従業員側の言い分と管理者側とはその点においてはおのずから相違があるわけであります。今日まで扱つておりますこの基本的な関係を、今回できます公社にのみ別なものを規定するということは、政府関係機関の職員の扱い方といたしましては、私どもは当を得ないものである、これはむしろ三者同一の扱い方をすべきだとかように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/27
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028・千葉信
○千葉信君 大臣も急いでおられるのですから、ただ併し委員長、大臣がお忙がしいために一応質問を打切るだけですから、今後又この問題、少し基本的な問題が残つておりますから、それについての御質問を許して頂きたいことを條件として私は一応打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/28
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029・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) この際お諮りいたしますが、人事委員会との連合会は今日を以て打切りたいと私思つておつたのであります。場合によりましては千葉委員にお願いするのですが、私のほうで審議をいたしておりまする機会に、委員外発言というような形で大臣に御質問する機会もあろうかと思いますので、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/29
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030・千葉信
○千葉信君 私は大幅に発言さえ認めて頂ければどんな形式でも結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/30
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031・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 大幅に認めることができるかどうかわかりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/31
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032・千葉信
○千葉信君 それは成るべく抑制をしないで自由にやらして頂くということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/32
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033・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) なお委員外発言をここできめるわけに参らんそうで、各委員にお諮りしてお願いしたいと思います。その都度です。成るべく私といたしましては御発言できるようにしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/33
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034・水橋藤作
○水橋藤作君 大臣お急ぎのようですが、一つだけ御質問申上げたいのですが、先ほどから千葉委員も指摘しておられるように、電信電話の復興はただ單に官庁から公共企業体になつたから、直ちに復興できるという形はとつても、なかなか実態が伴わない面も実際あると思う。その中で一番問題になるのは資金面と人の力だと思うのですが、そこで資金面もなかなか難関である、それからもう一つ先だつて公聽会で委員長あたりが、公共企業体、殊に民間会社には猛烈な反対をしておる。従つて組合全体が、下部全体がこれに対して反対しておるということなんですが、人の力をです、相当必要とするこの事業にですね、組合挙つて反対しておるということ、それから又この公社立案される場合に、組合と相談されたとか、又組合に納得の行くように説明文は或いはお互いに話合いされたかどうかという点と、それから如何なる方法によつてこの組合の反対に納得させる方法をとらんとしておるか。お前たちは何と反対しても俺たちはやるんだというだけでは、事業の円満な運営ができないのじやないかと考えるが、この点は大臣どういうふうにお考えになつておられますか、簡單で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/34
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035・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今御指摘の通り従業員の問題と思いますが、人の問題、これは大事な経営の條件、要素であります。従いまして私ども機構改革自身はもともとこれは管理者の権限に属するもののように考えますが、今回の機構改革に当りましては従業員の意向もあらゆる機会に打診をいたしまして私どもは結論を得ておるのであります。と申しますのは過去におきまする国会の御意向であるとか、或いは昨日来議論になつております民間或いは政府の見解、その他党の答申であるとか、或いは又組合会見等におきましての組合側の意向と、これは明確なもの、例えば文書によつて回答が来たとか、或いは正式な会合において回答をもらつたと、こういうものではありませんが、そういうような意味合におきまして意向を打診いたしました結果、管理者といたしましては、管理者の責任において公社に組織替えすると、こういうことで法案を提出いたしておるわけでございます。従いまして、今日まで組合側等からもいろいろの要望があらゆる機会等に出ておりまするが、要するに、趣旨につきましては了承しておるもののように私は今なお考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/35
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036・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 別に御質問ございませんか。御質問ございませんければ、電気通信、人事連合委員会はこれを以て打切りたいと思いますが、如何でございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/36
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037・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) さよう決します。
本日はこれで散会いたします。
午前一時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314842X00219520607/37
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