1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月二十四日(土曜日)
午前十時五十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 鈴木 恭一君
理事
山田 節男君
委員
寺尾 豊君
小笠原二三男君
稻垣平太郎君
水橋 藤作君
池田七郎兵衞君
国務大臣
郵政大臣電気通
信大臣 佐藤 榮作君
政府委員
電気通信政務次
官 平井 太郎君
電気通信省電気
通信監 山下知二郎君
電気通信大臣官
房人事部長 山岸 重孝君
電気通信省業務
局長 田辺 正君
電気通信省業務
局国際通信部長 花岡 薫君
電気通信省施設
局長 中尾 徹夫君
電気通信省経理
局長 横田 信夫君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 栄一君
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本日の会議に付した事件
○日本電信電話公社法案(内閣送付)
○日本電信電話公社法施行法案(内閣
送付)
○国際電信電話株式会社法案(内閣送
付)
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001・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) これより委員会を開きます。
日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案、国際電信電話株式会社法案、いずれも予備審査、これを議題といたします。昨日に引続きまして総括質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/1
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002・水橋藤作
○水橋藤作君 今日、電波監理委員長がお見えになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/2
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003・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 今日は参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/3
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004・水橋藤作
○水橋藤作君 この際大臣に二、三点質問申上げたいのですが、先ず公社法案の説明にありました電気通信事業法です、官営から公共企業体、或いは民営にしようとするための法律を案として提案されたわけなんですが、官営から公共企業体或いは民営にすることによつて一般国民に与える利益、或いは公共の福祉を増進するというのは、具体的にどういうことが国民の利益になり、又福祉になる見解をお持ちになつておるか、大体でよろしゆうございますから、大臣の御見解を先ずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/4
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005・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今回の経営形態を変えること、それが一般国民にどういう影響を与えるかというお尋ねにお答えをいたしたいと思います。問題は官営事業で今までやりました電気通信省の事業、いわゆる電気通信事業というものの持つ価値、その価値が如何に発揮されるか、同時に又その事業目的の遂行に如何にこの経営形態の変更が寄与するかということにもなるのではないかと思うのであります。この点は誠に抽象的な説明を今までしておりますが、提案理由のうちにもその点を明確にいたしておりまするし、同時に又企業体に移すことによりまして事業経営が活溌になり、又積極的にサービスが改善されるということになりますれば、取りもなおさずこれは一般国民に対しましてその利益を増進することに相成ることだと思います。他の面で申しますると、国営であります場合においての長所も多々あるのでありまするが、同時に基本的な問題として欠陥と目されがちなのは、いわゆる官僚機構によつて業務が遂行ざれる、その点が根本の批判を受ける点ではないかと思うのであります。私は御承知のように私自身官僚の出身でありますので、官僚自身をとやかく申すという考え方はありませんが、この種の公益事業で国民の日常生活と密接な関係があるとか、或いは経済活動と切つても切れない関係を持ちます事業といたしましては、真に国民に融け込むということが根本的に必要ではないかと思うのであります。で、この点が国営でやりまして、いわゆる官僚機構の下に事業が遂行されるということになりますると、何だかどうしても割切れないものが残つておるのじやないか。勿論今日の官吏自身は民主化された活動をいたしておりますので、過去におけるような非難は当らないと思いまするが、この点は思い切つて国民生活に融け込んだ職員でありたいように思うのであります。この点を考えますると、もつと徹底して民営にしたらどうだと、こういうような議論も成立つかと思いまするが、これについては国民の希望するものに融け込むにいたしましても、おのずから限度がある、事業の性格上おのずから限度があるのでありまして、その意味において今回政府関係機関たる公社職員にこれを移行する、そうして長い間に涵養されておりました国家公務員としての意識を新たな観点に立つてもう一歩国民に近ずけて行くと言いますか、融け込んで行く形態にする、これが事業遂行の最も基本的観念になるのじやないか、こういうように私は考えておるのでございます。勿論日常業務の遂行に当りましても、過去のような煩雑の点はできるだけこれを簡素なものにしまして、事務の繁文縟礼と申しますか、そういうようなことは避けたいと考えます。又公社にすることによりまして、いわゆる官庁内部、政府部内の諸法規等の適用等におきましても除外されるものができて参りますので、この意味におきましては、相当事業を活溌に遂行し得るのじやないか、こういうような期待を持つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/5
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006・水橋藤作
○水橋藤作君 そうしますと、今の大臣の見解に立つておられたその場合と、今度はそれを郵政事業に比較した場合にどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/6
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007・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 国内にありますいろいろの公益事業をその性格の度合、強弱と申しますか、度合或いはその強弱によりまして経営形態はそれぞれ考えて参らなければならんだろうと思います。代表的な国の直営事業、今まで言われておりました郵政、電通、或いは鉄道或いは専売、この四直営事業の経営形態は、これは非常に問題があると思います。イデオロギー的な考え方から離れまして、如何にすれば最も能率的であり、効果的であるかということをいろいろ考えて参りますると、過去におきまして鉄道なり専売なりはいち早く公社形態に移行した。恐らく電信電話の経営形態の移行もこれらと同時であつて差支えなかつたように考えるのでありますが、この電気通信のほうは、当時逓信省から分離するというような点で一応処理された、かように私は理解しておりますが、電気通信の事業としては鉄道や専売公社が生まれるそれと同時に並行して考えるべき性格のものではなかつたか。併しながら郵政事業自身につきましては、どうも公社形態というのは不適当と申しますか、もつと国家的な要請度が強いのではないか。而もその経営の仕方如何によりましては、十分企業的な性格をもはつきりし得るのではないか。従いまして過去の経営形態の民間にある各種の批判等を聞きましても、やはり郵政事業に対してはこの経営形態の変更等についての批判を私自身が余り聞いておりません。併しながら鉄道なり専売なり或いは電信電話なりにつきましては、しばしばこの経営形態が国の直営であることは望ましくないのではないかというような話を聞いております。恐らくこの郵政事業が同じような国の直営事業だが、それが依然として国の直営のもとにその経営が継続され、又国民も何らこれに対して不思議な感じも抱かず、むしろ現在のままで、もつと事業の普及を期待しておるゆえんのものは、恐らく過去八十年間における郵政事業の発達なり又活動なりというもの、これは別に国民から不満的な批判を受けないで済んでおる。これは過去の先輩なり又これに従事されたかたがたの努力によりまして、十分社会的な要請、国民的な要請を満たしておるものではないか、かように考えますると、特にその形態等の変更について考慮する要はない、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/7
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008・水橋藤作
○水橋藤作君 これは私の言い方もまずいように思いますが、先ほどの大臣の御説明に、公社にする主たる理由といたしましては、官庁機構から脱却して、そうして民営を取入れた運営にするということが主たる目的だというふうに聞きましたので、そうした場合はそれに郵政も入るのではないか。又同じ形態において、今度とられた形態のように郵政の中の保険とか貯金を独立するということもあり得ると思うのです。その時の理由につければ、又先ほどの大臣の説明の通りの理由で成立つのではないか、かように考えますので、この点につきましては意見の相違もありますので、お伺いする程度にとどめますが、然らばこの電通省が官庁から財務或いは会計、人事管理その他が一般行政官庁の規律から別になつて、その拘束を受けない企業活動をやることになるわけなんですが、そうした場合に、それを目的とされるならば、この法案に出ておりまする、例を国際にとりましても、それから公社につきましても、拘束が非常に……それを目的とするならば、後ほど逐条審議に入つていろいろ出ると思いますが、あらゆる条文のなかにやはり相当拘束されたあれがあるわけなんです。大臣の認可を受けなければどうにも動けないというような縛つたような感じが総括的に見受けられるので、その面と今のとを比較いたしますと、どうも納得いかない点がある。もう少し自由な立場にすることが今の大臣の説明と合致するのじやないかと、こう思うわけなんで、そこで一般行政官庁からいまの公社になることのによつていろいろ我々の考え、又想像せられる面から見ますというと、事業が非常に複雑になつて来るというふうに考えるのですが、人事管理とか、或いは会計面とかいう方面に、今度の政府の考えておられるところの機構改革にマツチするかどうか。我々はあべこべになるのじやないか、政府の機構改革の狙つておられるそれと相反するものになりやせんかというふうに一応考えるのですが、大臣の見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/8
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009・佐藤榮作
○匡務大臣(佐藤榮作君) 只今のお話は、電気通信省で、国で直営をいたしておれば別に監督機関は要らない。ところが今回公社を作り、或いは会社にするならば、政府の監督という監督条項がはつきり出て来ておる。そこで形の上から見ると、直営の場合よりも複雑になるのじやないか、こういうお尋ねじやないかと思います。或いは又、その監督をするにしても監督規定が予想以上に広汎ではないか、こういうようなお尋ねかと思うのであります。で、これにつきましては、まあいろいろ議論があるだろうと思います。併し簡単な例をとつて申しますると、国が直営いたしております場合においては法規的な監督の部面は法規的にはこれが明確になつておりません。併しながら国が直営する場合におきましては、自律的な形におきまして、当然この国自身の活動上の方向というか、規制された方向はきまつておるわけであります。それを観念的に割り切りまして官吏がやる場合においてはそれが一つのものであつて二つのものを具現して仕事をしておるように私どもは解釈をいたしております。殊に電気通信省が民間の業務の部門を監督している面もあるわけでありまするが、これあたりは同時にその精神を以ちまして直営の事業を規律しておるということに相成つておるのでございます。これを今回機構改革いたしまして、直営から公社形態に移行いたしますれば、いわゆる国の本来の仕事と申しますか、この国民活動から当然一つの規律を受ける。そういう制約の面だけが別の機構に残るわけであります。その別の機構に残つたものが郵政省の監督権限としてこれが法律的に明確にされると、かように考えております。従いまして、形の上で如何にも複雑化しておるようでありまするが、本来持つていた仕事を法文的にこれを二分したと、かようにお考えを頂ければいいと思います。その場合に、公社自身の自由闊達な活動に任すとするならば、もつと広汎にして、場合によれば監督は一切やめたらどうだと、徹底して見ますとそういう議論もあり得るかと思いまするが、やはりこの公社が遂行します事業の性格から見まして、その国家性、これを無視するわけには行かない。だから経営者といえども当然国家性を十分発揮するだけの責務は負わされておるのであります。その範囲の監督指導は当然政府自身がやらなければならない。今そこに規定しております各条項の事項が、然らばその範囲においてこれは最小限度のものであるかどうか。或いは非常に複雑なものであり、細かな点にまで干渉するものであるかどうか。こういうような議論になつて来るものと思います。私どももできるだけ国が監督する範囲は、これは避けたいという気持ではありまするが、とにかく只今申上げるような事業の性格から来る国家性を確保、発揮さすという観点に立ちますると、大筋のものはどうしてもつかまえて行かざるを得ない。そういう場合に、過去にできております鉄道公社なり専売公社なりが一つの先例になつて参るのでございます。それらの先例等を参照いたしまして、今日監督規定を実は整備しておるのであります。ただこの場合に、鉄道の場合と特に違いますのは、極く少数の監理官制度によつて業務を監督指導して行くつもりでおるのであります。鉄道の場合におきましては、運輸省に相当の機構を持つております。併しながら昨日もお尋ねがありましたが、今回は監理官二各によりましてその監督指導をして行く。従つてその本来私どもが狙つております大綱の指導監督をするという趣旨にマツチした監理官をも考慮いたしておる次第でございまして、法文上におきまして、字句としては相当広汎に亘つておるのじやないか、こういうふうな疑念を生じておることだと思いまするが、実際の運用に当りましては、只今申上げるような趣旨においてこれが運用される、かように御理解を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/9
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010・水橋藤作
○水橋藤作君 今御質問したのですが、これは今度の機構改革とマツチしない結果になりやしないか。要するに政府の考えておられる機構改革の線と違つた線が出やしないか。或いは人員整理とか、或いは財政面、そういうような方面から政府の考えておられるのと違つた線が出やぜんかと我々は一応心配するのですが、一応大臣の見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この点はどの点を御指摘になつているか、私ちよつと理解に苦しんでおるのでありますが、只今申上げるように簡素強力な監督制度を考えておりまするし、大部分と申しますか、大部分の事業の遂行は公社の責任者がこれを担当して参るのでありまして、この意味におきましては、事務的に複雑になつたとは考えておりません。で、いろいろの考え方がこの点ではあると思います。或る方面におきましては、或る一部のかたの御意見等によりましては、公社や会社の監督機構はもつと大きいものにしろという考え方も他の機会、これは国会においてというのではないのでありますが、他の機会におきましていろいろ批判も頂いたことを記憶いたしまするが、まあそれでは今回政府が企図しております行政機構の改革とも趣旨が合わない。むしろ簡素なものにする、これが本筋じやないか、必要止むを得ない程度にとにかくとどめたい、こういうことで考えたのでありまするが、併しその場合にやはり先例等がありますので、それを基準にいたしまして、この程度のものに相成つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/11
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012・水橋藤作
○水橋藤作君 私具体的に質問しなかつたから、おわかりにならなかつたかと思いますが、今ちよつと出ましたが、政府としては必要止むを得ない行政簡素化を図るという狙いであるというふうに解釈した場合、今度の機構改革によつて政府がその目的としていられる人員整理とか、或いは国家財政方面とかでどれだけの見通しを持つてその機構改革に副うお見込みをつけておられるかどうか。我々はそれと反対の結果になりやせんかということ、つまり簡素化するのでなく、複雑になりやせんかということ。それから人員も目的が整理するということであつたとするならば、却つてあべこべになりやせんかという懸念を持つので、それに対して大臣の見解をお伺いしたかつたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/12
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013・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) どういうお尋ねかちよつと今のお話はつかみかねるのでありますが、行政機構の改革の基本的な理念は、国力にふさわしい簡素強力な行政機構改革をするというのが本筋の狙いでございます。で、国力にふさわしい簡素強力なものと申しますことと、今回これを公社或いは会社にすることと、これが矛盾をしておるかと申すと、別に矛盾はないように私は考えておるのであります。同時に又監督機構と申しますか、これが電気通信省自身が自律的態勢の下でやつておりました考え方から見ましても、又同時に民間の監督をいたしておりました点から見ましても、今回は二名の監理官制度でこれを監督指導しようとするのでございまして、この点も非常に簡素なものに相成つております。或いは電波監理委員会なり、或いは電波監理庁の郵政省への移り変りに際しまして、電波監理局の中に有線部門も一緒にしてはどうかという意見を他の機会にも伺つており、同時にそれも検討して参つたのでありますが、無線と有線を同一の場所で同一の局と申しますか、部局で監督することは如何かとかように考えまして、これは明確に区分しようという方法をとつて、監理官におきましては有線部門の監督指導をし、無線部門は別の部局ということにいたしているのであります。これらも省内の事務から見ますれば明確に区分をされており、これも非常に簡素なもののように考えるのであります。別に複雑なものはないように思います。問題は今後事業を遂行するに当りまして、例えば公社なり会社なりが非常に人員の増大を来たすのじやないか。こういうような御心配があるといたしますならば、これは将来の問題として国会等で公社経営上の基本的なやり方について、いろいろ批判を頂くことに相成るのではないかと思うのでありまするが、今度の公社を作りました場合の予算等は、人件費を一本できめて参りますので、この意味におきましては、公社内におきまして能率的経営をいたさなければ十分な業績を挙げられないことになるのであります。これは一面にかような点を申しますると、非常な不安を感ぜられて、公社は積極的に人員の整理をするのじやないか、こういうような懸念が生じようかと思いまするが、私どもの能率的経営と申しますことは、人員を整理すること自身がその目的を達するゆえんではないと確信をいたす次第であります。問題は機械的な設備の問題もありましようし、或いは従業員の積極的労働意欲という問題もありましようし、まあいろいろな問題がありまして、初めて能率的経営ができるのであります。かように考えますると、人員の多寡自身、これだけでは実は考えられないのであります。そういう基本的問題になりますれば、公社ができれば今度は当然給与準則等も制定を見ることになるのでありましよう、又はつきりした団体交渉等の問題も出て参るのでありまして、この点では管理者的な考え方でそういう基本問題が簡単に処理されるとは思いません。問題は管理者、従業員一体となつて如何にして能率的な経営をいたし、サービスの向上を図るかということになるのでありまして、私は今お話になりましたような懸念なり或いは不安なりは全然感じておりません。むしろこの機構の改革によりまして、企業体自身は活発な活動ができることになり、積極的に従業員の協力を受ける機会も与えられるでありましよう。又政府の監督機構も先ほど来申しましたように、それは簡素な方法でやられるので、実際の事務の処理に当りましても末端の些末な点、末梢的な問題につきましては余り干渉するというようなことはなくなるのじやないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/13
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014・水橋藤作
○水橋藤作君 今度の機構改革に伴つていろいろ起るところの支障、又政府の狙つて考えておられる点と或いは違つたものが出やせんかという一応私は心配をするのですが、その点どういうふうになつているか、御参考までにお伺いしたいのであります。この通信事業の発展は、先ず今度は公社になり、公社にしようとする考え方の中に、政府としては設備資金の拡張等が国家財政の枠に左右されて十分に安定することができないということも言われておりますが、我々もさよう考えているのでありますが、公社にすることによつて通信事業の発展が期し得られるという考え方には我々は納得できないので、政府といたしましても、本院において二回も決議をしているところの趣旨を十分汲み入れて、通信事業の発展に力瘤を入れて頂ければ、この事業の発展は期し得られると、かように私は考えているのでありますが、その際に公社にしたが故に国民の利益、又公共の福祉を増進できるという考え方にはもう少し具体的な、公社にすることによつて資金面はこういうふうに外部の資金が入るとか、民間の資金がこういうように入ることによつて国民が要望しているところの電話も架設できるのだという確たる御説明がないわけでありまして、我々からするならば、現在のままでも政府が十分意を以て預金部資金なりを流用すれば、国民の要望をしている期待に沿うことができる。公共企業体にすることによつてそれができるという裏付がはつきり我々には納得できないので、まあ仮に外資を導入することにいたしましても、昨日の新谷委員の御質問にございましたが、自信を持てない、外資導入に対しても自信を持てないと言つておられるのであつて、政府が経営してさえ自信を持てないのに、民営にしたためにその信用を得るということも我々は考えられないので、もう少し具体的に公共企業体にすることによつて、こうこうこういうふうに資金面でこうだと、それと力がマツチしなければならないので、人の方面はこういうふうにして国民の要望しているあれに応えられる見通しがつくとか、或いは資金面にはこういう特典がある、それから又機構を改革することによつてこういう面の機構が簡素化する、而も簡素化されたけれどもこれだけの利便があるのだといつたような面の説明が概略でもよろしいから、我々が納得するまでに大臣の説明では行かんので、もう少し具体的にお答えを願えれば幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/14
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015・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 大筋の話は昨日もお答えいたしましたので、その点について附加えて申上げようはないと思います。この設備資金の獲得という点を強く要望しておられますが、この金額の多い少いということ、これは一つの大きな問題に相違ありません。従つて総体の金額の増加を図る、この意味においての途が今回の法案によりましては積極的に開かれていることは、条項を御覧になればおわかりだと思います。例えば政府からの借入金の問題もある。或いは民間の公社債の問題もありましようし、或いは外資等の塗も開かれ、いろいろ資金獲得の方法が在来の国家資金にのみよつていたものがその範囲が拡張した。これは確かにその進んでいる点に相違ないのでございます。同時に国営から公社営に移しました場合にもう一つ見逃せない問題として、私ども強くその利点を感じておりますことは予算運用の面であります。運用の面におきまして、融通のある予算の運用ができると、これが事業体といたしましては最も望ましいことだと思うのであります。で、予算の御審議を頂きまして予算が成立すると、その場合において基本的な金額の増加をいろいろ図つて参りますが、この予算の使い方については、本来の財政法上から、又特別会計法からいろいろの制約を受けておるわけであります。でこの制約が事業遂行の面から見ますると、相当つらい思いをいたすわけであります。で、非常にその極端な例で、まあかようなことは今後公社になりましてもないわけでありますが、まあ極端な例を申上げますると、事業を遂行しておる場合において、そのときの経済情勢から見て、一つ思い切つた拡張をしようとか、その拡張資金をこの際に獲得して、これを実施するならば非常に事業の発展上寄与する、こういうようなことがあるわけであります。これは非常なまあ稀な場合でありますが、併しながら予算が一年に一回の御審議できまると、そうして事前の問題ではないのですが、いや、事前に必ず予算を作らなければならないと、かように考えますると、臨時国会等において補正予算をいたすにいたしましても、時期的にこれが狂つて参ります。或いは又事業の経営がこの予算で一応決定を見ますると、この予算を如何に運用するか等も時期的にも殆んど計画的にやりましても、四囲の経済環境等から、或いは経済需要等に応ずることができないわけであります。或いは又人件費なら人件費だけの問題を見ましても、なかなか款項目の流用はできないとかいうようなわけで、その従業員の労働意欲を増進するような面から見ましても、いろいろの困難があるわけであります。これらは過去において労働活動をされた、労働運動をされました水橋さんあたりは、よく御承知のできることだと思いますが、そういうような窮屈性がある。で、やはりその事業官庁としての予算は、できるだけその融通性を持たしたい。その融通予算ということが一つその運用の面においてどうしても望ましいのでありまして、この意味において今回の公社へ移行する場合におきましては、相当の大幅な融通ができるように相成つておるのであります。この点はよほど専門的になりますので、経理局長あたりから更に私の説明を補足さして見たいと思いまするが、こういう問題があるわけであります。だからこのいろいろの資金というものについて、資金の獲得なり、又はその予算の運用の面なり、或いは又利益金の処分なり、いろいろその問題があるのでありますが、これが国家的に、国家の予算で考えます場合におきましては、予算の使い方において過誤或いは間違いと申しますか、そういうものがないようにというほうには非常な力が入つて参るわけであります。事業を積極的に遂行するというか、活動を積極的にするという点から考えますると、あの予算の立て方につきましては相当の批判があるのであります。これらの点を勘案いたしますると、やはり公社形態に移すことが、只今申す資金獲得の面におきましても範囲が拡大されるし、同時にそのでき上つた予算の運用に当りましても、経営者が手腕を揮い得る余地があるのだと、又この事業運営に当りまして生じました利益金の処分等につきましても、これは管理者並びに従業員等の協力によつて生じたものでありますので、これらの使い方におきましても、更に従来よりもゆとりのある考え方ができると、こういうように考えますると、公社に移すことによりまして、事業活動は確かに活溌に相成つて来るのであります。
只今御審議を頂いておりますのはそういうような意味においての原則的な問題が論議の中心でありまして、昨日お尋ねがありました、予算は然らば今度はどれだけ作るのかとか、或いは外債をどれだけ募集する計画があるのかと、こういうお尋ねに対しましては、只今私どもまだお答えする段階になつておらないのであります。先ほど外債につきましては見通しは全然立てておらない、大臣自身も自信がないと、かように言つておるがというお話でありまするが、これは法案ができ上り、そうして会社がスタートして、それから後の実は問題になるのでありまして、まあこれらの点は、今の審査の際に私どもが計画を持つておるとか、或いは具体的に話が進んでおりますれば、進んで御披露申上げまするが、只今はまだその段階でもありませんし、又事実さような意味合いにおいての具体的な話合いに進んでおらないということだけを附加えて申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/15
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016・水橋藤作
○水橋藤作君 私のお伺いしたいことは、具体的に話が進んでいないということでしたらば納得できるのですが、民間の資金を入れるにも自信がないと、外国資金を入れるにも自信がないと、然らば政府資金をどれだけあれするかということについても、まあ具体的に進んでいないという程度ならば、我々は納得できるのですが、これからまあ自信を持つて、今先ほど私が申しました通り、設備拡張資金がその国家財政の枠に左右されて、その時の政府に左右されて、安定しない欠陥があるという、説明にもありましたが、我々も一応納得いたしますが、然らば公社にすれば国家財政の枠等に左右される、その欠点を十分カバーするなり、或いは資金を得る自信を持たなければこれは成り立たないと思うので、一応まだ話が進んでいないのをどうなるかと聞いても仕方ありませんが、自信のほどをお伺いしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/16
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017・小笠原二三男
○小笠原二三男君 関連して伺いますが、外国資本のことは、いい資金のことはお話で事情御尤もだろうと思いますが、少くとも公社には設備資金の相当額を民間から仰ぎたいということは私は強く望まれておるところだと思う。ところが私詳しいことはわかりませんが、民間の資金といつても、結局は政府が考えておられる金融を含む経済政策の一環によつては、その限度なり或いはどれだけこの部門に集中できるかという見通しは、公社ができようが、できまいが一般の今の財界の状況において政府としては予想されるものがあると思う。そういう部門から考えますと、電話会社とか、或いは今審査されておる電源開発の促進法案とか、そういうもので出て来る相当国家的な見地に立つた特殊会社が民間に資金を仰ぐという計画が続々出て来ておる。そうしますと、これらのものと、結局はこの公社の資金獲得という部門と競合すべきものではないだろうかと考えられるのですが、今の日本の財政経済の状態からどれだけこの資金が余裕がありとして吸収できるようなお見込みで政府はおられるのかということが第一点。
第二点としましては、私は結論的には前段に申しました通り、結局は民間資金を仰ぐといつても、それは国家資金が何らかの形で日銀なりを通して民間に放出されておるものの中から操作されて吸上げられない限りは、限られた今の金融引締の状況においては、見通しとしては相当困難なものがあるのじやないかと考えるわけです。そういう結論の下に私お伺いしておるので、公社ができてその後で考えたらいいだろうというようなことではなくて、政府側の今の経済政策の上に立つての見通しとして、民間資金をどれだけこういう部面に吸収できるというお見込になつておられるのか、これは御答弁頂かなければならんと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/17
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018・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 至極御尤ものお尋ねであります。後段につきましては私は賛成をいたしませんが、前段についてはお説の通りの考え方をいたすわけであります。民間資金を獲得するといたしましても、政府がやはり計画に載せざるを得ないじやないかといわれることは私も同感であります。従いまして民間資金の獲得と申しましても、自由闊達に粋なしにやるわけには参らないと思います。この点は全然同感であります。そうして只今御指摘になりますように、電源開発であるとか、その他いろいろ国家的要請に基いての資金需要を必要とする事業がつぎつぎに御審議を頂いておりますので、それらのことを考えますると、将来の見通しについて不安なりがあるんじやないかということも一応納得ができるわけでありますが、御承知のように只今御審議を頂いております公社は、本年度はかねて御審議を頂きましたこの二十七年度予算並びに財政資金の枠内において活動いたして参るのでございまして、只今のお尋ねの部門は、今後の二十八年度以降の資金計画において、どの部門をどの程度獲得し得るかという問題に相成るわけであります。だからこの点は時期的にまだやや早い感がいたすわけであります。そこでこの種の事業の公社債というものが、一般の引受状況からみて一体どんなに考えられるだろうかという、順位の問題になるわけだろうと思います。その順位の問題から見ますると、只今政府として特に力を入れておりますものは、これは電源開発なり、或いは造船なり、これが先ず第一順位に強く浮んで参るものでございまするが、同時にこれらと歩調を一にいたしまして、その次に位すると申しますか、鉄道の建設であるとか、只今御審議を頂いております電信電話の整備であるとか、これらのものが当然国としては考えて参らなければならない。かように私ども感じておるのであります。そこで民間的なこれに対する関心度合を考えますると、今日の電話が非常に遅れており、国内の地方的な要請が非常に強い、こういう立場から見ますると、民間における、これらを引受けてそうしてその整備を急ごう、こういう機運はかなり民間側にもあるわけでありまして、この意味においては積極的な協力を期待し得る、かように私どもは考えます。併しながら先ほどの基本的な問題から見まして、これが一応その財政金融の基本的な計画が樹立される、その場合において、その規模の大小にもやはりよるわけでありますので、この財政金融の基本的な計画を樹立する、その時期を待たないと、今お尋ねのような点を明確にいたすことはなかなかできないのじやないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/18
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019・小笠原二三男
○小笠原二三男君 技術的にはそうしますと、政府の今の電通省なり或いは公社になつてからなり、どつちでもようござんすが、具体的に電話架設なら電話架設についての年次的な御計画というものはないわけなんですか。又将来もないわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/19
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020・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) この年次的計画、これは過去においても策定をいたしました。又今日も年次的な計画案を持つておるわけであります。併しながらそれはなかなか持ちました計画通りに予算が編成を見ておらない。過去におきまして三ヵ年計画を樹立した、併しながらその三ヵ年計画はすでに五ヵ年計画に延長されておる。或いは今日又五ヵ年計画を樹立してそれを遂行するといたしましても、過去の実績等から見ますと、なかなか計画通りにも行きかねるものがありはしないかと思います。若しその点で計画の大要を説明しろという御要望がありますならば、事務当局をして話をさしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/20
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021・小笠原二三男
○小笠原二三男君 その現在或いは過去において計画されておつたものが、この公社になつて資金計画上どれだけの効率を以て実現されて行くというお見通しになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/21
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022・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今申上げる計画の実現につきましては、過去の当局者も非常に努力をして参りました。併し今後とも、その計画は計画だというので、それが実施に移らないことは止むを得ないんだと、かような投げやりの気持を持つわけのものではありません。具体的な計画につきましては、これが実現につきまして全力を傾注して参る考え方でおるわけであります。勿論それは公社自体の責任者もさようでありましようが、政府自身の監督権と申しますものは、取締ることが本来の目的ではなく、この適正である計画につきましては、是非ともこれが実現をみずから進めるべきものだと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/22
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023・水橋藤作
○水橋藤作君 先ほどに引続いてもう二、三点御質問申上げたいのですが、大臣も御存じの通り、この通信特別会計が一般会計へ八千二百万以内を納付しておる。公社にして半民半官の形で事業を発展させようという見解からして、公社になつてもまだ一般会計へ八千二百億以内のものを入れなければと、納付するという行き方が我々はどうかと思うので、この一般会計へ納付することによつて事業の拡張とか、或いは従業員のサービス、従業員の待遇等の改善が相当大きく阻害しておつたわけなんです。この機会に、民営になるのだから発展させるという建前から行くならば、何とかこの際に考え方はなかつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/23
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024・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今の八千二百万とか、八千二百億とおつしやつたのがちよつとよくわからないのでございますが、何か一般会計から特別会計へ切り替つたときの経過か何かがあるようでございますので、その点横田君から御説明さしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/24
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025・横田信夫
○政府委員(横田信夫君) 只今お話がありました八千二百万円という問題は、恐らく昭和九年に一般会計から通信特別会計が生れました当時の納付金のお話の問題だろうと思いますが、納付金が当時ありましたのは、御承知のように、郵政も併せまして通信事業の経営というものは、明治初年以来一般会計で一緒にやつて来た。収入と支出が分離されて、支出は支出として収入は収入として出ている、こういう経過を辿つて来たわけでありますので、通信事業が始まつた当初においつての収支関係は非常に困難であつたにしても、だんだん通信事業の発達につれて、収入と支出は一応分離はされておるけれども、数字で見るとだんだん通信事業の収入が多くなつて来ておる。で、特別会計に分かれます当時、やはり特別会計に分けて行くというのが幾分事業的な特性を持たして行くということで、新たに特別会計というものが初めて生れ出たわけでありますが、当時の財政事情からしまして、急に一般会計の財源が減るのは困るというようなことで、当時特別会計はあれだけの重荷を持つて生れ出たものであろう、こう考えられるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/25
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026・水橋藤作
○水橋藤作君 簡単で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/26
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027・横田信夫
○政府委員(横田信夫君) ところが今回の法案における納付金という問題は、全然その問題とは別でありまして、ここの法案の中にあります、利益金が生じた場合においては先ず繰越欠損の補填に充てる、繰越欠損の補填でなお残額があるときは、あらかじめ予算で定めたものを除いて積立金に組入れる、こういう規定の問題であろうと思いますが、この思想は実は国鉄の公社の条文と照し合せて見て頂くと非常にその趣旨が出ていると思います。国鉄のほうの条文では、利益金がある場合に、先ずその繰越欠損の補填に充てる、これは当然であります。併し予算で或いは特に積立金に組入れるということを書いて置かない場合は、積立金に組入れない場合は全部一般会計へ持つて行く。こうなつておるのです、鉄道公社は。これでは折角公共企業体になりまして、経理上の自主性を持たせ、経営能率を上げて行く、経営能力を上げて行こうという場合に、原則として納付するという建前では、これはもう折角企業体ができてもおかしいじやないかだからあらかじめ予算で特に定めた場合はそれを除くほかは積立金へ今度は入る、いわば原則として積立金に入る。併しこの予算で定めた場合は、その額なり率というものはこれは納付する、例外的に納付するという場合がある。こういうふうになつているわけでありまして、前の当時の八千二百万円の問題とは全然別個の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/27
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028・水橋藤作
○水橋藤作君 よろしうございます。
次に国際関係について大臣に御質問したいのですが、まあ我々から大体大きく見て、この通信事業の中で国際関係だけを民営にするということは言葉を換えて言うならば、事業の中で一番いいところを民営にやつちやうのだ、中味の饅頭にすればうまいところだけ食べてあと残るのだという印象を受けるわけなんですね。やはり通信事業にたずさわつている者としては、全部挙つてこれに反対せんならん。やはり通信事業というものを国家的に見て総合的に発展させるには、いいところだけを他人にやるのだ、こういうことでは事業にたずさわつている者は全部挙つて反対せんならん。私は大きく見てそういうように考えるわけなんです。そこで或る方面には、今の公社も先へ行つて又民営になるのではないかということも考えられるわけなんです。その第一歩じやないかということも考えられるわけです。いろいろな意見も出ておりますが、それは抜きといたしましてこの国際だけを民営にするということによつて起るべきいろいろの問題が、行政機構の改革とこれ又反対の結果になりはせんかと、こういうふうに考えるわけなんです。又運営の面から行きましても、これは専門家に今度は又逐条的にお伺いしたいと思いますが、まあ総括的に見て、これは大きな私は機構改革の目的に副わない。又国民の要望しない、又事業の発展しない結果を来すのじやないかということを、大きく見てそういうふうに考えます。又部分的な問題は又別に御質問することにして、その点について大臣から一つ明確に御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/28
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029・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今非常な率直な御意見のお尋ねでございました。昨日山田さんに私お答えいたしましたように、公社にすることは民営への前提ではないということをお答えいたしましたが、この機会にもはつきり申上げて置きたいと思います。私どもは公社を考えました場合に、民営への移行形態としてかようなものを考えたわけでは絶対にない。これだけは誤解のないようにはつきり申上げておきます。そこで然らばなぜ国際だけを分離したか、そうしてそれをなぜ会社にしたかというお尋ねであります。而も国際は利益があつただろう、通俗に申せば、いわゆるあぶらみの一番いいうまいところだけ民営に移しちやつて、うま味のないところを公社で残しているのじやないか、こういうお話のように思うのであります。私どもこの公社形態を考えた場合に、いろいろ事業の関連性がありますので、なかなか事業を分離するということはこれは困難なことであります。それで殊に事業の発展をいたしまして、膨脹して拡大ざれるというのが自然の姿でありますが、すでに或る程度の成長をいたしたものを、これを分離するということはなかなか困難な、これは大事業でございます。併し全国に亘る、全国に網を持つこの事業を考えて見ますというと、これはできれば、できるだけ分離可能な面があれば分離することも一つの行き方じやないか、事業経営から見まして、必ずしも分離が本来の事業の発展に逆らうものではない。かように考えているのであります。そこで或いは電報だけは別のものを作つたらどうか。米国においては電報と電話は別になつておる。又米国自身では、もつと区域的に細かく分れておる向きもある。それから米国式のシステムをいろいろ検討してみると、又今の御審議を頂いているものとは別の方向の議論も出ることがあるかもわからないのでありまするが、この米国の組織等をもいろいろ私どもは検討を加えてみたのです。それで日本の電信電話のあり方等を考えて見ますると、これは電信と電話が一体として発達して参つておるのでありまして、最近の無線等の発達等があるにいたしましても、電信と電話を分離する米国式の考え方は、どうも理論的にも、又実際の問題からもどうも私どもが納得ができない。更にこれを地域的に分割するような考え方はどうしても考えられない。それで米国式の考え方は公社の場合においてはこれを採つ用いたさなかつたのでございます。ところが過去におきましても、国際電気通信という設備保有の会社があつた。而もこれは相当の業績を挙げて参つておる。それから各国の制度等を考えて見ましても、国際通信の部門におきましては、会社経営のものがある。こういうようなことを考えて見ますると、日本の電気通信省の業務で、これを分割して、そうしてまあ適当の規模を考えるといたしますればなし得ることは、国際関係のものを分離するということにあるような結論に到達いたしたわけであります、それで国際部門を別にすると、そうすると只今御指摘になりましたように利益があがつていき、それが国内の部門につぎ込まれて行つて、その相当の利益を出した。これは組合側の主張しておりますのは、約年間二十億の利益がある。我々管理者側から見ますというと、十三億程度と思いまするが、とにかく相当多額の利益を生じておる事業をこれを分離する。そうすると残つたほうは、それだけの資金を別途に獲得しない限り在来の業務遂行は困難なんじやないかと、こういうような御議論が出て来るわけであります。この点は同時に私自身も会社経営をいたしたことがないのでわかりませんが、私が素人で実際考えてみますると、この利益を生ずるところの部門が然らばその利益を生ずるにふさわしいようなサービスを提供しておるかどうかと考えてみますると、そこには一つの問題があるのじやないか。これだけの利益を生じたならば、もつと積極的に国際通信の部門が整備され、もつと活動が容易にできるかというと、これは年々国内の部門に注ぎ込んでおる。その意味において見ますると、国際部門はそれだけサービスは低下しておると言わざるを得ないことになる。いわゆる古いほうにとにかく伸展を見ているのが今までの仕事の仕振りではないか。而も電気通信の実態から考えてみますると、国際電気通信が或いはその大半を占めるような仕事でありますならば、これだけを分離して小ざいものを残すことは非常に困るでありましようが、今の電気通信の全体の規模から考えると、国際通信の部門は僅かに二分か三分にしか当らないものでございます。これは二割だとか三割というものじやなくて、その二分か三分にしか当らない非常に規模の小さなもの、かように考えますると、この規模の小さなところのものは、これを一緒にされることによりまして相当業務にふさわしいサービスが提供されないことになつて来る。むしろこれを分離して、同一の業態であるところの電気通信の部門の中で、国際通信は立派な成績が挙つておる、この一つの見本を作ることによりまして、国内に残つておる部門が競争的意識の下にその業蹟を挙げることができるのじやないか、これが実は私どもの大きな狙いなのであります。これが会社であろうが、公社であろうが、これは同一のまあ関係と申しますか、今までは一家族で経営して来られた面であります。そうしてその点を考えてみますると、十二、三億なり或いは二十億なり、それは非常に多額の金額のようにも考えられまするが、電気通信の全体の事業の規模から申しますれば、これは非常に大きいとはどうしても言えない部面であります。然らば残つておるところの国内の電気通信の部面におきまして、これは更に現在の料金制度の下において、又今後の資金獲得なり、或いは運用等の面におきまして、事業の活溌な活動をいたしますならば、現在の状況は必ず改善されるものである、又改善しなければならないものであつてこの意欲と実際とを考えると、これはむしろ分離することのほうがより効果があるのだと思う。これをやりますならば、恐らく公社の事業経営におきましても、一層の工夫が凝らされることでありましようし、従業員自身に対しましても、私は必ず幸いするものだと、かように思う次第であります。ただその場合に、国際関係のものを会社にするか、或いは公社の形態にするか、こういうような点もなお残ると思いますが、これを会社にいたしましたゆえんは、これが国際的に持つ活動の分野から考えまして、やはり各国等が採用しておる会社組織のほうがより活溌な行動ができるのではないか。又従業員の関係におきまして、片一方は政府関係機関である、併しながら国際部門におきましてはこれは普通の職員である。こういうようなわけになるのでありまして、これらの点、この工夫は、私自身は相当自慢してもいいのじやないかくらいに自画自讃しているようなものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/29
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030・小笠原二三男
○小笠原二三男君 議事進行について。ここのところがこの委員会としては非常に問題なところだと私は思うのです。こういう今切れるような時間のところでやられたのではちよつと我々困るわけなのです。一つ集中的に水橋さんにおやり願うこととして、本日はこの程度にして打切つて頂きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/30
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031・水橋藤作
○水橋藤作君 質問を残して打切るということならば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/31
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032・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 如何でしようか。十二時も過ぎましたので、本日はこの程度にして……。(「賛成」と呼ぶ者あり)
では本日はこれで散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X02419520524/32
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