1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十七年六月四日(木曜日)
午後一時四十七分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 鈴木 恭一君
理事
尾崎 行輝君
山田 節男君
委員
大島 定吉君
新谷寅三郎君
水橋 藤作君
衆議院議員 橋本登美三郎君
政府委員
電波管理委員会
委員長 網島 毅君
電波監理長官 長谷 愼一君
電波管理総局法
規経済部長 野村 義男君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 榮一君
—————————————
本日の会議に付した事件
○放送法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/0
-
001・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) これより委員会を開きます。放送法の一部を改正する法律案、電波法の一部を改正する法律案(予備審査)、これを議題といたします。
先ず放送法の一部を改正する法律案について発議者より提案の理由の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/1
-
002・橋本登美三郎
○衆議院議員(橋本登美三郎君) 只今議題となりました放送法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
電波科学の急速な進歩と国民の熾烈な要望とに促されて最近我が国においてもテレビジヨン放送実施の気運がとみに高まつて参つたのでありまして、衆議院におきましては先に第十国会においてテレビジヨン放送実施促進に関する決議を行なつておることは御承知の通りでありますが、一方これに呼応して日本放送協会並びに民間二三の方面からもすでにテレビジヨン放送局開設の免許申請が電波監理委員会に提出されておる情勢にあるのであります。
然るにテレビジヨンに関する法制の面を見まするに、現行の電波法及び放送法はテレビジヨン放送をも規律の対象に包含して立法されておることは明らかでありますが、制定当時においては未だテレビジヨンが現実の問題となつておらなかつたため、テレビジヨンに関する限りにおきましては多少の不備欠陷を免れないのであります。特に日本放送協会は、放送法第七條及び第八條の規定によりまして、公共の福祉のためにあまねく日本全国に放送を行うことを目的として設立された法人でありますが、仮に同協会が政府の免許を得てテレビジヨン放送を行うとすれば、その財源は同協会が放送法第四十六條によつて広告放送を禁止されている以上、勢いテレビジヨン受信契約者から徴收する受信料に頼らざるを得ない建前になつているにもかかわらず、受信契約及び受信料に関する放送第三十二條の規定は、協会の標準放送に対するものに限られ、テレビジヨン放送に対しては規定を欠いておるがごときは前述の放送法第七條及び第八條と矛盾する結果となり、テレビジヨンが実現段階に入つた今日、法の不備と申さねばなりません。
又日本放送協会のテレビジヨン放送に対する受信料徴收に関する規定を欠いておるということは、無線局開設の免許申請審査條件として電波法第七條第一項第三号に掲げる「当該業務を維持するに足りる財政的基礎」の裏付がないということになるのでありまして、これ文法の欠陷によつて日本放送協会の申請を民間側申請に比し不平等の立場におく不当な結果を来すこととなるのであります。
以上の理由によりまして、放送法第三十二條第一項に改正を加え、日本放送協会の行うテレビジヨン放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会と受信契約を締結し、協会はその者から受信料を徴收し得ることとする必要があると認めて、この法律案を提出いたした次第であります。
何とぞ十分御審議の上、全会一致可決せられんことを希望いたします。
なお続いて二、三の点について補足説明を申上げたいと思うのでありまするが、テレビジヨンの実現につきましては、今申上げましたように昭和二十六年の第十国会で衆議院は決議案を上程いたしましてテレビ促進の国会の議決を得たわけであります。この問題につきましては貴参議院におきましても非常な御熱心な態度を今日までとつておられまして、その後の問題につきましても種々御研究及び御審議をなさつておることも我々は聞いておるのであります。
そこで衆議院の委員会におきましてはこれらの問題がだんだんと論ぜられるに至りまして、そこで電通委員会として非公式にこれらの問題を当局といろいろ研究をしたのであります。ところが当局の説明によりますと、勿論標準方式の決定がまだなされておりませんので、これらの具体的な問題には入つておらないが故に、将来においてこれが放送法の改訂は必要ではあるけれども、現在まだそこの準備はしておらない、こういうようなお話でありました。併し委員会といたしましては、すでにテレビジヨンの標準方式が近く決定せられるような段取りになつており、而も先ほど申上げましたように三、四の開設の免許の申請が出されておる実情からもこれが或る程度の少くともこの免許に関する法的な改正が必要ではなかろうか、こういうことからして委員会におきましては、今申上げましたような放送法の一部改正法案の提案をしたのであります。
そこで我々の委員会の考えとしましては、御承知のように放送法の第二條において「この法律及びこの法律に基く命令の規定の解釈に関しては、左の定義に従うものとする。」そうして一号には「『放送』とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。」三号では「『放送局』とは、放送を目的として開設する無線局をいう。」こういう工合に放送法第二條で放送の内容を定義しておるのであります。従つてこの「放送」とは標準放送は勿論、他のテレビジヨン、そういうような内容をもこの「放送」の中に明らかにしておることは、この定義が我々は明らかにしておると思うのであります。ところが同じく同法の第七條においては、「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」こうなつております。この場合の放送も我々は第二條で言うところのいわゆる「放送」である。従つて第七條の放送の内容は標準放送並びに他のテレビジヨンなどを含むところの放送を意味しておるものと我々は解釈するのであります。然るに第三十二條において御承知のように料金を規定しておる項目は標準放送のみに限られておる。ところが前段提案説明で御説明申上げましたようにすでに申請が出されており、而も内外の情勢は急速にテレビが認可されるのではないかというように思われる情勢でありますからして、従つてこれらの申請を合理的に扱うためにはその放送法の一部が、少くとも申請に対する合理的な審議をする意味においては、その一部が改正される必要があるであろう、提案で申し上げましたように放送協会は広告收入を禁ぜられておる、従つて申請書におきましても、免許申請書におきましても受信料の收入を財的な根拠として申請がいたしてあるように聞いております。そういうような事情から考えまして、この三十二條の項目においてテレビが若し免許になつた場合においてはその受信料を徴收することができる、こういうことが明らかでなければその申請書自体が非常に不明瞭なものになりはしないか、且つ又当局においてはこれの申請を審査する場合において電波法の第七條においては、「電波監理委員会は、前條の申請書を受理したときは、遅滞なくその申請が左の各号に適合しているかどうかを審査しなければならない。」こういうような電波法第七條によつて規定があります。その第七條の第三号の中に「当該事務を維持するに足りる財政的基礎があること。」こういうことが審査をする上におけるところの審査條件の一つであります。然るに放送法の第三十二條によつてNHKの場合においては標準放送のみにいわゆる受信料を徴收することができる。こういうように当座の問題としてなつております関係上、これを審査する上においてこの点が明確でなければ当局においてこれを審査する上においても不十分な嫌いがありはしないか、こういうような見解からして提案説明で御説明申し上げましたように、民間申請に比して不平等の立場におくというようなことはいやしくも電波を国民の前に公平にこれを使用せしめ、その福祉をお互いに享受せしめるという大原則から考えて、甚だ片手落になる結果を招来することは立法府として甚だ不適当である、こういうような考え方からいたしまして、この点にのみ修正を加えたのであります。なお電波法の第六條におきましても申請者がその申請書を作る場合においては、いろいろの項目がありまするが、その中に二項の二の中に「事業計画及び事業收支見積」こういう項目があります。即ち審査の上においては財政的な、当該業務を維持するに足りる財政的基礎があるかどうかということを審査するその申請書としては、事業計画及び事業收支見積というものを出さなければならない。この收支見積を出す場合においてもこれが徴收ができるのであるという建前に立たなければ、この事業收支見積書も非常に不安定な結果になりはしないか。こういう点を衆議院におきましては種々論議の結果、この際この一部を訂正、修正、改正することが妥当である、こういう見解に立つて共産党を除く全員の一致を以て修正案が可決せられまして本会議を通過した次第であります。
以上の件につきまして各委員から御質問がありますればお答え申上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/2
-
003・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 委員より御質疑のかたはお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/3
-
004・山田節男
○山田節男君 この改正法案を立案するに当つてこれは常識的に考えなくちやならないことは先ず第一には標準方式の問題、これは今電波監理委員会の最後の聴聞会で調書、意見書が発表され、電波監理委員会の決定を今待つておるわけです。その第二の問題としては、やはり一体テレビジヨンの経営形態をどうするか、具体的に言えば公共放送か商業放送かということになる。そういつたような場合に、日本のような小さい国でこれは公共放送だけにする場合、或いは民間放送にする場合、或いは公共それから民間の両方の建前で行く場合、この三つのあり方があると思うんです。今回この三十二條の日本放送協会もテレビジヨンの放送をなし得る、この御趣旨はわかるんですが、その前に一体経営形態をどうするか、この案で言えば公共放送もできる、民間放送も勿論できる、こういう途を開いた意味であろうと思うのです。これは各派の、共産党以外の、衆議院で各会派の共同立案ということになつていますが、少くとも最大多数を持つておられる自由党が、テレビジヨンの経営形態、こういうものを考えてこういう法案を作られたのであろうと思うのです。今仰せのように、ただ放送協会もテレビジヨンの放送ができるという途を開いただけのものであるか、或いは更にこれは将来のテレビジヨンは公共放送と商業放送ですね、両方やろう、こういう何か立案のときにそういう心がまえが……どういう心がまえであられたか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/4
-
005・橋本登美三郎
○衆議院議員(橋本登美三郎君) 今の山田委員の御質問でありまするが、この問題につきましては非常に重大な問題でありまして、我々この放送法の改正の考え方はいわゆる如何なる企業体で行くか、こういう問題について直接触れておられないのであります。我々が勿論国会として日本の国内及び国外関係並びに経済情勢から見てそういうような考え方を持つという必要もあるとは思うのでありますけれども、全般的な資料、経済的な或いはその他の資料を持つておるのは政府でありますからして、政府自体が今後のテレビジヨンの行き方、或いは国内経済から見て公共企業体で行くべきであるか、或いは二本建で行くか、或いは特殊法人を作つて行くかという考え方は、勿論国会にもそういうような考え方があつてもいいのではありますけれども、その主導権はやはり政府が考えるべきものと思つておるのであります。従つて我々これを作る場合においては、その組織体にどういう考えを前提として行うべきかということについては委員会としては考えておりません。勿論委員各自の場合においてはいろいろな考えがありましようけれども、委員会としてはこれを公共企業体一本建で行くべきか、或いは民間一本、或いは二本建、こういう考え方の下にこの改正を行なつたのではなくして、飽くまで電波というものは国民の共有の財産であり、而も放送法自体が公共企業体と民間と両者を認めて現実に放送がなされておるのでありまするからして、従つて国内事情、或いは経済事情が許せば勿論この電波法の精神から言えばあらゆる方面にこれを認めて行きたいという考え方にこの法自体はあるであろうと思うのであります。只今山田委員がおつしやるように、国内のいろいろな事情からして実際上そういう修正が困難であるというのであれば、改めて政府においても或いは国会においても考え方を変えなければならん、こういう工合に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/5
-
006・山田節男
○山田節男君 今の自由党内閣、吉田内閣として勿論こういう法案の改正についてその與党である自由党がまあ主力となつてできたわけでしようが、そのテレビジヨン政策というものに関して、一体吉田内閣としてどういう意を持つておられるのかこれがはつきりしない。昨年の十月の末委員会でテレビジヨンの標準方式の試案を我々のところへ出して、それでその余り問題の重要性のために我々更に再聽聞、二度も聽聞会をやつておるわけであります。で更に私は予算委員会で内閣の首長である吉田総理に向つて、吉田内閣のテレビジヨンの根本方策は一体どう考えておるのか、現にテレビジヨンというものを電波監理委員会で問題にしているが、テレビジヨンをそんなに早急に実現したいのか、そういう方針かということを質問を申上げた、ところがこれは新聞でも御覧になつておると思いますが、吉田総理はテレビジヨンは余り急いではいかん、こういう御方針だということがはつきり出たわけです。そういうことになればこれは私はもう單にこの三十二條だけでなく、大体この放送法或いは電波法を見ましても、この第五国会ですか、電波法、放送法、電波監理委員会設置法と三法案が出たときの議事録を私はずつと読んで見ました。当時小澤佐重喜君が電通大臣であり、テレビジヨンというものは僅か二、三行くらいしか出ていない。これではこれは成るほど何か間に合うかも知れないが、電波法、放送法を見まして、テレビジヨンを正式にやることになれば、單に三十二條の放送という問題だけで片付く問題じやない、幾多不完備な点がある。そこで吉田内閣としてのこれは與党の政府委員に質問しますが、立案者の、殊に與党の有力なかたとして御質問申上げるのですが、吉田内閣は、総理大臣はテレビジヨンを急がない、むしろ日本はもう少し慎重にしてやつたほうがいい、外国に対するこういう御方針だということははつきり出たわけです。そこでこういう一つの法案をお出しになつておるということは、今申請しておるテレビジヨンの申請について、標準方式の決定、その基準がきまれば早速これは許可不許可の問題になると思いますが、こういう放送法の改正を立案されることになれば前の参議院の予算委員会で言明された吉田総理のテレビジヨンに対する考え方というものは変つたものと見ていいですか、この点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/6
-
007・橋本登美三郎
○衆議院議員(橋本登美三郎君) 山田委員の御質問でありまするが、まあ大部分は政府委員がおいでになりますから政府委員からお答えするほうが当然と思いますけれども、自由党がこのテレビジヨンを早くやることを希望しておるかどうかという御意見でありまするが、自由党といたしましては、あえて自由党單独の党議は決定しておりませんけれども、先ほど申上げましたように、昭和二十六年の第十国会におきまして、テレビジヨンの実現促進の決議案に同調いたしておりますので、従つて党の全体的な考え方から言えば、テレビジヨンを成るべく早くやれというふうに、我々は衆議院の国会の意思もそこにある、こう申上げてよいだろうと思うのであります。そうなれば総理大臣と党との意見が食い違うのではないか、こういう場合がありまするが、勿論與党、政府でありますからして、政府が党に反映し、党又政府に反映することがありますけれども、従つて党としては少くとも衆議院の全体の意思はテレビジヨンを促進すべし、こういう決議に政府は当時適当に善処するという答弁もしておりますからして、その後の情勢の変化によつて或いは吉田総理の考えが変つておるかも知れませんけれども、なお当時決定された衆議院の決議方針というものはそのまま修正されておりませんので、我々衆議院側としてはテレビジヨンを促進すべし、こういう建前に立つておると考えております。なおこれだけの放送法の改正では十分でないのではないかという御意見でありますが、その通りでありまして、我々もこの放送法の一部を改正するだけではテレビジヨンの実施について完全とは思つておりません。特に教育文化と、これが社会教育上に及ぼす影響が甚大なことに鑑みて、従来の中波放送に適用されておるラジオ・コードだけでは甚だ不満足ではないか、この点は曾つて委員会におきまして私は政府当局に質問はしておるのでありますけれども、今度は声ばかりでなくして目を通じて、感覚を通じて我々に影響を與える、そういうような立体的なものでありまするからして、従来の平面的な声のみを中心にしたラジオ・コードであつては、必ずしも万全を期し得ない。特に最近アメリカ方面その他のテレビジヨンから受ける影響を我々が調べますというと、相当に大きな影響を與えつつある。こういう現状から見ても、是非ともこれはラジオ・コードをテレビジヨンを含めたものを考えなければならない。こういう意味では、本免許に先立つて、当然ラジオ・コードの全面的な検討が行われる必要があると思うのだし、恐らく政府当局においても、この点についてはすでに考慮をしておられるのであらうと思うのであります。若し考慮をしておられなければ当局の怠慢であります。且つ又もう一つは免許期間の問題でありますが、電波法において、いわゆる免許期間が三年とこうなつておりますが、これは当時標準放送、いわゆる中波放送をする場合においても、相当大規模な施設を必要とする、こういう施設に対して、三年間の免許期日では民間事業を経営する上においては、非常に困難性がありはしないか。投資をする上においても、相当危險性を伴うという点からして、民間投資が不十分に行われはしないか。こういう意味でこの免許期間の問題についても、衆議院において相当の論議が闘かわされたのであります。これに対して当時当局は、国際の電波行政の問題もあり、且つ又免許期間が三年となつておつても、それらが通常適正に運用せられる場合においては、当然これは実際的には更新せられるものである、こういうような説明がありましたので、一応免許期間を三年と抑えたのではありますけれども、今度テレビジヨンが若し免許になりまする場合においては、テレビジヨンの場合には、果してそういうような当局の説明だけで、なお三年間の免許期間でよろしいかどうか、こういうことは、今後やはり大きな問題であろうと思います。殊に普通中波放送の設備に対してその数倍を要すると、こう言われるテレビジヨンの設備に対しては、もつと積極的な、これが民間事業若しくは公共企業体でも同様でありますが、それらの事業に対して安定感を與える、こういう意味においては、この免許期間に対しても或る程度の延長は必要であろうと考えておりますけれども、これらの問題は、なお予備免許が済んでからでもこれらの改正は間に合う、こういう考え方からいたしまして、而もこれらの問題については、当然政府当局が考えるべきである、あえて議員立法を待つまでもなく、政府当局がこれらの問題については十分に研究し、過去二、三年間の経験に徴して考えて改正せられるときに、政府提案として改正案が出されるべきものでありますと我々は信じて、この問題については触れることがなかつたのでありますが、将来適当な時期において、政府当局がこの改正案を出す意思があることを我々は確信して、この免許の前提になるべきもののみに限つて、限定して、法律の改正案を出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/7
-
008・山田節男
○山田節男君 網島委員長にちよつと質問しますが、NHKその他二、三のテレビジヨンの放送申請書が出ておる。これは昨年の年末だと私記憶しますが、現在NHKを含めての申請書を受理する、そうしてNHKも申請をしておるが、これは法規上から見て何ら差支えないというように私は聞いたように記憶しておる。そうなれば、而も今回の三十二條の修正が議員の提案にならなくても、電波監理委員会で、ここに一つの隘路があるということになれば、電波監理委員会が進んで修正案を出すべきであろうと思うのでありますが、ところが私の聞くところによると、改正しなくても、これはNNKの放送の申請は受理できる。こういうふうに私はお聞きしているのですが、そういうことは初めから私はわかつていたのじやないかと、私はこう思うのですが、今日議員がこうして提案するに至つたことは、やはり電波監理委員会のちよつとその前の委員長の御発言と、どうもはつきりしないのですが、その間の事情を網島委員長から一つお聞きすれば結構だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/8
-
009・網島毅
○政府委員(網島毅君) お答えいたします。電波監理委員会といたしましては、現在の電波法及び放送法によりまして、日本放送協会が現状のままで申請書を出すことは、違法ではございませんし、又電波監理委員会が申請を受付けるということも違法ではないと考えております。従つて現在電波監理委員会は、その申請を受付けている次第でありますが、申請を受付けたということと、免許するということとの間には、直接的な繋がりはないというふうに考えております。と申しますのは、民間の場合でありますると、これは申請を受付けましてそれを審査いたしまして、そうして免許を與えるか否かということが、直ちに現在の電波法によつて出て参りますが、日本放送協会の場合には御承知の通りいろいろな制約がございまするので、その申請を受付けましてそれを検討した結果、日本放送協会はりこういう点で法律の改正その他の処置がとられるならば、免許することが必要であるという見解に到達いたして参りました場合には、電波監理委員会といたしましては直ちに所要の法律改正の手続をとる、或いは又日本放送協会の收支予算書、事業計画の変更を国会へお出しして、そうしてそれによつて、その国会の御承認なり通過を得まして、そうして免許を與えるというふうな行き方を現在とつているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/9
-
010・山田節男
○山田節男君 これは申請書の受理とそれから免許ということは勿論違うのです。違うということはわかつておりますが、少くとも受理するということはもう現在の放送法においてNHKもなし得るのだ、こういう建前でなけらにや受理できない、受理ということは一応それによつて免許をするか否かということが審査の第一段階、これは公式に電波監理委員会が行う行政措置というと非常に大袈裟ですけれども、とにかく受理する、それから審査する、これはもう別問題ですが、もうその間約半カ年間たつている。NHKも放送法というのは十分検討した上で出したことだと思うし、電波監理委員会が受理したと同時に、この放送法というのは十分各條御存知なんです。となればこの三十二條というものが、いわゆる財政的な基礎をつけるということを考えなくちやならん、これはもう当然なことなんであります。ですから電波監理委員会が注意を喚起するか、或いはNHKとして内容を改正してもらいたいということを我々国会に、或いは電波監理委員会に請願、陳情がなくちやならないわけであります。それも我々この参議院の電通委員会に関する限りは、何らそういうことを我々聞いておりません。のみならず最初に申上げた通り電波監理委員会としては、NHKの申請もあたかも免許ができるかのごとく委員長の御答弁と記憶しているからこういう質問を申上げる。そこで電波監理委員会として三十二條、NHKの公共放送というようなことを考えれば、尤も三十二條というのは何とかしなくちやならんということは、修正しなくちやならんということは十分お気付だつたろうと思う。ところが議員提案になつて、今日衆議院の議員の立法になつて出て来たわけですね、そこはどういうわけで電波監理委員会が自発的におやりにならないで、議員がこれを発案しなくちやならないか、この間の事情ですね、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/10
-
011・網島毅
○政府委員(網島毅君) テレビジヨンの開設の問題につきましては昨年春の衆議院におきましてこの促進に関する決議案が可決されました。私どもその趣旨に副いまして鋭意準備を進めておるのでありますが、一方御承知の通りテレビジヨンの問題というのは我が国の将来の社会的な、或いは経済的、文化的に非常に大きな影響を與える事業でございまするので、私どもは今日まで非常に慎重にその問題を取扱つて来ておる次第でございます。私どもはこの現在出されておりまするところの申請書の審査をするに当りまして、先ず諸般のいろいろな事務的な手続その他内容につきまして整備をする必要を痛感いたしまして、それを現在までやつて参つた次第でございまして、それらの基準というものが公聴会その他を経てでき上つた上でこのテレビジヨンのあり方と申しますか、テレビジヨンの申請の審査というものを慎重に審理したいと考えておつた次第であります。従つてその結果日本放送協会もテレビジヨンをやるのが適当であるという結論に到達いたしましたならば、勿論電波監理委員会といたしまして進んで放送法の改正を国会へ御提出するつもりでおりまするし、今日までその問題につきましても委員会におきまして懇談的にいろいろ協議したこともあるのでありますが、只今のところはまだその問題につきましては委員会として結論を得ておりません。これからその問題につきまして本格的に論議を盡くし、審議する予定になつております。従つて今日までまだそれをお出しする、放送法の改正をお出しする機会に到達しなかつたからしてお出しできなかつたわけでありまして、意識的に放送法の改正はやらないんだというようなことは毛頭考えておらない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/11
-
012・山田節男
○山田節男君 なぜこういうことを御質問申上げるかというと、御承知のようにもうこの三社か四社かのテレビジヨン放送会社の申請が出ておるわけです。この電波法、特に放送法については、これはもう電波監理委員会の専管であり、又あなたたちは専門家であります。こういう三十二條という一つの公共放送、NHKがやるということになれば、これは三十二條このままではできないということはとくに御存じなはずです。そういうことになれば今テレビジヨンの放送の免許ということについて激烈な競争があることは、これは電波監理委員会も十分御認識になつていることだろうと思う。ところがこのままにして置けば民間放送を電波監理委員会が、暗にこの穴を電波監理委員会が知つているけれども、よそのものは気がつかん。いよいよ最後になりこれを最後まで放つて置けば公共放送ができない、NHKのやる放送はできないということになるといつたことは結局民間放送しか許可できないということになる。ですからこの三十二條の改正というのは放つて置けば結局公共放送と言いますかNHKは放送できないのだ。暗に電波監理委員会としては民間放送に肩を持つているんじやないか、こういう疑惑を生ずるわけです。ところが今回突如じやないかも知れないが、衆議院において各派の共同提案によつて三十二條の修正をやりまして、NHKもできるのだという途を開いた。ここに今あなたもそういうことをおつしやつているが、一般的にこれはもう非常に意地の惡い考え方というか、併しそういう言動を我々は聞くわけです。NHK、公共放送にしないで、民間放送の肩を持つておるから、今まで何とか頬かむりして、隠して行こう、こう思つていたのじやないかという噂と言いますか、流言があるわけです。只今の網島委員長の御答弁でそういう事実は全くなかつた。衆議院議員から事態捨て置けずということであなたたちはこれからゆつくり又一つ諸般の準備を整えて同時にそれをやるというおつもりであつたのを、そこへ来て衆議院のほうで焦つてこういうふうな改正をしたのだ、こういうように了承してよろしうございましようか。その点誤解のないようにはつきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/12
-
013・網島毅
○政府委員(網島毅君) 只今山田委員のおつしやつたこの世間の流説と申しますか、そういうようなことは電波監理委員会としては毛頭考えておりません。電波監理委員会といたしまして、飽くまでも公正な立場で、仮に放送法におきまして三十二條の点が改正されておらなくても、公平な立場から日本放送協会及び民間の申請を審査いたしまして、そうして、日本放送協会にテレビジヨンを許すべきだという結論に到達いたしましたならば、直ちに放送法の改正その他の手続をとるつもりでおりましたし、又これを同時に改正したほうがよいということでありまするならば、その手続を待つてやるというようなことも考えておつたわけでありまして、片方には法の欠陷をそのままにしておいて、それを理由にして片方に有利に持つて行くというような考えは毛頭持つておらないということを確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/13
-
014・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 大体お聞きしたい点は、山田委員からお聞きになつたようですから重複はしないつもりでおりますが、簡單に監理委員長にお尋ねしたいのであります。私はまだこの委員会ではテレビジヨンを企業体としてどういう形がいいか、どこがやるのがいいかということをまだ論議していないのでありますが、この放送法の建前は先ほど橋本議員からお説明になりましたように、特に第一條の第一号で放送が国民に最大限に普及されてその効用をもたらすことを保障するということが書いてあります。これは私から申すまでもなく放送法案を提案された当時に、政府から電波というものを国民全体に享受させるようにしなければならないのだ。それがこの放送法の大眼目であるということを縷々御説明があつたので我々もその点は了承したのでありますが、多少企業体の問題に触れますが、電波監理委員長としては一体この放送法においてテレビジヨンを含めてこの国民全体に放送を普及して行くという役目はどういう機関が担当するのが一番適当か、その点についてのお考えを承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/14
-
015・網島毅
○政府委員(網島毅君) お答え申上げます。国民全体に放送を普及するという点につきまして、極く常識的に考えまするならば、日本放送協会のような公共企業体がこういう問題を解決するのに最も適当な機関であろうということが言えると思うのでありますが、一方現在の申請者の中には民間放送によつてもそういうことが可能であるということを申請書に申述べておるのもございます。従つてこれをどういうふうに判断するかということにつきましては、今後電波監理委員会といたしまして十分慎重に検討いたしまして、そうして結論を出したいと思つておりまするが、現在のところそういう問題につきましてまだ委員会としての結論は持つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/15
-
016・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 これから研究をするのだということでありますから、これ以上お聞きしてもしようがないかも知れませんが、私の解するところではまあ現在の放送法だけを見ますると、そういう役目を負わしているのは日本放送協会である。ただテレビジヨンについて日本放送協会が他の放送と並んでそういう中核体になることがいいかどうかという政策論はあると思いますが、放送法の建前からいうと、その点は何らの疑いはないのじやないかと考えるのであります。今網島君の言われるような考え方を以てすれば、すでに一般の放送におきまして数社或いは十数社は免許を與えられてそれぞれ放送を開始しているはずであります。こういつたものが仮に各地を結んで、もつとネツトワークでも持つた場合にこれが中心になつて国民全体に、日本国全体にあまねく放送を享受させるようにし得る機関であるというふうにやはりお考えになつて行かなければならんということになるのであります。この点は放送法の当時の速記録を御覧になるとあなたがたの説明は非常にはつきりしているわけでありますが、放送法の建前は今申上げたように営業採算に合わないということであつても、全国民に電波を享受させるために放送協会というような公共的機関が必要なのであるとあなたがたは言つておられる。その点は放送とテレビジヨンと政策的には非常に違つた点もありますが、放送法の建前で、放送という中にテレビジヨンも入るのだというような前提から行きますと、只今国会で決定しましたこの放送法という法律の建前では、この点は何ら疑う余地がないのじやないかというように私は考えるのであります。網島君はこの点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/16
-
017・網島毅
○政府委員(網島毅君) 先ほど申上げましたように常識的にはお話の通りだい思います。私はそれに異存を挟むものではございませんが、電波監理委員会としてはまだ結論が出ていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/17
-
018・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私は常識的にあなたの見解を求めているのではない。今申上げましたように現在の法制上の建前としての網島君の見解を求めているのでありますが、その点について更に御答弁を願えれば結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/18
-
019・網島毅
○政府委員(網島毅君) この放送法が制定されました当時におきましては内容につきましてはこれは一応テレビジヨンその他の問題も含まれておりますが、主として標準放送を考慮したしまして作られたものだと考えております。ところでテレビジヨンの問題につきまして最近申請者の中には、これはテレビジヨンの事業を成立たせるためにはこれを全国的に普及させて初めてテレビジヨン事業が成立つのだということを申しておる向きもあるのであります。これが果してそうであるかどうかということはこれはおのおの人によつて見解が違うと思うのでありますが、電波監理委員会といたしましては職責上委員会としての結論を出さなければならない立場に置かれておると思うのであります。ところで電波監理委員会といたしましては、この問題につきましてはまだ審議の途中でございまして、委員会としてどういう見解を持つているか、そういう申請を信用するか、或いは正しいと思うかどうかということにつきましては只今申上げかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/19
-
020・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私の質問を誤解しておられるようにとられるのでありますが、私は別に日本放送協会、或いはその他申請しておる会社の具体的内容について一々検討をして言つておるわけではない。只今国会を通過して実施している放送法というものの法制上の建前をあなたにお聞きしているわけなんです。放送法の建前から行きますと先ほど読上げましたように一條の第一号ですが、この放送法を作る大眼目として、放送が国民に最大限に普及せられてその効用をもたらすことを保障しなければならんということが放送法に謳つてあります。それから橋本議員からの説明にもありましたように、日本放送協会という特殊法人が、これが公共の福祉のために日本全国において受信できるように放送を行うために作る団体なんだということを書いております。この建前から言うと、その点は法制上の問題としては疑いを入れないのではないか、現行法では……ということをあなたに聞いておるのであります。或いは日本放送協会が不適当ならば他の公共的な機関を作る必要があるかも知れません。それは別問題です。併し今の法制上の建前としてはそういうふうな公共的な機関が日本全国民に商業採算に乘つても乘らなくても全国にそういう電波を送るように施設をして、一人でも多くの国民に電波による利益を享受させるようにするのが放送法の目的なんだということを書いてあるじやないか。そういうことをあなたに私は言つておるのですが、あなたは現在の法制上の解釈、それについてあなたは何か御異論があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/20
-
021・網島毅
○政府委員(網島毅君) 放送法の目的第一條は、御承知の通り放送が国民に最大限に普及されることを保障するということを目的としておるのでありまして、この国民に最大限に普及させるためには日本放送協会という組織を使うのが適当であろうということにつきましては、これは異論がないと思いますが、日本放送協会でなければできないのだということにつきましては、私ははつきり断言できないのではないかというふうに現在は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/21
-
022・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私の質問はまだ十分徹底しないようであります。私は日本放送協会でないとできないのだというようなことを言つているのではないのです。先ほどから申上げたように、こういうふうな公共的な機関が中核になつて全国民にあまねく電波を送るようにして、そうしてこの放送法の目的を達成せしめるのがこの法制上の建前じやないかということを再三あなたに言つておるのです。併しこれ以上言つてもあなたが答弁できなければこの次の質問に移りましよう。
橋本議員にちよつと聞きたいのでありますが、先ほど御説明の中でこの放送法の第三十二條第一項の改正案以外になお考慮すべき点があるだろうか。例えばラジオ・コードのごときものその他若干のものが考慮されなければならぬということでありましたが、この点につきましては、或る程度私どももこの委員会で過般テレビジヨンについて審議をいたしました際に政府当局にも確かめまして、政府当局もこれについて十分の考慮をしたいということを言つておつたのでありますが、これの一部改正法律案は先ほどお述べになりましたように、日本放送協会が申請をして、そうして免許を與えられる。その最小限度の手続上の措置だけはとつてやらなければいかんというお含みを持つてお出しになつたものと考えてよろしうございましようか。その点最小限度の規定だと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/22
-
023・橋本登美三郎
○衆議院議員(橋本登美三郎君) 只今新谷委員からの御質問の大体通りでありますが、この中でなぜ我々がそれを取上げたか、これは或いは電波監理委員会と多少法律解釈が異なつておるかも知れませんが、我々電波法の第七條の申請の審査この中の第七條の一、二、三、四とありますが、このうちの三の「当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること。」、こう明確になつております。これについて或いは電波監理委員会とこれは多少解釈上の意見が違うと思うのですが、私たちは法文をそのまま忠実に解釈して、この申請書を審査するためにはどうしても一、二、三、四が必要なんだと、而も三の「当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること。」ということが、それを民間の場合で言えば、適当な株式会社が成立し、同時にそれらの資金を得る途が明確にされておること、或いは公共企業体にすれば、広告收入を禁ぜられておる公共企業体があり、或いは将来こしらえるとすれば、そういうものに対しては他の收入の途が確定されておらなければならない、その場合において日本放送協会は広告收入を禁止せられておるのであるからして、そこでその收入を何によつて認められるのであるか、こういうことになれば、それは或いは受信料の設置によつて認めて行くよりほかに財政的基礎がない、こう考えるのであります。ですからして我々の、衆議院側のこの法律の解釈から言えば、申請書を参酌する上において最小限度こういうことが必要なんだと、これが若し改正されないで、而もNHKなり、申請者のほうが勝手に徴収できるのだと、こういう建前で申請書を出すことは、勝手に国会がまだ考えもしないのに自分たちがとるということは……、従つて恐らく政府当局としては、監理委員会としてはそれらに対して確実なる判断を下し得ないのじやないか、であるからしてこの申請書を審査する上において、最小限度この改正が必要である、こういう見解に立つてこの改正を行なつたのであります。その他全般的な改正については、新谷委員のおつしやる通りに、その他重要な改正点が必要でありますけれども、これにはなお相当の月日を残しておるのでありますからして、次の国会においても間に合う、こう考えますが、申請の審査は、すでに申請書が提出されており、而も標準方式の問題が終結を見ようとしておる、一方において国会は終了を告げようとしておる、こういう情勢でありますからして、取りあえず最小限度は必要である、こういう見解に立つて衆議院は修正を行なつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/23
-
024・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 もう一点橋本議員に念のため一つ伺つておきたいのですが、先ほど電波監理委員長からの御答弁、お聞きの通りであります。私は今の放送法の読み方は、そう電波監理委員長の読んでるように、考えているようには私は考えていない。この放送法の「放送」という中にはテレビジヨンも入つておるのであつて、従つて放送法では多少手続規定において欠けるところがあるかも知れませんが、当初からこれは予定しているのであつて、放送法によつてテレビジヨンを律することができるのだという説明をたびたび聞いておる。現在もテレビジヨンの審査は放送法、電波法によつて進められておるわけです。そういうふうな前提によつて読んで見ますと、「日本放送協会」云々という、放送協会の目的を書いた第七條にあまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的として作る団体がこれなんだということを書いてありますから、その点では現在の「放送」では私は疑いを入れないと思うのです。ただこれは先ほど申しましたように、政策的に見ますと、いろいろな角度からこれは考えようがあると思います。日本放送協会が放送とテレビ両方をやつて行くのがいいか、或いは他の機関がいいのかというようなことは、いろいろな観点からも……政策的に私は正しいと思うのですが、橋本議員のここで御提案になりました趣旨は、私はこれは想像するのですが、恐らくテレビジヨン放送と狭義の放送と並べて見ると、成るほど技術内容も設備も非常に違つたものを必要とするわけでありますけれども、或る部分は若干共用して使える部分があるのだ。現在やつておりまするNHKの放送に関する技術の或る部分、或いは研究の或る部分、又設備の或る部分が使えるから、日本放送協会がスタートのときには担当したほうがより経済的にいいようですね、従つてその実現の促進を期するゆえんであろうというような意味で、この三十二條の日本放送協会がやはりテレビジヨンも公共的にやる主体になるようにということができるようになさつたものと考えるのですが、その点は何か他にお考えがあつたかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/24
-
025・橋本登美三郎
○衆議院議員(橋本登美三郎君) 大体新谷委員のおつしやる通りであります。殊に法制上の、建前上の解釈は、新谷委員と同一の見解を持つております。実際問題として、現在やつておる放送を相当に生かして行こう、こういう考についても、私個人といたしましては同様に考えております。これを改めて別個の企業体を作るということになれば只今新谷委員がおつしやつたように、共通する部面が少くなる、従つて日本の経済事情から考えても、且つ又標準放送というものはアメリカの状態から考えても、何年後にはテレビジヨン放送に大体が移り替れるか、こういう面を持つておる、こういう点から考えて、若し企業体を別個に作つて、テレビジヨンを別個に作るということになれば、却つて個々の企業体が衰弱を来たす結果に長い目で見ればなるからして、当然これは標準放送をやつておつたものがテレビジヨン放送に行くことが原則としてよろしい、こう私個人は考えております。併しこの見解は全くその通りでありまするが、それを以て必ずしもこれを公共企業体一本にのみに許可しようという、こういう意味合において放送法の改正を我々は行うのじやない、飽くまで自由な見解で当局がこれを判定するにおいてはこれを妨げない、こういう見解に我々は一致しておるのでありまするが、法制上の建前から言えば、新谷委員のおつしやる通り、公共企業体が全国あまねく蔽うべきものである、こういう工合に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/25
-
026・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 速記の関係もありますので、簡單に一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/26
-
027・山田節男
○山田節男君 二問ほどあります。この用語の問題ですがね、この三十二條のいわゆる標準放送を省いて「放送」という言葉を使つておる。で、この放送によつてラジオの放送と、それからテレビジヨンの放送と、これは両方の意味を含ませたというような、これは御趣旨だろうと思うのですね。これは網島委員長にお伺いしますが、この「放送」という言葉ですがね、将来のテレビジヨンが放送されるということになれば、テレビジヨン放送、或いはラジオ放送、こういうことにやるのか、或いはこのアメリカその他の国でやつておるように、ラジオはもうブロード・カストである、それからテレビジヨンはテレ・カスト、それからテレ・カストと、ラジオ放送と、それからテレビジヨン放送を合せたものの総称として一つのヴィデオという、VIDEOという総称がありますね。これは将来のこともありますから、法律の用語を先ずこれから統一しなきやいかん、規正しなくちやいかん。殊に法文において、ただ「放送」と言えばテレビジヨンも、ラジオも含まつておるということでは、これは法律上の我々立法者は非常に困る。で、そういう将来このテレビジヨン、或いはラジオの放送、或いは総称してどう言うかということ、用語をちやんと規正しておかんと、非常に将来法律を作つた場合にあいまいになる。で、橋本議員の御説明によると、三十二條あたりの「放送」というのは、いわゆるヴィデオ、或いはラジオのブロード・カストを含み、テレビジヨンのテレ・カストも含む、いわゆるヴィデオという総称的な言葉に見えるのです。この点について橋本議員はこの用語について、電波監理委員会では放送を分けるのかどうか、或いは電波監理委員会として、こういう広義な放送というものを今後許して、将来混同を来たすという虞れはないかどうか、これを一応お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/27
-
028・網島毅
○政府委員(網島毅君) 只今用語の定義、或いは解釈の問題についてお聞きになつておりましたが、電波監理委員会といたしましては、その点は明確にしておるつもりであります。ただ單に放送という言葉を使つた場合には、これは放送法の第二條にございまするように、直接公衆によつて受信されることを目的とした無線通信の送信でございまして、これはそういう直接公衆によつて受けられるものを総称してこれを「放送」と言つておるのであります。従つてこの中にはいろいろな種類の放送が入ります。只今の標準放送、これはまあ俗にラジオと言われておるものでございます。それからテレビジヨン放送、それからそのほかに超短波のFM放送もございます。或いは短波の放送もございます。そういうものも全部この放送という言葉に入つております。ところで一つ一つの局、或いは免許を対象といたしまする場合には、そういう漠然とした非常に幅の広い「放送」という言葉では、これは包含できないのでありまして、従つて電波監理委員会の規則、即ち放送局の開設の根本基準、ここの中には放送の種類というものを定義によつて明確にしております。即ちその規則の第二條には、「『放送の種類』とは、標準放送、短波放送、超短波放送、テレビジヨン放送、フアクシミル放送」というように区別しておりまして、従つて私どもは個々の局に免許を與えるときには、これらのものをはつきり区別してやつておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/28
-
029・山田節男
○山田節男君 もう一つは、この議員提案の法律で、三十二條の「標準放送(五百三十五キロサイクルから千六百五キロサイクルまでの周波数を使用する放送をいう。)」と、この括弧を削除して、放送という二語にしておるわけですね。そうするとこの標準放送ということはもう抹殺して、電波監理委員会がお考えになつて、この放送法、殊にこの日本放送協会に対する法制として、この標準放送括弧、あれを抹殺して何ら支障ないものと見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/29
-
030・網島毅
○政府委員(網島毅君) その点につきましては、今度の修正の結果どういうことになるかということにつきまして、先般来電波監理委員会においていろいろ研究中でございまするが、まだ結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/30
-
031・山田節男
○山田節男君 結論が出ない、ということは、このままで三十二條の標準放送括弧を抹殺して、ただ放送ということにしてしまえば、法のバランスと申しますか、この標準放送というものに対するものは、どこかの、放送法ですか、の個所に入れなくちやならんという意味ですかどうですか。その点をお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/31
-
032・網島毅
○政府委員(網島毅君) そういう意味ではございません。三十二條におきまする「標準放送」という言葉を取りまして、ただ單に「放送」ということになりますると、放送法の第二條の定義によりまして、これにはもうあらゆる放送が全部含まれることになるわけでありまして、即ち短波放送、或いは将来起るであろうところのFM放送というものが起つて参ります。そういう短波放送というようなもの、その短波放送の一部の国際放送につきましては、現に日本放送協会がやつておるわけでありますので、然らば短波の受信機を持つた者は全部聴取料を取られるのかというようなことにも……というような疑問も起りますので、そういう意味で目下電波監理委員会として研究中だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/32
-
033・山田節男
○山田節男君 そういう意味は、この第三十二條を放送という二子だけにしてしまつて、標準放送括弧をのけるから、別途に、これは規則でなくて法律ですから、これは電波監理委員会として、この国会か、次の国会に、やはり法の修正をなさるという意味かどうか、それをお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/33
-
034・網島毅
○政府委員(網島毅君) 先ほど提案者の橋本議員からもお話ございましたように、テレビジヨンを実施するという段階には、殊に日本放送協会がテレビジヨンを実施するということになりますれば、私どもも恐らく三十二條の改正だけではこれは恐らく済まないのじやないかという考え方を持つておるのであります。勿論まだ結論は到達しておりません。そういう考え方もございまするので、電波監理委員会が日本放送協会にテレビジヨンの免許を與える場合には、恐らく改めてと申しますか、足りない部分の放送法の改正ということにつきまして、国会に御提案するということになるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/34
-
035・山田節男
○山田節男君 最後に今の橋本議員からの御説明によつて、NHKもこのテレビジヨン放送をなし得るということのために修正したと、こうおつしやるのですね。で、電波監理委員会も第三十二條のこの修正によつて、この修正によれば、もう他にNHKが、テレビジヨンの放送はやはりこういうところでこれはもうできないのだという点はないのでございますか。もう今の三十二條のこの法案修正で、NHKは審査を、申請を受理して、そうして審査を受けて免許を受ける場合には免許ができると、こういうことになるのですか。もつと具体的に言えば、先ほど申上げたように、もうほかに落し穴はないと見ていいのかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/35
-
036・網島毅
○政府委員(網島毅君) この三十二條の現在御審議中の改正のみで免許できるかどうかということにつきましては、只今委員会としてまだ結論を持つておりませんので、はつきり申し上げられませんが、私どもは少くとも日本放送協会は第七條によりましてテレビジヨン放送、或いはFM放送、いわゆるその他の放送は一応はやり得るのだと、法律上は日本放送協会がやることを認めておるというふうに解釈しております。ところでそれを実際今度やろうという段階になりましたときに、而もその計画を電波監理委員会におきまして審議いたしまして、そうしてやはりこの計画ならやれると、従つて免許を與えるべきだと、但しこの收入の面、いわゆる財政的な面でこれは法律的裏付がないから、従つてこの点だけを解決すればいいというような見解に到達いたしました場合には、政府から放送法の改正を国会にお出しして御承認を頂くと、そうして御承認して頂いたならば、財政的な基礎も確立されますので、電波監理委員会としては正式に免許を與えるということに相成るかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/36
-
037・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 ちつと、今のにちよつと関連して……。今の網島君の説明ですが、その点は法律改正をするということは、これはまあテレビジヨンというような、非常に社会的に影響の大きなものをやるので、狭い意味の放送というのとは、大分趣きが違うと思う。そういつた点を考えて、放送法の改正をするということは、先ほど橋本議員もおつしやつた通りでありますが、その点はわかるのですけれども、その他の部分について今山田君の質問せられた趣旨は、仮にNHKから申請が出た、それを受理し、審査をして、適当であるということを認める場合に、法律上の問題としてこの法律改正をするかしないかという問題についてはよろしいのかどうかということだと私は思うのですがね。そこでここでさつき橋本議員からちよつと御説明があつたようでしたが、まあ抜けていると言えば、足りないところと言えば、結局この狭義の放送と同じように、恐らくNHKがやる場合にはやはり受像料というのですか、受信料というのですか、そういう料金を取るとか、何らか財政的な措置をとるのじやないか、それについては日本放送協会の今の收支、国会の承認を得ている予算、それから事業計画、資金計画等はそういつたものを含んでおらないから、その点について改めて予算、資金計画及び事業計画について、改めて国会の承認を求めなければならんという意味じやないかと思うのですが、そうじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/37
-
038・網島毅
○政府委員(網島毅君) 只今お話のありましたように、日本放送協会がその事業をやるためには、收支予算或いは事業計画というものを国会にお出ししまして、国会の承認を得なければならないことになつております。従いましてテレビジヨンにつきましても、ただこの三十二條の改正だけではだめなんでありまして、殊に三十二條では具体的な料金はきまりません。これはやはり収支予算、事業計画を国会へお出しして、国会で御承認を頂くことによつてきまるのであります。従つて国会におきまして、或いはそれを修正されるかも知れない、或いは又否決されるかもわからんということもございまするので、正式に申上げますならば、やはりそういうものも国会へお出しして御承認を頂いて、初めて財政的基礎が固まるというふうに解釈すべきじやないかというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/38
-
039・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 その問題なんですが、そこでそれは予算とか、事業計画とか、或いは資金計画の国会における承認というものは、これは法律の審議じやないんですね。法律じやないんです。予算であり、事業計画であり、資金計画であり、これは放送法に基いて出るものだと私は思いますが、それで今山田君の質問しておられる趣旨は、その三十二條のほかに法律自体ですな、放送法自体、これはいじらなくてもいいのかということです。この趣旨においては国会との関係は承認する、併しそれは法律自体ではなく、今あなたの述べられたような財政計画を樹立するため、或いは事業計画を樹立するための各種の承認が国会において必要である、そういうことだと思うのですが、それが残されておるということだと思うのですが、その点はこれでいいんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/39
-
040・網島毅
○政府委員(網島毅君) そういう予算その他の問題を除きまして、法律自体についてはどうかという御質問だと思いまするが、法律自体の問題につきましては、まだ電波監理委員会といたしましては審議中でございます。従つてどこをどうというふうなことは申上げられないのでありますが、私個人といたしましては、ほかも直したほうがいいんじやないかと思われる点は持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/40
-
041・山田節男
○山田節男君 橋本議員に提案者として私お願い申上げますがね。只今電波監理委員長との応答をお聞きになつてわかるように、單に放送というだけ、将来、この今はテレビジヨン放送、ラジオ放送、フアクシミリ電送、そういうのをやつている、こう言いますけれども、ここに單に放送というだけで、ほかの法律との、他の條項とのバランスというもの、それから今網島委員長が言われるように、これだけでは問題がまだ全部解決できないかも知れない。ですからこれは私質疑で明らかにするよりか、提案者のほうで、もとよりこの文句について、放送という文句については、電波監理委員会の当局と十分御協議の上で出されたことと私は思いますが、電波行政、電波監理委員会というものはこの法律の一つの管理官庁、行政庁でありますから、この点を私はどうも放送ということだけで、そういう広い範囲の漠然としたもの、今網島委員長の言われるような疑義もあるわけです。その点を私ここで時間をとりますから質問を繰返しませんが、一つ衆議院におけるこの法案の提案者の代表として、十分一つ電波監理委員会とよくこの点を協議されて、そうしてこれは甚だなんですが、提案者としてこの点もつと詳しく御説明を願えれば、非常に結構だと思います。そのほうが早く又この問題が片付くのではないかと思います。橋本議員にその点にお願いいたしまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/41
-
042・橋本登美三郎
○衆議院議員(橋本登美三郎君) 只今の山田委員の御質問御尤もでありますが、ただ我々はこういうふうに理解しております。勿論放送の中には標準放送及びテレビジヨン放送或いは、FM、短波などが含まれておると思うのでありますが、ただ放送法のこの場合に言うところの放送は、当時の小澤逓信大臣及び当時の政府委員からも、常識的な説明でありますが、標準放送及びテレビジヨンも含まれている、こういうような当時の答弁であります。且つ又もう一つは、この三十二條の第二項で、「協会は、あらかじめ電波監理委員会の認可を受また基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴收する受信料を免除してはならない。」こういうことがありますから、その他の條項もありますが、こういう條項によつて、電波監理委員会の規則で、実際上は放送協会が聽取料を取るのはこれとこれとである、こういうことが明確にできると思いますが、ただ本法の上から言うと、放送というものは幾つにも内容が含まれているということになりますけれども、実際上の徴收ができるのは、電波監理委員会の手続上の認可を必要とする、こうなつておりますから、実際上FMや或いは短波が聽取料を取られる、こういうことはないと思います。併しこの点についても参議院の委員会において、もつと具体的に明確にれさるという御意思がありますれば、只今まで本員の述べた趣旨に従つて、我々のほうとしては何ら異存はありません。その点政府にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/42
-
043・山田節男
○山田節男君 これは申すまでもなく放送法の第三章以下ですね、放送協会の、NHKの單行法と見ていい形態になつております。御承知の通り第二章以下は日本放送協会のことが書いてある。でありますから、今施行規則によつて明確にされていると言いますか、言い換えればこれは現在の放送法というものは、NHKの一つの地位を與える、権限を與える、機能を與えるという法律です。でありまするから、そういう電波法の施行規則で明らかじやないか、こう言われますけれども、この法案の特質から考えて、三十二條を御改正になるならば、これははつきり謳うべきである。而もそれは標準放送のキロサイクルの標準まで書いてある。これを抹消するのです。これは今網島委員長に確かめたように御存じの通りであります。これはもう一度電波監理委員会で万支障なきや否や、立法技術から言いまして、やがてはこれは改正するのですからいいじやないかという御議論でなくて、早く現在のこの法制の中に、字句に矛盾のないように、混同されないような一つの定義を以てそういう理由を一つ御説明願つて、記録に残したほうが、提出された場合に将来のために非常にいいと思いますから、お願いするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/43
-
044・網島毅
○政府委員(網島毅君) お許しを得まして一言申上げたいと思います。先ほど来いろいろ個々の問題について御質問がございましたが、それらは個々の問題について電波監理委員会の、或いは私個人の意見を申上げたのでありますが、この今回の修正の問題につきましては、電波監理委員会として基本的に意見はないということを最初に申上げました。この意見がないという意味合いは、これは今度の修正の趣旨を明らかにして頂きまして、提案理由或いは国会における質疑によりましてそれが明らかにされまして、それでこういう方針である、こういう考え方でやるということでありまするならば、行政官庁としての私どもはそれに従つて行政を行うのみであるという意味合いでございます。どうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/44
-
045・山田節男
○山田節男君 今の網島委員長のお言葉ですが、これは一応理論として私御尤もだと思う。併し今のこの電波監理委員会の存置問題、今の郵政省の設置法の一部改正の場合も、この間も私は野田大臣、或いは佐藤大臣と対決して御質問並びに希望を申上げておるのでありますが、行政府はもう立法府が法を作るならこれに従うより仕方がない、こういうことは私電波監理委員会という機構から見て、行政官庁として十分わかりますよ。併し電波監理委員会というものはそれ以上の性質を持つている。準立法機関である。準司法機関である。だから殊にここは委員長として御遠慮なさらないで、今のこういう立案、それを私は御質問申上げた。大体の全体のバランスをこわさない、或いはこれだけでNHKでこのテレビジヨン放送ができるという万全の措置になるのかどうかという点をお聞きしておるのです。若しそういうことがあるなら、議員がこういう三十二條の一部分を修正するということになれば、勿論委員もあなたがたのほうへ行つて当然御相談すべきものだと思うのです。そういうことになればあなたがたとしては十分、こういう点が矛盾します、こういう点がこれだけじやなくて、ほかの点も、こういう点も一つ調整してもらわなければ困りますということは、これは私委員長としておつしやるべきが当然でないかと思う。あなたは余りに行政庁との政府委員という立場を忠実に守られるがために、電波監理委員会そのものの性格を非常に弱くするというような、法の趣旨に反することになる。この点は一つ活を入れて、もう少し強くやつてもらわなければ、電波監理委員会の正当な、いわゆる正常なフアンクシヨンが果し得ないということになる。これは委員長の責任問題になるのですから、今のようなこと、議員がお作りになつたんだから止むを得ません、それに従うのが我々の義務である。これでは電波監理委員会自体を私は非常に卑下しておるものだと思う。今後こういうものが起きた場合には、アドバイスを與えて、忠告を與えて、あなたも公正に見て、専門的な知識をやはり與えなければいけない。今の橋本委員の説明だけでは、我々の極めて浅い知識を以て見ても、そういうふうに不安が起きて来る。あなたのほうでちやんとそういう協力ができておれば、我々はそう心配はないのですから、ただ、今のような網島委員長非常にこれは御謙遜な態度で、これは私一応敬服しますけれども、併し電波監理委員会として、嚴然たる一つの法律が與えた地位というものを飽くまでここに死守しなければいけない。これは私は甚だ失礼かも知れませんけれども、重ねて私は網島委員長に忠告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/45
-
046・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 別に御質疑ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/46
-
047・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 それは私は今山田君の言われた言葉が、本院を代表しての御意見のようにとられると困りますから、一言私の意見を申上げて置きますが、私は山田君と多少意見が違うのです。立法権は、これはどこまでも国会にあると思います。でありますから、電波監理委員会が持つておる今の職責というものは、これで決定せられた法律の範囲内において、如何にして行政事務を執行するかという行政執行の問題について、電波監理委員会は独立した普通の行政機関と違つた権能を持つておるということが書いてある。併し私は立法権はこれは国会が持つておる。その意味において、国会できめられた場合には、その方針に従つて電波監理委員会は措置せらるべきものと、私はこう思つております。この点私は山田委員の言われたことを誤解をして聞いた点があればお詫びいたしますが、そういうふうに聞えたものですから、結論だけ私の意見をはつきり申上げて置きます。これはあなたの参考にして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/47
-
048・山田節男
○山田節男君 新谷君は私の言い足らない点で誤解されておると思うのですが、一体こういう極めて技術的な新らしい立法をする場合は、電波監理委員という、専門的なことは、これに一応相談して、技術的にも、立法的にも、混同、重複、こういうものがあるかないか、これは技術に関しないものはあなたの言う通り、何もインターフエアしようというのじやない。一応電波監理委員会といものは、日本の最高の専門家があるのだから、立法という場合に、技術的な意味において一応相談して然るべきだ。何もかもやつてしまえ、こういうのでは、本当のロー・メイキングじやない。いわゆる妥当なものを作れという意味でそういう相談を持ちかければ、進んで専門家としての忠告と言つては語弊があるかも知れませんが、意見を述べるべきだと思います。ロー・メーキング、立法府に干渉せよというのじやない。又そういう意味で申上げたのじやない。又そうあるべきものじやない、これはあなたの誤解に基く質問として……。そういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/48
-
049・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) それでは放送法の一部を改正する法律案に対して質疑はないものと認めてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/49
-
050・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) それでは放送法の一部を改正する法律案に対する質疑を打切ります。速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/50
-
051・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 速記を始めて。それでは次回に討論、採決をいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X03219520604/51
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。