1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年六月二十五日(水曜日)
午前十一時二十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 鈴木 恭一君
理事
尾崎 行輝君
山田 節男君
委員
大島 定吉君
寺尾 豊君
新谷寅三郎君
池田七郎兵衞君
国務大臣
郵 政 大 臣
電気通信大臣 佐藤 榮作君
政府委員
電気通信省電気
通信監 山下知二郎君
電気通信大臣官
房審議室長 大泉 周藏君
電気通信大臣官
房人事部長 山岸 重孝君
電気通信省業務
局長 田邊 正君
電気通信省業務
局国際通信部長 花岡 薫君
電気通信省経理
局長 横田 信夫君
事務局側
常任委員会専門
員 後藤 隆吉君
常任委員会専門
員 柏原 榮一君
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本日の会議に付した事件
○参考人の出頭に関する件
○電波法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○日本電信電話公社法案(内閣提出、
衆議院送付)
○日本電信電話公社法施行法案(内閣
提出、衆議院送付)
○国際電信電話株式会社法案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/0
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001・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 只今より委員会を開きます。
電波法の一部を改正する法律案、日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案、国際電信電話株式会社法案を議題といたします。
電波法に関しまして委員のかたより参考人を呼ぶというお話がございましたが、審議の途中において参考人を呼ぶような取計らいをしてよろしうございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/1
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002・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 御異議がなければ、船主側と電波通信上側の代表者二人を呼びたいと思いますが、よろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/2
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003・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) それではその人は委員長にお任せ願えませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/3
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004・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) さよう取計らいます。
それでは日本電信電話公社法その他これに関連いたします三法案の御質疑をお願いするのでありますが、本日中に質疑を打切りたいと存じますが、さ
よう取計らつてよろしうございます
か。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/4
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005・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) 御異議がなければさように取計らいます。御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/5
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006・山田節男
○山田節男君 日本電信電話公社法案、それから国際電信電話株式会社法案の逐条の審議の過程を済んだのでありますが、なお大臣もお見えになつておりますからやや総括的な質問になりますけれどもお許し願つて、大臣の所見を重ねて確かめておきたいと存じます。
第一の問題はこれも総括質問のときにもちよつと触れたのですが、御承知のように戦後の破壊焼失した電話施設の復旧と、それから新らしく電話を増設するということにつきましては、かねて政府も心配し、国会も再度に亘つて決議をしておるようなわけであります。それで今回この国内の電気通信が公社になるということになる根本の理由の一つも、やはり国会が希望し、政府が今日まで努力し、又国民が非常に要望しておる電話の増設或いは復旧によるサービスの改善であります。例えばこの昭和二十七年度の予算におきましても三百十二億という金が出ておるわけでありますが、併し電気通信省としてはこの目的のために六百十億円という金を要請しておるその金の約五〇%しか大蔵省は容認しない。従つて曾つてこの電信電話、殊に電話の復興審議会等で十年計画で以て三百万の電話を増設するというようなことになつておりましたけれども、今年度の予算におきましても僅か十万七千個しか新設できない。これがためには電話の設置希望者から負担金をとるというような苦肉の策を弄しても十万七千個しか増設できない。これがいよいよ公社になりまして国民が待望しておる電話の増設ということになると、少くとも曾つての電話の復旧増設のために十年計画でありますか、とにかく三百万個という目標を持つておるわけです。それでこれに対して公社を具体化した以上は大臣はもとより、公社の首脳部は少くとも公社になつたならば或る一つの新らしい電話に対して努力しなくちや私は申訳ないと思う。そこでこの法案の中にもいろいろ資金の調達ということについても語われておるわけでありますが、今日の我々が日銀の政策委員会の諸君その他の人から聞きましても、資金の調達ということは非常にむずかしい。それから国庫からこれをまあ借入れるにしましても非常にむずかしい。これが数億の金ならばいざ知らず、一少くとも年間三百億乃至五百億の金がなければこの公社が希望しておるような建設ができないと思う。そこで大臣としてはこの公社になつた場合、今日二十七年度の予算を公社が踏襲するわけでありますが、それだけでは公社になつた理由は立たない、プラス・アルフアというものがなければならない。このプラス・アルフアというものに対して、公社になりまして僅か三カ年乃至五カ年以内にこの公約を実施するために、どういうふうな一つ自信ある具体案を以ておやりになるつもりか。これはまあ、まだ私ははつきりしたことは言えないと思いますけれども、大体どのルートで、資金を確保するか。今年度はもとより来年度以降におきましても、これは継続予算、継続事業としてやる場合に、どういうようにして具体的におやりになるか、この点を一つ明快にお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/6
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007・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 山田委員の現状についての御認識、私も全然同様の感をいたしておるのであります。従いまして、この現状に対する対策といたしまして、増大する需要にこたえたいと、又業務の活発なる活動を促進すると、かような意味合におきまして今日法案を出しておるわけであります。従いまして、この法案が幸いにして成立いたしますれば、現状打破、並びにそれに対する発展の基本的な考え方が、当然この公社成立後、公社の責任者によつて遂行されるということは当然だと思います。そこで御承知のように、過去におきまして、復興審議会その他によりまして種々復興計画が進められております。只今までのところ権威あるものといたしますれば、やはり復興審議会等で審議いたして来たもの、これは権威あるものと言えると思います。又、国会においての御注意或いは御示唆、こういうものは当然今後の運営上の重要なる指針になるだろうと、かようには考えますが、只今までのところは電通当局の作りました五カ年整備計画というようなものが、まあ権威あるものだと考えなければならん。ところが御指摘になりましたように、今日までの予算の獲得状況では、この計画が延長される羽目になつておる。で、まあそれにはいろいろの理由があることでありまするが、ともかくももつと積極的な仕事をして参らなければならないことは、これは当然であります。そこで公社ができましたあとにおいて、これは本格的には来年度におきまして新らしい予算を作るわけです。只今御指摘になりましたように、今年度はすでに成立いたしました予算を踏襲することに相成つておりまするので、本年度においての資金獲得計画というものはなかなか考えられないというのが理論上の結論のように思われるのであります。併し今年度におきましても、次の国会等におきまして、更に資金の増大を郵政当局或いは公社、これらが要求するであろうことは、これは当然今日から予想のつくところであります。要求は要求のしつ放しということではなくて、要求いたします限りこれの実現を期するのが、これ又当然だと思うのであります。この意味合におきまして、今年度内におきましても、我々は資金獲得に更に更に努力をいたしたい。この意味におきましては、幸いにして我々の努力が閣内において決定を見れば、更に皆様方の御審議を賜わるという段取りになるのではないかと思うのであります。併し今日のところ政府自身が次の国会におきまして補正予算を出すというような点はまだはつきりいたしておりません。はつきりいたしておりませんので、この点を今日からお約束をするわけには参りませんが、そういう時期が参りますれば、当然私どもも資金獲得には努力をいたしたいと思います。この法案が通過いたしましても、御承知のように民間資金の獲得もそう容易に、いわゆる民間の会社の借入というような簡単なものでもないように考えますので、只今申上げるような段取りはどうしてもとらなければならないだろうと思います。又来年度の本予算編成に当りましては、今日まで御説明を申上げ、又種々御指導なり御鞭撻を賜わつておりますその線におきまして、最善の努力を尽して参りたいと、かように考えておるのであります。基本的な問題といたしましては、いつも申上げることでありますが、現存の設備やその機能をフルに発揮するように、更に又近代的な装備に転換をして行く、又積極的に増加して行く、かような二つの問題をそれぞれの分野において力をいたして、そうして電気通信の需要にこたえて参るよう、更に今後一層の努力をいたさなければならないところと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/7
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008・山田節男
○山田節男君 まあ大臣が予想されるように、民間並びに国庫から資金を捻出することは、これ容易なことじやない。こういうような見通し、これは私も同じだと思うのでありますが、いよいよ国民の要望にかなうように先ずサービス改善と電話の新設をするということにつきまして、資金には現下の経済状況におきましては私はどうしてもリミツトがあると思うのであります。なかなかシリヤなリミツトがあると思うのであります。そうしますと政府の場合はこれは法規の建前上手続上どうかと思うのでありますが、少くとも公社になれば電話の拡張新設等については相当何といいますか、自由主義的なもつと自由な方法がとれるのじやないか。例えばこの公社法案によりますと、なるほど国内の電信電話事業に関しましては一つの独占的な企業体である。これは企業の建前として当然であると思いますが、併しこれをもつと伸縮性を持たせて考えて、独占性をこわさない範囲において如何にして電話の新設を急速度に直ぐやるかということについてはもつと私は考えなければならないと思います。例えば私は公聴会で進藤誠一それから渡邊音二郎の両氏の御意見もお聞きしたのでありますが、企業は独占的なものでありますけれども、これを新設するために如何にスピードを加えて早く実現するかということに対する、これはやはり少くとも当事者としても考えるだろうし、我我としても考えなくちやならない。そういう建前から考えて又この電信電話事業というものは技術的に非常に統一性を持たなくちやいけない。又施設するにしましても企画性を持たなくちやいけない。それから恐らくこの法案ができましても、当座としては都市に集中されて農村が比較的閑却されざるを得ないという結果に私はなるのじやないかと思うのであります。
そこで日本の電話を拡張普及せしめる方法といたしましてはやはり公社ができるだけ、例えば地方自治体であるとか殊に山村の僻陬の地域においての電話の施設、なかなか公社を以てしてもできないということになりますと、むしろそういう自治団体に電話に関する施設をやらす方法がいいのじやないか。かように私は考えるのであります。
殊に昨年我々アメリカに行きまして、ここで日本の電話事業をよく視察した数人の人に会つたのでありますが、それぞれの人たちが日本の電話のサービスの改善、それから新設を急速度にやるということについてのいろいろな意見を聞きました。その中で私は殊に印象を深くしたのは、これはもう十分に電通省の首脳部のかたがたはよく御承知のように、バンザントと言つて日本に長くいた、又占領軍政下ではGHQの民間通信部において向うに帰つておりますが、この人が最近手紙をくれましてこの問題を根本的にどういうようにするかというようなことについて、極めて示唆のあることを言つて来ておりますので、私は大臣に御披露を申上げて所見をお伺いしたい。というのは、アメリカにおきましては今日ベル会社が殆ど八割というものを持つておりますけれども、その電話の拡張の歴史を見るとやはり地方の自治体、或いは或るグループが自主的に電話を施設してそれが自然的に統合している。今日におきましても例えばワシントンの農務省の農村電化の局でありますか部でありますか、そこが主体になつて地方の銀行その他の金融を扱う者に協力せしめて電話の施設を増設普及せしめている。日本もこの電話を急速度に拡張するためにはこの公社になつても資金のリミツトがある。であるからして今アメリカが曾つて歴史においてこれは止むを得ざる方法としてとつたのであるけれども、併し結果においては非常にいい結果になつたのであるからして、公社となつてもむしろこういうような方法をとつて行くほうがこの日本の電話施設に非常にいいのじやないかということを言つているわけであります。
これはこの公社法案を見ましても別に禁止しているような条項もないのでありますが、今まで電気通信省としても地方自治体に対して電話局の庁舎を作つてくれという、現に私の広島県だけにおきましても地所を提供して来る。現に人口一万六千ぐらいの町では、自分の町役場の敷地を電通省に提供するから早く電話を拡張して作つてくれという要望を勧告している。併しこれはまだ実現されておらないのであります。そういうようなことは今度公社としては私はやるべきものじやない、むしろそういうほうに自治団体が金を融通しそうして設置する、むしろそういうものを奨励するという方法がいいのじやないか。この間進藤誠一氏が満洲の例をとつて満洲ではそういうようないろいろな私企業があつて困つたという経験からして、日本でそれが向くかどうかということを言つておられましたけれども、今後かような制度で新設する場合、例えばスイツチ・ボードにしましても或いは市外通話にしましても今日ならば新らしく作る場合は全国統合的な技術の画一制というものは、十分公社の監督大臣の監督下にあるのでありますから、私はできないことはないと思うのであります。であるからそういうような見地からして、この法案はそういつたような一つの電話新設のためには一つの融通性を持ち得るというように解していいのかどうか。又大臣の今後の方針として、やはり国民大衆の要望に副うためにはそういう措置もとらなくちやいけないだろうということが言い得るかどうか。この本案に対して解釈上我々は如何にこれを解釈して行くかということについて、確認された解釈を一つして頂きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/8
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009・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 電話通信の現状のような状況でありますと、只今御指摘になりましたようにもう少し民間の積極的協力を得る方法がないか、具体的に申せば民間の施設を許すことはできないか、或いは協力を求めるのが寄附という形において協力は求められないか、或いは設備の保有を会社に許すことはどうか。まあいろいろの問題があるのでありまして、今日まで電通省自身もかような点については限りある予算で限りない需要にこたえるために或る程度の便法も講じて参つて来ておるのであります。併しながらこの方法にはいろいろの弊害が同時につきまとう。国がやります場合においては、一面において弊害ということに非常に心配をいたすわけであります。そのために結果から見ますと、角をためて牛を殺すような結果にもなりがちだ、ここに非常に行政上のむずかしさがあるわけであります。例えて申しますると、今日の予算から見て庁舎、各現場における電話交換局の設置、これらの問題について見ましても、なかなか地方の積極的な要望があり又同時に積極的な協力もあるわけであります。例えば土地は自分たちのほうの手で心配する、これも大体場合によりましたら寄附をしてもよろしい、寄附まで行かなければ自分たちが買いとつておいて電通省に買いとつてもらえばいいのだ、こういうような話が土地ばかりではなく、建物についても出て来るわけであります。こういうような事柄について現状から見ますと、その地方の切望には当局としてもこたえることになる、こたえました結果は一体どうなるか。やはり地方では土地は入れた、なかなか建物は立たない。建物はできましても中の機械設備が入らない。相当計画に齟齬を来たしまして地方のかたがたにも迷惑をかける。こういうような問題も今まであつたわけであります。
或いは又放送関係の中継線の整備等については電気通信省が整備をすると、かように申しましても限りある予算のためにその放送会社に対する中継線がなかなかできない。こういうような事例もあつたわけですが、この辺の点は窮屈な思いをしないで、工業費等の分担も民間のかたへお願いしてもよろしいじやないか。企画は電気通信省の企画でやるべきであるということで、地方のかた、或いは一般のかたがたの御要望に副い得るように規則等もできるだけ緩和して、そうして弊害を防ぎ得る程度に只今までして参つたわけであります。これらの事柄は単なる行政処分としてやるのでありまするとやはり限度があるわけであります。やはり法規的な問題としては、基本の電信法の改正をいたさなければならない。そこで今回も会期が非常に遅れて相済まないのでありますが、只今衆議院において審議を頂いておる法案に、有線電気通信法案並びに公衆電気通信法案が只今かかつておるわけであります。この両法案におきましては、只今申上げますような公社としての独占性、これは勿論確保いたしたいと思いまするが、一般利用者に対しましては、できるだけその要望に大体副い得るような権能をはつきりさして行くと、かような意味合で今の両法案を作つておるわけであります。まあこれによりますれば、例えば三条の電信電話の施設、こういうものにつきましては在来の電信法よりも、もつと簡単な処置をとつてもよろしいのじやないか。むしろそれらの民間のかたの施設にお任せしてよろしいのじやないか。又山間僻陬の地等におきまして、本来は公社自身が設備すべきものではありまするが、これらのものにつきましても、その特殊性を承認しての便宜措置も講じ得るような法案を只今出して、御審議願つておるわけであります。
なおこの内容におきましては、いろいろの議論の存しますものにPBXを如何に扱うかという問題も一つあるわけであります。私どもの考え方といたしましては、PBX等につきましても非常に緩和した考え方が望ましいのじやないか、かように考えまして、只今法案の御審議を頂いておりますが、いずれこれらの御審議の結果によりまして、皆様がたの御批判を頂きたい、かように考えておる次第であります。
電気通信省といたしましても、公社の独占的な機能というものは確保いたしたいと思いまするが、それかと申しまして、非常な窮屈な考え方で公社の独占権を確保するという方向には行かない。むしろ公社自身が独占権を持つということは、この独占権を持つておる結果、当然需要にこたえる設備をする義務あり、その義務ができない場合に如何ような措置をとるか。これはその義務履行ができないのだから、そういうような場合のことを考えますると、弊害の存しない範囲において民間のかたがたの積極的協力を求めるような法制にするのがこれは当然ではないか。大体独占権は只今申上げるように、その独占権は結構だがもつと民間の活動ができるようにしろというお気持だろうと思うのでありまするが、そういうようなお考えでありますれば、只今御審議を頂いております両法案について、大体そういうような方向でものごとを考えておるということをこの機会に申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/9
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010・山田節男
○山田節男君 それに対しての質問がありますが、時間の関連もあるから申上げませんが、併し公社法案の第三条、大体、公社の行うべき業務が羅列してあるわけでありますが、その中にはいわゆる公社として例えば自分の自家用の機器或いは部分品を造る、製造というような部面はないように思うのでありますが、これはもう佐藤大臣は鉄道省におられてよく御存じだと思いますが、鉄道公社では今どう言います。か、元の工機部等でありますとかなり大巾な修理もやりまするし、又電車、機関車、或いは列車の、或る場合には新車をも製造するということをやつておるように私は了解しておるのですが、公社としても従来の電気通信省、いわゆる官営の場合例えばメーカーにいろいろ註文を出して作るわけでありますが、我々実際電気通信に関するメーカーをたずねてみますと、一番彼らとして困ることは、いわゆるオーダーが非常に不規則であるということと、それからなお困ることは、まま例えば電話の受話器等にしましても、或る一つ内示といいますか仮にきめたようなものを造らせて、そしてそれでいいかと思つていると、今度更に又変更があつてマス・プロダクシヨンになかぐ移されない。マス・プロダクシヨンに移した場合には、これはもう会社の損害になるというようなことで非常にメーカーはこの点については困つている。これはもう各国の、殊にアメリカの電気通信会社などの実情を見ますと、かなり製造部門を持つておるわけです。これはいろいろな私は利点があると思うのです。成るほど日本で多くのメーカーがおつて、公社がそういう部門を持つということは、競争をするし、又メーカーに対する経済的な打撃を与えるということも考慮しなくちやならんと思いますが、公社として出発する限りにおいては、まあ器具の、何といいますか素質の統一性、或いは非常に頑強にして、まあいろいろな点から見て私はそれは一つの製造部門を持つのが経済的、財政的から見ましても非常に経済的な経営ができて行くのではないかと思いますが、殊更この公社において製造部門ということを避けた根本的な理由はどこにあるのか、この点を一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 製造という問題になりますると、只今御指摘になりましたように、電気通信省が研究をいたしまして、そうしてこの規格がよろしい、こういうことをやつて製造に移すわけでありますが、やはり新らしく設備なりその他いろいろなものを持たないとそういうわけには行かない。まあ今日までのやり方は、私は説明するまでもなく、修理は業務運営上から見まして当然やつておる。まあ修理の程度によりますれば、これは修理工場としてやれるのでありますので大した問題ではありませんが、更にその修理工場を新製工場にまで進めることの可否の問題。これは只今までの電気通信省がやつております限りにおいては、通産省研究所等においていろいろ研究はいたしました。そしてそこが設計まではいたしまするが、これを民間工場に試作を願う、そうしてそれが今度マス・プロダクシヨンに変つて行くと、かような方法を今日は採用いたしておるのであります。今回この法案整備に当りまして、新製という点を除きましたというのも、現在までの経過並びに歴史と申しますか経歴を重んじまして、さような方法をとつた次第であります。
私の考え方から申しますると、鉄道の場合におきましても、客車や貨車の程度の非常に軽微なものにつきましては、これは新製をいたしておる向きもあります。併しながら新製とは申しまするが、まあタイヤ等になりまするとやはりこれは民間で造つて頂いて、そしてまあ車軸程度を造るのがまあ関の山くらいのものであります。従つて組立工場式のものに実はなるわけであります。電気機器等については、恐らくやはり今までの工場において新製して頂くほうが、むしろ新製工場を持つよりもよろしいのじやないか。まあ鉄道等が電気機関車の新製、これは一部で、全然やらないというわけではありませんが、これが非常に長い経験の後において戦時中から僅かに始めた程度でありますが、まあそれらのことを考えますると、成るべく民間のそれぞれの持分を活用して行くほうが望ましいことじやないか。かように考えますので、只今私が新製する要なしというような実は感を持つておるのであります。併しこの法案を作りました際の気持を卒直に申しますれば、在来の仕事の仕振り等から見まして製造は今までも経験がないからやらないでいいのじやないかという考え方で法案を出しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/11
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012・山田節男
○山田節男君 それから最後にこれもむしろ施行法案について御質問をしようと思つたのですが、この両者に関係するものとして質問いたしますが、施行法案の改正の中で軍事上云々という文句を消すような案が出ておつたように記憶するのです。これは国際電気通信も含めて国内的な電信電話も同じことでありますが、こうして公社或いは民間経営になれば機密の漏洩、憲法で保障している通信の秘密の保持ということが非常にむずかしいのじやないかという疑点があるわけです。そういうことのみならず例えば今後独立国家になつて重大な時期に面して、例えば非常事態の宣言ということになつた場合にこれは国内、国際の電気通信というものはどうしても政府がこれに対する或る一つの統制権を持たなければいけないと思う。成るほど公社法案或いは国際電信電話会社法案にいたしましても、主管の大臣がこれに対して監督するというようになつていますが、併し将来この法案が生きて行く場合に国家の非常事態の宣言が、国内的な必要からも或いは国際的な必要からもあり得ることだと我々は予想してこの法案を審議しなくちやいけない。機密の漏洩ということは漏洩を防禦するということは私平時においてならば大概問題にならない、問題は今のような非常事態、国内的に或いは国際的に、こういう場合にこの郵政大臣が主管大臣としてそういう非常時の場合に一種の大権的な権限を発動して、公社並びに会社の営んでおる電気通信というものを管理するということは当然予想しなくちやならんと思う。併しこの法案のどこにもそういうことはないわけですが、こういう場合に一体これはどうするのか、この法的な根拠をここに与えていないのですね。それに対する具体策といいますかこれを一つ承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/12
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013・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 只今公社並びに会社が非常事態のときにおける活動について今日から用意があるかどうかというお尋ねだと思います。御承知のように通信の秘密確保というものは、これは憲法上から申しましても、又次に御審議を頂こうとする公衆電気通信法案或いは有線電気通信法案等によりましても明確であるのでありますが、今日の電信法もやはりそれだけの責務は負わされているわけであります。この点は国が経営しておろうが、公社の経営体であろうが、又会社の経営体であろうがこれは同様であつて、この理論的な問題については山田さんも別に御異存があるわけじやないと思います。ただ一般の管理と申しまして、国がやる場合には比較的秘密が保ちやすいのじやないか、併し民間になるとなかなか秘密が保ちにくいのじやないかというような御懸念かと思いますが、この通信関係の従業員諸君といたしましては、扱つております通信業務が如何に重大なものであり、これが国の治安に関する問題でなくとも、例えば商売上の問題にいたしましても、甲の会社に入つて参ります通信を乙の会社に知らせることによりまして、乙の会社が競争上で有利な立場になる。かような点は平素からよく承知しておるといいますか、通信の秘密を保持しなければならないのはそういう点にあるのだということもよく承知いたしておりますので、この点は一般の業務の場合と違つて業務の性格から来る秘密を保持しなければならないという点がよく従業員にも徹底しておりまするから、別に私は実は心配はいたしておらないのであります。殊に今の通信の現場組織等を御覧になりますと、そう簡単な問題では実はないので、従いましてこの点は法制的にも憲法その他によつて現に規定がされておるし、又今日までの訓練から申しましてもこれらの点は差支えないようになつておる。ただ問題は通信をいわゆる非常事態等におきまして特別に使うとか、これはいずれの側においても言えることでありまするが、例えば政府がその意図によつて通信網を確保したいとか、或いは他の非常事態を起したほうの側から申しまして、この通信機関を如何ようにしようか、一つ自分のほうで使用したいとかこういうような問題が起り得るのでありまするが、そういうような事態になりますると、これは特別な考え方をいたさなければならないかと思います。今まで各種産業等におきましても、それぞれ秘密を確保するために特別な責任を負わすとなりますると、その事態において政府に対する特別権限を附与いたさない限りそこまではやりかねるのじやないか、かような考え方を実はいたしております。従いまして特別な事態が起つて特別な事態の要求にこたえるには、そのときにおいて特別な措置を講ずべきだ、かように私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/13
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014・山田節男
○山田節男君 これはどうも大臣は少し私は認識が足りないのではないかと思う。それから私の質問の要旨が徹底しなかつたからじやないかと思いますが、問題は従来国営であつた国際電気通信事業を今度一挙に民営にしてしまう。従業員はそうすれば全部労働関係法完全適用ということになる。公社も公共企業体としての団体交渉権を持ち、非常に制限されておりますけれども従業員に一つの労働基本権を認めるということになる。殊に国際電気通信というようなことになつて、従業員が完全に労働法の適用を受けるということになつた場合これはストライキも起り得ることであります。
それからそういう労務管理の部面から又別個に考えてみるべきことは、今日の国際情勢というものはイデオロギーの戦争であります。非日本的な活動は日本ではますます盛んになつて来るのです。殊に国際通信というものは組織がなかなか面倒になつておつて、そう秘密通信なんかできんということをおつしやるけれども、実際は極めて簡単に国外との秘密情報の交換もできるわけです。そこにアメリカあたりが一九三四年の通信法を改正しまして、大統領に非常時の大権を与えて、一つの通信の特別管理といいますか非常時の管理権までも今持たされているようなことになつている。私の申上げるのは平時の機密の漏洩というようなことは或る程度監督できるだろうということである。併し今日は平時といえどもいわゆる冷たい戦争、もうこれは非常時的な様相を今呈しているのが国内国際情勢の特徴であります。殊にこの国内国際の通信に対していざという場合に少くともこの民営公社の事業に対しまして国家安全保障のために一つの管理権を用いることは、これは私は考えなくてはいけないと思うのです。併しここに三段とびで民営に移す事業に対しては非常時に国家が管理し得るものだという法的根拠をこの中に与えておらない。では憲法ではどうかと申しますと、憲法においては天皇はそういう大権を持ちません。総理大臣も憲法上から言えばそういう非常時の事態の宣言をなし得るかどうか。成るほど警察予備隊のこれは一つの指揮者としての地位にある、今日日本では大権的なプロパテイのような力というものはないのであります。そういう場合に少くともときの総理大臣或いは郵政大臣、主管大臣の申請によつて或いは国会の承認を経るにしても一つの国家管理に移すということは、今日の国内国際情勢から言えば私はもう慎重に考えるべきものだと思うのです。そうなりますと、労働関係も国際電気通信に関して野放しになります。いわゆる団体交渉、実力で行く、これはもう過去におけるところの全逓の労務が一部の過激分子によつて非常に何と言いますか、左に行過ぎたというつらい経験から見ても野放しにするということではいけない。労働関係についても相当国家は手綱を持つていなければならない。これに対して何らこの両案において法的根拠を与えておらない、これは非常に私は不安に思う。ですから私の申上げておることは、平時におけるいわゆる憲法上でいう機密の漏洩ということは、これは私はもう……併し今日の国内国際情勢というものは非常な今戦争が行われておるわけでありますから、そういう最中にこういう野放しにするということについては両法案の目的と反しておりますけれども、併し国家事業のためには一つの国家管理という法的根拠を与えておくべきが当然じやないかと思う。それに何らこの根拠を与えてないという、これは今大臣のおつしやつただけでは非常に私は甘い考えだと思うのです。それが故に今の日本の国内の冷い戦争はますます激化する、ますます巧妙を極める、こういうことに気がつかなかつたのか、或いは意識的にこういう最も重要な、国防上から言いましても或いは経済文化方面から見ましても最も神経的な重大問題に対して、国民に対するそういう一つの保護を国家が行うという保障がないということは、この法案の重大な欠陥の一つじやないかと思う。私はかように考えるのですが、法案の作成に当つてそういうことまでお考えが及ばなかつたのか。これは確かめておかないとこの法律案が出たあとにおきましても必ずそういう事態が近い将来来るということを覚悟しなくちやならん。そういうふうな観点から今のような質問を申上げるわけです。でありますから政府としてはそういうことは多分ないだろうとおつしやればそれまででありますが、これは最も重要な一つの大きな私は法の欠陥と言うては甚だ語弊がありますが、整つていない部面じやないかと思いますから、重ねて大臣の先ほどの御答弁の面はあまい、もつとからく見なくちやならない、この法案はこれで通すには将来どうするのかということを一つ伺つておかないといけないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/14
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015・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今のお話でよく御主張がわかりました。電気通信と申しますか、通信業務が非常に重大であり、これがいろいろ悪用されることもあるだろうし、そういうものの取締は如何にするかということでありますが、同時に又公社になつたから労働争議が起つた場合に、これがその機能を停止するというような事態を起したとすれば如何にするのか、こういうようなお尋ねである限りにおいてはまあ私もお答えができると思うのですが、それからそういうように機能を停止することがあつては大変だし、又これがスパイに利用されるというようなことが起つたら困るから何か法律で規定をしろと言われると、まあその御意見が若しそういう規定をしろということになるとしたらこれはちよつと私は賛成をしかねるのであります。と申しますのは、これは一会社の経営になりますれば重要な問題において普通の労働法が適用になるということはこれはもう当然であります。普通の労働法を適用することが不向きな事業かと申しますると、私は必ずしも現在の段階においては不向きだとは言えないのじやないか。見方があまいとかからいとかいう御批判は勿論あるだろうと思います。あるだろうと思いますが、理論的に申しますると、これは会社にする場合において当然普通労働法の適用ありということを前提にしてこれは物事を考えて参つているのであります。併し機能を停止するわけに行かない。併し最悪の事態になりますればこれは組合として或いは会社の経営者が如何に努力をいたしましても最悪の事態になつてストライキが出て来ることかもわからない。又組合員といたしますれば、争議をいたします際に罷業権のない争議形態というものはまず考えられないだろうと思います。併し一面にこの会社が持ちます機能を停止さすわけには行かない。これは争議は争議、機能は機能としてやはり考えて行かなければならん。まあそこで会社自身は国際通信につきましても仕事をなし得ないわけではないのですよ。現在会社を作るといたしますれば一応そういう方向には向いて参るわけでありますが、会社自身に、お話によりますればこれに機能、権限を付与する、それは可能だろうと思うんです。権限付与の規定がありますればこれは国家管理の方向にも可能かと思います。併しながら会社にいたします限りストライキを停止するというような条文はこれは考えられない。この点は山田さんも同様だろうと思います。ただその場合に国家が管理するという規定を設けろという御主張じやないかと思うのでありますが、その点になりますとまだ時期的な問題といたしまして私どもはあれは少し早いんじやないかという感が第一いたしているのであります。それから機能がいろいろの方向で実際的に悪用されるといたしますれば、これは明らかに職員としてのその職分をつくさないものであります。これは部内の問題として如何ようにも処置ができるのじやないか。問題は主として労働争議が起りました際に最終的に国家が管理するの用意ありや否やという問題が主として御意見でもあり、御議論と、ても残るのじやないか。この点につきましては私自身が非常に心配を持つものであることもこれは山田さん同様であります。併しながら会社にいたしますればそういう労働の争議権につきまして制約を実は加えられない。そういう事態が起りまして機能が停止するというような事態が起ればこれに対しましても対策は別途講ぜざるを得ないのだ、かように実は考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/15
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016・山田節男
○山田節男君 これに関連してもう一点私お尋ねいたしますが、今申上げましたのは労働争議の場合ばかりでなくいたしまして、これは今労働関係法の問題になつておりますいわゆる緊急調整の問題、これは労働大臣でやるといわれる。併しこれもアメリカのように、代表が権限を持つているいわゆるインジヤンクシヨンといいます争議停止の命令というものとは大分違うんです。これは争議の場合のみならず、平時この通信が濫用される虞れが非常にある。これは殊に国際電信電話においては、私は全然素人でわからないが併し外国の事例を見てもこれは極めて簡単にこれをそういう政治目的なり、特殊な目的に使える。そこは私は平時において争議というような場合においても、国内、国際の情勢が逼迫した場合に、国家がこれを管理するということはどんな民主国でも、アメリカでもそういう態勢を作つておる。日本は今日のごとき東亜の情勢下において冷たい激烈な戦争が行われ、なお強化するであろうというとき、それを政府がただ労働争議ぐらいは或る程度の何ができるだろうということをおつしやいますが、労働争議よりもつと深刻なふだん表に現わさないで行われておるそういつた活動に対しまして、こういつたことはいわゆる表に立たないことであるから、これは国家として関知する必要はないということは単に日本政府の全般、国民もそうですが、電気通信というものに対するところの見方が甘いのじやないか。そこに一本釘を打つておかなければ法案は完璧でないという感を最近特に深くしますので、大臣の所信をお伺いしたわけです。ですから労働争議というのは私は重大問題とは思いません。これは他の労働関係法からもできるし、それだけではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/16
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017・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今のお話実は私少し聞き間違えておつたかと思いますが、労働争議の場合は御承知のように実は考えませんので、特にそれに対する法律を作るということはこれはむしろ望ましくないことだ、かようにこれは山田さんの御持論でもあるだろうと思います。問題は会社であるとか或いは公社或いは国の場合でも同様でありますが、通信を濫用、悪用、こういうようなことをする者を如何にするかという問題、これは一つの組織を以ちまして会社組織でこういうものが濫用されるとは私は考えない。そうすると不都合なる職員がいて、或いは又他の外部との密接な関連のある職員がいて、そういう大事な通信機器を扱うとしたらどうなるかという問題でありますが、この点は先ほど簡単に申上げましたように部内の問題ではない。そういうものについての取締はできるのじやないか、又そういう人の解雇はこれ又当然じやないかということを実は先ほど申したのであります。むしろ通信の方法としてこれがいろいろなどういう形式をとりますか、正規の形式をとりまして通信を委託される限りこれは国が直営でやりましようが、公社であろうが、会社であろうが、これは受附けざるを得ない。だから通信の内容をそちらの職員が只今の状況において審査する権能はないはずです。若しこれが審査をするということになればとんでもないことで、それはその面から申しましても憲法上の通信の秘密の保持はできないことになる。これはとんでもないことです。そういうふうに考えますと、この機械設備を悪用するといいますか、利用するといいますか、とにかくそのオペレートの立場にある者が例えば共産党なら共産党員であつて、すべて共産党の通信につきまして特別の便宜を図る、こういうことがあるといたしますれば、これは部内の職員の取締の問題として勿論かような人にはその会社をやめてもらわなければならないというように私は考えます。直ちにそれが国家管理というところまでは行かんのじやないか。これは国が管理しましようが、どうしようがあり得ることです。現在の状況におきましても重要なオペレートの立場にある者は特別な部外団体、あえて共産党と申さなくとも部外関係の者と密接な関係があるとすれば、只今言うような心配は勿論ある。併しそれは直ちに国家管理という問題には飛躍しないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/17
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018・山田節男
○山田節男君 しつこいようですが、今私が国家管理の必要性ということを、少し今のような細かく見られるからそういうことになるだろうと思います。例えばまあ具体的に論ずれば、国際的な電信、電話の送信所、受信所、この器具を使えばビジネス以外にそういう送信設備或いは受信機をそういう方面に使える、いろゆるイデオロギー戦争の一端として使うという私は各国の実例があると思う。そういうような若しそういつた事態に入つた場合にやはり国家の防衛手段として当然国家が管理して、民営会社でできない一つの公共的な、これに対する防衛的な管理をしなくちやいかんのじやないか。その必要性をお認めにならないとおつしやるならそれでよろしい。又そういう事態は起らないとおつしやつても現にこれは起きておる。又いよいよ今後激化する傾向にあるということは明らかで、これは国家管理ということをそういう意味から大臣の御所信を伺つておるのです。労働争議とかえペレーターが差別的に取扱う、そういう甘いものじやない、もつと根本的な事態に直面した場合にどうするのか。この法案に対して異例な措置として国家は国家管理をし得るということを内々この法案に含まれておると解してよいか。所管大臣を通じてそういうことが発動し得るのだというように解釈してよいかということを初めから実は申上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/18
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019・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 少し私は或いは誤解しておるかわかりませんが、まあこの国際通信会社というものが扱つておる業務が重要であるという点については私ども認識を欠いておるとは思いません。併し非常に重大な問題であるが、重大な問題であるが故に特別法を作つた際に特に国家管理の規定を残さなければならないかと考えますと、私はさようには考えないで、いろいろ民間でやつております会社でも重要なる業務を遂行しておるものはひとり国際通信の会社ばかりでなく幾つもあるわけであります。これらのもの等に対しましても一々国家管理の特別規定を必要とするわけではない。併しながら個々の会社についていろいろ申上げてみると、これは大変な問題が恐らくあるだろうと思います。例えば食糧会社がその機能を停止したらどうするのか、或いは食糧が全部まいつて来まして国民生活の確保もできないのじやないか、当然国家管理にすべきじやないのか。今のような配給をしております際はこれは別でありますが、そういう議論も恐らく将来出て来るだろう。併しながら私はこの食糧は自由販売でもよろしいのだというかねての主張をしておる一人であります。只今はそこまで突き進んだ考え方はしておらない。だから只今のような御懸念の点は必要が生じますれば、ほつておくわけには行かない。併しながら今日からこの法律の中にさような途が開けるのだとかように書いておくことは、国が持ちます当然の権利を法文化するだけの問題じやないかという議論も成り立つのじやないかと思います。恐らく国といたしまして最終的な治安確保の責任、国の安全を確保するの責任があるのだと思う。そういうものをいつもその責任があるからといつて個々の事態に対しまして明記して行くことは、これは活動上から見ましても望ましくないことじやないか、かように考えますので、この法案といたしましてはその要はないのじやないか。それだからと申しまして国が最終的責任者であるという点を回避しておるわけのものではない。これだけは申上げておきたい。その点では恐らく山田委員としてもその最終的な責任については同様であり、その最終的な責任をこの段階において明示する要ありや否やということが議論の分れ目じやないかと思うのですが、私どもは只今のところで若し誤つた従業員がありますならば、その従業員は会社が責任を以てその処分をすべきである。若し会社が処分しないというようなことがありますれば、監督官庁である郵政大臣は会社にこれを厳談するであろう。恐らく会社の重役の最後の処断を要求するであろう。更にその重役がそれを聞かなかつたという場合におきましては、その重役自身の責任を追求するであろう。又一送信局というものが挙げて只今言われるような危険な状態になつておるといたしますれば、これは会社自身の責任においてその送信局を全部きれいにするであろう。かように私どもは考えます。そういうことが先ず普通じやないか。だからその事態の状況から見まして最終段階になりますれば、山田さんが御懸念なさるような点が全然ないとは私申しません。これは併しながらまあ最終的な段階と申しますか、よほど事態が突き進んだ段階においてとるべき事柄であり、今日からその段階に対する処置をあらかじめとつておく必要はないのじやないか、かように実は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/19
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020・山田節男
○山田節男君 これはなお公衆電気通信法案その他の法案を審議する場合に質問をすることにしまして、この法案に関してのそういう国家管理の問題は一応私は打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/20
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021・鈴木恭一
○委員長(鈴木恭一君) これにて本日は散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101314847X04619520625/21
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